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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】検眼装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/028 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61B3/028
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021518324
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(86)【国際出願番号】 JP2020015979
(87)【国際公開番号】W WO2020226023
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019089332
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】滝井 通浩
(72)【発明者】
【氏名】立花 献
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002846(WO,A1)
【文献】特開2018-171229(JP,A)
【文献】特開2017-184790(JP,A)
【文献】特開2005-342186(JP,A)
【文献】特開2015-223518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の光学特性を検査する検眼装置であって、
前記被検眼に向けて視標光束を投影する投光光学系と、
前記投光光学系の光路中に配置され、前記視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、
被検者が装用している屈折矯正器具の度数情報を取得する情報取得手段と、
前記矯正光学系を制御し、前記屈折矯正器具の装用状態における前記被検眼に対して追加矯正を行う制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記追加矯正を行ったときの自覚検査によって取得された屈折誤差と、前記度数情報と、に基づいて、新たな屈折矯正器具の処方値を算出するにあたり、前記屈折誤差と、前記屈折矯正器具の度数を加算することによって、前記処方値を算出することを特徴とする検眼装置。
【請求項2】
前記度数情報は、前記屈折矯正器具の球面度数、円柱度数、および円柱軸を含み、
前記屈折誤差は、球面度数誤差、円柱度数誤差、および円柱軸誤差を含み、
前記制御手段は、前記球面度数、前記円柱度数、および前記円柱軸に、前記球面度数誤差、前記円柱度数誤差、および前記円柱軸誤差を加算することによって、前記処方値を算出することを特徴とする請求項の検眼装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記情報取得手段によって取得された前記屈折矯正器具の度数情報に基づいて、前記被検眼の瞳孔径の値を補正することを特徴とする請求項1または2の検眼装置。
【請求項4】
前記屈折矯正器具は、眼鏡であり、
前記制御手段は、自覚検査結果に基づいて、前記眼鏡のフィッティング情報を出力することを特徴とする請求項1~3のいずれかの検眼装置。
【請求項5】
前記屈折矯正器具は、前記被検者に合わせた前傾角およびそり角を有する眼鏡であり、
前記制御手段は、前記眼鏡の装用状態における前記被検眼に対して追加矯正を行うことを特徴とする請求項1~3のいずれかの検眼装置。
【請求項6】
前記被検眼の前眼部を含む顔の画像を取得する画像取得手段をさらに備え、
前記屈折矯正器具は、眼鏡であり、
前記情報取得手段は、前記眼鏡の光軸間距離を取得し、
前記制御手段は、前記画像に基づいて取得された前記被検者の瞳孔間距離と、前記光軸間距離との差を検出することを特徴とする請求項1~3のいずれかの検眼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被検眼の光学特性を検査する検眼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検眼装置として、被検者の眼前に光学部材(例えば、球面レンズ、円柱レンズ、等)を配置し、この光学部材を介した視標を呈示することによって、被検眼の光学特性を測定するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-176893号公報
【発明の概要】
【0004】
ところで、従来の検眼装置において、被検者が現在装用している屈折矯正器具(眼鏡またはコンタクトレンズなど)に対して、あとどの程度の度数を加えればよいのかを測定することはできていなかった。
【0005】
本開示は、従来技術の問題点に鑑み、度数の合っていない屈折矯正器具を装用している被検者に対して、より適正な眼鏡の処方値を算出する検眼装置を提供することを技術課題とする。
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 被検眼の光学特性を検査する検眼装置であって、前記被検眼に向けて視標光束を投影する投光光学系と、前記投光光学系の光路中に配置され、前記視標光束の光学特性を変化させる矯正光学系と、被検者が装用している屈折矯正器具の度数情報を取得する情報取得手段と、前記矯正光学系を制御し、前記屈折矯正器具の装用状態における前記被検眼に対して追加矯正を行う制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記追加矯正を行ったときの自覚検査によって取得された屈折誤差と、前記度数情報と、に基づいて、新たな屈折矯正器具の処方値を算出するにあたり、前記屈折誤差と、前記屈折矯正器具の度数を加算することによって、前記処方値を算出することを特徴とする。
【0008】
本開示によれば、度数の合っていない屈折矯正器具を装用している被検者に対して、より適正な眼鏡の処方値を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】検眼装置の外観図である。
図2】測定部を示す図である。
図3】検眼装置の内部を正面方向から見た概略構成図である。
図4】検眼装置の内部を側面方向から見た概略構成図である。
図5】検眼装置の内部を上面方向から見た概略構成図である。
図6】検眼装置の制御系を示す図である。
図7】検眼装置の制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態>
以下、本開示に係る検眼装置について説明する。本実施形態の検眼装置(例えば、検眼装置1)は、被検眼の光学特性を検査する。検眼装置は、例えば、投光光学系(例えば、投光光学系30)と、矯正光学系(例えば、矯正光学系60)と、情報取得部(例えば、制御部70)と、制御部(例えば、制御部70)を備える。
【0011】
<投光光学系>
投光光学系は、被検眼に向けて視標光束を投影する。矯正光学系は、投光光学系の光路中かつ装置本体側に配置され、視標光束の光学特性を変化させる。投光光学系は、被検眼に向けて視標光束を投影するための視標呈示手段を有してもよい。例えば、視標呈示手段には、ディスプレイ(例えば、ディスプレイ31)を用いてもよい。ディスプレイは、LCOS(Liquid crystal on silicon)、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等であってもよい。また、例えば、視標呈示手段には、光源とDMD(Digital Micromirror Device)、視標呈示用の可視光源と視標板等を用いてもよい。投光光学系は、被検眼に視標呈示手段から出射した視標光束を導光する少なくとも1つの光学部材を有してもよい。
【0012】
なお、本実施形態において、検眼装置は必ずしも投光光学系を備えなくてもよく、検眼装置とは別に、投光光学系を備える装置を設ける構成としてもよい。すなわち、検眼装置は少なくとも後述の矯正光学系を備える構成であってもよい。
【0013】
<矯正光学系>
検眼装置は、例えば、矯正光学系を備える。矯正光学系は、投光光学系の光路中に配置され、視標光束の光学特性を変化させる。視標光束の光学特性は、視標光束の球面度数、円柱度数、乱視軸角度、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0014】
矯正光学系は、視標光束の光学特性を変更可能な構成であればよい。例えば、矯正光学系は、光学素子を制御することで、視標光束の光学特性を変更可能としてもよい。光学素子は、球面レンズ、円柱レンズ、クロスシリンダレンズ、ロータリプリズム、波面変調素子、可変焦点レンズ、等の少なくともいずれかであってもよい。もちろん、これらの光学素子とは異なる光学素子であってもよい。
【0015】
また、例えば、矯正光学系は、被検眼に対する視標の呈示位置(呈示距離)を光学的に変更することで、被検眼の球面度数を矯正してもよい。この場合、視標の呈示位置を光学的に変更するために、視標呈示部を光軸方向に移動させる構成としてもよい。また、この場合、視標の呈示位置を光学的に変更するために、光路中に配置された光学素子(例えば、球面レンズ等)を光軸方向に移動させる構成としてもよい。
【0016】
なお、矯正光学系は、光学素子を制御する構成と、視標呈示部を光軸方向に移動させる構成と、光路中に配置された光学素子を光軸方向に移動させる構成と、を組み合わせた構成であってもよい。
【0017】
また、本実施形態において、矯正光学系は、投光光学系が備える視標呈示手段と、被検眼に視標呈示部から出射した視標光束を導光するための光学部材と、の間に光学素子を配置して、光学素子を制御することで、視標光束の光学特性を変更する構成であってもよい。すなわち、矯正光学系は、ファントムレンズ屈折計(ファントム矯正光学系)の構成であってもよい。この場合、矯正光学系によって矯正された視標光束が、光学部材を介して被検眼に導光される。
【0018】
<情報取得部>
情報取得部は、被検者が現在装用している屈折矯正器具の度数情報を取得する。情報取得部は、例えば、レンズメータなどの度数測定装置によって測定された屈折矯正器具の度数を取得する。なお、必ずしもレンズメータの値でなくてもよい。例えば、前眼鏡の処方データであってもよい。屈折矯正器具は、例えば、眼鏡またはコンタクトレンズなどである。なお、情報取得部は、眼鏡の光軸間距離などを取得してもよい。
【0019】
<制御部>
制御部は、矯正光学系を制御し、屈折矯正器具の装用状態における被検眼に対して追加矯正を行う。制御部は、自覚検査において追加矯正を行うことによって取得された屈折誤差と、情報取得部によって取得された度数情報に基づいて、新たな屈折矯正器具の処方値を算出する。つまり、本実施形態の検眼装置は、被検者の装用している屈折矯正器具に対してあとどの程度の度数を加える必要があるのかを容易に取得できる。換言すると、検眼装置は、現在の屈折矯正器具を基準に適正な屈折矯正器具の処方値を取得できる。また、被検者に新たな屈折矯正器具の必要性を認識させることができる。
【0020】
また、実際に装用している屈折矯正器具での検査結果から屈折誤差を算出することで、より実際の見え方に近い状態で、新しい屈折矯正器具の処方を行うことができる。
【0021】
なお、制御部は、屈折誤差と、屈折矯正器具の度数を加算することによって、処方値を算出してもよい。情報取得部によって取得される度数情報は、例えば、屈折矯正器具の球面度数、円柱度数、および円柱軸を含んでもよい。また、屈折誤差は、球面度数誤差(球面度数の誤差)、円柱度数誤差(円柱度数の誤差)、および円柱軸誤差(円柱軸の誤差)を含んでもよい。この場合、制御部は、球面度数、円柱度数、および円柱軸に、球面度数誤差、円柱度数誤差、および円柱軸誤差を加算することによって、新たな屈折矯正器具の処方値を算出してもよい。
【0022】
なお、制御部は、情報取得部によって取得された屈折矯正器具の度数情報に基づいて、被検眼の瞳孔径の値を補正してもよい。例えば、屈折矯正器具の度数によって、倍率が異なる(例えばマイナス度数が大きい場合、瞳孔は縮小して見える)ため、瞳孔径を算出する際に、この倍率の分だけ瞳孔径の値を補正してもよい。
【0023】
なお、制御部は、自覚検査結果に基づいて、VD(角膜頂点距離)の方向に眼鏡のフィッティングを変更するための情報(フィッティング情報)を出力してもよい。例えば、レンズ度数が適正な眼鏡を装用した状態で自覚検査を行ったにも関わらず、被検眼の見え方が良くない場合、眼鏡のフィッティングを行ってVDを変更するように検者に報知してもよい。
【0024】
なお、屈折矯正器具が、被検者に合わせた前傾角およびそり角を有する眼鏡である場合、制御部は、眼鏡の装用状態における被検眼に対して追加矯正を行ってもよい。これによって、裸眼で検査を行う場合に比べ、実際の前傾角またはそり角で検査を行った方が、円柱度数および円柱軸の誤差が生じにくく、より適正な処方値を得ることができる。
【0025】
なお、検眼装置は、被検眼の前眼部を含む顔の画像を取得する画像取得部(例えば、撮像光学系100)をさらに備えてもよい。この場合、情報取得部は、屈折矯正器具である眼鏡の光軸間距離を取得してもよい、そして、制御部は、画像取得部によって取得された画像に基づいて算出された被検者の瞳孔間距離と、眼鏡の光軸間距離との差を検出してもよい。制御部は、この差に基づいて、被検者の瞳孔間距離に対して眼鏡の光軸間距離が適正かどうかを判定してもよい。
【0026】
なお、別の実施形態として、検眼装置は、撮影部(例えば、観察光学系50)と、情報取得部と、制御部を備えてもよい。例えば、検眼装置は、必ずしも投光光学系および矯正光学系を備えなくてもよい。撮影部は、例えば、被検眼を撮影することによって前眼部画像を取得する。制御部は、前眼部画像に基づいて取得された被検眼の瞳孔径の値を、度数情報に基づいて補正してもよい。これによって、検眼装置は、より正確な瞳孔径を取得できる。
【0027】
なお、別の実施形態として、検眼装置は、画像取得部と、情報取得部と、制御部を備えてもよい。例えば、検眼装置は、必ずしも投光光学系および矯正光学系を備えなくてもよい。画像取得部は、例えば、被検眼の前眼部を含む顔の画像を取得する。情報取得部は、被検者が装用している眼鏡の光軸間距離を取得する。制御部は、画像に基づいて取得された被検者の瞳孔間距離と、光軸間距離との差を検出してもよい。制御部は、例えば、検出結果に基づいて、眼鏡が適正であるかを判定してもよい。
【0028】
本実施形態における検眼装置は、被検眼の光学特性を検査する。被検眼の光学特性は、被検眼の眼屈折度(例えば、被検眼の球面度数、円柱度数、乱視軸角度、等)、コントラスト感度、両眼視機能(例えば、斜位量、立体視機能、等)、等の少なくともいずれかであってもよい。
【0029】
<実施例>
以下、典型的な実施形態の1つである実施例について説明する。
【0030】
図1は、検眼装置1の外観図である。例えば、検眼装置1は、筐体2、呈示窓3、モニタ4、顎台5、基台6、撮像光学系100、等を備える。筐体2は、基台6に固定される。筐体2の内部には、後述する測定部7が設けられる。呈示窓3は、被検者の眼(被検眼E)に視標を呈示するために用いる。モニタ4は、被検眼Eの光学特性の測定結果等を表示する。モニタ4は、タッチパネル機能をもつディスプレイである。すなわち、モニタ4が操作部(コントローラ)として機能する。なお、モニタ4はタッチパネル式でなくてもよく、モニタ4と操作部とを別に設ける構成であってもよい。この場合には、マウス、ジョイスティック、キーボード、携帯端末、等の少なくともいずれかを操作部として用いてもよい。モニタ4から入力された操作指示に応じた信号は、後述する制御部70に出力される。顎台5は、基台6に固定される。顎台5は、被検眼Eと検眼装置1との距離を一定に保つために用いる。なお、顎台5に限定されず、額当て、顔当て、等を用いて、被検眼Eと検眼装置1との距離を一定に保つ構成としてもよい。
【0031】
撮像光学系100は、被検者の前眼部を含む顔を撮像するために用いる。撮像光学系100は、図示なき撮像素子とレンズで構成される。撮像光学系100は、被検眼Eの左被検眼EL及び右被検眼ERの少なくとも一方を含む顔を撮像して、その顔画像を取得する。撮像光学系100による顔の撮像は、後述する制御部70に制御される。また、撮像光学系100により取得された顔画像は、後述する制御部70に解析される。
【0032】
<測定部>
測定部7からの視標光束は、呈示窓3を介して被検眼Eに導光される。測定部7は、左眼用測定部7Lと右眼用測定部7Rを備える。測定部7は、左右一対の後述する自覚検査部と、左右一対の後述する他覚検査部と、を有する。本実施例における左眼用測定部7Lと右眼用測定部7Rは、同一の部材で構成される。もちろん、左眼用測定部7Lと右眼用測定部7Rは、その少なくとも一部が異なる部材で構成されてもよい。
【0033】
図2は、測定部7を示す図である。図2では、測定部7として、左眼用測定部7Lを例に挙げる。右眼用測定部7Rは、左眼用測定部7Lと同様の構成であるため省略する。例えば、左眼用測定部7Lは、自覚検査光学系25、他覚検査光学系10、第1指標投影光学系45、第2指標投影光学系46、観察光学系50、等を備える。
【0034】
<自覚検査光学系>
自覚検査光学系25は、被検眼Eの光学特性を自覚的に測定する自覚検査部の構成の一部として用いられる(詳細は後述する)。本実施例では、被検眼Eの光学特性として、被検眼Eの眼屈折力を測定する自覚検査部を例に挙げる。なお、被検眼Eの光学特性は、眼屈折力の他、コントラスト感度、両眼視機能(例えば、斜位量、立体視機能、等)、等であってもよい。例えば、自覚検査光学系25は、投光光学系(視標投光系)30、矯正光学系60、及び、補正光学系90、で構成される。
【0035】
<投光光学系>
投光光学系30は、被検眼Eに向けて視標光束を投影する。例えば、投光光学系30は、ディスプレイ31、投光レンズ33、投光レンズ34、反射ミラー36、ダイクロイックミラー35、ダイクロイックミラー29、対物レンズ14等を備える。
【0036】
ディスプレイ31には、視標(固視標、検査視標、等)が表示される。ディスプレイ31から出射した視標光束は、投光レンズ33、投光レンズ34、反射ミラー36、ダイクロイックミラー35、ダイクロイックミラー29、対物レンズ14、の順に光学部材を経由して、被検眼Eに投影される。
【0037】
<矯正光学系>
矯正光学系60は、投光光学系30の光路中に配置される。また、矯正光学系60は、ディスプレイ31から出射した視標光束の光学特性を変化させる。例えば、矯正光学系60は、乱視矯正光学系63、駆動機構39、等を備える。
【0038】
乱視矯正光学系63は、被検眼Eの円柱度数や乱視軸角度を矯正するために用いる。乱視矯正光学系63は、投光レンズ33と投光レンズ34の間に配置される。乱視矯正光学系63は、焦点距離の等しい、2枚の正の円柱レンズ61aと円柱レンズ61bで構成される。円柱レンズ61aと円柱レンズ61bは、回転機構62aと回転機構62bの駆動によって、光軸L2を中心として、各々が独立に回転する。なお、本実施例では、乱視矯正光学系63として、円柱レンズ61aと円柱レンズ61bを用いる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。乱視矯正光学系63は、円柱度数、乱視軸角度、等を矯正できる構成であればよい。一例としては、投光光学系30の光路に矯正レンズを出し入れしてもよい。
【0039】
駆動機構39は、モータ及びスライド機構からなる。駆動機構39は、後述する駆動ユニット95を光軸L2方向に移動させることで、ディスプレイ31を光軸L2方向に移動させる。他覚検査では、ディスプレイ31を移動させることで、被検眼Eに雲霧をかけることができる。自覚検査では、ディスプレイ31を移動させることで、被検眼Eに対する視標の呈示位置(呈示距離)を光学的に変更し、被検眼Eの球面度数を矯正することができる。すなわち、本実施例では、ディスプレイ31の位置を変更することで、被検眼Eの球面度数を矯正する球面矯正光学系が構成されている。なお、球面矯正光学系の構成は、本実施例とは異なっていてもよい。例えば、多数の光学素子を光路中に配置することで、球面度数を矯正してもよい。また、例えば、レンズを光路中に配置し、レンズを光軸方向に移動させることで、球面度数を矯正してもよい。
【0040】
なお、本実施例では、球面度数、円柱度数、及び乱視軸角度を矯正する矯正光学系が例示されている。しかし、矯正光学系は、他の光学特性(例えば、プリズム値、等)を矯正してもよい。プリズム値が矯正されることで、被検眼が斜位眼であっても、被検眼に視標光束が適切に投影される。
【0041】
また、本実施例では、円柱度数及び乱視軸角度を矯正する乱視矯正光学系63と、球面度数を矯正する駆動機構39が別で設けられている。しかし、球面度数、円柱度数、及び乱視軸角度が同一の構成によって矯正されてもよい。例えば、波面を変調させる光学系によって、球面度数、円柱度数、及び乱視軸角度が矯正されてもよい。また、複数の光学素子(例えば、球面レンズ、円柱レンズ、および分散プリズム等の少なくともいずれか)が同一円周上に配置されたレンズディスクと、レンズディスクを回転させるアクチュエータが、矯正光学系として用いられてもよい。この場合、レンズディスクが回転されて、光軸L2上に位置する光学素子が切り替えられることで、種々の光学特性が矯正される。また、光軸L2上に配置された光学素子(例えば、円柱レンズ、クロスシリンダレンズ、およびロータリプリズム等の少なくともいずれか)が、アクチュエータによって回転されてもよい。
【0042】
<補正光学系>
補正光学系90は、対物レンズ14と偏向ミラー81(後述)の間に配置される。補正光学系90は、自覚検査で生じる光学収差(例えば、非点収差、等)を補正するために用いる。補正光学系90は、円柱度数と乱視軸角度を調整することで、非点収差を補正する。補正光学系90は、焦点距離の等しい、2枚の正の円柱レンズ91aと円柱レンズ91bで構成される。円柱レンズ91aと円柱レンズ91bは、回転機構92aと回転機構92bの駆動によって、光軸L3を中心として、各々が独立に回転する。なお、本実施例では、補正光学系90として、2枚の正の円柱レンズ91aと円柱レンズ91bを用いる構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。補正光学系90は、非点収差を矯正できる構成であればよい。例えば、この場合には、光軸L3に補正レンズを出し入れしてもよい。
【0043】
<他覚検査光学系>
他覚検査光学系10は、被検眼の光学特性を他覚的に測定する他覚検査部の構成の一部として用いられる(詳細は後述する)。本実施例では、被検眼Eの光学特性として、被検眼Eの眼屈折力を測定する他覚検査部を例に挙げて説明する。なお、被検眼Eの光学特性は、眼屈折力の他、眼軸長、角膜形状、等であってもよい。例えば、他覚検査光学系10は、投影光学系10a、受光光学系10b、及び、補正光学系90、で構成される。
【0044】
投影光学系(投光光学系)10aは、被検眼Eの瞳孔中心部を介して、被検眼Eの眼底にスポット状の測定指標を投影する。例えば、投影光学系10aは、光源11、リレーレンズ12、ホールミラー13、プリズム15、ダイクロイックミラー35、ダイクロイックミラー29、対物レンズ14、等を備える。
【0045】
光源11は、測定光束を出射する。光源11は、被検眼Eの眼底と共役な関係となっている。ホールミラー13のホール部は、被検眼Eの瞳孔と共役な関係となっている。プリズム15は、光束偏向部材である。プリズム15は、被検眼Eの瞳孔と共役な位置から外れた位置に配置され、プリズム15を通過する測定光束を光軸L1に対して偏心させる。プリズム15は、光軸L1を中心として、駆動部(モータ)23により回転駆動される。ダイクロイックミラー35は、他覚検査光学系10の光路と、後述する自覚検査光学系25の光路と、を共通にする。すなわち、ダイクロイックミラー35は、他覚検査光学系10の光軸L1と、自覚検査光学系25の光軸L2と、を同軸にする。ダイクロイックミラー29は、光路分岐部材である。ダイクロイックミラー29は、投影光学系10aによる測定光束と、自覚検査光学系25による測定光束と、を反射して被検眼Eに導く。
【0046】
受光光学系10bは、被検眼Eの眼底で反射された眼底反射光束を、被検眼Eの瞳孔周辺部を介してリング状に取り出す。例えば、受光光学系10bは、対物レンズ14、ダイクロイックミラー29、ダイクロイックミラー35、プリズム15、ホールミラー13、リレーレンズ16、ミラー17、受光絞り18、コリメータレンズ19、リングレンズ20、撮像素子22、等を備える。リングレンズ20は、リング状に形成されたレンズ部と、レンズ部以外の領域に遮光用のコーティングを施した遮光部と、から構成される。リングレンズ20は、被検眼Eの瞳孔と光学的に共役な位置関係となっている。受光絞り18と撮像素子22は、被検眼Eの眼底と共役な関係となっている。撮像素子22からの出力は、制御部70に入力される。
【0047】
本実施例において、投影光学系10aが備える光源11と、受光光学系10bが備える受光絞り18、コリメータレンズ19、リングレンズ20、及び撮像素子22と、投光光学系30が備えるディスプレイ31と、は駆動機構39により光軸方向に一体的に移動可能となっている。つまり、光源11、受光絞り18、コリメータレンズ19、リングレンズ20、撮像素子22、及び、ディスプレイ31、が駆動ユニット95として同期し、駆動機構39がこれらを一体的に移動させる。例えば、駆動機構39が移動した移動位置は、図示なきポテンショメータによって検出される。
【0048】
駆動ユニット95は、外側のリング光束が各経線方向に関して撮像素子22上に入射するように、他覚検査光学系10の一部を光軸方向に移動させる。すなわち、他覚検査光学系10の一部を被検眼Eの球面屈折誤差(球面屈折力)に応じて光軸L1方向に移動させることで、球面屈折誤差を補正し、被検眼Eの眼底に対して光源11、受光絞り18及び撮像素子22が光学的に共役になるようにする。なお、ホールミラー13とリングレンズ20は、駆動ユニット95の移動量にかかわらず、被検眼Eの瞳と一定の倍率で共役になるように配置されている。
【0049】
上記の構成において、光源11から出射された測定光束は、リレーレンズ12、ホールミラー13、プリズム15、ダイクロイックミラー35、ダイクロイックミラー29、対物レンズ14、を経て被検眼Eの眼底上にスポット状の点光源像を形成する。このとき、光軸周りに回転するプリズム15によって、ホールミラー13におけるホール部の瞳投影像(瞳上での投影光束)は高速に偏心回転される。眼底に投影された点光源像は、反射・散乱されて被検眼Eから射出し、対物レンズ14によって集光され、ダイクロイックミラー29、ダイクロイックミラー35、高速回転するプリズム15、ホールミラー13、リレーレンズ16、ミラー17を介して受光絞り18の位置に再び集光され、コリメータレンズ19とリングレンズ20とによって撮像素子22にリング状の像が結像する。
【0050】
例えば、プリズム15は、投影光学系10aと受光光学系10bの共通光路に配置されている。例えば、眼底からの反射光束は投影光学系10aと同じプリズム15を通過するため、それ以降の光学系では、あたかも瞳孔上における投影光束・反射光束(受光光束)の偏心がなかったかのように逆走査される。
【0051】
なお、本実施例において、他覚検査部の構成は変更することが可能である。例えば、他覚検査部は、瞳孔周辺部から眼底にリング状の測定指標を投影し、瞳孔中心部から眼底反射光を取り出し、撮像素子22にリング状の眼底反射像を受光させる構成を備えていてもよい。また、他覚検査部はシャックハルトマンセンサを備えていてもよいし、スリットを投影する位相差方式の構成を備えていてもよい。
【0052】
<第1指標投影光学系及び第2指標投影光学系>
例えば、本実施例においては、第1指標投影光学系45及び第2指標投影光学系46が、補正光学系90と、偏向ミラー81との間に配置される。もちろん、第1指標投影光学系45及び第2指標投影光学系46の配置位置は、これに限定されない。例えば、第1指標投影光学系45と第2指標投影光学系46は、筐体2のカバーに備えられていてもよい。例えば、この場合には、第1指標投影光学系45及び第2指標投影光学系46が、呈示窓3の周囲に配置される構成が挙げられる。
【0053】
例えば、第1指標投影光学系45は、光軸L3を中心に配置されたリング状の赤外光源を備える。例えば、第1指標投影光学系45は、被検眼Eの角膜にアライメント指標を投影するための近赤外光を発する。例えば、第2指標投影光学系46は、第1指標投影光学系45とは異なる位置に配置されたリング状の赤外光源を備える。なお、図2では、便宜上、第1指標投影光学系45と第2指標投影光学系46におけるリング状の赤外光源の一部(断面部分)のみが図示されている。本実施例において、第1指標投影光学系45は、被検者眼の角膜に無限遠のアライメント指標を投影する。また、第2指標投影光学系46は、被検者眼の角膜に有限遠のアライメント指標を投影する。なお、第2指標投影光学系46から出射されるアライメント光は、観察光学系50によって被検眼の前眼部を撮影するための前眼部撮影光としても用いられる。また、第1指標投影光学系45および第2指標投影光学系46の光源は、リング状の光源に限定されず、複数の点状の光源、またはライン状の光源等であってもよい。
【0054】
<観察光学系>
観察光学系(撮像光学系)50は、対物レンズ14、ダイクロイックミラー29、撮像レンズ51、撮像素子52、等を備える。ダイクロイックミラー29は、前眼部観察光及びアライメント光を透過する。撮像素子52は、被検眼Eの前眼部と略共役な位置に配置された撮像面をもつ。撮像素子52からの出力は、制御部70に入力される。これによって、被検眼Eの前眼部画像は撮像素子52により撮像され、モニタ4上に表示される。なお、この観察光学系50は、第1指標投影光学系45及び第2指標投影光学系46によって、被検眼Eの角膜に形成されるアライメント指標像を検出する光学系を兼ね、制御部70によってアライメント指標像の位置が検出される。
【0055】
<検眼装置内部構成>
以下、検眼装置1の内部構成について説明する。図3は、本実施例に係る検眼装置1の内部を正面方向(図1のA方向)から見た概略構成図である。図4は、本実施例に係る検眼装置1の内部を側面方向(図1のB方向)から見た概略構成図である。図5は、本実施例に係る検眼装置1の内部を上面方向(図1のC方向)から見た概略構成図である。なお、図4及び図5では、説明の便宜上、左眼用測定部7Lの光軸のみを示している。
【0056】
例えば、検眼装置1は、自覚検査部と、他覚検査部と、を備える。例えば、自覚検査部及び他覚検査部において、測定部7からの視標光束は、光学部材(例えば、後述する凹面ミラー85)の光軸Lに一致する光路を通過して被検眼Eに導光されてもよい。また、例えば、自覚検査部及び他覚検査部において、測定部7からの視標光束は、光学部材(例えば、後述する凹面ミラー85)の光軸Lから外れた光路を通過して被検眼Eに導光されてもよい。例えば、本実施例において、光軸Lは凹面ミラー85の球中心に向かう軸である。なお、以下では、測定部7からの視標光束が凹面ミラー85の光軸Lから外れた経路を通過する構成を例に挙げる。すなわち、測定部7からの視標光束が凹面ミラー85の光軸Lに対して斜め方向から照射され、その反射光束が被検眼Eに導光される。
【0057】
例えば、自覚検査部は、測定部7、偏向ミラー81、駆動機構82、駆動部83、反射ミラー84、凹面ミラー85で構成される。なお、自覚検査部はこの構成に限定されない。例えば、反射ミラー84を有しない構成であってもよい。この場合には、測定部7からの視標光束が、偏向ミラー81を介した後に凹面ミラー85の光軸Lに対して斜め方向から照射されてもよい。また、例えば、ハーフミラーを有する構成であってもよい。この場合には、測定部7からの視標光束を、ハーフミラーを介して凹面ミラー85の光軸Lに対して斜め方向に照射し、その反射光束を被検眼Eに導光してもよい。なお、本実施例では凹面ミラー85を配置しているが、凹面ミラー85ではなく、凸レンズを配置した構成であってもよい。
【0058】
例えば、他覚検査部は、測定部7、偏向ミラー81、反射ミラー84、凹面ミラー85で構成される。なお、他覚検査部はこの構成に限定されない。例えば、反射ミラー84を有しない構成であってもよい。この場合には、測定部7からの視標光束が、偏向ミラー81を介した後に凹面ミラー85の光軸Lに対して斜め方向から照射されてもよい。また、例えば、ハーフミラーを有する構成であってもよい。この場合には、測定部7からの視標光束を、ハーフミラーを介して凹面ミラー85の光軸Lに対して斜め方向に照射し、その反射光束を被検眼Eに導光してもよい。なお、本実施例では凹面ミラー85を配置しているが、凹面ミラー85ではなく凸レンズを配置した構成であってもよい。
【0059】
例えば、検眼装置1は、左眼用駆動部9Lと右眼用駆動部9Rとを有し、左眼用測定部7L及び右眼用測定部7RをそれぞれX方向に移動することができる。例えば、左眼用測定部7L及び右眼用測定部7Rが移動されることによって、偏向ミラー81と測定部7との間の距離が変更され、Z方向における視標光束の呈示位置が変更される。これによって、矯正光学系60によって矯正された視標光束を被検眼Eに導光し、矯正光学系60によって矯正された視標光束の像が被検眼Eの眼底に形成されるように、測定部7をZ方向に調整することができる。
【0060】
例えば、偏向ミラー81は、左右一対にそれぞれ設けられた、右眼用の偏向ミラー81Rと左眼用の偏向ミラー81Lとを有する。例えば、偏向ミラー81は、矯正光学系60と被検眼Eとの間に配置される。すなわち、本実施例における矯正光学系60は、左右一対に設けられた左眼用矯正光学系と右眼用矯正光学系とを有しており、左眼用の偏向ミラー81Lは左眼用矯正光学系と左被検眼ELの間に配置され、右眼用の偏向ミラー81Rは右眼用矯正光学系と右被検眼ERの間に配置される。例えば、偏向ミラー81は、瞳の共役位置に配置されることが好ましい。
【0061】
例えば、左眼用の偏向ミラー81Lは、左眼用測定部7Lから投影される光束を反射し、左被検眼ELに導光する。また、例えば、左眼用の偏向ミラー81Lは、左被検眼ELで反射された反射光を反射し、左眼用測定部7Lに導光する。例えば、右眼用の偏向ミラー81Rは、右眼用測定部7Rから投影される光束を反射し、右被検眼ERに導光する。また、例えば、右眼用の偏向ミラー81Rは、右被検眼ERで反射された反射光を反射し、右眼用測定部7Rに導光する。なお、本実施例においては、測定部7から投影される光束を反射し、被検眼Eに導光する偏向部材として、偏向ミラー81を用いる構成を例に挙げて説明しているがこれに限定されない。偏向部材は、測定部7から投影される光束を反射し、被検眼Eに導光する偏向部材であればよい。例えば、偏向部材としては、プリズムやレンズ等が挙げられる。
【0062】
例えば、駆動機構82は、モータ(駆動部)等からなる。例えば、駆動機構82は、左眼用の偏向ミラー81Lを駆動するための駆動機構82Lと、右眼用の偏向ミラー81Rを駆動するための駆動機構82Rと、を有する。例えば、駆動機構82の駆動によって、偏向ミラー81は回転移動する。例えば、駆動機構82は、水平方向(X方向)の回転軸、及び鉛直方向(Y方向)の回転軸に対して偏向ミラー81を回転させる。すなわち、駆動機構82は偏向ミラー81をXY方向に回転させる。なお、偏向ミラー81の回転は、水平方向又は鉛直方向の一方であってもよい。
【0063】
例えば、駆動部83は、モータ等からなる。例えば、駆動部83は、左眼用の偏向ミラー81Lを駆動するための駆動部83Lと、右眼用の偏向ミラー81Rを駆動するための駆動部83Rと、を有する。例えば、駆動部83の駆動によって、偏向ミラー81はX方向に移動する。例えば、左眼用の偏向ミラー81L及び右眼用の偏向ミラー81Rが移動されることによって、左眼用の偏向ミラー81L及び右眼用の偏向ミラー81Rとの間の距離が変更され、被検眼Eの瞳孔間距離にあわせて、左眼用光路と右眼用光路との間のX方向における距離を変更することができる。
【0064】
なお、例えば、偏向ミラー81は、左眼用光路と右眼用光路とのそれぞれにおいて複数設けられてもよい。例えば、左眼用光路と右眼用光路とのそれぞれにおいて、2つの偏向ミラーが設けられる(例えば、左眼用光路で2つの偏向ミラー等)構成が挙げられる。この場合、一方の偏向ミラーがX方向に回転され、他方の偏向ミラーがY方向に回転されてもよい。例えば、偏向ミラー81が回転移動されることによって、矯正光学系60の像を被検眼の眼前に形成するためのみかけの光束を偏向させることにより、像の形成位置を光学的に補正することができる。
【0065】
例えば、凹面ミラー85は、右眼用測定部7Rと左眼用測定部7Lとで共有される。例えば、凹面ミラー85は、右眼用矯正光学系を含む右眼用光路と、左眼用矯正光学系を含む左眼用光路と、で共有される。すなわち、凹面ミラー85は、右眼用矯正光学系を含む右眼用光路と、左眼用矯正光学系を含む左眼用光路と、を共に通過する位置に配置されている。もちろん、凹面ミラー85は、右眼用光路と左眼用光路とで共有される構成でなくてもよい。すなわち、右眼用矯正光学系を含む右眼用光路と、左眼用矯正光学系を含む左眼用光路と、でそれぞれ凹面ミラーが設けられる構成であってもよい。例えば、凹面ミラー85は、矯正光学系を通過した視標光束を被検眼Eに導光し、矯正光学系を通過した視標光束の像を被検眼Eの眼前に形成する。なお、本実施例においては凹面ミラー85を用いる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、種々の光学部材を用いることができる。例えば、光学部材としては、レンズや平面ミラー等を用いることができる。
【0066】
例えば、凹面ミラー85は、自覚検査部と、他覚検査部と、で兼用される。例えば、自覚検査光学系25から投影された視標光束は、凹面ミラー85を介して、被検眼Eに投影される。例えば、他覚検査光学系10から投影された測定光は、凹面ミラー85を介して、被検眼Eに投影される。また、例えば、他覚検査光学系10から投影された測定光の反射光は、凹面ミラー85を介して、他覚検査光学系10の受光光学系10bに導光される。なお、本実施例においては、他覚検査光学系10による測定光の反射光が、凹面ミラー85を介して、他覚検査光学系10の受光光学系10bに導光される構成を例に挙げているがこれに限定されない。例えば、他覚検査光学系10による測定光の反射光は、凹面ミラー85を介さない構成であってもよい。
【0067】
より詳細には、例えば、本実施例においては、自覚検査部における凹面ミラー85から被検眼Eまでの間の光軸と、他覚検査部における凹面ミラー85から被検眼Eまでの間の光軸と、が少なくとも同軸で構成されている。例えば、本実施例においては、ダイクロイックミラー35によって、自覚検査光学系25の光軸L2と他覚検査光学系10の光軸L1とが合成され、同軸となっている。
【0068】
<自覚検査部の光路>
以下、自覚検査部の光路について説明する。例えば、自覚検査部は、矯正光学系60を通過した視標光束を、凹面ミラー85によって被検眼方向に反射することで被検眼Eに視標光束を導光し、矯正光学系60を通過した視標光束の像を光学的に所定の検査距離となるように被検眼Eの眼前に形成する。例えば、このとき、矯正光学系60を通過した視標光束は、凹面ミラー85の光軸Lから外れた光路を通過して凹面ミラー85へ入射し、凹面ミラー85の光軸Lから外れた光路を通過するように反射されて、被検眼Eに導光される。例えば、被検者から見た視標は、被検眼Eからディスプレイ31までの実際の距離よりも遠方にあるように見える。すなわち、凹面ミラー85を用いることで被検眼Eに対する視標の呈示距離を延長し、所定の検査距離の位置に視標光束の像が見えるように、被検者に視標を呈示することができる。
【0069】
より詳細に説明する。なお、以下の説明においては左眼用光路を例に挙げて説明するが、右眼用光路においても左眼用光路と同様の構成となっている。例えば、左眼用の自覚測定部において、左眼用測定部7Lのディスプレイ31から投影された視標光束は、投光レンズ33を介して、乱視矯正光学系63に入射する。乱視矯正光学系63を通過した視標光束は、反射ミラー36、ダイクロイックミラー35、ダイクロイックミラー29、対物レンズ14を経由して、補正光学系90に入射する。補正光学系90を通過した視標光束は、左眼用測定部7Lから左眼用の偏向ミラー81Lに向けて導光される。左眼用測定部7Lから出射されて左眼用の偏向ミラー81で反射された視標光束は、反射ミラー84により凹面ミラー85に向けて反射される。例えば、ディスプレイ31から出射した視標光束は、このように光学部材を経由することで左被検眼ELに到達する。
【0070】
これによって、左被検眼ELの眼鏡装用位置(例えば、角膜頂点位置から12mm程度)を基準として、矯正光学系60により矯正された視標が左被検眼ELの眼底上に形成される。従って、乱視矯正光学系63があたかも眼前に配置されたことと、球面度数の矯正光学系(本実施例においては、駆動機構39の駆動)による球面度数の調整が眼前で行われたことと、が等価になっており、被検者は凹面ミラー85を介して自然な状態で視標の像を視準することができる。なお、本実施例においては、右眼用光路においても、左眼用光路と同様の構成であり、左被検眼EL及び右被検眼ERの眼鏡装用位置(例えば、角膜頂点位置から12mm程度)を基準として、左右一対の矯正光学系60により矯正された視標が、両被検眼の眼底上に形成されるようになっている。このようにして、被検者は自然視の状態で視標を直視しつつ検者に対する応答を行い、視標が適正に見えるまで矯正光学系60による矯正を図り、その矯正値に基づいて自覚的に被検眼の光学特性の測定を行う。
【0071】
<他覚検査部の光路>
次いで、他覚検査部の光路について説明する。なお、以下の説明においては左眼用光路を例に挙げて説明するが、右眼用光路においても左眼用光路と同様の構成となっている。例えば、左眼用の他覚測定部において、他覚検査光学系10における投影光学系10aの光源11から出射された測定光は、リレーレンズ12から対物レンズ14までを介して補正光学系90に入射する。補正光学系90を通過した測定光は、左眼用測定部7Lから左眼用の偏向ミラー81Lに向けて投影される。左眼用測定部7Lから出射されて左眼用の偏向ミラー81で反射された測定光は、反射ミラー84によって凹面ミラー85に向けて反射される。凹面ミラーによって反射された測定光は、反射ミラー84を透過して左被検眼ELに到達し、左被検眼ELの眼底上にスポット状の点光源像を形成する。このとき、光軸周りに回転するプリズム15によって、ホールミラー13のホール部の瞳投影像(瞳上での投影光束)は高速に偏心回転される。
【0072】
左被検眼ELの眼底上に形成された点光源像の光は、反射・散乱されて被検眼Eを射出し、測定光が通過した光路を経由して対物レンズ14により集光され、ダイクロイックミラー29、ダイクロイックミラー35、プリズム15、ホールミラー13、リレーレンズ16、ミラー17までを介する。ミラー17までを介した反射光は、受光絞り18の開口上で再び集光され、コリメータレンズ19にて略平行光束(正視眼の場合)とされ、リングレンズ20によってリング状光束として取り出され、リング像として撮像素子22に受光される。受光したリング像を解析することによって、他覚的に被検眼Eの光学特性を測定することができる。
【0073】
<制御部>
図6は、本実施例に係る検眼装置1の制御系を示す図である。例えば、制御部70には、モニタ4、不揮発性メモリ75(以下、メモリ75)、測定部7が備える光源11、撮像素子22、ディスプレイ31、撮像素子52、レンズメータLM等の各種部材が電気的に接続されている。また、例えば、制御部70には、駆動部9、駆動機構39、回転機構62aと62b、駆動部83、回転機構92aと92bがそれぞれ備える図示なき駆動部が電気的に接続されている。
【0074】
例えば、制御部70は、CPU(プロセッサ)、RAM、ROM、等を備える。例えば、CPUは、検眼装置1における各部材の制御を司る。例えば、RAMは、各種の情報を一時的に記憶する。例えば、ROMには、検眼装置1の動作を制御するための各種プログラム、各種検査のための視標データ、初期値等が記憶されている。なお、制御部70は、複数の制御部(つまり、複数のプロセッサ)によって構成されてもよい。
【0075】
例えば、メモリ75は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体である。例えば、メモリ75としては、ハードディスクドライブ、フラッシュROM、USBメモリ、等を使用することができる。例えば、メモリ75には、自覚検査部及び他覚検査部を制御するための制御プログラムが記憶されている。
【0076】
<制御動作>
図7に基づいて、検眼装置1の制御動作を検査手順とともに説明する。
【0077】
(S1:前眼鏡度数測定)
検眼装置1での自覚検査にあたって、検者は、レンズメータLMなどの度数測定装置を用いて被検者の前眼鏡(現在装用している眼鏡)の度数を測定しておく。レンズメータLMは、眼鏡レンズの球面度数、円柱度数、円柱軸を取得する。また、レンズメータLMは、眼鏡の光軸間距離を取得することもできる。また、レンズメータLMはコンタクトレンズの測定も可能である。例えば、制御部70は、前眼鏡の度数、光軸間距離などをレンズメータLMから取得する。このように、制御部70は、屈折矯正器具の度数情報を取得する情報取得部として機能する。なお、眼鏡度数の測定は、検眼装置1での検査前でもよいし、検査後でもよい。制御部70は、レンズメータLMによって眼鏡度数が測定された後、任意のタイミングで前眼鏡の度数情報を取得する。
【0078】
(S2:装用自覚検査)
続いて、前眼鏡を装用した状態(装用状態)における被検眼Eの自覚検査を行う。検者は、被検眼Eに固視標を呈示するとともに、被検眼Eの角膜にアライメント指標像を投影して被検眼Eと測定部7のアライメントを完了させる。アライメントが完了すると、制御部70は、検者の操作に応じてディスプレイ31に検査視標を表示させ、被検眼Eに検査視標を投影する。
【0079】
例えば、検者は、被検者に表示した検査視標の向き(例えば、ランドルト環視標のすき間の向き)を問い、被検者の回答を考慮しながら、装用状態における被検眼Eを追加的に矯正するための追加矯正度数が適切であるかを確認する。被検者の回答が間違っており、追加矯正度数が不適切であれば、度数を変更し、再度、適切であるかを確認する。
【0080】
制御部70は、操作信号に応じて自覚検査光学系25における投光光学系30と矯正光学系60の少なくともいずれかを制御し、装用状態における被検眼Eの眼屈折度が所定のディオプタ値(例えば、0D等)となるように追加的に矯正する。例えば、制御部70は、ディスプレイ31を光軸L2方向へ移動させて、被検眼Eの球面度数を矯正してもよいし、円柱レンズ61aと61bを光軸L2周りに回転させて、被検眼Eの円柱度数と乱視軸角度の少なくともいずれかを矯正してもよい。
【0081】
検者は、追加矯正度数の変更と、被検者への見え方の確認を繰り返す。これによって、装用状態における被検眼Eの眼屈折度が所定のディオプタ値に追加矯正されるとともに、そのときの追加矯正度数(つまり屈折誤差)が取得される。
【0082】
なお、自覚検査の前に他覚検査を行ってもよい。例えば、制御部70は、他覚検査光学系10の他覚検査によって、装用状態における被検眼Eの光学特性(すなわち、オーバーレフ値)を取得してもよい。この場合、制御部70は、オーバーレフ値に基づいて、自覚検査前に予め装用状態における被検眼Eを追加的に矯正してもよい。
【0083】
(S3:眼鏡処方値算出)
装用自覚検査によって装用状態における屈折誤差が取得されると、制御部70は、屈折誤差と、レンズメータLMによって取得された眼鏡度数とに基づいて適正な眼鏡の処方値を計算する。例えば、前眼鏡の度数をS(lens)、C(lens)、A(lens)とすると、sin成分、cos成分、等価球面度数を使って次式(1)のように、ジャクソンクロスシリンダの3成分に分離して表すことができる。
【数1】
【0084】
ここで、M(lens)は等価球面度数、J45(lens)は45度斜め方向の乱視度数、J180(lens)は水平垂直方向の乱視度数である。同様に、検眼装置1にて装用状態で測定した時の度数をS(o-ref)、C(o-ref)、A(o-ref)とすると、次式(2)のように表すことができる。
【数2】
【0085】
このとき、より適した眼鏡度数のパラメータ(S(optim)、C(optim)、A(optim)、)としては、式(1)、式(2)の加算となり、次式(3)のように表すことができる。
【数3】
【0086】
式(3)から、新しい眼鏡の処方値は、次式(4)のように表すことができる。
【数4】
【0087】
制御部70は、上記の式によって新しい眼鏡の処方値を算出し、その処方値を出力する。例えば、制御部70は、モニタ4に処方値を表示させてもよいし、プリンターによって処方値を印刷してもよいし、外部装置に処方値を送信してもよい。検者は、出力された処方値に基づいて新しい眼鏡を作製する。
【0088】
以上のように、本実施例の検眼装置1は、前眼鏡の装用状態における被検者に対して自覚検査を行うことによって、あとどの程度の度数を前眼鏡に追加すればよいかを容易に取得することができる。また、装用状態での自覚検査結果と、前眼鏡の度数とを用いて、より適正な眼鏡の処方値を算出することができる。前眼鏡の装用状態で検査を行うことによって、従来のように裸眼で検査を行う場合に比べて、検査時と、新しく処方された眼鏡の装用時とで見え方の差が生じにくく、被検者に与える違和感を抑えることができる。また、被検者は、前眼鏡の装用状態における追加矯正によって見え方か改善した場合、新たな眼鏡の必要性を認識できる。
【0089】
なお、以上の実施例のように、屈折矯正器具を装用した状態で自覚検査を行うことによって、検眼可能な度数範囲を拡大することができる。例えば、S値の測定範囲が-15~+15Dであるとすると、-20Dの被検者を裸眼で検査することはできないが、-10Dの屈折矯正器具を装用させた状態で検査を行った場合、実質的に測定範囲が-25D~+5Dとなるため、-20Dの被検者でも検査可能となる。これは、C値でも同様である。
【0090】
なお、本実施例のように装置内部で視標の度数を変化させることができるため、物理的に眼鏡レンズに屈折度数を変化させる光学部材を付加する必要がない。これによって、VD(角膜頂点距離)などのずれが少なく、より実際の眼鏡に近い見え方で自覚検査を行うことができる。
【0091】
なお、一般的に眼鏡には前傾角とそり角が存在する。前傾角は、例えば、鉛直方向に対する眼鏡レンズ面の角度である。そり角は、例えば、眼鏡のブリッジに沿って水平な方向に対する眼鏡レンズ面の角度である。前傾角とそり角によって円柱度数および円柱軸が変化する場合があり、特に度数の大きい眼鏡では顕著である。例えば、裸眼状態の被検者の眼前に光学素子を切り換え配置して自覚検査を行う装置(いわゆる、レフラクター)を用いる場合、前傾角およびそり角がない状態で測定することになるため、実際の眼鏡を作製したときの見え方とは違うことがある。本実施例の検眼装置においては、前傾角およびそり角の影響下における装用状態での自覚検査結果に基づいて眼鏡処方値を決定するため、裸眼で検査する場合に比べて、前傾角およびそり角があるときの見え方を考慮した眼鏡を提供できる。
【0092】
なお、検眼装置1は、被検眼Eの瞳孔径を測定してもよい。例えば、検眼装置1は、観察光学系50によって撮影された被検眼Eの前眼部画像を解析処理することによって、瞳孔径を取得してもよい。例えば、制御部70は、前眼部画像の輝度分布に基づいて瞳孔径を取得してもよい。
【0093】
なお、瞳孔径を測定する場合、眼鏡の装用状態においては眼鏡レンズの度数に応じて瞳孔径のサイズが拡大または縮小されてしまう。例えば、マイナス度数のレンズが入っている場合は画像上の瞳孔径が小さく写り、プラス度数のレンズが入っている場合は画像上の瞳孔径が大きく写る。そこで、制御部70は、レンズメータLMなどによって予め取得された眼鏡度数に基づいて、瞳孔径を補正してもよい。例えば、制御部70は、眼鏡レンズの度数毎に予め設定された補正値を用いて補正計算を行うことによって、前眼部画像の解析によって取得された瞳孔径を補正してもよい。例えば、眼鏡レンズがマイナス度数だった場合は瞳孔径が度数に応じて大きくなるように補正し、眼鏡レンズがプラス度数だった場合は瞳孔径が度数に応じて小さくなるように補正する。これによって、屈折矯正器具を装用した状態であっても、より正確な瞳孔径を取得することができる。
【0094】
なお、制御部70は、撮像光学系100によって撮影された顔画像から瞳孔径を算出してもよい。この場合も、眼鏡レンズの度数に応じて瞳孔径を補正してもよい。
【0095】
なお、レンズ度数が適正な眼鏡を装用した状態で自覚検査を行ったにも関わらず、被検眼の見え方が良くない場合、眼鏡のフィッティングが不適正なことがある。例えば、VDが正しくセットされていない可能性がある。このような場合、制御部70は、眼鏡のフィッティングが不適正であることを検者に報知してもよい。例えば、制御部70は、VDが適正値に対してどれ程ずれているかを報知してもよい。例えば、-10Dの眼鏡を作製し、自覚検査を実施した結果、0.2Dのずれが生じた場合、制御部70は、VDが2mm程度合っていない旨の警告等をモニタ4に表示させてもよい。これによって、検者は、眼鏡のフィッティングが不適正であることを容易に把握することができる。
【0096】
なお、例えば、VD=12mmの眼鏡を作製する際に、自覚検査中に装用している眼鏡がVD=12mmでない場合(例えば、仮枠でVDがずれている場合)、制御部70は、VDのずれ量だけ視標の屈折力を補正してもよい。
【0097】
なお、制御部70は、被検者のPD(瞳孔間距離)と眼鏡レンズの光軸間距離とのずれを検出してもよい。例えば、制御部70は、撮像光学系100によって撮影された被検者の顔画像に基づいてPDを算出する。そして、制御部70は、算出した被検者のPDと、レンズメータLMによって測定された眼鏡の光軸間距離とを比較し、これらの差が所定以上である場合は眼鏡レンズの光軸間距離が適していない旨をモニタ4などに表示してもよい。なお、被検者のPDと眼鏡の光軸間距離だけでなく、被検眼の視軸と眼鏡レンズの光軸とのXY(上下左右)方向の光軸ずれを検出してもよい。
【0098】
なお、制御部70は、被検者に対して累進レンズが適正か否かを判定してもよい。例えば、制御部70は、遠用検査と近用検査とでそれぞれアイポジション(眼鏡フレームに対する眼の位置)を測定しておき、各検査でのアイポジションと、累進レンズの累進帯長が適正か否かを判定してもよい。例えば、制御部70は、アイポジションの移動量と眼鏡レンズの累進帯長を比較し、所定以上の差がある場合は累進レンズが適していない旨をモニタ4などに表示させることで検者に報知してもよい。なお、遠用検査と近用検査との切り換えは、例えば、偏向ミラー81による輻輳角を変更と、矯正光学系60による視標呈示位置の変更とによって行われる。
【0099】
なお、制御部70は、前眼鏡に対し、矯正光学系60によって度数を付加することで累進レンズのための加入度測定を行ってもよい。例えば、制御部70は、マイナス度数の前眼鏡を装用した被検眼に対して、矯正光学系60によってプラス度数(加入度)を付加したときの見え方を確認することによって、適切な加入度を求めてもよい。
【0100】
なお、上記の実施例において、屈折矯正器具として眼鏡について説明したが、コンタクトレンズであってもよいし、仮枠(トライアルフレーム)であってもよい。この場合も上記と同様に、屈折矯正器具を装用した状態で度数を微調整することで、最終的な処方値を決定することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 検眼装置
2 筺体
4 モニタ
5 顎台
7 測定部
10 他覚検査光学系
25 自覚検査光学系
30 投光光学系
45 第1指標投影光学系
46 第2指標投影光学系
50 観察光学系
60 矯正光学系
70 制御部
75 メモリ
90 補正光学系
100 撮像光学系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7