(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車両用カウル構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/08 20060101AFI20241210BHJP
B60R 13/04 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B62D25/08 H
B60R13/04 Z
(21)【出願番号】P 2021029948
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】八代 裕直
【審査官】近藤 利充
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049791(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0069243(KR,A)
【文献】独国特許発明第04313783(DE,C1)
【文献】実開昭60-016680(JP,U)
【文献】特開昭58-030821(JP,A)
【文献】特開2007-326385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0152441(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/08
B60R 13/04
B60H 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のウィンドシールドの下縁に沿って配置されるカウルトップパネルと、該カウルトップパネルの車両前方に配置されるカウルトップガーニッシュとを備える車両用カウル構造において、
前記カウルトップパネルは、車幅方向中央よりも外側の箇所に形成され該カウルトップパネルを貫通し外気を車室側に取り入れるパネル側外気取入口を有し、
前記カウルトップガーニッシュは、少なくとも前記パネル側外気取入口の車両前方に形成され当該カウルトップガーニッシュを貫通し該パネル側外気取入口に外気を導くガーニッシュ側外気導入口を有し、
当該車両用カウル構造はさらに、前記カウルトップパネルと前記カウルトップガーニッシュの間に配置される遮蔽部材を備え、
前記遮蔽部材は、
前記カウルトップガーニッシュのうち前記パネル側外気取入口の車両前方から車幅方向内側の範囲に沿って延びる平面部と、
前記パネル側外気取入口の車両前方から車幅方向外側にわたって形成され該平面部よりも窪み車両前側が開放されている凹形状部とを有し、
前記凹形状部の底部は、車両前側下方に向かって傾斜してい
て、
前記遮蔽部材はさらに、前記凹形状部の内側に車幅方向に複数設けられて車両前後方向に延びる複数の縦リブを有することを特徴とする車両用カウル構造。
【請求項2】
前記遮蔽部材はさらに、前記平面部および前記凹形状部の車両後側に車幅方向にわたって形成され前記カウルトップガーニッシュに取り付けられる取付領域を有し、
前記平面部は、前記取付領域から車両前側下方に傾斜して延びていて、
前記凹形状部は、前記取付領域から車両前側下方に前記平面部よりも大きい勾配で傾斜する上段部を含み、
前記凹形状部の底部は、前記上段部から湾曲しながら車両前側下方に向かって該上段部よりも小さい勾配で延びていて、
前記凹形状部は、前記ガーニッシュ側外気導入口よりも車幅方向外側にまで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用カウル構造。
【請求項3】
前記複数の縦リブのうち車幅方向端部の縦リブと前記凹形状部の車幅方向の側壁との間隔は、該複数の縦リブ同士の間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用カウル構造。
【請求項4】
前記遮蔽部材はさらに、
前記平面部の前縁から前記凹形状部の前縁にかけて連続して形成される縁リブと、
前記縁リブの前記縦リブと交わる箇所を切り欠いて形成され前記車幅方向端部の縦リブと前記側壁との間の範囲および前記複数の縦リブ同士の間の範囲それぞれに少なくとも1つ以上設けられる複数の切欠部とを有することを特徴とする請求項3に記載の車両用カウル構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用カウル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両には、左右のAピラーにわたるようにウィンドシールドの下縁に沿ってカウルトップパネルが設置されている。カウルトップパネルは、ワイパーの設置場所としても利用され、車両前側をカウルトップガーニッシュ等によって覆われた状態に設置される。例えば、特許文献1のカウル部構造では、
図3等に示されるように、カウルパネル1の車両前側が、上記カウルトップガーニッシュに類似する部材であるカウルルーバ3で覆われている。
【0003】
上記カウルトップパネルやカウルトップガーニッシュは、ウィンドシールドから流れ落ちる雨水等を受ける部材でもある。ここで、特許文献1では、
図3等に示されるように、カウルルーバ3の外気取り入れ口Aからカウルパネル1の空気導入口1dに外気が流入するとき、雨水や洗浄水等が浸入しないよう、カバー部材9を設置している。カバー部材9は、カウルルーバ3の外気取り入れ口Aから浸入した水を空気流入凹部9eで受けることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構造では、カバー部材9に角張った窪みとして空気流入凹部9eを設けているのみであるため、水の流れが不安定になるおそれがあるなど、円滑な排水を行うためには改善の余地を残している。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、雨水等の車室側への浸入を効率よく防止可能な車両用カウル構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用カウル構造の代表的な構成は、車両のウィンドシールドの下縁に沿って配置されるカウルトップパネルと、カウルトップパネルの車両前方に配置されるカウルトップガーニッシュとを備える車両用カウル構造において、カウルトップパネルは、車幅方向中央よりも外側の箇所に形成されカウルトップパネルを貫通し外気を車室側に取り入れるパネル側外気取入口を有し、カウルトップガーニッシュは、少なくともパネル側外気取入口の車両前方に形成され当該カウルトップガーニッシュを貫通しパネル側外気取入口に外気を導くガーニッシュ側外気導入口を有し、当該車両用カウル構造はさらに、カウルトップパネルとカウルトップガーニッシュの間に配置される遮蔽部材を備え、遮蔽部材は、カウルトップガーニッシュのうちパネル側外気取入口の車両前方から車幅方向内側の範囲に沿って延びる平面部と、パネル側外気取入口の車両前方から車幅方向外側にわたって形成され平面部よりも窪み車両前側が開放されている凹形状部とを有し、凹形状部の底部は、車両前側下方に向かって傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、雨水等の車室側への浸入を効率よく防止可能な車両用カウル構造を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用カウル構造の概要を示した図である。
【
図2】
図1(b)の遮蔽部材の設置時の様子を上方から見て示した図である。
【
図3】
図2の遮蔽部材を各方向から示した図である。
【
図4】
図1(a)の車両用カウル構造のC-C断面図である。
【
図5】
図3(a)の遮蔽部材を車両前方から示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両用カウル構造は、車両のウィンドシールドの下縁に沿って配置されるカウルトップパネルと、カウルトップパネルの車両前方に配置されるカウルトップガーニッシュとを備える車両用カウル構造において、カウルトップパネルは、車幅方向中央よりも外側の箇所に形成されカウルトップパネルを貫通し外気を車室側に取り入れるパネル側外気取入口を有し、カウルトップガーニッシュは、少なくともパネル側外気取入口の車両前方に形成され当該カウルトップガーニッシュを貫通しパネル側外気取入口に外気を導くガーニッシュ側外気導入口を有し、当該車両用カウル構造はさらに、カウルトップパネルとカウルトップガーニッシュの間に配置される遮蔽部材を備え、遮蔽部材は、カウルトップガーニッシュのうちパネル側外気取入口の車両前方から車幅方向内側の範囲に沿って延びる平面部と、パネル側外気取入口の車両前方から車幅方向外側にわたって形成され平面部よりも窪み車両前側が開放されている凹形状部とを有し、凹形状部の底部は、車両前側下方に向かって傾斜していることを特徴とする。
【0011】
上記構成の遮蔽部材は、車幅方向内側に平面部が形成され、車幅方向外側に凹形状部が形成された構成になっている。この遮蔽部材によれば、パネル側外気取入口に向かって流れる外気を平面部から凹形状部にかけて受け、外気に含まれる水を凹形状部に集めて排水することができる。よって、上記構成によれば、パネル側外気取入口への水の浸入を効率よく防ぐことが可能である。
【0012】
上記の遮蔽部材はさらに、平面部および凹形状部の車両後側に車幅方向にわたって形成されカウルトップガーニッシュに取り付けられる取付領域を有し、平面部は、取付領域から車両前側下方に傾斜して延びていて、凹形状部は、取付領域から車両前側下方に平面部よりも大きい勾配で傾斜する上段部を含み、凹形状部の底部は、上段部から湾曲しながら車両前側下方に向かって上段部よりも小さい勾配で延びていて、凹形状部は、ガーニッシュ側外気導入口よりも車幅方向外側にまで形成されている。
【0013】
上記構成の遮蔽部材によれば、ガーニッシュ側外気導入口から浸入した水を効率よく受け、凹形状部に集めて排水することで、パネル側外気取入口への浸水を防ぐことができる。
【0014】
上記の遮蔽部材はさらに、凹形状部の内側に車幅方向に複数設けられて車両前後方向に延びる複数の縦リブを有し、複数の縦リブのうち車幅方向端部の縦リブと凹形状部の車幅方向の側壁との間隔は、複数の縦リブ同士の間隔よりも大きい。
【0015】
上記構成によれば、凹形状部に流入した水を複数の縦リブによって分散させることで、水が局所的に溜まることを抑え、水が径路外へ流れ出ることを防止することが可能である。また、縦リブの間隔を外側ほど広げること、すなわち水が流れ込みやすい凹形状部の端側のスペースを広く設定することで、水が凹形状部から溢れることを防ぎ、水を効率よく排水することが可能になる。
【0016】
上記の遮蔽部材はさらに、平面部の前縁から凹形状部の前縁にかけて連続して形成される縁リブと、縁リブの縦リブと交わる箇所を切り欠いて形成され車幅方向端部の縦リブと側壁との間の範囲および複数の縦リブ同士の間の範囲それぞれに少なくとも1つ以上設けられる複数の切欠部とを有する。
【0017】
上記構成によって、排水経路を明確にし、パネル側外気取入口の浸水を効率よく防ぐことができる。また、縦リブと縁リブの交点に切欠部を設けることで、遮蔽部材に外部から荷重がかかった場合に適度な変形を促し、衝撃を吸収することが可能になる。
【実施例】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
図1は、本発明の実施例に係る車両用カウル構造100の概要を示した図である。以下、
図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0020】
図1(a)は、本発明の実施例に係る車両用カウル構造100の斜視図である。当該車両用カウル構造100には、カウルトップガーニッシュ108が含まれている。カウルトップガーニッシュ108は、主に樹脂製の部材であって、ウィンドシールド102の下方にて、後述するカウルトップパネル106(
図1(b)参照)の車両前方に配置されている。
【0021】
図1(b)は、
図1(a)のカウルトップガーニッシュ108を取り外した図である。カウルトップパネル106は、車室側とその前方のパワーユニット搭載ルームとを仕切るダッシュパネル104(
図4参照)の上方にて、車両のウィンドシールド102の下縁に沿って配置される。
【0022】
カウルトップパネル106は、車幅方向中央よりも外側の箇所に、パネル側外気取入口110を有している。パネル側外気取入口110は、カウルトップパネル106を貫通して形成され、外気を車室側に取り入れるために利用される。
【0023】
前述したカウルトップガーニッシュ108は、パネル側外気取入口110に外気を導くガーニッシュ側外気導入口112を有している。ガーニッシュ側外気導入口112は、当該カウルトップガーニッシュ108を貫通する複数のスリットが車幅方向に並んだ構成になっていて、一部が少なくともパネル側外気取入口110の車両前方かつ上方に位置するよう形成されている。
【0024】
当該車両用カウル構造100では、カウルトップパネル106から車室側への雨水等の浸入を防ぐために、カウルトップガーニッシュ108とカウルトップパネル106との間に遮蔽部材114を設けている。遮蔽部材114は、カウルドリップエクステンションとも称呼され、少なくともパネル側外気取入口110の車両前方かつ上方に位置するよう配置される。
【0025】
図2は、
図1(b)の遮蔽部材114の設置時の様子を上方から見て示した図である。遮蔽部材114は、主要な部位として、平面部118と凹形状部120を有している。平面部118は、当該遮蔽部材114のうち車幅方向内側に形成されている平面的な部位であり、下方のカウルトップパネル106に対してひさしの役割をする。凹形状部120は、当該遮蔽部材114のうち車幅方向外側に形成されていて、平面部118よりも下方に窪み、車両前側が開放されていて、雨水等の排水経路として利用される。
【0026】
遮蔽部材114は、カウルトップガーニッシュ108(
図1(b)参照)の内側にクリップや締結具等を使用して取り付けられ、カウルトップガーニッシュ108と共にカウルトップパネル106の車両前方かつ上方に配置される。これにより、平面部118は、カウルトップガーニッシュ108のうちパネル側外気取入口110の車両前方から車幅方向内側の範囲に沿って延びた状態となる。また、凹形状部120は、平面部118の車幅方向外側にて、パネル側外気取入口110の車両前方から車幅方向外側にわたって形成された状態となる。
【0027】
図3は、
図2の遮蔽部材114を各方向から示した図である。
図3(a)は、遮蔽部材114を
図2と同じ方向から単独で示している。遮蔽部材114は、平面部118および凹形状部120の車両後側に、車幅方向にわたって取付領域116を有している。取付領域116は、カウルトップガーニッシュ108に取り付けられる領域であり、クリップや締結具等を使用する取付孔122が複数設けられている。また、平面部118にも同様の取付孔124が設けられている。
【0028】
図3(b)は、
図3(a)の遮蔽部材114の平面部118のA-A断面図である。平面部118は、取付領域116から車両前側下方に傾斜して延びていて、上方のカウルトップガーニッシュ108(
図1(b)参照)のガーニッシュ側外気導入口112から入った水を受け流すことが可能になっている。平面部118の前縁126には、上方に屈曲した縁リブ128が形成されている。
【0029】
図3(c)は、
図3(a)の遮蔽部材114の凹形状部120のB-B断面図である。凹形状部120もまた、取付領域116から車両前側下方に傾斜して延びている。詳しくは、凹形状部120は、上段部130、湾曲部132、および底部134を含んで構成されている。
【0030】
上段部130は、取付領域116から車両前側下方に、平面部118(
図3(b)参照)よりも大きい勾配で傾斜している。湾曲部132は、上段部130から底部134にかけて車両前方に湾曲し、上段部130から流れ落ちる水を底部134へと円滑に流す働きを担っている。底部134は、車両前側下方に向かって平面部118と同じ程度のおおよそ上段部130よりも小さい勾配で傾斜して延びている。
【0031】
底部134の前縁136にも、縁リブ128が形成されている。当該底部134の前縁
136は、平面部118(
図3(b)参照)の前縁126よりも車両下方に位置した状態となる。
【0032】
図4は、
図1(a)の車両用カウル構造100のC-C断面図である。このC-C断面は、カウルトップガーニッシュ108のガーニッシュ側外気導入口112、およびカウルトップパネル106のパネル側外気取入口110に車両前後方向にわたる線分で切断した断面である。
図2に示したように、本実施例では、凹形状部120は、パネル側外気取入口110およびガーニッシュ側外気導入口112よりも車幅方向外側にまで到達するよう形成されている。
【0033】
図4に示すように、カウルトップガーニッシュ108のガーニッシュ側外気導入口112から流れ落ちた水W2は、下方の遮蔽部材114によって受けられる。前述したように遮蔽部材114は、車幅方向内側に平面部118(
図2参照)が形成され、車幅方向外側に凹形状部120が形成された構成になっている。遮蔽部材114は、パネル側外気取入口110に向かって流れる外気W1を平面部118から凹形状部120にかけて受け、外気W1に含まれる水W2を凹形状部120に集めて排水することができる。
【0034】
本実施例では、カウルトップガーニッシュ108から浸入した水W2を、遮蔽部材114によって車両前方、すなわちカウルトップパネル106から遠ざける方向の経路で流すことができる。したがって、本実施例によれば、水W2のパネル側外気取入口110への浸入を効率よく防ぐことが可能である。
【0035】
図5は、
図3(a)の遮蔽部材114を車両前方から示した図である。
図5(a)は、
図2の遮蔽部材114を車両前方から見て示した図である。遮蔽部材114はさらに、凹形状部120の内側に、車幅方向に複数の縦リブ138a~138cが設けられている。縦リブ138a~138cは、凹形状部120の底部134に壁状に立てられた車両前後方向に延びるリブであり、凹形状部120の側壁140a、140bと平行に計3つ設けられている。
【0036】
図5(b)は、
図5(a)の凹形状部120の拡大図である。縦リブ138a等は、上端142が凹形状部120の上段部130に到達する程度の高さに形成され、この上端142が車両前側下方に傾斜して延びた構成になっている。
【0037】
ここで、遮蔽部材114は、平面部118(
図5(a)参照)が凹形状部120に向かって、少し傾いた構成になっている。また、平面部118と凹形状部120との間からは角が取られ、凹形状部120は平面部118などの周囲の領域から丸みを帯びながら窪んでいる。これらによって、凹形状部120には、平面部118等から水が集まりやすくなっている。これに対して、複数の縦リブ138a~138cは、凹形状部120に流入した水を分散させて、水が凹形状部120内で局所的に溜まることを抑え、水が径路外へ流れ出ることを防止している。
【0038】
本実施例では、縦リブ138a~138cは不等間隔になるよう設置されている。特に、車幅方向端部の縦リブ138a、138cと、凹形状部120の側壁140a、140bとの間隔E1、E4が、縦リブ138aと縦リブ138bの間隔E2、および縦リブ138bと縦リブ138cとの間隔E3よりも大きくなるよう設定している。より詳しくは、間隔E1、間隔E4、間隔E3、間隔E2の順に大きくなるよう設定している(E1>E4>E3>E2)。
【0039】
当該遮蔽部材114では、各縦リブの間隔E1~E4を車幅方向の外側ほど広げること、すなわち水が周囲から流れ込みやすい凹形状部120の端側のスペースである間隔E1、E4を広く設定することで、水が凹形状部120から溢れることを防ぎ、水を効率よく排水することを可能にしている。また、中央側の間隔E2、E3を狭く設定することで、凹形状部120の中央側での剛性を向上させ、走行時の振動や水圧に対する耐性を向上させることが可能になっている。
【0040】
遮蔽部材114では、平面部118の前縁126から凹形状部120の前縁136にかけて、縁リブ128が連続して形成されている。この縁リブ128には、縦リブ138a~138cと交わる箇所、および側壁140bと交わる箇所を切り欠くことで、切欠部144a~144dが設けられている。切欠部144a~144dは、凹形状部120からの排水経路や、凹形状部120に適度な変形を許容させるために利用される。
【0041】
切欠部144a~144dは、縁リブ128のうち、間隔E1から間隔E4ごと、すなわち車幅方向端部の縦リブ138a、138cと側壁140a、140bそれぞれとの間の範囲、および縦リブ138a~138c同士の間の範囲それぞれに少なくとも1つ以上設けられている。特に、切欠部144a~144dは、間隔E1から間隔E4それぞれの中で、最も低くなる箇所や、平面部118および凹形状部120の上段部130から流れ落ちる水が集まる箇所などに形成されている。
【0042】
切欠部144a~144dによって、排水経路が明確になるため、カウルトップパネル106(
図4参照)から遠ざける方向に排水するなど、パネル側外気取入口110の浸水を効率よく防ぐことが可能になる。また、縦リブ138a~138cと縁リブ128の交点に切欠部144a~144dを設けることで、遮蔽部材114に外部から荷重がかかった場合に適度な変形を促し、衝撃を吸収することが可能になる。例えば、当該車両のフロントフードに歩行者が接触した場合など、遮蔽部材114が適度に変形可能になっていることで、衝撃吸収に役立てることができる。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、車両用カウル構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
100…車両用カウル構造、102…ウィンドシールド、104…ダッシュパネル、106…カウルトップパネル、108…カウルトップガーニッシュ、110…パネル側外気取入口、112…ガーニッシュ側外気導入口、114…遮蔽部材、116…取付領域、118…平面部、120…凹形状部、122…取付孔、124…取付孔、126…前縁、128…縁リブ、130…上段部、132…湾曲部、134…底部、136…前縁、138a~138c…縦リブ、140a、140b…側壁、142…上端、144a~144d…切欠部、E1~E4…間隔、W1…外気、W2…水