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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】加熱ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021029497
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022130861
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2024-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100195224
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 宏憲
(72)【発明者】
【氏名】池野 雄一
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-118365(JP,A)
【文献】特開2015-106081(JP,A)
【文献】特開2019-045709(JP,A)
【文献】特開2014-123100(JP,A)
【文献】特開2016-095397(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0286301(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
H05B 1/00-3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に支持された抵抗発熱体とを有するヒータと、
前記ヒータのニップ面に接触する内周面を有し、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、
前記ヒータを支持するホルダと、
前記ヒータの前記ニップ面とは反対側の裏側面と前記ホルダの間に位置し、前記基板よりも熱伝導率が大きい熱伝導部材であって、前記ヒータの長手方向において前記抵抗発熱体よりも長い熱伝導部材と、を備え、
前記ヒータの前記裏側面と前記熱伝導部材との接触領域は、
前記長手方向において前記抵抗発熱体の外側に位置するとともに前記接触領域の端を含む領域である2つの端部領域であって、熱伝導グリスが介在しない端部領域と、
前記長手方向において前記抵抗発熱体が位置する範囲に位置する中央領域であって、前記熱伝導グリスが介在する中央領域と、
を含み、
前記熱伝導部材は、
前記長手方向において前記中央領域に対応する位置に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第1部分と、
前記長手方向において前記第1部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第2部分であって、前記長手方向に直交する断面の断面積が前記第1部分よりも小さい第2部分と、
を有することを特徴とする加熱ユニット。
【請求項2】
前記第2部分は、穴を有することを特徴とする請求項に記載の加熱ユニット。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、前記長手方向において前記第2部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第3部分を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加熱ユニット。
【請求項4】
基板と、前記基板に支持された抵抗発熱体とを有するヒータと、
前記ヒータのニップ面に接触する内周面を有し、前記ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、
前記ヒータを支持するホルダと、
前記ヒータの前記ニップ面とは反対側の裏側面と前記ホルダの間に位置し、前記基板よりも熱伝導率が大きい熱伝導部材であって、前記ヒータの長手方向において前記抵抗発熱体よりも長い熱伝導部材と、を備え、
前記ヒータの前記裏側面と前記熱伝導部材との接触領域は、
前記長手方向において前記抵抗発熱体の外側に位置するとともに前記接触領域の端を含む領域である2つの端部領域であって、熱伝導グリスが介在しない端部領域と、
前記長手方向において前記抵抗発熱体が位置する範囲に位置する中央領域であって、前記熱伝導グリスが介在する中央領域と、
を含み、
前記熱伝導部材は、
前記長手方向において前記中央領域に対応する位置に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第1部分と、
前記長手方向において前記第1部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触しない第2部分と、
前記長手方向において前記第2部分の外側に位置し、前記ヒータの前記裏側面と接触する第3部分と、
を有することを特徴とする加熱ユニット。
【請求項5】
前記第2部分は、前記ヒータの前記裏側面に対し、隙間を有する状態で対向していることを特徴とする請求項に記載の加熱ユニット。
【請求項6】
前記熱伝導グリスは、前記ヒータの前記裏側面と前記第1部分との間に介在することを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の加熱ユニット。
【請求項7】
前記端部領域は、前記長手方向において、加熱ユニットで使用可能な最大幅のシートが通過可能な範囲の外側に位置することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の加熱ユニット。
【請求項8】
前記熱伝導部材は、シート状であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の加熱ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の定着装置などに用いられる加熱ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、加熱ユニットとして、無端状のベルトと、ベルトの内面に接触するヒータであって、基板や基板の上に形成された抵抗発熱体を有するヒータと、ヒータを支持する支持部材と、ヒータと支持部材の間に設けられ、ヒータの長手方向の温度分布を均一に近づける熱伝導部材とを備えるものが知られている(特許文献1)。この技術では、熱伝導部材のヒータと接触する領域の全域にグリスを塗布し、その上からヒータを配置することで、ヒータと熱伝導部材の間にグリスを介在させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-139002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加熱ユニットでは、ヒータの長手方向において抵抗発熱体が位置する領域を紙などのシートが通過するため、この領域で熱伝導部材によるヒータの長手方向の温度分布を均一に近づける均熱効果を高めたい。
【0005】
そこで、本発明は、ヒータの長手方向において抵抗発熱体が位置する領域での均熱効果を高めることができる加熱ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するための加熱ユニットは、基板および基板に支持された抵抗発熱体を有するヒータと、ヒータのニップ面に接触する内周面を有し、ヒータの周りを回転する無端状のベルトと、ヒータを支持するホルダと、ヒータのニップ面とは反対側の裏側面とホルダの間に位置し、基板よりも熱伝導率が大きい熱伝導部材であって、ヒータの長手方向において抵抗発熱体よりも長い熱伝導部材と、を備える。
ヒータの裏側面と熱伝導部材との接触領域は、長手方向において抵抗発熱体の外側に位置するとともに接触領域の端を含む領域である2つの端部領域であって、熱伝導グリスが介在しない端部領域と、長手方向において抵抗発熱体が位置する範囲に位置する中央領域であって、熱伝導グリスが介在する中央領域と、を含む。
【0007】
このような構成によれば、ヒータと熱伝導部材との間の熱の移動を熱伝導グリスを介して中央領域で促進することができる。これにより、ヒータの長手方向において抵抗発熱体が位置する領域での均熱効果を高めることができる。
【0008】
前記した加熱ユニットにおいて、熱伝導部材は、長手方向において中央領域に対応する位置に位置する第1部分と、長手方向において第1部分の外側に位置し、ヒータの裏側面と接触しない第2部分と、を有する構成とすることができる。
【0009】
これによれば、ヒータ内の熱が第2部分から熱伝導部材へ移動するのを抑制して、ヒータと熱伝導部材との間の熱の移動を第1部分が位置する領域で促進することができる。
【0010】
前記した加熱ユニットにおいて、第2部分は、ヒータの裏側面に対し、隙間を有する状態で対向している構成とすることができる。
【0011】
これによれば、第2部分をヒータの裏側面と接触しないようにすることができる。
【0012】
前記した加熱ユニットにおいて、熱伝導部材は、長手方向において中央領域に対応する位置に位置する第1部分と、長手方向において第1部分の外側に位置し、ヒータの裏側面と接触する第2部分であって、長手方向に直交する断面の断面積が第1部分よりも小さい第2部分と、を有する構成とすることができる。
【0013】
これによれば、ヒータ内の熱が第2部分から熱伝導部材へ移動するのを抑制して、ヒータと熱伝導部材との間の熱の移動を第1部分が位置する領域で促進することができる。
【0014】
前記した加熱ユニットにおいて、第2部分は、穴を有する構成とすることができる。
【0015】
これによれば、熱伝導部材に断面積が小さい第2部分を容易に形成することができる。
【0016】
前記した加熱ユニットにおいて、熱伝導部材は、長手方向において第2部分の外側に位置し、ヒータの裏側面と接触する第3部分を有する構成とすることができる。
【0017】
これによれば、ヒータの長手方向における端部の熱を熱伝導部材の第3部分に逃がすことができるので、ヒータの端部の温度が上がりすぎるのを抑制することができる。
【0018】
前記した加熱ユニットにおいて、熱伝導グリスは、ヒータの裏側面と第1部分との間に介在する構成とすることができる。
【0019】
これによれば、ヒータと熱伝導部材との間の熱の移動を熱伝導グリスを介して第1部分が位置する領域でより促進することができる。
【0020】
前記した加熱ユニットにおいて、端部領域は、長手方向において、加熱ユニットで使用可能な最大幅のシートが通過可能な範囲の外側に位置する構成とすることができる。
【0021】
これによれば、最大幅のシートが通過可能な範囲の外側の温度が上がりすぎるのを抑制することができる。
【0022】
前記した加熱ユニットにおいて、熱伝導部材は、シート状である構成とすることができる。
【0023】
これによれば、熱伝導部材の熱容量を小さくすることができるので、加熱ユニットの立ち上がり時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ヒータの長手方向において抵抗発熱体が位置する領域での均熱効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】加熱ユニットの構成を示す横断面図である。
図2】第1実施形態に係る加熱ユニットの構成を示す縦断面図(a)と、ヒータの抵抗発熱体が配置された面の構成を示す図(b)である。
図3】第2実施形態に係る加熱ユニットの構成を示す縦断面図である。
図4】第2実施形態の熱伝導部材の構成を示す斜視図である。
図5】変形例に係る加熱ユニットの構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に、第1実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、加熱ユニット1は、電子写真方式の画像形成装置の定着装置や、熱により箔を転写する箔転写装置などに使用されるものである。加熱ユニット1は、ベルト3と、ヒータ10と、ホルダ20と、熱伝導部材30とを備えている。
【0027】
ベルト3は、無端状のベルトであり、金属や樹脂などからなる。ベルト3は、ホルダ20に案内されながら、ヒータ10の周りを回転する。ベルト3は、外周面3Aと内周面3Bを有する。外周面3Aは、加熱対象となるシートと接触する。内周面3Bは、ヒータ10のニップ面15に接触する。
【0028】
ヒータ10は、基板11と、基板11に支持された抵抗発熱体12と、カバー13とを有する。また、ヒータ10は、ベルト3の内周面3Bに接触するニップ面15と、ニップ面15とは反対側の裏側面16とを有する。
【0029】
基板11は、セラミックの細長い長方形の板からなる。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。
【0030】
抵抗発熱体12は、基板11の一方の面に、印刷により形成されている。図2(b)に示すように、本実施形態では、抵抗発熱体12は、2本設けられている。2本の抵抗発熱体12は、それぞれ、ヒータ10の長手方向(以下、ヒータ10の長手方向を単に「長手方向」という。)に長く、長手方向に直交する短手方向に互いに離れて平行に配置されている。各抵抗発熱体12の一端12Aには、それぞれ導線19Aが接続され、導線19Aの各端部には、電力を供給するための端子18が設けられている。また、各抵抗発熱体12の他端12Bは、導線19Bにより互いに接続されている。
【0031】
抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bは、長手方向において、加熱ユニット1で使用可能な最大幅W1のシートが通過可能な範囲の外側に位置している。すなわち、長手方向において、抵抗発熱体12の長さは、最大幅W1よりも長い。
【0032】
なお、抵抗発熱体12の本数は、特に限定されない。また、長手方向の中央部の発熱量を長手方向の端部の発熱量より大きくした抵抗発熱体と、長手方向の端部の発熱量を長手方向の中央部の発熱量より大きくした抵抗発熱体とを設けて、各抵抗発熱体を個別に制御することで、長手方向の発熱分布を調整できるようにしてもよい。
【0033】
図1に戻り、カバー13は、抵抗発熱体12を覆っている。カバー13は、例えば、ガラスなどからなる。
【0034】
ホルダ20は、ヒータ10を支持する部材である。ホルダ20は、支持部21と、案内部22とを有する。
支持部21は、ヒータ10の形状に対応した板形状を有する。支持部21は、ヒータ10が配置された側を向く面である支持面21Aと、支持面21Aとは反対側の内側面21Bとを有する。
【0035】
案内部22は、支持部21の短手方向の両端に設けられている。各案内部22は、ベルト3の内周面3Bに沿った案内面22Gを有する。案内部22は、長手方向に並ぶ複数の案内リブ22Aを有する。
【0036】
熱伝導部材30は、ヒータ10の長手方向に熱を伝導して、ヒータ10の温度を、長手方向に均一化するための部材である。熱伝導部材30は、シート状の部材であり、ヒータ10の裏側面16とホルダ20の支持部21との間に位置する。加熱ユニット1が、他の加圧部材との間で、加熱対象物であるシートを挟むときには、熱伝導部材30は、ヒータ10と支持部21により挟まれる。熱伝導部材30は、ヒータ10の裏側面16に接触するヒータ側面30Aと、ヒータ側面30Aとは反対側の反対面30Bとを有する。反対面30Bは、支持部21の支持面21Aと接触している。
【0037】
熱伝導部材30は、ヒータ側面30Aに平行な方向(以下、単に「平面方向」という。)における熱伝導率が、基板11の平面方向における熱伝導率よりも大きい部材である。熱伝導部材30の材料は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅などの熱伝導率が大きい金属を採用することができる。また、熱伝導部材30は、平面方向における熱伝導率が、ヒータ側面30Aに直交する厚み方向における熱伝導率より大きい異方性熱伝導部材であることが望ましい。異方性熱伝導部材としては、例えば、グラファイトシートを採用することができる。また、熱伝導部材30の厚さも特に限定されず、例えば、0.1mmより薄いフィルム状のものであってもよいし、1mmより厚い板状のものであってもよい。
【0038】
図2(a)に示すように、長手方向において、熱伝導部材30の一端部38Aおよび他端部38Bは、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの外側に位置している。すなわち、長手方向において、熱伝導部材30の長さは、抵抗発熱体12の長さよりも長い。なお、長手方向において、熱伝導部材30の長さは、基板11の長さよりは短い。すなわち、長手方向において、熱伝導部材30の長さは、ヒータ10の長さよりは短い。長手方向において、ホルダ20の長さは、ヒータ10の長さよりも長い。
【0039】
ヒータ10の裏側面16と熱伝導部材30との接触領域90は、2つの端部領域91と、中央領域92とを含む。
【0040】
端部領域91は、接触領域90のうち、長手方向において抵抗発熱体12の外側に位置するとともに接触領域90の端90A,90Bを含む領域である。詳しくは、端部領域91は、長手方向の一方に位置する第1端部領域91Aと、長手方向の他方に位置する第2端部領域91Bとを有する。
【0041】
第1端部領域91Aは、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aの外側に位置するとともに接触領域90の一端90Aを含む領域である。より詳しくは、第1端部領域91Aは、長手方向において、接触領域90の一端90Aから内側へ所定長さL1の領域である。また、第2端部領域91Bは、長手方向において、抵抗発熱体12の他端12Bの外側に位置するとともに接触領域90の他端90Bを含む領域である。より詳しくは、第2端部領域91Bは、長手方向において、接触領域90の他端90Bから内側へ所定長さL1の領域である。
【0042】
所定長さL1は、長手方向における接触領域90の一端90Aの位置から抵抗発熱体12の一端12Aの位置までの距離よりも短い。所定長さL1は、長手方向における接触領域90の他端90Bの位置から抵抗発熱体12の他端12Bの位置までの距離よりも短い。
【0043】
また、端部領域91は、長手方向において、加熱ユニット1で使用可能な最大幅W1のシートが通過可能な範囲の外側に位置している。すなわち、端部領域91は、長手方向において、シートが通過しない範囲に位置している。
【0044】
中央領域92は、接触領域90のうち、長手方向において端部領域91の間に位置する領域である。中央領域92は、長手方向において抵抗発熱体12が位置する範囲に位置している。詳しくは、中央領域92は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの内側に位置している。
【0045】
また、中央領域92は、長手方向において、最大幅W1のシートが通過可能な範囲に対応する位置に位置している。本実施形態では、中央領域92は、長手方向において、最大幅W1のシートが通過可能な範囲の内側に位置している。すなわち、本実施形態では、長手方向において、中央領域92の長さは、最大幅W1よりも短い。
【0046】
熱伝導部材30は、第1部分31と、2つの第2部分32と、2つの第3部分33とを有する。
【0047】
第1部分31は、長手方向において、中央領域92に対応する位置に位置する部分である。第1部分31は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの内側に位置している。第1部分31は、ヒータ10の裏側面16と接触している。本実施形態では、ヒータ10の裏側面16と第1部分31が接触する領域が中央領域92となっている。
【0048】
第2部分32は、長手方向において、第1部分31の外側に位置する部分である。第2部分32は、ヒータ10の裏側面16と接触しない。詳しくは、第2部分32は、熱伝導部材30を構成するシート状の部材の一部を、ヒータ10の裏側面16から離れる方向に凸となるように、略U字形状に曲げることで形成されている。第2部分32は、ヒータ10の裏側面16に対し、隙間を有する状態で対向している。本実施形態では、第2部分32は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aまたは他端12Bと同じ位置に位置している。
【0049】
第3部分33は、長手方向において、第2部分32の外側に位置する部分である。第3部分33は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの外側に位置している。また、第3部分33は、長手方向において端部領域91に対応する位置に位置している。第3部分33は、ヒータ10の裏側面16と接触している。本実施形態では、ヒータ10の裏側面16と第3部分33が接触する領域が端部領域91となっている。
【0050】
加熱ユニット1は、接触領域90のうち、中央領域92に熱伝導グリス70が介在している。接触領域90のうち、端部領域91には熱伝導グリス70が介在していない。具体的には、熱伝導グリス70は、ヒータ10の裏側面16と第1部分31との間に介在している。熱伝導グリス70は、ヒータ10の裏側面16と第3部分33との間には介在していない。
【0051】
加熱ユニット1では、熱伝導部材30の第1部分31に熱伝導グリス70を塗布し、その上からヒータ10を配置することで、ヒータ10の裏側面16と熱伝導部材30の第1部分31との間に熱伝導グリス70を介在させている。第3部分33には熱伝導グリス70を塗布しない。
【0052】
なお、熱伝導グリス70は、中央領域92の全体に介在していてもよいし、中央領域92の一部のみに介在していてもよい。また、図2(a)に示したように、熱伝導グリス70は、その一部が、ヒータ10と第1部分31との間からはみ出て、ヒータ10と第2部分32との間の隙間に入り込んでいてもよい。また、熱伝導グリス70は、ヒータ10と第1部分31の間のみに介在していてもよい。
【0053】
以上説明した第1実施形態によれば、接触領域90のうち、中央領域92に熱伝導グリス70が介在していることで、ヒータ10と熱伝導部材30との間の熱の移動を熱伝導グリス70を介して中央領域92で促進することができる。これにより、長手方向において抵抗発熱体12が位置する領域での、熱伝導部材30による長手方向の温度分布を均一に近づける均熱効果を高めることができる。
【0054】
特に、熱伝導グリス70がヒータ10と第1部分31との間に介在していることで、ヒータ10と熱伝導部材30との間の熱の移動を熱伝導グリス70を介して第1部分31が位置する領域でより促進することができる。
【0055】
また、熱伝導部材30が、長手方向において、中央領域92に対応する位置に位置する第1部分31の外側に、ヒータ10と接触しない第2部分32を有するので、ヒータ10内の熱が第2部分32から熱伝導部材30へ移動するのを抑制することができる。これにより、ヒータ10と熱伝導部材30との間の熱の移動を第1部分31が位置する領域で促進することができる。
【0056】
また、第2部分32がヒータ10の裏側面16に対して隙間を有する状態で対向していることで、第2部分32をヒータ10の裏側面16と接触しないようにすることができる。また、ヒータ10と第2部分32との間に隙間があることで、ヒータ10と第1部分31との間からはみ出た熱伝導グリス70を、ヒータ10と第2部分32との間の隙間に留めることができる。これにより、加熱ユニット1の使用中に、熱伝導グリス70がヒータ10と第3部分33との間に入り込むのを抑制することができる。
【0057】
また、熱伝導部材30が、長手方向において、第2部分32の外側に位置し、ヒータ10と接触する第3部分33を有するので、ヒータ10の長手方向における端部の熱を熱伝導部材30の第3部分33に逃がすことができる。これにより、ヒータ10やベルト3の端部の温度が上がりすぎるのを抑制することができる。
【0058】
特に、端部領域91(第3部分33)が、長手方向において、最大幅W1のシートが通過可能な範囲の外側に位置することで、ヒータ10やベルト3の、最大幅W1のシートが通過可能な範囲の外側の部分の熱を熱伝導部材30に逃がすことができ、この部分の温度が上がりすぎるのを抑制することができる。すなわち、長手方向において、ヒータ10やベルト3の、シートが通過しない範囲に対応する位置に位置する部分の温度が上がりすぎるのを抑制することができる。
【0059】
また、熱伝導部材30がシート状であるので、熱伝導部材30の熱容量を小さくすることができる。これにより、ヒータ10によってベルト3のヒータ10と接触する部分の温度を迅速に上げることができるので、加熱ユニット1の立ち上がり時間を短くすることができる。
【0060】
次に、第2実施形態について説明する。なお、以下では、先に説明した実施形態と異なる点について詳細に説明し、先に説明した実施形態と同様の点については、例えば、同様の構成要素に同一の符号を付すなどして適宜説明を省略する。
【0061】
図3および図4に示すように、熱伝導部材30は、第1部分31と、2つの第2部分32と、2つの第3部分33とを有する。図4に示すように、熱伝導部材30は、曲げのない平らなシート状であり、熱伝導部材30の長手方向に直交する短手方向の長さが、長手方向にわたって略一定である。また、第1部分31の長手方向の長さは、第2部分32の長手方向の長さよりも長い。
【0062】
第2部分32は、貫通した矩形の穴32Hを有している。穴32Hは、長手方向において、第1部分31の外側の端と第3部分33の内側の端に隣接している。第2部分32は、熱伝導部材30の短手方向において、穴32Hの両側の部分がヒータ10の裏側面16と接触している。
【0063】
第2部分32の、長手方向に直交する断面の断面積S32は、第1部分31の、長手方向に直交する断面の断面積S31よりも小さくなっている。すなわち、長手方向における単位長さあたりの第2部分32とヒータ10の裏側面16との接触面積は、長手方向における単位長さあたりの第1部分31とヒータ10の裏側面16との接触面積よりも小さくなっている。
【0064】
なお、第1部分31の、長手方向に直交する断面は、第1部分31に、例えば、サーミスタやサーモスタットなどの温度検知部材を配置するための図示しない貫通孔や切欠などが設けられている場合には、長手方向において、そのような貫通孔や切欠などが設けられていない位置における、長手方向に直交する断面とする。
【0065】
図3に示すように、接触領域90のうち、中央領域92は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの内側に位置している。本実施形態では、ヒータ10の裏側面16と第1部分31が接触する領域と、ヒータ10の裏側面16と第2部分32が接触する領域の一部(長手方向において抵抗発熱体12の端12A,12Bよりも内側の部分)が中央領域92となっている。また、本実施形態では、長手方向において、中央領域92の長さは、最大幅W1よりも長い。
【0066】
また、接触領域90のうち、端部領域91は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの外側に位置している。長手方向において、端部領域91の、接触領域90の端90A,90Bからの長さは、所定長さL1である。本実施形態でも、ヒータ10の裏側面16と第3部分33が接触する領域が端部領域91となっている。
【0067】
熱伝導グリス70は、接触領域90うち、中央領域92に介在している。熱伝導グリス70は、接触領域90のうちの端部領域91には介在していない。具体的には、熱伝導グリス70は、第1部分31、および、第2部分32の、長手方向において抵抗発熱体12の端12A,12Bよりも内側の部分と、ヒータ10の裏側面16との間に介在している。また、熱伝導グリス70は、第3部分33と、ヒータ10の裏側面16との間には介在していない。
【0068】
なお、熱伝導グリス70は、第1部分31とヒータ10の間のみに介在していてもよい。また、熱伝導グリス70は、第2部分32の、長手方向において抵抗発熱体12の端12A,12Bよりも外側の部分と、ヒータ10の裏側面16との間に介在していなくてもよいし(図3参照)、介在していてもよい。
【0069】
以上説明した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
また、第2実施形態において、第2部分32は、第1実施形態とは異なり、ヒータ10と接触しているが、接触面積が小さいため、ヒータ10内の熱が第2部分32から熱伝導部材30へ移動するのを抑制することができる。これにより、ヒータ10と熱伝導部材30との間の熱の移動を接触面積が大きい第1部分31が位置する領域で促進することができる。
【0071】
また、第2部分32を穴32Hを有する構成とすることで、熱伝導部材30に断面積が小さい第2部分32を容易に形成することができる。
【0072】
なお、第2実施形態では、各第2部分32に穴32Hが1つずつ形成されていたが、これに限定されず、複数形成されていてもよい。また、穴32Hの形状は任意であり、矩形に限定されず、例えば、円形などであってもよい。また、穴32Hは、貫通した穴ではなく、ヒータ10に向けて開口する、貫通していない穴(凹部)であってもよい。また、第2部分32には、穴32Hでなく、短手方向の一方の端部を切り欠いた切欠(凹部)が形成されていてもよい。
【0073】
以上、実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。
【0074】
例えば、第1実施形態では、熱伝導部材30がシート状の部材の一部を曲げることで形成され、第2実施形態では、熱伝導部材30が平らなシート状の部材の一部に貫通した穴32Hを有していたが、これに限定されない。例えば、図5に示すように、熱伝導部材30は、穴32Hが設けられていない平らなシート状であってもよい。
【0075】
図5に示す変形例においても、前記した実施形態と同様に、ヒータ10の裏側面16と熱伝導部材30との接触領域90は、2つの端部領域91と、中央領域92とを含む。
【0076】
端部領域91は、長手方向において抵抗発熱体12の外側に位置するとともに接触領域90の端90A,90Bを含む領域である。詳しくは、第1端部領域91Aは、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aの外側に位置するとともに接触領域90の一端90Aを含む領域である。より詳しくは、第1端部領域91Aは、長手方向において、接触領域90の一端90Aから内側へ所定長さL2の領域である。また、第2端部領域91Bは、長手方向において、抵抗発熱体12の他端12Bの外側に位置するとともに接触領域90の他端90Bを含む領域である。より詳しくは、第2端部領域91Bは、長手方向において、接触領域90の他端90Bから内側へ所定長さL2の領域である。
【0077】
所定長さL2は、長手方向における接触領域90の一端90Aの位置から抵抗発熱体12の一端12Aの位置までの距離と略同じである。所定長さL2は、長手方向における接触領域90の他端90Bの位置から抵抗発熱体12の他端12Bの位置までの距離と略同じである。
【0078】
中央領域92は、長手方向において抵抗発熱体12が位置する範囲に位置している。詳しくは、中央領域92は、長手方向において、抵抗発熱体12の一端12Aおよび他端12Bの内側に位置している。熱伝導グリス70は、接触領域90うち、中央領域92に介在している。熱伝導グリス70は、接触領域90のうちの端部領域91には介在していない。
【0079】
また、前記実施形態では、熱伝導部材30が1枚のシート状の部材からなっていたが、これに限定されない。例えば、熱伝導部材は、複数枚のシート状の部材の組合せにより構成されていてもよい。この場合、複数枚のシート状の部材は、材質、熱伝導率、形状などが互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよい。
【0080】
また、前記実施形態では、熱伝導部材30がシート状(フィルム状および板状を含む)であったが、これに限定されない。例えば、熱伝導部材は、板状よりも厚めの形状であってもよい。
【0081】
また、前記実施形態では、ヒータ10の基板11がセラミックの細長い長方形の板からなっていたが、熱伝導部材よりも熱伝導率が小さければ、これに限定されない。例えば、ヒータの基板は、ステンレスなどの金属の細長い長方形の板からなっていてもよい。
【0082】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 加熱ユニット
3 ベルト
3B 内周面
10 ヒータ
11 基板
12 抵抗発熱体
15 ニップ面
16 裏側面
20 ホルダ
30 熱伝導部材
70 熱伝導グリス
90 接触領域
90A 一端
90B 他端
91 端部領域
92 中央領域
図1
図2
図3
図4
図5