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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】トイレシステム
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20241210BHJP
   E03D 9/00 20060101ALI20241210BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20241210BHJP
   E03D 13/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
A47K17/00
E03D9/00 D
E03D11/00 Z
E03D13/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021129767
(22)【出願日】2021-08-06
(65)【公開番号】P2023023862
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2024-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 暢治
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060475(JP,A)
【文献】特開平7-236593(JP,A)
【文献】特開2020-018776(JP,A)
【文献】特開2007-113352(JP,A)
【文献】特開平11-36396(JP,A)
【文献】特開2015-25310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0347587(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-17/02
E03D 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ室に設けられた機器と、
前記機器を使用する使用者を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて使用者の行動パターンを認識する認識部と、
前記認識部によって認識された前記行動パターンに基づいて、前記機器の異常を判定する異常判定部と
を備えることを特徴とするトイレシステム。
【請求項2】
前記機器は、自動水栓であり、
前記認識部は、
前記撮像画像に基づいて、前記自動水栓に対する使用者の手の動きを前記行動パターンとして認識すること
を特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項3】
前記撮像部は、
前記自動水栓の吐水口および使用者の手を前記撮像画像として撮像可能であり、
前記認識部は、
前記撮像画像に基づき、前記吐水口と使用者の手との間の距離の時間経過に伴う変化を前記行動パターンとして認識し、
前記異常判定部は、
前記距離の変化を含む前記行動パターンが特定パターンである場合、前記自動水栓に異常が生じたと判定すること
を特徴とする請求項2に記載のトイレシステム。
【請求項4】
前記異常判定部は、
前記距離の変化を含む前記行動パターンが、周期的な変化を示す前記特定パターンである場合、前記自動水栓に異常が生じたと判定すること
を特徴とする請求項3に記載のトイレシステム。
【請求項5】
前記自動水栓は、
吐水口付近において使用者の手を検知する吐水センサ
を備え、
前記異常判定部は、
前記行動パターンと前記吐水センサの検知結果とに基づいて、前記自動水栓の異常を判定すること
を特徴とする請求項2~4のいずれか一つに記載のトイレシステム。
【請求項6】
前記機器は、小便器であり、
前記認識部は、
前記撮像画像に基づいて、前記小便器に対する使用者の頭部の動きを前記行動パターンとして認識すること
を特徴とする請求項1に記載のトイレシステム。
【請求項7】
前記認識部は、
前記撮像画像に基づいて、前記機器に対する使用者の移動の軌跡を前記行動パターンとして認識すること
を特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載のトイレシステム。
【請求項8】
前記機器は、複数連立して設けられ、
前記撮像部は、
連立する複数の前記機器間における使用者の移動を前記撮像画像として撮像可能であり、
前記認識部は、
前記撮像画像に基づいて、連立する複数の前記機器間における使用者の移動、および、前記機器に対する使用者の使用時間を前記行動パターンとして認識し、
前記異常判定部は、
前記行動パターンに含まれる、連立する複数の前記機器間における使用者の移動、および、前記機器に対する使用者の前記使用時間の少なくともいずれかが特定パターンである場合、前記機器に異常が生じたと判定すること
を特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載のトイレシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、トイレシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ装置などの機器の異常を検知する技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。上記した従来技術においては、トイレ装置などの機器の付近ににおいセンサなどの異常検知用センサが設けられ、かかるセンサの出力に基づいて機器の異常を検知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-021148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術にあっては、異常検知用センサによって検知可能な特定の異常しか検知することができず、改善の余地があった。すなわち、機器の異常の種類は多岐にわたるため、上記した従来技術では異常を検知できないおそれがあり、改善の余地があった。
【0005】
実施形態の一態様は、多岐にわたる機器の異常を広く検知することができるトイレシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係るトイレシステムは、トイレ室に設けられた機器と、前記機器を使用する使用者を撮像可能な撮像部と、前記撮像部によって撮像された撮像画像に基づいて使用者の行動パターンを認識する認識部と、前記認識部によって認識された前記行動パターンに基づいて、前記機器の異常を判定する異常判定部とを備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、多岐にわたる機器の異常を広く検知することができる。すなわち、例えば従来技術のような異常検知用センサを用いた場合、特定の異常しか検知することができないおそれがある。しかしながら、撮像画像に基づいて認識された使用者の行動パターンを用いることで、例えば使用者が手を吐水口付近に差し出しても自動水栓から吐水されないような異常を検知することが可能になり、よって多岐にわたる機器の異常を広く検知することができる。
【0008】
また、前記機器は、自動水栓であり、前記認識部は、前記撮像画像に基づいて、前記自動水栓に対する使用者の手の動きを前記行動パターンとして認識することを特徴とする。
【0009】
このように、異常判定部は、自動水栓に対する使用者の手の動きを示す行動パターンを用いることで、自動水栓に異常が発生したことを検知することが可能になる。
【0010】
また、前記撮像部は、前記自動水栓の吐水口および使用者の手を前記撮像画像として撮像可能であり、前記認識部は、前記撮像画像に基づき、前記吐水口と使用者の手との間の距離の時間経過に伴う変化を前記行動パターンとして認識し、前記異常判定部は、前記距離の変化を含む前記行動パターンが特定パターンである場合、前記自動水栓に異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0011】
このように、吐水口と使用者の手との間の距離の時間経過に伴う変化を含む行動パターンと特定パターンと用いて異常判定処理を行うことで、自動水栓の異常を容易に精度良く検知することが可能になる。
【0012】
また、前記異常判定部は、前記距離の変化を含む前記行動パターンが、周期的な変化を示す前記特定パターンである場合、前記自動水栓に異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0013】
このように、吐水口と使用者の手との間の距離の時間経過に伴う変化を含む行動パターンと、周期的な変化を示す特定パターンと用いて異常判定処理を行うことで、自動水栓の異常をより一層容易に精度良く検知することが可能になる。
【0014】
また、前記自動水栓は、吐水口付近において使用者の手を検知する吐水センサを備え、前記異常判定部は、前記行動パターンと前記吐水センサの検知結果とに基づいて、前記自動水栓の異常を判定することを特徴とする。
【0015】
これにより、異常判定部は、自動水栓における異常の発生を検知できるとともに、自動水栓において異常が発生した箇所を推定することが可能になる。
【0016】
また、前記機器は、小便器であり、前記認識部は、前記撮像画像に基づいて、前記小便器に対する使用者の頭部の動きを前記行動パターンとして認識することを特徴とする。
【0017】
このように、小便器に対する使用者の頭部の動きを用いることで、多岐にわたる機器(小便器)の異常を広く検知することができる。
【0018】
また、前記認識部は、前記撮像画像に基づいて、前記機器に対する使用者の移動の軌跡を前記行動パターンとして認識することを特徴とする。
【0019】
このように、機器に対する使用者の移動の軌跡を含む行動パターンを用いることで、機器に異常が発生したことを精度良く検知することが可能になる。すなわち、例えば、異常判定部は、認識部によって認識された移動の軌跡を含む行動パターンが、例えば機器から直ぐに立ち去って移動するような特定パターンである場合、機器に異常が生じたと判定することができる、すなわち機器に異常が発生したことを精度良く検知することが可能になる。
【0020】
また、前記機器は、複数連立して設けられ、前記撮像部は、連立する複数の前記機器間における使用者の移動を前記撮像画像として撮像可能であり、前記認識部は、前記撮像画像に基づいて、連立する複数の前記機器間における使用者の移動、および、前記機器に対する使用者の使用時間を前記行動パターンとして認識し、前記異常判定部は、前記行動パターンに含まれる、連立する複数の前記機器間における使用者の移動、および、前記機器に対する使用者の前記使用時間の少なくともいずれかが特定パターンである場合、前記機器に異常が生じたと判定することを特徴とする。
【0021】
このように、複数の機器間における使用者の移動や、機器に対する使用者の使用時間を用いることで、機器が複数連立して設けられるトイレシステムにおいて、多岐にわたる機器の異常を広く検知することができる。
【発明の効果】
【0022】
実施形態の一態様によれば、トイレシステムにおいて、多岐にわたる機器の異常を広く検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、第1の実施形態に係るトイレシステムの概要を説明する図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るトイレシステムの構成例を示すブロック図である。
図3図3は、特定パターン情報の一例を示す図である。
図4図4は、特定パターン情報を説明するための図である。
図5図5は、異常検知装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第2の実施形態に係るトイレシステムの構成例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係る特定パターン情報を説明するための図である。
図8図8は、第3の実施形態に係るトイレシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本願の開示するトイレシステムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0025】
(第1の実施形態)
<トイレシステムの概要>
以下では先ず、第1の実施形態に係るトイレシステムの構成の概要について図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るトイレシステムの概要を説明する図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係るトイレシステム1は、水栓10と、給水バルブ14と、撮像部20と、機器制御装置30と、異常検知装置60とを備える。
【0027】
水栓10は、吐水センサ11を備え、吐水センサ11によって使用者Uの手Hなどが検知されると自動で吐水する自動水栓である。例えば、水栓10は、トイレ室200の洗面台2などに設けられる。なお、水栓10は、機器の一例である。
【0028】
詳しくは、水栓10の吐水センサ11は、人体検知センサであり、例えば使用者Uの手Hなどを検知する。吐水センサ11は、手Hなどを検知した場合、検知したことを示す検知信号を機器制御装置30へ出力する。なお、吐水センサ11は、例えば吐水口12付近に配置されるが、これに限られず、任意の位置に配置可能である。
【0029】
水栓10は、給水配管13を介して給水バルブ14に接続される。給水バルブ14は、例えば電磁弁であり、図示しない水道管などの水源に接続される。また、給水バルブ14は、機器制御装置30によって開閉制御される。
【0030】
例えば、機器制御装置30は、吐水センサ11から、手Hなどを検知したことを示す検知信号が入力されると給水バルブ14を開弁する。これにより、例えば水源から供給される水(水道水など)は、給水バルブ14および給水配管13を介して吐水口12から洗面台2のボウル部3へ向けて吐水される。
【0031】
ところで、上記したトイレ室200が例えば公共のトイレ室であるような場合、機器(ここでは水栓10)に異常が発生したときには、可能な限り早期に異常を検知して正常な状態に戻すことが求められる。
【0032】
しかしながら、機器の異常の種類は多岐にわたる。そのため、従来技術のような異常検知用センサを用いる構成の場合、かかるセンサによって検知可能な特定の異常しか検知することができないおそれがあった。
【0033】
ここで、機器である水栓10に生じ得る異常の一例について説明する。水栓10においては、吐水センサ11が使用者Uの手Hなどを正常に検知できず、吐水されない異常が発生することがある。かかる異常の原因としては、例えば吐水センサ11の表面(検知面)には、手洗いの汚水や石鹸水などが飛散しやすく、よって汚水等の汚れに含まれるカルシウム成分や油分が付着しやすい。そのため、吐水センサ11は、このカルシウム成分等の付着物により、使用者Uの手Hなどを正常に検知できず、結果として水栓10においては吐水されない異常が発生する。このような異常については、水栓10自身で検知することが難しく、対策が求められていた。
【0034】
そこで、本実施形態に係るトイレシステム1においては、上記した撮像部20や異常検知装置60を備えることで、多岐にわたる機器(ここでは水栓10)の異常を広く検知することができるようにした。
【0035】
撮像部20は、水栓10を使用する使用者Uを撮像可能なカメラである。例えば、撮像部20は、水栓10の吐水口12、および、水栓10を使用する使用者Uの手Hなどを撮像可能となるように構成される。なお、撮像部20は、吐水口12そのものを撮像することを要さず、吐水口12付近(言い換えると吐水口12に相当する位置)を撮像できればよい。
【0036】
撮像部20は、水栓10や洗面台2の上方の適宜位置(例えばトイレ室200の天井)に設置される。なお、上記では、撮像部20が水栓10等の上方に設置されるようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、撮像部20は、任意の位置に設置可能であり、例えば、図1に想像線で示すように、撮像部120は、水栓10の側方の位置(例えばトイレ室200の壁面)などに設置されて手Hなどを撮像してもよい。
【0037】
撮像部20は、撮像した撮像画像を異常検知装置60へ出力する。なお、撮像画像は、動画データであるが、これに限られず、静止画データなどであってもよい。
【0038】
異常検知装置60は、水栓10(機器)の異常を検知する異常検知処理を実行することができる。ここで、異常検知装置60における異常検知処理の説明に入る前に、水栓10に異常が生じている場合に、使用者Uが取る行動について説明しておく。
【0039】
例えば、上記したような、吐水センサ11に付着物が付着して使用者Uの手Hなどを正常に検知できず、水栓10において吐水されない異常が発生している場合、使用者Uが手Hを吐水口12付近(言い換えると吐水センサ11付近)に差し出しても、水栓10から水は吐水されない。このとき、使用者Uは、矢印A1で示すように、手Hを前後方向に動かすなどして、吐水センサ11に対して検知を促すような動作を行うことがある。
【0040】
本実施形態においては、使用者Uがこのような行動パターン、すなわち、例えば手Hを前後方向に動かすような行動パターンを取った場合に、水栓10(機器)に異常が生じたと判定するようにした、言い換えると、水栓10に異常が発生したことを検知するようにした。なお、本明細書において、「前後方向」や「左右方向」など方向を示す表現は、使用者Uが機器(ここでは水栓10)を使用するため機器の正面に立った状態において、使用者Uから見たときの「前後方向」や「左右方向」の意味で用いる。
【0041】
以下、異常検知処理について詳説すると、異常検知装置60は先ず、撮像部20によって撮像された撮像画像を取得する(ステップS1)。
【0042】
次いで、異常検知装置60は、撮像画像に基づいて使用者Uの行動パターンを認識する(ステップS2)。例えば、異常検知装置60は、撮像画像を解析して、画像における使用者Uの手Hの部位を抽出する。そして、異常検知装置60は、抽出された手Hの部位の動きを、使用者Uの行動パターンとして認識する。
【0043】
次いで、認識された使用者Uの行動パターンに基づいて、水栓10(機器)の異常を判定する(ステップS3)。例えば、異常検知装置60は、手Hを前後方向に動かすような行動パターンなど、水栓10に異常が生じているときに使用者Uが取り得る、特定の行動パターン(以下「特定パターン」と記載する場合がある)を示す情報を予め記憶部80(図2参照)に記憶しておき、認識された行動パターンと記憶された特定パターンとを比較する。
【0044】
そして、異常検知装置60は、認識された行動パターンが特定パターンと一致または略一致する場合、言い換えると、使用者Uの行動パターンが特定パターンである場合、水栓10に異常が生じたと判定する、すなわち水栓10に異常が発生したことを検知する。
【0045】
これにより、本実施形態にあっては、多岐にわたる機器(ここでは水栓10)の異常を広く検知することができる。
【0046】
なお、異常検知装置60は、水栓10の異常が検知された場合、異常が検知されたことを示す情報を、水栓10を管理する管理者へ通知してもよい。これにより、管理者は、異常が生じている水栓10に対して修理などの対応を行い、よって水栓10を正常な状態に早期に戻すこと(復旧すること)が可能になる。
【0047】
<トイレシステムの構成>
次に、第1の実施形態に係るトイレシステム1の構成について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係るトイレシステム1の構成例を示すブロック図である。なお、図2のブロック図では、本実施形態の特徴を説明するために必要な構成要素のみを機能ブロックで表しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0048】
換言すれば、図2のブロック図に図示される各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。例えば、各機能ブロックの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。
【0049】
図2に示すように、トイレシステム1は、上記した吐水センサ11と、給水バルブ14と、撮像部20と、機器制御装置30と、異常検知装置60とを備える。
【0050】
吐水センサ11は、例えば吐水口12(図1参照)付近において使用者Uの手Hなどを検知するセンサである。吐水センサ11は、使用者Uの手Hなどを検知したことを示す検知信号を機器制御装置30へ出力することができる。なお、吐水センサ11としては、光電センサや電波センサを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0051】
給水バルブ14は、水栓10に対する給水あるいは止水を行う電磁弁である。例えば、給水バルブ14は、機器制御装置30から入力される制御信号に応じて開閉弁して、水栓10に対して水を供給したり止めたりする。なお、「水」は、上水(水道水)などの常温の水に限られず、例えば湯や湯水混合水、冷水などであってもよい。
【0052】
撮像部20は、水栓10を使用する使用者Uを撮像可能なカメラ(例えばAIカメラ)である。撮像部20は、撮像した撮像画像を異常検知装置60へ出力する。なお、撮像部20は、例えばレンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子とを備えるが、これに限定されるものではない。
【0053】
機器制御装置30は、機器の一例である水栓10を制御する。具体的には、機器制御装置30は、制御部40と、記憶部50とを備える。制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などにより、記憶部50に記憶されているプログラムを、RAM(Random Access Memory)を作業領域として実行することで実現される。なお、制御部40は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによっても実現可能である。記憶部50は、揮発性メモリや不揮発性メモリを有し、例えば、RAMやフラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子などにより実現される。
【0054】
具体的には、制御部40は、取得部41と、機器制御部42とを備える。取得部41は、吐水センサ11から出力される、使用者Uの手Hなどを検知したことを示す検知信号を取得する。取得部41は、吐水センサ11から検知信号を取得すると、検知信号を取得したことを示す情報を機器制御部42および異常検知装置60へ出力する。このように、取得部41は、吐水センサ11から出力される検知信号の有無を、吐水センサ11の検知結果として機器制御部42や異常検知装置60へ出力することができる。
【0055】
機器制御部42は、給水バルブ14などの開閉制御を行う。例えば、機器制御部42は、吐水センサ11の検知信号を取得したことを示す情報が入力された場合、給水バルブ14を開弁する。これにより、水栓10においては、吐水口12から水が吐水される。
【0056】
異常検知装置60は、機器の一例である水栓10の異常を検知する。具体的には、異常検知装置60は、制御部70と、記憶部80とを備える。制御部70は、例えば、CPUやMPUなどにより、記憶部80に記憶されているプログラムを、RAMを作業領域として実行することで実現される。なお、制御部70は、例えば、ASICやFPGA等のハードウェアによっても実現可能である。記憶部80は、揮発性メモリや不揮発性メモリを有し、例えば、RAMやフラッシュメモリなどの半導体メモリ素子などにより実現される。
【0057】
具体的には、制御部70は、取得部71と、認識部72と、異常判定部73と、通知部74とを備える。記憶部80には、特定パターン情報81などが記憶される。
【0058】
特定パターン情報81は、例えば機器(ここでは水栓10)に異常が生じているときに使用者Uが取り得る、特定の行動パターン(特定パターン)を示す情報である。ここで、図3を用いて、特定パターン情報81について説明する。図3は、特定パターン情報81の一例を示す図である。図3に示すように、特定パターン情報81には、「パターンID」および「特定パターン」等の項目が含まれ、各項目は互いに関連付けられている。
【0059】
「パターンID」は、特定パターンを識別する識別情報である。「特定パターン」は、特定パターンを示す情報である。なお、図3に示す例では、便宜上、「特定パターン」を「特定パターンC01」といったように抽象的な記載とするが、「特定パターンC01」には具体的な情報が記憶されるものとする。
【0060】
図3に示す例では、パターンID「B01」で識別される特定パターンのデータは、特定パターンが「特定パターンC01」であることを示している。
【0061】
ここで、特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれる情報について、図4を参照しつつ具体的に説明する。図4は、特定パターン情報を説明するための図であり、水栓10や使用者U等を上方から見たときの図である。なお、ここでは、例えば使用者Uが手Hを吐水口12付近に差し出しても、水栓10から吐水されない異常が発生している場合に、使用者Uが取り得る特定パターンについて説明するが、異常の種類はこれに限定されるものではない。
【0062】
図4に示すように、手Hを吐水口12付近に差し出しても水栓10から吐水されない場合、使用者Uは、矢印A1で示すように、手Hを前後方向に動かす行動パターンを取り得ると推定される。そのため、かかる行動パターンが特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれるようにする。
【0063】
このように、特定パターン情報81の「特定パターン」には、水栓10の異常発生時における、水栓10に対する使用者Uの手Hの動きを示す情報が含まれる。かかる手Hの動きの一例として、使用者Uは、水栓10の異常発生時、手Hを前後方向に複数回動かす(別言すれば往復動させる)行動パターンを取り得る。このとき、吐水口12と手Hとの間の距離Lは、時間経過に伴って周期的に変化する、詳しくは、距離Lは時間経過に伴って長くなったり短くなったり変化する。従って、このような吐水口12と手Hとの間の距離Lの時間経過に伴う変化が周期的な変化を示すような行動パターンが、特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれるようにする。
【0064】
なお、図4では、距離Lが吐水口12から手Hの先端までである例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば吐水口12から手Hの重心位置(正確には、撮像画像における手Hの部位の重心位置)までの距離などを用いてもよい。
【0065】
また、上記では、手Hを前後方向に動かす行動パターンが特定パターン情報81に含まれるようにしたが、これに限られず、例えば手Hを吐水口12の付近で左右方向に動かす行動パターン(矢印A2参照)などその他の行動パターンが特定パターン情報81に含まれてもよい。
【0066】
また、図示は省略するが、水栓10に対する使用者Uの移動軌跡が特定パターン情報81に含まれてもよい。すなわち、手Hを吐水口12付近に差し出しても水栓10から吐水されない場合、使用者Uは水栓10から直ぐに立ち去って移動するような行動パターンを取り得ると推定される。そのため、水栓10から直ぐに立ち去って移動するような移動軌跡を示す行動パターンが特定パターン情報81に含まれてもよい。
【0067】
図2の説明に戻ると、制御部70の取得部71は、撮像部20から撮像画像を取得する。取得部71は、取得された撮像画像を認識部72へ出力する。また、取得部71は、吐水センサ11の検知結果を取得し、取得された検知結果を異常判定部73へ出力する。
【0068】
認識部72は、撮像部20によって撮像された撮像画像に基づいて使用者Uの行動パターンを認識する。例えば、認識部72は、撮像画像を解析して、画像における使用者Uの手Hの部位を抽出する。続いて、認識部72は、抽出された手Hの部位の時間経過に伴う動きを、使用者Uの行動パターンとして認識する(検出する)。なお、上記した撮像画像の解析は、任意の解析手法を用いることができる。
【0069】
詳しくは、認識部72は、撮像画像に基づいて、水栓10に対する使用者Uの手Hの動きを行動パターンとして認識する。このように、認識部72が、水栓10に対する使用者Uの手Hの動きを行動パターンとして認識することで、後述するように、水栓10に異常が発生したことを検知することが可能になる。
【0070】
また、例えば認識部72は、撮像画像に基づき、吐水口12と使用者Uの手Hとの間の距離L(図4参照)の時間経過に伴う変化を行動パターンとして認識してもよい。一例として、認識部72は、撮像画像の解析により抽出された手Hの部位と吐水口12との距離Lを算出し、算出された距離L(図4参照)の時間経過に伴う変化(例えば変化量や変化率など)を行動パターンとして認識してもよい。
【0071】
また、認識部72は、撮像画像に基づいて、水栓10に対する使用者Uの移動の軌跡を行動パターンとして認識してもよい。例えば、認識部72は、撮像画像を解析して、画像における使用者Uの体の部位を抽出する。続いて、認識部72は、抽出された体の部位の軌跡を使用者Uの移動の軌跡とし、かかる軌跡を使用者Uの行動パターンとして認識してもよい。このように、認識部72が、機器の一例である水栓10に対する使用者Uの移動の軌跡を行動パターンとして認識することで、後述するように、機器に異常が発生したことを精度良く検知することが可能になる。
【0072】
認識部72は、上記のようにして認識された(検出された)行動パターンを異常判定部73へ出力する。
【0073】
異常判定部73は、認識部72によって認識された行動パターンに基づいて、機器(ここでは水栓10)の異常を判定する。例えば、異常判定部73は、記憶部80の特定パターン情報81を読み出し、認識された行動パターンと、特定パターン情報81に含まれる特定パターンとを比較する。
【0074】
そして、異常判定部73は、認識された行動パターンが特定パターン(例えば手Hを前後方向に動かすような特定の行動パターン)と一致または略一致する場合、言い換えると、使用者Uの行動パターンが特定パターンである場合、水栓10に異常が生じたと判定する、すなわち水栓10に異常が発生したことを検知する。
【0075】
これにより、本実施形態にあっては、多岐にわたる機器(水栓10)の異常を広く検知することができる。すなわち、例えば従来技術のような異常検知用センサを用いた場合、特定の異常しか検知することができないおそれがある。しかしながら、本実施形態にあっては、撮像画像に基づいて認識された使用者Uの行動パターンを用いることで、例えば使用者Uが手Hを吐水口12付近に差し出しても水栓10から吐水されないような異常を検知することが可能になり、よって多岐にわたる機器(水栓10)の異常を広く検知することができる。
【0076】
また、異常判定部73は、認識部72によって認識された水栓10に対する使用者Uの手Hの動きを示す行動パターンに基づいて、水栓10の異常を判定する。このように、異常判定部73は、水栓10に対する使用者Uの手Hの動きを示す行動パターンを用いることで、水栓10に異常が発生したことを検知することが可能になる。
【0077】
また、異常判定部73は、吐水口12と使用者Uの手Hとの間の距離L(図4参照)の時間経過に伴う変化が行動パターンとして認識されて入力された場合、かかる距離Lの変化を含む行動パターンに基づいて、水栓10の異常を判定することができる。
【0078】
例えば、異常判定部73は、記憶部80の特定パターン情報81を読み出し、距離Lの変化を含む行動パターンと、特定パターン情報81に含まれる特定パターンとを比較する。そして、異常判定部73は、距離Lの変化を含む行動パターンが特定パターンである場合、水栓10に異常が生じたと判定する。
【0079】
このように、吐水口12と使用者Uの手Hとの間の距離Lの時間経過に伴う変化を含む行動パターンと特定パターンと用いて異常判定処理を行うことで、水栓10の異常を容易に精度良く検知することが可能になる。
【0080】
具体的には、異常判定部73は、距離Lの変化を含む行動パターンが、周期的な変化を示す特定パターンである場合、水栓10に異常が生じたと判定する。一例として、異常判定部73は、距離Lが時間経過に伴って長くなったり短くなったり周期的に変化するような場合、水栓10に異常が生じたと判定する。
【0081】
このように、吐水口12と使用者Uの手Hとの間の距離Lの時間経過に伴う変化を含む行動パターンと、周期的な変化を示す特定パターンと用いて異常判定処理を行うことで、水栓10の異常をより一層容易に精度良く検知することが可能になる。
【0082】
また、本実施形態においては、上記したように、特定パターンを予め特定パターン情報81として記憶部80に記憶しておくことで、例えば機器(水栓10)の異常を簡易な構成で検知することが可能になる。すなわち、例えば仮に、水栓10に異常が生じているときに使用者Uが取り得る行動パターンなどを、機械学習などを用いて算出するように構成した場合、大量の教師データが必要になって処理負荷が増大するなど、異常検知処理の複雑化を招くおそれがある。これに対し、本実施形態にあっては、上記のような簡潔な内容の特定パターンを特定パターン情報81として予め準備しておくことで、異常検知処理における処理負荷を軽減することができ、結果として機器(水栓10)の異常を簡易な構成で検知することが可能になる。
【0083】
また、異常判定部73は、使用者Uの移動の軌跡が行動パターンとして認識されて入力された場合、かかる移動の軌跡を含む行動パターンに基づいて、機器(水栓10)の異常を判定することができる。
【0084】
例えば、異常判定部73は、記憶部80の特定パターン情報81を読み出し、使用者Uの移動の軌跡を含む行動パターンと、特定パターン情報81に含まれる特定パターンとを比較する。そして、異常判定部73は、移動の軌跡を含む行動パターンが、例えば機器(水栓10)から直ぐに立ち去って移動するような特定パターンである場合、機器に異常が生じたと判定する、すなわち機器に異常が発生したことを検知する。このように、異常判定部73は、機器(水栓10)に対する使用者Uの移動の軌跡を含む行動パターンを用いることで、機器に異常が発生したことを精度良く検知することが可能になる。
【0085】
また、異常判定部73は、行動パターンと吐水センサ11の検知結果とに基づいて、水栓10の異常を判定してもよい。これにより、異常判定部73は、水栓10における異常の発生を検知できるとともに、水栓10において異常が発生した箇所を推定することが可能になる。
【0086】
例えば、異常判定部73は、上記したように使用者Uの行動パターンが、手Hを前後方向に動かすような特定パターンである場合、水栓10に異常が生じたと判定する、すなわち水栓10に異常が発生したことを検知することができる。
【0087】
このとき、異常判定部73は、吐水センサ11の検知結果に基づいて、水栓10において異常が発生した箇所を推定する。例えば、吐水センサ11の検知結果に、使用者Uの手Hなどを検知していないことを示す情報が含まれる場合(すなわち吐水センサ11から検知信号が出力されていない場合)、手Hが吐水口12付近に差し出されて前後方向に動いているにも関わらず、吐水センサ11はかかる手Hを検知できていない状態であることを意味する。従って、異常判定部73は、吐水センサ11の検知結果に手Hなどを検知していないことを示す情報が含まれる場合、異常が発生している箇所は吐水センサ11であると推定することができる。
【0088】
他方、例えば、吐水センサ11の検知結果に、使用者Uの手Hなどを検知していることを示す情報が含まれる場合(すなわち吐水センサ11から検知信号が出力されている場合)、異常が発生している箇所は吐水センサ11とは異なる部位であると推定することができる。すなわち、吐水センサ11が手Hなどを検知しているにも関わらず、使用者Uの行動パターンが例えば手Hを前後方向に動かすような特定パターンである場合、給水バルブ14や機器制御装置30などの給水側の部位の異常により、吐水されていない状態であることを意味する。従って、異常判定部73は、吐水センサ11の検知結果に手Hなどを検知していることを示す情報が含まれる場合、異常が発生している箇所は給水バルブ14等の給水側の部位であると推定することができる。
【0089】
このように、異常判定部73は、行動パターンと吐水センサ11の検知結果とを用いることで、水栓10における異常の発生を検知できるとともに、水栓10において異常が発生した箇所を推定することが可能になる。
【0090】
異常判定部73は、上記したように、機器(水栓10)に異常が発生したことが検知された場合、異常が発生したことを示す異常発生情報を通知部74へ出力する。なお、異常発生情報は、異常が発生した箇所を示す情報を含んでもよい。
【0091】
通知部74は、異常判定部73から異常発生情報が入力された場合、かかる情報を機器(水栓10)を管理する管理者へ通知する。例えば、通知部74は、管理者が利用する端末装置(図示せず)に対して、異常発生情報をインターネット網などの通信ネットワークを介して通知する。管理者は、端末装置に通知された異常発生情報に基づいて、異常が生じている機器(ここでは水栓10)に対して修理などの対応を行い、よって水栓10を正常な状態に早期に戻すこと(復旧すること)が可能になる。
【0092】
<第1の実施形態に係る異常検知装置の制御処理>
次に、異常検知装置60における具体的な処理手順について図5を用いて説明する。図5は、異常検知装置60が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0093】
図5に示すように、異常検知装置60の制御部70は、撮像部20から撮像画像を取得する(ステップS10)。次いで、制御部70は、撮像画像に基づいて使用者Uの使用者の行動パターンを認識する(ステップS11)。
【0094】
次いで、制御部70は、認識された行動パターンが特定パターンであるか否かを判定する(ステップS12)。制御部70は、認識された行動パターンが特定パターンであると判定された場合(ステップS12,Yes)、機器(例えば水栓10)に異常が生じたと判定する(ステップS13)。
【0095】
一方、制御部70は、認識された行動パターンが特定パターンではないと判定された場合(ステップS12,No)、ステップS13の処理をスキップして処理を終了する。
【0096】
上述してきたように、第1の実施形態に係るトイレシステム1は、機器(水栓10)と、撮像部20と、認識部72と、異常判定部73とを備える。機器は、トイレ室200に設けられる。撮像部20は、機器を使用する使用者を撮像可能に構成される。認識部72は、撮像部20によって撮像された撮像画像に基づいて使用者の行動パターンを認識する。異常判定部73は、認識部72によって認識された行動パターンに基づいて、機器の異常を判定する。これにより、多岐にわたる機器の異常を広く検知することができる。
【0097】
なお、上記では、図2に示すように、機器制御装置30と異常検知装置60とが別々の装置である例を示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではない。すなわち、例えば一つの装置が、機器制御装置30の機能および異常検知装置60の機能の全てを有するような構成であってもよいし、三つ以上の装置が機器制御装置30の機能および異常検知装置60の機能を分散して有するような構成であってもよい。
【0098】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する場合がある。
【0099】
図6は、第2の実施形態に係るトイレシステム1の構成例を示す図である。なお、図6は、第2の実施形態に係るトイレシステム1に含まれる機器(水栓10)などを正面から見たときの正面図である。
【0100】
図6に示すように、第2の実施形態に係るトイレシステム1においては、機器の一例である水栓10を複数(ここでは3個)備える。なお、以下では、図6において左方に設けられる水栓10aを「第1水栓10a」、中央に設けられる水栓10bを「第2水栓10b」、右方に設けられる水栓10cを「第3水栓10c」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「水栓10」と記載する。
【0101】
第1、第2および第3水栓10a,10b,10cは、左右方向に連立して設けられる。なお、図6では、水栓10が3個である例を示したが、これに限られず、例えば2個あるいは4個以上であってもよい。
【0102】
撮像部20は、第1、第2および第3水栓10a,10b,10cの上方の適宜位置(例えばトイレ室200の天井)にそれぞれ設置される。複数(ここでは3台)の撮像部20はそれぞれ、対応する水栓10の吐水口12、および、図示しない使用者Uの手Hなどを撮像可能となるように構成される。
【0103】
また、第2の実施形態に係る撮像部20は、連立する複数の水栓10間における使用者Uの移動を撮像画像として撮像可能となるように構成される。
【0104】
なお、上記では、撮像部20が水栓10等の上方に設置されるようにしたが、これに限定されるものではない。撮像部20は、任意の位置に設置可能であり、例えば、図6に想像線で示すように、撮像部220は、連立する複数の水栓10間に対応する、トイレ室200の壁面などに設置されたり、図1に示した撮像部120のように、水栓10の側方の位置に設置されたりして、使用者Uの手Hや使用者Uの移動などを撮像してもよい。
【0105】
なお、トイレ室200においては、第1、第2および第3水栓10a,10b,10cにそれぞれ対応する位置に鏡4が設けられるが、これに限定されるものではない。
【0106】
第2の実施形態では、上記したような機器(水栓10)が複数連立して設けられるトイレシステム1において、多岐にわたる機器(ここでは水栓10)の異常を広く検知することができるような構成とした。
【0107】
以下、詳説すると、第2の実施形態にあっては、複数連立して設けられる機器(水栓10)のうち、一つあるいは複数の機器に異常が発生している場合に、使用者Uが取り得る特定の行動パターンが特定パターン情報81(図2,3参照)として予め設定される。
【0108】
ここで、第2の実施形態に係る特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれる情報について、図7を参照しつつ具体的に説明する。図7は、第2の実施形態に係る特定パターン情報を説明するための図であり、水栓10や使用者U等を上方から見たときの図である。なお、ここでは、例えば使用者Uが手Hを第1水栓10aの吐水口12付近に差し出しても、第1水栓10aから吐水されない異常が発生している場合に、使用者Uが取り得る特定パターンを例示して説明するが、異常の種類はこれに限定されるものではない。
【0109】
図7に示すように、手Hを第1水栓10aの吐水口12付近に差し出しても第1水栓10aから吐水されない場合、使用者Uは、矢印A3で示すように、隣の洗面台2へ移動して第2水栓10bを使用するような行動パターンを取り得ると推定される。そのため、かかる行動パターンが特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれるようにする。すなわち、第2の実施形態に係る特定パターン情報81の「特定パターン」には、水栓10の異常発生時において、連立する複数の機器間における使用者Uの移動を示す情報が含まれるようにする。なお、図7では、第2水栓10bを使用するために移動した使用者Uを一点鎖線で示している。
【0110】
また、手Hを第1水栓10aの吐水口12付近に差し出しても第1水栓10aから吐水されない場合、第1水栓10aに対する使用者Uの使用時間(正確には第1水栓10aの前に立っている時間)は比較的短い時間となるような行動パターンを、使用者Uは取り得ると推定される。そのため、かかる行動パターンが特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれるようにする。すなわち、第2の実施形態に係る特定パターン情報81の「特定パターン」には、水栓10の異常発生時における、機器に対する使用者の使用時間を示す情報が含まれるようにする。
【0111】
そして、第2の実施形態に係る異常検知処理において、認識部72は、撮像部20によって撮像された撮像画像に基づいて、連立する複数の機器(水栓10)間における使用者Uの移動、および、機器に対する使用者の使用時間を行動パターンとして認識する。
【0112】
次いで、異常判定部73は、行動パターンに含まれる、連立する複数の機器(水栓10)間における使用者Uの移動が特定パターンである場合、詳しくは隣の洗面台2へ移動して別の水栓10を使用するような特定パターンである場合、移動前の機器(ここでは第1水栓10a)に異常が生じたと判定する。
【0113】
また、異常判定部73は、行動パターンに含まれる、機器に対する使用者Uの使用時間が特定パターンである場合、詳しくは比較的短い時間となるような特定パターンである場合、当該機器(ここでは第1水栓10a)に異常が生じたと判定する。
【0114】
このように、第2の実施形態にあっては、複数の機器間における使用者Uの移動や、機器に対する使用者Uの使用時間を用いることで、機器(水栓10)が複数連立して設けられるトイレシステム1において、多岐にわたる機器(水栓10)の異常を広く検知することができる。
【0115】
なお、上記では、複数の機器間における使用者Uの移動、および、機器に対する使用者Uの使用時間の両方を用いる例を示したが、いずれか一方を用いるように構成してもよい。
【0116】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について図8を参照しつつ説明する。図8は、第3の実施形態に係るトイレシステム1の構成例を示す図である。図8に示すように、第3の実施形態において、トイレ室200に設けられる機器は小便器110である。なお、図8は、第3の実施形態に係るトイレシステム1に含まれる機器(小便器110)などを上方から見たときの図である。
【0117】
図8に示すように、第3の実施形態に係るトイレシステム1においては、機器の一例である小便器110を複数(ここでは3台)備える。なお、以下では、図8において左方に設けられる小便器110を「第1小便器110a」、中央に設けられる小便器110を「第2水栓10b」、右方に設けられる小便器110を「第2小便器110b」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「小便器110」と記載する。
【0118】
第1、第2および第3小便器110a,110b,110cは、左右方向に連立して設けられる。なお、図8では、小便器110が3台である例を示したが、これに限られず、例えば2台あるいは4台以上であってもよい。また、小便器110は、例えば使用者Uを検知するセンサを備え、かかるセンサの検知結果に応じて自動で洗浄水を吐水することができるが、これに限定されるものではない。
【0119】
また、図示は省略するが、撮像部20は、第1、第2の実施形態と同様、第1、第2および第3小便器110a,110b,110cの上方の適宜位置(例えばトイレ室200の天井)にそれぞれ設置される。複数(ここでは3台)の撮像部20はそれぞれ、対応する小便器110を使用する使用者Uの移動や、使用者Uの頭部Dなどを撮像可能となるように構成される。
【0120】
第3の実施形態では、上記したような機器(小便器110)が複数連立して設けられるトイレシステム1において、多岐にわたる機器(ここでは小便器110)の異常を広く検知することができるような構成とした。
【0121】
以下、詳説すると、第3の実施形態にあっては、複数連立して設けられる機器(小便器110)のうち、一つあるいは複数の機器に異常が発生している場合に、使用者Uが取り得る特定の行動パターンが特定パターン情報81(図2,3参照)として予め設定される。
【0122】
なお、第3の実施形態においては、機器の異常は、小便器110の詰まりや過度な汚れなどの異常であり、以下では、第1小便器110aに詰まりなどの異常が発生している場合に、使用者Uが取り得る特定パターンを例示して説明するが、異常の種類はこれに限定されるものではない。
【0123】
図8に示すように、第1小便器110aに詰まりなどが生じている場合、使用者Uは、矢印A4で示すように、隣の第2小便器110bへ移動して第2小便器110bを使用するような行動パターンを取り得ると推定される。そのため、かかる行動パターンが特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれるようにする。すなわち、第3の実施形態に係る特定パターン情報81の「特定パターン」には、小便器110の異常発生時において、連立する複数の機器間における使用者Uの移動を示す情報が含まれるようにする。なお、図8では、第2小便器110bを使用するために移動した使用者Uを一点鎖線で示している。
【0124】
また、第1小便器110aに詰まりなどが生じている場合、使用者Uは、矢印A5で示すように、頭部Dを前方へ移動させ、第1小便器110aをのぞき込むような行動パターンを取り得ると推定される。そのため、かかる行動パターンが特定パターン情報81の「特定パターン」に含まれるようにする。すなわち、第3の実施形態に係る特定パターン情報81の「特定パターン」には、小便器110の異常発生時において、小便器110に対する使用者Uの頭部Dの動きを示す情報が含まれるようにする。なお、図8では、頭部Dを前方へ移動させて第1小便器110aをのぞき込む使用者Uを二点鎖線で示している。
【0125】
そして、第3の実施形態に係る異常検知処理において、認識部72は、撮像部20によって撮像された撮像画像に基づいて、連立する複数の機器(小便器110)間における使用者Uの移動、および、小便器110に対する使用者Uの頭部Dの動きを行動パターンとして認識する。
【0126】
次いで、異常判定部73は、行動パターンに含まれる、連立する複数の機器(小便器110)間における使用者Uの移動が特定パターンである場合、詳しくは隣の小便器110へ移動してその小便器110を使用するような特定パターンである場合、移動前の機器(ここでは第1小便器110a)に詰まりなどの異常が生じたと判定する。
【0127】
また、異常判定部73は、行動パターンに含まれる、小便器110に対する使用者Uの頭部Dの動きが特定パターンである場合、詳しくは頭部Dを前方へ移動させて小便器110をのぞき込むような特定パターンである場合、当該機器(ここでは第1小便器110a)に異常が生じたと判定する。
【0128】
このように、第3の実施形態にあっては、複数の機器間における使用者Uの移動や、小便器110に対する使用者Uの頭部Dの動きを用いることで、機器(小便器110)が複数連立して設けられるトイレシステム1において、多岐にわたる機器(小便器110)の異常を広く検知することができる。
【0129】
なお、上記では、複数の機器間における使用者Uの移動、および、小便器110に対する使用者Uの頭部Dの両方を用いる例を示したが、いずれか一方を用いるように構成してもよい。
【0130】
なお、上記した各実施形態では、機器として、水栓10や小便器110を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、例えばハンドドライヤや大便器など、トイレ室200に設けられるその他の種類の機器であってもよい。
【0131】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0132】
1 トイレシステム
10 水栓
20 撮像部
72 認識部
73 異常判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8