(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2021021506
(22)【出願日】2021-02-15
【審査請求日】2023-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信隆
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-158036(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0070217(US,A1)
【文献】特開2020-193099(JP,A)
【文献】実開昭61-045654(JP,U)
【文献】特開2007-140392(JP,A)
【文献】特開昭62-196166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送経路と、
媒体の記録面と交差する方向において、前記搬送経路に対して移動可能な記録部と、
前記記録部を移動させる移動機構と、
前記移動機構に対し動力を伝達して前記記録部を移動させるモーターと、を備え、
前記移動機構は、前記記録部の移動方向に沿って第1ラックが形成された第1部材と、
前記第1ラックと噛み合う第1ピニオン歯車と、
前記記録部において前記第1ラックと対向する位置に設けられ、前記記録部の移動方向
に沿って形成されたラックであって、前記第1ピニオン歯車と噛み合う第2ラックと、
前記第1ピニオン歯車が回転可能に設けられ、前記モーターの動力を受けて前記移動方
向に移動可能な第2部材と、を備える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記第2ラックは、前記移動方向と交差する方向
である幅方向において、前記記録部の側面に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の記録装置において、前記移動機構は、前記移動方向と
交差する方向である幅方向において、前記記録部の両側に設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置において、前記記録部は、前記
第1部材及び前記第2部材を備える装置本体に対し着脱可能である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の記録装置において、前記第1ラック、前記第2ラック、及び前記第1
ピニオン歯車の歯幅方向は、前記記録部の前記装置本体に対する着脱方向に沿っている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の記録装置において、前記記録部を着脱方向にガイドす
るガイド部を有する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記移動機構は、前
記移動方向に沿って
前記第2部材に形成された第3ラックと、
前記モーターの動力により回転するピニオン歯車であって前記第3ラックと噛み合う第
2ピニオン歯車と、を備えている、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の記録装置において、前記第3ラック及び前記第2ピニオン歯車は、前
記移動方向と交差する方向である幅方向において複数設けられる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の記録装置において、
前記記録部は、前記第1部材と対向する位置において、第1回転体を備え、
前記第2部材は、前記第1部材と対向する位置において、第2回転体を備え、
前記第1部材は、前記第1回転体と前記第2回転体とがそれぞれ入り込むガイド溝を備
える、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の記録装置において、装置が載置される載
置面に対する法線方向を装置高さ方向として、前記搬送経路において前記記録部と対向す
る経路区間である記録時搬送経路は、前記装置高さ方向に対し傾斜する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項11】
請求項10に記載の記録装置において、前記装置高さ方向において前記記録部より上方
に設けられ、前記搬送経路から排出された媒体を支持する支持面を形成する排出トレイを
備え、
前記支持面は、前記記録部の移動方向に沿って延びる、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項12】
請求項10または請求項11に記載の記録装置において、前記記録部を構成し、媒体に
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容部と、を備え、
前記記録部は、前記載置面に沿った方向である第1方向において、前記液体収容部と前
記記録時搬送経路との間に位置する、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項13】
請求項12に記載の記録装置において、前記装置高さ方向において前記記録部の少なく
とも一部が、前記液体収容部とオーバーラップする、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクジェットヘッドがラックピニオン機構によってプラテンに対し昇降可能に構成された記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の構成においてインクジェットヘッドの移動領域を増やそうとすると、ラックの長さをより長くする必要があり、ラックピニオン機構が大型化し、ひいては装置全体が大型化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明の記録装置は、媒体を搬送する搬送経路と、媒体の記録面と交差する方向において、前記搬送経路に対して移動可能な記録部と、前記記録部を移動させる移動機構と、前記移動機構に対し動力を伝達して前記記録部を移動させるモーターと、を備え、前記移動機構は、前記記録部の移動方向に沿って第1ラックが形成された第1部材と、前記第1ラックと噛み合う第1ピニオン歯車と、前記記録部において前記第1ラックと対向する位置に設けられ、前記記録部の移動方向に沿って形成されたラックであって、前記第1ピニオン歯車と噛み合う第2ラックと、前記第1ピニオン歯車が回転可能に設けられ、前記モーターの動力を受けて前記移動方向に移動可能な第2部材と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】ヘッドユニット及び移動機構の斜視図であって、ヘッドユニットが第1位置にある状態を示す図。
【
図4】ヘッドユニット及び移動機構の斜視図であって、ヘッドユニットが第2位置にある状態を示す図。
【
図5】ヘッドユニット及び移動機構の断面図であって、ヘッドユニットが第1位置にある状態を示す図。
【
図6】ヘッドユニット及び移動機構の断面図であって、ヘッドユニットが第2位置にある状態を示す図。
【
図7】ヘッドユニットが第2位置にある場合の、第1ラック、第2ラック、及び第2ピニオン歯車の部分拡大斜視図。
【
図8】ヘッドユニットを取り外す過程における、第1ラック、第2ラック、及び第2ピニオン歯車の部分拡大斜視図。
【
図9】ヘッドユニットが第1位置にある場合の、第1部材及びヘッドユニットの一部の断面斜視図。
【
図10】ヘッドユニットが第2位置にある場合の、第1部材及びヘッドユニットの一部の断面斜視図。
【
図11】ヘッドユニットが第2位置にある場合の、吸引ファン、ダクト、及びヘッドユニットの位置関係を示す斜視図。
【
図12】ヘッドユニットが第2位置にある場合の、ダクト及びヘッドユニットの位置関係を示す断面図。
【
図13】ヘッドユニットを取り外す途中の、ダクト及びヘッドユニットの位置関係を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、媒体を搬送する搬送経路と、媒体の記録面と交差する方向において、前記搬送経路に対して移動可能な記録部と、前記記録部を移動させる移動機構と、前記移動機構に対し動力を伝達して前記記録部を移動させるモーターと、を備え、前記移動機構は、前記記録部の移動方向に沿って第1ラックが形成された第1部材と、前記第1ラックと噛み合う第1ピニオン歯車と、前記記録部において前記第1ラックと対向する位置に設けられ、前記記録部の移動方向に沿って形成されたラックであって、前記第1ピニオン歯車と噛み合う第2ラックと、前記第1ピニオン歯車が回転可能に設けられ、前記モーターの動力を受けて前記移動方向に移動可能な第2部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本態様によれば、前記第2部材が前記移動方向に移動すると、前記第2部材に設けられた前記第1ピニオン歯車が前記第1ラックと噛み合って回転し、この第1ピニオン歯車の回転によって前記第2ラック即ち前記記録部が移動するので、前記記録部の移動量が、前記第2部材の移動量よりも増える。換言すれば、前記第2部材の移動量を抑制しつつ、前記記録部の移動量を確保できるため、前記第2部材を移動させる機構の大型化を抑制でき、ひいては装置の大型化を抑制できる。
【0009】
第2の態様は、第1の態様において、前記第2ラックは、前記移動方向と交差する方向である幅方向において、前記記録部の側面に設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記第2ラックは、前記移動方向と交差する方向である幅方向において、前記記録部の側面に設けられるので、前記幅方向から見た場合の前記第2ラックを含めた前記記録部の大きさを抑制できる。
【0010】
第3の態様は、第1のまたは第2の態様において、前記移動機構は、前記移動方向と交差する方向である幅方向において、前記記録部の両側に設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記移動機構は、前記移動方向と交差する方向である幅方向において、前記記録部の両側に設けられるので、前記幅方向における前記記録部の一端側と他端側とにおける移動量を等しくすることができる。このことにより、前記記録部の姿勢を適切に維持しながら前記記録部を前記移動方向に移動させることができる。
【0011】
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記記録部は、前記第1部材及び前記第2部材を備える装置本体に対し着脱可能であることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部は、前記第1部材及び前記第2部材を備える装置本体に対し着脱可能であるので、前記記録部のメンテナンスが容易となる。
【0012】
第5の態様は、第4の態様において、前記第1ラック、前記第2ラック、及び前記第1ピニオン歯車の歯幅方向は、前記記録部の前記装置本体に対する着脱方向に沿っていることを特徴とする。
【0013】
前記第1ラック、前記第2ラック、及び前記第1ピニオン歯車の歯幅方向は、前記記録部の前記装置本体に対する着脱方向に沿っているので、前記記録部を着脱する際に、前記第1ラック、前記第2ラック、及び前記第1ピニオン歯車のこれらの噛み合いが邪魔をせず、前記記録部を容易に着脱することができる。加えて、前記第2部材の移動に際し前記第1ピニオン歯車が歯幅方向に振動しても、その振動が前記第2ラック即ち前記記録部に伝わり難く、前記記録部を振動から保護することができ、前記記録部の故障を抑制できる。
尚、前記歯幅方向が、前記記録部の前記装置本体に対する着脱方向に沿っているとは、前記歯幅方向と前記着脱方向とが厳密に平行である形態に限られず、前記歯幅方向と前記着脱方向とが多少の角度を有している形態も含む意味である。
【0014】
第6の態様は、第4のまたは第5の態様において、前記記録部を着脱方向にガイドするガイド部を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部を着脱方向にガイドするガイド部を有するので、前記記録部を適切な位置に装着することができる。
【0015】
第7の態様は、第1から第6の態様のいずれかにおいて、前記第2部材おいて前記移動方向に沿って形成された第3ラックと、前記モーターの動力により回転するピニオン歯車であって前記第3ラックと噛合する第2ピニオン歯車と、を備えていることを特徴とする。
【0016】
第8の態様は、第7の態様において、前記第3ラック及び前記第2ピニオン歯車は、前記移動方向と交差する方向である幅方向において複数設けられることを特徴とする。
本態様によれば、前記第3ラックと前記第2ピニオン歯車とで構成されるラックピニオン機構により前記第2部材が前記移動方向に移動する構成において、前記第3ラック及び前記第2ピニオン歯車が、前記移動方向と交差する方向である幅方向において複数設けられるので、前記第2部材の姿勢を適切に維持しながら前記第2部材を前記移動方向に移動させることができる。このことにより、前記記録部の姿勢も適切に維持しながら前記記録部を前記移動方向に移動させることができる。
【0017】
第9の態様は、第1から第8の態様のいずれかにおいて、前記記録部は、前記第1部材と対向する位置において、第1回転体を備え、前記第2部材は、前記第1部材と対向する位置において、第2回転体を備え、前記第1部材は、前記第1回転体と前記第2回転体とがそれぞれ入り込むガイド溝を備えることを特徴とする。
本態様によれば、前記第1回転体により、前記記録部が移動する際の摺動抵抗を軽減でき、また前記第2回転体により、前記第2部材が移動する際の摺動抵抗を軽減できる。
【0018】
第10の態様は、第1から第9の態様のいずれかにおいて、装置が載置される載置面に対する法線方向を装置高さ方向として、前記搬送経路において前記記録部と対向する経路区間である記録時搬送経路は、前記装置高さ方向に対し傾斜することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、前記搬送経路において前記記録部と対向する経路区間である記録時搬送経路は、前記装置高さ方向に対し傾斜する構成であるので、前記装置高さ方向と交差する方向における装置寸法を抑制できる。
尚、前記記録時搬送経路が前記装置高さ方向に対し傾斜するとは、前記記録時搬送経路が前記装置高さ方向に対し直交しないことを意味する。
【0020】
第11の態様は、第10の態様において、前記装置高さ方向において前記記録部より上方に設けられ、前記搬送経路から排出された媒体を支持する支持面を形成する排出トレイを備え、前記支持面は、前記記録部の移動方向に沿って延びることを特徴とする。
本態様によれば、前記排出トレイの前記支持面が、前記記録部の移動方向に沿って延びる構成である為、前記排出トレイと前記記録部の移動領域との関係において無駄なスペースが形成されず、装置の大型化を抑制できる。
【0021】
第12の態様は、第10のまたは第11の態様において、前記記録部を構成し、媒体に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体収容部と、を備え、前記記録部は、前記載置面に沿った方向である第1方向において、前記液体収容部と前記記録時搬送経路との間に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部は、前記載置面に沿った方向である第1方向において、前記液体収容部と前記記録時搬送経路との間に位置する構成において、上述した第8のまたは第9の態様の作用効果が得られる。
【0022】
第13の態様は、第12の態様において、前記装置高さ方向において前記記録部の少なくとも一部が、前記液体収容部とオーバーラップすることを特徴とする。
本態様によれば、前記装置高さ方向において前記記録部の少なくとも一部が、前記液体収容部とオーバーラップするので、前記装置高さ方向の装置寸法を抑制できる。
【0023】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では記録用紙に代表される媒体に対し、液体の一例であるインクを吐出することで記録を行うインクジェットプリンター1を、記録装置の一例として説明する。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。
尚、各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であって、Y軸方向が媒体の搬送方向と交差する方向、即ち媒体幅方向であり、また装置奥行き方向でもある。Y軸方向のうち+Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向であり、-Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向である。また本実施形態においてY軸方向は、後述するヘッドユニット50の移動方向であるV軸方向と交差する幅方向の一例である。
【0024】
X軸方向は装置幅方向であり、プリンター1が載置される載置面Gに沿った第1方向の一例である。プリンター1の操作者から見て+X方向が左側、-X方向が右側となる。Z軸方向は鉛直方向であって、載置面Gに対する法線方向であり、即ち装置高さ方向となる。Z軸方向のうち+Z方向が上方向、-Z方向が下方向となる。
以下では、媒体が送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。また各図においては、媒体搬送経路を破線で示している。プリンター1において媒体は、破線で示す媒体搬送経路を通って搬送される。
【0025】
またF軸方向は後述するラインヘッド51と搬送ベルト13との間、即ち記録領域における媒体搬送方向であり、+F方向が搬送方向の下流となり、その反対の-F方向が搬送方向の上流となる。またV軸方向は後述する記録部の一例であるヘッドユニット50の移動方向であり、V軸方向のうち+V方向はヘッドユニット50が搬送ベルト13から遠ざかる方向であり、-V方向はヘッドユニット50が搬送ベルト13に近づく方向である。本実施形態においてV軸方向は、後述する排出トレイ8の傾斜に沿った方向でもある。
【0026】
図1に示す様に、プリンター1は媒体に記録を行う装置本体2の上部に、画像読取装置の一例であるスキャナーユニット9を備えた複合機として構成されている。
装置本体2の前面側には操作パネル7が配置され、装置本体2の上部において前面の一部と左側面の一部は開放構造とされ、記録が行われて排出される媒体を取り出す為の領域として形成されている。符号8は排出される媒体を支持する排出トレイである。
【0027】
排出トレイ8には、上方に突出する突出部8aがV軸方向即ち媒体排出方向に沿って形成されている。突出部8aは、Y軸方向即ち媒体幅方向において排出トレイ8の概ね中央部に設けられている。この様な突出部8aにより、排出トレイ8に支持される媒体が媒体幅方向に撓み、これにより媒体排出方向に沿った剛性が向上し、排出トレイ8上における媒体のカールが抑制され、整列性が向上する。
【0028】
排出トレイ8において-V方向即ち媒体排出方向上流側では、媒体幅方向において突出部8aの両側に媒体を支持する傾斜状の支持面8bが形成されている。
また排出トレイ8において+V方向即ち媒体排出方向下流側では、第1部位8cが突出部8aから+Y方向に向かって延び、また第2部位8dが突出部8aから-Y方向に向かって延びている。第1部位8cは、第2部位8dよりも高い面を形成し、V軸方向に沿って傾斜状に延びている。第2部位8dは、本実施形態では水平方向に平行な面である。この様な第2部位8dが形成されたことで、排出された媒体の媒体排出方向下流端が第2部位8dから浮き上がる様になり、媒体を取り出す際の取り出し性が容易となる。
【0029】
排出トレイ8において媒体排出方向下流端には、外気を取り込む為の吸気口45が形成されている。また操作パネル7の背後には、装置内部から空気を排出する為の排気口46が形成されている。プリンター1は吸気口45から空気を装置内に取り込むことができ、取り込まれた空気は流路Fa、Fb、Fcを通り、矢印Fdで示す様に排出される。この様な空気の流路により、後述するヘッドユニット50が冷却される。
【0030】
続いて
図2を参照してプリンター1における媒体搬送経路について説明する。プリンター1は装置本体2の下部に増設ユニット6を連結可能に構成されており、
図2は増設ユニット6を連結した状態を示している。
装置本体2は、下部に媒体を収容する第1媒体カセット3を備えており、増設ユニット6を連結した場合、更にその下に第2媒体カセット4及び第3媒体カセット5が設けられる。
【0031】
各媒体カセットに対しては、収容された媒体を-X方向に送り出すピックローラーが設けられている。ピックローラー21、22、23は、それぞれ第1媒体カセット3、第2媒体カセット4、及び第3媒体カセット5に対して設けられたピックローラーである。
また各媒体カセットに対しては、-X方向に送り出された媒体を、斜め上方向に給送する給送ローラー対が設けられている。給送ローラー対25、26、27は、それぞれ第1媒体カセット3、第2媒体カセット4、及び第3媒体カセット5に対して設けられた給送ローラー対である。
尚、以下では「ローラー対」とは、特に説明しない限り不図示のモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成されるものとする。
【0032】
第3媒体カセット5から送り出された媒体は、搬送ローラー対29、28によって搬送ローラー対38に送られる。また第2媒体カセット4から送り出された媒体は、搬送ローラー対28によって搬送ローラー対38に送られる。媒体は搬送ローラー対38でニップされ、搬送ローラー対31へ送られる。
第1媒体カセット3から送り出された媒体は、搬送ローラー対38を経ずに搬送ローラー対31へ送られる。
尚、搬送ローラー対38の近傍に設けられた供給ローラー19及び分離ローラー20は、
図1では図示を省略する供給トレイから媒体を送り出すローラー対である。
【0033】
搬送ローラー対31から送り力を受ける媒体は、液体吐出ヘッドの一例であるラインヘッド51と搬送ベルト13との間、つまりラインヘッド51と対向する記録位置に送られる。尚、以下では搬送ローラー対31から搬送ローラー対32までの媒体搬送経路を記録時搬送経路T1と称する。
【0034】
ラインヘッド51はヘッドユニット50を構成する。ラインヘッド51は、媒体の面に液体の一例であるインクを吐出して記録を実行する。ラインヘッド51は、インクを吐出するノズルが媒体幅方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドであり、媒体幅方向への移動を伴わないで媒体幅全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドはこれに限られず、キャリッジに搭載されて媒体幅方向に移動しながらインクを吐出するタイプであってもよい。
【0035】
ヘッドユニット50は記録時搬送経路T1に対し進退可能に設けられ、
図2の実線で示す第1位置と、
図2において二点鎖線及び符号50-1で示す様に搬送ベルト13から最も退避する第2位置との間で移動可能に設けられている。ヘッドユニット50が第1位置にある際、媒体に対し記録が行われる。ヘッドユニット50が第2位置にある際、不図示のメンテナンス手段によってラインヘッド51のメンテナンスが行われる。
ヘッドユニット50の移動方向は、本実施形態では排出トレイ8の傾斜に沿ったV軸方向である。ヘッドユニット50は排出トレイ8の下側において媒体排出方向上流側に位置し、排出トレイ8の下面に沿って変位する。
尚、ヘッドユニット50は、V軸方向において、第1位置と第2位置とは異なる位置に移動するように設けられていても良い。
ヘッドユニット50を第1位置と第2位置とに移動させる移動機構については、後に詳述する。
【0036】
符号10A、10B、10C、及び符号10Dは、液体収容部としてのインク収容部である。ラインヘッド51から吐出されるインクは、各インク収容部から、図示を省略するチューブを介してラインヘッド51へと供給される。インク収容部10A、10B、10C、及び10Dは、それぞれ装着部11A、11B、11C、及び11Dに対して着脱可能に設けられる。
また符号12は、ラインヘッド51から不図示のフラッシングキャップに向けてメンテナンスの為に吐出された、廃液としてのインクを貯留する廃液収容部である。
【0037】
搬送ベルト13は、プーリー14及びプーリー15に掛け回される無端ベルトであって、プーリー14及びプーリー15のうち少なくとも一方が不図示のモーターにより駆動されることで回転する。媒体は、搬送ベルト13のベルト面に吸着されつつラインヘッド51と対向する位置を搬送される。搬送ベルト13に対する媒体の吸着は、エアー吸引方式や静電吸着方式などの公知の吸着方式を採用できる。
【0038】
ここでラインヘッド51と対向する位置を通る記録時搬送経路T1は、X軸方向及びZ軸方向の双方に対して傾斜し、上向きに媒体を搬送する構成である。換言すれば、記録時搬送経路T1は、Z軸方向に対し平行でなく、且つZ軸方向に対し直交しない。この上向きの搬送方向は、
図1において-X方向成分と+Z方向成分とを含む方向であり、このような構成により、プリンター1のX軸方向寸法を抑制できる。
尚本実施形態では、記録時搬送経路T1はZ軸方向即ち装置高さ方向に対して35°~5°の範囲の傾斜角に設定され、より具体的には概ね15°の傾斜角に設定されている。
これによりヘッドユニット50は、X軸方向においてインク収容部10A~10Dと記録時搬送経路T1との間に位置している。
【0039】
またヘッドユニット50より+Z方向に設けられ、媒体搬送経路から排出された媒体を支持する支持面8bを形成する排出トレイ8を備え、支持面8bは、ヘッドユニット50の移動方向であるV軸方向に沿って延びる。これにより排出トレイ8とヘッドユニット50の移動領域との関係において無駄なスペースが形成されず、装置の大型化を抑制できる。
またZ軸方向においてヘッドユニット50の一部が、インク収容部10A~10B液体収容部とオーバーラップしているので、Z軸方向の装置寸法を抑制できる。
【0040】
次に、ラインヘッド51により第1面に記録が行われた媒体は、搬送ベルト13の下流に位置する搬送ローラー対32により、更に上方向に送られる。
搬送ローラー対32の下流にはフラップ41が設けられており、このフラップ41によって媒体の搬送方向が切り換えられる。媒体をそのまま排出する場合は、媒体の搬送経路はフラップ41によって上方の搬送ローラー対35に向かう様に切り換えられ、媒体は搬送ローラー対35によって排出トレイ8に向けて排出される。
【0041】
媒体の第1面に加えて更に第2面に記録を行う場合、媒体の搬送方向は、フラップ41によって分岐位置K1に向けられる。そして媒体は分岐位置K1を通り、スイッチバック経路T2に入る。本実施形態においてスイッチバック経路T2は分岐位置K1から上側の媒体搬送経路とする。スイッチバック経路T2には搬送ローラー対36、37が設けられている。スイッチバック経路T2に入った媒体は、搬送ローラー対36、37によって上方向に搬送され、そして媒体の下エッジが分岐位置K1を通過したら、搬送ローラー対36、37の回転方向が切り換えられ、これにより媒体は下方向に搬送される。
【0042】
スイッチバック経路T2には、反転経路T3が接続している。本実施形態において反転経路T3は、分岐位置K1から、搬送ローラー対33、34を通って搬送ローラー対38に至る媒体搬送経路とする。
分岐位置K1から下方向に搬送された媒体は搬送ローラー対33、34から送り力を受けて搬送ローラー対38に到達し、湾曲反転され、搬送ローラー対31に送られる。
【0043】
再びラインヘッド51と対向する位置に送られた媒体は、既に記録が行われた第1面に対し反対側の第2面がラインヘッド51と対向する。これにより、媒体の第2面に対しラインヘッド51による記録が可能となる。
【0044】
続いてヘッドユニット50をV軸方向に沿って移動させる移動機構について
図3以降を参照して説明する。尚、
図3、
図4では、
図5、
図6に示す第1部材61の図示は省略し、ヘッドユニット50の側面を明瞭に示している。
図3~
図6において、移動機構60は、第1部材61、第2ラック形成部材62、第2部材63、第3ラック形成部材64、第1ピニオン歯車65、及び第2ピニオン歯車67を備えている。
本実施形態において移動機構60は、ヘッドユニット50に対しV軸方向と交差する方向であるY軸方向の両側に設けられている。
【0045】
第1部材61は、ヘッドユニット50のY軸方向における側面と対向する位置において装置のフレーム(不図示)に対して固定的に設けられており、ヘッドユニット50と対向する側に、V軸方向に沿って第1ラック61aが形成されている(
図9、
図10も参照)。また第1部材61には、
図9、
図10に示す様にV軸方向に沿って延びる第1ガイド溝61bと第2ガイド溝61cが形成されている。
ヘッドユニット50のY軸方向における側面即ち第1部材61と対向する側面には、
図3、4に示す様に2つの上部ローラー52がV軸方向に間隔を空けて配置されている。2つの上部ローラー52は、
図9、
図10に示す様に第1部材61の第1ガイド溝61bに入り込み、これによりヘッドユニット50が、第1部材61によってV軸方向に案内される。また上部ローラー52の回転によって、ヘッドユニット50が移動する際の摺動抵抗が軽減される。
【0046】
次に、ヘッドユニット50のY軸方向の端部には第2ラック形成部材62が設けられ、第2ラック形成部材62にはV軸方向に沿って第2ラック62aが形成されている。そして
図5、
図6に示す様に第1ラック61aと第2ラック62aとが対向するとともに、第1ラック61aと第2ラック62aの間に第1ピニオン歯車65が配置され、且つ、第1ラック61aと第2ラック62aの双方に第1ピニオン歯車65が噛み合っている。
【0047】
第1ピニオン歯車65は、第2部材63において回転可能に設けられている。第2部材63においてY軸方向の側面には、
図3、
図4に示す様に2つの下部ローラー53がY軸方向に沿って間隔を空けて設けられている。下部ローラー53は、第2部材63に対して固定される下部ローラー支持部材54によって支持されている。
これら2つの下部ローラー53は、第1部材61の第2ガイド溝61c(
図9、
図10参照)に入り込んでいる。これにより第2部材63が、第1部材61によってV軸方向に案内される。また下部ローラー53の回転によって、第2部材63が移動する際の摺動抵抗が軽減される。
【0048】
第2部材63の下側には、
図3、
図4に示す様に第3ラック形成部材64が設けられており、第3ラック形成部材64にはV軸方向に沿って第3ラック64aが形成されている。そして第3ラック64aに、第2ピニオン歯車67が噛み合っている。尚、第3ラック形成部材64は、第2部材63の下側においてY軸方向の両端部に設けられている。また第2ピニオン歯車67は、Y軸方向に平行な回転軸中心を有する回転軸68において第3ラック64aと対向する位置に設けられ、2つの第2ピニオン歯車67が回転軸68の回転によって同時に回転する様に構成されている。尚、回転軸68には、
図3、
図4では図示を省略する歯車機構を介してモーター70の動力が伝達される。
【0049】
以上の構成において、第2ピニオン歯車67が回転すると、第2部材63がV軸方向に沿って移動する。ここで第1部材61即ち第1ラック61aは固定的に設けられているので、V軸方向に移動する第2部材63に設けられた第1ピニオン歯車65は、第1ラック61aとの噛み合いに基づき回転する。
そして第1ピニオン歯車65は、ヘッドユニット50に設けられた第2ラック62aと噛み合っている為、第1ピニオン歯車65の回転により、ヘッドユニット50がV軸方向に押し出される様に移動する。
【0050】
例えば、ヘッドユニット50が
図5に示す第1位置にある状態で、第2部材63が+V方向に移動すると、
図5の右側の第1ピニオン歯車65は
図5において反時計回り方向に回転し、
図5の左側の第1ピニオン歯車65は
図5において時計回り方向に回転する。これにより、ヘッドユニット50は+V方向に移動させられる。
またヘッドユニット50が
図6に示す第2位置にある状態で、第2部材63が-V方向に移動すると、
図5の右側の第1ピニオン歯車65は
図6において時計回り方向に回転し、
図6の左側の第1ピニオン歯車65は
図6において反時計回り方向に回転する。これにより、ヘッドユニット50は-V方向に移動させられる。
【0051】
ここで、
図5及び
図6において符号M1で示すV軸方向の範囲は、第1ピニオン歯車65の回転軸中心を基準にした、第2部材63の移動範囲である。また
図5及び
図6において符号M2で示すV軸方向の範囲は、第2ラック形成部材62の-V方向端部位置を基準にした、ヘッドユニット50の移動範囲である。
上述した様にヘッドユニット50は、第1ピニオン歯車65の回転によってV軸方向に移動するが、第1ピニオン歯車65それ自体もV軸方向に移動する構成であるので、第2部材63の移動範囲M1よりも、ヘッドユニット50の移動範囲M2のほうが大きくなる。本実施形態では、移動範囲M2は移動範囲M1の約2倍の大きさとなる。
【0052】
以上の様に移動機構60は、媒体を搬送する搬送経路に進出し搬送される媒体に記録を行う第1位置と、搬送経路から退避する第2位置とに移動可能なヘッドユニット50をモーター70の動力によってV軸方向に移動させる。この移動機構60は、ヘッドユニット50の移動方向に沿って第1ラック61aが形成された第1部材61と、第1ラック61aと噛み合う第1ピニオン歯車65と、ヘッドユニット50において第1ラック61aと対向する位置に設けられ、ヘッドユニット50の移動方向であるV軸方向に沿って形成されたラックであって、第1ピニオン歯車65と噛み合う第2ラック62aと、第1ピニオン歯車65が回転可能に設けられ、モーター70の動力を受けてV軸方向に移動可能な第2部材63とを備える。そしてV軸方向に移動する第1ピニオン歯車65の回転により、ヘッドユニット50の移動量が、第2部材63の移動量よりも増える。換言すれば、第2部材63の移動量を抑制しつつ、ヘッドユニット50の移動量を確保できるため、第2部材63を移動させる機構の大型化を抑制でき、具体的には本実施形態において第3ラック64aのV軸方向の長さを抑制できる。その結果、プリンター1の大型化を抑制できる。
【0053】
尚、本実施形態では第1ラック61aが形成された第1部材61が装置のフレーム(不図示)に対して固定的に設けられていたが、第1部材61をV軸方向に移動可能に設けるとともに第1部材61をV軸方向に移動させるラックピニオン機構を別途設けても良い。これにより、ヘッドユニット50の移動領域をより一層拡大させることができる。
また、第1ピニオン歯車65を、メイン歯車とサブ歯車の二段構造とすることも好適である。より詳しくは、このサブ歯車の歯数をメイン歯車の歯数より増やした上で、メイン歯車は第1ラック61aに噛み合わせ、そしてサブ歯車は第2ラック62aに噛み合わせる。この様な構成により、第1ピニオン歯車65の回転に対する第2ラック62aの移動量をより一層増やすことができ、ヘッドユニット50の移動領域をより一層拡大させることができる。
【0054】
また本実施形態において第2ラック62aは、V軸方向と交差する方向であるY軸方向において、ヘッドユニット50の側面に設けられるので、Y軸方向から見た場合の第2ラック62aを含めたヘッドユニット50の大きさを抑制できる。
【0055】
また移動機構60は、Y軸方向において、ヘッドユニット50の両側に設けられるので、Y軸方向におけるヘッドユニット50の一端側と他端側とにおけるV軸方向の移動量を等しくすることができる。このことにより、ヘッドユニット50の姿勢を適切に維持しながらヘッドユニット50をV軸方向に移動させることができる。
【0056】
次にヘッドユニット50は、第1部材61及び第2部材63を備える装置本体2に対し着脱可能に構成されている。
図9及び
図10において第1部材61には、第3ガイド溝61dと第4ガイド溝61eとが形成されており、ヘッドユニット50のY軸方向側面に設けられた上部ローラー52、52が、第1ガイド溝61bから、第3ガイド溝61dと第4ガイド溝61eを通って上方に抜けることができる様に構成されている。即ち、ヘッドユニット50が第1部材61から外れることができる様に構成されている。また第1部材61に対しヘッドユニット50を落とし込むことで、上部ローラー52、52が第1ガイド溝61bに入り込むことができ、即ちヘッドユニット50を装着することができる。第3ガイド溝61dと第4ガイド溝61eは、ヘッドユニット50を着脱方向にガイドするガイド部として機能する。
この様にヘッドユニット50は、装置本体2に対し着脱可能であるので、ヘッドユニット50のメンテナンスや交換が容易となる。
【0057】
また第1ラック61a、第2ラック62a、及び第1ピニオン歯車65の歯幅方向は、
図7、
図8に示す様にヘッドユニット50の着脱方向(F軸方向)に沿っている。
このことにより、ヘッドユニット50を着脱する際に、第1ラック61a、第2ラック62a、及び第1ピニオン歯車65のこれらの噛み合いが邪魔をせず、
図8に示す様にヘッドユニット50を容易に着脱することができる。
加えて、第2部材63の移動に際し第1ピニオン歯車65が歯幅方向に振動しても、その振動が第2ラック62a即ちヘッドユニット50に伝わり難く、ヘッドユニット50を振動から保護することができ、ヘッドユニット50の故障を抑制できる。
尚、第1ラック61a、第2ラック62a、及び第1ピニオン歯車65の歯幅方向は、ヘッドユニット50の着脱方向(F軸方向)に対して厳密に平行である形態に限られず、前記歯幅方向と前記着脱方向とが多少の角度を有していても良い。
【0058】
また本実施形態では、
図9、
図10に示す第3ガイド溝61dと第4ガイド溝61eが、ヘッドユニット50を着脱方向にガイドするガイド部として機能するので、ヘッドユニット50を適切な位置に装着することができる。
【0059】
また
図3、
図4に示した様に第3ラック64a及び第2ピニオン歯車67は、Y軸方向において複数設けられるので、第2部材63の姿勢を適切に維持しながら第2部材63をV軸方向に移動させることができる。このことにより、ヘッドユニット50の姿勢も適切に維持しながらヘッドユニット50を移動させることができる。
【0060】
尚、
図1を参照して説明した空気の流路は、
図11に示す吸引ファン80によって形成されるが、上述した様にヘッドユニット50はV軸方向に移動するとともに、F軸方向に沿って着脱可能である為、吸引ファイン80とヘッドユニット50との間に介在するダクト81には以降説明する構造上の工夫が設けられている。
図11~
図13において、ダクト81にはV軸方向に沿って間隔を空けて第1開口部81aと第2開口部81bとが形成されている。
【0061】
第1開口部81aは、ヘッドユニット50が第1位置にある場合にヘッドユニット50の-Y方向端部と接続する。これによりヘッドユニット50が第1位置にある際の流路Fbが形成される。
また第2開口部81bは、ヘッドユニット50が第2位置にある場合にヘッドユニット50の-Y方向端部と接続する。これによりヘッドユニット50が第2位置にある際の流路Fbが形成される。
【0062】
第1開口部81aには、ヘッドユニット50が第2位置にある場合に第1開口部81aを閉塞するシャッター84が設けられている。これによりヘッドユニット50が第2位置にある際に、第1開口部81aからダクト81内への外気の取り込みが防止される。尚、シャッター84はヘッドユニット50の移動に連動し、ヘッドユニット50が第1位置にある場合は第1開口部81aを閉塞しない位置へと移動する。
【0063】
次に、符号82はダクト81に設けられた第1接続部材であり、符号83はヘッドユニット50に設けられた第2接続部材である。ヘッドユニット50の装着状態において第1接続部材82と第2接続部材83は接続され、ヘッドユニット50のV軸方向への移動に応じ、第1接続部材82と第2接続部材83がともにV軸方向に移動する。
符号82aは第2接続部材83を受ける受け部であり、+Y方向に突出する様に形成されている。
【0064】
受け部82aは、第1接続部材82において-F方向に形成されているが、+F方向には形成されていない。従ってヘッドユニット50が第2位置にあるとき、
図12から
図13への変化で示す様にヘッドユニット50を取り外す為に+F方向に持ち上げても、第2接続部材83は第1接続部材82に干渉せず、ヘッドユニット50を取り外すことができる。
【0065】
尚、下部ローラー53が設けられる下部ローラー支持部材54は、第1部材61と対向する位置であって、Y軸方向において第1部材61とヘッドユニット50の側面との間に設けられている。
図3、
図4に示す様に、第2部材63と下部ローラー支持部材54とで構成される組立体はV軸方向から見て所謂U字型形状を形成している。そして、ヘッドユニット50の一部は、第2部材63と下部ローラー支持部材54とで構成される組立体のU字型形状の内部に入り込んでいる。そのため、装置本体のF軸方向及びZ軸方向の大きさを抑制できる。また、第2部材63が移動した際に、ヘッドユニット50を安定して移動させることができる。
【0066】
本発明は上記において説明した各実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0067】
1…インクジェットプリンター、2…装置本体、3…第1媒体カセット、4…第2媒体カセット、5…第3媒体カセット、6…増設ユニット、7…操作パネル、8…排出トレイ、8a…突出部、8b…支持面、9…スキャナーユニット、10A、10B、10C、10D…インク収容部、11A、11B、11C、11D…装着部、12…廃液収容部、13…搬送ベルト、14、15…プーリー、18…外部搬送ローラー対、19…供給ローラー、20…分離ローラー、21、22、23…ピックローラー、25、26、27…給送ローラー対、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38…搬送ローラー対、41…フラップ、45…吸気口、46…排気口、
50…ヘッドユニット、51…ラインヘッド、52…上部ローラー、53…下部ローラー、54…下部ローラー支持部材、60…移動機構、61…第1部材、61a…第1ラック、61b…第1ガイド溝、61c…第2ガイド溝、61d…第3ガイド溝、61e…第4ガイド溝、62…第2ラック形成部材、62a…第2ラック、63…第2部材、64…第3ラック形成部材、64a…第3ラック、65…第1ピニオン歯車、67…第2ピニオン歯車、68…回転軸、69…ガイドローラー、70…モーター、80…吸引ファン、81…ダクト、81a…第1開口部、81b…第2開口部、82…第1接続部材、82a…受け部、83…第2接続部材、84…シャッター、T1…記録時搬送経路、T2…スイッチバック経路、T3…反転経路、P…媒体