(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】制御装置、プログラム、及び、給電支援システム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20241210BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20241210BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241210BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20241210BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20241210BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G01C21/34
G06Q50/06
G16Y10/40
G16Y40/60
(21)【出願番号】P 2021148783
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伴 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】清原 達郎
(72)【発明者】
【氏名】森 純一
(72)【発明者】
【氏名】間庭 佑太
(72)【発明者】
【氏名】西川 裕己
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079346(JP,A)
【文献】特開2012-128587(JP,A)
【文献】特開2015-035157(JP,A)
【文献】特開2020-114051(JP,A)
【文献】特開2020-113212(JP,A)
【文献】特開2021-033590(JP,A)
【文献】特開2020-166068(JP,A)
【文献】特開2020-112969(JP,A)
【文献】特開2017-112806(JP,A)
【文献】特開2006-178825(JP,A)
【文献】特開2009-276255(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0238698(US,A1)
【文献】中国特許第111934314(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G06Q 50/06
G16Y 10/40
G16Y 40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定区域内の給電対象に給電を行う給電車両が、前記給電車両の現在地から前記給電対象までの走行可能な走行経路を、前記所定区域内における各地点の通行可否情報を用いて生成する制御を実行するプロセッサを有する、
制御装置
であって、
前記プロセッサは、
前記走行経路を生成することができた場合に、前記給電車両と前記給電対象との間の電力取引を成立させる制御を実行する、
制御装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記通行可否情報として、前記所定区域内における複数の車両の各々が車載カメラによって撮影した車外の画像のデータを取得し、前記画像のデータに基づいて前記地点の通行可否を判断する制御を実行する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記通行可否情報として、前記所定区域内における予め設定された特定の車両の車載カメラによって撮影された画像のデータを取得し、前記画像のデータに基づいて前記地点の通行可否を判断する制御を実行する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記車載カメラによって前記画像を撮影したときの時刻と前記車両の位置情報と前記画像とを関連付けて、前記走行経路を生成する制御を実行する、
請求項2または3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記所定区域内の災害情報を取得した場合に、前記通行可否情報を用いて前記走行経路を生成する制御を実行する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項6】
所定区域内の給電対象に給電を行う給電車両が、前記給電車両の現在地から前記給電対象までの走行可能な走行経路を、前記所定区域内における各地点の通行可否情報を用いて生成する制御をプロセッサに実行させる、
プログラム
であって、
前記プロセッサに、
前記走行経路を生成することができた場合に、前記給電車両と前記給電対象との間の電力取引を成立させる制御を実行させる、
プログラム。
【請求項7】
前記プロセッサに、
前記通行可否情報として、前記所定区域内における複数の車両の各々が車載カメラによって撮影した車外の画像のデータを取得し、前記画像のデータに基づいて前記地点の通行可否を判断する制御を実行させる、
請求項
6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記プロセッサに、
前記通行可否情報として、前記所定区域内における予め設定された特定の車両の車載カメラによって撮影された画像のデータを取得し、前記画像のデータに基づいて前記地点の通行可否を判断する制御を実行させる、
請求項
6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記プロセッサに、
前記車載カメラによって前記画像を撮影したときの時刻と前記車両の位置情報と前記画像とを関連付けて、前記走行経路を生成する制御を実行させる、
請求項
7または
8に記載のプログラム。
【請求項10】
前記プロセッサに、
前記所定区域内の災害情報を取得した場合に、前記通行可否情報を用いて前記走行経路を生成する制御を実行させる、
請求項
6乃至
9のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項11】
所定区域内の給電対象に給電を行う、第1のプロセッサを有する給電車両と、
前記給電車両の現在地から前記給電対象までの走行可能な走行経路を、前記所定区域内における各地点の通行可否情報を用いて生成する制御を実行する第2のプロセッサを有する制御装置と、
を備える給電支援システム
であって、
前記第2のプロセッサは、
前記走行経路を生成することができた場合に、前記給電車両と前記給電対象との間の電力取引を成立させる制御を実行する、
給電支援システム。
【請求項12】
前記第2のプロセッサは、
前記通行可否情報として、前記所定区域内における複数の車両の各々が車載カメラによって撮影した車外の画像のデータを取得し、前記画像のデータに基づいて前記地点の通行可否を判断する制御を実行する、
請求項
11に記載の給電支援システム。
【請求項13】
前記第2のプロセッサは、
前記通行可否情報として、前記所定区域内における予め設定された特定の車両の車載カメラによって撮影された画像のデータを取得し、前記画像のデータに基づいて前記地点の通行可否を判断する制御を実行する、
請求項
11に記載の給電支援システム。
【請求項14】
前記第2のプロセッサは、
前記車載カメラによって前記画像を撮影したときの時刻と前記車両の位置情報と前記画像とを関連付けて、前記走行経路を生成する制御を実行する、
請求項
12または
13に記載の給電支援システム。
【請求項15】
前記第2のプロセッサは、
前記所定区域内の災害情報を取得した場合に、前記通行可否情報を用いて前記走行経路を生成する制御を実行する、
請求項
11乃至
14のいずれか1項に記載の給電支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、プログラム、及び、給電支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各構成員が電力を売買することが可能な電力取引プラットフォームが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定区域内の給電対象に給電を行う給電車両が給電対象まで移動する走行経路に、通行不可の地点が含まれていると、給電車両が給電対象まで移動することができずに、給電車両による給電対象の給電が行えなくなる。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、給電車両が給電対象まで移動する走行経路に、通行不可の地点が含まれることを抑制できる制御装置、プログラム、及び、給電支援システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る制御装置は、所定区域内の給電対象に給電を行う給電車両が、前記給電車両の現在地から前記給電対象までの走行可能な走行経路を、前記所定区域内における各地点の通行可否情報を用いて生成する制御を実行するプロセッサを有する。
【0007】
本開示に係るプログラムは、所定区域内の給電対象に給電を行う給電車両が、前記給電車両の現在地から前記給電対象までの走行可能な走行経路を、前記所定区域内における各地点の通行可否情報を用いて生成する制御をプロセッサに実行させる。
【0008】
本開示に係る給電支援システムは、所定区域内の給電対象に給電を行う、第1のプロセッサを有する給電車両と、前記給電車両の現在地から前記給電対象までの走行可能な走行経路を、前記所定区域内における各地点の通行可否情報を用いて生成する制御を実行する第2のプロセッサを有する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示においては、給電車両が給電対象まで移動する走行経路に、通行不可の地点が含まれることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る給電支援システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、電動車両の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、管理サーバの機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、サーバ制御部が実行する制御の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係る制御装置、プログラム、及び、給電支援システムの実施形態について説明する。なお、本実施形態により本開示が限定されるものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係る給電支援システムの概略構成を示す図である。
図1に示す給電支援システム1は、所定区域内に、複数の電動車両100A,100Bと、通信機器200A,200Bと、管理サーバ300と、充放電装置400A,400Bと、施設500A,500Bと、災害情報サーバ600とを備える。なお、
図1に示すネットワークNWは、例えばインターネット回線網、携帯電話回線網等から構成される。
【0013】
複数の電動車両100A,100Bの各々は、HEV(Hybrid Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle)、及び、BEV(Battery Electric Vehicle)のいずれを用いて実現される。以下の説明においては、複数の電動車両100A,100Bのいずれかを指す場合、単に「電動車両100」と表記する。
【0014】
通信機器200A,200Bは、プロセッサを有する制御部、記憶部、及び、通信部などによって構成されており、所定の通信規格に従って電動車両100と通信可能であり、且つ、ネットワークNWを介して管理サーバ300と通信可能である。ここで、所定の通信規格とは、Bluetooth(登録商標)、及び、Wi-Fi(登録商標)の少なくとも一方である。通信機器200は、例えば、携帯電話及びタブレット型の通信端末などの携帯情報端末を用いて構成される。なお、以下の説明においては、複数の通信機器200A,200Bのいずれかを指す場合、単に「通信機器200」と表記する。
【0015】
管理サーバ300は、ネットワークNWを介して電動車両100、通信機器200、及び、施設500と通信可能であり、災害時にユーザを支援するための情報を取得する。
【0016】
充放電装置400は、充放電ケーブルを介して接続された電動車両100と、施設500とを電気的に接続する。充放電装置400は、充放電ケーブルを介して接続された電動車両100に対して、施設500から供給された電力を所定の電圧値に変換して供給する。また、充放電装置400は、充放電ケーブルを介して接続された電動車両100から供給された電力を所定の電圧値に変換して施設500へ供給する。
【0017】
施設500は、充放電装置400を介して電動車両100から供給された電力を受電するとともに、送電線等から商用系統電力を受電する。また、施設500は、充放電装置400を介して電動車両100へ供給(給電)する。施設500は、商業施設、学校、病院、市役所等の公共施設、体育館、キャンプ場および避難施設等である。なお、
図1では、説明を簡略化するため、充放電装置400及び施設500の各々が2つ配置されている場合について説明するが、所定区域である災害区域(例えば100[km]×100[km])内に2以上の充放電装置400及び施設500が配置されているものとする。
【0018】
本実施形態においては、電動車両100が施設500に給電を行う給電車両(給電装置)であり、施設500が電動車両100による給電対象(受電装置)である。
【0019】
管理サーバ300は、ネットワークNWを介して通信機器200に対応付けられた支払い手段であって、電子マネーまたはポイントの入出金口座を示すウォレットに登録された複数の事業者が運営する複数の異なる支払い手段を管理する。
【0020】
災害情報サーバ600は、ネットワークNWを介して電動車両100及び通信機器200と通信可能であり、電動車両100または通信機器200の位置情報に応じた気象情報を出力する。ここで、気象情報には、異常気象、災害注意情報、及び、防災情報等が含まれる。また、異常気象とは、豪雨、大雨、台風、大雪、強風、暴風、土砂、火山、高潮、浸水、津波、及び、地震等の災害によって引き起こされる警報に基づく気象である。
【0021】
次に、電動車両100の詳細な機能構成について説明する。
図2は、電動車両100の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、電動車両100は、エンジン101と、発電機102と、第1のインバータ103と、モータ104と、駆動輪105と、二次電池106と、コンバータ107と、切替部108と、第2のインバータ109と、インレット部110と、第1の検出部111と、車内コンセント112と、第2の検出部113と、燃料タンク114と、第3の検出部115と、第4の検出部116と、車載カメラ117と、通信部118と、外部通信部119と、カーナビゲーションシステム120と、記憶部121と、ECU(Electronic Control Unit)122と、を備える。
【0022】
エンジン101は、周知の内燃機関によって構成され、燃料タンク114内に貯留されている燃料を用いて動力を出力する。エンジン101は、ECU122の制御のもと、駆動する。エンジン101から出力された動力は、発電機102を駆動する。
【0023】
発電機102は、第1のインバータ103を介してモータ104と電気的に接続される。発電機102は、ECU122の制御のもと、発電した交流電力を、切替部108及びコンバータ107を介して二次電池106へ供給する。発電機102は、発電機能に加えてモータ機能を有する発電用モータジェネレータを用いて構成される。
【0024】
第1のインバータ103は、ECU122の制御のもと、切替部108及びコンバータ107を介して供給される二次電池106からの放電電力(直流電力)を交流電力に変換し、この交流電力をモータ104へ供給する。また、第1のインバータ103は、ECU122の制御のもと、電動車両100の回生制動時において、モータ104で発電される交流電力を直流電力に変換し、この直流電力を、切替部108及びコンバータ107を介して二次電池106へ供給する。第1のインバータ103は、例えば三相分のスイッチング素子を含むブリッジ回路を含む三相インバータ回路等を用いて構成される。
【0025】
モータ104は、ECU122の制御のもと、電動車両100の加速時に、第1のインバータ103から供給される交流電力によって駆動する。モータ104から出力された動力は、駆動輪105を駆動させる。また、モータ104は、ECU122の制御のもと、電動車両100の制動時に、駆動輪105から伝達される外力によって発電する発電機として機能し、この発電した電力を、第1のインバータ103から切替部108及びコンバータ107を介して二次電池106へ供給する。モータ104は、モータ機能に加えて発電機能を有する駆動用モータジェネレータを用いて構成される。
【0026】
二次電池106は、例えば、ニッケル水素電池もしくはリチウムイオン電池等の充放電可能な蓄電池、または、電気二重層キャパシタ等の蓄電素子等を用いて構成される。二次電池106は、コンバータ107によって充放電可能であり、高電圧の直流電力を蓄える。
【0027】
コンバータ107は、一端が二次電池106と電気的に接続され、他端が切替部108を介して第1のインバータ103及び第2のインバータ109の一方と電気的に接続される。コンバータ107は、ECU122の制御のもと、二次電池106の充放電を行う。具体的には、コンバータ107は、二次電池106を充電する場合、第2のインバータ109、インレット部110及び切替部108を介して外部から供給された直流電力を所定の電圧に降圧し、この降圧した充電電流を二次電池106に供給する。これに対して、コンバータ107は、二次電池106を放電させる場合、二次電池106からの直流電力の電圧を昇圧し、この昇圧した放電電流を、切替部108を介して第1のインバータ103へ供給する。
【0028】
切替部108は、一端がコンバータ107に電気的に接続され、他端が第1のインバータ103および第2のインバータ109の一方と電気的に接続され。切替部108は、ECU122の制御のもと、コンバータ107と、第1のインバータ103および第2のインバータ109の一方とを電気的に接続する。切替部108は、機械式リレーまたは半導体スイッチ等を用いて構成される。
【0029】
第2のインバータ109は、一端が切替部108に電気的に接続され、他端がインレット部110または車内コンセント112に電気的に接続される。第2のインバータ109は、ECU122の制御のもと、切替部108及びコンバータ107を介して供給される二次電池106からの放電電力(直流電力)を交流電力に変換し、この交流電力をインレット部110へ供給する。具体的には、第2のインバータ109は、ECU122の制御のもと、インレット部110及び充放電ケーブル(図示せず)を介して外部へ交流電力を供給する。第2のインバータ109は、外部で使用される電力の形態に対応するように単相インバータ回路等を用いて構成される。
【0030】
インレット部110は、一端が第2のインバータ109と電気的に接続される。インレット部110は、充放電ケーブル(図示せず)が着脱自在に接続される。インレット部110は、充放電ケーブルを介して、外部から供給された交流電力を第2のインバータ109へ供給し、且つ、外部から入力された制御信号等を含む各種情報を通信部118へ出力する。また、インレット部110は、充放電ケーブルを介して第2のインバータ109から供給された交流電力を外部へ供給し、且つ、通信部118を介して入力されたECU122からの制御信号等を含む各種情報を外部へ出力する。
【0031】
第1の検出部111は、二次電池106のSOC(State of Charge:充電率)、温度、SOH(State of Health)、電圧値、及び、電流値の各々を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。第1の検出部111は、電流計、電圧計、及び、温度センサ等を用いて構成される。
【0032】
車内コンセント112は、第2のインバータ109と電気的に接続される。車内コンセント112は、一般の電化製品の電源プラグを接続可能であり、電源プラグが接続された電化製品に対して第2のインバータ109から供給された交流電力を供給する。
【0033】
第2の検出部113は、車内コンセント112と第2のインバータ109との間に設けられ、車内コンセント112に接続された電気機器の消費電力および電流値の少なくとも一方を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。第2の検出部113は、電力計、電流計、及び、電圧計等を用いて構成される。
【0034】
燃料タンク114は、エンジン101へ供給される燃料を貯留する。ここで、燃料としては、ガソリン等の化石燃料である。なお、電動車両100がFCEVの場合、水素燃料を貯留する。
【0035】
第3の検出部115は、燃料タンク114内に貯留された燃料の残量を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。第3の検出部115は、燃料計等を用いて構成される。
【0036】
第4の検出部116は、電動車両100の状態情報を検出し、この検出結果をECU122へ出力する。ここで、状態情報とは、電動車両100の加速度、速度、及び、傾斜角度等である。第4の検出部116は、加速度センサ、速度センサ、及び、ジャイロセンサ等を用いて構成される。
【0037】
車載カメラ117は、ECU122の制御のもと、電動車両100の前方などの車外の周辺環境を撮影する。車載カメラ117が撮影した車外の画像は、記憶部121の画像データ記憶部121cに記憶される。
【0038】
通信部118は、インレット部110を介して外部から入力された各種情報を含む制御信号を受信し、受信した制御信号をECU122へ出力する。また、通信部118は、ECU122から入力されたCANデータ等を含む制御信号をインレット部110へ出力する。通信部118は、通信モジュール等を用いて構成される。
【0039】
外部通信部119は、ECU122の制御のもと、所定の通信規格に従って、ECU122から入力される各種情報を通信機器200へ送信する。また、外部通信部119は、通信機器200から受信した各種情報をECU122へ出力する。ここで、所定の通信規格とは、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)の少なくとも一方である。外部通信部119は、無線通信モジュール等を用いて構成される。
【0040】
カーナビゲーションシステム120は、GPS(Global Positioning System)センサ120aと、地図データベース120bと、報知装置120cと、操作部120dと、を有する。
【0041】
GPSセンサ120aは、複数のGPS衛星または送信アンテナからの信号を受信し、受信した信号に基づいて、電動車両100の位置(経度及び緯度)に関する位置情報を算出する。GPSセンサ120aは、GPS受信センサ等を用いて構成される。なお、本実施形態では、GPSセンサ120aを複数個搭載することによって電動車両100の向き精度向上を図ってもよい。
【0042】
地図データベース120bは、各種の地図データを記憶する。地図データベース120bは、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を用いて構成される。
【0043】
報知装置120cは、画像、地図、映像、及び、文字情報を表示する表示部120eと、音声や警報音等の音を発生する音声出力部120fと、を有する。表示部120eは、液晶や有機EL(Electro Luminescence)等の表示ディスプレイを用いて構成される。音声出力部120fは、スピーカ等を用いて構成される。
【0044】
操作部120dは、ユーザの操作の入力を受け付け、受け付けた各種の操作内容に応じた信号をECU122へ出力する。操作部120dは、タッチパネル、ボタン、スイッチ、及び、ジョグダイヤル等を用いて実現される。
【0045】
このように構成されたカーナビゲーションシステム120は、GPSセンサ120aによって取得した現在時刻における電動車両100の位置に関する位置情報を、地図データベース120bが記憶する地図データに対応する地図上に重ねることによって、電動車両100の現在走行している道路及び目的値までの走行経路等を含む情報を、表示部120eと音声出力部120fとによってユーザに対して報知する。
【0046】
記憶部121は、電動車両100に関する各種情報を記憶する。記憶部121は、ECU122から入力された電動車両100のCANデータ、及び、ECU122が実行する各種の処理中のデータ等を記憶する。記憶部121は、電動車両100に関する車種情報記憶部121aと、電動車両100が実行する各種のプログラムを記憶するプログラム記憶部121bと、車載カメラ117からの画像データを記憶する画像データ記憶部121cとを有する。ここで、車種情報とは、電動車両100の車種、電動車両100を識別する識別情報、電動車両100の年式、発電の有無、並びに、HEV、PHEV、FCEV及びBEVのいずれかを示す情報等が含まれる。記憶部121は、DRAM、ROM、Flashメモリ、及び、SSD等を用いて構成される。
【0047】
ECU122は、メモリと、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアを有するプロセッサと、を用いて構成される。ECU122は、電動車両100を構成する各部の動作を制御する。
【0048】
次に、管理サーバ300の機能構成について説明する。
図3は、管理サーバ300の機能構成を示すブロック図である。
図3に示す管理サーバ300は、通信部301と、記憶部302と、サーバ制御部303とを備える。
【0049】
通信部301は、サーバ制御部303のもと、ネットワークNWを介して電動車両100または通信機器200から各種情報を受信するとともに、電動車両100または通信機器200へ各種情報を送信する。通信部301は、各種情報を送受信可能な通信モジュール等を用いて構成される。
【0050】
記憶部302は、管理サーバ300に関する各種情報を記憶する。記憶部302は、例えば、管理サーバ300が実行する各種のプログラムや、各種の地図データや、地図データ上における電動車両100の走行経路に関する情報や、電動車両100の車載カメラ117からの画像データなどを記憶する。記憶部302は、RAM、ROM、Flashメモリ、HDD、及び、SSD等を用いて構成される。
【0051】
サーバ制御部303は、管理サーバ300を構成する各部を制御する。サーバ制御部303は、メモリと、CPU等のハードウェアを有するプロセッサを用いて構成される。サーバ制御部303は、取得部303aと、特定部303bと、判定部303cと、出力部303eと、付与部303fとを有する。
【0052】
取得部303aは、通信部301及びネットワークNWを介して、災害情報サーバ600から災害情報を取得する。また、取得部303aは、通信部301及びネットワークNWを介して、災害区域内における各地点の通行可否情報として、電動車両100から車載カメラ117が撮影した車外の画像データを取得する。また、取得部303aは、通信部301及びネットワークNWなどを介して、施設500から給電の要請に関する情報(信号)を取得する。また、取得部303aは、通信部301及びネットワークNWを介して、電動車両100または通信機器200から給電の支援の申し出に関する情報(信号)を取得する。
【0053】
特定部303bは、取得部303aが取得した給電の要請に関する情報(信号)に基づいて、災害区域内に位置する複数の施設500から給電の要請がある要請施設を特定する。また、特定部303bは、取得部303aが取得した給電の支援の申し出に関する情報(信号)に基づいて、災害区域内に位置する複数の電動車両100から給電の支援を実施させる支援車両を特定する。
【0054】
判定部303cは、現在の電動車両100の位置情報と、要請施設の施設位置情報とに基づいて、電動車両100が要請施設において給電を行ったか否かを判定する。
【0055】
走行経路生成部303dは、複数の電動車両100の各々から取得したプローブ情報、複数の電動車両100の各々から取得したCAN(Controller Area Network)データ、及び、複数の電動車両100の各々から取得した車載カメラ117の画像データなどに基づいて、電動車両100が走行可能な走行経路(通れた道)及び走行不能な走行経路を、地図データに対応付けて管理する。
【0056】
出力部303eは、特定部303bが特定した要請施設に関する要請施設情報を、電動車両100、及び、電動車両100に紐付かれた通信機器200の少なくとも一方に出力する。具体的には、出力部303eは、要請施設、要請施設の業種(例えば病院や市役所等)、要請施設の位置情報、及び、電動車両100から要請施設までの走行経路など、を含む要請施設情報を出力する。
【0057】
付与部303fは、通信機器200に対応付けられた支払い手段であって、電子マネーまたはポイントの入出金口座を示すウォレットに登録された複数の事業者が運営する複数の異なる支払い手段のいずれか1つに、電動車両100の給電に応じた電子マネーまたはポイントを付与する付与処理を実行する。
【0058】
実施形態に係る給電支援システム1においては、災害区域以内の給電対象である要請施設に給電の支援を行う給電車両としての電動車両100である支援車両が、支援車両の現在地から要請施設までの走行可能な走行経路を、災害区域内における各地点の通行可否情報を用いて、管理サーバ30のサーバ制御部303が有する走行経路生成部303dが生成する。これにより、支援車両が要請施設まで移動する走行経路に、通行不可の地点が含まれることを抑制することができる。
【0059】
次に、管理サーバ300のサーバ制御部303が実行する制御の一例について説明する。
図4は、サーバ制御部303が実行する制御の一例を示すフローチャートである。
【0060】
まず、サーバ制御部303は、通信部301及びネットワークNWを介して取得部303aにより、災害区域内に位置する施設500から給電の要請に関する信号を取得する(ステップS1)。次に、サーバ制御部303は、取得部303aが取得した給電の要請に関する信号に基づいて、特定部303bによって災害区域内に位置する複数の施設500から給電の要請がある要請施設を特定する(ステップS2)。次に、サーバ制御部303は、通信部301及びネットワークNWを介して取得部303aにより、要請施設の施設位置情報を取得する(ステップS3)。
【0061】
次に、サーバ制御部303は、通信部301及びネットワークNWを介して取得部303aにより、災害区域内に位置する電動車両100からの給電の支援の申し出に関する信号を取得する(ステップS4)。次に、サーバ制御部303は、取得部303aが取得した給電の支援の申し出に関する信号に基づいて、災害区域内に位置する複数の電動車両100から給電の支援を実施させる支援車両を特定する(ステップS5)。次に、サーバ制御部303は、通信部301及びネットワークNWを介して取得部303aにより、支援車両の位置情報を取得する(ステップS6)。
【0062】
次に、サーバ制御部303は、災害区域内における複数の電動車両100の各々が車載カメラ117によって撮影した車外の画像データを用いて、支援車両の現在地から要請施設までの走行可能な走行経路(通れた道)を、走行経路生成部303dによって生成する(ステップS7)。
【0063】
次に、サーバ制御部303は、走行経路生成部303dが生成した走行経路を、支援車両の現在地から要請施設までの走行経路(通れた道)として設定する(ステップS8)。
【0064】
次に、サーバ制御部303は、通信部301及びネットワークNWを介して出力部303eにより、要請施設に関する要請施設情報を、支援車両、及び、支援車両に紐付かれた通信機器200の少なくとも一方に出力する(ステップS9)。具体的には、出力部303eは、要請施設、要請施設の業種(例えば、病院や市役所等)、要請施設の位置情報、及び、走行経路を含む要請施設情報を出力する。
【0065】
次に、サーバ制御部303は、現在の支援車両の位置情報と、要請施設の施設位置情報とに基づいて、支援車両が要請施設において給電を行ったか否かを判定部303cによって判定する(ステップS10)。具体的には、判定部303cは、現在の支援車両の位置情報が要請施設の施設位置情報に含まれる位置にあるか否かを判定し、現在の支援車両の位置情報が要請施設の施設位置情報に含まれる位置にある場合、支援車両が要請施設において給電を行ったと判定する。判定部303cによって支援車両が要請施設において給電を行ったと判定された場合(ステップS10にてYes)、サーバ制御部303は、ステップS11へ移行する。一方、判定部303cによって支援車両が要請施設において給電を行っていないと判定された場合(ステップS10にてNo)、管理サーバ300は、サーバ制御部303は一連の本制御を終了する。
【0066】
ステップS11において、サーバ制御部303は、通信機器200に対応付けられた支払い手段であって、電子マネーまたはポイントの入出金口座を示すウォレットに登録された複数の事業者が運営する複数の異なる支払い手段のいずれか1つに、支援車両の給電に応じた電子マネーまたはポイントを付与する付与処理を、付与部303fによって実行する。これにより、支援車両のユーザは、給電を行うことによってポイントまたは電子マネーを得ることができる。そして、ステップS11の後、サーバ制御部303は、一連の本制御を終了する。
【0067】
実施形態に係る給電支援システム1においては、災害時に災害区域内における道路状況が不確定な場合でも、災害区域内における各地点の通行可否情報として、災害区域内における複数の電動車両100の各々が車載カメラ117によって撮影した車外の画像データなどを用いて生成された、支援車両の現在地から要請施設までの走行可能な走行経路(通れた道)に関する情報を、支援車両に提供することができる。
【0068】
また、実施形態に係る給電支援システム1においては、例えば、災害区域内における予め設定された特定の車両である特定メーカー製の電動車両100から外部通信部119によって出力された車載カメラ117の画像データであって、その画像データにGPS情報(位置情報及び時刻情報)が付加されていることにより、当該画像データから得られる道路状況の正確性を担保するようにしてもよい。
【0069】
また、実施形態に係る給電支援システム1においては、車載カメラ117によって電動車両100の車外を撮影したときの時刻と当該電動車両100の位置情報と撮影した画像とを関連付けて、走行可能な走行経路を生成するようにしてもよい。これにより、生成された走行可能な走行経路の信頼性を高めることが可能となる。
【0070】
また、実施形態に係る給電支援システム1においては、サーバ制御部303の走行経路生成部303dによって走行経路を生成することができた場合に、支援車両と要請施設との間の電力取引を成立させるようにしてもよい。これにより、支援車両の現在地から要請施設までの走行経路が走行可能な状態で電力取引を成立させて、支援車両を要請施設へ向かわせて給電の支援を行うことが可能となる。
【0071】
また、実施形態に係る給電支援システム1において、サーバ制御部303は、通信部301及びネットワークNWを介して取得部303aにより、災害区域内における歩行者や自転車またはバイクの搭乗者などが所有するスマートフォンなどの携帯情報端末の位置情報を取得してもよい。そして、サーバ制御部303は、走行経路生成部303dが走行経路を生成する際に、前記携帯情報端末の位置情報を利用するようにしてもよい。これにより、例えば、車載カメラ117が撮影した車外の画像データに基づいて走行経路生成部303dが生成した走行可能な走行経路(通れた道)上に、前記携帯情報端末の位置がある場合には、その走行経路(通れた道)を歩行者や自転車やバイクが通っていることになり、走行可能な走行経路(通れる道)の信頼性を高めることが可能となる。なお、前記携帯情報端末から取得した位置情報が、歩行者と、自転車またはバイクの搭乗者とのいずれが所有するかの判別、言い換えれば、歩行者と自転車とバイクとのうちのいずれの位置情報に相当するかの判別は、例えば、サーバ制御部303が、通信部301及びネットワークNWを介して取得部303aが取得した、移動速度や動き方、多方向Gなどの情報を、前記携帯情報端末から取得して行うようにしてもよい。これにより、前記携帯情報端末から取得した位置情報によって、走行経路生成部303dが生成した走行経路(通れる道)を支援車両が走行可能であることの信頼性を、歩行者、自転車、バイクの順で高めることが可能となる。
【0072】
実施形態に係る給電支援システム1においては、災害区域内における複数の電動車両100と複数の施設500とのうち、給電を要請している施設500(要請施設)と、給電の支援を申し出ている電動車両100(支援車両)とのマッチングを、例えば、電動車両100のユーザが所有する携帯情報端末としての通信機器200にインストールされたアプリケーションによって行うようにしてもよい。そして、マッチング結果を通信機器200からネットワークNWなどを介して管理サーバ300に出力する。これにより、電動車両100のユーザは、施設500への給電の支援の申し出を、前記アプリケーションを用いて容易に行うことが可能となり、施設500への給電の支援を電動車両100のユーザに促し易くなる。また、前記アプリケーションによってマッチングを行う際に、例えば、サーバ制御部303の走行経路生成部303dによって生成された走行可能な走行経路(通れた道)を取得して、電動車両100(支援車両)の現在地から施設500(要請施設)までの経路検索を行い、通信機器200の画面上に、支援車両の現在地から要請施設までの走行可能な走行経路(通れた道)を表示するようにしてもよい。これにより、支援車両のユーザは、走行可能な走行経路が確保されていることを確認した上で、要請施設への給電の支援を行うか否かの判断を行うことが可能となる。
【0073】
また、実施形態に係る給電支援システム1では、上記してきた「部」を、「装置」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、制御部は、制御装置や制御回路などに読み替えることができる。
【0074】
また、実施形態に係る給電支援システム1のサーバ制御部303などに実行させるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルデータで、CD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)、USB媒体、及び、フラッシュメモリ等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供される。また、実施形態に係る給電支援システム1のサーバ制御部303に実行させるプログラムは、インターネット等のネットワークNWに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワークNWを経由してダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。
【0075】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。本開示のより広範な態様は、以上のように表し且つ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付のクレームおよびその均等物によって定義される総括的な開示の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1 給電支援システム
100 電動車両
101 エンジン
102 発電機
103 第1のインバータ
104 モータ
105 駆動輪
106 二次電池
107 コンバータ
108 切替部
109 第2のインバータ
110 インレット部
111 第1の検出部
112 車内コンセント
113 第2の検出部
114 燃料タンク
115 第3の検出部
116 第4の検出部
117 車載カメラ
118,301 通信部
119 外部通信部
120 カーナビゲーションシステム
120a GPSセンサ
120b 地図データベース
120c 報知装置
120d 操作部
120e 表示部
120f 音声出力部
121,302 記憶部
121a 車種情報記憶部
121b プログラム記憶部
121c 画像データ記憶部
122 ECU
300 管理サーバ
303 サーバ制御部
303a 取得部
303b 特定部
303c 判定部
303d 走行経路生成部
303e 出力部
303f 付与部
400 充放電装置
500 施設
600 災害情報サーバ
NW ネットワーク