(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241210BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/175 113
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 303
(21)【出願番号】P 2021030166
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2024-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 聡
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】中澤 史朗
(72)【発明者】
【氏名】白野 太一
(72)【発明者】
【氏名】山本 啓介
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137021(JP,A)
【文献】特開2006-272900(JP,A)
【文献】特開2019-147268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0274712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/175
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
液体を貯留する液体貯留室、前記液体貯留室と外部とを連通するための大気連通路、及び、前記大気連通路を電気的に開閉するバルブを有する液体貯留部と、
前記バルブを駆動する電流を供給する制御部と、を備えており、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出回数、吐出量及び印刷枚数、並びに液体吐出ヘッドの経年のうちの少なくとも何れか一つの値をカウントし、
カウントされた値に関連する関連値が所定の閾値を超えた場合に、前記バルブに供給する電流値を増加させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体吐出ヘッドは、複数のサイズの液滴を吐出し、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドによって吐出される複数のサイズの液滴のうちの、最もミストになりやすいサイズの液滴の吐出回数又は吐出量の値をカウントし、
カウントされた値に関連する関連値が所定の閾値を超えた場合に、前記バルブに供給する電流値を増加させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体吐出ヘッドは、複数のサイズの液滴を吐出し、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドによって吐出される液滴の吐出回数又は吐出量の値を、サイズごとにそれぞれカウントし、
サイズごとにカウントされた値を、それぞれのサイズに対応する関連値に変換し、
前記それぞれのサイズに対応する関連値の合計値が所定の閾値を超えた場合に、前記バルブに供給する電流値を増加させることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
所定の閾値は複数設けられていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出回数の値及び前記液体吐出ヘッドの経年の値、前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出量の値及び前記液体吐出ヘッドの経年の値、又は、前記液体吐出ヘッドによる前記印刷枚数の値及び前記液体吐出ヘッドの経年の値の何れかの組み合わせをカウントし、
カウントされた2つの値のうちの一方又は両方に関連する値が所定の閾値を超えた場合に、前記バルブに供給する電流値を増加させることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出回数の値及び前記液体吐出ヘッドの経年の値、前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出量の値及び前記液体吐出ヘッドの経年の値、又は、前記液体吐出ヘッドによる前記印刷枚数の値及び前記液体吐出ヘッドの経年の値の何れかの組み合わせに対応する電流値を示すテーブルを有し、
前記バルブに供給する電流値を、前記テーブル中における、前記カウントされた2つの値に関連する関連値に対応する電流値となるように増加させることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッド及び前記液体貯留部を支持するキャリッジと、
記録媒体の搬送方向と交差する方向にキャリッジを移動させる移動機構と、
をさらに備え、
前記バルブは、前記キャリッジの上方に配置されていることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記バルブは電磁バルブであることを特徴とする請求項1~7の何れか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体貯留室に貯留されたインク(液体)を、液体吐出ヘッドから記録媒体に吐出して記録動作を行う液体吐出装置が知られている。特許文献1の液体噴射装置(液体吐出装置)は、液体噴射ヘッド(液体吐出ヘッド)のフラッシングにおいて、フラッシングボックスの負圧維持のための負圧ポンプの負荷軽減のためのカバー部材を含む。これにより、フラッシングによって液体噴射ヘッドからフラッシングボックスに吐出されたインクのうち、ミスト状になったインクのフラッシングボックス外への飛散を抑制できる。
【0003】
特許文献2のインクジェット記録装置(液体吐出装置)は、インクバッファ(液体貯留室)内の上部空気層と大気との連絡を制御する大気開放用電磁バルブを有している。大気開放用電磁バルブは、インクバッファにインクを供給する間、開放されている。これにより、インク供給時に、インクバッファ内の上部の空気を逃がすことが可能となって、インクバッファ内のインクが加圧されない。また、このインクジェット記録装置においては、パージング時には、大気開放用電磁バルブは閉塞されており、インクタンクから加圧されたインクが供給され、パージング動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-260309号公報
【文献】特開平1―46081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1や特許文献2の装置では、液体吐出ヘッドから吐出されたインクや液体貯留室に貯留されているインクは、その一部が蒸発して液体貯留室のバルブの可動部材及び/又はその周辺部材にミストとして付着する。バルブの可動部材及び/又はその周辺部材に付着したミストは凝縮すると可動部材が変位するときの抵抗になるので、付着するミスト量が増えるにつれてバルブを駆動する際の負荷が増大し、適切な開閉動作を行うことが困難となるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ミストの影響でバルブを駆動する際の負荷が上がったとしても確実にバルブの開閉制御ができる液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、液体を貯留する液体貯留室、前記液体貯留室と外部とを連通するための大気連通路、及び、前記大気連通路を電気的に開閉するバルブを有する液体貯留部と、前記バルブを駆動する電流を供給する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記液体吐出ヘッドによる液体の吐出回数、吐出量及び印刷枚数、並びに液体吐出ヘッドの経年のうちの少なくとも何れか一つの値をカウントし、カウントされた値に関連する関連値が所定の閾値を超えた場合に、前記バルブに供給する電流値を増加させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、液体の吐出回数、吐出量、印刷枚数又は経年の値が増加すると、ノズルから吐出された液体や液体貯留室の内部の液体の蒸発などにより生じたミストがバルブに付着する。本発明によれば、発生したミストが増加し、バルブを駆動する際の負荷が増大した場合に、バルブを駆動するために供給する電流値を増加させることができる。このため、ミストの影響によってバルブを駆動する際の負荷が増加したとしても、バルブの駆動に必要な電流値を供給することができ、確実にバルブを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【
図2】
図1に示すプリンタの内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図2に示すインクタンク及びインクジェットヘッドの側面図である。
【
図4】
図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態において電磁バルブに供給する電流値を示すテーブルである。
【
図6】第2実施形態において電磁バルブに供給する電流値を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るプリンタ1(本発明の液体吐出装置)について、
図1~
図7を参照しつつ、以下に説明する。なお、
図1に示す上下方向、左右方向及び前後方向を、プリンタ1の上下方向、左右方向及び前後方向とする。
【0011】
(プリンタ1の全体構成)
図1に示すように、プリンタ1は、概ね直方体の筐体11を有する。筐体11の前壁11aの略中央には、開口12が形成されている。開口12には、給紙トレイ15及び排紙トレイ16が、上下2段に設けられている。給紙トレイ15は、開口12から前後方向に挿抜可能、すなわち、筐体11から着脱可能に構成されている。所望のサイズ(例えば、A4サイズ)の用紙P(本発明の記録媒体)が給紙トレイ15に載置される。プリンタ1は、パーソナルコンピュータ(以下PCと称する)などの外部機器と接続可能である。そして、PCなどからの記録データに基づいて記録動作を実行する。
【0012】
前壁11aの上部には、
図1に示すように、操作部13が設けられている。操作部13は、各種設定のために操作されるボタンや、各種情報が表示される液晶ディスプレイなどによって構成されている。本実施形態において、操作部13は、ボタン及び液晶ディスプレイの双方の機能を有するタッチパネルによって構成されている。
【0013】
筐体11は、
図1及び
図2に示すように、その天井部分を構成する開閉カバー14を有する。開閉カバー14は、後端部において、左右方向に沿う回転軸(不図示)を回転中心として回動可能に構成されている。開閉カバー14を開くことで、後述のインクタンク61が露出され、インクタンク61にインクを注入して補充することが可能となる。
【0014】
(プリンタ1の内部構造)
次に、プリンタ1の内部構造について説明する。
図2に示すように、プリンタ1は、搬送機構20と、記録部30と、制御部40とを含む。
【0015】
搬送機構20は、給送部50と、搬送路52と、搬送ローラ対53と、排紙ローラ対54とを有する。給送部50は、
図2に示すように、給紙トレイ15に載置される用紙Pを搬送路52へ給送する。搬送ローラ対53は、給送部50によって給紙された用紙Pを記録部30に搬送する。記録部30は、例えば、インクジェット記録方式の構成を有し、搬送ローラ対53によって搬送された用紙Pに画像を記録する。排紙ローラ対54は、記録部30によって記録された用紙Pを排紙トレイ16に排紙する。
【0016】
給送部50は、
図2に示すように、給紙トレイ15の上側に設けられている。給送部50は、給紙ローラ50aとアーム50bとを有する。給紙ローラ50aは、アーム50bの先端に回転可能に支持されている。アーム50bは、支軸50cに回動可能に支持され、バネなどにより付勢されて給紙ローラ50aが給紙トレイ15に接触するように下側へ回動されている。また、アーム50bは、給紙トレイ15を着脱する際に上方へ退避可能に構成されている。給紙ローラ50aは、給紙モータ91M(
図5参照)によって駆動されて回転し、給紙トレイ15内に積載された用紙Pが、搬送路25へ給送される。
【0017】
給紙トレイ15は、
図2に示すように、斜壁部15aを有する。斜壁部15aは、給紙トレイ15に載置される用紙Pが給紙ローラ50aによって給送されるときに、用紙Pを搬送路52に案内する。
【0018】
搬送路52は、筐体11内に構成されており、
図2に示すように、給紙トレイ15の後側の端部から上方且つプリンタ1の前側へ曲がっている。給紙トレイ15から給送された用紙Pは、搬送路52により下方から上方へUターンするように案内されて記録部30に至る。
【0019】
搬送ローラ対53は、下側に配置された搬送ローラ53aと上側に配置されたピンチローラ53bとを有する。搬送ローラ53aは、搬送モータ92M(
図5参照)によって駆動されて回転する。ピンチローラ53bは、搬送ローラ53aの回転に伴って連れ回る。搬送ローラ53aとピンチローラ53bとは、協働して用紙Pを上下方向から挟持し、用紙Pを記録部30へ搬送する。
【0020】
排紙ローラ対54は、下側に配置された排紙ローラ54aと、上側に配置された拍車ローラ54bとを有する。排紙ローラ54aは、排紙モータ93M(
図5参照)によって駆動されて回転する。拍車ローラ54bは、排紙ローラ54aの回転に伴って連れ回る。排紙ローラ54aと拍車ローラ54bとは、協働して用紙Pを上下方向から挟持し、用紙Pを排紙トレイ16に搬送する。
【0021】
なお、本実施形態において、用紙Pの搬送方向とは、給紙トレイ15から搬送機構20によって搬送される方向であって、
図2中の実線矢印方向である。具体的には、用紙Pの搬送方向は、給紙ローラ50aによって前方から後方に送られ、搬送路52によってUターンするように案内され、さらに、搬送ローラ対53及び排紙ローラ対54によって後方から前方に送られる方向である。
【0022】
記録部30は、
図2に示すように、インクジェットヘッド31(本発明の液体吐出ヘッド)と、4つのインクタンク61(本発明の液体貯留部)と、キャリッジ70と、移動機構71と、プラテン17とを有する。キャリッジ70は、走査方向(左右方向であって、用紙Pの搬送方向と交差する方向)へ往復移動する。インクジェットヘッド31及びインクタンク61は、キャリッジ70に支持されている。つまり、本実施形態におけるプリンタ1は、インクタンク61及びインクジェットヘッド31がキャリッジ70に搭載された所謂オンキャリッジ型である。本実施形態におけるインクタンク61は、その全体がインクジェットヘッド31よりも上方に位置する。しかし、これに限らず、インクタンク61の一部がインクジェットヘッド31の上面よりも上方に位置し、残りの部分が当該上面よりも下方に位置していてもよい。
【0023】
それぞれのインクタンク61は、
図3に示すように、タンク本体62と、キャップ63と、大気連通路64と、電磁バルブ65とを有している。タンク本体62は、略直方体形状を有しており、内部にインクを貯留するためのインク貯留室62a(本発明の液体貯留室)が形成されている。それぞれのインク貯留室62aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック(M、C、Y、B)のインクが貯留される。また、タンク本体62は、主に透光性材料(例えば、透明又は半透明樹脂)により作製される。これにより、ユーザがインク貯留室62aにおけるインクの量を視認できる。
【0024】
タンク本体62には、
図3に示すように、その上壁62bを貫通する貫通孔62cが形成されている。貫通孔62cは、上壁62bの左右方向の中央であって、やや前方寄りの位置に形成されている。貫通孔62cには、筒体66が嵌め込まれている。筒体66は、その上端部にインク注入口67を有する。インク注入口67は、上方(すなわち、外部)に向かって開放された開口である。筒体66の内周面は、インク注入口67からインク貯留室62aに至るインク供給路66aを区画する。これにより、インク注入口67は、インク貯留室62aと連通する。
【0025】
キャップ63は、例えば柔軟性樹脂で作製され、インク注入口67を密閉可能である。キャップ63は、ユーザ操作により、筒体66の上端部に着脱可能であり、インク注入口67を閉塞または開放する。なお、インク注入口67は、キャップ63によって通常は閉塞されており、インク貯留室62aにインクを注入する際に、開放される。
【0026】
タンク本体62には、
図3に示すように、その上壁62bを貫通し、インク貯留室62aと外部とを連通する大気連通路64が形成されている。大気連通路64は、上壁62bの左右方向の中央であって、後方の位置に形成されている。
【0027】
電磁バルブ65は、大気連通路64を開閉するためのバルブである。電磁バルブ65は、キャリッジ70の上方に配置されている。電磁バルブ65は、2方向電磁バルブであって、弁部65aとソレノイド部65bとを有する。弁部65aは、インク貯留室62aに配置され、大気連通路64とインク貯留室62aとに連通する内部流路(不図示)と当該内部流路を開閉する弁(不図示)とを有している。電磁バルブ65は、制御部40の制御により、ソレノイド部65bが駆動されることで、弁部65aが前後方向に移動し、大気連通路64を開閉させる。
【0028】
また、タンク本体62には、その底壁62gを貫通し、インク貯留室62aのインクをインクジェットヘッド31へ流出する流出口62hが形成されている。流出口62hは、底壁62gの左右方向の中央であって、前端部付近の位置に配置されている。
【0029】
インクジェットヘッド31には、インクタンク61からのインクが供給される内部流路(不図示)を有する。また、インクジェットヘッド31は、
図3に示すように、その下面であるノズル面31aに形成された複数のノズル32からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル32は、前後方向であって用紙Pの搬送方向に沿ったノズル列を形成している。複数のノズル32からは、インクが吐出される。また、本実施形態において、インクジェットヘッド31は、ノズル32から、大サイズ、中サイズ、小サイズの3つのサイズのインク液滴を吐出可能である。
【0030】
インクジェットヘッド31は、
図3に示すように、接続部材69を介してインクタンク61と接続されている。接続部材69には、流出口62hとインクジェットヘッド31の内部流路とを繋ぐ連通路(液体流路)69aが形成されている。これにより、インクタンク61のインク貯留室62aに貯留されたインクがインクジェットヘッド31に供給される。
【0031】
プラテン17は、インクジェットヘッド31の下方に配設されており、搬送ローラ対53によって搬送される用紙Pを下方から支持する。プラテン17は、キャリッジ70の往復移動範囲のうち、用紙Pが通過する部分に配設されている。プラテン17の幅は、搬送可能な用紙Pの最大幅より十分に大きいので、搬送路52を搬送される用紙Pは常にプラテン17上を通過する。
【0032】
移動機構71は、
図2に示すように、一対のガイドレール72、及び、ベルト伝達機構(不図示)を含む。一対のガイドレール72は、前後方向に離隔して配置され、左右方向に互いに平行に延在している。キャリッジ70は、これら一対のガイドレール72を跨ぐように配置されている。キャリッジ70は、ベルト伝達機構を介してキャリッジモータ94M(
図5参照)に接続されており、キャリッジモータ94Mを駆動させると、ベルト伝達機構が駆動される。これにより、キャリッジ70が一対のガイドレール72に沿って走査方向(左右方向)に移動し、インクジェットヘッド31を左右方向に沿って移動させる。
【0033】
インクジェットヘッド31は、記録データに基づく制御部40の制御により、ノズル32からインクを吐出する。つまり、キャリッジ70が左右方向へ往復移動することにより、インクジェットヘッド31が用紙Pに対して走査されると共に、ノズル32から、インクを吐出することで、プラテン17上を搬送される用紙Pに画像が記録される。なお、プリンタ1内には、走査方向に間隔を空けて配列された多数の透光部(スリット)を有するリニアエンコーダ(不図示)が設けられている。一方、キャリッジ70には、発光素子と受光素子とを有する透過型の位置検出センサ(不図示)が設けられている。そして、プリンタ1は、キャリッジ51の移動中に位置検出センサが検出したリニアエンコーダの透光部の計数値から、キャリッジ70の走査方向に関する現在位置を認識できるようになっており、キャリッジモータ94Mの回転駆動が制御される。
【0034】
制御部40は、CPU(Central Processing Unit)131、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)135、及び、メモリ140を含む。これらCPU131、ASIC135、メモリ140は内部バス137によって接続される。メモリ140は、ROM(Read Only Memory)132、RAM(Random Access Memory)133、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)134を含む。ROM132には、プリンタ1の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。CPU131は、プログラムをRAM133やEEPROM134を使いつつ実行する。
【0035】
ASIC135は、インクジェットヘッド31、電磁バルブ65、給紙モータ91M、搬送モータ92M、排紙モータ93M、キャリッジモータ94M等に制御信号を出力し、これらの動作を制御する。例えば、制御部40は、外部機器(例えばPCやスマートフォン)から送信された記録データに基づいて、インクジェットヘッド31、給紙モータ91M、搬送モータ92M、排紙モータ93M、キャリッジモータ94M等を制御して、搬送処理と記録処理とを交互に実行し、用紙Pに画像等を記録させる。また、制御部40は、電磁バルブ65に任意の電流値の電流を供給して、電磁バルブ65の開閉動作を制御する。
【0036】
搬送処理は、搬送ローラ対53及び排紙ローラ対54に所定改行量だけ用紙Pを搬送させる処理である。制御部40は、搬送モータ92M及び排紙モータ93Mを制御することによって、搬送ローラ対53及び排紙ローラ対54に搬送処理を実行させる。記録処理は、キャリッジ70を左右方向に沿って移動させながら、インクジェットヘッド31を制御して、ノズル32からインク滴を吐出させる処理である。そして、制御部40は、今回の搬送処理と次回の搬送処理との間、用紙Pの搬送を一定期間停止させ、用紙Pの搬送が停止している間に記録処理を実行する。つまり、制御部40は、記録処理において、キャリッジ70を右向きまたは左向きに移動させながら、ノズル32からインク滴を吐出させる1回のパスを実行する。これにより、用紙Pに対して1パス分の画像記録が実行される。制御部40は、搬送処理と記録処理とを交互に繰り返し実行することによって、用紙Pの画像記録可能な全領域に、画像記録することが可能である。つまり、制御部40は、複数回のパスで1枚の用紙Pに画像記録させる。
【0037】
なお、本実施形態の制御部40では、CPU及びASICを1つずつ有しているが、制御部40は、ASICを1つだけ含み、この1つのASICが必要な処理を一括して行うものであってもよいし、ASICを複数含み、これら複数のASICが必要な処理を分担して行うものであってもよい。
【0038】
さらに、制御部40のASIC135は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値、及び、インクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせをカウントするカウント部150を含む(
図4参照)。ここで、上述したように、インクジェットヘッド31は、ノズル32から3つのサイズのインク液滴を吐出可能である。本実施形態では、カウント部150は、インクジェットヘッド31によって吐出される3つのサイズのインク液滴のうち、最もミストになりやすいサイズのインク液滴の吐出量の値をカウントする。最もミストになりやすいサイズとは、例えば、小サイズでもよく、中サイズでもよく、大サイズでもよく、3つのサイズのうちの2つのサイズでもよい。最もミストになりやすいサイズのインク液滴は、インクの種類や外部環境等の条件によって、適宜決定される。なお、カウント部150は、すべてのサイズのインク液滴の合計の吐出量の値をカウントするものでもよい。以下、単に「インクジェットヘッド31によるインクの吐出量」とするときは、最もミストになりやすいサイズのインク液滴の吐出量、及び、すべてのサイズのインク液滴の合計の吐出量の両方を含むものとする。
【0039】
制御部40のメモリ140には、
図5に示すように、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせに対応する電流値(A)を示すテーブル90が記憶されている。テーブル90は、縦軸がインクジェットヘッド31によるインクの吐出量(mL)を示し、横軸がインクジェットヘッド31の経年(年)を示す。テーブル90が示す電流値(A)は、インクの吐出量(mL)の値が増加するにつれて増加し、インクジェットヘッド31の経年(年)の値が増加するにつれて増加する。また、テーブル90が示す電流値(A)は1.2Aを上限としている。
【0040】
本実施形態において、テーブル90の縦軸に記載されたインクの吐出量(mL)のそれぞれの値及び横軸に記載された経年(年)のそれぞれの値が、本発明における「所定の閾値」に相当する。すなわち、本実施形態では、所定の閾値は複数設けられている。
【0041】
制御部40は、電磁バルブ65の開閉動作を駆動するために電磁バルブ65に供給する電流値を、テーブル90中における、カウント部150によってカウントされた2つの値に対応する電流値となるように増加させる。例えば、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値が600mLで、インクジェットヘッド31の経年の値が4年である場合、制御部40は、テーブル90に基づいて、電磁バルブ65に供給する電流値を0.6Aとする。本実施形態では、制御部40は、インクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の両方がそれぞれの「所定の閾値」を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させるように構成されている。
【0042】
本実施形態においては、カウント部150によってカウントされた値そのものが、本発明における「カウントされた値に関連する関連値」に相当する。なお、制御部40は、カウントされた値を所定の換算式に代入して、関連値に変換するものでもよい。
【0043】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、制御部40は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値をカウントし、カウントされた値が所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させる。インクの吐出量の値、インクジェットヘッド31の経年の値が増加すると、ノズル32から吐出されたインクやインク貯留室62aの内部のインクの蒸発などにより生じたミストが電磁バルブ65に付着する。本実施形態によれば、発生したミストが増加し、電磁バルブ65を駆動する際の負荷が増大した場合に、電磁バルブ65を駆動するために供給する電流値を増加させることができる。このため、ミストの影響によって電磁バルブ65を駆動する際の負荷が増加したとしても、電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができ、確実に電磁バルブ65を駆動することができる。
【0044】
また、本実施形態では、インクジェットヘッド31は、3つのサイズのインク液滴を吐出する。制御部40は、インクジェットヘッド31によって吐出される3つのサイズのインク液滴のうちの、最もミストになりやすいサイズのインク液滴の吐出量の値をカウントし、カウントされた値が所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させる。インクジェットヘッド31から吐出されるインク液滴には、ミストになりやすいサイズと、ミストになりにくいサイズとがある。すべてのサイズのインク液滴の吐出量の値をカウントして、当該値に対応して電磁バルブ65に供給する電流値を増加させると、消費電力が必要以上に増大してしまう。本実施形態によれば、3つのサイズのインク液滴を吐出するインクジェットヘッド31を含むプリンタ1において、最もミストになりやすいサイズのインク液滴の吐出量の値をカウントし、当該吐出量の値が所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させる。このため、すべてのサイズのインク液滴をカウントする場合と比べて、電磁バルブ65に供給する電流値を必要以上に増加させずにすむため、省エネルギーとなる。
【0045】
また、本実施形態では、所定の閾値は複数設けられている。これによれば、電磁バルブ65に供給する電流値を段階的に増加させることができる。このため、電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができ、確実に電磁バルブを駆動することができるとともに、必要以上に電流値を増加させる必要がないため省エネルギーとなる。
【0046】
さらに、本実施形態では、制御部40は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせをカウントし、カウントされた2つの値の両方がそれぞれ所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させる。電磁バルブ65に付着するミストの量は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値と、インクジェットヘッド31の経年の値の両方によって精度よく決まる。本実施形態では、インクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせに応じて、電磁バルブ65に供給する電流値が決定される。よって、ミストによる電磁バルブ65のバルブ駆動への影響をより反映させた形で、電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができ、より確実に電磁バルブ65を駆動することができる。
【0047】
また、本実施形態では、制御部40は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせに対応する電流値を示すテーブル90を有する。そして、制御部40は、電磁バルブ65に供給する電流値を、テーブル90中における、カウントされた2つの値に対応する電流値となるように増加させる。これによれば、電磁バルブ65に供給する電流値をテーブル90に示された電流値とすればよいため、より容易に電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができる。
【0048】
また、本実施形態では、インクジェットヘッド31及びインク貯留室62aを支持するキャリッジ70と、左右方向にキャリッジ70を移動させる移動機構71と、をさらに含む。そして、電磁バルブ65は、キャリッジ70の上方に配置されている。電磁バルブ65がキャリッジ70の上方に配置されている場合、より多くのミストが電磁バルブ65に付着しやすく、電磁バルブ65を駆動する際の負荷が増大しやすい。本実施形態によれば、キャリッジ70の上方に電磁バルブ65が配置された構成のプリンタ1において、ミストの影響によって電磁バルブ65を駆動する際の負荷が増加したとしても、電磁バルブ65の駆動に必要な電力を供給することができ、確実に電磁バルブ65を駆動することができる。
【0049】
さらに、本実施形態では、大気連通路64を電気的に開閉するバルブは電磁バルブ65である。電気的に開閉するバルブとして電磁バルブ65を採用したプリンタ1において、ミストの影響によって電磁バルブ65を駆動する際の負荷が増加したとしても、電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができ、確実に電磁バルブ65を駆動することができる。
【0050】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係るプリンタについて、
図6を参照しつつ以下に説明する。以下の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を用い、その説明を省略する。第2実施形態に係るプリンタは、カウント部150がカウントする値以外は、第1実施形態のプリンタ1と同様の構成である。第2実施形態のプリンタでは、カウント部150は、インクジェットヘッド31による用紙Pの印刷枚数の値、及び、インクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせをカウントする。
【0051】
また、メモリ140には、
図6に示すように、インクジェットヘッド31による用紙Pの印刷枚数の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせに対応する電流値を示すテーブル190が記憶されている。テーブル190は、縦軸がインクジェットヘッド31による用紙Pの印刷枚数(枚)を示し、横軸がインクジェットヘッド31の経年(年)を示す。テーブル190が示す電流値(A)は、用紙Pの印刷枚数(枚)の値が増加するにつれて増加し、インクジェットヘッド31の経年(年)の値が増加するにつれて増加する。また、テーブル190が示す電流値(A)は1.2Aを上限としている。
【0052】
本実施形態において、テーブル190の縦軸に記載された用紙Pの枚数(枚)のそれぞれの値及び横軸に記載された経年(年)のそれぞれの値が、本発明における「所定の閾値」に相当する。すなわち、本実施形態では、所定の閾値は複数設けられている。
【0053】
制御部40は、電磁バルブ65に供給する電流値を、テーブル190中における、カウント部150によってカウントされた2つの値に対応する電流値となるようにする。例えば、インクジェットヘッド31による用紙Pの印刷枚数の値が22000枚で、インクジェットヘッド31の経年の値が5年である場合、制御部40は、テーブル190に基づいて、電磁バルブ65に供給する電流値を0.9Aとする。本実施形態では、制御部40は、用紙Pの印刷枚数の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の両方が「所定の閾値」を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させるように構成されている。
【0054】
電磁バルブ65に付着するミストの量は、インクジェットヘッド31による用紙Pの印刷枚数の値と、インクジェットヘッド31の経年の値の両方によっても精度よく決まる。第2実施形態では、用紙Pの印刷枚数の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせに応じて、電磁バルブ65に供給する電流値が決定される。よって、ミストによる電磁バルブ65のバルブ駆動への影響をより反映させた形で、電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができ、より確実に電磁バルブ65を駆動することができる。
【0055】
さらに、制御部40は、電磁バルブ65に供給する電流値を、テーブル190中における、カウントされた2つの値に対応する電流値となるように増加させる。これによれば、電磁バルブ65に供給する電流値をテーブル190に示された電流値とすればよいため、より容易に電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができる。
【0056】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許発明の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0057】
上記第1実施形態では、カウント部150は、3つのサイズのインク液滴のうち、最もミストになりやすいサイズのインク液滴の吐出量の値をカウントしている。しかしながら、カウント部150は、3つのサイズのインク液滴の吐出量の値を、サイズごとにそれぞれカウントするものであってもよい。この場合、制御部40は、サイズごとにカウントされた値を、それぞれのサイズに対応する関連値に変換する。例えば、大サイズに対応する関連値は、大サイズのインク液滴の吐出量の値に3を乗じた値であり、中サイズに対応する関連値は、中サイズのインク液滴の吐出量の値に2を乗じた値であり、小サイズに対応する関連値は、小サイズのインク液滴の吐出量の値に1を乗じた値である。それぞれのサイズに対応する関連値への変換方法はどのようなものでもよく、製造者やユーザによって適宜設定される。インクジェットヘッド31から吐出されるインク液滴のサイズによって発生するミストの量は異なる。上記構成によれば、インク液滴のサイズによって異なるミストの発生量をより正確に予測することができる。このため、ミストの影響によって電磁バルブ65を駆動する際の負荷が増加したとしても、電磁バルブ65の駆動に必要な電流値を供給することができ、確実に電磁バルブ65を駆動することができるとともに、必要以上に電流値を増加させる必要がないため省エネルギーとなる。
【0058】
本発明において、制御部40は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出回数の値をカウントするものであってもよい。この場合において、インクジェットヘッド31が複数のサイズのインク滴を吐出可能であるとき、カウント部150は、最もミストになりやすいサイズのインク滴の吐出回数の値をカウントするものでもよく、吐出されるインク滴の吐出回数の値をサイズごとにそれぞれカウントするものでもよい。カウント部150がインク滴の吐出回数の値をサイズごとにそれぞれカウントするものである場合、制御部40は、サイズごとにカウントされた値を、それぞれのサイズに対応する関連値に変換するものでもよい。
【0059】
また、本発明において、制御部40のカウント部150は、インクジェットヘッド31によるインクの吐出回数、吐出量及び印刷枚数、並びに、インクジェットヘッド31の経年のうちの少なくともいずれか一つの値をカウントするものでもよい。この場合、制御部40は、カウントされた値に関連する関連値が所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させる。
【0060】
本発明において、制御部40が電磁バルブ65に供給する電流値を増加させるか否かの判断をする際に参照する所定の閾値は、一つのみ設けられていてもよく、複数設けられていてもよい。
【0061】
上記実施形態では、インクジェットヘッド31は、ノズル32から3つのサイズのインク液滴を吐出可能である。しかしながら、インクジェットヘッド31は、1つのサイズのインク液滴のみを吐出可能でもよい。
【0062】
本発明において、インクジェットヘッド31の経年の値は、プリンタ1の完成直後からカウントされてもよく、ユーザがプリンタ1を購入してからカウントされてもよく、ユーザがプリンタ1に最初に電源を入れてからカウントされてもよく、トータルの通電時間としてカウントされてもよい。また、その他、任意の方法によってカウントされてもよい。
【0063】
上記第1実施形態及び第2実施形態では、制御部40は、インクの吐出量の値及びインクジェットヘッド31の経年の値、又は、用紙Pの印刷枚数の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせをカウントしている。しかしながら、制御部40は、インクの吐出回数の値及びインクジェットヘッド31の経年の値の組み合わせをカウントしてもよい。また、上記第1実施形態及び第2実施形態では、制御部40は、カウントされた2つの値の両方がそれぞれ所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させる。しかしながら、制御部40は、カウントされた2つの値のうちの一方が所定の閾値を超えた場合に、電磁バルブ65に供給する電流値を増加させるものでもよい。
【0064】
上記実施形態では、インクタンク61及びインクジェットヘッド31がキャリッジ70に搭載された所謂オンキャリッジ型であり、電磁バルブ65はキャリッジ70の上方に配置されている。しかしながら、電磁バルブ65はキャリッジ70の下方に設けられていてもよい。また、プリンタ1は、インクタンク61及びインクジェットヘッド31がキャリッジ70に搭載されていない構成のプリンタでもよい。さらに、プリンタ1は、インクジェットヘッドの位置が固定された状態でノズルからインクを吐出するライン式のプリンタでもよい。
【0065】
また、インク以外の液体を吐出する液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。バルブが、電磁バルブ65以外の電動ボールバルブや電動バタフライバルブなどから構成されていてもよい。すなわち、電気で駆動することが可能なバルブであればよい。
【符号の説明】
【0066】
1 プリンタ
31 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
32 ノズル
61 インクタンク(液体貯留部)
62a インク貯留室(液体貯留室)
64 大気連通路
65 電磁バルブ(バルブ)
70 キャリッジ
71 移動機構
90 テーブル
190 テーブル
P 用紙(記録媒体)