(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】洗車機、および洗車機の制御方法
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B60S3/06
(21)【出願番号】P 2022050390
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石田 伸浩
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-55799(JP,A)
【文献】特開2019-64519(JP,A)
【文献】特開平5-319219(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0277858(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019101052(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を搬送するコンベヤと、
前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、
前記コンベヤおよび前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車両の洗浄を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程を実行し、
さらに、前記停止工程が第1の所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記コンベヤを引き続き停止させるとともに、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程を実行する、洗車機。
【請求項2】
前記洗車機本体は、液体を噴射するノズルを有し、
前記制御部は、前記退避工程が第2の所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記退避工程中に、前記退避工程の実行直前に前記ブラシが当接していた前記車両の表面の少なくとも一部に前記ノズルから前記液体を噴射させて、当該表面に付着した前記洗浄液を洗い流す、すすぎ処理を実行する、請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記制御部は、前記ブラシによる前記車両の洗浄の間、前記ノズルから前記ブラシまたは前記ブラシが当接する前記車両の表面に向かって前記液体を噴射させる、請求項2に記載の洗車機。
【請求項4】
車両を搬送するコンベヤと、
前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、
前記コンベヤおよび前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、所定の時刻になると、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程を実行する、洗車機。
【請求項5】
車両を搬送するコンベヤと、前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、を備えた洗車機の制御方法であって、
前記コンベヤにより搬送される前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程と、
前記停止工程が所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記コンベヤを引き続き停止させるとともに、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程と、を含む、洗車機の制御方法。
【請求項6】
車両を搬送するコンベヤと、前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、を備えた洗車機の制御方法であって、
前記コンベヤにより搬送される前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、
所定範囲の時刻において、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程と、を含む、洗車機の制御方法。
【請求項7】
洗浄液が散布された車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体と、
前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記車両の洗浄を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程を実行し、
さらに、前記停止工程が第1の所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程を実行する、洗車機。
【請求項8】
前記洗車機本体は、液体を噴射するノズルを有し、
前記制御部は、前記退避工程が第2の所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記退避工程中に、前記退避工程の実行直前に前記ブラシが当接していた前記車両の表面の少なくとも一部に前記ノズルから前記液体を噴射させて、当該表面に付着した前記洗浄液を洗い流す、すすぎ処理を実行する、請求項7に記載の洗車機。
【請求項9】
洗浄液が散布された車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体と、
前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、所定の時刻になると、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程を実行する、洗車機。
【請求項10】
車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機の制御方法であって、
前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、
前記洗浄工程を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程と、
前記停止工程が所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程と、を含む、洗車機の制御方法。
【請求項11】
車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機の制御方法であって、
前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、
所定範囲の時刻において、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程と、を含む、洗車機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両を洗浄する洗車機、および当該洗車機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンベヤにより搬送される車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の搬送は様々な要因によって一時的に中断する場合があり、洗車機本体が有するブラシが車両に当接した状態において車両の搬送が停止する場合がある。ここで、車両の搬送が長時間中断した場合、例えば、車両の表面と当該表面にブラシにより押し付けられた洗浄液との反応に起因して、当該表面の洗浄のムラ、またはくすみの発生等、車両に不良が発生する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る洗車機は、車両を搬送するコンベヤと、前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、前記コンベヤおよび前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記車両の洗浄を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程を実行し、さらに、前記停止工程が第1の所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記コンベヤを引き続き停止させるとともに、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程を実行する。
【0006】
本開示の他の一態様に係る洗車機は、車両を搬送するコンベヤと、前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、前記コンベヤおよび前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、所定の時刻になると、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程を実行する。
【0007】
また、本開示の一態様に係る洗車機の制御方法は、車両を搬送するコンベヤと、前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、を備えた洗車機の制御方法であって、前記コンベヤにより搬送される前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程と、前記停止工程が所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記コンベヤを引き続き停止させるとともに、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程と、を含む。
【0008】
本開示の他の一態様に係る洗車機の制御方法は、車両を搬送するコンベヤと、前記車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有する洗車機本体と、を備えた洗車機の制御方法であって、前記コンベヤにより搬送される前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、所定範囲の時刻において、前記コンベヤを停止させるとともに、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程と、を含む。
【0009】
本開示の一態様に係る洗車機は、洗浄液が散布された車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体と、前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記車両の洗浄を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程を実行し、さらに、前記停止工程が第1の所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程を実行する。
【0010】
本開示の他の一態様に係る洗車機は、洗浄液が散布された車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体と、前記洗車機本体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、所定の時刻になると、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程を実行する。
【0011】
本開示の一態様に係る洗車機の制御方法は、車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機の制御方法であって、前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、前記洗浄工程を停止する指令を含む信号の受信に応じ、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させる停止工程と、前記停止工程が所定時間以上継続したことを検知した場合に、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする退避工程と、を含む、洗車機の制御方法。
【0012】
本開示の他の一態様に係る洗車機の制御方法は、車両を洗浄する洗車機本体であって、洗浄液が散布された前記車両の表面を摺動するブラシを有し、少なくとも前記ブラシを前記車両に対し相対移動させて前記車両を洗浄する洗車機本体を備えた洗車機の制御方法であって、前記車両に対して、前記ブラシにより、前記車両の表面を摺動して前記車両を洗浄する洗浄工程と、所定範囲の時刻において、前記ブラシによる前記車両の表面の摺動を停止させ、前記ブラシを前記車両から退避させた状態とする停止退避工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
車両の洗浄停止の継続時間または時刻に応じて、車両とブラシとの当接の有無を適切に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る洗車機の概略側面図および概略平面図、ならびに、洗車機本体の概略側面図および概略正面図である。
【
図2】実施形態に係る洗車機の制御方法を説明するフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る停止工程を説明するためのフローチャートである。
【
図4】実施形態に係る停止工程を説明するための、洗車機本体の工程正面図である。
【
図5】実施形態に係る停止退避工程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態〕
<洗車機:概要>
本実施形態に係る洗車機は、被洗浄車両をコンベヤによって搬送しつつ、当該車両を洗浄する洗車機である。本実施形態に係る洗車機について、
図1を参照しより詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係る洗車機2の概略側面2Sおよび概略平面2Pと、本実施形態に係る後述の洗車機本体10の概略側面10Sおよび概略正面10Fと、を示す。
図1の概略側面2Sおよび概略平面2Pには、洗車機2によって洗浄される被洗浄車両である車両Xについても点線にて併せて図示する。また、概略側面2Sには、地面Gより地中側に埋設されている洗車機2の各部についても図示している。
【0017】
図1の概略側面2Sまたは概略平面2Pに示すように、洗車機2は、コンベヤ4と、洗浄液アーチ6と、車形センサ8と、洗車機本体10と、制御部12とを備える。なお、概略平面2Pにおいては、図示の簡単のため、概略側面2Sに示す一部の部材の図示を省略している場合がある。また、概略平面2Pにおいては、より位置関係を詳細に示すため、後述するベルト14について車両Xを透過して示しているが、洗浄液アーチ6および洗車機本体10と重なる部分については点線にて示している。
【0018】
<洗車機:コンベヤ>
コンベヤ4は、例えば、2本のベルト14と、各ベルト14を送り出すプーリ16とを含む。コンベヤ4は、例えば、ベルト14上に車両Xのタイヤを乗せた状態において、プーリ16を不図示の動力部により回転させて、ベルト14を送り出すことにより、搬送方向DTに沿って車両Xを搬送する。特に、コンベヤ4は、車両Xの長さ方向DLが搬送方向DTと略平行となるように車両Xを搬送する。このため、車両Xの幅方向DWおよび高さ方向DHは搬送方向DTと略直交する。
【0019】
ベルト14の外周面には、車両Xのタイヤを搬送方向DTにおいて固定するための不図示のローラが、所定間隔にて複数形成されていてもよい。これにより、コンベヤ4は、複数の車両Xを、搬送方向DTに沿って略等間隔に離しつつ、同時に搬送してもよい。
図1においては、コンベヤ4が同一の形状を有する車両Xを搬送するが、これに限られず、互いに異なる形状を有する複数の車両Xを同時に搬送してもよい。
【0020】
<洗車機:洗浄液アーチ>
洗浄液アーチ6は、コンベヤ4によって搬送される車両Xが内側を通過可能な門型の構造を有し、内側に不図示の洗浄液ノズルを複数有する。洗浄液アーチ6は、例えば、不図示のポンプからの洗浄液の供給を受けて、洗浄液ノズルから洗浄液アーチ6の内側に向かって洗浄液を噴射させる。このため、洗車機2は、コンベヤ4によって車両Xを搬送しつつ、洗浄液アーチ6から洗浄液を噴射させることにより、洗浄液アーチ6の内側を通過する車両Xの表面に洗浄液を散布する。
【0021】
洗浄液ノズルが噴射する洗浄液は、例えば、強アルカリの液剤であってもよい。さらに、洗浄液アーチ6は、内側を通過する車両Xを検出するセンサを備えていてもよく、当該センサが車両Xを検出する間のみ、洗浄液ノズルから洗浄液を噴射させてもよい。
【0022】
<洗車機:車形センサ>
車形センサ8は、車両Xの外形を測定するためのセンサであり、特に、所定地点を横切る車両Xの高さを検出する。車形センサ8は、例えば、洗浄液アーチ6よりも搬送方向DTの下流側に形成される。車形センサ8は、搬送される車両Xの上下方向に沿って整列する複数の発光部と、該発光部のそれぞれに対応し、幅方向DWにおいてコンベヤ4に対し発光素子と反対の側に配置された複数の受光素子と、を備えていてもよい。これにより、車形センサ8は、車両Xを検出する受光素子の個数の変化から、発光素子と受光素子との間を横切る車両Xの高さを推定でき、ひいては、平面視における位置ごとに車両Xの高さを推定することができる。
【0023】
<洗車機:洗車機本体:フレームおよび天井部>
洗車機本体10は、2つのフレーム18と、当該2つのフレーム18の上部を接続する天井部20とを有する。このため、2つのフレーム18と天井部20との間には空間10Aが形成される。また、2つのフレーム18は幅方向DWにコンベヤ4を挟むように固定されている。特に、フレーム18は例えば固定具18Aを介して地面Gに固定されており、コンベヤ4による車両Xの搬送によらず地面Gに対する位置を固定されている。このため、コンベヤ4によって搬送される車両Xは、洗車機本体10に対し相対移動し、フレーム18と天井部20との間の空間10Aを通過する。
【0024】
特に、洗車機本体10は車形センサ8よりも搬送方向DTの下流側、換言すれば、洗浄液アーチ6よりも搬送方向DTの下流側に形成される。このため、洗車機2は、洗浄液アーチ6によって洗浄液を車両Xの表面に散布した後、空間10Aに車両Xを通過させる。
【0025】
<洗車機:洗車機本体:ブラシ>
洗車機本体10は、ブラシとして、トップブラシ22、サイドブラシ24、およびロッカーブラシ26を有する。洗車機本体10が有する各ブラシは、不図示の回転モータによって回転する回転ブラシであってもよい。トップブラシ22は、車両Xの上面に沿って摺動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ24およびロッカーブラシ26は、車両Xの両側面を洗浄する。特に、ロッカーブラシ26は、車両Xのタイヤの外側面を含む、サイドブラシ24が洗浄する車両Xの両側面よりも車両Xの下方側の両側面を洗浄する。
【0026】
トップブラシ22は、例えば、各フレーム18から車両Xの幅方向DWに沿って延伸するアーム22Aによって支持され、アーム22Aの延伸方向周りに回転する。アーム22Aは、不図示の動力部により車両Xの高さ方向DHに沿って移動することにより、トップブラシ22を高さ方向DHに沿って移動させる。トップブラシ22は、コンベヤ4によって搬送され空間10Aを通過する、洗浄液が散布された車両Xの上面を摺動して、車両Xの上面を洗浄する。トップブラシ22は、洗車機本体10による車両Xの洗浄が実行されない間、天井部20に格納されてもよい。
【0027】
サイドブラシ24は、例えば、天井部20から車両Xの高さ方向DHの下側に向かって吊り下げられたアーム24Aによって支持され、アーム24Aの延伸方向周りに回転する。また、サイドブラシ24は、例えば、一方のフレーム18の側と他方のフレーム18の側との双方に形成される。このため、サイドブラシ24は、幅方向DWにコンベヤ4を挟むように形成される。
【0028】
アーム24Aは、不図示の動力部により車両Xの幅方向DWに沿って移動することにより、サイドブラシ24を幅方向DWに沿って移動させる。サイドブラシ24は、コンベヤ4によって搬送され空間10Aを通過する、洗浄液が散布された車両Xの両側面を摺動して洗浄する。サイドブラシ24が車両Xに押されることに伴い、サイドブラシ24は、アーム24Aの延伸方向が高さ方向DHから傾斜するように傾斜してもよい。サイドブラシ24は、洗車機本体10による車両Xの洗浄が実行されない間、各フレーム18に格納されてもよい。
【0029】
ロッカーブラシ26は、例えば、第1アーム26Aの端部から車両Xの高さ方向DHの下側に向かって吊り下げられた第2アーム26Bによって支持され、第2アーム26Bの延伸方向周りに回転する。ロッカーブラシ26は、サイドブラシ24と同じく、幅方向DWにコンベヤ4を挟むように形成される。
【0030】
第1アーム26Aは、第2アーム26Bが形成された端部と反対の側の端部に形成され、車両Xの幅方向DWに沿って延伸する不図示の軸周りに回動する。これにより、第1アーム26Aおよび第2アーム26Bは、ロッカーブラシ26を上記軸回りに回動させることにより、幅方向DWに対して移動させる。ロッカーブラシ26は、コンベヤ4によって搬送され空間10Aを通過する、洗浄液が散布された車両Xの両側面を摺動して洗浄する。
【0031】
例えば、ロッカーブラシ26には、空間10A側への付勢力が加えられていてもよい。これにより、ロッカーブラシ26は、搬送される車両Xの両側面に押し戻されつつ第2アーム26B周りに回転することにより、当該両側面を摺動して洗浄してもよい。一方、第1アーム26Aの軸回りの角度は、後述する制御部12等によって制御されてもよい。このため、ロッカーブラシ26は、洗車機本体10による車両Xの洗浄が実行されない間、第1アーム26Aの軸回りの角度の制御を通じて各フレーム18に格納されてもよい。
【0032】
<洗車機:洗車機本体:ノズル>
洗車機本体10は、浄水アーチ28と、浄水アーチ28に複数形成されたノズルとしての浄水ノズル30と、を有する。浄水アーチ28は、例えば、洗車機本体10のうち、搬送方向DTの上流側と下流側とのそれぞれにおいて、2つのフレーム18および天井部20のそれぞれに渡って門型に形成されている。浄水アーチ28は、例えば、不図示のポンプからの市水の供給を受けて、各浄水ノズル30に当該市水を分配する。浄水ノズル30は、例えば、浄水アーチ28からの市水の供給を受けて、浄水アーチ28の内側に市水を噴射する。
【0033】
浄水ノズル30は、例えば、平面視において2本のベルト14を車両Xの幅方向DWにおいて挟むように複数配置される。例えば、浄水ノズル30は、浄水アーチ28のうち各フレーム18に位置する部分にそれぞれ形成されていてもよく、あるいは、浄水アーチ28のうち天井部20に位置する部分に複数形成されていてもよい。
【0034】
浄水ノズル30が噴射する液体は市水に限られず、洗浄液アーチ6が噴射する洗浄液と異なる種類の洗浄液を含む液剤を噴射してもよい。洗車機本体10は、さらに、浄水ノズル30の他に、車両Xに洗浄液を噴射するノズル、またはワックス等の塗膜剤を噴射するノズルを、浄水ノズル30とは別に備えていてもよい。
【0035】
浄水ノズル30は、例えば、コンベヤ4によって搬送され空間10Aを通過する車両Xに対して市水を噴射するように方向づけられていてもよい。この場合、浄水ノズル30は、車両Xに直接市水を噴射することにより、車両Xに散布された洗浄液を異物等と共に洗い流してもよい。
【0036】
または、浄水ノズル30は、車両Xに当接しているトップブラシ22、サイドブラシ24、またはロッカーブラシ26を含む、車両Xに当接している洗車機本体10のブラシに市水を噴射するように方向づけられていてもよい。浄水ノズル30が市水をブラシに噴射する場合、洗車機本体10は、市水が付着したブラシを車両Xの表面に摺動させることにより、車両Xに散布された洗浄液を異物等と共に洗い流してもよい。
【0037】
<洗車機:洗車機本体:補遺>
洗車機本体10は、この他、少なくとも一方のフレーム18の前面に不図示の操作パネルを有していてもよい。操作パネルは、例えば、洗車機本体10による車両Xの洗車の条件を表示するための表示装置、あるいは、洗車機本体10の電源を投入するための操作部または当該条件を設定するための操作部としての操作ボタン等を有していてもよい。洗車機本体10は、操作パネルの周囲を覆う不図示のカバーを少なくとも一方のフレーム18の前面に有していてもよい。
【0038】
<洗車機:ロープスイッチ>
洗車機2は、さらに、ロープスイッチ32を洗車機本体10よりも搬送方向DTの下流側に備えていてもよい。ロープスイッチ32は、例えば、作業者等の洗車機2のユーザが、コンベヤ4による車両Xの搬送を停止すべき事象を発見した際等に引張されることにより、後述する制御部12に停止信号を送信して、コンベヤ4の動作を停止させるための装置である。
【0039】
洗車機2がロープスイッチ32を洗車機本体10よりも搬送方向DTの下流側に備える場合、ロープスイッチ32の周囲にはタッチアップ領域ATが形成されていてもよい。例えば、タッチアップ領域ATは、当該タッチアップ領域ATに進入した車両Xに対し、洗浄の仕上げ作業等を行うための領域である。例えば、タッチアップ領域ATにおいては、車両Xの洗車機本体10による洗浄が不十分である部分に対する、作業者Y等による拭き上げ作業等が行われてもよい。この場合、ロープスイッチ32は、タッチアップ領域ATにおける仕上げ作業に遅延が生じた場合等に、当該仕上げ作業を行う作業者Yによって引張され、車両Xの搬送を停止するために用いられてもよい。
【0040】
<洗車機:投入領域および取り出し領域>
ベルト14の搬送方向DTの上流側の端部には、作業者が車両Xを運転してベルト14上に車両Xのタイヤを乗せることにより、洗車機2に車両Xを投入するための投入領域A1が形成されている。また、ベルト14の搬送方向DTの下流側の端部において、作業者が車両Xを運転して車両Xをベルト14上から降ろすことにより、洗車機2から車両Xを取り出すための取り出し領域A2が形成されている。
【0041】
<洗車機:制御部>
制御部12は、コンベヤ4、洗浄液アーチ6、車形センサ8、および洗車機本体10を制御する。これにより、制御部12は、コンベヤ4による車両Xの搬送と、洗浄液アーチ6による車両Xへの洗浄液の散布と、車形センサ8による車両Xの検出と、洗車機本体10による車両Xの洗浄と、を制御する。制御部12は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。
【0042】
特に、制御部12は、洗車機本体10の各ブラシおよび各ノズルの動作を制御し車両Xの洗浄を行う。例えば、制御部12は、車形センサ8による車両Xの検出結果から車両Xの外形の情報の少なくとも一部を割り出して、当該情報に基づき洗車機本体10の各ブラシおよび各ノズルの動作を制御し車両Xの洗浄を行ってもよい。
【0043】
また、制御部12は、洗車機2の各部から送信される信号の受信に基づいて、コンベヤ4、洗浄液アーチ6、および洗車機本体10の動作を制御する。特に、制御部12は、洗車機2の各部から送信される、車両Xの洗浄を停止する指令を含む停止信号の受信に応じ、コンベヤ4を停止させるとともに、洗車機本体10が有する各ブラシによる車両Xの表面の摺動を停止させる。例えば、洗車機2の各部は、有線または無線の手段によって制御部12への信号の送信を行うための通信部を備えていてもよい。また、制御部12は、洗車機2の各部から送信された信号を受信するための通信部を備えていてもよい。
【0044】
例えば、コンベヤ4、洗浄液アーチ6、車形センサ8、または洗車機本体10は、故障等の異常が生じた場合に、制御部12に停止信号を送信してもよい。また、ロープスイッチ32は、洗車機2のユーザに引張されることにより、制御部12に停止信号を送信してもよい。洗車機2のユーザは、投入領域A1、取り出し領域A2、またはタッチアップ領域ATにおける上述した作業の失敗あるいは遅延等が生じた場合、ロープスイッチ32を引張し、制御部12に停止信号を送信してもよい。
【0045】
さらに、制御部12は、所定の時刻において、コンベヤ4を停止させるとともに、洗車機本体10が有する各ブラシによる車両Xの表面の摺動を停止させる。当該所定の時刻は、例えば、作業者等の休憩時間の開始時刻等、予め決められた洗車機2の稼働を停止する期間およびその前後を含んでいてもよい。また、制御部12は、ある所定範囲の時刻のうちの何れかの時刻において、コンベヤ4の停止および各ブラシによる車両Xの表面の摺動の停止を実行してもよい。
【0046】
なお、本実施形態において、制御部12は地面Gよりも地中側に埋設されているが、これに限られない。例えば、制御部12は地面G上に設置されていてもよく、洗車機2の各部による車両Xの搬送および洗浄を阻害しない限り、制御部12の位置は特に限定されない。
【0047】
<洗車機の制御方法:概要>
制御部12による洗車機2の制御方法について、
図2を参照しより詳細に説明する。
図2は、本実施形態に係る洗車機2を用いた車両Xの洗浄を行う場合における、洗車機2の制御方法を説明するためのフローチャートである。本実施形態においては、洗車機2を用いて車両Xを搬送しつつ洗浄し、所定台数の車両Xの洗浄を全て完了するまでにおける、洗車機2の制御方法について説明する。
【0048】
<洗車機の制御方法:洗浄工程の開始>
本実施形態に係る洗車機2の制御方法において、はじめに、制御部12は、洗車機2の各部の制御を通じ、コンベヤ4による車両Xの搬送および車両Xの洗浄を開始する(ステップS2)。これにより、制御部12は、洗車機2の各部の制御を通じて、コンベヤ4により搬送される車両Xに対して、洗車機本体10が有するブラシにより車両Xの表面を摺動して車両Xを洗浄する洗浄工程を開始する。
【0049】
より具体的には、ステップS2において、制御部12は、例えば、コンベヤ4を制御し、プーリ16によるベルト14の送り出しを開始する。これにより、コンベヤ4は、投入領域A1から作業者等によって投入された車両Xの搬送方向DTに沿った搬送を開始する。なお、特に言及しない限り、ステップS2以降、投入領域A1には作業者等によって所定の間隔をあけて逐次車両Xが投入され、コンベヤ4は所定の間隔をあけて複数の車両Xを搬送する。
【0050】
加えて、ステップS2において、制御部12は、例えば、洗浄液アーチ6および洗車機本体10を制御し、搬送される車両Xに対する、洗浄液アーチ6からの洗浄液の散布および洗車機本体10による洗浄を開始する。例えば、制御部12は、洗浄液アーチ6の内側および洗車機本体10の空間10Aを通過する車両Xに対し、自動的に洗浄液の散布および洗浄が実行されるように、洗浄液アーチ6および洗車機本体10を制御してもよい。制御部12は、車形センサ8を車両Xの少なくとも一部の形状の情報を生成し、当該情報に基づいて、洗車機本体10の各ブラシの位置制御を行ってもよい。
【0051】
特に、制御部12は、ステップS2以降、洗車機本体10が有するブラシの制御を通じ、当該ブラシにより、コンベヤ4によって搬送され空間10Aを通過する車両Xの表面を摺動して、車両Xを洗浄する。また、制御部12は、ステップS2以降、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの洗浄の間、浄水ノズル30から当該ブラシまたはブラシが当接する車両Xの表面に向かって市水を噴射させる。
【0052】
ステップS2以降、コンベヤ4は、洗浄液の散布および洗車機本体10による洗浄を経た車両Xを搬送し、車両Xにタッチアップ領域ATおよび取り出し領域A2をこの順に通過させる。本実施形態においては、タッチアップ領域ATを通過する車両Xに対して、作業者Y等による仕上げ作業が実行される。また、本実施形態においては、取り出し領域A2を通過する車両Xが作業者等によって洗車機2から取り出される。これにより、ステップS2以降、投入領域A1から逐次投入された車両Xは、洗浄液の散布、洗車機本体10による洗浄、およびタッチアップ領域ATにおける仕上げ作業を経て、取り出し領域A2において洗車機2から逐次取り出される。
【0053】
<洗車機の制御方法:停止工程の実行判定>
ステップS2に次いで、制御部12は、停止信号を受信したかを判定する(ステップS4)。例えば、ステップS4において、制御部12は、洗車機2の各部に故障等の異常が生じた場合に当該各部が送信する停止信号を受信したかを判定する。あるいは、例えば、ステップS4において、制御部12は、ロープスイッチ32が引張された際に送信される停止信号を受信したかを判定する。
【0054】
ステップS4において、制御部12が停止信号を受信したと判定した場合、制御部12は、停止工程を実行する(ステップS6)。停止工程について、さらに
図3および
図4を参照しより詳細に説明する。
図3は、停止工程における洗車機2の制御方法を説明するためのフローチャートである。
図4は、停止工程における洗車機本体10の各部および車両Xの状態を示す、洗車機本体10の工程正面図である。
【0055】
<洗車機の制御方法:停止工程:コンベヤおよびブラシの停止>
停止工程において、はじめに制御部12は、コンベヤ4を停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を停止する(ステップS6-2)。ステップS6-2において、例えば、制御部12は、プーリ16の回転を停止し、ベルト14の送り出しを停止することにより、コンベヤ4を停止する。これにより、制御部12は、コンベヤ4による車両Xの搬送を停止する。
【0056】
さらに、ステップS6-2において、制御部12は、洗車機本体10を制御し、トップブラシ22、サイドブラシ24、およびロッカーブラシ26を含む、洗車機本体10が有するブラシの回転を停止することにより、各ブラシによる車両Xの表面の摺動を停止する。これにより、制御部12は、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの洗浄を停止する。なお、ステップS6-2において、制御部12は、洗浄液アーチ6からの洗浄液の噴射を併せて停止してもよい。
【0057】
ここで、ステップS6-2の実行直前において、制御部12が、洗車機本体10の各ブラシによる車両Xの表面の摺動を実行していたとする。この場合、
図4のステップS6-2に示すように、制御部12は、各ブラシの回転の停止により車両Xの表面の摺動を停止するものの、各ブラシと車両Xとの当接は維持する。換言すれば、ステップS6-2において、制御部12は、例えば、各ブラシの回転の停止のみを実行し、各ブラシの位置の変更を実行しない。
【0058】
したがって、ステップS6-2の実行直前において、制御部12が、洗車機本体10の各ブラシによる車両Xの表面の摺動を実行していた場合、ステップS6-2の実行後においても、洗車機本体10の各ブラシと車両Xとの当接は維持される。以降、本実施形態においては、特に記載しない限り、ステップS6-2の実行直前において、制御部12が、洗車機本体10の各ブラシによる車両Xの表面の摺動を実行していた場合について説明する。
【0059】
<洗車機の制御方法:停止工程:停止工程中の作業>
ステップS6-2以降、例えば、洗車機2のユーザは、ステップS4において制御部12が受信した停止信号が送信される原因となった事象を解消するための作業を行う。例えば、ステップS4において制御部12が受信した停止信号が、洗車機2の各部の何れかが故障したことに伴い送信された場合、洗車機2のユーザは、故障した洗車機2の各部の修理を行ってもよい。
【0060】
一方、ステップS4において制御部12が受信した停止信号が、投入領域A1、取り出し領域A2、またはタッチアップ領域ATにおける上述した作業の失敗または遅延が生じ、作業者等がロープスイッチ32を引張することにより送信されたものであったとする。この場合、洗車機2のユーザは、当該作業の失敗または遅延を解消するための処理を行ってもよい。
【0061】
ステップS6-2の後、各部の修理の完了、あるいは、作業の失敗または遅延の解消等により、ステップS4において制御部12が受信した停止信号が送信される原因となった事象が解消されたとする。この場合、洗車機2のユーザは、操作部等の操作により、制御部12に洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開するための再開信号を送信してもよい。例えば、洗車機2のユーザは、再度ロープスイッチ32を引張して、制御部12に再開信号を送信してもよい。制御部12が再開信号を受信した場合における、制御部12による洗車機2の制御の詳細については後述する。
【0062】
<洗車機の制御方法:停止工程:第1の所定時間の経過判定>
ステップS6-2に次いで、制御部12は、停止工程の開始から第1の所定時間が経過したかを判定する(ステップS6-4)。ステップS6-4において、例えば、制御部12は、ステップS6-2の実行時点の時刻から現在時刻までの時間を算出し、当該時間が予め設定された第1の所定時間以上であるかを判定する。換言すれば、ステップS6-4において、制御部12は、停止工程の開始以降において、洗車機本体10が有するブラシが車両Xと当接している時間が第1の所定時間以上であるかを判定する。
【0063】
ステップS6-4において、制御部12が停止工程の開始から第1の所定時間が経過していないと判定した場合、制御部12は、上述した再開信号を受信したかを判定する(ステップS6-6)。ステップS6-6において、制御部12が再開信号を受信していないと判定した場合、制御部12は、コンベヤ4の停止を継続する(ステップS6-8)。ステップS6-8において、例えば、制御部12は、引き続きコンベヤ4を停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシの回転を引き続き停止させる。
【0064】
例えば、制御部12は、ステップS6-8の実行の後所定時間待機し、再度ステップS6-4を実行する。このため、本実施形態においては、ステップS6-4からステップS6-8までが繰り返し実行される。当該繰り返しは、制御部12が、ステップS6-4において停止工程の開始から第1の所定時間が経過したと判定する、あるいは、ステップS6-6において再開信号を受信したと判定するまで継続する。
【0065】
ステップS6-6において、制御部12が再開信号を受信したと判定した場合、制御部12は、洗車機2の各部の制御を通じて、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開する(ステップS6-10)。ステップS6-10において、例えば、制御部12は、コンベヤ4のプーリ16によるベルト14の送り出しを再開することにより、コンベヤ4による車両Xの搬送を再開する。また、ステップS6-10において、例えば、制御部12は、洗浄液アーチ6からの洗浄液の噴射、および、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を再開する。
【0066】
特に、ステップS6-6に次いで実行されるステップS6-10において、制御部12は、車両Xの表面との当接を維持されたブラシの回転を再開することにより、洗車機本体10による車両Xの洗浄を再開する。この場合、ステップS6-10において、洗車機2は、ブラシと車両Xの表面との当接を解除した状態から車両Xの洗浄を再開する場合と比較して、洗車機2は、より円滑に車両Xの洗浄を再開でき、車両Xの洗浄のムラを低減できる。
【0067】
<洗車機の制御方法:停止工程:退避工程>
ステップS6-4において、制御部12が停止工程の開始から第1の所定時間が経過したと判定した場合、制御部12は、コンベヤ4を引き続き停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシを車両から退避させる(ステップS6-12)。換言すれば、制御部12は、停止工程が第1の所定時間以上継続したことを検知した場合に、コンベヤ4を引き続き停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシを車両Xから退避させた状態とする退避工程を実行する。
【0068】
例えば、ステップS6-12において、制御部12は、
図4のステップS6-12に示すように、トップブラシ22を天井部20に、サイドブラシ24およびロッカーブラシ26を各フレーム18に格納するように、洗車機本体10を制御する。これにより、制御部12は、洗車機本体10が有するブラシを車両Xから退避させ、当該ブラシと車両Xとの当接を解除する。
【0069】
退避工程により、洗車機2は、洗車機本体10が有するブラシと、洗浄液が散布された車両Xの表面とが、長時間にわたって接触したままとなることを防止し、洗浄液が車両Xの表面の同じ部分に長時間留まることを低減する。これにより、洗車機2は、洗浄液と長時間接触した車両Xの表面の変質を低減するため、車両Xの表面の洗浄のムラ、またはくすみの発生等、車両Xへの不良の発生を低減する。
【0070】
<洗車機の制御方法:停止工程:第2の所定時間の経過判定>
ステップS6-12に次いで、制御部12は、停止工程の開始から第2の所定時間が経過したかを判定する(ステップS6-14)。ステップS6-14において、例えば、制御部12は、ステップS6-12の実行時点の時刻から現在時刻までの時間を算出し、当該時間が予め設定された第2の所定時間以上であるかを判定する。
【0071】
ステップS6-14において、制御部12が退避工程の開始から第2の所定時間が経過していないと判定した場合、制御部12は、上述した再開信号を受信したかを判定する(ステップS6-16)。ステップS6-16において、制御部12が再開信号を受信していないと判定した場合、制御部12は、ステップS6-8と同じく、コンベヤ4の停止を継続する(ステップS6-18)。
【0072】
例えば、制御部12は、ステップS6-18の実行の後所定時間待機し、再度ステップS6-14を実行する。このため、本実施形態においては、ステップS6-14からステップS6-18までが繰り返し実行される。当該繰り返しは、制御部12が、ステップS6-14において退避工程の開始から第2の所定時間が経過したと判定する、あるいは、ステップS6-16において再開信号を受信したと判定するまで継続する。
【0073】
ステップS6-16において、制御部12が再開信号を受信したと判定した場合、制御部12は、ステップS6-10を実行し、洗車機2の各部の制御を通じて、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開する。特に、ステップS6-16に次いで実行されるステップS6-10において、制御部12は、洗車機本体10が有するブラシの位置を制御し、車両Xの表面に当接させた後、ブラシの回転を再開し、洗車機本体10による車両Xの洗浄を再開する。
【0074】
<洗車機の制御方法:停止工程:すすぎ処理の実行>
ステップS6-14において、制御部12が退避工程の開始から第2の所定時間が経過したと判定した場合、制御部12は、洗車機本体10の各部の制御を通じ、すすぎ処理を行う(ステップS6-20)。すすぎ処理は、退避工程中に、退避工程の実行直前に洗車機本体10が有するブラシが当接していた車両Xの表面の少なくとも一部に、浄水ノズル30から市水を噴射させて、当該表面に付着した洗浄液を洗い流す処理である。
【0075】
例えば、ステップS6-20において、制御部12は、
図4のステップS6-20に示すように、コンベヤ4を引き続き停止させるとともに、洗車機本体10の浄水ノズル30から市水Wを車両Xの表面に噴射させることにより、すすぎ処理を実行する。
【0076】
ここで、上述した通り、制御部12は、コンベヤ4による車両Xの搬送および洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの洗浄の間、浄水ノズル30からブラシまたはブラシが当接する車両Xの表面に向かって市水を噴射させる。このため、洗車機2は、浄水ノズル30から噴射される市水を、車両Xの洗浄とすすぎ処理との双方に用いることができる。したがって、洗車機2は、車両Xの洗浄とすすぎ処理とに用いられるノズルを個々に備える必要なく、浄水ノズル30によって双方を実行することができるため、構成がより簡素となる。
【0077】
すすぎ処理により、洗車機2は、一定の時間ブラシと当接していた車両Xの表面に、さらに長時間にわたって洗浄液が残留した状態となることを低減する。これにより、洗車機2は、洗浄液と長時間接触した車両Xの表面の変質を低減するため、車両Xの表面の洗浄のムラ、またはくすみの発生等、車両Xへの不良の発生を低減する。
【0078】
なお、洗車機2は、退避工程の開始から第2の所定時間が経過する前に制御部12が再開信号を受信した場合、すすぎ工程を実施することなく車両Xの搬送および洗浄を再開する。この場合、洗車機2は、すすぎ処理を実行する場合と比較して、車両Xの表面から洗浄液を洗い流さずに、車両Xの洗浄を再開できるため、より円滑に車両Xの洗浄を再開でき、車両Xの洗浄のムラを低減できる。
【0079】
<洗車機の制御方法:停止工程:すすぎ処理後の車両の洗浄の再開>
ステップS6-20に次いで、制御部12は、上述した再開信号を受信したかを判定する(ステップS6-22)。ステップS6-22において、制御部12が再開信号を受信していないと判定した場合、制御部12は、ステップS6-8およびステップS6-18と同じく、コンベヤ4の停止を継続する(ステップS6-24)。
【0080】
例えば、制御部12は、ステップS6-24の実行の後所定時間待機し、再度ステップS6-22を実行する。このため、制御部12が、ステップS6-22において再開信号を受信したと判定するまで、制御部12は、ステップS6-22およびステップS6-24を繰り返し実行する。
【0081】
なお、ステップS6-2の実行時点における車両Xの位置によっては、車両Xと洗車機本体10が有するブラシとが当接していない状態において、コンベヤ4による車両Xの搬送が停止する場合がある。このように、ステップS6-2の実行時点において、車両Xと洗車機本体10が有するブラシとが当接していない場合、制御部12は、ステップS6-2の実行後、ステップS6-22の実行に移行してもよい。
【0082】
ステップS6-22において、制御部12が再開信号を受信したと判定した場合、制御部12は、ステップS6-10を実行し、洗車機2の各部の制御を通じて、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開する。ステップS6-22に次いでステップS6-10が実行された場合、車両Xの表面のうち、すすぎ処理によって洗浄液を洗い流された部分については、洗浄液が付着していない状態において洗車機本体10による洗浄が実行される。このため、当該車両Xがタッチアップ領域ATまで搬送された場合、上記部分における洗浄のムラを低減するため、作業者Yはタッチアップ領域ATにおいて当該部分に対する仕上げ作業をより丁寧に行ってもよい。
【0083】
ステップ6-10が実行され、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄が再開した時点において、停止工程が完了する。
図2の参照に戻ると、停止工程の完了後、制御部12は、例えば、所定時間の待機の後、再度ステップS4を実行する。
【0084】
<洗車機の制御方法:停止退避工程の実行判定>
ステップS4において、制御部12が停止信号を受信していないと判定した場合、制御部12は、現在時刻が所定の時刻かを判定する(ステップS8)。例えば、ステップS8において、制御部12は、現在の時刻が、所定の時刻の範囲に含まれているかを判定する。本実施形態における所定の時刻は、例えば上述の通り、作業者等を含む洗車機2のユーザの休憩時間が開始する時刻等、予め決められた洗車機2の稼働を停止する期間およびその前後を含んでいてもよい。
【0085】
制御部12は、ステップS8における現在時刻が所定の時刻であると判定した場合、停止退避工程を実行する(ステップS10)。停止退避工程について、さらに
図5を参照しより詳細に説明する。
図5は、停止退避工程における洗車機2の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【0086】
<洗車機の制御方法:停止退避工程:コンベヤ、ブラシの停止およびブラシの退避>
停止退避工程において、はじめに制御部12は、コンベヤ4を停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を停止し、当該ブラシを車両Xから退避させる(ステップS10-2)。ステップS10-2において、例えば、制御部12は、ステップS6-2と同様の方法により、コンベヤ4を停止し、洗車機本体10が有する各ブラシによる車両Xの表面の摺動を停止する。併せて、ステップS10-2において、例えば、制御部12は、ステップS6-12と同様の方法により、洗車機本体10が有するブラシを車両Xから退避させ、当該ブラシと車両Xとの当接を解除する。
【0087】
停止退避工程により、洗車機2は、例えば休憩時間等、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄が長時間停止することが予め判明している期間において、洗浄液が車両Xの表面の同じ部分に長時間留まることを低減する。これにより、洗車機2は、洗浄液と長時間接触した車両Xの表面の変質を低減するため、車両Xの表面の洗浄のムラ、またはくすみの発生等、車両Xへの不良の発生を低減する。
【0088】
さらに、停止退避工程において、制御部12は、停止退避工程の開始時点からの経過時間によらず、コンベヤ4による車両Xの搬送および洗車機本体10による車両Xの洗浄を停止した上、洗車機本体10が有するブラシを車両Xから退避させる。このため、洗車機2は、停止退避工程において、停止退避工程の開始からの経過時間によってブラシの退避を行うか否かを判定する必要がなく、制御部12による洗車機本体10の制御内容を簡素化する。
【0089】
特に、洗車機2は、休憩時間等、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄が停止する期間の開始時刻等、所定の時刻において、洗車機2のユーザ等による操作部の操作等を必要とせずに、車両Xの搬送および洗浄の停止を自動的に実行できる。このため、洗車機2は、ユーザ等による操作部の操作等を簡素化でき、車両Xの搬送および洗浄をより簡素に実行できる。
【0090】
また、制御部12は、所定の時刻において、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄の停止を自動的に実行する。換言すれば、制御部12は、停止信号を受信することなく、休憩時間等に洗車機2の動作を停止させることができる。このため、制御部12は、例えば、受信した停止信号が、洗車機2の各部の故障または作業の遅延により送信されたのか、休憩時間に洗車機2の動作を停止させるために送信されたのかを判定する必要がない。したがって、洗車機2は、制御部12が停止信号を受信した際の制御部12における処理を簡素化できる。
【0091】
<洗車機の制御方法:停止退避工程:第3の所定時間の経過判定>
ステップS10-2に次いで、制御部12は、停止退避工程の開始から第3の所定時間が経過したかを判定する(ステップS10-4)。ステップS10-4において、例えば、制御部12は、ステップS10-2の実行時点の時刻から現在時刻までの時間を算出し、当該時間が予め設定された第3の所定時間以上であるかを判定する。第3の所定時間は、例えば、上述した第1の所定時間と第2の所定時間との合計時間であってもよい。
【0092】
ステップS10-4において、制御部12が停止退避工程の開始から第3の所定時間が経過していないと判定した場合、制御部12は、上述した再開信号を受信したかを判定する(ステップS10-6)。停止退避工程において、再開信号は、例えば、休憩時間の終了後、各作業者の作業再開準備の完了を確認した洗車機2のユーザが、ロープスイッチ32等の操作部を操作することにより、制御部12に送信されてもよい。
【0093】
ステップS10-6において、制御部12が再開信号を受信していないと判定した場合、制御部12は、例えば、ステップS6-8と同様の方法により、コンベヤ4の停止を継続する(ステップS10-8)。このため、本実施形態においては、ステップS10-4からステップS10-8までが繰り返し実行される。当該繰り返しは、制御部12が、ステップS10-4において停止退避工程の開始から第3の所定時間が経過したと判定する、あるいは、ステップS10-6において再開信号を受信したと判定するまで継続する。
【0094】
ステップS10-6において、制御部12が再開信号を受信したと判定した場合、制御部12は、洗車機2の各部の制御を通じて、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開する(ステップS10-10)。ステップS10-10において、例えば、制御部12は、ステップS6-10と同様の方法により、コンベヤ4による車両Xの搬送、および洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を再開する。
【0095】
<洗車機の制御方法:停止退避工程:すすぎ処理の実行>
ステップS10-4において、制御部12が停止退避工程の開始から第3の所定時間が経過したと判定した場合、制御部12は、洗車機本体10の各部の制御を通じ、すすぎ処理を行う(ステップS10-12)。ステップS10-12において、制御部12は、例えば、ステップS6-20と同様の方法により、すすぎ処理を実行する。
【0096】
停止退避工程におけるすすぎ処理によっても、洗車機2は、一定の時間ブラシと当接していた車両Xの表面に、さらに長時間にわたって洗浄液が残留した状態となることを低減する。これにより、洗車機2は、洗浄液と長時間接触した車両Xの表面の変質を低減するため、車両Xの表面の洗浄のムラ、またはくすみの発生等、車両Xへの不良の発生を低減する。
【0097】
なお、洗車機2は、停止退避工程の開始から第3の所定時間が経過する前に制御部12が再開信号を受信した場合、すすぎ工程を実施することなく車両Xの搬送および洗浄を再開する。この場合、洗車機2は、すすぎ処理を実行する場合と比較して、車両Xの表面から洗浄液を洗い流さずに、車両Xの洗浄を再開できるため、より円滑に車両Xの洗浄を再開でき、車両Xの洗浄のムラを低減できる。
【0098】
<洗車機の制御方法:停止退避工程:すすぎ処理後の車両の洗浄の再開>
ステップS10-12に次いで、制御部12は、上述した再開信号を受信したかを判定する(ステップS10-14)。ステップS10-14において、制御部12が再開信号を受信していないと判定した場合、制御部12は、ステップS10-8と同じく、コンベヤ4の停止を継続する(ステップS10-16)。
【0099】
例えば、制御部12は、ステップS10-16の実行の後所定時間待機し、再度ステップS10-14を実行する。このため、制御部12が、ステップS10-14において再開信号を受信したと判定するまで、制御部12は、ステップS10-14およびステップS10-16を繰り返し実行する。
【0100】
ステップS10-14において、制御部12が再開信号を受信したと判定した場合、制御部12は、ステップS10-10を実行し、洗車機2の各部の制御を通じて、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開する。ステップ10-10が実行され、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄が再開した時点において、停止退避工程が完了する。
【0101】
<洗車機の制御方法:停止退避工程:補遺>
なお、本実施形態において、制御部12は、ステップS8において現在時刻が所定の時刻である場合に、必ず停止退避工程を実行しているが、これに限られない。例えば、上述した休憩時間は、長時間の休憩と短時間の休憩とを含んでいてもよい。この場合、例えば、制御部12は、ステップS8において現在時刻が当該長時間の休憩の開始時刻の前後である場合に停止退避工程を実行し、ステップS8において現在時刻が当該短時間の休憩の開始時刻の前後である場合には停止工程を実行してもよい。当該停止工程は、上述したステップS6と同様の方法によって実行されてもよい。
【0102】
この場合、短時間の休憩等、洗車機2の動作の停止が予め短時間であることが予想される場合、洗車機2は、洗車機本体10が有するブラシを車両Xから退避することなく、車両Xの搬送およびブラシによる車両Xの表面の摺動のみを停止する。このため上記構成により、洗車機2は、より円滑に車両Xの洗浄を再開でき、車両Xの洗浄のムラを低減できる。
【0103】
また、本実施形態において、制御部12は、現在時刻が所定の時刻であるかの判定をステップS8において実行しているが、これに限られず、ステップS8以外においても当該判定をおこなってもよい。例えば、制御部12は、停止工程におけるステップS6-2以降、適宜現在時刻が所定の時刻であるかの判定を行ってもよい。停止工程においても、現在時刻が所定の時刻であると判定した場合、制御部12は、例えば、停止工程の開始からの経過時間に関わらず、退避工程を実行してもよい。
【0104】
さらに、本実施形態において、制御部12は、停止退避工程において、再開信号を受信したかによって、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄の再開を制御しているが、これに限られない。例えば、制御部12は、停止退避工程において、現在時刻が、休憩時間の終了時刻の前後等、所定の時刻であると判定した場合に、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を再開してもよい。
【0105】
<洗車機の制御方法:洗車機の動作の終了>
図2の参照に戻ると、停止退避工程の完了後、制御部12は、全ての車両Xの搬送が完了したかを判定する(ステップS12)。換言すれば、ステップS12において、制御部12は、洗車機2による、全ての車両Xの搬送および洗浄が完了したかを判定する。例えば、ステップS12において、制御部12は、当日中に洗浄が必要な全ての車両Xの搬送し、取り出し領域A2からの取り出しが完了したかを判定してもよい。
【0106】
ステップS12において、制御部12が全ての車両Xの搬送を完了していないと判定した場合、制御部12は、洗車機2の各部の制御を継続することにより、洗車機2による車両Xの搬送および洗浄を継続する(ステップS14)。ステップS14に次いで、制御部12は、例えば、所定時間の待機の後、再度ステップS4を実行する。このため、制御部12は、ステップS12において、全ての車両Xの搬送を完了したと判定するまで、ステップS4からステップS14を繰り返し実行する。
【0107】
ステップS12において、制御部12が全ての車両Xの搬送を完了したと判定した場合、制御部12は、洗車機2の各部の動作を停止する(ステップS16)。これにより、洗車機2を用いて車両Xを洗浄する場合における、制御部12による洗車機2の制御が完了する。
【0108】
<まとめ>
本実施形態に係る洗車機2の制御部12は、車両Xの洗浄を停止する指令を含む停止信号の受信に応じ、コンベヤ4を停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を停止させる停止工程を実行する。また、制御部12は、停止工程が所定時間以上継続したことを検知した場合に、コンベヤ4を引き続き停止させるとともに、洗車機本体10が有するブラシを車両Xから退避させた状態とする退避工程を実行する。
【0109】
上記構成により洗車機2は、車両Xの洗浄を停止する時間に応じて、車両Xと洗車機本体10が有するブラシとの当接の有無を適切に制御できる。特に、洗車機2は、車両Xとブラシとの当接状態が長時間放置されることに伴い生じ得る、車両Xの当接部分の不良を低減できる。加えて、洗車機2は、車両Xとブラシとの当接が短時間である場合は、当該当接を解除しないため、車両Xの当接部分の洗浄のむらの発生、および、車両Xの洗浄時間の長期化を低減できる。
【0110】
さらに、本実施形態に係る洗車機2の制御部12は、所定の時刻になると、コンベヤ4の停止、および洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動の停止に加え、当該ブラシを車両Xから退避させる停止退避工程を実行する。
【0111】
上記構成により洗車機2は、車両Xを洗浄する間、時刻に応じて、車両Xと洗車機本体10が有するブラシとの当接の有無を適切に制御できる。例えば、昼休憩の開始時刻の前後等、所定時刻になれば、洗車機2は車両Xの洗浄を中断するとともに自動的に車両Xとブラシと当接を解除する。このため、洗車機2は、車両Xとブラシとの当接状態が長時間放置されることに伴い生じ得る、車両Xの当接部分の不良を低減できる。
【0112】
なお、本実施形態において、洗車機2は、コンベヤ4によって車両Xを搬送し、コンベヤ4の動作に対し位置を固定された洗車機本体10の空間10Aに車両Xを通過させ、洗車機本体10に車両Xを洗浄させるが、これに限られない。例えば、洗車機2は、制御部12による洗車機本体10の制御を通じて、少なくとも洗車機本体10が有するブラシを車両Xに対して相対移動させることにより、ブラシに車両Xの表面を摺動させて車両Xを洗浄してもよい。
【0113】
この場合、洗車機2は、コンベヤ4によって車両Xを搬送させなくともよい。例えば、作業者等の洗車機2のユーザは、車両Xを運転し、洗浄液アーチ6の内側を通過させた後、洗車機本体10の空間10A内まで進入させた状態にて車両Xを停止させてもよい。その後、洗車機2は、洗車機本体10が有するブラシを車両Xに対し相対移動させることにより、洗浄液が散布された車両Xの表面にブラシを摺動させ、車両Xの洗浄を行ってもよい。洗車機2のユーザは、洗車機本体10による車両Xの洗浄後、再度車両Xを運転し、洗車機2から取り出してもよい。また、洗車機本体10のフレーム18は、例えば、地面Gに形成されたレール上を移動してもよく、洗車機2は、制御部12による洗車機本体10の制御を通じて、洗車機本体10のフレーム18および天井部20を車両Xに対し相対移動させてもよい。
【0114】
この場合においても、制御部12は、洗車機本体10による車両Xの洗浄の間、停止信号の受信に応じて、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を停止させる停止工程を実行してもよい。また、当該停止工程が第1の所定時間以上継続したことを検知した場合に、洗車機本体10が有するブラシを車両から退避させた状態とする退避工程を実行してもよい。さらに、当該退避工程が第2の所定時間以上継続したことを検知した場合に、上述した方法により、車両Xの表面に付着した洗浄液を洗い流す、すすぎ処理を実行してもよい。
【0115】
加えて、制御部12は、洗車機本体10による車両Xの洗浄の間に所定の時刻になると、洗車機本体10が有するブラシによる車両Xの表面の摺動を停止させ、当該ブラシを車両Xから退避させた状態とする停止退避工程を実行してもよい。さらに、当該停止退避工程が第3の所定時間以上継続したことを検知した場合に、上述した方法により、車両Xの表面に付着した洗浄液を洗い流す、すすぎ処理を実行してもよい。
【0116】
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施形態にそれぞれ開示された異なる技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
2 洗車機
4 コンベヤ
10 洗車機本体
12 制御部
22 トップブラシ(ブラシ)
24 サイドブラシ(ブラシ)
26 ロッカーブラシ(ブラシ)
30 浄水ノズル