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特許7600821印刷装置、印刷品質判定方法、及び印刷品質判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷品質判定方法、及び印刷品質判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 3/01 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/46 Z
B41J3/01
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021057506
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154455
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 宏門
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-003876(JP,A)
【文献】特開2020-038150(JP,A)
【文献】特開平09-156161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0212955(US,A1)
【文献】特開2008-273191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 29/46
B41J 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の媒体を供給する供給部と、
前記供給部から繰り出される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、
報知部と、
前記印刷部と、前記搬送駆動部と、前記報知部とを制御する制御部と、
前記印刷部により印刷された前記画像を読み取り、読取画像データを前記制御部に出力する読取部とを備え、
前記制御部は、
バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する判定用画像データ取得部と、
前記印刷部を制御して、前記判定用画像データに基づき、判定用画像を前記媒体に印刷する印刷制御部と、
前記読取部によって前記判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定する品質判定部と、
前記品質判定部により前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、前記報知部を制御して、エラーを報知する報知制御部
として機能することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記判定用画像データ取得部は、基準バーコードに特定の画像を追加する、又は前記基準バーコードの基準画像データの特定の値を変更することで前記基準画像データを改変して前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記基準バーコードは一次元バーコードを含み、
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、前記基準バーコードの階調性を変更する改変、前記基準バーコードを部分的に欠損させる改変、前記基準バーコードに前記特定の画像を追加する改変、及び前記基準バーコードの線の均一性を変更する改変の何れかを行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記基準バーコードは二次元コードを含み、
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、前記基準バーコードの階調性を変更する改変、前記基準バーコードを部分的に欠損させる改変、前記基準バーコードに前記特定の画像を追加する改変、及び前記基準バーコードの位置ズレを生じさせる改変の何れかを行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、前記基準バーコードに前記特定の画像を追加する改変を行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2から4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、前記基準バーコードの前記階調性を変更する改変を行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項3又は4に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、前記基準バーコードを部分的に欠損させる改変を行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2から6の何れかに記載の印刷装置。
【請求項8】
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに拡大/縮小アルゴリズムを適用して、前記基準バーコードの線の太さを変更する改変を行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2から7の何れかに記載の印刷装置。
【請求項9】
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、前記基準バーコードの所定方向の倍率を変更する改変を行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2から8の何れかに記載の印刷装置。
【請求項10】
前記制御部は、
一以上の前記判定用画像と、前記基準バーコードの基準画像とを前記搬送方向に並べて印刷する第一データを生成する第一生成部として更に機能し、
前記印刷制御部は、前記印刷部を制御して、前記第一データに基づき、前記基準画像と、前記一以上の判定用画像とを前記媒体に印刷し、
前記品質判定部は、
前記一以上の判定用画像の各々の前記読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定し、
前記読取部によって前記基準画像が読み取られて出力された読取基準画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定し、
前記報知制御部は、前記品質判定部により前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、又は前記品質判定部により前記基準画像データが前記所定基準を満たしていないと判定された場合、前記報知部を制御して、前記エラーを報知することを特徴とする請求項2から9の何れかに記載の印刷装置。
【請求項11】
前記判定用画像データ取得部は、前記基準画像データに対し、複数種類の改変を行うことで前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項2から10の何れかに記載の印刷装置。
【請求項12】
前記制御部は、
一以上の前記判定用画像と、前記基準バーコードの基準画像とを前記搬送方向に垂直な幅方向に並べて印刷する第二データを生成する第二生成部として機能し、
前記印刷制御部は、前記印刷部を制御して、前記第二データに基づき、前記基準画像と、前記一以上の判定用画像とを前記媒体に印刷し、
前記品質判定部は、
前記一以上の判定用画像の各々の前記読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定し、
前記読取部によって前記基準画像が読み取られて出力された読取基準画像データが、前所定基準を満たしているかを判定し、
前記報知制御部は、前記品質判定部により前記判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、又は前記品質判定部により前記基準画像データが前記所定基準を満たしていないと判定された場合、前記報知部を制御して、前記エラーを報知することを特徴とする請求項2から9の何れかに記載の印刷装置。
【請求項13】
前記判定用画像データ取得部は、予め記憶された前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項1から12の何れかに記載の印刷装置。
【請求項14】
前記報知部は表示部であり、
前記報知制御部は、前記報知部を制御して、前記エラーを表示することを特徴とする請求項1から13の何れかに記載の印刷装置。
【請求項15】
前記供給部は、ロール状に巻回された前記媒体を供給し、
前記搬送部は、前記媒体を搬送するベルト又はローラであり、
前記印刷部は、インクジェットヘッドを有し、前記インクジェットヘッドから液体を吐出することで前記媒体に前記画像を印刷することを特徴とする請求項1から14の何れかに記載の印刷装置。
【請求項16】
長尺状の媒体を供給する供給部と、
前記供給部から繰り出される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、
報知部と、
前記印刷部と、前記搬送駆動部と、前記報知部とを制御する制御部と、
前記印刷部により印刷された前記画像を読み取り、読取画像データを前記制御部に出力する読取部とを備える印刷装置の前記制御部によって実行される印刷品質判定方法であって、
バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する判定用画像データ取得工程と、
前記印刷部を制御して、前記判定用画像データに基づき、判定用画像を前記媒体に印刷する印刷制御工程と、
前記読取部によって前記判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定する品質判定工程と、
前記品質判定工程で前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、前記報知部を制御して、エラーを報知する報知制御工程と
を備えることを特徴とする印刷品質判定方法。
【請求項17】
前記判定用画像データ取得工程は、基準となる前記バーコードの基準画像に特定の画像を追加する、又は前記基準画像の基準画像データの特定の値を変更することで前記基準画像データを改変して前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項16に記載の印刷品質判定方法。
【請求項18】
長尺状の媒体を供給する供給部と、
前記供給部から繰り出される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、
前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、
報知部と、
前記印刷部と、前記搬送駆動部と、前記報知部とを制御する制御部と、
前記印刷部により印刷された前記画像を読み取り、読取画像データを前記制御部に出力する読取部とを備える印刷装置の前記制御部によって実行される指示を含む印刷品質判定プログラムであって、
バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する判定用画像データ取得処理と、
前記印刷部を制御して、前記判定用画像データに基づき、判定用画像を前記媒体に印刷する印刷制御処理と、
前記読取部によって前記判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定する品質判定処理と、
前記品質判定処理で前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、前記報知部を制御して、エラーを報知する報知制御処理と
を前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含むことを特徴とする印刷品質判定プログラム。
【請求項19】
前記判定用画像データ取得処理は、基準となる前記バーコードの基準画像に特定の画像を追加する、又は前記基準画像の基準画像データの特定の値を変更することで前記基準画像データを改変して前記判定用画像データを取得することを特徴とする請求項18に記載の印刷品質判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、印刷品質判定方法、及び印刷品質判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長尺の媒体に画像を印刷する印刷装置は、バーコードを印刷後、印刷された画像を読み取り、読み取られた画像が印刷すべき画像と一致しているか判定する(例えば、特許文献1参照)。印刷装置は、読み取られた画像情報が印刷すべき画像情報と不一致の場合には、不良マークを印刷し、且つ、エラーを報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-7111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のようにバーコードの印刷品質の判定が行われる印刷装置は、印刷装置内に汚れ等がない時には全てのバーコードの印刷品質が所定基準を満たしていると判定されることになり、印刷装置が、バーコードの印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザが判定できない。
【0005】
本発明は、従来よりも、印刷されたバーコードの印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザが判定できる印刷装置、印刷品質判定方法、及び印刷品質判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係る印刷装置は、長尺状の媒体を供給する供給部と、前記供給部から繰り出される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、報知部と、前記印刷部と、前記搬送駆動部と、前記報知部とを制御する制御部と、前記印刷部により印刷された前記画像を読み取り、読取画像データを前記制御部に出力する読取部とを備え、前記制御部は、バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する判定用画像データ取得部と、前記印刷部を制御して、前記判定用画像データに基づき、判定用画像を前記媒体に印刷する印刷制御部と、前記読取部によって前記判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定する品質判定部と、前記品質判定部により前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、前記報知部を制御して、エラーを報知する報知制御部として機能する。印刷装置は、読取判定用画像データがバーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たしていると判定された場合に、報知部を制御して、エラーを報知する。故に印刷装置は、判定用画像の印刷品質を適切に判定できるかに基づき、印刷されたバーコードの印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0007】
本発明の第二態様に係る印刷品質判定方法は、長尺状の媒体を供給する供給部と、前記供給部から繰り出される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、報知部と、前記印刷部と、前記搬送駆動部と、前記報知部とを制御する制御部と、前記印刷部により印刷された前記画像を読み取り、読取画像データを前記制御部に出力する読取部とを備える印刷装置の前記制御部によって実行される印刷品質判定方法であって、バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する判定用画像データ取得工程と、前記印刷部を制御して、前記判定用画像データに基づき、判定用画像を前記媒体に印刷する印刷制御工程と、前記読取部によって前記判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定する品質判定工程と、前記品質判定工程で前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、前記報知部を制御して、エラーを報知する報知制御工程とを備える。印刷品質判定方法を印刷装置の制御部が実行した場合、印刷装置は、読取判定用画像データがバーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たしていると判定された場合に、報知部を制御して、エラーを報知する。故に印刷装置は、判定用画像の印刷品質を適切に判定できるかに基づき、印刷されたバーコードの印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0008】
本発明の第三態様に係る印刷品質判定プログラムは、長尺状の媒体を供給する供給部と、前記供給部から繰り出される前記媒体に画像を印刷する印刷部と、前記媒体を前記供給部から前記印刷部に向かう搬送方向に搬送する搬送部と、前記搬送部を駆動する搬送駆動部と、報知部と、前記印刷部と、前記搬送駆動部と、前記報知部とを制御する制御部と、前記印刷部により印刷された前記画像を読み取り、読取画像データを前記制御部に出力する読取部とを備える印刷装置の前記制御部によって実行される指示を含む印刷品質判定プログラムであって、バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する判定用画像データ取得処理と、前記印刷部を制御して、前記判定用画像データに基づき、判定用画像を前記媒体に印刷する印刷制御処理と、前記読取部によって前記判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、前記所定基準を満たしているかを判定する品質判定処理と、前記品質判定処理で前記読取判定用画像データが前記所定基準を満たしていると判定された場合、前記報知部を制御して、エラーを報知する報知制御処理とを前記印刷装置の前記制御部に実行させるための指示を含む。印刷品質判定プログラムを印刷装置の制御部が実行した場合、印刷装置は、読取判定用画像データがバーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たしていると判定された場合に、報知部を制御して、エラーを報知する。故に印刷装置は、判定用画像の印刷品質を適切に判定できるかに基づき、印刷されたバーコードの印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】印刷装置1の斜視図である。
図2】印刷装置1の内部構成を示す断面図である。
図3】印刷装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図4】媒体Mに印刷される、具体例1の一次元バーコード66を含む基準画像60と、判定用画像61から63との説明図である。
図5】テーブル79の説明図である。
図6】印刷品質判定処理のフローチャートである。
図7】媒体Mに印刷される、具体例2の二次元コード96を含む基準画像90と、判定用画像91から93との説明図である。
図8】変形例の印刷品質判定処理のフローチャートである。
図9】具体例3の第一データに基づき印刷される画像68の説明図である。
図10】具体例4の第二データに基づき印刷される画像69の説明図である。
図11】変形例の印刷品質判定処理のフローチャートである。
図12】具体例5の判定用画像81の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係る印刷装置1について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、印刷装置1の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。
【0011】
図1及び図2を参照して、印刷装置1の物理的構成を説明する。図1に示すように、印刷装置1は、筐体2、表示部3、及び操作部4を備える。筐体2は、前壁24、右壁25、後壁26、左壁29、下壁27、上壁28、及びカバー23を有する。筐体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。筐体2には、排出口21及び開口22が形成される。排出口21は、筐体2の前壁24に、正面視左右方向に長い矩形状に形成される。開口22は、筐体2の右壁25の後下部に、右側面視矩形状に形成される。カバー23は、右側面視矩形状の板であり、図1中実線で図示する、開口22を塞ぐ閉位置と、図1中一点鎖線で図示する、開口22を解放する開位置とに回動可能に筐体2の右側面の後下部に支持される。表示部3は、筐体2の前壁24の前面右上部に設けられ、画像を表示する。操作部4は、筐体2の前壁24の前面右上部のうち、表示部3の下方に設けられ、各種指示を入力する複数のボタンである。表示部3及び操作部4は、排出口21の上方に設けられる。
【0012】
図2に示すように、印刷装置1は、筐体2の内部に、供給部5、搬送部7、10、15、19、48、隔壁55、張力付与部8、媒体検出部53、印刷部6、定着ユニット40、読取部45、及び切断部50を収容する。印刷装置1は、長尺状の媒体Mに印刷を行うインクジェットプリンタである。媒体Mは、例えば、筒状の紙管Kにロール状に巻回された長尺状である。供給部5は、図1に実線で示す閉位置にあるカバー23の左方、且つ、印刷装置1の後下部の、図2に示す隔壁55と後壁26とによって囲まれた空間に設けられる。供給部5は、ロールRを保持する。本実施形態の供給部5は、軸部51、及びマガジン52を備える。軸部51は、左右方向に延び、ロールRの紙管Kに挿通される。マガジン52は、正面視U字状の支持台である。マガジン52は、軸部51の左右両端部を、軸部51が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。軸部51は、マガジン52に取り外し可能に支持される。マガジン52は、印刷装置1に取り外し可能に支持される。ユーザはロールRを交換する場合、図1に示すカバー23を開位置に配置して、図2に示すマガジン52を筐体2の内部から取り出し、ロールRの交換作業を行う。隔壁55は、筐体2の下壁27から上方に延びる第一壁部56と、第一壁部56の上端から後方に延びる第二壁部57とを有し、筐体2の内部空間を仕切る。第二壁部57は、筐体2の後壁26と前後方向に離隔する。
【0013】
印刷部6は、供給部5から供給される媒体Mに画像を印刷する。本実施形態の印刷部6は、液体Gを吐出方向に吐出する複数のノズル70を備え、複数のノズル70から液体Gを吐出することで、媒体Mに画像に印刷を行うインクジェットヘッドである。本実施形態の吐出方向は下方であり、印刷部6は、媒体Mの搬送経路Qの上方に、複数のノズル70が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Qは、供給部5から繰り出され、排出口21から筐体2の外部に排出されるまでの、媒体Mが搬送される経路である。液体Gは、図示しないチューブを介して筐体2の内部に配置されたタンク20から印刷部6に供給される。
【0014】
搬送部7は、媒体Mを供給部5から印刷部6に向かう搬送方向Fと、搬送方向Fとは反対の戻し方向Bとに搬送する。搬送方向Fは供給部5から印刷部6に向かう搬送経路Qに沿った方向である。搬送方向Fは、ロールRの回転軸の延設方向である左右方向に交差する方向であり、搬送経路Q上の位置に応じて変化する方向である。供給部5から張力付与部8までの搬送方向Fは、媒体Mの残量に応じて変化する方向であり、図2に示すように媒体Mの残量が初期値、即ち、ロールR交換直後の残量値である場合、概ね上方である。張力付与部8から排出口21までの搬送方向Fは、概ね前方である。つまり印刷装置1では、媒体Mが張力付与部8に当接する部分で、搬送経路Qが屈曲し、搬送方向Fが上方から前方に変化する。
【0015】
搬送部7は、印刷部6に対し搬送方向上流側、且つ、供給部5に対し搬送方向下流側に設けられる。つまり搬送部7は、媒体Mの搬送経路Qにおいて、印刷部6と、供給部5との間に設けられる。本実施形態の搬送部7は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ71と、ピンチローラ72とを有し、搬送ローラ71と、ピンチローラ72とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0016】
媒体検出部53は、媒体Mの検出結果を図3の制御部30に出力する。本実施形態の媒体検出部53は、透過型センサ又は反射型センサである。媒体検出部53が反射型センサである場合、媒体検出部53は、例えば、台紙M1と、ラベルM2との反射率の差によって、ラベルM2の先端を検出する。台紙M1が搬送方向Fに所定間隔で列設された複数の孔を備え、媒体検出部53が透過型センサである場合、媒体検出部53は、例えば、台紙M1に複数の孔を透過するか否かによって、ラベルM2の先端を検出する。
【0017】
搬送部10は、搬送部7よりも搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向F及び戻し方向Bに搬送する。本実施形態の搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを戻し方向Bに搬送して、ロールRに巻き取る。本実施形態の搬送部10は、供給部5の軸部51と取り外し可能に係合する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを搬送方向Fに搬送して、ロールRから媒体Mを印刷部6に向けて繰り出させる。
【0018】
張力付与部8は、搬送経路Qにおいて、供給部5と搬送部7との間の媒体Mに張力を付与する。張力は、媒体Mの進行方向とは逆方向に作用する張力である。張力付与部8は、搬送部7よりも搬送方向下流側、且つ、搬送部10よりも搬送方向上流側に配置され、媒体Mに当接して媒体Mを搬送方向Fと交差する方向に付勢する。つまり、張力付与部8は、搬送経路Qにおいて、搬送部7と、搬送部10との間に設けられる。張力付与部8は、搬送部7の後方、且つ、供給部5の上方に設けられる。
【0019】
搬送部15は、印刷部6の下方、且つ、搬送部7に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fに搬送する。搬送部15は、駆動ローラ13、従動ローラ14、及び無端ベルト16を備える。駆動ローラ13と、従動ローラ14とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト16は、駆動ローラ13と、従動ローラ14とに掛け渡される。無端ベルト16の回転に伴い、従動ローラ14が回転する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送部7により媒体Mがニップされる部分の上下位置と略同じであり、印刷部6の複数のノズル70と対向する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送方向Fにおいて、搬送部7と、搬送部19との間で搬送される媒体Mを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト16に吸着させた状態で搬送する。
【0020】
定着ユニット40は、印刷部6に対し搬送方向下流側且つ搬送部19に対し搬送方向上流側に配置される。定着ユニット40は、ハロゲンヒータであり、ハロゲンランプ41、反射板42、及び筐体43を有する。筐体43の下壁には、左右方向に沿った開口44が形成されている。定着ユニット40は、開口44を通じて赤外光を輻射し、開口44の直下を通過する媒体Mを加熱する。これにより、印刷部6により媒体M上に吐出された液体Gは媒体Mに定着する。
【0021】
搬送部19は、印刷部6及び定着ユニット40に対し搬送方向下流側、且つ、読取部45、切断部50、及び排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部19は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ17と、ピンチローラ18とを有し、搬送ローラ17と、ピンチローラ18とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0022】
読取部45は、印刷部6及び搬送部19に対し搬送方向下流側、且つ、切断部50及び排出口21に対し搬送方向上流側に設けられる。読取部45は、搬送経路Qの直上に位置する。媒体MのラベルM2の表面に印刷された画像を光学的に読み取り、読み取られた画像を示す画像信号を出力する。読取部45は、例えば、媒体Mの幅方向、つまり、左右方向に長いCIS(Contact Image Sensor)等のラインイメージセンサである。
【0023】
搬送部48は、読取部45に対し搬送方向下流側、且つ、切断部50及び排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部48は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ46と、ピンチローラ47とを有し、搬送ローラ46と、ピンチローラ47とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0024】
切断部50は、読取部45及び搬送部48に対し搬送方向下流側、且つ、排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、搬送経路Qの直上に位置する。切断部50は、下方に延出する刃59を有している。刃59は、切断位置と、待機位置とに移動可能であり、搬送経路Qにおいて排出口21の直後の位置で媒体Mを切断する。図2において実線で示すように、切断位置は、刃59が搬送経路Qと交差する位置である。図2において点線で示すように、待機位置は、刃59が搬送経路Qから離隔し、搬送経路Qの直上に配置される位置である。
【0025】
図3を参照し、印刷装置1の電気的構成を説明する。印刷装置1は、制御部30と、制御部30に電気的に接続された記憶部31、操作部4、表示部3、搬送駆動部9、11、38、39、49、印刷部6、ハロゲンランプ41、エンコーダ33から37、媒体検出部53、張力検出部54、読取部45、及び切断部50とを備える。制御部30は、印刷装置1の制御を司り、印刷部6、ハロゲンランプ41、搬送駆動部9、11、38、39、49、表示部3、及び切断部50を制御する。記憶部31は、制御部30による各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータ等を記憶するROM、RAM、及びフラッシュメモリ等を含む。
【0026】
搬送駆動部9は、制御部30の制御により、搬送部7を回転駆動する。搬送駆動部11は、制御部30の制御により、搬送部10を回転駆動する。搬送駆動部38は、制御部30の制御により、搬送部15の駆動ローラ13を回転させることで、搬送部15の無端ベルト16を回転させる。搬送駆動部39は、制御部30の制御により、搬送部19を回転駆動する。搬送駆動部49は、制御部30の制御により、搬送部48を回転駆動する。搬送駆動部9、11、38、39、49は各々、例えば、正逆回転可能なステッピングモータである。エンコーダ33は、搬送駆動部9に駆動量に応じた値を制御部30に入力する。エンコーダ34は、搬送駆動部11に駆動量に応じた値を制御部30に入力する。エンコーダ35は、搬送駆動部38に駆動量に応じた値を制御部30に入力する。エンコーダ36は、搬送駆動部39に駆動量に応じた値を制御部30に入力する。エンコーダ37は、搬送駆動部49に駆動量に応じた値を制御部30に入力する。張力検出部54は、張力付与部8により、張力付与部8と、搬送部7との間の媒体Mに付与された張力に応じた検出結果を制御部30に出力する。
【0027】
図4を参照し、媒体Mの構成を説明する。図4に示すように、媒体Mは長尺状の台紙M1と、台紙M1に添付された複数のラベルM2とを含む。各ラベルM2は、媒体Mの長手方向の長さが長さL、長手方向に直交する幅方向の長さが横幅Wである矩形状である。複数のラベルM2は台紙M1に間隔Jをあけて搬送方向Fに等間隔で貼付されている。
【0028】
図5を参照し、記憶部31に記憶されたテーブル79を説明する。図5に示すように、テーブル79は、バーコードの種類と、判定項目と、改変要素との対応を記憶する。判定項目は、印刷されたバーコードを読み取って出力された読取画像データが、バーコードの印刷品質を判定するための所定基準を満たすかを判定するために設定された項目である。テーブル79は、バーコードの種類毎にバーコードの印刷品質の判定に用いる判定項目を記憶する。本実施形態のバーコードの種類は、一次元バーコードと、二次元コードとの二種類である。バーコードが一次元バーコードである場合の判定項目は、シンボルコントラスト、最小反射率、最小エッジコントラスト、モジュレーション、欠陥、及び復号容易度の6項目である。基準バーコードが二次元コードである場合の判定項目は、シンボルコントラスト、モジュレーション、反射率余裕度、固定パターン損傷、軸の非均一性、格子の非均一性、及び未使用誤り訂正の7項目である。改変要素は、印刷装置が読取画像データを判定項目ごとに適切に判定できているかを判断するために、基準画像データに付加する改変を示す。テーブル79は、改変要素を、読出順序と対応付けて記憶する。バーコードが一次元バーコードである場合の改変要素は、階調性欠陥、部分的な欠損/汚れ付加、及び線の不均一性付加の3要素である。バーコードが二次元コードである場合の改変要素は、階調性欠陥、部分的な欠損/汚れ付加、及び位置ずれ付加の3要素である。
【0029】
図4から図7を参照して、印刷装置1の制御部30によって実行される印刷品質判定処理について、図4の基準画像60を印刷する具体例1及び図7の基準画像90を印刷する具体例2を用いて説明する。印刷品質判定処理は、印刷装置1において印刷品質判定処理を実行する指示が検出された場合に実行される。指示には、印刷品質判定処理を行う指令と、印刷データと、印刷データに基づき印刷処理を実行する指示とが含まれる。以下の説明において、各処理のステップを「S」と略記する。印刷品質判定処理開始時において、媒体Mは、搬送部7に挟まれており、媒体Mの属性がユーザにより印刷装置1に入力されている。具体例1の印刷品質判定処理と、具体例2の印刷品質判定処理とは、互いに異なるタイミングで実行されるが、説明を簡単にするため、具体例1の印刷品質判定処理と、具体例2の印刷品質判定処理とを並列に説明する。
【0030】
図6に示すように、制御部30は、基準画像データを取得する(S1)。基準画像データは、基準バーコードの印刷に用いられるデータである。基準バーコードは、印刷品質の判定に用いられるバーコードである。具体例1の基準画像データは、印刷品質の判定用に予め記憶部31に記憶されたデータである。具体例1では、予め記憶部31に記憶された、一次元バーコード66を基準バーコードとする基準画像60の基準画像データが取得される。基準画像60は、一次元バーコード66を含む。具体例2の基準画像データは、ユーザによって指定された印刷処理に用いられるデータである。具体例2では、印刷データとして入力され、二次元コード96を基準コードとする基準画像90の基準画像データが取得される。基準画像90は二次元コード96と、文字列97、98を含む。文字列97は二次元コード96の右方に配置される。文字列98は二次元コード96の左方に配置される。
【0031】
制御部30は、S1で取得された基準画像データに基づき、印刷部6、搬送駆動部9、11、38、39、49、ハロゲンランプ41を制御して、S1で取得された基準画像データに基づき、基準画像を媒体Mに印刷する(S2)。具体例1では、基準画像60がラベルM2に印刷され、具体例2では、基準画像90がラベルM2に印刷される。制御部30は、搬送駆動部9、11、38、39、49を制御して、基準画像が印刷されたラベルM2を読取部45の下方となる位置まで搬送し、読取部45によって基準画像が読み取られて出力された読取基準画像データを取得する(S3)。
【0032】
制御部30は、S3で取得された読取基準画像データが、バーコードの印刷品質の判定に用いる所定基準を満たすかを判定する(S4)。本例の制御部30は、基準バーコードの種類に応じて、図5のテーブル79に記憶された判定項目毎に、所定基準を満たすかを判断する。制御部30は、すべての判定項目が所定基準を満たす場合にOK判定を記憶し、少なくとも何れかの項目が所定基準を満たさない場合にNG判定を記憶する。具体例1及び2では、制御部30は、読取基準画像データ判定結果として、所定基準を満たすことを示すOK判定を記憶する。
【0033】
制御部30は、S4の判定結果がOK判定であるかを判断する(S5)。すなわち、制御部30は、読取基準画像データが所定基準を満たすОK判定であるかを判断する。S4の判定結果がOK判定ではない場合(S5:NO)、制御部30は後述のS18の処理を行う。具体例1の基準画像60の読取基準画像データ及び具体例2の基準画像90の読取基準画像データの判定結果は各々OK判定であるので(S5:YES)、制御部30は、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかを判定する、S6からS15の処理を行う。具体的には、制御部30は、テーブル79に記憶された改変要素を順に読み出すための変数Nに1を設定する(S6)。制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、読出順序がN番目の改変要素の改変を行い、判定用画像データを生成し、生成された判定用画像データを取得する(S7)。基準バーコードが一次元バーコードである場合、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードの階調性を変更する改変、基準バーコードを部分的に欠損させる改変、基準バーコードに特定の画像を追加する改変、及び基準バーコードの線の均一性を変更する改変の何れかを行うことで判定用画像データを取得する。具体例1において変数Nが1である時、制御部30は、図5のテーブル79に基づき、改変要素として、読出順序1に対応する「諧調性欠損」を取得する。制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、一次元バーコード66の階調性を変更する改変を行うことで判定用画像データを生成し、生成された判定用画像データを取得する。
【0034】
基準バーコードが二次元コードである場合、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードの階調性を変更する改変、基準バーコードを部分的に欠損させる改変、基準バーコードに特定の画像を追加する改変、及び基準バーコードの位置ずれを生じさせる改変の何れかを行うことで判定用画像データを取得する。具体例2において変数Nが1である時、制御部30は、図5のテーブル79に基づき、改変要素として、読出順序1に対応する「諧調性欠損」を取得する。制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、二次元コード96の階調性を変更する改変を行うことで判定用画像データを生成し、生成された判定用画像データを取得する。本実施形態の制御部30は、二次元コード96を改変し、文字列97、98を改変しない。
【0035】
制御部30は、搬送駆動部9、11、38、39、49を制御して、媒体Mを戻し方向Bに搬送した後、S7で取得された判定用画像データに基づき、判定用画像を媒体Mに印刷する(S8)。具体例1において変数Nが1である時、制御部30は、S7で取得された判定用画像データに基づき、判定用画像61をラベルM2に印刷する。具体例2において変数Nが1である時、制御部30は、S7で取得された判定用画像データに基づき、判定用画像91をラベルM2に印刷する。制御部30は、搬送駆動部9、11、38、39、49を制御して、判定用画像が印刷されたラベルM2を読取部45の下方となる位置まで搬送し、読取部45によって判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データを取得する(S10)。
【0036】
制御部30は、S10で取得された読取判定用画像データが所定基準を満たすかを判定し、判定結果と変数Nとを対応付けて記憶する(S11)。S4と同様に、制御部30は、基準バーコードの種類に応じて、図5のテーブル79に記憶された判定項目毎に、所定基準を満たすかを判定する。基準バーコードが一次元バーコードである場合、改変要素として読出順序1に対応する「諧調性欠損」の改変が加えられた判定用画像の読取判定用画像データの印刷品質が適切に判定された場合、シンボルコントラスト、及び最小反射率について所定基準を満たさないので、NG判定が付与される。改変要素として、読出順序2に対応する「部分的な欠損/汚れ付加」の改変が加えられた判定用画像の読取判定用画像データの印刷品質が適切に判定された場合、最小エッジコントラスト、モジュレーション、及び欠陥について所定基準を満たさないので、NG判定が付与される。改変要素として、読出順序3に対応する「線の不均一性付加」の改変が加えられた判定用画像の読取判定用画像データの印刷品質が適切に判定された場合、復号容易度について所定基準を満たさないので、NG判定が付与される。
【0037】
基準バーコードが二次元コードである場合、改変要素として、読出順序1に対応する「諧調性欠損」の改変が加えられた判定用画像の読取判定用画像データの印刷品質が適切に判定された場合、シンボルコントラストについて所定基準を満たさないので、NG判定が付与される。改変要素として、読出順序2に対応する「部分的な欠損/汚れ付加」の改変が加えられた判定用画像の読取判定用画像データの印刷品質が適切に判定された場合、モジュレーション、反射率余裕度、及び固定パターン損傷について所定基準を満たさないので、NG判定が付与される。改変要素として、読出順序3に対応する「位置ずれ付加」の改変が加えられた判定用画像の読取判定用画像データの印刷品質が適切に判定された場合、軸の非均一性、及び格子の非均一性について所定基準を満たさないので、NG判定が付与される。未使用誤り訂正は、「諧調性欠損」、「部分的な欠損/汚れ付加」、及び「位置ずれ付加」の改変要素を総合的に勘案して判定される。
【0038】
制御部30は、変数Nが、改変要素の数かを判断する(S14)。本例の改変要素の数は、バーコードの種類によらず3である。変数Nが改変要素の数ではない場合(S14:NO)、制御部30は変数Nを1だけインクリメントして(S13)、処理をS7に戻す。具体例1では、変数Nが2である時、改変要素は、読出順序2に対応する「部分的な欠損/汚れの付加」であり、制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、一次元バーコード66に特定の画像67を追加する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7)。特定の画像67の形状、大きさ、及び配置等は適宜設定される。特定の画像67は、一次元バーコード66に含まれる最も太い線の太さよりも大きい径を有する楕円である。制御部30は、判定用画像データに基づき判定用画像62を印刷し(S8)、印刷された判定用画像62の読取判定用画像データの印刷品質を判定する(S10、S11)。具体例1において、変数Nが3である時、改変要素は、読出順序3に対応する「線の不均一性付加」であり、制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、拡大/縮小アルゴリズムを適用して、一次元バーコード66の線の太さを変更する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7)。制御部30は、線の太さを変更する改変を一次元バーコード66に部分的に適用し、右側から二番目の線の太さを細くする改変を行う。制御部30は、判定用画像データに基づき判定用画像63を印刷し(S8)、印刷された判定用画像63の読取判定用画像データの印刷品質を判定する(S10、S11)。
【0039】
具体例2において、変数Nが2である時、改変要素は、読出順序2に対応する「部分的な欠損/汚れの付加」であり、制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、二次元コード96を部分的に欠損させる改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7)。本例の制御部30は、二次元コード96の右中央部分を部分的に欠損させた判定用画像データを取得する。制御部30は、判定用画像データに基づき判定用画像92を印刷し(S8)、印刷された判定用画像92の読取判定用画像データの印刷品質を判定する(S10、S11)。具体例2において、変数Nが3である時、改変要素は、読出順序3に対応する「位置ずれ付加」であり、制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、二次元コード96の所定方向の倍率を変更する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7)。本例の制御部30は、二次元コード96を搬送方向Fに拡大した判定用画像データを取得する。制御部30は、判定用画像データに基づき判定用画像93を印刷し(S8)、印刷された判定用画像93の読取判定用画像データの印刷品質を判定する(S10、S11)。
【0040】
変数Nが改変要素の数3である場合(S14:YES)、制御部30は、変数Nに対応付けられたS11の判定結果が全てNG判定であるかを判断する(S15)。S11の判定が適切に実行された場合、読取判定用画像データの印刷品質の判定結果には各々、改変要素に起因して、NG判定が付与される。したがって、S11の判定結果が全てNG判定である場合(S15:YES)、制御部30は、バーコード印刷品質の判定結果を報知する処理として、表示部3に「印刷品質判定正常」を表示した後(S16)、印刷データに基づき、通常の印刷処理を行う(S17)。これにより印刷装置1は、ユーザの負担を増加させることなく、所定基準を満たす読取画像データにOK判定を付与できるかという第一の観点に加え、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかという第二の観点からも、印刷品質の判定が適切に行われていることをユーザに報知できる。ユーザは報知結果に基づき、印刷装置1が、第一の観点と第二観点との双方で適切に印刷品質を判定できており、OK判定が印刷装置1による誤判定ではなく、読取画像データが所定基準を満たすと判定された結果であると判断できる。
【0041】
一方、S11において読取判定用画像データにOK判定が付与された場合は、制御部30が読取判定用画像データの印刷品質を適切に判定できていない場合である。したがって、S11の判定結果の少なくとも何れかがNG判定ではない場合(S15:NO)、制御部30は、バーコード印刷品質の判定結果のエラーを報知する処理として、表示部3に「印刷品質判定異常」を表示する(S18)。ユーザは、報知結果に基づき、印刷装置1が読取画像データの印刷品質を適切に判定できていないと判断できる。S17又はS18の次に、制御部30は以上で印刷品質判定処理を終了する。
【0042】
図8から図10を参照して、具体例3、4に関する変形例の印刷品質判定処理を説明する。図8では、図6の印刷品質判定処理と同様の処理には、同じステップ番号を付与している。図8に示すように、変形例の印刷品質処理では、S2からS5の処理が省略され、S6とS14との処理の間に、S21の処理が行われ、S14とS15との間に、S22からS28の処理が行われる点で、図6の印刷品質判定処理と互いに異なる。以下、図6の印刷品質判定処理と互いに同じ処理の説明は省略又は簡略化し、図6の印刷品質判定処理と互いに異なる処理について説明する。具体例3は、具体例1と同様の一次元バーコード66の基準画像データに基づき、基準画像60と、判定用画像61から63とを搬送方向Fに並べてラベルM3に印刷して、印刷品質を判定する場合である。具体例4は、具体例1と同様の一次元バーコード66の基準画像データに基づき、基準画像60と、判定用画像61から63とを搬送方向Fに直交する幅方向に並べてラベルM4に印刷して、印刷品質を判定する場合である。
【0043】
図8の印刷品質判定処理のS21では、制御部30は、図5のS7の処理と同様に、S1で取得された基準画像データに対し、N番目の改変要素を改変して、判定用画像データを生成し、生成された判定用画像データを記憶部31に記憶する(S21)。具体例3、4では、判定用画像61から63の判定用画像データが順に取得される。S22では、基準画像と、判定用画像とを搬送方向Fに配列させるかを判断する(S22)。制御部30は、図9のラベルM3のように搬送方向Fを長手方向とするラベルである場合には、搬送方向Fに配列させると判定し、図10のラベルM4のように搬送方向Fに直交する方向を長手方向とするラベルである場合には、搬送方向Fに配列させないと判断する。
【0044】
基準画像と、判定用画像とを搬送方向Fに配列させる場合(S22:YES)、制御部30は、一以上の判定用画像と、基準バーコードの基準画像とを搬送方向Fに並べて印刷する第一データを生成する(S23)。具体例3では、制御部30は、図9に示すように、一次元バーコード66の基準画像60と、判定用画像61から63とを搬送方向Fに並べて印刷する第一データを生成する。制御部30は、ラベルM3の大きさに応じて、画像60から63を拡大又は縮小する。基準画像と、判定用画像とが搬送方向Fに配列させない場合(S22:NO)、制御部30は、一以上の判定用画像と、基準バーコードの基準画像とを搬送方向Fに垂直な幅方向に並べて印刷する第二データを生成する(S24)。具体例4では、制御部30は、図10に示すように、一次元バーコード66の基準画像60と、判定用画像61から63とを左右方向に並べて印刷する第二データを生成する。制御部30は、ラベルM4の大きさに応じて、画像60から63を拡大又は縮小する。
【0045】
制御部30は、S23で生成された第一データ又はS24で生成された第二データに基づき、基準画像と、判定用画像とを媒体Mに印刷する(S25)。具体例3では、図9に示すように、ラベルM3に画像60から63を含む画像68が印刷され、具体例4では、図10に示すように、ラベルM3に画像60から63を含む画像69が印刷される。制御部30は、搬送駆動部9、11、38、39、49を制御して、判定用画像が印刷されたラベルM2を読取部45の下方となる位置まで搬送し、読取部45により画像68が読み取られて出力された読取基準画像データと、読取判定用画像データとを取得する(S26)。具体例3では、制御部30は、画像68のうちの、画像60を読み取って出力されたデータを読取基準画像データとする。制御部30は、画像68のうちの、画像61から63を各々読み取って出力されたデータを読取判定用画像データとする。具体例4では、制御部30は、画像69のうちの、画像60を読み取って出力されたデータを読取基準画像データとする。制御部30は、画像69のうちの、画像61から63を各々読み取って出力されたデータを読取判定用画像データとする。
【0046】
制御部30は、S4の処理と同様に、S26で取得された読取判定用画像データが所定基準を満たすかを判定し、S11の処理と同様に、読取基準画像データが所定基準を満たすかを判定する(S27)。制御部30は、S5の処理と同様に、S27での読取基準画像データの判定結果がOK判定であるかを判断する(S28)。読取基準画像データの判定結果がOK判定である場合(S28:YES)、制御部30は、S5の処理と同様に、S27での読取判定用画像データの判定結果が全部NG判定かを判断する(S15)。読取判定用画像データの判定結果が全部NG判定である場合(S15:YES)、制御部30は正常を報知した後(S16)、通常の印刷処理を行い(S17)、以上で印刷品質判定処理を終了する。これにより、変形例の印刷装置1は、印刷装置1は、ユーザの負担を増加させることなく、所定基準を満たす読取画像データにOK判定を付与できるかという第一の観点に加え、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかという第二の観点からも、印刷品質の判定が適切に行われていることをユーザに報知できる。ユーザは報知結果に基づき、印刷装置1が、第一の観点と第二観点との双方で適切に印刷品質を判定できており、OK判定が印刷装置1による誤判定ではなく、読取画像データが所定基準を満たすと判定された結果であると判断できる。読取基準画像データの判定結果がOK判定ではない場合(S27:NO)、又は読取判定用画像データの判定結果の何れかがNG判定ではない場合(S15:NO)、制御部30は、エラーを報知する(S18)。これによりユーザは、報知結果に基づき、印刷装置1が読取画像データの印刷品質を適切に判定できていないと判断できる。S17又はS18の次に、制御部30は、以上で変形例の印刷品質判定処理を終了する。
【0047】
図11及び図12を参照して、具体例5に関する変形例の印刷品質判定処理を説明する。図11では、図6の印刷品質判定処理と同様の処理には、同じステップ番号を付与している。図11に示すように、変形例の印刷品質処理では、S2からS5の処理が省略され、S6とS14との処理の間に、S31の処理を行い、S14とS16との間に、S32からS36の処理を行う点で、図6の印刷品質判定処理と互いに異なる。以下、図6の印刷品質判定処理と互いに同じ処理の説明は省略又は簡略化し、図6の印刷品質判定処理と互いに異なる処理について説明する。具体例5は、具体例1と同様の一次元バーコード66の基準画像データに基づき、図12の判定用画像81の判定用画像データを取得し、ラベルM5に判定用画像81を印刷して、印刷品質を判定する場合である。
【0048】
図11の印刷品質判定処理のS31では、制御部30は、S1で取得された基準画像データに対し、N番目の改変要素をN番目の改変箇所に付与する(S31)。基準バーコードの角部が所定の順でN番目の改変箇所に割り当てられる。制御部30は、例えば、基準バーコードの右前角部、左前角部、左後角部、及び右後角部の順にN番目の改変箇所を割り当てる。具体例5では、変数Nが1の時に、図4の一次元バーコード66の右前角部に諧調性の改変82が加えられ、変数Nが2の時に、一次元バーコード66の左前角部に特定の画像67を付加する改変83が加えられ、変数Nが3の時に、一次元バーコード66の左後角部に線の太さを変更する改変84が加えられる。
【0049】
S32では、制御部30は、S31で改変要素が付加された、判定用画像データを生成し、生成された判定用画像データを取得する(S32)。制御部30は、図5のS8と同様に、S32で取得された判定用画像データに基づき、判定用画像81を印刷する(S33)。制御部30は、S10と同様に、判定用画像81の読取判定用画像データを取得する(S34)。制御部30は、S33で取得された読取判定用画像データが所定基準を満たすかを判定する(S35)。制御部30は、読取判定用画像データの判定結果が図5のテーブル79に記憶された全ての判定項目においてNG判定であるかを判断する(S36)。読取判定用画像データの判定結果が全ての項目についてNG判定である場合(S36:YES)、制御部30は正常を報知した後(S16)、通常の印刷処理を行い(S17)、以上で印刷品質判定処理を終了する。これにより、変形例の印刷装置1は、印刷装置1は、ユーザの負担を増加させることなく、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかという観点から、印刷品質の判定が適切に行われていることをユーザに報知できる。読取判定用画像データの判定結果が一以上の項目についてOK判定である場合(S36:NO)、制御部30は、エラーを報知する(S18)。ユーザは、報知結果に基づき、印刷装置1が読取画像データの印刷品質を適切に判定できていないと判断できる。S17又はS18の次に、制御部30は以上で印刷品質判定処理を終了する。
【0050】
上記実施形態において、印刷装置1、表示部3、供給部5、制御部30、及び読取部45は各々、本発明の印刷装置、報知部、供給部、制御部、及び読取部の一例である。搬送部7、10、15、19、48は、本発明の搬送部の一例である。搬送駆動部9、11、38、39、49は、本発明の搬送駆動部の一例である。S7、S21、S32を実行する制御部30は、判定用画像データ取得部の一例である。S7、S21、S32は、判定用画像データ取得工程、及び判定用画像データ取得処理の一例である。S11、S27、S35を実行する制御部30は、本発明の品質判定部の一例である。S11、S27、S35は、本発明の品質判定工程、及び品質判定処理の一例である。S8、S25、S33を実行する制御部30は、本発明の印刷制御部の一例である。S8、S25、S33は、本発明の印刷制御工程、及び印刷制御処理の一例である。S18を実行する制御部30は、本発明の報知制御部の一例である。S18は、本発明の報知制御工程、及び報知制御処理の一例である。S23の処理を行う制御部30は、本発明の第一生成部の一例である。S24の処理を行う制御部30は、本発明の第二生成部の一例である。
【0051】
上記実施形態の印刷装置1は、供給部5、印刷部6、搬送部7、10、15、19、48、搬送駆動部9、11、38、39、49、表示部3、制御部30、及び読取部45を備える。供給部5は、長尺状の媒体Mを供給する。印刷部6は、供給部5から繰り出される媒体Mに画像を印刷する。搬送部7、10、15、19、48は、媒体Mを供給部5から印刷部6に向かう搬送方向Fに搬送する。搬送駆動部9、11、38、39、49は各々搬送部7、10、15、19、48を駆動する。制御部30は、印刷部6、搬送駆動部9、11、38、39、49、及び表示部3を制御する。読取部45は、印刷部6により印刷された画像を読み取り、読取画像データを制御部30に出力する。制御部30は、バーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たさない判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。制御部30は、印刷部6を制御して、判定用画像データに基づき、判定用画像を媒体Mに印刷する(S8、S25、S33)。制御部30は、読取部45によって判定用画像が読み取られて出力された読取判定用画像データが、所定基準を満たしているかを判定する(S11、S27、S35)。制御部30は、読取判定用画像データが所定基準を満たしていると判定された場合、表示部3を制御して、エラーを報知する(S18)。印刷装置1は、印刷品質の判定を適切に行うためには、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できることが必要である。しかしながら従来の印刷装置は、所定基準を満たす読取画像データにOK判定を付与できるかの観点から、印刷品質の判定が適切に行われているかを判定していたので、制御部30が本来NG判定とするべき読取画像データにOK判定を誤って付与した場合を検出できない。これに対し、印刷装置1は、S15で所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかを判定する処理を行い、読取判定用画像データがバーコードの印刷品質の判定に用いられる所定基準を満たしていると判定された場合は、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できない場合であるので、エラーを報知する。故に印刷装置1は、判定用画像の印刷品質をNG判定と判定できるかに基づき、印刷されたバーコードの印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0052】
印刷装置1の制御部30は、基準バーコードに特定の画像を追加する、又は基準バーコードの基準画像データの特定の値を変更することで基準画像データを改変して判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、基準バーコードに特定の画像を追加する、又は基準画像データの特定の値を変更することで基準画像データが改変された場合の判定用画像の印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0053】
基準バーコードは一次元バーコードを含み、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードの階調性を変更する改変、基準バーコードを部分的に欠損させる改変、基準バーコードに特定の画像を追加する改変、及び基準バーコードの線の均一性を変更する改変の何れかを行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、一次元バーコードを表す基準画像データが改変された場合の判定用画像の印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0054】
基準バーコードは二次元コードを含み、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードの階調性を変更する改変、基準バーコードを部分的に欠損させる改変、基準バーコードに特定の画像を追加する改変、及び基準バーコードの位置ズレを生じさせる改変の何れかを行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、二次元コードを表す基準画像データが改変された場合の判定用画像の印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0055】
制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードに特定の画像を追加する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、基準バーコードに特定の画像が追加された判定用画像の印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0056】
バーコードが一次元バーコード又は二次元コードであり、読取順序が1である時、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードの階調性を変更する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、基準バーコードの階調性が変更された判定用画像の印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0057】
バーコードが一次元バーコード又は二次元コードであり、読取順序が2である時、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードを部分的に欠損させる改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、基準バーコードを部分的に欠損させた印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0058】
バーコードが一次元バーコードであり、読取順序が3である時、制御部30は、基準画像データに拡大/縮小アルゴリズムを適用して、基準バーコードの線の太さを変更する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、基準バーコードの線の太さが変更された印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0059】
バーコードが二次元コードであり、読取順序が3である時、制御部30は、基準画像データに対し、基準バーコードの所定方向の倍率を変更する改変を行うことで判定用画像データを取得する(S7、S21、S32)。印刷装置1は、基準バーコードの所定方向の倍率が変更された印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。
【0060】
制御部30は、一以上の判定用画像と、基準バーコードの基準画像とを搬送方向Fに並べて印刷する第一データを生成する(S23)。制御部30は、印刷部6を制御して、第一データに基づき、基準画像と、一以上の判定用画像とを媒体Mに印刷し(S25)、一以上の判定用画像の各々の読取判定用画像データが、所定基準を満たしているかを判定し、読取部45によって基準画像が読み取られて出力された読取基準画像データが、所定基準を満たしているかを判定する(S27)。制御部30は、S27で読取判定用画像データが所定基準を満たしていると判定された場合(S15:YES)、又はS27で読取基準画像データが所定基準を満たしていないと判定された場合(S28:YES)、報知部として表示部3を制御して、エラーを報知する(S18)。印刷装置1は、第一データに基づき印刷された基準画像と、一以上の判定用画像との印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。印刷装置1は、ユーザの負担を増加させることなく、所定基準を満たす読取画像データにOK判定を付与できるかという第一の観点に加え、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかという第二の観点からも、印刷品質の判定が適切に行われていることをユーザに報知できる。ユーザは報知結果に基づき、印刷装置1が、第一の観点と第二観点との双方で適切に印刷品質を判定できており、OK判定が印刷装置1による誤判定ではなく、読取画像データが所定基準を満たすと判定された結果であると判断できる。
【0061】
制御部30は、基準画像データに対し、複数種類の改変を行うことで判定用画像データを取得する(S31、S32)。印刷装置1は、複数種類の改変が行われた判定用画像の印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。印刷装置1は、改変ごとに複数の判定用画像を生成して印刷品質を判定する場合に比べ、判定用画像の印刷部数と、印刷品質の判定に要する時間とを減らすことができる。
【0062】
制御部30は、一以上の判定用画像と、基準バーコードの基準画像とを搬送方向Fに垂直な幅方向に並べて印刷する第二データを生成する(S24)。制御部30は、印刷部6を制御して、第二データに基づき、基準画像と、一以上の判定用画像とを媒体Mに印刷し(S25)、一以上の判定用画像の各々の読取判定用画像データが、所定基準を満たしているかを判定し、読取部45によって基準画像が読み取られて出力された読取基準画像データが、所定基準を満たしているかを判定する(S27)。制御部30は、S27で読取判定用画像データが所定基準を満たしていると判定された場合(S15:NO)、又はS27で読取基準画像データが所定基準を満たしていないと判定された場合(S28:NO)、報知部として表示部3を制御して、エラーを報知する。印刷装置1は、第二データに基づき印刷された基準画像と、一以上の判定用画像との印刷品質の判定結果に基づき、印刷品質の判定が適切に行われているかをユーザに報知できる。印刷装置1は、ユーザの負担を増加させることなく、所定基準を満たす読取画像データにOK判定を付与できるかという第一の観点に加え、所定基準を満たさない読取画像データにNG判定を付与できるかという第二の観点からも、印刷品質の判定が適切に行われていることをユーザに報知できる。ユーザは報知結果に基づき、印刷装置1が、第一の観点と第二観点との双方で適切に印刷品質を判定できており、OK判定が印刷装置1による誤判定ではなく、読取画像データが所定基準を満たすと判定された結果であると判断できる。
【0063】
制御部30は、予め記憶された判定用画像データを取得する。印刷装置1は、判定用画像データを生成する処理を行わなくてもよく、判定用画像を印刷するまでの処理を簡単にできる。
【0064】
制御部30は、報知部は表示部3であり、制御部30は、報知部として表示部3を制御して、エラーを表示する。印刷装置1は、読取判定用画像データが所定基準を満たしていると判定された場合に、報知部として表示部3を制御して、エラーを表示できる。
【0065】
供給部5は、ロール状に巻回された媒体Mを供給する。搬送部7、10、15、19、48は、媒体Mを搬送するベルト又はローラである。印刷部6は、インクジェットヘッドを有し、インクジェットヘッドから液体を吐出することで媒体Mに画像を印刷する。印刷装置1は、ロール状に巻回された媒体Mにインクジェット方式で判定用画像を印刷する場合の印刷品質が所定基準を満たしていると判定された場合に、報知部としての表示部3を制御して、エラーを表示できる。
【0066】
本発明の印刷装置、印刷品質判定方法、及び印刷品質判定プログラムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
【0067】
供給部5は長尺状の媒体Mを供給できればよく、適宜構成を変更されてよい。媒体Mは、用紙に刻まれたミシン目に沿って折りたたまれているファンフォールド紙でもよい。搬送部7は、搬送ベルトなどの他の搬送部材により、媒体Mを搬送してもよい。搬送部10は、戻し方向Bに媒体Mを搬送可能でもよいし、供給部5の構成に応じて構成が変更されてもよいし、省略されてもよい。報知部は、スピーカー等の音声出力部であってもよく、報知制御部は、報知部の構成に応じた態様で、エラーを報知すればよい。
【0068】
印刷部6の構成は適宜変更されてよく、カラー印刷可能なインクジェットヘッドでもよいし、電子写真式又は感熱式のサーマルヘッドでもよい。定着ユニット40は、印刷装置1の印刷方式に応じて、省略されてもよいし、構成が変更されてもよい。印刷装置1は、切断部50を省略してもよい。切断部50は、ユーザのマニュアル操作で媒体Mを切断してもよい。搬送部15、19、48の少なくとも何れかは、必要に応じて省略されてもよいし、構成が変更されてもよい。読取部45は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)等の他の装置であってもよい。
【0069】
図6の印刷品質判定処理を実行させるための指令を含むプログラムは、制御部30がプログラムを実行するまでに、印刷装置1の記憶装置に記憶されればよい。したがって、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。制御部30が実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0070】
印刷装置1の印刷品質判定処理の各ステップは、制御部30によって実行される例に限定されず、一部又は全部が他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。印刷品質判定処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。印刷品質判定処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。印刷装置1上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が、制御部30からの指令に基づき印刷品質判定処理の一部又は全部を行う態様も、本発明の範囲に含まれる。例えば、印刷品質判定処理に以下の変更が適宜加えられてもよい。
【0071】
印刷品質の判定項目、改変要素の内容、数、種類等は適宜変更されてよい。バーコードが一次元バーコードである場合の改変要素は、階調性欠陥、部分的な欠損/汚れ付加、及び線の不均一性付加から選択された一以上の要素であってもよいし、3要素以外の要素であってもよい。同様にバーコードが二次元コードである場合の改変要素は、階調性欠陥、部分的な欠損/汚れ付加、及び位置ずれ付加から選択された一以上の要素であってもよいし、3要素以外の要素であってもよい。印刷装置1は、バーコードの種類によらず、同一の改変要素を設定してもよい。基準バーコードは、一次元バーコードと、二次元コードとの何れかを含み、文字、図形等は含まなくてもよい。判定用画像データが記憶されている場合には、制御部30は、基準画像データを取得する処理、及び基準画像データを改変して、判定用画像データを生成する処理を省略してよい。印刷装置1は、基準画像データを取得する処理、及び基準画像データを改変して、判定用画像データを生成する処理を行う場合には、判定用画像データを予め記憶しなくてもよい。基準画像データを改変して、判定用画像データを生成する処理は、改変要素に応じて、適宜変更されてよい。制御部30は、複数種類の改変要素のうちの、ユーザが指定する改変要素を改変した判定用画像データを生成、取得してもよい。判定用画像と、基準バーコードの基準画像とを並べて印刷する場合の各画像の配置は適宜変更されてよい。例えば、制御部30は、判定用画像と、基準画像とを所定数の行、所定数の列に、マトリクス状に配置してもよい。
【0072】
制御部30は、S24において、バーコードが一次元バーコードである時、判定用画像と、基準画像との線の向きが、搬送方向Fに直交する幅方向になるように配置してもよい。制御部30は、S4、S11、S27、S35の少なくとも何れかにおいて、判定項目毎に所定基準を満たす場合にOK判定を記憶し、判定項目毎に所定基準を満たさない場合にNG判定を記憶してもよい。制御部30は、S18で、エラー判定されたのが読取基準画像データであるか又は読取判定用画像データであるかを報知してもよい。読取基準画像データの印刷品質は正常と判定され、読取判定用画像データの印刷品質が異常と判定されたことが報知された場合、ユーザは印刷装置1が本来NG判定とするべき読取画像データにOK判定を誤って付与していることを特定できる。制御部30は、S18で、エラー判定された判定項目を報知してもよい。制御部30は、S7で文字列97、98に二次元コード96と同様の改変を加えてもよい。制御部30は、S22で、制御部30は、搬送方向Fに配列させるかを、ユーザの指示の有無に基づき判断してもよいし、媒体Mの属性に応じて判断してもよい。改変要素が「線の不均一性付加」である場合、S7において、線の太さを変更する等の改変は基準バーコード全体に適用されてもよいし、基準バーコードに部分的に適用されてもよい。S23又はS24において、制御部30は、ラベルの大きさに応じて、基準画像、判定用画像の大きさを変更しなくてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:印刷装置、5:供給部、6:印刷部、7、10、15、19、48:搬送部、9、11、38、39、49:搬送駆動部、30:制御部、45:読取部
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