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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車載通知装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20241210BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
G08G1/09 H
G08G1/00 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021196715
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2023082783
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】大屋 魁
(72)【発明者】
【氏名】井上 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 文男
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-166877(JP,A)
【文献】特開2018-181328(JP,A)
【文献】国際公開第2019/174682(WO,A1)
【文献】特開2018-167699(JP,A)
【文献】特開2019-153136(JP,A)
【文献】特開2013-120446(JP,A)
【文献】特開2018-120282(JP,A)
【文献】特開2008-179251(JP,A)
【文献】特開2016-177573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60R 21/00-21/13
B60R 21/34-21/38
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に搭載され、前記自車両の後続車両に情報を通知する車載通知装置であって、
前記自車両の前方センサによる検出結果に基づいて、前記自車両が走行する道路上の乗り越え対象物を認識する乗り越え対象物認識部と、
前記乗り越え対象物認識部により前記乗り越え対象物が認識された場合に、前記自車両の後方センサによる検出結果に基づいて、前記乗り越え対象物が前記自車両の後方に飛翔したか否かを判定する飛翔判定部と、
前記飛翔判定部により前記乗り越え対象物が前記自車両の後方に飛翔したと判定された場合に、前記乗り越え対象物の飛翔に対応する飛翔対応情報を前記後続車両に通知する通知部と、
を備える、車載通知装置。
【請求項2】
前記乗り越え対象物認識部により前記乗り越え対象物が認識された場合に、前記自車両の加速度センサの検出した鉛直加速度に基づいて、前記自車両による前記乗り越え対象物の乗り越えを検出する乗り越え検出部を更に備え、
前記飛翔判定部は、前記乗り越え検出部により前記自車両による前記乗り越え対象物の乗り越えを検出した場合に前記乗り越え対象物が前記自車両の後方に飛翔したか否かを判定し、前記乗り越え検出部により前記自車両による前記乗り越え対象物の乗り越えを検出しない場合には前記乗り越え対象物が前記自車両の後方に飛翔したか否かの判定を行わない、請求項1に記載の車載通知装置。
【請求項3】
前記通知部は、前記飛翔対応情報として、前記乗り越え対象物認識部による前記乗り越え対象物の認識結果を含む詳細注意喚起情報を前記後続車両に通知する、請求項1又は2に記載の車載通知装置。
【請求項4】
前記通知部は、前記飛翔対応情報として減速指示を前記後続車両に通知する、請求項1~3のうち何れか一項に記載の車載通知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載通知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載通知装置に関する技術文献として、特開2001-191876号公報が知られている。この公報には、車載レーダで検出した自車両前方の落下物が跨いで走行可能な物体であるか回避の必要がある物体であるかを判定する装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-191876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両前方の落下物について自車両が跨いで走行可能な物体であると判定された場合であっても、自車両が落下物を乗り越える際に後方に落下物を跳ね飛ばしてしまうおそれがある。この場合に自車両の後方に飛翔する落下物が後続車両の走行に与える影響について十分に考慮されていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、自車両に搭載され、自車両の後続車両に情報を通知する車載通知装置であって、自車両の前方センサによる検出結果に基づいて、自車両が走行する道路上の乗り越え対象物を認識する乗り越え対象物認識部と、乗り越え対象物認識部により乗り越え対象物が認識された場合に、自車両の後方センサによる検出結果に基づいて、乗り越え対象物が自車両の後方に飛翔したか否かを判定する飛翔判定部と、飛翔判定部により乗り越え対象物が自車両の後方に飛翔したと判定された場合に、乗り越え対象物の飛翔に対応する飛翔対応情報を後続車両に通知する通知部と、を備える。
【0006】
本発明の一態様に係る車載通知装置によれば、自車両が走行する道路上の乗り越え対象物を認識し、自車両の乗り越えによる跳ね飛ばしなどによって乗り越え対象物が自車両の後方に飛翔したと判定した場合に、乗り越え対象物の飛翔に対応する飛翔対応情報を後続車両に通知するので、自車両の後方に飛翔した乗り越え対象物が後続車両に与える影響を抑制することができる。
【0007】
本発明の一態様に係る車載通知装置において、乗り越え対象物認識部により乗り越え対象物が認識された場合に、自車両の加速度センサの検出した鉛直加速度に基づいて、自車両による乗り越え対象物の乗り越えを検出する乗り越え検出部を更に備え、飛翔判定部は、乗り越え検出部により自車両による乗り越え対象物の乗り越えを検出した場合に乗り越え対象物が自車両の後方に飛翔したか否かを判定し、乗り越え検出部により自車両による乗り越え対象物の乗り越えを検出しない場合には乗り越え対象物が自車両の後方に飛翔したか否かの判定を行わなくてもよい。
この車載通知装置によれば、乗り越え検出部により自車両による乗り越え対象物の乗り越えを検出しなかった場合には、乗り越え対象物が自車両の後方に飛翔したか否かを判定しないので、自車両が乗り越え対象物を踏まなかった場合にまで飛翔判定を行うことが避けられ、自車両の後方で風により飛翔するビニール袋などを誤って乗り越え対象物の飛翔と判定することを避けることができる。
【0008】
本発明の一態様に係る車載通知装置において、通知部は、飛翔対応情報として、乗り越え対象物認識部による乗り越え対象物の認識結果を含む詳細注意喚起情報を後続車両に通知してもよい。
この車載通知装置によれば、乗り越え対象物の認識結果を含む詳細注意喚起情報を後続車両に通知することで、後続車両が乗り越え対象物の認識結果を踏まえて回避や減速の判断を行うことが可能となり、乗り越え対象物が後続車両に与える影響を抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る車載通知装置において、通知部は、飛翔対応情報として減速指示情報を後続車両に通知してもよい。
この車載通知装置によれば、飛翔対応情報として減速指示情報を後続車両に通知することによって,後続車両の迅速な減速により乗り越え対象物が後続車両に接触する可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、自車両の後方に飛翔した乗り越え対象物が後続車両に与える影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る車載通知装置を示すブロック図である。
図2】自車両の前方に乗り越え対象物が存在する状況の一例を示す図である。
図3】(a)自車両の前輪が乗り越え対象物を乗り越える状況の一例を示す図である。(b)自車両の後輪が乗り越え対象物を乗り越える状況の一例を示す図である。
図4】自車両の乗り越え時における自車両の鉛直加速度の時間変化の一例を示すグラフである。
図5】(a)自車両後方に乗り越え対象物が飛翔した状況の一例を示す図である。(b)乗り越え対象物情報を後続車両に通知する状況の一例を示す図である。
図6】乗り越え対象物情報通知処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示す車載通知装置100は、乗用車などの車両(自車両)に搭載され、自車両の後続車両に情報を通知する装置である。車載通知装置100は、自車両の乗り越えにより物体を後方に飛翔させた場合に、後続車両に対して物体の飛翔に対応する飛翔対応情報を通知する。飛翔対応情報について詳しくは後述する。
【0014】
後続車両とは、自車両と同じ道路で自車両に後続して走行する車両である。後続車両は、自車両と同じ車線を走行する車両であってもよく、自車両の走行する車線に隣接する車線を走行する車両であってもよい。後続車両は、自車両の隊列走行の制御下にある車両であってもよい。この場合において、自車両が隊列走行の先頭車両である必要はない。後続車両は、自車両に対して車々間通信を用いたCACC[Cooperative Adaptive CruiseControl]を行っている車両であってもよい。
【0015】
[車載通知装置の構成]
以下、車載通知装置100の構成について図面を参照して説明する。図1に示すように、車載通知装置100は、装置を統括的に管理するECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、CPU[CentralProcessing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]などを有する電子制御ユニットである。ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0016】
ECU10は、前方センサ1、後方センサ2、加速度センサ3、及び通信装置4と接続されている。前方センサ1は、自車両の前方の物体を検出するためのセンサである。後方センサ2は、自車両の後方の物体を検出するためのセンサである。
【0017】
前方センサ1及び後方センサ2は、それぞれカメラ及びレーダセンサのうち少なくとも一つを含むように構成されている。カメラは、自車両の外部を撮像する撮像機器である。カメラは、撮像画像の情報をECU10へ送信する。カメラの撮像画像に対する画像認識処理により自車両の周囲の物体が検出される。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。
【0018】
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自車両の周囲の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自車両の周囲に送信し、物体で反射された電波又は光を受信することで物体を検出する。レーダセンサは、検出した物体の情報をECU10へ送信する。
【0019】
加速度センサ3は、自車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサの他に、自車両の上下方向の加速度を検出する鉛直加速度センサを含んでいる。加速度センサは、自車両の加速度情報をECU10に送信する。
【0020】
通信装置4は、他車両との通信を行う装置である。通信装置4は、後続車両と車々間通信を行う機能を有している。通信装置4は、車々間通信機能を有する必要はなく、道路側に設けられた路側機や各種の通信サーバを経由して後続車両と通信可能であってもよい。
【0021】
次に、ECU10の機能的構成について説明する。図1に示すように、ECU10は、乗り越え対象物認識部11、乗り越え検出部12、飛翔判定部13、及び通知部14を有している。
【0022】
乗り越え対象物認識部11は、自車両の前方センサ1による検出結果(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出結果)に基づいて、自車両が走行する道路上の乗り越え対象物を認識する。乗り越え対象物とは、自車両が乗り越えることができる物体である。乗り越え対象物は、例えば道路上の落下物である。乗り越え対象物には、ビン、缶、材木、自動車部品などがある。乗り越え対象物は、一定の高さ未満の物体に限定されていてもよい。一定の高さは、5cmであってもよく、10cmであってもよく、15cmであってもよく、20cm以上であってもよい。道路に対して固定された構造物は乗り越え対象物に含める必要はない。
【0023】
乗り越え対象物認識部11は、例えばカメラの撮像画像に対するパターンマッチングやディープラーニングなどの画像認識処理により自車両の前方の物体が乗り越え対象物であるか否かを判定する。乗り越え対象物認識部11は、レーダセンサの検出結果に基づいて、レーダ反射点のグルーピング及びグルーピングして得られた物体形状から自車両の前方の物体が乗り越え対象物であるか否かを判定してもよい。
【0024】
ここで、図2は、自車両の前方に乗り越え対象物が存在する状況の一例を示す図である。図2に、道路R,自車両M、後続車両N、及び自車両Mの前方で道路R上の物体Fを示す。図2に示す状況において、乗り越え対象物認識部11は、前方センサ1によって自車両Mの前方で道路R上の物体Fを検出する。乗り越え対象物認識部11は、前方センサ1の検出結果に基づいて、物体Fが乗り越え対象物であると判定することで自車両Mが走行する道路R上の乗り越え対象物Fを認識する。
【0025】
なお、乗り越え対象物認識部11は、道路上の物体がビニール袋などの軽量物である場合には、乗り越え対象物として認識しなくてもよい。軽量物とは、自車両Mの乗り越えにより後続車両Nに向かって飛翔したとしても後続車両Nの走行に与える影響が少ないと考えられる物体である。
【0026】
乗り越え検出部12は、乗り越え対象物認識部11により乗り越え対象物Fが認識された場合に、自車両Mの加速度センサ3の検出した鉛直加速度に基づいて、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出する。
【0027】
ここで、図3(a)は、自車両Mの前輪が乗り越え対象物Fを乗り越える状況の一例を示す図である。図3(b)は、自車両Mの後輪が乗り越え対象物Fを乗り越える状況の一例を示す図である。図3(a)及び図3(b)に示すように、自車両Mの前輪及び後輪が乗り越え対象物Fを乗り越える場合には、自車両Mの上下方向の運動が発生する。
【0028】
図4は、自車両Mの乗り越え時における自車両Mの鉛直加速度の時間変化の一例を示すグラフである。図4の縦軸は自車両Mの鉛直加速度、横軸は時間である。図4に、鉛直加速度の基準となる基準加速度G(例えば平面走行時における鉛直加速度)、前輪乗り越え時の最大鉛直加速度gmax1、前輪乗り越え時の最小鉛直加速度gmin1、基準加速度Gと最大鉛直加速度gmax1との差分a1、基準加速度Gと最小鉛直加速度gmin1との差分a2を示す。また、図4に、後輪乗り越え時の最大鉛直加速度gmax2、後輪乗り越え時の最小鉛直加速度gmin2、基準加速度Gと最大鉛直加速度gmax2との差分b1、基準加速度Gと最小鉛直加速度gmin2との差分b2を示す。
【0029】
乗り越え検出部12は、図4に示すような自車両Mの鉛直加速度の変化を検出した場合に、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出する。乗り越え検出部12は、一例として、一定時間内に最大鉛直加速度gmax1と最小鉛直加速度gmin1に対応する鉛直加速度のピークをそれぞれ検出し、差分a1及び差分a2の和が一定の閾値以上である場合、自車両Mの前輪による乗り越え対象物Fの乗り越えが行われたと判定する。乗り越え検出部12は、同様にして後輪による乗り越え対象物Fの乗り越えが行われたと判定した場合、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出する。
【0030】
なお、鉛直加速度を用いた乗り越え検出の方法は上記の方法に限定されない。乗り越え検出部12は、乗り越え対象物認識部11により乗り越え対象物Fが認識されてから一定時間以内に、前輪乗り越えと後輪乗り越えにそれぞれ対応する鉛直加速度のピークを検出したとき、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出してもよい。
【0031】
飛翔判定部13は、乗り越え検出部12により自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出した場合に、自車両Mの後方センサ2による検出結果(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出結果)に基づいて、乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したか否かを判定する。
【0032】
図5(a)は、自車両後方に乗り越え対象物が飛翔した状況の一例を示す図である。飛翔判定部13は、図5(a)に示す状況において乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したと判定する。飛翔判定部13は、例えばカメラの撮像画像又はレーダセンサの検出結果に基づいて、自車両Mの後方で空中に存在する乗り越え対象物Fが一定速度以上であると判定した場合に、乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したと判定する。
【0033】
通知部14は、飛翔判定部に13より乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したと判定された場合、乗り越え対象物Fの飛翔に対応する飛翔対応情報を後続車両Nに通知する。通知部14は、例えば通信装置4を用いて車々間通信により飛翔対応情報を後続車両Nに通知する。図5(b)は、乗り越え対象物情報を後続車両に通知する状況の一例を示す図である。
【0034】
飛翔対応情報には、例えば物体を後方に飛翔させたことに関する注意喚起情報が含まれる。後続車両Nは、注意情報に基づいて、運転者への注意喚起、自動減速、及び自動操舵回避のうち少なくとも一つを実行する。
【0035】
飛翔対応情報には、乗り越え対象物認識部11による乗り越え対象物Fの認識結果を含む詳細注意喚起情報が含まれていてもよい。乗り越え対象物Fの認識結果には、乗り越え対象物Fの種類(缶、ビン、板材など)の情報が含まれてもよく、乗り越え対象物Fの大きさの情報が含まれてもよい。飛翔対応情報には、乗り越え対象物Fの飛翔速度の情報が含まれてもよい。
【0036】
飛翔対応情報は、後続車両Nに対する減速指示情報であってもよい。この場合、後続車両Nは、物体の飛翔に関する情報を受け取る必要はない。また、後続車両Nは、物体に関する判断を行う必要もない。減速指示情報には、後続車両の乗員のシートベルトの巻き取りやブレーキランプの点灯又は点滅、ハザードランプの点灯を指示する情報が含まれていてもよい。
【0037】
通知部14は、自車両Mと後続車両Nとの車間距離と、後続車両Nの車速とを踏まえて後続車両Nに指示する減速度を演算してもよい。通知部14は、更に乗り越え対象物認識部11による乗り越え対象物Fの認識結果及び/又は乗り越え対象物Fの飛翔速度を踏まえて後続車両Nに指示する減速度を演算してもよい。
【0038】
通知部14は、乗り越え対象物Fの認識結果からリスク度を演算し、リスク度が一定の閾値以上である場合に、後続車両Nに対する減速指示情報を通知してもよい。通知部14は、リスク度が一定の閾値未満の場合には、注意喚起情報又は詳細注意喚起情報を後続車両Nに通知する。リスク度は、例えば乗り越え対象物Fの大きさが大きいほど高い値となる。通知部14は、乗り越え対象物Fの飛翔方向も踏まえてリスク度を演算してもよい。リスク度は、乗り越え対象物Fの飛翔方向が後続車両Nから離れる方向(例えば道路から外れる方向)である場合、小さい値となる。
【0039】
なお、後続車両Nに通知する方法は、車々間通信に限られない。通知部14は、道路上に設置された路側機を経由して後続車両Nに通知を行ってもよい。通知部14は、サーバ経由で後続車両Nに通知を行ってもよい。
【0040】
通知部14は、自車両Mに車外スピーカが搭載されている場合には、後続車両Nに対して音による飛翔対応情報の通知を行ってもよい。通知部14は、自車両Mに背面ディスプレイが搭載されている場合には、背面ディスプレイの表示制御により後続車両Nに対して飛翔対応情報の通知を行ってもよい。背面ディスプレイは、自車両Mのバックウインドウを用いたヘッドアップディスプレイであってもよい。
【0041】
[車載通知装置の処理]
続いて、本実施形態に係る車載通知装置100の処理について図6を参照して説明する。図6は、乗り越え対象物情報通知処理の一例を示すフローチャートである。乗り越え対象物情報通知処理は、例えば自車両Mの走行中に実行される。乗り越え対象物情報通知処理は、車々間通信により接続された後続車両Nが存在する場合に実行される態様であってもよい。
【0042】
図6に示すように、車載通知装置100のECU10は、S10として、乗り越え対象物認識部11により自車両Mが走行する道路R上の乗り越え対象物Fを認識したか否かを判定する。乗り越え対象物認識部11は、自車両の前方センサ1による検出結果(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出結果)に基づいて乗り越え対象物Fの認識を行う。ECU10は、乗り越え対象物Fを認識したと判定した場合(S10:YES)、S11に移行する。ECU10は、乗り越え対象物Fを認識したと判定しなかった場合(S10:NO)、今回の乗り越え対象物情報通知処理を終了する。
【0043】
S11において、ECU10は、乗り越え検出部12により自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出したか否かを判定する。乗り越え検出部12は、自車両Mの加速度センサ3の検出した鉛直加速度に基づいて、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出する。ECU10は、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えが検出されたと判定した場合(S11:YES)、S12に移行する。ECU10は、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えが検出されたと判定しなかった場合(S11:NO)、今回の乗り越え対象物情報通知処理を終了する。
【0044】
S12において、ECU10は、飛翔判定部13により乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したか否かを判定する。飛翔判定部13は、自車両Mの後方センサ2による検出結果(カメラの撮像画像又はレーダセンサの検出結果)に基づいて、乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したか否かを判定する。ECU10は、乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したと判定された場合(S12:YES)、S13に移行する。ECU10は、乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したと判定されなかった場合(S12:NO)、今回の乗り越え対象物情報通知処理を終了する。
【0045】
S13において、ECU10は、通知部14により飛翔対応情報を後続車両Nに通知する。通知部14は、例えば通信装置4を用いて車々間通信により飛翔対応情報を後続車両Nに通知する。その後、今回の乗り越え対象物情報通知処理を終了する。
【0046】
以上説明した本実施形態に係る車載通知装置100によれば、自車両Mが走行する道路R上の乗り越え対象物Fを認識し、自車両Mの乗り越えによる跳ね飛ばしなどによって乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したと判定した場合に、乗り越え対象物Fの飛翔に対応する飛翔対応情報を後続車両Nに通知するので、自車両Mの後方に飛翔した乗り越え対象物Fが後続車両Nに与える影響を抑制することができる。
【0047】
また、車載通知装置100によれば、乗り越え検出部12により自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出しなかった場合には、乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したか否かを判定しないので、自車両Mが乗り越え対象物Fを踏まなかった場合にまで飛翔判定を行うことが避けられ、自車両Mの後方で風により飛翔するビニール袋などを誤って乗り越え対象物Fの飛翔と判定することを避けることができる。
【0048】
更に、車載通知装置100によれば、乗り越え対象物Fの認識結果を含む詳細注意喚起情報を後続車両Nに通知することで、後続車両Nが乗り越え対象物Fの認識結果を踏まえて回避や減速の判断を行うことが可能となり、乗り越え対象物Fが後続車両Nに与える影響を抑制することができる。
【0049】
また、車載通知装置100によれば、飛翔対応情報として減速指示情報を後続車両Nに通知することによって,後続車両Nの迅速な減速により乗り越え対象物Fが後続車両Nに接触する可能性を低減することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0051】
乗り越え検出部12は、必ずしも自車両Mの鉛直加速度を用いて、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出する必要はない。乗り越え検出部12は、例えば自車両Mの底部センサにより自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えを検出してもよい。底部センサとは、自車両Mの底部(下面)で前輪と後輪の間に設けられ、自車両Mの下方の物体を検出する検出器である。底部センサは、カメラであってもよく、レーダセンサ(ミリ波レーダやLidarなど)であってもよく、ソナーセンサであってもよい。底部センサは、左右のタイヤに対応するように自車両Mの左右で前輪の後ろに設けられていてもよい。乗り越え検出部12は、底部センサにより自車両Mの下方で乗り越え対象物Fが検出された場合に、自車両Mによる乗り越え対象物Fの乗り越えが行われたと検出してもよい。
【0052】
なお、車載通知装置100は、必ずしも乗り越え検出部12を有する必要はない。飛翔判定部13は、乗り越え対象物認識部11により自車両Mが走行する道路R上の乗り越え対象物Fを認識した場合に、自車両Mの乗り越え対象物Fの乗り越えにより乗り越え対象物Fが自車両Mの後方に飛翔したか否かの判定を実行してもよい。
【0053】
車載通知装置100は、通知部14による飛翔対応情報として、回避操舵指示情報を後続車両Nに通知してもよい。回避操舵指示情報は、後続車両Nに対して左方向又は右方向への回避操舵を指示する情報が含まれている。
【符号の説明】
【0054】
1…前方センサ、2…後方センサ、3…加速度センサ、4…通信装置、10…ECU、11…乗り越え対象物認識部、12…乗り越え検出部、13…飛翔判定部、14…通知部、100…車載通知装置、F…乗り越え対象物、M…自車両、N…後続車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6