IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図1
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図2
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図3
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図4
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図5
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図6
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図7
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図8
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図9
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図10
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図11
  • 特許-媒体搬送装置及び媒体搬送システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】媒体搬送装置及び媒体搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/36 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 29/13 20060101ALI20241210BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 85/00 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 1/26 20060101ALI20241210BHJP
   B65H 11/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65H5/36
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J29/13
G03G15/00 550
G03G15/00 445
B65H85/00
B65H1/26 310Z
B65H11/00 A
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021035083
(22)【出願日】2021-03-05
(65)【公開番号】P2022135341
(43)【公開日】2022-09-15
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 晃久
(72)【発明者】
【氏名】松岡 宏紀
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024822(JP,A)
【文献】特開2001-130759(JP,A)
【文献】特開2014-026078(JP,A)
【文献】特開平08-002753(JP,A)
【文献】特開2018-030726(JP,A)
【文献】特開2001-031336(JP,A)
【文献】特開2019-136915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/36
B41J 2/01
B41J 29/13
G03G 15/00
B65H 85/00
B65H 1/26
B65H 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体搬送装置であって、前記媒体搬送装置の設置面に直交するZ軸のうち、前記設置面
に対して前記媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、前記設置面の面内方向のう
ち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とすると、
媒体を搬送する搬送経路を有する装置本体と、
前記装置本体の側面に設けられ、前記搬送経路を露出する第1状態と、前記搬送経路を
覆う第2状態とを切り替え可能なカバーと、
を備え、
前記カバーは、
Z軸に沿った回動軸を有し、前記装置本体に対して回動可能な第1カバーと、
前記第1カバーの-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置
本体に対して回動可能な第2カバーと、に分割され
前記第1カバーおよび前記第2カバーを開くことにより、前記第1カバーと前記第2カ
バーとに亘る前記搬送経路が連続的に開放され、
前記第1カバーは、前記第2カバーよりも占有面積が広いことを特徴とする媒体搬送装
置。
【請求項2】
前記装置本体は、前記装置本体に対してX軸方向に並び、媒体を収容し、収容した当該
媒体を前記搬送経路へ給送する給送装置から、媒体を給送されることが可能に構成され、
前記第1カバーの-Z側の下端は、前記給送装置の+Z側の上端よりも+Z側にあるこ
とを特徴とする請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記給送装置のZ軸方向の位置が、前記第2カバーのZ軸方向の位置と重なる位置にあ
り、かつ、前記給送装置は前記装置本体に対してX軸方向に移動可能であり、
前記第1カバーのY軸方向の寸法は、前記第2カバーのZ軸方向の寸法よりも大きいこ
とを特徴とする請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
前記第2カバーは、前記給送装置から搬送された媒体が通る搬入口を備えることを特徴
とする請求項2又は請求項3に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
媒体搬送装置であって、前記媒体搬送装置の設置面に直交するZ軸のうち、前記設置面
に対して前記媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、前記設置面の面内方向のう
ち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とすると、
媒体を搬送する搬送経路を有する装置本体と、
前記装置本体の側面に設けられ、前記搬送経路を露出する第1状態と、前記搬送経路を
覆う第2状態とを切り替え可能なカバーと、
前記カバーの-Z側に配置され、Z軸に直交するY軸に沿った回動軸を-Z側に有し、
前記装置本体に対して回動可能な第3カバーと、
を備え、
前記カバーは、
Z軸に沿った回動軸を有し、前記装置本体に対して回動可能な第1カバーと、
前記第1カバーの-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置
本体に対して回動可能な第2カバーと、に分割され、
前記第3カバーのY軸方向の寸法は、前記第3カバーのZ軸方向の寸法よりも大きく、
前記第2カバーの前記回動軸は、前記第3カバーよりも+Z側に配置される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
前記第1カバーは、前記第2カバーよりも占有面積が広いことを特徴とする請求項5に
記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記カバーの-Z側に配置され、Z軸に直交するY軸に沿った回動軸を-Z側に有し、
前記装置本体に対して回動可能な第3カバーを更に備え、
前記第3カバーのY軸方向の寸法は、前記第3カバーのZ軸方向の寸法よりも大きいこ
とを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
前記第1カバーのY軸方向の寸法は、前記第1カバーのZ軸方向の寸法よりも小さいこ
とを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項9】
前記第2カバーのY軸方向の寸法は、前記第2カバーのZ軸方向の寸法よりも大きいこ
とを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項10】
前記第2カバーのZ軸方向の寸法は、前記第1カバーのZ軸方向の寸法よりも小さいこ
とを特徴とする請求項1~請求項のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項11】
前記第1カバーは、媒体を載置するトレイを有することを特徴とする請求項1~請求項
10のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項12】
前記第1カバーは、前記トレイに載置された媒体を前記搬送経路へ給送する給送ローラ
ー、または、前記搬送経路から前記トレイへ媒体を排出する排出ローラーを備えることを
特徴とする請求項11に記載の媒体搬送装置。
【請求項13】
前記トレイは、Y軸に沿った回動軸を有し、前記第1カバーに対して回動可能に構成さ
れることを特徴とする請求項11又は請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項14】
複数の媒体を載置するカセットを更に備え、
前記第2カバーは、Z軸方向の位置が前記カセットのZ軸方向の位置と重なる位置にあ
り、
前記第1カバーは、Z軸方向の位置が前記カセットのZ軸方向の位置と重ならない位置
にあり、かつ、前記第2カバーが覆う搬送経路よりも下流の搬送経路を覆うことを特徴と
する請求項1~請求項1のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項15】
前記第1カバーは、前記第2カバーよりも、重いことを特徴とする請求項1~請求項1
のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項16】
前記搬送経路は、スイッチバック経路を有し、
前記第1カバーは、前記スイッチバック経路を形成することを特徴とする請求項1~請
求項1のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項17】
前記第1カバーのY軸方向の寸法は、前記第2カバーのY軸方向の寸法と等しく、
前記第1カバーのZ軸方向に延びる側縁と、前記第2カバーのZ軸方向に延びる側縁と
が、Z軸方向の直線上にあることを特徴とする請求項1~請求項1のいずれか一項に記
載の媒体搬送装置。
【請求項18】
前記装置本体に対して開閉可能な第4カバーを、前記装置本体のY軸方向を向く側面に
備え、
前記第4カバーの側縁は、前記第1カバーの側縁および前記第2カバーの側縁の少なく
とも1つとの間で、隙間を形成することを特徴とする請求項1~請求項1のいずれか一
項に記載の媒体搬送装置。
【請求項19】
前記第4カバーが設けられる前記側面が向く方向は、前記媒体搬送装置の操作パネルが
向く方向と同じであり、
前記隙間は、X軸方向に向かって開口していることを特徴とする請求項1に記載の媒
体搬送装置。
【請求項20】
前記第4カバーは、前記Y軸方向に引き出し可能なカセットであって、給送する媒体を
載置する前記カセットに設けられている請求項1又は請求項1に記載の媒体搬送装置
【請求項21】
媒体に対して液体を吐出する液体吐出ヘッドを更に備え、
前記液体吐出ヘッドは、前記装置本体に設けられることを特徴とする請求項1~請求項
20のいずれか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項22】
請求項1又は請求項5に記載の媒体搬送装置と、
前記媒体搬送装置に媒体を給送する給送装置と、
を備え
記給送装置は、前記媒体搬送装置の前記装置本体に対してX軸方向に並び、媒体を収
容し、収容した当該媒体を前記搬送経路へ給送可能に構成され、
前記媒体搬送装置は、前記給送装置から媒体を給送されることが可能に構成され、
前記第1カバーの-Z側の下端は、前記給送装置の+Z側の上端よりも+Z側にあるこ
とを特徴とする媒体搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体を搬送する媒体搬送装置及び媒体搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、媒体を搬送する媒体搬送装置の一例であるプリンターが開示されている。このプリンターは、用紙等の媒体が搬送される搬送経路を有する装置本体を備える。装置本体の後面には、装置本体に対して着脱可能な1つまたは2つのカバーが設けられている。カバーには、中間ローラーが取り付けられている。装置本体からカバーを取り外すと、中間ローラーが装置本体から引き出されるとともに、搬送経路の一部が露出する。このため、媒体詰まり(ジャム)が発生した場合、カバーを取り外すと、詰まった媒体を除去できる。
【0003】
また、装置本体の下側には、媒体収容部を有する増設ユニットが増設されている。増設ユニットは、1段または3段設けられる。増設ユニットの背面の保護壁(カバーの一例)は、ジャム解除レバーを引くことにより、下端を支点に回動する。つまり、カバーの一例である保護壁は、下端を中心に開閉可能な縦開きの構成である。カバーの一例である保護壁には、媒体収容部から媒体を送り出すフィードローラーと対をなす従動ローラーが支持されている。カバーの一例である保護壁を開けると、詰まった媒体を除去できる。増設ユニットが3段設けられる場合、3つのカバーの一例である保護壁は、それぞれ下端を中心に開閉する縦開きのものが鉛直方向に3つ並ぶ構成になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-104197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された媒体搬送装置において、カバーは、装置本体に着脱可能に設けられているため、媒体詰まりが発生する度に、カバーの取り外しと取り付けの作業が必要になり、ジャム除去作業が面倒である。また、特許文献1には、下端を中心に開閉可能な縦開きのカバー(保護壁)を多段備えるが、回動の支点が下端にあるカバーを上下に多段重ねる構成にすると、カバーとカバーとの間に支点が位置するので、その部分でのジャム除去作業の作業性が悪いという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する媒体搬送装置は、前記媒体搬送装置の設置面に直交するZ軸のうち、前記設置面に対して前記媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、前記設置面の面内方向のうち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とすると、媒体を搬送する搬送経路を有する装置本体と、前記装置本体の側面に設けられ、前記搬送経路を露出する第1状態と、前記搬送経路を覆う第2状態とを切り替え可能なカバーと、を備え、前記カバーは、Z軸に沿った回動軸を有し、前記装置本体に対して回動可能な第1カバーと、前記第1カバーの-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置本体に対して回動可能な第2カバーと、に分割されている。
【0007】
上記課題を解決する媒体搬送システムは、媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置に媒体を給送する給送装置とを備える媒体搬送システムであって、前記媒体搬送装置は、前記媒体搬送装置の設置面に直交するZ軸のうち、前記設置面に対して前記媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、前記設置面の面内方向のうち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とすると、媒体を搬送する搬送経路を有する装置本体と、前記装置本体の側面に設けられ、前記搬送経路を露出する第1状態と、前記搬送経路を覆う第2状態とを切り替え可能なカバーと、を備え、前記カバーは、Z軸に沿った回動軸を有し、前記装置本体に対して回動可能な第1カバーと、前記第1カバーの-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置本体に対して回動可能な第2カバーと、に分割されており、前記給送装置は、前記媒体搬送装置の前記装置本体に対してX軸方向に並び、媒体を収容し、収容した当該媒体を前記搬送経路へ給送可能に構成され、前記媒体搬送装置は、前記給送装置から媒体を給送されることが可能に構成され、前記第1カバーの-Z側の下端は、前記給送装置の+Z側の上端よりも+Z側にある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態における複合機を示す斜視図。
図2】複合機のプリンター部を示す模式正面図。
図3】複合機を示す部分側面図。
図4】第1カバーと第2カバーを開けた状態にあるプリンター部を示す斜視図。
図5】複合機と大容量給紙ユニットを備える記録システムを示す正面図。
図6】第2カバーを開けた状態にある複合機の一部を示す斜視図。
図7】第2カバーと大容量給紙ユニットとの接続状態を示す模式正断面図。
図8】第1カバーを開けた状態を示す記録システムを示す正面図。
図9】第2カバーを開けた状態にある記録システムを示す正面図。
図10】装置本体に挿着された媒体収容部の一部を示す模式平断面図。
図11】比較例のプリンター部を示し、第1カバーと第2カバーを開けた状態にある斜視図。
図12】変更例における複合機を示す部分側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。媒体搬送装置の一例としての複合機は、例えば、原稿を読み取った画像を画像データとして出力する画像読取機能(スキャン機能)、原稿を読み取った画像を媒体に印刷するコピー機能、および媒体に文字や画像を印刷する印刷機能を含む複数の機能を有する。なお、複合機は、ファクシミリ機能を備えてもよい。
【0010】
図面では、複合機11は、水平な設置面Fに置かれているものとする。複合機11の設置面Fに直交するZ軸のうち、設置面Fに対して複合機11側を+Z側、反対側を-Z側とし、設置面Fの面内方向のうち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とする。また、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれと平行な方向を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向という。X軸方向とは、+X方向と-X方向との両方向を含む。Y軸方向とは、+Y方向と-Y方向との両方向を含む。Z軸方向とは、+Z方向と-Z方向との両方向を含む。Z軸と平行な方向であるZ軸方向を鉛直方向Zともいう。X軸方向は、複合機11を正面から見たときの幅方向である。複合機11の正面とは、ユーザーが複合機11に対して指示を与えるために操作される操作パネル19が位置する側の面である。このため、X軸と平行な方向を幅方向Xともいう。また、Y軸は、後述するカセット(媒体収容部)を着脱する方向と平行となっている。Y軸は、複合機11の奥行方向と平行である。このため、Y軸方向を奥行方向Yともいう。
【0011】
<複合機の構成について>
図1に示すように、複合機11は、直方体状をなす装置本体12と、装置本体12の上部に配置される画像読取部13と、画像読取部13の上側に配置される自動原稿給送部14とを備える。装置本体12は、プリンター部15の要部を兼ねる。複合機11は、鉛直方向Zにおいて下側から順に、プリンター部15、画像読取部13、自動原稿給送部14が積み重なる構成を有する。装置本体12は、用紙等の媒体Mを搬送する搬送経路T(図2参照)を有する。複合機11は、装置本体12の底部に設けられた複数のキャスター16が接地する状態で設置面Fに設置される。
【0012】
画像読取部13は、原稿Dに記録されている文字や写真などの画像を読み取り可能に構成される。自動原稿給送部14は、原稿D(図1に二点鎖線)を載置可能な原稿トレイ17を有する。自動原稿給送部14は、原稿トレイ17に載置された原稿Dを、画像読取部13に向けて給送する。画像読取部13により読み取られた後の原稿Dは、排出トレイ18へ排出される。また、自動原稿給送部14は、画像読取部13の原稿台カバーを兼ね、画像読取部13に対して開閉可能に設けられる。自動原稿給送部14を開けると、画像読取部13の上面に配置された原稿台(図示略)が露出する。原稿台上に原稿を載置したら自動原稿給送部14を閉じた状態とする。画像読取部13は、原稿台上に載置された原稿を読み取ることが可能である。
【0013】
また、装置本体12の上部には、複合機11に指示を与えるときに操作される操作パネル19が設けられている。操作パネル19は、表示部19Aを有する。表示部19Aは、例えば、タッチパネルよりなる画面を有する。タッチパネルとは、画面をタッチすることで、複合機11に指示を与えることができる表示パネルである。なお、操作パネル19は、操作用のボタンを有してもよいし、操作用のボタンのみからなる構成でもよい。
【0014】
複合機11は、複数の媒体Mを載置するカセット20(媒体収容部)を備える。カセット20には、複数枚の媒体Mが収容される。カセット20は、例えば、媒体Mの一例として用紙を収容可能な給紙カセットである。本実施形態の複合機11は、計4つのカセット20を有する。4つのカセット20は、装置本体12の下部に鉛直方向Zに重なる状態で4段配置されている。装置本体12には、複数のカセット20が着脱可能な状態で挿着されている。カセット20は、装置本体12に対してY軸方向に引き出し可能に構成される。複数のカセット20には、例えば、サイズまたは紙種の異なる媒体Mが収容される。
【0015】
図1に示すように、各カセット20は、Y軸方向を向くカセットカバー20Kを有する。このカセットカバー20Kは、装置本体12に対して開閉可能な第4カバーの一例であり、装置本体12のY軸方向を向く側面12Fに備えられる。カセットカバー20Kが設けられる側面12Fが向く方向は、複合機11の操作パネル19が向く方向と同じである。カセットカバー20Kは、Y軸方向に引き出し可能なカセット20に設けられている。また、カセットカバー20Kには、ユーザーがカセット20を引き出し操作するための把手20Eが設けられている。
【0016】
なお、カセット20の段数は、任意に設定することができる。カセット20の段数は、4段に限らず、2段、3段や5段、6段であってもよい。また、複数段のカセット20は、その一部がオプションで増設された増設ユニットにより構成されてもよい。例えば、複合機11は、2段のカセット20を備える構成を標準とし、ユーザーがオプションで2段のカセット20を備える増設ユニトを増設した構成であってもよい。また、増設ユニットは、カセット20を1段ずつ増設可能な構成でもよい。
【0017】
図1図2に示すように、装置本体12の側面12Sには、搬送経路T(図2参照)を露出する第1状態と、搬送経路Tを覆う第2状態とを切り替え可能なカバーCVが設けられている。カバーCVは、第1カバー21と第2カバー22とに分割されている。
【0018】
つまり、側面12Sには、第1カバー21と、第1カバー21よりも下方に位置する第2カバー22とが、装置本体12に対して開閉可能な状態で設けられている。さらに、側面12Sには、第2カバー22よりも下方の位置に、第3カバー23が装置本体12に対して開閉可能な状態で設けられている。
【0019】
第1カバー21は、第2カバー22よりも大きい。すなわち、第1カバー21は、第2カバー22よりも、側面12Sを占める面積(占有面積)が広い。第1カバー21は、ユーザーが開閉操作するための把手21Aを有する。また、第1カバー21は、媒体Mを載置するトレイの一例としての給送トレイ24を備える。給送トレイ24は、第1カバー21に対して開閉可能な状態で取り付けられている。給送トレイ24は、把手24Aを有する。
【0020】
第2カバー22と第3カバー23は、ほぼ同サイズ及び同形状である。第2カバー22は、ユーザーが開閉操作するための把手22Aを有する。また、第3カバー23は、ユーザーが開閉操作するための把手23Aを有する。第2カバー22と第3カバー23は、把手22A,23Aをカバー表面におけるほぼ同じ位置(図1で左上位置)に備える。本実施形態では、第1カバー21と第2カバー22と第3カバー23とにより、側面12Sの大部分の領域が開閉可能である。
【0021】
また、図1に示すように、装置本体12の正面には、カセット20の右上の領域に、開閉式の前カバー25が設けられている。前カバー25は右端を回動軸とする横開きの開閉が可能である。なお、第2カバー22と第3カバー23は、サイズおよび形状のうち少なくとも一方が異なってもよい。なお、図1において、第3カバー23を無くし、第2カバー22を、図1に示す第2カバー22と第3カバー23とを合わせたサイズを有する1つのカバーで構成してもよい。
【0022】
また、図1に示すように、装置本体12は、媒体M(図2参照)に記録する記録部30を有する。記録部30は、カセット20から給送された媒体Mおよび給送トレイ24から給送された媒体Mに記録する。装置本体12内には、液体の一例としてのインクを収容する液体供給源35(図2参照)が収容されている。記録部30は、液体供給源35から供給されるインク等の液体を用いて媒体Mに記録する。図1に示すように、装置本体12の正面には、液体供給源35と対応する領域に窓部26が設けられている。ユーザーは、窓部26を通じて液体供給源35の残量を視認可能である。
【0023】
装置本体12と画像読取部13との間には、凹状の排出部31が設けられている。排出部31はその底部を構成する排出トレイ32を備える。排出トレイ32は、板状に形成された部材であり、排出された媒体Mが排出トレイ32の上面に積載される。排出トレイ32は、記録後の媒体Mが排出される排出方向の下流側が上流側よりも高くなる向きに所定角度で傾斜している。装置本体12は、排出部31の凹部を形成する1つの側壁(右側壁)に開口する排出口(図示略)を有する。記録後の媒体Mは、排出口から排出されて排出部31の排出トレイ32上に積載される。排出トレイ32は、媒体Mの排出方向の下流側が上流側よりも位置が高くなる斜状に形成されている。排出トレイ32上に排出された媒体Mは、その自重により斜面に沿って降下して規制壁(図示略)に当たることにより、排出方向の上流端が揃う状態に整合される。
【0024】
<プリンター部の構成>
次に、図2を参照してプリンター部15の構成について説明する。
装置本体12内には、搬送経路Tに沿って媒体Mを搬送する搬送部40が設けられている。また、装置本体12内には、搬送経路Tに沿って搬送される媒体Mを検知する媒体幅センサー33、媒体Mに記録する記録部30、インク等の液体を記録部30に供給する液体供給源35、インク等の廃液を貯留する廃液貯留部36、および複合機11の各部の動作を制御する制御部37が設けられている。記録部30は、媒体Mにインク等の液体を吐出する液体吐出ヘッド30Aを備える。液体吐出ヘッド30Aは、液体供給源35から不図示のチューブを通じて供給されたインク等の液体をノズル(図示略)から吐出する。液体供給源35は、インクカートリッジ等の液体カートリッジでもよいし、インクタンク等の液体タンクでもよい。
【0025】
図2に示す例では、液体吐出ヘッド30Aは、水平に対して傾く姿勢で配置される。つまり、液体吐出ヘッド30Aは、液体を吐出するノズルが開口するノズル面が、水平に対して傾いた姿勢で配置されている。液体吐出ヘッド30Aは、搬送ベルト48と対向している。液体吐出ヘッド30Aは、搬送ベルト48上を搬送方向Aに沿って搬送される媒体Mに対して液体を吐出する。液体吐出ヘッド30Aが水平に対して傾く角度は適宜変更できる。例えば、液体吐出ヘッド30Aおよび搬送ベルト48を、水平(傾き角0°)に配置してもよい。記録部30は、液体を吐出する液体吐出ヘッド30A以外の他の記録ヘッドを備える構成でもよい。他の記録ヘッドとしては、ドットインパクト方式の記録ヘッド、感熱記録方式の記録ヘッド、トナーで記録する例えばレーザー記録方式の記録ヘッドでもよい。
【0026】
搬送部40は、搬送経路Tに沿って設けられた複数のローラー等を備える。すなわち、搬送部40は、カセット20用の給送ローラー41および分離ローラー対42と、給送トレイ24用の給送ローラー43および分離ローラー44と、搬送系の搬送ローラー対45~47,54~56と、排出ローラー対49,51,53と、搬送ローラー61~64と、搬入ローラー65とを有する。搬送経路Tは、給送系の搬送経路である第1~第6搬送路T1~T6と、搬送系の搬送経路である第7~第9搬送路T7~T9および反転路T10,T11とを含む。
【0027】
詳しくは、装置本体12に挿着された複数のカセット20の給送方向の下流端部近傍位置には、給送ローラー41および分離ローラー対42が、カセット20ごとに設けられている。カセット20に収容された複数枚の媒体Mは、+Z側(上側)へ付勢される載置板20F上に給送方向の下流側の部分が載置されている。載置板20Fは、装置本体12に挿着されたカセット20に対して回動可能に設けられ、給送方向下流側ほど上方へ持ち上げる状態で媒体Mを+Z側に付勢する。載置板20F上に載置された複数の媒体Mのうち最上位の媒体Mが、給送ローラー41に押し付けられる。この状態で給送ローラー41が回転することで、最上位の媒体Mが給送方向に送り出される。送り出された媒体Mは、分離ローラー対42にニップされた状態で回転する分離ローラー対42の分離作用により1枚のみが分離されて下流に送り出される。各カセット20から給送された媒体Mは、それぞれ搬送路T1~T4に沿って+Z側に搬送されて搬送路T7に至る。カセット20から給送された媒体Mは、各搬送路T1~T4に沿って設けられた搬送ローラー61~64により下流の搬送路T7に向かって搬送される。
【0028】
図2に示すように、給送トレイ24は、載置された媒体Mを幅方向に位置決めするためのエッジガイド24Bを備える。第1カバー21は、給送トレイ24に載置された媒体Mを搬送経路Tへ給送する給送ローラー43を備える。また、第1カバー21は、給送ローラー43と接触して回転する分離ローラー44を備える。給送ローラー43および分離ローラー44によって給送トレイ24から媒体Mが搬送される搬送路T5は、搬送路T7に合流する。
【0029】
また、第2カバー22の搬入口66から媒体Mを搬入する搬送路T6がある。搬送路T6は、複合機11に外部装置から媒体Mが搬入されるときに使用される搬送経路である。第2カバー22には、搬入口66から媒体Mを搬送路T6に沿って搬入するための搬入ローラー65が設けられている。また、搬送ローラー61が、搬送路T6に沿って媒体Mを搬送する搬送ローラーを兼ねる。搬送路T6から搬入された媒体Mは、その下流の搬送路T7と合流する。
【0030】
図2に示すように、搬送路T7は、媒体幅センサー33と対向する領域において湾曲されており、媒体幅センサー33から斜め上方に延びている。媒体Mは、搬送ローラー対45,46,47の回転によって、搬送路T7に沿って液体吐出ヘッド30Aと対向する記録位置RPへ搬送される。記録位置RPでは、媒体Mは液体吐出ヘッド30Aと対向する位置に配置された搬送ベルト48上を搬送される。液体吐出ヘッド30Aは、搬送ベルト48上を搬送される媒体Mに対して記録する。液体吐出ヘッド30Aは、例えば、インク等の液体を吐出するインクジェット記録方式である。記録位置では、媒体MはA方向に搬送される。記録を終えた媒体Mは、排出ローラー対49により下流に搬送される。排出ローラー対49の下流位置にはフラップ50が設けられている。フラップ50により媒体Mは搬送路T8と反転路T10に振り分けられる。
【0031】
媒体Mの片面のみに記録する片面記録時は、第1面への記録後の媒体Mはフラップ50により搬送路T8へ振り分けられる。搬送路T8に振り分けられた媒体Mは排出ローラー対51により下流側へ搬送される。一方、媒体Mの両面に記録する両面記録時は、第1面への記録後の媒体Mは、片面の記録を終えた後、搬送路T7からフラップ50により反転路T10へ振り分けられる。
【0032】
また、搬送路T8の途中にフラップ52が設けられている。フラップ50により媒体Mは搬送路T8と搬送路T9とに振り分けられる。搬送路T8に沿って搬送された媒体Mは、排出部31の排出トレイ32上に排出される。また、搬送路T9に振り分けられた媒体Mは、搬送路T9に沿って設けられた排出ローラー対53により排出部31に排出され、排出部31に設けられた不図示の排出トレイに排出される。
【0033】
反転路T10へ送られた片面記録を終えた媒体Mは、反転路T10でスイッチバックした後、反転路T10を-Z側に逆搬送される。そして、反転路T10から反転路T11を通って-Z側に搬送される。反転路T11に沿って設けられた搬送ローラー対55,56により反転路T11に沿って搬送された後、搬送路T7に合流する。つまり、スイッチバックで反転路T10,T11を経由した媒体Mは表裏の向きが反転された状態で搬送路T7へ再給送される。このとき、再給送された媒体Mは、記録済みの第1面と反対側の面である第2面が液体吐出ヘッド30Aと対向する向きで搬送路T7に沿って搬送される。液体吐出ヘッド30Aは、再給送された媒体Mの第2面に記録する。第2面への記録により両面記録を終えた媒体Mは、搬送路T8または搬送路T9から排出部31に排出される。なお、本実施形態では、搬送経路Tは、スイッチバック経路の一例として、反転路T10,T11を有する。
【0034】
第1カバー21は、反転路T10,T11と対応する位置に配置される。本実施形態では、第1カバー21は、スイッチバック経路の一例である反転路T10,T11を形成する。搬送路T7に沿って設けられる搬送ローラー対45は、駆動ローラー45Aと従動ローラー45Bとの一対で構成される。また、搬送ローラー対46は、駆動ローラー46Aと従動ローラー46Bとの一対で構成される。さらに、反転路T10に沿って設けられる搬送ローラー対54は、駆動ローラー54Aと従動ローラー54Bとの一対で構成される。第1カバー21の裏面には、反転路T10,T11を形成する搬送機構70が組み付けられている。すなわち、第1カバー21を開けると、搬送機構70が装置本体12から分離される。
【0035】
また、第1カバー21は、第2カバー22よりも重い。これは、第1カバー21は、第2カバー22に比べて面積が広いうえ、その裏面全域に反転路T10,T11を形成する搬送機構70を備えるからである。第1カバー21における搬送機構70の+X側への突出量は、第2カバー22の裏面に設けられる第3ガイド部73(図4参照)の+X側への突出量に比べ大きい。このため、第1カバー21と搬送機構70との重量はかなり重い。さらに、第1カバー21は、給送トレイ24を備えるうえ、給送トレイ24から媒体Mを給送する給送ローラー43等を備える。これらの重量も、第1カバー21を第2カバー22よりも重くしている一因である。
【0036】
図2に示すように、第2カバー22は、Z軸方向の位置がカセット20のZ軸方向の位置と重なる位置にある。また、第1カバー21は、Z軸方向の位置がカセット20のZ軸方向の位置と重ならない位置にあり、かつ、第2カバー22が覆う搬送経路よりも下流の搬送経路を覆う。第2カバー22が覆う搬送経路とは、図2に示すように、第1搬送路T1および第2搬送路T2である。第1カバー21が覆う搬送経路とは、図2に示すように、第7搬送路T7および反転路T10,T11である。
【0037】
制御部37は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成される。制御部37は、プリンター部15における媒体Mの搬送や、液体吐出ヘッド30Aによる媒体Mへの記録動作を制御する。詳しくは、制御部37は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部37は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(たとえば特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部37は、コンピュータープログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0038】
プリンター部15には、搬送経路T上の媒体Mの有無を検知可能な不図示の複数のセンサー(検知部)が設けられている。制御部37は、媒体Mに記録する記録動作を行っているときに、搬送経路T上の媒体Mが適切な位置にあるか否かを判定する。媒体Mが搬送経路T上の不適切な位置にあることが検知されたときは、媒体Mが詰まったジャムが発生したと判定する。制御部37は、複数のセンサーからの検知信号に基づいてジャム発生箇所を特定し、表示部19Aにジャム発生の旨をメッセージで表示する。メッセージには、ジャム除去作業を行うために開けるべきカバーの情報が含まれる。ユーザーは、メッセージで知らされたカバーを開けてジャム除去作業を行う。
【0039】
<カバーの構成>
図3は、プリンター部15におけるカバーCVが設けられた側面12Sを示す。装置本体12には、第1カバー21と対向する領域に第1開口121が設けられている。第1カバー21は閉状態で第1開口121を塞ぎ、開状態で第1開口121を開放する。装置本体12には、第2カバー22と対向する領域に第2開口122が設けられている。第2カバー22は閉状態で第2開口122を塞ぎ、開状態で第2開口122を開放する。装置本体12には、第3カバー23と対向する領域に第3開口123が設けられている。第3カバー23は閉状態で第3開口123を塞ぎ、開状態で第3開口123を開放する。
【0040】
図3に示すように、第1カバー21は、Z軸に沿った回動軸22Bを有し、装置本体12に対して回動可能に設けられている。第2カバー22は、第1カバー21の-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸22Bを-Z側に有し、装置本体12に対して回動可能に設けられている。カバーCVが、第1カバー21と第2カバー22とに分割されているので、第1カバー21および第2カバー22を開くことにより、第1カバー21と第2カバー22に亘る搬送経路Tが連続的に開放されることが可能に構成される。なお、連続的に開放されるとは、例えば、閉状態において、第1カバー21と第2カバー22との間に、桟などのフレームや外装などの非扉部分が配置されていないことを意味する。換言すれば、開状態において、第1カバー21と対応する第1開口121と、第2カバー22と対応する第2開口122とを区画する桟などのフレームや外装よりなる非扉部分が配置されていないことを意味する。このため、第1カバー21と第2カバー22との両方を開けると、第1開口121と第2開口122とによって1つの連続した大きな開口が形成される。
【0041】
なお、第3カバー23を無くし、第1~第4搬送路T1~T4を覆うことが可能なサイズの第2カバー22とした場合、第1カバー21よりも第2カバー22の方が側面12Sを占める面積が狭くてもよい。但し、第1カバー21と第2カバー22とが、側面12Sを占める面積が同じでもよいし、第1カバー21よりも第2カバー22の方が、側面12Sを占める面積が広くてもよい。
【0042】
図3に示すように、第1カバー21のY軸方向の寸法LY1は、第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ2よりも大きくてもよい(LY1>LZ2)。
第1カバー21のY軸方向の寸法LY1は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1よりも小さくてもよい(LY1<LZ1)。
【0043】
第2カバー22のY軸方向の寸法LY2は、第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ2よりも大きくてもよい(LY2>LZ2)。
第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ2は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1よりも小さくてもよい(LZ2<LZ1)。
【0044】
第1カバー21のY軸方向の寸法LY1は、第2カバー22のY軸方向の寸法LY2と等しくてもよい(LY1=LY2)。また、第1カバー21のZ軸方向に延びる側縁21Sと、第2カバー22のZ軸方向に延びる側縁22Sとが、Z軸方向の直線上にあってもよい。
【0045】
第3カバー23は、カバーCVの-Z側に配置され、Z軸に直交するY軸に沿った回動軸23Bを-Z側に有する。第3カバー23は、装置本体12に対して回動軸23Bを中心に回動可能に構成されてもよい。第3カバー23のY軸方向の寸法LY3は、第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ3よりも大きくてもよい(LY3>LZ3)。第3カバー23のY軸方向の寸法LY3は、第2カバー22のY軸方向の寸法LY2と等しくてもよい(LY2=LY3)。また、第3カバー23のZ軸方向に延びる側縁23Sと、第2カバー22のZ軸方向に延びる側縁22Sとが、Z軸方向の直線上にあってもよい。さらに、3つの側縁21S,22S,23SがZ軸方向の直線上にあってもよい。
【0046】
また、図3に示すように、第2カバー22および第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ2,LZ3は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1の半分(1/2)よりも小さくてもよい(LZ2<LZ1/2、LZ3<LZ1/2)。
【0047】
図3に示すように、カセット20のZ軸方向の寸法LZ4は、第2カバー22および第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ2,LZ3よりも小さくてもよい(LZ4<LZ2、LZ4<LZ3)。
【0048】
給送トレイ24は、Y軸に沿った回動軸24Cを有し、第1カバー21に対して回動可能に構成される。図3に示すように、給送トレイ24のY軸方向の寸法LY5は、第2カバー22および第3カバー23のY軸方向の寸法LY2,LY3よりも小さくてもよい(LY5<LY2、LY5<LY3)。また、給送トレイ24のZ軸方向の寸法LZ5は、第2カバー22および第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ2,LZ3よりも大きくてもよい(LZ5>LZ2、LZ5>LZ3)。
【0049】
図4は、第1カバー21、第2カバー22および第3カバー23が開いた状態を示す。なお、図4では、一部のローラーを省略している。図4に示すように、第1カバー21の裏面には、搬送機構70が組み付けられている。詳しくは、図4に示すように、第1カバー21の裏面には、搬送機構70が組み付けられている。搬送機構70は、媒体Mをガイドする第1ガイド部材71と、第1ガイド部材71に組み付けられた図4では省略している前述の複数の従動ローラー46B,54Bおよび複数の搬送ローラー対55,56とを備える。第1ガイド部材71は、反転路T10の一部を形成するガイド面71Aと、搬送路T7の一部を形成するガイド面71Bとを有する。また、装置本体12には、第1カバー21と対向する第2ガイド部材72が組み付けられている。第1カバー21が閉じた状態では、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との間に反転路T10,T11が形成される。また、装置本体12側の第2ガイド部材72には、第1カバー21側の駆動ローラー45A,46A,54Aと対をなす従動ローラー45B,46B,54B(図2参照)が組み付けられている。
【0050】
第1カバー21を閉じた状態では、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72との間に搬送路T7および反転路T10,T11(図2参照)が形成される。さらに、駆動ローラー45A,46A,54Aと従動ローラー45B,46B,54Bとが、例えば、媒体Mをニップ可能な位置に配置されることで、搬送ローラー対45,46,54が形成される。図4に示すように、第1カバー21を開けると、第1ガイド部材71と第2ガイド部材72とが分離されるとともに、搬送ローラー対45,46,54を構成する駆動ローラー45A,46A,54Aと従動ローラー45B,46B,54B(いずれも図2参照)とが分離される。このため、図4に示すように、第1カバー21を開けると、装置本体12の内部が第1開口121を介して露出する。つまり、第1開口121を介して装置本体12側の第2ガイド部材72が露出する。このため、反転路T10,T11で媒体Mが詰まるジャムが発生した場合、第1カバー21を開ければ、露出する第1ガイド部材71と第2ガイド部材72に対してジャム解除作業を行うことができる。
【0051】
図4に示すように、第2カバー22および第3カバー23には、装置本体12に対して支持リンク77を介して開閉可能に連結されている。第2カバー22および第3カバー23は、支持リンク77により最大開度が規制される。本例では、第2カバー22および第3カバー23の最大開度は同じである。第2カバー22および第3カバー23は、最大開度が水平より0~30°の範囲内の値(例えば、約10°)をとる。第2カバー22および第3カバー23は、最大開度までの開度で傾斜する傾斜姿勢をとることが可能である。
【0052】
また、第2カバー22は、第1カセット20Aから給送される媒体Mを搬送する第1搬送ローラー61と、第2カセット20Bから給送される媒体Mを搬送する第2搬送ローラー62とを裏面に備える。第1搬送ローラー61は、媒体Mを第1搬送路T1(図2参照)に沿って搬送し、第2搬送ローラー62は、媒体Mを第2搬送路T2(図2参照)に沿って搬送する。第2カバー22の裏面は第3ガイド部73になっており、第3ガイド部73から第1搬送ローラー61および第2搬送ローラー62が一部露出している。各搬送ローラー61,62は、奥行方向Y(媒体幅方向)に複数個が一列に並んでそれぞれローラー列を構成している。第2カバー22は、後述する大容量給紙ユニット80(図5参照)から搬送された媒体Mが通る搬入口66を備える。第2カバー22は、搬入口66から供給される媒体Mを搬入する搬入ローラー65を備える。図4に示すように、第2カバー22を開けると、その裏面の第3ガイド部73と、装置本体12の第2開口122を介して装置本体12側の第4ガイド部74とが露出する。このため、搬送路T1,T2で媒体Mが詰まるジャムが発生した場合、第2カバー22を開ければ、露出する第3ガイド部73と第4ガイド部74に対してジャム解除作業を行うことができる。
【0053】
また、第3カバー23は、第3カセット20Cから給送される媒体Mを搬送する第3搬送ローラー63と、第4カセット20Dから給送される媒体Mを搬送する第4搬送ローラー64とを裏面に備える。第3搬送ローラー63は、媒体Mを第3搬送路T3(図2参照)に沿って搬送し、第4搬送ローラー64は、媒体Mを第4搬送路T4(図2参照)に沿って搬送する。第3カバー23の裏面は第5ガイド部75になっており、第5ガイド部75から第3搬送ローラー63および第4搬送ローラー64が一部露出している。各搬送ローラー63,64は、奥行方向Y(媒体幅方向)に複数個が一列に並んでそれぞれローラー列を構成している。第3カバー23を開けると、その裏面の第5ガイド部75と、装置本体12の第3開口123を介して装置本体12側の第6ガイド部76とが露出する。このため、搬送路T3,T4で媒体Mが詰まるジャムが発生した場合、第3カバー23を開ければ、露出する第5ガイド部75と第6ガイド部76に対してジャム解除作業を行うことができる。
【0054】
なお、第1カバー21と第2カバー22との両方を開けたときは、第1開口121と第2開口122とが連続して開放される。つまり、第1開口121と第2開口122との間に桟などのフレームまたは外装が存在しない。このため、搬送路T1,T2と反転路T10,T11とに跨がってジャムが発生した場合、第1カバー21と第2カバー22との両方を開けたときに、第1開口121と第2開口122とが連続して開放されるので、ジャム除去作業がし易くなっている。
【0055】
<記録システムの構成>
図5は、記録システム10を示す。図5に示すように、媒体搬送システムの一例としての記録システム10は、複合機11と、複合機11に媒体Mを供給する大容量給紙ユニット80とを備える。大容量給紙ユニット80は、複合機11に結合して使用される。本例では、大容量給紙ユニット80は、第2カバー22の部分で複合機11と結合される。大容量給紙ユニット80は、装置本体12に対してX軸方向に並んで配置される。大容量給紙ユニット80は、複数の媒体Mを収容する。大容量給紙ユニット80の媒体収容可能な最大枚数は、カセット20の1つ当たりの媒体収容可能な最大枚数よりも多い。大容量給紙ユニット80は、収容した媒体Mを複合機11の搬送経路Tへ給送する。複合機11の装置本体12は、大容量給紙ユニット80から、搬送経路Tへ媒体Mを給送されることが可能に構成される。
【0056】
図5に示すように、大容量給紙ユニット80は、筐体81と、筐体81に対して着脱可能な大容量カセット82と、設置面Fに接地するキャスター83とを備える。大容量カセット82は、Y軸方向を向く面(正面)に、ユーザーが引き出すときに操作される把手82Aを有する。図5に示すように、大容量カセット82のZ軸方向の寸法LZ6は、複合機11側のカセット20のZ軸方向の寸法LZ4(図3参照)に比べ大きい。このため、大容量カセット82の積載枚数が、カセット20の積載枚数よりも多い。本実施形態の大容量カセット82は、おおよそカセット20の4段分の高さ寸法を有する。
【0057】
図5に示すように、大容量給紙ユニット80の設置面Fからの高さ寸法H1は、4段のカセット20を備える複合機11において、最上段の第1カセット20Aの上端高さよりも若干高い。給送トレイ24が大容量給紙ユニット80の高さ寸法H1は、複合機11の給送トレイ24を開けたときに、給送トレイ24と干渉しない寸法に設定されている。
【0058】
図6図7に示すように、第2カバー22は、大容量給紙ユニット80から搬送された媒体Mが通る搬入口66を備える。搬入口66は、第1搬送ローラー61と第2搬送ローラー62との間に開口する。第2カバー22は、搬入口66から媒体Mを搬入するための搬入ローラー65を備えていてもよい。搬入ローラー65は、搬入口66から第1搬送ローラー61までの経路の途中で媒体Mを搬送する。すなわち、本例では、第1搬送ローラー61は、大容量給紙ユニット80から搬入口66を通じて搬入された媒体Mを搬送する搬送機能を兼ねる。大容量給紙ユニット80から搬入口66を通じて複合機11内に搬入された媒体Mは、装置本体12内を搬送路T6に沿って搬送され、搬送路T7に合流する。なお、搬入ローラー65を設けずに、経路の途中に設けたリブにより、搬入口66から第1搬送ローラー61まで媒体Mをガイドしてもよい。
【0059】
このように、図7に示す大容量給紙ユニット80は、第2カバー22に開口する搬入口66を通じて複合機11の装置本体12に供給するので、大容量給紙ユニット80のZ軸方向の位置が第2カバーのZ軸方向の位置とZ軸方向に重なる。
【0060】
図7に示すように、大容量給紙ユニット80の筐体81内の上方位置には、給送ローラー84および分離ローラー対85が設けられている。筐体81の一側面には、分離ローラー対85と対応する位置から給送ガイド86が水平に延出している。大容量給紙ユニット80は、給送ガイド86の先端部を複合機11の第2カバー22に開口する搬入口66に差し込んだ状態で複合機11と結合される。
【0061】
大容量給紙ユニット80の筐体81内の大容量カセット82には、複数の媒体Mが積載された状態で収容されている。大容量カセット82に収容された複数の媒体Mは、不図示のばねにより鉛直方向Zの+Z側に付勢されている。このため、複数の媒体Mは、給送ローラー84に押圧される。給送ローラー84が回転すると、複数の媒体Mのうち最上位の一枚が給送される。このとき、媒体Mは分離ローラー対85により一枚のみ分離される。このため、媒体Mの重送が抑制される。こうして、大容量給紙ユニット80の給送ガイド86から複合機11へ媒体Mが一枚ずつ供給される。
【0062】
図7に示すように、複合機11の第1カバー21の-Z側の下端は、大容量給紙ユニット80の+Z側の上端よりも+Z側に位置する。すなわち、大容量給紙ユニット80の上端面は、第1カバー21の下端よりも低い位置にある。このため、図8に示すように、第1カバー21を開けても、第1カバー21が大容量給紙ユニット80と衝突しない。よって、第1カバー21のみを開けてジャム除去作業を行うときは、大容量給紙ユニット80を移動させる必要がない。
【0063】
また、第1カバー21は後端側でZ軸に沿う回動軸21B(図3参照)を中心に開閉可能であり、開放するときに第1カバー21は後側へ移動する。このため、ユーザーは複合機11の正面側からでも、第1カバー21が邪魔にならずジャム除去作業を行うことができる。
【0064】
図7に示すように、大容量給紙ユニット80のZ軸方向の位置は、第2カバー22のZ軸方向の位置とZ軸方向に重なる位置にある。このため、第2カバー22を開けるときは、大容量給紙ユニット80を装置本体12からX軸方向に移動させる必要がある。大容量給紙ユニット80をX軸方向に移動させる距離は、第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ1に依存する。この距離を小さくするため、第1カバー21のY軸方向の寸法LY1は、第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ1よりも大きくてもよい。つまり、第2カバー22の高さ寸法LZ1は、第1カバー21の幅寸法LY1よりも小さくてもよい。
【0065】
図9に示すように、第2カバー22と第3カバー23のうち少なくとも一方を開けるときは、大容量給紙ユニット80をX軸方向に所定距離だけ移動させて複合機11から離す。所定距離は、第2カバー22と第3カバー23のうち少なくとも一方を開けるために必要な距離である。第2カバー22および第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ2,LZ3は、それぞれのY軸方向の寸法LY2,LY3よりも小さくてもよい。また、寸法LZ2,LZ3は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1の半分(1/2)よりも小さくてもよい(LZ2<LZ1/2、LZ3<LZ1/2)。これらの場合、第2カバー22または第3カバー23を開けるときに、大容量給紙ユニット80をX軸方向に移動させる距離が短く済む。
【0066】
図10に示すように、第4カバーの一例であるカセットカバー20Kの側縁20Sは、第1カバー21の側縁21Sおよび第2カバー22の側縁22Sの少なくとも1つとの間で、隙間Gを形成してもよい。隙間Gは、X軸方向に向かって開口していてもよい。つまり、複合機11を正面から見たときに、カセット20の側縁20Sに隠れて隙間Gが見えない構成であってもよい。
【0067】
<作用>
本実施形態の複合機11および記録システム10の作用について説明する。
複数のカセット20には、サイズと紙種のうち一方または両方が異なる媒体Mが収容される。ユーザーは、媒体Mのサイズおよび紙種を含む記録条件を指定して複合機11に対して記録を指示する。指定されたサイズおよび紙種の媒体Mを収容するカセット20から媒体Mが供給される。カセット20から供給された媒体Mは、搬送路T1~T4のうち少なくとも一部を通って搬送路T7に至る。そして、搬送路T7上の記録位置RPで液体吐出ヘッド30Aが媒体Mに記録する。記録後の媒体Mは、搬送路T8または搬送路T9から、排出部31へ排出される。
【0068】
また、両面記録が行われる場合、液体吐出ヘッド30Aで第1面に記録された記録後の媒体Mはフラップ50により反転路T10に送られ、反転路T10に沿って上方へ搬送された後、搬送方向が逆転されるスイッチバックにより、反転路T10に沿って逆搬送される。逆搬送された媒体Mは、搬送ローラー対54~56により反転路T10,T11に沿って再び液体吐出ヘッド30Aと対向する記録位置RPに再給送される。このとき、媒体Mの第1面とは反対側の面である第2面が液体吐出ヘッド30Aと対向する向きで媒体Mは再給送される。再給送された媒体Mの第2面に液体吐出ヘッド30Aが記録する。そして、両面記録を終えた媒体Mは、搬送路T8または搬送路T9から排出部31へ排出される。
【0069】
また、複合機11で大量の記録を行う場合、媒体Mの供給源として大容量給紙ユニット80が使用される。すなわち、複合機11と大容量給紙ユニット80とにより構成される記録システム10を使用して媒体Mへの記録が行われる。大容量給紙ユニット80の給送ガイド86を、複合機11の第2カバー22の搬入口66に差し込むことで、複合機11に対して大容量給紙ユニット80を結合させる。
【0070】
記録を開始すると、大容量給紙ユニット80内に収容された媒体Mが一枚ずつ、給送ガイド86および搬入口66を介して複合機11の装置本体12内へ給送される。このとき、搬入ローラー65および第1搬送ローラー61の回転により搬送路T6,T7を通って記録位置RPへ給送される。そして、記録位置RPで液体吐出ヘッド30Aが媒体Mに記録する。記録後の媒体Mは排出部31へ排出される。また、両面記録が行われる場合は、前述と同様に反転路T10,T11を経由したスイッチバック搬送により反転された後、媒体Mは記録位置RPへ再給送されることで媒体Mの両面に記録される。両面の記録を終えた媒体Mは排出部31へ排出される。こうして、例えば、排出トレイ32上に記録後の媒体Mが積載される。
【0071】
<複合機11のジャム除去作業>
ところで、複合機11の記録動作中に媒体Mが搬送経路Tの途中で詰まるジャムが発生する場合がある。搬送経路T上の各所に設けられた複数のセンサーからの検知信号に基づいて制御部37は、ジャム発生の有無を監視する。制御部37は、ジャムの発生を検知すると、ジャムが発生した旨のメッセージを表示部19Aに表示する。ユーザーは、メッセージに含まれるジャムを除去するために開けるべきカバーの情報を基に、指定されたカバーを開けてジャム除去作業を行う。
【0072】
メッセージで指定されたカバーが、第1カバー21である場合、ユーザーは第1カバー21を開けてジャム除去作業を行う。
メッセージで指定されたカバーが、第1カバー21および第2カバー22である場合、ユーザーは、図4に示すように、第1カバー21および第2カバー22を開けてジャム除去作業を行う。第1カバー21が横開きであり、第2カバー22が下端を中心に回動可能な縦開きなので、第1開口121と第2開口122とが連続して開放される。このため、第1開口121と第2開口122との間に妨げとなるものが何もないので、ジャム除去作業を効率よく行うことができる。
【0073】
また、第1カバー21は、第2カバー22よりも大きいうえ、その裏面に搬送機構70が一体に設けられるとともに、給送トレイ24を備えるので、かなりの重量がある。このため、第1カバー21を開けたときに、第1カバー21が自重で垂れ下がり易い。しかし、開状態にある第1カバー21の下側では、縦開きの第2カバー22は下方へ退避している。このため、第1カバー21が自重で垂れ下がっても、第2カバー22と衝突することはない。
【0074】
例えば、図11に示す比較例の複合機100は、第1カバー101が実施形態と同様に横開きであるが、第2カバー102および第3カバー103も共に横開きである。この比較例の構成であると、第1カバー101と第2カバー102との間に、フレームまたは外装よりなる桟部111を設ける必要がある。このため、第1カバー101および第2カバー102を開けたときに、第1開口121と第2開口122との間に邪魔な桟部111が存在する。このため、桟部111が邪魔してジャム除去作業がしにくくなる場合がある。また、仮に桟部111をなくしたとしても、第1カバー101が自重で垂れ下がると、横開きであって開状態のときに閉状態と同じ高さに位置にある第2カバー102と接触し易くなる。例えば、第1カバー101と第2カバー102とが衝突する可能性がある。この場合、第1カバー101と第2カバー102との開け閉めを慎重に行う必要がある。なお、比較例では、横開きの第2カバー102と、同じく横開きの第3カバー103との間にも桟部112が設けられている。
【0075】
これに対して、本実施形態の複合機11によれば、第1カバー21が横開きで、第2カバー22が下端を支点とする縦開きなので、第1カバー21および第2カバー22の両方を開けるときに、第1カバー21が自重で垂れ下がっても、第1カバー21と第2カバー22との接触や衝突が発生しにくい。そのうえ、第1カバー21および第2カバー22を開けたときに第1開口121と第2開口122とが連続する開口が形成されるので、桟部などの妨げのない状態でジャム除去作業を行うことができる。
【0076】
<記録システムのジャム除去作業>
また、大容量給紙ユニット80を備える記録システム10において、ジャムが発生した場合、ユーザーは次のようにジャム除去作業を行う。
【0077】
メッセージで第1カバー21が指定されたときは、図8に示すように、大容量給紙ユニット80を複合機11に結合させたまま、第1カバー21を開く。このとき、複合機11の側面12S側の側方には、大容量給紙ユニット80が位置するものの、ユーザーは複合機11の前側から第1開口121に対してジャム除去作業を行うことができる。
【0078】
メッセージで第2カバー22および第3カバー23のうち少なくとも一方が指定された場合、図9に示すように、大容量給紙ユニット80をX軸方向に移動させて複合機11から所定距離だけ離す。そして、第2カバー22および第3カバー23のうち少なくとも一方を開ける。例えば、図9に示す例のように、第2カバー22と第3カバー23の両方を開ける。第2カバー22および第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ2,LZ3は、それぞれのY軸方向の寸法LY2,LY3よりも小さい。さらに本例では、第2カバー22および第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ2,LZ3は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1の半分よりも短い。このため、第2カバー22と第3カバー23のうち少なくとも一方を開けるために、大容量給紙ユニット80をX軸方向に移動させる必要がある所定距離を短くすることができる。このため、記録システム10の設置に必要なジャム除去作業を含む設置面積を相対的に狭く済む。
【0079】
本実施形態の効果について説明する。
(1)媒体搬送装置の一例としての複合機11の設置面Fに直交するZ軸のうち、設置面Fに対して媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、設置面Fの面内方向のうち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とする。複合機11は、媒体Mを搬送する搬送経路Tを有する装置本体12と、装置本体12の側面12Sに設けられ、搬送経路Tを露出する第1状態と、搬送経路Tを覆う第2状態とを切り替え可能なカバーCVと、を備える。カバーCVは、Z軸に沿った回動軸21Bを有し、装置本体12に対して回動可能な第1カバー21と、第1カバー21の-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸22Bを-Z側に有し、装置本体12に対して回動可能な第2カバー22と、に分割されている。
【0080】
この構成によれば、カバーCVが、第1カバー21と第2カバー22とに分割されているので、第1および第2カバー22を開くことにより、第1カバー21と第2カバー22に亘る搬送経路Tが連続的に開放される。よって、作業性がよい。また、自重により第1カバー21が-Z側に垂れ下がりやすくても、-Z側に配置された第2カバー22の回動軸22BがY軸に沿いかつ-Z側に配置されるので、垂れ下がった第1カバー21と第2カバー22とが衝突しにくい。よって、良好な開閉動作を確保できる。したがって、カバーを開けたときの作業性と、カバーの良好な開閉動作とを両立できる。
【0081】
(2)装置本体12は、装置本体12に対してX軸方向に並び、媒体Mを収容し、収容した媒体Mを搬送経路Tへ給送する給送装置の一例である大容量給紙ユニット80から、媒体Mを給送されることが可能に構成される。第1カバー21の-Z側の下端は、大容量給紙ユニット80の+Z側の上端よりも+Z側にある。
【0082】
この構成によれば、第1カバー21の-Z側の下端が大容量給紙ユニット80の+Z側の上端よりも+Z側にあるので、第1カバー21を開ける際に大容量給紙ユニット80と衝突しない。よって、大容量給紙ユニット80から媒体Mが搬送経路Tに供給される構成をとる場合も、作業性がよい。
【0083】
(3)大容量給紙ユニット80のZ軸方向の位置が、第2カバー22のZ軸方向の位置と重なる位置にあり、かつ、大容量給紙ユニット80は装置本体12に対してX軸方向に移動可能である。第1カバー21のY軸方向のLY1は、第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ2よりも大きい。この構成によれば、第2カバー22を開く際に、大容量給紙ユニット80の移動量を少なくすることができる。よって、ジャム除去のために要する設置面F積(媒体搬送システムの設定面積)を小さくすることができる。
【0084】
(4)第2カバー22は、大容量給紙ユニット80から搬送された媒体Mが通る搬入口66を備える。この構成によれば、第1カバー21に搬入口66を備える構成と比較して、第1カバー21の開閉時に大容量給紙ユニット80が邪魔にならない。
【0085】
(5)複合機11は、カバーCVの-Z側に配置され、Z軸に直交するY軸に沿った回動軸23Bを-Z側に有し、装置本体12に対して回動可能な第3カバー23を更に備える。第3カバー23のY軸方向の寸法LY3は、第3カバー23のZ軸方向の寸法LZ3よりも大きい。この構成によれば、第3カバー23を開ける際に要するX軸方向のスペースを小さくできる。よって、第3カバー23を開けるために大容量給紙ユニット80を移動させる距離を短くできる。
【0086】
(6)第1カバー21のY軸方向の寸法LY1は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1よりも小さい。この構成によれば、第1カバー21の回動軸21Bが、第1カバー21の長手方向であるZ軸に沿っているので、第1カバー21を開けるために必要となるX軸方向のスペースを小さくしつつ、第1カバー21を開けたときにより多くの搬送経路Tを露出させることができる。
【0087】
(7)第2カバー22のY軸方向の寸法LY2は、第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ2よりも大きい。この構成によれば、第2カバー22の回動軸22Bが第2カバー22の長手方向であるY軸に沿っているので、第2カバー22を開けるために要するX軸方向のスペースを小さくしつつ、第2カバー22を開けたときにより多くの搬送経路Tを露出させることができる。
【0088】
(8)第2カバー22のZ軸方向の寸法LZ2は、第1カバー21のZ軸方向の寸法LZ1よりも小さい。この構成によれば、第2カバー22を開いたときのX軸方向のスペースを小さくできる。また、第1カバー21にトレイ等を配置しやすい。
【0089】
(9)第1カバー21は、媒体Mを載置するトレイの一例としての給送トレイ24を有する。この構成によれば、第1カバー21が給送トレイ24を有するため、多様な媒体M(例えば、厚みや坪量が異なる媒体M)を搬送経路Tへ供給することができる。
【0090】
ここで、第1カバー21が給送トレイ24を有するため、第1カバー21が-Z方向に垂れ下がりやすくなる。また、大容量給紙ユニット80が、Z軸方向の位置が、第1カバー21と重ならないので、給送トレイ24を開けたときに給送トレイ24が大容量給紙ユニット80と衝突しない。つまり、給送トレイ24を開けるために大容量給紙ユニット80をX軸方向に移動させる必要がない。また、大容量給紙ユニット80が、第2カバー22と同じ高さにあってもよい。この場合でも、給送トレイ24を開けたときに給送トレイ24が大容量給紙ユニット80と衝突しない。
【0091】
(10)第1カバー21は、給送トレイ24に載置された媒体Mを搬送経路Tへ給送する給送ローラー43を備える。この構成によれば、第1カバー21を開けることにより、給送ローラー43にてジャムした媒体Mを除去しやすい。
【0092】
(11)給送トレイ24は、Y軸に沿った回動軸24Cを有し、第1カバー21に対して回動可能に構成される。この構成によれば、給送トレイ24を回動により展開したり収納したりすることができる。
【0093】
(12)複合機11は、複数の媒体Mを載置するカセット20を更に備える。第2カバー22は、Z軸方向の位置がカセット20のZ軸方向の位置と重なる位置にある。第1カバー21は、Z軸方向の位置がカセット20のZ軸方向の位置と重ならない位置にあり、かつ、第2カバー22が覆う搬送経路である搬送路T1,T2よりも下流の搬送経路である反転路T10,T11を覆う。この構成によれば、カセット20の近くの搬送経路Tは、重送などにより頻繁にジャムの除去作業が行われる箇所である。この箇所だけを、第2カバー22により開放することができる。よって、ジャム除去作業の際に使い勝手がよい。
【0094】
(13)第1カバー21は、第2カバー22よりも、重い。この構成によれば、第1カバー21と第2カバー22との両方を開けたときに、第1カバー21は自重で垂下がりやすいものの、両方のカバー21,22の開き方から、第2カバー22は第1カバー21の下方に離れて位置する。よって、第1カバー21が第2カバー22と接触しにくい。
【0095】
(14)搬送経路Tは、スイッチバック経路の一例である反転路T10,T11を有する。第1カバー21は、反転路T10,T11を形成する。この構成によれば、搬送経路Tがスイッチバック経路となる反転路T10,T11を有するので、媒体Mを反転させることができる。例えば、媒体搬送装置が記録機能を備える複合機11である場合、媒体Mに両面記録を行うことができる。第1カバー21が、反転路T10,T11を有するので、第1カバー21を開けることにより、反転路T10,T11を露出させやすい。よって、両面記録時のジャム除去作業がしやすい。また、反転路T10,T11を形成する第1カバー21が重くなる。第1カバー21が重くなると、開けたときに垂下がりやすくなるものの、第1カバー21と第2カバー22との開き方から、両方のカバー21,22を開けたときに、第1カバー21が第2カバー22と接触しにくい。
【0096】
(15)第1カバー21のY軸方向の寸法LY1は、第2カバー22のY軸方向の寸法LY2と等しい。第1カバー21のZ軸方向に延びる側縁21Sと、第2カバー22のZ軸方向に延びる側縁22Sとが、Z軸方向の直線上にある。この構成によれば、第1カバー21と第2カバー22との側縁21S,22Sが揃うので、見た目がよい。
【0097】
(16)複合機11は、装置本体12に対して開閉可能な第4カバーの一例としてのカセットカバー20Kを、Y軸方向を向く側面12F(正面)に備える。カセットカバー20Kの側縁20Sは、第1カバー21の側縁21Sおよび第2カバー22の側縁22Sの少なくとも1つとの間で、隙間Gを形成する。この構成によれば、カセットカバー20Kの側縁20Sが隙間Gを形成する相手が第1カバー21と第2カバー22のうち少なくとも1つなので、カセットカバー20Kの側縁20Sと隣接する隙間の数を減らすことができる。よって、複合機11をカセットカバー20Kが向く側面から見たときの見た目がよい。例えば、カセット20の側縁20Sに隣接する位置に筐体12Aを構成する部分(例えば、桟部)があると、正面から見たときにカセット20の周囲の一部に隙間ができる。これに対して、この複合機11では、正面から見たときにカセット20の側縁20Sの裏側に隙間Gが隠れるので、正面から見たときの見た目がよい。
【0098】
(17)カセットカバー20Kが設けられる側面12Fが向く方向は、複合機11の操作パネル19が向く方向と同じである。隙間Gは、X軸方向に向かって開口している。この構成によれば、隙間Gが複合機11の正面を向いていないので、見た目がよい。
【0099】
(18)カセットカバー20Kは、Y軸方向に引き出し可能なカセット20であって、給送する媒体Mを載置するカセット20に設けられている。この構成によれば、カセット20は、ユーザーの使用頻度が高いので、カセットカバー20Kはユーザーの目に触れる頻度が高い。このようなカセットカバー20Kは、カセット20を引き出し可能に収容される複合機11の筐体12Aの部分とカセット20との間の隙間を覆う。このため、カセットカバー20Kを正面から見たときに隙間Gが見えない。複合機11をユーザーが立つ正面から見たときに、見た目がよい。
【0100】
(19)複合機11は、媒体Mに対して液体を吐出する液体吐出ヘッド30Aを更に備える。液体吐出ヘッド30Aは、装置本体12に設けられる。この構成によれば、液体吐出ヘッド30Aが、カバーCVでなく、装置本体12に設けられるので、カバーCVの開け閉めの衝撃により、液体吐出ヘッド30Aのノズルのメニスカスが壊れることを防ぐことができる。
【0101】
(20)媒体搬送システムの一例としての記録システム10によれば、上記(1)~(19)の効果を同様に得ることができる。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0102】
・第1カバー21が有するトレイは、排出トレイであってもよい。例えば、図12に示すように、第1カバー21は、媒体Mを載置するトレイの一例としての排出トレイ90を有する。複合機11は、搬送経路Tから排出トレイ90へ媒体Mを排出する排出ローラー91を備える。排出トレイ90は、Y軸に沿った回動軸90Bを有し、第1カバー21に対して回動可能に構成される。排出トレイ90は、把手90Aを有する。よって、排出トレイ90を回動により展開したり収納したりすることができる。また、第1カバー21が排出トレイ90を有するため、第1カバー21が-Z方向に垂れ下がりやすくなる。さらに、大容量給紙ユニット80は、Z軸方向の位置が、第1カバー21と重ならないので、排出トレイ90を開けたときに排出トレイ90が大容量給紙ユニット80と衝突しない。つまり、排出トレイ90を開けるために大容量給紙ユニット80をX軸方向に移動させる必要がない。また、大容量給紙ユニット80が、第2カバー22と同じ高さにあってもよい。この場合でも、排出トレイ90を開けたときに排出トレイ90が大容量給紙ユニット80と衝突しない。また、第1カバー21が排出トレイ90を有するため、多様な媒体M(例えば、厚みや坪量が異なる媒体M)を搬送経路Tから排出することができる。さらに、第1カバー21を開けることにより、排出ローラー91にてジャムした媒体Mを除去しやすい。なお、第1カバー21は、トレイの一例として、給送トレイ24と排出トレイ90との両方を備えてもよい。
【0103】
・第3カバー23を無くしてもよい。この場合、第2カバー22のZ軸方向の寸法を前記実施形態よりも大きくしてもよい。例えば、前記実施形態において、第2カバー22と第3カバー23とが占める面積の1つのカバーを、第2カバー22としてもよい。
【0104】
・第3カバーは、回動軸を有する回動式に限定されず、装置本体12に対して着脱可能な取り外し式のカバーであってもよい。
・第3カバーは、搬送経路を覆う構成に限定されず、装置本体12内の搬送経路以外の構成物を覆うカバーであってもよい。構成物としては、廃液タンク等であってもよい。
【0105】
・第1カバー21のZ軸方向の下端は、大容量給紙ユニット80のZ軸方向の上端よりも低くてもよい。
・第1カバー21は、トレイを有しない構成でもよい。
【0106】
・給送装置は、大容量給紙ユニット80に限定されない。外部から搬入した媒体Mを内部の搬送経路Tに沿って搬送して媒体搬送装置へ排出する中間装置でもよい。この種の給送装置の一例としての中間装置は、記録後の媒体Mを乾燥するために搬送する装置であってもよいし、記録された媒体の向きを反転させる反転経路を搬送経路として備える装置であってもよい。
【0107】
・カバーCVが設けられる装置本体12の側面は、X軸方向が向く2つの側面のうち前記実施形態とは反対側の側面(正面から見て左側面)であってもよい。また、カバーCVが設けられる装置本体12の側面は、正面であってもよいし、背面であってもよい。
【0108】
・第4カバーの一例としてのカセットカバー20Kは、カセット20の引き出し方向側の端部に固定されていてもよいし、X軸方向に沿った回動軸を有する回動体であって装置本体12に対して回動可能に設けられていてもよい。後者の場合、第4カバーは閉じた状態でカセット20を覆い、第4カバー開けることでカセット20が引き出し可能に露出される。
【0109】
・第4カバーの一例としてのカセットカバー20Kは、装置本体12の正面以外の側面に設けられてもよい。つまり、カセットカバー20Kが設けられる側面が向く方向は、複合機11の操作パネル19が向く方向と同じでなくてもよい。例えば、第1カバー21と同じ側面に設けられてもよいし、第1カバー21が設けられる側面12Sと反対側の側面に設けられてもよい。
【0110】
・第4カバーは、カセットカバー20Kであることに限定されず、媒体Mに吐出する液体等を貯留するタンクまたはカートリッジを露出させる回動体であってもよい。この第4カバーは、X軸方向に沿った回動軸を有する回動体(カバー)であってもよい。
【0111】
・カセット20を四段に替えて二段の構成とし、カセット20を二段備えた複合機11において、第1カバー21の-Z側の下端は、給送装置の一例としての大容量給紙ユニット80の+Z側の上端よりも+Z側にある構成としてもよい。また、この条件を満たすときのカセット20の段数が、三段でもよいし五段でもよい。
【0112】
・第2カバー22に替え、第3カバー23が、給送装置の一例としての大容量給紙ユニット80から搬送された媒体Mが通る搬入口66を備える構成としてもよい。
・第3カバー23は、Z軸に沿った回動軸を有し、装置本体12に対して回動可能な構成でもよい。
【0113】
・媒体Mは単票紙に限定されず、ロール紙でもよい。また、媒体Mは用紙に限定されず、プラスチック製、金属製、ラミネート製またはセラミック製のシートやフィルムでもよい。さらに、媒体Mは、布(織物、不織布、編物を含む)でもよい。
【0114】
・媒体搬送装置は、カセット20を備えない複合機11または印刷装置であってもよい。例えば、大容量給紙ユニット80などの外部装置から媒体Mが供給される記録システムとして常に使用される構成でもよい。
【0115】
・媒体搬送装置は、複合機11に限定されない。媒体搬送装置は、画像読取部13および自動原稿給送部14を備えない印刷装置であってもよい。
・媒体搬送装置は、複合機や印刷装置に限定されない。媒体を搬送する搬送経路を有する装置であればよい。また、媒体搬送装置は、記録部を備えない構成でもよい。すなわち、媒体搬送装置は、記録または記録以外の処理を含む所定の処理を媒体に施す処理部を有する装置であればよい。すなわち、媒体搬送装置は、媒体に処理を行う処理部を有し、処理部が処理する処理位置を通る経路で媒体を搬送する搬送経路を有する装置であればよい。例えば、媒体搬送装置は、原稿の画像を読み取る読取処理を行う読取部を処理部として有する画像読取装置であってもよい。処理部は、媒体に処理液を吐出または塗付する処理部でもよい。また、処理部は、媒体を乾燥する乾燥処理を行う乾燥部であってもよい。乾燥部は、例えば、送風部または加熱部などが挙げられる。
【0116】
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)媒体搬送装置であって、前記媒体搬送装置の設置面に直交するZ軸のうち、前記設置面に対して前記媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、前記設置面の面内方向のうち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とすると、媒体を搬送する搬送経路を有する装置本体と、前記装置本体の側面に設けられ、前記搬送経路を露出する第1状態と、前記搬送経路を覆う第2状態とを切り替え可能なカバーと、を備え、前記カバーは、Z軸に沿った回動軸を有し、前記装置本体に対して回動可能な第1カバーと、前記第1カバーの-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置本体に対して回動可能な第2カバーと、に分割されている。
【0117】
この構成によれば、カバーが、第1カバーと第2カバーとに分割されているので、第1および第2カバーを開くことにより、第1カバーと第2カバーに亘る搬送経路が連続的に開放される。よって、作業性がよい。また、自重により第1カバーが-Z側に垂れ下がりやすくても、-Z側に配置された第2カバーの回動軸がY軸に沿いかつ-Z側に配置されるので、垂れ下がった第1カバーと第2カバーとが衝突しにくい。よって、良好な開閉動作を確保できる。したがって、カバーを開けたときの作業性と、カバーの良好な開閉動作とを両立できる。
【0118】
(B)上記媒体搬送装置において、前記装置本体は、前記装置本体に対してX軸方向に並び、媒体を収容し、収容した当該媒体を前記搬送経路へ給送する給送装置から、媒体を給送されることが可能に構成され、前記第1カバーの-Z側の下端は、前記給送装置の+Z側の上端よりも+Z側にあってもよい。
【0119】
この構成によれば、第1カバーの-Z側の下端が給送装置の+Z側の上端よりも+Z側にあるので、第1カバーを開ける際に給送装置と衝突しない。よって、給送装置から媒体が搬送経路に供給される構成をとる場合も、作業性がよい。
【0120】
(C)上記媒体搬送装置において、前記給送装置のZ軸方向の位置が、前記第2カバーのZ軸方向の位置と重なる位置にあり、かつ、前記給送装置は前記装置本体に対してX軸方向に移動可能であり、前記第1カバーのY軸方向の寸法は、前記第2カバーのZ軸方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0121】
この構成によれば、第2カバーを開く際に、給送装置の移動量を少なくすることができる。よって、ジャム除去のために要する設置面積(媒体搬送システムの設定面積)を小さくすることができる。
【0122】
(D)上記媒体搬送装置において、前記第2カバーは、給送装置から搬送された媒体が通る搬入口を備えてもよい。
この構成によれば、第1カバーに搬入口を備える構成と比較して、第1カバーの開閉時に給送装置が邪魔にならない。
【0123】
(E)上記媒体搬送装置において、前記カバーの-Z側に配置され、Z軸に直交するY軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置本体に対して回動可能な第3カバーを更に備え、前記第3カバーのY軸方向の寸法は、前記第3カバーのZ軸方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0124】
この構成によれば、第3カバーを開ける際に要するX軸方向のスペースを小さくできる。よって、第3カバーを開けるために給送装置を移動させる距離を短くできる。
(F)上記媒体搬送装置において、前記第1カバーのY軸方向の寸法は、前記第1カバーのZ軸方向の寸法よりも小さくてもよい。
【0125】
この構成によれば、第1カバーの回動軸が、第1カバーの長手方向であるZ軸に沿っているので、第1カバーを開けるために必要となるX軸方向のスペースを小さくしつつ、第1カバーを開けたときにより多くの搬送経路を露出させることができる。
【0126】
(G)上記媒体搬送装置において、前記第2カバーのY軸方向の寸法は、前記第2カバーのZ軸方向の寸法よりも大きくてもよい。
この構成によれば、第2カバーの回動軸が第2カバーの長手方向であるY軸に沿っているので、第2カバーを開けるために要するX軸方向のスペースを小さくしつつ、第2カバーを開けたときにより多くの搬送経路を露出させることができる。
【0127】
(H)上記媒体搬送装置において、前記第2カバーのZ軸方向の寸法は、前記第1カバーのZ軸方向の寸法よりも小さくてもよい。
この構成によれば、第2カバーを開いたときのX軸方向のスペースを小さくできる。また、第1カバーにトレイ等の別部材を配置しやすい。
【0128】
(I)上記媒体搬送装置において、前記第1カバーは、媒体を載置するトレイを有してもよい。
この構成によれば、第1カバーがトレイを有するため、多様な媒体(例えば、厚みや坪量が異なる媒体)を搬送経路へ供給したり、あるいは、搬送経路から排出したりすることができる。
【0129】
(J)上記媒体搬送装置において、前記第1カバーは、前記トレイに載置された媒体を前記搬送経路へ給送する給送ローラー、または、前記搬送経路から前記トレイへ媒体を排出する排出ローラーを備えてもよい。
【0130】
この構成によれば、第1カバーを開けることにより、給送ローラーまたは排出ローラーにてジャムした媒体を除去しやすい。
(K)上記媒体搬送装置において、前記トレイは、Y軸に沿った回動軸を有し、前記第1カバーに対して回動可能に構成されてもよい。
【0131】
この構成によれば、トレイを回動により展開したり収納したりすることができる。
(L)上記媒体搬送装置において、複数の媒体を載置するカセットを更に備え、前記第2カバーは、Z軸方向の位置が前記カセットのZ軸方向の位置と重なる位置にあり、前記第1カバーは、Z軸方向の位置が前記カセットのZ軸方向の位置と重ならない位置にあり、かつ、前記第2カバーが覆う搬送経路よりも下流の搬送経路を覆ってもよい。
【0132】
この構成によれば、カセットの近くの搬送経路は、重送などにより頻繁にジャム除去作業が行われる箇所である。この箇所だけを、第2カバーにより開放することができる。よって、ジャム除去作業の際に使い勝手がよい。
【0133】
(M)上記媒体搬送装置において、前記第1カバーは、前記第2カバーよりも、重くてもよい。
この構成によれば、第1カバーと第2カバーとの両方を開けたときに、第1カバーは自身の重量で垂下がりやすいものの、両カバーの開き方から、第2カバーは第1カバーの下方に離れて位置する。よって、第1カバーが第2カバーと接触しにくい。
【0134】
(N)上記媒体搬送装置において、前記搬送経路は、スイッチバック経路を有し、前記第1カバーは、前記スイッチバック経路を形成してもよい。
この構成によれば、搬送経路がスイッチバック経路を有するので、媒体を反転させることができる。例えば、媒体搬送装置が記録機能を備える場合、媒体に両面記録を行うことができる。第1カバーが、スイッチバック経路を有するので、第1カバーを開けることにより、スイッチバック経路を露出させやすい。よって、両面記録時のジャム除去作業がしやすい。また、スイッチバック経路を形成する第1カバーが重くなる。第1カバーが重くなると、開けたときに垂下がりやすくなるものの、第1カバーと第2カバーとの開き方から、両方を開けたときに、第1カバーは第2カバーと接触しにくい。
【0135】
(O)上記媒体搬送装置において、前記第1カバーのY軸方向の寸法は、前記第2カバーのY軸方向の寸法と等しく、前記第1カバーのZ軸方向に延びる側縁と、前記第2カバーのZ軸方向に延びる側縁とが、Z軸方向の直線上にあってもよい。
【0136】
この構成によれば、第1カバーと第2カバーとの側縁が揃うので、見た目がよい。
(P)上記媒体搬送装置において、前記装置本体に対して開閉可能な第4カバーを、Y軸方向を向く側面に備え、前記第4カバーの側縁は、前記第1カバーの側縁および前記第2カバーの側縁の少なくとも1つとの間で、隙間を形成してもよい。
【0137】
この構成によれば、第4カバーの側縁が隙間を形成する相手が第1カバーと第2カバーのうち少なくとも1つなので、第4カバーの縁と隣接する隙間の数を減らすことができる。よって、媒体搬送装置を第4カバーが向く側面から見たいときの見た目がよい。
【0138】
(Q)上記媒体搬送装置において、前記第4カバーが設けられる前記側面が向く方向は、前記媒体搬送装置の操作パネルが向く方向と同じであり、前記隙間は、X軸方向に向かって開口していてもよい。
【0139】
この構成によれば、隙間がいわゆる正面を向いていないので、見た目がよい。
(R)上記媒体搬送装置において、前記第4カバーは、前記Y軸方向に引き出し可能なカセットであって、給送する媒体を載置する前記カセットに設けられていてもよい。
【0140】
この構成によれば、カセットは、ユーザーの使用頻度が高いので、第4カバーはユーザーの目に触れる頻度が高い。このような第4カバーは、カセットを引き出し可能に収容される筐体とカセットとの間の隙間を覆う。このため、第4カバーを正面から見たときに第4カバーに隠れて隙間が見えない。第4カバーが設けられた側面を正面として媒体搬送装置を見たときに、見た目がよい。
【0141】
(S)上記媒体搬送装置において、媒体に対して液体を吐出する液体吐出ヘッドを更に備え、前記液体吐出ヘッドは、前記装置本体に設けられてもよい。
この構成によれば、液体吐出ヘッドが、カバーでなく、装置本体に設けられるので、カバーの開け閉めの衝撃により、液体吐出ヘッドのノズルのメニスカスが壊れることを防ぐことができる。
【0142】
(T)媒体搬送装置と、前記媒体搬送装置に媒体を給送する給送装置とを備える媒体搬送システムであって、前記媒体搬送装置は、前記媒体搬送装置の設置面に直交するZ軸のうち、前記設置面に対して前記媒体搬送装置側を+Z側、反対側を-Z側とし、前記設置面の面内方向のうち直交する2つの軸をそれぞれX軸、Y軸とすると、媒体を搬送する搬送経路を有する装置本体と、前記装置本体の側面に設けられ、前記搬送経路を露出する第1状態と、前記搬送経路を覆う第2状態とを切り替え可能なカバーと、を備え、前記カバーは、Z軸に沿った回動軸を有し、前記装置本体に対して回動可能な第1カバーと、前記第1カバーの-Z側に配置され、Y軸に沿った回動軸を-Z側に有し、前記装置本体に対して回動可能な第2カバーと、に分割されており、前記給送装置は、前記媒体搬送装置の前記装置本体に対してX軸方向に並び、媒体を収容し、収容した当該媒体を前記搬送経路へ給送可能に構成され、前記媒体搬送装置は、前記給送装置から媒体を給送されることが可能に構成され、前記第1カバーの-Z側の下端は、前記給送装置の+Z側の上端よりも+Z側にある。
【0143】
この構成によれば、媒体搬送システムにおいて、媒体搬送装置のカバーを開けたときの作業性と、カバーの良好な開閉動作とを両立できる。
【符号の説明】
【0144】
10…媒体搬送システムの一例としての記録システム、11…媒体搬送装置の一例としての複合機、12…装置本体、12A…筐体、12S…側面、12F…側面、121…第1開口、122…第2開口、13…画像読取部、14…自動原稿給送部、15…プリンター部、16…キャスター、17…原稿トレイ、18…排出トレイ、19…操作パネル、19A…表示部、20…カセット、20A…第1カセット、20B…第2カセット、20C…第3カセット、20D…第4カセット、20E…把手、20K…第4カバーの一例としてのカセットカバー、20S…側縁、21…第1カバー、21A…把手、21B…回動軸、21S…側縁、22…第2カバー、22A…把手、22B…回動軸、22S…側縁、23…第3カバー、23A…把手、23B…回動軸、23S…側縁、24…トレイの一例としての給送トレイ、24A…把手、24B…エッジガイド、24C…回動軸、30…記録部、30A…液体吐出ヘッド、31…排出部、32…排出トレイ、33…媒体幅センサー、35…液体供給源、36…廃液貯留部、37…制御部、41…給送ローラー、43…給送ローラー、45,46、47,54…搬送ローラー対、45A,46A,54A…駆動ローラー、45B,46B,54B…従動ローラー、48…搬送ベルト、49,51,53…排出ローラー対、50,52…フラップ、61…第1搬送ローラー、62…第2搬送ローラー、63…第3搬送ローラー、64…第4搬送ローラー、65…搬入ローラー、66…搬入口、70…搬送機構、71…第1ガイド部材、72…第2ガイド部材、73…第3ガイド部(第2カバー側)、74…第4ガイド部(装置本体側)、75…第5ガイド部(第3カバー側)、76…第6ガイド部(装置本体側)、77…支持リンク、80…給送装置の一例としての大容量給紙ユニット、81…筐体、82…大容量カセット、82A…把手、83…キャスター、84…給送ローラー、85…分離ローラー対、86…給送ガイド、90…排出トレイ、90B…回動軸、91…排出ローラー、T…搬送経路、T1…第1搬送路、T2…第2搬送路、T3…第3搬送路、T4…第4搬送路、T5…第5搬送路、T6…第6搬送路、T7…第7搬送路、T8…第8搬送路、T9…第9搬送路、T10…反転路、T11…反転路、LY1…Y軸方向の寸法(第1カバー)、LZ1…Z軸方向の寸法(第1カバー)、LY2…Y軸方向の寸法(第2カバー)、LZ2…Z軸方向の寸法(第2カバー)、LY3…Y軸方向の寸法(第3カバー)、LZ3…Z軸方向の寸法(第3カバー)、LZ4…Z軸方向の寸法(カセット)、LY5…Y軸方向の寸法(トレイ)、LZ5…Z軸方向の寸法(トレイ)、LZ6…Z軸方向の寸法(大容量カセット)、D…原稿、M…媒体、F…設置面、X…幅方向、Y…奥行方向、Z…鉛直方向、CV…カバー、G…隙間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12