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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】分析システムおよび分析方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/02 20060101AFI20241210BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20241210BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20241210BHJP
   G01N 30/86 20060101ALI20241210BHJP
   G01N 30/24 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G01N30/02 Z
G01N30/26 M
G01N30/46 E
G01N30/86 D
G01N30/24 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021088826
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022075478
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-10-20
(31)【優先権主張番号】63/110,006
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】アンディ ササキ
(72)【発明者】
【氏名】ケリー ヒル
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー リー
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169350(JP,A)
【文献】特開2014-029270(JP,A)
【文献】国際公開第2018/131068(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/122261(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/006410(WO,A1)
【文献】特開2013-200231(JP,A)
【文献】特開2018-173302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 - 30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と
前記複数のチャンネル部のうち、1以上のチャンネル部に個別に対応する検量線を作成する設定と、2以上のチャンネル部に共通に対応する検量線を作成する設定との選択を受け付ける検量線設定部と、
前記検量線設定部において選択された設定と、当該設定に関するチャンネル部に導かれた試料とに基づいて、当該チャンネル部で使用される検量線を作成する検量線作成部とを備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記表示制御部は、前記検量線設定部において選択された設定を示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させる、分析システム。
【請求項2】
前記複数のチャンネル部の各々は、前記移動相供給部により供給された移動相とともに前記試料供給部により供給された試料を前記分析カラムに導く第1の接続状態と、前記移動相供給部により供給された移動相により前記分析カラムにトラップされた試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く第2の接続状態とに切り替え可能な高圧バルブをさらに含む、請求項1記載の分析システム。
【請求項3】
前記分析システムは、さらに洗浄液を供給する洗浄液供給部とともに用いられ、
前記流路切替部は、前記試料供給部により供給される試料または前記洗浄液供給部により供給される洗浄液を前記複数のチャンネル部に選択的に導き、
前記複数のチャンネル部の各々は、前記移動相供給部により供給された移動相を前記試料供給部を通して前記分析カラムに導く第1の接続状態と、前記移動相供給部により供給された移動相を前記試料供給部を通さずに前記分析カラムに導きつつ前記洗浄液供給部により供給された洗浄液を前記試料供給部に導く第2の接続状態とに切り替え可能な高圧バルブをさらに含む、請求項1記載の分析システム。
【請求項4】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成するバッチ生成部と、
前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を制御する分析実行部と
電源制御部とを備え
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記表示制御部は、前記試料供給部、前記検出器および前記移動相供給部のうち、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルの実行終了の際に電源をオフにする対象の設定と、前記分析実行部のシャットダウンの際に電源をオフにする対象の設定とを受け付けるための画面を前記制御画面として前記表示部に表示させ、
前記電源制御部は、前記制御画面において受け付けられた設定に従って、前記試料供給部、前記検出器または前記移動相供給部の電源をオフにす分析システム。
【請求項5】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成するバッチ生成部と、
前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を制御する分析実行部とを備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記表示制御部は、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルのテーブルと、現在のチャンネル部の接続状態を示す流路図とを示すとともに、分析シーケンスにおける現在の進捗段階に対応するバッチファイルの部分を他の部分と識別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させる分析システム。
【請求項6】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
各チャンネル部がエラーの発生により使用不可能な状況にあるか否かを判定する判定部とを備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記表示制御部は、使用可能な状況にあるチャンネル部とエラーの発生により使用不可能な状況にあるチャンネル部とを区別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させる分析システム。
【請求項7】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、
前記検出器による試料の検出データを処理するデータ処理部と、
タイミング設定部と備え、
を備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記表示制御部は、前記試料供給部、いずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作期間のグラフを示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させ、
前記タイミング設定部は、前記試料供給部による試料注入タイミング、前記いずれかのチャンネル部に由来する試料を前記検出器で検出するタイミングとともに、前記データ処理部において試料を検出することにより前記検出器から出力される信号を処理する期間を設定する分析システム。
【請求項8】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
分析制御装置とを備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記分析制御装置は、
データ処理部と、
前記試料供給部、前記複数のチャンネル部のうちいずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作タイミングが入力される入力部と、
試料を供給するように前記試料供給部を制御する第1の制御部と、
前記試料供給部により供給される試料が前記いずれかのチャンネル部に導かれるように前記流路切替部を制御する第2の制御部と、
前記いずれかのチャンネル部から導かれる試料を検出するように前記検出器を制御する第3の制御部と、
前記検出器による試料の検出データを処理するように前記データ処理部を制御する第4の制御部と、
前記入力部に入力された動作タイミングに従って、前記第1の制御部、前記第2の制御部、前記第3の制御部および前記第4の制御部を制御する主制御部とを含む、分析システム。
【請求項9】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、
前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと
前記複数のチャンネル部のうち、1以上のチャンネル部に個別に対応する検量線を作成する設定と、2以上のチャンネル部に共通に対応する検量線を作成する設定との選択を受け付けることと、
選択された設定と、当該設定に関するチャンネル部に導かれた試料とに基づいて、当該チャンネル部で使用される検量線を作成することとを含み、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記制御画面を前記表示部に表示させることは、選択された設定を示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることを含む、分析方法。
【請求項10】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、
前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、
いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成することと、
生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を分析実行部により制御することとを含み、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記制御画面を前記表示部に表示させることは、前記試料供給部、前記検出器および前記移動相供給部のうち、生成されたバッチファイルの実行終了の際に電源をオフにする対象の設定と、前記分析実行部のシャットダウンの際に電源をオフにする対象の設定とを受け付けるための画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることと、
前記制御画面において受け付けられた設定に従って、前記試料供給部、前記検出器または前記移動相供給部の電源をオフにすることとを含む、分析方法。
【請求項11】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、
前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、
いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成することと、
生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を分析実行部により制御することとを含み、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記制御画面を前記表示部に表示させることは、生成されたバッチファイルのテーブルと、現在のチャンネル部の接続状態を示す流路図とを示すとともに、分析シーケンスにおける現在の進捗段階に対応するバッチファイルの部分を他の部分と識別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることを含む、分析方法。
【請求項12】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、
前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、
各チャンネル部がエラーの発生により使用不可能な状況にあるか否かを判定することとを含み、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記制御画面を前記表示部に表示させることは、使用可能な状況にあるチャンネル部とエラーの発生により使用不可能な状況にあるチャンネル部とを区別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させことを含む、分析方法。
【請求項13】
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、
前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、
前記検出器による試料の検出データをデータ処理部により処理することとを含み、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記制御画面を前記表示部に表示させることは、前記試料供給部、いずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作期間のグラフを示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることと、
前記試料供給部による試料注入タイミング、前記いずれかのチャンネル部に由来する試料を前記検出器で検出するタイミングとともに、前記データ処理部において試料を検出することにより前記検出器から出力される信号を処理する期間を設定することとを含む、分析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析システムおよび分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる物質を異なる成分ごとに分離して測定する分析装置としてクロマトグラフが知られている。例えば、液体クロマトグラフにおいては、液体の移動相とともに測定対象の試料が分析カラムに導入される。分析カラムから溶出した試料は、化学的性質または組成の違いにより成分ごとに分離され、検出器により検出される。特許文献1には、6つの測定ブロックを備える液体クロマトグラフが記載されている。各測定ブロックには、分析カラム等が含まれる。6つの測定ブロックが択一的に用いられることにより、複数の条件で試料が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-169350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された液体クロマトグラフによれば、一連の測定に要する時間を短縮してスループットを向上させることができる。しかしながら、特許文献1の液体クロマトグラフの動作は、測定ブロックが単一である場合の液体クロマトグラフの動作に比べて複雑であるため、分析条件または装置の各種設定が煩雑である。また、装置に異常が起こった際、その原因をすぐに確認できない場合があり、使用者にとって分析を行う際の負担となっていた。
【0005】
したがって、本発明の目的は、ユーザビリティが向上された分析システムおよび分析方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、並列に配置された複数のチャンネル部と、前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、前記複数のチャンネル部のうち、1以上のチャンネル部に個別に対応する検量線を作成する設定と、2以上のチャンネル部に共通に対応する検量線を作成する設定との選択を受け付ける検量線設定部と、前記検量線設定部において選択された設定と、当該設定に関するチャンネル部に導かれた試料とに基づいて、当該チャンネル部で使用される検量線を作成する検量線作成部とを備え、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記表示制御部は、前記検量線設定部において選択された設定を示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させる、分析システムに関する。
本発明の第2の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、並列に配置された複数のチャンネル部と、前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成するバッチ生成部と、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を制御する分析実行部と、電源制御部とを備え、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記表示制御部は、前記試料供給部、前記検出器および前記移動相供給部のうち、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルの実行終了の際に電源をオフにする対象の設定と、前記分析実行部のシャットダウンの際に電源をオフにする対象の設定とを受け付けるための画面を前記制御画面として前記表示部に表示させ、前記電源制御部は、前記制御画面において受け付けられた設定に従って、前記試料供給部、前記検出器または前記移動相供給部の電源をオフにする、分析システムに関する。
本発明の第3の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、並列に配置された複数のチャンネル部と、前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成するバッチ生成部と、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を制御する分析実行部とを備え、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記表示制御部は、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルのテーブルと、現在のチャンネル部の接続状態を示す流路図とを示すとともに、分析シーケンスにおける現在の進捗段階に対応するバッチファイルの部分を他の部分と識別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させる、分析システムに関する。
本発明の第4の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、並列に配置された複数のチャンネル部と、前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、各チャンネル部がエラーの発生により使用不可能な状況にあるか否かを判定する判定部とを備え、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記表示制御部は、使用可能な状況にあるチャンネル部とエラーの発生により使用不可能な状況にあるチャンネル部とを区別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させる、分析システムに関する。
本発明の第5の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、並列に配置された複数のチャンネル部と、前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部と、前記検出器による試料の検出データを処理するデータ処理部と、タイミング設定部とを備え、を備え、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記表示制御部は、前記試料供給部、いずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作期間のグラフを示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させ、前記タイミング設定部は、前記試料供給部による試料注入タイミング、前記いずれかのチャンネル部に由来する試料を前記検出器で検出するタイミングとともに、前記データ処理部において試料を検出することにより前記検出器から出力される信号を処理する期間を設定する、分析システムに関する。
【0007】
本発明の第6の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、並列に配置された複数のチャンネル部と、前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、分析制御装置とを備え、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記分析制御装置は、データ処理部と、前記試料供給部、前記複数のチャンネル部のうちいずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作タイミングが入力される入力部と、試料を供給するように前記試料供給部を制御する第1の制御部と、前記試料供給部により供給される試料が前記いずれかのチャンネル部に導かれるように前記流路切替部を制御する第2の制御部と、前記いずれかのチャンネル部から導かれる試料を検出するように前記検出器を制御する第3の制御部と、前記検出器による試料の検出データを処理するように前記データ処理部を制御する第4の制御部と、前記入力部に入力された動作タイミングに従って、前記第1の制御部、前記第2の制御部、前記第3の制御部および前記第4の制御部を制御する主制御部とを含む、分析システムに関する。
【0008】
本発明の第7の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、前記複数のチャンネル部のうち、1以上のチャンネル部に個別に対応する検量線を作成する設定と、2以上のチャンネル部に共通に対応する検量線を作成する設定との選択を受け付けることと、選択された設定と、当該設定に関するチャンネル部に導かれた試料とに基づいて、当該チャンネル部で使用される検量線を作成することとを含み、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記制御画面を前記表示部に表示させることは、選択された設定を示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることを含む、分析方法に関する。
本発明の第8の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成することと、生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を分析実行部により制御することとを含み、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記制御画面を前記表示部に表示させることは、前記試料供給部、前記検出器および前記移動相供給部のうち、生成されたバッチファイルの実行終了の際に電源をオフにする対象の設定と、前記分析実行部のシャットダウンの際に電源をオフにする対象の設定とを受け付けるための画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることと、前記制御画面において受け付けられた設定に従って、前記試料供給部、前記検出器または前記移動相供給部の電源をオフにすることとを含む、分析方法に関する。
本発明の第9の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成することと、生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を分析実行部により制御することとを含み、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記制御画面を前記表示部に表示させることは、生成されたバッチファイルのテーブルと、現在のチャンネル部の接続状態を示す流路図とを示すとともに、分析シーケンスにおける現在の進捗段階に対応するバッチファイルの部分を他の部分と識別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることを含む、分析方法に関する。
本発明の第10の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、各チャンネル部がエラーの発生により使用不可能な状況にあるか否かを判定することとを含み、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記制御画面を前記表示部に表示させることは、使用可能な状況にあるチャンネル部とエラーの発生により使用不可能な状況にあるチャンネル部とを区別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させことを含む、分析方法に関する。
本発明の第11の態様は、試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることと、前記検出器による試料の検出データをデータ処理部により処理することとを含み、前記複数のチャンネル部の各々は、移動相を供給する移動相供給部と、前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、前記制御画面を前記表示部に表示させることは、前記試料供給部、いずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作期間のグラフを示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させることと、前記試料供給部による試料注入タイミング、前記いずれかのチャンネル部に由来する試料を前記検出器で検出するタイミングとともに、前記データ処理部において試料を検出することにより前記検出器から出力される信号を処理する期間を設定することとを含む、分析方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、分析システムのユーザビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る分析システムの構成を示す図である。
図2図1のクロマトグラフの構成を示す図である。
図3図2のチャンネル部の構成を示す図である。
図4】前処理時におけるクロマトグラフの動作を説明するための図である。
図5】測定時におけるクロマトグラフの動作を説明するための図である。
図6】測定時におけるクロマトグラフの動作を説明するための図である。
図7】測定時におけるクロマトグラフの動作を説明するための図である。
図8】クロマトグラフによる動作手順を示すタイムフローである。
図9】分析制御装置の構成を示す図である。
図10図9の分析実行部の機能ブロックを示す図である。
図11】第1の制御画面の一例を示す図である。
図12】第2の制御画面の一例を示す図である。
図13】第3の制御画面の一例を示す図である。
図14】第4の制御画面の一例を示す図である。
図15】第5の制御画面の一例を示す図である。
図16】第6の制御画面の一例を示す図である。
図17】第7の制御画面の一例を示す図である。
図18】分析制御プログラムにより行われる分析処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
図19】分析制御プログラムにより行われる分析処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)分析システムの構成
以下、本発明の実施の形態に係る分析システムおよび分析方法について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る分析システムの構成を示す図である。図1に示すように、分析システム500は、クロマトグラフ100、質量分析装置200および処理装置300を含む。本実施の形態では、分析システム500は、LC-MS(液体クロマトグラフ質量分析計)である。
【0012】
クロマトグラフ100は、LC(液体クロマトグラフ)を含む。クロマトグラフ100の構成については後述する。質量分析装置200は、クロマトグラフ100の検出器として用いられる。質量分析装置200に代えて、吸光度検出器、蛍光検出器または示差屈折率検出器等がクロマトグラフ100の検出器として用いられてもよい。
【0013】
処理装置300は、制御部310、RAM(ランダムアクセスメモリ)320、ROM(リードオンリメモリ)330、記憶部340、操作部350、表示部360および入出力I/F(インターフェイス)370により構成される。制御部310、RAM320、ROM330、記憶部340、操作部350、表示部360および入出力I/F370はバス380に接続される。制御部310、RAM320およびROM330は、分析制御装置400を構成する。
【0014】
制御部310は、例えば複数のCPU(中央演算処理装置)を含む。RAM320は、制御部310の作業領域として用いられる。ROM330には、システムプログラムが記憶される。記憶部340は、ハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体を含む。記憶部340には、分析制御装置400によりクロマトグラフ100を制御するための分析制御プログラムが記憶される。
【0015】
操作部350は、キーボード、マウスまたはタッチパネル等の入力デバイスであり、分析制御装置400に所定の入力または選択を行うために使用者により操作される。表示部360は、液晶表示装置等の表示デバイスであり、所定のGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)等を表示する。入出力I/F370は、クロマトグラフ100および質量分析装置200に接続される。
【0016】
図2は、図1のクロマトグラフ100の構成を示す図である。図2に示すように、クロマトグラフ100は、複数(本例では6つ)のチャンネル部10、低圧バルブ110、計量部120、洗浄液供給部130、流路切替部140,150,160および試料供給部170を含む。以下、複数のチャンネル部10を区別する場合には、複数のチャンネル部10をそれぞれチャンネル部10A~10Fと呼ぶ。チャンネル部10の構成については後述する。
【0017】
低圧バルブ110および流路切替部140,150,160は、例えば多方切替バルブである。低圧バルブ110は、3つのポート111~113を有し、ポート111,112がポート113に選択的に接続可能に構成される。計量部120は、例えば、シリンジおよびポンプ等を含み、低圧バルブ110のポート111に接続される。計量部120は、指示された分量の試料を吸引する。
【0018】
洗浄液供給部130は、例えば、脱気装置、ポンプおよび開閉バルブ等を含み、低圧バルブ110のポート112に接続される。洗浄液供給部130は、洗浄液容器502に収容された洗浄液を各チャンネル部10に供給する。本実施の形態では、各チャンネル部10に供給される洗浄液は、当該チャンネル部10の移動相と同一の液体である。
【0019】
流路切替部140,150は、流路切替部の例である。流路切替部140は、7つのポート141~147を有し、ポート141~146がポート147に選択的に接続可能に構成される。ポート141~146は、チャンネル部10A~10Fにそれぞれ接続される。流路切替部150は、7つのポート151~157を有し、ポート151~156がポート157に選択的に接続可能に構成される。ポート151~156は、チャンネル部10A~10Fにそれぞれ接続される。ポート157は、低圧バルブ110のポート113に接続される。
【0020】
流路切替部160の構成は、流路切替部140,150の構成と同様である。流路切替部160は、チャンネル部10A~10Fおよび質量分析装置200にそれぞれ接続された図示しない7つのポートを有する。流路切替部160は、ポート間の接続を切り替えることにより、複数のチャンネル部10から溶出した試料を含む移動相を選択的に質量分析装置200に導く。なお、図2では、接続関係の視認を容易にするために、各チャンネル部10と流路切替部160のポートとの間の接続流路が一点鎖線で示される。
【0021】
試料供給部170は、例えばオートサンプラであり、ニードル171、サンプルループ172および駆動装置173を含む。ニードル171は、試料容器501から試料を吸引し、吸引された試料を複数のチャンネル部10に選択的に注入する。サンプルループ172の一端部および他端部は、ニードル171および流路切替部140のポート147にそれぞれ接続される。サンプルループ172は、ニードル171により吸引された所定容量の試料を保持する。駆動装置173は、例えばアクチュエータを含み、ニードル171を駆動する。
【0022】
質量分析装置200は、流路切替部160により導かれた各チャンネル部10からの試料を検出する。本実施の形態では、複数のチャンネル部10に共通に用いられる単一の質量分析装置200が検出器として設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。複数のチャンネル部10にそれぞれ対応する複数の検出器が設けられてもよい。この場合、複数の検出器は対応するチャンネル部10にそれぞれ接続されるので、クロマトグラフ100は流路切替部160を含まない。
【0023】
複数のチャンネル部10A~10Fは互いに同様の構成を有するので、1つのチャンネル部10の構成について説明する。図3は、図2のチャンネル部10の構成を示す図である。図3に示すように、チャンネル部10は、高圧バルブ20、注入ポート30、分析カラム40および移動相供給部50を含む。分析カラム40および移動相供給部50の構成はチャンネル部10ごとに異なってもよい。また、分析カラム40の温度または移動相供給部50により供給される移動相の流量等の測定条件は、チャンネル部10ごとに異なってもよい。
【0024】
高圧バルブ20は、6つのポート21~26を有し、第1の接続状態と第2の接続状態とで切り替え可能に構成される。第1の接続状態においては、ポート21,22間が接続され、ポート23,24間が接続され、ポート25,26間が接続される。第2の接続状態においては、ポート22,23間が接続され、ポート24,25間が接続され、ポート26,21間が接続される。ポート21は、廃液装置504に接続される。
【0025】
注入ポート30は、試料供給部170のニードル171を挿入可能に構成され、高圧バルブ20のポート22に接続される。注入ポート30は、挿入されたニードル171から試料の注入を受け付ける。分析カラム40は、図示しないカラムオーブンに収容される。分析カラム40の一端部および他端部は、高圧バルブ20のポート23および流路切替部160にそれぞれ接続される。分析カラム40は、高圧バルブ20のポート23からの試料を化学的性質または組成の違いにより成分ごとに分離して、流路切替部160に溶出する。
【0026】
移動相供給部50は、高圧ポンプ等を含み、高圧バルブ20のポート24に接続される。移動相供給部50は、移動相容器503から液体の移動相を吸引し、吸引された移動相を供給する。移動相供給部50により供給された移動相は、高圧バルブ20のポート24,23、分析カラム40および流路切替部160を通して質量分析装置200まで圧送される。
【0027】
流路切替部140,150は、各チャンネル部10の高圧バルブ20のポート25,26にそれぞれ接続される。具体的には、図2の流路切替部140のポート141~146(図2)は、チャンネル部10A~10Fの高圧バルブ20のポート25にそれぞれ接続される。図2の流路切替部150のポート151~156は、チャンネル部10A~10Fの高圧バルブ20のポート26にそれぞれ接続される。チャンネル部10A~10Fのうち、選択されたチャンネル部10にアクセス可能に流路切替部140,150のポート間の接続が切り替えられる。
【0028】
例えば、チャンネル部10Aが選択された場合には、流路切替部140のポート141,147間が接続され、流路切替部150のポート151,157間が接続される。チャンネル部10Bが選択された場合には、流路切替部140のポート142,147間が接続され、流路切替部150のポート152,157間が接続される。チャンネル部10Cが選択された場合には、流路切替部140のポート143,147間が接続され、流路切替部150のポート153,157間が接続される。
【0029】
チャンネル部10Dが選択された場合には、流路切替部140のポート144,147間が接続され、流路切替部150のポート154,157間が接続される。チャンネル部10Eが選択された場合には、流路切替部140のポート145,147間が接続され、流路切替部150のポート155,157間が接続される。チャンネル部10Fが選択された場合には、流路切替部140のポート146,147間が接続され、流路切替部150のポート156,157間が接続される。
【0030】
(2)クロマトグラフの動作
図4は、前処理時におけるクロマトグラフ100の動作を説明するための図である。図4に示すように、前処理時に、チャンネル部10A~10Fのうち、使用されるチャンネル部10が選択される。選択されたチャンネル部10にアクセス可能に流路切替部140,150の接続が切り替えられるとともに、当該チャンネル部10の高圧バルブ20が第1の接続状態に切り替えられる。また、低圧バルブ110のポート112,113間が接続される。さらに、試料供給部170のニードル171が選択されたチャンネル部10の注入ポート30に挿入される。
【0031】
この場合、図4に太い実線で示すように、洗浄液供給部130と廃液装置504とが所定の流路(以下、洗浄流路101と呼ぶ。)により接続される。洗浄流路101は、低圧バルブ110、流路切替部150、高圧バルブ20のポート26,25、流路切替部140、試料供給部170、高圧バルブ20のポート22,21を含む。洗浄流路101の一部は、後述する測定流路102としても用いられる。
【0032】
この接続状態においては、洗浄液容器502に収容された洗浄液が洗浄液供給部130により洗浄流路101に供給される。これにより、洗浄流路101を測定に用いる移動相と同一の液体である洗浄液で満たす前処理が実行される。前処理の実行時には、移動相容器503に収容された移動相が移動相供給部50により高圧バルブ20のポート24に供給される。この場合、図4に太い一点鎖線で示す測定流路102の一部が移動相で満たされる。
【0033】
図5図7は、測定時におけるクロマトグラフ100の動作を説明するための図である。図5に示すように、前処理後の試料の測定時に、試料供給部170のニードル171が試料容器501に挿入されるとともに、低圧バルブ110のポート111,113間が接続される。この状態で、計量部120が駆動することにより、サンプルループ172に所定容量の試料が保持される。次に、図6に示すように、試料供給部170のニードル171が注入ポート30に挿入されるとともに、高圧バルブ20が第2の接続状態に切り替えられる。また、低圧バルブ110のポート112,113間が接続される。
【0034】
この場合、図6に太い一点鎖線で示すように、移動相供給部50と質量分析装置200とが所定の流路(以下、測定流路102と呼ぶ。)により接続される。測定流路102は、高圧バルブ20のポート24,25、流路切替部140、試料供給部170、注入ポート30、高圧バルブ20のポート22,23、分析カラム40および流路切替部160を含む。この状態で、移動相容器503に収容された移動相が移動相供給部50により測定流路102に供給される。これにより、試料供給部170において試料が移動相に供給される。
【0035】
移動相に供給された試料は、分析カラム40において成分ごとに分離されて溶出する。分析カラム40から溶出した試料は、質量分析装置200により検出される。所定時間後、図7に示すように、高圧バルブ20が第1の接続状態に切り替えられる。この場合、試料供給部170が測定流路102から切り離されつつ、試料の測定が継続される。
【0036】
この接続状態においては、図4の前処理時と同様に、洗浄液供給部130と廃液装置504との間が洗浄流路101により接続される。ここで、洗浄液容器502に収容された洗浄液が洗浄液供給部130により洗浄流路101に供給される。これにより、試料の測定が継続されつつ、洗浄流路101の内部が洗浄液により洗浄される。また、あるチャンネル部10における試料の測定を継続させつつ、別のチャンネル部10における前処理を実行することが可能である。これにより、測定の効率がより向上する。
【0037】
このように、高圧バルブ20は、第1の接続状態と第2の接続状態とに切り替えられる。第1の接続状態においては、移動相供給部50により供給された移動相が試料供給部170を通して分析カラム40に導かれる。第2の接続状態においては、移動相供給部50により供給された移動相が試料供給部170を通さずに分析カラム40に導かれつつ洗浄液供給部130により供給された洗浄液が試料供給部170に導かれる。
【0038】
図8は、クロマトグラフ100による動作手順を示すタイムフローである。図8に示すように、クロマトグラフ100は、順次選択される複数のチャンネル部10により、図4図7の前処理および試料の測定を繰り返す。複数のチャンネル部10からの試料は、質量分析装置200により互いに異なる期間に検出される。また、各チャンネル部10における前処理は、前のチャンネル部10における試料の検出期間に実行される。そのため、スループットが向上する。
【0039】
(3)分析制御装置
図9は、分析制御装置400の構成を示す図である。図9に示すように、分析制御装置400は、機能部として、表示制御部401、選択部402、タイミング設定部403、検量線設定部404、電源制御部405、バッチ生成部406、分析実行部407およびデータ処理部408を含む。図1の制御部310が記憶部340等に記憶された分析制御プログラムを実行することにより、分析制御装置400の機能部が実現される。分析制御装置400の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0040】
表示制御部401は、クロマトグラフ100の複数のチャンネル部10の制御に関する種々の制御画面を表示部360に表示させる。一部の制御画面は、使用者に操作部350を用いて所定の入力または選択を行わせるGUIとして機能する。制御画面の例については後述する。選択部402は、操作部350から測定に使用するべきチャンネル部10指定を受け付ける。使用者は、表示部360に表示されたGUIを通して、操作部350を操作することにより、測定に使用するべきチャンネル部10を指定することができる。選択部402は、受け付けられたチャンネル部10を選択する。
【0041】
タイミング設定部403は、試料供給部170、選択部402により選択されたチャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作期間を受け付ける。すなわち、タイミング設定部403は、上記の動作期間が入力される入力部として機能する。試料供給部170の動作期間は、前処理の実行期間を含む。タイミング設定部403は、試料供給部170から図3のチャンネル部10の注入ポート30に注入される試料の注入量を受け付けることも可能である。
【0042】
使用者は、表示部360に表示されたGUIを通して、操作部350を操作することにより、上記の動作期間および試料の注入量を入力することができる。タイミング設定部403は、受け付けられた動作期間に基づいて、試料供給部170、複数のチャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作タイミングの設定(以下、タイミング設定と呼ぶ。)を行う。これにより、試料供給部170による試料注入タイミング、いずれかのチャンネル部10に由来する試料を質量分析装置200で検出するタイミングとともに、データ処理部408において試料を検出することにより質量分析装置200から出力される信号を処理する期間が設定される。また、タイミング設定部403は、受け付けられた試料の注入量を設定する。
【0043】
検量線設定部404は、複数のチャンネル部10のうち、1以上のチャンネル部10に個別に対応する検量線を作成する設定と、2以上のチャンネル部10に共通に対応する検量線を作成する設定との選択を受け付ける。使用者は、操作部350を操作することにより、所望のチャンネル部10に対応する検量線を作成する設定(以下、検量線設定と呼ぶ。)を選択することができる。表示制御部401は、検量線設定部404において選択された検量線設定を示す画面を制御画面として表示部360に表示させる。
【0044】
処理装置300は、分析システム500に異常が発生した場合、またはバッチファイルに基づく分析(以下、バッチ分析と呼ぶ。)が終了してから所定時間が経過した場合等にシャットダウンされる。電源制御部405は、分析システム500の種々の構成要素のうち、バッチ分析の終了の際に電源をオフにする対象の設定と、処理装置300のシャットダウンの際に電源をオフにする対象の設定とを受け付ける。分析システム500の構成要素は、例えば、洗浄液供給部130の脱気装置、移動相供給部50の高圧ポンプ、分析カラム40を収容するカラムオーブン、試料供給部170または質量分析装置200を含む。
【0045】
使用者は、表示部360に表示されたGUIを通して、操作部350を操作することにより、バッチ分析の終了の際に電源をオフにする対象を第1の対象として選択し、分析システム500のシャットダウンの際に電源をオフにする対象を第2の対象として選択することができる。電源制御部405は、受け付けられた設定(以下、シャットダウン設定と呼ぶ。)に従って、第1の対象または第2の対象の電源をオフにする。
【0046】
バッチ生成部406は、操作部350から複数のチャンネル部10の各々において使用する試料の情報および分析条件を受け付ける。使用者は、表示部360に表示されたGUIを通して、操作部350を操作することにより、複数のチャンネル部10の各々において使用する試料の情報および分析条件を入力することができる。バッチ生成部406は、受け付けられた試料の情報および分析条件に基づいて、分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成する。バッチファイルは、チャンネル部10ごとに生成されてもよい。
【0047】
本実施の形態では、測定する試料と、タイミング設定部403により行われたタイミング設定とがグループとして対応付けられ、当該グループに名称が付与される。また、試料が標準試料である場合には、グループには検量線設定部404により行われた検量線設定がさらに含まれてもよい。バッチ生成部406は、使用者により選択されたグループをさらに用いてバッチファイルを生成する。
【0048】
分析実行部407は、バッチ生成部406により生成されたバッチファイルに基づいて、前処理、試料の測定、検出およびデータ処理が順次実行されるようにクロマトグラフ100、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作を制御する。これによりバッチ分析が実行される。分析実行部407の構成については後述する。
【0049】
データ処理部408は、質量分析装置200から試料の検出データを取得して処理する。これにより、MSクロマトグラムの生成またはQC値の算出等が行われる。また、データ処理部408は、検量線作成部として機能し、検量線設定部404における検量線設定と、当該設定に関するチャンネル部10に標準試料が供給された際の検出結果とに基づいて、当該チャンネル部10で使用する検量線を作成する。これにより、検出データの定量化が行われる。
【0050】
図10は、図9の分析実行部407の機能ブロックを示す図である。図10に示すように、分析実行部407は、第1の制御部1、第2の制御部2、第3の制御部3、第4の制御部4および主制御部5を含む。上記のように、本実施の形態では、図1の制御部310は、例えば複数のCPUを含む。第1の制御部1、第2の制御部2、第3の制御部3、第4の制御部4および主制御部5の各々は、別個のCPUが分析制御プログラムを実行することにより実現される。
【0051】
第1の制御部1は、主として、試料を供給するように試料供給部170を制御する。第2の制御部2は、主として、試料供給部170により供給される試料が複数のチャンネル部10のうちいずれかのチャンネル部10に導かれるように流路切替部140,150を制御する。また、第2の制御部2は、当該チャンネル部10からの試料が質量分析装置200に導かれるように流路切替部160を制御する。
【0052】
第3の制御部3は、上記のチャンネル部10から導かれる試料を検出するように質量分析装置200を制御する。第4の制御部4は、質量分析装置200による試料の検出データを処理するようにデータ処理部408を制御する。主制御部5は、図9のタイミング設定部403によるタイミング設定に従って、第1の制御部1、第2の制御部2、第3の制御部3および第4の制御部4の動作を制御する。
【0053】
上記の構成によれば、第1の制御部1、第2の制御部2、第3の制御部3、第4の制御部4および主制御部5は、別個のCPUにより実現されるので、互いに独立して動作可能である。これにより、分析が干渉しない範囲で試料供給部170、複数のチャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408を並列的に動作させることができる。
【0054】
チャンネル部10を追加する場合には、追加するチャンネル部10に対応するようにインストールされた制御ソフトウエアをCPUが実行することにより、第2の制御部2が更新される。また、主制御部5と更新後の第2の制御部2との認証が完了することにより、当該チャンネル部10を使用可能となる。このように、チャンネル部10を追加する場合には、制御ソフトウエアを追加するだけで対応可能であり、制御部310を拡張する必要がない。そのため、分析システム500を容易にかつ効率的に運用することができる。
【0055】
(4)制御画面
図9の表示制御部401により表示部360に表示される制御画面の例を説明する。図11は、第1の制御画面の一例を示す図である。図11に示すように、第1の制御画面410には、複数のチャンネル部10にそれぞれ対応する複数のアイコン411が表示される。また、第1の制御画面410には、複数のチャンネル部10にそれぞれ対応する複数のボタン412が表示される。
【0056】
いずれかのチャンネル部10は、エラー等の発生により使用不可能な状況にあることがある。なお、各チャンネル部10が使用可能な状況にあるか否かは、各チャンネル部10の分析状況を検出する検出部を用いて図9の選択部402により判定することが可能である。当該検出部は、分析中に出力される信号を検出するセンサ、または移動相供給部50の高圧ポンプの駆動状況を検出するセンサ等を含む。
【0057】
第1の制御画面410においては、使用可能な状況にあるチャンネル部10に対応するアイコン411と、使用不可能な状況にあるチャンネル部10に対応するアイコン411とが区別可能に表示される。これにより、使用者は、使用可能な状況にあるチャンネル部10を容易に認識することができる。
【0058】
本実施の形態では、使用不可能な状況にあるチャンネル部10に対応するアイコン411は、グレーアウトにより表示されるが、実施の形態はこれに限定されない。使用不可能な状況にあるチャンネル部10に対応するアイコン411は、第1の制御画面410に表示されなくてもよい。使用者は、所望のチャンネル部10に対応するボタン412をオンにすることにより、測定に使用するべきチャンネル部10を指定することができる。図9の選択部402は、使用者の指定に基づいて測定に使用するべきチャンネル部10を選択する。
【0059】
図12は、第2の制御画面の一例を示す図である。図12に示すように、第2の制御画面420には、プルダウンメニュー421,422,423等が表示される。プルダウンメニュー421~423等が操作されることにより、分析に用いられる試料供給部170、質量分析装置200および分析方法等の分析条件が入力される。
【0060】
図13は、第3の制御画面の一例を示す図である。図13に示すように、第3の制御画面430には、プルダウンメニュー431,432等が表示される。プルダウンメニュー431が操作されることにより、各々が複数の試料容器(バイアル)を保持する複数のラックからいずれかのラックが選択され、選択されたラックを示す画像433が第3の制御画面430に表示される。図13の例では、選択されたラックは54の試料容器501を保持する。
【0061】
画像433上におけるいずれかの試料容器の部分が操作されることにより、当該試料容器が測定に使用するべき試料容器として選択される。また、プルダウンメニュー432が選択されることにより、選択された試料容器に収容された試料のタイプが選択される。試料のタイプは、標準試料、未知試料、コントロール試料およびQA/QC(品質保証/品質管理)試料を含む。
【0062】
図9のバッチ生成部406は、第2の制御画面420に入力された分析条件および第3の制御画面430に入力された試料の情報に基づいてバッチファイルを生成する。バッチファイルは、テーブル形式を有する。生成されたバッチファイルには、ラックの固有番号、試料容器の固有番号およびグループの名称等が含まれてもよい(後述する図17参照)。
【0063】
図14は、第4の制御画面の一例を示す図である。図14に示すように、第4の制御画面440には、複数の入力欄441が表示される。複数の入力欄441に前処理期間、データ採取期間、検出期間およびデータ処理期間等が入力される。図9のタイミング設定部403は、入力された期間に基づいて、試料供給部170、複数のチャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作期間を設定する。
【0064】
また、第の制御画面440には、入力された期間に基づいて、試料供給部170、複数のチャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作期間のグラフが表示される。図14の例では、全部のチャンネル部10ではなく、選択部402により選択された2つのチャンネル部10の動作期間が表示される。使用者は、第4の制御画面440に表示されたグラフを視認することにより、複数のチャンネル部10による測定が干渉しないように各期間を容易に入力することができる。
【0065】
図15は、第5の制御画面の一例を示す図である。第5の制御画面450は、シャットダウン設定を受け付けるための画面である。図15に示すように、第5の制御画面450には、表示領域451,452が設けられる。表示領域451には、複数のチェックボックス453が表示される。複数のチェックボックス453は、脱気装置、高圧ポンプ、カラムオーブン、試料供給部170および質量分析装置200にそれぞれ対応する。1以上のチェックボックス453がチェックされることにより、当該チェックボックス453に対応する構成要素が第2の対象として選択される。
【0066】
表示領域452には、複数のチェックボックス454および入力欄455が表示される。複数のチェックボックス454は、脱気装置、高圧ポンプ、カラムオーブン、試料供給部170および質量分析装置200にそれぞれ対応する。1以上のチェックボックス454がチェックされることにより、当該チェックボックス454に対応する構成要素が第1の対象として選択される。入力欄455には、バッチ分析が終了してから、分析システム500をシャットダウンするまでの時間が入力される。
【0067】
なお、高圧ポンプ等の一部の構成要素は、電源がオンにされた後、安定な状態になるまでに比較的長時間を要する。また、高圧ポンプにおいては、常に脈動する方が寿命が長くなることがある。そのため、本実施の形態の表示領域452にでは、高圧ポンプは第1の対象として選択できないように、高圧ポンプに対応するチェックボックス454はグレーアウトで表示される。
【0068】
図16は、第6の制御画面の一例を示す図である。図16に示すように、第6の制御画面460には、図9の検量線設定部404により、1以上のチャンネル部10に個別に対応する検量線を作成することが設定されたか、2以上のチャンネル部10に共通に対応する検量線を作成することが設定されたかが示される。図16の例では、2のチャンネル部10に個別に対応する検量線を作成することが設定されたことが強調表示により示される。
【0069】
図17は、第7の制御画面の一例を示す図である。図17に示すように、第7の制御画面470には、表示領域471,472,473が設けられる。表示領域471には、現在のチャンネル部10の接続状態を示す流路図が示される。測定が進むにつれて、使用されているチャンネル部10がいずれかわかるように表示が更新される。
【0070】
図17の例では、現在使用されているチャンネル部10と質量分析装置200の接続が太い実線により示される。また、次の測定で使用されるチャンネル部10と質量分析装置200の接続が細い実線により示される。表示領域471には、各チャンネル部10が接続されている流路切替部140,150のポートが表示されてもよい。
【0071】
表示領域472には、図9のバッチ生成部406により生成されたバッチファイルのテーブルが示される。表示領域472には、分析シーケンスにおける現在の進捗段階に対応する行にカーソルが表示されてもよい。表示領域473には、使用されているチャンネル部10の高圧ポンプの圧力変化が示される。表示領域473には、チャンネル部10ごとの高圧ポンプの圧力変化が示されてもよい。
【0072】
他の制御画面の例として、制御画面は、各チャンネル部10におけるグラジエント条件を受け付けるための画面であってもよい。あるいは、制御画面は、チャンネル部10のエラーの詳細を表示する画面であってもよい。エラーの詳細は、高圧ポンプの異常または消耗品の交換時期の到達等を含む。制御画面には、試料ごとのQC値の分布が示されてもよい。また、制御画面には、生成されたMSクロマトグラムがチャンネル部10ごとにリアルタイムで示されてもよい。あるいは、制御画面には、複数のMSクロマトグラムが重畳表示されてもよい。
【0073】
(5)分析処理
図18および図19は、分析制御プログラムにより行われる分析処理のアルゴリズムを示すフローチャートである。以下、図9の分析制御装置400ならびに図18および図19のフローチャートを用いて分析処理を説明する。まず、選択部402は、1以上のチャンネル部10の指定を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。この指定は、図11の第1の制御画面410から受け付け可能である。チャンネル部10の指定が受け付けられない場合、選択部402はステップS3に進む。
【0074】
チャンネル部10の指定が受け付けられた場合、選択部402は、当該チャンネル部10を測定に使用するべきチャンネル部10として選択し(ステップS2)、ステップS3に進む。選択部402は、チャンネル部10の指定が受け付けられることにより測定に使用するべきチャンネル部10として選択するが、実施の形態はこれに限定されない。選択部402は、上記の検出部を用いて各チャンネル部10が使用可能な状況にあるか否かを判定し、判定されたチャンネル部10を優先的に選択してもよい。この場合、ステップS1は省略される。
【0075】
ステップS3で、タイミング設定部403は、試料供給部170、ステップS1で選択されたチャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作期間を受け付けたか否かを判定する(ステップS3)。これらの動作期間は、図14の第4の制御画面440から受け付け可能である。動作期間が受け付けられない場合、タイミング設定部403はステップS5に進む。動作期間が受け付けられた場合、タイミング設定部403は、動作期間に基づいてタイミング設定を実行し(ステップS4)、ステップS5に進む。
【0076】
ステップS5で、検量線設定部404は、検量線を作成する設定の選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS5)。選択が受け付けられない場合、検量線設定部404はステップS7に進む。選択が受け付けられた場合、検量線設定部404は、当該選択に基づいて検量線設定を実行し(ステップS6)、ステップS7に進む。ステップS6の後、表示制御部401は、実行された検量線設定を示す図16の第6の制御画面460を表示部360に表示させてもよい。
【0077】
ステップS7で、電源制御部405は、第1の対象および第2の対象の選択を受け付けたか否かを判定する(ステップS7)。この選択は、図15の第5の制御画面450から受け付け可能である。選択が受け付けられない場合、電源制御部405はステップS9に進む。選択が受け付けられた場合、電源制御部405は、当該選択に基づいてシャットダウン設定を実行し(ステップS8)、ステップS9に進む。
【0078】
ステップS9で、バッチ生成部406は、試料の情報および分析条件を受け付けたか否かを判定する(ステップS9)。試料の情報は図13の第3の制御画面430から受付可能であり、分析条件は図12の第2の制御画面420から受け付け可能である。試料の情報および分析条件が受け付けられない場合、バッチ生成部406はステップS11に進む。
【0079】
試料の情報および分析条件が受け付けられた場合、バッチ生成部406は、試料の情報および分析条件に基づいてバッチファイルを生成し(ステップS10)、ステップS11に進む。本実施の形態では、ステップS4で実行されたタイミング設定およびステップS6で実行された検量線設定もバッチファイルの生成に用いられる。
【0080】
ステップS11で、分析実行部407はバッチ分析の開始が指示されたか否かを判定する(ステップS11)。使用者は、ステップS2,S4,S6,S8,S10が完了した後、操作部350を用いて所定の操作を行うことによりバッチ分析の開始を指示することができる。バッチ分析の開始が指示されない場合、分析実行部407はステップS1に戻る。バッチ分析の開始が指示されるまで、ステップS1~S11が繰り返される。そのため、使用者は、各種の指定または選択等を再度行うことができる。
【0081】
バッチ分析の開始が指示された場合、分析実行部407は、ステップS10で生成されたバッチファイルに従ってバッチ分析を実行する(ステップS12)。ここで、表示制御部401は、ステップS10で生成されたバッチファイルのテーブルと、現在の使用されているチャンネル部10の接続状態を示す流路図とを示す図17の第7の制御画面470を表示部360に表示させる(ステップS13)。
【0082】
その後、分析実行部407は、バッチ分析が終了したか否かを判定する(ステップS14)。バッチ分析が終了していない場合、分析実行部407はステップS12に戻る。これにより、ステップS12でバッチ分析が継続され、ステップS13で第7の制御画面470の表示内容が更新される。バッチ分析が終了するまでステップS12~S14が繰り返される。分析実行部407は、チャンネル部10ごとに分析の中断の指示を受け付けてもよい。この場合、中断が指示されたチャンネル部10とは別のチャンネル部10について分析を継続するか否かが設定されてもよい。
【0083】
バッチ分析が終了した場合、電源制御部405は、ステップS8で実行されたシャットダウン設定に従って、第1の対象の電源をオフにする(ステップS15)。次に、電源制御部405は、シャットダウン設定で設定された時間が経過したか否かを判定する(ステップS16)。設定された時間が経過していない場合、電源制御部405は、分析システム500の次の使用が予定されているか否かを判定する(ステップS17)。分析システム500の次の使用が予定されていない場合、電源制御部405はステップS16に戻る。
【0084】
設定された時間が経過するか、または分析システム500の次の使用が予定されるまでステップS16,S17が繰り返される。ステップS16で、設定された時間が経過した場合、電源制御部405は、シャットダウン設定に従って、第2の対象の電源をオフにし(ステップS18)、分析処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS17で、分析システム500の次の使用が予定されている場合、電源制御部405は、第2の対象の電源をオフにすることなく分析処理を終了する。この場合、分析システム500を用いた次の分析を比較的短期間で開始することができる。なお、電源制御部405は、分析システム500に異常が発生したか否かを検出し、バッチ分析の実行中に異常を検出した場合には、割り込み処理としてステップS18を実行してもよい。
【0086】
(6)効果
本実施の形態に係る分析システム500においては、複数のチャンネル部10により試料が効率的に測定される。また、複数のチャンネル部10が設けられる場合でも、複数のチャンネル部10の制御に関する制御画面が表示部360に表示されるので、分析システム500の動作を容易に認識することが可能である。これにより、ユーザビリティを向上させることができる。
【0087】
例えば、使用者は、第7の制御画面470を視認することにより、いずれのチャンネル部10でどの試料が測定されているか容易に認識することができる。また、分析システム500に異常が発生した場合も、いずれのチャンネル部10で異常が発生したかを容易に確認することができる。さらに、使用者は、バッチファイルを同時に確認することもできるため、分析システム500に異常が発生した場合、その原因を特定するとともに、測定結果に影響を受けた可能性がある一連の試料を容易に特定することができる。
【0088】
使用者は、実際のチャンネル部10の状態を実際に確認することなく、第1の制御画面410を視認することにより使用可能な状況にあるチャンネル部10を容易に認識することができる。これにより、使用者は、測定に使用するべきチャンネル部10を容易に選択することができる。
【0089】
使用者は、第4の制御画面440を視認することにより、試料供給部170、チャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の動作期間を容易に認識することができる。これにより、使用者は、試料供給部170、チャンネル部10、質量分析装置200およびデータ処理部408の適切な動作タイミング直感的に設定することができる。
【0090】
また、使用者は、バッチファイルの実行終了または処理装置300のシャットダウンの際に電源をオフにする対象を第5の制御画面450で確認しつつ、容易に設定することができる。さらに、使用者は、チャンネル部10が複数設けられる場合でも、適切な検量線を容易に作成することができるとともに、第6の制御画面460を視認することにより検量線設定を容易に認識することができる。
【0091】
また、本実施の形態においては、複数のチャンネル部10が設けられる場合でも、第1の制御部1、第2の制御部2、第3の制御部3、第4の制御部4および主制御部5により分析が干渉しない範囲で試料供給部170、チャンネル部10、質量分析装置およびデータ処理部408を並列的に動作させることができる。これにより、スループットおよびユーザビリティを向上させることができる。
【0092】
(7)他の実施の形態
上記実施の形態において、分析システム500は洗浄液供給部130、試料供給部170、質量分析装置200および表示部360を含むが、実施の形態はこれに限定されない。分析システム500は、洗浄液供給部、試料供給部、検出器および表示部と接続可能である限り、洗浄液供給部130、試料供給部170、質量分析装置200および表示部360の一部または全部を含まなくてもよい。
【0093】
また、分析システム500には、洗浄液供給部130が接続されなくてもよい。この場合でも、高圧バルブ20が第1の接続状態にあるときには、移動相供給部50により供給された移動相とともに試料供給部170により供給された試料が分析カラム40に導かれる。また、高圧バルブ20が第2の接続状態にあるときには、移動相供給部50により供給された移動相により分析カラム40にトラップされた試料が成分ごとに分離されて質量分析装置200に導かれる。
【0094】
したがって、各チャンネル部10において、高圧バルブ20が第1の接続状態と第2の接続状態とで切り替えられることにより、試料の測定が継続されつつ試料供給部170が測定流路102から切り離される。そのため、いずれかのチャンネル部10における試料の測定と、他のチャンネル部10における試料の供給とを並列的に実行することが可能になる。これにより、測定の効率がより向上する。
【0095】
(8)態様
上記の複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0096】
(第1項)一態様に係る分析システムは、
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導くと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させる表示制御部とを備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含んでもよい。
【0097】
この分析システムにおいては、複数のチャンネル部により試料が効率的に測定される。また、複数のチャンネル部が設けられる場合でも、複数のチャンネル部の制御に関する制御画面が表示部に表示されるので、分析システムの動作を容易に認識することが可能である。これにより、ユーザビリティを向上させることができる。
【0098】
(第2項)第1項に記載の分析システムにおいて、
前記複数のチャンネル部の各々は、前記移動相供給部により供給された移動相とともに前記試料供給部により供給された試料を前記分析カラムに導く第1の接続状態と、前記移動相供給部により供給された移動相により前記分析カラムにトラップされた試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く第2の接続状態とに切り替え可能な高圧バルブをさらに含んでもよい。
【0099】
この場合、各チャンネル部において、高圧バルブが第1の接続状態と第2の接続状態とで切り替えられることにより、試料の測定が継続されつつ試料供給部が測定用の流路から切り離される。そのため、いずれかのチャンネル部における試料の測定と、他のチャンネル部における試料の供給とを並列的に実行することが可能になる。これにより、測定の効率がより向上する。
【0100】
(第3項)第1項に記載の前記分析システムは、
さらに洗浄液を供給する洗浄液供給部とともに用いられ、
前記流路切替部は、前記試料供給部により供給される試料または前記洗浄液供給部により供給される洗浄液を前記複数のチャンネル部に選択的に導き、
前記複数のチャンネル部の各々は、前記移動相供給部により供給された移動相を前記試料供給部を通して前記分析カラムに導く第1の接続状態と、前記移動相供給部により供給された移動相を前記試料供給部を通さずに前記分析カラムに導きつつ前記洗浄液供給部により供給された洗浄液を前記試料供給部に導く第2の接続状態とに切り替え可能な高圧バルブをさらに含んでもよい。
【0101】
この場合、各チャンネル部において、高圧バルブが第1の接続状態と第2の接続状態とで切り替えられることにより、試料の測定が継続されつつ試料供給部が洗浄される。これにより、測定の効率がより向上する。
【0102】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の分析システムは、
いずれかのチャンネル部において使用する試料の情報および分析条件に基づいて分析シーケンスを制御するためのバッチファイルを生成するバッチ生成部と、
前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルに基づいて前記流路切替部および前記試料供給部の動作を制御する分析実行部とをさらに備えてもよい。
【0103】
この構成によれば、複数のチャンネル部が設けられる場合でも、バッチファイルに従って、いずれかのチャンネル部により試料の分析が効率的に実行される。これにより、ユーザビリティがより向上する。
【0104】
(第5項)第4項に記載の分析システムにおいて、
前記表示制御部は、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルのテーブルと、現在のチャンネル部の接続状態を示す流路図とを示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させてもよい。
【0105】
この場合、使用者は、制御画面を視認することにより、いずれのチャンネル部でどの試料が測定されているか容易に認識することができる。また、分析システムに異常が発生した場合も、いずれのチャンネル部で異常が発生したかを容易に確認することができる。さらに、使用者は、バッチファイルを同時に確認することもできるため、分析システムに異常が発生した場合、その原因を特定するとともに、測定結果に影響を受けた可能性がある一連の試料を容易に特定することができる。
【0106】
(第6項)第4項または第5項に記載の分析システムは、
電源制御部をさらに備え、
前記表示制御部は、前記試料供給部、前記検出器および前記移動相供給部のうち、前記バッチ生成部により生成されたバッチファイルの実行終了の際に電源をオフにする対象の設定と、前記分析実行部のシャットダウンの際に電源をオフにする対象の設定とを受け付けるための画面を前記制御画面として前記表示部に表示させ、
前記電源制御部は、前記制御画面において受け付けられた設定に従って、前記試料供給部、前記検出器または前記移動相供給部の電源をオフにしてもよい。
【0107】
この場合、使用者は、バッチファイルの実行終了または分析実行部のシャットダウンの際に電源をオフにする対象を制御画面で確認しつつ、容易に設定することができる。
【0108】
(第7項)第1項~第6項のいずれか一項に記載の分析システムにおいて、
前記表示制御部は、使用可能な状況にあるチャンネル部と使用不可能な状況にあるチャンネル部とを区別可能に示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させてもよい。
【0109】
この場合、使用者は、実際のチャンネル部の状態を実際に確認することなく、制御画面を視認することにより使用可能な状況にあるチャンネル部を容易に認識することができる。これにより、使用者は、測定に使用するべきチャンネル部を容易に選択することができる。
【0110】
(第8項)第1項~第7項のいずれか一項に記載の分析システムは、
前記検出器による試料の検出データを処理するデータ処理部と、
タイミング設定部とをさらに備え、
前記表示制御部は、前記試料供給部、いずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作期間のグラフを示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させ、
前記タイミング設定部は、前記試料供給部による試料注入タイミング、前記いずれかのチャンネル部に由来する試料を前記検出器で検出するタイミングとともに、前記データ処理部において試料を検出することにより前記検出器から出力される信号を処理する期間を設定してもよい。
【0111】
この場合、使用者は、制御画面を視認することにより、試料供給部、チャンネル部、検出器およびデータ処理部の動作期間を容易に認識することができる。これにより、使用者は、試料供給部、チャンネル部、検出器およびデータ処理部の適切な動作タイミング直感的に設定することができる。
【0112】
(第9項)第1項~第8項のいずれか一項に記載の分析システムは、
前記複数のチャンネル部のうち、1以上のチャンネル部に個別に対応する検量線を作成する設定と、2以上のチャンネル部に共通に対応する検量線を作成する設定との選択を受け付ける検量線設定部と、
前記検量線設定部において選択された設定と、当該設定に関するチャンネル部に導かれた試料とに基づいて、当該チャンネル部で使用される検量線を作成する検量線作成部とをさらに備え、
前記表示制御部は、前記検量線設定部において選択された設定を示す画面を前記制御画面として前記表示部に表示させてもよい。
【0113】
この構成によれば、複数のチャンネル部が設けられる場合でも、適切な検量線を容易に作成することができる。また、使用者は、制御画面を視認することにより、選択された検量線を作成する設定を容易に認識することができる。
【0114】
(第10項)他の態様に係る分析システムは、
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析システムであって、
並列に配置された複数のチャンネル部と、
前記試料供給部により供給される試料を前記複数のチャンネル部に選択的に導く流路切替部と、
分析制御装置とを備え、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含み、
前記分析制御装置は、
データ処理部と、
前記試料供給部、前記複数のチャンネル部のうちいずれかのチャンネル部、前記検出器および前記データ処理部の動作タイミングが入力される入力部と、
試料を供給するように前記試料供給部を制御する第1の制御部と、
前記試料供給部により供給される試料が前記いずれかのチャンネル部に導かれるように前記流路切替部を制御する第2の制御部と、
前記いずれかのチャンネル部から導かれる試料を検出するように前記検出器を制御する第3の制御部と、
前記検出器による試料の検出データを処理するように前記データ処理部を制御する第4の制御部と、
前記入力部に入力された動作タイミングに従って、前記第1の制御部、前記第2の制御部、前記第3の制御部および前記第4の制御部を制御する主制御部とを含んでもよい。
【0115】
この分析システムにおいては、複数のチャンネル部により試料が効率的に測定される。また、複数のチャンネル部が設けられる場合でも、第1の制御部、第2の制御部、第3の制御部、第4の制御部および主制御部により分析が干渉しない範囲で試料供給部、チャンネル部、質量分析装置およびデータ処理部を並列的に動作させることができる。これにより、スループットおよびユーザビリティを向上させることができる。
【0116】
(第11項)さらに他の態様に係る分析方法は、
試料を供給する試料供給部、試料を検出する検出器および表示部とともに用いられる分析方法であって、
前記試料供給部により供給される試料を流路切替部により並列に配置された複数のチャンネル部に選択的に導くことと、
前記複数のチャンネル部の制御に関する制御画面を前記表示部に表示させることとを含み、
前記複数のチャンネル部の各々は、
移動相を供給する移動相供給部と、
前記試料供給部により供給された試料を成分ごとに分離して前記検出器に導く分析カラムとを含んでもよい。
【0117】
この分析方法によれば、複数のチャンネル部が設けられる場合でも、複数のチャンネル部の制御に関する制御画面が表示部に表示されるので、使用者は、分析システムの動作を容易に認識することが可能である。これにより、ユーザビリティを向上させることができる。
【符号の説明】
【0118】
1…第1の制御部,2…第2の制御部,3…第3の制御部,4…第4の制御部,5…主制御部,10,10A~10F…チャンネル部,20…高圧バルブ,21~26,111~113,141~147,151~157…ポート,30…注入ポート,40…分析カラム,50…移動相供給部,100…クロマトグラフ,101…洗浄流路,102…測定流路,110…低圧バルブ,120…計量部,130…洗浄液供給部,140,150,160…流路切替部,170…試料供給部,171…ニードル,172…サンプルループ,173…駆動装置,200…質量分析装置,300…処理装置,310…制御部,320…RAM,330…ROM,340…記憶部,350…操作部,360…表示部,370…入出力I/F,380…バス,400…分析制御装置,401…表示制御部,402…選択部,403…タイミング設定部,404…検量線設定部,405…電源制御部,406…バッチ生成部,407…分析実行部,408…データ処理部,410…第1の制御画面,411…アイコン,412…ボタン,420…第2の制御画面,421~423,431,432…プルダウンメニュー,430…第3の制御画面,433…画像,440…第4の制御画面,441,455…入力欄,450…第5の制御画面,451,452,471~473…表示領域,453,454…チェックボックス,460…第6の制御画面,470…第7の制御画面,500…分析システム,501…試料容器,502…洗浄液容器,503…移動相容器,504…廃液装置
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