(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】駆動波形決定方法、液体吐出装置、およびコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/015 20060101AFI20241210BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2021054940
(22)【出願日】2021-03-29
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊福 篤
(72)【発明者】
【氏名】村山 寿郎
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-041010(JP,A)
【文献】特開2012-000775(JP,A)
【文献】特開2004-114577(JP,A)
【文献】特開2010-247061(JP,A)
【文献】特開2016-165892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法であって、
前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、
前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、
前記第1環境条件と前記第2環境条件の両方で共通に用いる一つの前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有する駆動波形決定方法。
【請求項2】
液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法であって、
前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、
前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程
と、
同一の駆動波形候補を使用して得られる、前記第1情報が示す前記吐出特性と前記第2情報が示す前記吐出特性と、の違いに関する第3情報を取得する第3取得処理を、前記複数の駆動波形候補の少なくとも一部について実行する第3取得工程
と、を含み、
前記波形決定工程は、前記第3情報に基づいて前記駆動波形を決定する工程である、駆動波形決定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1情報が示す前記吐出特性の値をPaとし、前記第2情報が示す前記吐出特性の値をPbとし、前記第3情報が示す値をDPとしたとき、
DP=|Pb-Pa|である、駆動波形決定方法。
【請求項4】
請求項2に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1環境条件が示す値をTaとし、前記第2環境条件が示す値をTbとし、前記第1情報が示す前記吐出特性の値をPaとし、前記第2情報が示す前記吐出特性の値をPbとし、前記第3情報が示す値をDPとしたとき、
DP=|Pb-Pa|/|Tb-Ta|である、駆動波形決定方法。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記波形決定工程は、前記第3情報に基づいて、前記第1情報が示す前記吐出特性と、前記第2情報が示す前記吐出特性と、の違いが小さい駆動波形候補を、優先的に前記駆動波形として決定する工程である、駆動波形決定方法。
【請求項6】
請求項1に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1情報が示す前記吐出特性と、理想的な前記吐出特性である目標吐出特性と、の違いに関する第1偏差情報を取得し、前記第2情報が示す前記吐出特性と、前記目標吐出特性と、の違いに関する第2偏差情報を取得する第4取得処理を、前記複数の駆動波形候補のそれぞれについて実行する、第4取得工程を有し、
前記波形決定工程は、前記第1偏差情報および前記第2偏差情報に基づいて、前記駆動波形を決定する工程である、駆動波形決定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1情報が示す前記吐出特性の値をPaとし、前記第2情報が示す前記吐出特性の値をPbとし、前記目標吐出特性の値をPtとし、前記第1偏差情報が示す値をDaとし、前記第2偏差情報が示す値をDbとしたとき、
Da=|Pt-Pa|
Db=|Pt-Pb|
である、駆動波形決定方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の駆動波形決定方法であって、
前記波形決定工程は、前記第1偏差情報および前記第2偏差情報に基づいて、前記第1情報が示す前記吐出特性と、前記目標吐出特性と、の違いが小さく、かつ、前記第2情報が示す前記吐出特性と、前記目標吐出特性と、の違いが小さい駆動波形候補を、優先的に前記駆動波形として決定する工程である、駆動波形決定方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記波形決定工程は、前記第1情報が示す前記吐出特性が第1条件を満たし、かつ、前記第2情報が示す前記吐出特性が第2条件を満たす駆動波形候補を、優先的に前記駆動波形として決定する工程である、駆動波形決定方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記吐出特性は、前記駆動素子の吐出動作によって前記液体吐出ヘッドが有する1個のノズルから吐出される液体の吐出量である、駆動波形決定方法。
【請求項11】
液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法であって、
前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、
前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有
し、
前記吐出特性は、前記液体吐出ヘッドが有するノズルから吐出される液体の吐出速度である、駆動波形決定方法。
【請求項12】
液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法であって、
前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、
前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有
し、
前記第1取得処理は、液体吐出ヘッドと、前記第1環境条件と、に対応づけられてサーバーに記憶されている前記第1情報を読み出すことにより、前記第1情報を取得する処理を含み、
前記第2取得処理は、前記第2環境条件で、前記液体吐出ヘッドとは異なる他の液体吐出ヘッドが有する駆動素子に駆動波形候補を印加し、吐出された液体の吐出特性を測定することで、前記第2情報を取得する処理を含む、駆動波形決定方法。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1取得処理は、前記第1環境条件において、前記駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第1情報を取得する処理を含み、
前記第2取得処理は、前記第2環境条件において、前記駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第2情報を取得する処理を含む、駆動波形決定方法。
【請求項14】
液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法であって、
前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、
前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有
し、
前記第1取得処理は、前記第1環境条件において、前記駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第1情報を取得する処理を含み、
前記第2取得処理は、前記第2環境条件において、前記液体吐出ヘッドとは異なる他の液体吐出ヘッドの駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記他の液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第2情報を取得する処理を含む、駆動波形決定方法。
【請求項15】
液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法であって、
前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、
前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有
し、
前記複数の駆動波形候補の中から前記駆動波形を選択しない場合に実行される工程であって、
前記第1情報と、前記第2情報と、前記複数の駆動波形候補の少なくとも一部と、に基づいて新たな駆動波形候補を生成し、
前記新たな駆動波形候補について、前記第1取得処理と、前記第2取得処理と、を実行し、
前記新たな駆動波形候補の前記第1情報および前記第2情報と、前記新たな駆動波形候補と、に基づいて、前記駆動波形を決定する、
工程を含む、駆動波形決定方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1環境条件は、前記環境の温度を含み、
前記第2環境条件は、前記第1環境条件の前記温度とは異なる値である前記環境の温度を含む、駆動波形決定方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1環境条件は、前記環境の湿度を含み、
前記第2環境条件は、前記第1環境条件の前記湿度とは異なる値である前記環境の湿度を含む、駆動波形決定方法。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法であって、
前記第1環境条件は、前記環境の気圧を含み、
前記第2環境条件は、前記第1環境条件の前記気圧とは異なる値である前記環境の気圧を含む、駆動波形決定方法。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の駆動波形決定方法を、コンピューターに実行させるためのコンピュータープログラム。
【請求項20】
液体吐出装置であって、
駆動信号を印加されて駆動する駆動素子を備え、前記駆動素子の駆動によって液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを制御する駆動制御部と、
液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性を表す第1情報を取得する第1取得処理を実行することができる第1特性取得部と、
液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、前記複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性を表す第2情報を取得する第2取得処理を実行することができる第2特性取得部と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形
であって、前記第1環境条件と前記第2環境条件の両方で共通に用いる一つの前記駆動波形を決定する第1決定処理を実行することができる波形決定部と、を備える、液体吐出装置。
【請求項21】
液体吐出装置であって、
駆動信号を印加されて駆動する駆動素子を備え、前記駆動素子の駆動によって液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドを制御する駆動制御部と、
液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性を表す第1情報を取得する第1取得処理を実行することができる第1特性取得部と、
液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、前記複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性を表す第2情報を取得する第2取得処理を実行することができる第2特性取得部と、
前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する第1決定処理を実行することができる波形決定部と、を備
え、
前記波形決定部は、前記第1情報に基づかず、前記第2情報に基づいて、前記駆動波形を決定する第2決定処理を実行することができ、
前記液体吐出装置は、前記第1決定処理と前記第2決定処理とのいずれかの決定処理の選択を受け付ける受付部を備え、
前記波形決定部は、前記第1決定処理と前記第2決定処理とのうち、選択された決定処理を実行する、液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、駆動波形決定方法、液体吐出装置、およびコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンターにおいて、インク滴を噴射させ噴射特性を計測して得られる結果に基づいて、駆動信号の波形を規定するパラメーターを決定する方法が存在する。特許文献1の技術においては、駆動波形を規定するパラメーターの値が互いに異なる複数の駆動信号が用意される。そして、複数の駆動信号のうちの一つを使用して、複数のノズルから同時にインク滴が噴射される。一つの駆動信号を使用したインク滴の同時噴射は、異なる数の複数のノズルについて、行われる。そのような処理が、各駆動信号について実行される。そして、異なる数のノズルから同時にインク滴を噴射した場合のインク滴の噴射速度のずれが最も小さい駆動信号のパラメーターが、実際に印刷に使用される駆動信号のパラメーターとして採用される。その結果、印刷において、同時にインク滴を噴射するノズルの数によらず、各ノズルから安定してインク滴が噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温度や湿度などの、プリンターが使用される環境の条件が変化した場合には、ノズルから吐出されるインクの特性、たとえば、吐出量、吐出速度、副滴の量などが、変化する。このため、特許文献1の技術を使用してパラメーターを決定しても、プリンターが使用される環境の条件が変化した場合には、望ましい吐出特性が実現されるとは限らない。たとえば、クリーンルームに設置されたインクジェット装置によってデバイスを電子製造する場合、温度変化による吐出量の変化は製品の品質に大きく影響する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法が提供される。この方法は、前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の印刷システムに含まれるプリンター1およびコンピューター60の構成を示すブロック図である。
【
図2】プリンター1の構成の一部を示す斜視図である。
【
図3】副走査方向Dsに垂直な断面におけるインク吐出ヘッド41の断面図である。
【
図4】駆動信号COMが有する駆動波形Wを示す図である。
【
図5】プリンター1に適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の印刷システムを構成するプリンター1a,1bおよびコンピューター60a,60bを示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態において、プリンター1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態の印刷システムを構成するプリンター1a,1b、コンピューター60a,60b、およびサーバー70を示すブロック図である。
【
図9】第3実施形態において、プリンター1a,1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
【
図10】第4実施形態の印刷システムを構成するプリンター1a,1bおよびコンピューター60を示すブロック図である。
【
図11】第4実施形態において、プリンター1a,1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
【
図12】第5実施形態において、プリンター1a,1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
【
図13】第6実施形態における駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
A.第1実施形態:
A1.印刷システムの構成:
図1は、第1実施形態の印刷システムに含まれるプリンター1およびコンピューター60の構成を示すブロック図である。印刷システムは、プリンター1と、コンピューター60とを備える。
【0008】
プリンター1は、印刷データに基づいて駆動素子を駆動することにより、ノズルからインク滴を吐出して、印刷媒体PM上に画像を形成する。プリンター1は、コントローラー10と、搬送ユニット20と、キャリッジユニット30と、ヘッドユニット40と、検出器群50と、を備える。
【0009】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行う制御ユニットである。コントローラー10は、インターフェース部11と、CPU12と、メモリー13と、ユニット制御回路14と、を備える。
【0010】
インターフェース部11は、プリンター1とコンピューター60との間のデータの送受信を行う。メモリー13は、CPU12で実行されるプログラムを格納する補助メモリーと、作業領域として機能するメインメモリーと、を含む。CPU12は、プリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。プロセッサーとしてのCPU12は、補助メモリーに格納されたプログラムをメインメモリーにロードして実行することにより、各種の機能を実現する。メインメモリーは、不揮発性メモリーが好ましいが、揮発性メモリーであっても良い。補助メモリーとしては、不揮発性メモリー、揮発性メモリーのどちらも好適に利用できる。
【0011】
ユニット制御回路14は、CPU12からの指示に応じてプリンター1の各ユニットを制御する。ユニット制御回路14は、複数の駆動信号生成回路15を備える。駆動信号生成回路15は、一定の周期ごとに駆動波形Wを含む駆動信号COMを生成する。
【0012】
搬送ユニット20は、印刷媒体PMを印刷可能な位置に搬送し、印刷時にあらかじめ定められたパターンの搬送量で、印刷媒体PMを搬送する。キャリッジユニット30は、キャリッジ31に取り付けられたインク吐出ヘッド41を印刷媒体PMの搬送方向と交差する方向に移動させる。本明細書において、インク吐出ヘッド41の移動方向を、「主走査方向Dm」と呼ぶ。印刷媒体PMの搬送方向を、「副走査方向Ds」と呼ぶ。
【0013】
ヘッドユニット40は、印刷媒体PMにインク滴を吐出する。ヘッドユニット40は、インク吐出ヘッド41と、ヘッド制御部HCと、を有する。インク吐出ヘッド41の下面には複数のノズルNzが設けられている。インク吐出ヘッド41は、複数の駆動素子PZTを備える。駆動素子PZTは、具体的にはピエゾ素子である。一つのノズルNzに対して一つの駆動素子PZTが設けられている。駆動素子PZTは、駆動信号COMを印加されて駆動する。インク吐出ヘッド41は、駆動素子PZTの駆動によってノズルNzからインクを吐出する。なお本実施形態では駆動素子PZTとしてチタン酸ジルコン酸鉛で構成された圧電素子を用いるが、チタン酸ジルコン酸鉛以外で構成された圧電素子でも良いし、発熱素子であっても良い。
【0014】
ヘッド制御部HCは、印刷データに基づいて、各ノズルNzに対応した駆動素子PZTに駆動信号COMの駆動波形Wを印加するか否かを制御する。あるノズルNzに対応する駆動素子PZTに駆動波形Wが印加されると、そのノズルNzから駆動波形Wに応じたインク量が吐出され、印刷媒体PM上にドットが形成される。一方、あるノズルNzに対応する駆動素子PZTに駆動波形Wが印加されなければ、そのノズルNzからはインク滴は吐出されない。
【0015】
図2は、プリンター1の構成の一部を示す斜視図である。プリンター1は、主走査方向Dmに沿って移動するインク吐出ヘッド41からインク滴を断続的に吐出させ、印刷媒体PM上にドットを形成するドット形成処理を行うことができる。プリンター1は、印刷媒体PMを副走査方向Dsに搬送する搬送処理を行うことができる。プリンター1は、ドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返すことにより、印刷媒体PM上の各位置にドットを形成し、画像を形成する。
【0016】
検出器群50は、プリンター1内の状況を監視する(
図1の下段参照)。検出器群50からの出力信号に応じて、コントローラー10は、プリンター1を構成する各部を制御する。検出器群50は、温度センサー51と、湿度センサー52と、気圧センサー53と、CCDカメラ55を含む。
【0017】
温度センサー51は、気温を測定して、気温を表す信号をCPU12に出力する。温度センサー51が測定する気温は、インク吐出ヘッド41がおかれている環境の温度である。湿度センサー52は、湿度を測定して、湿度を表す信号をCPU12に出力する。湿度センサー52が測定する湿度は、インク吐出ヘッド41がおかれている環境の湿度である。気圧センサー53は、気圧を測定して、気圧を表す信号をCPU12に出力する。気圧センサー53が測定する気圧は、インク吐出ヘッド41がおかれている環境の気圧である。
【0018】
CCDカメラ55は、インク吐出ヘッド41から吐出されるインク滴の画像を取得して、画像データをCPU12に出力する。CCDカメラ55は、静止画を撮像することができ、動画を撮像することができる。本明細書では、「画像」には、静止画と動画が含まれる。
【0019】
CCDカメラ55は、後述のように吐出特性を表す情報を取得するための撮影に用いられるが、吐出特性を表す情報を取得可能な部品であれば、その部品をCCDカメラ55に代えて用いても良い。例えば、電子天秤をCCDカメラ55の代わりに用い、吐出量等の吐出特性を表す情報を取得しても良い。
【0020】
コンピューター60は、プリンター1に、印刷データを送信する。コンピューター60は、プリンター1に、駆動素子の駆動信号の駆動波形を表すパラメーターを送信する。コンピューター60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ディスプレイ64と、キーボード65と、マウス66と、を備える。
【0021】
ディスプレイ64は、CPU62に制御されて、画像を出力する。キーボード65と、マウス66は、ユーザーによって操作されて、ユーザーの指示をCPU62に入力する。
【0022】
インターフェース部61は、コンピューター60とプリンター1との間のデータの送受信を行う。メモリー63は、CPU62で実行されるプログラムを格納する補助メモリーと、作業領域として機能するメインメモリーと、を含む。プロセッサーとしてのCPU62は、補助メモリーに格納されたプログラムをメインメモリーにロードして実行することにより、各種の機能を実現する。
【0023】
たとえば、CPU62は、インク吐出ヘッド41からのインクの吐出の特性である吐出特性を表す情報を取得する機能を実現する。より具体的には、CPU62は、CCDカメラ55が取得したインク滴の画像に基づいて、ノズルNzから吐出されるインクの吐出速度や、駆動素子PZTの吐出動作によって1個のノズルNzから吐出されるインクの吐出量を、取得できる。また、CPU62は、駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形を決定する機能を実現する。
【0024】
図3は、副走査方向Dsに垂直な断面におけるインク吐出ヘッド41の断面図である。インク吐出ヘッド41は、ケース411と、流路ユニット412と、複数の駆動素子PZTと、を有する。ケース411は、複数の駆動素子PZTを収納している。ケース411の下面には、流路ユニット412が接合されている。
【0025】
流路ユニット412は、流路形成板412aと、弾性板412bと、ノズルプレート412cと、を有する。
【0026】
流路形成板412aには、圧力室412dとして機能する溝部と、ノズル連通口412eとして機能する貫通口と、共通インク室412fとして機能する貫通口と、インク供給路412gとして機能する溝部と、が形成されている。インク吐出ヘッド41においては、共通インク室412fおよびインク供給路412gを介して、圧力室412dに、インクが供給される。圧力室412d内のインクは、ノズル連通口412eを介して、ノズルNzから吐出される。一つのノズルNzに対して、インク供給路412gと、圧力室412dと、ノズル連通口412eと、の組み合わせが、一組設けられている。
【0027】
弾性板412bは、駆動素子PZTの先端が接合されるアイランド部412hを有する。そして、アイランド部412hの周囲には弾性膜412iによる弾性領域が形成されている。
【0028】
ノズルプレート412cは複数のノズルNzが形成されたプレートである。ノズルプレート412cの一方の面であるノズルNz面には、イエローインクを吐出するイエローノズル列と、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列と、シアンインクを吐出するシアンノズル列と、ブラックインクを吐出するブラックノズル列と、が形成されている。各ノズル列は、副走査方向Dsに所定間隔に並ぶ180個のノズルNzによって構成されている。
図3は、副走査方向Dsに垂直な断面における断面図である。ユニット制御回路14においては、1つのノズル列に対して、1つの駆動信号生成回路15が設けられている。
【0029】
複数の駆動素子PZTは、櫛歯状の複数の素子として構成されている。ヘッド制御部HCなどが実装された配線基板によって、駆動素子PZTに駆動信号COMが印加される。駆動信号COMの電位に応じて駆動素子PZTは伸縮する。駆動素子PZTが伸びると、アイランド部412hは圧力室412d側に向かって変形する。駆動素子PZTが縮むと、アイランド部412hは駆動素子PZTの側に向かって変形する。その結果、圧力室412d内の圧力が変化し、ノズルNzからインク滴が吐出される。1つのノズル列に対して、1つの駆動信号生成回路15が設けられている。このため、ある駆動信号生成回路15が生成した駆動信号COMは、その駆動信号生成回路15に対応するノズル列に属するすべてのノズルNzの駆動素子PZTに、共通に適用される。
【0030】
図4は、駆動信号COMが有する駆動波形Wを示す図である。駆動信号COMにおいては、
図4に示す駆動波形Wが一定の周期で繰り返し発生する。
【0031】
駆動波形Wは、中間電位Vcから最高電位Vhまで電位が上昇する第1膨張要素S1と、最高電位Vhを保持する第1ホールド要素S2と、最高電位Vhから最低電位Vlまで電位が下降する収縮要素S3と、最低電位Vlを保持する第2ホールド要素S4と、最低電位Vlから中間電位Vcまで電位が上昇する第2膨張要素S5と、を有する。
【0032】
中間電位Vcが駆動素子PZTに印加された状態においては、駆動素子PZTは伸縮していない。中間電位Vcが駆動素子PZTに印加されているときの圧力室412dの容積を、「基準容積」と呼ぶ。
【0033】
中間電位Vcが駆動素子PZTに印加された状態から、駆動信号COMの第1膨張要素S1が駆動素子PZTに印加されると、駆動素子PZTは長手方向に収縮する。その結果、圧力室412dの容積は大きくなる(
図3参照)。駆動信号COMの第1ホールド要素S2が駆動素子PZTに印加されると、駆動素子PZTの収縮状態が維持される。このとき圧力室412dの膨張状態も維持される。駆動信号COMの収縮要素S3が駆動素子PZTに印加されると、駆動素子PZTは収縮した状態から伸長する。その結果、圧力室412dの容積は小さくなる。その結果、圧力室412d内のインク圧力が高まり、ノズルNzからインク滴が吐出される。その後、駆動信号COMの第2ホールド要素S4が駆動素子PZTに印加され、駆動素子PZTの伸長状態と圧力室412dの収縮状態が維持される。駆動素子PZTに第2膨張要素S5が印加されると、圧力室412dの容積が基準容積に戻る。
【0034】
第1膨張要素S1が生じている時間を「第1膨張時間Pwc1」と呼ぶ。第1ホールド要素S2が生じている時間を「第1ホールド時間Pwh1」と呼ぶ。収縮要素S3が生じている時間を「収縮時間Pwd1」と呼ぶ。第2ホールド要素S4が生じている時間を「第2ホールド時間Pwh2」と呼ぶ。第2膨張要素S5が生じている時間を「第2膨張時間Pwc2」と呼ぶ。第1膨張時間Pwc1、第1ホールド時間Pwh1、収縮時間Pwd1、第2ホールド時間Pwh2、第2膨張時間Pwc2は、駆動信号COMの駆動波形Wの形状を規定するパラメーターである。
【0035】
A2.駆動波形の決定:
図5は、プリンター1に適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
図5の処理は、ユーザーから入力される指示に応じて、主としてコンピューター60のCPU62が、各部を制御して実行する。
図5に示す処理によって、インク吐出ヘッド41からインクを吐出させるために駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形が決定される。
【0036】
ステップS111において、CPU62は、プリンター1の温度センサー51を使用して、プリンター1が置かれている環境の温度Taを取得する。ステップS111で測定された温度Taで規定される環境条件を、「第1環境条件」とも呼ぶ。温度Taは、プリンター1のCPU12とインターフェース部11とを介して、コンピューター60に送信される。
【0037】
ステップS121において、CPU62は、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciのうちの一つを選択して、選択された駆動波形候補Wciを表す一組のパラメーターをプリンター1に送信する(
図4参照)。あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciは、プリンター1に適用される駆動信号COMの駆動波形Wの候補である。それらの駆動波形候補Wciを表す複数組のパラメーターは、あらかじめメモリー63に格納されている。複数の駆動波形候補Wciを表す複数組のパラメーターを、
図1において、「波形パラメーター631」として示す。
【0038】
CPU62は、以下の処理を実行すべき旨を、プリンター1のCPU12に指示する。CPU12は、ユニット制御回路14を制御して、受信した駆動波形候補Wciの一つを表す一組のパラメーターに基づいて、駆動信号を生成させる。そして、その駆動信号COMを、インク吐出ヘッド41の駆動素子PZTに印加させる。その結果、ノズルNzからインク滴が吐出される。
【0039】
ステップS131において、CPU12は、その駆動信号COMによってノズルNzから吐出されるインク滴の画像を、CCDカメラ55に撮像させる。CPU12は、その画像データを、コンピューター60に送信する。コンピューター60のCPU62は、ステップS121において、プリンター1のCPU12に、ステップS121,S131の以上の処理を実行すべき旨を指示する。
【0040】
ステップS131において、CPU62は、画像データに基づいて、駆動素子PZTの吐出動作によってインク吐出ヘッド41が有する1個のノズルNzから吐出されるインクの吐出量Pwaを、計算する。インクの吐出量は、質量によって規定される。質量は体積とインク密度に基づくので、インクの吐出量を体積によって規定しても良い。インクの吐出量は、「吐出特性」の態様の一つである。CPU62は、気温Taの環境下におけるこの吐出特性の情報を、駆動素子PZTに印加された駆動波形候補Wciを特定する情報と対応づけて、メモリー63に記憶する。この吐出特性を表す情報を、「第1情報Ic1」と呼ぶ。なおインクの吐出量Pwaとして、駆動素子PZTの1回の吐出動作によって1個のノズルNzから吐出される吐出量を用いても良い。
【0041】
ステップS121,S131において実行される処理であって、プリンター1のインク吐出ヘッド41がおかれている環境の条件を表す温度Taにおいて、ある駆動波形候補Wciが駆動素子PZTに印加されたときのインクの吐出特性を表す第1情報Ic1を取得する処理を、本明細書において、「第1取得処理」と呼ぶ。
【0042】
ステップS131bにおいて、CPU62は、第1取得処理を実行すべきすべての駆動波形候補Wciについて、ステップS121,S131の処理が実行されたか否かを判定する。第1取得処理を実行すべきすべての駆動波形候補Wciについて、ステップS121,S131の処理が実行された場合には、処理は、ステップS141に進む。第1取得処理を実行すべきすべての駆動波形候補Wciについて、ステップS121,S131の処理が実行されていない場合には、処理は、ステップS121に戻る。そして、複数の駆動波形候補Wciの中から、まだステップS121,S131の処理が実行されていない一つの駆動波形候補Wciが選択され、ステップS121,S131の処理が実行される。
【0043】
ステップS121,S131の処理が繰り返されることにより、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciのそれぞれについて、第1取得処理が実行される。その結果、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciについての第1情報Ic1が、メモリー63に記憶される(
図1参照)。
【0044】
すなわち、第1実施形態において、第1情報Ic1を取得する第1取得処理は、気温Taの環境下において、駆動素子PZTに駆動波形候補Wciを印加し、インク吐出ヘッド41から吐出されたインク滴の吐出特性を測定することにより、実行される(
図5のS121,S131参照)。ステップS121~S131bの処理を実行するCPU62の機能部を、
図1において、第1特性取得部622aとして示す。
【0045】
図5のステップS141において、CPU62は、第1情報Ic1が示す吐出特性があらかじめ定められた第1条件を満たしている駆動波形候補Wciを、第1選抜波形Ws1として、抽出する。
【0046】
まず、CPU62は、第1情報Ic1が示す吐出特性と、理想的な吐出特性である目標吐出特性と、の違いを表す第1偏差情報Id1を取得する。具体的な一例としては、以下の数式により、第1偏差情報Id1として、値Dwaを計算する。
Dwa=|Pwt-Pwa| ・・・ (1)
ここで、Pwtは、理想的な吐出量である。
Pwaは、第1情報Ic1が示す吐出量であって、プリンター1にある駆動波形候補Wciを適用した場合の吐出量である。
【0047】
Thwaを正の数としたとき、CPU12は、複数の駆動波形候補Wciのうち、Dwa≦Thwaを満たす駆動波形候補が、第1選抜波形Ws1として、抽出される。
【0048】
ステップS161において、CPU62は、温度センサー51が取得する温度が、所定の温度になるまで、待つ。具体的には、ユーザーが、エアコンディショナーや恒温槽などの変温機構を使用して、プリンター1が置かれている環境の温度を変化させる。温度センサー51が取得する温度が、Taからあらかじめ定められた温度差より大きく異なる温度になると、処理は、ステップS211に進む。なおユーザーが変温機構を操作しなくとも良く、ステップS161でコンピューターが変温機構を自動的に作動させて環境の温度を変化させても良い。また、S161では環境の温度を昇温させても良いし、環境の温度を降温させても良い。
【0049】
ステップS211において、CPU62は、プリンター1の温度センサー51を使用して、プリンター1が置かれている環境の温度Tbを取得する。ステップS211で測定された温度Tbで規定される環境条件を、「第2環境条件」とも呼ぶ。ステップS211の処理は、ステップS111の処理と同じである。
【0050】
ステップS221,S231,S231bの処理は、それぞれステップS121,S131,S131bの処理と同じである。ただし、ステップS121,S131,S131bの処理が気温Taの環境下で実施されるのに対して、ステップS221,S231,S231bの処理は、気温Tbの環境下で実施される。ステップS221~S231bの処理を実行するCPU62の機能部を、
図1において、第2特性取得部622bとして示す。
【0051】
ステップS221,S231において実行される処理であって、プリンター1のインク吐出ヘッド41がおかれている環境の条件を表す温度Tbにおいて、ある駆動波形候補Wciが駆動素子PZTに印加されたときのインクの吐出特性を表す第2情報Ic2を取得する処理を、「第2取得処理」と呼ぶ。
【0052】
ステップS221,S231の処理が繰り返されることにより、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciのそれぞれについて、第2取得処理が実行される。その結果、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciについての第2情報Ic2が、メモリー63に記憶される(
図1参照)。第2情報Ic2は、駆動素子PZTに印加された駆動波形候補Wciを特定する情報と対応づけられた、気温Tbの環境下における吐出特性の情報である。
【0053】
すなわち、第1実施形態において、第2情報Ic2を取得する第2取得処理は、気温Tbの環境下において、駆動素子PZTに駆動波形候補Wciを印加し、インク吐出ヘッド41から吐出されたインク滴の吐出特性を測定することにより、実行される(
図5のS221,S231参照)。
【0054】
ステップS241において、CPU62は、メモリー63内に記憶されている第2情報Ic2が示す吐出特性があらかじめ定められた第2条件を満たしている駆動波形候補Wciを、第2選抜波形Ws2として、抽出する。
【0055】
まず、CPU62は、第2情報Ic2が示す吐出特性と、理想的な吐出特性である目標吐出特性と、の違いを表す第2偏差情報Id2を取得する。具体的な一例としては、以下の数式により、第2偏差情報Id2として、値Dwbを計算する。
Dwb=|Pwt-Pwb| ・・・ (2)
ここで、Pwbは、第2情報Ic2が示す吐出量であって、プリンター1にある駆動波形候補Wciを適用した場合の吐出量である。
【0056】
第1偏差情報Id1および第2偏差情報Id2を取得する処理を「第4取得処理」とも呼ぶ。
【0057】
Thwbを正の数としたとき、CPU12は、複数の駆動波形候補Wciのうち、Dwb≦Thwbを満たす駆動波形候補が、第2選抜波形Ws2として、抽出される。
【0058】
ステップS141,S241の処理が行われることにより、第1偏差情報Id1および第2偏差情報Id2に基づいて、駆動波形Wが決定されることとなる。その結果、第1情報Ic1が示す吐出特性Pwaがあらかじめ定められた条件[|Pwt-Pwa|≦Thwa]を満たし、かつ、第2情報Ic2が示す前記吐出特性があらかじめ定められた条件[|Pwt-Pwb|≦Thwb]を満たす駆動波形候補が、駆動波形Wとして決定される。
【0059】
ステップS311において、CPU62は、第1選抜波形Ws1と第2選抜波形Ws2の両方に含まれる駆動波形候補Wciを、第3選抜波形Ws3として、抽出する。なお、第1実施形態においては、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの中には、第1選抜波形Ws1と第2選抜波形Ws2の両方に含まれる駆動波形候補Wciが1以上存在するものとする。
【0060】
ステップS321において、CPU62は、同一の駆動波形候補を使用して得られる、第1情報Ic1が示す吐出特性と第2情報Ic2が示す吐出特性との違いに関する第3情報Ic3を取得する。この処理を、「第3取得処理」と呼ぶ。CPU62は、第3取得処理を、第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciについて実行する。
【0061】
具体的な一例としては、CPU62は、第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciについて、第3情報Ic3として、以下の評価値DP1を計算する。
DP1=|Pwb-Pwa| ・・・ (3)
【0062】
ステップS331において、CPU62は、評価値DP1に基づいて駆動波形Wを決定する。具体的には、CPU62は、第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciのうち、DP1が最小の駆動波形候補Wciを、インク吐出ヘッド41の駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形Wとして、決定する。
【0063】
その結果、ステップS331において、駆動波形Wは、第1情報Ic1と、第2情報Ic2と、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの少なくとも一部(
図5のステップS141,S241,S321,S331参照)と、に基づいて、決定されることとなる。そして、第1情報Ic1が示す吐出特性と、第2情報Ic2が示す吐出特性と、の違いが小さい駆動波形候補が、優先的に駆動波形Wとして決定される(
図5のステップS321,S331参照)。ステップS311~S331の処理を実行するCPU62の機能部を、
図1において、波形決定部624として示す。
【0064】
このような態様とすれば、プリンターが置かれている環境条件を規定する気温が変化しても、吐出特性の一態様としての液体の吐出量が変化しにくい駆動波形Wを、決定することができる。
【0065】
また、ステップS321に先立って、ステップS141,S241の処理が行われることから、ステップS141,S241,S321,S331の処理によって、第1偏差情報Id1および第2偏差情報Id2にも基づいて、駆動波形Wが決定される。そして、第1情報Ic1が示す吐出特性と目標吐出特性との違いが小さく、かつ、第2情報Ic2が示す吐出特性と目標吐出特性との違いが小さい駆動波形候補が、優先的に駆動波形Wとして決定される。
【0066】
その結果、第1偏差情報Id1によって表される、温度Taの環境下における吐出特性の理想的な吐出特性との違いDwaと、第2偏差情報Id2によって表される、温度Tbの環境下における吐出特性の理想的な吐出特性との違いDwbと、を考慮して、駆動波形Wが決定される。このため、たとえば、温度Taの環境下における吐出特性と、温度Tb下における吐出特性と、の違いDP1が小さいが、温度Taの環境下における吐出特性と、温度Tbの環境下における吐出特性とが、いずれも理想的な吐出特性から大きく乖離している駆動波形候補Wciが、駆動波形Wとして決定される事態を防止できる。
【0067】
第1実施形態においては、決定された駆動波形Wを有する駆動信号COMが印加される駆動素子PZTを使用して、第1環境条件としての温度Taの環境下での吐出特性と第2環境条件としての気温Tbの環境下での吐出特性とが測定される(
図5のS131,S231参照)。このため、決定された駆動波形Wを有する駆動信号COMが印加される駆動素子PZTに適した駆動波形Wが決定される。
【0068】
また、第1実施形態と同様の効果を得られる方法であれば、
図5に示すフローチャートと異なる処理を行っても良い。例えば、ステップS141の第1選抜波形Ws1の抽出や、ステップS241の第2選抜波形Ws2の抽出を省略し、ステップS311で第1選抜波形Ws1の抽出と第2選抜波形Ws2の抽出を行った上で更に駆動波形候補Ws3の抽出を行っても良い。
【0069】
本実施形態における印刷システムを、「液体吐出装置」とも呼ぶ(
図1参照)。インク吐出ヘッド41を、「液体吐出ヘッド」とも呼ぶ。ユニット制御回路14を、「駆動制御部」とも呼ぶ。繰り返し実行される
図5のステップS131を、「第1取得工程」とも呼ぶ。繰り返し実行されるステップS231を、「第2取得工程」とも呼ぶ。ステップS321を、「第3取得工程」とも呼ぶ。ステップS141,S241を、「第4取得工程」とも呼ぶ。ステップS331を、「波形決定工程」とも呼ぶ。
【0070】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の印刷システムを構成するプリンター1a,1bおよびコンピューター60a,60bを示すブロック図である。第2実施形態においては、印刷システムは、コンピューター60aとプリンター1aの組み合わせと、コンピューター60bとプリンター1bの組み合わせと、を含む。
【0071】
コンピューター60aとコンピューター60bとは、互いに通信可能に接続されている。コンピューター60a,60bの構成は、
図1を使用して説明した第1実施形態のコンピューター60と同じである。
【0072】
プリンター1a,1bの構成は、
図1および
図2を使用して説明した第1実施形態のプリンター1と同じである。プリンター1a,1bは同一機種のプリンターであることが好ましいが、異なる機種のプリンターであっても良い。プリンター1a,1bが置かれている環境の温度、湿度、気圧は、互いに異なる。
【0073】
図7は、第2実施形態において、プリンター1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
図7の方法は、
図5に示す第1実施形態の方法に対応する。
図7の各ステップのうち、第1実施形態の
図5のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図5の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
【0074】
コンピューター60aおよびプリンター1aにおいては、ステップS112~S152の処理が行われる。
【0075】
ステップS112~S142の処理は、対象となるプリンターがプリンター1aである点を除いて、それぞれ
図5のステップS111~S141の処理と同じである。
【0076】
ステップS152において、コンピューター60aのCPU62は、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciについて、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaと、を、それぞれの駆動波形候補Wciを特定する情報と対応づけて、コンピューター60bに送信する。コンピューター60aおよびプリンター1aにおける処理は、以上で終了する。
【0077】
コンピューター60bおよびプリンター1bにおいては、ステップS212~S332の処理が行われる。
【0078】
ステップS212~S242の処理は、対象となるプリンターがプリンター1bである点を除いて、それぞれ
図5のステップS111~S141の処理と同じである。なお、同一機種であるプリンター1a,1bのメモリー63には、同じ波形パラメーター631が格納されている(
図7のS122,S222参照)。
【0079】
ステップS252において、コンピューター60bのCPU62は、駆動波形候補Wciを特定する情報と対応づけられた、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaとを、コンピューター60bから受信する。
【0080】
ステップS312において、コンピューター60bのCPU62は、第1選抜波形Ws1と第2選抜波形Ws2の両方に含まれる駆動波形候補Wciを、第3選抜波形Ws3として、抽出する。なお、第2実施形態においては、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの中には、第1選抜波形Ws1と第2選抜波形Ws2の両方に含まれる駆動波形候補Wciが1以上存在するものとする。
【0081】
ステップS322,S332の処理は、それぞれ
図5のステップS321,331の処理と同じである。
【0082】
このような態様によっても、第1実施形態と同様に、プリンターが置かれている環境条件を規定する気温が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形Wを、決定することができる。
【0083】
また、第2実施形態においては、気温Taの環境下での吐出特性と気温Tb下での吐出特性とが、並行して測定され得る(
図7のS122~S132b,S222~S232b参照)。このため、短時間で第1情報Ic1と第2情報Ic2を取得できる(
図3参照)。よって、プリンター1bで使用される駆動波形Wを、短時間で決定することができる。
【0084】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態の印刷システムを構成するプリンター1a,1b、コンピューター60a,60b、およびサーバー70を示すブロック図である。第3実施形態においては、印刷システムは、コンピューター60aとプリンター1aの組み合わせと、コンピューター60bとプリンター1bの組み合わせと、サーバー70と、を含む。サーバー70には、さらに他のコンピューターとプリンターの組み合わせが接続されている。しかし、第3実施形態においては、コンピューター60aとプリンター1aの組み合わせと、コンピューター60bとプリンター1bの組み合わせと、サーバー70と、に着目して、技術の内容を説明する。
【0085】
コンピューター60a,60bの構成は、
図1を使用して説明した第1実施形態のコンピューター60と同じである。プリンター1a,1bの構成は、
図1および
図2を使用して説明した第1実施形態のプリンター1と同じである。プリンター1a,1bは同一機種のプリンターであることが好ましいが、異なる機種のプリンターであっても良い。コンピューター60aとプリンター1aの組み合わせと、コンピューター60bとプリンター1bの組み合わせと、は、互いに異なるユーザーに所有されていても良い。プリンター1a,1bが置かれている環境の温度、湿度、気圧は、互いに異なる。
【0086】
サーバー70は、インターフェース部71と、CPU72と、メモリー73と、を備える。インターフェース部71は、サーバー70とコンピューター60a,60bとの間のデータの送受信を行う。メモリー73は、CPU72で実行されるプログラムを格納する補助メモリーと、作業領域として機能するメインメモリーと、を含む。プロセッサーとしてのCPU72は、補助メモリーに格納されたプログラムをメインメモリーにロードして実行することにより、各種の機能を実現する。
【0087】
図9は、第3実施形態において、プリンター1a,1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
図9の方法は、
図5に示す第1実施形態の方法および
図7に示す第2実施形態の方法に対応する。
図9の各ステップのうち、第1実施形態の
図5のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図5の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
図9の各ステップのうち、第2実施形態の
図7のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図7の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
【0088】
コンピューター60aおよびプリンター1aにおいては、ステップS113~S163の処理が行われる。
【0089】
ステップS113~S133bの処理は、それぞれ
図7のステップS112~S132bの処理と同じである。ステップS143の処理は、対象となるプリンターがプリンター1aである点を除いて、
図5のステップS141の処理と同じである。
【0090】
ステップS153において、コンピューター60aのCPU62は、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciについて、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaとを、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報と、気温Taと、駆動波形候補Wciを特定する情報と、の組み合わせと対応づけて、サーバー70に送信する。なお、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報は、インク吐出ヘッド41の設計を区別するための情報である。設計が同一である液体吐出ヘッド同士は、液体吐出ヘッドの種類を特定する情報が一致する。インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報は、あらかじめプリンター1のメモリー13に格納されている。
図1において、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報を、「ヘッドID132」として示す。コンピューター60aのCPU62は、プリンター1aからインク吐出ヘッド41の種類を特定する情報を受け取る。
【0091】
サーバー70のCPU72は、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報と、気温Taと、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciを特定する情報と、の組み合わせと対応づけられた、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaとを、コンピューター60aから受信する。そして、サーバー70のCPU72は、それらの情報を、メモリー73に格納する。第1選抜波形Ws1についての、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaとを、
図8において、「第1情報Ic1s」として示す。なお、サーバー70は、サーバー70に接続されている複数のプリンターから、同様に第1情報Ic1sを送信され、それぞれ、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報と、気温Taと、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciを特定する情報と、の組み合わせと対応づけて、格納している。
【0092】
ステップS163において、コンピューター60aのCPU62は、第1偏差情報Id1に基づいて駆動波形Wを決定する。具体的には、CPU62は、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciのうち、Dwaが最小の駆動波形候補Wciを、プリンター1aのインク吐出ヘッド41の駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形Wとして、決定する(上記式(1)参照)。コンピューター60aおよびプリンター1aにおける処理は、以上で終了する。
【0093】
コンピューター60bおよびプリンター1bにおいては、ステップS213~S333の処理が行われる。
【0094】
ステップS213~S233bの処理は、それぞれ
図7のステップS212~S232bの処理と同じである。ステップS243の処理は、対象となるプリンターがプリンター1bである点を除いて、
図5のステップS241の処理と同じである。
【0095】
すなわち、第3実施形態において、第2情報を取得する第2取得処理は、気温Tbの環境下で、第1情報Ic1が対応づけられているインク吐出ヘッド41の種類と同じ種類の他のインク吐出ヘッド41が有する駆動素子PZTに駆動波形候補Wciを印加し、吐出されたインク滴の吐出特性を測定することにより、実行される(
図9のS223,S233参照)。
【0096】
ステップS253において、コンピューター60bのCPU62は、プリンター1bのインク吐出ヘッド41の種類を特定する情報とともに、第1情報Ic1sを要求する信号を、サーバー70に送信する。そして、CPU62は、コンピューター60bからインク吐出ヘッド41の種類が一致する第1情報Ic1sを受信する。第1情報Ic1sは、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報と、気温Taと、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciを特定する情報と、の組み合わせと対応づけられた、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaを含む。
【0097】
すなわち、第3実施形態において、第1情報を取得する第1取得処理は、インク吐出ヘッド41の種類と、気温Taと、に対応づけられてサーバー70に記憶されている第1情報Ic1sを読み出すことにより、実行される。
【0098】
ステップS313~S333の処理は、対象となるプリンターがプリンター1bである点を除いて、それぞれ
図5のステップS311~S331の処理と同じである。
【0099】
このような態様によっても、第1実施形態と同様に、プリンターが置かれている環境条件を規定する気温が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形Wを、決定することができる。
【0100】
本実施形態によれば、プリンター1aおよびコンピューター60bのユーザーは、気温Taの環境下でインク吐出ヘッド41を使用して液体の吐出を行うことなく、気温Taの環境下でのインク滴の吐出特性を表す第1情報Ic1sを取得することができる(
図9のS253参照)。このため、容易に、複数の駆動波形候補Wciの中から、駆動波形Wを決定することができる。
【0101】
D.第4実施形態:
図10は、第4実施形態の印刷システムを構成するプリンター1a,1bおよびコンピューター60を示すブロック図である。第4実施形態の印刷システムにおいては、コンピューター60に2台のプリンター1a,1bが接続されている。
【0102】
コンピューター60の構成は、
図1を使用して説明した第1実施形態のコンピューター60と同じである。コンピューター60は、プリンター1a,1bに異なる印刷データを送信することができる。コンピューター60は、プリンター1a,1bに同一の印刷データを送信することもできる。コンピューター60は、プリンター1a,1bに、駆動信号の駆動波形を表すパラメーターを送信する。本実施形態において、コンピューター60は、プリンター1a,1bに駆動信号の駆動波形を表す同一のパラメーターを送信する。すなわち、プリンター1a,1bは、同一の駆動波形Wを含む駆動信号COMで駆動される。
【0103】
プリンター1a,1bの構成は、
図1および
図2を使用して説明した第1実施形態のプリンター1と同じである。プリンター1a,1bは同一機種のプリンターであることが好ましい。プリンター1a,1bが置かれている環境の温度、湿度、気圧は、互いに異なる。
【0104】
図11は、第4実施形態において、プリンター1a,1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
図11の方法は、
図5に示す第1実施形態の方法、
図7に示す第2実施形態の方法、および
図10に示す第3実施形態の方法に対応する。
図11の各ステップのうち、第1実施形態の
図5のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図5の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
図11の各ステップのうち、第2実施形態の
図7のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図7の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
図11の各ステップのうち、第3実施形態の
図9のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図9の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
【0105】
ステップS114~S134bの処理は、対象となるプリンターがプリンター1aである点を除いて、それぞれ
図5のステップS111~S131bの処理と同じである。
【0106】
ステップS214~S234bの処理は、対象となるプリンターがプリンター1bである点を除いて、それぞれ
図5のステップS211~S231bの処理と同じである。
【0107】
ステップS324において、コンピューター60のCPU62は、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciのそれぞれについて、第3取得処理を実行する。すなわち、CPU62は、各駆動波形候補Wciについて、同一の駆動波形候補を使用して得られる、第1情報Ic1が示す吐出特性と、第2情報Ic2が示す吐出特性と、の違いに関する評価値DP4を取得する。
【0108】
その際、CPU62は、第1偏差情報Id1の値Dwaと、第2偏差情報Id2の値Dwaと、を含む評価値DP4を取得する。その結果、第1偏差情報Id1および第2偏差情報Id2に基づいて、駆動波形Wが決定される。
【0109】
具体的な一例としては、CPU62は、各駆動波形候補Wciについて、以下の評価値DP4を計算する。
DP4=Dwa2+Dwb2+DP12
=(Pwt-Pwa)2+(Pwt-Pwb)2+(Pwb-Pwa)2 ・・・ (4)
【0110】
このような処理を行うことにより、第3情報Ic3によって表される、温度Taの環境下における吐出特性Pwaと、温度Tbの環境下における吐出特性Pwbと、の違いに加えて、以下の点を考慮して、駆動波形Wを決定することができる。すなわち、第1偏差情報Id1によって表される、温度Taの環境下における吐出特性Pwaの理想的な吐出特性Pwtとの違いDwaと、第2偏差情報Id2によって表される、温度Tbの環境下における吐出特性Pwbの理想的な吐出特性Pwtとの違いDwaと、を考慮して、駆動波形Wを決定することができる。より具体的には、温度Taの環境下における吐出特性Pwaの理想的な吐出特性Pwtとの違いDwaが小さく、かつ、第2偏差情報Id2によって表される、温度Tbの環境下における吐出特性Pwbの理想的な吐出特性Pwtとの違いDwaが小さい、駆動波形候補Wciが、優先的に、駆動波形Wとして決定される。
【0111】
このため、たとえば、温度Taの環境下における吐出特性Pwaと、温度Tbの環境下における吐出特性Pwbと、の違いが小さいが、温度Taの環境下における吐出特性Pwaと、温度Tbの環境下における吐出特性Pwbとが、いずれも理想的な吐出特性Pwtから大きく乖離している駆動波形候補が、駆動波形Wとして決定される可能性を低減できる。
【0112】
ステップS334において、CPU62は、評価値DP4に基づいて駆動波形Wを決定する。具体的には、CPU62は、駆動波形候補Wciのうち、DP4が最小の駆動波形候補Wciを、プリンター1a,1bのインク吐出ヘッド41の駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形Wとして、決定する。
【0113】
その結果、ステップS331において、駆動波形Wは、第1情報Ic1と、第2情報Ic2と、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciと、に基づいて、決定されることとなる。そして、第1情報Ic1が示す吐出特性と、第2情報Ic2が示す吐出特性と、の違いが小さい駆動波形候補が、優先的に駆動波形Wとして決定される(上記式(4)の第3項参照)。
【0114】
このような態様によっても、第1実施形態と同様に、プリンターが置かれている環境条件を規定する気温が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形Wを、決定することができる。
【0115】
E.第5実施形態:
第5実施形態の印刷システムの構成は、第1実施形態の印刷システムの構成と同一である(
図1参照)。ただし、第5実施形態の印刷システムにおいては、駆動信号の駆動波形を決定する方法の一部が、ステップS325,S415,S425の処理を含む点で、第1実施形態における駆動信号の駆動波形を決定する方法とは異なる。第5実施形態の他の点は、第1実施形態と同じである。
【0116】
図12は、第5実施形態において、プリンター1a,1bに適用する駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。
図12の方法は、
図5に示す第1実施形態の方法に対応する。
図12の各ステップのうち、第1実施形態の
図5のステップに対応するステップについては、ステップを表す符号の1桁目および2桁目の数字が、
図5の対応するステップの1桁目および2桁目の数字と同じである。
【0117】
ステップS115~S325の処理は、それぞれ
図5のステップS111~S321の処理と同じである。
【0118】
ステップS325bにおいて、コンピューター60のCPU62は、第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciが、あらかじめ定められた条件を満たしているか否かを判定する。あらかじめ定められた条件とは、プリンター1に適用する駆動波形が満たすべき条件である。駆動波形候補Wciがこの条件を満たさない場合には、その駆動波形候補Wciは、プリンター1に適用する駆動波形として採用することができない。ここでは、あらかじめ定められた条件として、評価値DP1があらかじめ定められた閾値Thd以下であること、が採用される。ただし、あらかじめ定められた条件として、他の条件を採用することもできる。
【0119】
評価値DP1があらかじめ定められた閾値Thd以下である駆動波形候補Wciが存在する場合には、処理は、ステップS335に進む。評価値DP1があらかじめ定められた閾値Thd以下である駆動波形候補Wciが存在しない場合には、処理は、ステップS415に進む。すなわち、ステップS415およびその後のステップS425の処理が実行される場合とは、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの中から駆動波形Wが選択されない場合である。
【0120】
ステップS335において、CPU62は、評価値DP1に基づいて駆動波形Wを決定する(上記式(3)参照)。具体的には、CPU62は、第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciであって、ステップS325bの条件をみたすもののうち、DP1が最小の駆動波形候補Wciを、プリンター1a,1bのインク吐出ヘッド41の駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形Wとして、決定する。ステップS325b,S335の処理を実行するのは、CPU62の機能部としての波形決定部624である。
【0121】
ステップS415において、CPU62は、終了条件の判定を行う。具体的には、CPU62は、ステップS325bを経てステップS415に至った回数があらかじめ定められた閾値を超えたか否かを判定する。ステップS325bを経てステップS415に至った回数があらかじめ定められた閾値を超えた場合には、処理は終了する。ステップS325bを経てステップS415に至った回数があらかじめ定められた閾値を超えていない場合には、処理はステップS425に進む。
【0122】
ステップS425において、CPU62は、第1情報Ic1と、第2情報Ic2と、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの少なくとも一部と、に基づいて、新たな駆動波形候補を生成する。具体的には、CPU62は、第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciを規定するパラメーター、およびそれらの駆動波形候補Wciの評価値DP1に基づいて、最適化手法を用いて、新たな1以上の駆動波形候補Wciを規定するパラメーターの組を決定する。なお、評価値DP1は、第1情報Ic1と、第2情報Ic2とに基づいて定められている情報である(上記式(3)参照)。第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciは、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの少なくとも一部である。最適化手法としては、たとえば、ベイズ最適化など、様々な手法を採用しうる。
【0123】
その後、それらの駆動波形候補Wciを規定するパラメーターの組を使用して、ステップS115~S325の処理が実行される。その結果、新たな駆動波形候補Wciについて、第1取得処理と、第2取得処理と、が実行される(
図12のS125,S135,S225,S235参照)。そして、新たな駆動波形候補Wciの第1情報Ic1および第2情報Ic2と、新たな駆動波形候補Wciと、に基づいて、駆動波形Wが決定される(
図12のS315~S335参照)。
【0124】
このような態様とすれば、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciに限定されずに、よりよい駆動波形Wを決定することができる。なお、第5実施形態の態様においても、ステップS425において、新たな駆動波形候補Wciが、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの少なくとも一部に基づいて、生成されていることから、駆動波形Wは、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciに基づいて決定されている。
【0125】
F.第6実施形態:
図13は、第6実施形態における駆動信号の駆動波形を決定する方法を示すフローチャートである。第6実施形態における駆動信号の駆動波形を決定する方法は、その処理の一部に第1~第5実施形態における駆動信号の駆動波形を決定する方法を含む。第6実施形態の印刷システムのハードウェア構成は、第1~第5実施形態のハードウェア構成を取りうる(
図1、
図6、
図8および
図10参照)。ここでは、第6実施形態の印刷システムのハードウェア構成として、第1実施形態のハードウェア構成を例に説明する。
【0126】
ステップS510において、コンピューター60のCPU62は、ディスプレイ64に、駆動信号の駆動波形を決定する方法の選択を促す表示を行う。具体的には、プリンターが置かれている環境条件が変化しても印刷の品質が変わりにくい駆動波形を決定することを希望するか、プリンターが置かれている現在の環境条件に最適な駆動波形を決定することを希望するか、の判断を促す。プリンターが置かれている環境条件が変化しても印刷の品質が変わりにくい駆動波形を決定する処理を、「第1決定処理」と呼ぶ。プリンターが置かれている現在の環境条件に最適な駆動波形を決定する処理を、「第2決定処理」と呼ぶ。
【0127】
そして、CPU62は、キーボード65およびマウス66を介して、第1決定処理と第2決定処理とのいずれかの決定処理の選択を受け付ける。ステップS510の機能を奏するCPU62の機能部を、「受付部626」として
図1に示す。
【0128】
ステップS520において、コンピューター60のCPU62は、第1決定処理が選択されたか否かを判定する。第1決定処理が選択された場合には、処理は、ステップS530に進む。第2決定処理が選択された場合には、処理は、ステップS540に進む。
【0129】
ステップS530において、コンピューター60のCPU62は、
図5に示した第1実施形態の処理を実行して、駆動波形Wを決定する。ステップS530の処理を実現するのは、CPU62の機能部としての波形決定部624である(
図1参照)。
【0130】
ステップS540において、コンピューター60のCPU62は、
図7に示した第2実施形態のステップS112~S152の処理を、プリンター1bについて実行して、駆動波形Wを決定する。その結果、気温Taの環境に関する第1情報Ic1に基づかず、気温Tbの環境に関する第2情報Ic2と、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciと、に基づいて、駆動波形Wが決定される。ステップS540の処理を実現するのは、CPU62の機能部としての波形決定部624である(
図1参照)。
【0131】
すなわち、CPU62は、第1決定処理と第2決定処理とのうち、ステップS520において選択された決定処理を、ステップS530またはステップS540で実行する。
【0132】
本実施形態によれば、環境の条件が変化しにくい場合や、環境の条件の変化への対応よりも、想定される環境に最適化した波形の決定を優先すべき場合に、ユーザーは、第2決定処理を選択して駆動波形を決定させることができる。その結果、想定される環境に最適化した波形が決定される。
【0133】
なお本実施形態に加えて第1決定処理と第2決定処理のバランスをユーザーが選択できるように多目的最適化におけるパレート解をユーザーに提示するようにしてもよい。
【0134】
G.他の実施形態:
(1)上記第1実施形態では、同一の駆動波形候補を使用して得られる、第1情報Ic1が示す吐出特性と、第2情報Ic2が示す吐出特性と、の違いに関する第3情報Ic3として、以下の評価値DP1が計算される(
図5のS321参照)。
DP1=|Pwb-Pwa| ・・・ (3)
【0135】
また、上記第4実施形態では、第3情報Ic3は、以下の評価値DP4として計算される(
図11のS324参照)。
DP4=Dwa
2+Dwb
2+DP
2
=(Pwt-Pwa)
2+(Pwt-Pwb)
2+(Pwb-Pwa)
2 ・・・ (4)
【0136】
しかし、第3情報Ic3は、他の方法で決定される評価値とすることもできる。第3情報Ic3として、たとえば、以下の評価値DP7を採用することもできる。なお、第1環境条件が示す値、たとえば温度をTaとし、第2環境条件が示す値、たとえば温度をTbとし、第1情報Ic1が示す吐出特性の値をPaとし、第2情報Ic2が示す前記吐出特性の値をPbとする。
DP7=|Pb-Pa|/|Tb-Ta| ・・・ (5)
【0137】
このように評価値DP7を定めることにより、環境条件が変化した場合の吐出特性の変化率が小さい駆動波形Wを決定することができる。また、差分ではなく、変化率を評価値DP7として採用しているため、評価値DP7に従って定められた駆動波形Wは、環境条件を示す値がTaとTbの間にない場合にも、ある程度、妥当な品質でヘッドから液体を吐出できる。
【0138】
また、第3情報Ic3として、たとえば、以下の評価値DP8,DP9を採用することもできる。
DP8=|Pvb-Pva|/|Tb-Ta| ・・・ (6)
DP9={(Pwb-Pwa)^2+(Pvb-Pva)^2}^(1/2)/|Tb-Ta| ・・・ (7)
【0139】
(2)上記実施形態では、駆動波形を決定する際に考慮される吐出特性は、駆動素子PZTの吐出動作によってインク吐出ヘッド41が有する1個のノズルから吐出される液体の吐出量である(
図5のS131,231参照)。その結果、環境条件が変化しても、駆動素子PZTの吐出動作によって1個のノズルから吐出される液体の吐出量が変化しにくい駆動波形Wが決定される。しかし、駆動波形を決定する際に考慮される吐出特性は、他の特性であってもよい。
【0140】
たとえば、吐出特性は、液体吐出ヘッドが有するノズルから吐出される液体の吐出速度とすることができる。このような態様とすれば、環境条件が変化しても、ノズルから吐出される液体の吐出速度が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0141】
そのような態様においては、第1偏差情報Id1としてのDvaは、以下のように計算される。
Dva=|Pvt-Pva| ・・・ (8)
ここで、
Pvtは、理想的な吐出速度である。
Pvaは、第1情報Ic1が示す、プリンター1にある駆動波形候補Wciを適用した場合の吐出速度である。
【0142】
第2偏差情報Id2としてのDvbは、以下のように計算される。
Dvb=|Pvt-Pvb| ・・・ (9)
ここで、
Pvbは、第2情報Ic2が示す、プリンター1にある駆動波形候補Wciを適用した場合の吐出速度である。
【0143】
第3情報Ic3としての、評価値DPvは、以下のように計算される。
DPv=|Pvb-Pva| ・・・ (10)
【0144】
また、吐出特性は、駆動素子PZTの吐出動作によってインク吐出ヘッド41が有する1個のノズルから吐出される副滴、いわゆるサテライトの量とすることができる。このような態様とすれば、環境条件が変化しても、ノズルから吐出される副滴の量が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0145】
(3)上記実施形態では、吐出特性が測定される際の環境条件は、環境の温度によって規定されている。そして、第2環境条件は、第1環境条件の温度Taとは異なる値である環境の温度Tbを含む。その結果、環境の温度が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形Wが決定される。しかし、吐出特性が測定される際の環境条件は、他のパラメーターによって、規定されることもできる。
【0146】
吐出特性が測定される際の環境条件は、環境の湿度を含む1以上のパラメーターによって規定されることができる。そして、第2環境条件は、第1環境条件の湿度とは異なる値である環境の湿度を含むことができる。その結果、環境の湿度が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形Wが決定される。環境の湿度は、湿度センサー52によって、取得されることができる。
【0147】
吐出特性が測定される際の環境条件は、環境の気圧を含む1以上のパラメーターによって規定されることができる。そして、第2環境条件は、第1環境条件の気圧とは異なる値である環境の気圧を含むことができる。その結果、環境の気圧が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形Wが決定される。環境の気圧は、気圧センサー53によって、取得されることができる。
【0148】
すなわち、環境条件は、環境の温度、環境の湿度、環境の気圧の少なくとも一つによって規定される条件とすることができる。
【0149】
(4)上記第1実施形態では、
図5のステップS161において、ユーザーが、変温機構を使用して、プリンター1が置かれている環境の温度を変化させる。しかし、ステップS121~S131bと、ステップS221~S231bとは、朝と昼、工場の稼働直前と工場の稼働中など、異なる時間帯で実施されることにより、異なる環境下で実施されてもよい。
【0150】
(5)上記第5実施形態では、
図12のステップS325bにおいて、評価値DP1があらかじめ定められた閾値Thd以下であるか否かが判定される。しかし、ステップS325bにおいては、他の条件に基づく判定が行われてもよい。たとえば、CPU62が、CCDカメラ55が取得したインク滴の吐出状態の画像を、ディスプレイ64を介して、ユーザーに示し、インク滴の吐出状態が満足できるものであるか否かの判定を促してもよい。そして、CPU62が、判定結果を、キーボード65と、マウス66とを介して、受け付けてもよい。
【0151】
(6)上記1実施形態では、コンピューター60のCPU62が、プリンター1を制御して、駆動波形を決定している。しかし、プリンターが、上記各実施形態のコンピューターの機能を奏するように構成されていてもよい。そして、プリンターが、コンピューター60を介さずに、サーバーに接続されていてもよい。また、プリンターが接続されているサーバーが、上記各実施形態のコンピューターの機能を奏するように構成されていてもよい。
【0152】
(7)上記4実施形態では、異なるプリンター1a,1bのインク吐出ヘッド41を使用して、吐出特性が測定される(
図10、ならびに
図11のS134,S234参照)。しかし、吐出特性の測定は、1台のプリンターの異なるインク吐出ヘッドを使用して行われもよい。
【0153】
(8)上記第1実施形態においては、あらかじめ選抜された第3選抜波形Ws3に含まれる駆動波形候補Wciのうち、DP1が最小の駆動波形候補Wciが、インク吐出ヘッド41の駆動素子PZTに印加される駆動信号COMの駆動波形Wとして、決定される。しかし、たとえば、第1偏差情報Id1の値Dwaと、第2偏差情報Id2の値Dwbとについて、それぞれ制約条件を設定し、評価値DP1を目的関数として、制約付き単目的最適化処理を行って、駆動波形Wを決定してもよい。
【0154】
(9)上記実施形態においては、二つの環境条件下において吐出特性の測定を行い、駆動信号COMの駆動波形Wが決定される(
図5、
図7、
図9、
図11、および
図12参照)。しかし、3以上の環境条件下において吐出特性の測定を行い、駆動信号の駆動波形が決定されてもよい。
【0155】
(10)上記実施形態においては、液体吐出装置は、インクを吐出するプリンターであった。しかし、液体吐出装置は、電子デバイスを製造する装置など、他の装置であってもよい。
【0156】
(11)上記実施形態においては、第1偏差情報Id1は、第1情報Ic1が示す吐出特性と、理想的な吐出特性である目標吐出特性と、の違いを表す。しかし、第1偏差情報は、第1情報が示す吐出特性と、理想的な吐出特性である目標吐出特性と、の違い自体を表す情報でなくてもよい。すなわち、第1偏差情報は、第1情報が示す吐出特性と、理想的な吐出特性である目標吐出特性と、の違いに関する情報であればよい。
【0157】
(12)上記実施形態においては、
図9のステップS153において、インク吐出ヘッド41の種類を特定する情報と、気温Taと、第1選抜波形Ws1に含まれる駆動波形候補Wciを特定する情報と、の組み合わせと対応づけられた、波形の形状を規定するパラメーターと、インクの吐出量Pwaとが、メモリー73に格納される。しかし、第1情報は、液体吐出ヘッドの製造番号や、個体番号や、ロット番号と関連付けられていてもよい。すなわち、液体吐出ヘッドと関連付けられていればよい。
【0158】
(13)上記実施形態においては、ステップS331において、駆動波形Wは、第1情報Ic1と、第2情報Ic2と、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciの少なくとも一部(
図5のステップS141,S241,S321,S331参照)と、に基づいて、決定される。しかし、駆動波形は、複数の駆動波形候補に基づかず、第1情報と、第2情報と、に基づいて、決定されてもよい。
【0159】
(14)上記実施形態においては、ステップS540において、駆動波形Wは、第1情報Ic1に基づかず、気温Tbの環境に関する第2情報Ic2と、あらかじめ定められた複数の駆動波形候補Wciと、に基づいて、決定される。
しかし、駆動波形は、第1情報および複数の駆動波形候補に基づかず、第2情報に基づいて、決定されてもよい。
【0160】
H.さらに他の形態:
本開示は、上述した実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実現することができる。例えば、本開示は、以下の形態によっても実現可能である。以下に記載した各形態中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0161】
(1)本開示の一形態によれば、液体吐出ヘッドから液体を吐出させるために前記液体吐出ヘッドの駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する駆動波形決定方法が提供される。この方法は、前記液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性に関する第1情報を取得する第1取得処理を実行する第1取得工程と、前記液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性に関する第2情報を取得する第2取得処理を実行する第2取得工程と、前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動波形を決定する波形決定工程と、を有する。
このような態様とすれば、環境条件が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0162】
(2)上記形態の駆動波形決定方法において、同一の駆動波形候補を使用して得られる、前記第1情報が示す前記吐出特性と前記第2情報が示す前記吐出特性と、の違いに関する第3情報を取得する第3取得処理を、前記複数の駆動波形候補の少なくとも一部について実行する第3取得工程を含み、前記波形決定工程は、前記第3情報に基づいて前記駆動波形を決定する工程である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境条件が変化した場合の吐出特性の差が小さい駆動波形を決定することができる。
【0163】
(3)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1情報が示す前記吐出特性の値をPaとし、前記第2情報が示す前記吐出特性の値をPbとし、前記第3情報が示す値をDPとしたとき、
DP=|Pb-Pa|である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境条件が変化した場合の吐出特性の差を考慮して駆動波形を決定することができる。
【0164】
(4)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1環境条件が示す値をTaとし、前記第2環境条件が示す値をTbとし、前記第1情報が示す前記吐出特性の値をPaとし、前記第2情報が示す前記吐出特性の値をPbとし、前記第3情報が示す値をDPとしたとき、
DP=|Pb-Pa|/|Tb-Ta|である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境条件が変化した場合の吐出特性の変化率を考慮して駆動波形Wを決定することができる。
【0165】
(5)上記形態の駆動波形決定方法において、前記波形決定工程は、前記第3情報に基づいて、前記第1情報が示す前記吐出特性と、前記第2情報が示す前記吐出特性と、の違いが小さい駆動波形候補を、優先的に前記駆動波形として決定する工程である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境条件が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0166】
(6)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1情報が示す前記吐出特性と、理想的な前記吐出特性である目標吐出特性と、の違いに関する第1偏差情報を取得し、前記第2情報が示す前記吐出特性と、前記目標吐出特性と、の違いに関する第2偏差情報を取得する第4取得処理を、前記複数の駆動波形候補のそれぞれについて実行する、第4取得工程を有し、前記波形決定工程は、前記第1偏差情報および前記第2偏差情報に基づいて、前記駆動波形を決定する工程である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、第3情報によって表される、第1環境条件下における吐出特性と、第2環境条件下における吐出特性と、の違いに加えて、以下の点を考慮して、駆動波形を決定することができる。すなわち、第1偏差情報によって表される、第1環境条件下における吐出特性の理想的な吐出特性との違いと、第2偏差情報によって表される、第2環境条件下における吐出特性の理想的な吐出特性との違いと、を考慮して、駆動波形を決定することができる。このため、たとえば、第1環境条件下における吐出特性と、第2環境条件下における吐出特性と、の違いが小さいが、第1環境条件下における吐出特性と、第2環境条件下における吐出特性とが、いずれも理想的な吐出特性から大きく乖離している駆動波形候補が、駆動波形として決定される可能性を低減できる。
【0167】
(7)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1情報が示す前記吐出特性の値をPaとし、前記第2情報が示す前記吐出特性の値をPbとし、前記目標吐出特性の値をPtとし、前記第1偏差情報が示す値をDaとし、前記第2偏差情報が示す値をDbとしたとき、
Da=|Pt-Pa|
Db=|Pt-Pb|
である態様とすることもできる。
【0168】
(8)上記形態の駆動波形決定方法において、前記波形決定工程は、前記第1偏差情報および前記第2偏差情報に基づいて、前記第1情報が示す前記吐出特性と、前記目標吐出特性と、の違いが小さく、かつ、前記第2情報が示す前記吐出特性と、前記目標吐出特性と、の違いが小さい駆動波形候補を、優先的に前記駆動波形として決定する工程である態様とすることもできる。
【0169】
(9)上記形態の駆動波形決定方法において、前記波形決定工程は、前記第1情報が示す前記吐出特性が第1条件を満たし、かつ、前記第2情報が示す前記吐出特性が第2条件を満たす駆動波形候補を、優先的に前記駆動波形として決定する工程である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、第1環境条件下における吐出特性と、第2環境条件下における吐出特性と、について、条件を付して、それらを満たす駆動波形候補を、駆動波形として決定することができる可能性が高くなる。
【0170】
(10)上記形態の駆動波形決定方法において、前記吐出特性は、前記駆動素子の吐出動作によって前記液体吐出ヘッドが有する1個のノズルから吐出される液体の吐出量である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境条件が変化しても、駆動素子の吐出動作によって1個のノズルから吐出される液体の吐出量が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0171】
(11)上記形態の駆動波形決定方法において、前記吐出特性は、前記液体吐出ヘッドが有するノズルから吐出される液体の吐出速度である態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境条件が変化しても、ノズルから吐出される液体の吐出速度が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0172】
(12)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1取得処理は、液体吐出ヘッドと、前記第1環境条件と、に対応づけられてサーバーに記憶されている前記第1情報を読み出すことにより、前記第1情報を取得する処理を含み、前記第2取得処理は、前記第2環境条件で、前記液体吐出ヘッドとは異なる他の液体吐出ヘッドが有する駆動素子に駆動波形候補を印加し、吐出された液体の吐出特性を測定することで、前記第2情報を取得する処理を含む態様とすることもできる。
このような態様とすれば、液体吐出ヘッドを使用して液体の吐出を行うことなく、液体の吐出特性を表す第1情報を取得することができる。このため、容易に、複数の駆動波形候補の中から、駆動波形を決定することができる。
【0173】
(13)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1取得処理は、前記第1環境条件において、前記駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第1情報を取得する処理を含み、前記第2取得処理は、前記第2環境条件において、前記駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第2情報を取得する処理を含む態様とすることもできる。
このような態様においては、決定された駆動波形を有する駆動信号が印加される駆動素子を使用して、第1環境条件下での吐出特性と第2環境条件下での吐出特性とが測定される。このため、決定された駆動波形を有する駆動信号が印加される駆動素子に適した駆動波形が決定される。
【0174】
(14)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1取得処理は、前記第1環境条件において、前記駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第1情報を取得する処理を含み、前記第2取得処理は、前記第2環境条件において、前記液体吐出ヘッドとは異なる他の液体吐出ヘッドの駆動素子に駆動波形候補を印加し、前記他の液体吐出ヘッドから吐出された液体の吐出特性を測定することにより、前記第2情報を取得する処理を含む態様とすることもできる。
このような態様においては、第1環境条件下での吐出特性と第2環境条件下での吐出特性とが、並行して測定され得る。このため、短時間で第1情報と第2情報を取得できる。
【0175】
(15)上記形態の駆動波形決定方法において、前記複数の駆動波形候補の中から前記駆動波形を選択しない場合に実行される工程であって、前記第1情報と、前記第2情報と、前記複数の駆動波形候補の少なくとも一部と、に基づいて新たな駆動波形候補を生成し、前記新たな駆動波形候補について、前記第1取得処理と、前記第2取得処理と、を実行し、前記新たな駆動波形候補の前記第1情報および前記第2情報と、前記新たな駆動波形候補と、に基づいて、前記駆動波形を決定する、工程を含む態様とすることもできる。
このような態様とすれば、複数の駆動波形候補に限定されずに、駆動波形を決定することができる。
【0176】
(16)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1環境条件は、前記環境の温度を含み、前記第2環境条件は、前記第1環境条件の前記温度とは異なる値である前記環境の温度を含む態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境の温度が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0177】
(17)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1環境条件は、前記環境の湿度を含み、前記第2環境条件は、前記第1環境条件の前記湿度とは異なる値である前記環境の湿度を含む態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境の湿度が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0178】
(18)上記形態の駆動波形決定方法において、前記第1環境条件は、前記環境の気圧を含み、前記第2環境条件は、前記第1環境条件の前記気圧とは異なる値である前記環境の気圧を含む態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境の気圧が変化しても吐出特性が変化しにくい駆動波形を決定することができる。
【0179】
(19)本開示の他の形態によれば、適用例1から18のいずれかの駆動波形決定方法を、コンピューターに実行させるためのコンピュータープログラムが提供される。
【0180】
(20)本開示の他の形態によれば、液体吐出装置が提供される。この液体吐出装置は、駆動信号を印加されて駆動する駆動素子を備え、前記駆動素子の駆動によって液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドを制御する駆動制御部と、液体吐出ヘッドがおかれている環境の条件である第1環境条件において、複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの液体の吐出特性を表す第1情報を取得する第1取得処理を実行することができる第1特性取得部と、液体吐出ヘッドがおかれている前記環境の条件であって前記第1環境条件とは異なる第2環境条件において、前記複数の駆動波形候補のそれぞれを駆動素子に印加したときの前記吐出特性を表す第2情報を取得する第2取得処理を実行することができる第2特性取得部と、前記第1情報と、前記第2情報と、に基づいて、前記駆動素子に印加される駆動信号の駆動波形を決定する第1決定処理を実行することができる波形決定部と、を備える。
【0181】
(21)上記形態の液体吐出装置において、前記波形決定部は、前記第1情報に基づかず、前記第2情報に基づいて、前記駆動波形を決定する第2決定処理を実行することができ、前記液体吐出装置は、前記第1決定処理と前記第2決定処理とのいずれかの決定処理の選択を受け付ける受付部を備え、前記波形決定部は、前記第1決定処理と前記第2決定処理とのうち、前記選択された決定処理を実行する、態様とすることもできる。
このような態様とすれば、環境の条件が変化しにくい場合や、環境の条件の変化への対応よりも、想定される環境に最適化した波形の決定を優先すべき場合に、ユーザーは、第2決定処理を選択して駆動波形決定装置に実行させることができる。その結果、想定される環境に最適化した波形が決定される。
【0182】
本開示は、駆動波形決定方法、液体吐出装置、およびコンピュータープログラム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、駆動波形決定装置、駆動波形決定補助装置、それらの装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータープログラム、そのコンピュータープログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。また各実施形態ではプリンター1について説明したが、液体吐出装置においてプリンターを用いなくとも良く、液体を吐出する機能を有していれば、所謂実験装置や評価装置を代わりに用いても良い。
【符号の説明】
【0183】
1…プリンター、1a…プリンター、1b…プリンター、10…コントローラー、11…インターフェース部、12…CPU、13…メモリー、14…ユニット制御回路、15…駆動信号生成回路、20…搬送ユニット、30…キャリッジユニット、31…キャリッジ、40…ヘッドユニット、41…インク吐出ヘッド、50…検出器群、51…温度センサー、52…湿度センサー、53…気圧センサー、55…CCDカメラ、60…コンピューター、60a…コンピューター、60b…コンピューター、61…インターフェース部、62…CPU、63…メモリー、64…ディスプレイ、65…キーボード、66…マウス、70…サーバー、71…インターフェース部、72…CPU、73…メモリー、132…ヘッドID、411…ケース、412…流路ユニット、412a…流路形成板、412b…弾性板、412c…ノズルプレート、412d…圧力室、412e…ノズル連通口、412f…共通インク室、412g…インク供給路、412h…アイランド部、412i…弾性膜、622a…第1特性取得部、622b…第2特性取得部、624…波形決定部、626…受付部、631…波形パラメーター、Dm…主走査方向、Ds…副走査方向、HC…ヘッド制御部、Ic1…第1情報、Ic1s…第1情報、Ic2…第2情報、Ic3…第3情報、Id1…第1偏差情報、Id2…第2偏差情報、Nz…ノズル、PM…印刷媒体、PZT…駆動素子、Pwc1…第1膨張時間、Pwc2…第2膨張時間、Pwd1…収縮時間、Pwh1…第1ホールド時間、Pwh2…第2ホールド時間、S1…第1膨張要素、S2…第1ホールド要素、S3…収縮要素、S4…第2ホールド要素、S5…第2膨張要素、Vc…中間電位、Vh…最高電位、Vl…最低電位、W…駆動波形、Ws1…第1選抜波形、Ws2…第2選抜波形、Ws3…第3選抜波形