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特許7600915操作制御装置、操作制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】操作制御装置、操作制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20241210BHJP
   G06F 3/0484 20220101ALI20241210BHJP
【FI】
G06F3/01 515
G06F3/0484
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021119291
(22)【出願日】2021-07-20
(65)【公開番号】P2023015487
(43)【公開日】2023-02-01
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島倉 孝満
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190164(JP,A)
【文献】特開2021-089636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/0484
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脳情報を取得する脳情報取得部と、
前記脳情報取得部が取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに
対応する脳情報であるか否かを判定する判定部と、
前記第2コマンドを想起させる情報を提示する情報提示部と、
前記判定部が前記第1コマンドに対応する脳情報を取得した後、前記第2コマンドに対
応する脳情報を取得したと判定したときに前記第1コマンドに対応する処理を実行する実
行部と、
を備え、
前記判定部は、前記第2コマンドを設定し、前記情報提示部によりユーザに通知すると共に、予め設定された更新条件が成立すると、前記第2コマンドを変更する、
操作制御装置。
【請求項2】
前記第1コマンドは、操作対象物を操作するための操作内容を意味するコマンドであり、前記第2コマンドは、前記操作対象物の操作内容の実行の意思を意味する抽象イメージである、
請求項1に記載の操作制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1コマンドに対応する脳情報を取得したときに、前記情報提示部に前記第2コマンドを想起させる情報を提示させる、
請求項1に記載の操作制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記更新条件として、前記ユーザが前記第1コマンドに対応した前記第2コマンドを覚えたことが判断できる条件が成立すると、前記第2コマンドを変更する、
請求項1に記載の操作制御装置。
【請求項5】
ユーザの脳情報を取得するステップと、
取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに対応する脳情報であるか否かを判定するステップと、
前記第2コマンドを想起させる情報を提示するステップと、
前記第1コマンドに対応する脳情報を取得した後、前記第2コマンドに対応する脳情報を取得したと判定したときに前記第1コマンドに対応する処理を実行するステップと、
前記第2コマンドを設定してユーザに通知する共に、予め設定された更新条件が成立すると、前記第2コマンドを変更するステップと、
を含む操作制御方法。
【請求項6】
ユーザの脳情報を取得するステップと、
取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに対応する脳情報であるか否かを判定するステップと、
前記第2コマンドを想起させる情報を提示するステップと、
前記第1コマンドに対応する脳情報を取得した後、前記第2コマンドに対応する脳情報を取得したと判定したときに前記第1コマンドに対応する処理を実行するステップと、
前記第2コマンドを設定してユーザに通知する共に、予め設定された更新条件が成立すると、前記第2コマンドを変更するステップと、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作制御装置、操作制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、脳の情報を計測する技術が発達し、脳と機械とを直接つなぐインターフェースであるブレインマシンインターフェース(BMI:Brain-Machine-Interface)が現実的になってきている。このような技術として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1は、ユーザが刺激を受けたとき、ユーザから複数の定常状態視覚誘発反応電位信号を得て、システムコマンド信号を供給するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-117957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のBMIは、脳波コマンドを実行するときに、無関係な刺激があると、その刺激が脳波に表れて実行されてしまうおそれがある。例えば、ロボットに対して「前進」と念じると、ロボットが前進する前進コマンドの場合、周囲の誰かが「前進」と言っただけで、脳が勝手に「前進」を想起し、前進コマンドが発行されてしまう。また、ロボットの動きを見ながら操作している場合、ロボットが前進している様子がモニタに映し出されていると、それを見た操作者の脳は勝手に「前進」を想起し続けるため、勝手に前進コマンドが発行されてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、無関係な刺激に影響されることなく、適切な脳波コマンドを実行可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る操作制御装置は、ユーザの脳情報を取得する脳情報取得部と、前記脳情報取得部が取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに対応する脳情報であるか否かを判定する判定部と、前記第2コマンドを想起させる情報を提示する情報提示部と、前記判定部が前記第1コマンドに対応する脳情報および前記第2コマンドに対応する脳情報を取得したと判定したときに前記第1コマンドに対応する処理を実行する実行部と、を備える。
【0007】
本発明に係る操作制御方法は、ユーザの脳情報を取得するステップと、取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに対応する脳情報であるか否かを判定するステップと、前記第2コマンドを想起させる情報を提示するステップと、前記第1コマンドに対応する脳情報および前記第2コマンドに対応する脳情報を取得したと判定したときに前記第1コマンドに対応する処理を実行するステップと、を含む。
【0008】
本発明に係るプログラムは、ユーザの脳情報を取得するステップと、取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに対応する脳情報であるか否かを判定するステップと、前記第2コマンドを想起させる情報を提示するステップと、前記第1コマンドに対応する脳情報および前記第2コマンドに対応する脳情報を取得したと判定したときに前記第1コマンドに対応する処理を実行するステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、無関係な刺激に影響されることなく、適切な脳波コマンドを実行することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る操作制御装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る操作制御装置における全体の処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、本実施形態に係る操作制御装置における間接実行モード処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、本実施形態に係る操作制御装置における抽象イメージの処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、本実施形態に係る操作制御装置における抽象イメージ更新の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る操作制御装置、操作制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[操作制御装置]
図1は、本実施形態に係る操作制御装置の構成例を示すブロック図である。
【0013】
本実施形態において、図1に示すように、操作制御装置10は、ユーザの脳情報に基づいて操作対象物50を操作制御するものである。操作制御装置10は、脳波取得部(脳情報取得部)11と、脳波デコーダ12と、コマンドバッファ13と、パスワードバッファ14と、記憶部15と、処理部16と、表示制御部17と、表示部18と、通信部19とを備える。
【0014】
操作対象物50は、例えば、ロボットであるが、ロボットに限定されるものではなく、通信により作動する装置等であればよい。操作対象物50は、図示しないが、駆動装置と、駆動装置を制御する制御装置と、制御信号などを受信可能な通信部が設けられる。操作対象物50は、通信部が制御信号を受信すると、制御装置は、駆動装置を駆動することで、ロボットを作動する。
【0015】
脳波取得部11は、ユーザの頭部に装着可能である。脳波デコーダ12と処理部16と表示制御部17と表示部18と通信部19は、ユーザが装着していてもよいし、装着せずに所定の位置に載置されていてもよい。また、脳波取得部11と脳波デコーダ12と処理部16と表示制御部17と表示部18と通信部19は、一体に設けられてもよいし、それぞれ別体に設けられていてもよい。
【0016】
脳波取得部11は、ユーザの脳情報である脳波を取得するものである。脳波取得部11は、例えば、脳の神経ネットワークに流れる微弱な電流から出る脳波を検出する電気センサ(例えば、電極)を有する。脳波取得部11は、ユーザが外部から刺激を受けたときや、ユーザの思念などの思考に基づく、微弱な電流の電位(電気信号)を検出する。なお、脳情報取得部は、脳波取得部11に限定されるものではない。脳情報取得部は、例えば、ユーザの脳情報である脳活動による血流量を、例えば、近赤外光計測などによって取得するものであってもよい。脳波取得部11は、脳波デコーダ12に接続され、ユーザから取得した脳情報である脳波を脳波デコーダ12に送信する。
【0017】
脳波デコーダ12は、脳波取得部11が取得したユーザの脳波の電気信号をユーザの思考情報に復元する。この場合、事前に、ユーザの脳波の複数の電気信号とユーザの思考情報との関係を紐付けておく。この場合、例えば、ディープラーニング(深層学習)などによる機械学習を用いて、脳波の電気信号とユーザの思考情報との関係を紐付ける。
【0018】
コマンドバッファ13は、ユーザの思考情報に基づいて判定部21が判定した第1コマンドを一時的に記憶する。第1コマンドは、操作対象物50を作動させるためのコマンドであり、例えば、「前進」「後退」「停止」「加速」「減速」「右旋回」「左旋回」などのコマンドである。この場合、事前に、第1コマンドと操作対象物50の動作との関係は紐付けられている。コマンドバッファ13は、処理部16との間で各種データの送受信が可能である。
【0019】
なお、第1コマンドは、指示する動作を示す概念に限るものではなく、指示する動作を示す概念を補完する数値などを付加したものであってもよい。例えば、脳波デコーダ103は、脳波取得部11が取得した電気信号に基づいて、ユーザの思考情報に復元すると同時に、脳波の強度を0から1までの小数で検出し、ユーザの思考情報に強度(数値)を付加して第1コマンドを設定してもよい。この場合、第1コマンドの数値は、操作対象物50に設けられた駆動装置のトルク出力の最大値の計数である。
【0020】
パスワードバッファ14は、ユーザの思考情報に基づいて判定部21が判定した第2コマンドであるパスワードを一時的に記憶する。第2コマンドであるパスワードは、第1コマンドの実行を決定するためのコマンドである。パスワードは、パスワードを構成するための1個または複数個のシンボルの組合せにより構成される。パスワードバッファ14は、処理部16との間で各種データの送受信が可能である。
【0021】
記憶部15は、複数の第1コマンドおよび複数の第2コマンドを記憶する。また、記憶部15は、ユーザの脳波の電気信号と思考情報との関連を機械学習させた学習データなどが格納されてもよい。第2コマンドは、パスワードを構成する複数個のシンボルで構成される。記憶部15は、処理部16との間で各種データの送受信が可能である。処理部16は、記憶部15に格納された複数のシンボルを1個以上組み合わせることでパスワードを設定し、または更新する。なお、パスワードは、異なる第1コマンドに対して共通である1つの共通パスワードを設定してもよいし、異なる第1コマンドごとに異なる複数の個別パスワードを設定してもよい。
【0022】
第2コマンドであるパスワードは、抽象イメージである。パスワードは、1個または複数のシンボルが組み合わせて構成されることから、シンボルも抽象イメージである。抽象イメージとは、「△」「□」「×」などの記号、「赤」「青」「黒」などの色、「0」「1」「2」などの数字、あるいは、物品や景色などである。そのため、第2コマンドであるパスワードは、例えば、「△」+「赤」+「9」などに設定される。
【0023】
コマンドバッファ13とパスワードバッファ14は、例えば、処理部16が備えるRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子などの記録部である。記憶部15は、メモリカードやSSD(Solid State Drive)、外部記憶装置などで構成される。
【0024】
処理部16は、直接実行モードと、間接実行モードとを切替可能である。直接実行モードとは、処理部16に操作対象物50を作動させるための第1コマンドが入力されたとき、処理部16は、第1コマンドを実行するモードである。一方、間接実行モードとは、処理部16に操作対象物50を作動させるための第1コマンドおよび第2コマンドが入力されたとき、処理部16は、第1コマンドを実行するモードである。
【0025】
処理部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。処理部16は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。処理部16は、図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは、処理部16におけるデータの一時記憶などに用いられる。処理部16は、判定部21と、実行部22とを機能として有する。また、処理部16は、処理結果を表示制御部17および通信部19に送信する。
【0026】
判定部21は、脳波取得部11が取得して脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報が、異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンド(パスワード)に対応する脳波であるか否かを判定する。
【0027】
具体的に、判定部21は、脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報と、記憶部15に格納された第1コマンドとを比較する。このとき、判定部21は、ユーザの思考情報が第1コマンドに一致したとき、ユーザの思考情報が第1コマンドであると判定する。このとき、判定部21は、第1コマンドであると判定したコマンドをコマンドバッファ13に格納する。一方、判定部21は、ユーザの思考情報が第1コマンドに一致しないとき、ユーザの思考情報が第1コマンドでないと判定する。このとき、判定部21は、第1コマンドではないと判定したコマンドをコマンドバッファ13に格納しない。脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報と第1コマンドとの、判定部21による一致の判断は、ユーザの思考情報が、第1コマンドを意味することが判断できれば、完全一致ではなくとも一致と判断する。
【0028】
また、判定部21は、脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報と、記憶部15に格納されたパスワードとを比較する。このとき、判定部21は、ユーザの思考情報がパスワードまたはパスワードを構成するシンボルに一致したとき、ユーザの思考情報がパスワードまたはパスワードを構成するシンボルであると判定する。判定部21は、ユーザの思考情報がパスワードまたはシンボルであると判定したとき、パスワードまたはシンボルをパスワードバッファ14に格納する。一方、判定部21は、ユーザの思考情報が格納されたパスワードまたはパスワードを構成するシンボルに一致しないとき、ユーザの思考情報がパスワードまたはパスワードを構成するシンボルでないと判定する。判定部21は、ユーザの思考情報がパスワードまたはシンボルではないと判定したとき、パスワードまたはシンボルをパスワードバッファ14に格納しない。
【0029】
実行部22は、判定部21が第1コマンドに対応する脳波報およびパスワードに対応する脳波を取得したと判定したとき、第1コマンドに対応する処理を実行する。具体的に、実行部22は、判定部21により最初に取得したユーザの思考情報が第1コマンドであると判定され、判定部21により次に取得したユーザの思考情報がパスワードであると判定すると、第1コマンドに対応する処理を実行する。
【0030】
但し、実行部22は、判定部21が第1コマンドの取得を判定してから、例えば3秒間など、予め設定された待機時間が経過すると、取得した第1コマンドをキャンセルする。また、実行部22は、判定部21が第1コマンドの取得を判定してから、処理部16が、ユーザの思考としてキャンセルコマンドを取得すると、取得した第1コマンドをキャンセルする。キャンセルコマンドは、予め設定されたものであり、事前に、ユーザの脳波の電気信号とユーザの思考情報(キャンセルコマンド)との関係を紐付けられ、記憶部15に格納しておく。
【0031】
したがって、直接実行モードが選択されているとき、判定部21によりユーザの思考情報が第1コマンドであると判定されると、実行部22は、第2コマンドの入力判定をすることなく、第1コマンドを実行する。一方、間接実行モードが選択されているとき、判定部21によりユーザの思考情報が第1コマンドであると判定されると、実行部22は、まだ、第1コマンドを実行しない。すなわち、実行部22は、判定部21により最初のユーザの思考情報が第1コマンドであると判定された後、次のユーザの思考情報が第2コマンド(パスワード)であると判定されると、第1コマンドを実行する。
【0032】
表示制御部17および表示部18は、各種の情報を提示する情報提示部として機能する。表示制御部17および表示部18は、判定部21が第1コマンドに対応する脳波を取得したと判定したときに、パスワードを想起させる情報を提示する。本実施形態では、情報提示部を、ユーザに対して視覚情報を用いてパスワードを想起させる情報を提示するものとしたが、これに限定されない。例えば、情報提示部を、音声情報を用いてパスワードを想起させる情報を提示するようにしてもよい。この場合、情報提示部は、例えば、音声出力制御部およびスピーカにより構成される。
【0033】
表示制御部17は、表示部18が接続される。表示制御部17は、処理部16から送信された処理結果を表示部18に送信して表示させる。表示制御部17は、処理部16の処理結果である操作制御装置10の動作状態やユーザに対する思考指示を表示部18に表示させる。
【0034】
処理部16は、表示制御部17を制御することで、表示部18に必要な情報を表示させる。処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して第2コマンドとしてのパスワードのシンボル(抽象イメージ)を想起させる指示を表示部18に表示させる。シンボルは、抽象イメージであることから、表示部18は、抽象イメージそのものを表示してもよいし、抽象イメージを想起させる画像や言語などを表示してもよい。
【0035】
表示部18は、表示制御部17から送信された操作制御装置10の動作状態やユーザに対する思考指示を表示する。表示部18は、ユーザに必要情報を提示する。表示部18は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。
【0036】
通信部19は、操作対象物50との間で無線通信が可能である。通信部19は、処理部16が処理した処理情報を操作対象物50に送信する。具体的に、判定部21が第1コマンドに対応する脳波およびパスワードに対応する脳波を取得したと判定したとき、実行部22は、第1コマンドの処理に対応する制御信号を生成して通信部19に送る。通信部19は、第1コマンドの処理に対応する制御信号を操作対象物50に送信する。操作対象物50は、通信部19によって送信された第1コマンドを受信することで、第1コマンドの処理に対応して作動する。
【0037】
[操作制御方法]
ここで、操作制御装置10による操作制御方法について説明する。図2は、本実施形態に係る操作制御装置における全体の処理の流れを示すフローチャートである。
【0038】
図1および図2に示すように、ステップS11にて、処理部16は、脳波取得部11が取得して脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報がモード切替コマンドであるか否かを判定する。ここで、処理部16は、ユーザの思考情報がモード切替コマンドであると判定(Yes)すると、ステップS12にて、モードを切り替える。すなわち、処理部16は、現在、直接実行モードであれば、間接実行モードに切り替え、間接実行モードであれば、直接実行モードに切り替える。このとき、処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して表示部18にモードが切り替えられたことを表示する。表示制御部17は、例えば、直接実行モードに切り替えた場合、「直接実行モードに切り替えました」などの処理内容を表示部18に表示し、間接実行モードに切り替えた場合、「間接実行モードに切り替えました」などの処理内容を表示部18に表示し、モードが切り替えられたことをユーザに伝える。そして、ステップS13にて、コマンドバッファ13とパスワードバッファ14をクリアし、このルーチンを抜ける。
【0039】
一方、ステップS11にて、処理部16は、ユーザの思考情報がモード切替コマンドではないと判定(No)すると、ステップS14にて、現在、直接実行モードが選択されているか否かを判定する。ここで、処理部16は、現在、直接実行モードが選択されていると判定(Yes)すると、ステップS15にて、判定部21は、脳波取得部11が取得して脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報が第1コマンドに対応する脳波であるか否かを判定する。ここで、判定部21は、ユーザの思考情報が第1コマンドではないと判定(No)すると、このルーチンを抜ける。
【0040】
一方、判定部21は、ステップS15にて、ユーザの思考情報が第1コマンドであると判定(Yes)すると、ステップS16にて、実行部22は、第1コマンドに対応する処理を実行する。すなわち、実行部22は、第1コマンドの処理に対応する制御信号を通信部19により操作対象物50に送信し、操作対象物50を作動させる。このとき、処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して表示部18に第1コマンドを実行したことを表示する。表示制御部17は、例えば、「加速コマンドを実行しました」などの第1コマンドを実行したメッセージを表示部18に表示する。
【0041】
ステップS14にて、処理部16は、現在、直接実行モードが選択されていないと判定(No)すると、ステップS17にて、間接実行モードの処理を実行する。図2に示す処理は、操作制御装置10によって操作対象物50の操作が制御される期間、繰り返し実行される。
【0042】
以下、間接実行モードの処理を説明する。図3は、本実施形態に係る操作制御装置における間接実行モード処理の流れを示すフローチャートである。
【0043】
図1および図3に示すように、ステップS21にて、判定部21は、脳波取得部11が取得して脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報が第1コマンドに対応する脳波であるか否かを判定する。ここで、判定部21は、ユーザの思考情報が第1コマンドであると判定(Yes)すると、ステップS22にて、判定した第1コマンドをコマンドバッファ13に格納する。このとき、処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して表示部18に第1コマンドを格納したことを表示してもよい。表示制御部17は、例えば、「加速コマンドを格納しました」などの第1コマンドを格納したメッセージを表示部18に表示する。そして、ステップS23にて、パスワードバッファ14をクリアする。
【0044】
一方、ステップS21にて、判定部21は、ユーザの思考情報が第1コマンドではないと判定(No)すると、ステップS24にて、コマンドバッファ13に第1コマンドが格納されているか否かを判定する。ここで、判定部21は、コマンドバッファ13に第1コマンドが格納されていると判定(Yes)すると、ステップS25にて、判定部21は、抽象イメージ処理を実行する。
【0045】
以下、抽象イメージ処理を説明する。図4は、本実施形態に係る操作制御装置における抽象イメージの処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図1および図4に示すように、ステップS31にて、処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して表示部18に第2コマンドとしてのパスワードのシンボル(抽象イメージ)を想起させる指示を表示する。表示制御部17は、例えば、抽象イメージに相当する画像を表示部18に表示する。
【0047】
ステップS32にて、判定部21は、脳波取得部11が取得して脳波デコーダ12が復元したユーザの思考情報がパスワード(抽象イメージ)に対応する脳波であるか否かを判定する。ここで、判定部21は、ユーザの思考情報がパスワード(抽象イメージ)ではないと判定(No)すると、このルーチンを抜ける。
【0048】
一方、判定部21は、ユーザの思考情報がパスワードのシンボルであると判定(Yes)すると、ステップS33にて、判定したシンボルを1つの抽象イメージとしてパスワードバッファ14に格納する。一方、判定部21は、ユーザの思考情報がパスワードのシンボルではないと判定(No)すると、このルーチンを抜ける。
【0049】
ステップS34にて、判定部21は、パスワードバッファ14に格納されている抽象イメージと、記憶部15に格納されている抽象イメージにより構成されたパスワードとを比較して両者が一致したか否かを判定する。ここで、判定部21は、パスワードバッファ14に格納されている抽象イメージと、記憶部15に格納されている抽象イメージにより構成されたパスワードとが一致していないと判定(No)すると、ステップS39にて、処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して表示部18にパスワードが一致していないことを表示する。
【0050】
一方、ステップS34にて、判定部21は、パスワードバッファ14に格納されている抽象イメージと、記憶部15に格納されている抽象イメージにより構成されたパスワードとが一致したと判定(Yes)すると、ステップS35にて、実行部22は、コマンドバッファ13に格納されている第1コマンドに対応する処理を実行する。すなわち、実行部22は、第1コマンドの処理に対応する制御信号を通信部19により操作対象物50に送信し、操作対象物50を作動させる。このとき、処理部16は、表示制御部17を制御することで、ユーザに対して表示部18に第1コマンドを実行したことを表示する。表示制御部17は、例えば、「加速コマンドを実行しました」などの第1コマンドを実行したメッセージを表示部18に表示する。
【0051】
ステップS36にて、処理部16は、パスワードを更新するための抽象イメージ更新処理を実行する。抽象イメージ更新処理については後述する。そして、ステップS37にて、コマンドバッファ13をクリアし、ステップS38にて、パスワードバッファ14をクリアする。
【0052】
以下、抽象イメージ更新処理について説明する。図5は、本実施形態に係る操作制御装置における抽象イメージ更新の処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
ユーザが想起したパスワード(抽象イメージ)と、予め設定されたパスワード(抽象イメージ)とを比較する処理を実行するとき、回数を重ねると、ユーザは、予め設定されたパスワード(抽象イメージ)を覚えてしまう。すると、第1コマンドに対応した操作内容を実行する意思を表すパスワードを入力する意味が薄れてくる。すなわち、ユーザは、安易に第1コマンドを実行してしまう。そのため、処理部16は、所定の条件が設立すると、抽象イメージ更新処理を実行することで、パスワードを更新して変更する処理を実行する。
【0054】
図1および図5に示すように、ステップS41にて、処理部16は、パスワード更新のための予め設定された所定条件が成立したか否かを判定する。ここで、処理部は、所定条件が成立していないと判定(No)すると、このルーチンを抜ける。一方、所定条件が成立したと判定(Yes)すると、ステップS42にて、現在のパスワードに必要な抽象イメージのシンボルを追加することで、パスワードを更新する。
【0055】
パスワードを更新して変更する所定条件は、例えば、第1コマンドの実行回数が予め設定された所定回数を超えたこと、脳波デコーダ12が処理した脳波の強度が予め設定された所定量を超えたこと、必要な抽象イメージを追加する処理が脳波などの入力手段を経由して入力されたときなどである。
【0056】
なお、上述した実施形態では、第1コマンドと第2コマンド(パスワード)を時系列で検出する構成としたが、この構成に限定されるものではない。例えば、第1コマンドと第2コマンド(パスワード)を同時に検出する構成としてもよい。すなわち、図3のステップS21~S23の処理と、図4のステップS31~S34処理とを並行して実行してもよい。
【0057】
[効果]
本実施形態では、ユーザの脳情報を取得する脳波取得部(脳情報取得部)11と、脳波取得部11が取得した脳情報が異なる2つの第1コマンドおよび第2コマンドに対応する脳情報であるか否かを判定する判定部21と、第2コマンドを想起させる情報を提示する情報提示部としての表示制御部17および表示部18と、判定部21が第1コマンドに対応する脳情報および第2コマンドに対応する脳情報を取得したと判定したときに第1コマンドに対応する処理を実行する実行部22と、を備える。
【0058】
そのため、第1コマンドに対応する脳情報および第2コマンドに対応する脳情報を取得したときに、第1コマンドに対応する処理を実行することで、操作対象物50を作動する。すなわち、操作内容を意味する第1コマンドに対応する脳情報を取得しても、操作内容を実行する意思を表す第2コマンドに対応する脳情報を取得しないと、第1コマンドに対応する処理が実行されない。そのため、第1コマンドの内容および実行タイミングがより安全で的確に発動されることとなり、無関係な刺激に影響されることなく、適切な脳波コマンドを実行することができる。
【0059】
また、本実施形態では、情報提示部としての表示制御部17および表示部18がユーザに対して第2コマンドを想起させる情報を提示することで、ユーザは、第2コマンドを想起することが可能になる。そのため、ユーザは第2コマンドを覚える必要がなく、第1コマンドを適切に実行させることができる。
【0060】
また、本実施形態では、第1コマンドは、操作対象物50を操作するための操作内容を意味するコマンドであり、第2コマンドは、操作対象物の操作内容の実行の意思を意味する抽象イメージである。そのため、第2コマンドに対応する脳情報を取得することで、ユーザが操作対象物50の操作内容の実行の意思を確認することができ、適切な脳波コマンドを実行することができる。
【0061】
また、本実施形態では、判定部21は、第2コマンドを設定し、情報提示部としての表示制御部17および表示部18によりユーザに通知可能であると共に、予め設定された更新条件が成立すると、第2コマンドを変更可能である。そのため、同じ第2コマンドを長期にわたって使用すると、ユーザは、第2コマンドを覚えてしまい、ユーザに第1コマンドに対応した操作内容を実行する意思を確認する意味が薄れてくるが、第2コマンドを変更することで、ユーザに対して操作内容を実行する意思を適切に確認することができる。
【0062】
これまで本発明に係る操作制御装置10について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0063】
図示した操作制御装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0064】
操作制御装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0065】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
10 操作制御装置
11 脳波取得部(脳情報取得部)
12 脳波デコーダ
13 コマンドバッファ
14 パスワードバッファ
15 記憶部
16 処理部
17 表示制御部(情報提示部)
18 表示部(情報提示部)
19 通信部
50 操作対象物
図1
図2
図3
図4
図5