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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】スパークプラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/34 20060101AFI20241210BHJP
   H01T 13/20 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01T13/34
H01T13/20 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021068580
(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2022163570
(43)【公開日】2022-10-26
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】長谷 晋
(72)【発明者】
【氏名】高田 健一朗
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-045456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に軸孔(120)が形成される筒状の絶縁碍子(12)と、
前記絶縁碍子の先端部から突出するように前記軸孔に挿入されて保持される中心電極(13)と、
前記中心電極と所定の隙間を有して配置されて、前記中心電極への電圧の印加に基づき前記中心電極との間に火花放電を形成する接地電極(14)と、
前記軸孔の内部において前記中心電極の基端部の周囲に配置されるシール体(15)と、を備え、
前記軸孔は、
前記シール体が収容される第1孔部(20)と、
前記第1孔部に対して前記絶縁碍子の先端部側に配置されて、前記第1孔部よりも小さい内径を有する第2孔部(21)と、
前記第1孔部及び前記第2孔部の間に位置し、前記絶縁碍子の先端部に向かうほど内径が小さくなるように形成されるテーパ状の内壁面を有するテーパ孔部(22)と、を有し、
前記中心電極は、
前記第2孔部に挿入される本体部(30)と、
前記本体部の基端部に設けられて、前記本体部よりも大きい外径を有するとともに、前記第1孔部の内部に配置される鍔部(31)と、
前記本体部と前記鍔部との間に配置されて、前記軸孔の前記テーパ孔部の内壁面に対向するテーパ状の外壁面を有するテーパ部(32)と、を有し、
前記テーパ部には、前記本体部の外径よりも大きく、且つ前記鍔部の外径よりも小さい外径を有し、互いに外径の異なる複数の段差部(323,324)が形成されている
スパークプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載のスパークプラグがある。このスパークプラグは、筒状の絶縁碍子の内部に挿入される中心電極と、絶縁碍子の外周に設けられる筒状のハウジングと、ハウジングの下端面に固定される接地電極とを備えている。中心電極の基端部には、他の部分よりも大きい外径を有する鍔部が形成されている。この鍔部が、絶縁碍子の内周面に形成される段差面に接触することにより、絶縁碍子に対して中心電極が位置決めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4353080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパークプラグには、絶縁碍子の内部にシール体及び抵抗体が収容されているものがある。具体的には、絶縁碍子の内部には、中心電極の鍔部が配置されている部分から絶縁碍子の基端部に向かって第1シール体、抵抗体、第2シール体が順に積層して配置される。第2シール体には端子金具の先端部が圧入される。端子金具の基端部には、高電圧を印加する外部回路が接続される。
【0005】
このような構造を有するスパークプラグでは、その製造の際に、絶縁碍子の内部に中心電極を挿入した後、第1シール体の粉体を投入して加圧する工程、抵抗体の粉体を投入して加圧する工程、及び第2シール体の粉体を投入して加圧する工程が順に行われた後、端子金具の先端部を加熱しつつ第2シール体に圧入する工程が行われる。このような工程を経てスパークプラグが製造されるため、中心電極の鍔部には絶縁碍子の段差面に向かう方向、換言すればスパークプラグの先端に向かう方向の力が加わる。この力により絶縁碍子の段差面はスパークプラグの先端に向かう方向に引っ張られるため、絶縁碍子の段差面の周辺には応力が残留する。このような残留応力は絶縁碍子に割れ等の損傷を発生させる要因となるため、好ましくない。
【0006】
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、絶縁碍子を損傷し難くすることが可能なスパークプラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するスパークプラグは、内部に軸孔(120)が形成される筒状の絶縁碍子(12)と、絶縁碍子の先端部から突出するように軸孔に挿入されて保持される中心電極(13)と、中心電極と所定の隙間を有して配置されて、中心電極への電圧の印加に基づき中心電極との間に火花放電を形成する接地電極(14)と、軸孔の内部において中心電極の基端部の周囲に配置されるシール体(15)と、を備える。軸孔は、シール体が収容される第1孔部(20)と、第1孔部に対して絶縁碍子の先端部側に配置されて、第1孔部よりも小さい内径を有する第2孔部(21)と、第1孔部及び第2孔部の間に位置し、絶縁碍子の先端部に向かうほど内径が小さくなるように形成されるテーパ状の内壁面を有するテーパ孔部(22)と、を有する。中心電極は、第2孔部に挿入される本体部(30)と、本体部の基端部に設けられて、本体部よりも大きい外径を有するとともに、第1孔部の内部に配置される鍔部(31)と、本体部と鍔部との間に配置されて、軸孔のテーパ孔部の内壁面に対向するテーパ状の外壁面を有するテーパ部(32)と、を有する。テーパ部には、本体部の外径よりも大きく、且つ鍔部の外径よりも小さい外径を有する段差部(323,324)が形成されている。
【0008】
この構成のように中心電極のテーパ部に段差部を形成すれば、テーパ部に、テーパ孔部の内周面に接触する接触部位と、テーパ孔部の内周面から離間して配置される離間部位とを設けることができる。この場合、中心電極のテーパ部の離間部位と絶縁碍子のテーパ孔部の内壁面との間にシール体が挟み込まれて配置されるため、そのような構造を有していないスパークプラグと比較すると、中心電極のテーパ部から絶縁碍子のテーパ孔部の内壁面に加わる力を低減することができる。結果的に、絶縁碍子のテーパ孔部の内壁面に作用する応力を低減することができるため、絶縁碍子を損傷し難くすることができる。
【0009】
なお、上記手段、特許請求の範囲に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明の効果】
【0010】
本開示のスパークプラグによれば、絶縁碍子を損傷し難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態のスパークプラグの破断断面構造を示す断面図である。
図2図2は、実施形態のスパークプラグにおける中心電極の基端部周辺の断面構造を示す断面図である。
図3図3は、実施形態のスパークプラグの製造工程の一部を示す断面図である。
図4図4は、参考例のスパークプラグの製造工程の一部を示す断面図である。
図5図5は、他の実施形態のスパークプラグにおける中心電極の基端部周辺の断面構造を示す断面図である。
図6図6は、他の実施形態のスパークプラグにおける中心電極の基端部周辺の断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、スパークプラグの一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
はじめに、図1に示される本実施形態のスパークプラグ10の概略構成について説明する。このスパークプラグ10は例えば内燃機関のシリンダヘッドに設けられる。スパークプラグ10は、電圧の印加に基づき火花放電を形成することにより内燃機関のシリンダ内の混合気を着火する。スパークプラグ10は、ハウジング11と、絶縁碍子12と、中心電極13と、接地電極14とを備えている。
【0013】
ハウジング11はスパークプラグ10の中心軸m10を中心に円筒状に形成されている。ハウジング11は例えば炭素鋼等の金属材料により形成されている。ハウジング11の内部には絶縁碍子12の下端部が同軸上に挿入されている。
絶縁碍子12は中心軸m10を中心に円筒状に形成されている。絶縁碍子12はアルミナ等の絶縁材料により形成されている。絶縁碍子12の外周部分にはハウジング11が一体的に組み付けられている。絶縁碍子12の内部には軸孔120が形成されている。軸孔120は中心軸m10に沿って絶縁碍子12の先端部121から基端部122を貫通するように形成されている。軸孔120には、先端部121の側から中心電極13、第1シール体15、抵抗体16、第2シール体17、及び端子金具18が挿入されている。
【0014】
中心電極13は電極母材130と電極チップ131とを有している。電極母材130は中心軸m10を中心に円柱状に形成されている。電極母材130は、耐熱性に優れるニッケル(Ni)合金等により形成されている。具体的には、電極母材130の内材は銅により形成され、その外材はニッケル合金により形成されている。電極チップ131は電極母材130の先端部に接合されている。電極チップ131は、中心軸m10を中心に円柱状に形成されている。電極チップ131は、高融点で耐消耗性に優れたイリジウム(Ir)を主材料として、イリジウムの高温揮発性を抑制するためにロジウム(Rh)を含むイリジウム合金等により形成されている。
【0015】
第1シール体15は中心電極13と抵抗体16との間に配置されている。第1シール体15は中心電極13の基端部の周囲に配置されている。第1シール体15は、ガラスに銅等の金属粉末を混入させることで形成される導電性ガラス粉末の焼結体からなる。第1シール体15は軸孔120の内壁面と密着することにより軸孔120内の気密性を確保している。第1シール体15の先端部は中心電極13に接触しており、第1シール体15の基端部は抵抗体16に接触している。中心電極13及び抵抗体16は第1シール体15を介して電気的に接続されている。
【0016】
抵抗体16は第1シール体15と第2シール体17との間に配置されている。抵抗体16は、ガラスに炭素(カーボン)等の抵抗材粉末を混入させた抵抗体組成粉末を焼結させた焼結体からなる。抵抗体16は、スパークプラグ10の火花放電に起因して生じる電波ノイズがスパークプラグ10の外部に伝達することを抑制する。中心軸m10に沿った方向における抵抗体16の抵抗率は第1シール体15及び第2シール体17のそれぞれの抵抗率よりも大きい。
【0017】
第2シール体17は抵抗体16と端子金具18との間に配置されている。第2シール体17も、第1シール体15と同様に導電性ガラス粉末の焼結体からなり、軸孔120の内壁面と密着することにより軸孔120の気密性を確保している。第2シール体17の先端部は抵抗体16に接触しており、第2シール体17の基端部は端子金具18に接触している。端子金具18及び抵抗体16は第2シール体17を介して電気的に接続されている。
【0018】
端子金具18は中心軸m10を中心に略円柱状に形成されている。端子金具18は例えば鋼材により構成されている。端子金具18の基端部には端子部180が形成されている。端子金具18は、その端子部180が絶縁碍子12の基端部から突出するように軸孔120に挿入されている。
【0019】
接地電極14は電極母材140と電極チップ141とを有している。電極母材140はニッケル合金等により形成されている。電極母材140は、ハウジング11の下端面に固定されるとともに、その下端面から中心電極13の電極チップ131に対向する位置まで延びるように形成されている。電極チップ141は電極母材140の先端部に接合されている。電極チップ141は、イリジウム合金や白金合金等の貴金属合金、例えばPt-20Ir材等により形成されている。電極チップ141は、所定の隙間19を有して中心電極13の電極チップ131に対向するように配置されている。以下では、中心電極13の電極チップ131と接地電極14の電極チップ141との間に形成される隙間19を「火花ギャップ19」と称する。
【0020】
このスパークプラグ10では、高電圧を印加する外部回路が端子金具18の端子部180に接続される。外部回路により端子金具18の端子部180に高電圧が印加されると、中心電極13の電極チップ131と接地電極14の電極チップ141との間に火花放電が形成される。この火花放電により内燃機関の気筒内の混合気が着火して火炎が形成されることにより混合気が燃焼する。
【0021】
次に、中心電極13の基端部と絶縁碍子12との接触部分の構造について詳しく説明する。
図2に示されるように、絶縁碍子12の軸孔120は、第1孔部20と、第2孔部21と、テーパ孔部22とを有している。第1孔部20は、軸孔120において第1シール体15が収容されている部分である。第2孔部21は、第1孔部20に対して絶縁碍子12の先端部121側に配置されている。第2孔部21は、第1孔部20よりも小さい内径を有している。テーパ孔部22は、軸孔120において第1孔部20と第2孔部21との間に配置されている部分である。テーパ孔部22は、絶縁碍子12の先端部121に向かうほど内径が小さくなるように形成されるテーパ状の内壁面を有している。
【0022】
中心電極13の電極母材130は、本体部30と、鍔部31と、テーパ部32とを有している。
本体部30は、電極母材130において第2孔部21に挿入されている部分である。
【0023】
鍔部31は、電極母材130において本体部30の基端部に設けられている部分である。鍔部31は、本体部30よりも大きい外径を有しており、第1孔部20の内部に配置されている。鍔部31の外壁面と第1孔部20の内壁面との間には第1シール体15が配置されている。
【0024】
テーパ部32は、電極母材130において本体部30と鍔部31との間に配置されている部分である。テーパ部32は、軸孔120のテーパ孔部22の内壁面に対向するテーパ状の外壁面を有している。図中に拡大して示されるように、テーパ部32には、本体部30の外径よりも大きく、且つ鍔部31の外径よりも小さい段差部323が形成されている。以下では、テーパ部32において、段差部323よりも本体部30側に配置されている部分を接触部位321と称し、段差部323よりも鍔部31側に配置されている部分を離間部位322と称する。離間部位322とテーパ孔部22の内壁面との間には第1シール体15が挟み込まれるように配置されている。テーパ部32において接触部位321と離間部位322との間に設けられる角部はR形状に形成されている。同様に、テーパ部32の接触部位321と本体部30との間に設けられる角部、及びテーパ部32の離間部位322と鍔部31との間に設けられる角部もR形状に形成されている。
【0025】
次に、本実施形態のスパークプラグ10の製造工程の一部、具体的には絶縁碍子12の軸孔120に中心電極13及び第1シール体15を組み付ける工程について説明する。
絶縁碍子12に中心電極13及び第1シール体15を組み付ける際には、まず、絶縁碍子12の基端部122の開口部分から軸孔120の内部に中心電極13を挿入する。これにより、中心電極13のテーパ部32の接触部位321が絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に接触するとともに、その状態で中心電極13が絶縁碍子12の軸孔120の内部で保持される。
【0026】
続いて、図3に示されるように、第1シール体15に対応する粉体を絶縁碍子12の基端部122の開口部分から軸孔120の内部に投入した後、第1シール体15に対応する粉体を、加圧ピン50を用いて加圧する。
このように加圧ピン50により第1シール体15が加圧されることにより、中心電極13の鍔部31には絶縁碍子12の先端部121に向かう方向の力が加わる。この力により、中心電極13のテーパ部32が絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に押し付けられるため、絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に応力が発生する。このとき、本実施形態のスパークプラグ10では、中心電極13のテーパ部32が段付き状に形成されているため、図4に示されるように中心電極13のテーパ部32が段付き状に形成されていない参考例のスパークプラグ100と比較すると、絶縁碍子12に加わる応力を軽減することができる。
【0027】
具体的には、図4に示される参考例のスパークプラグ100のように中心電極13のテーパ部32が段付き状に形成されていない場合、中心電極13のテーパ部32の外壁面がそのまま絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に接触する。この場合、加圧ピン50により第1シール体15を加圧した際に中心電極13の鍔部31に加わる力により、中心電極13のテーパ部32から絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に図中の力F10が加わる。これにより、絶縁碍子12のテーパ孔部22と第1孔部20との境界に形成される角部23を支点としてテーパ孔部22の内壁面が下方に向かって引っ張られるため、テーパ孔部22の内壁面において角部23の周辺に位置する部位に引っ張り応力F21が発生するとともに、第1孔部20において角部23の周辺に位置する部位に引っ張り応力F22が発生する。このような引っ張り応力F21,F22は絶縁碍子12に損傷を生じさせる要因となる。
【0028】
この点、本実施形態のスパークプラグ10では、テーパ部32に接触部位321及び離間部位322が形成されている。そのため、中心電極13のテーパ部32から絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に加わる力F10は、テーパ部32の接触部位321からテーパ孔部22の内壁面に加わる力F11と、テーパ部32の離間部位322から第1シール体15に加わる力F12とに分力される。すなわち、「F10=F11+F12」となる。
【0029】
力F12により第1シール体15に印加される仕事量は、第1シール体15を構成する粒子同士の摩擦による熱や粒子の塑性変形等を生じさせるエネルギとして消費される。このエネルギの消費の分だけ、力F12に基づいて絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に実際に加わる力は減少する。すなわち、係数αを「α<1」と定義すると、中心電極13のテーパ部32から絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に加わる力は「F11+α×F12」となり、上記の力F10よりも低下する。これにより、角部23を起点に第2孔部21及びテーパ孔部22のそれぞれの内周面に発生する引っ張り応力を低減することができるため、絶縁碍子12のロバスト性を向上させることができる。
【0030】
このように、本実施形態のスパークプラグ10では、中心電極13のテーパ部32に、本体部30の外径よりも大きく、且つ鍔部31の外径よりも小さい外径を有する段差部323が形成されている。これにより、テーパ部32に、テーパ孔部22の内壁面に接触する接触部位321と、テーパ孔部22の内壁面から離間して配置される離間部位322とを設けることができる。この構成により、中心電極13のテーパ部32の離間部位322とテーパ孔部22の内壁面との間に第1シール体15が挟み込まれて配置されるため、そのような構造を有していない参考例のスパークプラグ100と比較すると、中心電極13のテーパ部32から絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に加わる力を低減することができる。結果的に、中心電極13から絶縁碍子12のテーパ孔部22の内壁面に作用する応力を低減することができるため、絶縁碍子12を損傷し難くすることができる。
【0031】
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・中心電極13のテーパ部32の形状は適宜変更可能である。例えばテーパ部32は、図5に示されるように外径の異なる複数の段差部323,324を有する多段状に形成されていてもよい。
【0032】
・中心電極13のテーパ部32を多段状に形成するという方法に代えて、例えば図6に示されるように、中心電極13の鍔部31に、その外径を部分的に大きくした拡径部310を形成してもよい。拡径部310の外周面は湾曲している。このような構成であっても、図2に示されるスパークプラグ10と同一又は類似の作用及び効果を奏することが可能である。
【0033】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0034】
10:スパークプラグ
12:絶縁碍子
13:中心電極
14:接地電極
15:シール体
20:第1孔部
21:第2孔部
22:テーパ孔部
30:本体部
31:鍔部
32:テーパ部
120:軸孔
323,324:段差部
図1
図2
図3
図4
図5
図6