(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】有機EL表示装置
(51)【国際特許分類】
H10K 59/38 20230101AFI20241210BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241210BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241210BHJP
H10K 50/125 20230101ALI20241210BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20241210BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
H10K59/38
G02B5/20
G02B5/20 101
G09F9/30 349B
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
H10K50/125
H10K50/844
H10K59/10
(21)【出願番号】P 2021033409
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2024-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 淳
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/077886(WO,A1)
【文献】特開2017-147059(JP,A)
【文献】特開2019-153389(JP,A)
【文献】特開2015-193828(JP,A)
【文献】国際公開第2004/074390(WO,A1)
【文献】特開2002-075643(JP,A)
【文献】特開2007-316500(JP,A)
【文献】特開2005-050597(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0227484(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0040255(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/00-102/20
G02B 5/20-5/28
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層と、前記白色有機エレクトロルミネッセンス発光層の表面を平坦化する平坦化層と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタと、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
前記平坦化層には、少なくとも1以上の蛍光を発する色材が含まれており、
前記蛍光を発する色材の濃度は前記カラーフィルタにおける色材濃度より低いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項2】
前記平坦化層の光透過率が90%以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【請求項3】
前記蛍光を発する色材にピグメントレッド254あるいはアシッドレッド289の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescence)表示装置の輝度向上を可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL表示装置は、有機発光ダイオード(OLED;Organic Light-Emitting Diode)を使用した自発光型の表示装置であり、発光方式として2つの方式が知られている。1つは、RGB方式であり、もう1つはカラーフィルタ方式である。
【0003】
RGB方式は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光ダイオード素子からなる各サブピクセルによって1つの画素を形成する。カラーフィルタを使用していないため、発光効率が高く、色純度を高くすることも可能である。
【0004】
カラーフィルタ方式は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタと白色OLEDを組み合わせてカラー画像を形成する方式であり、各色に対応した白色OLED素子の発光強度を独立して制御可能であることから、暗部(黒色)の色純度を高くすることが可能であり、また高コントラストの表示が可能である。
【0005】
カラーフィルタ方式は、発光効率が低いデメリットがある反面、製造工程がシンプルで、且つ低コストであり、さらに微細化に有利であるというメリットを持っている。そのため、マイクロディスプレイや大型テレビなどの分野においては、カラーフィルタ方式を採用し、白色OLEDは真空蒸着で作製する、という方法が採用されている。
【0006】
カラーフィルタ方式を使用した有機EL表示装置においては、原理的に発光効率が低いという問題があるが、白色OLEDの出力を高めることで高い輝度を実現していることにより、消費電力が大きくなる問題がある。そのため、カラーフィルタ方式の有機EL表示装置においては、輝度を維持したまま、消費電力を低減させることが可能な技術が求められている。
【0007】
そのような技術を解決する先行技術としては、例えば、特許文献1に白色有機EL発光層の上にカラーフィルタを備えたカラーフィルタ方式の有機EL表示装置において、白色有機EL層の上にカラーフィルタを形成する際に、白色有機EL層にダメージを与えない低温硬化プロセスを可能とし、高い色再現性を可能とする薄い層からなる高い色材濃度のカラーフィルタを形成可能とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この技術においてはカラーフィルタが高い色材濃度で形成されているため、色材から発せされる蛍光がカラーフィルタの内部で吸収され、外部に取り出すことができない。そのため、その蛍光を有機EL表示装置の輝度向上に役立てることができなかった。
上記の事情に鑑み、本発明は、カラーフィルタ方式の有機EL表示装置の輝度向上を可
能とする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層と、前記白色有機エレクトロルミネッセンス発光層の表面を平坦化する平坦化層と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタと、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置であって、
前記平坦化層には、少なくとも1以上の蛍光を発する色材が含まれており、
前記蛍光を発する色材の濃度は前記カラーフィルタにおける色材濃度より低いことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【0011】
また、第2の態様は、前記平坦化層の光透過率が90%以上であることを特徴とする第1の態様に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【0012】
また、第3の態様は、前記蛍光を発する色材にピグメントレッド254あるいはアシッドレッド289の少なくとも一方を含んでいることを特徴とする第1または第2の態様に記載の有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の有機EL表示装置によれば、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層の表面を平坦化する平坦化層に、少なくとも1以上の蛍光を発する色材が含まれている。蛍光を発する色材の濃度はカラーフィルタにおける色材濃度より低いため、平坦化層中の色材が励起されることによって生じる蛍光は平坦化層の中の色材によって吸収されることなく、カラーフィルタを透過して、有機EL表示装置の外部から観察することが可能である。そのため、平坦化層から発せられる蛍光によって、有機EL表示装置の輝度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の有機EL表示装置を例示する断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の有機EL表示装置について
図1を用いて説明する。
【0016】
本発明の有機EL表示装置10は、半導体素子による駆動回路が形成された駆動回路基板1と、駆動回路基板1上に、少なくとも、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2と、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2の表面を平坦化する平坦化層3と、赤色、緑色、青色画素を形成するカラーフィルタ4と、をこの順に備えた有機エレクトロルミネッセンス表示装置である。さらに、カラーフィルタ4の平坦化層3の反対側の面には、例えば、粘着層5を介してガラス板6が貼り合わされることによって、有機EL表示装置10となる。
【0017】
(平坦化層)
本発明の有機EL表示装置10の平坦化層3には、少なくとも1以上の蛍光を発する色材が含まれていることが特徴である。この色材が、白色有機エレクトロルミネッセンス発光層2から発せられる白色光によって励起されることで蛍光を生じる。平坦化層3の中の色材の濃度はカラーフィルタ4における色材濃度より低い。そのため、平坦化層3の中で発生した蛍光は平坦化層3の中の色材に一部は吸収されるが、多くの部分は平坦化層3を透過し、さらにカラーフィルタ4を透過して、有機EL表示装置10の外部から観察可能となる。そのため、有機EL表示装置10の輝度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明の有機EL表示装置10においては、平坦化層3の光透過率が90%以上であることが好ましい。このように高い光透過率は、平坦化層3の中の色材の濃度が十分に低く、平坦化層3の中で発生した蛍光は、ほとんどが平坦化層3中の色材に吸収されずに、平坦化層3の外部に到達することを可能とする。
【0019】
また、本発明の有機EL表示装置10においては、平坦化層3に含まれる色材に、ピグメントレッド254あるいはアシッドレッド289の少なくとも一方を含んでいることが好ましい。これらの色材は、蛍光を高い効率で発することができるため、優れた有機EL表示装置10の輝度向上効果を発揮することができる。
【0020】
(白色有機EL発光層)
白色有機EL発光層2は、有機半導体発光層を含む複数の層が積層された積層体からなる。所謂、白色光を発光する有機発光ダイオード(OLED)からなる発光層である。
【0021】
(カラーフィルタ)
カラーフィルタ4は、少なくとも、赤色のサブピクセルRと緑色のサブピクセルGと青色のサブピクセルBから構成される画素7を構成単位として形成されている。
【0022】
カラーフィルタ4は、通常、感光性透明樹脂に黒色、赤色、緑色、青色の微細顔料からなる着色組成物を均一に分散させた黒色、赤色、緑色、青色の着色感光性組成物を作製し、それを基板上に塗布、乾燥させたのち、フォトリソグラフィ法によってパターニングすることによって作製される。
【0023】
具体的には、まず基準パターンとなる黒色感光性組成物を用いて基板上にブラックマトリクス8(
図1参照)を形成する。ブラックマトリクス8によって、赤色、緑色、青色の各サブピクセルR、G、Bを形成するための区画領域が形成される。次に、順次、例えば赤色、緑色、青色の着色層が形成されることで、カラーフィルタ4が形成される。
【0024】
図1に示した有機EL表示装置10においては、上記の基板は、駆動回路基板1上に白色有機EL発光層2が形成されたものである。
【0025】
(駆動回路基板)
駆動回路基板1は、例えば、シリコンウェハをウェハ加工することによって、シリコンウェハの表面に、OLED用の駆動回路を形成した基板である。OLED用の駆動回路は、電流維持回路である。例えば、有機EL表示装置が表示する画像が、毎秒30フレームである場合、1つの画像を表示した後、1/30秒後に次の画像を表示する。すなわち、有機EL表示装置の発光素子であるOLEDは電流駆動型の発光素子であるため、1つの画像を1/30秒間、発光に必要な電流値を維持する必要がある。液晶表示装置で使用する液晶素子は電圧駆動型であるため、スイッチング素子としては、トランジスタは1個で良いが、有機EL表示装置では、1つのサブピクセルに最低2個のトランジスタが必要となる。
【0026】
(粘着層)
粘着層5は、カラーフィルタ4とガラス板6を、有機EL表示装置として、十分強い接着強度で接着可能な粘着性材料であり、全可視光領域で80%以上の高い光透過率を備えた透明な材料であれば、特に限定する必要は無い。一般的に使用されている光学仕様の粘着剤であれば使用することができる。
【0027】
(ガラス板)
ガラス板6は、水分や酸素を遮断する性能が高く、白色有機EL発光層2を保護する保
護層として優れた性能を備えており、且つ表面硬度が高く、透明なガラスで形成されたガラス板であれば好適に使用することができる。
【実施例】
【0028】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0029】
(白色有機EL発光層の形成)
有機EL素子の駆動回路を形成したシリコンウェハを使用して、シリコンウェハの駆動回路形成面側に、蒸着方式による白色有機EL素子を形成し、最後に、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、窒化シリコンによるパッシベーション層を形成して封止することにより白色有機EL発光層を形成した基板を作製した。
【0030】
(着色組成物の作製)
次に、平坦化層およびカラーフィルタを作製するための着色組成物の作製について説明する。
(1)平坦化層用着色組成物
着色樹脂組成物に使用する着色材(色材)は以下のものを使用した。
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254
(BASF社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
紫色用染料:Asid Red 289
(東京化成社製)
【0031】
上記の色材を用いて、下記の平坦化層用着色組成物を作製した。
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して平坦化層用着色材(PL-1)を得た。
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254 10重量部
紫色用染料:Asid Red 289 10重量部
アクリルワニス(固形分20%) 67重量部
【0032】
その後、その着色材(PL-1)を用いて、表1に記載の配合となるように平坦化層用の感光性着色組成物(PL-1)を作製した。
【0033】
(2)感光性黒色組成物
・黒色組成物の顔料
着色(樹脂)組成物に使用する着色材(顔料)は以下のものを使用した。
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」
紫色用顔料:C.I.Pigment violet 23
(トーヨーカラー社製「LIONOGEN VIOLET RL」
黄色用顔:C.I.Pigment Yellow 139
(BASF社青「Paliotol Yellow 2146HD」
【0034】
・黒色着色組成物の作製
上記の顔料を用いて黒色の着色組成物(黒色組成物)を作製した。
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6 11重量部
紫色用顔料:C.I.Pigment violet 23 11重量部
黄色用顔:C.I.Pigment Yellow 139 6重量部
アクリルワニス(固形分20%) 170重量部
【0035】
その後、上記の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過して黒色顔料の黒色着色材(BLK-1)を得た。
【0036】
その着色材(BLK-1)を用いて、表1に記載の配合となるように黒色の感光性黒色組成物(感光性黒色組成物)(BLK-1)を作製した。
【0037】
(3)感光性赤色組成物
・赤色着色組成物の顔料
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254
(BASF社製「イルガーフォーレッド B-CF」)
黄色用顔料:C.I.Yellow 139
(BASF社製「PALIOTOL YELLOW L 2146HD」)
【0038】
・赤色着色組成物の作製
下記組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いて、サンドミルで分散した後、5μmのフィルタで濾過して赤色の着色材(R-1)を作製した。
赤色顔料:C.I.Pigment Red 254 78重量部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 139 22重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
その着色材(R-1)を用いて、表1に記載の配合となるように赤色の感光性着色組成物(感光性赤色組成物)(RR-1)を作製した。
【0039】
(4)感光性緑色組成物
・緑色着色組成物の顔料
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 58
(DIC社製「FASTOGEN GREEN A110」
黄色用顔料:C.I.Pigment Yellow 185
(BASF社製「Paliotol Yellow L 1155」
【0040】
・緑色着色組成物の作製
上記の顔料を用いて下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して緑色着色組成物(G-1)を得た。
緑色顔料:C.I.Pigment Green 58 65重量部
黄色顔料:C.I.Pigment Yellow 185 35重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
その後、その着色組成物(G-1)を用いて、表1に記載の配合となるように緑色の感光性着色組成物(感光性緑色組成物)(GR-1)を作製した。
【0041】
(5)青色着色組成物
・青色着色組成物の顔料
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(トーヨーカラー株式会社製「LIONOL BLUE ES」)
紫色用顔料:C.I.Pigment Violet 23
(トーヨーカラー株式会社製「LIONOGEN VIOLET RL」)
【0042】
・青色着色組成物の作製
上記の顔料を用いて青色の着色樹脂組成物を作製した。
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルタで濾過して青色着色組成物(B-1)を得た。
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15:6 63重量部
紫色用顔料:C.I.Pigment Violet 23 37重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
その着色組成物を用いて、表1に記載の配合となるように青色の感光性着色組成物(感光性青色組成物)(BR-1)を作製した。
【0043】
【0044】
(カラーフィルタおよび有機EL表示装置の作製)
次に、白色有機EL発光層を形成した基板上に平坦化層用の感光性着色組成物PL-1を硬化仕上がりの膜厚が0.1μmになるようにスピンナーで塗布した。その後、加熱オーブンを用いて100℃、10分間加熱して硬化し、平坦化層の形成を完了した。
【0045】
次に、平坦化層上に、感光性黒色組成物を硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの黒色層(ブラックマトリクス)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃で、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの黒色層(ブラックマトリクス)の形成を完了した
【0046】
次に、ブラックマトリクス上に、緑色感光性樹脂組成物を硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの緑色層(G)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃で、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの緑色層(G)の形成を完了した。
【0047】
次に、上述のカラーフィルタの緑色層(G)の形成方法と同様にして、赤色感光性樹脂組成物を、硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの赤色層(R)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの赤色層(R)の形成を完了した。
【0048】
さらに、上述のカラーフィルタの緑色層(G)の形成方法と同様にして、青色感光性樹脂組成物を、硬化仕上がりの膜厚が1.0μmになるようにスピンナーで塗布し、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を経て、画素サイズが2.4μm×2.4μmとなるカラーフィルタの青色層(B)を仮形成した。その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して硬化し、カラーフィルタの青色層(B)の形成を完了してカラーフィルタを作製した。
【0049】
カラーフィルタを形成後、封止剤ストラクトボンドXMF-T107(三井化学社製)を用いてカバーガラスと貼り合せを行うことにより有機EL表示装置を作製した。
【0050】
<比較例>
次に、比較例について説明する。
【0051】
白色有機EL発光層の上に、平坦化層を形成せずにカラーフィルタを形成したこと以外は実施例と同様にして有機EL表示装置を作製した。
【0052】
(輝度評価)
実施例および比較例において作製した有機EL表示装置を点灯させ、それぞれの輝度の
相対比較を行った。輝度の測定は、輝度の測定は、コニカミノルタ社製 CS-1000Aを使用して行った。
【0053】
表2に、有機EL装置の輝度の測定結果を示した。比較例の輝度を100%とした時、実施例の輝度は105%であった。
表2の結果から、実施例は比較例と比較し、相対的に輝度が向上していることが分かった。本結果は、平坦化層において、白色有機EL発光層から射出される光を変換し、本来カラーフィルタに吸収される波長領域の光のロスを低減して、輝度向上につながったものと考えられる。
【0054】
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、電子ビューファインダなどの電子機器用の有機EL表示装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1・・・駆動回路基板
2・・・白色有機EL発光層
3・・・平坦化層
4・・・カラーフィルタ
5・・・粘着層
6・・・ガラス板
7・・・画素
8・・・ブラックマトリクス
10・・・有機EL表示装置
R・・・赤色サブピクセル
G・・・緑色サブピクセル
B・・・青色サブピクセル