(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】吸収性物品
(51)【国際特許分類】
A61F 13/56 20060101AFI20241210BHJP
A61F 13/58 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A61F13/56 210
A61F13/58
(21)【出願番号】P 2021010394
(22)【出願日】2021-01-26
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英聡
(72)【発明者】
【氏名】黒原 健志
(72)【発明者】
【氏名】丹下 雄貴
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-4493(JP,A)
【文献】特開2002-45393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0217225(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の股下に装着される吸収性物品であって、
前記吸収性物品のうちの前記着用者の股下に対応する部位に配置された吸収体と、
前記吸収体よりも前記着用者側に配置され、前記着用者の肌が当接する第1のシートと、
前記吸収体よりも前記着用者と反対側に配置され、前記吸収性物品の外装面を形成する第2のシートと、
前記吸収性物品のうちの前記着用者の腹部及び背部に対応する部位のいずれか一方の部位の左右端部から突設され、貼着部が前記着用者側の面に形成されたテープと、
前記吸収性物品のうちの他方の部位の前記外装面に設けられ、前記貼着部が貼着される被貼着部と、
を備え、
前記テープは、前記左右端部の前記着用者側の面及び前記着用者と反対側の面のいずれか一方の面に接着された基端部と、前記左右端部の縁から突出する突出部と、前記基端部と前記突出部との間に介在する折り畳み部を有し、
前記折り畳み部は、前記左右端部の縁で前記突出部の突出方向と反対の方向に折り返されて前記左右端部の縁から所定の長さの位置まで延在し、前記左右端部の他方の面に接着された第1の折り返し部と、前記所定の長さの位置で前記突出方向に折り返されて前記左右端部の縁まで延在し、前記第1の折り返し部に重なる第2の折り返し部を有
し、
前記テープは、前記突出方向に前記左右端部から前記第2の折り返し部を越えて前記突出部の一部まで延在し、前記左右端部の前記他方の面、前記第2の折り返し部の前記第1の折り返し部と反対側の面、及び前記突出部の一部の前記着用者側の面に接着され、前記左右端部と前記突出部とを接続する補助接続部を有し、
前記貼着部は、前記突出部の前記着用者側の面に形成されている、
吸収性物品。
【請求項2】
前記補助接続部のうちの前記左右端部及び前記第2の折り返し部に接着された部分は、前記基端部よりも長い請求項
1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
着用者の股下に装着される吸収性物品であって、
前記吸収性物品のうちの前記着用者の股下に対応する部位に配置された吸収体と、
前記吸収体よりも前記着用者側に配置され、前記着用者の肌が当接する第1のシートと、
前記吸収体よりも前記着用者と反対側に配置され、前記吸収性物品の外装面を形成する第2のシートと、
前記吸収性物品のうちの前記着用者の腹部及び背部に対応する部位のいずれか一方の部位の左右端部から突設され、貼着部が前記着用者側の面に形成されたテープと、
前記吸収性物品のうちの他方の部位の前記外装面に設けられ、前記貼着部が貼着される被貼着部と、
を備え、
前記テープは、前記左右端部の前記着用者側の面及び前記着用者と反対側の面のいずれか一方の面に接着された基端部と、前記左右端部の縁から突出する突出部と、前記基端部と前記突出部との間に介在する折り畳み部を有し、
前記折り畳み部は、前記左右端部の縁で前記突出部の突出方向と反対の方向に折り返されて前記左右端部の縁から所定の長さの位置まで延在し、前記左右端部の他方の面に接着された第1の折り返し部と、前記所定の長さの位置で前記突出方向に折り返されて前記左右端部の縁まで延在し、前記第1の折り返し部に重なる第2の折り返し部を有
し、
前記テープは、前記突出方向に前記左右端部から前記第2の折り返し部及び前記突出部を越えて延在し、前記左右端部の前記他方の面、前記第2の折り返し部の前記第1の折り返し部と反対側の面、及び前記突出部の前記着用者と反対側の面に接着され、前記左右端部と前記突出部とを接続する補助接続部を有し、
前記貼着部は、前記補助接続部のうちの前記突出部を越えた部分の前記着用者側の面に形成されている、
吸収性物品。
【請求項4】
前記基端部は、前記補助接続部のうちの前記左右端部及び前記第2の折り返し部に接着された部分よりも長い請求項
3に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記基端部は、前記第1の折り返し部よりも長い請求項1
から4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ、尿パッド、生理用品等の吸収性物品には、着用者の胴回りに固定するための面ファスナー等を備えたいわゆるテープ型と呼ばれるタイプが存在する(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このタイプの吸収性物品では、例えば、吸収性物品のうちの着用者の後見頃に対応する部位の左右両側の縁にテープが設けられ、着用者の前身頃に対応する部位にフロントパッチのような被貼着部が設けられている。そして、テープを被貼着部に貼着させることにより、吸収性物品が着用者に装着された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、吸収性物品の前身頃に対応する部位と後身頃に対応する部位が、被貼着部に貼着されたテープによって余裕なく連結されている場合には、着用者の動きに伴い着用者の腹部が膨張したときに、膨張による負荷が当該連結部分に直接加わる。これにより、テープと被貼着部との貼着部分が外れる可能性がある。
【0006】
本開示は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、貼着部分にかかる負荷を抑制する吸収性物品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、テープは、基端部と突出部との間に介在する折り畳み部を有し、折り畳み部は、左右端部の縁で突出部の突出方向と反対の方向に折り返されて左右端部の縁から所定の長さの位置まで延在し、左右端部の他方の面に接着された第1の折り返し部と、所定の長さの位置で突出方向に折り返されて左右端部の縁まで延在し、第1の折り返し部に重なる第2の折り返し部を有する。
【0008】
詳細には、本発明は、着用者の股下に装着される吸収性物品であって、吸収性物品のうちの着用者の股下に対応する部位に配置された吸収体と、吸収体よりも着用者側に配置され、着用者の肌が当接する第1のシートと、吸収体よりも着用者と反対側に配置され、吸収性物品の外装面を形成する第2のシートと、吸収性物品のうちの着用者の腹部及び背部に対応する部位のいずれか一方の部位の左右端部から突設され、貼着部が着用者側の面に形成されたテープと、吸収性物品のうちの他方の部位の外装面に設けられ、貼着部が貼着される被貼着部と、を備え、テープは、左右端部の着用者側の面及び着用者と反対側の面のいずれか一方の面に接着された基端部と、左右端部の縁から突出する突出部と、基端部と突出部との間に介在する折り畳み部を有し、折り畳み部は、左右端部の縁で突出部の突出方向と反対の方向に折り返されて左右端部の縁から所定の長さの位置まで延在し、左右端部の他方の面に接着された第1の折り返し部と、所定の長さの位置で突出方向に折り返されて左右端部の縁まで延在し、第1の折り返し部に重なる第2の折り返し部を有する。
【0009】
なお、上記吸収性物品において、基端部は、第1の折り返し部よりも長くてもよい。
【0010】
また、上記吸収性物品において、テープは、突出方向に左右端部から第2の折り返し部を越えて突出部の一部まで延在し、左右端部の他方の面、第2の折り返し部の第1の折り返し部と反対側の面、及び突出部の一部の着用者側の面に接着され、左右端部と突出部とを接続する補助接続部を有し、貼着部は、突出部の着用者側の面に形成されていてもよい。
【0011】
また、上記吸収性物品において、補助接続部のうちの左右端部及び第2の折り返し部に接着された部分は、基端部よりも長くてもよい。
【0012】
また、上記吸収性物品において、テープは、突出方向に左右端部から第2の折り返し部及び突出部を越えて延在し、左右端部の他方の面、第2の折り返し部の第1の折り返し部と反対側の面、及び突出部の着用者と反対側の面に接着され、左右端部と突出部とを接続する補助接続部を有し、補助接続部は、突出部を越えて突出方向に延在し、貼着部は、補助接続部のうちの突出部を越えた部分の着用者側の面に形成されていてもよい。
【0013】
また、上記吸収性物品において、基端部は、補助接続部のうちの左右端部及び第2の折り返し部に接着された部分よりも長くてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、貼着部分にかかる負荷を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。
【
図3】
図3は、非装着状態におけるおむつを、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【
図4】
図4は、伸長した状態のおむつを肌面側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、伸長した状態のおむつを非肌面側から見た平面図である。
【
図6】
図6は、実施形態のテープをおむつの幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【
図7】
図7(A)は、前身頃領域と後身頃領域との連結部分に通常の負荷がかかっている場合の実施形態のテープがフロントパッチに貼着された状態の一例を示す図であり、
図7(B)は、前身頃領域と後身頃領域との連結部分に比較的強い負荷がかかっている場合の実施形態のテープがフロントパッチに貼着された状態の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、別例のテープをおむつの幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
【
図9】
図9(A)は、前身頃領域と後身頃領域との連結部分に通常の負荷がかかっている場合の別例のテープがフロントパッチに貼着された状態の一例を示す図であり、
図9(B)は、前身頃領域と後身頃領域との連結部分に比較的強い負荷がかかっている場合の別例のテープがフロントパッチに貼着された状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を参照して本発明の実施形態に係る吸収性物品について説明する。なお、以下の実施形態の構成は例示であり、本発明はこれらの実施の形態の構成に限定されるものではない。
【0017】
<実施形態>
本実施形態では、テープ型使い捨ておむつ(本願でいう「吸収性物品」の一例であり、
以下、単に「おむつ」という)について、着用者の腹部に対向して配置される前身頃と背部に対向して配置される後身頃とを結ぶ方向を長手方向とする。これらの前身頃(長手方向の一側)と後身頃(長手方向の他側)との間(長手方向の中央)には、着用者の股下に配置(股間に対向して配置)される股下部が位置する。また、おむつが着用者に装着された状態(以下、「装着状態」と略称する)において、着用者の肌に向かう側(装着された状態で内側)を肌面側とし、肌面側の反対側(装着された状態で外側)を非肌面側とする。さらに、肌面側と非肌面側とを結ぶ方向を厚み方向とし、長手方向と厚み方向の何れにも直交する方向を幅方向とする。そのほか、厚み方向から視ることを平面視とする。
【0018】
図1は、本実施形態に係るおむつの斜視図である。おむつ1は、装着状態において着用者の陰部を覆う股下に対応する部位である股下領域1Bと、股下領域1Bの前側に位置し、着用者の前身頃に対応する部位である前身頃領域1Fと、股下領域1Bの後ろ側に位置し、着用者の後身頃に対応する部位である後身頃領域1Rとを有する。後身頃領域1Rの左右両側の縁には、前身頃領域1Fの非着用者側の面に設けられたフロントパッチ2Fへ貼着可能なテープ2L,2Rが設けられている。おむつ1は、前身頃領域1Fが着用者の腹側に配置され、後身頃領域1Rが着用者の背側に配置された状態でテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されると、着用者の腹囲と大腿部を取り巻く状態で着用者の身体に固定される。おむつ1がこのような形態で着用者の身体に固定されるので、着用者はおむつ1を着用した状態で立ち歩き可能である。
【0019】
おむつ1には、液体を吸収して保持することができる吸収体が主に股下領域1B付近を中心に配置されている。また、おむつ1には、おむつ1と着用者の肌との間に液体の流出経路となる隙間が形成されるのを抑制するべく、着用者の脚周り部(大腿部)を取り巻く部位にレグギャザー3AL,3ARが設けられ、レグギャザー3AL,3ARよりもおむつ1の幅方向内側に立体ギャザー3BL,3BRが設けられ、着用者の腹囲を取り巻く部位にウェストギャザー3Rが設けられている。レグギャザー3AL,3AR、立体ギャザー3BL,3BR及びウェストギャザー3Rは、弾性部材の弾性力で着用者の肌に密着する。よって、着用者の陰部から排出される液体は、おむつ1から漏出することなくおむつ1の吸収体に吸収される。なお、弾性部材としては糸状や帯状のゴム等を適宜選択できる。
【0020】
図2は、おむつ1の分解斜視図である。また、
図3は、非装着状態におけるおむつ1を、長手方向の中心を幅方向に沿って切断した場合の断面図である。
図4は、伸長した状態のおむつ1を肌面側から見た平面図である。
図5は、伸長した状態のおむつ1を非肌面側から見た平面図である。なお、
図5では、後述する弾性部材4C,4SR,4SL,8EL,8ER及びサイドシート8L,8Rの図示は省略している。おむつ1は、装着状態において外表面を形成するカバーシート4(本願でいう「第2のシート」の一例)を有する。カバーシート4は、長辺に相当する部位に括れ4KL,4KRを設けた略長方形の外観を有するシート状の部材であり、おむつ1の外装面を形成する。括れ4KL,4KRは、着用者の大腿部が位置する部位(
図4及び
図5に示す脚周り領域10L,10R)に設けられる。カバーシート4は、後述するバックシート5の補強や手触りの向上のために設けられ、例えば、排泄物の漏れを抑制するために、液不透過性の熱可塑性樹脂からなる不織布をその材料として用いることができる。液不透過性の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等が例示できる。カバーシート4は、単層構造に限らず、インナカバーシートおよびアウターカバーシートを有する多層構造であってもよい。
【0021】
そして、おむつ1は、カバーシート4の着用者側の面において順に積層されるバックシート5、吸収体6C、トップシート7を有する。バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも略長方形の外観を有するシート状の部材であり、長手方向がカバーシー
ト4の長手方向と一致する状態でカバーシート4に順に積層されている。バックシート5は、カバーシート4と同様に、排泄物の漏れを抑制するために液不透過性の熱可塑性樹脂を材料として形成されたシートである。バックシート5は、着用状態での蒸れを抑えるため、透湿性を併せもつ材料で構成されることが好ましい。また、吸収体6Cは、股下領域1Bを含んで配置されている。そして、トップシート7(本願でいう「第1のシート」の一例)は、吸収体6Cの吸水面を被覆するように着用者の肌面側に配置される、シート状の部材である。このトップシート7は、その一部又は全部において液透過性を有する。そのため、おむつ1が装着された状態において、着用者から排泄された液体は、着用者の肌に接触し得るトップシート7を通って吸収体6Cに進入し、そこで吸収される。例えば、織布、不織布、多孔質フィルムがトップシート7の材料として使用できる。トップシート7は親水性を有していてもよい。
【0022】
バックシート5、吸収体6C、トップシート7は、何れも前身頃領域1Fから後身頃領域1Rにまで延在する。よって、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7が積層されているカバーシート4で着用者の陰部を覆うと、バックシート5と吸収体6Cとトップシート7の各長手方向の両端部は、着用者の腹側と背側に位置する状態となる。すなわち、着用者の陰部は、着用者の腹側から背側まで吸収体6Cに覆われる状態となる。したがって、着用者が腹を下へ向けた姿勢と背を下へ向けた姿勢の何れの姿勢で液体を体外へ排出しても、排出された液体はトップシート7を介して吸収体6Cに接触することになる。
【0023】
また、おむつ1は、上述したレグギャザー3AL,3ARを形成するための弾性部材4SL,4SRがカバーシート4とバックシート5の間におむつ1の長手方向に伸縮するように設けられる。弾性部材4SL,4SRは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて決定された適宜の本数(本実施形態では、3本)で設けられる。なお、
図4に示されるように、レグギャザー3AL,3ARは、股下領域1Bの幅方向両側端部おむつ1において着用者の大腿部が位置する部位である脚周り領域10L,10Rを含んで配置されている。脚周り領域10L,10Rは、股下領域1Bの幅方向両側端部に配置される。また、弾性部材4SL,4SRの配置領域が、レグギャザー3AL,3ARである。
【0024】
また、おむつ1は、細長い帯状のサイドシート8L,8Rを有する。サイドシート8L,8Rは、トップシート7の長辺の部分に設けられる液不透過性のシートである。サイドシート8L,8Rには、カバーシート4と同様、着用者の大腿部が位置する部位(
図4に示す脚周り領域10L,10R)に括れ8KL,8KRが設けられる。そして、サイドシート8L,8Rには立体ギャザー3BL,3BRを形成するための弾性部材8EL,8ERが長手方向に沿って配置されている。サイドシート8L,8Rは、おむつ1が装着状態の形態、すなわち、おむつ1が側面視U字状の形態になると、弾性部材8EL,8ERの収縮力で長手方向に引き寄せられてトップシート7から立ち上がり、液体の流出を防ぐ立体ギャザー3BL,3BRとなる。
【0025】
なお、カバーシート4には、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ弾性部材4Cが弾性部材4SL,4SRよりもおむつ1の幅方向内側でおむつ1の長手方向に沿って設けられている。弾性部材4Cは、おむつ1において設計上要求される弾性力(収縮力)などに応じて設けられる。
【0026】
また、おむつ1は、上述したウェストギャザー3Rを形成するために、弾性部材9ERを備える。弾性部材9ERは、吸収体6Cの端部よりも更に背側の位置において、バックシート5とトップシート7の間に設けられる。弾性部材9ERは、伸縮方向がおむつ1の幅方向となるようにバックシート5とトップシート7の間に延設される。よって、弾性部材9ERの左右両側に設けられるテープ2L,2Rが、着用者の腹側においてフロントパ
ッチ2Fに貼着されると、弾性部材9ERは、収縮力を発揮しておむつ1を着用者に密着させ、おむつ1と着用者の腹囲との間に隙間が形成されるのを防ぐ。
【0027】
吸収体6Cは、パルプ繊維、レーヨン繊維、またはコットン繊維のようなセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリエチレンテレフタレート等の合成繊維に親水化処理を施した短繊維の隙間に、水を吸収し保持することのできる架橋構造を持つ親水性ポリマーであるSAP(高吸収性重合体:Super Absorbent Polymer)等の粒状の吸収性樹脂を保持させた構造を有する。よって、吸収体6Cでは、液体を吸収する前後の吸収性樹脂の体積変動は、基本的には吸収性樹脂を隙間に保持する短繊維内で行われることになる。したがって、吸収体6C全体を俯瞰してみると、液体を吸収した吸収体6Cの厚みの膨張率は、吸収性樹脂自体の膨張率ほど大きくはないと言える。
【0028】
本実施形態のSAP粒子とは、SAPを含む樹脂組成物を粒状としたものを指す。ここで言う「SAPを含む樹脂組成物」とは、SAPのみからなる組成物、SAPを主成分とし、これに吸水性に悪影響を及ぼさない程度に他の物質が含まれた組成物、の双方を包含する概念である。「他の物質」としては、添加剤(粒子表面を疎水化する目的で添加される表面改質剤等)、SAPの合成時に残存した未反応のモノマー等を挙げることができる。
【0029】
また、
図4及び
図5に示されるように、おむつ1は、後身頃領域1Rに配置され、吸収体6Cよりもおむつ1の幅方向の外側に延出する一対のサイドフラップ部11L,11R(本願でいう「左右端部」の一例)を備える。本実施形態において、サイドフラップ部11L,11Rは、おむつ1の外装面を形成するカバーシート4と、カバーシート4の肌面側に接合され、立体ギャザー3BL,3BRを形成するためのサイドシート8L,8Rと、を含んで構成されている。また、おむつ1は、一対のサイドフラップ部11L,11Rのそれぞれに接続され、前身頃領域1Fに配置されたフロントパッチ2Fに貼着された状態でおむつ1を着用者の胴回りに固定するためのテープ2L,2Rを備える。
【0030】
テープ2L,2Rは、サイドフラップ部11L,11Rに固定された基端部20L,20Rと、サイドフラップ部11L,11Rよりもおむつ1の幅方向の外側に延出するテープ基部21L,21R(本願でいう「突出部」の一例)と、を有する。基端部20L,20Rとテープ基部21L,21Rは、不織布等の1枚のシート部材によって形成されている。基端部20L,20Rは、サイドフラップ部11L,11Rを構成するカバーシート4及びサイドシート8L,8Rのいずれか一方、本実施形態では、非肌面側のカバーシート4に接着剤で接合されている。これにより、テープ2L,2Rは、サイドフラップ部11L,11Rに接続される。一方、テープ基部21L,21Rは、サイドシート8L,8Rの縁から突出している。また、テープ基部21L,21Rの肌面側にはフック部22L,22R(本願でいう「テープ」の「貼着部」の一例)が配置されている。フック部22L,22Rは、フロントパッチ2F(本願でいう「被貼着部」の一例)に係合可能である。フロントパッチ2Fは、フック部22L,22Rが係合可能なループ部が表面に形成されている。フック部22L,22Rがフロントパッチ2Fのループ部に係合することによって、テープ2L,2Rがおむつ1の前身頃領域1Fに貼着される。
【0031】
ところで、テープ2L,2Rがおむつ1の前身頃領域1Fに貼着されることにより、おむつ1の前身頃領域1Fと後身頃領域1Rがお互いに連結される。しかし、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rが、テープ2L,2Rによって余裕なく連結されている場合には、着用者の動きに伴い着用者の腹部が膨張したときに、膨張による負荷が当該連結部分に直接加わる。これにより、テープ2L,2Rと前身頃領域1Fとの貼着部分が外れる可能性がある。そこで、本実施形態では、テープ2L,2Rは、更に折り畳み部と補助接続部を有
している。
【0032】
まず、折り畳み部について、
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態のテープ2L,2Rをおむつ1の幅方向に沿って切断した場合の断面図である。なお、
図6では、サイドフラップ部11L,11Rをおむつ1の幅方向に沿って切断した場合の断面図を併せて示している。
【0033】
図6に示すように、折り畳み部23L,23Rは、基端部20L,20Rとテープ基部21L,21Rとの間に介在する部分であり、基端部20L,20Rに隣接する第1の折り返し部25L,25Rと、テープ基部21L,21Rに隣接する第2の折り返し部26L,26Rとを有する。折り畳み部23L,23Rは、基端部20L,20R及びテープ基部21L,21Rと共に、前述した1枚のシート部材によって形成されている。
【0034】
第1の折り返し部25L,25Rは、サイドフラップ部11L,11Rの縁ESでテープ基部21L,21Rの突出方向と反対方向に折り返されて、基端部20L,20Rから、サイドフラップ部11L,11Rの肌面側のサイドシート8L,8Rにおけるサイドフラップ部11L,11Rの縁ESから所定の長さL1の位置P1まで延在している。そして、第1の折り返し部25L,25Rは、接着剤でサイドシート8L,8Rに接合されている。
【0035】
ところで、
図6に示すように、基端部20L,20Rは、カバーシート4におけるサイドフラップ部11L,11Rの縁ESから所定の長さL2(L2>L1)の位置P2まで延在している。このように、基端部20L,20Rは、第1の折り返し部25L,25Rよりも長くなっている。なお、
図6に示すテープ2L,2Rの構造では、基端部20L,20Rはサイドフラップ部11L,11Rの一部に延在しているものとなっているが、この構造に限定されない。例えば、基端部20L,20Rは、サイドフラップ部11L,11Rの全部、すなわちサイドフラップ部11L,11Rにおいてテープ2L,2R側の縁ESからトップシート7側の縁まで延在するものであってもよい。
【0036】
また、第2の折り返し部26L,26Rは、位置P1でテープ基部21L,21Rの突出方向に折り返されて、第1の折り返し部25L,25Rからサイドフラップ部11L,11Rの縁ESまで延在している。つまり、第2の折り返し部26L,26Rは、第1の折り返し部25L,25Rに重なっている。そして、第2の折り返し部26L,26Rは、サイドフラップ部11L,11Rの縁ESでテープ基部21L,21Rに続いている。
【0037】
次に、補助接続部24L,24Rについて説明する。補助接続部24L,24Rは、基端部20L,20R、折り畳み部23L,23R及びテープ基部21L,21Rを形成しているシート部材とは別の、プラスチックフィルム等の1枚のシート部材によって形成されている。補助接続部24L,24Rを形成しているシート部材は伸縮性を有している。
【0038】
補助接続部24L,24Rは、
図6に示すように、テープ基部21L,21Rの突出方向に、サイドシート8L,8Rにおけるサイドフラップ部11L,11Rの縁ESから所定の長さL3(L3>L1)の位置P3から、第2の折り返し部26L,26Rを越えて、テープ基部21L,21Rの一部まで延在している。そして、補助接続部24L,24Rは、接着剤でサイドシート8L,8R、第2の折り返し部26L,26R及びテープ基部21L,21Rに接合されている。これにより、サイドフラップ部11L,11Rとテープ基部21L,21Rとが接続されている。
【0039】
また、補助接続部24L,24Rのうちのサイドフラップ部11L,11R及び第2の折り返し部26L,26Rに接合された部分の長さはL3であり、補助接続部24L,2
4Rの当該部分は、基端部20L,20R(長さL2)よりも長くなっている。
【0040】
なお、テープ基部21L,21Rのうちの補助接続部24L,24Rとフック部22L,22Rとの間の部分は、補助接続部24L,24Rのうちのサイドフラップ部11L,11Rに接合された部分(長さL3―L1)とほぼ同じ長さになっている。そして、当該部分の肌面側の面には粘着剤が塗布されており、当該部分が粘着部となっている。このため、テープ基部21L,21Rを位置P1でおむつ1の幅方向の内側に折り返したときに、粘着部によってテープ基部21L,21Rの当該部分が補助接続部24L,24Rの当該部分に粘着される。これにより、テープ基部21L,21Rを補助接続部24L,24Rに仮止めすることができ、おむつ1を使用する前にフック部22L,22Rがサイドシート8L,8Rやトップシート7等に係合されるのを防止することができる。
【0041】
また、テープ基部21L,21Rのうちのフック部22L,22Rよりもおむつ1の幅方向の外側の先端部は、テープ2L,2Rをフロントパッチ2Fに貼着する際のつまみとして機能する部分となっている。
【0042】
続いて、
図7を用いて、折り畳み部23L,23R及び補助接続部24L,24Rの機能について説明する。
図7(A)は、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとの連結部分に通常の負荷がかかっている場合の実施形態のテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着された状態の一例を示す図であり、
図7(B)は、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとの連結部分に比較的強い負荷がかかっている場合の実施形態のテープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着された状態の一例を示す図である。なお、
図7(A),(B)では、サイドフラップ部11L,11R、テープ2L,2R、フロントパッチ2F及びその周辺を抜き出して図示している。
【0043】
着用者におむつ1を装着する際に、テープ2L,2Rのフック部22L,22Rがフロントパッチ2Fのループ部に係合されることにより、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着される。これにより、おむつ1の前身頃領域1Fと後身頃領域1Rが連結される。このとき、非肌面側からテープ2L,2Rを見た場合には、
図7(A)に示すように、テープ2L,2Rのうちの基端部20L,20R及びテープ基部21L,21Rが見えている。
【0044】
ここで、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rが、テープ2L,2Rによって余裕なく連結されている場合には、着用者の動きに伴い着用者の腹部が膨張したときに、膨張による負荷が前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとの連結部分に直接加わってしまう。しかし、本実施形態のテープ2L,2Rは、基端部20L,20Rとテープ基部21L,21Rとの間に介在する折り畳み部23L,23Rを有している。このため、膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場合には、折り畳み部23L,23Rのうちの第1の折り返し部24L,24Rがサイドフラップ部11L,11R(サイドシート8L,8R)から剥がれる。これにより、
図7(B)に示すように、折り畳まれていた折り畳み部23L,23R(第1の折り返し部24L,24R及び第2の折り返し部25L,25R)がおむつ1の幅方向の内側に引き出される。この結果、第1の折り返し部24L,24R及び第2の折り返し部25L,25Rの長さの分だけテープ2L,2Rに余裕が生じて、
図7(B)において矢印で示すようにサイドフラップ部11L,11Rがおむつ1の幅方向の外側に移動可能になる。これにより、当該連結部分にかかる負荷が緩和されるので、テープ2L,2Rとフロントパッチ2Fとの貼着部分を外れ難くすることができる。更に、後身頃領域1Rには着用者の動きが伝わり難くなるので、着用者の動きによる当該連結部分への影響を少なくすることができる。一方、前身頃領域1Fは着用者の動きに追随することが容易になるので、連結による着用者の動きの妨げを抑制することができる。
【0045】
また、テープ2L,2Rでは、基端部20L,20Rは第1の折り返し部25L,25Rよりも長くなっている。このように基端部20L,20Rが比較的長いことで、基端部20L,20Rとサイドフラップ部11L,11R(カバーシート4)との接合力を大きくすることができる。これにより、膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場合に、第1の折り返し部24L,24Rがサイドフラップ部11L,11Rから剥がれたとしても、基端部20L,20Rまでもサイドフラップ部11L,11Rから剥がれて、テープ2L,2Rとサイドフラップ部11L,11Rとの接続が外れてしまうのを回避することができる。
【0046】
更に、テープ2L,2Rは、サイドフラップ部11L,11Rとテープ基部21L,21Rとを接続する補助接続部24L,24Rを有している。このため、膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場合には、補助接続部24L,24Rが伸びることで、当該連結部分にかかる負荷の一部を吸収することができる。この結果、当該連結部分にかかる負荷がより一層緩和されて、テープ2L,2Rとフロントパッチ2Fとの貼着部分をより一層外れ難くすることができる。
【0047】
また、テープ2L,2Rでは、補助接続部24L,24Rのうちのサイドフラップ部11L,11R及び第2の折り返し部26L,26Rに接合された部分は基端部20L,20Rよりも長くなっている。このように補助接続部24L,24Rの当該部分が比較的長いことで、当該部分とサイドフラップ部11L,11Rとの接合力を大きくすることができる。これにより、補助接続部24L,24Rがサイドフラップ部11L,11Rから剥がれ難くなるので、膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場合に、より確実に補助接続部24L,24Rが伸びるようにすることができる。
【0048】
<テープ及びフロントパッチの別例>
以下、テープ及びフロントパッチの別例について説明する。なお、テープ及びフロントパッチ以外のおむつの構造については、前述したおむつ1の構造と同じなので、その説明を省略する。
【0049】
図8は、別例のテープをおむつ1の幅方向に沿って切断した場合の断面図である。また、
図9(A)は、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとの連結部分に通常の負荷がかかっている場合の別例のテープがフロントパッチに貼着された状態の一例を示す図であり、
図9(B)は、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rとの連結部分に比較的強い負荷がかかっている場合の別例のテープがフロントパッチに貼着された状態の一例を示す図である。なお、
図8では、サイドフラップ部11L,11Rをおむつ1の幅方向に沿って切断した場合の断面図を併せて示している。また、
図9(A),(B)では、サイドフラップ部11L,11R、テープ、フロントパッチ及びその周辺を抜き出して図示している。
【0050】
まず、テープについて説明する。
図8に示すように、別例のテープ30L,30Rは、基端部31L,31R、テープ基部32L,32R、折り畳み部33L,33R及び補助接続部34L,34Rを有している。テープ30L,30Rのうち、基端部31L,31R、テープ基部32L,32R及び折り畳み部33L,33Rと、補助接続部34L,34Rとは、それぞれプラスチックフィルム等の1枚のシート部材によって形成されている。補助接続部34L,34Rを形成しているシート部材は伸縮性を有している。
【0051】
基端部31L,31Rは、サイドフラップ部11L,11Rを構成するカバーシート4及びサイドシート8L,8Rのうち、肌面側のサイドシート8L,8Rに接着剤で接合されている。これにより、テープ30L,30Rは、サイドフラップ部11L,11Rに接続される。また、テープ基部32L,32R(本願でいう「突出部」の一例)は、サイドフラップ部11L,11Rの縁ESからおむつ1の幅方向の外側に突出している。
【0052】
折り畳み部33L,33Rは、基端部31L,31Rとテープ基部32L,32Rとの間に介在する部分であり、基端部31L,31Rに隣接する第1の折り返し部35L,35Rと、テープ基部32L,32Rに隣接する第2の折り返し部36L,36Rとを有する。
【0053】
第1の折り返し部35L,35Rは、サイドフラップ部11L,11Rの縁ESでテープ基部32L,32Rの突出方向と反対方向に折り返されて、基端部31L,31Rから、非肌面側のカバーシート4におけるサイドフラップ部11L,11Rの縁ESから所定の長さL4の位置P4まで延在している。そして、第1の折り返し部35L,35Rは、接着剤でカバーシート4に接合されている。
【0054】
また、第2の折り返し部36L,36Rは、位置P4でテープ基部32L,32Rの突出方向に折り返されて、第1の折り返し部35L,35Rからサイドフラップ部11L,11Rの縁ESまで延在している。つまり、第2の折り返し部36L,36Rは、第1の折り返し部35L,35Rに重なっている。そして、第2の折り返し部36L,36Rは、サイドフラップ部11L,11Rの縁ESでテープ基部32L,32Rに続いている。
【0055】
補助接続部34L,34Rは、テープ基部32L,32Rの突出方向に、カバーシート4におけるサイドフラップ部11L,11Rの縁ESから所定の長さL5(L5>L4)の位置P5から、第2の折り返し部36L,36R及びテープ基部32L,32Rを越えて延在している。そして、補助接続部34L,34Rは、接着剤でカバーシート4、第2の折り返し部36L,36R及びテープ基部32L,32Rに接合されている。これにより、サイドフラップ部11L,11Rとテープ基部32L,32Rとが接続されている。
【0056】
ところで、基端部31L,31Rは、サイドシート8L,8Rにおけるサイドフラップ部11L,11Rの縁ESから所定の長さL6(L6>L4)の位置P6まで延在している。このように、基端部31L,31Rは、第1の折り返し部35L,35Rよりも長くなっている。なお、
図8に示すテープ30L,30Rの構造では、基端部31L,31Rはサイドフラップ部11L,11Rの一部に延在しているものとなっているが、この構造に限定されない。例えば、基端部31L,31Rは、サイドフラップ部11L,11Rの全部、すなわちサイドフラップ部11L,11Rにおいてテープ30L,30R側の縁ESからトップシート7側の縁まで延在するものであってもよい。
【0057】
更に、基端部31L,31Rは、補助接続部34L,34Rのうちのサイドフラップ部11L,11R及び第2の折り返し部36L,36Rに接合された部分(長さL5)よりも長くなっている。
【0058】
補助接続部34L,34Rの先端部の肌面側の面には、プラスチックフィルム等のシート37L,37Rが接着剤で接合されている。シート37L,37Rを含む補助接続部34L,34Rの先端部は、テープ30L,30Rを、後述するフロントパッチ30Fに貼着する際のつまみとして機能する部分となっている。シート37L,37Rは、つまみとして着用者等に認識されやすいように着色されていることが望ましい。
【0059】
また、補助接続部34L,34Rのうちのテープ基部32L,32Rとシート37L,37Rとの間の部分の肌面側の面には粘着剤が塗布されており、当該部分が粘着部38L,38R(本願でいう「テープ」の「貼着部」の一例)となっている。粘着部38L,38Rは、
図9に示すフロントパッチ30F(本願でいう「被貼着部」の一例)に貼着可能である。フロントパッチ30Fは、ループ部を有するフロントパッチ2Fと異なりループ部を有しない表面が平坦なプラスチックフィルム等のシート部材から形成されている。粘
着部38L,38Rがフロントパッチ30Fに粘着されることによって、テープ30L,30Rがおむつ1の前身頃領域1Fに貼着される。
【0060】
なお、補助接続部34L,34Rのうち、シート部材37L,37Rが接合されている先端部と粘着部38L,38Rとを合わせた部分は、基端部31L,31R(長さL6)とほぼ同じ長さとなっている。このため、補助接続部34L,34Rをサイドフラップ部11L,11Rの縁ESでおむつ1の幅方向の内側に折り返したときに、粘着部38L,38Rが基端部31L,31Rに粘着される。これにより、補助接続部34L,34Rを基端部31L,31Rに仮止めすることができ、おむつ1を使用する前に粘着部38L,38Rがサイドシート8L,8Rやトップシート7等に貼着されるのを防止することができる。
【0061】
続いて、
図9を用いて、折り畳み部33L,33R及び補助接続部34L,34Rの機能について説明する。着用者におむつ1を装着する際に、テープ30L,30Rの粘着部38L,38Rがフロントパッチ30Fに粘着されることにより、テープ30L,30Rがフロントパッチ30Fに貼着される。これにより、おむつ1の前身頃領域1Fと後身頃領域1Rが連結される。このとき、非肌面側からテープ30L,30Rを見た場合には、
図9(A)に示すように、テープ30L,30Rのうちの補助接続部34L,34Rが見えている。
【0062】
前述したように、前身頃領域1Fと後身頃領域1Rが、テープ30L,30Rによって余裕なく連結されていることがある。しかし、別例のテープ30L,30Rは、基端部31L,31Rとテープ基部32L,32Rとの間に介在する折り畳み部33L,33Rを有している。このため、着用者の腹部の膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場合に、折り畳み部33L,33Rのうちの第1の折り返し部34L,34Rがサイドフラップ部11L,11R(カバーシート4)から剥がれる。これにより、
図9(B)に示すように、折り畳まれていた折り畳み部33L,33R(第1の折り返し部35L,35R及び第2の折り返し部36L,36R)がおむつ1の幅方向の内側に引き出される。この結果、第1の折り返し部35L,35R及び第2の折り返し部36L,36Rの長さの分だけテープ30L,30Rに余裕が生じて、
図9(B)において矢印で示すようにサイドフラップ部11L,11Rがおむつ1の幅方向の外側に移動可能になる。これにより、当該連結部分にかかる負荷が緩和されるので、テープ30L,30Rとフロントパッチ30Fとの貼着部分を外れ難くすることができる。更に、後身頃領域1Rには着用者の動きが伝わり難くなるので、着用者の動きによる当該連結部分への影響を少なくすることができる。一方、前身頃領域1Fは着用者の動きに追随することが容易になるので、連結による着用者の動きの妨げを抑制することができる。
【0063】
更に、テープ30L,30Rは、サイドフラップ部11L,11Rとテープ基部32L,32Rとを接続する補助接続部34L,34Rを有している。このため、膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場合には、補助接続部34L,34Rが伸びることで、当該連結部分にかかる負荷の一部を吸収することができる。この結果、当該連結部分にかかる負荷がより一層緩和されて、テープ30L,30Rとフロントパッチ30Fとの貼着部分をより一層外れ難くすることができる。
【0064】
また、テープ30L,30Rでは、基端部31L,31Rは、第1の折り返し部35L,35Rよりも長くなっており、また補助接続部34L,34Rのうちのサイドフラップ部11L,11R及び第2の折り返し部36L,36Rに接合された部分よりも長くなっている。このように基端部31L,31Rが比較的長いことで、基端部31L,31Rとサイドフラップ部11L,11R(サイドシート8L,8R)との接合力を大きくすることができる。これにより、膨張による負荷が当該連結部分に所定の大きさ以上加わった場
合に、第1の折り返し部35L,35Rがサイドフラップ部11L,11Rから剥がれたとしても、基端部31L,31Rまでもサイドフラップ部11L,11Rから剥がれて、テープ30L,30Rとサイドフラップ部11L,11Rとの接続が外れてしまうのを回避することができる。
【0065】
<その他の実施形態>
次に、その他の実施形態について説明する。上記実施形態及び別例に係るおむつ1では、サイドフラップ部11L,11Rが後身頃領域1Rに配置されており、サイドフラップ部11L,11Rに接続されたテープ2L,2R,30L,30Rが前身頃領域1Fに貼着された状態で着用者の胴回りに固定されていたが、着用者の胴回りの固定の形態はこれに限定されない。例えば、おむつ1は、サイドフラップ部11L,11Rが後身頃領域1Rに配置されており、サイドフラップ部11L,11Rに接続されたテープ2L,2R,30L,30Rが後身頃領域1Rに貼着された状態で着用者の胴回りに固定されてもよい。なお、この構成において、被貼着部が後身頃領域1R側に配置される。
【0066】
また、上記実施形態に係るおむつ1では、テープ2L,2Rのフック部22L,22Rがフロントパッチ2Fのループ部に係合されることにより、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されていたが、テープ2L,2Rとフロントパッチ2Fとの貼着の形態はこれに限定されない。例えば、テープ2L,2Rのフック部22L,22R及びフロントパッチ2Fのループ部を替えて、上記別例に係るおむつ1のように、テープ基部21L,21Rのうちのつまみとして機能する先端部以外の部分の肌面側に、粘着剤が塗布された粘着部が設けられると共に、ループ部を有しない表面が平坦なフロントパッチ2Fが用いられて、テープ2L,2Rの粘着部が当該フロントパッチ2Fに粘着されることにより、テープ2L,2Rがフロントパッチ2Fに貼着されてもよい。更に、上記別例に係るおむつ1では、テープ30L,30Rの粘着部38L,38Rが平坦な表面のフロントパッチ30Fに粘着されることにより、テープ30L,30Rがフロントパッチ30Fに貼着されていたが、テープ30L,30Rとフロントパッチ30Fとの貼着の形態はこれに限定されない。例えば、テープ30L,30Rの粘着部38L,38R及びフロントパッチ30Fの平坦な表面を替えて、上記実施形態に係るおむつ1のように、補助接続部34L,34Rのうちのテープ基部32L,32Rとシート37L,37Rとの間のシート37L,37R側の一部の肌面側の面にフック部が設けられると共に、ループ部を有するフロントパッチ30Fが用いられて、テープ30L,30Rのフック部がフロントパッチ30Fのループ部に係合されることにより、テープ30L,30Rがフロントパッチ30Fに貼着されてもよい。
【0067】
また、上記実施形態又は別例に係るおむつ1では、前身頃領域1Fにフロントパッチ2F,30Fが設けられているものとなっていたが、前身頃領域1Fにフロントパッチ2F,30Fが設けられずに、フック部22L,22R又は粘着部38L,38Rが前身頃領域1Fのカバーシート4の一部(本願でいう「吸収性物品」の「被貼着部」の一例)に係合又は粘着可能なものであってもよい。そして、フロントパッチ2F,30Fが設けられないおむつ1に対しては、フック部22L,22R又は粘着部38L,38Rをおむつ1のカバーシート4の一部に係合又は粘着させることにより、テープ2L,2R,30L,30Rをカバーシート4に貼着させる。
【符号の説明】
【0068】
1・・おむつ
1B・・股下領域
1F・・前身頃領域
1R・・後身頃領域
2F,30F・・フロントパッチ
2L,2R,30L,30R・・テープ
3BL,3BR・・立体ギャザー
3R・・ウェストギャザー
4・・カバーシート
4KL,4KR・・括れ
4C,4SL,4SR,8EL,8ER,9ER・・弾性部材
5・・バックシート
6C・・吸収体
7・・トップシート
8L,8R・・サイドシート
10L,10R・・脚周り領域
11L,11R・・サイドフラップ部
20L,20R,31L,31R・・基端部
21L,21R,32L,32R・・テープ基部
22L,22R・・フック部
23L,23R,33L,33R・・折り畳み部
24L,24R,34L,34R・・補助接着部
25L,25R,35L,35R・・第1の折り返し部
26L,26R,36L,36R・・第2の折り返し部
37L,37R・・シート
38L,38R・・粘着部