(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】品質改善支援装置及び品質改善支援システム
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241210BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20241210BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241210BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H05K13/04 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2021012888
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 弘之
(72)【発明者】
【氏名】佐事 敬太
(72)【発明者】
【氏名】田中 真由子
(72)【発明者】
【氏名】中島 克起
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-257700(JP,A)
【文献】国際公開第2012/032900(WO,A1)
【文献】特開2009-104523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
H05K 13/04
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造設備によって製造される製品の品質の改善を支援する品質改善支援装置において、
前記製造設備に含まれる製造部材又は部品であって、該製品の品質の改善の対象となる製造部材又は部品である改善対象を特定する特定情報と、
前記改善対象に関連して、前記製造設備に対する作業を指示する作業指示の状態を示す作業指示状態情報と、
前記製品の品質に関連する前記製造設備の状況を評価する指標である状況評価指標と、を関連付けた製造状況情報を、前記作業指示ごとに表示する表示部と、
前記製造設備に対する作業を
、前記作業指示に追加して指示する追加作業指示を受け付ける追加作業指示受付部と、
を備えたことを特徴とする品質改善支援装置。
【請求項2】
前記作業指示状態情報は、前記作業指示によって指示された作業が実施されたか否かを含むことを特徴とする請求項1に記載の品質改善支援装置。
【請求項3】
前記製造状況情報は、所定の期間内における前記状況評価指標及び作業指示状態情報を時系列で表した時系列状況情報を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の品質改善支援装置。
【請求項4】
前記表示部は、前記製造状況情報に含まれる前記特定情報によって特定される前記改善対象に関連して過去になされた前記作業指示の履歴情報を表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の品質改善支援装置。
【請求項5】
前記表示部に表示された複数の前記製造状況情報から、いずれかの該製造状況情報の指定を受け付け、指定された該製造状況情報に含まれる前記特定情報によって特定される改善対象に関連する前記履歴情報を前記表示部に表示させる履歴情報指定部を備えることを特徴とする請求項4に記載の品質改善支援装置。
【請求項6】
前記追加作業指示受付部は、前記履歴情報に含まれる過去になされた前記作業指示と同
じ作業指示を受け付けることを特徴とする請求項4又は5に記載の品質改善支援装置。
【請求項7】
前記追加作業指示受付部は、前記履歴情報に含まれる過去になされた前記作業指示とは異なる作業指示を受け付けることを特徴とする請求項4又は5に記載の品質改善支援装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の品質改善支援装置と、
前記追加作業指示を含む前記作業指示を受信する作業指示受信装置であって、
前記作業指示に関する前記作業指示状態情報を取得する作業指示状態情報取得部と、
取得した前記作業指示状態情報を送信する作業指示状態情報送信部と、
を備えた作業指示受信装置と、
を含み、
前記作業指示状態情報取得部によって取得された前記作業指示状態情報に基づいて、前記品質改善支援装置の前記表示部に表示される前記作業指示状態情報が更新されることを特徴とする品質改善支援システム。
【請求項9】
前記作業指示受信装置は、
受信した前記作業指示の内容を表示する指示内容表示部をさらに備え、
前記作業指示状態情報取得部は、該作業指示受信装置の使用者による前記作業指示状態情報の入力を受け付けることを特徴とする請求項8に記載の品質改善支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等を製造する製造設備における製品の品質改善を支援する品質改善支援装置及び品質改善支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント基板等を製造する製造装置において製品の品質改善を支援する品質改善支援装置において、製造装置で発生した異常に対処するために種々の態様で作業を指示する装置が提案されている。例えば、特許文献1には、異常に対処するための作業の内容に応じて当該作業を実施してよい作業者の権限レベルが設定されており、作業者のレベルに応じた作業を指示する装置が記載されている。また、特許文献2には、作業者になされた作業指示が実施されない場合には、作業指示を通知する対象者をより上位者まで拡大したり、指示する作業内容をより高度なものに変更したりするというように、通知対象者や作業内容をエスカレートさせる装置が記載されている。
【0003】
しかしながら、これらの品質改善支援装置においては、作業指示に対する作業者のフィードバックが、管理者におけるより適切な作業指示に十分反映されていなかった。
【0004】
このため、作業指示を含む管理者のサイクルと、同じく作業指示を含む現場の作業者のサイクルとが、品質を改善するためのサイクルとして適合的に機能していなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO2018/020556
【文献】WO2018/020594
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、管理者のサイクルと、作業者のサイクルとが、作業指示を契機として、製造設備における製品の品質の改善に向けて適合的に機能するような支援を実現できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明は、
製造設備によって製造される製品の品質の改善を支援する品質改善支援装置において、
前記製造設備に含まれる製造部材又は部品であって、該製品の品質の改善の対象となる製造部材又は部品である改善対象を特定する特定情報と、
前記改善対象に関連して、前記製造設備に対する作業を指示する作業指示の状態を示す作業指示状態情報と、
前記製品の品質に関連する前記製造設備の状況を評価する指標である状況評価指標と、を関連付けた製造状況情報を、前記作業指示ごとに表示する表示部と、
前記製造設備に対する作業を追加して指示する追加作業指示を受け付ける追加作業指示受付部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の品質管理支援装置は、製造設備に含まれる製造部材又は部品であって、該製品の品質の改善の対象となる製造部材又は部品である改善対象を特定する特定情報と、改善対象に関連して、製造設備に対する作業を指示する作業指示の状態を示す作業指示状態情
報と、製品の品質に関連する製造設備の状況を評価する指標である状況評価指標とを関連付けた製造状況情報を、作業指示ごとに表示する表示部を備える。この表示部によって、特定の改善対象に関連して指示された製造設備に対する作業指示の状態と、製品の品質に関連する製造設備の状況を把握することができる。本発明の品質管理支援装置は、さらに、製造設備に対する作業を追加して指示する追加作業指示を受け付ける追加作業指示受付部を備える。すなわち、本発明の品質管理装置によれば、製品の品質の改善の対象となる改善対象に関連してなされた作業指示について、その作業指示の状態と、製品の品質に関連する製造設備の状況を把握し、必要に応じて、製品の品質改善のために追加の作業を指示することができる。このように、製品の品質を改善するために製造設備を管理する管理者の側では、製品の品質改善のためになされた作業指示から、その作業指示の状態の把握を経て、追加の作業指示へと、作業指示を含む品質改善のためのサイクルを構築することができる。製品の品質改善のために特定の改善対象に関連してなされた製造設備に対する作業指示を受ける作業者の側でも、受けた作業指示の状態に応じて、追加の作業指示を受けるという形で、作業指示を含む品質改善のためのサイクルが構築される。すなわち、本発明の品質改善支援装置によれば、管理者のサイクルと、作業者のサイクルとが、作業指示を契機として、製造設備における製品の品質の改善に向けて適合的に機能するように支援を行うことができる。
ここでは、改善対象である製造部材は、製造設備に含まれる装置において実行されるプログラムを含んでもよい。また、製造設備に対する作業を実施するのは、人としての作業者であってもよいし、当該製造設備に含まれる装置であってもよいし、製造設備で実行するプログラムを管理するプログラム管理装置であってもよい。
また、追加作業受付部は、表示部と別に設けられる場合に限られず、表示部に表示されてもよい。さらに、追加作業受付部は、表示部の、製造状況情報を表示する画面に表示されてもよいし、製造状況情報を表示する画面から遷移した別の画面に表示されてもよい。
【0009】
また、本発明においては、
前記作業指示状態情報は、前記作業指示によって指示された作業が実施されたか否かを含むようにしてもよい。
【0010】
改善対象に関連して作業指示がなされても、種々の理由により、実施されない場合もあるが、指示された作業の実施の有無は、追加の作業指示の内容や要否を判断するうえでも有益な情報であり、作業指示状態情報として、このような情報が表示されることにより、管理者のサイクルと、作業者のサイクルとが、作業指示を契機として、製造設備における製品の品質の改善に向けてより適合的に機能するように支援を行うことができる。
【0011】
また、本発明においては、
前記製造状況情報は、所定の期間内における前記状況評価指標及び作業指示状態情報を時系列で表した時系列状況情報を含むようにしてもよい。
【0012】
このような時系列状況情報が表示されることにより、作業指示の状態が、製品の品質に関する製造設備の状況に与える影響を把握することができるので、追加の作業指示の内容や要否をより的確に判断できる。すなわち、管理者のサイクルと、作業者のサイクルとが、作業指示を契機として、製造設備における製品の品質の改善に向けてより適合的に機能するように支援を行うことができる。
【0013】
また、本発明においては、
前記表示部は、前記製造状況情報に含まれる前記特定情報によって特定される前記改善対象に関連して過去になされた前記作業指示の履歴情報を表示するようにしてもよい。
【0014】
このような作業指示の履歴情報が表示されることにより、表示部に、その作業状態情報
が表示されていた作業指示のみならず、改善対象に関連して過去になされた作業指示に関する情報を把握することができるので、当該作業指示に至るまでの経緯を踏まえて、追加の作業指示の内容や要否をより的確に判断できる。すなわち、管理者のサイクルと、作業者のサイクルとが、作業指示を契機として、製造設備における製品の品質の改善に向けてより適合的に機能するように支援を行うことができる。
【0015】
また、本発明においては、
前記表示部に表示された複数の前記製造状況情報から、いずれかの該製造状況情報の指定を受け付け、指定された該製造状況情報に含まれる前記特定情報によって特定される改善対象に関連する前記履歴情報を前記表示部に表示させる履歴情報指定部を備えるようにしてもよい。
【0016】
これによれば、表示部に表示された製造状況情報に含まれる、作業指示状態情報や、状況評価指標に基づき、必要に応じて履歴情報指定部により履歴情報を表示させることができるので、表示部の表示スペースを有効に活用することができる。
【0017】
また、本発明においては、
前記追加作業指示受付部は、前記履歴情報に含まれる過去になされた前記作業指示と同じ作業指示を受け付けるようにしてもよい。
【0018】
これによれば、履歴情報に含まれる過去に指示された作業を簡便に指示することができる。
【0019】
また、本発明においては、
前記追加作業指示受付部は、前記履歴情報に含まれる過去になされた前記作業指示とは異なる作業指示を受け付けるようにしてもよい。
【0020】
これによれば、状指示状態情報や、状況評価指標に基づいて、過去に指示されていなかった作業を指示することもできる。
【0021】
また、本発明は、
前記品質改善支援装置と、
前記追加作業指示を含む前記作業指示を受信する作業指示受信装置であって、
前記作業指示に関する前記作業指示状態情報を取得する作業指示状態情報取得部と、
取得した前記作業指示状態情報を送信する作業指示状態情報送信部と、
を備えた作業指示受信装置と、
を含み、
前記作業指示状態情報取得部によって取得された前記作業指示状態情報に基づいて、前記品質改善支援装置の前記表示部に表示される前記作業指示状態情報が更新されることを特徴とする品質改善支援システムである。
【0022】
本発明の品質改善支援システムによれば、作業指示受信装置によって取得された作業指示状態情報に基づいて、品質改善支援装置に表示される作業指示状態情報が更新されるので、製品の品質改善のために特定の改善対象に関連してなされた製造設備に対する作業指示を受ける作業者の側における、作業指示を含む品質改善のためのサイクルが作業指示受信装置を用いて構築される。
【0023】
また、本発明においては、
前記作業指示受信装置は、
受信した前記作業指示の内容を表示する指示内容表示部をさらに備え、
前記作業指示状態情報取得部は、該作業指示受信装置の使用者による前記作業指示状態情報の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0024】
これによれば、改善対象に関連して、指示された作業を製造設備に対して人である作業者が実施する場合に、作業者は、指示内容表示部によって作業指示の内容を把握し、作業指示受信装置の作業指示状態情報取得部を使用して、作業指示状態情報を入力することができる。このため、本発明の品質改善支援システムによれば、人である作業者の側において、作業指示を含む品質改善のためのサイクルを、作業指示受信装置を用いて構築することができる。作業指示状態情報を入力する使用者は、指示された作業を実施する作業者でもよいし、作業者でなくてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、管理者のサイクルと、作業者のサイクルとが、作業指示を契機として、製造設備における製品の品質の改善に向けて適合的に機能するような支援を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施例に係る製造設備の概略構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る管理装置の機能ブロック図である。
【
図3】本発明の実施例に係る管理者用端末の機能ブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係る作業者用端末、実装機・検査機及びプログラム管理サーバの機能ブロック図である。
【
図5】本発明の実施例に係るマウンタの構成を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施例に係る製造ログデータの一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施例に係るマウンタとの関係を明示した管理装置の機能ブロック図である。
【
図8】本発明の実施例に係る管理者用端末におけるライン状況データの表示画面例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例に係る作業指示のステータスを示すアイコンについて説明する図である。
【
図10】本発明の実施例に係る監視期間内エラー/生産変動検知状況を示すグラフである。
【
図11】本発明の実施例に係る管理者用端末における作業指示発行画面例を示す図である。
【
図12】本発明の実施例に係る作業者用端末における作業指示表示画面例を示す図である。
【
図13】本発明の適用例に係る管理装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図13は、本発明が適用される管理システム1を示す。管理システム1は、管理装置100と、これにネットワークを介して通信可能に接続された管理者用端末10及び作業者用端末20とを含む。プリント基板の表面実装ラインにおける製造設備は、管理装置100にネットワークを介して通信可能に接続されたマウンタX2及びマント後検査機Y2及びリフロー後検査機Y3,Y4を含む。製造設備は、
図1に示すように、印刷機X1、リフロー炉X3、印刷後検査機Y1を含む。後述するように、管理装置100は、これらの装置ともネットワークを介して接続して運用することも可能であるが、ここでは、
図13に示す構成における管理装置100について説明する。管理者用端末10は本発明の品質
改善支援装置に対応し、作業者用端末20は本発明の作業指示受信装置に対応する。本発明の品質改善支援システムは、管理システム1にも適用できるが、
図13に示す例では、本発明の品質改善支援システムは、少なくとも管理者用端末10と作業者用端末20を含んで構成される。
【0028】
管理装置100の実装情報・検査結果収集部111は、マウンタX2から実装情報、マウント後検査機Y2、リフロー後検査機Y3,Y4から検査結果を収集し、生産情報データベース(DB)112に記録する。ここでは、実装情報及び検査結果が本発明の設備状況情報に対応する。
【0029】
異常検知部113は、生産情報データベース112に記録された記録された情報に基づいて、プリント基板上の部品のいずれかにおける異常を検知する。そして、原因分析部114は異常検知部113によって検知された異常の原因を分析する。
【0030】
作業指示生成部115は、原因分析部114の分析によって判明した異常の原因に応じて、異常を解消するための作業指示を、作業指示ルール121に基づいて生成する。マウンタX2に関する作業指示としては、例えば、ノズルのメンテナンスや交換等があるが、これらに限られない。
【0031】
作業指示生成部115によって生成された作業指示は、異常の発生個所及び状況とともに管理データベース116に記録される。また、作業指示生成部115によって生成された作業指示は、作業指示送信部117を介し、作業者用端末20に送信される。
【0032】
作業者用端末20では、送信された作業指示情報に対する対応状況に関する作業情報を入力する。作業者用端末20に送信され指示された作業は、必ずしも実施されるわけではなく、実施されない場合もある。このため、指示された作業が実施された場合には、作業者用端末20に当該作業が実施済みであることを入力する。作業者用端末20に実施済みであることが入力されない場合には当該作業は未実施ということになる。すなわち、作業情報として、指示された作業が実施済みであるか否かを示す実施状況情報が、作業者用端末20から管理装置100の作業情報受信部122に送信される。ここでは、作業情報は本発明の作業状態情報に対応する。
【0033】
作業情報受信部122が受信した作業情報は、作業情報記録部123によって、作業内容に対応する異常発生個所に関連付けて管理データベース116に記録される。
【0034】
ライン状況データ生成部118では、作業指示生成部115において生成された作業指示と、管理データベース116に記録された情報に基づいて、ライン状況データを生成する。ライン状況データは、具体的には、管理者用端末10のライン状況データ表示部12に表示されるライン状況データ表示画面70(
図8参照)及び作業指示発行画面80(
図11参照)を構成するデータである。ライン状況データ表示画面70を構成するデータは、警告件数(うち作業実施済み件数を含む)701、最終更新日時702、監視期間703、警告一覧705を含む。警告一覧705は、複数の個別警告関連情報705a~705fを含み、各個別警告関連情報705a等は、作業指示のステータス706、異常発生個所を特定する情報(Device Type707、デバイスID708、ライン709等)、実不良画像710、エラー数711(実不良712、Recognition Error713、吸着エラー714の件数)、生産変動検知数715(不良予兆716の件数)、最終検知時刻717、監視期間内/生産変動検知状況718を含む。また、作業指示発行画面80を構成するデータは、警告の対象となったデバイスに関する、作業指示ごとの、その日時811、作業指示イベントの内容812、作業指示のステータス813、具体的な作業指示文言814、再通知を指示するための再通知ボタン816を含む作
業指示イベントの過去7日間の履歴情報である作業指示イベント履歴810等を含む。ここでは、ラインデータ表示部12は本発明の表示部に対応する。作業指示のステータス706は本発明の作業指示状態情報に対応する。Device Type707等の異常発生個所を特定する情報は、本発明の特定情報に対応する。また、実不良画像710、エラー数711(実不良712、Recognition Error713、吸着エラー714の件数)、生産変動検知数716(不良予兆716の件数)、監視期間内/生産変動検知状況718は、本発明の状況評価指標に対応する。そして、個別警告関連情報705a~705f、これらを含む警告一覧705は、本発明の製造状況情報に対応する。また、作業指示イベントの過去7日間の履歴情報である作業指示イベント履歴810は、本発明の履歴情報に対応する。
【0035】
このうち、作業指示のステータス706の項目に表示されたアイコン719は、
図9に示すように、「作業指示通知済み(現在表示中)」を示すアイコン719aや「改善作業実施済み」を示すアイコン719bのように、作業指示の種々の状態を示している。これらのアイコン719aが表示されたステータス706の項目の1行目に表示された詳細画面表示ボタン720を選択すると、
図11に示す作業指示発行画面80が表示される。ここでは、詳細画面表示ボタン720は本発明の履歴情報指定部に対応する。
【0036】
この作業指示発行画面80には、選択された1行目の作業指示の対象であるノズルに関する過去の作業指示の履歴である作業指示イベント履歴810が表示される。この作業指示イベント履歴810は、日時811、イベント内容812、ステータス813、作業指示814、再通知815の項目からなる。例えば、2020年9月1日8時10分に実不良多発を検知し、「該当ノズルを交換してください」との作業指示が通知され、現在表示中であることが、日時811、イベント内容812、ステータス813、作業指示814の項目に表示された情報から認識できる。そして、再通知815の項目には再通知ボタン816が表示されている。この再通知ボタン816を選択すると、作業指示イベント履歴810の4行目に表示された作業指示イベントと同じ内容の作業指示を再度通知することができる。ここでは、再通知ボタン816は本発明の追加作業指示受付部に対応する。
【0037】
さらに、作業指示発行画面80には、管理者が新規に発行する作業指示の内容をテキストで入力できる作業指示新規発行領域820が表示されている。また、作業指示新規発行領域820に入力した文言を変更する場合に選択される作業指示文言変更ボタン830と、作業指示新規発行領域820に入力した作業指示を発行する場合に選択される作業指示発行ボタン840が表示されている。管理者が、「該当ノズルのデバイスメンテナンスを実施してください」のような過去になされた作業指示を異なる文言に変更して、新たな作業指示を作成したい場合に作業指示新規発行領域820を使用して新たな作業指示を発行する。このような場合には、管理者は作業指示文言変更ボタン830を選択して新たな作業指示文言を作業指示新規発行領域820に入力する。ここでは、管理者は作業指示新規発行領域820に「該当ノズルを使用禁止にしてください」との新たな作業指示文言を入力している。新たな作業指示の内容は、発行しようとする作業指示を含む作業者用端末20における画面表示をイメージとして表示する作業指示イメージ領域850により確認できる。そして、管理者が、作業指示発行ボタン840を選択し、新たな作業指示を発行することがきる。ここでは、作業指示新規発行領域820、作業指示文言変更ボタン830及び作業指示発行ボタン840は、本発明の、過去になされた作業指示とは異なる作業指示を受け付ける追加作業指示受付部に対応する。
【0038】
図14は、上述の管理システム1に適用される本発明の特徴を示す模式図である。
図14の上側の実線の矢印によって接続されたサイクルは、製造設備によって製造される製品の品質改善工程における管理者側のサイクルの概略を示し、
図14の下側の破線の矢印によって接続されたサイクルは、同品質改善工程における作業者側のサイクルの概略を示す
。ここでは、作業者には、作業内容に応じて、人、実装機X1~X3、検査機Y1~Y4、プログラム管理サーバ40のいずれかが該当する。
図14に示すように、本発明は、中央の作業指示Sab1によって、管理者側のサイクルSab1~Sa2~Sa3~Sab1と、作業者側のサイクルSb0~Sab1~Sb2~Sb3(Sb0)~Sab1とを、作業指示Sab1を介して融合させることにより、品質改善サイクル自体を改善しながら、品質改善サイクルを回す機能の実現を支援している。
【0039】
すなわち、製造設備において異常が検知され(Sb0)、その原因が分析され、分析結果に基づき、作業者に対して作業指示がなされる(Sab1)。そして、作業者が指示された作業を実施(不実施も含む)し(Sb2)、作業の実施状況を記録する(Sb3)。一方、管理者側では、指示された作業の実施状況を確認し(Sa2)、それに応じて、過去になされた作業指示を再度発行(作業指示ルール変更を含む)(Sa3)することにより、作業指示(Sab1)に戻る。作業者側でも、作業記録(Sb3)に基づいて、さらに作業指示がなされる(Sab1)ことになる。ここでは、作業を指示する管理者は、人であってもよいし、上述の管理装置100を含む装置であってもよい。
【0040】
このようにして、作業指示(Sab1)を契機として、管理者側のサイクルと作業者側のサイクルSab1~Sa2~Sa3~Sab1と、作業者側のサイクルSb0~Sab1~Sb2~Sb3(Sb0)~Sab1とが融合して適合的に機能し、異常検知(Sb0)を端緒とする品質改善サイクルが、作業指示(Sab1)から、次の作業指示(Sab1)へと、品質改善サイクル自体を改善しながら回って行く。管理者側のサイクルと作業者側のサイクルが適合的に機能するとは、換言すれば、製造設備における異常への即時対応、さらには対応がうまくいかなかったときのリカバリーが可能となるということである。これによって、管理者等の高コスト人材の工数を削減することができるので、コストを削減でき、又は、より多くの品質維持改善活動を行うことができる。また、異常に対する即時対応を可能とすることにより、品質及び生産性の向上やロスの削減を実現できる。本発明に係る品質改善支援装置及び品質改善支援システムは、このような技術を提供するものである。
【0041】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例1に係る品質改善支援装置システムを含む管理システム1について、図面を用いて、より詳細に説明する。
(システム構成)
図1は、本実施例に係るプリント基板の表面実装ラインにおける製造設備の構成例を模式的に示している。表面実装(Surface Mount Technology:SMT)とはプリント基板の表面に電子部品をはんだ付けする技術であり、表面実装ラインは、主として、はんだ印刷~部品のマウント~リフロー(はんだの溶着)の三つの工程から構成される。
【0042】
図1に示すように、表面実装ラインでは、製造装置として、上流側から順に、はんだ印刷装置X1、マウンタX2、リフロー炉X3が設けられる。はんだ印刷装置X1は、スクリーン印刷によってプリント基板上の電極部(ランドと呼ばれる)にペースト状のはんだを印刷する装置である。マウンタX2は、基板に実装すべき電子部品をピックアップし、該当箇所のはんだペーストの上に部品を載置するための装置であり、チップマウンタとも呼ばれる。リフロー炉X3は、はんだペーストを加熱溶融した後、冷却を行い、電子部品を基板上にはんだ接合するための加熱装置である。基板に実装する電子部品の数や種類が多い場合には、表面実装ラインに複数台のマウンタX2が設けられることもある。
【0043】
また、表面実装ラインには、はんだ印刷~部品のマウント~リフローの各工程の出口で
基板の状態を検査し、不良あるいは不良のおそれを自動で検出するシステムが設置されている。当該システムは、良品と不良品の自動仕分けの他、検査結果やその分析結果に基づき各製造装置の動作にフィードバックする機能(例えば、実装プログラムの変更など)も有している。
【0044】
はんだ印刷検査装置Y1は、はんだ印刷装置X1から搬出された基板に対し、はんだペーストの印刷状態を検査するための装置である。はんだ印刷検査装置Y1では、基板上に印刷されたはんだペーストを2次元ないし3次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、例えば、はんだの体積・面積・高さ・位置ずれ・形状などがある。はんだペーストの2次元計測には、イメージセンサ(カメラ)などを用いることができ、3次元計測には、レーザ変位計や、位相シフト法、空間コード化法、光切断法などを利用することができる。
【0045】
部品検査装置Y2は、マウンタX2から搬出された基板に対し、電子部品の配置状態を検査するための装置である。部品検査装置Y2では、はんだペーストの上に載置された部品(部品本体、電極など部品の一部でもよい)を2次元ないし3次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、例えば、部品の位置ずれ、角度(回転)ずれ、欠品(部品が配置されていないこと)、部品違い(異なる部品が配置されていること)、極性違い(部品側と基板側の電極の極性が異なること)、表裏反転(部品が裏向きに配置されていること)、部品高さなどがある。はんだ印刷検査と同様、電子部品の2次元計測には、イメージセンサ(カメラ)などを用いることができ、3次元計測には、レーザ変位計や、位相シフト法、空間コード化法、光切断法などを利用することができる。
【0046】
外観検査装置Y3は、リフロー炉X3から搬出された基板に対し、はんだ付けの品質を検査するための装置である。外観検査装置Y3では、リフロー後のはんだ部分を2次元ないし3次元的に計測し、その計測結果から各種の検査項目について正常値(許容範囲)か否かの判定を行う。検査項目としては、部品検査と同じ項目に加え、はんだフィレット形状の良否なども含まれる。はんだの形状計測には、上述したレーザ変位計、位相シフト法、空間コード化法、光切断法などの他、いわゆるカラーハイライト方式(R、G、Bの照明を異なる入射角ではんだ面に当て、各色の反射光を天頂カメラで撮影することで、はんだの3次元形状を2次元の色相情報として検出する方法)を用いることができる。
【0047】
X線検査装置Y4は、X線像を用いて基板のはんだ付けの状態を検査するための装置である。例えば、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)などのパッケージ部品や多層基板の場合には、はんだ接合部が部品や基板の下に隠れているため、外観検査装置Y3では(つまり外観画像では)はんだの状態を検査することができない。X線検査装置Y4は、このような外観検査の弱点を補完するための装置である。X線検査装置Y4の検査項目としては、例えば、部品の位置ずれ、はんだ高さ、はんだ体積、はんだボール径、バックフィレットの長さ、はんだ接合の良否などがある。なお、X線像としては、X線透過画像を用いてもよいし、CT(Computed Tomography)画像を用いることも好ましい。
【0048】
(管理装置)
上述した製造装置X1~X3及び検査装置Y1~Y4は、ネットワーク(LAN)を介して管理装置100に接続されている。管理装置100は、製造装置X1~X3および検査装置Y1~Y4の管理や制御を担うシステムであり、図示しないが、CPU(プロセッサ)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスクなど)、入力装置(キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど)、表示装置などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成される。後述する管理装置100の機能は、補助記憶装置
に格納されたプログラムをCPUが読み込み実行することにより実現される。
【0049】
なお、管理装置100は、1台のコンピュータにより構成してもよいし、複数のコンピュータにより構成してもよい。あるいは、製造装置X1~X3や検査装置Y1~Y4のいずれかの装置が内蔵するコンピュータに、管理装置100の機能の全部又は一部を実装することも可能である。あるいは、管理装置100の機能の一部をネットワーク上のサーバ(クラウドサーバなど)により実現してもよい。
【0050】
管理装置100には、ネットワーク(LAN)を介して、管理者用端末10、作業者用端末20、プログラム管理サーバ40が接続される。また、プログラム管理サーバ40は、検査・実装プログラム50を管理するサーバである。検査・実装プログラム50は、実際には、製造装置X1~X3及び検査装置Y1~Y4をそれぞれ制御するプログラムであり、プログラム管理サーバ40の所定の記憶領域に記憶される一方で、必要に応じて製造装置X1~X3及び検査装置Y1~Y4のそれぞれにダウンロードされ、各装置の所定の記憶領域に記憶され、各装置において実行される。
【0051】
本実施形態の管理装置100は、製造設備の管理者が設備のメンテナンス及び品質管理を効率化的に行うための機能を実現するための機能部を有している。
図2に、管理装置100が有する機能部のブロック図を示す。
【0052】
図2に示すように、管理装置100は、実装情報・検査結果収集部111、生産情報データベース112、異常検知部113、原因分析部114、作業指示生成部115、管理データベース116、作業指示送信部117、ライン状況データ生成部118、追加作業指示発行部119、作業指示ルール編集部120、作業指示ルール121、作業情報受信部122、作業情報記録部123の各部を有している。
【0053】
実装情報・検査結果収集部111は、製造装置X1~X3で用いられる基板、はんだ、各種電子部品等の部品に関する情報やこれらの製造装置X1~X3を構成する各種の部材や機構に関する情報を含む実装情報と、検査装置Y1~Y4による検査結果とを収集する。検査結果としては、特に異常がある場合の情報を収集する。ここで、異常がある場合とは、検査装置Y1~Y4において不良と判定され、かつ、目視検査でも不良と判断された「実不良」だけでなく、検査装置Y1~Y4において不良と判定されたものの、目視検査としては「良品」と判断された、いわゆる「見過ぎ」の場合も含む。なお、当該異常の情報は、異常が発生した装置部材、部品に関する実装情報と紐づけがなされる。また、検査結果には、製造装置X1~X3の各工程において検出されるエラーの情報も含まれる。このようなエラーの情報も、エラーが発生した装置部材、部品に関する実装情報と紐づけがなされる。
【0054】
生産情報データベース112は、実装情報・検査結果収集部111によって収集された実装情報と検査結果が、同一基板、同一部品、同日時刻等に関して、互いに紐づけられて記録されたデータベースである。
【0055】
異常検知部113は、生産情報データベース112に記録された情報に基づいて、プリント基板上の部品のいずれかにおける異常を検知する。ここでは、例えば、実不良等の連続発生や発生率に基づいて異常の有無を検知する。
【0056】
原因分析部114は、異常検知部113によって検知された異常の原因を分析する。
【0057】
作業指示生成部115は、原因分析部114の分析によって判明した異常の原因に応じて、異常を解消するための作業指示を、作業指示ルール121に基づいて生成する。この
ような作業指示として、印刷機X1に対する作業指示として、例えば、マスククリーニング、はんだの補充、マスク位置の変更又は補正等が挙げられる。作業指示の内容については、これらに限られない。なお、マウンタに関連する作業指示の内容については、後述する。
【0058】
作業指示生成部115によって生成された作業指示は、異常の発生個所及び状況とともに管理データベース116に記録される。また、作業指示生成部115によって生成された作業指示は、作業指示送信部117を介し、その内容に応じて、作業者用端末20、実装機・検査機30又はプログラム管理サーバ40の少なくともいずれかに送信される。すなわち、作業指示が作業者に対する指示であれば作業者用端末20に送られ、装置のコントロールであれば実装機・検査機30に含まれる、対象となる装置に送られ、プログラムのパラメータの変更指示であればプログラム管理サーバ40に送られる。ここで、実装機・検査機30は、製造装置X1~X3及び検査装置Y1~Y4を総称するものであり、実際には、これらのうちの少なくともいずれかの装置に対して作業指示が送信される。作業指示は、作業指示生成部115が自動的に生成してもよいし、管理者による指示に基づいて生成してもよい。
【0059】
作業指示送信部117から、作業者用端末20、実装機・検査機30又はプログラム管理サーバ40に送信された作業指示に対する作業情報が、作業者用端末20、実装機・検査機30又はプログラム管理サーバ40のそれぞれから作業情報受信部122に送信される。
【0060】
作業指示送信部117から、作業者用端末20、実装機・検査機30又はプログラム管理サーバ40に送信され指示された作業が必ずしも実施されるわけではない。
例えば、作業者用端末20に作業指示を送信したものの、オペレータに時間がなく、作業指示を見ることができなかった場合がある。また、作業者用端末20において受信された作業指示をオペレータが認識していたものの、時間がなく、実施することができなかった場合がある。また、段取り替えにより生産機種が変わったり交換されたりして、作業者用端末20を介して指示された作業の対象がなくなっている場合がある。
実装機・検査機30に送信された作業指示に関しては、段取り替えにより生産機種が変わったり交換されたりして、指示された作業の対象がなくなっている場合がある。また、あるデバイスIDを使用停止にすると、代替品がなく生産が止まる、あるいは、生産ラインを止めたくないというような生産の都合上、指示された作業を実施できない場合がある。また、指示された作業が、実装機内の判定部によって却下される場合がある。
プログラム管理サーバ40に送信された作業指示に関しては、指示された作業の対象となる実装プログラムや部品ライブラリのバージョンが指示内容と一致しない場合がる。また、指示された作業の対象となる実装プログラムや部品ライブラリがロックされ変更不可となっている場合がある。また、指示された作業が、プログラム管理サーバ内の判定部に却下される場合がある。
【0061】
作業者用端末20、実装機・検査機30又はプログラム管理サーバ40のそれぞれから作業情報受信部122が受信した作業情報は、作業情報記録部123によって、作業内容に対応する異常発生個所に関連付けて管理データベース116に記録される。
【0062】
ライン状況データ生成部118では、作業指示生成部115において生成された作業指示と、管理データベース116に記録された情報に基づいて、ライン状況データを生成する。ライン状況データは、具体的には、管理者用端末10のライン状況データ表示部12に表示されるライン状況データ表示画面(
図8参照)及び作業指示発行画面(
図11参照)を構成するデータである。ライン状況データの内容の詳細については後述するが、ライン状況データは、ライン状況データ表示画面を構成するデータとして、警告件数(うち作
業実施済み件数を含む)701、最終更新日時702、監視期間703と、作業指示のステータス706、異常発生個所を特定する情報(Device Type、デバイスID、ライン等)、実不良画像、エラー数(実不良、Recognition Error、吸着エラーの各件数)、生産変動検知数(不良予兆件数)、最終検知時刻、監視期間内/生産変動検知状況とを含む。また、ライン状況データは、作業指示発行画面を構成するデータとして、警告の対象となったデバイスに関する、作業指示ごとの、その日時、作業指示イベントの内容、作業指示のステータス、具体的な作業指示文言、再通知を指示するためのボタンを含む作業指示イベント情報の過去7日間の履歴等を含む。
【0063】
ライン状況データ生成部118によって生成されたライン状況データは、管理者用端末10に送信されて表示される。管理者用端末10によって追加作業指示が選択された場合には、追加作業指示発行部119によって追加作業指示が発行され、作業指示生成部115によって追加の作業指示が生成される。この追加作業指示は、既に通知されたものと同一の作業指示と、管理者が新規に作成した作業指示とを含む。管理者用端末10によって作業指示ルールの変更が選択された場合には、作業指示ルール編集部120によって作業指示ルール121が編集される。追加作業指示は、追加作業指示発行部119が、管理者用端末10を介した管理者からの指示を受けて付けて発行してもよいし、追加作業指示発行部119が自動的には発行してもよい。
【0064】
(管理者用端末)
図3に示すように、管理者用端末10は、ライン状況データ受信部11、ライン状況データ表示部12、追加作業指示入力部13、追加作業指示送信部14を含む。管理者用端末10は、CPU(プロセッサ)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスクなど)、入力装置(キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど)、表示装置(ディスプレイ)などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成される。上述の管理者用端末10の各機能部は、補助記憶装置に格納されたプログラムをCPUが読み込み実行することにより実現される。
【0065】
ライン状況データ受信部11は、管理装置100のライン状況データ生成部118によって生成されたライン状況データを受信する。
【0066】
ライン状況データ表示部12は、ライン状況データ受信部11によって受信されたライン状況データを表示する。ライン状況データ表示部12は、具体的には、ディスプレイ等の表示装置によって構成されるが、タッチパネルディスプレイのように入力装置を兼ねてもよい。
【0067】
追加作業指示入力部13によって、既になされた作業指示に対して追加的になされる作業指示である追加作業指示が入力される。追加作業指示入力部13は、具体的には、表示装置に表示された情報に従い、追加作業が入力される入力装置によって構成されるが、タッチパネルディスプレイのように表示装置を兼ねてもよい。
【0068】
追加作業指示入力部13によって入力された追加作業指示は、追加作業指示送信部14から、管理装置100の追加作業指示発行部119に送信される。
【0069】
(作業者用端末)
ここでは、作業者用端末20を通じてオペレータに作業が指示され、オペレータが作業を実行する。
図4に示すように、作業者用端末20は、作業指示受信部21、作業指示表示部22、作業情報入力部23、作業情報送信部24を有する。作業者及び作業内容に応じて、作業者用端末20は、具体的には、検査プログラム作成端末、実装プログラム作成端末、メン
テナンス作業端末、ライン管理端末等の種々の装置に対応する。このような作業者用端末20はCPU(プロセッサ)、主記憶装置(メモリ)、補助記憶装置(ハードディスクなど)、入力装置(キーボード、マウス、コントローラ、タッチパネルなど)、表示装置などを具備する汎用的なコンピュータシステムにより構成されてもよいし、製造装置X1~X3や検査装置Y1~Y4のいずれかの装置が内蔵するコンピュータに、作業者用端末20の機能の全部又は一部を実装することも可能である。
【0070】
作業指示受信部21は、管理装置100の作業指示送信部117から送信された作業指示を受信する。
【0071】
作業指示表示部22は、作業指示受信部21によって受信された作業指示を表示する。作業指示表示部22は、具体的には、ディスプレイ等の表示装置によって構成されるが、タッチパネルディスプレイのように入力装置を兼ねてもよい。ここでは、作業指示表示部22は本発明の指示内容表示部に対応する。
【0072】
作業情報入力部23によって、作業指示に対応する作業情報が入力される。作業情報入力部23は、具体的には、表示装置に表示された作業指示に対応する作業情報が入力可能な入力装置によって構成されるが、タッチパネルディスプレイのように表示装置を兼ねてもよい。ここで、作業情報取得部23は本発明の作業指示状態情報取得部に対応する。作業情報は作業者用端末20を使用する使用者が入力するが、使用者は、作業者であるオペレータであってもよいし、オペレータとは別の者が作業者用端末20を使用して入力してもよい。
【0073】
作業情報入力部23によって入力された作業情報は、作業情報送信部24から、管理装置100の作業情報受信部122に送信される。ここでは、作業情報送信部24は本発明の作業状態情報送信部に対応する。
【0074】
(実装機・検査機)
ここでは、実装機・検査機30が指示された作業を自動で実行する。
図4に示すように、実装機・検査機30は、作業指示受信部31、作業実施部32、作業情報記録部33、作業情報送信部34を有する。上述のように、実装機・検査機30は、製造装置X1~X3及び検査装置Y1~Y4を総称するものであり、実際には、作業指示の内容に応じて、これらのうちの少なくともいずれかの装置に対応する。ここでは、実装機・検査機30は、本発明の作業指示受信装置に対応する。
【0075】
作業指示受信部31は、管理装置100の作業指示送信部117から送信された作業指示を受信する。
【0076】
作業実施部32は、作業指示受信部31によって受信された作業指示に基づいて、対象となる装置を構成する部材や機構に対して指示された作業を実施する。
【0077】
作業情報記録部33は、作業実施部32によって実施された作業に関する情報である作業情報を記録する。ここでは、作業情報記録部33は本発明の作業指示状態情報取得部に対応する。
【0078】
作業情報記録部33によって記録された作業情報は、作業情報送信部34から、管理装置100の作業情報受信部122に送信される。作業情報送信部34は本発明の作業指示状態情報送信部に対応する。
【0079】
(プログラム管理サーバ)
ここでは、プログラム管理サーバ40が指示された作業を自動で実行する。
図4に示すように、プログラム管理サーバ40は、作業指示受信部41、プログラム変更部42、作業情報記録部43、作業情報送信部44を有する。ここでは、プログラム管理サーバ40は本発明の作業指示受信装置に対応する。
【0080】
作業指示受信部41は、管理装置100の作業指示送信部117から送信された作業指示を受信する。
【0081】
プログラム変更部42は、作業指示受信部によって受信された作業指示に基づいて、検査・実装プログラム50を変更する。
【0082】
作業情報記録部43は、プログラム変更部42によるプログラムの変更状況に関する情報である作業情報を記録する。ここでは、作業情報記録部43は本発明の作業指示状態情報取得部に対応する。
【0083】
作業情報記録部43によって記録された作業情報は、作業情報送信部44から、管理装置100の作業情報受信部122に送信される。ここでは、作業情報送信部44は本発明の作業指示状態情報送信部に対応する。
【0084】
(マウンタ)
以下では、マウンタX2の例を用いて、管理装置100、管理者用端末10及び作業者用端末20の各機能部の動作を詳しく説明する。
【0085】
図5はマウンタX2の構成を模式的に示す図である。マウンタX2は、基板Bを載置するステージ60、電子部品Pを供給する複数のフィーダ61、電子部品Pをピックアップする可動式のヘッド62、ヘッド62に取り付けられた複数のノズル63、各ノズルのエア圧を制御する真空ポンプ64などを備えている。各列のフィーダ61には異なる品番の電子部品Pがセットされている。また、マウンタX2は、自機の動作の異常を検知するための観測系として、上カメラ65、下カメラ66、ノズル端面の接触圧を計測する接触センサ67、ノズルのエア圧を計測する圧力センサ68などを備えている。制御部69は、マウンタX2の各部の制御、演算、情報処理を担うブロックであり、CPU(プロセッサ)、メモリなどを備えている。また、情報を出力する出力装置を備えていてもよい。座標系については、基板面に平行にX軸とY軸をとり、基板面に垂直にZ軸をとる。
【0086】
ステージ60上に基板Bが搬入されると、制御部69が実装プログラムに従って各ノズル63を制御し、フィーダ61から必要な電子部品Pを吸着・搬送して、基板B上に順次配置していく。すべての電子部品Pの配置(実装)が完了すると、基板Bが下流工程(検査装置Y2)へと搬出される。また、基板Bの製造情報として、基板ID、各部品の部品品番、回路番号、各部品を処理した装置部材を示す情報(ノズルID、フィーダID)が対応付けられた製造時異常情報を含む製造ログ情報がマウンタX2のメモリ内に記録される。
【0087】
図6は、マウンタX2における製造ログ情報の一例である。各行が1つの部品に対する製造記録であり、基板ID、部品品番、回路番号、ノズルID、フィーダID、製造時異常情報(画像判定処理エラー数、部品未吸着エラー数)などの情報を含んでいる。製造ログ情報を参照することで、基板上の各部品がどの装置部材により製造されたかがわかる。
【0088】
図7は、マウンタX2に関連する構成を明示した管理装置100の機能ブロック図である。
図2に示した機能ブロック図と共通する機能ブロックについては共通の符号を用いて詳細な説明を省略する。ここでは、検査・実装プログラム50mは、検査・実装プログラ
ム50のうちマウンタX2に関係するプログラムを示す。
【0089】
実装情報・検査結果収集部111は、生産ラインで用いられる各種電子部品、基板、はんだなどの部品に関する情報、マウンタX2などの製造装置を構成する各種の部材や機構に関する情報、マウンタX2から上述の製造ログ情報(これに含まれる製造時異常情報)、部品検査装置Y2から、マウント後の基板に対する検査結果の情報(特に、実不良及び見過ぎの情報)等を収集する。これらの情報を収集するタイミングは任意であり、あらかじめ決められた時刻または頻度で情報を取得してもよいし、ユーザからの取得要求に応じて情報を取得してもよい。部品に関する情報は、例えば、部品が新規に生産ラインに導入される際、既存の部品品番の製造ロット違いの部品が生産ラインに投入される際、などに情報を収集することができる。各種の部材や機構に関する情報は、例えば、装置部材の交換、メンテナンスなどが行われた際、新規な装置部材が生産ラインに導入される際、などに情報を収集することができる。製造ログ情報は、例えば、マウンタX2において基板の実装が完了するたびにマウンタX2の制御部69が管理装置100に対し製造ログ情報を送信することができる。検査結果の情報は、例えば、部品検査装置Y2において基板の検査が完了するたびに収集することができる。
【0090】
異常検知部113は、実装情報・検査結果収集部111によって収集され生産情報データベース112に記録された情報から、部品製造時のエラー、検査時の不良等の異常を検知する。
【0091】
原因分析部は、異常検知部113によって検知された異常の原因を分析し、異常の原因と推定される装置部材、部品品番、プログラムのパラメータを抽出する。原因分析のタイミング及び方法は特に限定されないが、例えば、装置部材、部品品番ごとの異常の発生回数の正常値との比較、同種の異なる部材・品番間での異常発生数の比較、などに基づいて、所定の集計期間ごとに原因分析を行うことができる。
【0092】
作業指示生成部115は、原因分析部114によって分析された異常の原因と、異常の原因に応じて異常を解消するために予め規定された作業指示ルール121とに基づいて、作業指示を生成する。
作業指示の例としては、以下のようなものが挙げられる。すなわち、マウンタX2に対する作業指示としては、特定のノズルやフィーダの使用停止がある。また、プログラム管理サーバ40に対する作業指示としては、マウンタX2に関するものとして、実装座標の変更又は補正や、部品寸法又は許容範囲の変更、マウント後検査機Y2に関するものとして検査基準の変更がある。作業者用端末20を介した作業者への作業指示としては、ノズル、フィーダ、ヘッドの交換又はメンテナンスや、マウンタX2やマウント後検査機Y2において自動では実施できない作業がある。作業指示の内容はこれらに限定されない。
【0093】
作業指示生成部115において生成された作業指示と、管理データベース116に記録された情報に基づいて生成されたライン状況データは、ライン状況データ生成部118から管理者用端末10に送信され、ライン状況データ表示部12に表示される。
【0094】
(管理者用画面(ライン状況データ表示画面))
図8に、管理者用端末10のライン状況データ表示部12に表示されたライン状況データ表示画面70の例を示す。なお、
図8では、画面の表示と区別するために符号の引き出し線を破線で示している。
ライン状況データ表示画面70の上端左側領域には、「警告一覧(全6件 作業実施済み2件)」のように、表示内容を示すタイトル「警告一覧」と、警告の全件数(6件)と警告のうち作業が実施済みのものの件数(2件)を含むタイトル・件数701が表示される。このような表示により、警告の件数と、警告のうち作業が実施済みのものの件数を、
容易に把握することができる。また、タイトル・件数701の右側には「警告一覧」に表示されているデータの最終更新日時702が、2020年9月1日9時20分34秒と表示されている。また、「警告一覧」に表示されているデータの収集期間の始期(2020年8月31日17時)と終期(2020年9月1日9時)を含むデータ収集期間である監視期間703が表示されている。ここでは、「警告一覧」に表示されるデータの収集期間を自動的に更新するAuto Updateのチェックボックス704aにチェックが入れられており、データの収集期間が自動的に更新される設定となっている。データの収集期間の始期及び終期は、ユーザが指定することもできる。また、ユーザがUpdateボタン704bをクリック又はタッチして選択することにより、データの収集期間を手動で更新することもできる。ここでは、データ収集期間である監視期間703は本発明の所定の期間に対応する。
【0095】
ライン状況データ表示画面70には、表形式の警告一覧705が表示されている。警告一覧705では、それぞれの警告に関する情報が、個別警告関連情報705a~705fのように1行にまとめて表示されている。表のヘッダ行は、1行にまとめられた個別警告関連情報705a~705fを構成する各列の情報の項目名が表示される。ここでは、個別警告関連情報705a~705fのそれぞれには、ステータス706、Device Type707、デバイスID708、ライン709、実不良画像710、エラー数711である、実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714、生産変動検知数715である不良予兆716、最終検知時刻717、監視期間内/生産変動検知状況718の各情報が含まれる。
【0096】
ライン状況データ表示画面70のステータス706の項目には、各警告に対して作業指示がどのようなステータスであるかをアイコン719(ステータスを示すアイコン719a~eを総称してアイコン719と表記する)で表示したもので、この列にはステータスを示すアイコン719とともに、後述するような詳細画面を表示させるための詳細画面表示ボタン720も表示されている。
図9に、アイコン719と、当該アイコン719が示すステータスの内容及び状態と、このようなアイコン719が示すステータスに対して管理者がとるべきアクションを示す。
【0097】
図9に示す表の1行目のアイコン719aは、「作業指示通知済み(現在表示中)」を示し、これは、原因分析により推定された改善対象への最新の作業指示のステータスが未実施の状態であることを意味している。従って、このアイコン719aが表示されている場合に、管理者がとるべきアクションとしては、指示された作業が実施されるのを待つ、または作業者に実施指導を行うことが考えられる。
【0098】
図9に示す表の2行目のアイコン719bは、「改善作業実施済み」を示し、これは、改善対象への最新の作業指示のステータスが実施済みの状態であることを意味している。従って、このアイコン719bが表示されている場合に、管理者がとるべきアクションとしては、実施された作業の効果確認を行うことが考えられる。
【0099】
図9に示す表の3行目のアイコン719cは、「改善作業割当設定なし」を示し、これは、改善対象への指針の作業指示のステータスが作業指示割当なしの状態であることを意味する。従って、このアイコン719cが表示されている場合に管理者がとるべきアクションとしては、作業指示内容を検討し、作業者へ作業指示を行うことが考えられる。
【0100】
図9に示す表の4行目のアイコン719dは、「同日通知数超過(表示終了)」を示し、改善対象への最新の作業指示のステータスが同時通知数超過の状態であることを意味する。従って、このアイコン719dが表示されている場合に管理者がとるべきアクションとしては、指示された作業が未実施のまま表示が終了したので、同じ作業指示を再通知す
ることが考えられる。
【0101】
図9に示す表の5行目のアイコン719e(
図8には示されていないが他のアイコンとの区別のために符号を付す)は、「改善作業指示取得待ち」を示し、改善対象への最新の作業指示のステータスが取得要求待ちの状態であることを意味する。従って、このアイコン719eが表示されている場合に管理者がとるべきアクションとしては、作業指示を受信する側の作業者用端末20等にインストールされている作業指示アプリケーションが作業指示の通知を受け取る設定になっているか否かを確認することが考えられる。
【0102】
このように、ライン状況データ表示画面70の警告一覧705のステータス706の項目に表示されているアイコン719によって、管理者はとるべきアクションの有無を確認することができ、必要に応じて次のアクションを決定することができる。
【0103】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705のDevice Type707の項目には、改善対象である装置部材、部品の種別が表示される。マウンタX2であれば、Nozzle、Header、Feeder、Component Numberの種別名が表示される。これらの文字とともに、各種別を示すアイコンを表示してもよい。
【0104】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705のデバイスID708の項目には、改善対象である製造部材、部品を識別するデバイスIDが「NOZZLE200340」のように表示される。
【0105】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705のライン709の項目には、改善対象となっているライン名が「Line-1」、「Line-2」のように表示される。
【0106】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705の実不良画像710の項目には、実不良が発生している場合には、検査装置Y3において撮像された実不良となった改善対象の画像721が表示される。
【0107】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705のエラー数711の項目は、実不良712、Recognition Error713、吸着エラー714の3つの項目からなり、それぞれのエラー数が数字で表示される。さらに、各エラー数について、警告ごとの相対的な比率を視覚的に認識できるように、各エラー数の表示領域に、当該表示領域の左端からの幅によって相対的な比率を表現した棒グラフを重ねて表示している。図では、実不良件数棒グラフ722を黒色塗りつぶし、Recognition Error件数棒グラフ723を右上がりハッチング、吸着エラー件数棒グラフを724左上がりハッチングというように網掛けの表示態様で、各項目のエラー数を区別しているが、実際には、異なる色を付して区別することができる。また、後述の生産変動検知数を含め、0と、0以外の数字を異なる明度や色で表示することにより、エラーの有無をより明瞭に認識することができる。
【0108】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705の生産変動検知数715の項目には、不良予兆716の数が表示される。不良予兆の検知方法は特に限定されないが、例えば、連続所定枚数の基板の工程能力指数の平均値が、所定の閾値を下回ったときに不良予兆が発生したとして、その発生回数を不良予兆716の数とすることができる。ここでも、エラー数711と同様に、警告ごとの相対的な比率を視覚的に認識できるように、不良予兆数の表示領域に、当該表示領域の左端からの幅によって相対的な比率を表現した不良予兆件数棒グラフ725を重ねて表示している。この不良予兆件数棒グラフ725も、実不良件数棒グラフ722等とは異なる網掛けで表示しているが、実不良件数棒グラフ722等とは異なる色を付して区別することができる。生産変動検知数715として不良予兆71
6と異なる指標を用いてもよい。
【0109】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705の最終検知時刻717の項目には、警告一覧705に表示されているデータの収集期間の終期である最終検知時刻が「2020-09-01 08:10:24」のように表示される。
【0110】
ライン状況データ表示画面70の警告一覧705の監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目には、各警告について、監視期間を横軸にとり、縦軸にエラー/生産変動検知数をとり、監視時間内におけるエラー/生産変動検知数の変化を時系列で示すグラフが表示される。このグラフでは、実不良712、Recognition Error713、吸着エラー714、不良予兆716の各項目における棒グラフ722等の表示態様と同様の表示態様によって、それぞれの項目に対応するグラフを区別している。すなわち、監視時間内エラー/生産変動検知状況718のグラフにおいても、実不良件数を示す棒グラフは黒色の塗りつぶし、Recognition Error件数を示すグラフは右上がりハッチング、吸着エラー件数を示すグラフは左上がりハッチング、不良予兆件数を示すグラフは灰色の塗りつぶしによって表示している。監視時間内エラー/生産変動検知状況718のグラフには、これらの各項目を表すグラフに加えて、横軸に沿った帯状領域7283等(
図10参照)によって作業指示が通知されたこと及び通知された作業指示が実施されたことを表示している。すなわち、監視時間内エラー/生産変動検知状況の1行目、4行目、6行目のグラフには、横軸に沿って、作業指示が通知されたことを示す格子のハッチングの帯状領域7283が時系列に従って重ねて表示されている。また、監視時間内エラー/生産変動検知状況の2行目、3行目のグラフには、横軸に沿って、通知された作業指示が実施されたことを示すドットのハッチングの帯状領域7295(
図10参照)が時系列に従って重ねて表示されている。これらの帯状領域7283及び7295も、実際には互いに異なる色で表示することができる。ここでは、監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目に表示された、各警告について、監視期間を横軸にとり、縦軸にエラー/生産変動検知数をとり、監視時間内におけるエラー/生産変動検知数の変化を時系列で示すグラフ(後述のグラフ728、729等)は、本発明の時系列状況情報に対応する。
【0111】
ライン状況データ表示画面70の上部には、棒グラフ722等の表示態様と項目との対応関係、及び帯状領域7283等の表示態様と表示内容との対応関係を示す凡例726が表示される。
【0112】
また、ライン状況データ表示画面70の警告一覧705の右端にはスクロールバー727が表示され、ライン状況データ表示画面70の表示件数よりも警告の件数が多い場合には、スクロールバー727を操作することにより、ライン状況データ表示画面70に表示されていない個別警告関連情報を表示させることができる。
【0113】
警告一覧705の1行目の個別警告関連情報705aのステータス706の項目には、ステータスが作業指示通知済み(現在表示中)の状態であることを示すアイコン719aが表示されている。この行のDevice Type707の項目にはNozzle、デバイスID708の項目にはNOZZLE200340、ライン709の項目にはLine-2と表示されている。そして、エラー数711である実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の各項目には、それぞれ8、3、0が表示され、実不良712及びRecognition Error713の項目にはそれぞれの件数を示す棒グラフ722、723も表示されている。また、生産変動検知数715である不良予兆716の項目には、0が表示されている。そして、最終検知時刻717の項目には、「2020-09-01 08:10:24」が表示されている。監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目に表示されるグラフを拡大して
図10(A)に
示す。監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフ728は、ライン状況データの収集期間(監視期間)である2020年8月31日17時から2020年9月1日9時までのエラー数及び生産変動検知数を時系列で表示している。具体的には、時系列で、まず、Recognition Error7281が3件検知され、その後、実不良7282が2件、1件、1件、1件と検出されている。そして、この段階で作業指示が通知されたものの実施されておらず、その後、実不良が1件、2件と検出されている。
図10(A)に示すグラフでは、Recognition Error7281と実不良7282が異なる表示態様で表示されているので、管理者は、エラー数及び生産変動検知数を種別ごとに時系列で把握することができる。また、
図10(A)に示すグラフでは、作業指示のタイミングと、通知された作業指示が実施されていないことを、格子のハッチングで横軸に沿って表示された帯状領域7283によって認識できる。このように、管理者は、ライン状況データ表示画面70の監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目に表示されるグラフにより、時系列でのエラー及び生産変動の種別ごとの検知数と、作業指示の有無、作業指示がなされている場合には、そのタイミングと実施されているか否かを容易に認識することができる。
【0114】
警告一覧705の2行目の個別警告関連情報705bのステータス706の項目には、ステータスが改善作業実施済みの状態であることを示すアイコン719bが表示されている。この行のDevice Type707の項目にはFeeder、デバイスID708の項目にはFEEDER100100、ライン709の項目にはLine-2と表示されている。そして、エラー数711である実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の各項目には、それぞれ7、0、2が表示され、実不良712及び吸着エラー714の項目にはそれぞれの件数を示す棒グラフ722、724も表示されている。また、生産変動検知数715である不良予兆716の項目には、0が表示されている。そして、最終検知時刻717の項目には、「2020-09-01 06:39:18」が表示されている。監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目には、2020年8月31日17時から2020年9月1日9時までのエラー数及び生産変動検知数を時系列で表示する監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフが表示されている。この監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフでは、時系列で実不良が2件、吸着エラーが1件、3件と検知され、この3件の吸着エラーが検知された段階で作業指示が通知されて実施され、その後に2件の吸着エラーが検知されて以降は、エラー及び生産変動は検知されていないことが示されている。
【0115】
警告一覧705の3行目の個別警告関連情報705cのステータス706の項目には、ステータスが改善作業実施済みの状態であることを示すアイコン719bが表示されている。この行のDevice Type707の項目にはComponent Number、デバイスID708の項目にはCOMP500234、ライン709の項目にはLine-2と表示されている。そして、エラー数711である実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の各項目には、それぞれ6、1、2が表示され、実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の項目にはそれぞれの件数を示す棒グラフ722、723、724も表示されている。また、生産変動検知数715である不良予兆716の項目には、3が表示されるとともに、件数を示す不良予兆件数棒グラフ725も表示されている。そして、最終検知時刻717の項目には、「2020-09-01 02:27:51」が表示されている。監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目に表示されるグラフを拡大して
図10(B)に示す。この監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフ729には2020年8月31日17時から2020年9月1日9時までのエラー数及び生産変動検知数が時系列で表示されている。具体的には、時系列で、まず、Recognition Error7291が2件検知され、その後、不良予兆7292が1件、1件、1件と検出されている。そして、この段階で作業指示が通知され、実施されている。その後、吸着エラー729
3が1件、実不良7294が1件、1件、1件、2件、1件と検出されている。
図10(A)に示すグラフでは、Recognition Error7291と不良予兆7292と吸着エラー7293と実不良7294が異なる表示態様で表示されているので、管理者は、エラー数及び生産変動検知数を種別ごとに時系列で把握することができる。また、
図10(B)に示すグラフでは、作業指示のタイミングと、通知された作業指示が実施されていることを、ドットのハッチングで横軸に沿って表示された帯状領域7295によって認識できる。
【0116】
警告一覧705の4行目の個別警告関連情報705dのステータス706の項目には、ステータスが作業指示通知済み(現在表示中)の状態であることを示すアイコン719aが表示されている。この行のDevice Type707の項目にはNozzle、デバイスID708の項目にはNOZZLE830045、ライン709の項目にはLine-1と表示されている。そして、エラー数711である実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の各項目には、それぞれ3、1、0が表示され、実不良712及びRecognition Error713の項目にはそれぞれの件数を示す棒グラフ722、723も表示されている。また、生産変動検知数715である不良予兆716の項目には、0が表示されている。そして、最終検知時刻717の項目には、「2020-09-01 01:30:47」が表示されている。監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目には、2020年8月31日17時から2020年9月1日9時までのエラー数及び生産変動検知数を時系列で表示する監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフが表示されている。この監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフでは、時系列で実不良が3件検知され、この3件の実不良が検知された段階で作業指示が通知されたものの実施されていないが、その後に1件のRecognition
Errorのみが検知されていることが示されている。
【0117】
警告一覧705の5行目の個別警告関連情報705eのステータス706の項目には、ステータスが改善作業割り当てなしの状態であることを示すアイコン719cが表示されている。この行のDevice Type707の項目にはComponent Number、デバイスID708の項目にはCOMP121200、ライン709の項目にはLine-2と表示されている。そして、エラー数711である実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の各項目には、それぞれ3、0、0が表示され、実不良712の項目にはその件数を示す棒グラフ722も表示されている。また、生産変動検知数715である不良予兆716の項目には、0が表示されている。そして、最終検知時刻717の項目には、「2020-08-31 20:21:06」が表示されている。監視時間内エラー/生産変動検知状況718の項目には、2020年8月31日17時から2020年9月1日9時までのエラー数及び生産変動検知数を時系列で表示する監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフが表示されている。この監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフでは、時系列で実不良が3件検知されており、作業指示は通知されていないことが示されている。
【0118】
警告一覧705の6行目の個別警告関連情報705fのステータス706の項目には、ステータスが同時通知数超過(表示終了)の状態であることを示すアイコン719dが表示されている。この行のDevice Type707の項目にはFeeder、デバイスID708の項目にはFEEDER200730、ライン709の項目にはLine-2と表示されている。そして、エラー数711である実不良712、Recognition Error713及び吸着エラー714の各項目には、それぞれ0、0、23が表示され、吸着エラー714の項目にはその件数を示す棒グラフ724も表示されている。また、生産変動検知数715である不良予兆716の項目には、1が表示されるとともに、件数を示す不良予兆件数棒グラフ725も表示されている。そして、最終検知時刻717の項目には、「2020-08-31 23:03:53」が表示されている。監視時
間内エラー/生産変動検知状況718の項目には、2020年8月31日17時から2020年9月1日9時までのエラー数及び生産変動検知数を時系列で表示する監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフが表示されている。この監視時間内エラー/生産変動検知状況グラフでは、時系列で吸着エラーが1件、1件、3件と検知され、この3件の吸着エラーが検知された段階で作業指示が通知され、通知された作業指示が実施された後に、不良予兆が1件検知されたことが示されている。
【0119】
(管理者用画面(作業指示発行画面))
図11に、作業指示発行画面80の表示例を示す。この作業指示発行画面80は、
図8に示すライン状況データの表示画面のステータスの項目にアイコンととともに表示された詳細画面表示ボタン720を選択した場合に表示される画面である。なお、
図11では、画面の表示と区別するために符号の引き出し線を破線で示している。
【0120】
作業指示発行画面80の上部には、過去7日間の作業指示イベント履歴810が表形式で表示される。また、作業指示発行画面80の左下部には、管理者が新規に発行する作業指示の内容をテキストで入力できる作業指示新規発行領域820が設けられている。この作業指示新規発行領域820の下部には、作業指示新規発行領域820に入力した文言を変更する場合に選択される作業指示文言変更ボタン830と、作業指示新規発行領域820に入力した作業指示を発行する場合に選択される作業指示発行ボタン840が表示されている。また、作業指示発行画面80の右下部には、作業者用端末20に表示される作業指示のイメージが表示される作業指示イメージ領域850が設けられている。この作業指示イメージ領域850により、発行される作業指示の表示内容を管理者が確認することができる。ここでは、作業指示新規発行領域820、作業指示文言変更ボタン830及び作業指示発行ボタン840が追加作業指示入力部13を構成する。
【0121】
図11に示す作業指示イベント履歴810の詳細について説明する。
表形式の作業指示イベント履歴810は、日時811、イベント内容812、ステータス813、作業指示814、再通知815の5つの項目を含む。一つの作業指示イベントに1行が割り当てられている。日時811の項目には、イベントの発生した日時、イベント内容812の項目には発生したイベントの内容、ステータス813の項目には
図9で説明した作業指示のステータスを示すアイコン、作業指示814の項目には作業指示文言、再通知815の項目には再通知を行うための再通知ボタン816が表示される。ここでは、再通知ボタン816が追加作業指示入力部13を構成する。作業指示イベント履歴810は、上から下へと時系列に従って表示され、最下行に最新の履歴が表示される。
【0122】
具体的な作業指示イベント履歴810の表示例について説明する。この表示例は、
図8に示すライン状況データ表示画面70の警告一覧705の個別警告関連情報705aのステータス706の項目にアイコン719ととともに表示された詳細画面表示ボタン720を選択した場合に表示される作業指示発行画面である。
作業指示イベント履歴810の1行目には、日時811の項目に「2020/08/28 10:54」が表示され、イベント内容812の項目に「部品未吸着エラー多発を検知」したことが表示され、ステータス813の項目に「改善作業割当設定なし」を示すアイコン719cが表示され、作業指示814の項目には表示はなく、再通知815の項目には再通知ボタン816は表示されていない。
【0123】
作業指示イベント履歴810の2行目には、日時811の項目に「2020/08/29 23:07」が表示され、イベント内容812の項目に「手動作業通知操作を実施」したことが表示され、ステータス813の項目に「同時通知数超過(表示終了)」を示すアイコン719dが表示され、作業指示814の項目に「該当ノズルのデバイスメンテナ
ンスを実施してください」と表示され、再通知815の項目には再通知ボタン816が表示されている。
すなわち、管理者が2020/08/29 23:07に「該当ノズルのデバイスメンテナンスを実施してください」という内容の作業指示を発行する手動作業通知操作を行っているが、作業者において当該作業が実施されないまま作業者用端末20における表示が終了したステータスであることを認識できる。
【0124】
作業指示イベント履歴810の3行目には、日時811の項目に「2020/08/31 15:31」が表示され、イベント内容812の項目に「再通知操作を実施」したことが表示され、ステータス813の項目に「改善作業実施済み」を示すアイコン719bが表示され、作業指示814の項目には「該当ノズルのデバイスメンテナンスを実施してください」と表示され、再通知815の項目には再通知ボタン816は表示されていない。
【0125】
作業指示イベント履歴810の4行目には、日時811の項目に「2020/09/01 08:10」が表示され、イベント内容812の項目に「実不良多発を検知」したことが表示され、ステータス813の項目に「作業指示通知済み(現在表示中)」を示すアイコン719aが表示され、作業指示814の項目には「該当ノズルを交換してください」と表示され、再通知815の項目には再通知ボタン816が表示されている。
【0126】
次に、作業指示新規発行領域820について具体的に説明する。
作業指示イベント履歴810の4行目のイベントでは、上述のように、実不良多発を検知し、作業者用端末20に対して、「該当ノズルを交換してください」との作業指示が通知されているが、ステータス813に表示されたアイコン719aが示すように「作業指示通知済み(現在表示中)」というステータスとなっている。ここで、再通知815の項目に再通知ボタン816が表示されているので、この再通知ボタン816を選択することにより、「該当ノズルを交換してください」という作業指示を作業者用端末20に再度表示させて通知することもできるが、管理者が、このような予め準備されたデフォルトの作業指示文言を変更したい場合に作業指示新規発行領域820を使用して新たな作業指示を発行することもできる。このような場合には、管理者が作業指示文言変更ボタン830を選択すると、作業指示新規発行領域820のテキストボックスへの入力が可能となるので、管理者は新たな作業指示文言を作業指示新規発行領域820に入力する。ここでは、管理者は作業指示新規発行領域820に「該当ノズルを使用禁止にしてください」との新たな作業指示文言を入力している。そして、管理者が、作業指示発行ボタン840を選択することにより、「該当ノズルを使用禁止にしてください」という、デフォルトの作業指示文言を一時的に変更した作業指示を発行することがきる。
【0127】
また、作業指示イメージ領域850には、発行しようとする作業指示を含む作業者用端末20における画面表示がイメージとして表示される。ここでは、管理者が作業指示新規発行領域820に入力した「該当ノズルを使用禁止にしてください」との作業指示が作業者用端末20の画面表示のイメージの形で表示されるので、管理者は発行される作業指示の内容を確認することができる。
【0128】
作業指示発行画面80において、管理者が作業指示を再通知し、又は新規作業指示を発行すると、ライン状況データ表示画面70の警告一覧表示に戻る。
【0129】
このような、作業指示発行画面80によって、管理者は、作業指示の発行履歴、作業の実施状況を確認することができる。また、作業指示発行画面80によって、管理者は、未実施又は未読の作業指示の再通知を行うことができる。さらに、作業指示発行画面80によって、管理者は、作業指示文言を編集して、デフォルトの作業指示とは異なる新規作業
指示を発行することができる。
【0130】
(作業者用画面)
図12に、作業者用端末20の作業指示表示部22に表示された作業指示表示画面90の例を示す。なお、
図12では、画面の表示と区別するために符号の引き出し線を破線で示している。
これは、作業者が確認する端末である作業者用端末20に、ポップアップ通知された作業指示を表示する画面である。この作業指示表示画面90では、対象ラインごとに、対象作業種(部品品番やマウンタデバイス等)により通知する内容を変更する。当該作業者用端末20に対応する対象ライン及び作業種は、インストール時に設定したファイルをアプリ起動時に参照することにより取得する。
【0131】
作業指示表示画面90の最上部右端には、作業指示表示画面90を閉じるためのボタン901が表示され、その下方の中央部には「1/3」という通知件数902が表示される。通知件数902に表示される数字は、当該作業者用端末20に通知されている作業指示の全数(作業指示数)を分母とし、現在表示されている作業通知がそのうち何番目であるかを示す数字を分子としたものである。ここでは、通知されている3件の作業指示のうち1番目の作業指示が表示されていることを示している。これにより、作業者は実施工数を把握することができる。この通知件数902の左右には、複数の作業指示が通知されている場合に、他の作業指示の表示画面に移動するためのボタンであり、左端には、先頭の作業指示を表示させるための先頭表示ボタン903が表示され、その右側には、前の作業指示を表示させるための前表示ボタン904が表示されている。そして、通知件数902の右隣には、次の作業指示を表示させるための次表示ボタン905が表示され、右端には、最後の作業指示を表示させるための最後表示ボタン906が表示されている。ここでは、3件の作業指示のうち1番目の作業指示が表示されているので、より前の作業指示を表示させるための先頭表示ボタン903及び前表示ボタン904はインアクティブになっており、より後の作業指示を表示させるための次表示ボタン905及び最後表示ボタン906がアクティブとなっている。ここでは、作業者が、作業指示の全通知件数と、表示されている作業指示の順番を明瞭に認識できるように、通知件数902の背景を青色等の他の表示領域とは異なる色で表示してもよい、背景色に合わせて数字を白抜きで表示してもよい。また、先頭表示ボタン903、前表示ボタン904、次表示ボタン905、最後表示ボタン906のうちアクティブになっているボタンを赤色等で表示するようにしてもよい。このように通知件数902及びアクティブになっている先頭表示ボタン903等を異なる態様で表示することにより、他の順番の作業指示の存在と、当該他の作業表示を表示させるために必要な操作を、作業者が明確に認識することができる。
【0132】
そして、作業指示表示画面90の中央部上側には、「実不良多発」等の発生した異常の内容907と、「2020-09-01 09:11(2分前)」のように、当該作業指示の通知日時と通知日時からの経過時間とを含む通知タイミング情報908が表示される。通知タイミング情報908によって、作業者は、作業指示の通知時刻と現在までの経過時間を認識できるので、作業指示のリアルタイム性を把握できる。
【0133】
作業指示表示画面90の中央部下側に設けられた作業指示表示領域909には、「下記該当ノズルを交換してください」等の作業指示の文言が表示される。
【0134】
そして、作業指示表示画面90の下部の左側には、作業指示の対象を特定するための対象特定情報910が表示される。対象特定情報910として、具体的には、デバイスの種別を示すDevice Typeとして「Nozzle」、IDとして「NOZZLE02345」、デバイス名を示すDevice Nameとして「NOZZLETYPE01」、マウンタを特定するMounterとして「MOUNTER2-4」、ラインを示
すLineとして「Line-2」、モジュール番号を示すModule Numberとして「1」、ステージ番号を示すStage Numberとして「1」、ノズルピット番号を示すNozzle Pit Numberとして「1」が、それぞれ表示される。
【0135】
また、作業指示表示画面90の下部の右側には、実施状況登録部911が設けられている。実施状況登録部911はチェックボックス911aとテキストボックス911bを含む。実施状況登録部911のステータスは、未実施と実施済みの2タイプであり、実施済みテキストボックス911bをクリックまたはタッチすることにより有効化される。実施済みテキストボックス911bが有効化されると、チェックボックス911aにチェックマークが表示されるとともに、作業指示表示画面90に表示され指示された作業を作業者が実施したことを示す情報が、作業情報送信部24を通じて、管理装置100の作業情報受信部122に送信される。ここでは、実施状況登録部911が、作業情報入力部23を構成する。実施済みテキストボックス911bが有効化されないと、作業指示表示画面90に表示され指示された作業指示のステータスは未実施ということになる。
【0136】
また、作業者用端末20に通知された作業指示に、未実施の作業指示が含まれている場合には、強調表示をするためにウィンドウ枠912を赤く表示し、1秒間隔で明滅させる。これにより、作業者は未実施の作業指示が存在することを容易かつ明確に認識することができる。
【0137】
作業指示表示画面は、タッチパネルで操作できるようにするため、ボタン等のサイズは検査装置Y2等の仕様に適合させることが望ましい。
【0138】
マウンタに関する作業の場合には、作業者がマウンタX2から検査装置Y2の画面を確認することが想定されるので、未実施の作業がある場合には、視覚的にわかりやすくするために強調色を使うことが望ましい。
【0139】
また、画面に触れる等の画面を遷移させるための動作を必要とせず、作業者が一画面で作業の内容を把握できるように、スクロールなしで必要な情報を表示する。ただし、作業者が把握しやすいように、一度に表示する作業内容は1件に限定する。
【0140】
作業指示のリアルタイム性と、他の作業者用端末20でステータスが変更される場合を考慮して、作業者用端末20では10秒ごとに作業指示取得処理を行い、ステータスに変更がある場合には自動更新する。ただし、作業指示自体は入れ替えない。
【0141】
複数の作業指示が通知させている場合には、作業指示表示画面には優先度の高い順に作業指示を表示する。
【0142】
このような作業者用端末20における作業指示表示画面により、品質変動の多発に対する作業指示や、管理者用端末10を通じて管理者が(再)通知した警告に対応する作業指示を作業者に通知し、作業者が直ちに作業を実施することが可能となる。
また、作業者が、作業者用端末20における作業指示表示画面により、指示された作業が実施済みか否かを入力し、その情報が管理装置100に送信される。そして、管理装置100が、実施状況を含むライン状況データが生成し管理者用端末10に送信することにより、管理者は、管理者用端末10のライン状況データ表示画面により指示された作業の実施状況を確認することができる。
【0143】
上述のような、管理者用端末10及び作業者用端末20を少なくとも含む管理システム1により、
図14の模式図に示したように、作業指示(Sab1)を契機として、管理者
側のサイクルと作業者側のサイクルSab1~Sa2~Sa3~Sab1と、作業者側のサイクルSb0~Sab1~Sb2~Sb3(Sb0)~Sab1とを融合して適合的に機能させ、異常検知(Sb0)を端緒とする品質改善サイクルを、作業指示(Sab1)から、次の作業指示(Sab1)へと、品質改善サイクル自体を改善しながら回す機能の実現を支援することができる。
【0144】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
製造設備(X1~X3,Y1~Y4)によって製造される製品の品質の改善を支援する品質改善支援装置(10)において、
前記製造設備(X1~X3,Y1~Y4)に含まれる製造部材又は部品であって、該製品の品質の改善の対象となる製造部材(61、62、63)又は部品(P)である改善対象を特定する特定情報(707)と、
前記改善対象に関連して、前記製造設備(X1~X3,Y1~Y4)に対する作業を指示する作業指示の状態を示す作業指示状態情報(706)と、
前記製品の品質に関連する前記製造設備(X1~X3,Y1~Y4)の状況を評価する指標である状況評価指標(711、715)と、
を関連付けた製造状況情報(705、705a~705f)を、前記作業指示ごとに表示する表示部(12)と、
前記製造設備(X1~X3,Y1~Y4)に対する作業を追加して指示する追加作業指示を受け付ける追加作業指示受付部(816、820、830、840)と、
を備えたことを特徴とする品質改善支援装置(10)。
【符号の説明】
【0145】
10 :品質改善支援装置
61 :フィーダ
62 :ヘッド
63 :ノズル
705 :警告一覧
705a~705f :個別警告関連情報
706 :ステータス
707 : Device Type
708 :デバイスID
709 :ライン
711 :エラー数
715 :生産変動検知数
718 :監視期間内/生産変動検知状況
816 :再通知ボタン
820 :作業指示新規発行領域
830 :作業指示文言変更ボタン
840 :作業指示発行ボタン
X1~X3,Y1~Y4 :製造設備