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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】乗車地設定方法及び乗車地設定装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20241210BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20241210BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241210BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241210BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021072439
(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公開番号】P2022166970
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福山 祥代
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 政康
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 奈都
(72)【発明者】
【氏名】中田 雄大
【審査官】宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165786(JP,A)
【文献】国際公開第2020/201802(WO,A1)
【文献】特開2020-008969(JP,A)
【文献】特開2022-160148(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0370702(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G16Y 10/40
G16Y 20/20
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定する乗車地設定方法であって、
前記ユーザから乗車要求を受け付けて複数の乗車候補地を抽出し、
前記複数の乗車候補地において、前記ユーザが前記サービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出し、
算出された前記待機時間帯に前記複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、
前記ユーザが、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定し、
前記ユーザが重症化リスクの高いユーザである場合には、抽出された前記他のユーザについて、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定し、
前記他のユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、前記他のユーザを感染症に感染の可能性が高い他のユーザであると判定し、
前記複数の乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高いと判定された前記他のユーザが少ない乗車候補地を優先して前記ユーザの乗車地に設定する
ことを特徴とする乗車地設定方法。
【請求項2】
ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定する乗車地設定方法であって、
前記ユーザから乗車要求を受け付けて複数の乗車候補地を抽出し、
前記複数の乗車候補地において、前記ユーザが前記サービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出し、
算出された前記待機時間帯に前記複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、
前記ユーザが、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定し、
前記ユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、前記ユーザを感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定し、
前記ユーザが感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定された場合には、抽出された前記他のユーザについて、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定し、
前記複数の乗車候補地の中から、重症化リスクの高い前記他のユーザが少ない乗車候補地を優先して前記ユーザの乗車地に設定する
ことを特徴とする乗車地設定方法。
【請求項3】
前記ユーザまたは前記他のユーザが、高齢者、乳幼児、持病または基礎疾患を有する者、重度の肥満者または妊婦である場合に、前記ユーザまたは前記他のユーザを感染症に感染した場合に重症化リスクの高いユーザであると判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の乗車地設定方法。
【請求項4】
ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定するコントローラを備えた乗車地設定装置であって、
前記コントローラは、
前記ユーザから乗車要求を受け付けて複数の乗車候補地を抽出し、
前記複数の乗車候補地において、前記ユーザが前記サービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出し、
算出された前記待機時間帯に前記複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、
前記ユーザが、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定し、
前記ユーザが重症化リスクの高いユーザである場合には、抽出された前記他のユーザについて、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定し、
前記他のユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、前記他のユーザを感染症に感染の可能性が高い他のユーザであると判定し、
前記複数の乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高いと判定された前記他のユーザが少ない乗車候補地を優先して前記ユーザの乗車地に設定する
ことを特徴とする乗車地設定装置。
【請求項5】
ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定するコントローラを備えた乗車地設定装置であって、
前記コントローラは、
前記ユーザから乗車要求を受け付けて複数の乗車候補地を抽出し、
前記複数の乗車候補地において、前記ユーザが前記サービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出し、
算出された前記待機時間帯に前記複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、
前記ユーザが、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定し、
前記ユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、前記ユーザを感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定し、
前記ユーザが感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定された場合には、抽出された前記他のユーザについて、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定し、
前記複数の乗車候補地の中から、重症化リスクの高い前記他のユーザが少ない乗車候補地を優先して前記ユーザの乗車地に設定する
ことを特徴とする乗車地設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定する乗車地設定方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では、混雑する駅の利用を回避する代替経路をユーザに提供する情報処理システムとして、特許文献1が開示されている。特許文献1に開示された情報処理システムでは、利用駅候補の混雑情報を取得して、利用駅候補が混雑する場合には、代替利用駅を利用する代替経路を取得していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-80665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の情報処理システムでは、混雑する駅の利用を回避したとしても、感染症に感染するリスクを考慮していないので、感染症に感染した場合に重症化リスクの高い人が、感染症に感染しているリスクの高い人と混在してしまう可能性がある。そのため、重症化リスクの高い人が、感染症に感染するリスクを高めてしまうという問題点があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたものであり、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が混在することを防止して、重症化リスクの高い人が感染症に感染するリスクを低減することのできる乗車地設定方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る乗車地設定方法及びその装置は、ユーザの乗車要求により抽出された複数の乗車候補地において、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出する。そして、待機時間帯に複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、ユーザが重症化リスクの高いユーザである場合には、抽出された他のユーザについて、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。他のユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、他のユーザを感染症に感染の可能性が高い他のユーザであると判定する。その結果、複数の乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高いと判定された他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。
【0007】
また、本発明の別の一態様に係る乗車地設定方法及びその装置は、ユーザの乗車要求により抽出された複数の乗車候補地において、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出する。ユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、ユーザを感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。そして、待機時間帯に複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、ユーザが感染症に感染の可能性が高いと判定されたユーザである場合には、抽出された他のユーザについて、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定する。その結果、複数の乗車候補地の中から、重症化リスクの高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が混在することを防止して、重症化リスクの高い人が感染症に感染するリスクを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置を備えた配車システムの構成を示すブロック図である。
図2A図2Aは、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置による乗車地設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図2B図2Bは、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置による乗車地設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置による乗車地の設定方法を説明するための図である。
図4図4は、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置による乗車地における待機人数の閾値の設定方法を説明するための図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置による乗車地における待機人数の閾値の設定方法を説明するための図である。
図6図6は、本発明の一実施形態に係る乗車地設定装置による感染リスク判定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0011】
[配車システムの構成]
図1は、本実施形態に係る乗車地設定装置を備えた配車システムの構成を示すブロック図である。配車システム1は、ユーザからの乗車要求に応じて、サービス車両を配車するシステムである。サービス車両は、ユーザからの乗車要求に応じて配車され、乗車地でユーザを乗せて、ユーザが希望する目的地まで移送するサービスを提供する車両である。図1に示すように、配車システム1は、サービス車両の配車を管理するサーバ10と、ユーザが所持してサービス車両への乗車を依頼するユーザ端末20と、サービス車両に搭載された車載端末30とを備えている。サーバ10は、無線又は有線のネットワークを介して、ユーザ端末20と、車載端末30に接続されている。ネットワークは、例えばインターネットであり、5Gなどのモバイル通信機能を利用するものであってもよい。
【0012】
サーバ10は、配車システム1によるサービス車両の配車を管理する。サーバ10は、図1に示すように、通信部11と、データベース13と、乗車地設定装置15を備えている。
【0013】
通信部11は、ネットワークを介して情報を送受信する機能を備えている。通信部11は、ユーザ端末20から送信された乗車要求などの所定の情報を、ネットワークを介して取得し、取得した情報をデータベース13に記録する。また、通信部11は、乗車地設定装置15で設定された乗車地や走行経路等の情報を、ネットワークを介してユーザ端末20や車載端末30に送信する。
【0014】
データベース13は、通信部11によって取得した情報やサービス車両を配車するために必要な情報を記憶する。具体的に、データベース13は、ユーザ端末20から取得した位置情報や乗車要求を記憶するとともに、ユーザが登録したユーザ情報も記憶する。また、データベース13は、サービス車両の配車に必要な情報として、サービス車両の車両情報や位置情報、配車計画などの情報とともに、地図情報なども記憶している。さらに、乗車地設定装置15によって実行される乗車地設定処理に必要な情報や処理結果等も記憶する。例えば、設定された乗車地や待機時間帯、ユーザが、重症化リスクが高いか感染リスクが高いかなどの情報も記憶する。
【0015】
乗車地設定装置15は、ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定する。このとき、乗車地設定装置15は、感染症に感染した場合に重症化リスクの高い人と、感染症に感染の可能性の高い人が混在することを防止して、重症化リスクの高い人が、感染症に感染するリスクを低減するように乗車地を設定する。
【0016】
具体的に、乗車地設定装置15は、ユーザから乗車要求を受け付けて複数の乗車候補地を抽出し、抽出された複数の乗車候補地に配車されるサービス車両を抽出し、複数の乗車候補地において、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出する。そして、算出された待機時間帯に複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、ユーザが、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定する。さらに、乗車地設定装置15は、ユーザが重症化リスクの高いユーザである場合には、抽出された他のユーザについて、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。その結果、複数の乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。
【0017】
また、乗車地設定装置15は、ユーザから乗車要求を受け付けて複数の乗車候補地を抽出し、抽出された複数の乗車候補地に配車されるサービス車両を抽出し、複数の乗車候補地において、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出する。そして、算出された待機時間帯に複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出し、ユーザが、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。さらに、乗車地設定装置15は、ユーザが感染症に感染の可能性が高いユーザである場合には、抽出された他のユーザについて、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定する。その結果、複数の乗車候補地の中から、重症化リスクの高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。
【0018】
このように、乗車地設定装置15は、乗車候補地の中から、感染リスクの高いユーザが少ない乗車候補地、または重症化リスクの高いユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。したがって、乗車地設定装置15は、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が混在することを防止して、重症化リスクの高い人が、感染症に感染するリスクを低減することができる。
【0019】
尚、乗車地設定装置15は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路とメモリ等の周辺機器から構成されたコントローラであり、ユーザからの乗車要求に応じて配車されたサービス車両の乗車地を設定する機能を有する。乗車地設定装置15の各機能は、1または複数の処理回路によって実装することができる。処理回路は、例えば電気回路を含む処理装置等のプログラムされた処理装置を含み、また実施形態に記載された機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置も含んでいる。
【0020】
次に、ユーザ端末20について説明する。ユーザ端末20は、ネットワークを介してサーバ10にアクセスすることができる装置であり、例えば、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレット等)などである。ユーザ端末20には、配車システム1が提供するサービスを実行するめに必要なアプリケーションがインストールされている。したがって、ユーザ端末20は、サーバ10に対して必要な情報を送信することができ、サーバ10から送信された情報を受信して表示することができる。ユーザ端末20は、図1に示すように、通信部21と、コントローラ23と、入力部25を備えている。
【0021】
通信部21は、ネットワークを介してサーバ10と情報を送受信する機能を備えており、受信した情報を図示しないメモリ等に記憶し、乗車要求等の所定の情報を送信する。例えば、通信部21は、5Gなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであればよい。
【0022】
コントローラ23は、入力部25に対するユーザの操作に基づいて、ユーザによる乗車要求を受け付ける。乗車要求の入力では、ユーザがサービス車両に乗車する乗車地の他に目的地等が入力される。
【0023】
なお、コントローラ23は、CPU(中央処理装置)、及びメモリを備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ23には、ユーザ端末20の一部として機能するためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ23は、通信部21の制御を行う。コントローラ23が備える各種の情報処理は、ソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0024】
入力部25は、ユーザからの操作を受け付ける入力インターフェイスである。例えば、入力部25は、複数のボタンで操作する装置でもよいし、タッチパネルであってもよい。
【0025】
次に、車載端末30について説明する。車載端末30は、サービス車両に搭載され、ネットワークを介してサーバ10にアクセスすることができる装置である。車載端末30には、配車システム1が提供するサービスを実行するために必要なアプリケーションがインストールされている。したがって、車載端末30は、サーバ10に対して必要な情報を送信することができ、サーバ10から送信された情報を受信して表示することができる。車載端末30は、図1に示すように、通信部31と、コントローラ33を備えている。
【0026】
通信部31は、ネットワークを介してサーバ10と情報を送受信する機能を備えており、受信した情報を図示しないメモリ等に記憶し、サービス車両の位置情報等の所定の情報を送信する。例えば、通信部31は、5Gなどのモバイル通信機能を備えたデバイスであればよい。
【0027】
コントローラ33は、サーバ10から送信された走行経路をディスプレイに表示して、サービス車両の運転者に走行ルートを指示する。また、コントローラ33は、サービス車両の位置情報を定期的にサーバ10に送信する。
【0028】
なお、コントローラ33は、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力部を備える汎用のマイクロコンピュータである。コントローラ33には、車載端末30の一部として機能するためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ33は、通信部31の制御を行う。コントローラ33が備える各種の情報処理は、ソフトウェアによって実現されるものであってもよいし、専用のハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0029】
[乗車地の設定方法]
次に、本実施形態に係る乗車地設定装置15による乗車地の設定方法を説明する。図2A、2Bは、本実施形態に係る乗車地設定装置15による乗車地設定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0030】
図2Aに示すように、ステップS101において、乗車地設定装置15は、ユーザ端末20から送信された乗車要求を、通信部11を介して受け付ける。乗車要求には、ユーザが希望する乗車地、乗車時間及び目的地等の乗車条件に加えて、ユーザの位置情報が含まれている。
【0031】
ステップS103において、乗車地設定装置15は、ステップS101で受け付けた乗車要求に応じて、複数の乗車候補地を抽出する。例えば、図3に示すように、ユーザが鉄道の駅でサービス車両に乗り換えて目的地まで移動する場合には、乗車候補地として、乗車地A~Cが抽出される。
【0032】
ステップS105において、乗車地設定装置15は、ステップS103で抽出された複数の乗車候補地のそれぞれについて、乗車候補地から目的地までの走行経路を探索する。例えば、図3に示すように、乗車候補地として、乗車地A~Cが抽出されている場合には、乗車地Aを経由する経路Aと、乗車地Bを経由する経路Bと、乗車地Cを経由する経路Cが探索される。
【0033】
ステップS107において、乗車地設定装置15は、ステップS103で抽出された乗車候補地のそれぞれについて、配車可能なサービス車両を抽出する。乗車地設定装置15は、各乗車候補地に最初に到着できるサービス車両を抽出する。
【0034】
ステップS109において、乗車地設定装置15は、ステップS107で抽出された各サービス車両から位置情報を受信する。
【0035】
ステップS111において、乗車地設定装置15は、ステップS103で抽出された乗車候補地のそれぞれについて、ユーザの到着時刻を算出する。乗車地設定装置15は、ユーザの位置情報から、各乗車候補地にユーザが到着できる時刻を算出する。ユーザが徒歩で移動している場合には歩行速度から到着時刻を算出すればよいし、図3に示すようにユーザが鉄道で移動している場合には、列車の到着時刻から算出すればよい。
【0036】
ステップS113において、乗車地設定装置15は、ステップS103で抽出された乗車候補地のそれぞれについて、ステップS107で抽出されたサービス車両の到着時刻を算出する。
【0037】
ステップS115において、乗車地設定装置15は、ステップS103で抽出された乗車候補地のそれぞれについて、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯を算出する。乗車地設定装置15は、ステップS111で算出されたユーザの到着時刻と、ステップS113で算出されたサービス車両の到着時刻に基づいて、各乗車候補地でユーザが乗車待ちをする待機時間帯を算出する。具体的に、待機時間帯は、ユーザの到着時刻からサービス車両の到着時刻までの時間帯であり、例えば12時10分から12時20分までの時間帯として算出される。
【0038】
ステップS117において、乗車地設定装置15は、ステップS115で算出された待機時間帯に各乗車候補地を利用する他のユーザを抽出する。乗車地設定装置15は、配車システム1を介して乗車要求を行った他のユーザの中から、ステップS115で算出された待機時間帯と同一の時間帯に、ステップS103で抽出された各乗車候補地を利用する他のユーザを抽出する。例えば、図3に示すように、乗車候補地として、乗車地A~Cが抽出されている場合には、算出された待機時間帯に乗車地A~Cを利用する他のユーザを抽出する。
【0039】
ステップS119において、乗車地設定装置15は、各乗車候補地における待機人数を算出し、待機人数が閾値未満となる乗車候補地を抽出する。乗車地設定装置15は、ステップS117で抽出された他のユーザの人数をカウントして乗車候補地毎に待機人数を算出し、算出された待機人数が予め設定されている閾値未満となる乗車候補地を抽出する。
【0040】
尚、待機人数の閾値は、行政機関が作成する感染防止ガイドラインにしたがって設定される。ガイドラインでは、人と人の間を2m間隔にすることが推奨されているので、図4に示すように、サービス車両の乗車地点Xと他のバスやタクシーの乗車地点Yの間の距離を2m間隔に区切って、待機人数の閾値を設定する。また、2列で並ぶ場合には、図5に示すように、2m×2mのスペースが確保できるように待機人数の閾値を設定する。
【0041】
図2Bに示すように、ステップS121において、乗車地設定装置15は、ユーザが感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。乗車地設定装置15は、ユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、ユーザを感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。具体的に、乗車地設定装置15は、図6のフローチャートにしたがって、ユーザが感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。
【0042】
図6に示すように、ステップS201において、乗車地設定装置15は、ユーザが感染症の潜伏期間内に判定条件を満たす滞在履歴があるか否かを判定する。具体的な判定条件は、感染症の潜伏期間、例えば過去1~12.5日の間に、以下に示す(1)のa)またはb)に該当する特定施設に、(2)を満たして滞在することである。尚、滞在履歴については、ユーザ端末20の位置情報から取得すればよい。
(1)特定施設の特性
a)3密の条件を満たす施設
密閉:ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合しない屋内空間
密集:標準的な運用形態において最大収容人数利用時の密度が0.5人/m以上
密接:1m以内の距離で会話や発声が行われる
b)ユーザの利用日に感染者が発生、もしくは過去に感染者が発生し、感染回避の対策が公表されていない
(2)滞在時間及び滞在頻度
15分/回以上、かつ1回以上滞在
【0043】
そして、この判定の結果、判定条件を満たす滞在履歴がある場合には、ステップS203に進み、ステップS203において、乗車地設定装置15は、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。一方、判定条件を満たす滞在履歴がない場合には、ステップS205に進む。
【0044】
ステップS205において、乗車地設定装置15は、ユーザの潜伏期間内の移動履歴に一部欠損があるか否かを判定する。そして、移動履歴に欠損がない場合には、ステップS207に進み、ステップS207において、乗車地設定装置15は、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザではないと判定する。一方、移動履歴に欠損がある場合には、ステップS209に進む。尚、移動履歴については、ユーザ端末20の位置情報から取得すればよい。また、移動履歴がない場合と欠損がある場合を区別するために、移動履歴が取得できている日時を記録しておくようにする。
【0045】
ステップS209において、乗車地設定装置15は、潜伏期間以前のユーザの移動履歴情報を取得できるか否かを判定し、移動履歴情報を取得できる場合にはステップS211に進み、移動履歴情報を取得できない場合には、ステップS213に進む。
【0046】
ステップS211において、乗車地設定装置15は、潜伏期間以前の滞在履歴から推計して、潜伏期間内に判定条件を満たす滞在の発生が想定されるか否かを判定する。具体的に、乗車地設定装置15は、潜伏期間以前の移動履歴情報から潜伏期間以前の期間における上記特定施設の平均滞在頻度(回/日)を算出し、観測されている最後の滞在記録以降に、算出した平均滞在頻度で滞在が発生したと仮定して滞在発生日を推計する。そして、推計した滞在発生日のうち潜伏期間に含まれるものが有れば、判定条件を満たす滞在の発生が想定されると判定し、潜伏期間に含まれるものが無ければ、判定条件を満たす滞在の発生は想定されないと判定する。
【0047】
この結果、判定条件を満たす滞在の発生が想定されると判定された場合には、ステップS203に進み、ステップS203において、乗車地設定装置15は、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。一方、判定条件を満たす滞在の発生が想定されないと判定された場合には、ステップS207に進み、ステップS207において、乗車地設定装置15は、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザではないと判定する。
【0048】
次に、ステップS209で移動履歴情報が取得できない場合について説明する。この場合にはステップS213に進み、ステップS213において、乗車地設定装置15は、ユーザ登録時のアンケートによりユーザの嗜好情報が獲得できているか否かを判定する。そして、獲得できている場合にはステップS215に進み、獲得できていない場合にはステップS203に進む。ステップS203において、乗車地設定装置15は、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。
【0049】
ステップS215において、乗車地設定装置15は、嗜好の類似するユーザ集合の滞在履歴から推計して、潜伏期間内に判定条件を満たす滞在の発生が想定されるか否かを判定する。具体的に、乗車地設定装置15は、ユーザ登録時に施設訪問に関する嗜好を確認するアンケートを実施し、嗜好の類似するユーザ集合が特定施設に滞在する平均滞在頻度の代表値(中央値、平均値等)を算出する。そして、乗車地設定装置15は、その代表値(中央値、平均値等)を用いて、ユーザの特定施設への滞在が潜伏期間中に発生するか否かを推計する。
【0050】
この結果、乗車地設定装置15は、ユーザの特定施設への滞在が潜伏期間中に発生する場合には、判定条件を満たす滞在の発生が想定されると判定してステップS203に進み、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。一方、ユーザの特定施設への滞在が潜伏期間中に発生しない場合には、判定条件を満たす滞在の発生は想定されないと判定してステップS207に進み、乗車地設定装置15は、ユーザを、感染症に感染の可能性が高いユーザではないと判定する。
【0051】
こうして、ユーザが、感染症に感染している可能性が高いユーザであるか否かが判定されると、図2のフローチャートのステップS121に戻る。ステップS121において、感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定された場合には、ステップS123に進み、感染症に感染の可能性が高いユーザではないと判定された場合には、ステップS125に進む。
【0052】
ステップS123において、乗車地設定装置15は、複数の乗車候補地の中から、重症化リスクの高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。具体的に、乗車地設定装置15は、ユーザが感染症に感染の可能性が高い場合には、ステップS119で抽出された乗車候補地の他のユーザについて、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定する。他のユーザは、配車システム1で乗車要求を行ったときに、重症化リスクが高いか否かを判定しているので、その判定結果を取得すれば、他のユーザが、重症化リスクが高いか否かを判定することができる。そこで、乗車地設定装置15は、乗車候補地毎に重症化リスクの高い他のユーザの数をカウントし、乗車候補地の中から、重症化リスクの高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。例えば、乗車地設定装置15は、重症化リスクの高い他のユーザが最も少ない乗車候補地をユーザの乗車地に設定する。
【0053】
ステップS125において、乗車地設定装置15は、ユーザが感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定する。乗車地設定装置15は、ユーザ登録時における登録情報に基づいて、ユーザが65歳以上の高齢者や5歳以下の乳幼児の属性を有する場合に、ユーザを重症化リスクの高いユーザであると判定する。また、ユーザが持病または基礎疾患を有する者やBMI(Body Mass Index)が30以上の重度の肥満者、妊婦の属性を有する場合にも、ユーザを重症化リスクの高いユーザであると判定する。この結果、ユーザが重症化リスクの高いユーザであると判定された場合には、ステップS127に進み、ユーザが重症化リスクの高いユーザではないと判定された場合には、ステップS129に進む。
【0054】
ステップS127において、乗車地設定装置15は、複数の乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。具体的に、乗車地設定装置15は、ユーザが重症化リスクの高いユーザである場合には、ステップS119で抽出された乗車候補地の他のユーザについて、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。他のユーザは、配車システム1で乗車要求を行ったときに、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定しているので、その判定結果を取得すれば、他のユーザが、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定することができる。そこで、乗車地設定装置15は、乗車候補地毎に感染症に感染の可能性が高い他のユーザの数をカウントし、乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。例えば、乗車地設定装置15は、感染症に感染の可能性が高い他のユーザが最も少ない乗車候補地をユーザの乗車地に設定する。
【0055】
ステップS129において、乗車地設定装置15は、ステップS123またはS127で設定された乗車地から目的地までの経路を算出し、算出された経路と設定された乗車地をユーザ端末20に送信してユーザに提示する。目的地までの経路は、例えば、所要時間が最短となる経路を提示する。尚、ユーザが、感染リスクが高くないユーザで(ステップS121でNoの場合)、重症化リスクも高くないユーザである場合(ステップS125でNoの場合)には、目的地までの所要時間が最短となる乗車地と経路を提示すればよい。
【0056】
ステップS131において、乗車地設定装置15は、ステップS129で提示した乗車地と目的地までの経路を、ユーザが承認すると、提示した乗車地と目的地までの経路を確定する。また、ステップS107において、乗車地に配車可能なサービス車両が抽出されているので、乗車地が確定するのと同時にサービス車両も確定する。
【0057】
ステップS133において、乗車地設定装置15は、ステップS131で確定した乗車地と目的地までの経路とサービス車両を、データベース13に記録する。同時に、乗車地設定装置15は、待機時間帯やユーザが重症化リスクの高いユーザであるか否か、感染症に感染している可能性が高いか否かもデータベース13に記録する。こうして、乗車地と目的地までの経路が確定し、データベース13に記録されると、本実施形態に係る乗車地設定処理を終了する。
【0058】
[実施形態の効果]
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る乗車地設定装置15では、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯に複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出する。そして、ユーザが重症化リスクの高いユーザである場合には、抽出された他のユーザについて、感染症に感染の可能性が高いか否かを判定する。その結果、乗車地設定装置15は、複数の乗車候補地の中から、感染症に感染の可能性が高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。これにより、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が待機時間帯に乗車地で混在することを防止できるので、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が接触するリスクの少ない乗車地を設定することができる。したがって、重症化リスクの高い人が、感染症に感染するリスクを低減することができる。
【0059】
また、本実施形態に係る乗車地設定装置15では、ユーザがサービス車両の乗車待ちをする待機時間帯に複数の乗車候補地を利用する他のユーザを抽出する。そして、ユーザが感染症に感染の可能性が高いユーザである場合には、抽出された他のユーザについて、感染症に感染した場合に重症化リスクが高いか否かを判定する。その結果、乗車地設定装置15は、複数の乗車候補地の中から、重症化リスクの高い他のユーザが少ない乗車候補地を優先してユーザの乗車地に設定する。これにより、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が待機時間帯に乗車地で混在することを防止できるので、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が接触するリスクの少ない乗車地を設定することができる。したがって、重症化リスクの高い人が、感染症に感染するリスクを低減することができる。
【0060】
さらに、本実施形態に係る乗車地設定装置15では、ユーザまたは他のユーザが、感染症の潜伏期間内に感染リスクの高い施設に所定時間以上滞在した場合に、ユーザまたは他のユーザを感染症に感染の可能性が高いユーザであると判定する。これにより、感染症に感染の可能性が高いユーザを確実に検出できるので、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が待機時間帯に乗車地で混在することを防止して、重症化リスクの高い人が感染症に感染するリスクを低減することができる。
【0061】
また、本実施形態に係る乗車地設定装置15では、ユーザまたは他のユーザが、高齢者、乳幼児、持病や基礎疾患を有する者、重度の肥満者または妊婦である場合に、ユーザまたは他のユーザを感染症に感染した場合に重症化リスクの高いユーザであると判定する。これにより、感染症に感染した場合に重症化リスクの高いユーザを確実に検出できるので、重症化リスクの高い人と感染リスクの高い人が待機時間帯に乗車地で混在することを防止して、重症化リスクの高い人が感染症に感染するリスクを低減することができる。
【0062】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1 配車システム
10 サーバ
11、21、31 通信部
13 データベース
15 乗車地設定装置
20 ユーザ端末
23、33 コントローラ
25 入力部
30 車載端末
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6