IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特許7600841切換機構、流路切換機構及び液体吐出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】切換機構、流路切換機構及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/175 503
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021070182
(22)【出願日】2021-04-19
(65)【公開番号】P2022165013
(43)【公開日】2022-10-31
【審査請求日】2024-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】小阿瀬 崇
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-200774(JP,A)
【文献】特開2007-160793(JP,A)
【文献】特開2009-281366(JP,A)
【文献】特開2009-034847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0119794(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から伝達される駆動力を受けて正転と逆転とを行う第1回転体と、
前記第1回転体の回転中心を中心に回転し、外周において、複数の凸部が回転方向に間隔をあけて設けられる第2回転体と、を備え、
前記第1回転体は、前記第2回転体の前記外周に沿って変位可能な係合部を含み、
前記第1回転体が正転する場合には、前記係合部が前記凸部に係合することで前記第2回転体が前記第1回転体とともに正転され、前記第1回転体が逆転する場合には、前記係合部が前記第2回転体の前記外周に沿って移動することで前記第2回転体の逆転が抑制されるように構成され、
前記駆動源が前記第1回転体に正転と逆転とを順に行う正逆転動作を実行させることで、前記第2回転体の回転位置を所定の回転位置に切り換える切換機構であって、
前記間隔のうち少なくとも1つの第1間隔は、他の間隔よりも大きく形成され、
前記第1間隔を構成する2つの凸部が前記回転中心に対して形成する中心角を第1角度、前記他の間隔を構成する2つの凸部が前記回転中心に対して形成する中心角のうち最大の角度を第2角度としたとき、
前記駆動源は、前記第1角度よりも小さく前記第2角度以上の回転角度で、前記第1回転体に前記正逆転動作を繰り返して実行させることで、前記係合部を前記第1間隔内に位置させることを特徴とする切換機構。
【請求項2】
前記駆動源は、前記凸部の数よりも1少ない数以上の繰り返し回数で、前記第1回転体に前記正逆転動作を繰り返して実行させることで、前記係合部を前記第1間隔内に位置させることを特徴とする請求項1に記載の切換機構。
【請求項3】
前記係合部が前記第1間隔内に位置するときに、前記駆動源は、前記第1角度以上の所定の回転角度で、前記第1回転体に前記正逆転動作を実行させることで、前記第2回転体の回転位置を所定の回転位置に切り換えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切換機構。
【請求項4】
前記第1回転体は、前記係合部を前記第2回転体の外周に向けて付勢する第1付勢部材を有することを特徴とする請求項1から請求項3のうち何れか一項に記載の切換機構。
【請求項5】
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の切換機構と、
第1流路および該第1流路と異なる2つ以上の流路を有し、回転弁が回転することで、前記異なる2つ以上の流路のうち前記第1流路と連通する流路を切換可能な前記回転弁と、を備え、
前記回転弁は前記第2回転体とともに回転可能であるとともに、前記第2回転体の複数の前記凸部のうち所定の凸部が所定の位置に位置するときに、前記第1流路と、前記異なる2つ以上の流路のうち何れかと、が連通することを特徴とする流路切換機構。
【請求項6】
一端が前記第1流路と連通するポンプと、
前記駆動源から伝達される前記駆動力を受けて前記ポンプを駆動する駆動回転体と、を備え、
前記第1回転体は、前記駆動回転体を介して前記駆動源から伝達される前記駆動力を受けることを特徴とする請求項5に記載の流路切換機構。
【請求項7】
前記駆動回転体は第2係合部を有し、
前記ポンプは、回転方向において前記第2係合部と係合可能な被係合部を有し、
前記第2係合部が前記被係合部に係合した状態で前記駆動回転体が回転することにより前記ポンプが駆動され、
前記ポンプが駆動される間は、前記駆動回転体と前記第1回転体との接続が切り離されることを特徴とする請求項6に記載の流路切換機構。
【請求項8】
前記第2係合部が前記被係合部に係合しない領域で前記駆動回転体が正転と逆転とを行うことにより、前記第1流路と連通する流路が切り換えられることを特徴とする請求項7に記載の流路切換機構。
【請求項9】
ノズルから液体を吐出する液体吐出部と、
液体を収容する液体収容体から前記液体吐出部に液体を供給する供給流路と、
前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、
一端が前記供給流路の途中に接続される分岐流路と、
一端が前記キャップに接続される排出流路と、
駆動源と、
請求項6から請求項8のうち何れか一項に記載の流路切換機構と、を備え、
前記ポンプは吸引ポンプであり、
前記分岐流路の他端は、前記第1流路と異なる2つ以上の流路のうちの第2流路に接続され、
前記排出流路の他端は、前記第1流路と異なる2つ以上の流路のうちの第3流路に接続されることを特徴とする液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転体の回転位置を切り換える切換機構、該切換機構を備える流路切換機構、及び該流路切換機構を備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された画像形成装置は、回転位置に応じて導管を選択的に吸引ポンプに接続する回転弁の切換機構を備える。切換機構は、回転弁の回転軸に一体的に設けられるラチェット歯車と、その回転軸に回転自在に軸支されるアーム部材と、アーム部材に回転可能に軸支されるラチェット爪と、を有する。アーム部材が反時計方向に回転するときに、ラチェット爪がラチェット歯車と噛み合うことで、回転弁がアーム部材と共に反時計方向に回転するため、吸引ポンプに接続される導管が切り換えられる。
【0003】
特許文献1に記載された画像形成装置は、さらに、ラチェット歯車に設けられた位置指示部材と、位置指示部材を検出するための位置検出器と、を有する。そして、位置検出器が回転弁の回転位置を検出する。アーム部材は第1回転体の一例であり、ラチェット歯車は第2回転体の一例であり、ラチェット爪は係合部の一例であり、画像形成装置は液体吐出装置の一例である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-200774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された切換機構においては、意図しない事象によって回転弁の回転位置が不明になったときのために、液体吐出装置が、回転弁の回転位置を検出する位置検出器を有する。そのため、液体吐出装置が複雑化してしまうという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する切換機構は、駆動源から伝達される駆動力を受けて正転と逆転とを行う第1回転体と、前記第1回転体の回転中心を中心に回転し、外周において、複数の凸部が回転方向に間隔をあけて設けられる第2回転体と、を備え、前記第1回転体は、前記第2回転体の前記外周に沿って変位可能な係合部を含み、前記第1回転体が正転する場合には、前記係合部が前記凸部に係合することで前記第2回転体が前記第1回転体とともに正転され、前記第1回転体が逆転する場合には、前記係合部が前記第2回転体の前記外周に沿って移動することで前記第2回転体の逆転が抑制されるように構成され、前記駆動源が前記第1回転体に正転と逆転とを順に行う正逆転動作を実行させることで、前記第2回転体の回転位置を所定の回転位置に切り換える切換機構であって、前記間隔のうち少なくとも1つの第1間隔は、他の間隔よりも大きく形成され、前記第1間隔を構成する2つの凸部が前記回転中心に対して形成する中心角を第1角度、前記他の間隔を構成する2つの凸部が前記回転中心に対して形成する中心角のうち最大の角度を第2角度としたとき、前記駆動源は、前記第1角度よりも小さく前記第2角度以上の回転角度で、前記第1回転体に前記正逆転動作を繰り返して実行させることで、前記係合部を前記第1間隔内に位置させる。
【0007】
上記課題を解決する流路切換機構は、上記切換機構と、第1流路および該第1流路と異なる2つ以上の流路を有し、回転弁が回転することで、前記異なる2つ以上の流路のうち
前記第1流路と連通する流路を切換可能な前記回転弁と、を備え、前記回転弁は前記第2回転体とともに回転可能であるとともに、前記第2回転体の複数の前記凸部のうち所定の凸部が所定の位置に位置するときに、前記第1流路と、前記異なる2つ以上の流路のうち何れかと、が連通する。
【0008】
上記課題を解決する液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出する液体吐出部と、液体を収容する液体収容体から前記液体吐出部に液体を供給する供給流路と、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、一端が前記供給流路の途中に接続される分岐流路と、一端が前記キャップに接続される排出流路と、駆動源と、上記流路切換機構と、を備え、前記ポンプは吸引ポンプであり、前記分岐流路の他端は、前記第1流路と異なる2つ以上の流路のうちの第2流路に接続され、前記排出流路の他端は、前記第1流路と異なる2つ以上の流路のうちの第3流路に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1~第2実施形態における液体吐出装置を備える複合機を示す斜視図。
図2】流路切換機構を備える液体吐出装置を示す模式側断面図。
図3】第1実施形態における流路切換機構の構成を示す斜視図。
図4】第1実施形態における流路切換機構の構成を示す分解斜視図。
図5】切換機構の構成を示す正面図。
図6】第1回転体が第2回転角度で正転したときの状態を示す正面図。
図7】第1回転体が第2回転角度で逆転したときの状態を示す正面図。
図8】第1回転体が第2回転角度で逆転した後の状態を示す正面図。
図9】第1回転体が第1回転角度で正転したときの状態を示す正面図。
図10】第1回転体が第1回転角度で逆転したときの状態を示す正面図。
図11】係合部が第1間隔内に位置する状態を示す正面図。
図12】係合部が第2間隔内に位置する状態を示す正面図。
図13】吸引装置の構成を示す斜視図。
図14】駆動歯車と第1歯車とを示す正面図。
図15】駆動歯車と第2歯車とを示す正面図。
図16】駆動歯車と第1回転体を示す正面図。
図17】第2歯車が第1回転体に係止される状態を示す正面図。
図18】第2歯車が第1回転体に係止される状態を示す正面図。
図19】遅延伝達機構の構成を示す正面図。
図20】第1歯車と第2歯車とが回転する状態を示す正面図。
図21】駆動歯車と第2歯車とが噛み合う状態を示す正面図。
図22】駆動歯車と第1回転体とが噛み合う状態を示す正面図。
図23】駆動歯車と第1回転体との噛み合いが外れた状態を示す正面図。
図24】第2歯車との噛み合いが外れた駆動歯車が回転する状態を示す正面図。
図25】流路切換動作が開始される状態を示す正面図。
図26】流路切換動作において第1回転体が正転したときの状態を示す正面図。
図27】流路切換動作において第1回転体が逆転したときの状態を示す正面図。
図28】ポンプ吸引動作を示す正面図。
図29】第1回転体がポンプレリース動作位置に移動した状態を示す正面図。
図30】ポンプレリース動作を示す正面図。
図31】ポンプレリース動作位置から動作開始位置に戻る状態を示す正面図。
図32】第2実施形態における流路切換機構の構成を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、切換機構、流路切換機構及び液体吐出装置の第1実施形態および第2実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態の液体吐出装置は、用紙などの媒体に
対してインク等の液体を吐出することにより媒体に文字や画像等を印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0011】
(第1実施形態)
<複合機の構成について>
図1に示すように、複合機11は、液体吐出装置12と、液体吐出装置12上に配置される画像読取装置13とを備える。複合機11は、画像読取装置13が液体吐出装置12の上側を覆う状態にあり、全体として略直方体状を呈する。
【0012】
図1では、複合機11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、重力の方向に対して垂直な水平面に沿う方向をX軸及びY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに交差する。なお、本実施形態においては、X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、X軸に沿う方向を走査方向X、Y軸に沿う方向を搬送方向Y、Z軸に沿う方向を鉛直方向Zとする。
【0013】
液体吐出装置12の前面には操作パネル17が設けられる。操作パネル17は、複合機11の各種の操作を行うためのボタンなどの操作部15と、液体吐出装置12及び複合機11の情報などを表示する表示部16と、を有する。さらに、操作パネル17の右側には、少なくとも1つの液体収容体18を保持する保持部19が設けられる。保持部19は筐体20の一部を構成し、その内部に少なくとも1つの液体収容体18を収容する。
【0014】
<液体吐出装置の構成について>
図2に示すように、液体吐出装置12は、ノズル31から液体を吐出する液体吐出部30と、液体貯留部50と、気泡排出機構BSと、走査方向Xに往復移動可能なキャリッジ33と、を備える。キャリッジ33は、液体吐出部30と液体貯留部50と気泡排出機構BSとを搭載する。液体貯留部50は、液体収容体18から液体吐出部30に供給される液体を貯留可能な貯留室51を有する。気泡排出機構BSは、液体貯留部50の貯留室51の上部の空気を排出可能に構成される。
【0015】
液体吐出装置12は、液体を収容する液体収容体18から液体吐出部30へ液体を供給する液体供給装置26を備える。液体供給装置26は、液体収容体18から液体吐出部30に液体を供給する供給流路27と、供給流路27の途中に設けられる液体貯留部50と、で構成される。供給流路27は、液体貯留部50よりも上流側の部分である第1供給路27aと、液体貯留部50よりも下流側の部分である第2供給路27bと、を含む。第2供給路27bはキャリッジ33上に設けられる。液体貯留部50の液体が、第2供給路27bによって液体吐出部30に送られる。
【0016】
液体吐出装置12は、液体吐出部30をメンテナンスするメンテナンス装置40を備える。メンテナンス装置40は、液体吐出部30に対して相対移動可能に設けられたキャップ41と、キャップ41に接続された排出流路42とを備える。キャップ41は、液体吐出部30よりも下方に位置する。キャップ41は、メンテナンスのために液体吐出部30のノズル31から吐出または排出される液体を受容可能である。
【0017】
キャップ41は、液体吐出部30から離間した退避位置と、液体吐出部30のノズル31が開口する面であるノズル面30aに接触するキャッピング位置と、の間で移動可能に構成される。キャップ41は、キャッピング位置にあるときにノズル面30aとの間にノズル31が開口する閉空間を形成する。すなわち、キャップ41は、ノズル31が開口する閉空間を形成可能である。
【0018】
メンテナンス装置40は、吸引ポンプとしてのポンプ45を備える。液体吐出装置12
は、排出回収流路46と、排出回収流路46から回収された廃液を収容する廃液収容部47と、排出回収流路46に接続する流路を選択的に切り換える流路切換機構44と、ポンプ45および流路切換機構44を駆動する駆動源と、を備える。排出回収流路46の上流端がポンプ45の他端45bと接続されることで、排出回収流路46はポンプ45と連通する。排出回収流路46の下流端が廃液収容部47と接続されることで、排出回収流路46は廃液収容部47と連通する。ポンプ45の一端45aがチューブ43を通じて流路切換機構44と接続されることで、ポンプ45は流路切換機構44と連通する。つまり、廃液収容部47と流路切換機構44とが連通する。
【0019】
流路切換機構44とキャップ41との間は排出流路42を通じて接続される。排出流路42は、一端42aがキャップ41に接続される。また、メンテナンス装置40は、供給流路27から分岐する分岐流路96を有する。流路切換機構44と気泡排出機構BSとの間は、分岐流路96を通じて接続される。分岐流路96は、一端96aが供給流路27の途中に接続される。排出流路42の他端42bと、分岐流路96の他端96bとが、流路切換機構44に接続される。流路切換機構44は、排出回収流路46が排出流路42に接続する状態と、排出回収流路46が分岐流路96に接続する状態と、排出回収流路46がどちらの流路とも接続しない状態と、を選択的に切り換える。液体吐出装置12は、排出回収流路46に接続される流路に対して、負圧を作用させる吸引装置97を備える。吸引装置97は、メンテナンス装置40のポンプ45をその負圧源として流用する。
【0020】
排出回収流路46が排出流路42に接続されたときは、液体吐出部30がキャッピングされた状態で、メンテナンス装置40がポンプ45を駆動することで、キャップ41とノズル面30aとの間に形成された閉空間に負圧が導入される。これにより、メンテナンス装置40は、液体吐出部30内の液体中にある気泡等の異物を液体と共にノズル31から排出させて廃液収容部47に送る。
【0021】
排出回収流路46が分岐流路96に接続されたときは、メンテナンス装置40がポンプ45を駆動することで、気泡排出機構BSを介して液体貯留部50内の貯留室51の上部に負圧が導入される。貯留室51の上部に気泡があれば、その気泡は導入された負圧により分岐流路96を通じて吸引されることで、貯留室51から除去される。そして、気泡を含んだ液体が廃液収容部47に送られる。
【0022】
流路切換機構44は、制御部100によって、不図示の回転弁の回転位置の切換動作が制御される。その回転弁は、ポンプ45からの負圧が気泡排出機構BSを介して液体貯留部50内の貯留室51に導入される切換位置と、ポンプ45からの負圧がキャップ41に導入される切換位置と、を含んだ切換位置に切換可能に構成される。流路切換機構44の詳細については後述する。
【0023】
<流路切換機構の構成について>
図3に示すように、流路切換機構44は、回転弁102を備える。回転弁102は固定部分であるハウジング101を含んで構成される。ハウジング101は第1流路101bおよび第1流路101bと異なる2つ以上の流路を有する。すなわち、回転弁102は第1流路101bおよび第1流路101bと異なる2つ以上の流路を有する。図4に示す外周面102aが、図4に示す内周面101aに対して回転可能に嵌合することで、回転弁102の回転部分が、ハウジング101に対して回転可能に構成される。なお、回転弁102の回転部分が、固定部分であるハウジング101に対して回転することを、回転弁102が回転するという。本実施形態においては、回転弁102は、第1流路101b、第2流路101c、第3流路101dを有する。すなわち、回転弁102は、第1流路101bおよび第1流路101bと異なる2つの流路101c,101dを有する。
【0024】
流路切換機構44は、回転弁102が回転中心RC1を中心に回転することで、第1流路101bと異なる2つ以上の流路のうち第1流路101bと連通する流路を切換可能に構成される。本実施形態においては、流路切換機構44は、第2流路101cおよび第3流路101dのうち、第1流路101bと連通する流路を切換可能に構成される。
【0025】
第1流路101bと図2に示すポンプ45の一端45aとが図2に示すチューブ43によって接続されることにより、ポンプ45の一端45aが第1流路101bと連通する。そして、第1流路101bと異なる2つ以上の流路のうちの第2流路101cには、図2に示す分岐流路96の他端96bが接続され、第1流路101bと異なる2つ以上の流路のうちの第3流路101dには、図2に示す排出流路42の他端42bが接続される。
【0026】
図4に示すように、流路切換機構44は、切換機構120を有する。切換機構120は、第1回転体106を備える。第1回転体106は、図2に示す制御部100によって回転角度が制御される駆動源114から伝達される駆動力を受けて正転と逆転とを行う。なお、駆動源114から第1回転体106への駆動力の伝達方法については後述する。さらに、切換機構120は、第2回転体103を備える。第2回転体103は、第1回転体106の回転中心RC1を中心に回転し、複数の凸部が外周103eに回転方向に間隔をあけて設けられる。本実施形態においては、3つの凸部103b,103c,103dが、第2回転体103の外周103eに、回転方向に間隔をあけて設けられる。切換機構120は、第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換える。なお、切換機構120の切換動作については後述する。
【0027】
第1回転体106の内周面106aと、第2回転体103の内周面103aが不図示の中心軸に対して回転可能に嵌合する。そのため、第1回転体106と第2回転体103とは、同じ回転中心RC1を中心として、別々に回転することが可能である。
【0028】
第1回転体106は係合部材105を備える。係合部材105は孔部105aを有し、第1回転体106は軸部106bを有する。孔部105aが軸部106bに対して回転可能に嵌合することで、係合部材105が軸部106bを中心として回動可能に構成される。さらに、係合部材105は係合部105cを有する。そして、第1回転体106は第1付勢部材104を有する。第1付勢部材104は、係合部105cを第2回転体103の外周103eに向けて付勢する。つまり、第1回転体106は、第2回転体103の外周103eに沿って変位可能な係合部105cを含む。
【0029】
図4に示すように、係合部105cは、側面105fと斜面105gとを有する。また、凸部103b,103c,103dは、それぞれが側面103fと斜面103gとを有する。第1回転体106が正転方向W1に正転すると、側面105fと側面103fとが図3に示すように当接する。第1回転体106が正転方向W1にさらに正転すると、側面103fの垂直方向に押圧力が作用し、側面105fの垂直方向に反力が作用する。側面105fと側面103fとは、何れも回転中心RC1に対して半径方向に延びる面であるため、その反力は係合部材105を回転中心RC1から離れる方向D1に回動させる成分を含まない。そのため、側面105fと側面103fとが当接したまま、押圧力によって側面105fが側面103fを押圧することで、第1回転体106が第2回転体103を回転させる。側面105fと側面103fとが当接した状態を、係合部105cが凸部103b,103c,103dに係合するという。すなわち、第1回転体106が正転方向W1に正転する場合には、係合部105cが凸部103b,103c,103dに係合することで第2回転体103が第1回転体106とともに正転方向W1に正転される。なお、連続的および断続的に続く正転方向W1の回転を正転という。
【0030】
図4に示すように、第1回転体106が逆転方向W2に逆転すると、斜面105gと斜
面103gとが当接する。第1回転体106が逆転方向W2にさらに逆転すると、斜面103gの垂直方向に押圧力が作用し、斜面105gの垂直方向に反力が作用する。側面105fと側面103fとは、何れも回転中心RC1から半径方向に延びる面に対して角度を有した面であるため、その反力は係合部材105を回転中心RC1から離れる方向D1に回動させる成分を含む。そのため、第1回転体106が第2回転体103を回転させることなく、係合部105cが斜面103gに沿って回転中心RC1から離れる方向D1に変位する。第1回転体106が逆転方向W2にさらに逆転すると、係合部105cが側面103fに沿って回転中心RC1に近づく方向D2に変位する。すなわち、第1回転体106が逆転方向W2に逆転する場合には、係合部105cが第2回転体103の外周103eに沿って移動することで第2回転体103の逆転方向W2の逆転が抑制される。なお、連続的および断続的に続く逆転方向W2の回転を逆転という。
【0031】
回転弁102は、第2回転体103とともに回転可能である。そのため、係合部105cが第2回転体103の外周103eに沿って移動するときに、回転弁102がハウジング101に対して回転しないように、流路切換機構44が構成される。より詳しくは、回転弁102とハウジング101との回転トルクが、係合部105cが斜面103g側から凸部103b,103c,103dを乗り越えるときに第2回転体103にかかる回転トルクよりも大きくなるように、それぞれの回転トルクが設定される。
【0032】
本実施形態においては、第1付勢部材104は、その両端に引掛部104a,104bを有する引っ張りばねである。引掛部104aが第1回転体106の被引掛部106cに引っ掛けられ、引掛部104bが係合部材105の被引掛部105bに引っ掛けられる。これにより、係合部105cが第2回転体103の外周103eに向けて付勢される。なお、圧縮ばねによって、係合部材105が第2回転体103の外周103eに向けて付勢されてもよい。
【0033】
係合部105cが第2回転体103の複数の凸部103b,103c,103dのうち所定の凸部に係合した状態で第2回転体103とともに回転弁102が回転する。これにより、所定の凸部が所定の位置に位置するときに、第1流路101bと、第1流路101bと異なる2つ以上の流路のうち何れかと、が連通する。そのため、回転弁102の切換位置に対応した位置に、凸部103b,103c,103dが設けられる。
【0034】
本実施形態においては、係合部105cが凸部103bに係合した状態で第2回転体103とともに回転弁102が回転することで、凸部103bが図4に示す第1流路101bの位置に位置するときに、第1流路101bと第2流路101cとが連通する。より詳しくは、第1流路101bが外周面102aに位置する溝端部102cと連通し、第2流路101cが外周面102aに位置する溝端部102dと連通することで、第1流路101bと第2流路101cとが回転弁102の溝102bを通じて連通する。また、係合部105cが凸部103cに係合した状態で第2回転体103とともに回転弁102がさらに回転することで、凸部103cが図4に示す第1流路101bの位置に位置するときに、第1流路101bと第3流路101dとが連通する。
【0035】
また、係合部105cが凸部103dに係合した状態で第2回転体103とともに回転弁102がさらに回転することで、凸部103dが図4に示す第1流路101bの位置に位置するときに、第1流路101bは何れの流路とも連通しない。つまり、係合部105cが所定の凸部に係合した状態で第2回転体103とともに回転弁102が回転することで、所定の凸部が所定の位置に位置するときに、第1流路101bが第1流路101bと異なる流路101c,101dと連通しない場合があってもよい。
【0036】
なお、回転弁102が第2回転体103とともに所定の回転位置に回転したときに、外
周面102aが第1流路101bと連通する流路以外の流路を塞ぐように、回転弁102が構成されてもよい。流路切換機構44が3つ以上の第1流路101bと異なる流路を有するときも、外周面102aが第1流路101bと連通する所定の流路以外の流路を塞ぐように、回転弁102が構成されることで、第1流路101bと所定の流路とを連通することができる。
【0037】
<凸部の配置について>
図5に示すように、第2回転体103は、複数の凸部が外周103eに回転方向に間隔をあけて設けられる。そして、それらの間隔のうち少なくとも1つの第1間隔S1は、他の間隔よりも大きく形成される。本実施形態においては、1つの第1間隔S1が、2つの他の間隔としての第2間隔S2よりも大きく形成される。そして、凸部103bと凸部103cとが第2間隔S2を構成し、凸部103cと凸部103dとが第2間隔S2を構成し、凸部103dと凸部103bとが第1間隔S1を構成する。なお、本明細書では、第2回転体103の回転方向における凸部の間隔とは、凸部における図4に示す側面103fの間隔をいう。
【0038】
第1間隔S1を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角を第1角度θ1、他の間隔を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角のうち最大の角度を第2角度θ2とする。他の間隔は第1間隔S1よりも小さな間隔である。本実施形態においては、第1間隔S1を構成する凸部103dと凸部103bとが回転中心RC1に対して形成する中心角が、第1角度θ1である。そして、第2間隔S2を構成する凸部103bと凸部103cとが回転中心RC1に対して形成する中心角が、第2角度θ2である。そして、第2間隔S2を構成する凸部103cと凸部103dとが回転中心RC1に対して形成する中心角も、第2角度θ2である。
【0039】
<切換動作について>
図5に示すように、切換機構120において、切換動作が開始される。例えば、係合部105cが凸部103bに係合する状態であるときに、図5に示す位置の第1回転体106が第2回転体103とともに、図6に示す第2回転角度Φ2で正転方向W1へ正転することで、図6に示す位置まで回転する。より詳しくは、図6に示すように、係合部105cが凸部103bを押圧することで、第1回転体106は第2回転体103を所定の回転位置まで回転させる。そして、図6に示す位置の第1回転体106がその正転の回転角度と同じ回転角度である図7に示す第2回転角度Φ2で逆転方向W2へ逆転することで、第1回転体106だけが図7に示す位置まで回転する。このとき、図7に示すように、回転中心RC1から離れる方向D1に係合部105cが変位することで、係合部105cが凸部103cを乗り越える。第2回転角度Φ2は、凸部103bと凸部103cとが回転中心RC1に対して形成する中心角である第2角度θ2と同じ回転角度である。このとき、切換機構120は、係合部105cが凸部103bに係合する図5に示す状態から、係合部105cが凸部103cに係合する図7に示す状態に変化する。そして、切換動作が終了する。
【0040】
つまり、切換機構120は、図4に示す回転弁102を第2回転角度Φ2で正転方向W1へ正転させるとともに、係合部105cが凸部103bに係合する状態から、係合部105cが凸部103cに係合する状態に変化する。図5に示す切換動作開始の状態において回転弁102が図4に示す回転位置に位置することで図4に示す第1流路101bがどの流路とも連通しないとき、図7に示す切換動作終了の状態において図4に示す第1流路101bと第2流路101cとが連通する。図7に示す切換動作終了の状態において図4に示す第1流路101bと第2流路101cとが連通するように、第2回転角度Φ2が設定される。このようにして、切換機構120が第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換えることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0041】
切換動作が再度行われることで、切換機構120は、係合部105cが凸部103cに係合する図7に示す状態から、係合部105cが凸部103dに係合する図8に示す状態に変化する。切換動作開始の状態において図4に示す第1流路101bと第2流路101cとが連通するとき、切換動作終了の状態において図4に示す第1流路101bと第3流路101dとが連通する。切換動作終了の状態において図4に示す第1流路101bと第3流路101dとが連通するように、第2回転角度Φ2が設定される。このようにして、切換機構120が第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換えることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0042】
図8に示す状態において、切換動作がさらに行われることで、切換機構120は、係合部105cが凸部103dに係合する図8に示す状態から、係合部105cが凸部103bに係合する図10に示す状態に変化する。係合部105cが凸部103dに係合する状態であるときに、図8に示す位置の第1回転体106が第2回転体103とともに、図9に示す第1回転角度Φ1で正転方向W1へ正転することで、第2回転体103が図9に示す位置まで回転する。そして、図9に示す位置の第1回転体106だけが、その正転の回転角度と同じ回転角度である図10に示す第1回転角度Φ1で逆転方向W2へ逆転することで、図10に示す位置まで回転する。切換動作開始の状態において図4に示す第1流路101bと第3流路101dとが連通するとき、切換動作終了の状態において図4に示す第1流路101bがどの流路とも連通しない。切換動作終了の状態において図4に示す第1流路101bがどの流路とも連通しないように、かつ切換機構120が最初に切換動作を開始した図5に示す状態に戻るように、第1回転角度Φ1が設定される。つまり、切換機構120は、切換動作を繰り返すことで、最初に切換動作を開始した図5に示す状態に戻る。このようにして、切換機構120が第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換えることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0043】
このように、切換機構120は、図4に示す駆動源114が第1回転体106に正転と逆転とを順に行う正逆転動作を実行させることで、第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換える切換機構120である。なお、以降の説明では、正転と逆転とを順に行う動作を、単に「正逆転動作」という。また、1回の正転と1回の逆転とが、正逆転動作における最小単位の動作である。
【0044】
なお、切換動作において、正逆転動作における正転での回転角度と、その正逆転動作における逆転での回転角度とは同じ回転角度でなくてもよい。例えば、逆転のときに、その直前に行われた正転の回転角度よりも回転角度が多く設定されてもよい。より正確には、逆転のときに係合部105cが所定の凸部を越え、かつ所定の凸部の逆転方向W2側に位置する凸部を越えていなければ、逆転後に係合部105cが所定の凸部から逆転方向W2側に離れた位置に位置してもよい。このようなときも、次の正転のときに、係合部105cが所定の凸部に係合する。そのため、係合部105cが所定の凸部を正転方向W1側に押圧することで、第1回転体106が第2回転体103とともに正転方向W1へ正転する。この正転において、第2回転体103が所定の位置まで回転するような回転角度が設定されることで、次の切換動作においても、第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換えることができる。しかし、正逆転動作の制御が簡単な制御となるように、本実施形態のように、切換動作において、正逆転動作における正転での回転角度と、その正逆転動作における逆転での回転角度とは同じ回転角度であることが望ましい。
【0045】
<原点出し動作について>
回転弁102の回転位置が不明になったときに、切換機構120が、第2回転体103を所定の回転位置に位置決めする動作である原点出し動作について説明する。原点出し動作は、係合部105cが第1間隔S1内に配置される第1動作、係合部105cが第1間
隔S1内に配置された状態から第2回転体103が所定の回転位置に位置決めされる第2動作、の順で実行される。例えば、意図しない事象によって回転弁102の回転位置が不明になったときに、原点出し動作によって、回転弁102とともに回転する第2回転体103が、所定の回転位置に位置決めされる。
【0046】
最初に、係合部105cが第1間隔S1内に配置される第1動作について説明する。
図11に示すように、係合部105cが第1間隔S1内に位置するとき、駆動源114は、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を実行させる。第1回転体106が正転方向W1へ正転するときは、係合部105cが凸部103dに係合しても係合部105cが凸部103dを押圧することで、第1回転体106が第2回転体103を回転させる。そのため、正転が終了したときは、係合部105cは第1間隔S1内に位置する状態のままである。
【0047】
この状態の第1回転体106が、逆転方向W2へその正転の回転角度と同じ回転角度かつ第1角度θ1よりも小さい回転角度で逆転する。正転のときに係合部105cが凸部103dに係合したときは、その状態の第1回転体106が、第1角度θ1よりも小さい回転角度で逆転しても、係合部105cは第1間隔S1内に位置する状態のままである。また、正転のときに係合部105cが凸部に係合しなかったときは、その状態の第1回転体106が正転の回転角度と同じ回転角度で逆転すると、第1回転体106は正逆転動作が行われる前の状態に戻る。すなわち、係合部105cは第1間隔S1内に位置する状態のままである。
【0048】
つまり、係合部105cが第1間隔S1内に位置するときに、駆動源114が、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を何度実行させたとしても、係合部105cは第1間隔S1内に位置する状態のままである。
【0049】
図12に示すように、係合部105cが他の間隔内に位置するとき、駆動源114は、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を実行させる。第1回転体106が正転方向W1へ正転するときは、係合部105cが凸部に係合しても係合部105cがその凸部を押圧することで、第1回転体106が第2回転体103を回転させる。そのため、正転が終了したときは、係合部105cは他の間隔内に位置する状態のままである。なお、本実施形態においては、他の間隔は、全て第2間隔S2である。
【0050】
この状態の第1回転体106が、逆転方向W2へその正転の回転角度と同じ回転角度かつ第2角度θ2以上の回転角度で逆転する。第2角度θ2は、第1間隔S1よりも小さな間隔を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角のうち最大の角度であるため、係合部105cは逆転のときに少なくとも1つの凸部を乗り越える。すなわち、係合部105cが他の間隔内に位置するときに、正逆転動作が1回実行されると、係合部105cは逆転方向W2側の何れかの間隔内に移動する。なお、回転角度は第1角度θ1よりも小さいため、逆転方向W2側に隣接する間隔が第1間隔S1であるときは、係合部105cはその第1間隔S1内に移動する。
【0051】
移動先の間隔が第1間隔S1であるときは、その後に、駆動源114が、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を何度実行させたとしても、係合部105cは第1間隔S1内に位置する状態のままである。
【0052】
移動先の間隔が他の間隔であるときは、その後に、駆動源114が第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で第1回転体106に正逆転動作を実行させることで、係合部105cは逆転方向W2側の何れかの間隔内にさらに移動する。
【0053】
つまり、駆動源114は、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させる。そして、その繰り返し回数は、外周103eに設けられる凸部の数よりも1少ない数以上の回数である。すなわち、駆動源114がその繰り返し回数で第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させることによって、係合部105cを第1間隔S1内に位置させることができる。繰り返し回数とは、正転と逆転とを1回ずつ行う正逆転動作の一例である第1動作の実行回数である。
【0054】
なお、第1動作において、正逆転動作における正転と逆転とは同じ回転角度でなくてもよい。ただし、係合部105cが第1間隔S1内に位置するときの第1動作において、逆転のときに係合部105cが凸部103bを乗り越えないように、正転のときの回転角度が逆転のときの回転角度以上になるような回転角度が設定される。例えば、第1動作において、正転のときの回転角度が第1角度θ1と第2角度θ2との平均の回転角度であり、逆転のときの回転角度が第2角度θ2であるときも、係合部105cを第1間隔S1内に位置する状態とすることができる。また、繰り返して行われる1回の正逆転動作毎に、回転角度が異なっていてもよい。しかし、第1動作においても、正逆転動作の制御が簡単な制御となるように、本実施形態のように、正逆転動作における正転での回転角度と、逆転での回転角度とは同じ回転角度であることが望ましい。
【0055】
第1間隔S1内かつ1回目の正転のときに凸部103dに係合しない位置に係合部105cが位置するときは、第1動作が行われても第2回転体103は全く動かない。すなわち、係合部105cが第1間隔S1内に位置する状態であっても、第2回転体103の回転位置はまだ定まっておらず、回転弁102の回転位置が不明になった状態のままである。このようなときも、第2回転体103が所定の回転位置に位置決めされるために、第2動作が実行される。
【0056】
次に、係合部105cが第1間隔S1内に配置された状態から第2回転体103が所定の回転位置に位置決めされる第2動作について説明する。
図11に示すように、係合部105cが第1間隔S1内に位置するとき、駆動源114は、第1角度θ1以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を実行させる。回転角度が第1角度θ1よりも大きいため、第1回転体106が正転方向W1へ正転するときに、係合部105cが凸部103dに係合することで係合部105cが凸部103dを押圧する。そのため、第1回転体106が第2回転体103を所定の回転位置まで回転させる。
【0057】
この状態の第1回転体106が、その正転の回転角度と同じ回転角度かつ第1角度θ1以上の所定の回転角度で逆転方向W2へ逆転する。係合部105cが凸部103dに係合した状態から、第1回転体106が第1角度θ1以上の回転角度で逆転すると、係合部105cは少なくとも1つの凸部を乗り越える。そのため、係合部105cは逆転方向W2側の何れかの間隔内に移動する。なお、第2動作の逆転のときに係合部105cが所定の間隔内に移動し、第2動作の逆転が終了したときに係合部105cが所定の凸部に係合するように、第1角度θ1以上の範囲で回転角度が設定される。
【0058】
第2動作の正転において、第2回転体103とともに回転弁102を所定の回転位置まで回転させることができる。そして、第2動作の逆転において、係合部105cを所定の凸部に係合させることができる。そして、この状態を回転弁102の原点として、前述の切換動作が行われることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。具体的な例を以下に説明する。
【0059】
第2動作における回転角度が「第1角度θ1」であるとき、切換機構120は、凸部1
03dが図4に示す第3流路101dの位置に位置し、かつ係合部105cが凸部103bに係合するように、第2回転体103の回転位置を切り換える。すなわち、第2動作における回転角度が「第1角度θ1」であるとき、切換機構120は、第2回転体103の回転位置を、図4に示す第1流路101bが何れの流路とも連通しない回転位置に切り換える。そして、この状態を回転弁102の原点として、前述の切換動作が行われることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0060】
第2動作における回転角度は「第1角度θ1+第2角度θ2」であってもよい。そのとき、切換機構120は、凸部103dが図4に示す第1流路101bの位置と回転中心RC1に対して対称の位置に位置し、かつ係合部105cが凸部103cに係合するように、第2回転体103の回転位置を切り換える。すなわち、第2動作における回転角度が「第1角度θ1+第2角度θ2」であるとき、切換機構120は、第2回転体103の回転位置を、図4に示す第1流路101bと第2流路101cとが連通する回転位置に切り換える。そして、この状態を回転弁102の原点として、前述の切換動作がさらに行われることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0061】
第2動作における回転角度は「第1角度θ1+第2角度θ2+第2角度θ2」であってもよい。そのとき、切換機構120は、凸部103dが図4に示す第2流路101cの位置に位置し、かつ係合部105cが凸部103dに係合するように、第2回転体103の回転位置を切り換える。すなわち、第2動作における回転角度が「第1角度θ1+第2角度θ2+第2角度θ2」であるとき、切換機構120は、第2回転体103の回転位置を、図4に示す第1流路101bと第3流路101dとが連通する回転位置に切り換える。そして、この状態を回転弁102の原点として、前述の切換動作がさらに行われることで、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0062】
このように、係合部105cが第1間隔S1内に位置するときに、駆動源114は、第1角度θ1以上の所定の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を実行させることで、第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換える。すなわち、回転弁102の回転位置が不明になったときも、駆動源114が第1回転体106に第1動作と第2動作とを順に実行させることによって、第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換えることができる。そして、第1流路101bと連通する流路を所定の流路に切り換えることができる。
【0063】
なお、第2動作において、正逆転動作における正転と逆転とは同じ回転角度でなくてもよい。第2動作における説明は前述の切換動作における説明と同じであるため、説明を省略する。第2動作においても、正逆転動作の制御が簡単な制御となるように、本実施形態のように、正逆転動作における正転での回転角度と、逆転での回転角度とは同じ回転角度であることが望ましい。
【0064】
<吸引装置の構成について>
図13に示すように、吸引装置97は流路切換機構44を含んで構成される。そして、流路切換機構44は切換機構120を含んで構成される。切換機構120は、切換機構120を駆動する駆動部119を備える。駆動部119は、駆動回転体としての駆動歯車109を有する。駆動歯車109は、駆動源114から伝達される駆動力を受けて回転可能に構成されることで、第1回転体106を駆動する。第1回転体106は、駆動歯車109を介して駆動源114から伝達される駆動力を受ける。駆動源114は、回転角度が制御されて正転と逆転とが可能な、例えば、ステッピングモータや、エンコーダ付きのDCモータである。なお、駆動源が往復直線運動を行う直動式の駆動源、かつその直線運動の移動距離が制御される駆動源であって、さらにその直線運動が回転運動に変換されることで回転角度が制御される場合、その駆動源は回転角度が制御される駆動源と同義とする。
【0065】
ポンプ45は、駆動歯車109によって駆動されるポンプ駆動軸110と、液体が流通するチューブ112と、ポンプ駆動軸110の軸受部110bに軸111aを支持されて外周面111bでチューブ112を加圧するローラー111と、を備える。駆動歯車109とポンプ駆動軸110とは、回転中心RC2を中心に回転可能に構成される。駆動歯車109は、駆動源114から伝達される駆動力を受けてポンプ45を駆動する。すなわち、ポンプ45は、駆動歯車109を介して駆動源114からの駆動力を受ける。駆動歯車109は第2係合部109aを有する。ポンプ45が備えるポンプ駆動軸110は、回転方向において第2係合部109aと係合可能な被係合部110aを有する。第2係合部109aが被係合部110aに係合した状態で、第2係合部109aが被係合部110aを押圧する方向に駆動歯車109が回転することにより、ポンプ45が駆動される。ポンプ45が駆動されることで行われる吸引動作については後述する。
【0066】
切換機構120は、遅延伝達機構118を含む。遅延伝達機構118は、駆動歯車109と、第1歯車108と、第2歯車107と、第1回転体106と、第2付勢部材113と、で構成される。遅延伝達機構118は、第1回転体106が回転を開始するタイミングを遅延させる。第2付勢部材113は、第1歯車108を第2歯車107に対して付勢する。そして、第1歯車108における第2歯車107を押圧する面と、第2歯車107における第1歯車108から押圧される面と、の間に働く摩擦力が高くなるように、第1歯車108と第2歯車107とが構成される。つまり、第1歯車108と第2歯車107とで摩擦クラッチ117が構成される。遅延伝達機構118の動作については後述する。
【0067】
<遅延伝達機構について>
最初に、各歯車について説明する。
図14に示すように、第1歯車108は、回転中心RC1を中心に回転可能に構成される。駆動歯車109の歯109eと第1歯車108の歯108eとが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第1歯車108に伝達される。内周面108aには不図示の回転軸が嵌合され、接合部108b,108cによって、その回転軸が第1歯車108に対して回転不能に固定される。
【0068】
図15に示すように、第2歯車107は、第1歯車108に固定される不図示の回転軸に対して内周面107aが回転可能に嵌合することで、回転中心RC1を中心に第1歯車108に対して回転可能に構成される。
【0069】
第2歯車107は、第1回転体106と接触する側の面に、凹形状を呈する溝部107dを有する。溝部107dは、第1回転体106に係止される被係止部107b,107cを有する。さらに、第2歯車107は、外周に歯107eが並ぶ歯列部107mと、外周に歯107eが並ばない歯欠部107nとを有する。歯列部107mの両端部には切欠部107f,107hが形成される。切欠部107fの外周には端歯107gを含む4つの歯107eが並び、切欠部107hの外周には端歯107iを含む4つの歯107eが並ぶ。
【0070】
駆動歯車109の歯109eと第2歯車107の歯107eが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第2歯車107に伝達される。ただし、第2歯車107は歯欠部107nを有するため、第2歯車107の回転位置によっては、駆動歯車109の回転が第2歯車107に伝達されない場合がある。
【0071】
駆動歯車109の回転が第2歯車107に伝達されていないときにおいても、第2歯車107の回転トルクが、図13に示す摩擦クラッチ117の伝達トルクよりも小さいときは、第1歯車108が回転すると摩擦クラッチ117を介して第2歯車107は回転する
。また、第2歯車107の回転トルクが、摩擦クラッチ117の伝達トルクよりも大きいときは、第1歯車108が回転しても摩擦クラッチ117が滑ることで第2歯車107は回転しない。換言すれば、駆動歯車109の回転が第2歯車107に伝達されていないときは、第2歯車107に対して負荷トルクが発生すると、第1歯車108が回転しても第2歯車107は回転しない。
【0072】
図16に示すように、第1回転体106は、第1歯車108に固定される不図示の回転軸に対して内周面106aが回転可能に嵌合することで、回転中心RC1を中心に第1歯車108に対して回転可能に構成される。
【0073】
第1回転体106は、第2歯車107と接触する側の面に、凸形状を呈する係止部106dを有する。係止部106dは、第2歯車107の被係止部107b,107cを係止する。さらに、第1回転体106は、外周に歯106eが並ぶ歯列部106mと、外周に歯106eが並ばない歯欠部106nとを有する。歯列部106mの両端部には切欠部106f,106hが形成される。切欠部106fの外周には端歯106gを含む4つの歯106eが並び、切欠部106hの外周には端歯106iを含む4つの歯106eが並ぶ。
【0074】
駆動歯車109の歯109eと第1回転体106の歯106eが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第1回転体106に伝達される。ただし、第1回転体106は歯欠部106nを有するため、第1回転体106の回転位置によっては、駆動歯車109の回転が第1回転体106に伝達されない場合がある。第1回転体106の外周に対して歯欠部106nが占める割合は、第2歯車107の外周に対して歯欠部107nが占める割合よりも大きい。
【0075】
第2歯車107が回転するときに、第2歯車107の被係止部107b,107cが、第1回転体106の係止部106dに係止されることで、第1回転体106が第2歯車107に牽引されて回転する。
【0076】
次に、第1回転体106と第2歯車107との関係について説明する。
図17に示すように、第2歯車107が正転方向W1に正転するときに、被係止部107bが係止部106dに係止されることで、第2歯車107は第1回転体106に係止される。そして、さらに第2歯車107が正転方向W1に正転すると、第1回転体106が第2歯車107に牽引されて、第2歯車107とともに正転方向W1に正転する。
【0077】
図17に示す位置の第2歯車107が逆転方向W2に逆転すると、被係止部107bが係止部106dから離れることで、第2歯車107だけが逆転方向W2に逆転する。第2歯車107が図17に示す揺動角Ψと同じ回転角度だけ図18に示す位置まで逆転方向W2に逆転すると、被係止部107cが係止部106dに係止される。
【0078】
図18に示すように、第2歯車107が逆転方向W2に逆転するときに、被係止部107cが係止部106dに係止されることで、第2歯車107は第1回転体106に係止される。そして、さらに第2歯車107が逆転方向W2に逆転すると、第1回転体106が第2歯車107に牽引されて、第2歯車107とともに逆転方向W2に逆転する。
【0079】
図18に示す位置の第2歯車107が正転方向W1に正転すると、被係止部107cが係止部106dから離れることで、第2歯車107だけが正転方向W1に正転する。第2歯車107が図18に示す揺動角Ψと同じ回転角度だけ図17に示す位置まで正転方向W1に正転すると、被係止部107bが係止部106dに係止される。
【0080】
図17図18とのうち何れの状態においても、端歯107gは端歯106gよりも正転方向W1側に位置し、端歯107iは端歯106iよりも逆転方向W2側に位置するように、歯欠部106nと歯欠部107nとが配置される。
【0081】
次に、遅延伝達機構118の動作について説明する。
図19に示すように、駆動歯車109が正転方向W1に正転すると、図13に示す第1歯車108が正転方向W1に正転する。このとき、第1回転体106と第2歯車107との状態は図18に示す状態であり、第1歯車108の回転方向である正転方向W1は、被係止部107cが係止部106dから離れる方向である。そのため、駆動歯車109と第2歯車107とが噛み合っていない状態であっても、図13に示す摩擦クラッチ117によって第1歯車108の回転が第2歯車107に伝達されることで、第2歯車107が第1歯車108とともに正転方向W1に正転する。
【0082】
図20に示すように、駆動歯車109が正転方向W1に正転することで第2歯車107が正転方向W1に正転すると、被係止部107cが係止部106dから離れる。そして、端歯107gと、駆動歯車109の歯109eとが当接する。端歯107gと歯109eとが当接すると、端歯107gを含む複数の歯107eは、切欠部107fによって回転中心RC1に近づく方向D2に撓む。そして、端歯107gと歯109eとが噛み合う。すなわち、遅延伝達機構118は、駆動歯車109の回転が第1歯車108と摩擦クラッチ117とを介して第2歯車107に伝達される状態から、駆動歯車109の回転が第2歯車107に直接伝達される状態へと変化する。第1回転体106は回転しないため、端歯106gは、駆動歯車109に近づかない。すなわち、第2歯車107の端歯107gは、第1回転体106の端歯106gから遠ざかる。
【0083】
図21に示すように、駆動歯車109が正転方向W1にさらに正転することで第2歯車107が正転方向W1にさらに正転すると、被係止部107bが係止部106dに係止される。より詳しくは、図19に示す第2歯車107が図17に示す揺動角Ψと同じ回転角度だけ正転方向W1に正転すると、被係止部107bが係止部106dに係止される。このとき、第1回転体106と第2歯車107との状態は図17に示す状態である。そのため、第1回転体106が第2歯車107に牽引されて第2歯車107とともに正転方向W1に正転することで、図16に示す端歯106gは、駆動歯車109に近づく。そして、端歯106gと、駆動歯車109の歯109eとが当接する。端歯106gと歯109eとが当接すると、端歯106gを含む複数の歯106eは、切欠部106fによって回転中心RC1に近づく方向D2に撓む。そして、端歯106gと歯109eとが噛み合う。すなわち、駆動歯車109の回転が第1回転体106に直接伝達される。
【0084】
図22に示すように、駆動歯車109が正転方向W1にさらに正転することで第2歯車107が正転方向W1にさらに正転すると、第1回転体106が正転方向W1に正転する。第2歯車107の回転が、揺動角Ψと同じ回転角度だけ遅延して第1回転体106に伝達される。そのため、遅延伝達機構118が動作するときの第1回転体106の回転角度は、第2歯車107の回転角度よりも揺動角Ψと同じ回転角度だけ小さい。
【0085】
図16に示す歯列部106mの歯106eが駆動歯車109の歯109eと噛み合う範囲においては、駆動歯車109の回転が第1回転体106に直接伝達される状態で、第1回転体106を正転方向W1に正転させることができる。
【0086】
図22に示すように、遅延伝達機構118によって、歯109eと歯106eとが噛み合った状態において、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転すると、第1回転体106と第2歯車107と第1歯車108とが逆転方向W2に逆転する。端歯106gが歯109eと噛み合わない角度まで駆動歯車109が逆転方向W2に逆転すると、第1回転体10
6は回転を停止し、第2歯車107と第1歯車108とが逆転方向W2に逆転する。そのため、被係止部107bが係止部106dから離れる。
【0087】
図23に示すように、駆動歯車109が逆転方向W2にさらに逆転することで、第2歯車107が逆転方向W2にさらに逆転すると、被係止部107cが係止部106dに係止される。そして、第1回転体106が第2歯車107に牽引されて、第1回転体106は第2歯車107とともに逆転方向W2に逆転する。
【0088】
図24に示すように、端歯107gが歯109eと噛み合わない角度まで駆動歯車109が逆転方向W2に逆転すると、駆動歯車109の回転は第2歯車107に直接伝達されなくなる。第2歯車107は第1回転体106を牽引しているため、第1回転体106を回転させるための負荷トルクが、第2歯車107に対して発生する。摩擦クラッチ117の伝達トルクが、第1回転体106を回転させるための負荷トルクよりも小さくなるように、摩擦クラッチ117の伝達トルクが設定される。そのため、摩擦クラッチ117が滑ることで、第1歯車108の回転は、摩擦クラッチ117を介して第2歯車107に伝達されない。つまり、遅延伝達機構118は、第1回転体106を図24に示す回転位置に保持したままの状態で、駆動歯車109だけを逆転方向W2に逆転する。換言すれば、第1回転体106を逆転方向W2に逆転させて端歯106gが歯109eと噛み合う位置から外れたときに、そのときの第1回転体106の回転位置を保持したままの状態で、駆動歯車109だけを逆転方向W2に逆転することができる。
【0089】
その状態において駆動歯車109を正転方向W1に正転させることで、駆動歯車109の回転が第1歯車108と摩擦クラッチ117とを介して第2歯車107に伝達される。そして、駆動歯車109と第2歯車107とが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第2歯車107に直接伝達される。そして、駆動歯車109と噛み合った第2歯車107が、揺動角Ψと同じ回転角度だけ第1回転体106を遅延させた状態で、第1回転体106を牽引して第1回転体106を正転方向W1に正転させる。そして、駆動歯車109と第1回転体106とが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第1回転体106に直接伝達される。つまり、端歯106gが歯109eと噛み合う位置から外れた位置で駆動歯車109だけを逆転方向W2に逆転させた後に、駆動歯車109を正転方向W1に正転させることで、第1回転体106を所定の回転角度で正転方向W1に正転させることができる。
【0090】
同様にして、第1回転体106を正転方向W1に正転させて端歯106iが歯109eと噛み合う位置から外れたときに、そのときの第1回転体106の回転位置を保持したままの状態で、駆動歯車109だけを正転方向W1に正転することができる。また、端歯106iが歯109eと噛み合う位置から外れた位置で駆動歯車109だけを正転方向W1に正転させた後に、駆動歯車109を逆転方向W2に逆転させることで、第1回転体106を所定の回転角度で逆転方向W2に逆転させることができる。
【0091】
なお、本実施形態のように、第2歯車107の回転が遅延して第1回転体106に伝達される範囲を含んで切換動作や原点出し動作が行われるときは、揺動角Ψによって遅延する回転角度を含めた切換動作や原点出し動作の回転角度が設定される。
【0092】
<流路切換動作について>
図25に示すように、第2係合部109aが被係合部110aに対して逆転方向W2に向けて係合した状態、もしくは第2係合部109aが被係合部110aに対して正転方向W1側に少し離れた状態で、駆動歯車109は停止している。図25は、流路切換機構44において図24に示す状態で駆動歯車109が逆転方向W2に逆転した後に原点出し動作が行われ、その原点出し動作の第2動作において、係合部105cが凸部103bに係
合した状態を示す。この状態で流路切換動作、ポンプ吸引動作が開始される。
【0093】
軸受部110bは端部110c,110dを有する。軸111aが端部110cに当接するときのローラー111の図25に示す位置が、チューブ112を押圧する押圧位置P1である。また、軸111aが端部110dに当接するときのローラー111の位置が、チューブ112への押圧をレリースするレリース位置P2である。ローラー111が押圧位置P1に位置するときはローラー111がチューブ112を押圧し、ローラー111がレリース位置P2に位置するときはローラー111がチューブ112への押圧をレリースするように、軸受部110bの形状が形成される。
【0094】
なお、図25の状態において、ローラー111は、押圧位置P1に位置してもよいし、レリース位置P2に位置してもよい。また、図25の状態において、回転中心RC1に対するローラー111の周回位置は何れの位置であってもよい。さらに、図25の状態において、被係合部110aの回転位置は何れの位置であってもよい。すなわち、駆動歯車109の回転位置は何れの位置であってもよい。ポンプ45においては、第2係合部109aが被係合部110aに対して逆転方向W2に向けて係合した状態、もしくは第2係合部109aが被係合部110aに対して正転方向W1に少し離れた状態で、駆動歯車109が停止していればよい。
【0095】
図26に示すように、流路切換機構44は、駆動歯車109を介して駆動力を受け、複数の流路のうちポンプ45と連通する流路を切換可能な切換機構120を備える。流路切換機構44は、切換機構120に前述の切換動作を行わせることで、流路を切り換える。駆動歯車109が正転方向W1に正転すると、図25に示す位置に位置する第1回転体106が正転方向W1に正転する。このとき、第2歯車107の回転が遅延して第1回転体106に伝達される範囲を含んで切換動作が行われるため、揺動角Ψによって遅延する回転角度を含めた回転角度が設定される。例えば、流路切換の角度が90度、揺動角Ψが24度であるとき、第1歯車108を114度回転させることで、第1回転体106とともに第2回転体103が90度回転する。これにより、複数の流路101c,101dのうちポンプ45と連通する流路を切り換えることができる。
【0096】
図26に示すように、駆動歯車109の回転方向である正転方向W1は、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向である。そのため、ポンプ駆動軸110が回転しないため、ポンプ45による吸引動作は行われない。
【0097】
図27に示すように、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転すると、第1回転体106が逆転方向W2に逆転する。逆転のときも、第2歯車107の回転が遅延して第1回転体106に伝達される範囲を含んで切換動作が行われるため、揺動角Ψによって遅延する回転角度を含めた回転角度が設定される。切換機構120は正逆転動作を行うことで、第2回転体103を所定の回転位置まで回転させるとともに、係合部105cが凸部103bに係合する図25及び図26に示す状態から、係合部105cが凸部103cに係合する図27に示す状態に変化する。
【0098】
図27に示すように、駆動歯車109の回転方向である逆転方向W2は、第2係合部109aが被係合部110aに近づく方向であるが、切換動作の逆転における回転角度は、正転と同じ回転角度であるため、第2係合部109aは正転前の位置に戻る。すなわち、ポンプ駆動軸110が回転しないため、逆転のときもポンプ45による吸引動作は行われない。つまり、第2係合部109aが被係合部110aに係合しない領域で駆動回転体としての駆動歯車109が正転と逆転とを行うことにより、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。
【0099】
<ポンプ吸引動作について>
図28に示すように、流路切換機構44は、ポンプ吸引動作を実行する。図25に示す状態においてポンプ吸引動作が開始される。図28に示すように、第1回転体106の歯106eが駆動歯車109の歯109eと噛み合う位置から外れているため、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転すると、摩擦クラッチ117が滑ることで、駆動歯車109だけが逆転方向W2に逆転する。すなわち、ポンプ45が駆動される間は、駆動回転体としての駆動歯車109と第1回転体106との接続が切り離される。なお、この接続切り離しを確実に行うため、第1回転体106に不要な逆転を制限する度当てを設けてもよい。例えば第1回転体106に突起を設け、図28の回転位置を超えて逆転しそうになった時にハウジング101に設けた突起に度当たるようにすることで、確実に第1回転体106を止めておくことができる。
【0100】
図28に示すように、第2係合部109aが被係合部110aに対して係合した状態で、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転するため、ポンプ駆動軸110は駆動歯車109とともに逆転方向W2に逆転する。ローラー111が押圧位置P1に位置したままの状態でポンプ駆動軸110が回転するため、ローラー111はチューブ112を押圧した状態で、ローラー111自身を回転させながら、チューブ112に沿って回転中心RC2の周りを周回する。また、図25に示す状態において、ローラー111がレリース位置P2に位置するときは、チューブ112が元の形に戻ろうとする復元力を受けることで、ローラー111がポンプ駆動軸110の回転とともに押圧位置P1に移動する。このとき、ローラー111の押圧位置P1に対して逆転方向W2側におけるチューブ112内の液体は加圧され、ローラー111の押圧位置P1に対して正転方向W1側におけるチューブ112内の液体に負圧が働く。すなわち、吸引装置97は、ポンプ45を負圧源として流用し、排出回収流路46に接続される第1流路101bに対して負圧を作用させることで、チューブ112内の液体を吸引する。
【0101】
<ポンプレリース動作について>
図29に示すように、流路切換機構44は、ポンプレリース動作を実行する。図28に示す状態においてポンプ吸引動作が終了した後に、ポンプレリース動作が開始される。図29に示すように、駆動歯車109が正転方向W1に正転することで、図16に示す端歯106iが歯109eと噛み合わない回転位置まで第1回転体106が正転方向W1に正転する。
【0102】
駆動歯車109の回転方向である正転方向W1は、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向であるが、駆動歯車109が正転方向W1に正転することで、第2係合部109aが被係合部110aに対して正転方向W1に向けて係合する。
【0103】
図30に示すように、端歯107iが歯109eと噛み合わない角度まで第1回転体106が正転方向W1に正転した後も、駆動歯車109は正転方向W1にさらに正転する。第1回転体106の歯106eが駆動歯車109の歯109eと噛み合う位置から外れているため、駆動歯車109が正転方向W1に正転すると、摩擦クラッチ117が滑ることで、駆動歯車109だけが正転方向W1に正転する。
【0104】
第2係合部109aが被係合部110aに対して係合した状態で、駆動歯車109が正転方向W1に正転するため、ポンプ駆動軸110は駆動歯車109とともに正転方向W1に正転する。チューブ112が元の形に戻ろうとする復元力を受けることで、ローラー111はレリース位置P2に移動し、ローラー111自身を回転させながら、チューブ112への押圧がレリースされた状態で、チューブ112に沿って回転中心RC2の周りを周回する。すなわち、ポンプ45がレリースされる。
【0105】
図31に示すように、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転することで、図30に示す位置に位置する第1回転体106が逆転方向W2に逆転する。より詳しくは、駆動歯車109の回転が第1歯車108と摩擦クラッチ117とを介して第2歯車107に伝達される。そして、駆動歯車109と第2歯車107とが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第2歯車107に直接伝達される。そして、駆動歯車109と噛み合った第2歯車107が、揺動角Ψと同じ回転角度だけ第1回転体106を遅延させた状態で、第1回転体106を牽引して第1回転体106を逆転方向W2に逆転させる。そして、駆動歯車109と第1回転体106とが噛み合うことで、駆動歯車109の回転が第1回転体106に直接伝達される。そして、第1回転体106を図31に示す所定の回転位置まで逆転方向W2に逆転させる。このようにして、図30に示す状態において、所定の回転角度で駆動歯車109が逆転方向W2に逆転することで、第1回転体106を図25に示す回転位置まで回転させることができる。
【0106】
駆動歯車109の回転方向である逆転方向W2は、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向である。そのため、ポンプ駆動軸110が回転しないため、ポンプ45による吸引動作は行われない。そして、第2係合部109aが被係合部110aに対して逆転方向W2に向けて係合した状態、もしくは第2係合部109aが被係合部110aに対して少し離れた状態で、駆動歯車109が停止するように回転角度が設定される。また、第2歯車107の回転が遅延して第1回転体106に伝達されるため、揺動角Ψによって遅延する回転角度を含めた回転角度が設定される。
【0107】
なお、ポンプレリース動作において、図29に示す回転位置まで第1回転体106が正転方向W1に正転するときに、第2回転体103も正転方向W1に正転するため、回転弁102の回転位置も切り換えられる。そして、図31に示す回転位置まで第1回転体106が逆転方向W2に逆転するときには、係合部105cが第2回転体103の外周103eに沿って移動するため、第2回転体103は回転しない。これにより、第2回転体103とともに回転する回転弁102の回転位置は不明になる。そのため、ポンプレリース動作が行われた後は、原点出し動作が行われる。
【0108】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
複合機11の電源が投入されて、最初に、ポンプレリース動作が行われる。流路切換機構44において、駆動部119は、駆動歯車109を正転方向W1に正転させ続ける。第1回転体106が正転方向W1に正転し続けることで、第1回転体106は図30に示す回転位置まで正転方向W1に正転して、その位置で回転を停止し、駆動歯車109だけが正転方向W1に正転し続ける。そして、駆動歯車109が正転方向W1に正転し続けることで、ローラー111はレリース位置P2に移動する。
【0109】
第1回転体106が図30に示す回転位置に位置する状態において、所定の回転角度で、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転することで、第1回転体106を図25に示す回転位置まで回転させることができる。駆動歯車109の回転方向である逆転方向W2は、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向であるため、ポンプ駆動軸110が回転しない。そのため、ローラー111はレリース位置P2に位置し続ける。そして、第2係合部109aが被係合部110aに対して逆転方向W2に向けて係合した状態、もしくは第2係合部109aが被係合部110aに対して少し離れた図25に示す状態で、駆動歯車109は停止する。
【0110】
第1回転体106が図25に示す回転位置に位置する状態において、流路切換機構44は原点出し動作を行う。より詳しくは、流路切換機構44は、係合部105cが第1間隔S1内に配置される第1動作と、係合部105cが第1間隔S1内に配置された状態から
第2回転体103が所定の回転位置に位置決めされる第2動作とを行う。
【0111】
第1動作において、駆動源114は、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させることで、係合部105cが第1間隔S1内に位置するまで、第2回転体103を回転させる。
【0112】
第1動作における回転角度は、第1角度θ1よりも小さい。そのため、係合部105cが第1間隔S1内に配置されているときは、第1動作が何度行われても、係合部105cがその第1間隔S1内から外に出ることなく、係合部105cがその第1間隔S1内に配置される。
【0113】
第1動作における回転角度は、第2角度θ2以上である。そのため、係合部105cが他の間隔としての第2間隔S2内に配置されているときは、第1動作が1回行われると、係合部105cがその第2間隔S2内から外に出て、その第2間隔S2の逆転方向W2側の何れかの間隔内に配置される。
【0114】
係合部105cが配置された間隔が、第1間隔S1のときは、その後に第1動作が何度行われても、係合部105cがその第1間隔S1内から外に出ることなく、係合部105cがその第1間隔S1内に配置される。
【0115】
係合部105cが配置された間隔が、第2間隔S2のときは、次の第1動作において、係合部105cがその第2間隔S2内から外に出て、その第2間隔S2の逆転方向W2側の何れかの間隔内に配置される。
【0116】
駆動源114は、第1動作を繰り返し実行する。より詳しくは、駆動源114は、外周103eに設けられる凸部の数よりも1少ない数以上の繰り返し回数で、第1回転体106に第1動作を実行させる。これにより、係合部105cを第1間隔S1内に位置する状態とすることができる。繰り返し回数とは、正転と逆転とを1回ずつ行う正逆転動作の一例である第1動作の実行回数である。
【0117】
第1動作は、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向への正逆転動作であるため、ポンプ駆動軸110が回転しない。そのため、第1動作の間も、ローラー111はレリース位置P2に位置し続ける。
【0118】
係合部105cが第1間隔S1内に位置するときに、第2動作において、駆動源114は、第1角度θ1以上の所定の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を実行させることで、第2回転体103の回転位置を所定の回転位置に切り換える。
【0119】
第2動作における回転角度は、第1角度θ1以上である。そのため、正転のときに係合部105cは、第1間隔S1を構成する凸部103d,103bのうち正転方向W1側の凸部103dを押圧することで第2回転体103を移動させる。その回転角度は、第2回転体103を所定の回転位置まで回転させる回転角度に設定されるため、1回の正逆転動作で第2回転体103を狙った位置に移動させることができる。これにより、第1流路101bと、第1流路101bと異なる所定の流路と、を連通することができる。
【0120】
第2動作における回転角度は、第1角度θ1以上であるため、第2動作が1回行われると、係合部105cが第1間隔S1内から外に出て、その第1間隔S1の逆転方向W2側の何れかの間隔内に配置される。また、第2動作における回転角度は、第2回転体103を所定の回転位置まで回転させ、係合部105cを所定の凸部に係合する回転角度に設定される。
【0121】
第2動作も第1動作と同様に、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向への正逆転動作であるため、ポンプ駆動軸110が回転しない。そのため、第2動作の間も、ローラー111はレリース位置P2に位置し続ける。
【0122】
この状態を回転弁102の原点として、その後に行われる切換動作においても、第2係合部109aが被係合部110aから離れる方向への正逆転動作であるため、ポンプ駆動軸110が回転しない。そのため、その後の切換動作の間も、ローラー111はレリース位置P2に位置し続ける。
【0123】
ポンプ45からの負圧が気泡排出機構BSを介して液体貯留部50内の貯留室51に導入されるときは、流路切換機構44は、原点出し動作によって第1流路101bと第2流路101cとを連通することで、ポンプ45と分岐流路96とを連通する。そして、原点出し動作の第2動作が終了した状態で、流路切換機構44は、駆動歯車109を逆転方向W2に逆転させる。すると、摩擦クラッチ117が滑ることで、第1回転体106が停止したままの状態で、駆動歯車109だけが逆転方向W2に逆転する。そして、ポンプ吸引動作が行われる。
【0124】
第2係合部109aが被係合部110aに対して係合した状態で、駆動歯車109が逆転方向W2に逆転するため、ポンプ駆動軸110は駆動歯車109とともに逆転方向W2に逆転する。ローラー111がチューブ112の復元力によって押圧位置P1に移動された状態でポンプ駆動軸110が回転する。チューブ112は加圧され、ローラー111の押圧位置P1に対して逆転方向W2側におけるチューブ112内の液体に負圧が働くことで、チューブ112内と連通する分岐流路96内の液体を吸引する。すなわち、気泡排出機構BS内の気泡を含む液体が、ポンプ45と接続される排出回収流路46を通じて廃液収容部47に送液される。
【0125】
ポンプ45からの負圧をキャップ41とノズル面30aとの間に形成された閉空間に導入するときは、流路切換機構44は、原点出し動作によって第1流路101bと第3流路101dとを連通することで、ポンプ45と排出流路42とを連通する。液体吐出部30をキャッピングした状態でポンプ45が駆動される。チューブ112内の液体に負圧が働くことで、チューブ112内と連通する排出流路42内の液体を吸引する。すなわち、液体吐出部30のノズル31から吐出または排出される液体が、ポンプ45と接続される排出回収流路46を通じて廃液収容部47に送液される。
【0126】
ポンプ吸引動作が終了すると、ポンプレリース動作が行われる。ポンプレリース動作において、図29に示す回転位置まで第1回転体106が正転方向W1に正転するときに、第2回転体103も正転方向W1に正転するため、回転弁102の回転位置も切り換えられる。そして、図31に示す回転位置まで第1回転体106が逆転方向W2に逆転するときに、係合部105cが第2回転体103の外周103eに沿って移動するため、第2回転体103は回転しない。これにより、第2回転体103とともに回転する回転弁102の回転位置は不明になるため、ポンプレリース動作が行われた後は、原点出し動作が行われる。
【0127】
なお、液体吐出装置12に予期せぬエラーが発生した等の理由で、流路切換機構44が動作の途中で停止したときも、ポンプレリース動作が行われることで、流路切換機構44の状態をポンプ45がレリースされた状態に戻すことができる。また、原点出し動作が行われることで、流路切換機構44の状態を回転弁102とともに回転する第2回転体103が所定の回転位置に位置する状態に戻すことができる。
【0128】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態の切換機構120、流路切換機構44及び液体吐出装置12においては、以下の効果が得られる。
【0129】
(1)駆動源114は、第1角度θ1よりも小さく第2角度θ2以上の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させることで、係合部105cを第1間隔S1内に位置させる。第1間隔S1を構成する2つの凸部103b,103dが回転中心RC1に対して形成する中心角が第1角度θ1であり、第2間隔S2を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角が第2角度θ2である。正逆転動作における回転角度は第1角度θ1よりも小さい。そのため、係合部105cが第1間隔S1内に配置されているときは、正逆転動作が何度行われても、係合部105cがその第1間隔S1内から外に出ることなく、係合部105cがその第1間隔S1内に配置される。また、正逆転動作における回転角度は第2角度θ2以上である。そのため、係合部105cが第2間隔S2内に配置されているときは、正逆転動作によって係合部105cが逆転方向W2側の何れかの間隔内に配置される。そして、繰り返して実行される正逆転動作によって係合部105cが第1間隔S1内に配置される。つまり、意図しない事象によって第2回転体103の回転位置が不明になった場合でも、位置検出器を有することなく、第1回転体106がその回転角度での正逆転動作を繰り返して実行することで、第2回転体103を第1間隔S1内に配置することができる。
【0130】
(2)駆動源114は、外周103eに設けられる凸部の数よりも1少ない数以上以上の繰り返し回数で、第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させる。係合部105cが第2間隔S2内に配置されているときは、正逆転動作によって係合部105cが逆転方向W2側の何れかの間隔内に配置される。係合部105cが逆転方向W2側に位置する第1間隔S1から最も遠い他の間隔内に配置されているときに、係合部105cが第1間隔S1内に配置されるための繰り返し回数が最も多くなる。このようなときも、第2回転体103の外周103eに設けられる凸部の数よりも1少ない数の繰り返し回数で第1回転体106が正逆転動作を実行すると、係合部105cが第1間隔S1内に配置される。つまり、第2回転体103の外周103eに設けられる凸部の数よりも1少ない数以上の繰り返し回数で、第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させることで、第2回転体103を第1間隔S1内に配置することができる。
【0131】
(3)係合部105cが第1間隔S1内に位置するときに、駆動源114は、第1角度θ1以上の所定の回転角度で、第1回転体106に正逆転動作を実行させる。回転角度は第1角度θ1以上であるため、正転のときに、係合部105cは第1間隔S1を形成する凸部103d,103bのうち正転方向W1側の凸部103dを押圧することで、第2回転体103を移動させる。その回転角度は、第2回転体103を所定の回転位置まで回転させる回転角度に設定されるため、1回の正逆転動作で第2回転体103を狙った回転位置に回転させることができる。すなわち、切換時間を短縮できる。
【0132】
(4)第1回転体106は、係合部105cを第2回転体103の外周103eに向けて付勢する第1付勢部材104を有することで、係合部105cが第2回転体103の外周103eから外れることを抑制できる。
【0133】
(5)上記切換機構120において、係合部105cが正転のときに第2回転体103の所定の凸部に係合した状態で所定の凸部を押圧することで、第2回転体103を狙った回転位置に回転させる。これにより、第2回転体103の複数の凸部103b,103c,103dを所定の位置に位置させることができる。このとき、第2回転体103とともに回転する回転弁102が所定の回転位置に位置するため、第1流路101bと、第1流
路101bと異なる2つ以上の流路101c,101dのうち何れかと、が連通する。すなわち、上記切換機構120によって、第1流路101bと連通する流路を切り換えることができる。
【0134】
(6)第1回転体106は、駆動歯車109を介して駆動源114から伝達される駆動力を受けるため、1つの駆動源114からの駆動力だけでポンプ駆動と流路切換とを行うことができる。すなわち、装置の構成を簡単にすることができる。
【0135】
(7)第2係合部109aが被係合部110aに係合した状態で駆動歯車109が回転することによりポンプ45が駆動される。ポンプ45が駆動される間は、駆動歯車109と第1回転体106との接続が切り離されるため、流路切換機構44は流路を切り換えられない状態になる。そのため、ポンプ45が駆動される間に流路が切り換えられることを抑制できる。
【0136】
(8)第2係合部109aが被係合部110aに係合しない領域で駆動歯車109が正転と逆転とを行うことにより、第1流路101bと連通する流路が切り換えられる。すなわち、駆動歯車109におけるポンプ45が駆動されない回転範囲において、流路を切り換えることができる。そのため、流路が切り換えられている間にポンプ45が駆動されることを抑制できる。
【0137】
(9)液体吐出装置12において、上記流路切換機構44が、液体吐出部30に液体を供給する供給流路27の途中に接続される分岐流路96と、ノズル31が開口する閉空間を形成可能なキャップ41に接続される排出流路42と、に接続される。これにより、液体吐出装置12において、ポンプ45が排出流路42を通じてノズル31から液体を吸引する状態と、ポンプ45が供給流路27から液体を吸引する状態と、ポンプ45がレリースされた状態とを切り換えることができる。
【0138】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について図面を参照して説明する。第2実施形態は第1実施形態とほぼ同じであるため、同一の構成については同一符号を付すことによって重複した説明は省略する。
【0139】
図32に示すように、切換機構120は、第1回転体106の回転中心RC1を中心に回転し、複数の凸部が外周103eに回転方向に間隔をあけて設けられる第2回転体103を備える。本実施形態においては、5つの凸部103b,103c,103d,103h,103iが、第2回転体103の外周103eに回転方向に第2間隔S2をあけて設けられる。
【0140】
第1回転体106は係合部材105を備える。係合部材105は係合部105cを有する。係合部材105は第1回転体106にガイドされて、係合部105cが回転中心RC1から離れる方向D1と、係合部105cが回転中心RC1に近づく方向D2とに、摺動可能に構成される。そして、第1回転体106は、係合部105cを第2回転体103の外周103eに向けて付勢する第1付勢部材104を有する。
【0141】
本実施形態においては、第1流路101bと、第1流路101bと異なる流路と、が回転中心RC1に対して形成する中心角と異なる角度で、第2角度θ2が形成される。第2動作において第1回転体106が正転方向W1へ正転するときに、例えば、前記係合部105cが第2回転体103の凸部103iに係合した状態で第2回転体103とともに回転弁102が正転する。正転によって、凸部103iが所定の位置に位置するときに、回転弁102を第2回転体103とともに所定の回転位置まで回転させる回転角度に、第2
動作における回転角度が設定される。これにより、流路切換機構44は、第1流路101bと、所定の流路とを連通させる。なお、その状態から再度原点出し動作が行なわれることで、その原点出し動作の第2動作において流路切換機構44が、第1流路101bと他の流路とを連通させてもよい。
【0142】
回転弁102が第1流路を含む5つの流路を有し、回転弁102の切換位置に対応した位置に、5つの凸部103b,103c,103d,103h,103iが設けられてもよい。回転弁102が第2回転体103とともに所定の回転位置に回転したときに、外周面102aが第1流路101bと連通する流路以外の流路を塞ぐように、回転弁102が構成されることで、第1流路101bと所定の流路とを連通することができる。
【0143】
<実施形態の作用・効果>
第2実施形態の作用および効果は第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
<実施形態の変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0144】
・第2回転体103の複数の凸部の数は限定しない。第2回転体103の複数の凸部によって、第1間隔S1と、第1間隔S1よりも小さい他の間隔とが構成できればよい。凸部は少なくとも2つ以上であればよい。
【0145】
・第1間隔S1は複数あってもよい。その場合には、駆動源114は、第1動作において、外周103eに他の間隔としての第2間隔S2で最も多く連続して設けられる凸部の数よりも1少ない数以上の繰り返し回数で、第1回転体106に正逆転動作を繰り返して実行させる。これにより、係合部105cを第1間隔S1内に位置させることができる。
【0146】
・第2間隔S2よりも小さな第3間隔があってもよい。第3間隔があるときも、第2回転体103の複数の凸部が所定の位置に位置するときに、第1流路101bと、第1流路101bと異なる2つ以上の流路のうち何れかと、が連通するように、第2回転体103において凸部が設けられればよい。また、第3間隔は第2間隔S2よりも小さいため、第2間隔S2を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角は、第3間隔を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角よりも大きい。そのため、第2間隔S2よりも小さな第3間隔があるときも、他の間隔のうち最も大きな間隔である第2間隔S2を構成する2つの凸部が回転中心RC1に対して形成する中心角が、第2角度θ2である。
【0147】
・第1回転体106においては、歯106eはなくてもよい。本実施形態においては、駆動歯車109と既に噛み合っている第2歯車107が第1回転体106を牽引した状態で、第1回転体106の歯106eと駆動歯車109の歯108eとが噛み合うことで、駆動歯車109が第1回転体106を回転させる。しかし、第2歯車107が第1回転体106を牽引することで第1回転体106は既に回転しているため、第2歯車107が第1回転体106を牽引したままの状態で、第1回転体106を回転させ続けてもよい。すなわち、第1回転体106の歯106eはなくてもよい。
【0148】
<実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果>
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0149】
(A)切換機構は、駆動源から伝達される駆動力を受けて正転と逆転とを行う第1回転体と、前記第1回転体の回転中心を中心に回転し、外周において、複数の凸部が回転方向
に間隔をあけて設けられる第2回転体と、を備え、前記第1回転体は、前記第2回転体の前記外周に沿って変位可能な係合部を含み、前記第1回転体が正転する場合には、前記係合部が前記凸部に係合することで前記第2回転体が前記第1回転体とともに正転され、前記第1回転体が逆転する場合には、前記係合部が前記第2回転体の前記外周に沿って移動することで前記第2回転体の逆転が抑制されるように構成され、前記駆動源が前記第1回転体に正転と逆転とを順に行う正逆転動作を実行させることで、前記第2回転体の回転位置を所定の回転位置に切り換える切換機構であって、前記間隔のうち少なくとも1つの第1間隔は、他の間隔よりも大きく形成され、前記第1間隔を構成する2つの凸部が前記回転中心に対して形成する中心角を第1角度、前記他の間隔を構成する2つの凸部が前記回転中心に対して形成する中心角のうち最大の角度を第2角度としたとき、前記駆動源は、前記第1角度よりも小さく前記第2角度以上の回転角度で、前記第1回転体に前記正逆転動作を繰り返して実行させることで、前記係合部を前記第1間隔内に位置させる。
【0150】
この構成によれば、第1間隔を構成する2つの凸部が回転中心に対して形成する中心角が第1角度であり、他の間隔を構成する2つの凸部が回転中心に対して形成する中心角のうち最大の角度が第2角度である。そして、正逆転動作における回転角度は第1角度よりも小さく第2角度以上である。正逆転動作における回転角度は第1角度よりも小さいため、係合部が第1間隔内に配置されているときは、正逆転動作が何度行われても、係合部がその第1間隔内から外に出ることなく、係合部がその第1間隔内に配置される。また、正逆転動作における回転角度は第2角度以上であるため、係合部が他の間隔内に配置されているときは、正逆転動作によって係合部が逆転方向側の何れかの間隔内に配置される。そして、繰り返して実行される正逆転動作によって係合部が第1間隔内に配置される。つまり、意図しない事象によって第2回転体の回転位置が不明になった場合でも、位置検出器を有することなく、第1回転体がその回転角度での正逆転動作を繰り返して実行することで、第2回転体を第1間隔内に配置することができる。
【0151】
(B)上記切換機構において、前記駆動源は、前記外周に設けられる前記凸部の数よりも1少ない数以上の繰り返し回数で、前記第1回転体に前記正逆転動作を繰り返して実行させることで、前記係合部を前記第1間隔内に位置させてもよい。
【0152】
この構成によれば、係合部が他の間隔内に配置されているときは、正逆転動作によって係合部が逆転方向側の何れかの間隔内に配置される。係合部が逆転方向側に位置する第1間隔から最も遠い他の間隔内に配置されているときに、係合部が第1間隔内に配置されるための繰り返し回数が最も多くなる。このようなときも、第2回転体の外周に設けられる凸部の数よりも1少ない数の繰り返し回数で第1回転体が正逆転動作を実行すると、係合部が第1間隔内に配置される。すなわち、第2回転体の外周に設けられる凸部の数よりも1少ない数以上の繰り返し回数で、第1回転体に正逆転動作を繰り返して実行させることで、第2回転体を第1間隔内に配置することができる。
【0153】
(C)上記切換機構において、前記係合部が前記第1間隔内に位置するときに、前記駆動源は、前記第1角度以上の所定の回転角度で、前記第1回転体に前記正逆転動作を実行させることで、前記第2回転体の回転位置を所定の回転位置に切り換えてもよい。
【0154】
この構成によれば、係合部が第1間隔内に位置するときに行われる正逆転動作における回転角度は第1角度以上であるため、正転のときに、係合部は第1間隔を形成する凸部のうち正転方向側の凸部を押圧することで、第2回転体を移動させる。その回転角度は、第2回転体を所定の回転位置まで回転させる回転角度に設定されるため、1回の正逆転動作で第2回転体を狙った回転位置に回転させることができる。すなわち、切換時間を短縮できる。
【0155】
(D)上記切換機構において、前記第1回転体は、前記係合部を前記第2回転体の外周に向けて付勢する第1付勢部材を有してもよい。
この構成によれば、係合部が第2回転体の外周から外れることを抑制できる。
【0156】
(E)流路切換機構は、上記切換機構と、第1流路および該第1流路と異なる2つ以上の流路を有し、回転弁が回転することで、前記異なる2つ以上の流路のうち前記第1流路と連通する流路を切換可能な前記回転弁と、を備え、前記回転弁は前記第2回転体とともに回転可能であるとともに、前記第2回転体の複数の前記凸部のうち所定の凸部が所定の位置に位置するときに、前記第1流路と、前記異なる2つ以上の流路のうち何れかと、が連通する。
【0157】
この構成によれば、上記切換機構において、係合部が正転のときに第2回転体の所定の凸部に係合した状態で所定の凸部を押圧することで、第2回転体を狙った回転位置に回転させる。これにより、第2回転体の複数の凸部を所定の位置に位置させることができる。このとき、第2回転体とともに回転する回転弁が所定の回転位置に位置するため、第1流路と、第1流路異なる2つ以上の流路のうち何れかと、が連通する。すなわち、上記切換機構によって、第1流路と連通する流路を切り換えることができる。
【0158】
また、流路切換機構が上記切換機構を有することで、上記切換機構(A)~(D)と同じ効果を得ることができる。
(F)上記流路切換機構において、一端が前記第1流路と連通するポンプと、前記駆動源から伝達される前記駆動力を受けて前記ポンプを駆動する駆動回転体と、を備え、前記第1回転体は、前記駆動回転体を介して前記駆動源から伝達される前記駆動力を受けてもよい。
【0159】
この構成によれば、1つの駆動源からの駆動力だけでポンプ駆動と流路切換とを行うことができる。すなわち、装置の構成を簡単にすることができる。
(G)上記流路切換機構において、前記駆動回転体は第2係合部を有し、前記ポンプは、回転方向において前記第2係合部と係合可能な被係合部を有し、前記第2係合部が前記被係合部に係合した状態で前記駆動回転体が回転することにより前記ポンプが駆動され、前記ポンプが駆動される間は、前記駆動回転体と前記第1回転体との接続が切り離されてもよい。
【0160】
この構成によれば、ポンプが駆動される間は、駆動回転体と第1回転体との接続が切り離されるため、流路切換機構は流路を切り換えられない状態になる。そのため、ポンプが駆動されている間に流路が切り換えられることを抑制できる。
【0161】
(H)上記流路切換機構において、前記第2係合部が前記被係合部に係合しない領域で前記駆動回転体が正転と逆転とを行うことにより、前記第1流路と連通する流路が切り換えられてもよい。
【0162】
この構成によれば、駆動回転体におけるポンプが駆動されない回転範囲において、流路を切り換えることができる。そのため、流路が切り換えられている間にポンプが駆動されることを抑制できる。
【0163】
(I)液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出する液体吐出部と、液体を収容する液体収容体から前記液体吐出部に液体を供給する供給流路と、前記ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップと、一端が前記供給流路の途中に接続される分岐流路と、一端が前記キャップに接続される排出流路と、駆動源と、上記流路切換機構と、を備え、前記ポンプは吸引ポンプであり、前記分岐流路の他端は、前記第1流路と異なる2つ以上の流路のう
ちの第2流路に接続され、前記排出流路の他端は、前記第1流路と異なる2つ以上の流路のうちの第3流路に接続される。
【0164】
この構成によれば、液体吐出装置において、上記流路切換機構が、液体吐出部に液体を供給する供給流路の途中に接続される分岐流路と、ノズルが開口する閉空間を形成可能なキャップに接続される排出流路と、に接続される。これにより、液体吐出装置において、ポンプが排出流路を通じてノズルから液体を吸引する状態と、ポンプが供給流路から液体を吸引する状態と、ポンプがレリースされた状態とを切り換えることができる。
【0165】
また、液体吐出装置が上記流路切換機構を備えることで、上記流路切換機構(F)~(H)と同じ効果を得ることができる。
(J)流路切換機構は、駆動源から伝達される駆動力を受けて回転可能な駆動回転体と、前記駆動回転体を介して前記駆動力を受けるポンプと、前記駆動回転体を介して前記駆動力を受け、複数の流路のうち前記ポンプと連通する流路を切換可能な切換機構と、を備え、前記駆動回転体は第2係合部を有し、前記ポンプは、回転方向において前記第2係合部と係合可能な被係合部を有し、前記第2係合部が前記被係合部に係合しない領域で前記駆動回転体が正転および逆転を行うことにより前記ポンプが連通する流路が切り換えられ、前記第2係合部が前記被係合部に係合した状態で前記駆動回転体が回転することにより前記ポンプが駆動される。
【0166】
この構成によれば、ポンプが駆動される間は、駆動回転体と第1回転体との接続が切り離されるため、流路切換機構は流路を切り換えられない状態になる。また、駆動回転体におけるポンプが駆動されない回転範囲において、流路を切り換えることができる。そのため、流路が切り換えられている間にポンプが駆動されることを抑制でき、ポンプが駆動されている間に流路が切り換えられることを抑制できる。
【符号の説明】
【0167】
11…複合機、12…液体吐出装置、13…画像読取装置、15…操作部、16…表示部、17…操作パネル、18…液体収容体、19…保持部、20…筐体、26…液体供給装置、27…供給流路、27a…第1供給路、27b…第2供給路、30…液体吐出部、30a…ノズル面、31…ノズル、33…キャリッジ、40…メンテナンス装置、41…キャップ、42…排出流路、42a…一端、42b…他端、43…チューブ、44…流路切換機構、45…ポンプ、45a…一端、45b…他端、46…排出回収流路、47…廃液収容部、50…液体貯留部、51…貯留室、96…分岐流路、96a…一端、96b…他端、97…吸引装置、100…制御部、101…ハウジング、101a…内周面、101b…第1流路、101c…第2流路、101d…第3流路、102…回転弁、102a…外周面、102b…溝、102c…溝端部、102d…溝端部、103…第2回転体、103a…内周面、103b…凸部、103c…凸部、103d…凸部、103e…外周、103f…側面、103g…斜面、103h…凸部、103i…凸部、104…第1付勢部材、104a…引掛部、104b…引掛部、105…係合部材、105a…孔部、105b…被引掛部、105c…係合部、105f…側面、105g…斜面、106…第1回転体、106a…内周面、106b…軸部、106c…被引掛部、106d…係止部、106e…歯、106f…切欠部、106g…端部、106h…切欠部、106i…端部、106m…歯列部、106n…歯欠部、107…第2歯車、107a…内周面、107b…被係止部、107c…被係止部、107d…溝部、107e…歯、107f…切欠部、107g…端部、107h…切欠部、107i…端部、107m…歯列部、107n…歯欠部、108…第1歯車、108a内周面、108b…接合部、108c…接合部、108e…歯、109…駆動回転体としての駆動歯車、109a…第2係合部、109e…歯、110…ポンプ駆動軸、110a…被係合部、110b…軸受部、110c…端部、110d…端部、111…ローラー、111a…軸、111b…外周面、112…チュー
ブ、113…第2付勢部材、114…駆動源、117…摩擦クラッチ、118…遅延伝達機構、119…駆動部、120…切換機構、θ1…第1角度、θ2…第2角度、Φ1…第1回転角度、Φ2…第2回転角度、Ψ…揺動角、BS…気泡排出機構、D1…回転中心から離れる方向、D2…回転中心に近づく方向、P1…押圧位置、P2…レリース位置、RC1…回転中心、RC2…回転中心、S1…第1間隔、S2…他の間隔としての第2間隔、W1…正転方向、W2…逆転方向、X…走査方向、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32