(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ラジエータ配管の保持構造
(51)【国際特許分類】
F28F 9/013 20060101AFI20241210BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20241210BHJP
F01P 11/04 20060101ALI20241210BHJP
F01P 11/10 20060101ALI20241210BHJP
F16L 3/02 20060101ALI20241210BHJP
F28D 1/053 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
F28F9/013 Z
B60K11/04 G
F01P11/04 C
F01P11/10 B
F16L3/02 B
F28D1/053 A
(21)【出願番号】P 2022040969
(22)【出願日】2022-03-16
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】島崎 洋
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-182643(JP,A)
【文献】特開2012-250637(JP,A)
【文献】特開2012-136846(JP,A)
【文献】特開2021-004482(JP,A)
【文献】特開平05-071891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/00 - 99/00
F28D 1/00 - 21/00
B60K 11/04
B60K 13/02
F01P 11/04
F01P 11/10
F16L 3/00 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータの前面に設けられた冷媒ポートに接続される円筒配管を保持する、ラジエータ配管の保持構造であって、
前記ラジエータと、前記ラジエータより前方に設けられたフロントグリルとの間に設けられ、前記ラジエータの前面を取り囲むようにして車両前後方向に延設される角筒形状の導風ダクトを備え、
前記導風ダクトの前記角筒形状の一部を構成する管壁には、前記円筒配管を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、円環が一部切り欠かれ開放された切欠リング状の山部及び谷部が同心円状に交互に形成された切欠蛇腹部を備え
、
前記管壁は、前記導風ダクトの側壁であって、
前記側壁は、相対的に車両前後方向寸法が短い短尺部と、前記短尺部より下方に設けられ前記短尺部の前端辺よりも更に車両前方に延設される長尺部を備え、
前記長尺部の上端辺に、上方が開放された前記切欠蛇腹部が形成される、
ラジエータ配管の保持構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の、ラジエータ配管の保持構造であって、
前記短尺部の前端辺には上下方向に延設される直線辺が形成され、
前記直線辺の下端に、前記切欠蛇腹部の開放端が接続される、
ラジエータ配管の保持構造。
【請求項3】
請求項
1または
2に記載の、ラジエータ配管の保持構造であって、
前記短尺部より前方の切り欠き部を覆う補助側片を更に備える、
ラジエータ配管の保持構造。
【請求項4】
請求項1から
3の何れか一項に記載の、ラジエータ配管の保持構造であって、
前記切欠蛇腹部の周方向端部には、当該周方向端部を閉塞するシール片が設けられる、
ラジエータ配管の保持構造。
【請求項5】
ラジエータの前面に設けられた冷媒ポートに接続される円筒配管を保持する、ラジエータ配管の保持構造であって、
前記ラジエータと、前記ラジエータより前方に設けられたフロントグリルとの間に設けられ、前記ラジエータの前面を取り囲むようにして車両前後方向に延設される角筒形状の導風ダクトを備え、
前記導風ダクトの前記角筒形状の一部を構成する管壁には、前記円筒配管を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、円環が一部切り欠かれ開放された切欠リング状の山部及び谷部が同心円状に交互に形成された切欠蛇腹部を備え、
前記切欠蛇腹部の周方向端部には、当該周方向端部を閉塞するシール片が設けられる、
ラジエータ配管の保持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、ラジエータ配管の保持構造が開示される。
【背景技術】
【0002】
内燃機関冷却用の冷媒や、車載の空調機器に流れる冷媒の熱を放散させるために、車両には熱交換器であるラジエータが設けられる。車両前面のフロントグリルから車外の空気が取り込まれ、ラジエータに送られる。
【0003】
ラジエータは車両前方を向く面を主面とする直方体形状であって、矩形枠部材であるラジエータサポートに嵌め込まれて支持される。例えば特許文献1では、ラジエータとラジエータサポートとの隙間に配管が通される。さらに配管周辺がパネル材によりシールされる。ラジエータとラジエータサポートとの間に生じる隙間がパネル材で埋められることで、冷却風がラジエータの脇から漏れることが抑制される。
【0004】
また特許文献2では、エンジンとエアクリーナとを接続する円筒管状のダクト(ホース)が開示される。騒音抑制のため、エンジンは隔壁に囲まれる。隔壁には開口が設けられ、さらにその開口に、蛇腹部材が設けられる。蛇腹部材はリング状の山部と谷部が同心円状に交互に配置され、中心孔にダクトが通される。このような保持構造により、エンジン振動時でもダクトと隔壁の隙間がシールされ、騒音の漏れを抑制可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-87751号公報
【文献】特開2020-157898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、リング状の蛇腹部材でホースやダクト等の円筒配管を保持させる場合に、配管を蛇腹部材の中心孔に挿入する工程が発生する。配管が長尺物である場合、この挿入工程が長時間に及ぶおそれがある。
【0007】
そこで本明細書では、蛇腹構造により円筒配管を保持する際に、円筒配管の蛇腹構造への取付工程を従来よりも短時間で行うことの可能な、ラジエータ配管の保持構造が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書では、ラジエータの前面に設けられた冷媒ポートに接続される円筒配管を保持する、ラジエータ配管の保持構造が開示される。この保持構造は導風ダクトを備える。導風ダクトは角筒形状であって、ラジエータと、ラジエータより前方に設けられたフロントグリルとの間に設けられ、ラジエータの前面を取り囲むようにして車両前後方向に延設される。導風ダクトの角筒形状の一部を構成する管壁には、円筒配管を保持する保持部が設けられる。保持部は、円環が一部切り欠かれ開放された切欠リング状の山部及び谷部が同心円状に交互に形成された切欠蛇腹部を備える。
【0009】
上記構成によれば、導風ダクトの一部を構成する管壁に、円筒配管を保持する保持部が設けられる。この保持部は、切欠蛇腹部を備えており、切欠蛇腹部の開放端から円筒配管を嵌め込むことで、円筒配管が管壁に保持される。
【0010】
また上記構成において、管壁は、導風ダクトの側壁であってよい。この場合、側壁は、相対的に車両前後方向寸法が短い短尺部と、短尺部より下方に設けられ短尺部の前端辺よりも更に車両前方に延設される長尺部を備える。さらに長尺部の上端辺に、上方が開放された切欠蛇腹部が形成される。
【0011】
導風ダクトの前端がフロントグリルの後端まで延設され、さらに切欠蛇腹部が導風ダクトの前端に設けられる場合、円筒配管の取付及び取り外しに当たって、切欠蛇腹部の開放端を露出させるためにフロントグリルを車体から取り外す作業が必要となるおそれがある。上記構成のように、切欠蛇腹部が長尺部の上端辺に設けられ、さらに切欠蛇腹部の開放端が上方に設けられることで、フロントグリルを取り外すことなく、例えばエンジンコンパートメントの上方から作業者が切欠蛇腹部の開放端にアクセス可能となる。
【0012】
また上記構成において、短尺部の前端辺には上下方向に延設される直線辺が形成されてよい。この場合、直線辺の下端に、切欠蛇腹部の開放端が接続される。
【0013】
上記構成によれば、直線辺をガイドとして、円筒配管を切欠蛇腹部に嵌め込むことが出来る。
【0014】
また上記構成において、ラジエータ配管の保持構造は、短尺部より前方の切欠き部を覆う補助側片を更に備えてよい。
【0015】
上記構成によれば、切欠き部から冷却空気が漏れることが抑制される。
【0016】
また上記構成において、切欠蛇腹部の周方向端部には、当該周方向端部を閉塞するシール片が設けられてよい。
【0017】
上記構成によれば、切欠蛇腹部の山部及び谷部から構成される断面V字の溝から導風ダクト外に冷却空気が漏れることが抑制される。
【発明の効果】
【0018】
本明細書で開示されるラジエータ配管の保持構造によれば、蛇腹構造により円筒配管を保持する際に、円筒配管の蛇腹構造への取付工程を従来よりも短時間で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係るラジエータ配管の保持構造を含む、車両の前方部分を例示する斜視図である。
【
図2】
図1のラジエータホース周辺を拡大した斜視図である。
【
図3】サイドプレートの保持部単体を例示する斜視図である。
【
図4】保持部単体を例示する斜視図であって、
図3の視点を反転させたときの図である。
【
図5】サイドプレートの構造を説明する斜視図である。
【
図6】補助側片をサイドプレートに取り付けたときの例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、実施形態に係るラジエータ配管の保持構造が図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、電子機器ユニット及び支持構造の仕様に応じて適宜変更することができる。また以下ではすべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0021】
また、
図1-
図8では、各構成の位置や方向を表すために、FR軸、RW軸、及びUP軸からなる直交座標系が用いられる。FR軸は車両前方を正方向とする車両前後方向軸である。RW軸は車両右側を正方向とする車幅方向軸である。UP軸は上方を正方向とする車両上下方向軸である。
【0022】
図1には、ラジエータ10を含む車両の前部構造が例示される。また
図2には、円筒配管であるラジエータホース30の周辺を拡大した拡大斜視図が例示される。後述されるように、本実施形態に係るラジエータ配管の保持構造は、導風ダクト50を備える。
【0023】
ラジエータ10は、内燃機関冷却用の冷媒の熱を放散させる熱交換器である。例えばラジエータ10は冷媒が流通するホースと、ホースの周辺に設けられるフィンを備える。ホース及びフィンの間に冷却空気が流れることで、ホース内を流れる冷媒が放熱される。
【0024】
また、ラジエータ10は、車両の空調システムの一部であって、例えば図示しないコンプレッサにより加圧された冷媒が送られる。空調システムにおける放熱器はコンデンサとも呼ばれるが、以下では空調システムにおける放熱器及び内燃機関系における放熱器はまとめてラジエータ10と呼称される。
【0025】
加えて、車両の駆動源として回転電機を備える場合には、当該回転電機を含め昇降圧コンバータ、DC/DCコンバータ及びインバータ等の高電圧機器を冷却する冷媒の放熱器の機能も、ラジエータ10は備えている。例えばラジエータ10は、内燃機関系の冷媒流路と、空調システムの冷媒流路と、高電圧機器の冷媒流路の3系統の冷媒流路を独立に備える。
【0026】
図1及び
図2を参照して、ラジエータ10は例えば車両のエンジンコンパートメントの前端部に配置される。ラジエータ10は例えば車両前方を向く前面12を主面とする直方体形状の機器である。
図1、
図2に例示されるラジエータ10は、その前面12に冷媒ポート14が設けられる。例えば前面12の右上端部(RW軸正方向端部かつUP軸正方向端部)に冷媒ポート14が設けられる。
【0027】
図示されるように、冷媒ポート14には、冷媒流路となる円筒配管である、ラジエータホース30が接続される。さらにラジエータホース30はラジエータ10の前面12から導風ダクト50を経由してラジエータ10の側方を通り、さらにラジエータ10の後方に延設される。導風ダクト50には保持部70が設けられる。この保持部70がラジエータホース30を保持する。
【0028】
ラジエータ10より前方には、車両の前面部材(正面部材)であるフロントグリル15が設けられる。フロントグリル15は網目状またはスリット状の部材であって、このフロントグリル15から冷却空気として車外空気がエンジンコンパートメント内に入り、さらにラジエータに送られる。
【0029】
またラジエータ10はラジエータサポート20に支持される。ラジエータサポート20は矩形状の枠体であって、この中にラジエータ10が収容及び支持される。
【0030】
ラジエータサポート20から前方に延設されるようにして、導風ダクト50が設けられる。導風ダクト50はフロントグリル15とラジエータ10の間に設けられる、角筒形状の部材である。導風ダクト50は、ラジエータ10の前面12を取り囲むようにして車両前後方向に延設される。導風ダクト50は、フロントグリル15から取り込まれた車外空気が、ラジエータ10の脇に漏れることを抑制するために設けられる。
【0031】
導風ダクト50は、その管壁として、上壁であるラジエータカバー52、下壁であるフロントバンパーアブソーバ54、及び側壁であるサイドプレート56,60を備える。サイドプレート56,60は、例えばポリプロピレンやポリエチレンなどの樹脂材料から構成される。
【0032】
RW軸方向正方向側のサイドプレート60には、ラジエータホース30を保持する保持部70が設けられる。なお、保持部70がRW軸方向正方向側のサイドプレート60に設けられるのは、ラジエータ10の前面12のRW軸方向正方向端部に冷媒ポート14が設けられていることによる。例えばラジエータ10の前面12のRW軸方向負方向端部(前面12を正面から見て右側)に冷媒ポート14が設けられる場合には、保持部70がRW軸方向負方向側のサイドプレート56に設けられる。
【0033】
導風ダクト50の側壁であるサイドプレート56,60は、車幅方向に延設される補強部材であるフロントバンパリーンフォース17を通すために、バンパ切欠き62(
図5参照)が設けられる。さらに保持部70が設けられるサイドプレート60には、短尺部71の前方に切欠き部77が設けられる。後述されるように、この切欠き部77により、例えば作業者はサイドプレート60の上方から切欠蛇腹部75にアクセス可能となり、ラジエータホース30の切欠蛇腹部75への取り付け、及び取り外しが可能となる。
【0034】
図3には、サイドプレート60から保持部70を抜き出した斜視図が例示される。また
図4には、UP軸を回転軸として、保持部70を180°回転させた(裏返した)ときの斜視図が例示される。
【0035】
例えば保持部70は、サイドプレート60の他の部分と一体成形される。または保持部70は、サイドプレート60の他の部分とは別体として成形され、その後溶着等により一体化される。
【0036】
保持部70は短尺部71、長尺部72、及び切欠蛇腹部75を備える。短尺部71及び長尺部72は平板状の部材であって、短尺部71は相対的に(長尺部72と比較して)車両前後寸法が短く形成される。長尺部72は、相対的に車両前後寸法が長く形成され、短尺部71の前端辺71Aよりも更に車両前方に延設される。このような寸法の違いから、短尺部71より前方には切欠き部77が形成される。
【0037】
保持部70には、短尺部71から長尺部72に亘って、切欠蛇腹部75が設けられる。切欠蛇腹部75は、円環が一部切り欠かれ開放された切欠リング状の山部75A及び谷部75Bが同心円状に交互に形成される。さらに切欠蛇腹部75は、ラジエータホース30と当接する当接内周面75Dを備える。つまり切欠蛇腹部75は、当接内周面75Dを取り囲むように山部75A及び谷部75Bを備える。
【0038】
例えば切欠蛇腹部75は、長尺部72の上端辺72Bに設けられ、その上方が開放される。切欠蛇腹部75の開放端75Cは、ラジエータホース30を切欠蛇腹部75に嵌め込む際の嵌め込み口となる。
図4を参照して、当接内周面75Dには、開放端75Cに突起部75Eが設けられる。突起部75Eにより、切欠蛇腹部75に嵌め込まれたラジエータホース30の、切欠蛇腹部75からの抜けが抑制される。
【0039】
例えば
図3、
図4では、切欠蛇腹部75の中心角(展開角)は180°となるように定められる。ただし切欠蛇腹部75の中心角はこの例に限定されない。例えば後述される
図8のように、切欠蛇腹部75の中心角は90°であってよい。例えば切欠蛇腹部75の中心角の範囲は、90°以上360°未満となるように定められる。
【0040】
図3、
図4を参照して、切欠蛇腹部75が長尺部72の上端辺72Bに設けられさらにその開放端75Cが上方に向けられることで、保持部70の上方から切欠蛇腹部75へのアクセスが可能となる。例えば作業者がフロントフードを開けてエンジンコンパートメントを開放し、さらに補助側片80(
図1参照)を取り外すことで保持部70へのアクセスが可能となる。
【0041】
例えば導風ダクト50がフロントグリル15の後端まで延設され、さらに切欠蛇腹部75がサイドプレート60の前端に設けられる場合、ラジエータホース30の取付け及び取り外しに際して、フロントグリル15を取り外す工程が生じるおそれがある。本実施形態に係るラジエータ配管の保持構造では、切欠蛇腹部75の開放端75Cが長尺部72の上端辺72Bにおいて上方に開放されているので、フロントグリル15を取り外す必要が無く、作業者は上方から切欠蛇腹部75の開放端75Cにアクセス可能となる。
【0042】
ラジエータホース30を切欠蛇腹部75に嵌め込む際に、ラジエータホース30が開放端75Cから当接内周面75Dの内部に押し込まれる。この押し込みに応じて、当接内周面75D、山部75A及び谷部75Bが径方向外側に撓み変形する。ラジエータホース30が当接内周面75D内に収容されると、ラジエータホース30は切欠蛇腹部75に保持される。
【0043】
ラジエータホース30を確実に保持するために、ラジエータホース30の直径は(ホース非保持時の)当接内周面75Dの内径を超過してもよい。つまり切欠蛇腹部75を径方向外側に撓み変形させその弾性力により、ラジエータホース30が保持されてよい。このようにすることで、ラジエータホース30と当接内周面75Dとのシール性が維持され、両者の間から冷却空気が漏れることが抑制される。
【0044】
このような、蛇腹としての柔軟性を持たせるために、例えば切欠蛇腹部75は、短尺部71及び長尺部72よりも肉薄に形成される。また、ラジエータホース30の削れを防ぐために、当接内周面75Dの幅(RW軸方向寸法)は、短尺部71及び長尺部72の板厚よりも大きくなるように切欠蛇腹部75が形成される。
【0045】
また、例えば切欠蛇腹部75の周方向端部は、シール片75F(
図3参照)により閉塞される。切欠蛇腹部75は、山部75A及び谷部75Bにより断面V字型の溝が形成され、これが冷却風の漏れ流路となってサイドプレート60の外(車幅方向外側)に漏れるおそれがある。そこでシール片75Fを切欠蛇腹部75の周方向端部に設けることで、このような冷却風の漏れが抑制される。
【0046】
なお、シール片75Fを設けることで、シール片75Fの周辺部分は、シール片75Fを設けない場合と比較して撓みにくくなる。このことから、切欠蛇腹部75の2つの周方向端部のうち、例えば突起部75Eに近い側の端部には、シール片75Fが省略されてもよい。
【0047】
短尺部71の前端辺71Aには上下方向に延設される直線辺71Bが形成される。この直線辺71Bの下端は切欠蛇腹部75の開放端75Cに接続される。例えば直線辺71Bは当接内周面75Dの半円終端に連続的に接続される。またこの接続点に対向して突起部75E(
図4参照)が設けられる。上記構造を備えることで、例えば作業者がラジエータホース30を切欠蛇腹部75に嵌め込む際に、直線辺71Bをガイド辺として利用可能となる。
【0048】
図5には、保持部70がサイドプレート60の一部となっている構造が例示される。例えば保持部70は、バンパ切欠き62の上方に設けられる。さらに
図6を参照して、保持部70の側方(車幅方向外側)には、補助側片80が設けられる。
【0049】
補助側片80は、保持部70の切欠き部77を覆う部材であって、切欠き部77から冷却空気が漏れることを抑制するための部材である。補助側片80は例えば図示しないクリップ等の締結部材を、サイドプレート60の図示しない締結孔に差し込むことで、サイドプレート60に締結される。
【0050】
補助側片80は例えば内側壁81、外側壁82、天井壁83及び前壁84を備える。内側壁81はその後端が長尺部72の前端辺72Aと当接される。天井壁83は長尺部72よりも車両前後方向寸法が長くなるように形成され、サイドプレート60の庇部64を覆い、さらに長尺部72の全長に亘ってこれ(長尺部72)を覆う。
【0051】
外側壁82は短尺部71及び長尺部72と対向する平板形状の部材であって、短尺部71及び長尺部72とは車幅方向に間隙W1を空けて離隔される。この間隙にラジエータホース30が通される。例えば外側壁82は長尺部72よりも車両前後方向寸法が長くなるように形成され、車幅方向外側から外側壁82が保持部70の切欠き部77を車幅方向外側から覆う。
【0052】
<保持部の別例>
図7には保持部70の別例が示される。この保持部70では、切欠蛇腹部75の蛇腹が多段となるように形成される。すなわち切欠蛇腹部75では、切欠リング状の山部75A及び谷部75Bが同心円状に交互に、多段に設けられる。このように多段の蛇腹構造とすることで、単段の蛇腹構造と比較して、切欠蛇腹部75の撓み幅を拡張可能となり、より太径のラジエータホース30の受け入れが可能となる。
【0053】
また
図8には、多段の蛇腹構造を備える切欠蛇腹部75が例示される。この例では、保持部70には短尺部71及び長尺部72が形成されず、その前端に切欠蛇腹部75が形成される。切欠蛇腹部75の開放端75Cは前方に設けられる。
【0054】
以上説明したように、
図1-
図8に例示される、本実施形態に係るラジエータ配管の保持構造によれば、切欠蛇腹部75の開放端75Cからラジエータホース30を嵌め込むのみにて、ラジエータホース30がサイドプレート60に保持可能となる。
【符号の説明】
【0055】
10 ラジエータ、12 ラジエータの前面、14 冷媒ポート、15 フロントグリル、30 ラジエータホース(円筒配管)、50 導風ダクト、60 サイドプレート(導風ダクトの管壁及び側壁)、70 保持部、71 短尺部、71A 短尺部の前端辺、71B 短尺部の直線辺、72 長尺部、72A 長尺部の前端辺、72B 長尺部の上端辺、75 切欠蛇腹部、75A 山部、75B 谷部、75C 開放端、75D 当接内周面、75E 突起部、75F シール片、77 切欠き部、80 補助側片。