(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】金属端子用接着性フィルム、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/184 20210101AFI20241210BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/197 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/198 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20241210BHJP
H01M 50/129 20210101ALI20241210BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241210BHJP
H01G 11/74 20130101ALI20241210BHJP
【FI】
H01M50/184 C
H01M50/193
H01M50/197
H01M50/198
H01M50/105
H01M50/129
H01G11/78
H01G11/74
(21)【出願番号】P 2021154717
(22)【出願日】2021-09-22
(62)【分割の表示】P 2021530745の分割
【原出願日】2020-07-10
【審査請求日】2023-03-13
(31)【優先権主張番号】P 2019128633
(32)【優先日】2019-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴大
(72)【発明者】
【氏名】田中 潤
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-132538(JP,A)
【文献】特開2015-170428(JP,A)
【文献】特開2012-022821(JP,A)
【文献】特開2007-184189(JP,A)
【文献】特開2016-091939(JP,A)
【文献】特開2005-306946(JP,A)
【文献】特開2017-033820(JP,A)
【文献】国際公開第2015/008826(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/133030(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/156113(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01G 11/78
H01G 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
前記金属端子用接着性フィルムは、第1ポリオレフィン層、基材、及び第2ポリオレフィン層をこの順に備える積層体から構成されており、
前記第1ポリオレフィン層及び前記第2ポリオレフィン層の合計厚みに対する、前記基
材の厚みの比が、
0.7以上1.5以下であり、
前記金属端子用接着性フィルムは、下記の加熱後の引張弾性率Aの値が、下記の加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さい、金属端子用接着性フィルム。
加熱後の引張弾性率A:温度140℃の加熱環境で12秒間静置し、さらに、温度25℃の環境で1時間静置した後において、温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
加熱前の引張弾性率B:温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
【請求項2】
前記加熱前の引張弾性率Bが、580MPa以上である、請求項1に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項3】
前記加熱後の引張弾性率Aの値から前記加熱前の引張弾性率Bの値を引いて算出される、引張弾性率の差が、-20MPa以下である、請求項1又は2に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項4】
前記加熱後の引張弾性率Aが、580MPa以上700MPa以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項5】
前記金属端子用接着性フィルムの厚みが、140μm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項6】
前記金属端子用接着性フィルムは、第1ポリオレフィン層、基材、及び第2ポリオレフィン層をこの順に備える積層体から構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項7】
前記基材に含まれる樹脂が、ポリオレフィン骨格を含む、請求項6に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項8】
前記第1ポリオレフィン層及び前記第2ポリオレフィン層が、酸変性ポリオレフィンを含んでいる、請求項6又は7に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項9】
前記蓄電デバイス用外装材が、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
前記熱融着性樹脂層と前記金属端子との間に前記金属端子用接着性フィルムが介在される、請求項1~8のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
【請求項10】
金属端子に、請求項1~9のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムが取り付けられてなる、金属端子用接着性フィルム付き金属端子。
【請求項11】
少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える蓄電デバイスであって、
前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、請求項1~9のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる、蓄電デバイス。
【請求項12】
少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える電池の製造方法であって、
前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、請求項1~9のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムを介在させて、前記蓄電デバイス素子を前記蓄電デバイス用外装材で封止する工程を備える、蓄電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、金属端子用接着性フィルム、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々なタイプの蓄電デバイスが開発されているが、あらゆる蓄電デバイスにおいて電極や電解質等の蓄電デバイス素子を封止するために蓄電デバイス用外装材が不可欠な部材になっている。従来、蓄電デバイス用外装材として金属製の蓄電デバイス用外装材が多用されていたが、近年、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、パソコン、カメラ、携帯電話等の高性能化に伴い、蓄電デバイスには、多様な形状が要求されると共に、薄型化や軽量化が求められている。しかしながら、従来多用されていた金属製の蓄電デバイス用外装材では、形状の多様化に追従することが困難であり、しかも軽量化にも限界があるという欠点がある。
【0003】
そこで、近年、多様な形状に加工が容易で、薄型化や軽量化を実現し得る蓄電デバイス用外装材として、基材層/接着層/バリア層/熱融着性樹脂層が順次積層された積層シートが提案されている。このようなフィルム状の蓄電デバイス用外装材を用いる場合、蓄電デバイス用外装材の最内層に位置する熱融着性樹脂層同士を対向させた状態で、蓄電デバイス用外装材の周縁部をヒートシールにて熱融着させることにより、蓄電デバイス用外装材によって蓄電デバイス素子が封止される。
【0004】
蓄電デバイス用外装材のヒートシール部分からは、金属端子が突出しており、蓄電デバイス用外装材によって封止された蓄電デバイス素子は、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子によって外部と電気的に接続される。すなわち、蓄電デバイス用外装材がヒートシールされた部分のうち、金属端子が存在する部分は、金属端子が熱融着性樹脂層に挟持された状態でヒートシールされている。金属端子と熱融着性樹脂層とは、互いに異種材料により構成されているため、金属端子と熱融着性樹脂層との界面において、密着性が低下しやすい。
【0005】
このため、金属端子と熱融着性樹脂層との間には、これらの密着性を高めることなどを目的として、接着性フィルムが配されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような接着性フィルムには、蓄電デバイス用外装材及び金属端子との高い密着性が求められる。
【0008】
ところで、接着性フィルムを介して金属端子と蓄電デバイス用外装材とを接着する工程において、例えば140℃から180℃という低温の加熱により接着を行うことが求められる場合がある。従来、当該接着工程における加熱温度は190℃程度であることが一般的であり、接着時の加熱温度が従来よりも低くなると、接着性フィルムの金属端子への密着強度が低下する傾向がある。密着強度の低下の程度によっては、接着性フィルムを介した蓄電デバイス用外装材と金属端子と密着強度が不十分となる。
【0009】
このような状況下、本開示は、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対して高い密着強度を発揮する金属端子用接着性フィルムを提供することを主な目的とする。さらに、本開示は、金属端子用接着性フィルム付き金属端子、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス及び当該蓄電デバイスの製造方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、温度140℃で加熱後の引張弾性率が、加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さい金属端子用接着性フィルムは、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対して高い密着強度を発揮することを見出した。本開示は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0011】
即ち、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
前記金属端子用接着性フィルムは、下記の加熱後の引張弾性率Aの値が、下記の加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さい、金属端子用接着性フィルム。
加熱後の引張弾性率A:温度140℃の加熱環境で12秒間静置し、さらに、温度25℃の環境で1時間静置した後において、温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
加熱前の引張弾性率B:温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対して高い密着強度を発揮する金属端子用接着性フィルムを提供することができる。さらに、本開示によれば、当該金属端子用接着性フィルム付き金属端子、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び蓄電デバイスの製造方法を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の蓄電デバイスの略図的平面図である。
【
図2】
図1の線A-A'における略図的断面図である。
【
図3】
図1の線B-B'における略図的断面図である。
【
図4】本開示の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。
【
図5】本開示の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。
【
図6】本開示の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。
【
図7】本開示の金属端子用接着性フィルムの略図的断面図である。
【
図8】本開示の蓄電デバイス用外装材の略図的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の金属端子用接着性フィルムは、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムである。本開示の金属端子用接着性フィルムは、下記の加熱後の引張弾性率Aの値が、下記の加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さいことを特徴とする。
加熱後の引張弾性率A:温度140℃の加熱環境で12秒間静置し、さらに、温度25℃の環境で1時間静置した後において、温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
加熱前の引張弾性率B:温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
【0015】
本開示の金属端子用接着性フィルムによれば、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対して高い密着強度を発揮することができる。
【0016】
また、本開示の蓄電デバイスは、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した金属端子とを備える蓄電デバイスであって、金属端子と蓄電デバイス用外装材との間に、本開示の金属端子用接着性フィルムが介在されてなることを特徴とする。以下、本開示の金属端子用接着性フィルム、当該金属端子用接着性フィルムを用いた蓄電デバイス、及び当該蓄電デバイスの製造方法について詳述する。
【0017】
なお、本明細書において、数値範囲については、「~」で示される数値範囲は「以上」、「以下」を意味する。例えば、2~15mmとの表記は、2mm以上15mm以下を意味する。
【0018】
1.金属端子用接着性フィルム
本開示の金属端子用接着性フィルムは、蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在されるものである。具体的には、例えば
図1から
図3に示されるように、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、蓄電デバイス素子4の電極に電気的に接続されている金属端子2と、蓄電デバイス素子4を封止する蓄電デバイス用外装材3との間に介在されている。また、金属端子2は、蓄電デバイス用外装材3の外側に突出しており、ヒートシールされた蓄電デバイス用外装材3の周縁部3aにおいて、金属端子用接着性フィルム1を介して、蓄電デバイス用外装材3に挟持されている。なお、本開示において、蓄電デバイス用外装材をヒートシールする際の加熱温度としては、通常160~190℃程度の範囲、圧力としては、通常1.0~2.0MPa程度の範囲である。
【0019】
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との密着性を高めるために設けられている。金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との密着性が高められることにより、蓄電デバイス素子4の密封性が向上する。上述のとおり、蓄電デバイス素子4をヒートシールする際には、蓄電デバイス素子4の電極に電気的に接続された金属端子2が蓄電デバイス用外装材3の外側に突出するようにして、蓄電デバイス素子が封止される。このとき、金属により形成された金属端子2と、蓄電デバイス用外装材3の最内層に位置する熱融着性樹脂層35(ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂により形成された層)とは異種材料により形成されているため、このような接着性フィルムを用いない場合には、金属端子2と熱融着性樹脂層35との界面において、蓄電デバイス素子の密封性が低くなりやすい。
【0020】
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、後述の加熱後の引張弾性率Aの値が加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さくなれば、
図4に示されるように単層であってもよいし、
図5から
図8に示されるように複層であってもよい。本開示の金属端子用接着性フィルム1は、複層であることが好ましい。本開示の金属端子用接着性フィルム1が複層である場合、
図5から
図8に示すように、少なくとも、基材11と第1ポリオレフィン層12aとが積層された構成を含んでいることが好ましく、
図6,7に示すように、少なくとも、第1ポリオレフィン層12aと、基材11と、第2ポリオレフィン層12bとがこの順に積層された構成を含んでいることがより好ましい。また、本開示の金属端子用接着性フィルム1においては、両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bが位置していることが好ましい。
【0021】
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bのうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンを含んでいることが好ましく、第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bが酸変性ポリオレフィンを含んでいることがさらに好ましい。また、基材11は、ポリオレフィンを含んでいることが好ましい。後述の通り、第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bは、それぞれ、酸変性ポリプロピレンにより形成された、酸変性ポリプロピレン層であることが好ましい。また、基材11は、ポリプロピレンにより形成された、ポリプロピレン層であることが好ましい。
【0022】
本開示の金属端子用接着性フィルム1の好ましい積層構成の具体例としては、酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層の2層構成;酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/酸変性ポリプロピレン層がこの順に積層された3層構成;酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/酸変性ポリプロピレン層がこの順に積層された5層構成などが挙げられ、これらの中でも、酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層の2層構成;酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/酸変性ポリプロピレン層がこの順に積層された3層構成がより好ましく、酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/酸変性ポリプロピレン層がこの順に積層された3層構成が特に好ましい。
【0023】
蓄電デバイス10の金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に、本開示の金属端子用接着性フィルム1が配置されると、金属により構成された金属端子2の表面と、蓄電デバイス用外装材3の熱融着性樹脂層35(ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂により形成された層)とが、金属端子用接着性フィルム1を介して接着される。
【0024】
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、下記の加熱後の引張弾性率Aの値が、下記の加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さい。
加熱後の引張弾性率A:温度140℃の加熱環境で12秒間静置し、さらに、温度25℃の環境で1時間静置した後において、温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
加熱前の引張弾性率B:温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
【0025】
金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、引張弾性率Aとしては、好ましくは約580MPa以上、より好ましくは約600MPa以上、さらに好ましくは約650MPa以上であり、また、好ましくは約700MPa以下であり、好ましい範囲としては、580~700MPa程度、600~700MPa程度、650~700MPa程度が挙げられる。引張弾性率Aの測定方法は、以下の通りである。
【0026】
<加熱後の引張弾性率A>
温度140℃の条件で12秒間加熱後の引張弾性率を以下の手順により測定する。まず、金属端子用接着性フィルムを幅(TD)15mm、長さ(MD)50mmの短冊状に裁断する。次に、140℃に加熱されたホットプレート上に載置し、12秒間静置した後、直ちに大気圧下、25℃環境において1時間静置して試験片を得る。次に、大気圧下、25℃環境において、テンシロン万能材料試験機(例えば、エー・アンド・デイ社製のRTG-1210)を用いて、引張速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件で、試験片の応力-ひずみ曲線を取得し、ひずみ0.05%と0.25%の2点を結ぶ直線の傾きから、加熱後の金属端子用接着性フィルムの引張弾性率Aを求める。
【0027】
金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、温度160℃の条件で12秒間加熱後の引張弾性率としては、好ましくは約600MPa以上、より好ましくは約650MPa以上、さらに好ましくは約680MPa以上であり、また、好ましくは約780MPa以下であり、好ましい範囲としては、600~780MPa程度、650~780MPa程度、680~700MPa程度が挙げられる。温度160℃の条件で12秒間加熱後の引張弾性率の測定方法は、前記の<加熱後の引張弾性率A>において、160℃に加熱されたホットプレート上に金属端子用接着性フィルムを載置すること以外は、同様にして測定される。
【0028】
金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、温度180℃の条件で12秒間加熱後の引張弾性率としては、好ましくは約500MPa以上、より好ましくは約520MPa以上、さらに好ましくは約550MPa以上であり、また、好ましくは約750MPa以下であり、好ましい範囲としては、500~750MPa程度、520~750MPa程度、550~750MPa程度が挙げられる。温度180℃の条件で12秒間加熱後の引張弾性率の測定方法は、前記の<加熱後の引張弾性率A>において、180℃に加熱されたホットプレート上に金属端子用接着性フィルムを載置すること以外は、同様にして測定される。
【0029】
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、加熱環境に曝される前において、温度25℃の環境で測定される引張弾性率Bが、好ましくは約580MPa以上、より好ましくは約650MPa以上、さらに好ましくは約700MPa以上、さらに好ましくは約750MPa以上であり、また、好ましくは約900MPa以下、より好ましくは約800MPa以下であり、好ましい範囲としては、580~900MPa程度、650~900MPa程度、700~900MPa程度、750~900MPa程度、580~800MPa程度、650~800MPa程度、700~800MPa程度、750~800MPa程度が挙げられる。引張弾性率Bの測定方法は、以下の通りである。
【0030】
<加熱前の引張弾性率B>
JIS K7161-1(ISO527-1)の規定に準拠して、25℃環境における金属端子用接着性フィルム(前述の<加熱後の引張弾性率A>における加熱を行う前の金属端子用接着性フィルム)の引張弾性率Bを測定する。具体的には、金属端子用接着性フィルムを幅(TD)15mm、長さ(MD)50mmの短冊状に裁断する。次に、金属端子用接着性フィルムについて、25℃環境において、テンシロン万能材料試験機(例えば、エー・アンド・デイ社製のRTG-1210)を用いて、引張速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件で、試験片の応力-ひずみ曲線を取得し、ひずみ0.05%と0.25%の2点を結ぶ直線の傾きから、加熱前の金属端子用接着性フィルムの引張弾性率Bを求める。
【0031】
本開示の金属端子用接着性フィルム1の引張弾性率は、積層構成、各層の融点、MFR、厚み、厚み比、さらには、金属端子用接着性フィルム1の製造におけるTダイ、インフレーション等の条件(例えば、Tダイからの押出幅、延伸倍率、延伸速度、熱処理温度など)などによって調整することができる。
【0032】
金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、引張弾性率Aの値から引張弾性率Bの値を引いて算出される、引張弾性率の差((引張弾性率の差)=「加熱後の引張弾性率Aの値」-「加熱前の引張弾性率Bの値」)が、好ましくは約-20MPa以下(すなわち、(引張弾性率の差)≦-20MPa)であり、より好ましくは約-50MPa以下であり、さらに好ましくは約-70MPa以下である。引張弾性率の差は、好ましくは約-150MPa以上である。引張弾性率の差の好ましい範囲としては、-20~-150MPa程度、-50~-150MPa程度、-70~-150MPa程度が挙げられる。
【0033】
本開示の金属端子用接着性フィルム1の総厚みとしては、前述する引張弾性率を充足させつつ、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、例えば約120μm以上、好ましくは約140μm以上、より好ましくは約150μm以上である。なお、本開示の金属端子用接着性フィルム1の総厚みの上限については、例えば、約200μm程度が挙げられる。本開示の金属端子用接着性フィルム1の総厚みの好ましい範囲としては、120~200μm程度、140~200μm程度、150~200μm程度が挙げられる。
【0034】
<本開示の金属端子用接着性フィルムが単層である場合>
本開示の金属端子用接着性フィルムが単層である場合、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子用接着性フィルム1は、前述する物性を有するに第1ポリオレフィン層12aにより構成されていることが好ましい。
【0035】
<本開示の金属端子用接着性フィルムが複層である場合>
本開示の金属端子用接着性フィルムが複層である場合、本開示の金属端子用接着性フィルム1は、少なくとも、基材11と第1ポリオレフィン層12aとが積層された構成を含み、前述する特性を有する積層体であることが好ましく、少なくとも、第1ポリオレフィン層12aと、基材11と、第2ポリオレフィン層12bとがこの順に積層された構成を含み、前述する特性を有する積層体であることが好ましい。
【0036】
以下、基材11,第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bについて詳述する。
【0037】
[基材11]
金属端子用接着性フィルム1において、基材11は、金属端子用接着性フィルム1の支持体として機能する層であり、必要に応じて設けられる。
【0038】
基材11を形成する素材については、特に制限されるものではない。基材11を形成する素材としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、珪素樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリカーボネート及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられ、これらの中でも特にポリオレフィンが好ましい。すなわち、基材11を形成する素材は、ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンなどのポリオレフィン骨格を含む樹脂が好ましい。基材11を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能である。
【0039】
ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー;等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられ、より好ましくはポリプロピレンが挙げられる。
【0040】
ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族系ポリアミド;テレフタル酸及び/又はイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミノメチルシクロヘキシルアジパミド(PACM6)等の脂環系ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4'-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等が挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0041】
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。また、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。また、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステルとしては、具体的には、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてブチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
また、基材11は、上記の樹脂で形成された不織布により形成されていてもよい。基材11が不織布である場合、基材11は、前述のポリオレフィン、ポリアミド等で構成されていることが好ましい。
【0043】
また、前述の通り、基材11に着色剤を配合することにより、基材11を、着色剤を含む層とすることもできる。また、透明度の低い樹脂を選択して、光透過度を調整することもできる。基材11がフィルムの場合は、着色フィルムを用いることや、透明度の低いフィルムを用いることもできる。また、基材11が不織布の場合は、着色剤を含む繊維やバインダーを用いた不織布や、透明度の低い不織布を用いることができる。
【0044】
基材11の230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)は、前述する引張弾性率を充足させつつ、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは8g/10分以下、より好ましくは4g/10分以下であり、また、柔軟性に優れた(後述の曲げ試験の評価が良好な)金属端子用接着性フィルム1とする観点から、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは2g/10分以上であり、好ましい範囲としては、1~8g/10分程度、1~4g/10分程度、2~8g/10分程度、2~4g/10分程度が挙げられる。なお、基材11のメルトマスフローレート(MFR)は、JIS K7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)の規定に準拠して測定された230℃での値(g/10分)である。
【0045】
また、基材11の融点は、前述する引張弾性率を充足させつつ、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは130℃以上、より好ましくは150℃以上であり、また、柔軟性に優れた金属端子用接着性フィルム1とする観点から、好ましくは190℃以下、より好ましくは170℃以下であり、好ましい範囲としては、130~190℃程度、150~170℃程度である。基材11の融点は、実施例に記載の方法により測定される。
【0046】
基材11が樹脂フィルムにより構成されている場合、基材11の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理等の公知の易接着手段が施されていてもよい。
【0047】
基材11の厚さについては、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは約40μm以上、より好ましくは約50μm以上、さらに好ましくは約55μm以上、さらに好ましくは約60μm以上であり、また、好ましくは約120μm以下、より好ましくは約100μm以下、さらに好ましくは85μm以下であり、好ましい範囲としては、40~120μm程度、40~100μm程度、40~85μm程度、50~120μm程度、50~100μm程度、50~85μm程度、55~120μm程度、55~100μm程度、55~85μm程度、60~120μm程度、60~100μm程度、60~85μm程度が挙げられる。これらの中でも、60~100μm程度が特に好ましい。
【0048】
[第1及び第2ポリオレフィン層12a,12b]
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、第1ポリオレフィン層12aを備えていることが好ましい。本開示の金属端子用接着性フィルム1が単層により構成されている場合、金属端子用接着性フィルム1は、
図4に示すように第1ポリオレフィン層12aにより構成されていることが好ましい。また、本開示の金属端子用接着性フィルム1が複層である場合、少なくとも、基材11と第1ポリオレフィン層12aとが積層された構成を含んでいることが好ましく、
図6,7に示すように、少なくとも、第1ポリオレフィン層12aと、基材11と、第2ポリオレフィン層12bとがこの順に積層された構成を含んでいることがより好ましい。また、本開示の金属端子用接着性フィルム1においては、両面側の表面に、それぞれ第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bが位置していることが好ましい。
【0049】
また、第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bのうち少なくとも一方は、酸変性ポリオレフィンを含んでいることが好ましく、第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bが酸変性ポリオレフィンを含んでいることがさらに好ましい。第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bのうち少なくとも一方が、酸変性ポリオレフィンにより形成されている場合、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bのうち、一方が酸変性ポリオレフィンにより形成されており、他方がポリオレフィンにより形成されている場合と、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの両方が酸変性ポリオレフィンにより形成されている場合とがある。酸変性ポリオレフィンは、金属及びポリオレフィンなどの熱融着性樹脂との親和性が高い。また、ポリオレフィンは、ポリオレフィンなどの熱融着性樹脂との親和性が高い。従って、本開示の金属端子用接着性フィルム1においては、酸変性ポリオレフィンにより形成された層を金属端子2側に配置することにより、金属端子用接着性フィルム1と金属端子2及び熱融着性樹脂層35との界面において優れた密着性を発揮することができる。
【0050】
金属端子用接着性フィルム1は、第1ポリオレフィン層12aと基材11と第2ポリオレフィン層12bとを順次備えた積層体であることが好ましい。金属端子用接着性フィルム1は、例えば、
図6及び
図7に示されるように、第1ポリオレフィン層12a/基材11/第2ポリオレフィン層12bが順に積層された積層構造を有している。前記の通り、金属端子用接着性フィルム1は、酸変性ポリプロピレン層/ポリプロピレン層/酸変性ポリプロピレン層がこの順に積層された3層構成が特に好ましい。
【0051】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bにおいて、酸変性ポリオレフィンとしては、酸変性されたポリオレフィンであれば特に制限されないが、好ましくは不飽和カルボン酸またはその無水物でグラフト変性されたポリオレフィンが挙げられる。
【0052】
酸変性されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0053】
また、酸変性されるポリオレフィンは、環状ポリオレフィンであってもよい。例えば、カルボン酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、α,β-不飽和カルボン酸又はその無水物に代えて共重合することにより、或いは環状ポリオレフィンに対してα,β-不飽和カルボン酸又はその無水物をブロック重合又はグラフト重合することにより得られるポリマーである。
【0054】
酸変性される環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。構成モノマーとしては、スチレンも挙げられる。
【0055】
酸変性に使用されるカルボン酸またはその無水物としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
【0056】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bのいずれか一方が、ポリオレフィンにより形成されている場合、当該ポリオレフィンとしては、前述の酸変性されるポリオレフィンまたは酸変性される環状ポリオレフィンとして例示したものと同じものが例示できる。
【0057】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bは、それぞれ、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bは、それぞれ、1層のみで形成されていてもよく、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上で形成されていてもよい。
【0058】
さらに、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bは、それぞれ、必要に応じて充填剤を含んでいてもよい。第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bが充填剤を含むことにより、充填剤がスペーサー(Spacer)として機能するために、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3のバリア層33との間の短絡を効果的に抑制することが可能となる。充填剤の粒径としては、0.1~35μm程度、好ましくは5.0~30μm程度、さらに好ましくは10~25μm程度の範囲が挙げられる。また、充填剤の含有量としては、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bを形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、5~30質量部程度、より好ましくは10~20質量部程度が挙げられる。
【0059】
充填剤としては、無機系、有機系のいずれも用いることができる。無機系充填剤としては、例えば、炭素(カーボン、グラファイト)、シリカ、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、酸化鉄、シリコンカーバイド、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミ酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。また、有機系充填剤としては、例えば、フッ素樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物、ポリメタクリル酸メチル架橋物、ポリエチレン架橋物等が挙げられる。形状の安定性、剛性、内容物耐性の点から、酸化アルミニウム、シリカ、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物が好ましく、特にこの中でも球状の酸化アルミニウム、シリカがより好ましい。ポリオレフィン層12を形成する樹脂成分への充填剤の混合方法としては、予めバンバリーミキサー等で両者をメルトブレンドし、マスターバッチ化したものを所定の混合比にする方法、樹脂成分との直接混合方法などを採用することができる。
【0060】
また、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bは、それぞれ、必要に応じて顔料を含んでいてもよい。顔料としては、無機系の各種顔料を用いることができる。顔料の具体例としては、上記充填剤で例示した炭素(カーボン、グラファイト)が好ましく例示できる。炭素(カーボン、グラファイト)は、一般に蓄電デバイスの内部に使用されている材料であり、電解液に対する溶出の虞がない。また、着色効果が大きく接着性を阻害しない程度の添加量で充分な着色効果を得られると共に、熱で溶融することがなく、添加した樹脂の見かけの溶融粘度を高くすることができる。さらに、熱接着時(ヒートシール時)に加圧部が薄肉となることを防止して、蓄電デバイス用外装材と金属端子の間における優れた密封性を付与できる。
【0061】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bに顔料を添加する場合、その添加量としては、たとえば、粒径が約0.03μmのカーボンブラックを使用した場合、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bを形成する樹脂成分100質量部に対して、それぞれ、0.05~0.3質量部程度、好ましく0.1~0.2質量部程度が挙げられる。第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bに顔料を添加することにより、金属端子用接着性フィルム1の有無をセンサーで検知可能なもの、または目視で検査可能なものとすることができる。なお、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bに充填剤と顔料とを添加する場合、同一の第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bに充填剤と顔料を添加してもよいが、金属端子用接着性フィルム1の熱融着性を阻害しない観点からは、充填剤及び顔料は、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bに分けて添加することが好ましい。
【0062】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bは、それぞれ、ポリオレフィンフィルム又は酸変性ポリオレフィンフィルムにより構成することができる。第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bがポリオレフィンフィルム又は酸変性ポリオレフィンフィルムにより構成されている場合、上記のポリオレフィンまたは酸変性ポリオレフィンにより形成された樹脂フィルムを、例えばドライラミネート法を用いて基材11に積層することにより、金属端子用接着性フィルムを好適に製造することができる。また、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bを構成する樹脂を基材11の上に押出し成形することにより、金属端子用接着性フィルムを好適に製造することができる。
【0063】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの230℃におけるメルトマスフローレート(MFR)は、前述する引張弾性率を充足させつつ、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは約6.5g/10分以上、より好ましくは約7g/10分以上、さらに好ましくは約8g/10分以上であり、また、好ましくは約11g/10分以下、より好ましくは約10g/10分以下、さらに好ましくは約8.5g/10分以下であり、好ましい範囲としては、6.5~11g/10分程度、6.5~10g/10分程度、6.5~8.5g/10分程度、7~11g/10分程度、7~10g/10分程度、7~8.5g/10分程度、8~11g/10分程度、8~10g/10分程度、8~8.5g/10分程度が挙げられる。なお、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bのメルトマスフローレート(MFR)は、それぞれ、JIS K7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)の規定に準拠して測定された230℃での値(g/10分)である。
【0064】
また、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの融点は、前述する引張弾性率を充足させつつ、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは約120℃以上、より好ましくは約130℃以上であり、また、好ましくは約160℃以下、より好ましくは約150℃以下であり、好ましい範囲としては、120~160℃程度、120~150℃程度、130~160℃程度、130~150℃程度である。第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの融点は、実施例に記載の方法により測定される。
【0065】
樹脂フィルムにより構成された第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bを基材11の表面に積層する場合、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの基材11側の表面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理などの公知の易接着手段が施されていてもよい。特に、コロナ放電処理されていることにより、基材11と第1ポリオレフィン層12a及び第2ポリオレフィン層12bとの密着性が高められ、蓄電デバイス用外装材と金属端子の間における優れた密封性を付与できる。
【0066】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの厚さは、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは約20μm以上、より好ましくは約30μm以上、さらに好ましくは約35μm以上であり、また、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約50μm以下である。第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの厚さの好ましい範囲としては、それぞれ、20~60μm程度、20~50μm程度、30~60μm程度、30~50μm程度、35~60μm程度、35~50μm程度が挙げられる。
【0067】
第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bの合計厚みに対する、基材11の厚みの比としては、前述する引張弾性率を充足させつつ、金属端子に接着される際の加熱温度が例えば140℃から180℃の低温であっても、金属端子に対してより高い密着強度を発揮する観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上であり、また、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.2以下であり、好ましい範囲としては、0.5~1.5程度、0.5~1.2程度、0.7~1.5程度、0.7~1.2程度、0.8~1.5程度、0.8~1.2程度が挙げられる。
【0068】
[接着促進剤層13]
接着促進剤層13は、基材11と第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bとを強固に接着することを目的として、必要に応じて設けられる層である(
図7を参照)。接着促進剤層13は、基材11と第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bとの間の一方側のみに設けられていてもよいし、両側に設けられていてもよい。
【0069】
接着促進剤層13は、イソシアネート系、ポリエチレンイミン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリブタジエン系等の公知の接着促進剤を用いて形成することができる。耐電解液性をより向上する観点からは、これらの中でも、イソシアネート系の接着促進剤により形成されていることが好ましい。イソシアネート系の接着促進剤としては、トリイソシアネートモノマー、ポリメリックMDIから選ばれたイソシアネート成分からなるものが、ラミネート強度に優れ、かつ、電解液浸漬後のラミネート強度の低下が少ない。特に、トリイソシアネートモノマーであるトリフェニルメタン-4,4',4"-トリイソシアネートやポリメリックMDIであるポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(NCO含有率が約30%、粘度が200~700mPa・s)からなる接着促進剤によって形成することが特に好ましい。また、トリイソシアネートモノマーであるトリス(p-イソシアネートフェニル)チオホスフェートや、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤により形成することも好ましい。
【0070】
接着促進剤層13は、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法等の公知の塗布法で塗布・乾燥することにより形成することができる。接着促進剤の塗布量としては、トリイソシアネートからなる接着促進剤の場合は、20~100mg/m2程度、好ましくは40~60mg/m2程度であり、ポリメリックMDIからなる接着促進剤の場合は、40~150mg/m2程度、好ましくは60~100mg/m2程度であり、ポリエチレンイミン系を主剤とし、ポリカルボジイミドを架橋剤とした2液硬化型の接着促進剤の場合は、5~50mg/m2程度、好ましくは10~30mg/m2程度である。なお、トリイソシアネートモノマーは、1分子中にイソシアネート基を3個持つモノマーであり、ポリメリックMDIは、MDIおよびMDIが重合したMDIオリゴマーの混合物であり、下記式で示されるものである。
【0071】
【0072】
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、例えば、基材11の両表面上に、それぞれ、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bを積層することにより製造することができる。基材11と第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bとの積層は、押出ラミネート法、サーマルラミネート法などの公知の方法により積層することができる。また、基材11と第1及び第2ポリオレフィン層12a,12とを、接着促進剤層13を介して積層する場合には、例えば、接着促進剤層13を構成する接着促進剤を上記の方法で基材11の上に塗布・乾燥し、接着促進剤層13の上から第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bをそれぞれ積層すればよい。
【0073】
金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に介在させる方法としては、特に制限されず、例えば、
図1~3に示すように、金属端子2が蓄電デバイス用外装材3によって挟持される部分において、金属端子2に金属端子用接着性フィルム1を巻き付けてもよい。また、図示を省略するが、金属端子2が蓄電デバイス用外装材3によって挟持される部分において、金属端子用接着性フィルム1が2つの金属端子2を横断するようにして、金属端子2の両面側に配置してもよい。
【0074】
[金属端子2]
本開示の金属端子用接着性フィルム1は、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に介在させて使用される。金属端子2は、蓄電デバイス素子4の電極(正極または負極)に電気的に接続される導電部材であり、金属材料により構成されている。金属端子2を構成する金属材料としては、特に制限されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、銅などが挙げられる。例えば、リチウムイオン蓄電デバイスの正極に接続される金属端子2は、通常、アルミニウムなどにより構成されている。また、リチウムイオン蓄電デバイスの負極に接続される金属端子は、通常、銅、ニッケルなどにより構成されている。
【0075】
金属端子2の表面は、耐電解液性を高める観点から、化成処理が施されていることが好ましい。例えば、金属端子2がアルミニウムにより形成されている場合、化成処理の具体例としては、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物などの耐食性皮膜を形成する公知の方法が挙げられる。耐食性皮膜を形成する方法の中でも、フェノール樹脂、フッ化クロム(III)化合物、リン酸の3成分から構成されたものを用いるリン酸クロメート処理が好適である。
【0076】
金属端子2の大きさは、使用される蓄電デバイスの大きさなどに応じて適宜設定すればよい。金属端子2の厚さとしては、好ましくは50~1000μm程度、より好ましくは70~800μm程度が挙げられる。また、金属端子2の長さとしては、好ましくは1~200mm程度、より好ましくは3~150mm程度が挙げられる。また、金属端子2の幅としては、好ましくは1~200mm程度、より好ましくは3~150mm程度が挙げられる。
【0077】
[蓄電デバイス用外装材3]
蓄電デバイス用外装材3としては、少なくとも、基材層31、バリア層33、及び熱融着性樹脂層35をこの順に有する積層体からなる積層構造を有するものが挙げられる。
図8に、蓄電デバイス用外装材3の断面構造の一例として、基材層31、必要に応じて設けられる接着剤層32、バリア層33、必要に応じて設けられる接着層34、及び熱融着性樹脂層35がこの順に積層されている態様について示す。蓄電デバイス用外装材3においては、基材層31が外層側になり、熱融着性樹脂層35が最内層になる。蓄電デバイスの組み立て時に、蓄電デバイス素子4の周縁に位置する熱融着性樹脂層35同士を接面させて熱融着することにより蓄電デバイス素子4が密封され、蓄電デバイス素子4が封止される。なお、
図1から
図3には、エンボス成形などによって成形されたエンボスタイプの蓄電デバイス用外装材3を用いた場合の蓄電デバイス10を図示しているが、蓄電デバイス用外装材3は成形されていないパウチタイプであってもよい。なお、パウチタイプには、三方シール、四方シール、ピロータイプなどが存在するが、何れのタイプであってもよい。
【0078】
蓄電デバイス用外装材3を構成する積層体の厚みとしては、特に制限されないが、上限については、コスト削減、エネルギー密度向上等の観点からは、好ましくは約180μm以下、約160μm以下、約155μm以下、約140μm以下、約130μm以下、約120μm以下が挙げられ、下限については、蓄電デバイス素子4を保護するという蓄電デバイス用外装材3の機能を維持する観点からは、好ましくは約35μm以上、約45μm以上、約60μm以上、約80μm以上が挙げられ、好ましい範囲については、例えば、35~180μm程度、35~160μm程度、35~155μm程度、35~140μm程度、35~130μm程度、35~120μm程度、45~180μm程度、45~160μm程度、45~155μm程度、45~140μm程度、45~130μm程度、45~120μm程度、60~180μm程度、60~160μm程度、60~155μm程度、60~140μm程度、60~130μm程度、60~120μm程度、80~180μm程度、80~160μm程度、80~155μm程度、80~140μm程度、80~130μm程度、80~120μm程度が挙げられる。
【0079】
(基材層31)
蓄電デバイス用外装材3において、基材層31は、蓄電デバイス用外装材の基材として機能する層であり、最外層側を形成する層である。
【0080】
基材層31を形成する素材については、絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されるものではない。基材層31を形成する素材としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、エポキシ、アクリル、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール、ポリエーテルイミド、ポリイミド、及びこれらの混合物や共重合物等が挙げられる。ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルは、耐電解液性に優れ、電解液の付着に対して白化等が発生し難いという利点があり、基材層31の形成素材として好適に使用される。また、ポリアミドフィルムは延伸性に優れており、成形時の基材層31の樹脂割れによる白化の発生を防ぐことができ、基材層31の形成素材として好適に使用される。
【0081】
基材層31は、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルムで形成されていてもよく、また未延伸の樹脂フィルムで形成してもよい。中でも、1軸又は2軸延伸された樹脂フィルム、とりわけ2軸延伸された樹脂フィルムは、配向結晶化することにより耐熱性が向上しているので、基材層31として好適に使用される。
【0082】
これらの中でも、基材層31を形成する樹脂フィルムとして、好ましくはナイロン、ポリエステル、更に好ましくは2軸延伸ナイロン、2軸延伸ポリエステルが挙げられる。
【0083】
基材層31は、耐ピンホール性及び蓄電デバイスの包装体とした時の絶縁性を向上させるために、異なる素材の樹脂フィルムを積層化することも可能である。具体的には、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとを積層させた多層構造や、2軸延伸ポリエステルと2軸延伸ナイロンとを積層させた多層構造等が挙げられる。基材層31を多層構造にする場合、各樹脂フィルムは接着剤を介して接着してもよく、また接着剤を介さず直接積層させてもよい。接着剤を介さず接着させる場合には、例えば、共押出し法、サンドラミ法、サーマルラミネート法等の熱溶融状態で接着させる方法が挙げられる。
【0084】
また、基材層31は、成形性を向上させるために低摩擦化させておいてもよい。基材層31を低摩擦化させる場合、その表面の摩擦係数については特に制限されないが、例えば1.0以下が挙げられる。基材層31を低摩擦化するには、例えば、マット処理、スリップ剤の薄膜層の形成、これらの組み合わせ等が挙げられる。
【0085】
基材層31の厚さについては、例えば、10~50μm程度、好ましくは15~30μm程度が挙げられる。
【0086】
(接着剤層32)
蓄電デバイス用外装材3において、接着剤層32は、基材層31に密着性を付与させるために、必要に応じて、基材層31上に配置される層である。即ち、接着剤層32は、基材層31とバリア層33の間に設けられる。
【0087】
接着剤層32は、基材層31とバリア層33とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層32の形成に使用される接着剤は、2液硬化型接着剤であってもよく、また1液硬化型接着剤であってもよい。また、接着剤層32の形成に使用される接着剤の接着機構についても、特に制限されず、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。
【0088】
接着剤層32の形成に使用できる接着剤の樹脂成分としては、展延性、高湿度条件下における耐久性や黄変抑制作用、ヒートシール時の熱劣化抑制作用等が優れ、基材層31とバリア層33との間のラミネート強度の低下を抑えてデラミネーションの発生を効果的に抑制するという観点から、好ましくはポリウレタン系2液硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、又はこれらと変性ポリオレフィンとのブレンド樹脂が挙げられる。
【0089】
また、接着剤層32は異なる接着剤成分で多層化してもよい。接着剤層32を異なる接着剤成分で多層化する場合、基材層31とバリア層33とのラミネート強度を向上させるという観点から、基材層31側に配される接着剤成分を基材層31との接着性に優れる樹脂を選択し、バリア層33側に配される接着剤成分をバリア層33との接着性に優れる接着剤成分を選択することが好ましい。接着剤層32は異なる接着剤成分で多層化する場合、具体的には、バリア層33側に配置される接着剤成分としては、好ましくは、酸変性ポリオレフィン、金属変性ポリオレフィン、ポリエステルと酸変性ポリオレフィンとの混合樹脂、共重合ポリエステルを含む樹脂等が挙げられる。
【0090】
接着剤層32の厚さについては、例えば、2~50μm程度、好ましくは3~25μm程度が挙げられる。
【0091】
(バリア層33)
蓄電デバイス用外装材において、バリア層33は、蓄電デバイス用外装材の強度向上の他、蓄電デバイス内部に水蒸気、酸素、光などが侵入することを防止する機能を有する層である。バリア層33は、金属層、すなわち、金属で形成されている層であることが好ましい。バリア層33を構成する金属としては、具体的には、アルミニウム、ステンレス、チタンなどが挙げられ、好ましくはアルミニウムが挙げられる。バリア層33は、例えば、金属箔や金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜、これらの蒸着膜を設けたフィルムなどにより形成することができ、金属箔により形成することが好ましく、アルミニウム箔により形成することがさらに好ましい。蓄電デバイス用外装材の製造時に、バリア層33にしわやピンホールが発生することを防止する観点からは、バリア層は、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、JIS H4000:2014 A8079P-O)など軟質アルミニウム箔により形成することがより好ましい。
【0092】
バリア層33の厚さについては、蓄電デバイス用外装材を薄型化しつつ、成形によってもピンホールの発生し難いものとする観点から、好ましくは10~200μm程度、より好ましくは20~100μm程度が挙げられる。
【0093】
また、バリア層33は、接着の安定化、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも一方の面、好ましくは両面が化成処理されていることが好ましい。ここで、化成処理とは、バリア層の表面に耐食性皮膜を形成する処理をいう。
【0094】
(接着層34)
蓄電デバイス用外装材3において、接着層34は、熱融着性樹脂層35を強固に接着させるために、バリア層33と熱融着性樹脂層35の間に、必要に応じて設けられる層である。
【0095】
接着層34は、バリア層33と熱融着性樹脂層35を接着可能である接着剤によって形成される。接着層の形成に使用される接着剤の組成については、特に制限されないが、例えば、酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物が挙げられる。酸変性ポリオレフィンとしては、第1及び第2ポリオレフィン層12a,12bで例示したものと同じものが例示できる。
【0096】
接着層34の厚さについては、例えば、1~40μm程度、好ましくは2~30μm程度が挙げられる。
【0097】
(熱融着性樹脂層35)
蓄電デバイス用外装材3において、熱融着性樹脂層35は、最内層に該当し、蓄電デバイスの組み立て時に熱融着性樹脂層同士が熱融着して蓄電デバイス素子を密封する層である。
【0098】
熱融着性樹脂層35に使用される樹脂成分については、熱融着可能であることを限度として特に制限されないが、例えば、ポリオレフィン、環状ポリオレフィンが挙げられる。
【0099】
前記ポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等の結晶性又は非晶性のポリプロピレン;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくはポリエチレン及びポリプロピレンが挙げられる。
【0100】
前記環状ポリオレフィンは、オレフィンと環状モノマーとの共重合体であり、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーであるオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、ブタジエン、イソプレン、等が挙げられる。また、前記環状ポリオレフィンの構成モノマーである環状モノマーとしては、例えば、ノルボルネン等の環状アルケン;具体的には、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、ノルボルナジエン等の環状ジエン等が挙げられる。これらのポリオレフィンの中でも、好ましくは環状アルケン、さらに好ましくはノルボルネンが挙げられる。構成モノマーとしては、スチレンも挙げられる。
【0101】
これらの樹脂成分の中でも、好ましくは結晶性又は非晶性のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、及びこれらのブレンドポリマー;さらに好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとノルボルネンの共重合体、及びこれらの中の2種以上のブレンドポリマーが挙げられる。
【0102】
熱融着性樹脂層35は、1種の樹脂成分単独で形成してもよく、また2種以上の樹脂成分を組み合わせたブレンドポリマーにより形成してもよい。さらに、熱融着性樹脂層35は、1層のみで形成されていてもよいが、同一又は異なる樹脂成分によって2層以上形成されていてもよい。
【0103】
また、熱融着性樹脂層35の厚さとしては、特に制限されないが、2~2000μm程度、好ましくは5~1000μm程度、さらに好ましくは10~500μm程度が挙げられる。
【0104】
2.蓄電デバイス10
本開示の蓄電デバイス10は、少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子4と、当該蓄電デバイス素子4を封止する蓄電デバイス用外装材3と、正極及び負極のそれぞれに電気的に接続され、蓄電デバイス用外装材3の外側に突出した金属端子2とを備えている。本開示の蓄電デバイス10においては、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に、本開示の金属端子用接着性フィルム1が介在されてなることを特徴とする。すなわち、本開示の蓄電デバイス10は、金属端子2と蓄電デバイス用外装材3との間に、本開示の金属端子用接着性フィルム1が介在する工程を備える方法により製造することができる。
【0105】
具体的には、少なくとも正極、負極、及び電解質を備えた蓄電デバイス素子を、蓄電デバイス用外装材3で、正極及び負極の各々に接続された金属端子2が外側に突出させた状態で、本開示の金属端子用接着性フィルム1を金属端子2と熱融着性樹脂層35との間に介在させ、蓄電デバイス素子4の周縁に蓄電デバイス用外装材のフランジ部(熱融着性樹脂層35同士が接触する領域であり、蓄電デバイス用外装材の周縁部3a)が形成できるようにして被覆し、フランジ部の熱融着性樹脂層35同士をヒートシールして密封させることによって、蓄電デバイス用外装材3を使用した蓄電デバイス10が提供される。なお、蓄電デバイス用外装材3を用いて蓄電デバイス素子4を収容する場合、蓄電デバイス用外装材3の熱融着性樹脂層35が内側(蓄電デバイス素子4と接する面)になるようにして用いられる。
【0106】
本開示の蓄電デバイス用外装材は、電池(コンデンサー、キャパシター等を含む)などの蓄電デバイスに好適に使用することができる。また、本開示の蓄電デバイス用外装材は、一次電池、二次電池のいずれに使用してもよいが、好ましくは二次電池である。本開示の蓄電デバイス用外装材が適用される二次電池の種類については、特に制限されず、例えば、リチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、全固体電池、鉛蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、金属空気電池、多価カチオン電池、コンデンサー、キャパシター等が挙げられる。これらの二次電池の中でも、本開示の蓄電デバイス用外装材の好適な適用対象として、リチウムイオン電池及びリチウムイオンポリマー電池が挙げられる。
【実施例】
【0107】
以下に実施例及び比較例を示して本開示を詳細に説明する。但し、本開示は実施例に限定されるものではない。
【0108】
実施例1-3及び比較例1-10
<金属端子用接着性フィルムの製造>
それぞれ、表1に記載の融点及びMFRを有し、かつ、表2に記載の厚みを有するポリプロピレンフィルム(以下、「PP層」と表記することがある)を、基材として用いた。基材の一方の面に、表1に記載の融点及びメルトマスフローレート(MFR)を有するマレイン酸変性ポリプロピレン(以下、「PPa」と表記することがある)をTダイ押出機で押出し、それぞれ表2に記載の厚みを有する第1ポリオレフィン層(PPa層)を形成した。次に、基材の他方の面に、PPaをTダイ押出機で押出し、それぞれ表2に記載の厚みを有する第2ポリオレフィン層(PPa層)を形成して、PPa層/PP層/PPa層が順に積層された金属端子用接着性フィルムを得た。
【0109】
表2に記載の金属端子用接着性フィルムの引張弾性率は、PPa層及びPP層の融点、MFR、厚み、厚み比、さらには、金属端子用接着性フィルム1の製造におけるTダイ、インフレーション等の条件(例えば、Tダイからの押出幅、延伸倍率、延伸速度、熱処理温度など)などによって調整した。
【0110】
<融点の測定>
表1に記載のPP層及びPPa層の融点は、それぞれ、以下の方法により測定された値である。示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント製の示差走査熱量計Q200)により、融解ピーク温度を2回測定した。具体的には、JIS K7121:2012(プラスチックの転移温度測定方法(JIS K7121:1987の追補1))の手順にて、示差走査熱量測定(DSC)により、PP層またはPPa層を、-20℃で10分間保持した後、10℃/分の昇温速度で-20℃から250℃まで昇温させて、1回目の融解ピーク温度P(℃)を測定した後、250℃にて10分間保持した。次に、10℃/分の降温速度で250℃から-20℃まで降温させて10分間保持した。さらに、10℃/分の昇温速度で-20℃から250℃まで昇温させて2回目の融解ピーク温度Q(℃)を測定した。なお、窒素ガスの流量は50ml/分とした。以上の手順によって、1回目に測定される融解ピーク温度P(℃)と、2回目に測定される融解ピーク温度Q(℃)を求め、ピークが最大のものを融点とした。
【0111】
<メルトマスフローレート(MFR)>
表1に記載のPP層及びPPa層のメルトマスフローレート(MFR)は、それぞれ、JIS K7210-1:2014(ISO 1133-1:2011)の規定に準拠して測定された230℃での値(g/10分)である。
【0112】
【0113】
<加熱前の引張弾性率B>
JIS K7161-1(ISO527-1)の規定に準拠して、25℃環境における金属端子用接着性フィルム(後述の<加熱後の引張弾性率A>における加熱を行う前の金属端子用接着性フィルム)の引張弾性率Bを測定した。具体的には、実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを幅(TD)15mm、長さ(MD)50mmの短冊状に裁断した。次に、金属端子用接着性フィルムについて、25℃環境において、テンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製のRTG-1210)を用いて、引張速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件で、試験片の応力-ひずみ曲線を取得し、ひずみ0.05%と0.25%の2点を結ぶ直線の傾きから、加熱前の金属端子用接着性フィルムの引張弾性率Bを求めた。結果を表2に示す。
【0114】
<加熱後の引張弾性率A>
表2に記載の各温度(140℃、160℃、又は180℃)の条件で12秒間加熱後の引張弾性率を以下の手順により測定した。まず、実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを幅(TD)15mm、長さ(MD)50mmの短冊状に裁断した。各温度に加熱されたホットプレート上に載置して、12秒間静置した後、直ちに大気圧下、25℃環境において1時間静置して試験片を得た。次に、大気圧下、25℃環境において、テンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製のRTG-1210)を用いて、引張速度300mm/分、チャック間距離30mmの条件で、試験片の応力-ひずみ曲線を取得し、ひずみ0.05%と0.25%の2点を結ぶ直線の傾きから、加熱後の金属端子用接着性フィルムの引張弾性率Aを求めた。結果を表2に示す。
【0115】
<各温度における金属端子用接着性フィルムと金属端子との密着強度の測定>
金属端子として、縦50mm、横22.5mm、厚み0.2mmのアルミニウム(JIS H4160:1994 A8079H-O)を用意した。また、実施例及び比較例で得られた各金属端子用接着性フィルムを15mm幅に裁断した。次に、金属端子用接着性フィルムを金属端子の上に置き、金属端子/接着性フィルムの積層体を得た。次に、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体フィルム(ETFEフィルム、厚さ100μm)を、当該積層体の上に置いた状態で、140℃、160℃、180℃に加熱されたホットプレート上に載置すると共に、スポンジ付きの500gの錘を載せて、12秒間静置して、接着性フィルムを金属端子に熱融着させた。熱融着後の積層体を25℃まで自然冷却した。次に、25℃の環境において、テンシロン万能材料試験機(エー・アンド・デイ社製のRTG-1210)で金属端子用接着性フィルムを金属端子から剥離させた。剥離時の最大強度を金属端子に対する密着強度(N/15mm)とした。剥離速度は175mm/分、剥離角度は180°、チャック間距離は30mmとし、3回測定した平均値とした。結果を表2に示す。
【0116】
【0117】
以上のとおり、本開示は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 蓄電デバイス素子の電極に電気的に接続された金属端子と、前記蓄電デバイス素子を封止する蓄電デバイス用外装材との間に介在される、金属端子用接着性フィルムであって、
前記金属端子用接着性フィルムは、下記の加熱後の引張弾性率Aの値が、下記の加熱前の引張弾性率Bの値よりも小さい、金属端子用接着性フィルム。
加熱後の引張弾性率A:温度140℃の加熱環境で12秒間静置し、さらに、温度25℃の環境で1時間静置した後において、温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
加熱前の引張弾性率B:温度25℃の環境で測定される引張弾性率である。
項2. 前記加熱前の引張弾性率Bが、580MPa以上である、項1に記載の金属端子用接着性フィルム。
項3. 前記加熱後の引張弾性率Aの値から前記加熱前の引張弾性率Bの値を引いて算出される、引張弾性率の差が、-20MPa以下である、項1又は2に記載の金属端子用接着性フィルム。
項4. 前記加熱後の引張弾性率Aが、580MPa以上700MPa以下である、項1~3のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項5. 前記金属端子用接着性フィルムの厚みが、140μm以上である、項1~4のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項6. 前記金属端子用接着性フィルムは、第1ポリオレフィン層、基材、及び第2ポリオレフィン層をこの順に備える積層体から構成されている、項1~5のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項7. 前記基材に含まれる樹脂が、ポリオレフィン骨格を含む、項6に記載の金属端子用接着性フィルム。
項8. 前記第1ポリオレフィン層及び前記第2ポリオレフィン層が、酸変性ポリオレフィンを含んでいる、項6又は7に記載の金属端子用接着性フィルム。
項9. 前記蓄電デバイス用外装材が、少なくとも、基材層、バリア層、及び熱融着性樹脂層をこの順に備える積層体から構成されており、
前記熱融着性樹脂層と前記金属端子との間に前記金属端子用接着性フィルムが介在される、項1~8のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルム。
項10. 金属端子に、項1~9のいずれか1項に記載の金属端子用接着性フィルムが取り付けられてなる、金属端子用接着性フィルム付き金属端子。
項11. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える蓄電デバイスであって、
前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、項1~9のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムが介在されてなる、蓄電デバイス。
項12. 少なくとも、正極、負極、及び電解質を備えた前記蓄電デバイス素子と、当該蓄電デバイス素子を封止する前記蓄電デバイス用外装材と、前記正極及び前記負極のそれぞれに電気的に接続され、前記蓄電デバイス用外装材の外側に突出した前記金属端子とを備える電池の製造方法であって、
前記金属端子と前記蓄電デバイス用外装材との間に、項1~9のいずれかに記載の金属端子用接着性フィルムを介在させて、前記蓄電デバイス素子を前記蓄電デバイス用外装材で封止する工程を備える、蓄電デバイスの製造方法。
【符号の説明】
【0118】
1 金属端子用接着性フィルム
2 金属端子
3 蓄電デバイス用外装材
3a 蓄電デバイス用外装材の周縁部
4 蓄電デバイス素子
10 蓄電デバイス
11 基材
12a 第1ポリオレフィン層
12b 第2ポリオレフィン層
13 接着促進剤層
31 基材層
32 接着剤層
33 バリア層
34 接着層
35 熱融着性樹脂層