(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H01H 47/12 20060101AFI20241210BHJP
H01H 47/16 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01H47/12
H01H47/16
(21)【出願番号】P 2021077476
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2024-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 毅
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-157768(JP,A)
【文献】特開平05-049107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00 - 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電磁石を含む第1リレーと、
第2電磁石を含む第2リレーと
、
前記第1リレーと前記第2リレーの各々をON/OFF制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記第1電磁石に電流を供給することによって前記第1リレーをOFF状態からON状態に変化させると共に、前記第2電磁石に電流を供給することによって前記第2リレーをOFF状態からON状態に変化させ、
前記第1リレーと前記第2リレーが前記ON状態であるときに前記第1電磁石のN極と前記第2電磁石のS極とが対向し、且つ、前記第1電磁石のS極と前記第2電磁石のN極とが対向するように、前記第1リレーと前記第2リレーは配置されている
電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リレーを備える電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電気機器における漏洩磁束を軽減する手法を開示している。電気機器は、漏洩磁束の原因となるトランスを含んでいる。そのトランスの上面に、磁束軽減用コイルが取り付けられる。磁束軽減用コイルには、トランスにより発生する漏洩磁束と逆向きの磁束が発生するように電流が流される。磁束軽減用コイルから発生する磁束により、漏洩磁束が打ち消される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、漏洩磁束を打ち消すためだけの専用コイルを追加的に設置する必要がある。このことは、電気機器のサイズの増大を招く。
【0005】
本開示の1つの目的は、電気機器のサイズを増大させることなく、電気機器における漏洩磁束を軽減することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの観点は、電気機器に関連する。
電気機器は、第1電磁石を含む第1リレーと、第2電磁石を含む第2リレーとを備える。
第1電磁石のN極と第2電磁石のS極とが対向し、且つ、第1電磁石のS極と第2電磁石のN極とが対向するように、第1リレーと第2リレーは配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、第1電磁石のN極と第2電磁石のS極とが対向し、且つ、第1電磁石のS極と第2電磁石のN極とが対向する。従って、第1電磁石と第2電磁石との間の領域における磁束密度は高くなる。逆に、第1電磁石と第2電磁石を含む領域の外側では、磁束密度は低くなる。これは、リレーからの漏洩磁束が効果的に軽減されていることを意味する。
【0008】
また、本開示によれば、漏洩磁束を軽減するためだけの専用部品を追加する必要は無い。第1リレーと第2リレーの配置を工夫するだけで、専用部品を追加することなく、漏洩磁束を軽減することが可能である。専用部品を追加する必要が無いため、電気機器のサイズの増大が防止される。すなわち、電気機器の小型化及び軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施の形態に係る電気機器の構成例を概略的に示すブロック図である。
【
図2】本開示の実施の形態に係るリレーの構成例を示す回路図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る一対のリレーの電磁石の配置を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態を説明する。
【0011】
図1は、本実施の形態に係る電気機器1の構成例を概略的に示すブロック図である。電気機器1は、少なくとも一対のリレー10を含んでいる。一対のリレー10は、第1リレー10-1と第2リレー10-2からなる。第1リレー10-1と第2リレー10-2は、同型式であってもよい。
【0012】
また、電気機器1は、第1リレー10-1と第2リレー10-2の各々をON/OFF制御する制御装置20を含んでいる。より詳細には、制御装置20は、第1リレー10-1と第2リレー10-2の各々のコイルに電流を供給するように構成されている。電流供給をON/OFFすることによって、第1リレー10-1と第2リレー10-2の各々をON/OFFすることができる。制御装置20は、第1リレー10-1と第2リレー10-2を同時にON/OFFしてもよい。
【0013】
第1リレー10-1は、電気回路30-1に接続されている。第1リレー10-1がON/OFFされることにより、電気回路30-1もON/OFFされる。第2リレー10-2は、電気回路30-2に接続されている。第2リレー10-2がON/OFFされることにより、電気回路30-2もON/OFFされる。
【0014】
図2は、各リレー10の構成例を示す回路図である。リレー10は、電磁石11とスイッチ(接点)15を含んでいる。電磁石11は、コイル12と鉄芯を含んでいる。コイル12は、端子13を介して制御装置20に接続されている。スイッチ15は、可動接点15aと固定接点15bを含んでいる。スイッチ15は、端子16を介して電気回路30に接続されている。コイル12には、制御装置20から電流が供給される。コイル12に電流が供給されることにより、電磁石11が磁場を発生し、可動接点15aが固定接点15bと接触し、スイッチ15がONする。すなわち、リレー10がONする。コイル12への電流供給が停止すると、電磁石11による磁場が消え、可動接点15aが固定接点15bから離れ、スイッチ15がOFFする。すなわち、リレー10がOFFする。
【0015】
このように、リレー10の電磁石11は、磁場(磁束)を発生させる。特に、永久磁石とは異なり、ON/OFFするリレー10(電磁石11)からの漏洩磁束は変動する。リレー10からの漏洩磁束は、電気機器1内の他の部品に影響を及ぼす可能性がある。例えば、
図1に示される例では、電気機器1は、磁束に基づいて物理量を検出するセンサ40(例:電流センサ)を含んでいる。リレー10からの漏洩磁束は、センサ40の検出精度に影響を及ぼすおそれがある。従って、電気機器1における漏洩磁束を軽減することが望まれる。
【0016】
本実施の形態に係る電気機器1は、漏洩磁束を軽減するために、一対のリレー10の電磁石11の配置に特徴を有する。
【0017】
図3は、本実施の形態に係る一対のリレー10の電磁石11の配置を説明するための概念図である。第1リレー10-1は、第1電磁石11-1を含み、第2リレー10-2は、第2電磁石11-2を含んでいる。第1電磁石11-1と第2電磁石11-2は、互いに近接し且つ対向するように配置されている。
【0018】
特に、
図3は、第1リレー10-1と第2リレー10-2の両方がONしている状態を示している。第1電磁石11-1のコイル12に電流が供給されることにより、第1電磁石11-1には磁極が発生し、第1電磁石11-1から磁場が発生する。同様に、第2電磁石11-2のコイル12に電流が供給されることにより、第2電磁石11-2には磁極が発生し、第2電磁石11-2から磁場が発生する。
図3に示されるように、通電時、第1電磁石11-1のN極と第2電磁石11-2のS極とが対向し、且つ、第1電磁石11-1のS極と第2電磁石11-2のN極とが対向するように、第1リレー10-1と第2リレー10-2は配置されている。言い換えれば、第1電磁石11-1のN極と第2電磁石11-2のS極とが対向し、且つ、第1電磁石11-1のS極と第2電磁石11-2のN極とが対向するように、制御装置20から一対のリレー10のコイル12に電流が供給される。
【0019】
第1電磁石11-1のN極と第2電磁石11-2のS極とが対向し、且つ、第1電磁石11-1のS極と第2電磁石11-2のN極とが対向するため、第1電磁石11-1と第2電磁石11-2との間の領域における磁束密度は高くなる。逆に、第1電磁石11-1と第2電磁石11-2を含む領域の外側では、磁束密度は低くなる。これは、一対のリレー10からの漏洩磁束が効果的に軽減されていることを意味する。
【0020】
ここで、本実施の形態によれば、上述の特許文献1の場合とは異なり、漏洩磁束を軽減するためだけの専用部品を追加する必要が無いことに留意されたい。第1リレー10-1も第2リレー10-2も、通常の部品であり、漏洩磁束を軽減するためだけの専用部品ではない。第1リレー10-1と第2リレー10-2の配置を工夫するだけで、専用部品を追加することなく、漏洩磁束を軽減することが可能なのである。漏洩磁束軽減のための専用部品を追加する必要が無いため、電気機器1のサイズの増大が防止される。すなわち、電気機器1の小型化及び軽量化が可能となる。
【0021】
また、一対のリレー10からの漏洩磁束が軽減されるため、センサ40(例:電流センサ)の配置に関する制限も緩和される。そのことを説明するために、まず、
図4に示される比較例について説明する。比較例では、本実施の形態のようなリレー配置は採用されておらず、リレー10(電磁石11)からの漏洩磁束の影響は大きい。センサ40の検出精度を確保するためには、センサ40をリレー10から遠く離して配置する必要がある。つまり、リレー10とセンサ40との間の隔離距離を大きく設定せざるを得ない。このことも、電気機器1のサイズの増大を招く。
【0022】
一方、本実施の形態によれば、一対のリレー10からの漏洩磁束が軽減される。そのため、
図3に示されるようにセンサ40をリレー10のより近くに配置しても、センサ40の検出精度は低下しない。言い換えれば、センサ40の検出精度を確保しながら、センサ40とリレー10との間の隔離距離を短くすることが可能となる。このことも、電気機器1の小型化に寄与する。
【0023】
以上に説明されたように、本実施の形態によれば、電気機器1のサイズを増大させることなく、電気機器1における漏洩磁束を軽減することが可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 電気機器
10 リレー
10-1 第1リレー
10-2 第2リレー
11 電磁石
11-1 第1電磁石
11-2 第2電磁石
12 コイル
15 スイッチ
20 制御装置
30 電気回路
40 センサ