IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-端子台 図1
  • 特許-端子台 図2
  • 特許-端子台 図3
  • 特許-端子台 図4
  • 特許-端子台 図5
  • 特許-端子台 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20241210BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01R9/22
H05K7/20 B
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021171746
(22)【出願日】2021-10-20
(65)【公開番号】P2023061671
(43)【公開日】2023-05-02
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智貴
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】末谷 正晴
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-151038(JP,A)
【文献】特開2011-187838(JP,A)
【文献】特開2017-118672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/22
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のケースに固定され、導電部材がボルトによって締結される端子台であって、
前記ボルトが螺合されるナット部と、
前記機器を冷却する冷媒が接触する放熱部を含むヒートシンクと、
前記ナット部と前記ヒートシンクとを電気的に絶縁する絶縁部材と、
を備え、
前記ヒートシンクは、前記ナット部の周囲に位置するリブを含み、
前記ナット部は、前記ボルトの軸方向に沿って見て複数の辺で囲まれる形状であり、
前記リブは、前記複数の辺のうち互いに角度をなして隣合う辺に対応して設けられた第1隣接リブと第2隣接リブとを含み、
前記第1隣接リブと前記第2隣接リブとの間に隙間が形成されている、端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台であって、
記リブは、前記複数の辺の全てに対応する位置に設けられる、端子台。
【請求項3】
請求項1に記載の端子台であって、
記ナット部を複数備え、
前記複数のナット部が互いに離間しつつ並設されてナット群が構成され、
前記リブは、前記複数のナット部のそれぞれの前記複数の辺のうち、前記ナット群の外周に位置する全ての辺に対応する位置に設けられる、端子台。
【請求項4】
請求項3に記載の端子台であって、
前記リブは、前記複数のナット部の間の位置に設けられる、端子台。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の端子台であって、
前記リブは、前記ナット部の前記辺に沿って延びるように形成されている、端子台。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の端子台であって、
前記ナット部は、前記複数の辺のそれぞれに対応する複数の外向き側面を含み、
前記リブは、前記複数の外向き側面の少なくとも1つに間隔をあけて対向するように設けられている、端子台。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の端子台であって、
前記リブの突出高さは、前記ナット部の表面高さ以下である、端子台。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の端子台であって、
前記絶縁部材は、前記ナット部と前記ヒートシンクとの間に介在する第1絶縁部と、前記ナット部の周囲を囲む第2絶縁部とを含み、
前記リブが前記第2絶縁部内に埋った状態となっている、端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-3は、端子台に関する技術を開示している。例えば、特許文献3には、モータケースに固定され、ボルトを締め込むことによってバスバを締結する端子台であって、ボルトを締め込むためのナットと、ナットの後方に絶縁プレートを介して密着するアルミダイキャスト製のヒートシンクとを備え、ヒートシンクには、モータケースの冷媒流路を通る冷却水と接触する放熱部が設けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-64580号公報
【文献】特開2020-114071号公報
【文献】特開2012-186882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
端子台の適用対象となるユニットの小型化及び高出力化に伴い、エネルギー密度が上昇することが考えられる。このため、端子台においても、放熱性をさらに向上させることが望まれている。
【0005】
そこで、本開示は、端子台の放熱性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の端子台は、機器のケースに固定され、導電部材がボルトによって締結される端子台であって、前記ボルトが螺合されるナット部と、前記機器を冷却する冷媒が接触する放熱部を含むヒートシンクと、前記ナット部と前記ヒートシンクとを電気的に絶縁する絶縁部材と、を備え、前記ヒートシンクは、前記ナット部の周囲に位置するリブを含む、端子台である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、端子台の放熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1に係る端子台の適用例を示す概略正面図である。
図2図2は端子台を示す斜視図である。
図3図3は端子台を示す分解斜視図である。
図4図4はヒートシンクを示す正面図である。
図5図5図1におけるV-V線断面図である。
図6図6図1におけるVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の端子台は、次の通りである。
【0011】
(1)機器のケースに固定され、導電部材がボルトによって締結される端子台であって、前記ボルトが螺合されるナット部と、前記機器を冷却する冷媒が接触する放熱部を含むヒートシンクと、前記ナット部と前記ヒートシンクとを電気的に絶縁する絶縁部材と、を備え、前記ヒートシンクは、前記ナット部の周囲に位置するリブを含む、端子台である。
【0012】
本端子台によると、導電部材で生じた熱がボルトからリブを経由してヒートシンクに伝わり易い。これにより、端子台の放熱性を向上させることができる。
【0013】
(2)(1)の端子台であって、前記ナット部は、前記ボルトの軸方向に沿って見て複数の辺で囲まれる形状であり、前記リブは、前記複数の辺の全てに対応する位置に設けられてもよい。この場合、リブが、複数の辺の全てに対応する位置に設けられるため、ナット部の熱が効果的にヒートシンクに伝わる。
【0014】
(3)(1)の端子台であって、前記ナット部は、前記ボルトの軸方向に沿って見て複数の辺で囲まれる形状であり、前記ナット部を複数備え、前記複数のナット部が互いに離間しつつ並設されてナット群が構成され、前記リブは、前記複数のナット部のそれぞれの前記複数の辺のうち、前記ナット群の外周に位置する全ての辺に対応する位置に設けられてもよい。この場合、リブが、前記複数のナット部のそれぞれの前記複数の辺のうち、前記ナット群の外周に位置する全ての辺に対応する位置に設けられるため、ナット部の熱が効果的にヒートシンクに伝わる。
【0015】
(4)(3)の端子台であって、前記リブは、前記複数のナット部の間の位置に設けられてもよい。この場合、複数のナット部の間に位置するリブによって、ナット部の熱が効果的にヒートシンクに伝わる。
【0016】
(5)(2)から(4)のいずれか1つの記載の端子台であって、前記リブは、前記ナット部の前記辺に沿って延びるように形成されていてもよい。この場合、例えば、ナット部に対して好ましい絶縁距離を保ちつつ、当該ナット部に対してなるべく近くに位置することができる。これにより、ナット部の熱が効果的にヒートシンクに伝わる。
【0017】
(6)(2)から(5)のいずれか1つの端子台であって、前記ナット部は、前記複数の辺のそれぞれに対応する複数の外向き側面を含み、前記リブは、前記複数の外向き側面の少なくとも1つに間隔をあけて対向するように設けられていてもよい。この場合、リブは、前記複数の外向き側面の少なくとも1つに間隔をあけて対向するように設けられているため、ナット部の熱が効果的にヒートシンクに伝わる。
【0018】
(7)(2)から(6)のいずれか1つの端子台であって、前記リブは、前記複数の辺のうち互いに角度をなして隣合う辺に対応して設けられた第1隣接リブと第2隣接リブとを含み、前記第1隣接リブと前記第2隣接リブとの間に隙間が形成されていてもよい。
【0019】
例えば、互いに角度をなして隣合う辺に対応して第1隣接リブと第2隣接リブとを設ける場合、仮に第1隣接リブと第2隣接リブとが連続していると、第1隣接リブと第2隣接リブとの境界で角の精密な加工が難しくなる可能性がある。この場合、角の加工の制約に起因して、絶縁性を確保するために、ナット部に対して第1隣接リブと第2隣接リブとを離れた位置に設けることが考えられる。第1隣接リブと第2隣接リブとの間に隙間が形成されていると、角の加工による制約が無くなり、ナット部に対して第1隣接リブと第2隣接リブとを近づけた位置に配置し易い。これにより、第1隣接リブと第2隣接リブとを連続的に形成する場合と比較して、端子台を小型化できる。
【0020】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの端子台であって、前記リブの突出高さは、前記ナット部の表面高さ以下であってもよい。これにより、導電部材がリブに干渉し難くなる。
【0021】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの端子台であって、前記絶縁部材は、前記ナット部と前記ヒートシンクとの間に介在する第1絶縁部と、前記ナット部の周囲を囲む第2絶縁部とを含み、前記リブが前記第2絶縁部内に埋った状態となっていてもよい。これにより、絶縁部材によってナット部と前記ヒートシンクとを絶縁し、かつ、ナット部を一定位置及び一定姿勢に保持できる。リブが第2絶縁部に埋った状態となっているため、ナット部の熱が、リブを経由してヒートシンクに伝わり易い。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の端子台の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0023】
[実施形態]
以下、実施形態に係る端子台について説明する。
【0024】
<端子台の適用例について>
端子台の適用例について説明する。図1は端子台20の適用例を示す概略正面図である。端子台20は、第1機器10のケース11に固定される。端子台20に導電部材13、18がボルトBによって締結固定される。これにより、導電部材13と導電部材18とが電気的かつ機械的に接続される。導電部材13は、第1機器10から延びる部材であることが考えられる。導電部材18は、第2機器15から延びる部材であることが考えられる。よって、端子台20は、第1機器10と第2機器15とを電気的に接続するための部分として利用され得る。
【0025】
第1機器10は、例えば、可動部品を有する機械的な機器である。例えば、第1機器10は、ケース11、電機子12及び界磁を備える回転電機である。図1では、筒状のケース11内に、ステータとしての電機子12が固定されている例が示される。界磁は、ロータとして電機子12内に配置されている。電機子12が発生させる磁界によって界磁が回転し、又は、界磁の回転によって電機子12が起電力を発生させる。第1機器10は、当該第1機器10を冷却するための冷媒14を備える。冷媒14は、例えば、ケース11の内周面と外周面との間に形成された冷媒流路11f(図5参照)を流れる液体である。冷媒流路11fを流れる液体は例えば水である。ケース11内に冷媒が封入されていてもよい。この場合の液体は、例えば、潤滑オイルであってもよい。
【0026】
第2機器15は、信号処理回路を有する電気機器である。例えば、第2機器15は、第1機器10を制御する制御回路を有する電気機器である。より具体的には、第2機器15は、回転電機である第1機器10を駆動制御するインバータ機器である。第2機器15は、第1機器10のケース11に対してボルト固定等によって一体化されてもよい。このように、機械的な機器である第1機器10と、当該第1機器を制御する制御回路を有する第2機器とが一体化されたユニットは、機電一体型ユニットと称されてもよい。
【0027】
第1機器10の導電部材13は、電機子12のコイル線に接続されたバスバであることが想定される。第2機器15の導電部材18は、第2機器15のインバータ回路の出力端に接続されたバスバであることが想定される。バスバは、銅、銅合金等の金属板材によって形成された細長板状部材であり、ボルトBの締結固定のための孔を有している。本実施形態では、第1機器10が3相交流モータとして使用可能な回転電機であることが想定されている。このため、電機子12から3つの導電部材13が間隔をあけて並列状態でケース11に向って延びている。また、第2機器15から3つの導電部材18が、前記3つの導電部材13と同じ間隔で、並列状態で延出している。端子台20がケース11の開口側の端面に固定される。ケース11への端子台20の固定は、例えば、ボルトBの締結によってなされる。端子台20上において、3本の導電部材13のそれぞれの端部が、対応する3本の導電部材18の端部に重ね合わされる。この状態で、ボルトBが導電部材13、18を貫通して、端子台20のナット部50に螺合締結される。これにより、導電部材13、18が互いに接触した状態で端子台20上の一定位置に固定されると共に、導電部材13、18が電気的に接続された状態となる。なお、ケース11の開口は蓋部によって閉じられる。
【0028】
なお、端子台20による接続される導電部材13、18の数は、任意である。また、接続対象となる導電部材の一方が、ボルトBによる締結固定前の状態で、端子台20に一体的に支持されていてもよい。
【0029】
<端子台の全体構成について>
端子台20の全体構成について説明する。図2は端子台20を示す斜視図である。図3は端子台20を示す分解斜視図である。図3ではヒートシンク30が絶縁部材40から離れ、かつ、複数のナット部50のうちの1つが絶縁部材40から離れている状態が示されている。図4はヒートシンク30を示す正面図である。図4においてリブ38、39の位置をナット部50との関係で説明するため、ナット部50が図示されている。図5図1におけるV-V線断面図であり、図6図1におけるVI-VI線断面図である。
【0030】
端子台20は、ナット部50と、ヒートシンク30と、絶縁部材40とを備える。
【0031】
ナット部50は、ボルトBが螺合されるナットである。ナット部50は、例えば、ネジ孔52が形成された部材である。ナット部50は、絶縁部材40によって回転止状態で保持可能なように非円形状の外周形状を有しているとよい。例えば、ナット部50は、ボルトBの軸方向(つまり、ネジ孔52の軸方向)に沿って見て、複数の辺51によって囲まれる形状である。複数の辺51は、例えば、直線である。ナット部50の周方向において隣合う辺51は、曲線をなして連なっていてもよい。本実施形態では、ナット部50は、ボルトBの軸方向に沿って見て四角い形状、より具体的には、一対の対辺が他の一対の対辺よりも長い長方形状に形成されている。ナット部50は、その他の多角形状、例えば、六角形状に形成されることも考えられる。
【0032】
ナット部50の厚み方向両側の一対の主面50a、50bは、互いに反対側を向き、かつ、互いに平行な面である。一方の主面50aは、絶縁部材40のナット収容凹部44h1の底面に面接触することができる。他方の主面50bは、導電部材13又は導電部材18に面接触することができる。
【0033】
本実施形態では、端子台20は、導電部材13、18の接続数に応じて、3つのナット部50を備える。ナット部50の数は、締結対象となる導電部材13、18の接続数に応じて任意の数設けられる。端子台20は、他のナット部60を備えていてもよい。
【0034】
ヒートシンク30は、熱伝導材によって形成される。熱伝導材は、絶縁部材40よりも熱伝導性が良好な材料であり、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属である。ヒートシンク30は、例えば、金属の切削加工によって一体形成された部品である。ヒートシンク30は、金型加工、プレス加工等によって形成されてもよい。ヒートシンク30は、ナット支持ベース部32と、固定ベース部34とを含む。
【0035】
ナット支持ベース部32は、細長い板状部分に形成されている。ナット支持ベース部32の一方の主面上に絶縁部材40を介してナット部50及びナット部60が支持される。本実施形態では、3つのナット部50がナット支持ベース部32の長手方向中間部に位置し、2つのナット部60がナット支持ベース部32の長手方向両端部に位置する。ナット支持ベース部32の一主面上に、ボルト逃し穴33が形成されている。ボルト逃し穴33は、有底穴であり、各ナット部50及び各ナット部60のネジ孔の延長上に位置している。
【0036】
固定ベース部34は、ナット支持ベース部32の短手方向一側から当該ナット支持ベース部32の外側に向けて延出する細長い板状部分である。本実施形態では、固定ベース部34は、ナット支持ベース部32よりも薄く、固定ベース部34とナット支持ベース部32との間に段差が形成されている。固定ベース部34には、固定孔34hが形成されている。本実施形態では、固定ベース部34の長手方向両端に固定孔34hが形成されている。ボルトBが本固定孔34hに挿通された状態で、ケース11に形成されたネジ孔に螺合締結されることで、端子台20がケース11に固定される。ナット支持ベース部32に対する固定ベース部34の延出位置は任意である。例えば、ナット支持ベース部32の長手方向両端の外側延長上に、固定孔を有する固定ベース部が延出してもよい。
【0037】
ヒートシンク30は、第1機器10を冷却する冷媒14が接触する放熱部36を有する。放熱部36は、端子台20をケース11に固定した状態で、ケース11側を向く部分に形成されている。例えば、ケース11に形成された冷媒流路11fが、ケース11の開口端面のうち端子台20が取付けられる部分で開口している。ヒートシンク30は、当該開口11hを塞ぐようにケース11に固定される。ケース11のうち開口11hを塞ぐ部分に放熱部36が形成される。本実施形態では、ヒートシンク30のうちナット部50とは反対側を向く他方の主面に放熱部36が形成される。本実施形態では、ヒートシンク30の他方の主面に、ケース11の開口端面に沿う弧状の溝36gが形成されている。放熱部36は、当該溝36gの表面を含む構成である。冷媒14が溝36g内に入り込むことによって、冷媒14の流れがナット部50の近づくことができ、かつ、冷媒14とヒートシンク30との接触面積が増える。これにより、ヒートシンク30の熱が効果的に冷媒14に伝わることができる。また、本実施形態では、溝36gの底部に、弧状凸部36pが形成されている。放熱部36は、当該弧状凸部36pの表面を含む。この弧状凸部36pによって、冷媒14とヒートシンク30との接触面積がさらに増え、ヒートシンク30の熱がより効果的に冷媒14に伝わることができる。
【0038】
放熱部36が上記構成であることは必須ではない。例えば、放熱部は、ヒートシンク30内を貫通しかつ冷媒が流れる貫通孔であってもよい。ヒートシンク30において、冷媒14が接触する部分があれば、当該部分を放熱部とすることができる。放熱部36は、ケース11内に封入されたオイルによって冷却される部分であってもよい。
【0039】
ヒートシンク30は、ナット部50の周囲に位置するリブ38、39を含む。リブ38、39は、ナット部50の周囲に位置するように、ナット支持ベース部32の一方主面から突出するように形成される。リブ38、39の具体的構成例については、後にさらに詳述する。
【0040】
絶縁部材40は、ナット部50とヒートシンク30とを電気的に絶縁する部材である。絶縁部材40は、例えば、樹脂によって金型一体成形された部材である。絶縁部材40は、例えば、ヒートシンク30をインサート部として金型成形された部材である。
【0041】
絶縁部材40は、第1絶縁部42と、第2絶縁部44と、仕切部46、47とを含む。第1絶縁部42はナット部50とヒートシンク30との間に介在する部分である。第2絶縁部44はナット部50の周囲を囲む部分である。第2絶縁部44はさらにナット部60を囲む部分も含む。仕切部46は、ナット部50又は当該ナット部50に接続される導電部材13、18を他の部分から仕切る部分であり、仕切部47は、ナット部60及び当該ナット部に接続される導電部材13bを他の部分から仕切る部分である。
【0042】
より具体的には、第1絶縁部42は、ナット支持ベース部32の一方主面上に全体的に広がる細長板状に形成されている。ナット部50、60は、当該第1絶縁部42上に配置されるため、ナット部50、60は、第1絶縁部42によってヒートシンク30に対して電気的に絶縁した状態に保たれる。第1絶縁部42は、ナット支持ベース部32の外周囲の一部又は全部を覆っていてもよい。なお、本実施形態では、固定ベース部34の大部分は絶縁部材40から露出している。
【0043】
第1絶縁部42のうちナット部50、60が配置される側の面に、ボルト逃し穴42hが形成されている。ボルト逃し穴42hは、上記ボルト逃し穴33に対応する位置に形成された有底穴であり、各ナット部50及び各ナット部60のネジ孔の延長上に位置している。
【0044】
第2絶縁部44は、第1絶縁部42のうちナット部50、60が配置される側の面から、当該ナット部50、60の周囲を囲うように突出している。つまり、絶縁部材40には、ナット部50を、回転規制した状態で、一定位置で収容可能なナット収容凹部44h1が形成されている。ナット収容凹部44h1の底部を構成する部分が第1絶縁部42であり、ナット収容凹部44h1の周壁を構成する部分が第2絶縁部44である。また、本実施形態では、絶縁部材40には、ナット部60を、回転規制した状態で、一定位置で収容可能なナット収容凹部44h2が形成されている。ナット収容凹部44h2の底部を構成する部分が第1絶縁部42であり、ナット収容凹部44h2の周壁を構成する部分が第2絶縁部44である。
【0045】
本実施形態では、3つのナット部50に対応して3つのナット収容凹部44h1が、絶縁部材40に間隔をあけて直線状に並ぶように形成される。2つのナット収容凹部44h2が、3つのナット収容凹部44h1が並ぶ方向において、当該3つのナット収容凹部44h1の外側に形成される。このため、3つのナット部50のそれぞれが、3つのナット収容凹部44h1に収容されることで、間隔をあけて直線状に並ぶように回転規制された状態で保持される。また、2つのナット部60が、3つのナット部50が並ぶ方向において、当該3つのナット部50の外側に回転規制された状態で保持される。ナット部50、60が別々に、ナット収容凹部44h1、44h2に収容されるため、ナット部50、60は、絶縁部材40によって相互に電気的に絶縁された状態に保たれる。

【0046】
なお、ナット部50、60をインサート部として絶縁部材40が金型成形されることによって上記ナット収容凹部44h1、44h2が形成されてもよい。または、ナット部50、60とは別に、ナット収容凹部44h1、44h2の形状を含む絶縁部材40が金型成形され、当該ナット収容凹部44h1、44h2にナット部50、60が嵌め込まれてもよい。
【0047】
また、ナット部50、60及びナット収容凹部44h1、44h2の数、位置は、接続対象となる導電部材13、13b、18の数、配置等に応じて適宜変更され得る。
【0048】
仕切部46は、第1絶縁部42及び第2絶縁部44から、複数のナット部50が並ぶ方向とは交差する方向に延出する部分である。より具体的には、仕切部46は、複数のナット収容凹部44h1の間と、ナット収容凹部44h1とナット収容凹部44h2との間に位置している。仕切部46は、第2絶縁部44よりも第1絶縁部42とは反対側に延出する細長板状部分と、第1絶縁部42及び第2絶縁部44から固定ベース部34側に延出する板状部分とを含む。仕切部46によって、隣合うナット部50、60の関係で、導電部材13、13b、18が接触することが抑制される。
【0049】
仕切部47は、第1絶縁部42及び第2絶縁部44から、複数のナット部50、60が並ぶ方向とは交差する方向に延出する部分である。より具体的には、仕切部47は、複数のナット収容凹部44h1、44h2が並ぶ方向において、両端の仕切部46の外側に位置している。仕切部47は、第2絶縁部44よりも第1絶縁部42とは反対側に延出してナット収容凹部44h2の周りの一部を囲む曲った板状部分と、第1絶縁部42及び第2絶縁部44から固定ベース部34側に延出する板状部分とを含む。仕切部47によって、ナット部60に接続された導電部材13bが周囲の部分に接触することが抑制される。
【0050】
仕切部46、47の形状は上記形状に限定されず任意である。仕切部46、47は、必須では無く省略されてもよい。
【0051】
なお、絶縁部材40は、ヒートシンク30をインサート部として金型成形された部材であることは必須ではない。絶縁部材40は、ヒートシンク30とは別に金型成形された後、ヒートシンク30と組合わされた部材であってもよい。絶縁部材40は、複数の樹脂部品の組合せによって構成されていてもよい。この場合において、複数の樹脂部品は、一次成形部と当該一次成形部をインサート部として金型成形された二次成形部との組合せによって構成されていてもよい。一次成形部は、ヒートシンク30をインサート部として金型成形された部分であてもよいし、ヒートシンク30とは別に金型成形されてヒートシンク30と組合わされてもよい。
【0052】
<リブについて>
リブ38、39の構成例についてより具体的に説明する。
【0053】
リブ38、39は、ナット部50の周囲に位置する。リブ38、39は、ナット部50の熱が、絶縁部材40のうちナット部50とリブ38、39との間の部分を介して、当該リブ38、39に伝わる程度の位置に形成されればよく、ナット部50の周囲における位置は特に限定されない。
【0054】
例えば、ナット部50のうちの少なくとも1つにおいて、リブ38、39は、当該ナット部50を囲む複数(本実施形態では4つ)の辺51の全てに対応する位置に設けられてもよい。本実施形態では、複数のナット部50の全てにおいて、リブ38、39がナット部50を囲む複数の辺51の全てに対応する位置に設けられる。
【0055】
複数(本実施形態では、3つ)のナット部50との関係でリブ38、39の位置を説明する。本実施形態では、複数のナット部50が互いに離間しつつ並設されており、当該並設された複数のナット部50によってナット群50Gが構成されているとする。複数のナット部50のそれぞれの複数の辺51のうち、ナット群50Gの外周に位置する全ての辺51に対応する位置に、リブ38が設けられている。このため、ナット群50Gの外周において、リブ38をなるべく長くなるように配置することができる。これにより、ナット群50Gの熱が効果的にリブ38に伝わることができる。
【0056】
また、ナット群50Gにおいて、隣合うナット部50の間の位置にリブ39が設けられる。リブ39は、隣合うナット部50の間で1つだけ設けられる。このため、隣合うナット部50からの熱は、当該隣合うナット部50の間の1つのリブ39に伝わる。なお、隣合うナット部50の間において、隣合うナット部50の一方側及び他方側のそれぞれに近い2つのリブが設けられてもよい。
【0057】
リブ38、39は、第1絶縁部42の一方主面から突出する細長い板状に形成されている。ボルトBの軸方向に沿って見て、リブ38、39は、ナット部50の辺51に沿って延びるように形成されている。換言すると、ボルトBの軸方向に沿って見て、リブ38、39は、ナット部50の辺51に対して等距離を保ちつつ直線状に延在している。
【0058】
ナット部50の各辺51に対応する外向き側面51fは、ボルトBの軸方向に対して直交する外向き面である。リブ38、39は、外向き側面51fに対して間隔をあけて対向している。ナット部50の外向き側面51fと、リブ38、39のうちのナット部50側の側面との間には、等幅の隙間が形成されている。
【0059】
各辺51に対応するリブ38、39は、相互に分離している。例えば、リブ38は、複数の辺のうち互いに角度(本実施形態では90゜)をなして隣合う辺51に対応して設けられた第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとを含む。図4において、そのように隣合う関係となる第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bの一例が図示される。第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとの間に隙間Sが形成されている。例えば、第1隣接リブ38aの延長線と第2隣接リブ38bの延長線とが角をなして交わる場合において、その交点に対応する位置に隙間Sが形成されている。
【0060】
第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとの間に隙間Sが存在するため、第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとを連続して形成する場合と比較して、第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとを容易に形成できる。例えば、仮に第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとが角をなして連なっている場合、第1隣接リブ38aの内向き面と第2隣接リブ38bの内向き面とが連なる形状を加工することとなる。切削加工等によって、面と面とが角をなして連なる入隅形状を加工することは難しいため、面と面とが曲面を介して連なるような形状に加工することが想定される。その場合、曲面となる分、リブがナット部50に近づいてしまう。ここで、リブとナット部50との間には絶縁を確保する上で適切な絶縁距離を確保することが想定されている。このため、上記曲面においてリブがナット部50に近づいてしまう分、辺51に対してリブを遠ざけた位置に設定することとなる。そうすると、ナット部50の熱がリブに伝わり難くなってしまう。
【0061】
第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとの間に隙間Sを設けることによって、第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとを連結する部分の加工上の制約が無くなり、第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとを望ましいとされる絶縁距離を確保できる範囲で、第1隣接リブ38aと第2隣接リブ38bとを、辺51に近づけて配置することができる。これにより、ナット部50から第1隣接リブ38a及び第2隣接リブ38bへ熱が効果的に伝わる。本実施形態では、リブ38、39は、各辺51に対応して設けられており、隣合うリブ38、39間の全てにおいて隙間Sが設けられている。なお、隣合うリブが角をなして又は曲った部分を介して繋がっていてもよい。
【0062】
リブ38、39は、ナット支持ベース部32の一方主面を覆う第1絶縁部42を貫通し、第2絶縁部44に埋った状態となっている。リブ38、39は、ナット収容凹部44h1、44h2内に露出していないし、第2絶縁部44のうち第1絶縁部42とは反対側にも露出していない。つまり、リブ38、39とナット部50との間には、絶縁部材40が介在し、当該絶縁部材40によって、リブ38、39とナット部50との電気的な絶縁がなされている。
【0063】
リブ38、39の突出高さは、例えば、ナット部50の表面高さ以下である。より具体的には、ナット支持ベース部32の一方主面に対するリブ38、39の突出高さは、ナット支持ベース部32の一方主面を基準とするナット部50の外側主面の高さ位置と同じかそれ以下である。これにより、ナット部50の周囲において、リブ38、39が当該ナット部50よりも突出し難くなり、ナット部50に対する導電部材13、18の締結固定の妨げとなり難い。なお、ナット部50の間又はナット群50Gの並列方向外側において、リブ38がナット部50を超える高さであってもよい。
【0064】
リブ38、39の突出高さは、例えば、ナット支持ベース部32の一方主面を基準とするナット部50の内側主面の位置を超えている。換言すれば、ボルトBの軸方向において、リブ38、39とナット部50とが重複する位置関係となっている。これにより、ナット部50の熱がリブ38、39に伝わり易くなる。
【0065】
<効果等>
以上のように構成された端子台20によると、導電部材13で生じた熱がナット部50からリブ38、39を経由してヒートシンク30に伝わり易い。これにより、端子台20の放熱性を向上させることができる。
【0066】
特に、上記したような機電一体型ユニットにおいては、機械的な機器である第1機器10と、信号処理回路を有する電気機器である第2機器15とが一体化されて近くに配置される。この場合、例えば、第1機器10と第2機器15とは導電部材13、18を介して接続されるところ、導電部材13、18は短く、かつ、ほとんど外部に露出しない。このため、第1機器10で生じた熱、及び、導電部材13、18を電気が流されることによって生じた熱が、第2機器15に伝わり易くなる可能性がある。このような場合において、伝熱経路又は熱の発生源となり得る導電部材13、18の熱を、端子台20において効率的にヒートシンク30に伝えることができる。これにより、第2機器15に熱が伝わり難くなる。
【0067】
また、導電部材13、18における発熱量を小さくするため、導電部材13、18の断面積を大きくすることも考えられるが、本実施形態では、導電部材13、18の断面積を大きくしなくても、導電部材13、18の熱をヒートシンク30に伝えて冷却することができる。
【0068】
また、リブ38、39は、ナット部50を囲む複数の辺51の全てに対応する位置に設けられるため、ナット部50の熱が効果的にヒートシンク30に伝わる。
【0069】
また、複数のナット部50のそれぞれの辺のうち、ナット群50Gの外周に位置する全ての辺51に対応する位置に、リブ38が設けられるため、この点からも、ナット部50の熱が効果的にヒートシンク30に伝わる。
【0070】
この場合において、複数のナット部50の間に位置するリブ39によっても、ナット部50の熱が効果的にヒートシンク30に伝わる。
【0071】
また、リブ38、39は、ナット部50の辺51に沿って延びるように形成されている。このため、例えば、リブ38、39は、ナット部50に対して好ましい絶縁距離を保ちつつ、当該ナット部50に対してなるべく近いに位置することができる。これにより、絶縁性能を保ちつつ、ナット部50の熱が効果的にヒートシンク30に伝わるようにすることができる。
【0072】
また、リブ38、39は、ナット部50の外向き側面51fの少なくとも1つに間隔を空けて対向するため、当該外向き側面51fから絶縁部材40を介して当該ナット部50の対向面に熱が伝わり易く、ナット部50の熱が効果的にヒートシンク30に伝わる。
【0073】
また、隣合うリブ38、39の間に隙間Sが設けられるため、例えば、隣合うリブを連続して形成する場合の加工上の制約を無くすることができる。これにより、リブ38、39とナット部50との間に絶縁距離を保ちつつ、リブ38、39をなるべくナット部50に近づけて配置する形状を加工し易い。
【0074】
また、リブ38、39の突出高さは、ナット部50の表面高さ以下であるため、ナット部50に締結固定される導電部材13、18がリブ38、39に干渉し難くなる。
【0075】
また、絶縁部材40によってナット部50とヒートシンク30とを絶縁し、かつ、ナット部50を一定位置及び一定姿勢(つまり回転規制した状態)で保持する構成において、リブ38、39が第2絶縁部44に埋った状態となっている。このため、ナット部50の外周側にリブ38、39が配置され、ナット部50の熱がリブ38、39を経由してヒートシンク30に伝わり易い。
【0076】
[変形例]
なお、上記実施形態において、端子台20は、第1機器10の導電部材13と、当該第1機器10に一体化された第2機器15の導電部材18とを接続する必要は無い。第1機器10とは離れた場所の機器から延びる導電部材と第1機器10の導電部材13とを接続してもよい。
【0077】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0078】
10 第1機器(機器)
11 ケース
11f 冷媒流路
11h 開口
12 電機子
13、13b、18 導電部材
14 冷媒
15 第2機器
20 端子台
30 ヒートシンク
32 ナット支持ベース部
33、42h ボルト逃し穴
34 固定ベース部
34h 固定孔
36 放熱部
36g 溝
36p 弧状凸部
38、39 リブ
38a 第1隣接リブ
38b 第2隣接リブ
40 絶縁部材
42 第1絶縁部
44 第2絶縁部
44h1、44h2 ナット収容凹部
46、47 仕切部
50、60 ナット部
50G ナット群
50a、50b ナット部の主面
51 ナット部の辺
51f 外向き側面
52 ネジ孔
B ボルト
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6