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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/42 20060101AFI20241210BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B65D5/42 F
B65D5/54 311C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021148082
(22)【出願日】2021-09-10
(65)【公開番号】P2023040891
(43)【公開日】2023-03-23
【審査請求日】2024-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-123420(JP,A)
【文献】特開2019-011071(JP,A)
【文献】特開2002-012220(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0090175(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/42-5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の左右の縁部に連設された左右一対の側板と、
一方の前記側板の上縁部に連設された頂板と、
前後一対の端板と、
前側の前記端板、前記頂板及び後側の前記端板に亘って開封可能に形成された破断誘導線と、を備えた包装箱であって、
前記両端板は、
開封時の起点部となる破断開始部により開封される開封部と、
前記破断開始部を上下方向に通る基準線を基準として線対称に形成された破断サポート罫線と、を備えており、
前記破断サポート罫線は、前側の前記端板、前記頂板及び後側の前記端板に亘って連続して形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記破断開始部には、前記破断誘導線が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記頂板には、前記側板の上縁部に直交する折曲げ罫線が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記破断サポート罫線は、放物線状を呈していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品輸送時などに使用する輸送箱として使用されるとともに、店頭での商品陳列時にも使用される包装箱が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1の包装箱は、段ボール製であり、封緘状態から頂板と端板の一部を切り離し、包装箱の一部を開封するだけで、そのまま商品を陳列可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭60-157611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の包装箱は、ミシン目等の破断誘導線を破断することによって開封口を開封しているが、開封時に破断の進行が破断誘導線から逸れてしまうことがあるなど、開封作業性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、破断誘導線に沿って破断を進行させ易く、開封作業性が良好な包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、底板と、前記底板の左右の縁部に連設された左右一対の側板と、一方の前記側板の上縁部に連設された頂板と、前後一対の端板と、前側の前記端板、前記頂板及び後側の前記端板に亘って開封可能に形成された破断誘導線と、を備えた包装箱である。前記両端板は、開封時の起点部となる破断開始部により開封される開封部と、前記破断開始部を上下方向に通る基準線を基準として線対称に形成された破断サポート罫線と、を備えている。前記破断サポート罫線は、前側の前記端板、前記頂板及び後側の前記端板に亘って連続して形成されている。
【0007】
本発明の包装箱では、破断開始部を起点として開封部を手指で引き上げると、破断サポート罫線において端板が屈曲し、破断の進行が破断誘導線に沿うものとなる。これにより開封部をスムーズに切り開くことができる。また、端板から頂板に破断が進行すると、破断サポート罫線において頂板が屈曲し、端板から頂板に向けて破断がスムーズに進行する。これにより、端板及び頂板をスムーズに切り開くことができる。したがって、開封作業が行い易い。
【0008】
また、前記破断開始部には、前記破断誘導線が接続されていることが好ましい。
【0009】
この構成では、破断の進行が破断誘導線に沿うものとなるので、開封部をスムーズに切り開くことができる。
【0010】
また、前記頂板には、前記側板の上縁部に直交する折曲げ罫線が形成されていることが好ましい。
【0011】
このように構成して、折曲げ罫線まで頂板を開封すると、頂板を蓋体として利用することができる。
【0012】
また、前記破断サポート罫線は、放物線状を呈していることが好ましい。
このように構成することによって、破断サポート罫線を直線状に形成した場合に比べて、包装箱の強度を向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の包装箱は、破断誘導線に沿って破断を進行させ易く、開封作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示した正面図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示した背面図である。
図3C】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示した左側面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱の開封時の様子を示した斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱の開封時に下側フラップを開いた状態を示した斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱の側部フラップも開封した状態を示した斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱の頂板及び後側の端板の一部も開封した状態を示した斜視図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る包装箱の頂板及び後側の端板の一部を後側から開封した状態を示した斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱の開封時の様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右の方向は、各実施形態の包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。なお、各実施形態において、同一の部分には同様の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0016】
(第1実施形態)
本実施形態の包装箱1は、図1,2に示すように、ラップアラウンド方式の箱であり、左右方向よりも前後方向の長さが大きい直方体を呈している。包装箱1は、底板11と、前後一対の端板20,30と、左右一対の側板13,14と、頂板12と、を備えている。包装箱1には、後記するように、前側の端板20から頂板12の前側にかけて内容物の取出口をなす開封部50(図4参照)が形成されている。また、包装箱1は、前側の端板20の全体を開封する開封形態や、頂板12の全体を開封する開封形態等、種々の形態で開封可能である。
【0017】
包装箱1は、図2に示すように、一枚の段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各罫線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートS1は、外面側が見えるように配置したものであるが、説明の便宜上、内面側に形成される各罫線を実線で表示している。
ブランクシートS1の各罫線(折線)は、ブランクシートS1の表面を押し込んで形成された線状の溝(押罫)である。なお、罫線に切れ込み(ハーフカット線等)を形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
【0018】
底板11は、図1に示すように、四角形の平板である。底板11の左縁部には、罫線を介して左側板13が連設され、底板11の右縁部には、罫線を介して右側板14が連設されている。
左側板13及び右側板14は、同じ四角形の平板であり、底板11に対して垂直に形成されている。
【0019】
右側板14の上縁部には、罫線を介して頂板12が連設されている。頂板12は、底板11と同じ四角形の平板であり、右側板14に対して垂直に形成されている。
頂板12の左縁部には、罫線を介して接合片16が連設されている。接合片16は、頂板12の左縁部に沿って形成された帯状の板である。
【0020】
頂板12の左縁部及び右縁部には、罫線に沿って上側破断誘導線L12,L12が形成されている。上側破断誘導線L12,L12は、頂板12の開封時に、左側板13及び右側板14から頂板12を切り離すためのものである。上側破断誘導線L12,L12は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
本実施形態の上側破断誘導線L12,L12は、左側板13及び右側板14の後記する左側破断誘導線L13,L16、右側破断誘導線L14に接続されるように形成されている。
【0021】
頂板12の前側には、折曲げ線として機能する折曲げ罫線L45が形成されている。折曲げ罫線L45は、内面を押し込んで形成した線状の溝(押罫)である。折曲げ罫線L45は、上側破断誘導線L12,L12の前端部同士(左側破断誘導線L13、右側破断誘導線L14との接続部同士)を繋ぐように直線状に延在しており、頂板12の前縁部に対して平行である。
【0022】
頂板12には、折曲げ罫線L45、頂板12の左縁部、右縁部及び前縁部によって区画された領域によって頂板開封部54(図4参照)が形成されている。頂板開封部54は、包装箱1に備わる開封部50の一部を構成している。開封部50(頂板12)は、折曲げ罫線L45を回動軸として開封することができ、開口部を開閉可能な蓋部として利用することができる。
【0023】
頂板12は、後記する左右一対の破断サポート罫線L40,L40の一部を構成する頂板前側サポート罫線L42,L42及びこれらに連続する頂板後側サポート罫線L43,L43を備えている。頂板前側サポート罫線L42,L42及び頂板後側サポート罫線L43,L43は、頂板12の前後方向に湾曲線状に延在している。頂板前側サポート罫線L42,L42は、後記する前端板20の前側サポート罫線L41,L41に連続して頂板12の前縁部から頂板12の折曲げ罫線L45に至る罫線である。頂板後側サポート罫線L43,L43は、頂板前側サポート罫線L42,L42に連続して折曲げ罫線L45から頂板12の後縁部に至る罫線である。
なお、破断サポート罫線L40,L40の詳細は後記する。
【0024】
ブランクシートS1(図2参照)を各罫線で折り曲げつつ、頂板12の左縁部に連設された接合片16を左側板13の上部の外面に接合することで、左側板13、底板11、右側板14および頂板12が角筒状に形成される。
【0025】
前側の端板20は、底板11及び頂板12の前縁部にそれぞれ連設された上下一対の外フラップ21,22と、左側板13及び右側板14の前縁部にそれぞれ連設された左右一対の内フラップ23,24と、を備えている。
内フラップ23,24の外面に外フラップ21,22が重ねられて接着剤で一体に接着されている。
【0026】
下側の外フラップ21は、略四角形の平板であり、底板11の前縁部から上方に延びている。上側の外フラップ22は、略四角形の平板であり、頂板12の前縁部から下方に延びている。
外フラップ21,22は、先端縁同士が上下方向に突き合わされずに間隔を空けて配置されている。各先端縁の左右方向中央部には、開封時の破断開始部(開封のきっかけとなる部位)として機能する指掛け部5,5が形成されている。指掛け部5は、図2に示すように、略半円形状を呈しており、円弧状の罫線L6と、切込みL5,L5と、円弧状の切欠部5aとを備えている。切欠部5aを通じて手指を差し込むと、切込みL5,L5で分離された指掛け部5の各片が罫線L6で山折りされて略半円形状に開口する。これにより、開封時の指掛けが容易となっている。
【0027】
下側の外フラップ21には、左右一対の円弧状破断誘導線L21,L21が形成されている。円弧状破断誘導線L21,L21は、開封時に、内フラップ23,24から下側の外フラップ21の中央部21aを切り離すためのものである。円弧状破断誘導線L21,L21は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
【0028】
円弧状破断誘導線L21,L21は、下方へ凹となる円弧状にそれぞれ形成されている。円弧状破断誘導線L21,L21は、指掛け部5の左右側方の先端縁部を基端として下側の外フラップ21の左右の下角部に向かって延在しており、基端から延在端に向かうに従って相互の離間距離が大きくなるように形成されている。なお、円弧状破断誘導線L21,L21は、外フラップ21,22と内フラップ23,24との接着領域(不図示)を迂回するように延在している。
【0029】
左側の内フラップ23は、略四角形の平板であり、左側板13の前縁部から右方に延びている。右側の内フラップ24は、略四角形の平板であり、右側板14の前縁部から左方に延びている。
内フラップ23,24は、左右方向の先端縁同士が突き合わされずに間隔を空けて配置されている。これにより、内フラップ23,24の先端縁同士の間には、上下方向に延在するスリット状の間隙が形成されている。この間隙は、指掛け部5に差し込まれた手指の逃げ部として機能する。
【0030】
内フラップ23,24には、左右方向に延在する破断誘導線L23,L24が形成されている。破断誘導線L23,L24は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
【0031】
左側の破断誘導線L23は、図3Aに示すように、内フラップ23の先端縁の上下方向の中央部を基端として内フラップ23の左斜め上方に延在し、内フラップ23の左縁部に至る。右側の破断誘導線L24は、左側の破断誘導線L23と対称形状であり、内フラップ24の先端縁の上下方向の中央部を基端として内フラップ23の右斜め上方に延在し、内フラップ23の右縁部に至る。つまり、破断誘導線L23,L24は、上側の外フラップ22の先端縁に対して傾斜している。
また、破断誘導線L23,L24は、図3Aに示すように、前方から見て上側の外フラップ22の指掛け部5の一部に重なっている(接続されている)。これにより、開封時に指掛け部5に手指を入れて上側の外フラップ22を引き上げると、指掛け部5に加わった力が左右の破断誘導線L23,L24に誘導されるようになっている。
【0032】
前側の端板20には、破断誘導線L23,L24、上側の外フラップ22の上縁部及び上側の外フラップ22の左右縁部によって区画された領域によって前側開封部51(図4参照)が形成されている。前側開封部51は、包装箱1に備わる開封部50の一部を構成している。
【0033】
前側の端板20(上側の外フラップ22)には、破断サポート罫線L40,L40の一部をなす前側サポート罫線L41,L41が形成されている。前側サポート罫線L41,L41は、図3Aに示すように、上側の外フラップ22の指掛け部5の左右上方部位を基端としてその上縁部に湾曲線状に延在している。
【0034】
後側の端板30は、図3Bに示すように、底板11及び頂板12の後縁部にそれぞれ連設された上下一対の外フラップ31,32と、左側板13及び右側板14の後縁部にそれぞれ連設された左右一対の内フラップ33,34と、を備えている。
内フラップ33,34の外面に外フラップ31,32が重ねられて接着剤で一体に接着されている。
【0035】
外フラップ31,32は、先端縁同士が上下方向に突き合わされずに間隔を空けて配置されている。上側の外フラップ32左右方向中央部には、前側の端板20と同様の指掛け部5が形成されている。
また、上側の外フラップ32には、左右一対の円弧状破断誘導線L32,L32が形成されている。円弧状破断誘導線L32,L32は、頂板12の開封時に、内フラップ33,34から上側の外フラップ32の中央部32aを切り離すためのものである。円弧状破断誘導線L32,L32は、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。なお、切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
【0036】
円弧状破断誘導線L32,L32は、上方へ凸となる円弧状にそれぞれ形成されている。円弧状破断誘導線L32,L32は、指掛け部5の左右側方の先端縁部を基端として上側の外フラップ32の左右の上角部に向かって延在しており、基端から延在端に向かうに従って相互の離間距離が大きくなるように形成されている。なお、円弧状破断誘導線L32,L32は、外フラップ31,32と内フラップ33,34との接着領域(不図示)を迂回するように延在している。
【0037】
左右の内フラップ33,34は、破断誘導線L23,L24(図3A参照)を備えていない点を除いて、前側の端板20の内フラップ23,24と同様である。
【0038】
左側板13には、図1に示すように、破断誘導線として機能する左側破断誘導線L13が形成されている。また、左側板13に接合された接合片16にも、破断誘導線として機能する左側破断誘導線L16が形成されている。左側破断誘導線L13,L16は、図3Cに示すように、左側面視で略重なるように設けられている。左側破断誘導線L13,L16は、図2に示すように、切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。左側破断誘導線L13の切れ込みの間隔や形状は限定されるものではない。
左側板13には、左側破断誘導線L13、L16、左側板13(接合片16)の前縁部及び上縁部によって区画された領域によって左側開封部52(図1参照)が形成されている。左側開封部52は開封部50の一部を構成している。
【0039】
左側破断誘導線L13,L16は、図1に示すように、前側の端板20の破断誘導線L23の左端部に連続する部分をそれぞれ起点として左側板13の上縁部(上側破断誘導線L12の前端部)に向けて後方斜め上方に延在している。
【0040】
右側板14には、図1に示すように、破断誘導線として機能する右側破断誘導線L14が形成されている。右側破断誘導線L14は、左側板13の左側破断誘導線L13と対称形状であり、左側破断誘導線L13と同様に切れ込みを断続的に形成したミシン目状の線である。
右側破断誘導線L14は、図1に示すように、前側の端板20の破断誘導線L24の右端部に連続する部分を起点として右側板14の上縁部(上側破断誘導線L12の前端部)に向けて後方斜め上方に延在している。
右側板14には、右側破断誘導線L14、右側板14の前縁部及び上縁部によって区画された領域によって右側開封部53が形成されている。右側開封部53(図1参照)は開封部50の一部を構成している。
【0041】
後側の端板30(上側の外フラップ32)には、破断サポート罫線L40,L40の一部をなす後側サポート罫線L44,L44が形成されている。後側サポート罫線L44,L44は、図3Bに示すように、頂板前側サポート罫線L42,L42に連続して上側の外フラップ32の上縁部を基端とし、指掛け部5の左右上方部位に湾曲線状に延在している。後側サポート罫線L44,L44は、前側サポート罫線L41,L41と対称形状である。
【0042】
以上のような前側開封部51、左側開封部52、右側開封部53及び頂板開封部54によって、包装箱1の前部には、開封部50が形成されている。開封部50は、各誘導線によって切断されて切り取られることで、図4に示すように、包装箱1の前部の上角部周りに比較的大きな開口部を形成する。開口部は、包装箱1の前部の前方、前部の左右両側方及び前部の上方に向けて開口している。
【0043】
前側の端板20、頂板12及び後側の端板30には、図1に示すように、これらに亘るように左右一対の破断サポート罫線L40,L40が形成されている。破断サポート罫線L40,L40は、後記するように、包装箱1の開封時に破断の進行が各破断誘導線に沿うように支援するものである。破断サポート罫線L40,L40は、ブランクシートS1の内面に形成されている。具体的に、破断サポート罫線L40,L40は、内面を押し込んで形成した線状の溝(押罫)である。したがって、包装箱1の外面に破断サポート罫線L40,L40が表れないようになっている。
【0044】
破断サポート罫線L40,L40は、図2に示すように、前側サポート罫線L41,L41、頂板前側サポート罫線L42,L42、頂板後側サポート罫線L43,L43及び後側サポート罫線L44,L44を備えている。このような破断サポート罫線L40,L40は、滑らかな放物線状を呈している。ブランクシートS1の状態において、右側の破断サポート罫線L40は、右側に凸となる曲線であり、左側の破断サポート罫線L40は、左側に凸となる曲線である。
破断サポート罫線L40,L40同士の交点は、前側の端板20における上側の外フラップ22の先端縁よりも側方(不図示)に位置するとともに、後側の端板30における上側の外フラップ32の先端縁よりも側方(不図示)に位置する。これにより、破断サポート罫線L40は、前側の端板20の指掛け部5側から頂板12の前後方向の中央部に向かうに従って、あるいは後側の端板30の指掛け部5側から頂板12の前後方向の中央部に向かうに従って、他方の破断サポート罫線L40との離間距離が大きくなるように形成されている。
【0045】
破断サポート罫線L40,L40は、図1図2に示すように、上側の外フラップ22の指掛け部5の左右上方部位を基端としてその上縁部に延び、上縁部を交差して頂板12の後縁部に延びている。そして、破断サポート罫線L40,L40は、頂板12の後縁部を交差して上側の外フラップ32に延び、指掛け部5の左右上方部位に至る。つまり、破断サポート罫線L40,L40は、頂板12の前後方向の全体を横断し、頂板12から前側の端板20及び後側の端板30に延びている。
【0046】
本実施形態の包装箱1を開封するときには、前端板20の指掛け部5に作業者の手指を入れて、前側開封部51を引き上げる。そうすると、図4に示すように、破断誘導線L23,L24が左右に切り開かれるとともに、これに連続する左側破断誘導線L13及び右側破断誘導線L14が切り開かれる。これによって、頂板12が罫線L45で谷折りされ、この罫線L45を回転軸として開封部50が引き上げられ、開口部が開口する。
【0047】
また、前側の端板20の全体を開封する場合には、図5に示すように、下側の外フラップ21の指掛け部5を手指でつまんで、外フラップ21の中央部21aを下側に向けて引き倒す。そうすると、円弧状破断誘導線L21,L21が切り開かれ、外フラップ21の中央部21aが外フラップ21の両側縁部21b,21bから切り離される。
その後、図6に示すように、内フラップ23,24を左右に開く。これにより、前側の端板20の全体が開封される。
【0048】
また、開封部50に続いて頂板12の全体を開封する場合には、図7に示すように、上側破断誘導線L12,L12に沿って頂板12を切り取る。そして、さらに頂板12に連続して後側の端板30における上側の外フラップ32の中央部32a(図3B参照)を切り取る。この場合、外フラップ32の中央部32aの切り取りは、頂板12を後側に倒すようにして円弧状破断誘導線L32,L32を切り開くことによって行ってもよいし、また、外フラップ32の指掛け部5を手指でつまんで中央部32aを上側に向けて引き上げることにより円弧状破断誘導線L32,L32を切り開くことで行ってもよい。
【0049】
さらに、包装箱1を開封するときには、図8に示すように、後側の端板30側から頂板12にかけて切り開くことも可能である。この場合には、前記と同様に、外フラップ32の指掛け部5を手指でつまんで中央部32aを両側縁部32b,32bから切り取り、これに連続して、頂板12を前側に引き上げるように切り開くことで、後側の端板30側から頂板12にかけて開封することができる。
【0050】
以上説明した本実施形態の包装箱1では、指掛け部5を起点として開封部50を手指で引き上げると、前側サポート罫線L41,L41において前端板20(外フラップ22)が屈曲し、破断の進行が破断誘導線L23,L24に沿うものとなる。これにより開封部50をスムーズに切り開くことができる。したがって、開封作業が行い易い。
【0051】
また、前側サポート罫線L41,L41に連続する頂板前側サポート罫線L42,L42によって、破断誘導線L23から左側破断誘導線L13,L16に沿って破断が進行するとともに、破断誘導線L24から右側破断誘導線L14に沿って破断が進行するので、開封部50をよりスムーズに開封できる。
【0052】
また、前側の端板20から左右側板13,14を通じて頂板12に破断が進行すると、頂板前側サポート罫線L42,L42に連続する頂板後側サポート罫線L43,L43によって、左側破断誘導線L13,L16から上側破断誘導線L12に沿って破断が進行するとともに、右側破断誘導線L14から上側破断誘導線L12に沿って破断が進行する。これにより、開封部50から頂板12にかけてスムーズに開封できる。
【0053】
また、折曲げ罫線L45まで頂板12を開封することで、頂板12(開封部50)を蓋体として利用することができる。
【0054】
また、破断サポート罫線L40,L40は、放物線状を呈しているので、破断サポート罫線L40,L40を直線状に形成した場合に比べて、包装箱1の強度を向上できる。
【0055】
(第2実施形態)
図9図10を参照して第2実施形態の包装箱について説明する。図9は本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図であり、図10は本発明の第2実施形態に係る包装箱の開封時の様子を示した斜視図である。
本実施形態の包装箱1Aが前記第1実施形態と異なるところは、頂板12の全体に上側破断誘導線L12,L12が形成されている点であり、左側破断誘導線L13,L16及び右側破断誘導線L14を備えていない点である。
【0056】
頂板12には、左縁部及び右縁部の全体に上側破断誘導線L12,L12が形成されている。これに対応して、前側の端板20には、破断誘導線L23と左側の上側破断誘導線L12とを繋ぐ縦破断誘導線L13aが形成されている。また、前側の端板20には、破断誘導線L24と右側の上側破断誘導線L12とを繋ぐ縦破断誘導線L14aが形成されている。
【0057】
左側の縦破断誘導線L13aは、内フラップ23の左縁部に沿って形成されている。一方、右側の縦破断誘導線L14aは、内フラップ24の右縁部に沿って形成されている。
なお、各破断開始部は簡略化されており、切欠部5aのみ備えている。
【0058】
本実施形態の包装箱1を開封するときには、前側の端板20の切欠部5aに作業者の手指を入れて、前側開封部51を引き上げる。そうすると、図10に示すように、破断誘導線L23,L24が左右に切り開かれ、これらに連続する縦破断誘導線L13a,L14a及び上側破断誘導線L12,L12が切り開かれる。これによって、頂板12が罫線L45で谷折りされ、この罫線L45を回転軸として前側開封部51及び頂板開封部54が引き上げられ、開口部が開口する。
【0059】
なお、前側の端板20の全体を開封する場合、頂板開封部54に続いて頂板12の全体を開封する場合、及び後側の端板30側から頂板12にかけて開封する場合は、第1実施形態と同様に実行可能である。
【0060】
本実施形態の包装箱1Aにおいても第1実施形態と同様の作用効果が得られる。
なお、前側の端板20から頂板12にかけて前側サポート罫線L41,L41と頂板前側サポート罫線L42,L42とが連続している。したがって、縦破断誘導線L13a,L14aから上側破断誘導線L12,L12に破断がスムーズに進行し、前側の端板20と頂板12との角部において、破断が誘導線から逸れたり、破断の進行が停止したりするおそれがない。したがって、開封作業が行い易い。
【0061】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、前記各実施形態では、前側サポート罫線L41,L41及び後側サポート罫線L44,L44の基端を、指掛け部5の上方や切欠部5aの上方としたが、これに限られることはなく、外フラップ22,32の先端縁としてもよい。
【0062】
また、前記各実施形態では、ラップアラウンド方式の包装箱1,1Aに本発明を適用したが、A式の包装箱に本発明を適用してもよい。
【0063】
また、破断サポート罫線L40,L40は、ブランクシートS1,S2の内面に形成したが、外面に形成してもよく、内面及び外面の両方に形成してもよい。
【0064】
また、破断誘導線L23,L24は、指掛け部5の一部に重なる(接続される)ように構成したが、これに限られることはなく、指掛け部5から離間して設けてもよい。
【0065】
また、破断サポート罫線L40,L40は、直線状を呈していてもよい。
【0066】
本実施形態の包装箱1,1Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 包装箱
1A 包装箱
5 指掛け部(破断開始部)
5a 切欠部
11 底板
12 頂板
13 左側板(側板)
14 右側板(側板)
16 接合片
20 前側の端板
30 後側の端板
50 開封部
L40 破断サポート罫線
L23 破断誘導線
L24 破断誘導線
L45 折曲げ罫線
X1 基準線
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10