(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電極層形成装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20241210BHJP
B05C 1/08 20060101ALI20241210BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
B05C1/08
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2021129629
(22)【出願日】2021-08-06
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】田崎 智之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 剛司
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-228649(JP,A)
【文献】特開2005-051071(JP,A)
【文献】特開2021-027043(JP,A)
【文献】特開2015-181981(JP,A)
【文献】特開2012-254422(JP,A)
【文献】特開2017-084598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
H01G 11/00-11/86
B05C 1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ロールと、
前記第1ロールと間隔を空けて配置された第2ロールと、
前記第1ロールの外周面に沿うように搬送される長尺帯状の集電体に対し、前記集電体の前記第1ロールの外周面と対向する第1面とは反対側の面である第2面の一部を覆うように重ねられた状態で前記第1ロールと前記第2ロールとの間を通過するように搬送されるパターンマスクと、
を備え、
前記パターンマスクは、前記集電体に対し、前記集電体の長手方向において断続的に配置される第1マスク構成部位を有し、
前記第2ロールは、前記第1ロールの外周面と前記第2ロールの外周面との距離が最短になる位置である電極層形成位置において、前記集電体及び前記パターンマスクに、電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む湿潤粉体を押し付けることにより、前記集電体の第2面における前記パターンマスクによって覆われていない部分に電極層を形成する電極層形成装置であって、
前記集電体の搬送方向における前記電極層形成位置よりも上流側にガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記第1ロールの外周面と向かい合うとともに前記第1ロールの外周面に沿う形状のガイド面を有し、
前記パターンマスクは、前記第1ロールの外周面と前記ガイド部材の前記ガイド面とによって挟持された状態で前記集電体とともに搬送されることを特徴とする電極層形成装置。
【請求項2】
前記パターンマスクは、前記集電体に対し、前記集電体の長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位を更に有し、
前記ガイド部材は、前記第1ロールの外周面と向かい合う面に凹部を有し、
前記凹部の底面は、前記ガイド面であり、
前記第2マスク構成部位は前記凹部内に位置する請求項1に記載の電極層形成装置。
【請求項3】
前記パターンマスクの搬送ルートをガイドするガイドロールを備え、
前記パターンマスクは、前記集電体に対し、前記集電体の長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位を更に有し、
前記ガイドロールは、外周面全周に亘って延びる溝部を有し、
前記第2マスク構成部位は前記溝部内に位置する請求項1又は請求項2に記載の電極層形成装置。
【請求項4】
前記パターンマスクは、前記第1マスク構成部位と前記第2マスク構成部位とが重なる重合部を有し、
前記重合部において、前記第1マスク構成部位は、前記第2マスク構成部位と前記集電体との間に位置している請求項2又は請求項3に記載の電極層形成装置。
【請求項5】
前記パターンマスクに付着した前記湿潤粉体を除去する粉体除去部を備える請求項1~4の何れか一項に記載の電極層形成装置。
【請求項6】
前記パターンマスクは、ループ状であるとともに、前記第1ロールと前記第2ロールとの間を通過するように周回搬送され、
前記粉体除去部は、前記パターンマスクの搬送途中に配置されている請求項5に記載の電極層形成装置。
【請求項7】
前記粉体除去部は、前記パターンマスクに付着した前記湿潤粉体を掻き取ることにより、前記パターンマスクから前記湿潤粉体を除去する掻き取り刃であり、
前記パターンマスクの搬送ルートにおける前記粉体除去部が配置された地点における前記パターンマスクの搬送方向を第1方向とし、前記第1方向と直交し、かつ前記パターンマスクの厚みに沿う方向を第2方向とし、前記パターンマスクの表面に沿い、かつ前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、
前記掻き取り刃は、前記第1方向及び前記第3方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されている請求項5又は請求項6に記載の電極層形成装置。
【請求項8】
前記粉体除去部は、前記パターンマスクに付着した前記湿潤粉体を掻き取ることにより、前記パターンマスクから前記湿潤粉体を除去する掻き取り刃であり、
前記パターンマスクの搬送ルートにおける前記粉体除去部が配置された地点における前記パターンマスクの搬送方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向であって前記パターンマスクの厚みに沿う方向を第2方向としたとき、
前記掻き取り刃は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されており、前記掻き取り刃の刃先は、前記パターンマスクの表面に沿う傾斜面である請求項5~7の何れか一項に記載の電極層形成装置。
【請求項9】
前記第1ロールの周方向における前記ガイド部材の位置を調整する調整機構を有する請求項1~請求項8の何れか一項に記載の電極層形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極層形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長尺帯状のシートに塗料を塗工する塗工装置が開示されている。塗工装置は、2つのロールと、2つのロール間に塗料を供給するホッパーとを備える。塗料は、例えば、固形分濃度の高い塗料である。シートは、2つのロールのうちの一方のロールの外周面に沿い、かつ2つのロールの間を通過するように搬送される。そして、シートが2つのロールの間を通過する際に、シートに塗料が塗工される。
【0003】
特許文献2には、長尺帯状のフィルム基材の塗膜形成面に膜を形成する塗布装置が開示されている。塗布装置は、外周面上に塗膜材料を付着して回転する塗布ロールと、フィルム基材の塗膜形成面上にパターンマスクを重ねるパターンマスク付与部とを備える。フィルム基材は、パターンマスク付与部によって塗膜形成面上にパターンマスクが重ねられた後、塗布ロールの外周面に接触するように搬送される。フィルム基材の塗膜形成面においてパターンマスクに覆われていない部分には膜が形成されるが、パターンマスクに覆われている部分には膜が形成されない。
【0004】
例えば、パターンマスクは、フィルム基材に対し、フィルム基材の長手方向において断続的に配置される第1マスク構成部位と、シートの長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位とを有する。第1マスク構成部位は、フィルム基材の長手方向における膜の形成範囲を設定する。第2マスク構成部位は、フィルム基材の短手方向における膜の形成範囲を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-254422号公報
【文献】特開2015-181981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示される塗工装置において特許文献2に開示されるパターンマスクを使用する場合、パターンマスクは、シートが2つのロールの間を通過する前にシートに重ねられる。このとき、パターンマスクがロールの外周面に沿う形状に変形しないことでシートから浮き上がってしまうことがある。すると、シートには、本来、パターンマスクによって覆われることで塗料が塗工されないはずであるにも関わらず、覆われずに塗料が塗工される部分が生じてしまう。
【0007】
特に、第1マスク構成部位は、シートの長手方向において断続的に設けられているため、ロールの外周面に沿う形状に変形せずにシートから浮き上がりやすい。第1マスク構成部位が集電体から浮き上がった場合には、浮き上がった第1マスク構成部位と集電体との間に塗料が侵入することで、シートの長手方向における塗工終了位置がずれるといった塗工不良が発生する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための電極層形成装置は、第1ロールと、前記第1ロールと間隔を空けて配置された第2ロールと、前記第1ロールの外周面に沿うように搬送される長尺帯状の集電体に対し、前記集電体の前記第1ロールの外周面と対向する第1面とは反対側の面である第2面の一部を覆うように重ねられた状態で前記第1ロールと前記第2ロールとの間を通過するように搬送されるパターンマスクと、を備え、前記パターンマスクは、前記集電体に対し、前記集電体の長手方向において断続的に配置される第1マスク構成部位を有し、前記第2ロールは、前記第1ロールの外周面と前記第2ロールの外周面との距離が最短になる位置である電極層形成位置において、前記集電体及び前記パターンマスクに、電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む湿潤粉体を押し付けることにより、前記集電体の第2面における前記パターンマスクによって覆われていない部分に電極層を形成する電極層形成装置であって、前記集電体の搬送方向における前記電極層形成位置よりも上流側にガイド部材を備え、前記ガイド部材は、前記第1ロールの外周面と向かい合うとともに前記第1ロールの外周面に沿う形状のガイド面を有し、前記パターンマスクは、前記第1ロールの外周面と前記ガイド部材の前記ガイド面とによって挟持された状態で前記集電体とともに搬送されることを要旨とする。
【0009】
これによれば、パターンマスクは、第1ロールの外周面とガイド部材のガイド面とによって挟持されることにより、第1ロールの外周面に沿う形状に変形する。よって、パターンマスクの第1マスク構成部位が集電体から浮くことを抑制できる。その結果、パターンマスクの第1マスク構成部位が集電体から浮くことに起因する、集電体の長手方向における電極層の形成不良を抑制できる。
【0010】
上記電極層形成装置において、前記パターンマスクは、前記集電体に対し、前記集電体の長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位を更に有し、前記ガイド部材は、前記第1ロールの外周面と向かい合う面に凹部を有し、前記凹部の底面は、前記ガイド面であり、前記第2マスク構成部位は前記凹部内に位置していてもよい。
【0011】
これによれば、集電体の短手方向における第2マスク構成部位の位置ずれが抑制されるため、集電体の短手方向における電極層の形成不良を抑制できる。また、パターンマスクの皺を抑制できる。
【0012】
上記電極層形成装置において、前記パターンマスクの搬送ルートをガイドするガイドロールを備え、前記パターンマスクは、前記集電体に対し、前記集電体の長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位を更に有し、前記ガイドロールは、外周面全周に亘って延びる溝部を有し、前記第2マスク構成部位は前記溝部内に位置していてもよい。
【0013】
これによれば、ガイドロールの軸線方向における第2マスク構成部位の位置ずれが抑制される。よって、パターンマスクの皺を抑制できる。
上記電極層形成装置において、前記パターンマスクは、前記第1マスク構成部位と前記第2マスク構成部位とが重なる重合部を有し、前記重合部において、前記第1マスク構成部位は、前記第2マスク構成部位と前記集電体との間に位置していてもよい。
【0014】
これによれば、ガイド部材が凹部を有する場合において、第2マスク構成部位が第1マスク構成部位と集電体との間に位置していると、重合部では第2マスク構成部位が凹部内から外れることになる。これに対し、第1マスク構成部位が第2マスク構成部位と集電体との間に位置することで、重合部においても第2マスク構成部位が凹部内に位置することになる。つまり、第2マスク構成部位が凹部内に常に位置する状態でパターンマスクを搬送できる。ガイドロールが溝部を有する場合においても同様に、第1マスク構成部位が第2マスク構成部位と集電体との間に位置することで、第2マスク構成部位が溝部内に常に位置する状態でパターンマスクを搬送できる。よって、パターンマスクの皺をより抑制できる。
【0015】
上記電極層形成装置において、前記パターンマスクに付着した前記湿潤粉体を除去する粉体除去部を備えていてもよい。
第2ロールがパターンマスクに湿潤粉体を押し付けることで、パターンマスクの表面には湿潤粉体が付着するが、粉体除去部がパターンマスクに付着した湿潤粉体を除去することで、パターンマスクは再使用可能になる。
【0016】
上記電極層形成装置において、前記パターンマスクは、ループ状であるとともに、前記第1ロールと前記第2ロールとの間を通過するように周回搬送され、前記粉体除去部は、前記パターンマスクの搬送途中に配置されていてもよい。
【0017】
これによれば、パターンマスクを繰り返し使用できる。よって、例えば、パターンマスクの補充作業が不要になる。
上記電極層形成装置において、前記粉体除去部は、前記パターンマスクに付着した前記湿潤粉体を掻き取ることにより、前記パターンマスクから前記湿潤粉体を除去する掻き取り刃であり、前記パターンマスクの搬送ルートにおける前記粉体除去部が配置された地点における前記パターンマスクの搬送方向を第1方向とし、前記第1方向と直交し、かつ前記パターンマスクの厚みに沿う方向を第2方向とし、前記パターンマスクの表面に沿い、かつ前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向を第3方向としたとき、前記掻き取り刃は、前記第1方向及び前記第3方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されていてもよい。
【0018】
これによれば、第1方向及び第3方向の2方向において、パターンマスクから湿潤粉体を除去できる。
上記電極層形成装置において、前記粉体除去部は、前記パターンマスクに付着した前記湿潤粉体を掻き取ることにより、前記パターンマスクから前記湿潤粉体を除去する掻き取り刃であり、前記パターンマスクの搬送ルートにおける前記粉体除去部が配置された地点における前記パターンマスクの搬送方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向であって前記パターンマスクの厚みに沿う方向を第2方向としたとき、前記掻き取り刃は、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されており、前記掻き取り刃の刃先は、前記パターンマスクの表面に沿う傾斜面であってもよい。
【0019】
これによれば、パターンマスクに付着した湿潤粉体の掻き取り性が向上する。
上記電極層形成装置において、前記第1ロールの周方向における前記ガイド部材の位置を調整する調整機構を有していてもよい。
【0020】
これによれば、例えば、パターンマスクの形状や厚みの変更によって、第1ロールの周方向におけるガイド部材の好適な位置が変わった場合に、調整機構によってガイド部材の位置を調整できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、集電体からパターンマスクが浮き上がることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図3】第1実施形態における電極層形成部の断面図である。
【
図4】第1実施形態におけるパターンマスクの斜視図である。
【
図5】集電体に重ねられたパターンマスクを示す平面図である。
【
図7】区画部材及びガイド部材が一体化される前の分解斜視図である。
【
図8】ガイド部材の調整機構の動作を示す側面図である。
【
図11】第2実施形態におけるパターンマスクを示す平面図である。
【
図12】第2実施形態におけるガイド部材を示す斜視図である。
【
図13】第2実施形態におけるガイドロールを示す側面図である。
【
図14】第2実施形態における電極層形成部の側面図である。
【
図15】パターンマスクの別例を示す平面図である。
【
図16】パターンマスクの別例を示す平面図である。
【
図17】パターンマスクの別例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(第1実施形態)
以下、電極層形成装置を具体化した第1実施形態を
図1~
図10にしたがって説明する。
【0024】
<<電極層が形成された集電体>>
電極層形成装置について説明する前に、電極層形成装置によって電極層が形成された集電体について説明する。
【0025】
図1及び
図2に示すように、集電体10は長尺帯状である。電極層11は、集電体10の片面に形成されている。集電体10は、電極層11が形成されていない第1面10aと、第1面10aとは反対側の面であって、複数の電極層11が形成された第2面10bとを有する。複数の電極層11は、集電体10の長手方向において間隔を空けて形成されている。集電体10は、集電体10の長手方向に隣り合う2つの電極層11の間に、電極層11が形成されていない部分を有する。各電極層11は、矩形状である。集電体10の長手方向における電極層11の寸法をA1とする。集電体10の短手方向における電極層11の寸法をA2とする。電極層11の寸法A2は、集電体10の短手方向の寸法よりも短い。集電体10は、短手方向の両端部に、電極層11が形成されていない部分を有する。
【0026】
<<電極層形成装置>>
図3に示すように、電極層形成装置20は、電極層形成部21とパターンマスク22とを備える。パターンマスク22は、集電体10の第2面10bに重ねられる。パターンマスク22が集電体10の第2面10bに重ねられた状態において、集電体10の第2面10bの一部はパターンマスク22によって覆われている。電極層形成部21は、パターンマスク22が重ねられた集電体10に対して、電極活物質、結着剤、及び溶剤を含む湿潤粉体Pを押し付けることにより、集電体10に電極層11を形成する。このとき、集電体10の第2面10bにおいて、パターンマスク22によって覆われていない部分には電極層11が形成されるが、パターンマスク22によって覆われている部分には電極層11が形成されない。すなわち、パターンマスク22は、集電体10の第2面10bにおける電極層11の形成範囲を設定するためのものである。
【0027】
<パターンマスク>
図4に示すように、パターンマスク22は、金属箔22xと、金属箔22xの一方の面に設けられた接着層22yと、金属箔22xの他方の面に設けられたコート層22zとからなる3層構造である。金属箔22xは、SUS箔である。接着層22yは、金属箔22xの一方の面に易離形性の接着剤が塗布されることによって形成されている。コート層22zは、金属箔22xの他方の面にテフロン(登録商標)等のフッ素樹脂加工が施されることによって形成されている。接着層22yの表面は、パターンマスク22の第1面22aを構成している。コート層22zの表面は、パターンマスク22の第1面22aと反対側の面である第2面22bを構成している。なお、
図4以外では、パターンマスク22の3層構造の図示を省略している。パターンマスク22の厚みは、約100μmである。
【0028】
パターンマスク22は、ループ状である。パターンマスク22は、2つの環状部位221と、2つの環状部位221を接続する複数の接続部位222とを有する。2つの環状部位221は、間隔を空けて平行に並んでいる。複数の接続部位222は、環状部位221の周方向において間隔を空けて配置されている。各接続部位222は、2つの環状部位221の並ぶ方向に沿って直線状に延びている。
【0029】
図3及び
図5に示すように、パターンマスク22は、第1面22aが集電体10の第2面10bと対向するように集電体10に重ねられる。各環状部位221は、集電体10の長手方向に沿って延びるとともに、各接続部位222は、集電体10の短手方向に沿って延びている。一方の環状部位221の縁部であって、他方の環状部位221とは反対側に位置する縁部は、集電体10の一対の長縁部のうちの一方の長縁部に沿っている。他方の環状部位221の縁部であって、一方の環状部位221とは反対側に位置する縁部は、集電体10の一対の長縁部のうちの他方の長縁部に沿っている。
【0030】
接続部位222は、集電体10に対し、集電体10の長手方向において断続的に配置される第1マスク構成部位である。集電体10の第2面10bは、接続部位222によって覆われる部分と、接続部位222によって覆われない部分とを、集電体10の長手方向において交互に有する。環状部位221は、集電体10に対し、集電体10の長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位である。集電体10の第2面10bの短手方向の両端部は、環状部位221によって覆われている。
【0031】
電極層11の寸法A1は、環状部位221の周方向に隣り合う2つの接続部位222の間隔B1と同じになる。すなわち、複数の接続部位222は、集電体10の長手方向における電極層11の形成範囲を設定している。電極層11の寸法A2は、2つの環状部位221の間隔B2と同じになる。すなわち、2つの環状部位221は、集電体10の短手方向における電極層11の形成範囲を設定している。
【0032】
<電極層形成部>
図3及び
図6に示すように、電極層形成部21は、第1ロールとしての第1メインロール23と、第2ロールとしての第2メインロール24とを備える。
【0033】
図6に示すように、第1メインロール23は、円柱状の第1ロール部23aと、第1ロール部23aの両端に設けられた2つの第1軸部23bとを有する。なお、
図6では、2つの第1軸部23bのうちの一方のみが図示されている。第1ロール部23aの軸線と、2つの第1軸部23bの軸線とは一致している。第1メインロール23は、第1動力部M1の駆動によって回転する。第1動力部M1は、例えば、モータである。
【0034】
第2メインロール24は、円柱状の第2ロール部24aと、第2ロール部24aの両端に設けられた2つの第2軸部24bとを有する。なお、
図6では、2つの第2軸部24bのうちの一方のみが図示されている。第2ロール部24aの軸線と、2つの第2軸部24bの軸線とは一致している。第2メインロール24は、第2動力部M2の駆動によって回転する。第2動力部M2は、例えば、モータである。
【0035】
図3に示すように、第2メインロール24は、第1メインロール23と間隔を空けて並べて配置されている。第1メインロール23の軸線、すなわち第1ロール部23a及び2つの第1軸部23bの軸線は、第2メインロール24の軸線、すなわち第2ロール部24a及び2つの第2軸部24bの軸線と平行に並んでいる。第1メインロール23の外周面23cと第2メインロール24の外周面24cとは離間している。第1メインロール23の外周面23cと第2メインロール24の外周面24cとの距離が最短になる位置を電極層形成位置とする。
【0036】
第1メインロール23の周速度は、第2メインロール24の周速度より速い。第1メインロール23の回転方向は、第2メインロール24の回転方向と反対方向である。
集電体10は、第1メインロール23と第2メインロール24との間を通過するように配置されている。パターンマスク22も、第1メインロール23と第2メインロール24との間を通過するように配置されている。第1メインロール23は、パターンマスク22のループの外側に位置している。第2メインロール24は、パターンマスク22のループの内側に位置している。集電体10及びパターンマスク22は、第1メインロール23及び第2メインロール24が回転することにより、上方から下方に向けて搬送される。集電体10は、長手方向に搬送される。集電体10の搬送方向は、集電体10の長手方向と一致している。パターンマスク22は、環状部位221の周方向に搬送される。パターンマスク22の搬送方向は、環状部位221の周方向と一致している。集電体10及びパターンマスク22は、第1メインロール23の周速度と同速度で搬送される。
【0037】
第1メインロール23と第2メインロール24との間には、後述する貯留部35から湿潤粉体Pが供給される。第2メインロール24は、電極層形成位置において、集電体10の第2面10b及びパターンマスク22の第2面22bに湿潤粉体Pを押し付ける。これにより、集電体10の第2面10bにおけるパターンマスク22によって覆われていない部分には、電極層11が形成される。また、パターンマスク22の第2面22bには、湿潤粉体Pが付着する。
【0038】
<繰出ロール>
図6に示すように、電極層形成装置20は、集電体10の搬送方向の上流側に、長尺帯状の集電体10が巻回された繰出ロール25を備える。第1メインロール23及び第2メインロール24の回転により集電体10が搬送されることにより、繰出ロール25から集電体10が順に繰り出される。
【0039】
<第1ガイドロール>
電極層形成装置20は、集電体10が所定の搬送ルートで搬送されるようにガイドする複数の第1ガイドロール26を備える。
【0040】
複数の第1ガイドロール26のうち、集電体10の搬送方向において電極層形成部21よりも上流側に配置された第1ガイドロール26は、集電体10が第1メインロール23の外周面23cに沿うように集電体10をガイドする。つまり、集電体10は、第1メインロール23の外周面23cに沿うように搬送される。集電体10の第1面10aは、第1メインロール23の外周面23cと対向する。
【0041】
<第2ガイドロール>
電極層形成装置20は、パターンマスク22が所定の搬送ルートで搬送されるようにガイドする複数のガイドロールとしての第2ガイドロール27を備える。複数の第2ガイドロール27は、パターンマスク22の内側に配置されている。パターンマスク22は、第1メインロール23及び第2メインロール24の回転及び複数の第2ガイドロール27のガイドによって、周回搬送される。パターンマスク22の第1面22aは外周面であり、パターンマスク22の第2面22bは内周面である。
【0042】
複数の第2ガイドロール27のうち、第1メインロール23の上方に配置された第2ガイドロール27は、第1メインロール23の外周面23cに沿うように搬送される集電体10に対してパターンマスク22が重なるようにパターンマスク22をガイドする。これにより、パターンマスク22は、集電体10に重ねられた状態で、集電体10とともに第1メインロール23と第2メインロール24との間を通過する。言い換えると、集電体10は、第2面10bの一部がパターンマスク22によって覆われた状態で、第1メインロール23と第2メインロール24との間を通過する。
【0043】
複数の第2ガイドロール27のうち、第1メインロール23の下方に配置された第2ガイドロール27は、電極層11が形成された集電体10の搬送ルートとは異なる搬送ルートでパターンマスク22が搬送されるようにパターンマスク22をガイドする。これにより、パターンマスク22は、集電体10に重ねられていた状態から重ねられていない状態となる。
【0044】
<区画部材>
電極層形成装置20は、電極層形成部21の上方に区画部材30を備える。
図7に示すように、区画部材30は、矩形状の第1区画壁31と、第1区画壁31の長手方向の両端から立設された一対の第2区画壁32とを有する。区画部材30は、平面視でU字状をなしている。各第2区画壁32は、第1区画壁31からの第2区画壁32の立設方向における寸法が徐々に小さくなる幅狭部321を有する。また、各第2区画壁32は、第2区画壁32を板厚方向に貫通する2つの長孔32hを有する。2つの長孔32hは、第1区画壁31の厚さ方向に並んでいる。
【0045】
<ガイド部材>
図6に示すように、電極層形成装置20は、第1メインロール23の上方にガイド部材33を備える。
【0046】
図7に示すように、ガイド部材33は、ブロック状である。ガイド部材33は、区画部材30の一対の第2区画壁32の間に配置される。ガイド部材33は、一方の第2区画壁32と対向する第1面33aと、他方の第2区画壁32と対向する第2面33bとを有する。第1面33a及び第2面33bにはそれぞれ、2つの雌ねじ穴33hが形成されている。ガイド部材33は、第1面33aと第2面33bとを接続するとともに第1区画壁31と対向する第3面33cを有する。
図3に示すように、ガイド部材33の第3面33cは、区画部材30の第1区画壁31から離間している。ガイド部材33は、第1面33aと第2面33bとを接続するとともに湾曲する湾曲面33dを有する。
図3に示すように、湾曲面33dは、第3面33c側に位置する部分に、第1メインロール23の外周面23cに沿う形状のガイド面33eを有する。
【0047】
区画部材30とガイド部材33とは、各第2区画壁32の各長孔32hに挿通されたボルト34がガイド部材33の各雌ねじ穴33hに螺合されることにより一体化されている。
【0048】
図8に示すように、各ボルト34の軸部は、長孔32h内で移動可能である。ガイド部材33は、各ボルト34の軸部が長孔32h内を移動可能な範囲で、区画部材30に対する相対移動が可能になっている。
【0049】
一体化された区画部材30及びガイド部材33は、集電体10の搬送方向における電極層形成位置よりも上流側に配置されている。
区画部材30の各幅狭部321は、第1メインロール23と第2メインロール24との間に位置している。区画部材30の第1区画壁31は、第2メインロール24の上方に位置している。
【0050】
図3に示すように、ガイド部材33は、湾曲面33dが第1メインロール23の外周面23cと離間した状態で向かい合うように配置されている。したがって、湾曲面33dの一部であるガイド面33eも、第1メインロール23の外周面23cと向かい合っている。湾曲面33dのガイド面33eと第1メインロール23の外周面23cとの隙間は、集電体10の厚みとパターンマスク22の厚みを足し合わせた厚みよりも僅かに大きく設定されている。また、湾曲面33dと第1メインロール23の外周面23cとの隙間は、ガイド部材33の第3面33cから離れるにつれて大きくなっている。ガイド部材33の第3面33cは、第2メインロール24の外周面24cから離間している。
【0051】
図8に示すように、各長孔32h内におけるボルト34の軸部の位置を変更することにより、第1メインロール23の周方向におけるガイド部材33の位置を変更することができる。つまり、区画部材30の長孔32h及びボルト34は、第1メインロール23の周方向におけるガイド部材33の位置を調整するための位置調整機構を構成している。
【0052】
図8では、ボルト34の軸部が長孔32h内において第1区画壁31に近い側に位置しているときのガイド部材33を点線で図示している。ボルト34の軸部が長孔32h内において第1区画壁31から離れた側に位置しているときのガイド部材33を二点鎖線で図示している。ボルト34が長孔32h内の第1区画壁31に近い側に位置しているときのガイド部材33は、ボルト34が長孔32h内の第1区画壁31から離れた側に位置しているときのガイド部材33よりも、第1メインロール23と第2メインロール24との間に入り込んでいる。
【0053】
<貯留部>
第1区画壁31の内面と、一対の第2区画壁32の内面と、ガイド部材33の第3面33cと、第2メインロール24の外周面24cとによって、湿潤粉体Pが貯留される貯留部35が区画されている。貯留部35は、第2メインロール24の外周面24cとガイド部材33の第3面33cとの間に設けられた隙間によって構成された排出口35aを有する。貯留部35に貯留されている湿潤粉体Pは、重力により、排出口35aから、第1メインロール23と第2メインロール24との間に排出される。
【0054】
<供給部>
図6に示すように、電極層形成装置20は、区画部材30の上方に、貯留部35に湿潤粉体Pを供給する供給部36を備える。
【0055】
<回収部>
電極層形成装置20は、電極層形成部21の下方に、湿潤粉体Pを回収する回収部37を備える。回収部37は、例えば、パターンマスク22から脱落した湿潤粉体Pを回収する。
【0056】
<粉体除去部>
電極層形成装置20は、パターンマスク22に付着した湿潤粉体Pを除去する粉体除去部としての掻き取り刃38と、掻き取り刃38によりパターンマスク22から除去された湿潤粉体Pを回収する回収トレイ39とを備える。掻き取り刃38及び回収トレイ39は、パターンマスク22の搬送途中に配置されている。
【0057】
ここで、パターンマスク22の搬送ルートにおける掻き取り刃38が配置された地点でのパターンマスク22の搬送方向を第1方向とする。パターンマスク22の搬送ルートにおける掻き取り刃38が配置された地点でのパターンマスク22の厚みに沿う方向を第2方向とする。第2方向は、第1方向と直交する方向である。パターンマスク22の搬送ルートにおける掻き取り刃38が配置された地点でのパターンマスク22の表面に沿い、かつ第1方向及び第2方向と直交する方向を第3方向とする。
【0058】
図9及び
図10に示すように、掻き取り刃38は、長方形状である。掻き取り刃38は、長手方向が第1方向及び第3方向のそれぞれに対して傾斜し、かつ短手方向が第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されている。
【0059】
図10に示すように、掻き取り刃38は、長手方向に沿う一辺に刃先38aを有する。刃先38aは傾斜面になっている。掻き取り刃38は、刃先38aがパターンマスク22の第2面22bに沿うように配置されている。掻き取り刃38は、刃先38aによってパターンマスク22の第2面22bに付着した湿潤粉体Pを掻き取ることにより、パターンマスク22から湿潤粉体Pを除去する。
【0060】
回収トレイ39は、パターンマスク22を挟んで掻き取り刃38とは反対側に配置されている。回収トレイ39は、パターンマスク22の下方に配置されている。
<<電極層形成方法>>
次に、電極層形成方法について説明する。
【0061】
図6に示すように、電極層形成方法は、集電体10にパターンマスク22を重ねるマスク配置工程P1を有する。マスク配置工程P1において、集電体10及びパターンマスク22は、ガイド部材33のガイド面33eと第1メインロール23の外周面23cとによって挟持された状態で搬送される。集電体10は、第1面10aが第1メインロール23の外周面23cに沿って搬送される。パターンマスク22は、第1面22aが集電体10の第2面10bと対向するとともに、第2面22bがガイド部材33のガイド面33eに対して摺動するように搬送される。これにより、パターンマスク22は、第1メインロール23の外周面23cに沿う形状に変形する。また、パターンマスク22及び集電体10がガイド部材33のガイド面33eと第1メインロール23の外周面23cとによって挟持されることにより、パターンマスク22の第1面22aは集電体10の第2面10bに接着される。
【0062】
電極層形成方法は、集電体10及びパターンマスク22に湿潤粉体Pを押し付ける電極層形成工程P2を有する。電極層形成工程P2は、第1メインロール23の外周面23cと第2メインロール24の外周面24cとの距離が最短になる位置である電極層形成位置において行われる。貯留部35の排出口35aから、第1メインロール23の外周面23cと第2メインロール24の外周面24cとの間に湿潤粉体Pが供給される。供給された湿潤粉体Pは、第2メインロール24によって、集電体10の第2面10bにおけるパターンマスク22によって覆われていない部分とパターンマスク22の第2面22bとに押し付けられる。これにより、集電体10の第2面10bにおけるパターンマスク22によって覆われていない部分には、矩形状の電極層11が形成される。集電体10の第2面10bにおいて、パターンマスク22によって覆われていた部分には電極層11が形成されない。また、パターンマスク22の第2面22bには湿潤粉体Pが付着する。
【0063】
電極層形成方法は、集電体10からパターンマスク22を除去する除去工程P3を有する。除去工程P3において、パターンマスク22は、集電体10の搬送ルートとは異なる搬送ルートに搬送される。これにより、パターンマスク22は、集電体10の第2面10bから除去される。なお、電極層11が形成された集電体10は、後工程に搬送される。後工程は、例えば、電極層11を乾燥させて溶媒を除去することにより、電極層11を活物質層とする工程である。
【0064】
電極層形成方法は、パターンマスク22の第2面22bに付着した湿潤粉体Pを除去する粉体除去工程P4を有する。粉体除去工程P4では、パターンマスク22は、掻き取り刃38に対して相対移動する。掻き取り刃38の刃先38aは、パターンマスク22の第2面22bに接触している。これにより、掻き取り刃38は、パターンマスク22に付着した湿潤粉体Pを掻き取る。掻き取り刃38によってパターンマスク22から掻き取られた湿潤粉体Pは、回収トレイ39に回収される。回収トレイ39に回収された湿潤粉体Pは、電極層11の形成に再利用されてもよい。湿潤粉体Pが除去されたパターンマスク22は、周回搬送されることにより、再びマスク配置工程P1に搬送される。つまり、パターンマスク22は、周回搬送されることにより、繰り返し使用される。
【0065】
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)電極層形成装置20は、集電体10の搬送方向における電極層形成位置よりも上流側にガイド部材33を備える。パターンマスク22は、ガイド部材33のガイド面33eと第1メインロール23の外周面23cとによって挟持された状態で集電体10とともに搬送される。これにより、パターンマスク22は、第1メインロール23の外周面23cに沿う形状に変形する。よって、パターンマスク22の接続部位222が集電体10から浮くことを抑制できる。その結果、集電体10の長手方向における電極層11の形成不良が抑制される。
【0066】
(1-2)電極層形成装置20は、パターンマスク22に付着した湿潤粉体Pを除去する掻き取り刃38を備える。集電体10に電極層11を形成する際、パターンマスク22には湿潤粉体Pが付着するが、掻き取り刃38によって湿潤粉体Pが除去されることにより、パターンマスク22は再利用可能になる。
【0067】
(1-3)パターンマスク22は、ループ状である。パターンマスク22は、第1メインロール23と第2メインロール24との間を通過するように周回搬送される。掻き取り刃38は、パターンマスク22の搬送途中に配置されている。このため、パターンマスク22は繰り返し使用される。よって、例えば、パターンマスク22の補充作業が不要になる。
【0068】
(1-4)掻き取り刃38は、掻き取り刃38の長手方向が第1方向及び第3方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されている。このため、第1方向及び第3方向において、パターンマスク22から湿潤粉体Pを除去できる。
【0069】
(1-5)掻き取り刃38は、掻き取り刃38の短手方向が第1方向及び第2方向のそれぞれに対して傾斜するように配置されている。そして、掻き取り刃38の刃先38aは、パターンマスク22の第2面22bに沿う傾斜面である。これにより、パターンマスク22からの湿潤粉体Pの掻き取り性が向上する。
【0070】
(1-6)電極層形成装置20は、第1メインロール23の周方向におけるガイド部材33の位置を調整する調整機構を有する。このため、例えば、パターンマスク22の形状や厚みの変更によって、第1メインロール23の周方向におけるガイド部材33の好適な位置が変わった場合に、第1メインロール23の周方向におけるガイド部材33の位置を調整できる。
【0071】
(1-7)第1メインロール23及び第2メインロール24は、集電体10に湿潤粉体Pを押し付けて電極層11を形成する電極層形成部21と、集電体10及びパターンマスク22を搬送する搬送装置とを兼ねている。このため、第1メインロール23及び第2メインロール24とは別に集電体10及びパターンマスク22を搬送する搬送装置を設ける必要がない。よって、電極層形成装置20の構成を簡素化できる。
【0072】
(1-8)パターンマスク22の第1面22aは接着層22yであるため、パターンマスク22の第1面22aが集電体10の第2面10bに接着される。よって、集電体10からのパターンマスク22の浮き上がりをより抑制できる。また、接着層22yは易離形性であるため、集電体10の第2面10bに電極層11を形成した後に集電体10からパターンマスク22を除去する際、集電体10からパターンマスク22を剥がしやすい。
【0073】
(1-9)パターンマスク22の第2面22bは、テフロン加工されたコート層22zである。よって、パターンマスク22の第2面22bに湿潤粉体Pが付着しにくい。
(第2実施形態)
以下、電極層形成装置を具体化した第2実施形態を
図11~
図14にしたがって説明する。なお、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
【0074】
<パターンマスク>
図11に示すように、第2実施形態のパターンマスク22は、2つの環状の第1マスク形成部材223と、複数の帯状の第2マスク形成部材224とから構成されている。各第1マスク形成部材223の厚みH22は、約100μmである。各第2マスク形成部材224の厚みは、約100μmである。
【0075】
2つの第1マスク形成部材223は、間隔を空けて平行に並んでいる。各第2マスク形成部材224は、2つの第1マスク形成部材223を接続している。複数の第2マスク形成部材224は、第1マスク形成部材223の周方向において間隔を空けて配置されている。各第2マスク形成部材224は、2つの第1マスク形成部材223の並ぶ方向に沿って直線状に延びている。
【0076】
パターンマスク22は、一方の第1マスク形成部材223と第2マスク形成部材224の一端部とが重なった第1重合部225と、他方の第1マスク形成部材223と第2マスク形成部材224の他端部とが重なった第2重合部226とをそれぞれ複数有する。各重合部225,226において、第1マスク形成部材223と第2マスク形成部材224とは溶接によって接合されている。
【0077】
パターンマスク22は、集電体10の第2面10bに重ねられる。この状態において、各第1マスク形成部材223は、集電体10の長手方向に沿って延びるとともに、各第2マスク形成部材224は、集電体10の短手方向に沿って延びている。一方の第1マスク形成部材223の縁部であって、他方の第1マスク形成部材223とは反対側に位置する縁部は、集電体10の一対の長縁部のうちの一方の長縁部に沿っている。他方の第1マスク形成部材223の縁部であって、一方の第1マスク形成部材223とは反対側に位置する縁部は、集電体10の一対の長縁部のうちの他方の長縁部に沿っている。
【0078】
第2マスク形成部材224は、集電体10に対し、集電体10の長手方向において断続的に配置される第1マスク構成部位である。集電体10の第2面10bは、第2マスク形成部材224によって覆われる部分と、第2マスク形成部材224によって覆われない部分とを、集電体10の長手方向において交互に有する。第1マスク形成部材223は、集電体10に対し、集電体10の長手方向において連続的に配置される第2マスク構成部位である。集電体10の第2面10bの短手方向の両端部は、第1マスク形成部材223によって覆われている。
【0079】
電極層11の寸法A1は、第1マスク形成部材223の周方向に隣り合う2つの第2マスク形成部材224の間隔B1と同じになる。複数の第2マスク形成部材224は、集電体10の長手方向における電極層11の形成範囲を設定している。電極層11の寸法A2は、2つの第1マスク形成部材223の間隔B2と同じになる。2つの第1マスク形成部材223は、集電体10の短手方向における電極層11の形成範囲を設定している。
【0080】
第1重合部225及び第2重合部226では、第2マスク形成部材224は、第1マスク形成部材223と集電体10の第2面10bとの間に位置している。
<ガイド部材>
図12に示すように、第2実施形態のガイド部材33は、湾曲面33dに2つの凹部33fを有する。2つの凹部33fは、ガイド部材33の第1面33aと第2面33bとが対をなす方向において間隔を空けて形成されている。一方の凹部33fと他方の凹部33fとの間隔は、パターンマスク22の2つの第1マスク形成部材223の間隔B2とほぼ一致している。湾曲面33d及び凹部33fの底面33gは、第1メインロール23の外周面23cに沿う形状である。
【0081】
ガイド部材33の第1面33aと第2面33bとが対をなす方向における各凹部33fの幅W33は、パターンマスク22の各第1マスク形成部材223の幅W22の1.1倍に設定されている。各凹部33fの深さD33は、パターンマスク22の各第1マスク形成部材223の厚みH22の80%に設定されている。なお、凹部33fの深さD33とは、湾曲面33dから凹部33fの底面33gまでの距離のことである。
【0082】
ガイド部材33は、湾曲面33d及び凹部33fの底面33gが第1メインロール23の外周面23cと向かい合うように配置されている。各凹部33fは、第1メインロール23の周方向に延びている。
【0083】
<第2ガイドロール>
図13に示すように、第2実施形態の各第2ガイドロール27は、外周面27aに2つの溝部27bを有する。各溝部27bは、第2ガイドロール27の全周に亘って形成されている。2つの溝部27bは、第2ガイドロール27の軸線が延びる方向において間隔を空けて形成されている。第2ガイドロール27の軸線が延びる方向における一方の溝部27bと他方の溝部27bとの間隔は、パターンマスク22の2つの第1マスク形成部材223の間隔B2とほぼ一致している。
【0084】
第2ガイドロール27の軸線が延びる方向における各溝部27bの幅W27は、パターンマスク22の各第1マスク形成部材223の幅W22の1.1倍に設定されている。各溝部27bの深さD27は、パターンマスク22の各第1マスク形成部材223の厚みH22の80%に設定されている。なお、溝部27bの深さD27とは、第2ガイドロール27の外周面27aから溝部27bの底面27cまでの距離のことである。
【0085】
図14に示すように、パターンマスク22は、第1マスク形成部材223が第2ガイドロール27の溝部27b内に位置するとともにガイド部材33の凹部33f内に位置する状態で搬送される。また、パターンマスク22は、第1マスク形成部材223が凹部33fの底面33gと第1メインロール23の外周面23cとによって挟持された状態で集電体10とともに搬送される。つまり、第2実施形態では、底面33gがガイド面である。
【0086】
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)~(1-9)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)第1マスク形成部材223がガイド部材33の凹部33f内に位置していることにより、第1メインロール23の軸線方向における第1マスク形成部材223の位置ずれが抑制される。このため、集電体10の短手方向における第1マスク形成部材223の位置ずれが抑制される。よって、集電体10の短手方向における電極層11の形成位置のずれを抑制できる。また、パターンマスク22の皺を抑制できる。
【0087】
(2-2)第1マスク形成部材223が第2ガイドロール27の溝部27b内に位置していることにより、第2ガイドロール27の軸線方向における第1マスク形成部材223の位置ずれが抑制される。よって、パターンマスク22の皺を抑制できる。
【0088】
(2-3)各重合部225,226において第1マスク形成部材223が第2マスク形成部材224と集電体10との間に位置していると、各重合部225,226では第1マスク形成部材223が凹部33f内及び溝部27b内から外れることになる。これに対し、各重合部225,226において第2マスク形成部材224が第1マスク形成部材223と集電体10との間に位置することで、各重合部225,226においても第1マスク形成部材223が凹部33f内及び溝部27b内に位置することになる。つまり、第1マスク形成部材223が凹部33f内及び溝部27b内に常に位置する状態でパターンマスク22を搬送できる。よって、集電体10の短手方向におけるパターンマスク22の位置ずれをより抑制できる。
【0089】
(2-4)凹部33fの幅W33及び溝部27bの幅W27はそれぞれ、第1マスク形成部材223の幅W22の1.1倍に設定されている。これにより、凹部33f内及び溝部27b内における第1マスク形成部材223の位置ずれを抑制できる。
【0090】
(2-5)凹部33fの深さD33及び溝部27bの深さD33はそれぞれ、第1マスク形成部材223の厚みH22の80%に設定されている。これにより、凹部33f及び溝部27bから第1マスク形成部材223が脱落し難くなる。
【0091】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
○ パターンマスク22の金属箔22xの材質は、SUSに限定されない。金属箔22xの材質は、湿潤粉体Pよりも硬い材質が好ましく、例えば、アルミニウムであってもよい。
【0092】
○ パターンマスク22の厚みは、パターンマスク22の材質に応じて変更してよい。例えば、金属箔22xの材質がアルミニウムである場合、パターンマスク22の厚みを150μm程度に設定してもよい。
【0093】
○ パターンマスク22の接着層22yを省略してもよい。ただし、パターンマスク22のうち、第1マスク構成部位には接着層22yを設けることで集電体10からの浮き上がりを抑制するのが好ましい。
【0094】
○ パターンマスク22のコート層22zを省略してもよい。
○ パターンマスク22の形状は、集電体10に所望の形状の電極層11が形成されるように適宜変更してよい。
【0095】
図15に示すように、例えば、パターンマスク22は、複数の環状部位221を有していてもよい。この場合、集電体10の短手方向において複数の電極層11が形成される。
図16に示すように、パターンマスク22の環状部位221と接続部位222との接続部分にアールを付けてもよい。この場合、パターンマスク22の破れを抑制できる。
【0096】
図17に示すように、パターンマスク22は、2つの環状部位221と、2つの環状部位221が並ぶ方向に対して傾斜するように配置された複数の接続部位222とを有していてもよい。
【0097】
○ 各重合部225,226において、第1マスク形成部材223と第2マスク形成部材224とは接着剤によって接着されていてもよい。
○ 各重合部225,226において、第1マスク形成部材223が第2マスク形成部材224と集電体10との間に位置していてもよい。
【0098】
○ パターンマスク22は、ループ状でなくてもよい。パターンマスク22は、例えば、長尺帯状でもよい。パターンマスク22が長尺帯状であって、パターンマスク22を再利用する場合、湿潤粉体Pが付着したパターンマスク22を一旦巻き取った後、湿潤粉体Pを除去することにより再利用してもよい。また、湿潤粉体Pを除去してからパターンマスク22を巻き取って再利用してもよい。
【0099】
○ パターンマスク22を再利用してなくてもよい。この場合、電極層除去部は不要になる。
○ パターンマスク22に付着した湿潤粉体Pを除去する方法は、掻き取り刃38による掻き取りに限定されない。例えば、パターンマスク22の第2面22bに向けてエアを噴射することにより、パターンマスク22に付着した湿潤粉体Pを除去してもよい。
【0100】
○ 掻き取り刃38は、長手方向が第1方向と直交するように配置されていてもよい。
○ 掻き取り刃38は、短手方向が第2方向と一致するように配置されるとともに、掻き取り刃38の刃先38aは平坦面であってもよい。
【0101】
○ 第2実施形態において、ガイド部材33の凹部33f及び第2ガイドロール27の溝部27bの何れ一方を省略してもよい。
○ ガイド部材33が有する凹部33fの数は、パターンマスク22の第1マスク形成部材223の数に合わせて適宜変更してよい。
【0102】
○ 第2ガイドロール27が有する溝部27bの数は、パターンマスク22の第1マスク形成部材223の数に合わせて適宜変更してよい。
○ 各凹部33fの幅W33は、第1マスク形成部材223の幅W22の1.05~1.5倍の範囲で適宜変更してよい。凹部33fの幅W33が、パターンマスク22の第1マスク形成部材223の幅W22の1.5倍よりも大きい場合、凹部33f内において第1マスク形成部材223が位置ずれする可能性がある。
【0103】
○ 各凹部33fの深さD33は、第1マスク形成部材223の厚みH22の10~90%の範囲で適宜変更してよい。凹部33fの深さD33が第1マスク形成部材223の厚みH22の10%より浅い場合、凹部33fから第1マスク形成部材223が脱落しやすい。一方、凹部33fの深さD33が第1マスク形成部材223の厚みH22の90%より深い場合、ガイド部材33と第1メインロール23とによってパターンマスク22を十分に挟持できなくなるおそれがある。
【0104】
○ 各溝部27bの幅W27は、第1マスク形成部材223の幅W22の1.05~1.5倍の範囲で適宜変更してよい。溝部27bの幅W27が、第1マスク形成部材223の幅W22の1.5倍よりも大きい場合、溝部27b内において第1マスク形成部材223が位置ずれするおそれがある。
【0105】
○ 各溝部27bの深さD27は、第1マスク形成部材223の厚みH22の10%以上の深さであれば、適宜変更してよい。溝部27bの深さD27が第1マスク形成部材223の厚みの10%より浅い場合、溝部27bから第1マスク形成部材223が脱落しやすい。
【0106】
○ 集電体10及びパターンマスク22を搬送する搬送装置を別途設けてもよい。
○ パターンマスク22の第2マスク構成部位は、電極層11の寸法A2を設定するためのものではなく、単に第1マスク構成部位を接続するためのものであってもよい。
【0107】
○ 貯留部35の構成は適宜変更してよい。貯留部35は、例えば、下部に湿潤粉体Pを排出するための排出穴を有するタンクであってもよい。
【符号の説明】
【0108】
10…集電体、10a…第1面、10b…第2面、11…電極層、20…電極層形成装置、22…パターンマスク、23…第1ロールとしての第1メインロール、23c…外周面、24…第2ロールとしての第2メインロール、24c…外周面、27…ガイドロールとしての第2ガイドロール、27a…外周面、27b…溝部、38…粉体除去部としての掻き取り刃、38a…刃先、33…ガイド部材、33e…ガイド面、33f…凹部、33g…ガイド面としての底面、221…第2マスク構成部位としての環状部位、222…第1マスク構成部位としての接続部位、223…第2マスク構成部位としての第1マスク形成部材、224…第1マスク構成部位としての第2マスク形成部材、225…重合部としての第1重合部、226…重合部としての第2重合部、P…湿潤粉体。