(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】電動車両管理装置および電動車両管理システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241210BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241210BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20241210BHJP
B60L 53/64 20190101ALI20241210BHJP
B60L 58/13 20190101ALI20241210BHJP
B60L 1/00 20060101ALI20241210BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/64
B60L58/13
B60L1/00 L
H02J13/00 311T
(21)【出願番号】P 2022023166
(22)【出願日】2022-02-17
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 彰紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 達
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-016271(JP,A)
【文献】特開2008-308030(JP,A)
【文献】特開2014-056589(JP,A)
【文献】特開2021-002940(JP,A)
【文献】特開2019-158484(JP,A)
【文献】特開2020-150717(JP,A)
【文献】特開2013-215084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 50/60
B60L 53/14
B60L 53/64
B60L 58/13
B60L 1/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統からの充電が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置であって、
電力の市場価格の情報を通信により取得するとともに、前記電動車両と通信する通信部と、
前記通信部により取得された前記市場価格の情報に基づいて、前記市場価格の予測値を算出する制御部と、を備え、
前記制御部は、算出された前記予測値に基づいて、走行中の前記電動車両のSOCを調整するためのSOC調整処理を行う、電動車両管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記予測値と所定の閾価格との大小関係に基づいて前記SOC調整処理を行う、請求項1に記載の電動車両管理装置。
【請求項3】
前記所定の閾価格は、第1の閾価格を含み、
前記SOC調整処理は、走行中の前記電動車両の前記SOCの低下を抑制するためのSOC抑制処理を含み、
前記制御部は、前記予測値が前記第1の閾価格以上の場合に前記SOC抑制処理を行う、請求項2に記載の電動車両管理装置。
【請求項4】
前記SOC抑制処理は、前記予測値が前記第1の閾価格未満の場合と比べて、前記電動車両の温度調節器の出力上限値を低くするための第1処理を含む、請求項3に記載の電動車両管理装置。
【請求項5】
前記SOC抑制処理は、前記電動車両の温度調節器の出力上限値を低くする処理を行わずに前記電動車両のモータジェネレータの出力を制限するための第2処理を含む、請求項3に記載の電動車両管理装置。
【請求項6】
前記所定の閾価格は、前記第1の閾価格よりも小さい第2の閾価格を含み、
前記SOC調整処理は、走行中の前記電動車両の前記SOCの低下を促進するためのSOC促進処理を含み、
前記制御部は、前記予測値が前記第2の閾価格以下の場合に前記SOC促進処理を行う、請求項3~5のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項7】
前記制御部は、次回の充電が行われる予定時刻を検出し、かつ、前記予定時刻における前記予測値を算出するとともに、前記予測値に基づいて前記SOC調整処理を行う、請求項1~6のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、次回の充電が行われる予定時刻を検出するとともに、前記予定時刻が検出されたことに基づいて前記SOC調整処理を行う、請求項1~7のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項9】
前記制御部は、電力取引市場のゲートクローズの前に前記予測値を算出する、請求項1~8のいずれか1項に記載の電動車両管理装置。
【請求項10】
電力系統からの充電が可能な電動車両と、
前記電動車両を管理する電動車両管理装置と、を備え、
前記電動車両管理装置は、電力の市場価格の情報を通信により取得するとともに前記電動車両と通信する通信部と、前記通信部により取得された前記市場価格の情報に基づいて前記市場価格の予測値を算出する制御部と、を含み、
前記制御部は、算出された前記予測値に基づいて、走行中の前記電動車両のSOCを調整するための処理を行う、電動車両管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両管理装置および電動車両管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、特開2020-150717号公報(特許文献1)には、電力系統の電力需要予測量と電力供給予測量との差分である電力需給予測値に基づいて、電動車両の消費電力(発電電力)を調整する需給管理サーバが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の需給管理サーバでは、上記のように、電力系統における電力需給予測値に基づいて電動車両の消費電力(発電電力)が調整される。その一方で、上記需給管理サーバは、電力の価格を考慮して上記の調整を行っていない。したがって、たとえば電力の価格が高い時に電動車両の電力の消費が大きくなるように調整された場合、次回の電動車両の充電にかかる費用が大きくなる。このため、上記需給管理サーバによる制御では、電動車両のユーザが電動車両の充電に対して経済的な不安(不満)を感じる場合があると考えられる。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電動車両のユーザが電動車両の充電に対して経済的な不安(不満)を感じるのを抑制することが可能な電動車両管理装置および電動車両管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の局面に従う電動車両管理装置は、電力系統からの充電が可能な電動車両を管理する電動車両管理装置であって、電力の市場価格の情報を通信により取得するとともに、電動車両と通信する通信部と、通信部により取得された市場価格の情報に基づいて、市場価格の予測値を算出する制御部と、を備え、制御部は、算出された予測値に基づいて、走行中の電動車両のSOCを調整するためのSOC調整処理を行う。
【0007】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置では、上記のように、算出された電力の市場価格の予測値に基づいて、走行中の電動車両のSOCを調整するためのSOC調整処理が行われる。これにより、電力の市場価格の予測値に基づいて走行中の電動車両のSOCを調整することができる。その結果、電動車両の充電によるユーザの経済的なダメージが小さくなるように、市場価格の予測値に基づいてSOCを容易に調整することができる。これにより、電動車両のユーザが経済的な不安(不満)を感じるのを抑制することができる。
【0008】
また、上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、予測値と所定の閾価格との大小関係に基づいてSOC調整処理を行う。これにより、市場価格の予測値と所定の閾価格とを比較するだけで(複雑な演算を行わずに)SOC調整処理を行うことができる。その結果、SOC調整処理による制御部の制御負荷を軽減することができる。
【0009】
この場合、好ましくは、所定の閾価格は、第1の閾価格を含み、SOC調整処理は、走行中の電動車両のSOCの低下を抑制するためのSOC抑制処理を含み、制御部は、予測値が第1の閾価格以上の場合にSOC抑制処理を行う。これにより、市場価格の予測値と第1の閾価格とを比較するだけで(複雑な演算を行わずに)SOC抑制処理を行うことができる。その結果、SOC抑制処理による制御部の制御負荷を軽減することができる。
【0010】
また、予測値が第1の閾価格以上の場合にSOC抑制処理が行われる電動車両管理装置において、好ましくは、SOC抑制処理は、予測値が第1の閾価格未満の場合と比べて、電動車両の温度調節器の出力上限値を低くするための第1処理を含む。これにより、予測値が第1の閾価格未満の場合と比べて、電動車両の温度調節器の出力上限値が低くなることに起因してSOCの低下をより抑制することができる。
【0011】
また、予測値が第1の閾価格以上の場合にSOC抑制処理が行われる電動車両管理装置において、好ましくは、SOC抑制処理は、電動車両の温度調節器の出力上限値を低くする処理を行わずに電動車両のモータジェネレータの出力を制限するための第2処理を含む。これにより、温度調節器の出力上限値が低くされることに起因して電動車両のユーザが不快に感じるのを防止しながら、モータジェネレータの出力が制限されることによって、SOCの低下を容易に抑制することができる。
【0012】
また、予測値が第1の閾価格以上の場合にSOC抑制処理が行われる電動車両管理装置において、好ましくは、所定の閾価格は、第1の閾価格よりも小さい第2の閾価格を含み、SOC調整処理は、走行中の電動車両のSOCの低下を促進するためのSOC促進処理を含み、制御部は、予測値が第2の閾価格以下の場合にSOC促進処理を行う。これにより、市場価格の予測値と第2の閾価格とを比較するだけで(複雑な演算を行わずに)SOC促進処理を行うことができる。その結果、SOC促進処理による制御部の制御負荷を軽減することができる。
【0013】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、次回の充電が行われる予定時刻を検出し、かつ、予定時刻における予測値を算出するとともに、予測値に基づいてSOC調整処理を行う。これにより、実際に充電が行われる時点での市場価格に基づいてSOCを調整することができる。その結果、電動車両のユーザが経済的な不安(不満)を感じるのをより確実に抑制することができる。
【0014】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、次回の充電が行われる予定時刻を検出するとともに、予定時刻が検出されたことに基づいてSOC調整処理を行う。これにより、次回の充電の予定がない電動車両を、SOC調整処理の対象外にすることができる。
【0015】
上記第1の局面に従う電動車両管理装置において、好ましくは、制御部は、電力取引市場のゲートクローズの前に予測値を算出する。これにより、電力の市場取引が可能なゲートクローズの前に電力市場の予測値を算出することができる。
【0016】
本開示の第2の局面に従う電動車両管理システムは、電力系統からの充電が可能な電動車両と、電動車両を管理する電動車両管理装置と、を備え、電動車両管理装置は、電力の市場価格の情報を通信により取得するとともに電動車両と通信する通信部と、通信部により取得された市場価格の情報に基づいて市場価格の予測値を算出する制御部と、を含み、制御部は、算出された予測値に基づいて、走行中の電動車両のSOCを調整するための処理を行う。
【0017】
上記第2の局面に従う電動車両管理システムでは、上記のように、算出された電力の市場価格の予測値に基づいて、走行中の電動車両のSOCを調整するためのSOC調整処理が行われる。これにより、電力の市場価格の予測値に基づいて走行中の電動車両のSOCを調整することができる。その結果、電動車両の充電によるユーザの経済的なダメージが小さくなるように、市場価格の予測値に基づいてSOCを容易に調整することができる。これにより、電動車両のユーザが経済的な不安(不満)を感じるのを抑制することが可能な電動車両管理システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、電動車両のユーザが電動車両の充電に対して経済的な不安(不満)を感じるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の実施の形態に係る電動車両管理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施の形態に係る電動車両管理装置の詳細構成を示す図である。
【
図7】電動車両管理装置の処理を示すフロー図である。
【
図8】本開示の変形例によるSOC抑制処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0021】
図1は、本開示の実施の形態に係る電動車両管理システム1の概略的な構成を示す図である。
図1に示すように、電動車両管理システム1は、車群VG(電動車両100)と、サーバ700と、電動車両管理装置1000とを備える。電動車両管理装置1000は、サーバ300とサーバ600とを含む。サーバ300およびサーバ600の各々は、管理コンピュータに相当する。
【0022】
電力系統PGは、送配電設備によって構築される電力網である。電力系統PGには、複数の発電所が接続されている。電力系統PGは、それらの発電所から電力の供給を受けている。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PG(商用電源)を保守及び管理する。電力会社は、後述するTSO(系統運用者)に相当する。電力系統PGは、交流電力(たとえば、三相交流電力)を供給する。サーバ700は、TSOに帰属するコンピュータ(以下、「TSOサーバ」と表記する場合がある)に相当する。サーバ600とサーバ700とは相互に通信可能に構成される。
【0023】
サーバ300は、車群VGを管理する。サーバ300は、車群VGに含まれる各電動車両100と周期的に通信を行なう。車群VGに含まれる電動車両100の数は、5台以上30台未満であってもよいし、30台以上100台未満であってもよいし、100台以上であってもよい。
【0024】
車群VGに含まれる各電動車両100は、電力系統PGの調整力として動作可能に構成される。
図2は、電動車両100の構成を示す図である。
【0025】
図2に示すように、電動車両100は、走行用の電力を蓄電するバッテリ130を備える。電動車両100は、エンジン(内燃機関)を備えない電気自動車(BEV(Battery Electric Vehicle))である。バッテリ130は、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を含む。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。なお、電動車両100は、PHEV(Plug-in Hybrid electric Vehicle)車であってもよい。
【0026】
電動車両100は、電子制御装置(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する)150を備える。ECU150は、バッテリ130の充電制御および放電制御を行なう。
【0027】
電動車両100は、たとえば
図2に示すEVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)200と電気的に接続可能に構成される。EVSE200は、車両外部の給電設備に相当する。EVSE200は、電力系統PGと電気的に接続されており、電力系統PGから電力の供給を受けて、給電を行なうように構成される。EVSE200の本体には、充電ケーブル210が接続されている。
【0028】
電動車両100は、インレット110および充放電器120を備える。EVSE200の充電ケーブル210が電動車両100のインレット110に接続されることで、電動車両100はEVSE200を介して電力系統PGと電気的に接続された状態(以下、「プラグイン状態」とも称する)になる。充放電器120は、ECU150によって制御される。
【0029】
プラグイン状態の電動車両100では、外部充電(車両外部からの電力によるバッテリ130の充電)と外部給電(バッテリ130の電力による車両外部への給電)とが可能になる。電動車両100は、外部充電および外部給電によって電力系統PGの電力調整を行なうことができる。
【0030】
ECU150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、および、タイマ154を含む。ECU150はコンピュータまたはCPU(Central Processing Unit)であってもよい。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および、各種パラメータ)が記憶されている。記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、ECU150における各種制御が実行される。タイマ154は、設定時刻の到来をプロセッサ151に知らせるように構成される。また、ECU150は、ECU150に内蔵されるリアルタイムクロック(RTC)回路(図示せず)を利用して現在時刻を取得できる。
【0031】
電動車両100は、走行駆動部140と、HMI(Human Machine Interface)160と、位置センサ170と、通信機器180と、温度調節器190と、駆動輪Wとをさらに備える。HMI160は入力装置および表示装置を含む。HMI160は、タッチパネルディスプレイを含んでもよい。HMI160は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。位置センサ170は、電動車両100の位置を検出して、検出結果をECU150へ出力するように構成される。位置センサ170は、GPS(Global Positioning System)を利用したセンサであってもよい。
【0032】
走行駆動部140は、PCU(Power Control Unit)141とMG(Motor Generator)142とを含み、バッテリ130に蓄えられた電力を用いて電動車両100を走行させるように構成される。PCU141は、ECU150によって制御される。
【0033】
MG142は、たとえば三相交流モータジェネレータである。MGは、PCU141によって駆動され、駆動輪Wを回転させるように構成される。PCU141は、バッテリ130から供給される電力を用いてMGを駆動する。また、MG142は、回生発電を行ない、発電した電力をバッテリ130に供給するように構成される。
【0034】
通信機器180は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。ECU150は、通信機器180を通じて電動車両100の外部の装置と通信を行なうように構成される。通信機器180は、移動体通信網(テレマティクス)にアクセス可能な無線通信機(たとえば、DCM(Data Communication Module))を含む。無線通信機は、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。電動車両100は、プラグイン状態とプラグアウト状態(電動車両100と電力系統PGとが電気的に遮断された状態)との両方において、サーバ300と無線通信を行なってもよい。
【0035】
電動車両100の車室内の温度を調整する温度調節器190は、冷房装置191とヒータ192とを含む。たとえば、冷房装置191は、電動コンプレッサを備えたエアコンであってよく、ヒータ192は、電気式水加熱ヒータであってよい。冷房装置191およびヒータ192の各々は、ECU150により制御され、バッテリ130の電力を消費する。なお、上述した電動車両100の構成は一例にすぎない。
【0036】
モバイル端末UTは、電動車両100のユーザによって携帯される端末である。モバイル端末UTは、たとえば、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを含む。ただしこれに限られず、モバイル端末UTは、任意のモバイル端末を採用可能であり、ラップトップ、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチまたはスマートグラス)、または、電子キーなどを含んでいてもよい。
【0037】
モバイル端末UTは、予めサーバ300に登録され、サーバ300と無線通信可能に構成される。
【0038】
この実施の形態では、モバイル端末UTが位置センサを備える。位置センサは、GPSを利用したセンサであってもよい。モバイル端末UTは、ユーザの位置を示す情報(以下、「ユーザ位置情報」とも称する)を、定期的に又はサーバ300からの要求に応じて、サーバ300へ送信する。
【0039】
モバイル端末UTは、上記ユーザ位置情報を用いて、電動車両100の走行計画を予測する。走行計画の例としては、乗車時刻(または発車時刻)、帰宅時刻、目的地(または目的地までの走行ルート)が挙げられる。たとえば、モバイル端末UTは、電動車両100を降りたユーザの位置の推移に基づいて、ユーザが電動車両100に乗車する時刻を予測してもよい。モバイル端末UTは、電動車両100の電子キーとして機能してもよい。ユーザが、電動車両100を降りた後、モバイル端末UTを用いて電動車両100のドアをロックすると、降車時のモバイル端末UTの位置が、電動車両100の駐車位置としてモバイル端末UTに登録されるとともに、モバイル端末UTによるユーザの位置の追跡(位置センサによる位置検出、および、ユーザ位置の記録)が開始されてもよい。モバイル端末UTは、履歴データ(たとえば、気象情報、渋滞情報、および、曜日によって区別して管理される過去の位置データ)からユーザの行動パターンを学習してもよい。
【0040】
モバイル端末UTは、上記走行計画をサーバ300へ送信する。さらに、ユーザがモバイル端末UTに設定した走行計画がモバイル端末UTからサーバ300へ送信されてもよい。モバイル端末UTにインストールされたスケジューラアプリまたは目覚ましアプリに設定された予定が自動的にサーバ300へ送信されてもよい。また、ユーザが電動車両100のナビゲーションシステム(図示せず)に設定した走行計画がサーバ300へ送信されてもよい。電動車両100の走行計画が変更されたタイミングで、電動車両100のユーザのモバイル端末UTから(または電動車両100から)サーバ300へ最新の走行計画が送信されてもよい。
【0041】
ECU150を含む車両システム(電動車両100を制御するシステム)のオン(作動)/オフ(停止)は、ユーザが図示しない起動スイッチを操作することによって切り替わる。一般に、起動スイッチは「パワースイッチ」または「イグニッションスイッチ」などと称される。
【0042】
再び
図1を参照して、サーバ600は、アグリゲータに帰属するコンピュータに相当する。アグリゲータは、複数の分散型エネルギーリソース(以下、「DER(Distributed Energy Resources)」とも称する)を束ねてエネルギーマネジメントサービスを提供する電気事業者である。車群VGに含まれる各電動車両100は、DERとして機能し得る。サーバ600は、複数のDER(車群VGを含む)を遠隔・統合制御することによって、これらのDERをVPP(仮想発電所)として機能させてもよい。サーバ600は、各DERに対してDR(デマンドレスポンス)を実施してもよい。
【0043】
サーバ600は、リモート制御により、電力系統PGの電力調整のための充電または放電をDER(たとえば、
図2に示したバッテリ130)に行なわせることができる。たとえば、インバランスが発生したときに、サーバ600は、インバランスを解消するようにDER(たとえば、
図2に示した充放電器120)を制御する。
【0044】
図3は、サーバ300およびサーバ600の詳細構成を示す図である。
図3を参照して、サーバ300、600はそれぞれ、プロセッサ310、610と、記憶装置320、620と、通信装置330、630と、HMI340、640とを備える。通信装置630は、電力の市場価格の情報を通信により取得する。通信装置330と通信装置630とは、互いに通信する。なお、通信装置630および通信装置330は、本開示の「通信部」の一例である。また、プロセッサ310およびプロセッサ610は、本開示の「制御部」の一例である。
【0045】
記憶装置320および記憶装置620の各々は、各種情報を保存可能に構成される。記憶装置320、620には、それぞれプロセッサ310、610に実行されるプログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、および、各種パラメータ)が記憶されている。通信装置330および通信装置630の各々は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。HMI340およびHMI640の各々は入力装置および表示装置を含む。
【0046】
サーバ300は、車群VGに含まれる各電動車両100に関する情報(以下、「車両情報」とも称する)を管理するように構成される。車両情報は、サーバ300の記憶装置320に記憶される。具体的には、電動車両100を識別するための識別情報(車両ID)が電動車両100ごとに付与されており、サーバ300は車両情報を車両IDで区別して管理している。車両IDは、電動車両100ごとに固有の番号(たとえば、VIN(Vehicle Identification Number))であってもよいし、電動車両100の通信アドレスであってもよい。車両情報には、たとえば、電動車両100の位置と、電動車両100が備えるバッテリ130のSOC(State Of Charge)と、電動車両100の走行計画と、系統接続状態(プラグイン状態/プラグアウト状態)と、車両システムの状態(オン/オフ)とが含まれる。また、電動車両100の仕様(たとえば充放電に関するスペック)が予めサーバ300に登録されてもよい。
【0047】
また、サーバ300は、各電動車両100と周期的に通信を行う。具体的には、サーバ300は、以下に説明する
図7に示す処理を繰り返し実行する。
【0048】
また、サーバ600は、車両管理部611、選定部612、需給管理部613、取引部614、調整力算出部615、および、市場価格予測部616を含む。これら各部は、たとえば、プロセッサ610と、プロセッサ610により実行されるプログラムとによって具現化される。ただしこれに限られず、上記各部は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0049】
車両管理部611は、必要に応じて、サーバ300が管理するデータを取得する。また、車両管理部611は、サーバ300から取得したデータに基づいて、電動車両100の今後の行動を予測する。
【0050】
車両管理部611は、選定部612によって選定された車両を、リモート制御により電力系統PGの調整力として動作させる。
【0051】
需給管理部613は、サーバ700から電力系統PGの需給情報を取得する。また、需給管理部613は、電力系統PGの実需給を監視する。需給管理部613は、電力系統PGの同時同量に関してインバランスが生じると、インバランスを解消するための調整力要求を発生させる。
【0052】
取引部614は、電力市場において取引きを行う。取引部614は、電力市場において入札を実行し、入札結果を需給管理部613に連絡する。取引部614が電力市場において落札した場合には、取引部614が調整力要求を発生させる。
【0053】
調整力算出部615は、上記調整力要求に対する目標調整力を算出する。
選定部612は、上記調整力要求に対して、車群VGに含まれる複数の電動車両100の中から、調整力として動作させる電動車両100を選定する。選定部612は、選定した電動車両100を、車両管理部611に連絡する。
【0054】
市場価格予測部616は、通信装置630により取得された市場価格の情報に基づいて、市場価格の予測値を算出する。具体的には、市場価格予測部616(プロセッサ610)は、走行中の電動車両100の次回の充電が行われる予定時刻を検出(算出)し、検出(算出)された予定時刻における市場価格の予測値を算出する。
図4に示すグラフは、市場価格予測部616により予測された1年単位の予測値と時間との関係を示している。なお、次回の充電が行われる予定時刻を検出(算出)する処理は、サーバ300のプロセッサ310により行われてもよい。
【0055】
市場価格予測部616(プロセッサ610)は、車両管理部611により予測された電動車両100の今後の行動に基づいて、次回の充電が行われる予定時刻を検出(算出)する。また、市場価格予測部616(プロセッサ610)は、選定部612により選定された電動車両100の次回の充電が行われる予定時刻を検出(算出)してもよい。
【0056】
また、サーバ300は、SOC調整処理部311を含む。SOC調整処理部311は、たとえば、プロセッサ310と、プロセッサ310により実行されるプログラムとによって具現化される。ただしこれに限られず、SOC調整処理部311は、専用のハードウェア(電子回路)によって具現化されてもよい。
【0057】
SOC調整処理部311は、走行中の電動車両100のSOCを調整するためのSOC調整処理を行う。ここで、電力の市場価格が考慮されずにSOCの調整が行われた場合、たとえば電力の価格が高い時に電動車両の電力のSOCを低下させる調整がされ、次回の充電にかかる費用が大きくなる。このため、電動車両100のユーザが充電に対して経済的な不安(不満)を感じる場合があると考えられる。
【0058】
そこで、本実施の形態では、プロセッサ310(SOC調整処理部311)は、市場価格予測部616により算出された電力の市場価格の予測値に基づいてSOC調整処理を行う。具体的には、プロセッサ310(SOC調整処理部311)は、電力の市場価格の予測値に基づいて、SOC調整処理を行うように電動車両100に指令信号を送信する。なお、SOC調整処理が開始されてから次回の充電までの間において、電動車両100のSOCが調整される。
【0059】
また、プロセッサ310は、市場価格予測部616により算出された電力の市場価格の予測値と所定の閾価格とを比較する。そして、SOC調整処理部311(プロセッサ310)は、市場価格の予測値と所定の閾価格との大小関係に基づいて上記SOC調整処理を行う。なお、市場価格の予測値と所定の閾価格とを比較は、プロセッサ610により行われてもよい。
【0060】
上記所定の閾価格は、閾価格Aと、閾価格Bとを含む。ここで、
図4には、市場価格の予測値と時間との関係を示すグラフが図示されている。
図4に示すように、閾価格Bは、閾価格Aよりも小さい。閾価格Aおよび閾価格Bの各々は、予め記憶装置320(または記憶装置620)に記憶されている。また、閾価格Aおよび閾価格Bの各々は、上記のように固定値ではなく、所定の情報(たとえば電力の市場価格の推移等)に基づいて適宜算出されてもよい。なお、閾価格Aおよび閾価格Bは、それぞれ、本開示の「第1の閾価格」および「第2の閾価格」の一例である。
【0061】
本実施の形態では、SOC調整処理部311(プロセッサ310)は、電力の市場価格の予測値が閾価格A以上の場合に、走行中の電動車両100のSOCの低下を抑制するためのSOC抑制処理を行う。これにより、市場価格が比較的大きくなると予測される時点においてSOCが比較的低くなるのを抑制することができる。その結果、電動車両100の充電にかかる費用が大きくなるのを抑制することができるので、ユーザが経済的な不安(不満)を感じるのを容易に抑制することができる。また、
図4に示すように、閾価格Aは、たとえば1年における市場価格の予測値のうちの最大値の1/2よりも小さい。なお、閾価格Aの大きさの例はこれに限られない。
【0062】
図5には、外気温度と温度調節器190(冷房装置191およびヒータ192)の出力上限値との関係を示すグラフが図示されている。
図5に示すように、SOC抑制処理は、たとえば、電力の市場価格の予測値が閾価格A未満の場合(閾価格Bよりも大きく閾価格Aよりも小さい場合)と比べて、電動車両100の温度調節器190の出力上限値を低くする処理(本開示の「第1処理」の一例)を含む。なお、
図5では、SOC抑制処理後の出力上限値の変化が実線により図示され、SOC抑制処理前の出力上限値の変化が破線により図示されている。
【0063】
具体的には、SOC抑制処理は、冷房装置191およびヒータ192の各々の出力上限値を低くする処理を含む。冷房装置191の出力上限値は、エバポレータ出口温度によって制御されてよく、ヒータ192の出力上限値は、供給電力によって制御されてよい。SOC抑制処理による出力上限値の低下量は、たとえば予め設定された固定値である。なお、上記低下量は、たとえば電力の市場価格の予測値と閾価格Aとの差分の大きさに基づいて算出されてもよい。
【0064】
また、冷房装置191およびヒータ192の各々は、外気温度に応じて出力上限値が変化する。具体的には、冷房装置191の出力上限値は、外気温度が高いほど大きい。ヒータ192の出力上限値は、外気温度が低いほど大きい。ここで、外気温度に対する出力上限値の変化率は、SOC抑制処理が行われる前後で同じであってもよいし異なっていてもよい。また、冷房装置191およびヒータ192の各々のSOC抑制処理による出力上限値の低下量は、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、冷房装置191およびヒータ192のいずれか一方の出力上限値のみがSOC抑制処理により低下されてもよい。
【0065】
なお、SOC抑制処理は、上記の例に限られない。たとえば、ブレーキによる回生強度を高くすることによりSOCの低下が抑制されてもよい。
【0066】
また、SOC調整処理は、たとえば、電力の市場価格の予測値が閾価格B以下(
図5の破線参照)の場合に、走行中の電動車両100のSOCの低下を促進するためのSOC促進処理を行う。たとえば、閾価格Bは、閾価格Aの1/2よりも小さい。なお、閾価格Bの大きさの例はこれに限られない。
【0067】
図6には、外気温度と温度調節器190(冷房装置191およびヒータ192)の出力上限値との関係を示すグラフが図示されている。
図6に示すように、SOC促進処理は、たとえば、電力の市場価格の予測値が閾価格Bよりも大きい場合(閾価格Bよりも大きく閾価格Aよりも小さい場合)と比べて、電動車両100の温度調節器190の出力上限値を高くする処理を含む。なお、
図6では、SOC促進処理後の出力上限値の変化が実線により図示され、SOC促進処理前の出力上限値の変化が破線により図示されている。
【0068】
具体的には、SOC促進処理は、冷房装置191およびヒータ192の各々の出力上限値を高くする処理を含む。SOC促進処理による出力上限値の増加量は、たとえば予め設定された固定値である。なお、上記増加量は、たとえば電力の市場価格の予測値と閾価格Bとの差分の大きさに基づいて算出されてもよい。
【0069】
また、外気温度に対する出力上限値の変化率は、SOC促進処理が行われる前後で同じであってもよいし異なっていてもよい。また、冷房装置191およびヒータ192の各々のSOC促進処理による出力上限値の増加量は、互いに同じであってもよいし異なっていてもよい。また、冷房装置191およびヒータ192のいずれか一方の出力上限値のみがSOC促進処理により増加されてもよい。
【0070】
なお、SOC促進処理は、上記の例に限られない。たとえば、PHEV車においては、HV走行よりもEV走行が積極的に使用されることによりSOCの低下が促進されてもよい。また、BEV車においては、MG142の出力を重視したパワーモードに切り換えることにより、SOCの低下が促進されてもよい。これにより、ユーザが運転をより楽しむことができるとともに、運転後の充電時には市場価格が比較的低くなっているので、ユーザの経済的なダメージを軽減することが可能である。
(電動車両管理装置の制御フロー)
次に、
図7を参照して、電動車両管理装置1000の制御フローを説明する。
【0071】
まず、ステップS1において、電動車両100が走行中か否かが判定される。具体的には、サーバ300の通信装置330により取得された電動車両100の車両情報(電動車両100の位置および電動車両100の走行計画等)により、電動車両100が走行していることがプロセッサ310により判定される。詳細には、プロセッサ310は、起動スイッチがオンされている時に、電動車両100が走行中であることの判定を行う。電動車両100が走行中であると判定された場合(S1においてYes)、処理はステップS2に進む。電動車両100が走行中ではないと判定された場合(S1においてNo)、処理はリターンに進む。なお、ステップS1の上記判定は、サーバ600のプロセッサ610により行われてもよい。
【0072】
次に、ステップS2において、電動車両100の次回の充電の予定が検出される。具体的には、電動車両100の車両情報(電動車両100の位置、電動車両100の走行計画、および、過去の走行データ等)またはモバイル端末UTから送信される情報等に基づき、プロセッサ610により上記判定が行われる。次回の充電の予定があると判定された場合(S2においてYes)、処理はステップS3に進む。次回の充電の予定がない(未定)と判定された場合(S2においてNo)、ステップS2の処理が繰り返される。なお、ステップS2の上記判定は、サーバ300のプロセッサ310により行われてもよい。
【0073】
次に、ステップS3において、電動車両100の次回の充電の予定時刻が検出される。具体的には、上記電動車両100の車両情報(電動車両100の位置、電動車両100の走行計画、および、過去の走行データ等)またはモバイル端末UTから送信される情報等に基づき、上記予定時刻が算出される。また、渋滞情報やモバイル端末UTに保存された個人スケジュール等により上記予定時刻が算出されてもよい。なお、ステップS3の上記処理は、サーバ300のプロセッサ310により行われてもよい。
【0074】
次に、ステップS4では、ステップS3において検出された予定時刻における電力の市場価格の予測値が算出される。具体的には、サーバ600のプロセッサ610(市場価格予測部616)により、市場価格の予測値が算出される。
【0075】
次に、ステップS5では、ステップS4において算出された電力の市場価格の予測値が閾価格B(
図4参照)以下であるか否かが判定される。予測値が閾価格B以下である場合(S5においてYes)、処理はステップS6に進む。また、予測値が閾価格Bよりも大きい場合(S5においてNo)、処理はステップS7に進む。
【0076】
ステップS6では、SOC促進処理が行われる。SOC促進処理の詳細については上記の通りである。
【0077】
また、ステップS7では、ステップS4において算出された電力の市場価格の予測値が閾価格A以上であるか否かが判定される。予測値が閾価格A以上である場合(S7においてYes)、処理はステップS8に進む。また、予測値が閾価格Aよりも小さい場合(S7においてNo)、処理はリターンに進む。
【0078】
ステップS8では、SOC抑制処理が行われる。SOC抑制処理の詳細については上記の通りである。
【0079】
なお、ステップS5とステップS7との順番が逆であってもよい。
また、サーバ600のプロセッサ610(市場価格予測部616)は、電力取引市場のゲートクローズの前に、電力の市場価格の予測値を算出する。
【0080】
以上のように、本実施の形態においては、プロセッサ310(SOC調整処理部311)は、算出された電力の市場価格の予測値に基づいて、走行中の電動車両100のSOCを調整するためのSOC調整処理を行う。これにより、電力の市場価格の予測値に基づいて走行中の電動車両100のSOCが調整される。その結果、市場価格の予測値に基づいて、ユーザの経済的負担が軽減されるようにSOCを調整することが可能である。これにより、電動車両100のユーザが経済的な不安(不満)を感じるのを抑制することができる。
【0081】
また、上記実施の形態では、SOC抑制処理において温度調節器190の出力上限値を低下させる例を示したが、本開示はこれに限られない。温度調節器190の出力上限値を低下させずに他の機器等の出力を変化させてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、サーバ300が電動車両100にSOC調整処理を行うように指令信号を送信する例を示したが、本開示はこれに限られない。サーバ300は、電力の市場価格の予測値と閾価格A(B)との比較結果のみを電動車両100に送信してもよい。この場合、電動車両100は、サーバ300から送信された比較結果に基づいて、上記SOC抑制処理(SOC促進処理)を実行する。
【0083】
また、上記実施の形態では、温度調節器190の出力上限値を調整することによりSOC調整処理を行う例を示したが、本開示はこれに限られない。たとえば、サーバ300は、走行中の電動車両100が目的地に到着した時の目標SOCを設定してもよい。この場合、サーバ300は、電動車両100の走行ルート、定数(適合値/閾値)、各種マップ、電力消費量、および、回生量等を変更(調整)することにより、電動車両100が目的地に到着した時のSOCが目標SOCになるように調整してもよい。この場合、たとえば、SOC抑制処理では目標SOCを80%に設定し、SOC促進処理では目標SOCを20%に設定することにより、目的地で充電が行われる際のSOCを、電力の市場価値に基づいて調整できる。
【0084】
たとえば、
図8に示すように、SOC抑制処理は、電動車両100の温度調節器190の出力上限値を低くする処理を行わずに電動車両100のMG142の出力を制限するための処理(本開示の「第2処理」の一例)を含んでいてもよい。
【0085】
図8に示す例では、外気温度が所定の温度Tにおいて、MG142の出力上限値が最大となる。また、外気温度が所定の温度T以上の範囲において、外気温度が高くなるほどMG142の出力上限値が低下する。また、外気温度が所定の温度T以下の範囲において、外気温度が低下するほどMG142の出力上限値は増加する。これにより、外気温度が高いことに起因して冷房装置191の電力消費が大きい場合に、MG142の出力(電力消費)を抑制することが可能である。また、外気温度が低いことに起因してヒータ192の電力消費が大きい場合に、MG142の出力(電力消費)を抑制することが可能である。これらの結果、電動車両100のSOCの低下が抑制される。
【0086】
また、上記実施の形態では、電動車両管理装置1000がサーバ300とサーバ600とを含む例を示したが、本開示はこれに限られない。電動車両管理装置1000が、サーバ300およびサーバ600の両方の機能を有する1つのサーバのみを含んでいてもよい。
【0087】
上記の各種変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0088】
100 電動車両、142 MG(モータジェネレータ)、190 温度調節器、330,630 通信装置(通信部)、310,610 プロセッサ(制御部)、1000 電動車両管理装置、A 閾価格(第1の閾価格)、B 閾価格(第2の閾価格)、PG 電力系統。