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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20241210BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G03G21/16 161
G03G21/16 152
B41J29/00 T
G06F3/041 522
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021019644
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122423
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2024-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田村 嘉章
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-019846(JP,A)
【文献】特開2019-114140(JP,A)
【文献】特開2013-059986(JP,A)
【文献】特開2000-294943(JP,A)
【文献】特開2002-033168(JP,A)
【文献】特開平05-221085(JP,A)
【文献】特開昭54-129922(JP,A)
【文献】実開昭60-087500(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0098145(US,A1)
【文献】国際公開第2014/171344(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00-29/70
G03G 13/00
13/34-15/00
15/36
21/00-21/02
21/14-21/20
H05K 5/00-5/06
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷を行う印刷部と、
使用者によるタッチ操作を受け付ける静電タッチパネルと、
商用電源から電力の供給を受け、前記印刷部と前記静電タッチパネルに電力を供給する電源回路部と、
画像形成装置のグランドに接続され、前記静電タッチパネルを操作する使用者に触れられる接触部材と、
前記グランドに接続されたコネクターと、
を含み、
前記接触部材は、マットであり、導電性ケーブルを介して前記コネクターと接続され、
前記マットのうちの前記使用者に触れられる部分は導電性材料で形成され、
前記導電性ケーブルと前記マットの前記導電性材料は接続されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記コネクターは、オス型コネクター又はメス型コネクターであり、
前記コネクターが前記オス型コネクターのとき、前記導電性ケーブルの他端には、前記メス型コネクターが取り付けられ、
前記コネクターが前記メス型コネクターのとき、前記導電性ケーブルの他端は、前記オス型コネクターが取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の操作を受け付ける静電タッチパネルを含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、プリンター、コピー機のような画像形成装置がある。設定を受け付けるためのタッチパネルディスプレイを画像形成装置に設けることがある。タッチパネルディスプレイは、画面に設定用の画像(ボタン等)を表示する。タッチパネルの出力に基づき、操作された設定用の画像が認識される。近年では、静電容量式タッチパネルディスプレイが搭載される画像形成装置もある。
【0003】
特許文献1には、静電容量式タッチパネルディスプレイを備えた操作装置(画像形成装置)が記載されている。具体的に、操作位置を表すために表示されて操作内容が割り当てられた静電容量式の複数の操作キーと、操作キーの近傍に配置され表示されない静電容量式のダミーキーを備え、操作キー及びダミーキーが押下されているか否かを判定し、複数の操作キーから予め選定された2以上の特殊操作キーが何れも押下された場合、ダミーキーが押下されていなければ特殊操作キーそれぞれに割り当てられた操作内容と異なる特殊操作の入力指示であると判定し、ダミーキーが押下されていれば特殊操作の入力指示でないと判定する操作装置が記載されている。この操作装置は、操作意図を持たずに使用者が手のひらでパネルに触れ続け、複数の特殊操作キーが所定時間以上タッチされても、特殊モードに遷移しないようにしようとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-207559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静電容量式タッチパネルディスプレイには、様々な利点がある。例えば、透過率が高く、画面がきれいに見えるという利点がある。また、静電容量式タッチパネルディスプレイには、複数点のタッチの検知が可能なものや、ジェスチャー操作を認識できるものもある。これらの利点から、静電容量式タッチパネルディスプレイを搭載する画像形成装置が増えつつある。
【0006】
静電容量の変化に基づき、静電容量式タッチパネルディスプレイは、タッチ位置を認識する。静電容量式タッチパネルディスプレイには、透明電極が設けられる。静電容量式タッチパネルディスプレイに指を近づけると、指と電極間に容量結合が生ずる。電極の電圧(電流)のレベルやその変化を監視して、静電容量の変化とタッチ位置が認識される。
【0007】
電極の電圧(電流)のレベルやその変化に基づく認識を行うので、静電容量式タッチパネルディスプレイは電気的なノイズの影響を受けやすい傾向がある。ノイズの影響を受けて、静電容量式タッチパネルディスプレイに問題が生ずる場合がある。具体的には、タッチの不検知(無反応)の異常が生ずることがある。また、タッチ位置の誤検知が生ずることがある。
【0008】
そして、同じ建物内の機器がノイズ発生源となることがある。具体的に、工作機械、空調機、冷蔵庫のような機器がノイズ発生源となることがある。これらの機器は、建物の配電用の配線(AC電源ライン)を介して、静電容量式タッチパネルディスプレイに影響を与え、動作不良を引き起こす場合がある。例えば、同じ建物内の機器の電流が、建物(配電用配線)の基準電位(グランドの電位)を揺らす。揺れる画像形成装置の基準電位と、使用者の基準電位と、の差が、静電容量式タッチパネルディスプレイの異常、誤検知の要因の1つとなる場合がある。
【0009】
画像形成装置をアースすれば(接地すれば)、使用者と画像形成装置の基準電位が等しくなる、又は、ほぼ等しくなる。異常、誤検知の要因である基準電位との差がなくなる。しかし、画像形成装置をアースするには大がかりな工事が必要な場合がある。アースしなくても(画像形成装置をコンセントに接続すれば)、画像形成装置は、基本的に問題なく動作する。画像形成装置をアースに接続しない使用者も多い。しかし、画像形成装置をアースしないことによって、静電容量式タッチパネルディスプレイの異常、誤検知は生じやすくなる。アースしていなくても、静電容量式タッチパネルディスプレイの異常、誤検知が生じないようにすべきという問題がある。
【0010】
同じ建物内の機器が発する電気的なノイズに対処する手法の記述は、特許文献1にはない。従って、特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決できない。
【0011】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、画像形成装置がアースされていなくても、静電タッチパネルディスプレイの異常、誤検知が生じないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題解決のため、本発明に係る画像形成装置は、印刷部、静電タッチパネル、電源回路部、及び、接触部材を含む。前記印刷部は印刷を行う。前記静電タッチパネルは、使用者によるタッチ操作を受け付ける。前記電源回路部は、商用電源から電力の供給を受ける。前記電源回路部は、前記印刷部と前記静電タッチパネルに電力を供給する。前記接触部材は、画像形成装置のグランドに接続される。前記接触部材は、前記静電タッチパネルを操作する使用者に触れられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成装置がアースされていなくても、静電タッチパネルディスプレイの動作不良、異常動作を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る電源回路部の一例を示す図である。
図3】実施形態に係る静電タッチパネルの一例を示す図である。
図4】実施形態に係る複合機の基準電位の一例を示す図である。
図5】実施形態に係る接触部材の一例を示す図である。
図6】実施形態に係る接触部材の接続の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図1図6を用いて説明する。以下の説明では、画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。但し、各実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0016】
(複合機100の概要)
まず、図1を用いて、実施形態に係る複合機100の概要を説明する。図1は、実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0017】
複合機100は、制御部1、記憶部2、原稿読取部3、操作パネル4、印刷部5、電源回路部6を含む。制御部1は複合機100の動作を制御する。制御部1はジョブ(コピーや送信)での複合機100の各部の動作を制御する。制御部1は制御回路11、画像データ生成回路12、画像処理回路13、通信回路部14を含む基板(メイン制御基板)である。制御回路11はジョブに関する処理、演算を行う。画像データ生成回路12はA/D変換回路を含む。画像データ生成回路12は、原稿読取部3が原稿を読み取って出力したアナログ画像信号を処理し、原稿画像データを生成する。画像処理回路13は画像処理用の集積回路(例えば、ASIC)である。画像処理回路13は原稿画像データの画像処理を行う。
【0018】
通信回路部14は通信制御回路と通信用メモリーを含む。通信用メモリーは通信用ソフトウェアを記憶する。通信用ソフトウェアに基づき、通信制御回路11は通信を制御する。通信回路部14はコンピューター200と通信する。例えば、コンピューター200はPCやサーバーである。通信回路部14はコンピューター200からの印刷用データを受信する。受信した印刷用データに基づき、制御部1は印刷部5に印刷させる(プリントジョブ)。また、操作パネル4は宛先の設定を受け付ける。設定された宛先に向けて、制御部1は原稿画像データに基づく送信用ファイルを通信回路部14に送信させる(スキャン送信ジョブ)。
【0019】
複合機100は、記憶部2として、RAM、ROM、ストレージを含む。例えば、ストレージはHDDとSSDの何れか一方、又は、両方である。記憶部2に記憶されたプログラムやデータに基づき、制御部1は各部を制御する。原稿読取部3は光源、イメージセンサーを含む。原稿読取部3は原稿を読み取り、アナログ画像信号を出力する。
【0020】
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は表示パネル41、静電タッチパネル42、ハードキー43を含む。表示パネル41の上面(表示面)に静電タッチパネル42が設けられる。制御部1はメッセージ、設定用画面、操作用画像を表示パネル41に表示させる。例えば、操作用画像はボタン、キー、タブである。例えば、静電タッチパネル42は投影型の静電容量方式のタッチパネルである。静電タッチパネル42はマルチタッチを検知できる。認識したタッチ位置に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキーやテンキーを含む。静電タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブ関連操作)を受け付ける。例えば、実行するジョブの種類や、ジョブの設定値の設定を受け付ける。操作パネル4の出力に基づき、制御部1は設定内容を認識する。
【0021】
複合機100は印刷部5を含む。印刷部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dを含む。例えば、給紙部5aは、用紙をセットする用紙カセット、用紙を送り出す給紙ローラーを含む。印刷時、制御部1は、給紙部5aに用紙を供給させる。用紙搬送部5bは、例えば、モーター、搬送ローラー対を含む。制御部1は、給紙部5aから送り出された用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。例えば、画像形成部5cは、感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写ローラーを含む。制御部1は、感光体ドラムを帯電させ、画像データに基づき感光体ドラムを露光させる。また、制御部1は、感光体ドラムの静電潜像をトナーで現像させる。また、制御部1は、トナー像を用紙に転写させる。例えば、定着部5dは、ヒーター、定着用ローラーを含む。制御部1は、トナー像が転写された用紙を定着部5dに加熱・加圧させる。制御部1は、トナー像の定着を定着部5dに行わせる。
【0022】
(電源回路部6)
次に、図2を用いて、実施形態に係る電源回路部6の一例を説明する。図2は、実施形態に係る電源回路部6の一例を示す図である。
【0023】
複合機100は電源回路部6(電源基板)を含む。電源回路部6は、電源制御回路60、1次電源部61、2次電源部62を含む。
【0024】
1次電源部61には電源コード300(電源ケーブル)が接続される。これにより、1次電源部61は商用電源400(交流電源)と接続される。具体的に、商用電源400からの電力は、建物の屋内配線により分配される。分配用の各配線にコンセントが設けられる。このコンセントに、電源コード300のプラグが差し込まれる。これにより、商用電源400からの電力が1次電源部61に入力される。
【0025】
1次電源部61は、例えば、トランスを含むスイッチング電源である。1次電源部61は、商用電源400(交流電圧)から直流電圧を生成する。電源コード300と商用電源400(交流電源)が接続されているとき、1次電源部61は動作する。1次電源部61は、予め設定された電圧を生成、出力する(例えば、DC24V)。
【0026】
制御部1、記憶部2、原稿読取部3、操作パネル4、印刷部5を動作させるには、複数種の電圧が必要である。そこで、1次電源部61の生成電圧に基づき、2次電源部62は、複数種の直流電圧を生成する。複数種の電圧生成のため、2次電源部62は、複数の電力変換回路63を含む。例えば、電力変換回路63は、DCDCコンバーターやレギュレーターである。各電力変換回路63は予め設定された大きさの電圧を出力する。2次電源部62の生成電圧が、複合機100の各部に供給される。例えば、2次電源部62の生成電圧は、制御部1、記憶部2、原稿読取部3、操作パネル4(静電タッチパネル42を含む)、印刷部5に供給される。
【0027】
電源制御回路60は、1次電源部61、2次電源部62の動作を制御する。複合機100の主電源スイッチ101がON状態のとき、電源制御回路60は、2次電源部62を動作させる。主電源スイッチ101がOFF状態のとき、電源制御回路60は、2次電源部62を停止させる。
【0028】
(静電タッチパネル42)
次に、図3を用いて、実施形態に係る静電タッチパネル42の一例を説明する。図3は、実施形態に係る静電タッチパネル42の一例を示す図である。
【0029】
操作パネル4は、静電タッチパネル42を含む。静電タッチパネル42は、静電容量方式のタッチパネルである。静電タッチパネル42は、表示パネル41の表示面に取り付けられる。静電タッチパネル42は、マトリクス状に配された電極を含む。電極は透明である。静電タッチパネル42は、X方向(図3の縦方向)でひし形状(方形状)の導電膜つなげた電極を複数含む(以下、X電極と称する)。図3では、X1~Xnの符号を付している。また、静電タッチパネル42は、Y方向(図3の横方向)でひし形状(方形状)の導電膜つなげた電極も複数含む(以下、Y電極と称する)。図3では、Y1~Ynの符号を付している。X電極の本数と、Y電極の本数とに基づき、静電タッチパネル42の分解能が決まる。
【0030】
それぞれの電極は、タッチパネルコントローラー42aと接続される。使用者がタッチした場合、電極と使用者の静電容量が結合する。使用者がタッチしたり指を近づけたりしているときと、タッチしていないときとでは、電極の静電容量が異なる。
【0031】
例えば、タッチパネルコントローラー42aは、X電極とY電極のうちの一方の電極の1つに電圧を印加する。タッチパネルコントローラー42aは、一方の電極のうち、電圧を印加する電極を順番に切り替える。また、タッチパネルコントローラー42aは、他方の電極(電圧を印加していない電極)のそれぞれの電圧を読み取って、非タッチ時の静電容量から静電容量が変化した電極を認識する。タッチパネルコントローラー42aは、電圧を印加した電極が何番目の電極であるか、及び、静電容量が変化した電極が何番目の電極であるかに基づき、タッチ位置(タッチ座標)を定め、認識する。タッチパネルコントローラー42aは、認識した座標を制御部1に通知する。
【0032】
なお、静電タッチパネル42は、他の手法を用いて、タッチ位置(タッチ座標)を認識してもよい。例えば、タッチパネルコントローラー42aは、各電極の電荷の充電速度を測って、タッチ位置(タッチ座標)を認識してもよい。また、静電タッチパネル42は、投影式ではなく、他の形式の静電容量型タッチパネルでもよい。
【0033】
(複合機100の基準電位)
次に、図4を用いて、実施形態に係る複合機100の基準電位の一例を説明する。図4は、実施形態に係る複合機100の基準電位の一例を示す図である。
【0034】
本説明において、複合機100の基準電位とは、複合機100の基準となる電位であり、複合機100のグランドの電位を意味する。
【0035】
まず、一般に、建物には、商用電源400(架線、電力会社から供給される電力)を引き込むための電線が接続される。例えば、引き込み用の電線は、建物の分電盤(配電盤)に接続される。分電盤から分岐された配電用の電線が、それぞれの建物内に設けられたコンセントと接続される。このコンセントに、複合機100の電源コード300が挿される。これにより、商用電源400(交流電源)からの交流電力が複合機100に入力(供給)される。
【0036】
例えば、複合機100の各基板のグランドは、複合機100のフレーム100fに接続される。フレーム100fは導電性である。例えば、フレーム100fは鉄製である。フレーム100fは複合機100の骨格である。複合機100の部材はフレーム100f又はフレーム100fに取り付けられた支持部材(鉄板)に取り付けられる。静電タッチパネル42を含む操作パネル4の基板(パネル基板)も、複合機100のフレーム100fに接続してもよい。複合機100のフレーム100fは、例えば、コンセントのニュートラルに接続される。複合機100では、導電性フレーム100f(筐体)が回路動作の基準の電位である(フレームグランド)。
【0037】
そして、複合機100が設置された建物と同じ建物内に、工作機械500、空調機器600、冷蔵庫700のような機器が設けられることがある。これらの機器も、コンセントから電力の供給を受けて動作する。これらの機器のグランドと複合機100のグランドが繋がっている場合がある。図4は、各機器と複合機100のグランドが共通である例を示している。
【0038】
各機器の電流が大きく変化したり、いずれかの機器で大きなノイズが発生したりすると、交流用(配電用)の電線を介して、複合機100のグランドの電位が影響を受ける。つまり、複合機100のグランドの電位が揺れる。つまり、複合機100、パネル基板、静電タッチパネル42のグランドの電位が揺れる。
【0039】
一方、静電タッチパネル42の操作者(使用者)は、床や地面に接している。そのため、使用者の基準電位は、アースと同じまたはほぼ同じである。使用者の基準電位は複合機100のようには揺れない。
【0040】
小さな電気信号のレベル変化に基づき、静電タッチパネル42でのタッチ位置が検知される。静電タッチパネル42は電気的なノイズに比較的弱い傾向がある。例えば、複合機100のグランドの電位が揺れ、機器で生じたノイズが複合機100に到達したりすると、静電タッチパネル42の動作に不良が生ずることがある。例えば、タッチが認識されない異常(無反応の異常)や、タッチ位置の誤検知が生ずることがある。静電タッチパネル42の基準電位(グランドの電位)と使用者の基準電位の差が動作異常、誤検知の要因である。
【0041】
静電タッチパネル42(複合機100)の基準電位(グランドの電位)と、使用者の基準電位と、を同じにすれば、異常、誤検知をなくせることが経験的にわかっている。複合機100及び静電タッチパネル42の基準電位と使用者の基準電位を同じレベルにするには、複合機100や建物内の機器をアースすればよい(接地)。しかし、一般に、アースのための電気工事には、手間と費用が必要である。建物によっては、アース工事がおおがかりとなることがある。実際には、アースしないで複合機100が使用される場合もある。本発明では、複合機100をアースしなくても、複合機100及び静電タッチパネル42の基準電位(グランドの電位)と使用者の基準電位を同じレベルとする。
【0042】
(接触部材7)
次に、図5図6を用いて、実施形態に係る画像形成装置に取り付けられる接触部材7の一例を説明する。図5は、実施形態に係る接触部材7の一例を示す図である。図6は、実施形態に係る接触部材7の接続の一例を示す図である。
【0043】
複合機100には、接触部材7を取り付けることができる。接触部材7は、複合機100又は静電タッチパネル42の基準電位(グランドの電位)と使用者の基準電位を同じレベルとするための部材である。接触部材7は、静電タッチパネル42を操作する使用者が触れる部材である。
【0044】
図5に示すように、複合機100に取り付ける接触部材7は、例えば、ペン71である。図5に示すように、複合機100に取り付ける接触部材7は、マット72でもよい。ペン71とマット72の何れか一方又は両方を接触部材7として、複合機100に取り付けることができる。
【0045】
図6に示すように、複合機100は接触部材7を接続するための第1コネクター81を含む。第1コネクター81は1つでもよいし、複数でもよい。そして、第1コネクター81は複合機100のグランドに接続される。図6に示すように、第1コネクター81は、静電タッチパネル42を含む基板(パネル基板)のグランドに接続してもよい。また、第1コネクター81は複合機100のフレーム100fに接続してもよい。このように、接触部材7は、第1コネクター81を介して、複合機100のグランドに接続される。
【0046】
導電性ケーブル9は接触部材7と第1コネクター81を電気的に接続する。つまり、接触部材7は、導電性ケーブル9と第1コネクター81を介して、複合機100のグランドに接続される。具体的に、導電性ケーブル9の一端に接触部材7が取り付けられる。導電性ケーブル9の他端に第2コネクター82が取り付けられる。第1コネクター81と第2コネクター82を接続することにより、接触部材7と第1コネクター81(静電タッチパネル42のグランド)とが、電気的に接続される。
【0047】
ペン71のうち、使用者が触れる部分は導電性材料で形成される。ペン71に用いる導電性材料は、例えば、銅,アルミニウムのような金属材料でもよい。また、ペン71に用いる導電性材料は、導電性樹脂や導電ゴムでもよい。ペン先、ボディーを含め、ペン71全体が導電性材料で形成されていてもよい。ペン71の導電性材料に導電性ケーブル9が取り付けられる。導電性ケーブル9の一端(接触部材側の端部)とペン71の導電性材料が電気的接続される。ペン71の表面の電位は、複合機100の基準電位(グランドの電位)と同じレベルになる。
【0048】
このように、ペン71は複合機100(静電タッチパネル42)のグランドと接続される。そのため、使用者が複合機100に接続されたペン71に触れると、使用者の基準電位は、複合機100の基準電位(グランドの電位)と同じレベルとなる。
【0049】
ペン71は、静電タッチパネル42を操作するための入力デバイスとして用いることができる。つまり、接触部材7のペン71を、タッチペン(スタイラスペン)として用いることができる。使用者は、ペン先で、表示パネル41が表示し、静電タッチパネル42を透過した操作用画像(例えば、ボタン)に触れる。使用者は、ペン先で静電タッチパネル42にふれることで、複合機100の設定、操作を行える。
【0050】
マット72は、例えば、複合機100の前面に置かれる。静電タッチパネル42及び複合機100の使用者が立つ位置にマット72が置かれる。使用者が触れる部分(載る部分)が導電性材料で形成される。つまり、マット72の上面は導電性材料で形成される。マット72に用いる導電性材料は、導電性樹脂や導電ゴムでもよい。また、マット72内に導電性材料が組み込まれていてもよい。マット72の導電性材料に導電性ケーブル9が取り付けられる。導電性ケーブル9の一端(接触部材側の端部)とマット72の導電性材料が電気的接続される。
【0051】
マット72は複合機100(静電タッチパネル42)のグランドと接続される。そのため、使用者が複合機100に接続されたマット72に載ると、使用者の基準電位は、複合機100の基準電位(グランドの電位)と同じレベルとなる。
【0052】
このように、接触部材7によって、使用者の基準電位と、複合機100の基準電位(グランドの電位)と、を同じレベルとすることができる。その結果、同じ建物内の機器によるノイズ(グランドレベルの揺れ)に起因する静電タッチパネル42の異常、誤検知が発生しなくなる。
【0053】
接触部材7と複合機100のグランドを接続する部材、機構は、複合機100専用に設計されたものでもよい。また、接触部材7と静電タッチパネル42(複合機100)のグランドを安価に接続するため、複合機100の第1コネクター81と導電性ケーブル9に取り付けられる第2コネクター82は規格に準拠したものでもよい。例えば、規格は、USB規格のような、よく用いられ、部品が安価に入手可能な規格に準拠したコネクター(第1コネクター81、第2コネクター82)を用いることができる。
【0054】
上述したように、導電性ケーブル9の一端は接触部材7と接続される。複合機100の第1コネクター81がオス型コネクターのとき、導電性ケーブル9の他端には、第2コネクター82として、規格に準拠したメス型コネクターが取り付けられる。また、複合機100の第1コネクター81がメス型コネクターのとき、導電性ケーブル9の他端には、第2コネクター82として、規格に準拠したオス型コネクターが取り付けられる。
【0055】
例えば、ペン71に接続される導電性ケーブル9の他端がUSB規格のオス型コネクターの場合、複合機100にはUSB規格のメス型コネクターが設けられる。反対に、ペン71に接続される導電性ケーブル9の他端がUSB規格のメス型コネクターの場合、複合機100にはUSB規格のオス型コネクターが設けられる。
【0056】
また、マット72に接続される導電性ケーブル9の他端がUSB規格のオス型コネクターの場合、複合機100にはUSB規格のメス型コネクターが設けられる。反対に、マット72に接続される導電性ケーブル9の他端がUSB規格のメス型コネクターの場合、複合機100にはUSB規格のオス型コネクターが設けられる。
【0057】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、印刷部5、静電タッチパネル42、電源回路部6、及び、接触部材7を含む。印刷部5は印刷を行う。静電タッチパネル42は、使用者によるタッチ操作を受け付ける。電源回路部6は、商用電源400から電力の供給を受ける。電源回路部6は、印刷部5と静電タッチパネル42に電力を供給する。接触部材7は、画像形成装置のグランドに接続される。接触部材7は、静電タッチパネル42を操作する使用者が触れる。
【0058】
使用者が接触部材7に触れることにより、画像形成装置の基準電位(グランドの電位)のレベルと使用者の基準電位のレベルと、をあわせることができる。静電タッチパネル42の異常、誤検知が生じないように、基準電位の電位差を小さくすることができる。画像形成装置がアースされていなくても、静電タッチパネル42の異常(無反応)や、タッチ位置の誤検知の発生を防ぐことができる。
【0059】
画像形成装置は、グランドに接続されたコネクター(第1コネクター81)を含む。接触部材7は、導電性ケーブル9を介してコネクターと接続される。コネクターと導電性ケーブル9を用いて、接触部材7を画像形成装置のグランドに接続することができる。また、導電性ケーブル9によって、接触部材7の位置は固定されない。また、接触部材7を着脱することができる。
【0060】
接触部材7は、ペン71でもよい。ペン71のうちの使用者が触れる部分は導電性材料で形成される。導電性ケーブル9とペン71の導電性材料は接続される。接触部材7はペン71の形状をしていてもよい。使用者は、ペン71に触れるだけでよい。ペン71に触れるだけで、使用者と画像形成装置の基準電位を一致させることができる。
【0061】
ペン71は、静電タッチパネル42に接触させて入力するための入力デバイスでもある。接触部材7を、静電タッチパネル42を操作するための入力デバイスとしても、用いることができる。
【0062】
接触部材7は、マット72でもよい。マット72のうちの使用者が触れる部分は導電性材料で形成される。導電性ケーブル9とマット72の導電性材料は接続されている。接触部材7はマット72でもよい。使用者は、マット72の上にのるだけでよい。マット72にのるだけで、使用者と画像形成装置の基準電位を一致させることができる。
【0063】
コネクター(第1コネクター81)は、オス型コネクター又はメス型コネクターである。コネクター(第1コネクター81)がオス型コネクターのとき、導電性ケーブル9の他端には、メス型コネクター(第2コネクター82)が取り付けられる。コネクター(第1コネクター81)がメス型コネクターのとき、導電性ケーブル9の他端は、オス型コネクター(第2コネクター82)が取り付けられる。コネクターを用いて、接触部材7と画像形成装置のグランドを接続することができる。オス型コネクターとメス型コネクターは規格に準拠していてもよい。規格に基づき製造され、この場合、流通しているコネクターを用いて、接触部材7と画像形成装置のグランドを接続することができる。例えば、規格は、USB規格である。接触部材7と画像形成装置のグランドを接続するための構成を安価に実現することができる。
【0064】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、静電タッチパネルを含む画像形成装置に使用可能である。
【符号の説明】
【0066】
100 複合機(画像形成装置) 400 商用電源
42 静電タッチパネル 5 印刷部
6 電源回路部 7 接触部材
71 ペン 72 マット
81 第1コネクター 82 第2コネクター
9 導電性ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6