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特許7600990ウェアラブル装置、清掃システム及び清掃方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ウェアラブル装置、清掃システム及び清掃方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/10 20140101AFI20241210BHJP
   H02S 10/40 20140101ALI20241210BHJP
【FI】
H02S40/10
H02S10/40
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021537599
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(86)【国際出願番号】 JP2020021761
(87)【国際公開番号】W WO2021024596
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-04-17
(31)【優先権主張番号】P 2019145937
(32)【優先日】2019-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(72)【発明者】
【氏名】平野 圭一
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-102687(JP,U)
【文献】特開2015-128753(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012402(WO,A1)
【文献】特開2012-195520(JP,A)
【文献】国際公開第2016/027748(WO,A1)
【文献】特開2002-135996(JP,A)
【文献】特開平08-223062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/10-40/12
H02S 10/40
A01K 13/00
B08B 1/00-1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外力が与えられることにより回転し、光透過性を有する回転部と、
前記回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、
前記回転部の内部に収容される太陽電池パネルと、
を備えるウェアラブル装置。
【請求項2】
ウェアラブル装置と、清掃部を有する当接部と、を備える清掃システムであって、
前記ウェアラブル装置は、
外力が与えられることにより回転する回転部と、
前記回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、
前記当接部に対して当接した状態で前記回転部を取り付け可能な取り付け部と、
太陽電池パネル用の光を受光する受光部と、
を有し、
前記回転部が回転することで、前記回転部と前記清掃部とが摺動することにより、前記受光部が清掃され
前記受光部は、前記回転部の外面に取り付けられた太陽電池パネルを有する
清掃システム。
【請求項3】
ウェアラブル装置と、清掃部を有する当接部と、を備える清掃システムであって、
前記ウェアラブル装置は、
外力が与えられることにより回転する回転部と、
前記回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、
前記当接部に対して当接した状態で前記回転部を取り付け可能な取り付け部と、
太陽電池パネル用の光を受光する受光部と、
を有し、
前記回転部が回転することで、前記回転部と前記清掃部とが摺動することにより、前記受光部が清掃され、
前記回転部は、光透過性を有するとともに、内部に太陽電池パネルを収容し、
前記受光部は、前記回転部の外面である
清掃システム。
【請求項4】
前記清掃部は、動物の体毛である
請求項2又は3に記載の清掃システム。
【請求項5】
前記取り付け部が前記回転部から離れる方向及び前記回転部に近づく方向の少なくともいずれか一方の方向に力が働いた際に、前記力を、前記回転部を回転させる回転エネルギーに変換するエネルギー変換部を更に有する
請求項2又は3に記載の清掃システム。
【請求項6】
前記取り付け部が前記回転部から離れる方向又は前記回転部に近づく方向に外力が働いた際に、前記回転部の回転を促進する回転促進部を更に有する
請求項2又は3に記載の清掃システム。
【請求項7】
前記ウェアラブル装置が取り付けられる取り付け対象の動きに応じて、前記外力が与えられる
請求項2又は3に記載の清掃システム。
【請求項8】
前記取り付け対象が、放牧される家畜である
請求項に記載の清掃システム。
【請求項9】
前記太陽電池パネルは、携帯型の太陽電池パネルである
請求項2又は3に記載の清掃システム。
【請求項10】
外力が与えられることにより回転する回転部と、前記回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、清掃部を有する当接部に対して当接した状態で前記回転部を取り付け可能な取り付け部と、太陽電池パネル用の光を受光する受光部と、を有するウェアラブル装置を、前記清掃部によって清掃する清掃方法であって、
前記回転部を、前記当接部と当接した状態で取り付けるとともに、前記回転部の回転を前記回転規制部により一方向に規制し、前記回転部が前記一方向に回転することで、前記回転部と前記清掃部とが摺動することにより、前記受光部が清掃される
清掃方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ウェアラブル装置、清掃システム及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルは、設置後、ある程度の期間が経過すると、埃や汚れが蓄積されて発電効率が落ちるという問題がある。そこで、例えば、下記の特許文献1には、人手を介さずに太陽電池パネルの採光面を自動的に清掃する技術が開示されている。この特許文献1に開示されている技術によれば、発電効率が許容値よりも低下した場合に清掃機構により自動的に清掃を行う為、清掃の為の電力消費を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-136864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている清掃機構は、モータに電力を供給することで作動するものであり、清掃の際に電力を消費するという問題がある。そこで、電力を使用しないで太陽電池パネルの採光状態を良好に保つ技術が望まれる。
【0005】
したがって、本開示の目的の一つは、エネルギーコストをかけることなく太陽電池パネルの採光状態を良好に保つことができるウェアラブル装置、清掃システム及び清掃方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、
外力が与えられることにより回転し、光透過性を有する回転部と、
回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、
回転部の内部に収容される太陽電池パネルと、
を備えるウェアラブル装置である。
また、本開示は、
ウェアラブル装置と、清掃部を有する当接部と、を備える清掃システムであって、
ウェアラブル装置は、
外力が与えられることにより回転する回転部と、
回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、
当接部に対して当接した状態で回転部を取り付け可能な取り付け部と、
太陽電池パネル用の光を受光する受光部と、
を有し、
回転部が回転することで、回転部と清掃部とが摺動することにより、受光部が清掃され
受光部は、回転部の外面に取り付けられた太陽電池パネルを有する
清掃システムである。
また、本開示は、
ウェアラブル装置と、清掃部を有する当接部と、を備える清掃システムであって、
ウェアラブル装置は、
外力が与えられることにより回転する回転部と、
回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、
当接部に対して当接した状態で回転部を取り付け可能な取り付け部と、
太陽電池パネル用の光を受光する受光部と、
を有し、
回転部が回転することで、回転部と清掃部とが摺動することにより、受光部が清掃され、
回転部は、光透過性を有するとともに、内部に太陽電池パネルを収容し、
受光部は、回転部の外面である
清掃システムである。
【0007】
また、本開示は、
外力が与えられることにより回転する回転部と、回転部の回転を一方向に規制する回転規制部と、清掃部を有する当接部に対して当接した状態で回転部を取り付け可能な取り付け部と、太陽電池パネル用の光を受光する受光部と、を有するウェアラブル装置を、清掃部によって清掃する清掃方法であって、
回転部を、当接部と当接した状態で取り付けるとともに、回転部の回転を回転規制部により一方向に規制し、回転部が一方向に回転することで、回転部と当接部とが摺動することにより、受光部が清掃される
清掃方法である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る回転装置の構成例を示す外観図である。
図2図2は、第1実施形態に係る回転装置の構成例を示す正面図、右側面図、平面図及び底面図である。
図3図3は、回転部の他の構成例を示す模式図である。
図4図4は、回転装置による清掃の仕組みを説明する為の説明図である。
図5図5は、回転装置を適用可能なIoA装置の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、IoA装置の運用例について説明する為の説明図である。
図7図7は、第2実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。
図8図8は、第3実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。
図9図9は、第4実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。
図10図10は、第4実施形態に係る回転装置の他の構成例を示す図である。
図11図11は、第4実施形態に係る回転装置の他の構成例を示す図である。
図12図12は、第5実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。
図13図13は、第6実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。
図14図14は、第7実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。説明は、以下の順序で行う。なお、本明細書及び図面において、同一又は対応する構成要素には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
<1.第1実施形態>
<2.第2実施形態>
<3.第3実施形態>
<4.第4実施形態>
<5.第5実施形態>
<6.第6実施形態>
<7.第7実施形態>
<8.変形例>
【0010】
<1.第1実施形態>
図1は、本開示の第1実施形態に係る回転装置の構成例を示す外観図である。図1に示す回転装置1は、羊に装着させるウェアラブル装置に適用したものである。つまり、回転装置1は、羊を取り付け対象としている。なお、取り付け対象は、羊に限らず、牛、山羊等の放牧される他の動物であってもよいし、鶏、ダチョウ等の放し飼いにされる鳥類であってもよい。また、このような家畜に限らず、犬、猫等のペットであってもよい。例えば、この回転装置1は、図示するように、首輪等を用いて首にぶら下げて使用される。回転装置1の取り付け箇所は、首に限らず、耳、足、腹、尻尾等の他の部位であってもよい。なお、図1においては、説明を容易とする為、羊の体格と比較して、回転装置1を大きめに描いているが、実際には、回転装置1は、装着した羊がストレスを受けない程度の大きさで構成されている。
【0011】
図2は、第1実施形態に係る回転装置1の構成例を示す正面図、右側面図、平面図及び底面図である。なお、背面図は正面図と同様で、左側面図は右側面図と同様であり、ここでは図示を省略する。図示するように、回転装置1は、取り付け部としての装着部2と、回転規制部3と、回転部4とを有している。
【0012】
装着部2は、回転装置1を取り付け対象たる羊に取り付ける(装着する)為の構造を有しており、当接部の一例としての羊の体と当接可能な状態で回転部4を取り付け可能に構成されている。なお、当接可能な状態とは、後述する羊の動き等の外力が与えられることにより回転部4が当接部と当接する状態であり、外力が与えられていない状態(回転装置1が静止状態)においては、回転部4は当接部と当接していても良いし、当接していなくても良い。例えば、この装着部2は、金属等の耐久性の高い材料を用いて構成される。具体的には、装着部2は、棒状の軸部21の一端側に、首輪(ベルト)を挿通可能な穴22を有している。穴22が形成された部材と軸部21とは、ピン等の可動部23で互いに軸支されており、回転部4が可動部23を軸にして、全体として揺動可能に構成されている。なお、装着部2の形状、位置等は、同様の機能を有するものであれば、図示したもの以外であってもよい。
【0013】
回転規制部3は、回転方向を一方向に規制する機能を有するものである。例えば、この回転規制部3は、装着部2と同様、金属等の耐久性の高い材料を用いて構成される。具体的には、回転規制部3は、円環状のワンウェイクラッチで構成され、装着部2の軸部21を挿通させて、軸部21の一端側に取り付けられる。なお、回転規制部3は、ラチェット機構、又は自転車のフリーホイールのような機構等、他のメカニカル構造を用いて回転方向を規制するものであってもよい。回転規制部3の構造は、特に限定されるものではないが、屋外での使用に耐え得るように、塵や埃等に強い構造とすることが好ましい。
【0014】
回転部4は、回転装置1を羊に装着した状態で一方向に回転可能なように構成される部材である。例えば、この回転部4は、樹脂等の加工性に優れた軽量かつ比較的丈夫な材料を用いて構成される。具体的には、回転部4は、八角柱状の外面を有しており、柱体の中心線上に装着部2の軸部21が位置し、且つ、軸部21を中心として回転可能に軸部21に取り付けられる。なお、この回転部4と軸部21との間には、前述した回転規制部3が介在しており、回転部4の回転が規制される。具体的には、回転部4は、回転規制部3により、回転方向が一方向(柱体の中心軸を軸とした右周り方向又は左周り方向)に規制される。
【0015】
回転部4は、外面に太陽電池パネルPを有している。この太陽電池パネルPは、携帯型(羊が携帯可能な小型)のものである。具体的には、回転部4には、図示するような八角柱状の外面のうち、側面を構成する8つの外面(外面41A~外面41H)の各面に、それぞれ太陽電池パネルPが取り付けられている。なお、各太陽電池パネルPは、採光面が外側に位置する状態で取り付けられる。例えば、回転装置1は、太陽電池パネルPにより得られた電力を電気・電子回路に供給可能に構成されている。なお、太陽電池パネルPは、8つの外面の全てではなく一部に(例えば、2面毎に計4つ)取り付けられていてもよい。
【0016】
ところで、回転部4は、図1及び図2に示す形状に限らない。図3は、回転部4の他の構成例を示す模式図である。例えば、回転部4は、図3Aに示すように、八角柱以外の多角柱状で構成されていてもよいし、図3Bに示すように円柱状に構成されていてもよい。また、図3Cに示すように、円錐状に構成されていてもよいし、多角錐状に構成されていてもよい。更に、図3D及び図3Eに示すように、それ以外の異形で構成されていてもよい。また、図3Fに示すように、回転部4は、例えば8個の側面を有する台形すい台状の形状であっても良い。回転部4を図3Fに示す形状とすることにより、側面に貼り合わせた太陽電池パネルPに対して、他の形状(図3A図3Bに示す形状)に比べて太陽光を入射し易くすることができる。また、側面が曲面でなく平面であるので、曲げることが不可能な太陽電池パネルPを適用することができる。また、図3Fに示す形状は、一般に羊のベルトに取り付けられるベルと形状が似ていることから、回転装置1が取り付けられることにより羊に与えられるストレスを軽減することができる。例えば、回転部4は、回転装置1を装着対象に装着した場合に、装着対象が傷つかないように、角を取った形状とすることが有用である。また、太陽電池パネルPの発電効率が上がるような面(例えば、発電効率の良い固定の角度を持った面又は変動する角度を持った面)を持つ形状をとることも有用である。また、例えば、回転部4は、内部に空間を有する形状(例えば、箱状、筒状等)であってもよい。なお、太陽電池パネルPは、平面状のものに限らず、曲面状のものであってもよい。
【0017】
以上の構造を有することにより、回転装置1は、太陽電池パネルPの採光状態を良好に保つ機能を実現する。具体的には、回転装置1は、羊の動作から得られる外力を清掃にかかるエネルギーに変換し、変換したエネルギーによって太陽電池パネルPの採光面が清掃される構造を有することで、採光状態を良好に保つことを実現している。
【0018】
図4は、回転装置1による清掃の仕組みを説明する為の説明図である。状態Aは、羊が静止している状態である。なお、回転装置1は、回転規制部3により、破線矢印方向にのみ回転する。この状態で、回転装置1の回転部4の外面41A(図2を参照)が、羊の胸の毛に接触しているとする。動作ケースXにおける状態B1は、羊の視点で、羊が左方向に体を動かす場合である。羊の視点で、羊が左方向に体を動かすと、回転装置1の慣性によって、回転装置1が羊の視点で右側に傾く方向に力が働く。この際、回転装置1の外面41Aと羊の胸の毛との間に摩擦力が発生するが、回転規制部3によって回転装置1(回転部4)の回転が規制されていることで、摩擦力によって回転装置1の外面41Aが清掃される。
【0019】
次に、状態B1から状態B2にかけて、傾いた回転装置1が、重力によって振り子運動を開始する。この際、回転装置1の外面41Aと羊の胸の毛の間に再び摩擦力が発生するが、ここでは回転規制部3によって回転装置1の回転が規制されず、摩擦力によって回転装置1が回転し、回転装置1と羊の胸の毛とが接触する面は、外面41Aから外面41B、若しくは別の面(どれだけ回転するかによって決まる)に変わる。
【0020】
更に、回転装置1に振り子運動を継続するだけのエネルギーがまだ残されていた場合、状態B2から状態B3にかけて、回転装置1の振り子運動は継続され、その残りのエネルギーは、回転装置1の清掃、もしくは回転に利用される。
【0021】
動作ケースYにおける状態C1は、羊の視点で羊が右方向に体を動かす場合であり、回転装置1の回転、清掃の順序は異なるものの、羊の動作から得られるエネルギーを、回転エネルギーと清掃エネルギーとに交互に変換することで、回転装置1の各面を順次清掃していくという挙動は、前述した動作ケースXと同じである。
【0022】
動作ケースX及び動作ケースYにおいて、振り子運動が終了すると、それぞれ、状態Aの静止状態に戻ることになる。これにより、羊の動きに応じて、回転部4の外面に取り付けられている太陽電池パネルPの採光面が清掃されることになる。つまり、回転装置1を用いた場合、羊の体毛が太陽電池パネルPを清掃する清掃部として機能する。
【0023】
このように、本実施形態においては、当接部の一例たる羊の体は、清掃部としての体毛を有している。また、回転装置1の回転部4の外面には、太陽電池パネルPが取り付けられている。つまり、回転装置1は、前述した回転部4と、回転部4の回転を規制する回転規制部3と、羊の体と当接可能な状態で回転部4を羊の体に取り付け可能な装着部2とを有しており、回転部4と羊の体とが当接することによって、太陽電池パネル用の光を受光する受光部としての太陽電池パネルPと、太陽電池パネルPを清掃する羊の体毛とが当接する構造を有している。その為、前述した羊の動きによって、回転部4と羊の体(本実施形態では、羊の体毛)とが摺動し(接触した状態ですり動き)、これにより、回転部4の外面に取り付けられている太陽電池パネルPが清掃され、太陽電池パネルPの採光状態が良好に保たれる。
【0024】
この回転装置1は、例えば、メンテナンスフリーの羊の行動センシングIoA(Internet of Animals)装置に適用することができる。
【0025】
図5は、回転装置1を適用可能なIoA装置の構成例を示すブロック図である。図2に示すIoA装置10は、回転装置1、バッテリ11、電源管理部12、中央処理装置13、通信部14及びセンサ15を備えている。
【0026】
発電部としての回転装置1は、前述したように、装着部2、回転規制部3及び8つの太陽電池パネルPが取り付けられている回転部4を有しており、8つの太陽電池パネルPによって発電した電力を電源管理部12に供給可能に構成されている。
【0027】
バッテリ11は、回転装置1で発電された電力を、電源管理部12を介して蓄えるとともに、必要に応じてIoA装置10を構成する各要素に電力を供給する電源として機能するものである。具体的には、バッテリ11は、ボタン型リチウムイオン電池等の二次電池で構成される。
【0028】
電源管理部12は、IoA装置10の電源を管理する機能を有している。具体的には、電源管理部12は、回転装置1、バッテリ11及び中央処理装置13と接続されており、回転装置1の発電及びバッテリ11の充放電を管理するとともに、中央処理装置13、通信部14及びセンサ15に適宜、電力を供給して、中央処理装置13による処理を可能とする。
【0029】
中央処理装置13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)で構成され、センシング処理等の各種処理を行う機能を有している。具体的には、中央処理装置13は、AI(人工知能)16を制御する機能を有しており、センサ15から供給されるセンシングデータを用いて羊の行動をAI16によって解釈し、解釈した結果を、通信部14を介して無線により伝送可能な構成を有している。
【0030】
通信部14は、遠隔地の情報処理装置(具体的には、クラウド側装置)にデータを送信する為の送信機能を有している。例えば、通信部14による通信方式としては、LPWA(Low Power Wide Area)が挙げられる。なお、通信部14は、必要に応じて受信機能を有していてもよい。
【0031】
センサ15は、センシングデータを出力する機能を有している。例えば、センサ15は、中央処理装置13によって、定期的にセンシングデータを出力するように制御される。センシングデータは、特定のものに限定される訳ではないが、例えば、羊がいる場所の環境(具体的には、音声、画像、位置、気温、湿度、気圧、日照、降雨、風等)を測定するものや、羊の状態(例えば、体温、心拍数、呼吸数、血圧、血糖値、皮膚の電気活動等)を測定するものが挙げられる。複数種類のセンシングデータを測定する構成であってもよい。
【0032】
なお、バッテリ11、電源管理部12、中央処理装置13、通信部14及びセンサ15は、回転装置1と一体的(例えば、回転部4に設けられた内部空間内)に設けられていてもよいし、一部又は全部が回転装置1とは別体として設けられていてもよい。
【0033】
図6は、IoA装置10の運用例について説明する為の説明図である。具体的には、図6は、IoA装置10を放牧中の羊に取り付けて運用しているイメージを示している。羊は、日当たりの良い牧草地に放牧されており、羊の行動から得られる外力によって、太陽電池パネルPの清掃を行いつつ、また、昼間は回転装置1の有する清掃済みの太陽電池パネルPで効率よく発電した電力をバッテリ11に蓄えることができ、安定した電源を確保することができる(図5を参照)。安定した電源を確保したうえで、羊の行動をセンサ15で取得し、中央処理装置13上で動作する人工知能16で羊の行動を解釈し、解釈した結果を、通信部14を介して無線で伝送することができ(図5を参照)、メンテナンスフリーで羊の行動をクラウドにアップロードするIoA装置10が実現される。
【0034】
このように、回転装置1を用いることで、太陽電池パネルPで電力をエナジーハーベストしつつ、太陽電池パネルPの清掃にかかるエネルギーを外力(羊の動き)からエナジーハーベストすることができる。したがって、人手や電力をかけずに太陽電池パネルPを清掃することができる。
【0035】
また、外力を電気変換せずに清掃にかかるエネルギーに変換しているため、外力を電気変換する構成を有するものと比較して、エネルギー変換効率を高めることができる。
【0036】
更に、太陽電池パネルPへの汚れの付着を防ぐことで、長期間安定した太陽電池発電を行うことができるようになる。これにより、例えば、バッテリ11を適宜、充電することができ、長期間安定して放牧動物をセンシングして無線でデータを転送するIoAシステムを実現することができる。
【0037】
<2.第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。図7に示す回転装置1Aは、太陽電池パネルPの取り付け箇所が前述した第1実施形態の回転装置1とは相違する。本実施形態で記載した以外の点は、基本的に前述した第1実施形態の回転装置1と同様であり、説明を省略する。
【0038】
図示するように、回転装置1Aは、回転部4の外面ではなく、回転部4の内部空間に太陽電池パネルPを有している。具体的には、太陽電池パネルPは、装着部2の軸部21に固定されている。軸部21の一端側には、回転規制部3を介して回転部4が取り付けられ、他端側は、回転部4に取り付けられたベアリング等により構成される軸受部5に支持されている。なお、回転部4は、光を透過する、ガラス等の透明な材料、もしくはそれに類する材料によって形成されており、太陽電池パネルPに光を供給できる構造(光透過性を有する構造)を有している。具体的には、回転部4は、内面によって形成される収容部を有しており、軸部21に固定された太陽電池パネルPが、その収容部に収まるように構成されている。
【0039】
前述したように、当接部の一例たる羊の体は、清掃部としての体毛を有している。また、本実施形態においては、回転装置1Aの回転部4は、光透過性を有するとともに、内部に太陽電池パネルPを収容している。つまり、回転装置1Aは、前述した回転部4と、回転部4の回転を規制する回転規制部3と、羊の体と当接可能な状態で回転部4を羊の体に取り付け可能な装着部2とを有しており、回転部4と羊の体とが当接することによって、太陽電池パネル用の光を受光して透過する受光部としての回転部4の外面と、これを清掃する羊の体毛とが当接する構造を有している。その為、前述した羊の動きによって回転部4と羊の体(本実施形態では、羊の体毛)とが摺動し、回転部4の外面が清掃されることになる。回転部4の外面によって受光された光は、回転部4を透過して太陽電池パネルPに供給される。したがって、太陽電池パネルPの採光状態が良好に保たれる。
【0040】
つまり、光透過性を有する回転部4に太陽電池パネルPが収容される構造を有することで、太陽電池パネルPへの汚れの付着を防止することができる。回転部4は、外面に汚れが付着しても、前述したように外力により清掃される為、汚れのない状態を保持することができ、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0041】
また、装着部2の軸部21は、基本的には回転しない為、太陽電池パネルPを効率的に設置することができる。つまり、光が当たらない部分にまで太陽電池パネルPを設ける必要がなくなる。したがって、例えば、太陽電池パネルPが高額なことなどを理由として、回転部4の外周の全面に取り付けることができないような場合に有用である。また、太陽電池パネルPの採光面が摩擦によって劣化してしまうようなケースにおいても有用である。また、回転部4内部に太陽電池パネルPを収容できるので、太陽電池パネルPを保護することが可能である。
【0042】
<3.第3実施形態>
図8は、第3実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。図8に示す回転装置1Bは、太陽電池パネルPが別体構造である点が前述した第1実施形態の回転装置1とは相違する。本実施形態で記載した以外の点は、基本的に前述した第1実施形態の回転装置1と同様であり、説明を省略する。
【0043】
図示するように、回転装置1Bは、回転部4の外面に太陽電池パネルPを有しておらず、替わりに太陽電池パネルPの採光面を清掃する機能を有する清掃体42を有している。例えば、清掃体42は、清掃ブラシ、不織布、又は汚れ吸着用のモップ等で構成することができる。具体的には、回転装置1Bの回転部4は、側面を構成する外面全体に清掃体42を有している。なお、清掃体42は、回転部4の側面を構成する外面に部分的に設けられていてもよい。
【0044】
太陽電池パネルPは、羊の体(図示した例では、胴体部)に取り付けられている。なお、図8に示すように、本実施形態の太陽電池パネルPは、携帯型でなくても構わない。例えば、太陽電池パネルPは、ベルト等の装着具(図示略)を介して羊に取り付けることができる。なお、太陽電池パネルPの取り付け箇所は、胴体部に限定される訳ではなく、首、胸、背中、尻等であってもよい。
【0045】
回転装置1Bは、静止状態において、羊に取り付けた太陽電池パネルPに光が当たり、羊が動いた場合に、その太陽電池パネルPの採光面が清掃される状態に取り付けられる。なお、図示した例では、羊の左胴体部に2つの回転装置1Bが装着され、各々が振り子運動によって太陽電池パネルPを清掃する構造を有しているが、このような構造に限定されるものではない。例えば、回転装置1Bの数は、1つであっても、3つ以上であってもよい。また、振り子運動でなく羊の体を前後にスライドする往復運動を行う構造を有していてもよい。この場合、回転装置1Bによって清掃される範囲を広くすることができる。
【0046】
このように、本実施形態では、回転部4が当接される当接部は、羊の体に取り付けられた太陽電池パネルPであり、受光部は、当該太陽電池パネルPと同一の太陽電池パネルPである。また、回転装置1Bの回転部4は、清掃部としての清掃体42を有している。つまり、回転装置1Bは、前述した回転部4と、回転部4の回転を規制する回転規制部3と、羊の体と当接可能な状態で回転部4を羊の体に取り付け可能な装着部2とを有しており、回転部4と羊の体とが当接することによって、太陽電池パネル用の光を受光する受光部としての太陽電池パネルPと、太陽電池パネルPを清掃する回転部4の外面に取り付けられている清掃体42とが当接する構造を有している。その為、羊の動きによって回転部4(具体的には清掃体42)と太陽電池パネルPとが摺動し、太陽電池パネルPが清掃されることになり、太陽電池パネルPの採光状態が良好に保たれる。
【0047】
つまり、回転装置1Bを用いることで、回転装置1Bとは別体の太陽電池パネルPの採光面を外力によって清掃することができる。例えば、サイやカバなど、太陽電池パネルPの採光面を清掃するのに十分な毛を有していない動物に装着する場合には、このように、太陽電池パネルPと回転装置1Bとを別体構造とし、清掃体42を回転部4の外面に有する回転装置1Bで太陽電池パネルPの採光面を清掃することも有用である。
【0048】
<4.第4実施形態>
図9は、第4実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。図9に示す回転装置1Cは、エネルギー変換部6を有する点が前述した第1実施形態の回転装置1とは相違する。本実施形態で記載した以外の点は、基本的に前述した第1実施形態の回転装置1と同様であり、説明を省略する。
【0049】
エネルギー変換部6は、装着部2が回転部4から離れる方向(図9中の矢印で示す方向)に外力が働いた際に、外力を回転エネルギーに変換する機能を有するものである。具体的には、エネルギー変換部6は、装着部2及び回転部4間に、直線運動を回転運動に変換する周知のメカニカル構造を設けることで、装着部2に働いた外力を、回転部4を回転させる回転エネルギーに変換する。
【0050】
例えば、羊が草を食べている状態から首を持ち上げると、回転装置1Cの回転部4の質量による慣性と、羊の首の装着部2に加わる持ち上げエネルギーとによって、この外力が得られる。このような外力が得られやすいユースケースでは有用である。
【0051】
回転装置1Cを用いることで、装着部2が回転部4から離れる方向に外力が働いた際に、その外力により回転部4を回転させることができるので、回転部4の回転方向に摩擦力が生じない場合であっても回転部4を回転させることができる。例えば、羊が動き回らない場合でも、餌を食べるときなど、首を上げた際に回転部4を回転させることができる。
【0052】
なお、エネルギー変換部6は、図9に示すものに限らない。図10及び図11は、第4実施形態に係る回転装置1Cの他の構成例を示す図である。図10に示す回転装置1Cは、エネルギー変換部6に替えて、エネルギー変換部6Aを有している。
【0053】
エネルギー変換部6Aは、装着部2が回転部4に近づく方向(図10中の矢印で示す方向)に外力が働いた際に、外力を回転エネルギーに変換する機能を有するものである。具体的には、エネルギー変換部6Aは、前述したメカニカル構造(反対の外力方向に対応する構造)を設けることで、装着部2に働いた外力を、回転部4を回転させる回転エネルギーに変換する。
【0054】
この場合、例えば、羊が草を食べるために下を向くと、回転装置1Cの回転部4の質量による慣性と、羊の首の装着部2に加わる下向きのエネルギーとによって、この外力が得られる。このような外力が得られやすいユースケースでは有用である。
【0055】
このエネルギー変換部6Aを用いることで、装着部2が回転部4に近づく方向に外力が働いた際に、その外力により回転部4を回転させることができるので、回転部4の回転方向に摩擦力が生じない場合であっても回転部4を回転させることができる。例えば、羊が動き回らない場合でも、餌を食べるときなど、首を下げた際に回転部4を回転させることができる。
【0056】
また、図11に示す回転装置1Cは、エネルギー変換部6に替えて、エネルギー変換部6Bを有している。エネルギー変換部6Bは、装着部2が回転部4から離れる方向及び回転部4に近づく方向(図11中の矢印で示す方向)のいずれかに外力が働いた際に、外力を回転エネルギーに変換する機能を有するものである。具体的には、エネルギー変換部6Bは、前述したメカニカル構造(双方の外力に対応する構造)を設けることで、装着部2に働いた外力を、回転部4を回転させる回転エネルギーに変換する。
【0057】
つまり、エネルギー変換部6Bは、エネルギー変換部6及びエネルギー変換部6Aの組み合わせ(双方の機能を有するもの)である。例えば、羊においては、草を食べる為に下にうつむいたり、頭を持ち上げたりする行動がよく見られるが、そのような頭の上げ下げによって、この外力が得られる。このような外力が得られやすいユースケースでは有用である。
【0058】
エネルギー変換部6Bを用いることで、装着部2が回転部4から離れる方向及び回転部4に近づく方向のいずれかに外力が働いた際に、その外力により回転部4を回転させることができるので、回転部4の回転方向に摩擦力が生じない場合であっても回転部4を回転させることができる。例えば、羊が動き回らない場合でも、餌を食べるときなど、首を上下させた際に回転部4を回転させることができる。
【0059】
このように、本実施形態の回転装置1Cは、装着部2が回転部4から離れる方向及び回転部4に近づく方向の少なくともいずれか一方の方向に外力が働いた際に、その外力を、回転部4を回転させる回転エネルギーに変換する構造(エネルギー変換部6、エネルギー変換部6A又はエネルギー変換部6B)を有している。したがって、第1実施形態の回転装置1と同様の効果を奏するとともに、回転部4の回転部4の回転方向に摩擦力が生じなくても回転部4を回転させることができるという効果が得られる。
【0060】
<5.第5実施形態>
図12は、第5実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。図12に示す回転装置1Dは、回転促進部7を有する点が前述した第1実施形態の回転装置1とは相違する。本実施形態で記載した以外の点は、基本的に前述した第1実施形態の回転装置1と同様であり、説明を省略する。
【0061】
回転促進部7は、装着部2が回転部4から離れる(上に向かう)方向(図12中の矢印で示す方向)に外力が働いた際に、回転部4の回転を促す機能を有するものである。具体的には、回転促進部7は、図示するように、回転部4の側面を構成する外面にネジ溝状の突状部71を設けることで形成される。突状部71は、太陽電池パネルPの採光面に光が当たるように、光を透過する、ガラス等の透明な材料、もしくはそれに類する材料によって形成されていることが好ましい。なお、突状部71の形状は、これに限らず、回転部4の回転を促進させるものであれば他の形状であってもよい。また、回転促進部7は、回転部4の側面を構成する外面に突状部71を設ける代わりに、窪みによる凹状部を設けて形成してもよい。なお、図示した例では、回転部4を円柱状のものとし、太陽電池パネルPは、その側面を構成する外面に沿って曲面状に設けられているが、回転部4及び太陽電池パネルPの形状は、これに限らない。
【0062】
前述したように、羊においては草を食べるために下にうつむいたり、頭を持ち上げたりする行動が良く見られる。したがって、例えば、羊が頭を持ち上げる際、羊の毛と、図12に示すような回転部4の突状部71とが接触しながら、装着部2が上に引き上げられることで、回転部4の回転を促しながら、太陽電池パネルPの採光面の清掃を行うことができる。回転装置1Dを左右に揺らす頻度よりも、上下に揺らす頻度が高い場合に有用である。
【0063】
このように、回転装置1Dを用いることで、装着部2が上に引き上げられた際に、回転促進部7によって回転部4の回転が促進されるので、回転部4の回転方向に生じる摩擦力が弱い場合であっても回転部4を回転させることができる。
【0064】
なお、回転促進部7は、装着部2が回転部4に近づく(下に向かう)方向に外力が働いた際に、回転部4の回転を促す機能を有するものであってもよい。この場合には、回転装置1Dを用いることで、装着部2が下げられた際に、回転促進部7によって回転部4の回転が促進され、外面に生じる摩擦力が弱い場合であっても回転部4を回転させることができる。
【0065】
このように、本実施形態の回転装置1Dは、装着部2が回転部4から離れる方向又は回転部4に近づく方向に外力が働いた際に、回転部4の回転を促進する回転促進部7を有している。したがって、第1実施形態の回転装置1と同様の効果を奏するとともに、回転部4の回転方向に摩擦力が生じないような場合であっても回転部4を回転させることができるという効果が得られる。
【0066】
<6.第6実施形態>
図13は、第6実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。図13に示す回転装置1Eは、上段に示すような設置型の太陽電池パネルP1の採光状態を良好に保つものである。
【0067】
図示するように、回転装置1Eは、取り付け部としての設置部8と、外力変換装置9と、回転部4Aとを有している。設置部8は、前述した第1実施形態の回転装置1における装着部2に相当するものであり、回転装置1Eを取り付け対象に取り付ける(設置する)為の構造を有している。なお、この回転装置1Eにおいては、取り付け対象が地面、屋上、屋根等の設置型の太陽電池パネルP1の設置場所となる。
【0068】
具体的には、設置部8は、回転部4Aを支持する棒状の軸部81と、軸部81の両端側を支持する脚部82と、回転を伝達する回転伝達部83とを有している。例えば、回転伝達部83は、回転軸の方向を変えるべベルギア等によって構成される。なお、設置部8の構造、数、設置場所等は、これらに限定される訳ではない。
【0069】
外力変換装置9は、外力を一方向の回転エネルギーに変換するメカニカル装置で構成されており、外力、具体的には風力を回転エネルギーに変換する機能と、回転方向を一方向に規制する機能とを有するものである。なお、外力変換装置9の具体的な種類、構造等については、ここでは省略するが、これらは特定のものに限定される訳ではなく、既知の技術を採用することができる。
【0070】
回転部4Aは、回転装置1Eを設置部8により設置した状態で回転自在な部材である。例えば、この回転部4Aは、光を透過する、ガラス等の透明な材料、もしくはそれに類する材料によって形成されており、太陽電池パネルP1に光を供給できる構造(光透過性を有する構造)を有している。具体的には、回転部4Aは、開口部が閉塞された筒状に形成されており、筒体の中心線上に設置部8の軸部81が位置し、且つ、軸部81を中心として回転可能に取り付けられる。この回転部4Aには、設置部8を介して外力変換装置9により生じた回転エネルギーが伝達される。回転部4Aの回転方向は、外力変換装置9により、一方向に規制される。なお、太陽電池パネルP1は回転しないように取り付けられている。そして、回転部4Aの外面には当接部Dが当接している。当接部Dは、清掃体D1と、清掃体D1を固定する固定部(図示略)とを有している。具体的には、清掃体D1は、清掃ブラシ、不織布、又は汚れ吸着用のモップ等で構成される。
【0071】
このように、本実施形態では、回転装置1Eの回転部4Aが当接部Dに当接される。また、回転部4Aは、光透過性を有するとともに、内部に太陽電池パネルP1を収容している。つまり、回転装置1Eは、前述した回転部4Aと、回転部4Aの回転を規制する外力変換装置9と、当接部Dと当接する状態で回転部4Aを太陽電池パネルP1の設置場所に取り付け可能な設置部8とを有しており、回転部4Aと当接部Dとが当接することによって、太陽電池パネル用の光を受光する受光部としての回転部4Aの外面と、清掃部としての清掃体D1とが当接する構造を有している。その為、前述したように、風力を変換して得られた回転エネルギーによって、回転部4Aの外面が清掃されることになる。回転部4Aの外面によって受光された光は、回転部4Aを透過して太陽電池パネルP1に供給される。したがって、太陽電池パネルP1の採光状態が良好に保たれる。
【0072】
つまり、回転部4Aに太陽電池パネルP1が収容されることで、太陽電池パネルP1に汚れが付着することを防止できる。また、回転部4Aは、外面に汚れが付着しても、風力により回転して清掃体D1によって清掃される為、汚れのない状態を保持することができ、前述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。したがって、設置型の太陽電池パネルP1についても、本開示の技術が適用でき、人手や電源を使わずに汚れをふき取る機構が実現できる。このように設置型の太陽電池パネルP1に対しても有用である。
【0073】
このように、回転装置1Eを用いることで、太陽電池パネルP1及び回転部4Aへの汚れの付着を防ぎ、長期間安定した太陽電池発電を行うことができるようになり、例えば、メガソーラ施設のメンテナンス頻度を下げる一手段となる。
【0074】
<7.第7実施形態>
図14は、第7実施形態に係る回転装置の構成例を示す図である。図14に示す回転装置1Fは、太陽電池パネルP1の取り付け箇所が前述した第6実施形態の回転装置1Eとは相違する。本実施形態で記載した以外の点は、基本的に前述した第6実施形態の回転装置1Eと同様であり、説明を省略する。
【0075】
回転装置1Fは、前述した回転部4Aに替えて回転部4Bを有している。回転部4Bは、第1実施形態の回転部4と同様に、八角柱状の外面を有しており、その側面を構成する8つの外面に、それぞれ太陽電池パネルP1が取り付けられている。太陽電池パネルP1は、8つの外面全てではなく、一部に取り付けられていてもよい。なお、図14では、回転部4Bのみを模式的に示しており、他の構造は省略している。
【0076】
このように、本実施形態においては、回転装置1Fの回転部4Bが当接部D(図13を参照)に当接される。また、回転部4Bは、外面に太陽電池パネルP1を有している。つまり、回転装置1Fは、前述した回転部4Bと、回転部4Bの回転を規制する外力変換装置9と、当接部Dと当接する状態で回転部4Bを太陽電池パネルP1の設置場所に取り付け可能な設置部8とを有しており、回転部4Bと当接部Dとが当接することによって、太陽電池パネル用の光を受光する受光部としての太陽電池パネルP1と、清掃部としての清掃体D1とが当接する構造を有している。その為、前述したように、風力を変換して得られた回転エネルギーによって、太陽電池パネルP1が清掃されることになり、太陽電池パネルP1の採光状態が良好に保たれる。
【0077】
つまり、この回転装置1Fを用いることで、回転部4Bの外面に取り付けられている太陽電池パネルP1の採光面を外力により清掃することができる。例えば、小さな土地により多くの太陽電池パネルP1を設置したい場合に有用である。また、太陽電池パネルP1は、熱によって発電効率が下がることが知られており、回転によって順次日向で発熱した太陽電池パネルP1と、日陰で冷却された太陽電池パネルP1とを入れ替えることができ、発電効率の改善にも有用である。
【0078】
<8.変形例>
以上、本開示の好適な実施形態について具体的に説明したが、本開示の内容は前述した各実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【0079】
例えば、前述した第1実施形態では、回転装置1の取り付け対象として、羊等の動物を例示したが、これに限らず、人間や乗り物、動く機械等、取り付け対象は、動きを有するものであればよい。第2~第5実施形態についても同様である。
【0080】
また、例えば、前述した第6実施形態では、回転装置1Eの回転部4Aを回転させるための外力として風力を例示したが、これに限らず、水力を利用するものであってもよいし、地熱等の熱エネルギーを利用するものであってもよい。また、人や動物の踏む力等の生物の運動や機械の動きを利用するものなどであってもよい。第7実施形態についても同様である。
【0081】
つまり、本開示の技術では、自然環境において日常的に生じる力(具体的には、電力以外の力)を外力として利用することができる。
【0082】
また、例えば、前述した第1実施形態では、回転装置1をIoA装置10に適用した場合について説明したが、適用可能な装置は、これに限らない。具体的には、太陽電池パネルPによる電力を使用する種々の装置(例えば、見守り用の端末装置、ライト、アクセサリ、玩具等)に適用することができる。
【0083】
また、例えば、本明細書中の各実施形態及び変形例に記載した技術を可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
【0084】
本開示は、以下の構成も採ることができる。
(1)
外力が与えられることにより回転する回転部と、
前記回転部の回転を一方の方向に規制する回転規制部と、
当接部と当接可能な状態で前記回転部を取り付け可能な取り付け部と
を有し、
前記回転部と前記当接部とが摺動することにより、太陽電池パネル用の光を受光する受光部が清掃される
回転装置。
(2)
前記当接部は、清掃部を有している
(1)に記載の回転装置。
(3)
前記清掃部は、動物の体毛である
(2)に記載の回転装置。
(4)
前記受光部は、前記回転部の外面に取り付けられた太陽電池パネルを有する
(2)に記載の回転装置。
(5)
前記回転部は、光透過性を有するとともに、内部に太陽電池パネルを収容し、
前記受光部は、前記回転部の外面である
(2)に記載の回転装置。
(6)
前記回転部は、清掃部を有し、
前記当接部及び前記受光部は、同一の太陽電池パネルである
(1)に記載の回転装置。
(7)
前記取り付け部が前記回転部から離れる方向及び前記回転部に近づく方向の少なくともいずれか一方の方向に力が働いた際に、前記力を、前記回転部を回転させる回転エネルギーに変換するエネルギー変換部を更に有する
(1)から(6)までの何れかに記載の回転装置。
(8)
前記取り付け部が前記回転部から離れる方向又は前記回転部に近づく方向に外力が働いた際に、前記回転部の回転を促進する回転促進部を更に有する
(1)から(7)までの何れかに記載の回転装置。
(9)
取り付け対象の動きに応じて、前記外力が与えられる
(1)から(8)までの何れかに記載の回転装置。
(10)
前記取り付け対象が、放牧される家畜である
(9)に記載の回転装置。
(11)
前記太陽電池パネルは、携帯型の太陽電池パネルである
(1)から(10)までの何れかに記載の回転装置。
(12)
前記太陽電池パネルは、設置型の太陽電池パネルである
(1)から(11)までの何れかに記載の回転装置。
(13)
外力が与えられることにより回転する回転部を、当接部と当接可能な状態で取り付けるとともに、前記回転部の回転を回転規制部により一方の方向に規制し、前記回転部と前記当接部とを摺動させることにより、太陽電池パネル用の光を受光する受光部を清掃する清掃方法。
【符号の説明】
【0085】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F・・・回転装置、2・・・装着部、3・・・回転規制部、4,4A,4B・・・回転部、6,6A,6B・・・エネルギー変換部、7・・・回転促進部、8・・・設置部、9・・・外力変換装置、42,B1・・・清掃体、B・・・当接部、P,P1・・・太陽電池パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14