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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】プリンタおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/393 20060101AFI20241210BHJP
   B41J 3/01 20060101ALI20241210BHJP
   B41J 23/32 20060101ALI20241210BHJP
   G06K 5/02 20060101ALI20241210BHJP
   G06K 1/12 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J3/01
B41J23/32 B
G06K5/02
G06K1/12 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021061650
(22)【出願日】2021-03-31
(65)【公開番号】P2022157434
(43)【公開日】2022-10-14
【審査請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129643
【弁理士】
【氏名又は名称】皆川 祐一
(72)【発明者】
【氏名】太田 晶子
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202424(JP,A)
【文献】特開2016-137597(JP,A)
【文献】特開2004-160981(JP,A)
【文献】特開2020-166571(JP,A)
【文献】特開2020-001208(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0213361(US,A1)
【文献】中国実用新案第212860826(CN,U)
【文献】独国特許出願公開第102010035361(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/393
B41J 3/01
B41J 23/32
G06K 5/02
G06K 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷領域が並ぶ連続紙を前記印刷領域の並び方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により前記並び方向の一方の方向に搬送される前記連続紙の前記印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷部に、前記印刷領域への画像の印刷を行わせ、
前記印刷領域に印刷された画像が前記印刷部よりも前記一方の方向の下流に設けられている読取部に読み取られて、前記読取部に読み取られた画像データから判定される印刷結果が基準を満たさない不良画像を検知した場合に、前記印刷部に、前記不良画像に対応する印刷データの画像を新たな前記印刷領域に再印刷させ、
前記印刷部に、前記不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される前記印刷領域の位置を示す情報を含む特定画像を、前記不良画像が印刷されている前記印刷領域に上書きで印刷させる、プリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプリンタであって、
前記制御部は、所定数の前記印刷領域に印刷された画像が前記読取部に読み取られて、前記読取部に読み取られた画像データから前記不良画像を検知した場合に、前記所定数の画像が読み取られた後に、前記印刷部に、その検知した前記不良画像のすべてに対応する印刷データの画像を新たな前記印刷領域に再印刷させる、プリンタ。
【請求項3】
請求項2に記載のプリンタであって、
ユーザにより設定される設定情報を受け付ける受付部、をさらに備え、
前記所定数は、前記受付部に受け付けられる前記設定情報に含まれる、プリンタ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のプリンタであって、
前記制御部は、
前記印刷部に、一連の複数の印刷データに係る画像を印刷データの並び順で前記印刷領域に個々に印刷する一連印刷を行わせて、
前記読取部に読み取られた画像データから前記不良画像を検知した場合に、前記並び順で並んでいる印刷データに前記不良画像に対応する印刷データを割り込ませて、前記印刷部に、その割り込ませた後の印刷データの並び順で未印刷の画像および前記不良画像を前記印刷領域に個々に印刷させる、プリンタ。
【請求項5】
請求項4に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記不良画像が印刷された前記印刷領域の位置と前記不良画像に対応する印刷データを割り込ませた位置とに基づいて、前記不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される前記印刷領域の位置を示す情報を作成する、プリンタ。
【請求項6】
請求項4または5に記載のプリンタであって、
前記制御部は、前記不良画像に対応する印刷データの位置から前記並び順に、前記読取部と前記印刷部との間の距離に応じた印刷データ数以上離れた位置に、前記不良画像に対応する印刷データを割り込ませる、プリンタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のプリンタであって、
前記読取部、をさらに備える、プリンタ。
【請求項8】
プリンタと、
特定画像プリンタと、を含む、印刷システムであって、
前記プリンタは、
複数の印刷領域が並ぶ連続紙を前記印刷領域の並び方向に搬送する搬送部と、
前記搬送部により前記並び方向の一方の方向に搬送される前記連続紙の前記印刷領域に画像を印刷する印刷部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記印刷部に、前記印刷領域への画像の印刷を行わせ、
前記印刷領域に印刷された画像が前記印刷部よりも前記一方の方向の下流に設けられている読取部に読み取られて、前記読取部に読み取られた画像データから判定される印刷結果が基準を満たさない不良画像を検知した場合に、前記印刷部に、前記不良画像に対応する印刷データの画像を新たな前記印刷領域に再印刷させ、
前記特定画像プリンタは、
前記不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される前記印刷領域の位置を示す情報を含む特定画像を、前記不良画像が印刷されている前記印刷領域に上書きで印刷する、印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタの一種として、長尺の連続紙(台紙)をロール状に巻回したロール紙を使用し、連続紙上にその長手方向に並んで設けられたラベル(印刷領域)に画像を印刷するラベルプリンタが知られている。
【0003】
ラベルプリンタの一例では、スキャナが設けられて、ラベルに印刷されている画像がスキャナで読み取られ、その読み取られた画像データから印刷結果の良否が判定される。印刷結果が不良と判定されると、印刷結果の不良をユーザに通知するために、連続紙が巻き戻されて、その不良判定された画像に無効印が重ねて印刷される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-160981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、シリアル番号が番号順にラベルに印刷される場合に、シリアル番号「N」(N:1以上の整数)を含む画像の印刷結果が不良と判定された時点で、スキャナと印刷ヘッドとの間に位置するラベルには、「N+1」以降のシリアル番号を含む画像が既に印刷されている。そのため、シリアル番号「N」を含む画像が印刷されたラベルに無効印が印刷された後、白紙のラベルが印刷ヘッドによる印刷位置に到達するまで連続紙が送られて、白紙のラベルにシリアル番号「N」を含む画像が再印刷されると、ラベルに印刷されたシリアル番号が連続紙の送り出し方向の下流側から連番にならなくなり、シリアル番号「N」を含む画像が印刷されたラベルをユーザが見つけにくくなる。
【0006】
シリアル番号「N」を含む画像が印刷されたラベルだけでなく、「N+1」以降のシリアル番号を含む画像が既に印刷されたラベル、つまりシリアル番号「N」を含む画像の印刷結果が不良と判定された時点でスキャナと印刷ヘッドとの間に位置するラベルにも無効印を印刷し、「N」以降のシリアル番号を含む画像を白紙のラベルに再印刷すれば、ラベルに印刷されたシリアル番号が連続紙の送り出し方向の下流側から連番となる。しかし、シリアル番号「N」を含む画像の印刷結果が不良と判定された時点でスキャナと印刷ヘッドとの間に位置していたラベルが印刷結果の良否にかかわらず使用できなくなり、それらのラベルおよびラベルへの印刷が無駄になる。
【0007】
本発明の目的は、印刷結果が基準を満たさない不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される場合に、その再印刷される印刷領域の位置をユーザが把握しやすく、かつ、画像が既に印刷された印刷領域およびその印刷が無駄になることを防止できる、プリンタおよび印刷システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明に係るプリンタは、複数の印刷領域が並ぶ連続紙を印刷領域の並び方向に搬送する搬送部と、搬送部により並び方向の一方の方向に搬送される連続紙の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、制御部とを備え、制御部は、印刷部に、印刷領域への画像の印刷を行わせ、印刷領域に印刷された画像が印刷部よりも一方の方向の下流に設けられている読取部に読み取られて、読取部に読み取られた画像データから判定される印刷結果が基準を満たさない不良画像を検知した場合に、印刷部に、不良画像に対応する印刷データの画像を新たな印刷領域に再印刷させ、印刷部に、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される印刷領域の位置を示す情報を含む特定画像を、不良画像が印刷されている印刷領域に上書きで印刷させる。
【0009】
この構成によれば、連続紙が印刷領域の並び方向の一方の方向に搬送されつつ、画像が印刷領域に印刷される。そして、印刷部に対して一方の方向の下流に設けられた読取部により、印刷領域の画像が読み取られる。読取部に読み取られた画像データから判定される印刷結果が基準を満たさない場合には、その基準を満たさない不良画像に対応する印刷データの画像が新たな印刷領域に再印刷される。また、不良画像が印刷されている印刷領域には、不良画像が再印刷される印刷領域の位置を示す情報を含む特定画像が上書きで印刷される。これにより、不良画像が再印刷される印刷領域の位置をユーザが把握しやすい。
【0010】
印刷結果が基準を満たさない不良画像が検知された時点で読取部と印刷部との間に存在する印刷領域には、画像が既に印刷されている。たとえば、シリアル番号を含む画像が番号順に印刷領域に印刷される場合、画像が既に印刷された印刷領域よりも並び方向の他方に位置している印刷領域に不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されると、印刷領域に印刷されたシリアル番号が一方の方向の下流から上流に向けて連番にならなくなる。ところが、不良画像が印刷されている印刷領域に上書きで印刷される特定画像に含まれる情報から、ユーザは、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される印刷領域の位置を把握して、その不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷された印刷領域を容易に見つけることができる。そのため、不良画像が検知された時点で画像が既に印刷されている印刷領域を無効にしなくてよいので、その印刷領域および印刷領域への印刷が無駄になることを防止できる。
【0011】
なお、本発明は、プリンタの形態で実現することができるだけでなく、たとえば、プリンタおよび特定画像プリンタを含む印刷システムの形態で実現することもできる。その場合、プリンタは、複数の印刷領域が並ぶ連続紙を印刷領域の並び方向に搬送する搬送部と、搬送部により並び方向の一方の方向に搬送される連続紙の印刷領域に画像を印刷する印刷部と、制御部とを備え、制御部は、印刷部に、印刷領域への画像の印刷を行わせ、印刷領域に印刷された画像が印刷部よりも一方の方向の下流に設けられている読取部に読み取られて、読取部に読み取られた画像データから判定される印刷結果が基準を満たさない不良画像を検知した場合に、印刷部に、不良画像に対応する印刷データの画像を新たな印刷領域に再印刷させ、特定画像プリンタは、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される印刷領域の位置を示す情報を含む特定画像を、不良画像が印刷されている印刷領域に上書きで印刷する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、印刷結果が基準を満たさない不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷される場合に、その再印刷される印刷領域の位置をユーザが把握しやすく、かつ、画像が既に印刷された印刷領域およびその印刷が無駄になることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るラベルプリンタの構成を図解的に示す断面図である。
図2】ラベルプリンタの電気的構成の要部を示すブロック図である。
図3】印刷処理の流れを示すフローチャートである。
図4】検査処理の流れを示すフローチャートである。
図5】ラベルプリンタの動作例について説明するための図であり、(a)印刷が一時停止された状態を示し、(b)不良画像が印刷されているNGラベルにVOID画像が印刷された後の状態を示す。
図6】ラベルプリンタの動作例について説明するための図であり、(c)不良画像に対応する印刷データの画像の再印刷が行われた後の状態を示す。
図7】ラベルプリンタの動作の他の例について説明するための図であり、(a)不良画像が検知された直後の状態を示し、(b)不良画像の検知後も印刷結果の判定が継続されている状態を示す。
図8】ラベルプリンタの動作の他の例について説明するための図であり、(c)不良画像に対応する印刷データの画像の再印刷が行われた後の状態を示し、(d)VOID画像がまとめて印刷されている途中の状態を示す。
図9】ラベルプリンタの動作の他の例について説明するための図であり、(e)VOID画像の印刷が終了した後の状態を示す。
図10】VOID画像に含まれる文字情報の位置およびサイズについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0015】
<ラベルプリンタの全体構成>
ラベルプリンタ1は、図1に示されるように、長尺の連続紙Pに画像を印刷する装置である。印刷済みの連続紙Pは、ラベルプリンタ1の外殻をなす筐体11の側面に形成された排出口12から排出される。
【0016】
なお、以下の説明で使用するため、ラベルプリンタ1の前後左右については、排出口12が形成されている側面を正面として、その正面側をラベルプリンタ1の前側と規定し、背面側をラベルプリンタ1の後側と規定し、ラベルプリンタ1を正面側から見たときの左右をそれぞれラベルプリンタ1の左右と規定する。また、上下については、ラベルプリンタ1が水平面上に設置された状態で規定する。図1に示される断面図は、ラベルプリンタ1を前後方向に延びる切断面線で切断した断面を右側から見た図である。
【0017】
連続紙Pは、長尺の台紙上にラベルL(印刷領域の一例)がその長手方向に並べて貼られたダイカット紙であってもよいし、長尺の普通紙の印刷面に印刷領域を一定間隔で設定する下地画像が既に印刷された無定長紙(連続紙)であってもよいし、かかる下地画像が印刷されていない普通紙からなる無定長紙であってもよい。ダイカット紙では、各ラベルLの粘着面と反対側の印刷面が印刷領域である。以下では、連続紙Pがダイカット紙である場合を例にとる。
【0018】
排出口12は、左右方向に延びる矩形状の開口であり、筐体11の内外を連通している。
【0019】
筐体11内には、連続紙PをロールRの状態で保持するロールホルダ13が設けられている。連続紙Pは、ロールRの状態において、印刷面を外側に向けてロール芯に巻回されている。ロールホルダ13は、略円筒状をなし、ロールRは、ロール芯がロールホルダ13に外嵌されることによりロールホルダ13に保持される。
【0020】
また、筐体11内には、ロールホルダ13の後上方に、方向変更ローラ14が設けられている。方向変更ローラ14の前側には、連続紙Pが搬送される搬送路15が設けられている。搬送路15は、方向変更ローラ14の上側の位置から前側に向かって延び、その前端が排出口12に接続されている。連続紙Pは、ロールRから方向変更ローラ14の後側に向けて引き出され、方向変更ローラ14の周面に沿わせることにより前側に方向を変えられて、搬送路15を排出口12に向けて通される。
【0021】
搬送路15上には、連続紙Pを搬送する搬送ローラ16(搬送部の一例)が設けられている。搬送ローラ16は、方向変更ローラ14に対して前側に間隔を空けて配置されている。また、排出口12の後側であって、搬送ローラ16に対して前側に間隔を空けた位置には、搬送ローラ17(搬送部の一例)が配置されている。
【0022】
搬送ローラ16のローラ間に連続紙Pが通された状態で、モータM(図2参照)の正転による動力が搬送ローラ16に伝達されて、搬送ローラ16が回転することにより、ラベルLの並び方向の一方であって、連続紙Pが搬送路15に沿って排出口12に向かう送り出し方向に搬送される。また、モータMの駆動力の伝達経路は、ロールホルダ13(搬送部の一例)にも接続されている。モータMの逆転による動力がロールホルダ13に伝達されて、ロールホルダ13が連続紙Pの送り出し方向への搬送時と逆方向に回転され、ロールRがロールホルダ13と一体に回転することにより、連続紙Pが送り出し方向と逆方向の引き戻し方向に搬送される。
【0023】
また、搬送ローラ16により搬送される連続紙Pの減速時および停止時に、ロールホルダ13は、ロールRに作用する慣性力を調整するように、モータMの駆動力により正転または逆転駆動される。方向変更ローラ14は、ロールホルダ13と搬送ローラ16との間で連続紙Pにテンションを付与するように構成されており、方向変更ローラ14に付随して、連続紙Pのテンションの大きさを検出する機構が設けられている。
【0024】
搬送ローラ16,17間には、印刷ヘッド21(印刷部の一例)、ヒータ22およびCIS(Contact Image Sensor)ユニット23(読取部の一例)が送り出し方向にこの順に並んで設けられている。
【0025】
印刷ヘッド21は、搬送路15に上側から臨んで配置されている。印刷ヘッド21は、たとえば、搬送路15を搬送される連続紙Pの印刷面にインクジェット記録方式により画像を印刷する。印刷ヘッド21における送り出し方向(引き戻し方向)の上流端から下流に所定間隔を空けた位置が印刷ヘッド21による印刷位置であり、印刷ヘッド21は、印刷位置において連続紙Pの印刷面に画像を印刷する。
【0026】
ヒータ22は、印刷ヘッド21に対して送り出し方向の下流において、搬送路15に上側から臨んで配置されている。ヒータ22は、印刷ヘッド21による印刷後の連続紙Pを加熱することにより、連続紙Pにインクを定着させる。
【0027】
CISユニット23は、印刷ヘッド21に対して送り出し方向の下流において、搬送路15に上側から臨んで配置されている。CISユニット23は、搬送路15を搬送される連続紙Pの印刷面を読み取る。具体的には、CISユニット23には、図示されていないが、光源、ロッドレンズアレイおよびリニアイメージセンサが内蔵されており、光源から連続紙Pの印刷面にライン状の光が照射され、印刷面で反射された光がロッドレンズアレイを通してリニアイメージセンサに入射する。これにより、CISユニット23の読取位置において、原稿が主走査方向に1ライン分読み取られる。リニアイメージセンサは、複数の撮像素子(イメージセンサ)が主走査方向に1列に並べられた構成であり、各撮像素子に読み取られる画像データが1画素の画像データ(画素値)となる。主走査方向は、搬送路15における連続紙Pの送り出し方向(引き戻し方向)に直交して、搬送路15と平行に延びる方向である。
【0028】
<電気的構成の要部>
ラベルプリンタ1は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32およびRAM(Random Access Memory)33を備えている。
【0029】
CPU31(制御部の一例)は、各種の処理のためのプログラムを実行することにより、印刷ヘッド21、ヒータ22、CISユニット23およびモータMの動作を制御する。
【0030】
ROM32は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリである。からなる。ROM32には、CPU31によって実行されるプログラムおよび各種のデータなどが記憶されている。
【0031】
RAM33は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリであり、CPU31がプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される。
【0032】
また、モータMに付随してエンコーダが設けられており、CPU31には、そのエンコーダからモータMの回転に同期したパルス信号であるエンコーダ信号が入力される。RAM33は、CPU31により、ステップ数カウンタとして利用される。CPU31は、モータMの正転駆動時にエンコーダから入力されるエンコーダ信号のパルス数およびモータMの逆転駆動時にエンコーダから入力されるエンコーダ信号のパルス数をそれぞれステップ数カウンタでカウントすることにより、連続紙Pの位置を把握することができる。
【0033】
ラベルプリンタ1は、USBインタフェース34(受付部の一例)を備えている。USBインタフェース34は、USBメモリなどのUSBデバイスとのデータ通信のためのインタフェースであり、USBケーブルが接続されるUSBコネクタおよびUSBデバイスとのUSB接続を制御するUSBコントローラなどを備えている。
【0034】
また、ラベルプリンタ1には、操作パネル35(受付部の一例)が備えられている。操作パネル35には、各種の設定のために操作される操作部と、情報の表示のための表示部とが含まれる。操作部と表示部とは、別々に設けられていてもよいし、液晶ディスプレイなどの表示部上に感圧式または静電容量式の透明フィルムスイッチなどの操作部を重ねて構成されるタッチパネルの形態であってもよい。
【0035】
<印刷処理>
ラベルプリンタ1で印刷が実行される際には、たとえば、印刷データを記憶したUSBメモリがUSBインタフェース34(USBコネクタ)に接続される。そして、操作パネル35に設けられた印刷開始ボタンの押下により、USBメモリに記憶されている印刷データに係る画像の印刷が指示される。印刷データは、印刷対象の画像における文字の位置や文字種、図形の位置などの情報をページ記述言語で記述したものである。
【0036】
印刷が指示されると、CPU31は、図3に示される印刷処理を開始する。
【0037】
印刷処理では、CPU31は、USBメモリから印刷対象の全印刷データをRAM33に読み出し、1ページ目からページ順に並んだ一連の印刷データとして、RAM33に一旦記憶させる。そして、印刷動作の開始に応じて、CPU31は、RAM33から1ページ目の印刷データを読み出す(S11)。また、CPU31は、モータMを正転させる。モータMの正転により、搬送ローラ16,17が回転し、連続紙Pが送出方向に搬送される。そして、CPU31は、印刷ヘッド21の印刷位置を通過するラベルLに1ページ目の印刷データの画像が印刷されるよう、印刷ヘッド21を制御する(S12)。
【0038】
その後、CPU31は、VOID印刷要求の有無を判断する(S13)。VOID印刷要求は、後述する検査処理で印刷結果が「NG」と判定された場合に発生する。VOID印刷要求が発生すると、CPU31は、RAM33に設定されているVOID印刷フラグをオンにする。また、VOID印刷要求に応じたVOID印刷が行われると、CPU31は、VOID印刷フラグをオフにする。CPU31は、VOID印刷フラグの状態から、VOID印刷要求の有無を判断する。
【0039】
VOID印刷要求がある場合(S13:YES)、CPU31は、モータMおよび印刷ヘッド21を制御して、VOID印刷を実行する(S14)。VOID印刷では、CPU31は、正転しているモータMを一旦停止させた後、所定量だけ逆転させる。所定量は、検査処理で印刷結果が「NG」と判定された不良画像が印刷されているラベルL(以下、「NGラベルL’」という。)の送り出し方向の下流端が印刷ヘッド21の印刷位置に一致する位置または印刷位置よりも上流の位置まで移動する量に設定されている。これにより、NGラベルL’が印刷ヘッド21による印刷が可能な位置まで引き戻し方向に搬送される。その後、CPU31は、モータMを一旦停止させた後に正転させる。モータMの正転により、連続紙Pが送り出し方向に再び搬送される。そして、CPU31は、特定画像であるVOID画像がNGラベルL’の画像に重ねて印刷されるよう、印刷ヘッド21を制御する。
【0040】
VOID印刷の終了後、CPU31は、所定数の印刷データの印刷が行われたか否かを判断する(S15)。所定数は、ユーザが操作パネル35を操作することにより任意の数に設定可能とされている。
【0041】
CPU31は、所定数の印刷データの印刷が行われたと判断した場合(S15:YES)、再印刷指示があったか否かを判断する(S16)。再印刷指示は、後述する検査処理で発生する。再印刷指示が発生していない場合(S16:NO)、CPU31は、印刷対象の全印刷データの画像の印刷が終了したか否かを判断する(S18)。全印刷データの画像の印刷が終了していなければ(S18:NO)、CPU31は、USBメモリから次のページの印刷データを読み出し(S11)、印刷ヘッド21を制御して、次のページの印刷データの画像の印刷を行う(S12)。
【0042】
所定数の印刷データの印刷が行われたと判断した時点で、再印刷指示があると(S16:YES)、CPU31は、再印刷を行った後(S17)、印刷対象の全印刷データの画像の印刷が終了したか否かを判断する(S18)。
【0043】
検査処理と印刷は並行して行われるが、再印刷指示が判断できる状態になるまで時間がかかるときは、印刷を止めてもよい。
【0044】
その後、CPU31は、印刷対象の全印刷データの画像の印刷が終了したか否かを判断する(S15)。また、VOID印刷要求がない場合(S13:NO)、CPU31は、VOID印刷を行わずに、印刷対象の全印刷データの画像の印刷が終了したか否かを判断する(S15)。そして、全印刷データの画像の印刷が終了していなければ(S15:NO)、CPU31は、USBメモリから次のページの印刷データを読み出し(S11)、印刷ヘッド21を制御して、次のページの印刷データの画像の印刷を行う(S12)。
【0045】
各ページの印刷データの画像の印刷が進み、CPU31は、全印刷データの画像の印刷が終了したと判断すると(S18:YES)、再印刷データがあるか否かを判断する(S19)。再印刷データが印刷されずに残っている場合(S19:NO)、CPU31は、印刷ヘッド21を制御して、再印刷データの画像の印刷を行い(S20)、再印刷データがあるか否かを再び判断する。そして、再印刷データがなくなると(S19:NO)、CPU31は、印刷処理を終了する。
【0046】
<検査処理>
CPU31は、ラベルLへの画像の印刷の開始に応じて、図4に示される検査処理を開始する。
【0047】
検査処理では、CPU31は、1ページ目の印刷データの画像から順に印刷結果の判定を行う(S21)。具体的には、1ページ目の印刷データの画像が印刷されたラベルLがCISユニット23の読取位置に差し掛かるタイミングで、CPU31は、CISユニット23を制御して、そのラベルLに印刷されている画像をCISユニット23に読み取らせる。そして、CPU31は、CISユニット23に読み取られたデータ(読取データ)から、画像の印刷結果が所定の基準を満たしている「OK」であるか、印刷結果が所定の基準を満たしていない「NG」であるかを判定する。たとえば、画像にバーコードシンボルが含まれる場合、CPU31により、読取データから、バーコードシンボルの光学的特性(反射率、反射濃度、PCS(Print Contrast Signal)値など)がJIS規格(日本工業規格)を満たしているか否かが調べられる。そして、バーコードシンボルの光学的特性がJIS規格を満たしている場合、CPU31は、そのバーコードシンボルを含む画像の印刷結果が「OK」であると判定し、バーコードシンボルの光学的特性がJIS規格を満たしていない場合、そのバーコードシンボルを含む画像の印刷結果が「NG」であると判定する。
【0048】
1ページの印刷結果の判定が終わると、CPU31は、RAM33を判定数カウンタとして利用し、判定数カウンタのカウント値をインクリメント(+1)する(S22)。
【0049】
そして、CPU31は、ラベルLにおける画像の印刷結果が「NG」であると判定した場合(S23:YES)、VOID印刷要求を発生させて(S24)、RAM33に設定されているVOID印刷フラグをオンにする。また、CPU31は、印刷結果が「NG」と判定された不良画像に対応する印刷データの画像を再印刷するために、その印刷データを再印刷データとしてRAM33に記憶させる(S25)。その後、CPU31は。判定数カウンタのカウント値(以下、「判定数」という。)が所定数に達しているか否かを判断する(S26)。
【0050】
一方、CPU31は、ラベルLにおける画像の印刷結果が「NG」ではない、つまり「OK」であると判定した場合(S23:NO)、VOID印刷要求の発生および再印刷データの記憶を行わずに、判定数が所定数に達しているか否かを判断する(S26)。
【0051】
判定数が所定数に達していないと判断した場合(S26:NO)、つまり判定数が所定数未満である場合、CPU31は、印刷処理によりラベルLに印刷された全印刷データの画像の検査が終了したか、つまり全印刷データの画像の印刷結果の判定が終了したかを判断する(S31)。全印刷データには、再印刷データも含まれる。全印刷データの画像の検査が終了していない場合(S31:NO)、CPU31は、次のページの画像の印刷結果の判定を行う(S21)。
【0052】
印刷結果の判定が進み、CPU31は、判定数が所定数に達したと判断すると(S26:YES)、判定数を0にリセットする(S27)。また、CPU31は、再印刷データがRAM33に記憶されているか否かを判断する(S28)。
【0053】
印刷結果が判定された所定数の画像の中に印刷結果が「NG」である不良画像がなかった場合、CPU31は、再印刷データがRAM33に記憶されていないと判断する(S28:NO)。この場合(S28:NO)、CPU31は、印刷処理によりラベルLに印刷された全印刷データの画像の検査が終了したかを再び判断する(S31)。
【0054】
印刷結果が判定された所定数の画像の中に印刷結果が「NG」である不良画像があった場合、その不良画像に対応する印刷データが再印刷データとしてRAM33に記憶されているので、CPU31は、再印刷データがRAM33に記憶されていると判断する。
【0055】
再印刷データがRAM33に記憶されていると判断した場合(S28:YES)、CPU31は、RAM33に記憶されている全再印刷データが未印刷の印刷データよりも先にページ番号が小さいものから順にRAM33から読み出されるように、未印刷の印刷データの先頭に再印刷データを割り込ませる(S29)。その後、CPU31は、再印刷指示を発生させる(S30)。この再印刷指示の発生に応じて、再印刷データの再印刷がされる(図3のS18)。そして、CPU31は、印刷処理によりラベルLに印刷された全印刷データの画像の検査が終了したかを再び判断する(S31)。
【0056】
印刷結果の判定がさらに進み、全印刷データの画像の検査が終了したと判断すると(S31:YES)、CPU31は、印刷処理を終了する。
【0057】
<ラベルプリンタの動作>
印刷処理および検査処理により、ラベルプリンタ1は、たとえば、図5および図6に示されるように動作する。図5および図6に示される動作は、所定数が「6」に設定され、2ページ目の印刷データの画像の印刷結果が「NG」であった場合の動作である。
【0058】
その場合、図5に(a)として示されるように、6ページ目の印刷データの画像がラベルLに印刷された時点で、印刷が一時停止される。一方、1ページ目の印刷データの画像が印刷されたラベルLから順に6ページ目の印刷データの画像が印刷されたラベルLまで、各ラベルLに印刷されている画像の印刷結果が判定される。その途中、2ページ目の印刷データの画像の印刷結果が「NG」であると判定されると、VOID印刷要求が発生し、VOID印刷要求に応じて、2ページ目の印刷データの画像である不良画像が印刷されているNGラベルL’が印刷ヘッド21による印刷が可能な位置まで引き戻される。そして、図5に(b)として示されるように、そのNGラベルL’の不良画像にVOID画像が重ねて印刷される。また、2ページ目の印刷データの画像が再印刷データとしてRAM33に記憶される。
【0059】
6ページ目の印刷データの画像がラベルLに印刷された時点で印刷が一時停止されているので、7ページ目以降の印刷データは、未印刷の印刷データである。再印刷データである2ページ目の印刷データは、未印刷の7ページ目以降の印刷データの先頭に割り込まれる。そのた後、印刷再開指示が発生し、印刷が再開されると、まず、RAM33から再印刷データである2ページ目の印刷データが読み出される。その後、RAM33から未印刷の7ページ目以降の印刷データが読み出される。これにより、図6に(c)として示されるように、6ページ目の印刷データの画像が印刷されたラベルLに対して送り出し方向の上流に隣接するラベルLに、不良画像と判定された2ページ目の印刷データの画像が再印刷され、その不良画像が再印刷されたラベルLよりも送り出し方向の上流のラベルLに7ページ目以降の印刷データの画像が印刷される。
【0060】
CPU31は、NGラベルL’の位置と、2ページ目の印刷データを割り込ませる位置とから、2ページ目の印刷データの画像が再印刷されるラベルLがNGラベルL’から何枚後のラベルLに印刷されるかを把握することができる。VOID画像には、2ページ目の印刷データの画像がNGラベルL’から5枚後のラベルLに再印刷されることを表す「5枚後」の文字情報が含まれ、VOID画像における文字情報以外の部分は、白黒格子など、不良画像を認識不能にする模様であることが好ましい。
【0061】
<作用効果>
以上のように、連続紙Pが送り出し方向に搬送されつつ、画像がラベルLに印刷される。そして、印刷ヘッド21に対して送り出し方向の下流に設けられたCISユニット23により、ラベルLの画像が読み取られる。CISユニット23に読み取られた画像データから判定される印刷結果が基準を満たさない「NG」である場合には、その「NG」と判定された不良画像に対応する印刷データの画像が新たなラベルLに再印刷される。また、不良画像が印刷されているラベルLには、不良画像が再印刷されるラベルLの位置を示す文字情報を含むVOID画像が上書きで印刷される。これにより、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されるラベルLの位置をユーザが把握しやすい。
【0062】
印刷結果が基準を満たさない不良画像が検知された時点でCISユニット23と印刷ヘッド21との間に存在するラベルLには、画像が既に印刷されている。図5および図6に示されるように、シリアル番号を含む画像が番号順にラベルLに印刷される場合、画像が既に印刷されたラベルLよりも並び方向の他方に位置しているラベルLに不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されると、ラベルLに印刷されたシリアル番号が一方の方向の下流から上流に向けて連番にならなくなる。ところが、不良画像が印刷されているラベルLに上書きで印刷されるVOID画像に含まれる文字情報から、ユーザは、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されるラベルLの位置を把握して、再印刷されたラベルLを容易に見つけることができる。そのため、不良画像が検知された時点で画像が既に印刷されているラベルL(たとえば、図5および図6に示される例では、3ページ目から6ページ目までの印刷データの画像が印刷されているラベルL)を無効にしなくてよいので、画像が既に印刷されたラベルLおよびそのラベルLへの印刷が無駄になることを防止できる。
【0063】
また、所定数のラベルLに印刷された画像の印刷結果が判定されて、その印刷結果が判定された所定数の画像の中に印刷結果が「NG」である不良画像があった場合、所定数の画像の印刷結果の判定後、新たな印刷データの画像がラベルLに印刷される前に、不良画像のすべてに対応する印刷データの画像が新たなラベルLに再印刷される。これにより、不良画像に対応する印刷データの画像の再印刷がまとめて行われるので、ラベルL印刷された画像の印刷結果が「NG」であると判定される度に再印刷される構成と比較して、一連の印刷データの印刷に要する時間を短縮することができる。
【0064】
さらに、所定数は、ユーザが任意に設定することができる。そのため、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されたラベルLをユーザが見つけやすい範囲に再印刷されるように、所定数を設定することができる。これにより、不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されたラベルLをユーザがさらに容易に見つけることができる。
【0065】
<変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
【0066】
たとえば、前述の実施形態では、ラベルLに印刷された画像の印刷結果が「NG」であると判定されると、その判定の都度、NGラベルL’の不良画像にVOID画像が重ねて印刷されるとしたが、VOID画像の印刷は、印刷対象の全印刷データの画像がラベルLに印刷された後にまとめて行われてもよい。
【0067】
印刷データが1ページ目から6ページ目までの印刷データが印刷対象であり、所定数が「6」以上の数に設定され、2ページ目および5ページ目の印刷データの画像の印刷結果が「NG」であった場合の動作を例にとる。
【0068】
この例では、図7に(a)として示されるように、2ページ目の印刷データの画像の印刷結果が「NG」であると判定されても、図7に(b)として示されるように、3ページ目以降の印刷データの画像の印刷結果の判定が続けられる。5ページ目の印刷データの画像の印刷結果が「NG」であると判定されても、6ページ目の印刷データの画像の印刷結果の判定が行われる。この場合、6ページ目の印刷データの印刷が終了した時点で、未印刷の印刷データがないので、印刷再開指示の発生に応じた印刷再開後、不良画像である2ページ目および5ページ目の画像の印刷データは、再印刷データとして、この順でRAM33から読み出される。これにより、図8に(c)として示されるように、6ページ目の印刷データの画像が印刷されたラベルLに対して送り出し方向の上流に隣接するラベルLに不良画像と判定された2ページ目の印刷データの画像が再印刷され、そのラベルLよりも送り出し方向の上流に隣接するラベルLに不良画像である5ページ目の印刷データの画像が再印刷される。
【0069】
そして、5ページ目の印刷データの画像の再印刷後に、図8に(d)として示されるように、2ページ目の不良画像にVOID画像が重ねて印刷され、図9に(e)として示されるように、5ページ目の不良画像にVOID画像が重ねて印刷される。このとき、2ページ目の不良画像が印刷されたNGラベルL’に印刷されるVOID画像には、そのNGラベルL’から5枚後のラベルLに2ページ目の印刷データの画像が再印刷されることを表す「5枚後」の文字情報が含まれる。また、5ページ目の不良画像が印刷されたNGラベルL’に印刷されるVOID画像には、そのNGラベルL’から3枚後のラベルLに5ページ目の印刷データの画像が再印刷されることを表す「3枚後」の文字情報が含まれる。
【0070】
ラベルLに再印刷された画像の印刷結果が再び「NG」であった場合、その印刷結果が「NG」であると再び判定された不良画像にVOID画像が重ねて印刷され、不良画像が新たなラベルLに再々印刷されてもよい。
【0071】
印刷対象の全印刷データの画像がラベルLに印刷された後にVOID画像の印刷がまとめて行われる構成では、不良画像に対応する印刷データの画像の再印刷が複数回行われると、最初に印刷結果が「NG」であると判定された不良画像にVOID画像を印刷する際に、連続紙Pの引き戻し量が多くなり、画像の印刷されたラベルLがロールRまで引き戻されて、そのラベルLの印刷面が連続紙Pの裏面に重なって接触することにより汚れる可能性がある。とくに、インク付着領域が多い画像がラベルLに印刷されている場合、インクが乾いておらず、インクが連続紙Pの裏面で擦れて延びることにより、印刷面が汚れやすい。これを防止するため、VOID画像を印刷するために、連続紙Pが引き戻される際に、ヒータ22が駆動されて、ヒータ22により画像の印刷済みのラベルLが加熱されてもよい。また、VOID画像の印刷時に必ずヒータ22による加熱が行われるのではなく、VOID画像の印刷の際の連続紙Pの引き戻し量が多い場合、たとえば、不良画像に対応する印刷データの画像の再印刷回数が所定以上である場合に、ヒータ22による加熱が行われてもよい。
【0072】
VOID画像中に不良画像に対応する印刷データの画像が再印刷されるラベルLの位置を示す文字情報は、その認識が容易なように、不良画像が印刷されているラベルLにおける白地部分に重なるように印刷されることが好ましい。その場合、ラベルLに印刷された画像の印刷結果の判定のために、その画像がCISユニット23に読み取られたときに、画像データからラベルLの白地部分が検出されて、図10に示されるように、白地部分に文字情報が重なるように、文字情報の位置およびサイズが調整されるとよい。
【0073】
また、下地が白色でない場合など、不良画像が印刷されているラベルLに十分な白地部分がない場合には、下地の色と異なる色(たとえば、下地の色の補色となる色)で塗りつぶされた領域に文字情報を示す文字が着色されない切り抜き文字として印刷されてもよい。
【0074】
図5図6図8図9および図10の各図には、VOID画像が不良画像の全体と重なるように印刷されている例が示されているが、不良画像の一部と重なるようにVOID画像が印刷されてもよい。たとえば、不良画像中のバーコードが印刷されている部分など、特定の部分の読み取りを不能にするため、その特定の部分と重なるようにVOID画像が印刷されてもよい。
【0075】
印刷ヘッド21は、インクジェット記録方式により画像を印刷する構成に限らず、連続紙Pの印刷面に熱転写方式により画像を印刷する構成であってもよいし、電子写真方式により画像を印刷する構成であってもよい。
【0076】
また、CISユニット23およびCPU31の検査処理に関する機能と同様の機能を有する制御部(CPUを含む。)を備える画像検査装置がラベルプリンタ1に外付けされてもよい。また、本発明に係る画像検査装置の機能を有していないラベルプリンタに、オプションにより、CISユニット23およびCPU31の検査処理に関する機能が追加されてもよい。
【0077】
VOID画像の印刷は、印刷ヘッド21ではなく、ラベルプリンタ1に外付けされるVOID画像プリンタにより行われてもよい。すなわち、ラベルプリンタ1の排出口12から排出される連続紙PがVOID画像プリンタに受け入れられて、VOID画像プリンタに設けられた印刷ヘッドにより、不良画像が印刷されたラベルLにVOID画像が不良画像に重ねて印刷されてもよい。
【0078】
たとえば、前述の実施形態では、CPU31が各処理を実行するとした。しかしながら、ラベルプリンタ1に複数のCPUが設けられて、複数のCPUが協働して各処理を実行してもよい。
【0079】
その他、前述の構成には、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1:ラベルプリンタ
13:ロールホルダ
16,17:搬送ローラ
21:印刷ヘッド
23:CISユニット
31:CPU
L:ラベル
P:連続紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10