(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241210BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241210BHJP
B60R 25/102 20130101ALI20241210BHJP
【FI】
G06Q10/20
B60R16/02 640K
B60R25/102
(21)【出願番号】P 2021043809
(22)【出願日】2021-03-17
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 智
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-097138(JP,A)
【文献】特開2006-033777(JP,A)
【文献】特開2005-335521(JP,A)
【文献】特開2010-205063(JP,A)
【文献】特許第6482147(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
B60R 16/00-17/02
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において所定の条件が成立するとユーザの端末に通知を送信する情報処理装置であって、
複数の前記通知の夫々に対応する複数の第一の入力部であって、
前記ユーザの認証を実行し、前記ユーザの認証が成功した場合に、複数の前記通知毎に前記通知の送信を許可または停止させるための複数の第一の入力部と、
複数の前記通知の全てに対応し、
前記ユーザの認証を省略して所定の時間だけ複数の前記通知の全ての送信を停止させるための第二の入力部と、
を前記車両のディスプレイに表示させることを実行する制御部を備え
、
前記制御部は、前記車両の現在地が所定の領域内であるときに限り、前記車両のディスプレイに前記第二の入力部を表示させる、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のセキュリティに関する通知をユーザの端末に送信する技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディーラで点検中にユーザの端末に通知が送信される虞がある。本開示の目的は、必要のない通知がユーザ端末に送信されることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様の一つは、
車両において所定の条件が成立するとユーザの端末に通知を送信する情報処理装置であって、
複数の前記通知の夫々に対応する複数の第一の入力部であって、複数の前記通知毎に前記通知の送信を許可または停止させるための複数の第一の入力部と、
複数の前記通知の全てに対応し、所定の時間だけ複数の前記通知の全ての送信を停止させるための第二の入力部と、
を前記車両のディスプレイに表示させることを実行する制御部を備える情報処理装置である。
【0006】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理装置における処理をコンピュータが実行する情報処理方法、その情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、そのプログラムを非一時的に記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、必要のない通知がユーザ端末に送信されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
【
図2】実施形態に係るシステムを構成する車両、及び、ユーザ端末のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】タッチパネルに表示されるメニュー画面の一例を示した図である。
【
図5】セキュリティ通知設定画面の一例を示した図である。
【
図7】第1実施形態に係る車両における処理のフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る車両における処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の態様の一つである情報処理装置は、車両において所定の条件が成立するとユーザの端末に通知を送信する。所定の条件とは、ユーザに通知が必要となる条件であり、例えば、セキュリティ上の問題が発生したことである。セキュリティ上の問題が発生した場合とは、例えば、施錠しないままユーザが車両から離れた場合、窓を開けたままユーザが車両から離れた場合、駐車中にサイドブレーキをかけていない場合、エンジンをかけたままユーザが車両から離れた場合、車両内に荷物を置いたままユーザが車両から離れた場合、他のユーザによりエンジンが始動された場合、駐車中に車内または車外で不審な動きがあった場合(侵入センサなどにより車内への人の侵入を検出した場合を含む。)などを挙げることができる。また、例えば、ユーザに駐車位置を教えるための通知を送信する場合もある。なお、通知はこれらに限らない。通知は、例えばユーザ端末にメール、SMS、又は、音声を送ることにより行われる。
【0010】
しかし、所定の条件が成立した場合であっても、通知を必要としない場合もある。例えば、ディーラでの車両の点検中または修理工場での車両の修理中には、所定の条件が成立し得るが、ユーザ端末に通知する必要はない。一方、通知を必要としないのにもかかわらず、ユーザ端末で通知が受信されると、ユーザにとっては煩わしい。
【0011】
そこで、制御部は、複数の前記通知の夫々に対応する複数の第一の入力部であって、複数の前記通知毎に前記通知の送信を許可または停止させるための複数の第一の入力部と、
複数の前記通知の全てに対応し、所定の時間だけ複数の前記通知の全ての送信を停止させるための第二の入力部と、を前記車両のディスプレイに表示させることを実行する。第一の入力部は、各通知の送信を個別に許可または停止させるための入力部である。一方、第二の入力部は、全ての通知の送信を同時に許可または停止させるための入力部である。全ての通知とは、ディスプレイに表示されている全ての通知であってもよく、さらにはディスプレイに表示されていない通知をも含んでいてもよい。第一の入力部及び第二の入力部は、例えば、ディスプレイに表示されるボタンであって、ユーザがタップ可能なボタンである。
【0012】
全ての通知の送信を停止させる第二の入力部を例えばディーラの整備士がタップすることで、一時的に全ての通知の送信を停止させることができる。したがって、車両を所有するユーザの端末に不必要な通知が届くことを抑制できる。また、第二の入力部は、誰でも入力可能であるため、ユーザ自身が第二の入力部に入力する必要はない。また、通知の送信を停止させるのは所定の時間に限っているので、点検終了後に通知を許可する設定をし忘れることにより通知が届かなくなることを抑制できる。
【0013】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。また、以下の実施形態は可能な限り組み合わせることができる。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るシステム1の概略構成を示す図である。システム1は、車両10、及び、ユーザ端末20を含む。車両10は、ユーザ端末20に関連付いた車両である。車両10には、例えば、ユーザが所持するユーザ端末20と車両10との間で無線通信を行なうことにより、車両10のドアを施錠または解錠するスマートキーシステムが搭載されている。ユーザ端末20が車内に存在する場合には、車両10の起動が可能となる。このスマートキーシステムは、車両10からの無線通信によりユーザ端末20を定期的にポーリングし、ユーザ端末20がこれに応答する形で車両10にIDコード等の信号を送信することにより、正規のユーザを認証するようにしている。
【0015】
車両10は、セキュリティに関する通知機能を有する。通知は、ユーザ端末20に送信
される。例えば、アラーム通知、エンジン始動通知、うっかり通知、及び、駐車位置確認の設定に関する通知が車両10からユーザ端末20へ送信される。ここで、アラーム通知は、鍵をかけた後に何らかの不審な動きがあった場合の通知である。エンジン始動通知は、家族などがエンジンを始動させた場合の通知である。うっかり通知は、エンジンOFFから何分かしてドアの鍵が閉まっていなかった場合の通知である。駐車位置確認の設定は、遠隔で車両10の位置情報を確認できるサービスを利用する設定である。このサービスを利用することで、例えばスーパーなどの大きな駐車場で車両10のハザードランプを点灯させることができる。
【0016】
車両10、及び、ユーザ端末20は、ネットワークN1によって相互に接続されている。なお、ネットワークN1は、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網でありWAN(Wide Area Network)やその他の通信網が採用されてもよい。また、ネットワークN1は、携帯電話等の電話通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信網を含んでもよい。さらに、車両10は、近距離無線通信等を介して、ユーザ端末20に接続される。
図1には、例示的に1台の車両10を図示しているが、車両10は複数存在し得る。また、車両10の数に応じてユーザ及びユーザ端末20も複数存在し得る。
【0017】
図2に基づいて、車両10、及び、ユーザ端末20のハードウェア構成及び機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るシステム1を構成する車両10、及び、ユーザ端末20のそれぞれの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0018】
車両10は、プロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、位置情報センサ14、侵入センサ15、通信部16、施解錠部17、IGスイッチ18、及び、タッチパネル19を有する。これらは、バスにより相互に接続される。
【0019】
プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ11は、車両10を制御し、様々な情報処理の演算を行
う。主記憶部12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。補助記憶部13は、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディス
クドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、リムーバブルメディア等である。補助記憶部
13には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。補助記憶部13に格納されたプログラムをプロセッサ11が主記憶部12の作業領域にロードして実行し、このプログラムの実行を通じて各構成部等が制御される。これにより、所定の目的に合致した機能を車両10が実現する。主記憶部12および補助記憶部13は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体である。なお、これらの構成は、車両10の車載端末が備えていてもよい。なお、プロセッサ11は、本開示に係る制御部の一例である。
【0020】
位置情報センサ14は、車両10の位置情報(例えば緯度、経度)を取得する。位置情報センサ14は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信部、無線LAN通
信部等である。侵入センサ15は、車内に人が侵入したこと又は車内に人がいることを検出するセンサであり、典型的には、赤外線センサ、イメージセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、振動センサ、または、マイクロフォンなどである。
【0021】
通信部16は、車両10をネットワークN1に接続するための通信手段である。通信部16は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話通信網
)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信網を利用して、ネットワークN1経由で他の装置(例えばユーザ端末20等)と通信を行うための回路である。また、通信部16は、ユーザ端末20を検索(ポーリング)するための低周波
数帯(例えば、100KHz~300KHz。以下、LF帯)の電波を送信する手段である。また、通信部16は、ユーザ端末20から送信された高周波数帯(例えば、100MHz~1GHz。以下、RF帯)の電波を受信する手段である。
【0022】
施解錠部17は、車両10のドアの施解錠を行う。IGスイッチ18は、ユーザが押すことで車両10を起動させたり、または、車両10の機能を停止させたりするためのスイッチである。タッチパネル19は、ユーザが行った入力操作を受け付ける手段であり、ユーザに対して情報を提示する手段でもある。タッチパネル19は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または、EL(Electroluminescence)パネル等を含むことがで
きる。
【0023】
次に、ユーザ端末20について説明する。ユーザ端末20は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、個人情報端末、ウェアラブルコンピュータ(スマートウォッチ等)、パーソナルコンピュータ(Personal Computer、PC)といった小型のコンピュータである。ユーザ端末20は、スマートキーシステムの電子キーの機能を有する。ユーザ端末20は、プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23、入力部24、ディスプレイ25、通信部26、及び、位置情報センサ27を有する。これらは、バスにより相互に接続される。プロセッサ21、主記憶部22、補助記憶部23、及び、位置情報センサ27については、車両10のプロセッサ11、主記憶部12、補助記憶部13、及び、位置情報センサ14と同様であるため、説明を省略する。
【0024】
入力部24は、ユーザが行った入力操作を受け付ける手段であり、例えば、タッチパネル、マウス、キーボード、または、押しボタン等である。ディスプレイ25は、ユーザに対して情報を提示する手段であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または、EL(Electroluminescence)パネル等である。入力部24及びディスプレイ25は、
1つのタッチパネルディスプレイとして構成してもよい。
【0025】
通信部26は、ユーザ端末20をネットワークN1に接続するための通信手段である。通信部26は、例えば、移動体通信サービス(例えば、5G(5th Generation)、4G(4th Generation)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の電話
通信網)、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等の無線通信網を利用して、ネットワークN1経由で他の装置(例えば車両10等)と通信を行うための回路である。また、通信部26は、車両10から、LF帯の電波を介して送信されたポーリング信号などを受信する手段である。また、通信部26は、RF帯の電波を介して、車両10に対して認証情報及び施解錠信号などを送信する手段である。施解錠信号は、ドアを施錠または解錠するための信号である。
【0026】
次に、車両10の機能について説明する。
図3は、車両10の機能構成を例示した図である。車両10は、機能構成要素として、制御部101を備える。車両10のプロセッサ11は、主記憶部12上のコンピュータプログラムにより、制御部101の処理を実行する。なお、制御部101の処理の一部は、ネットワークN1に接続される他のコンピュータにより実行されてもよい。
【0027】
制御部101は、セキュリティ通知をユーザ端末20に送信する。セキュリティ通知は、車両10のセキュリティに関する情報を通知するものである。ユーザは、セキュリティ通知の設定を、タッチパネル19を介して行うことができる。
図4は、タッチパネル19に表示されるメニュー画面の一例を示した図である。ユーザが、「セキュリティ通知設定」と表示されるボタンをタップすると、セキュリティ通知設定画面に切り替わる。
【0028】
図5は、セキュリティ通知設定画面の一例を示した図である。
図5では、「アラーム通
知(電話)」、「アラーム通知(メール)」、「エンジン始動通知(メール)」、「うっかり通知」、及び「駐車位置確認の設定」の5つの項目が表示されている。
【0029】
ここで、アラーム通知は、鍵をかけた後に何らかの不審な動きがあった場合の通知である。例えば、施解錠部17によりドアがロックされた後に、侵入センサ15により車内への侵入が検出された場合にアラーム通知が送信される。「アラーム通知(電話)」では、電話による音声またはSMSによる通知が行われる。また、「アラーム通知(メール)」では、メールによる通知が行われる。
【0030】
エンジン始動通知は、家族などがエンジンを始動させた場合の通知である。例えば、家族が夫々所持するユーザ端末20に個別のユーザIDが付与されている場合に、車両10とユーザ端末20とで近距離無線通信を行うことにより、どのユーザが運転席に座っているのかが分かる。そして、自分以外のユーザがIGスイッチ18を押してエンジンを始動した場合には、エンジン始動通知が車両10からユーザ端末20へ送信される。
【0031】
うっかり通知は、エンジンOFFから何分かして鍵が閉まっていなかった場合の通知である。例えば、IGスイッチ18を押してエンジンを停止させてから所定時間後に施解錠部17による施錠が行われていない場合に、うっかり通知が車両10からユーザ端末20へ送信される。別法として、車両10からユーザ端末20が検知できなくなっているにもかかわらず、施解錠部17による施錠が行われていない場合に、うっかり通知を送信してもよい。
【0032】
駐車位置確認の設定は、遠隔で車両10の位置情報を確認できるサービスを利用する設定である。例えば、位置情報センサ14により検出される位置情報が車両10からユーザ端末20へ送信される。なお、上記の通知に限らずユーザ端末20に通知を行うものであれば本開示に含めることができる。
【0033】
図5に示されるように、夫々の項目の左横には、現時点の設定の状態を「設定中」または「解除中」で示している。「設定中」は、その項目に相当するイベントが発生した場合にユーザ端末20へ通知が送信されることが許可されていることを示している。すなわち、通知の送信が許可されている(以下、通知が許可されているともいう。)状態であることを示している。一方、「解除中」は、その項目に相当するイベントが発生した場合にユーザ端末20へ通知が送信されることが許可されていないことを示している。すなわち、通知の送信が禁止されている(以下、通知が禁止されているともいう。)状態であることを示している。
【0034】
また、夫々の項目の右横には、「設定解除」または「設定」のボタン19Aが表示される。ユーザが「設定解錠」のボタン19Aをタップすることにより、その項目に対応する通知の送信が禁止されると共に、その項目の左横の表示が「解除中」に変わる。一方、ユーザが「設定」のボタン19Aをタップすることにより、その項目に対応する通知の送信が許可されると共に、その項目の左横の表示が「解除中」に変わる。なお、本実施形態における「設定解除」または「設定」のボタン19Aが、本開示に係る第一の入力部に相当する。
【0035】
ここで、ユーザが「設定解除」または「設定」のボタン19Aをタップして設定状態を変えるためには、認証操作が必要となる。例えば、制御部101は、ユーザが「設定解除」または「設定」のボタン19Aをタップすると、PINコードまたはパスワードの入力を求める画面にタッチパネル19の画面を切り替えて、ユーザにPINコードまたはパスワードの入力を促す。そして、ユーザがタッチパネル19に入力したPINコードまたはパスワードと、補助記憶部13に記憶されている正規のPINコードまたはパスワードと
を比較して、認証を行う。そして、認証に成功した場合に限り、対応する項目の設定状態を変える。
【0036】
図5において全ての項目よりも上側には、「全ての通知の一時停止」のボタン19Bが表示される。このボタン19Bをユーザがタップすると、全ての項目が所定時間だけ「解除中」に変更される。すなわち、全ての通知の送信が禁止される。所定時間は、例えば、車両10の点検に要する時間であり、例えば2時間程度である。この「全ての通知の一時停止」のボタン19Bをタップして全ての通知の送信を禁止するには、認証操作が不要である。また、制御部101は、全ての通知の送信を禁止した後の所定時間後には、設定を元に戻す。なお、本実施形態における「全ての通知の一時停止」のボタン19Bが、本開示に係る第二の入力部に相当する。
【0037】
ここで、「全ての通知の一時停止」ボタン19Bをタップすることにより、全ての項目に対する通知の設定が解除されることにより、車両10の点検中に通知が発信されることを抑制できる。したがって、ユーザ端末20に必要のない通知が届くことを抑制できる。一方、整備士にとっては、認証操作の必要がなく、1つのボタン19Bをタップするだけで全ての通知の設定を解除することができるため、各項目の「設定解除」のボタン19Aを1つずつタップして解除する手間が省ける。また、所定時間後には、設定が自動的に元に戻るため、セキュリティ上の問題が発生することも抑制し得る。
【0038】
次に、ユーザ端末20について説明する。
図6は、ユーザ端末20の機能構成を例示した図である。ユーザ端末20は、機能構成要素として、制御部201を備える。ユーザ端末20のプロセッサ21は、主記憶部22上のコンピュータプログラムにより、制御部201の処理を実行する。ユーザ端末20は、LF帯の電波として送信されたポーリング信号を受信する機能と、RF帯の電波を用いて施解錠信号を送信する機能と、現在地を送信する機能とを有している。また、ネットワークN1を介して、車両10から通知を受信する機能を有する。
【0039】
制御部201は、通信部26を介して、車両10からLF帯の電波として送信されたポーリング信号を受信する制御を行う。また、制御部201は、通信部26を介して、RF帯の電波として施解錠信号を送信する制御を行う。また、制御部201は、施解錠信号とともに、電子キーのID(以下、キーIDともいう。)を同時に車両10に送信する。キーIDは、予め補助記憶部23に記憶されている。
【0040】
制御部201は、ディスプレイ25に操作画面を表示し、ユーザが行った操作に基づいて、解錠要求また、施錠要求を生成する。例えば、制御部201は、タッチパネルディスプレイに、解錠を行うためのアイコン、施錠を行うためのアイコン等を出力し、ユーザによって行われた操作に基づいて、解錠要求ないし施錠要求を生成する。なお、ユーザが行う操作は、タッチパネルディスプレイを介したものに限られない。例えば、ハードウェアスイッチ等によるものであってもよい。
【0041】
制御部201は、ディスプレイ25に車両10から受信した通知を表示させる。なお、制御部201は、メールが届いたことを通知するだけでもよい。
【0042】
次に、車両10における処理のフローについて説明する。
図7は、車両10における処理のフローチャートである。
図7に示したルーチンは、車両10において所定時間毎に実行される。
【0043】
ステップS101では、制御部101がタッチパネル19にメニュー画面を表示させる。ここでは、制御部101が、
図4に示した画面を表示させる。ステップS102におい
て制御部101は、何れかのボタンがタップされたか否か判定する。ステップS102で肯定判定された場合にはステップS103へ進み、否定判定された場合には本ルーチンを終了させる。
【0044】
ステップS103において制御部101は、セキュリティ通知設定がタップされたか否か判定する。ステップS105で肯定判定された場合にはステップS105へ進み、否定判定された場合にはステップS104へ進む。ステップS104では、セキュリティ通知設定以外の項目に対する個別の処理が行われる。ユーザがタップしたボタンに応じて、制御部101は、例えば、ユーザの情報の修正、または、サービスの解約などを行う。
【0045】
ステップS105において制御部101は、セキュリティ通知設定画面を表示させる。ここでは、制御部101が、
図5に示した画面を表示させる。ステップS106において制御部101は、「全ての通知の一時停止」ボタン19Bがタップされたか否か判定する。ステップS106で肯定判定された場合にはステップS108へ進み、否定判定された場合にはステップS107へ進む。ステップS107において制御部101は、ユーザがタップした項目に対応する設定を個別に変更する。その際、上記の認証処理も行われる。
【0046】
一方、ステップS108において制御部101は、全ての通知の設定を解除する。ステップS109において制御部101は、全ての通知の設定を解除してから所定時間が経過したか否か判定する。ステップS109で肯定判定された場合にはステップS110へ進み、否定判定された場合には再度ステップS109の処理を実行する。ステップS110において制御部101は、全ての通知の設定をステップS108よりも前の状態に戻す。
【0047】
以上説明したように本実施例によれば、1つのボタンをタップすることで、全ての通知を一時的に停止させることができる。したがって、車両10の点検中などにユーザに必要のない通知が届くことを抑制できる。
【0048】
<第2実施形態>
本第2実施形態では、車両10が所定の領域に存在する場合に限り、「全ての通知の一時停止」ボタン19Bをタップ可能なようにする。その他のハードウェア等は第1実施形態と同じである。所定の領域は、例えば、車両10の点検、修理、または整備が行われるディーラまたは修理工場である。所定の領域は、予め販売店などによって設定されてもよいし、ユーザによって設定されてもよい。例えば、タッチパネル19に表示されるメニュー画面の所定のボタンをタップすることにより、所定の領域を変更可能な画面に切り替わるようにしてもよい。例えば、ディーラまたは修理工場の場所を、地図上でタップしたり、住所若しくは座標を入力したりする。そして、制御部101は、その場所から、所定距離内を所定の領域として設定する。所定の領域が設定されると、補助記憶部13にその領域が記憶される。
【0049】
次に、車両10における処理のフローについて説明する。
図8は、車両10における処理のフローチャートである。
図8に示したルーチンは、車両10において所定時間毎に実行される。
図7に示したルーチンを同じ処理が実行されるステップについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
図8に示したルーチンでは、ステップS103で肯定判定されるとステップS201へ進む。ステップS201において制御部101は、車両10が所定の領域内に存在するか否か判定する。制御部101は、位置情報センサ14により取得される位置情報と、補助記憶部13に記憶されている所定の領域に関する情報を比較して、車両10が所定の領域内に存在するか否か判定する。ステップS201で肯定判定された場合にはステップS105へ進み、否定判定された場合にはステップS202へ進む。
【0051】
ステップS202において制御部101は、「全ての通知の一時停止」ボタン19Bをグレーアウトする処理を実行する。この処理により、以降では、
図5に示した画面が表示されても、「全ての通知の一時停止」ボタン19Bがグレーアウトされてタップできないようになる。このようにして、所定の領域内に限り「全ての通知の一時停止」ボタン19Bをタップできるようにしている。なお、別法として、「全ての通知の一時停止」ボタン19Bを表示させないようにしてもよい。
【0052】
以上説明したように本実施例によれば、所定の領域内に限り全ての通知を一時停止することができるため、安全性を高めることができる。
【0053】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。
【0054】
本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0055】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0056】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0057】
1 システム
10 車両
11 プロセッサ
12 主記憶部
13 補助記憶部
20 ユーザ端末