(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20241210BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20241210BHJP
H02K 11/30 20160101ALI20241210BHJP
H02K 11/215 20160101ALI20241210BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20241210BHJP
H02K 5/04 20060101ALI20241210BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01D5/12 Q
F16H1/32 A
H02K11/30
H02K11/215
H02K3/50 A
H02K5/04
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2021009470
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-12-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068520(JP,A)
【文献】特開2018-186697(JP,A)
【文献】特開2008-151774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/252,5/39-5/62
H02K 3/30-3/52
H02K 5/00-5/26
H02K 7/00-7/20
H02K 11/00-11/40
F16H 1/28-1/48,48/00-48/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータを径方向外側から囲むステータを有するモータ部と、
前記中心軸線を中心として軸方向に延び、前記モータ部の径方向外側を囲むケースと、
前記ステータに電気的に接続されるバスバーと、
前記モータ部の軸方向一方側に配置され、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、
前記バスバーホルダに保持され、前記ロータのマグネットの磁界を検出する磁気センサと、
前記バスバーホルダの軸方向一方側において前記中心軸線と直交する平面に沿って配置され、前記磁気センサおよび前記バスバーと電気的に接続される回路基板と、を備え、
前記バスバーホルダは、前記ステータの外周面を囲む筒状部を有し、
前記バスバーホルダは、前記軸方向一方側から前記ケースに接し、
前記ステータの外周面には、
周方向一方側を向く第1規制壁面と、
周方向他方側を向く第2規制壁面と、が設けられ、
前記筒状部の内周面には、
前記第1規制壁面に接触する第1接触面と、
前記第2規制壁面に接触する第2接触面と、が設けられる、
電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記ステータの外周面には、軸方向に沿って延び軸方向一方側に開口する凹溝が設けられ、
前記筒状部の内周面には、前記凹溝に挿入される凸条部が設けられ、
前記第1規制壁面および前記第2規制壁面は、前記凹溝の内壁面であり、
前記第1接触面および前記第2接触面は、前記凸条部の側面である、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記筒状部の内周面には、軸方向に沿って延び軸方向他方側に開口する凹溝が設けられ、
前記ステータの外周面には、前記凹溝に挿入される凸条部が設けられ、
前記第1規制壁面および前記第2規制壁面は、前記凸条部の側面であり、
前記第1接触面および前記第2接触面は、前記凹溝の内壁面である、
請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記バスバーホルダは、
軸方向他方側に開口する収容凹部と、
前記収容凹部から軸方向一方側に貫通する挿通孔と、を有し、
前記収容凹部には、前記磁気センサが収容され、
前記挿通孔には、前記磁気センサと前記回路基板とを繋ぐ導電線が挿通される、
請求項1~3の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記モータ部の軸方向他方側で前記ロータに接続されて前記ロータの動力を減速する減速機構と、
前記モータ部、前記バスバー、前記バスバーホルダ、前記磁気センサ、前記回路基板、および前記減速機構を収容するケースと、を備える、
請求項1~4の何れか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動アクチュエータにおけるモータの回転制御では、磁気センサにより磁界の変化を検出することが知られている。例えば、特許文献1には、磁気センサが、回路基板の下面に接着により取り付けられ、モータシャフトと共に回転するマグネットに対向する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成においては、磁気センサでモータシャフトの回転を高精度に検出するには、磁気センサをステータに対して高い位置精度で組み付ける必要がある。しかし、回路基板に対する磁気センサの組付誤差、ケースに組み込む回路基板の組付誤差、ケースに対するステータの組付誤差等が重畳するため、磁気センサをステータに対して高い位置精度で組み付けるのは困難であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、磁気センサをステータに対して高い位置精度で組み付けることができる電動アクチュエータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸線を中心として回転可能なロータおよび前記ロータを径方向外側から囲むステータを有するモータ部と、前記ステータに電気的に接続されるバスバーと、前記モータ部の軸方向一方側に配置され、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、前記ロータのマグネットの磁界を検出する磁気センサと、前記バスバーホルダの軸方向一方側において前記中心軸線と直交する平面に沿って配置され、前記磁気センサおよび前記バスバーと電気的に接続される回路基板と、を備え、前記バスバーホルダは、前記ステータの外周面を囲む筒状部を有し、前記ステータの外周面には、周方向一方側を向く第1規制壁面と、周方向他方側を向く第2規制壁面と、が設けられ、前記筒状部の内周面には、前記第1規制壁面に接触する第1接触面と、前記第2規制壁面に接触する第2接触面と、が設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、磁気センサをステータに対して高い位置精度で組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の変形例における電動アクチュエータを示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1から
図3に示す本実施形態の電動アクチュエータ1は、例えば、車両に搭載される電動アクチュエータである。
図1および
図3に示すように、電動アクチュエータ1は、ケース10と、仕切部材15と、蓋部材80と、中心軸J1を中心として回転するモータシャフト21を有するモータ部20と、第1ベアリング53と、第2ベアリング51と、第3ベアリング52と、減速機構30と、出力シャフト41と、磁気センサ63と、回路基板70と、バスバーホルダ140と、バスバー150と、を備える。
【0013】
図1に示すように、ケース10は、仕切部材15、モータ部20、モータシャフト21、減速機構30、出力シャフト41、磁気センサ63、回路基板70、バスバーホルダ140、およびバスバー150を収容している。ケース10は、上側に開口する開口部を有している。
【0014】
ケース10は、中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。ケース10は、基板収容部13aと、ケース筒部13bと、出力部収容部13cと、ベアリング保持部13dとを有する。基板収容部13aは、回路基板70およびバスバーホルダ140を収容する部分である。基板収容部13aは、上側に開口する。基板収容部13aは、ケース10の上側部分の径方向内側に構成される。基板収容部13aの底面は、回路基板70およびバスバーホルダ140を支持して固定する第2支持面12である。第2支持面12は、上側に向いている。
【0015】
ケース筒部13bは、モータ部20の径方向外側を囲む。出力部収容部13cは、後述する出力部46を収容する部分である。ベアリング保持部13dは、第2ベアリング51を保持する。ベアリング保持部13dは、中心軸J1を中心としてケース10の下端部から上側に延びている。
【0016】
蓋部材80は、ケース10の開口部を覆い、ケース10に固定されている。蓋部材80は、下側に開口する凹部16aを有する容器状の部材である。蓋部材80とケース10とは、蓋部材80を軸方向に貫通する複数のボルト201(
図3参照)により締結されている。本実施形態において蓋部材80は、ケース10の開口を上側から覆う蓋部に相当する。蓋部材80は、ベアリング保持部16bを有する。ベアリング保持部16bは、第1ベアリング53を保持する。ベアリング保持部16bは、中心軸J1を中心として下側に延びている。
【0017】
モータ部20の中心軸は、中心軸J1である。
図1に示すように、モータ部20は、ロータ22と、ステータ23と、を有する。ロータ22は、モータシャフト21と、ロータコア22aと、マグネット40と、を有する。
【0018】
モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、貫通穴25と、を備えている。第1軸部21aは、軸方向に延びモータシャフト21の上側に位置する。第2軸部21bは、軸方向に延びモータシャフト21の下側に位置する。第2軸部21bの直径は、第1軸部21aの直径よりも大きい。より詳細には、第2軸部21bの外径は、第1軸部21aの外径よりも大きい。第2軸部21bは、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。貫通穴25は、中心軸J1を中心として延びている。従って、第1軸部21aは、中心軸J1を中心として延びる円筒状である。第2軸部21bは、下側に軸方向の窪み部26を有する。窪み部26は、偏心軸J2を中心として延びている。従って、第2軸部21bは、偏心軸J2を中心として延びる円筒状である。窪み部26の上側は、貫通穴25の下側とつながっている。モータシャフト21は、第2軸部21bが第3ベアリング52によって、偏心軸J2回りに回転可能に支持される。
【0019】
出力シャフト41は、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。出力シャフト41は、軸部41aと連結部42とを有する。軸部41aは上側に位置し、連結部42は下側に位置する。軸部41aは、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。軸部41aの上側は、モータシャフト21の貫通穴25に通されている。軸部41aの上側端部は、モータシャフト21の上側に突出している。モータシャフト21の上側に突出する軸部41aの上側端部は、第1ベアリング53によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の上側端部は、第1ベアリング53を介して蓋部材80に支持される。
【0020】
連結部42の下側端部は、モータシャフト21の下側に突出している。モータシャフト21の下側に突出する連結部42の下側端部は、第2ベアリング51によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の下側端部は、第2ベアリング51を介してケース10に支持される。出力シャフト41は、軸方向の端部が第1ベアリング53および第2ベアリング51によって中心軸J1回りに回転可能に支持される。従って、貫通穴25に出力シャフト41の軸部41aが通されたモータシャフト21は、軸部41aによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。
【0021】
第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、それぞれ内輪と内輪の径方向外側に位置する外輪とを有する転がり軸受である。本実施形態において第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、例えば、内輪と外輪とが複数のボールを介して連結されるボールベアリングである。
【0022】
連結部42の上側は、モータシャフト21の窪み部26に挿入されている。連結部42の上側がモータシャフト21の窪み部26に挿入されていることにより、出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ1の軸方向の長さを短くして小型化できる。
【0023】
連結部42は、中心軸J1を中心として延びる円筒状の筒部44を有する。筒部44の内径には、連結凹部45が設けられている。連結凹部45は、出力シャフト41の下側の端部から上側に窪む。連結凹部45は、軸方向に沿って視て、中心軸J1を中心とする略円形状である。連結凹部45の内側面には、周方向に沿って複数のスプライン溝が設けられる。連結凹部45には、電動アクチュエータ1の駆動力が出力される他の部材が挿入されて連結される。他の部材は、例えば、車両におけるマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ1は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動させ、車両のギアを切り換える。
【0024】
連結部42が上側に窪む連結凹部45を有することにより、連結部42が下側に突出した軸状である場合と比較して出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ1の軸方向の長さを短くして小型化できる。第1ベアリング53がケース10に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース10に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、中心軸J1に対する出力シャフト41の同軸度を向上させることができる。第1ベアリング53がケース10に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース10に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、第1ベアリング53および第2ベアリング51を保持する別途設ける必要がなくなり、コスト減および電動アクチュエータ1の小型化に寄与できる。
【0025】
ロータコア22aは、モータシャフト21の外周面に固定される。より詳細には、ロータコア22aは、第1軸部21aの外周面に固定される。マグネット40は、ロータコア22aの径方向外側に固定される。マグネット40は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0026】
ステータ23は、ロータ22の径方向外側に位置する。ステータ23は、ステータコア23aと、複数のコイル23bと、インシュレータ29と、を有する。ステータコア23aは、ロータ22の径方向外側を囲む円環状である。ステータコア23aのコア外周面24aは、ケース筒部13bの内側面14に固定される。換言すると、ケース10の内側面14は、ステータ23を径方向外側から囲む。
複数のコイル23bは、インシュレータ29を介して、ステータコア23aのティース23t(
図2参照)に装着される。
【0027】
ステータ23は、コア外周面24aよりも径方向内側に、
図2に示すように、外周面24bを有する。外周面24bは、インシュレータ29の径方向外側を向く面である。外周面24bは、磁極毎に配置されている。軸方向に見て外周面24bは、周方向の磁極中心と直交する。ステータ23の外周面24bには、径方向内側に窪む凹溝27が設けられている。凹溝27は、軸方向に連続して延びている。凹溝27は、軸方向に見て略U字状で、周方向一方側を向く第1規制壁面27aと、周方向他方側を向く第2規制壁面27bとを有している。第1規制壁面27aおよび第2規制壁面27bは、前記凹溝27の内壁面である。凹溝27は、ステータコア23aのコア外周面24aの上側と下側とにそれぞれ配置されている。凹溝27は、軸方向に沿って延び軸方向一方側に開口する。凹溝27は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0028】
図1に示すように、ステータコア23aの周縁部は、仕切部材15の周壁部15bに下側から支持される。ステータコア23aの周縁部は、仕切部材15の周壁部15bに軸方向一方側から接する。
仕切部材15は、モータ部20の軸方向他方側に配置されている。仕切部材15は、ステータ23と減速機構30との軸方向の間に配置される。仕切部材15は、円環板状である。周壁部15bは、仕切部材15の外周部から軸方向一方側に延びる。仕切部材15の外周部は、ケース10の第1支持面11に軸方向一方側から接する。第1支持面11は、内側面14の軸方向他方側に位置する。第1支持面11は、軸方向一方側を向く。
【0029】
バスバーホルダ140は、ロータ22の上側に配置されている。バスバーホルダ140は、モータ部20の軸方向一方側に配置されている。バスバーホルダ140は、円環板状である。バスバーホルダ140は、ホルダ本体148と、カラー部材143を有する。ホルダ本体148は、絶縁性を有した樹脂材料から構成される。バスバーホルダ140のホルダ本体148は、後述する筒状部141よりも径方向外側に拡がるフランジ部140fを有している。バスバーホルダ140のフランジ部140fは、ケース10の第2支持面12に軸方向一方側から接する。第2支持面12は、内側面14の軸方向一方側に位置する。第2支持面12は、軸方向一方側を向く。
【0030】
カラー部材143は、軸方向に延びる円筒状である。カラー部材143は、軸方向に沿う姿勢でホルダ本体148のフランジ部140fに埋め込まれる。カラー部材143は、バスバーホルダ140の上側に突出する。カラー部材143の軸方向一方側の端面143fは、回路基板70の下側に接する。カラー部材143の軸方向他方側の端面143gは、第2支持面12に接触する。これにより、バスバーホルダ140は、軸方向において、回路基板70と第2支持面12との間に挟まれる。
【0031】
カラー部材143には、回路基板70を第2支持面12に締結するネジ144が挿入される。バスバーホルダ140と回路基板70とは、上側から回路基板70とカラー部材143とを貫通するネジ144によりケース10の第2支持面12にネジ止めされている。ネジ144は、例えば、4つ設けられている。バスバーホルダ140と回路基板70とは、軸方向に見てカラー部材143と重なる位置で上側からネジ144によりネジ止めされる。回路基板70は、ネジ144により、軸方向において第2支持面12に締結される。ネジ止めされた回路基板70は、バスバーホルダ140の上側に隙間をあけて配置される。回路基板70とバスバーホルダ140との隙間の寸法は、カラー部材143がバスバーホルダ140の上側に突出する寸法である。
【0032】
バスバーホルダ140は、下側に延びる筒状部141を有する。筒状部141は、ステータ23の外周面24bより径方向外側に位置する。筒状部141は、ステータ23の外周面24bを囲む。筒状部141は、ステータ23のコア外周面24aより径方向内側に位置する。筒状部141の下側の端部は、バスバーホルダ140が第2支持面12にネジ止めされたときに、ステータ23の上側に接する。
【0033】
バスバーホルダ140がケース10の第2支持面12にネジ止めされたときに、筒状部141の下側の端部がステータ23の上側に接することで、ステータ23は、軸方向において、バスバーホルダ140と第1支持面11との間に挟まれる。仕切部材15に下側から支持されたステータ23は、ケース10に軸方向に位置決めされて固定される。
【0034】
図2に示すように、バスバーホルダ140の筒状部141の内周面141aには、凸条部142が設けられている。凸条部142は、筒状部141の内周面141aにおいて、径方向内側に突出する。凸条部142は、軸方向に延びている。凸条部142の周方向の位置は、ステータ23の凹溝27の周方向の位置と同一である。筒状部141の径方向内側に突出する凸条部142は、コア外周面24aの上側で凹溝27に挿入される。凸条部142は、凹溝27と径方向で対向する。凸条部142は、軸方向に見て略U字状で、第1接触面142fと、第2接触面142gとを有している。第1接触面142fおよび第2接触面142gは、凸条部142の周方向両側を向く側面である。第1接触面142fは、第1規制壁面27aに接触する。第2接触面142gは、第2規制壁面27bに接触する。
【0035】
凸条部142が凹溝27に挿入されたバスバーホルダ140は、ステータ23と周方向に位置決めされる。上側に開口する凹溝27に対して、上側から凸条部142を挿入しながらバスバーホルダ140を基板収容部13aに収容したときに、バスバーホルダ140をステータ23およびケース10に対して周方向に位置決めできる。従って、バスバーホルダ140がケース10の第2支持面12にネジ止めされたときに、バスバーホルダ140、ステータ23およびケース10を、周方向および軸方向に互いに位置決めできる。
【0036】
ホルダ本体148は、磁気センサ63と、導電線64と、複数のバスバー150と、を保持する。本実施形態においてホルダ本体148と磁気センサ63と導電線64とカラー部材143と複数のバスバー150とは、樹脂成形されて一体化した成形体である。
【0037】
磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出可能である。磁気センサ63は、例えば、ホール素子である。磁気センサ63は、バスバーホルダ140に設けられた収容凹部145に保持される。収容凹部145は、バスバーホルダ140の下面に設けられる。収容凹部145は、バスバーホルダ140の下面から軸方向一方側に窪んでいる。収容凹部145は、軸方向他方側に開口している。磁気センサ63は、収容凹部145に挿入されることで、バスバーホルダ140に固定されている。
【0038】
磁気センサ63は、マグネットの上側に隙間を介して対向して配置されている。
図2に示すように、磁気センサ63は、周方向に間隔をあけて三つ配置されている。磁気センサ63同士の周方向の間隔は、磁極の周方向の間隔と同一である。磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出することでマグネット40の回転位置を検出してモータシャフト21の回転を検出する。
【0039】
図1に示すように、導電線64は、磁気センサ63と回路基板70とを繋ぐ。導電線64は、一端が磁気センサ63と電気的に接続されている。導電線64は、磁気センサ63から延びる端子であってもよいし、一端側が磁気センサ63に接続されたバスバーであってもよい。導電線64は、収容凹部145から軸方向一方側に貫通する挿通孔146に挿通されている。導電線64は、バスバーホルダ140の内部からバスバーホルダ140を貫通し、他端側がはんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70に電気的に接続されている。
【0040】
バスバー150は、一端がステータ23に電気的に接続される。バスバー150は、他端が回路基板70に電気的に接続される。
【0041】
回路基板70は、バスバーホルダ140の軸方向一方側に配置されている。回路基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。回路基板70は、ケース10に収容される。より詳細には、回路基板70は、基板収容部13a内に収容される。回路基板70は、モータ部20と電気的に接続される基板である。回路基板70は、例えば、モータ部20に供給される電流を制御する。すなわち、回路基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。回路基板70は、バスバー150を介してモータ部20と電気的に接続されている。
【0042】
減速機構30は、モータ部20の軸方向他方側でロータ22に接続される。減速機構30は、ロータ22の動力を減速する。減速機構30は、モータシャフト21における第2軸部21bの径方向外側と、出力シャフト41における連結部42の径方向外側とに配置される。減速機構30は、モータ部20の下側に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、出力部46と、複数の突出部43と、を有する。
【0043】
外歯ギア31は、第2軸部21bの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられている。外歯ギア31の歯車部は、外歯ギア31の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0044】
外歯ギア31は、モータシャフト21に連結されている。より詳細には、外歯ギア31は、モータシャフト21の第2軸部21bに第3ベアリング52を介して連結されている。これにより、モータシャフト21は、減速機構30に連結されている。外歯ギア31は、第3ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。第2軸部21bは、第3ベアリング52の内輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング52は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0045】
本実施形態において外歯ギア31は、複数の穴部31aを有する。本実施形態において穴部31aは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。複数の穴部31aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部31aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31aは、軸方向に見て円形状である。穴部31aは、内径が突出部43の外径よりも大きい。なお、穴部31aは、底部を有する穴であってもよい。
【0046】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側に位置し、外歯ギア31を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア32は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア32の径方向外縁部は、ケース筒部13bの内側面に設けられた径方向内側に窪む段差部13eに配置されて固定される。これにより、減速機構30は、ケース10に保持される。内歯ギア32は、外歯ギア31と噛み合っている。内歯ギア32の径方向内側面には、歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、内歯ギア32の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。本実施形態において内歯ギア32の歯車部は、周方向の一部のみにおいて外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。
【0047】
出力部46は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力部46は、外歯ギア31の下側に位置する。出力部46は、出力シャフト41の外周面に固定される。より詳細には、出力部46は、出力シャフト41の連結部42の外周面に固定される。
【0048】
複数の突出部43は、出力部46に、例えば、溶接により固定されている。複数の突出部43は、出力部46から上側に突出する。すなわち、複数の突出部43は、出力部46から外歯ギア31に向かって突出する。突出部43は、円柱状である。複数の突出部43は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部43は、中心軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。突出部43の数は、例えば、8つである。
【0049】
複数の突出部43は、複数の穴部31aにそれぞれ挿入される。突出部43の外周面は、穴部31aの内側面と内接する。これにより、複数の突出部43は、穴部31aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0050】
本実施形態において穴部31aおよび突出部43は、径方向に沿って視て、第3ベアリング52および第2軸部21bと重なる。言い換えれば、穴部31aと突出部43と第3ベアリング52と第2軸部21bとのそれぞれは、軸方向において互いに同じ位置に位置する部分を有する。
【0051】
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部である第2軸部21bは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第3ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31aの内側面と突出部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0052】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31aと突出部43とを介して、出力部46に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0053】
出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rは、R=-(N2-N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力シャフト41の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア32の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア32の歯数N2が60の場合、減速比Rは、-1/60となる。
【0054】
このように、本実施形態の電動アクチュエータ1によれば、ステータ23の第1規制壁面27a、および第2規制壁面27bと、筒状部141の第1接触面142f、および第2接触面142gとを互いに接触させることで、バスバーホルダ140とステータ23とが、周方向において位置決めされる。これにより、バスバーホルダ140に保持される磁気センサ63とステータ23との周方向位置の精度を高めることができる。したがって、磁気センサ63をステータ23に対して高い位置精度で組み付けることができる。
【0055】
本実施形態によれば、第1規制壁面27aおよび第2規制壁面27bは、凹溝27の内壁面であり、第1接触面142fおよび第2接触面142gは、凸条部142の側面であるので、凸条部142が凹溝27に挿入されることで、磁気センサ63を保持したバスバーホルダ140がステータ23に対して周方向に容易に高い位置精度で位置決めされる。
【0056】
本実施形態によれば、凸条部142が凹溝27に挿入されることでステータ23が周方向に位置決めされる。また、凹溝27に対する凸条部142を締り勝手とすることで、磁気センサ63を保持したバスバーホルダ140がステータ23に対して周方向に容易に高い位置精度で位置決めされる。
【0057】
本実施形態によれば、バスバーホルダ140は、収容凹部145、および挿通孔146を有するので、磁気センサ63、および導電線64の組付を、容易かつ高精度で行うことができる。
【0058】
本実施形態によれば、減速機構30を有する電動アクチュエータ1において、磁気センサ63を高い位置精度で組み付けることができる。
【0059】
(変形例)
図4は、上述の実施形態の変形例の電動アクチュエータを示す断面図である。本変形例の電動アクチュエータ1Bは、上述の電動アクチュエータ1と比較して、ステータ23Bおよびバスバーホルダ140Bの構造が主に異なる。なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0060】
図4に示すように、バスバーホルダ140Bの筒状部141の内周面141aには、凹溝27Bが設けられている。凹溝27Bは、筒状部141の内周面141aにおいて、径方向外側に窪む。凹溝27Bは、軸方向に延びている。凹溝27Bは、軸方向に沿って延び軸方向他方側に開口する。凹溝27Bは、凸条部142Bと径方向で対向する。凹溝27Bは、軸方向に見て略U字状で、第1規制壁面27cと、第2規制壁面27dとを有している。第1規制壁面27cおよび第2規制壁面27dは、凹溝27Bの内壁面である。
【0061】
ステータ23Bの外周面24bには、径方向外側に突出する凸条部142Bが設けられている。凸条部142Bは、凹溝27Bに挿入される。凸条部142Bは、軸方向に連続して延びている。凸条部142Bの周方向の位置は、バスバーホルダ140Bの凹溝27Bの周方向の位置と同一である。凸条部142Bは、軸方向に見て略U字状で、周方向一方側を向く第1接触面142hと、周方向他方側を向く第2接触面142iとを有している。第1接触面142hおよび第2接触面142iは、凸条部142Bの周方向両側を向く側面である。凸条部142Bは、周方向に間隔をあけて複数配置されている。第1接触面142hは、第1規制壁面27cに接触する。第2接触面142iは、第2規制壁面27dに接触する。
【0062】
凹溝27Bに凸条部142Bが挿入されたバスバーホルダ140Bは、ステータ23Bと周方向に位置決めされる。
【0063】
本実施形態によれば、凸条部142Bが凹溝27Bに挿入されることでステータ23Bが周方向に位置決めされる。これにより、バスバーホルダ140に保持される磁気センサ63とステータ23との周方向位置の精度を高めることができる。したがって、磁気センサ63を高い位置精度で組み付けることができる。
【0064】
以上に、本発明の一実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0065】
例えば、上述した実施形態において、凸条部142、142Bが凹溝27、27Bに挿入されることでステータ23が周方向に位置決めされるようにしたが、磁気センサ63と導電線64とカラー部材143とバスバー150とをインサート部材とするインサート成形によってバスバーホルダ140を一体成形するようにしてもよい。
【0066】
また、本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、減速機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0067】
1、1B…電動アクチュエータ、10…ケース、20…モータ部、22…ロータ、23、23B…ステータ、24b…外周面、27、27B…凹溝、27a、27c…第1規制壁面、27b、27d…第2規制壁面、30…減速機構、40…マグネット、63…磁気センサ、64…導電線、70…回路基板、140、140B…バスバーホルダ、141…筒状部、141a…内周面、142、142B…凸条部、142f、142h…第1接触面、142g、142i…第2接触面、145…収容凹部、146…挿通孔、150…バスバー、J1…中心軸