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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/06 20060101AFI20241210BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20241210BHJP
   B60T 17/22 20060101ALI20241210BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20241210BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20241210BHJP
   G05G 5/03 20080401ALI20241210BHJP
   G05G 5/05 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
B60T7/06 E
B60T7/02 D
B60T17/22 Z
G05G1/30 E
G05G1/38
G05G5/03 A
G05G5/05
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021187079
(22)【出願日】2021-11-17
(65)【公開番号】P2023074235
(43)【公開日】2023-05-29
【審査請求日】2024-09-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 淳志
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/149522(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第103395413(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0043009(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 1/00-7/10
B60T 15/00-17/22
G05G 1/30
G05G 1/38
G05G 5/03
G05G 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペダル装置であって、
筐体(10)と、
運転者のブレーキ操作によって基準位置から第1方向(Dy1)へ姿勢が変化するとともに、前記ブレーキ操作が解除されると前記第1方向と反対方向である第2方向(Dy2)へ姿勢が変化可能に前記筐体に取り付けられるペダル(50)と、
前記ブレーキ操作によって前記ペダルの姿勢が前記基準位置から前記第1方向側へ変化する際に弾性変形することで、前記ブレーキ操作によって与えられる荷重に対する反力を前記ペダルへ印加するとともに、前記ブレーキ操作が解除された際に、前記反力によって前記ペダルの位置を前記基準位置へ復元させる反力発生部(61、62、63、68)と、
前記反力発生部と並列して設けられ、前記ペダルの姿勢の変化量に応じて弾性変形することで、前記ブレーキ操作が解除された際に、前記ペダルの姿勢を前記第2方向側へ変化させて前記ペダルの位置を前記基準位置へ近付ける復元力を前記ペダルへ印加するペダル復元部(70、75)と、を備え
前記反力発生部は、前記ペダルの姿勢が前記基準位置より前記第1方向側へ変化した際における前記ペダル復元部が前記ペダルへ印加する前記復元力より大きい前記反力を前記ペダルへ印加するペダル装置。
【請求項2】
前記ペダルの姿勢に関する情報を検出するペダル検出部(40)を備え、
前記ペダル復元部は、前記反力発生部が故障状態している場合、前記ペダルへ印加する前記復元力によって、前記ペダルを前記基準位置へ復元させることが不可能に構成されており、
前記ペダル検出部は、前記反力発生部が故障状態している場合において、前記ペダルが前記基準位置へ位置付けられていない状態の前記ペダルの姿勢に関する情報を検出する請求項1に記載のペダル装置。
【請求項3】
前記ペダル復元部は、前記ペダルの姿勢が前記基準位置より前記第1方向側へ0より大きい所定の変化量よりも大きい変化量だけ変化した際の変化量に応じて前記復元力を発生させる請求項に記載のペダル装置。
【請求項4】
前記ペダルは、自重によって前記第1方向側へ姿勢が変化可能に前記筐体に取り付けられており、
前記ペダル復元部は、前記ペダルの姿勢が前記基準位置より前記第1方向側へ所定の変化量より小さい範囲に変化した際に発生させる前記復元力が、前記ペダルの自重によって前記ペダルへかかる荷重より小さくなるように設定されている請求項に記載のペダル装置。
【請求項5】
前記ペダル復元部は、前記ペダルの姿勢の変化量に応じて発生する前記復元力が、前記ペダルの姿勢を前記基準位置へ復元させるために必要な荷重以上に設定されている請求項1に記載のペダル装置。
【請求項6】
前記ブレーキ操作によって前記ペダルと一体に所定の回転軸心(CL)を中心に回転する回転部材(30)を備え、
前記ペダルは、前記回転部材と一体に回転することで、姿勢を前記第1方向および前記第2方向に変更可能であって、
前記ペダル復元部は、前記回転部材が前記第1方向側へ回転する際の回転力によって弾性変形可能に前記回転部材に設けられており、前記回転部材が前記第1方向側へ回転する際に発生する弾性力によって前記ペダルを前記第2方向側へ回転させる前記復元力を発生させる請求項1ないしのいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項7】
前記ペダル復元部は、前記回転部材のまわりに巻かれたコイルばねであって、前記回転部材が前記第1方向側へ回転する際に捻じられて弾性変形することによって前記ペダルを前記第2方向側へ回転させる前記復元力を発生させる請求項に記載のペダル装置。
【請求項8】
前記回転部材は、前記所定の回転軸心を中心に回転するシャフト(31)と、前記シャフトに取り付けられ、前記シャフトの回転力を前記ペダル復元部に伝達するガイド部(32)を有する請求項に記載のペダル装置。
【請求項9】
前記ペダル復元部は、前記ペダルに取り付けられている請求項1ないしのいずれか1つに記載のペダル装置。
【請求項10】
前記ペダル復元部は、前記筐体の内部に収容されている請求項1ないしのいずれか1つに記載のペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回動軸を中心に回転するアーム部および運転者が踏込操作を行うペダル部を有するブレーキペダルと、ペダル部の踏込操作によって圧縮変形する撚り線ばねを有するばね機構と、を備える車両用ブレーキ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両用ブレーキ装置は、運転者によってペダルの踏込操作が行われると、基準位置を基準に、アーム部が回動軸を中心に回転する。そして、車両用ブレーキ装置は、アーム部の回転量に応じた制動力を発生させて車両を制動する。
【0003】
また、アーム部が回転すると、アーム部を支持する撚り線ばねが圧縮変形して、撚り線ばねの圧縮変形量に応じた反力をブレーキペダルに発生させる。そして、撚り線ばねは、運転者による踏込操作が解除されると、圧縮変形によって発生させた反力によって、ブレーキペダルを基準位置へ戻す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-239925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のような、ペダルの踏込操作が行われた際に反力を発生させる反力発生部を備えるペダル装置において、当該反力発生部が故障すると、運転者による踏込操作が解除されてもブレーキペダルの位置を戻すことができない。換言すれば、反力発生部が故障すると、ブレーキペダルの姿勢を復元させることができない。
【0006】
本開示は、反力発生部が故障する場合であっても、ペダルの姿勢を基準位置へ近付けることが可能なペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、
ペダル装置であって、
筐体(10)と
運転者のブレーキ操作によって基準位置から第1方向(Dy1)へ姿勢が変化するとともに、ブレーキ操作が解除されると第1方向と反対方向である第2方向(Dy2)へ姿勢が変化可能に筐体に取り付けられるペダル(50)と、
ブレーキ操作によってペダルの姿勢が基準位置から第1方向側へ変化する際に弾性変形することで、ブレーキ操作によって与えられる荷重に対する反力をペダルへ印加するとともに、ブレーキ操作が解除された際に、反力によってペダルの位置を基準位置へ復元させる反力発生部(61、62、63、68)と、
ペダルの姿勢の変化量に応じて弾性変形することで、ブレーキ操作が解除された際に、ペダルの姿勢を第2方向側へ変化させてペダルの位置を基準位置へ近付ける復元力を前記ペダルへ印加するペダル復元部(70、75)と、備え
前記反力発生部は、前記ペダルの姿勢が前記基準位置より前記第1方向側へ変化した際における前記ペダル復元部が前記ペダルへ印加する前記復元力より大きい前記反力を前記ペダルへ印加する。
【0008】
これによれば、反力発生部の故障に起因して反力発生部の反力によってペダルを基準位置へ復元させることができない場合であっても、ペダル復元部によってペダルの位置を基準位置へ近付けることができる。
【0009】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るペダル装置が用いられるブレーキバイワイヤシステムの概略構成図である。
図2】第1実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
図3】第1実施形態に係るペダル装置の斜視図である。
図4】第1実施形態に係るペダル装置の断面図である。
図5図4のV-V断面図である。
図6図5のVIで示す矢印の方向から見たペダル装置の側面図である。
図7】第1実施形態に係るペダル復元部が発生させる復元力と反力発生部が発生させる反力との関係を示す図である。
図8】第1実施形態に係るペダル復元部の作動を説明するための図である。
図9】第1実施形態に係るガイド部がペダル復元部に当接した状態を示す図である。
図10】第1実施形態に係るペダル復元部がガイド部に押圧された状態を示す図である。
図11】第2実施形態に係るペダル装置の図6に相当する図である。
図12】第2実施形態に係るペダル復元部におけるペダルの回転角度と復元力との関係を示す図である。
図13】第3実施形態に係るペダル装置の図4に相当する図である。
図14】第3実施形態に係る弾性部材におけるペダルの回転角度と復元力との関係を示す図である。
図15】第4実施形態に係るペダル装置の図4に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0012】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図10を参照して説明する。本実施形態のペダル装置1は、例えば、車両のブレーキを制御するブレーキバイワイヤシステム90にブレーキペダルとして用いられる。まず、このブレーキバイワイヤシステム90について説明する。
【0013】
ブレーキバイワイヤシステム90は、図1に示すように、ホイールシリンダ91~94、ECU95、ブレーキ回路96およびペダル装置1を備えている。
【0014】
ホイールシリンダ91~94は、車両の各車輪にそれぞれ配置されている。また、各ホイールシリンダ91~94には、図示しないブレーキパッドが取り付けられている。
【0015】
ECU95は、第1ECU951および第2ECU952を有する。第1ECU951は、図示しないマイコンおよび駆動回路等を有する。また、第1ECU951は、後述のペダル装置1からの信号に基づいて、後述のブレーキ回路96の第1ブレーキ回路961を制御する。第2ECU952は、図示しないマイコンおよび駆動回路等を有する。さらに、第2ECU952は、後述のペダル装置1からの信号に基づいて、後述のブレーキ回路96の第2ブレーキ回路962を制御する。
【0016】
ブレーキ回路96は、第1ブレーキ回路961および第2ブレーキ回路962を有する。第1ブレーキ回路961は、リザーバ961a、モータ961b、ギヤ機構961cおよびマスターシリンダ961dを含む。リザーバ961aは、ブレーキ液を貯蔵している。モータ961bは、ギヤ機構961cを駆動する。ギヤ機構961cは、マスターシリンダ961dの有するマスターピストン961eを、マスターシリンダ961dの軸方向に往復移動させる。第2ブレーキ回路962は、図示しない電磁弁等を含む。また、第2ブレーキ回路962は、第2ECU952からの制御信号に応じて電磁弁の開閉を行うことにより、各ホイールシリンダ91~94の液圧を制御する。
【0017】
なお、本実施形態の第1ECU951および第2ECU952は、不図示のアクセルセンサに接続されており、当該アクセルセンサから運転者の操作によって変化するアクセル開度量に応じた信号を受信可能に構成されている。
【0018】
ここで、以下のペダル装置1を説明するため、車両の前後方向を車両前後方向Daとする。車両の天地方向を車両上下方向Dbとする。車両の左右方向を車両左右方向Dcとする。車両前後方向Daにおける前方を、車両前方と記載する。車両前後方向Daにおける後方を、車両後方と記載する。車両上下方向Dbにおける上方を、車両上方と記載する。車両上下方向Dbにおける下方を、車両下方と記載する。車両左右方向Dcにおける左方を、車両左方と記載する。車両左右方向Dcにおける右方を、車両右方と記載する。
【0019】
ペダル装置1は、オルガン式のペダル装置1である。ここで、オルガン式のペダル装置1とは、そのペダル装置1が有する後述のペダル50のうち運転者に踏まれる部位がペダル50の回転中心に対して車両上方に配置される構成のものをいう。
【0020】
そして、オルガン式のペダル装置1では、運転者のブレーキ操作によって、ペダル50の姿勢が変化する。具体的に、オルガン式のペダル装置1では、運転者がブレーキ操作におけるペダル50を踏み込む動作を行うことによって、ペダル50のうち、回転中心より車両上方の部位が車室内の図4に示すフロア2側または不図示のダッシュパネル側に回転する。そして、ペダル50に印加される運転者の踏力が増加するブレーキ操作が行われてペダル50の踏み込み量が増加すると、ペダル50のうち、回転中心より車両上方の部位が車室内のフロア2側またはダッシュパネル側に近づくように回転する。
【0021】
また、ペダル50に印加される運転者の踏力が減少するブレーキ操作が行われれてペダル50の踏み込み量が減少すると、ペダル50のうち、回転中心より車両上方の部位が車室内のフロア2側またはダッシュパネル側から離れるように回転する。そして、オルガン式のペダル装置1では、運転者がペダル50を踏み込む操作を解除するブレーキ操作の解除操作が行われることによって、基本的に、ペダル50は、踏み込まれる前の位置に復元される。
【0022】
以下、図2および図5等に示すように、ペダル50の回転中心を回転軸CL、回転軸CLの軸方向を回転軸方向Dx、回転軸CLの周方向を回転軸周方向Dy、回転軸CLの径方向を回転軸径方向Dzとも呼ぶ。また、回転軸周方向Dyのうち、運転者がペダル50を踏み込むブレーキ操作を行うことによってペダル50が回転する方向を第1周方向Dy1、第1周方向Dy1と反対の方向を第2周方向Dy2とも呼ぶ。第2周方向Dy2は、ペダル50が踏み込まれた状態において、運転者がブレーキ操作を解除した際にペダル50が回転する方向である。
【0023】
本実施形態の回転軸CLは、回転軸方向Dxが車両左右方向Dcに沿っている。すなわち、回転軸方向Dxは、車両左右方向Dcに一致している。回転軸CLは、所定の回転軸心に対応する。第1周方向Dy1は、第1方向に対応する。第2周方向Dy2は、第2方向に対応する。
【0024】
ペダル装置1は、図2図5に示すように、ハウジング10、回転プレート20、回転部材30、センサユニット40、ペダル50、反力発生機構60およびペダル復元部70を備える。また、ペダル装置1は、連結ロッド80、ロッド接続用ねじ85および被覆部材88を備える。
【0025】
ハウジング10は、第1ハウジング11、第2ハウジング12、ハウジング用ボルト13および呼吸孔14を有する。
【0026】
第1ハウジング11は、箱状に樹脂で形成されている。また、第1ハウジング11は、上壁111、左側壁112、右側壁113、前壁114、ハウジング空間115、ハウジング開口116、回転支持部117を有する。
【0027】
上壁111は、図2図4に示すように、第1ハウジング11のうち車両上方側の壁である。また、上壁111は、図4に示すように、ハウジング端部111a、ハウジング孔111bおよび踏込ストッパ111cを含む。ハウジング端部111aは、ハウジング孔111bを形成している。ハウジング孔111bには、反力発生機構60が挿入される。踏込ストッパ111cは、上壁111のうち回転軸CLよりも車両前方に位置する部位に設けられている。具体的には、踏込ストッパ111cは、上壁111の上端部に設けられている。
【0028】
左側壁112は、図3に示すように、第1ハウジング11のうち車両左方側の壁である。右側壁113は、図2に示すように、第1ハウジング11のうち車両右方側の壁である。また、右側壁113は、壁凹部113aを含む。
【0029】
壁凹部113aは、右側壁113の外面から車両左方側に凹んでいる。また、壁凹部113aは、壁底面113b、壁第1側面113c、壁第2側面113dおよび壁空間113eを含む。
【0030】
壁底面113bは、車両右方を向く面である。また、壁底面113bは、回転軸CLを中心とする円弧平面状に形成されている。
【0031】
壁第1側面113cは、壁底面113bのうち車両後方側に接続されている。また、壁第1側面113cは、回転軸CLを中心とする円弧柱の側面状に形成されている。
【0032】
壁第2側面113dは、壁底面113bのうち車両前方側に接続されている。また、壁第2側面113dは、回転軸CLを中心とする円弧柱の側面状に形成されている。
【0033】
壁空間113eは、壁底面113b、壁第1側面113cおよび壁第2側面113dによって形成される空間である。また、壁空間113eは、壁底面113b、壁第1側面113cおよび壁第2側面113dの形状により、回転軸CLを中心とする円弧状に形成されている。壁空間113eには、回転プレート20の後述する開放ストッパ23が挿入される。
【0034】
前壁114は、図4に示すように、第1ハウジング11のうち車両前方側の壁である。ハウジング空間115は、上壁111、左側壁112、右側壁113および前壁114によって形成される空間である。ハウジング空間115には、反力発生機構60の大部分が収容されている。
【0035】
ハウジング開口116は、ハウジング空間115のうち上壁111、左側壁112、右側壁113および前壁114それぞれの車両下方側の端によって形成される開口空間である。ハウジング開口116は、第2ハウジング12によって閉塞されている。
【0036】
回転支持部117は、回転部材30を支持する部位である。回転支持部117は、図5および図6に示すように、シャフト穴形成部150と、ガイド穴形成部160と、左側軸受部170と、右側軸受部180とを有する。
【0037】
シャフト穴形成部150は、回転部材30の後述するシャフト31を挿入するシャフト穴151を形成する部位である。シャフト穴形成部150は、図5に示すように、回転軸CLを中心としてその回転軸方向Dx、すなわち車両左右方向Dcへ延伸する円柱状のシャフト穴151を形成している。シャフト穴151は、自身の内部にシャフト31が挿入される空間である。
【0038】
シャフト穴151は、第1ハウジング11の車両右方側から車両左方へ向かって形成されている。シャフト穴151の車両左方側には、後述するガイド穴161が連通している。シャフト穴151には、後述するシャフト31が挿入されている。
【0039】
シャフト穴151の車両右方および車両左方には、シャフト穴151に挿入されたシャフト31を回転可能に支持する左側軸受部170および右側軸受部180が設けられている。左側軸受部170は、シャフト31の車両左方側を回転可能に支持する。右側軸受部180は、シャフト31の車両右方側を回転可能に支持する。
【0040】
ガイド穴形成部160は、回転部材30の後述するガイド部32および後述するペダル復元部70が挿入されるガイド穴161を形成する部位である。ガイド穴形成部160は、回転軸CLを中心としてその回転軸方向Dx、すなわち車両左右方向Dcへ延伸する円柱状のガイド穴161を形成している。また、ガイド穴形成部160は、図6に示すように、ガイド穴161の側面に連なるガイド穴凹部161aを有する。
【0041】
ガイド穴161は、第1ハウジング11の車両左方側から車両右方へ向かってシャフト穴151に至るまで形成された空間である。ガイド穴161は、シャフト穴151より径が大きく形成されている。ガイド穴161には、ガイド部32およびペダル復元部70が挿入されている。ガイド穴161は、車両右方側がシャフト穴151に連通している。また、ガイド穴161の車両左方側には、センサユニット40が取り付けられている。なお、図6においては、説明の便宜上、センサユニット40を省略している。
【0042】
ガイド穴凹部161aは、ガイド穴161に挿入されたペダル復元部70を支持する部位である。ガイド穴凹部161aは、ガイド穴161における側面から回転軸径方向Dzの外側に向かって凹んで形成されている。ガイド穴凹部161aは、穴底面161b、穴第1側面161c、穴第2側面161d、穴第3側面161eおよび穴空間161fを含む。
【0043】
穴底面161bは、車両左方を向く面である。また、穴底面161bは、回転軸径方向Dzに平行して延びる平面状に形成されている。
【0044】
穴第1側面161cは、穴底面161bのうち車両上方側に接続されている。また、穴第1側面161cは、ガイド穴161とガイド穴凹部161aとが接続される部位から回転軸径方向Dzの外側に向かって回転軸径方向Dzに沿って平面状に延びている。
【0045】
穴第2側面161dは、穴底面161bのうち車両下方側に接続されている。また、穴第2側面161dは、ガイド穴161とガイド穴凹部161aとが接続される部位から回転軸径方向Dzの外側に向かって回転軸径方向Dzに沿って平面状に延びている。穴第1側面161cおよび穴第2側面161dは、回転軸周方向Dyにおいて互いに対向する部位を有する。
【0046】
穴第3側面161eは、穴第1側面161cと穴第2側面161dとの間に設けられている。また、穴第3側面161eは、回転軸径方向Dzに交差する平面状に伸びており、車両右方側が穴底面161bに接続されている。また、穴第3側面161eは、回転軸径方向Dzに交差する方向の一方側が穴第1側面161cの回転軸径方向Dzの外側の部位に接続されており、他方側が穴第2側面161dの回転軸径方向Dzの外側の部位に接続されている。
【0047】
穴空間161fは、穴底面161b、穴第1側面161c、穴第2側面161dおよび穴第3側面161eによって形成される空間である。穴空間161fには、ガイド穴161に挿入されたペダル復元部70の一部が嵌められている。
【0048】
図4に戻り、第2ハウジング12は、板状に形成されているとともに、第1ハウジング11の上壁111の車両下方側の端、左側壁112の車両下方側の端、右側壁113の車両下方側の端および前壁114の車両下方側の端に接続されている。すなわち、第2ハウジング12は、第1ハウジング11のうち車両前方側の部位から車両後方側の部位に至るまで連続して延びている。また、第2ハウジング12は、第1ハウジング11に対してペダル50が設けられる側とは反対側に設けられている。これにより、第2ハウジング12は、ハウジング開口116を塞いでいる。また、第2ハウジング12は、金属で形成されている。
【0049】
さらに、図2および図3に示すように、第2ハウジング12は、不図示のボルト穴および当該ボルト穴に対応するフロア2の穴にハウジング用ボルト13が挿入されることにより、フロア2に固定されている。これにより、ペダル装置1は、フロア2に固定される。すなわち、第1ハウジング11および第2ハウジング12は、車体に固定され回転しない非回転部材である。そして、第1ハウジング11および第2ハウジング12を含むハウジング10は、ペダル50および反力発生機構60等を支持する筐体として機能する。なお、フロア2は車室の床を構成するものである。
【0050】
呼吸孔14は、図4に示すように、第1ハウジング11と第2ハウジング12との間に形成される空間である。このため、呼吸孔14は、ハウジング空間115とハウジング10の外部の空間とに連通する。また、この呼吸孔14は、例えば、第1ハウジング11の前壁114のうち車両前方側かつ車両下方側の部位の端および第2ハウジング12のうち車両前方側かつ車両上方側の部位の間に形成されている。
【0051】
回転プレート20は、図2に示すように、金属でL字状に形成されている。また、回転プレート20は、裏板部21と、側板部22と、開放ストッパ23とを有する。回転プレート20は、ペダル50のうち運転者からの踏力を受ける面とは反対側の面に設けられている。そして、回転プレート20における裏板部21がペダル50のうち運転者からの踏力を受ける面とは反対側の面に例えばねじ止めなどによって固定されている。このため、回転プレート20は、回転軸CLを中心に、ペダル50と一体に回転する。
【0052】
側板部22は、裏板部21のうち車両右方側と垂直に接続されている。また、側板部22は、第1ハウジング11の車両右方側に配置されている。側板部22は、シャフト用穴22aおよびストッパ用穴22bを含む。
【0053】
側板部22は、シャフト31がシャフト用穴22aに挿入されることによってシャフト31と連結されている。これにより、回転プレート20は、回転軸CLを中心に、シャフト31と一体に回転する。
【0054】
ストッパ用穴22bは、シャフト用穴22aよりも車両前方側に形成されている。また、ストッパ用穴22bは、回転軸方向Dxにおいて壁空間113eと重なる位置に形成されている。さらに、ストッパ用穴22bには、開放ストッパ23が挿入されている。
【0055】
開放ストッパ23は、ストッパ用穴22bに固定された軸であり、側板部22から車両左右方向Dcに沿って第1ハウジング11側へ突出し、壁空間113eに入り込んでいる。このため、開放ストッパ23は、回転プレート20がペダル50およびシャフト31と一体に回転軸周方向Dyに回転する際に、回転軸CLを中心に壁空間113eの内部を移動する。
【0056】
そして、開放ストッパ23は、運転者がブレーキ操作を行っていない状態においては、壁空間113eの第2周方向Dy2側の端部で第1ハウジング11に対し突き当たることにより回転プレート20が第2周方向Dy2に回転することを規制する。
【0057】
回転部材30は、ペダル50と一体に回転する回転部である。回転部材30は、図5および図6に示すように、シャフト31およびガイド部32を有する。シャフト31は、金属で円柱状に形成されている。シャフト31は、シャフト穴151に挿入されており、車両右方側が右側軸受部180に回転可能に支持されるとともに、車両左方側が左側軸受部170に回転可能に支持されている。これにより、シャフト31は、第1周方向Dy1および第2周方向Dy2に回転可能にハウジング10に取り付けられる。また、シャフト31の車両右方側には、回転プレート20が連結されている。そして、シャフト31の車両左方側には、ガイド部32が連結されている。
【0058】
ガイド部32は、シャフト31の回転力を後述のペダル復元部70に伝達するものである。ガイド部32は、金属であって、ガイド穴161に挿入されている。ガイド部32は、連結部321とガイドストッパ322とを含む。
【0059】
図5および図6に示すように、連結部321は、回転軸CLを軸心とする中空円筒形状で形成されている。すなわち、連結部321は、シャフト穴151およびガイド穴161と同軸上に配置されており、車両左右方向Dcに沿って延伸している。連結部321は、車両右方側がシャフト31と互いに固定されており、シャフト31が回転する際の回転力によって、シャフト31と一体に第1周方向Dy1および第2周方向Dy2に回転可能に構成されている。また、連結部321の車両左方側の端部には、ガイドストッパ322が設けられている。
【0060】
ガイドストッパ322は、ガイド穴161に挿入された後述のペダル復元部70を押圧する部位である。ガイドストッパ322は、連結部321の側面における車両左方側の端部から回転軸径方向Dzの外側に向かって突出している。
【0061】
ガイド部32は、シャフト31と一体に回転する際に、ガイドストッパ322がペダル復元部70を押圧することによって、シャフト31の回転力を、ガイドストッパ322を介して当該ペダル復元部70に伝達する。
【0062】
センサユニット40は、シャフト31の回転角度を検出する回転角度センサである。センサユニット40は、ガイド穴161の車両左方側に配置されている。具体的に、センサユニット40は、図示しない磁石、ヨーク、ホール素子等を有する。センサユニット40は、磁石、ヨーク、ホール素子等を用いてシャフト31が回転軸周方向Dyに回転する際の回転角度を検出する。
【0063】
ここで、シャフト31は、上述したように回転プレート20を介してペダル50と互いに固定されている。このため、シャフト31およびシャフト31に取り付けるガイド部32は、ペダル50と一体に回転する。このため、シャフト31の回転角度は、ペダル50の回転角度と等しい。そして、センサユニット40は、シャフト31の回転角度を検出することにより、運転者のブレーキ操作によって変化するペダル50の回転角度を検出する。換言すれば、センサユニット40は、シャフト31と一体に回転軸周方向Dyに回転するペダル50の回転量を検出する。センサユニット40は、ペダル50の姿勢に関する情報を検出するペダル検出部として機能する。
【0064】
センサユニット40は、第1ECU951および第2ECU952に接続されており、検出したペダル50の回転角度に応じた信号を、第1ECU951および第2ECU952に出力する。なお、センサユニット40は、ホール素子に代えて、MR素子を有してもよい。MRは、Magneto Resistiveの略である。また、センサユニット40は、コイルを用いて回転角度を検出するインダクティブセンサであってもよい。
【0065】
また、センサユニット40は、ガイド穴161の車両左方側に取り付けられており、ガイド穴161の車両左方側を覆っている。すなわち、センサユニット40は、第1ハウジング11のうち、ガイド穴形成部160によって形成される空間を閉塞している。これにより、ガイド穴161に挿入されたガイド部32およびペダル復元部70は、第1ハウジング11に収容される。
【0066】
図4に戻り、ペダル50は、板状に形成されており、例えば金属または樹脂などで構成されている。ペダル50は、シャフト31を介して回転軸CLを中心に回転可能に回転プレート20に取り付けられている。具体的に、ペダル50は、車両下方側の部位が回転プレート20を介してシャフト31に固定されており、シャフト31を介してハウジング10に取り付けられている。
【0067】
ペダル50は、ペダル表面51、ペダル裏面52、ロッド固定用穴53およびパッド54を含む。ペダル表面51は、ペダル50のうち運転者に向く面である。ペダル裏面52は、ペダル50のうちペダル表面51とは反対側の面である。
【0068】
ロッド固定用穴53は、ペダル表面51からペダル裏面52に至るまでペダル50を貫通している形成されている。ロッド固定用穴53には、後述する連結ロッド80に挿入されるロッド接続用ねじ85が挿入される。そして、ペダル50は、当該連結ロッド80を介して反力発生機構60に支持される。
【0069】
パッド54は、車両の運転者によって踏まれる部位である。パッド54は、例えば、ゴム等で形成されている。また、パッド54は、ペダル表面51のうち車両上方側と接続されている。そして、パッド54は、ロッド固定用穴53のうちペダル表面51側を覆う。これにより、ロッド固定用穴53は、車両の運転者に視認されない。
【0070】
このように構成されるペダル50は、運転者による踏み込み動作が行われていないブレーキ操作の解除状態では、反力発生機構60によって、車両前後方向Daおよび車両上下方向Dbに対して斜めに配置される。具体的に、ペダル50は、ブレーキ操作の解除状態では、そのペダル50の上端部が下端部に対し車両前方かつ車両上方となるように斜めに配置されて反力発生機構60に支持される。
【0071】
また、ブレーキ操作の解除状態において初期位置に付けられた際のペダル50の自重によってペダル50自身にかかる荷重は、回転軸CLを中心に、ペダル50を第1周方向Dy1へ回転させる方向にかかる。そして、ブレーキ操作の解除状態において、仮にペダル50が反力発生機構60によって支持されない場合、ペダル50は、自身の自重によってシャフト31および回転プレート20と一体に回転軸CLを中心に第1周方向Dy1へ回転可能に構成されている。以下、運転者による踏み込み動作が行われていないブレーキ操作の解除状態において、反力発生機構60によって支持される際のペダル50の初期位置を基準位置とも呼ぶ。
【0072】
また、ペダル50は、運転者がペダル50を踏み込むブレーキ操作を行うことによって、回転軸CLを中心に第1周方向Dy1へ回転可能に構成されている。すなわち、ペダル50は、運転者のペダル50を踏み込むブレーキ操作に伴ってシャフト31および回転プレート20と一体となって、基準位置から第1周方向Dy1側に回転する。
【0073】
ペダル50は、運転者のペダル50を踏み込むブレーキ操作に伴って、基準位置を基準として、1回転未満の限られた所定の角度範囲(すなわち、可動範囲)内で回転軸CLを中心に回転する。ペダル50の回転動作における上記角度範囲は、詳細にはペダル50の最小回転位置から最大回転位置までの範囲である。
【0074】
例えば、角度範囲内において、ペダル50は、ペダル50に印加される運転者の踏力が増加するようにブレーキ操作が行われると、ペダル50の上端部が車両前方かつ車両下方へ変位するように第1周方向Dy1へ回転する。すなわち、ペダル50は、その運転者の踏力が増加するほど、基準位置から離れるように、次第に傾倒するように回転する。
【0075】
これに対し、ペダル50は、ペダル50に印加される運転者の踏力が減少するようにブレーキ操作が行われると、反力発生機構60の作用によりペダル50の上端部が車両後方かつ車両上方へ変位するように第2周方向Dy2へ回転する。すなわち、ペダル50は、その運転者の踏力が減少するほど、基準位置へ近づくように回転する。そして、ペダル50は、運転者のブレーキ操作が解除されると、反力発生機構60の作用により基準位置に復元する。
【0076】
反力発生機構60は、運転者によってブレーキ操作が行われることでペダル50を介して与えられる荷重に対する反力を発生させる。すなわち、反力発生機構60は、運転者の踏力に対する反力を発生させる。例えば、反力発生機構60は、図4に示すように、ペダル50が第1周方向Dy1へ回転する際に弾性変形する板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63を有する。また、反力発生機構60は、これら板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63を接続させる締結部材64、下ホルダ65、ばね座66および上ホルダ67を有する。
【0077】
そして、反力発生機構60は、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63がペダル50に印加される運転者の踏力によって弾性変形することで、当該踏力に対する反力をペダル50に印加する。また、反力発生機構60は、運転者のブレーキ操作が解除された際に、弾性変形していた板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63の形状が復元することによってペダル50を基準位置へ復元させる。本実施形態では、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63が反力発生部として機能する。
【0078】
板ばね61は、荷重を受けていない状態において、フロア2側に凸の曲面となるように曲がっている。また、板ばね61の一方側の端部である板一端部611は、第2ハウジング12のうち車両後方側に接続されている。具体的に、板ばね61は、ボルト121によって第2ハウジング12に固定されている。これにより、反力発生機構60は、第2ハウジング12に支持される。そして、板ばね61の他方側の端部である板他端部612には、下ホルダ65が締結部材64によって接続されている。
【0079】
締結部材64は、所定の軸心方向に延びる円柱形状の棒状部材であって、板ばね61の板他端部612近傍に設けられた締結孔613を貫通している。以下、図4に示すように、締結部材64の所定の軸心をコイル軸心Cs、コイル軸心Csの軸方向をコイル軸方向Ds1、コイル軸心Csの径方向をコイル径方向Ds2とも呼ぶ。
【0080】
下ホルダ65は、大径コイルばね62を支持する部材である。具体的に、下ホルダ65は、大径コイルばね62のうち、大径コイルばね62が弾性変形する方向の一端側を支持する。下ホルダ65は、コイル軸方向Ds1を板厚方向とする板形状であって、略中央にコイル軸方向Ds1に貫通する下ホルダ孔651が形成されている。下ホルダ65は、下ホルダ孔651に締結部材64が挿入されて板ばね61に接続されている。
【0081】
大径コイルばね62は、コイル軸心Csを軸心とする圧縮コイルばねである。すなわち、大径コイルばね62は、コイル軸心Csまわりに巻かれて形成されている。そして、大径コイルばね62は、ペダル50に印加される運転者の踏力によってコイル軸方向Ds1に弾性変形することで弾性力を発生する。
【0082】
大径コイルばね62は、コイル軸方向Ds1のうち、一方側が下ホルダ65における板ばね61が連結される側とは反対側に接続されている。また、大径コイルばね62は、コイル軸方向Ds1のうち、他方側がばね座66に接続されている。大径コイルばね62は、下ホルダ65とばね座66との間に圧縮された状態で配置されている。
【0083】
ばね座66は、大径コイルばね62および小径コイルばね63を支持する部材である。具体的に、ばね座66は、大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の他方側を支持するとともに、小径コイルばね63のコイル軸方向Ds1の一方側を支持する。ばね座66は、ばね座小径部661およびばね座大径部662を有する。
【0084】
ばね座小径部661は、コイル軸方向Ds1の一方側に底部を有する有底筒状に形成されている。また、ばね座小径部661の外径は、大径コイルばね62の内径より僅かに小さく形成されている。そして、ばね座小径部661は、大径コイルばね62の内側の空間に配置されている。また、ばね座小径部661のコイル軸方向Ds1の大きさは、大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の大きさより小さく形成されている。
【0085】
ばね座小径部661の底側には、略中央にコイル軸方向Ds1に貫通するばね座孔663が形成されている。ばね座66は、ばね座孔663に締結部材64が挿入されて締結部材64に接続されている。
【0086】
ばね座大径部662は、ばね座小径部661のうち底側とは反対側に接続されており、ばね座小径部661におけるコイル軸方向Ds1の他方側からコイル径方向Ds2の外側に向かって薄板状に延伸している。すなわち、ばね座大径部662は、ばね座小径部661におけるコイル軸方向Ds1の他方側に接続されている。そして、ばね座大径部662の外径は、ばね座小径部661の外径よりも大きくなっている。
【0087】
また、ばね座大径部662の外径は、大径コイルばね62の外径よりも大きくなっている。そして、ばね座大径部662は、コイル軸方向Ds1の一方側の面が、大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。これにより、ばね座66と大径コイルばね62とが接続される。
【0088】
また、ばね座66は、内部に小径コイルばね63の一部を収容している。そして、ばね座小径部661の底側には、小径コイルばね63が接続されている。
【0089】
小径コイルばね63は、コイル軸心Csを軸心とする圧縮コイルばねである。すなわち、小径コイルばね63は、大径コイルばね62と同軸上に配置されており、コイル軸心Csまわりに巻かれて形成されている。そして、小径コイルばね63は、ペダル50に印加される運転者の踏力によってコイル軸方向Ds1に弾性変形することで弾性力を発生する。
【0090】
小径コイルばね63は、コイル軸方向Ds1のうち、一方側がばね座小径部661の底側に接続されており、他方側が上ホルダ67に接続されている。また、小径コイルばね63は、ばね座小径部661に収容される部位が、大径コイルばね62におけるばね座小径部661を収容する部位とコイル径方向Ds2において重なっている。小径コイルばね63は、ばね座66と上ホルダ67との間に圧縮された状態で配置されている。
【0091】
上ホルダ67は、小径コイルばね63を支持する部材である。具体的に、上ホルダ67は、ホルダ小径部671およびホルダ大径部672を有する。ホルダ小径部671は、筒状に形成されている。また、ホルダ小径部671の外径は、小径コイルばね63の内径より小さく形成されている。そして、ホルダ小径部671は、小径コイルばね63の内側の空間に配置されている。
【0092】
また、ホルダ小径部671のコイル軸方向Ds1の大きさは、小径コイルばね63のコイル軸方向Ds1の大きさより小さく形成されている。さらに、ホルダ小径部671は、内側の空間に締結部材64が挿入されている。これにより、板ばね61、下ホルダ65、ばね座66および上ホルダ67は、締結部材64を介して互いに接続されている。
【0093】
また、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63は、ペダル50と第2ハウジング12との間において、コイル軸方向Ds1の一方側から他方側に向かって、この順に連結されている。そして、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63は、それぞれが発生する弾性力によって互いに支持されるとともに、ペダル50に印加される運転者の踏力に対する反力を発生させる。すなわち、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63は、コイル軸方向Ds1に沿って直列的に接続されている。
【0094】
また、締結部材64は、大径コイルばね62および小径コイルばね63が運転者の踏力によってコイル軸方向Ds1に弾性変形する際に、下ホルダ孔651の内周面、ばね座孔663の内周面およびホルダ小径部671の内周面と摺動可能に形成されている。
【0095】
ホルダ大径部672は、ホルダ小径部671におけるコイル軸方向Ds1の他方側に接続されており、ホルダ小径部671を閉塞する薄板円盤形状に形成されている。そして、ホルダ大径部672の外径は、ホルダ小径部671の外径よりも大きくなっている。
【0096】
また、ホルダ大径部672の外径は、小径コイルばね63の外径よりも大きくなっている。そして、ホルダ大径部672は、コイル軸方向Ds1の一方側の面が、小径コイルばね63のコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。これにより、上ホルダ67と小径コイルばね63とが接続される。
【0097】
また、ホルダ大径部672は、コイル軸方向Ds1の他方側に、後述する連結ロッド80と接触する接触面673を有する。接触面673は、ホルダ大径部672のうち小径コイルばね63を支持する側とは反対側の面であって、コイル径方向Ds2に沿って延びる平面形状に形成されている。
【0098】
このように構成される反力発生機構60は、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63それぞれが弾性変形することで発生する弾性力によってペダル50を基準位置へ復元させる反力を発生させる。また、反力発生機構60は、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63それぞれが発生する弾性力の合計がペダル50を基準位置へ復元するために必要な荷重以上に設定されている。すなわち、反力発生機構60は、基準位置より第1周方向Dy1側へ位置付けられたペダル50を基準位置へ復元させるために必要な荷重以上の反力をペダル50へ印加可能に構成されている。
【0099】
連結ロッド80は、ペダル50と上ホルダ67との間に設けられ、ペダル50と上ホルダ67とを接続するものである。連結ロッド80は、運転者の踏力がペダル50に印加されてペダル50が第1周方向Dy1へ回転することに伴い、当該踏力を上ホルダ67に伝達する。連結ロッド80は、金属で棒状に形成されている。また、連結ロッド80は、ペダル50のペダル裏面52側にペダル50から突き出るように設けられている。連結ロッド80は、図4に示すように、ペダル裏面52に接続されるアーム部81と、上ホルダ67を押圧する押圧部82とを有する。
【0100】
アーム部81は、アーム穴811、アーム凹部812および被覆部凹部813を含む。アーム穴811は、ロッド固定用穴53に対応する穴である。アーム部81は、アーム穴811およびロッド固定用穴53にロッド接続用ねじ85が挿入されていることにより、ペダル裏面52に固定されている。
【0101】
アーム凹部812は、アーム部81におけるペダル裏面52に固定される側とは反対側に設けられている。アーム凹部812は、アーム部81におけるペダル裏面52に固定される側とは反対側の端部が連結ロッド80の軸方向に凹んで形成されている。
【0102】
被覆部凹部813は、アーム部81の側面に設けられている。被覆部凹部813は、アーム部81の側面が連結ロッド80の軸方向と直交する方向に凹んで形成されている。
【0103】
押圧部82は、図4に示すように、接触部821および押圧凸部822を含む。接触部821は、反力発生機構60における上ホルダ67の接触面673と接触している。押圧凸部822は、接触部821のうち接触面673とは反対側から連結ロッド80の軸方向に向かって突出している。また、押圧凸部822は、例えば、圧入などによってアーム凹部812に挿入されて固定されている。これにより、アーム部81と押圧部82とが接続されている。
【0104】
被覆部材88は、ダストブーツと称されるものであり、弾性変形容易なゴムなどにより筒状かつ蛇腹状に形成されている。被覆部材88は、アーム部81の被覆部凹部813に嵌められており、ペダル50の回転動作に伴って移動する連結ロッド80の移動に伴って連結ロッド80の軸方向に伸縮する。また、被覆部材88は、ハウジング孔111bを覆っており、ハウジング孔111bからハウジング空間115内への異物侵入を防止する。
【0105】
続いて、ペダル復元部70について、図5および図8を参照して説明する。ペダル復元部70は、運転者のブレーキ操作が解除された際に、ペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させてペダル50の位置を基準位置へ近付ける復元力をペダル50に印加するものである。
【0106】
本実施形態のペダル復元部70は、図5に示すように、回転軸CLを軸心とするねじりコイルばねである。具体的に、ペダル復元部70は、図5および図8に示すように、回転軸CLの周りに巻かれるコイル本体部71と、コイル本体部71に連なる一方側端部72および他方側端部73とを含む。コイル本体部71と、一方側端部72と、他方側端部73とは、一体に成型された一体成型物として構成されている。
【0107】
コイル本体部71は、シャフト31およびガイド部32の連結部321と同軸上に配置されている。また、コイル本体部71は、ガイド部32の連結部321のまわりに巻かれて形成されている。すなわち、コイル本体部71の内径は、連結部321の外径より大きく形成されている。
【0108】
一方側端部72は、コイル本体部71における回転軸方向Dx、すなわち車両左右方向Dcの車両左方側に連なっている。一方側端部72は、コイル本体部71における車両左方側の端部から回転軸径方向Dzの外側に向かって突出している。また、一方側端部72は、穴第1側面161cに支持されている。これにより、ペダル復元部70は、一方側端部72の第2周方向Dy2への回転が規制されている。そして、一方側端部72は、その一方側端部72の一部が回転軸周方向Dyにおいて、ガイドストッパ322と重なる位置であって、且つ、回転軸方向Dxにおいても、ガイドストッパ322と重なる位置に形成されている。
【0109】
ただし、一方側端部72は、運転者のブレーキ操作が解除された状態においてガイドストッパ322に当接していない。すなわち、ペダル50が基準位置に位置付けられる場合、当該ペダル50と一体に回転するガイド部32は、ガイドストッパ322が一方側端部72に当接しない。具体的に、ペダル50が基準位置に位置付けられる場合、図8に示すように、一方側端部72とガイドストッパ322との間に所定の大きさを有する隙間74が設けられる。
【0110】
また、一方側端部72は、運転者の踏力がペダル50に印加されることでペダル50がシャフト31およびガイド部32と一体に第1周方向Dy1に所定角度θ以上回転する際に、ガイドストッパ322に当接する位置に設けられる。そして、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側に所定角度θより大きい角度だけ回転する場合、一方側端部72は、当該ペダル50と一体に回転するガイド部32のガイドストッパ322によって第1周方向Dy1へ押圧される。
【0111】
所定角度θは、ペダル50の可動範囲を示す角度範囲より小さい角度であって、例えば当該角度範囲の1/3以下の大きさで設定されている。なお、所定角度θは、ペダル50の可動範囲を示す角度範囲の1/5以下の大きさで設定されてもよい。所定角度θが小さいほど、ペダル50を基準位置から第1周方向Dy1側へ回転させた際において、ガイドストッパ322がペダル復元部70に当接しない範囲を小さくできる。
【0112】
換言すれば、所定角度θを大きくするほど、ペダル50を基準位置から第1周方向Dy1側へ回転させた際において、ガイドストッパ322とペダル復元部70とが当接しない範囲を大きくできる。すなわち、所定角度θを大きくするほど、ペダル50が第1周方向Dy1に回転する際に、ペダル復元部70が弾性力を発生しない範囲を大きくできる。
【0113】
他方側端部73は、コイル本体部71における回転軸方向Dx、すなわち車両左右方向Dcの車両右方側に連なっている。他方側端部73は、コイル本体部71における車両右方側の端部から回転軸径方向Dzの外側に向かって突出している。また、他方側端部73は、穴第2側面161dに支持されている。これにより、ペダル復元部70は、他方側端部73の第1周方向Dy1への回転が規制されている。そして、他方側端部73は、その他方側端部73の一部が回転軸周方向Dyにおいて、ガイドストッパ322と重なる位置であって、且つ、そのすべてが回転軸方向Dxにおいて、ガイドストッパ322と重ならない位置に形成されている。すなわち、他方側端部73は、運転者の踏力がペダル50に印加されることでシャフト31がガイド部32と一体に第1周方向Dy1に回転する際に、ガイドストッパ322に当接しない位置に設けられる。
【0114】
このように構成されるペダル復元部70は、一方側端部72が穴第1側面161cに支持され、他方側端部73が穴第2側面161dに支持されて、穴第1側面161cと穴第2側面161dとの間に捻じられた状態で配置されている。換言すれば、ペダル復元部70は、弾性変形した状態でガイド穴凹部161aの穴空間161fに嵌められている。
【0115】
また、運転者のブレーキ操作が解除状態である場合、ペダル復元部70は、ガイドストッパ322に当接しない。そして、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側に回転する場合であっても、ペダル50の回転角度が所定角度θより小さい場合、ペダル復元部70は、ガイドストッパ322に当接しない。これらペダル復元部70がガイドストッパ322に当接しない場合、ペダル復元部70が捻じられることによって発生する弾性力はガイド部32に伝達されない。したがって、ペダル復元部70の弾性力は、ガイド部32およびシャフト31を介してペダル50に伝達されない。
【0116】
換言すれば、ペダル復元部70は、ペダル復元部70自身がペダル50へ印加する復元力によって、ペダル50を基準位置へ復元させることが不可能に構成されている。
【0117】
これに対して、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側に所定角度θより大きい角度だけ回転する場合、一方側端部72がガイドストッパ322と一体に第1周方向Dy1へ回転可能に構成されている。そして、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側に所定角度θより大きい角度だけ回転する場合、他方側端部73がガイドストッパ322と相対回転不能に構成されている。
【0118】
このため、ペダル復元部70は、ペダル50が所定角度θより大きい角度だけ回転する場合、ペダル50に印加される運転者の踏力がガイド部32のガイドストッパ322を介して伝達されることで回転軸周方向Dyに捻じられる弾性変形する。これにより、ペダル復元部70は、ペダル50の回転量に応じた弾性力を発生させる。換言すれば、ペダル復元部70は、ペダル50の姿勢が変化する際の変化量に応じた弾性力を発生させる。当該弾性力は、ガイド部32およびシャフト31を第2周方向Dy2へ回転させる方向へ発生する。
【0119】
すなわち、ペダル復元部70は、運転者の踏力によって回転軸周方向Dyに弾性変形することで、シャフト31を介してペダル50へペダル50の位置を基準位置へ近付けるための復元力を印加する。以下、ペダル復元部70がペダル50へ復元力を印加するペダル50の回転角度範囲を復元力発生範囲、ペダル復元部70がペダル50へ復元力を印加しないペダル50の回転角度範囲を復元力非発生範囲とも呼ぶ。
【0120】
このように、ペダル復元部70は、ペダル50が復元力発生範囲内で回転する場合、反力発生機構60がペダル50へ印加する反力の伝達経路とは異なる伝達経路によって、ペダル50の位置を基準位置へ近付けるための復元力をペダル50へ印加する。換言すれば、ペダル復元部70は、反力発生機構60とは並列的に設けられている。
【0121】
また、ペダル復元部70は、図7に示すように、ペダル50が復元力発生範囲内で回転する場合におけるペダル50へ印加可能な復元力が、ペダル50の自重によってペダル50自身にかかる荷重より大きくなるように設定されている。
【0122】
そして、ペダル50が復元力発生範囲内で回転する場合におけるペダル復元部70がペダル50へ印加する復元力は、反力発生機構60がペダル50に印加する反力よりも小さくなるように設定されている。すなわち、ペダル50が復元力発生範囲内における所定の回転位置に位置付けられた際のペダル復元部70がペダル50へ印加する復元力は、ペダル50が当該所定の回転位置に位置付けられた際の反力発生機構60がペダル50へ印加する反力より小さい。換言すれば、反力発生機構60は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ回転した場合におけるいずれの回転位置においても、ペダル復元部70がペダル50へ印加する復元力より大きい反力をペダル50へ印加する。
【0123】
以上のように、ブレーキバイワイヤシステム90は、構成されている。次に、ペダル装置1の作動について説明する。
【0124】
運転者によってペダル50が踏み込まれていないブレーキ操作解除状態である場合、反力発生機構60の大径コイルばね62および小径コイルばね63は、圧縮されている。このとき、大径コイルばね62および小径コイルばね63の反力は、反力発生機構60の上ホルダ67に接続されている連結ロッド80を介して、ペダル50に伝達される。この反力により、ペダル50は、第1周方向Dy1に回転しようとする。また、回転プレート20を介してペダル50に接続されている開放ストッパ23は、壁空間113eの第2周方向Dy2側の端部で第1ハウジング11に突き当たる。これにより、ブレーキ操作が解除状態である場合、ペダル50は、基準位置に位置付けられる。
【0125】
ところで、運転者によってペダル50が踏み込まれていないブレーキ操作解除状態である場合、ペダル復元部70は、穴第1側面161cと穴第2側面161dとの間に捻じられている。しかし、ペダル復元部70は、ガイドストッパ322に接触していないため、復元力を発生しない。
【0126】
そして、運転者によってペダル50が踏み込まれるブレーキ操作が行われると、ペダル50は、回転軸CLを中心にシャフト31および回転プレート20と一体に第1周方向Dy1へ回転する。これにより、ペダル50は、基準位置から第1周方向Dy1側へ回転し、第1ハウジング11に近づく方向に回転する。
【0127】
そして、センサユニット40は、ペダル50と一体に回転するシャフト31の回転角度を検出することにより、ペダル50の回転角度を検出する。また、センサユニット40は、検出したペダル50の回転角度に応じた信号を、第1ECU951および第2ECU952に出力する。
【0128】
第1ECU951は、例えば、モータ961bに電力を供給することにより、モータ961bを回転させる。これにより、ギヤ機構961cが駆動されることからマスターピストン961eが移動する。このため、リザーバ961aからマスターシリンダ961dに供給されるブレーキ液の液圧が増加する。この増加した液圧は、第2ブレーキ回路962に供給される。
【0129】
また、第2ECU952は、例えば、第2ブレーキ回路962の図示しない電磁弁に電力を供給する。これにより、第2ブレーキ回路962の電磁弁が開く。このため、第2ブレーキ回路962に供給されたブレーキ液は、各ホイールシリンダ91~94に供給される。したがって、ホイールシリンダ91~94に取り付けられているブレーキパッドがそれに対応するブレーキディスクと摩擦する。よって、各車輪が制動されるため、車両は減速する。なお、第2ECU952は、センサユニット40からの信号および図示しない他の電子制御装置からの信号に基づいて、ABS制御、VSC制御、衝突回避制御および回生協調制御等を行ってもよい。なお、ABSはAnti-lock Braking Systemの略である。また、VSCはVehicle Stability Controlの略である。
【0130】
また、ペダル50に接続されている連結ロッド80は、回転軸CLを中心にペダル50とともに回転する。このため、連結ロッド80は、ハウジング孔111bからハウジング空間115へ挿入される。これにより、蛇腹状の被覆部材88が圧縮される。
【0131】
また、連結ロッド80の押圧部82が反力発生機構60の上ホルダ67を押圧することにより、ペダル50へ印加される踏力が上ホルダ67に伝達される。これにより、上ホルダ67は、ホルダ小径部671の内周面が締結部材64に摺動してコイル軸方向Ds1の一方側に移動する。そして、上ホルダ67のホルダ大径部672によって小径コイルばね63がコイル軸方向Ds1に圧縮される。圧縮される小径コイルばね63は、上ホルダ67を介して伝達されるペダル50に印加される踏力に応じた反力を発生して、上ホルダ67をコイル軸方向Ds1の他方側に押圧するとともに、ばね座66をコイル軸方向Ds1の一方側に押圧する。
【0132】
さらに、上ホルダ67がコイル軸方向Ds1の一方側に移動してホルダ小径部671のコイル軸方向Ds1の一方側の端部がばね座66のばね座小径部661と接触すると、ペダル50へ印加される踏力が、上ホルダ67からもばね座66へ伝達される。これにより、ばね座66は、ばね座孔663の内周面が締結部材64に摺動してコイル軸方向Ds1の一方側に移動する。そして、ばね座66のばね座大径部662によって大径コイルばね62がコイル軸方向Ds1に圧縮される。圧縮される大径コイルばね62は、ばね座66を介して伝達されるペダル50に印加される踏力に応じた反力を発生して、ばね座66をコイル軸方向Ds1の他方側に押圧するとともに、下ホルダ65をコイル軸方向Ds1の一方側に押圧する。
【0133】
さらに、ばね座66がコイル軸方向Ds1の一方側に移動してばね座小径部661のコイル軸方向Ds1の一方側の端部が下ホルダ65と接触すると、ペダル50に印加される踏力が、ばね座66からも下ホルダ65へ伝達される。これにより、下ホルダ65は、下ホルダ孔651の内周面が締結部材64に摺動してコイル軸方向Ds1の一方側に移動する。すると、コイル軸方向Ds1の一方側に移動する下ホルダ65に押圧されることによって板ばね61がたわむ。たわんだ板ばね61は、下ホルダ65を介して伝達されるペダル50に印加される踏力に応じた反力を発生して、下ホルダ65をコイル軸方向Ds1の他方側に押圧する。
【0134】
このように、板ばね61、大径コイルばね62および小径コイルばね63それぞれから発生される反力により、反力発生機構60は、ペダル50に印加される運転者の踏力に応じた反力を発生させる。
【0135】
また、ペダル50を踏み込むブレーキ操作が行われてペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ回転すると、シャフト31およびガイド部32は、回転軸CLを中心にペダル50と一体に第1周方向Dy1へ回転する。しかし、ペダル50の回転角度が復元力非発生範囲内である場合、ペダル復元部70は、ガイド部32に当接しないため、復元力を発生しない。
【0136】
また、運転者の踏み込み操作によってペダル50がシャフト31およびガイド部32と一体に基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θだけ回転すると、図9に示すように、ガイドストッパ322がペダル復元部70の一方側端部72に当接する。そして、図10に示すように、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θより大きい角度だけ回転すると、ガイドストッパ322が一方側端部72を押圧することにより、ペダル50に印加される踏力がペダル復元部70に伝達される。なお、図9および図10に示す破線は、ペダル50が基準位置に位置付けられた際のガイド部32の位置を示す。
【0137】
ペダル50に印加される踏力がペダル復元部70に伝達されることにより、ペダル復元部70は、第1周方向Dy1側へ捻じられて弾性変形する。第1周方向Dy1側へ捻じられるペダル復元部70は、ペダル50の回転量に応じた復元力を発生させて、ガイドストッパ322を第2周方向Dy2側へ押圧する。すなわち、ペダル復元部70は、ペダル50の回転量に応じた復元力をガイド部32およびシャフト31を介してペダル50へ印加する。
【0138】
また、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ回転すると、回転プレート20を介してペダル50に接続されている開放ストッパ23は、回転軸CLを中心に第1周方向Dy1へ回転して壁空間113eの内部を移動する。そして、運転者の踏力が増加してペダル50の回転角度が大きくなるに伴い、ペダル裏面52のうちの上端部またはその近傍が踏込ストッパ111cに当接すると、ペダル50の回転が制限される。すなわち、踏込ストッパ111cがペダル裏面52に当接する際のペダル50の回転角度がペダル50の可動範囲における最大回転角度である。当該最大角度は、復元力発生範囲における最大回転角度でもある。
【0139】
また、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ回転した状態からブレーキ操作が解除されると、反力発生機構60の反力およびペダル復元部70の復元力によって、ペダル50は、第2周方向Dy2へ回転する。また、ペダル50が第2周方向Dy2へ回転するにともなって、開放ストッパ23は、ペダル50と一体に第2周方向Dy2へ回転する。
【0140】
具体的に、ペダル50が復元力発生範囲内に位置付けられた状態からブレーキ操作が解除されると、反力発生機構60は、ブレーキ操作が解除された回転位置から基準位置に至る全ての回転位置において、ペダル50へ反力を印加する。
【0141】
これに対して、ペダル復元部70は、ペダル50が復元力発生範囲内に位置付けられた状態からブレーキ操作が解除されると、ペダル50が復元力発生範囲内に位置する間、ペダル50へ復元力を印加する。そして、ペダル復元部70は、ペダル50の回転角度が所定角度θ以下となった場合、ペダル50に復元力を印加しない。換言すれば、ペダル復元部70は、ペダル50が復元力非発生範囲内に位置付けられた場合、ペダル50に復元力を印加しない。
【0142】
ただし、上述したように、反力発生機構60は、基準位置より第1周方向Dy1側へ位置付けられたペダル50を基準位置へ復元させるために必要な荷重以上の反力をペダル50へ印加可能に構成されている。このため、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側のいずれの回転位置からブレーキ操作が解除される場合であっても、ペダル50は、反力発生機構60の反力によって第2周方向Dy2側へ回転し、基準位置より第2周方向Dy2側へ回転しようとする。
【0143】
ただし、ペダル50と一体に回転する開放ストッパ23は、回転軸CLを中心に第2周方向Dy2へ回転して壁空間113e内を移動して、壁空間113eの第2周方向Dy2側の端部で第1ハウジング11に突き当たる。これにより、ペダル50は、基準位置より第2周方向Dy2側への回転が規制されて基準位置に位置付けられる。
【0144】
続いて、反力発生機構60が故障することによって反力発生機構60がペダル50へ反力を印加できず、ペダル50を支持することができない場合のペダル装置1の作動について説明する。
【0145】
この場合、ブレーキ操作の有無にかかわらず、ペダル50は、ペダル50の自重によって基準位置より第1周方向Dy1側へ回転しようとする。しかし、ペダル50が復元力発生範囲内に位置付けられている状態からブレーキ操作が解除された場合、ペダル復元部70は、ペダル50の回転量に応じた復元力をガイド部32およびシャフト31を介してペダル50へ印加する。
【0146】
このため、反力発生機構60が故障状態において、ペダル50が復元力発生範囲内に位置付けられた際にブレーキ操作が解除された場合であっても、ペダル50は、ペダル復元部70から印加される復元力によって、基準位置へ近付けられる。具体的に、ペダル50は、当該復元力によって基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θだけ回転した位置に位置付けられる。
【0147】
また、ペダル50が復元力非発生範囲内に位置付けられた際にブレーキ操作が解除された場合、ペダル50は、ペダル50の自重によって第1周方向Dy1へ回転する。しかし、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θより回転しようとすると、ペダル復元部70は、ガイド部32およびシャフト31を介してペダル50へ復元力を印加する。このため、ペダル50は、当該復元力によって基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θだけ回転した位置に位置付けられる。
【0148】
このように、反力発生機構60が故障状態において、ペダル50がペダル50の自重によって第1周方向Dy1へ回転しようとする場合であっても、ペダル復元部70によってペダル50を基準位置へ近付けることができる。
【0149】
また、このとき、センサユニット40は、基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θだけ回転した位置に位置付けられたペダル50の回転角度を検出し、検出したペダル50の回転角度に応じた信号を、第1ECU951および第2ECU952に出力する。そして、第1ECU951および第2ECU952は、センサユニット40から入力されるペダル50の回転角度に関する情報およびアクセルセンサから入力されるアクセル開度量に関する情報に基づいて、反力発生機構60の故障を検出する。
【0150】
具体的に、第1ECU951および第2ECU952は、ペダル50が基準位置に位置付けられておらず、且つ、アクセル開度が0より大きい場合、ブレーキ操作とアクセル操作が同時に操作されたと判定する。この場合、第1ECU951および第2ECU952は、反力発生機構60が故障していると判定する。
【0151】
例えば、第1ECU951および第2ECU952は、反力発生機構60が故障していると判定した場合、判定結果を車室内に設けられた不図示の表示装置に出力することで、運転手に当該判定結果を通知可能に構成されていてもよい。または、第1ECU951および第2ECU952は、反力発生機構60が故障していると判定した場合、判定結果を車両の外部に設けられた不図示のサーバまたはクラウドへ送信可能に構成されていてもよい。本実施形態の第1ECU951および第2ECU952は、故障検出部として機能する。
【0152】
以上の如く、本実施形態のペダル装置1は、運転者のブレーキ操作によって基準位置から第1周方向Dy1へ回転するとともに、ブレーキ操作が解除されると第2周方向Dy2へ回転可能にハウジング10に取り付けられるペダル50を備える。また、ペダル装置1は、ブレーキ操作によってペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ変化する際に弾性変形することで、踏力に対する反力をペダル50へ印加する反力発生機構60を備える。当該反力発生機構60は、ブレーキ操作が解除された際に、踏力に対する反力によってペダル50の位置を基準位置へ復元させる。さらに、ペダル装置1は、ペダル50の回転量に応じて弾性変形することで、ブレーキ操作が解除された際に、ペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させて40ペダルの位置を基準位置へ近付ける復元力をペダル50へ印加するペダル復元部70を備える。
【0153】
これによれば、反力発生機構60の故障に起因して反力発生機構60の反力によってペダル50を基準位置へ復元させることができない場合であっても、ペダル復元部70によってペダル50の位置を基準位置へ近付けることができる。
【0154】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0155】
(1)上記実施形態では、反力発生機構60は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ変化した際に、ペダル復元部70がペダル50へ印加する復元力より大きい反力をペダル50へ印加する。
【0156】
このようにペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ変化した際に発生する反力が復元力より大きくなるように反力発生機構60を構成することで、反力発生機構60が故障した際にペダル50に発生する反力の減少を運転者が感じ易くなる。このため、運転者による反力発生機構60の故障の検出を行わせ易くできる。
【0157】
(2)上記実施形態では、ペダル装置1は、ペダル50の回転角度に関する情報を検出するセンサユニット40を備える。そして、ペダル復元部70は、ペダル50へ印加する復元力によって、ペダル50を基準位置へ復元させることが不可能に設定されている。
【0158】
これによれば、反力発生機構60が故障すると、ペダル復元部70は、ペダル50を基準位置へ復元させることができない。すなわち、反力発生機構60が故障する場合、ペダル50は、基準位置より第1周方向Dy1側へ位置付けられる。そして、センサユニット40は、基準位置より第1周方向Dy1側へ位置付けられるペダル50の回転角度を検出することができる。
【0159】
このため、例えば、基準位置より第1周方向Dy1側へ位置付けられるペダル50の回転角度の情報を第1ECU951および第2ECU952に送信することで、第1ECU951および第2ECU952によって反力発生機構60の故障を検出することができる。
【0160】
(3)上記実施形態では、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ所定角度θより大きい角度だけ回転した際の回転量に応じて復元力を発生させる。
【0161】
これによれば、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θ以下しか回転していない状態ではペダル50に復元力を印加することができない。このため、反力発生機構60が故障した際に、ペダル復元部70は、ペダル50を基準位置へ復元させることができない。ペダル復元部70をこのような構成にすることよって、反力発生機構60が故障した際にペダル50を基準位置へ復元させることができない構成を簡易に実現することができる。
【0162】
(4)上記実施形態では、ペダル装置1は、ブレーキ操作によってペダル50と一体に回転軸CLを中心に回転するシャフト31を備える。また、ペダル50は、シャフト31と一体に回転することで、第1周方向Dy1および第2周方向Dy2に回転可能に構成されている。そして、ペダル復元部70は、シャフト31が第1周方向Dy1へ回転する際の回転力によって弾性変形可能にシャフト31に設けられている。また、ペダル復元部70は、シャフト31が第1周方向Dy1へ回転する際に発生する弾性力によってペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させる復元力を発生させる。
【0163】
これによれば、ペダル50と一体に回転するシャフト31を有するペダル装置1において、当該シャフト31の回転力によって復元力を発生させるペダル復元部70を簡易な構成で実現することができる。
【0164】
(5)上記実施形態では、ペダル復元部70は、ガイド部32のまわりに巻かれたコイルばねであって、ガイド部32が第1周方向Dy1側へ回転する際に捻じられて弾性変形することによってペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させる復元力を発生させる。
【0165】
これによれば、ペダル復元部70をガイド部32のまわりに巻かれたコイルばねによって構成することで、簡易にペダル復元部70を得ることができる。
【0166】
(6)上記実施形態では、回転部材30は、回転軸CLを中心に回転するシャフト31と、シャフト31に取り付けられ、シャフト31の回転力をペダル復元部70に伝達するガイド部32を有する。
【0167】
これによれば、シャフト31の回転力をペダル復元部70に伝達する部材をシャフト31とは別体に設けることで、シャフト31の回転力を直接ペダル復元部70に伝達可能なシャフト31の構成に比較して、シャフト31の形状を簡易にできる。
【0168】
(6)上記実施形態では、ペダル復元部70は、ハウジング10の内部に収容されている。
【0169】
これによれば、ペダル復元部70が外部に露出されないので、異物の混入や外部から力が加えられることを抑制することができる。
【0170】
(第1実施形態の変形例)
上述の第1実施形態では、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ所定角度θより大きい角度だけ回転した際の回転量に応じて復元力を発生させる例について説明したが、これに限定されない。ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ回転した際のいずれの回転位置においても復元力を発生させる構成であってもよい。
【0171】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図11図12を参照して説明する。本実施形態では、ペダル50が基準位置に位置付けられた際に、ペダル復元部70がガイド部32に支持されている点が第1実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0172】
本実施形態の一方側端部72は、第1実施形態と異なり、コイル本体部71における車両左方側の端部から車両左方側に向かって突出している。すなわち、一方側端部72は、他方側端部73が突出する方向および回転軸径方向Dzに直交する方向に向かって突出している。
【0173】
また、一方側端部72は、第1実施形態と異なり、穴第1側面161cに当接していない。すなわち、本実施形態のペダル復元部70は、一方側端部72が穴第1側面161cに支持されていない。
【0174】
これに対して、本実施形態の一方側端部72は、図11に示すように、ガイドストッパ322に支持されている。具体的に、一方側端部72は、第2周方向Dy2側の部位が、ガイドストッパ322の第1周方向Dy1側の部位に支持されている。これにより、ペダル復元部70は、一方側端部72の第2周方向Dy2への回転が規制されている。
【0175】
また、一方側端部72は、運転者のブレーキ操作が解除された状態においてガイドストッパ322に当接する。すなわち、ペダル50が基準位置に位置付けられる場合、ガイド部32は、ガイドストッパ322が一方側端部72に当接する。
【0176】
そして、ペダル復元部70は、一方側端部72がガイドストッパ322に支持され、他方側端部73が穴第2側面161dに支持されて、ガイドストッパ322と穴第2側面161dとの間に捻じられた状態で配置されている。
【0177】
このように構成されるペダル復元部70は、ペダル50が可動範囲内におけるいずれの回転位置に位置付けられた場合においても、ガイド部32へ弾性力を発生させる。
【0178】
また、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側に回転する場合、ペダル50に印加される運転者の踏力がガイド部32のガイドストッパ322を介して伝達されることで回転軸周方向Dyにさらに捻じられる。これにより、ペダル復元部70は、ペダル50の回転量に応じた復元力をペダル50へ印加する。
【0179】
ただし、本実施形態のペダル復元部70は、第1実施形態と同様、ペダル復元部70自身がペダル50へ印加する復元力によって、ペダル50を基準位置へ復元させることが不可能に設定されている。
【0180】
具体的に、図12に示すように、ペダル復元部70は、ペダル50の回転角度が所定角度θより小さい場合、ペダル50へ印加可能な復元力が、ペダル50の自重によってペダル50自身にかかる荷重より小さくなるように設定されている。例えば、ペダル復元部70は、ガイドストッパ322と穴第2側面161dとの間に捻じられた状態で配置される際の捻じられる量によって、ペダル50の回転角度が所定角度θより小さい場合の復元力が、ペダル50の自重より小さくなるように設定されてもよい。
【0181】
また、ペダル復元部70は、ペダル50の回転角度が所定角度θ以上である場合、ペダル50へ印加可能な復元力が、ペダル50の自重によってペダル50自身にかかる荷重以上となるように設定されている。
【0182】
例えば、ペダル復元部70は、ガイドストッパ322と穴第2側面161dとの間に捻じられた状態で配置される際の捻じられる量によって、ペダル50の回転角度が所定角度θ以上である場合の復元力が、ペダル50の自重以上となるように設定されてもよい。また、ペダル復元部70は、ペダル50の回転角度が所定角度θ以上である場合の復元力がペダル50の自重以上となるようにペダル復元部70の弾性係数が設定されてもよい。
【0183】
このような構成によれば、反力発生機構60の故障に起因して反力発生機構60の反力によってペダル50を基準位置へ復元させることができない場合であっても、ペダル復元部70によってペダル50の位置を基準位置へ近付けることができる。
【0184】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0185】
(1)上記実施形態では、ペダル復元部70は、ペダル50の回転角度が所定角度θより小さい場合、ペダル50へ印加可能な復元力が、ペダル50の自重によってペダル50自身にかかる荷重より小さくなるように弾性係数が設定されている。
【0186】
これによれば、ペダル復元部70は、反力発生機構60が故障した際に、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ所定角度θ以下しか回転していない状態ではペダル50を基準位置へ復元させるための復元力をペダル50へ印加することができない。そして、ペダル復元部70の弾性係数をこのよう設定することよって、反力発生機構60が故障した際にペダル50を基準位置へ復元させることができない構成を簡易に実現することができる。
【0187】
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、ペダル復元部70は、ペダル50の回転角度が所定角度θより小さい場合、ペダル50へ印加可能な復元力が、ペダル50自身にかかる荷重より小さくなるように弾性係数が設定されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル復元部70は、ペダル50が基準位置に位置付けられた際に、ペダル50自身にかかる荷重以上の復元力をペダル50に印加可能に弾性係数が設定されていてもよい。
【0188】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図13および図14を参照して説明する。本実施形態では、反力発生機構60の構造が第1実施形態と相違している。また、本実施形態では、ペダル復元部70の代わりに弾性部材75が設けられている。本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0189】
まず、弾性部材75について、図13を参照して説明する。弾性部材75は、第1実施形態と異なり、図13に示すように、コイル軸心Csを軸心とする圧縮コイルばねで構成されている。弾性部材75は、コイル軸心Csまわりに巻かれて形成されている。
【0190】
また、弾性部材75は、ハウジング10の内部に収容されている。具体的に、弾性部材75は、反力発生機構60の内部に圧縮された状態で収容されている。そして、弾性部材75は、ペダル50に印加される運転者の踏力によって反力発生機構60が反力を発生する際に、弾性部材75自身も復元力を発生可能に構成されている。
【0191】
さらに具体的に、弾性部材75は、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ回転するのにともなって、コイル軸方向Ds1に弾性変形することで復元力を発生する。そして、弾性部材75は、運転者のブレーキ操作が解除された際に、ペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させてペダル50の位置を基準位置へ近付ける復元力をペダル50に印加する。
【0192】
弾性部材75は、図14に示すように、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ回転した場合のいずれの回転位置においても、ペダル50へ印加可能な復元力が、ペダル50の自重によってペダル50自身にかかる荷重より大きくなるように設定されている。換言すれば、弾性部材75は、ペダル50の回転量に応じて発生する復元力が、反力発生機構60が故障した場合においてもペダル50を基準位置へ復元ために必要な荷重以上に設定されている。
【0193】
例えば、弾性部材75は、ペダル50が基準位置に位置付けられた場合に発生させる復元力がペダル50の自重以上となるように、反力発生機構60の内部で圧縮される際の圧縮量が設定されてもよい。本実施形態の弾性部材75は、第1実施形態におけるペダル復元部70として機能する。
【0194】
続いて、本実施形態の反力発生機構60について説明する。本実施形態の反力発生機構60は、第1実施形態に比較して板ばね61が廃されており、板ばね61の代わりに、主要コイルばね68が設けられている。また、また、反力発生機構60は、主要コイルばね68、大径コイルばね62および小径コイルばね63を接続させる接続部601、第1ホルダ602、第2ホルダ603および第3ホルダ604を有する。
【0195】
主要コイルばね68は、大径コイルばね62および小径コイルばね63と同様、コイル軸心Csを軸心とする圧縮コイルばねである。主要コイルばね68は、コイル軸心Csまわりに巻かれて形成されている。また、主要コイルばね68の内径は、大径コイルばね62および小径コイルばね63それぞれの外径より大きく形成されている。さらに、また、主要コイルばね68の内径は、弾性部材75の外径より大きく形成されている。
【0196】
そして、主要コイルばね68は、ペダル50に印加される運転者の踏力によってコイル軸方向Ds1に弾性変形することで弾性力を発生する。本実施形態では、主要コイルばね68が反力発生部として機能する。
【0197】
接続部601は、コイル軸方向Ds1に延びる円柱形状であって、連結ロッド80を介して伝達される運転者の踏力を主要コイルばね68、大径コイルばね62、小径コイルばね63および弾性部材75に伝達するものである。
【0198】
接続部601は、金属で棒状に形成されている。具体的に、接続部601は、連結ロッド80に当接する荷重受部601aと荷重受部601aにおけるコイル軸方向Ds1の一方側からコイル軸方向Ds1の一方側へ向けて延びる円柱部601bとを有する。荷重受部601aにおけるコイル軸方向Ds1の一方側には小径コイルばね63が接続されている。円柱部601bは小径コイルばね63の内部を貫通するように設けられている。小径コイルばね63は、コイル軸方向Ds1の他方側が荷重受部601aに支持されており、コイル軸方向Ds1の一方側が第1ホルダ602に支持されている。
【0199】
小径コイルばね63は、接続部601と第1ホルダ602との間に圧縮された状態で配置されている。
【0200】
第1ホルダ602は、小径コイルばね63および大径コイルばね62を支持する部材である。具体的に、第1ホルダ602は、小径コイルばね63のコイル軸方向Ds1の一方側を支持するとともに、大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。第1ホルダ602は、第1小径部602aおよび第1大径部602bを有する。
【0201】
第1小径部602aは、コイル軸方向Ds1の一方側に底部を有する有底筒状に形成されている。また、第1小径部602aの内径は、小径コイルばね63の外径より大きく形成されている。そして、第1小径部602aは、小径コイルばね63の一部を内側の空間に収容している。
【0202】
また、第1小径部602aの外径は、大径コイルばね62の内径より小さく形成されている。そして、第1小径部602aは、大径コイルばね62の内側の空間に配置されている。また、第1小径部602aのコイル軸方向Ds1の大きさは、小径コイルばね63および大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の大きさより小さく形成されている。
【0203】
第1小径部602aの底側には、略中央にコイル軸方向Ds1に貫通する第1ホルダ孔602cが形成されている。第1ホルダ602は、第1ホルダ孔602cに円柱部601bが挿入されて接続部601に接続されている。
【0204】
第1大径部602bは、第1小径部602aのうち底側とは反対側に接続されており、第1小径部602aにおけるコイル軸方向Ds1の他方側からコイル径方向Ds2の外側に向かって薄板状に延伸している。そして、第1大径部602bの外径は、第1小径部602aの外径よりも大きくなっている。
【0205】
また、第1大径部602bの外径は、大径コイルばね62の外径よりも大きくなっている。そして、第1大径部602bは、コイル軸方向Ds1の一方側の面が、大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。これにより、第1ホルダ602と大径コイルばね62とが接続される。
【0206】
大径コイルばね62は、コイル軸方向Ds1の他方側が第1ホルダ602に支持されており、コイル軸方向Ds1の一方側が第2ホルダ603に支持されている。大径コイルばね62は、第1ホルダ602と第2ホルダ603との間に圧縮された状態で配置されている。また、大径コイルばね62は、小径コイルばね63における第1小径部602aに収容される部位とコイル径方向Ds2において重なっている。
【0207】
第2ホルダ603は、大径コイルばね62、主要コイルばね68および弾性部材75を支持する部材である。具体的に、第2ホルダ603は、大径コイルばね62のコイル軸方向Ds1の一方側を支持するとともに、主要コイルばね68および弾性部材75それぞれのコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。第2ホルダ603は、第2小径部603aおよび第2大径部603bを有する。
【0208】
第2小径部603aは、コイル軸方向Ds1の一方側に底部を有する有底筒状に形成されている。また、第2小径部603aの内径は、大径コイルばね62の外径より大きく形成されている。そして、第2小径部603aは、大径コイルばね62の一部を内側の空間に収容している。
【0209】
また、第2小径部603aの外径は、主要コイルばね68および弾性部材75それぞれの内径より小さく形成されている。そして、第2小径部603aは、主要コイルばね68および弾性部材75それぞれの内側の空間に配置されている。また、第2小径部603aのコイル軸方向Ds1の大きさは、大径コイルばね62、主要コイルばね68および弾性部材75それぞれのコイル軸方向Ds1の大きさより小さく形成されている。
【0210】
第2小径部603aの底側には、略中央にコイル軸方向Ds1に貫通する第2ホルダ孔603cが形成されている。第2ホルダ603は、第2ホルダ孔603cに円柱部601bが挿入されて接続部601に接続されている。
【0211】
第2大径部603bは、第2小径部603aのうち底側とは反対側に接続されており、第2小径部603aにおけるコイル軸方向Ds1の他方側からコイル径方向Ds2の外側に向かって薄板状に延伸している。そして、第2大径部603bの外径は、第2小径部603aの外径よりも大きくなっている。
【0212】
また、第2大径部603bの外径は、主要コイルばね68および弾性部材75それぞれの外径よりも大きくなっている。そして、第2大径部603bは、コイル軸方向Ds1の一方側の面からコイル軸方向Ds1の一方側に向かって突出する第2ホルダリブ603dを有する。第2ホルダリブ603dは、第2大径部603bにおけるコイル軸方向Ds1の一方側の面において円環状に形成されている。
【0213】
第2大径部603bは、コイル軸方向Ds1の一方側の面における第2ホルダリブ603dよりコイル径方向Ds2の外側の部位が、主要コイルばね68のコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。また、第2大径部603bは、コイル軸方向Ds1の一方側の面における第2ホルダリブ603dよりコイル径方向Ds2の内側の部位が、弾性部材75のコイル軸方向Ds1の他方側を支持する。これにより、第2ホルダ603が大径コイルばね62および弾性部材75それぞれに接続される。
【0214】
主要コイルばね68は、コイル軸方向Ds1の他方側が第2ホルダ603に支持されており、コイル軸方向Ds1の一方側が第3ホルダ604に支持されている。主要コイルばね68は、第2ホルダ603と第3ホルダ604との間に圧縮された状態で配置されている。また、主要コイルばね68は、大径コイルばね62における第2小径部603aに収容される部位とコイル径方向Ds2において重なっている。
【0215】
弾性部材75は、コイル軸方向Ds1の他方側が第2ホルダ603に支持されており、コイル軸方向Ds1の一方側が第3ホルダ604に支持されている。弾性部材75は、第2ホルダ603と第3ホルダ604との間に圧縮された状態で配置されている。また、弾性部材75は、大径コイルばね62における第2小径部603aに収容される部位とコイル径方向Ds2において重なっている。
【0216】
さらに、弾性部材75は、主要コイルばね68とコイル径方向Ds2において重なっている。すなわち、弾性部材75および主要コイルばね68は、互いのコイル軸方向Ds1の大きさが等しく形成されている。そして、弾性部材75は、主要コイルばね68の内側の空間に配置されている。
【0217】
第3ホルダ604は、主要コイルばね68および弾性部材75を支持する部材である。具体的に、第3ホルダ604は、第3小径部604aおよび第3大径部604bを有する。第3小径部604aは、筒状に形成されている。また、第3小径部604aの外径は、主要コイルばね68および弾性部材75の内径より小さく形成されている。そして、第3小径部604aは、主要コイルばね68および弾性部材75の内側の空間に配置されている。
【0218】
また、第3小径部604aのコイル軸方向Ds1の大きさは、主要コイルばね68および弾性部材75のコイル軸方向Ds1の大きさより小さく形成されている。さらに、第3小径部604aは、内側の空間に円柱部601bが挿入されている。
【0219】
円柱部601bは、主要コイルばね68、大径コイルばね62、小径コイルばね63および弾性部材75が運転者の踏力によってコイル軸方向Ds1に弾性変形する際、第1ホルダ孔602cの内周面と摺動する。また、円柱部601bは、第2ホルダ孔603cの内周面および第3小径部604aの内周面とも摺動する。
【0220】
第3大径部604bは、第3小径部604aにおけるコイル軸方向Ds1の一方側に接続されており、第3小径部604aを閉塞する薄板円盤形状に形成されている。そして、第3大径部604bの外径は、第3小径部604aの外径よりも大きくなっている。
【0221】
また、第3大径部604bは、コイル軸方向Ds1の他方側の面からコイル軸方向Ds1の他方側に向かって突出する第3ホルダリブ604cを有する。第3ホルダリブ604cは、第3大径部604bにおけるコイル軸方向Ds1の他方側の面において円環状に形成されている。また、第3ホルダリブ604cは、コイル軸方向Ds1において、第2ホルダリブ603dに対向している。
【0222】
第3大径部604bは、コイル軸方向Ds1の他方側の面における第3ホルダリブ604cよりコイル径方向Ds2の外側の部位が、主要コイルばね68のコイル軸方向Ds1の一方側を支持する。さらに、第2大径部603bは、コイル軸方向Ds1の他方側の面における第3ホルダリブ604cよりコイル径方向Ds2の内側の部位が、弾性部材75を支持する。これにより、第3ホルダ604に対して主要コイルばね68および弾性部材75が接続される。
【0223】
また、第3大径部604bは、コイル軸方向Ds1の一方側が第2ハウジング12に固定されている。これにより、反力発生機構60は、第2ハウジング12に支持される。
【0224】
そして、主要コイルばね68、弾性部材75、大径コイルばね62、小径コイルばね63、第1ホルダ602、第2ホルダ603および第3ホルダ604は、接続部601を介して互いに接続されている。
【0225】
主要コイルばね68、大径コイルばね62および小径コイルばね63は、ペダル50と第2ハウジング12との間において、コイル軸方向Ds1の一方側から他方側に向かって、この順に連結されている。また、弾性部材75、大径コイルばね62および小径コイルばね63も、ペダル50と第2ハウジング12との間において、コイル軸方向Ds1の一方側から他方側に向かって、この順に連結されている。
【0226】
このように、主要コイルばね68は、コイル軸方向Ds1に沿って大径コイルばね62および小径コイルばね63に対して直列的に接続されている。また、弾性部材75もコイル軸方向Ds1に沿って大径コイルばね62および小径コイルばね63に対して直列的に接続されている。そして、ペダル50に印加される運転者の踏力は、大径コイルばね62および小径コイルばね63を介して主要コイルばね68および弾性部材75に伝達される。
【0227】
そして、主要コイルばね68および弾性部材75は、大径コイルばね62および小径コイルばね63を介して伝達される運転者の踏力によって弾性力を発生させて、当該弾性力を互いに独立してペダル50へ印加する。すなわち、主要コイルばね68および弾性部材75は、互いに異なる伝達経路によって、ペダル50の位置を基準位置へ近付けるための弾性力をペダル50へ印加する。換言すれば、弾性部材75は、反力発生部として機能する主要コイルばね68と並列的に設けられている。
【0228】
また、反力発生機構60は、主要コイルばね68、大径コイルばね62および小径コイルばね63それぞれが弾性変形することで発生する弾性力の合計がペダル50を基準位置へ復元するために必要な荷重以上に設定されている。すなわち、反力発生機構60は、基準位置より第1周方向Dy1側へ位置付けられたペダル50を基準位置へ復元させるために必要な荷重以上の反力をペダル50へ印加可能に構成されている。
【0229】
このような構成によれば、反力発生機構60の故障に起因して反力発生機構60の反力によってペダル50を基準位置へ復元させることができない場合であっても、弾性部材75によってペダル50の位置を基準位置へ近付けることができる。
【0230】
さらに言えば、本実施形態の弾性部材75は、ペダル50の回転量に応じて発生する復元力が、ペダル50を基準位置へ復元ために必要な荷重以上に設定されている。このため、反力発生機構60の故障に起因して反力発生機構60の反力によってペダル50を基準位置へ復元させることができない場合であっても、弾性部材75によってペダル50の位置を基準位置へ復元させることができる。
【0231】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図15を参照して説明する。本実施形態では、ペダル復元部70が第3実施形態における弾性部材75に置き換えられている点が第1実施形態と相違している。ただし、弾性部材75が設けられている位置が第3実施形態と相違している。本実施形態では、第1実施形態および第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態または第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0232】
本実施形態の弾性部材75は、図15に示すように、圧縮コイルばねで構成されており、回転プレート20を介してペダル50に取り付けられている。具体的に、弾性部材75は、圧縮方向の一方側が回転プレート20の裏板部21におけるペダル50が固定される面とは反対側の面に接続されている。また、弾性部材75は、圧縮方向の他方側が第1ハウジング11の上壁111におけるペダル裏面52に対向する側の面に接続されている。すなわち、本実施形態の弾性部材75は、回転プレート20とハウジング10との間に設けられている。このため、本実施形態の弾性部材75は、ハウジング10の内部に収容されていない。
【0233】
そして、弾性部材75は、ペダル50が基準位置から第1周方向Dy1側へ回転するのにともなって、回転プレート20に押圧されて弾性変形することで復元力を発生する。そして、弾性部材75は、運転者のブレーキ操作が解除された際に、ペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させてペダル50の位置を基準位置へ近付ける復元力を、回転プレート20を介してペダル50に印加する。
【0234】
このように構成される弾性部材75は、反力発生機構60がペダル50へ印加する反力の伝達経路とは異なる伝達経路によって、ペダル50の位置を基準位置へ近付けるための復元力をペダル50へ印加する。換言すれば、弾性部材75は、反力発生機構60とは並列的に設けられている。本実施形態の弾性部材75は、第1実施形態におけるペダル復元部70として機能する。
【0235】
このような構成によれば、反力発生機構60の故障に起因して反力発生機構60の反力によってペダル50を基準位置へ復元させることができない場合であっても、弾性部材75によってペダル50の位置を基準位置へ近付けることができる。
【0236】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0237】
(1)上記実施形態では、弾性部材75は、ペダル50に取り付けられている。これによれば、弾性部材75がペダル50に取り付けられない構成に比較して、弾性部材75の配置位置の自由度を向上させることができる。例えば、本実施形態では、弾性部材75が回転プレート20を介してペダル50に取り付けられている例について説明したが、弾性部材75は、回転プレート20を介さずに直接ペダル50に取り付けられる構成でもよい。
【0238】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0239】
上述の実施形態では、反力発生機構60は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ変化した際に、ペダル復元部70がペダル50へ印加する復元力より大きい反力をペダル50へ印加する例について説明したが、これに限定されない。例えば、反力発生機構60は、ペダル50が基準位置より第1周方向Dy1側へ変化した際にペダル復元部70がペダル50へ印加する復元力より小さい反力をペダル50へ印加する構成でもよい。
【0240】
上述の実施形態では、センサユニット40が検出するペダル50の回転位置の情報に基づいて、第1ECU951および第2ECU952が反力発生機構60の故障を検出する例について説明したがこれに限定されない。例えば、ペダル装置1は、故障検出部として機能する処理装置を備え、当該処理装置が、センサユニット40が検出するペダル50の回転位置の情報に基づいて、反力発生機構60の故障を検出してもよい。
【0241】
上述の実施形態では、ペダル装置1がペダル50の回転角度を検出するセンサユニット40を備える構成について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル装置1は、センサユニット40を備えない構成であってもよい。
【0242】
上述の実施形態では、第1ECU951および第2ECU952が、ペダル50が基準位置に位置付けられておらず、且つ、アクセル開度が0より大きい場合に、反力発生機構60が故障していると判定する例について説明したがこれに限定されない。例えば、第1ECU951および第2ECU952は、車両のイグニッションスイッチのオン、オフを検出可能に構成されていてもよい。この場合、第1ECU951および第2ECU952は、ペダル50が基準位置に位置付けられておらず、且つ、イグニッションスイッチがオフされている場合に、反力発生機構60が故障していると判定してもよい。
【0243】
上述の第1実施形態および第2実施形態では、ペダル復元部70が発生させる復元力によってペダル50を基準位置へ復元させることが不可能に設定されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル復元部70は、ペダル50を基準位置へ復元させることが可能な復元力をペダル50へ印加可能に構成されていてもよい。
【0244】
上述の第1実施形態および第2実施形態では、ペダル復元部70がコイルばねで構成されている。そして、ペダル復元部70は、ガイド部32が第1周方向Dy1側へ回転する際に捻じられて弾性変形することによってペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させる復元力を発生させる例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル復元部70は、コイルばねとは異なる弾性変形する部材であって、ガイド部32が第1周方向Dy1側へ回転する際に圧縮されて弾性変形することによってペダル50を第2周方向Dy2側へ回転させる復元力を発生させる構成であってもよい。
【0245】
上述の第1実施形態および第2実施形態では、回転部材30は、回転軸CLを中心に回転するシャフト31と、シャフト31に取り付けられ、シャフト31の回転力をペダル復元部70に伝達するガイド部32を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、回転部材30は、ガイド部32を有さない構成であってもよい。この場合、シャフト31の形状を、シャフト31の回転力をペダル復元部70に伝達可能な構成にすることで、ペダル50に印加される運転者の踏力をペダル復元部70に伝達することができる。
【0246】
上述の実施形態では、ペダル装置1がオルガン式のペダル装置1で構成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル装置1は、ペンダント式のペダル装置1が採用されてもよい。なお、ペンダント式のペダル装置1とは、ペダル50のうち運転者に踏まれる部位が回転軸CLに対して車両上下方向Dbにおける車両下方側に配置される構成のものをいう。
【0247】
上述の実施形態では、ペダル装置1が、運転者の踏み込み操作によって操作される例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル装置1は、運転者の手によって操作される構成であってもよい。
【0248】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0249】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0250】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【符号の説明】
【0251】
10 筐体
50 ペダル
61、62、63、68 反力発生部
70、75 ペダル復元部
Dy1 第1方向
Dy2 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15