(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/332 20190101AFI20241210BHJP
G06F 16/338 20190101ALI20241210BHJP
【FI】
G06F16/332
G06F16/338
(21)【出願番号】P 2021040461
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】紀井 建彦
【審査官】原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-025925(JP,A)
【文献】特開2015-176432(JP,A)
【文献】米国特許第09031831(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のテキストデータのうち他の装置で表示されている範囲のなかから予め設定されている条件に該当する単語を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された単語を検索語として所定の辞書コンテンツを検索することにより前記検索語に対応する情報を所定の表示部に表示させる
とともに、前記抽出手段により抽出された単語の表示態様が他の単語の表示態様とは異なるように前記他の装置で表示されているテキストデータを表示させる表示制御手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出手段は、前記抽出した単語が前記範囲の変化に対応させて更新されるように前記単語を抽出し、
前記表示制御手段は、前記抽出手段による前記単語の更新に対応させて前記表示部に表示させる前記情報を更新する、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記抽出手段による前記単語の更新に対応させて前記表示部に表示させる前記情報を更新する場合には、前記範囲から外れた単語を前記検索語にした前記情報の表示を維持したままで、新たに前記範囲に含まれた単語を前記検索語にした前記情報を新たに追加して表示させる、
ことを特徴とする
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記抽出手段による前記単語の更新に対応させて前記表示部に表示させる前記情報を更新する場合には、前記範囲から外れた単語を前記検索語にした前記情報の表示態様を、新たに前記範囲に含まれた単語を前記検索語にした前記情報の表示態様とは異ならせる、
ことを特徴とする
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記抽出手段により複数の単語が抽出された場合には前記複数の単語のそれぞれを前記検索語として前記所定の辞書コンテンツを検索し、前記検索語毎の前記情報の合計量が所定の情報量よりも多い場合または前記抽出手段により抽出された単語の数が所定の数よりも多い場合には前記検索語毎の前記情報のそれぞれの情報量を絞って前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記他の装置が前記表示部を備えており、
前記表示制御手段は、前記検索語に対応する情報を前記他の装置に送信することにより前記検索語に対応する情報を前記表示部に表示させる、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記条件は、前記辞書コンテンツに対しての検索履歴に基づいて設定されている、
ことを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
所定のテキストデータのうち他の装置で表示されている範囲のなかから予め設定されている条件に該当する単語を抽出する抽出処理と、
前記抽出処理により抽出された単語を検索語として所定の辞書コンテンツを検索することにより前記検索語に対応する情報を所定の表示部に表示させるとともに、前記抽出処理で抽出された単語の表示態様が他の単語の表示態様とは異なるように前記他の装置で表示されているテキストデータを表示させる表示制御処理と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータを、
所定のテキストデータのうち他の装置で表示されている範囲のなかから予め設定されている条件に該当する単語を抽出する抽出手段、
前記抽出手段により抽出された単語を検索語として所定の辞書コンテンツを検索することにより前記検索語に対応する情報を所定の表示部に表示させるとともに、前記抽出手段により抽出された単語の表示態様が他の単語の表示態様とは異なるように前記他の装置で表示されているテキストデータを表示させる表示制御手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、辞書コンテンツが搭載された電子辞書が広く利用されている。辞書コンテンツには、複数の見出し語とする単語等のそれぞれと対応づけて、語義などの説明情報が登録されている。電子辞書は、ユーザ操作により入力された単語等の検索語と一致する見出し語を辞書コンテンツから検索し、見出し語に対応する説明情報を表示させる。
【0003】
また、電子辞書は、他の情報処理装置と通信により接続して、他の情報処理装置から受信した単語等について検索する機能を有するものがある(例えば、特許文献1)。他の情報処理装置は、テキストを表示する画面において、単語等を範囲指定することで、電子辞書に対して検索対象とする単語等のデータを送信することができる。電子辞書は、他の情報処理装置から受信された検索対象とする単語等を検索して、検索結果とする説明情報を表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された電子辞書は、他の情報処理装置と通信によって接続することで、他の情報処理装置から受信される単語等をもとに辞書コンテンツに対して検索をすることができる。しかしながら、他の情報処理装置において、手動操作によって単語等の指定をさせる必要があるため、ユーザによる操作負担の軽減が求められる。
【0006】
本発明は、前記のような課題に考慮してなされたもので、他の情報処理装置に表示されたテキストに含まれる単語等についての辞書コンテンツに対する検索を、ユーザの操作負担を軽減して実行可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る情報処理装置は、所定のテキストデータのうち他の装置で表示されている範囲のなかから予め設定されている条件に該当する単語を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された単語を検索語として所定の辞書コンテンツを検索することにより前記検索語に対応する情報を所定の表示部に表示させるとともに、前記抽出手段により抽出された単語の表示態様が他の単語の表示態様とは異なるように前記他の装置で表示されているテキストデータを表示させる表示制御手段と、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る情報処理方法は、情報処理装置が実行する情報処理方法であって、所定のテキストデータのうち他の装置で表示されている範囲のなかから予め設定されている条件に該当する単語を抽出する抽出処理と、前記抽出処理により抽出された単語を検索語として所定の辞書コンテンツを検索することにより前記検索語に対応する情報を所定の表示部に表示させるとともに、前記抽出処理で抽出された単語の表示態様が他の単語の表示態様とは異なるように前記他の装置で表示されているテキストデータを表示させる表示制御処理と、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るプログラムは、コンピュータを、所定のテキストデータのうち他の装置で表示されている範囲のなかから予め設定されている条件に該当する単語を抽出する抽出手段、前記抽出手段により抽出された単語を検索語として所定の辞書コンテンツを検索することにより前記検索語に対応する情報を所定の表示部に表示させるとともに、前記抽出手段により抽出された単語の表示態様が他の単語の表示態様とは異なるように前記他の装置で表示されているテキストデータを表示させる表示制御手段、として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、他の情報処理装置に表示されたテキストに含まれる単語等についての辞書コンテンツに対する検索を、ユーザの操作負担を軽減して実行可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を用いたシステム構成を示す図。
【
図2】本実施形態における電子辞書の外観構成を示す正面図。
【
図3】本実施形態におけるスマートフォンの電子回路の構成を示す機能ブロック図。
【
図4】第1実施形態における電子辞書の連携処理とスマートフォンの閲覧処理を示すフローチャート。
【
図5】第1実施形態における電子辞書において実行される検索対象単語選択処理を示すフローチャート。
【
図6】本実施形態における電子辞書に送信されるテキストデータの一例を示す図。
【
図7】検索条件データに該当する単語(見出し語)の一例を示す図。
【
図8】スマートフォンと電子辞書のタッチパネル式表示部における表示例を示す図。
【
図9】第2実施形態における電子辞書の連携処理とスマートフォンの閲覧処理を示すフローチャート。
【
図10】スマートフォンのタッチパネル式表示部に表示されるテキスト画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面により本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態(第1実施形態、第2実施形態)に係る情報処理装置を用いたシステム構成を示す図である。
図1は、第1の情報処理装置10と第2の情報処理装置20とが無線通信を介して接続されたシステム構成の例を示している。
【0012】
図1は、第1の情報処理装置10の電子回路の構成を示す機能ブロック図と、第2の情報処理装置20の外観構成を示している。
【0013】
本実施形態では、第1の情報処理装置10を例えば電子辞書(以下、電子辞書10)として構成し、第2の情報処理装置20を例えばスマートフォン(以下、スマートフォン20)として構成した例について示す。なお、第1の情報処理装置10は、電子辞書10の他、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットPC、ゲーム装置などの各種の電子機器により実現することが可能である。また、第2の情報処理装置20は、スマートフォン20の他、パーソナルコンピュータ、電子辞書、タブレットPC、ゲーム装置などの各種の電子機器により実現することが可能である。
【0014】
電子辞書10は、複数種類の辞書コンテンツが辞書データとして記録されている。辞書コンテンツでは、複数の見出し語とする単語等のそれぞれと対応づけて、少なくとも1つの語義に関する情報、単漢字/熟語などの情報が登録されている。
【0015】
なお、辞書コンテンツは、国語系や英語系などの言語に関する辞書に限らず、各種分野の辞典などのコンテンツなどを含む。各種分野の辞典には、例えば百科事典、歴史事典、医学事典、各種趣味に関する辞典などがある。
【0016】
電子辞書10は、各種の記録媒体に記録されたプログラム、又は、伝送されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータの構成を有し、その電子回路には、CPU(central processing unit)11が備えられる。
【0017】
CPU11は、電子辞書10の全体を制御する制御部として機能する。CPU11は、メモリ12内に予め記憶された制御プログラム、あるいはROMカードなどの記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ12に読み込まれた制御プログラム、あるいはインターネット等のネットワーク(図示せず)を通じて、外部装置(サーバ等)からダウンロードされてメモリ12に読み込まれた制御プログラムに応じて、回路各部の動作を制御する。
【0018】
メモリ12に記憶された制御プログラムは、キー入力部16からのユーザ操作に応じた入力信号、タッチパネル式表示部17からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは記録媒体読取部14を介して接続されるEEPROM(登録商標),RAM,ROMなどの外部記録媒体13との接続通信信号に応じて起動される。
【0019】
CPU11には、メモリ12、記録媒体読取部14、通信部15、キー入力部16、タッチパネル式表示部17などが接続される。
【0020】
メモリ12に記憶される制御プログラムとしては、電子辞書10の全体の動作を司る辞書制御プログラム12a、他の情報処理装置(スマートフォン20など)とデータ通信可能な状態において連携した動作を制御する連携処理ための連携処理プログラム12b、他の情報処理装置とデータ通信するための通信プログラムなどがある。
【0021】
第1実施形態における電子辞書10は、辞書制御プログラム12a及び連携処理プログラム12bを実行することにより、スマートフォン20において表示対象とされるテキストデータを通信により受信し、このテキストデータから予め設定された検索条件データに該当する単語を判別し、この単語を検索語として辞書コンテンツに対して検索して、検索結果とする説明情報等をタッチパネル式表示部17に表示させる。
【0022】
また、第2実施形態における電子辞書10は、第1実施形態と同様にして、辞書コンテンツに対して検索を実行し、この検索によって取得された検索結果をスマートフォン20に送信し、スマートフォン20において検索結果とする説明情報等を表示させる。
【0023】
メモリ12には、辞書データ12c、検索条件データ12d(辞書検索履歴データ12d1)などが記憶される。
【0024】
辞書データ12cには、例えば、英和辞書、和英辞書、英英辞書、英漢辞書、国語辞書などの複数の辞書、複数種類の事典などの辞書コンテンツを集録したデータベースが含まれる。辞書データ12cには、辞書毎に、各見出し語のそれぞれに対応する意味(語義)を説明する語義情報が含まれる。また、見出し語のそれぞれには、属性情報データが付されていても良い。属性情報データは、例えば重要度、難易度、分野などがある。
【0025】
なお、辞書データ12cは、電子辞書10の本体に内蔵せずに、ネットワークを通じてアクセス可能な外部装置(サーバ等)に記憶されていても良い。
【0026】
検索条件データ12dは、スマートフォン20から受信されたテキストデータから、辞書コンテンツに対する検索対象とする単語等を選択するための条件を示すデータである。電子辞書10は、スマートフォン20においてユーザ操作によって検索対象とする単語を指定させるのではなく、テキストデータ中から予め設定された検索条件に該当する単語を、ユーザ操作を必要とせずに自動的に検索対象として選択する。すなわち、検索条件データは、スマートフォン20においてテキストを閲覧しているユーザが辞書コンテンツを利用して調べたい単語を予測して選択するためのデータである。
【0027】
検索条件データ12dは、例えば、電子辞書10における辞書コンテンツに対する辞書検索履歴データ12d1、辞書コンテンツの見出し語に予め付された属性情報データ、その他の情報に基づいて、連携処理プログラム12bによる制御により設定される。
【0028】
例えば、ユーザ操作により検索条件データ12dの設定が指示された場合、CPU11は、連携処理プログラム12bを実行して、辞書検索履歴データ12d1、属性情報データ、あるいはその他の情報に基づいて、検索条件データ12dを設定する。何れのデータに基づいて検索条件データ12dを設定するかは、ユーザが指定できるようにしても良いし、予め何れかのデータが予め決められていても良い。
【0029】
なお、検索条件データ12dの設定は、ユーザ操作に応じて実行するだけでなく、電子辞書10の処理負荷が軽い状態にある空き時間や、予め決められた時刻、連携処理を開始する前などに実行するようにしても良い。
【0030】
辞書検索履歴データ12d1は、各種の辞書コンテンツのそれぞれについて、通常時の使用に応じて更新されるデータである。辞書検索履歴データ12d1は、例えば、辞書コンテンツの見出し語毎の検索回数、最終検索日時などのデータを含む。
【0031】
辞書検索履歴データ12d1をもとにした検索条件データ12dは、例えば辞書コンテンツの見出し語毎の検索回数あるいは最終検索日時をもとにした条件を示す。
【0032】
例えば、検索条件データ12dは、検索回数に対する基準値を示す。すなわち、単語に該当する見出し語に対する検索回数が、検索条件データ12dが示す基準値以上である場合、この単語を検索対象として選択できるようにする。複数回(基準値)以上、辞書コンテンツを利用して、ある見出し語について語義を調べている場合、ユーザが語義を確実に覚えられないため、何度も検索している可能性がある。従って、該当する見出し語に対応する単語を検索対象として選択できるようにする。
【0033】
また、検索条件データ12dは、最終検索日時から現在までの期間の長さに対する基準値(期間基準値)を示す。すなわち、単語に対応する見出し語について最終検索日時から現在までの期間が、検索条件データ12dが示す期間基準値以上である場合、この単語を検索対象として選択できるようにする。最終検索日時から現在までの期間が長い単語は、過去にユーザが辞書を利用して語義を調べたことがあり、かつ最後に調べてから長い時間が経過したため、調べた語義の内容を忘れている可能性がある。従って、該当する見出し語に対応する単語を検索対象として選択できるようにする。
【0034】
辞書検索履歴データ12d1をもとに検索条件データ12dを設定することにより、電子辞書10を使用するユーザの辞書コンテンツの利用傾向に応じた単語を検索対象として選択することができる。
【0035】
なお、前述した辞書検索履歴データ12d1をもとにした検索条件データ12dの設定内容は一例であって、検索回数と最終検索日時とは異なる検索履歴を対象としても良いし、検索履歴に対して基準値とは異なる他の条件を設定しても良い。
【0036】
また、見出し語に予め設定された属性情報データは、例えば見出し語毎の重要度、難易度、分野などを示す。
【0037】
例えば、検索条件データ12dは、重要度あるいは難易度に対する基準値(レベル基準値)を示す。すなわち、単語に対応する見出し語に設定された重要度あるいは難易度のレベルが、検索条件データ12dが示すレベル基準値以上である場合、該当する単語を検索対象として選択できるようにする。一般に重要度や難易度が高い単語については検索対象とされる可能性が高い。従って、重要度/難易度に対するレベル基準値を検索条件として設定しておくことで、検索対象とされる可能性が高い単語をテキストから選択することができる。
【0038】
レベル基準値は、例えば、ユーザが自分のレベルに応じた重要度/難易度を指定することで、この指定に応じたレベル基準値として設定することができる。これにより、ユーザにとって重要度/難易度が高い単語を検索対象として選択できるようになる。
【0039】
なお、ユーザがレベル基準値とする重要度/難易度を指定するのではなく、予め決められた重要度/難易度が検索条件として設定されていても良い。
【0040】
また、検索条件データ12dは、ユーザ自身が興味のある分野や専門知識が必要な分野を示す。すなわち、単語に対応する見出し語に設定された分野が、検索条件データ12dが示す分野に該当する場合、該当する単語を検索対象として選択できるようにする。検索条件データ12dが示す分野は、例えば、ユーザが指定することで設定しても良いし、予め決められた特定の分野が設定されていても良い。これにより、ユーザによって有用な分野の単語をテキストから選択することができる。
【0041】
なお、前述した説明では、属性情報データは、辞書コンテンツの見出し語に設定されたデータとしているが、検索条件データ12dとする単語を抽出するためのデータとして、辞書コンテンツとは別に作成されたデータとしても良い。
【0042】
また、前述した検索条件データ12dが示す検索条件は、前述した辞書検索履歴データ12d1(検索回数、最終検索日時)あるいは属性情報データ(重要度、難易度、分野)に基づく、何れか一つが設定されても良いし、複数を組み合わせて設定されても良い。また、前述した検索条件は一例であって、他の条件を採用することも可能である。
【0043】
通信部15は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した、他の情報処理装置と通信する通信制御、あるいは近距離の他の情報処理装置との間で、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信をする通信制御を実行する。
【0044】
図2は、本実施形態における電子辞書10の外観構成を示す正面図である。
【0045】
図2における電子辞書10の場合、開閉される装置本体の下段側にCPU11、メモリ12、記録媒体読取部14、通信部15が内蔵されると共にキー入力部16が設けられ、上段側にタッチパネル式表示部17が設けられる。
【0046】
キー入力部16には、文字入力キー16a、各種の辞書や各種機能を選択することができる辞書選択キー16b、[訳/決定]キー16c、[戻る]キー16d、カーソルキー(上下左右キー)16e、電源ボタン、その他の各種機能キーなどが備えられる。
【0047】
タッチパネル式表示部17には、各種機能の実行に応じて、各種メニューやボタン17aなどが表示される。タッチパネル式表示部17には、例えばペンPを用いて、タッチ操作をすることができる。
【0048】
電子辞書10は、ユーザによるキー入力部16に対する操作、あるいはタッチパネル式表示部17に表示されたメニューやボタンに対するタッチ操作(ペンのペン先、あるいは指先による)に応じて、ユーザ操作による指示を入力することができる。
【0049】
このように構成された電子辞書10は、CPU11が辞書制御プログラム12aに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、以下の動作説明で述べる機能を実現する。
【0050】
通常の使用時には、電子辞書10は、例えば辞書選択キー16bにより辞書コンテンツが選択され、文字入力キー16aに対するボタン操作あるいはペンを用いた手書き文字により、検索語とする文字列(単語)が入力される。電子辞書10は、検索語とする文字列が入力されると、検索対象とする辞書コンテンツに対する検索を実行する。電子辞書10は、辞書コンテンツから検索された検索結果とする説明情報をタッチパネル式表示部17に表示させる。
【0051】
さらに、電子辞書10は、通信プログラムによりスマートフォン20と通信により接続された状態において、CPU11が連携処理プログラム12bに記述された命令に従い回路各部の動作を制御し、ソフトウエアとハードウエアとが協働して動作することにより、スマートフォン20から受信されたテキストから検索条件に該当する単語を選択して、辞書コンテンツに対する検索を実行する機能を実現する。
【0052】
図3は、本実施形態におけるスマートフォン20の電子回路の構成を示す機能ブロック図を示している。
【0053】
スマートフォン20は、インターネット等を含むネットワークNを通じて接続されるサーバ30にアクセスして、サーバ30が提供するテキストデータを含むWebページやテキストファイルなどを表示させて、ユーザに閲覧させることができる。
【0054】
スマートフォン20は、各種の記録媒体に記録されたプログラム、又は、伝送されたプログラムを読み込んで、その読み込んだプログラムによって動作が制御されるコンピュータの構成を有し、その電子回路には、CPU(central processing unit)21が備えられる。
【0055】
CPU21は、スマートフォン20の全体を制御する制御部として機能する。CPU21は、メモリ22内に予め記憶された制御プログラム、あるいはROMカードなどの記録媒体23から記録媒体読取部24を介してメモリ22に読み込まれた制御プログラム、あるいはインターネット等のネットワーク(図示せず)を通じて、外部装置(サーバ等)からダウンロードされてメモリ22に読み込まれた制御プログラムに応じて、回路各部の動作を制御する。
【0056】
メモリ22に記憶された制御プログラムは、ボタン入力部26からのユーザ操作に応じた入力信号、タッチパネル式表示部27からのユーザ操作に応じた入力信号、あるいは記録媒体読取部24を介して接続されるEEPROM(登録商標),RAM,ROMなどの外部記録媒体23との接続通信信号に応じて起動される。
【0057】
CPU21には、メモリ22、記録媒体読取部24、通信部25、ボタン入力部26、タッチパネル式表示部27などが接続される。
【0058】
メモリ22に記憶される制御プログラムとしては、スマートフォン20の全体の動作を司る基本プログラム22a(OS(Operating System))、Webページなどを表示させるための閲覧プログラム22bなどがある。
【0059】
第1実施形態におけるスマートフォン20は、基本プログラム22a及び閲覧プログラム22bを実行することにより、スマートフォン20において表示対象とされるテキストデータを通信により電子辞書10に送信して、テキストデータから検索条件に基づいて選択された単語についての検索結果(説明情報)を電子辞書10のタッチパネル式表示部17に表示させる。
【0060】
また、第2実施形態におけるスマートフォン20は、第1実施形態と同様にして、テキストデータを電子辞書10に送信して、テキストデータから選択された単語について検索を実行させ、検索結果を電子辞書10から受信して、タッチパネル式表示部27のテキストを表示させている画面に表示させる。
【0061】
メモリ22には、閲覧プログラム22bによる表示対象とされるテキストデータ22c、検索結果データ22d(第2実施形態の場合)などが記憶される。
【0062】
テキストデータ22cには、例えば、サーバ30から受信されたWebページに含まれるデータの他、テキストファイルのデータが含まれる。テキストデータ22cは、閲覧プログラム22bによる制御によりタッチパネル式表示部27に表示される。1画面にテキスト全体を表示できない場合には、ユーザ操作に応じて画面をスクロールさせて、表示対象とされるテキスト範囲が変更される。
【0063】
検索結果データ22dは、電子辞書10から受信される辞書コンテンツに対する検索により得られた説明情報等を示すデータである。検索結果データ22dは、閲覧プログラム22bによる制御により、電子辞書10に送信したテキストデータを表示するタッチパネル式表示部27の画面において表示される。
【0064】
通信部25は、インターネットやLAN(Local Area Network)などのネットワークを介した、他の情報処理装置と通信する通信制御、あるいは近距離の他の情報処理装置との間で、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信をする通信制御を実行する。
【0065】
次に、本実施形態における電子辞書10及びスマートフォン20の動作について説明する。
【0066】
(第1実施形態)
図4は、第1実施形態における電子辞書10の連携処理とスマートフォン20の閲覧処理を示すフローチャートである。
図5は、第1実施形態における電子辞書10において実行される検索対象単語選択処理を示すフローチャートである。
【0067】
第1実施形態では、スマートフォン20において表示対象とされるテキストデータを、電子辞書10に送信して、テキストデータから検索条件に該当する単語を検索対象として選択させる。電子辞書10は、テキストデータから選択した単語をもとに辞書コンテンツに対する検索を実行して、検索結果をタッチパネル式表示部17に表示させる。
【0068】
まず、ユーザは、電子辞書10とスマートフォン20に対して、無線通信により接続するための処理を開始させる。電子辞書10のCPU11は、通信プログラムを実行して、通信部15を通じてスマートフォン20と無線通信する状態にする。また、スマートフォン20は、CPU21は、通信プログラムを実行して、通信部25を通じて電子辞書10と無線通信する状態にする。これにより、電子辞書10とスマートフォン20との間で通信リンクが設定され、データ通信が可能な状態となる(ステップA1,B1)。
【0069】
スマートフォン20は、ユーザ操作に応じて閲覧プログラム22bの実行が指示されると、電子辞書10に連携処理の実行を要求する。電子辞書10のCPU11は、スマートフォン20からの連携処理の実行の要求に応じて、連携処理プログラム12bを起動して連携処理を開始する。
【0070】
スマートフォン20は、例えばユーザ操作に応じてサーバ30にアクセスして、Webページのデータを受信する。Webページには、テキストデータを含んでいる。
【0071】
CPU21は、Webページに含まれるテキストデータを抽出し(ステップA2)、テキストデータ全文を電子辞書10に対して送信する(ステップA3)。
【0072】
図6は、電子辞書10に送信されるテキストデータの一例を示す図である。
【0073】
CPU21は、スマートフォン20にテキストデータ全文を送信する前に、
図6に示すように、テキストデータに含まれる単語のそれぞれに対して、テキスト先頭からの順番を示す単語番号をナンバリングする。CPU21は、テキストデータに、単語毎にナンバリングされた単語番号を示すデータを付加して、スマートフォン20に送信する。
【0074】
一方、電子辞書10のCPU11は、スマートフォン20からテキストデータが受信されると(ステップB2、Yes)、このテキストデータに対する検索対象単語選択処理を実行する(ステップB3)。
【0075】
CPU11は、テキストデータの先頭側から1単語を抽出し(
図5、ステップC1)、検索条件データ12dが示す検索条件をもとに、この単語を検索対象とするか判別する(ステップC2)。
【0076】
図7は、検索条件データ12dに該当する単語(見出し語)の一例を示す図である。
図7は、英和辞書についての通常時の使用に応じて更新される辞書検索履歴データ12d1(検索回数及び最終検索日時)に基づいて検索条件データ12dが設定された場合の例を示す。
【0077】
CPU11は、テキストデータから抽出した単語が、検索条件データ12dが示す検索条件に該当する単語でないと判別した場合(ステップC3、No)、この単語を検索対象とはせず、テキストデータから次の1単語の抽出を実行する(ステップC1)。
【0078】
一方、CPU11は、テキストデータから抽出した単語が、検索条件データ12dが示す検索条件に該当する単語であると判別した場合(ステップC3、Yes)、この単語と単語番号とを検索対象としてメモリ12に一時的に記憶しておく(ステップC4)。なお、
CPU11は、テキストデータから全ての単語を抽出していなければ(ステップC5、Yes)、前述と同様にして、テキストデータから次の1単語の抽出を実行し(ステップC1)、検索条件をもとに検索対象とするか判別する(ステップC2)。以下、同様にして、CPU11は、検索条件に該当すると判別された単語及び単語番号を検索対象として記憶する(ステップC3,C4)。
【0079】
CPU11は、テキストデータから全ての単語を抽出して、検索対象とするか判別した場合(ステップC5、Yes)、検索対象単語選択処理を終了する。
【0080】
なお、検索条件データ12dとして、見出し語の属性情報データ(重要度、難易度、分野)をもとに設定する場合、CPU11は、テキストデータから抽出された単語をもとに辞書コンテンツの見出し語を検索し、単語により検索された見出し語に設定された属性情報が検索条件に該当するかを判別する。
【0081】
例えば、検索条件データ12dとして重要度あるいは難易度に対するレベル基準値が設定されている場合、CPU11は、単語をもとに検索された見出し語の属性情報に設定された重要度あるいは難易度がレベル基準値以上であれば、該当する単語を検索対象と判別する。
【0082】
同様にして、検索条件データ12dとして分野が設定されている場合、CPU11は、単語をもとに検索された見出し語の属性情報に設定された分野が、検索条件データ12dが示す分野と一致する場合に、該当する単語を検索対象と判別する。
【0083】
このようにして、検索条件データ12dをもとに、テキストデータに含まれる単語のそれぞれについて検索対象とするか判別し、検索条件に該当する単語を検索対象として選択することができる。従って、スマートフォン20において、ユーザが辞書コンテンツを利用して調べたい単語を指定するといった操作を必要とすることなく、ユーザにとって辞書コンテンツの検索が有用な単語を予測して選択することができる。
【0084】
一方、スマートフォン20のCPU21は、電子辞書10にテキストデータ全文を送信した後、Webページのデータをもとにタッチパネル式表示部27にWebページ(例えばテキスト)の画面を表示させる(ステップA4)。また、CPU21は、タッチパネル式表示部27に表示されたテキストの表示範囲を示す表示範囲データを電子辞書10に送信する(ステップA5)。
【0085】
図8(A)は、スマートフォン20のタッチパネル式表示部27において表示されるテキストの一例を示している。
【0086】
図8(A)において、例えばテキストデータ全文(3)のうち表示範囲(1)がタッチパネル式表示部17において表示されているものとする。この場合、CPU21は、表示範囲(1)に含まれる先頭の単語「number」の単語番号「17」と最後の単語「2013」の単語番号「83」を表示範囲データとして電子辞書10に送信する。
【0087】
電子辞書10のCPU11は、スマートフォン20から表示範囲データが受信されると(ステップB4、Yes)、先に受信済みのテキストデータ全文のうち新規表示範囲、すなわち表示範囲の先頭の単語の単語番号と最後の単語の単語番号とを判別する(ステップB5)。例えば、スマートフォン20の初期画面では、1画面に表示される表示範囲が新規表示範囲となる。また、スマートフォン20においてスクロール操作がされて、1画面に表示されるテキストの表示範囲が変更された場合には、スクロールによって新たに表示対象となった範囲が新規表示範囲となる。
【0088】
CPU11は、新規表示範囲内に含まれる、検索対象単語選択処理によって選択された単語を、各単語の単語番号を利用して判別する(ステップB6)。
【0089】
例えば、
図7に示す単語が検索対象としてテキストデータから選択されているものとする。ここで、
図8(A)に示す表示範囲(1)に対応する単語番号「17-83」の範囲が新規表示範囲である場合、単語「capital」「resurgence」「outflow」「negative」が新規表示範囲内に含まれる単語として判別される。
【0090】
CPU11は、新規表示範囲内に含まれる単語について、辞書制御プログラム12aによる辞書検索機能を使用して、辞書コンテンツ(ここでは例えば英和辞書)を対象として見出し語を検索し、検索された見出し語に対応する語義(説明情報)を取得する(ステップB7)。
【0091】
CPU11は、新規表示範囲内に含まれる各単語についての検索結果(語義)を、タッチパネル式表示部17において表示させる。
【0092】
図8(B)は、電子辞書10のタッチパネル式表示部17に表示される検索結果画面D1の一例を示す図である。
図8(B)に示すように、検索結果画面D1には、スマートフォン20において表示中のテキスト(表示範囲(1))に含まれる単語の検索結果のみを一覧表示させている。例えば、
図8(A)に示す全文(3)のうち単語W1,W2,W7(「migrating」「less」「Affairs」)は、検索対象単語として選択されているが、表示範囲(1)に含まれていないので検索結果が表示されない。これにより、スマートフォン20においてテキストを閲覧しているユーザは、閲覧中のテキストに含まれる単語の検索結果を、検索結果画面D1から容易に認識することができる。
【0093】
なお、
図8(B)に示す検索結果画面D1は、辞書コンテンツに登録されている語義情報(説明情報)の主要な内容の一部を抽出して表示させた例を示している。例えば、電子辞書10は、検索結果画面D1に表示させる検索結果の詳細レベルを、複数段階の何れかに、ユーザ操作によって予め設定できるようにする。CPU11は、詳細レベルが示す段階に応じた範囲の内容を、辞書コンテンツから得られた語義情報(説明情報)から抽出して表示させる。これにより、ユーザが必要とする詳細レベルの内容を検索結果画面D1において表示させることができる。
【0094】
なお、ユーザ操作により設定された書斎レベルに応じて情報を抽出するのではなく、予め決められた条件に応じて、検索結果画面D1に表示させる情報量を調整しても良い。例えば、検索結果画面D1に表示する単語数が少ない場合には詳細な情報を表示し、単語数が多い場合には、全ての単語の検索結果を1画面に表示させるために、検索結果の情報量を少なくするようにしても良い。
【0095】
次に、CPU11は、検索結果画面D1に検索結果を表示した検索対象単語を、スマートフォン20に通知する(ステップB9)。すなわち、単語「capital」「resurgence」「outflow」「negative」の単語番号をスマートフォン20に送信する。
【0096】
スマートフォン20のCPU21は、電子辞書10から検索対象単語が通知されると(ステップA6、Yes)、タッチパネル式表示部27に表示中のテキストにおいて、検索対象単語に該当する単語の表示形態を変更する(ステップA7)。すなわち、CPU21は、
図8(A)に示す表示範囲(1)の単語W3,W4,W5,W6(「capital」「resurgence」「outflow」「negative」)の表示形態を、他の単語と異なる形態に変更する。表示形態の変更の方法として、例えば、単語の背景色を変更する(マーカ)、フォントを変更する、アンダーラインを付加する、などの方法を用いることができる。これにより、スマートフォン20においてテキストを閲覧しているユーザは、電子辞書10において検索結果が表示されている単語を、検索結果画面D1に表示されたテキストから容易に認識することができる。従って、電子辞書10に表示された検索結果を参照し易くなる。
【0097】
CPU21は、カーソルキー16eなどの操作によって画面スクロールが指示された場合(ステップA8、Yes)、画面スクロールの指示に応じてテキストの表示範囲を変更させたWebページ(例えばテキスト)の画面を表示させる(ステップA4)。また、CPU21は、タッチパネル式表示部27に表示されたテキストの表示範囲を示す表示範囲データを電子辞書10に送信する(ステップA5)。
【0098】
すなわち、スマートフォン20は、先にテキストデータ全文を送信済みのため、その後、スクロール操作によってテキストの表示範囲が変更された場合に、データ量の少ない表示範囲データのみを電子辞書10に送信する。こうして、通信データ量を少なくすることで通信負荷を軽減し、消費電力の削減も期待することができる。
【0099】
電子辞書10のCPU11は、スマートフォン20から受信される表示範囲データに応じて、以下、前述と同様の処理を実行する(ステップB4~B9)。
【0100】
例えば、
図8(A)に示す表示範囲(2)のテキストが、スクロールによってタッチパネル式表示部27に表示されたものとする。この場合、検索対象単語として選択された単語W7(「Ministry」)が新規表示範囲に含まれるため、この単語W7(「Ministry」)について辞書コンテンツについて検索が実行され、検索結果がタッチパネル式表示部17に表示される。
【0101】
図8(C)は、電子辞書10のタッチパネル式表示部17に表示される検索結果画面D2の一例を示す図である。
図8(C)に示すように、検索結果画面D2には、表示範囲(2)に含まれる単語の検索結果のみを表示させている。すなわち、検索結果画面D2には、単語W7(「Ministry」)の説明情報が追加され、スクロールによって表示範囲外となった単語W3(「capital」)の検索結果が消去される。
【0102】
こうして、スマートフォン20におけるタッチパネル式表示部27の画面スクロールと連携させて、電子辞書10のタッチパネル式表示部17の検索結果画面に表示される検索結果の内容を変更することができる。従って、ユーザは、電子辞書10において検索された検索結果を確認するためにスクロールなどの操作をする必要がなく、スマートフォン20において閲覧中のテキストの範囲に対応する検索結果を容易に確認することができる。
【0103】
一方、スマートフォン20のCPU21は、表示対象とするWebページの変更が指示された場合(ステップA10、Yes)、サーバ30にアクセスして、次に表示対象とするWebページのデータを受信する。この場合、CPU21は、前述と同様にして、Webページに含まれるテキストデータを抽出し(ステップA2)、テキストデータ全文を電子辞書10に対して送信する(ステップA3)。以下、前述と同様の処理を実行する。
【0104】
スマートフォン20のCPU21は、テキスト(Webページ)表示の終了が指示さると(ステップA10、Yes)、電子辞書10のリンクを切断して閲覧処理を終了する。また、電子辞書10は、スマートフォン20との連携処理の終了が指示されると(ステップB10、Yes)、スマートフォン20とのリンクを切断して連携処理を終了する。
【0105】
このようにして、第1実施形態の電子辞書10では、スマートフォン20に表示されたテキストに含まれる単語についての辞書コンテンツに対する検索を、スマートフォン20において検索対象とする単語を指定する操作をすることなく実行することができる。従って、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【0106】
なお、前述した説明では、
図8(B)(C)に示すように、スマートフォン20において表示中のテキストに対応する単語の検索結果のみを表示させているが、スマートフォン20の表示範囲に含まれない表示検索済みの他の単語の検索結果を表示させても良い。この場合、スマートフォン20において表示中のテキストに対応する検索結果が、表示範囲に含まれない他の単語の検索結果と識別可能な表示形態によって表示されることが望ましい。これにより、表示中のテキストに対応する単語の検索結果のみを表示させる場合と同様の効果を得ることができる。
【0107】
また、前述した説明では、電子辞書10の検索対象単語選択処理において、検索対象とする単語を選択するのみとしているが、スマートフォン20から表示範囲データを受信する前に、検索対象とする単語のそれぞれについて検索を実行しても良い。すなわち、スマートフォン20におけるテキストの閲覧状況に関係無く、検索対象とする単語についての検索処理を先に実行しておく。電子辞書10は、スマートフォン20から表示範囲データを受信した場合、表示範囲データに含まれる単語に対応する、予め検索処理により得られている検索結果を表示させる。これにより、電子辞書10における、表示範囲データを受信してから検索結果を表示させるまでの処理負担を軽減できる。
【0108】
また、前述した説明では、スマートフォン20から電子辞書10に対してテキストデータ全文を先に送付して、その後、表示範囲データを送信しているが、テキストデータ全文を先に送付せず、表示範囲データと共に表示範囲に含まれるテキストデータを送信するようにしても良い。
【0109】
この場合、電子辞書10は、スマートフォン20から受信したテキストデータについて検索対象単語選択処理を実行することで、テキストデータから検索対象とする単語を選択し、この単語により辞書コンテンツに対して検索を実行する。スマートフォン20は、スクロールによって表示範囲が変更された際、電子辞書10に未送信のテキストデータのみを電子辞書10を送信する。これにより、電子辞書10に送信するデータ量の総量が増えないようにできる。
【0110】
こうして、表示範囲データと共にテキストデータを送信することで、例えばWebページに含まれるテキストのデータ量が大きい場合、あるいはWebページの変更が多い場合であっても、電子辞書10へ送信するテキストデータのデータ量の増加を防ぐことができ、また電子辞書10におけるテキストデータに対する処理負荷の増加を回避できる。
【0111】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態における電子辞書10の連携処理とスマートフォン20の閲覧処理を示すフローチャートである。
【0112】
第1実施形態では、電子辞書10においてテキストデータから選択した単語についての検索結果を表示させているが、第2実施形態では、スマートフォン20のタッチパネル式表示部27において検索結果を表示させる。
【0113】
第2実施形態におけるスマートフォン20の閲覧処理、電子辞書10における連携処理は、基本的に第1実施形態と同様にして実行される。すなわち、
図9に示すステップD1~D5、D8~D10の処理、ステップE1~E7,E9の処理は、それぞれ
図4に示すステップA1~A5、A8~A10の処理、B1~B7、B10の処理に対応する。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0114】
CPU11は、新規表示範囲内に含まれる単語について、辞書制御プログラム12aによる辞書検索機能を使用して、辞書コンテンツを対象として見出し語を検索し、検索された見出し語に対応する語義(説明情報)を取得する(ステップE7)。
【0115】
CPU11は、新規表示範囲内に含まれる各単語について、検索対象単語を示す単語番号と、対応する検索結果(語義)とを、スマートフォン20に送信する(ステップE8)。
【0116】
スマートフォン20のCPU21は、電子辞書10から検索対象単語(単語番号)と検索結果とを受信すると(ステップD6、Yes)、検索結果データ22dとしてメモリ22に一時記憶させる。CPU21は、検索結果データ22dをもとに、検索結果表示処理を実行する(ステップD7)。すなわち、CPU21は、タッチパネル式表示部27に表示中のテキストと共に電子辞書10から受信した検索結果を表示させる。
【0117】
図10(A)は、スマートフォン20のタッチパネル式表示部27に表示されるテキスト画面D10(第1表示形態)の一例を示す図である。
図10(A)に示すテキスト画面D10(第1表示形態)は、テキスト中の検索対象単語に該当する単語の表示形態を変更すると共に、検索対象単語の近傍に対応する検索結果を表示させている。単語の表示形態は、第1実施形態と同様の形態を用いることができる。
【0118】
すなわち、CPU21は、検索対象単語を示す単語番号に基づいて、
図10(A)に示す単語W3,W4,W5,W6(「capital」「resurgence」「outflow」「negative」)の表示形態を、他の単語と異なる形態に変更する。また、単語W3,W4,W5,W6に対応する翻訳結果(語義)T3,T4,T5,T6を、それぞれに対応する単語の近傍に表示させている。例えば、単語W3(「capital」)に対応する翻訳結果T3(「首都、中心地」)を、単語W3の下の行間に表示させている。
【0119】
このように、第1表示形態では、検索対象単語の近傍に翻訳結果が表示されるので、ユーザは、検索対象単語と翻訳結果との対応を容易に認識することができる。
【0120】
図10(B)は、スマートフォン20のタッチパネル式表示部27に表示されるテキスト画面D12(第2表示形態)の一例を示す図である。
図10(B)に示すテキスト画面D12(第2表示形態)は、テキストを表示するテキストエリアAR1と、検索結果を表示する検索結果表示エリアAR2を設ける。テキストエリアAR1では、第1実施形態と同様にして、検索対象単語に該当する単語W3,W4,W5,W6の表示形態を変更して表示させる。検索結果表示エリアAR2では、第1実施形態の電子辞書10による検索結果の表示と同様にして、検索対象単語の検索結果を一覧表示させる。検索結果表示エリアAR2では、テキストエリアAR1に表示されるテキストの変更と連携して、検索結果の表示内容を変更させる。
【0121】
検索結果表示エリアAR2は、表示対象とする単語数が少ない場合には面積を少なくし、表示対象とする単語数が多い場合には面積を広くして、表示すべき情報の全部を1画面に表示できるようにすることが望ましい。これにより、検索結果表示エリアAR2に表示される検索結果を確認するためにスクロールなどの操作を不要とすることができる。
【0122】
このように、第2表示形態では、テキストエリアAR1に表示されるテキストの範囲と対応させて、検索結果表示エリアAR2に検索結果が連携して表示されるので、ユーザは、検索対象単語と翻訳結果との対応を容易に認識することができる。
【0123】
このようにして、第2実施形態のスマートフォン20では、表示されたテキストに含まれる単語についての辞書コンテンツに対する検索を、検索対象とする単語を指定する操作をすることなく、電子辞書10において実行させて、検索結果をテキストと共に表示させることができる。従って、第1実施形態と同様にして、ユーザの操作負担を軽減することが可能となる。
【0124】
なお、前述した説明では、テキストに含まれる単語に対する説明情報として訳語を表示させる例を用いているが、辞書コンテンツに対する検索によって得られる説明情報として、訳語以外の情報を表示する場合にも適用することができる。例えば、辞書コンテンツを各種分野の辞典を対象とした場合に、単語に対応する辞典から検索される説明情報を表示させることも可能である。
【0125】
また、実施形態において記載した手法、すなわちフローチャートに示す処理等の各手法は、コンピュータに実行させることができるプログラムとして、メモリカード(ROMカード、RAMカード等)、磁気ディスク(フレキシブルディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記録媒体に格納して配布することができる。そして、コンピュータは、外部記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、このプログラムによって動作が制御されることにより、実施形態において説明した機能と同様の処理を実現することができる。
【0126】
また、各手法を実現するためのプログラムのデータは、プログラムコードの形態としてネットワーク(インターネット)上を伝送させることができ、このネットワークに接続されたコンピュータからプログラムデータを取り込み、前述した実施形態と同様の機能を実現することもできる。
【0127】
なお、本願発明は、実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。さらに、実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されたり、幾つかの構成要件が組み合わされても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除されたり組み合わされた構成が発明として抽出され得るものである。
【0128】
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0129】
[1]
見出し語と前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
他の装置と通信する通信部と、
前記通信部を通じて、前記他の装置において表示されるテキストデータを受信し、前記テキストデータから検索条件に該当する単語を判別し、前記単語を検索語として前記辞書コンテンツの前記見出し語を検索し、前記単語により検索された見出し語に対応する情報を、表示部に表示させる制御部と
を有する情報処理装置。
【0130】
[2]
【0131】
前記制御部は、
前記通信部を通じて、前記他の装置において表示中の前記テキストデータの範囲を示す範囲データを受信し、前記範囲データに含まれる単語に対応する、前記辞書コンテンツから検索された情報のみを識別可能な形態により表示させる、[1]記載の情報処理装置。
【0132】
[3]
前記制御部は、
前記通信部を通じて、前記他の装置において表示対象とされるテキストデータを受信し、前記テキストデータから判別された前記検索条件に該当する全ての単語を選択し、
前記範囲データに含まれる単語を検索語として、前記辞書コンテンツの前記見出し語を検索する、[2]記載の情報処理装置。
【0133】
[4]
前記制御部は、
前記テキストデータから判別された検索条件に該当する単語を前記他の装置に通知する、[1]記載の情報処理装置。
【0134】
[5]
見出し語と前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
他の装置と通信する通信部と、
前記通信部を通じて、前記他の装置において表示されるテキストデータを受信し、前記テキストデータから検索条件に該当する単語を判別し、前記単語を検索語として前記辞書コンテンツの前記見出し語を検索し、前記単語により検索された見出し語に対応する情報を、前記通信部を通じて、前記他の装置に送信する制御部と
を有する情報処理装置。
【0135】
[6]
他の装置と通信する通信部と、
表示部に表示させるテキストデータを、前記通信部を通じて前記他の装置に対して送信し、前記テキストデータから検索条件に基づいて選択された単語を検索語とした辞書コンテンツに対する検索結果を、前記他の装置から受信し、前記検索結果を前記テキストデータに対応するテキストと共に前記表示部に表示させる制御部と
を有する情報処理装置。
【0136】
[7]
前記制御部は、
前記テキスト中の検索条件に基づいて選択された単語の近傍に、同単語に対応する検索結果を表示させる、[6]記載の情報処理装置。
【0137】
[8]
前記制御部は、
前記テキストを表示する第1エリアと前記検索結果を表示する第2エリアとを設け、前記第1エリアに表示されるテキストに含まれる単語に対応する前記検索結果のみを前記第2エリアに表示させる、[6]記載の情報処理装置。
【0138】
[9]
前記制御部は、前記辞書コンテンツに対する検索履歴に基づいて設定した検索条件に該当する単語を前記テキストデータから判別する、[1]または[5]記載の情報処理装置。
【0139】
[10]
前記制御部は、前記辞書コンテンツの見出し語毎に設定された、重要度、難易度あるいは分類少なくとも何れか1つに対して設定した検索条件に該当する単語を前記テキストデータから判別する、[1]または[5]記載の情報処理装置。
【0140】
[11]
見出し語と前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
他の装置と通信する通信部とを有する情報処理装置を制御する情報処理方法であって、
前記通信部を通じて、前記他の装置において表示されるテキストデータを受信し、前記テキストデータから検索条件に該当する単語を判別し、前記単語を検索語として前記辞書コンテンツの前記見出し語を検索し、前記単語により検索された見出し語に対応する情報を、表示部に表示させる情報処理方法。
【0141】
[12]
見出し語と前記見出し語に対応する情報が対応づけられた辞書コンテンツを記憶する辞書記憶部と、
他の装置と通信する通信部とを有する情報処理装置を制御するコンピュータを、
前記通信部を通じて、前記他の装置において表示されるテキストデータを受信し、前記テキストデータから検索条件に該当する単語を判別し、前記単語を検索語として前記辞書コンテンツの前記見出し語を検索し、前記単語により検索された見出し語に対応する情報を、表示部に表示させるように機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0142】
10…電子辞書、11,21…CPU、12,22…メモリ、12a…辞書制御処理プログラム、12b…連携処理プログラム、12c…辞書データ、12d…検索条件データ、12d1…辞書検索履歴データ、13,23…外部記録媒体、14,24…記録媒体読取部、15,25…通信部、16…キー入力部、17,27…タッチパネル式表示部、22b…閲覧処理プログラム、22d…検索結果データ、26…ボタン入力部。