(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】触媒装置
(51)【国際特許分類】
F01N 3/28 20060101AFI20241210BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20241210BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20241210BHJP
F01N 13/08 20100101ALI20241210BHJP
F01N 13/14 20100101ALI20241210BHJP
【FI】
F01N3/28 301V
F01N3/18 A
F01N3/20 K
F01N13/08 D
F01N13/14
(21)【出願番号】P 2022062978
(22)【出願日】2022-04-05
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】沖 俊典
(72)【発明者】
【氏名】飯田 達雄
(72)【発明者】
【氏名】貞光 貴裕
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-137552(JP,A)
【文献】特開2016-084775(JP,A)
【文献】特開2022-051068(JP,A)
【文献】国際公開第2013/105246(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気を浄化する触媒と、通電によって発熱して前記触媒を加熱する発熱体と、前記触媒および前記発熱体を収容する管であるケースと、を有し、車両に搭載された内燃機関の排気通路に配置される触媒装置であって、
前記排気通路を排気が流れる方向を排気方向として、前記排気方向の上流側における前記ケースの端部に接続されている管である接続管と、
前記排気方向の上流側における前記接続管の端部に接続されており、前記ケースの径よりも径が小さい管である導入管と、を備え、
前記排気方向の上流側における前記ケースの端部は、前記排気方向の上流側における前記発熱体の端よりも前記排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部であり、
前記接続管と前記ケースとの接続部分は、前記接続管が前記ケースの外周面に接合されている接合部と、該接合部よりも前記排気方向の上流側において前記接続管が前記ケースの端部を覆うように重なって前記接続管と前記ケースとが径方向に離れている管構造とを有しており、
前記接続管の温度が前記ケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有
し、
前記温度差促進構造として、
前記接続管の外周面を覆うとともに前記接続管の外周面に対向する部位の一部に開口部が形成された遮熱板を有する
触媒装置。
【請求項2】
排気を浄化する触媒と、通電によって発熱して前記触媒を加熱する発熱体と、前記触媒および前記発熱体を収容する管であるケースと、を有し、車両に搭載された内燃機関の排気通路に配置される触媒装置であって、
前記排気通路を排気が流れる方向を排気方向として、前記排気方向の上流側における前記ケースの端部に接続されている管である接続管と、
前記排気方向の上流側における前記接続管の端部に接続されており、前記ケースの径よりも径が小さい管である導入管と、を備え、
前記排気方向の上流側における前記ケースの端部は、前記排気方向の上流側における前記発熱体の端よりも前記排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部であり、
前記接続管と前記ケースとの接続部分は、前記接続管が前記ケースの外周面に接合されている接合部と、該接合部よりも前記排気方向の上流側において前記接続管が前記ケースの端部を覆うように重なって前記接続管と前記ケースとが径方向に離れている管構造とを有しており、
前記接続管の温度が前記ケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有
し、
前記温度差促進構造として、
前記触媒装置とは異なる構造体と前記接続管の外周面とを繋ぐステーを有する
触媒装置。
【請求項3】
排気を浄化する触媒と、通電によって発熱して前記触媒を加熱する発熱体と、前記触媒および前記発熱体を収容する管であるケースと、を有し、車両に搭載された内燃機関の排気通路に配置される触媒装置であって、
前記排気通路を排気が流れる方向を排気方向として、前記排気方向の上流側における前記ケースの端部に接続されている管である接続管と、
前記排気方向の上流側における前記接続管の端部に接続されており、前記ケースの径よりも径が小さい管である導入管と、を備え、
前記排気方向の上流側における前記ケースの端部は、前記排気方向の上流側における前記発熱体の端よりも前記排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部であり、
前記接続管と前記ケースとの接続部分は、前記接続管が前記ケースの外周面に接合されている接合部と、該接合部よりも前記排気方向の上流側において前記接続管が前記ケースの端部を覆うように重なって前記接続管と前記ケースとが径方向に離れている管構造とを有しており、
前記接続管の温度が前記ケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有
し、
前記温度差促進構造として、
前記接続管の外周面を覆う遮熱板と、
前記遮熱板を前記接続管の外周面に固定するステーと、を有する
触媒装置。
【請求項4】
排気を浄化する触媒と、通電によって発熱して前記触媒を加熱する発熱体と、前記触媒および前記発熱体を収容する管であるケースと、を有し、車両に搭載された内燃機関の排気通路に配置される触媒装置であって、
前記排気通路を排気が流れる方向を排気方向として、前記排気方向の上流側における前記ケースの端部に接続されている管である接続管と、
前記排気方向の上流側における前記接続管の端部に接続されており、前記ケースの径よりも径が小さい管である導入管と、を備え、
前記排気方向の上流側における前記ケースの端部は、前記排気方向の上流側における前記発熱体の端よりも前記排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部であり、
前記接続管と前記ケースとの接続部分は、前記接続管が前記ケースの外周面に接合されている接合部と、該接合部よりも前記排気方向の上流側において前記接続管が前記ケースの端部を覆うように重なって前記接続管と前記ケースとが径方向に離れている管構造とを有しており、
前記接続管の温度が前記ケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有
し、
前記温度差促進構造として、
前記接続管の外周面に設けられたフィンを有する
触媒装置。
【請求項5】
排気を浄化する触媒と、通電によって発熱して前記触媒を加熱する発熱体と、前記触媒および前記発熱体を収容する管であるケースと、を有し、車両に搭載された内燃機関の排気通路に配置される触媒装置であって、
前記排気通路を排気が流れる方向を排気方向として、前記排気方向の上流側における前記ケースの端部に接続されている管である接続管と、
前記排気方向の上流側における前記接続管の端部に接続されており、前記ケースの径よりも径が小さい管である導入管と、を備え、
前記排気方向の上流側における前記ケースの端部は、前記排気方向の上流側における前記発熱体の端よりも前記排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部であり、
前記接続管と前記ケースとの接続部分は、前記接続管が前記ケースの外周面に接合されている接合部と、該接合部よりも前記排気方向の上流側において前記接続管が前記ケースの端部を覆うように重なって前記接続管と前記ケースとが径方向に離れている管構造とを有しており、
前記接続管の温度が前記ケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有
し、
前記温度差促進構造として、
鋳物で形成された前記接続管を有する
触媒装置。
【請求項6】
前記接続管は、冷却水が流れるウォータジャケットを有する
請求項5に記載の触媒装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気加熱式の触媒を備える触媒装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発熱体への通電によって触媒を加熱する電気加熱式の触媒が知られている。触媒は、触媒を収容する管状のケースに対して電気的に絶縁された状態で取り付けられている。こうした電気加熱式の触媒では、排気に含まれる粒子状物質が付着することによって触媒とケースとの間に電気的な短絡が生じると、ケースにも電気が流れてしまう。そのため、ケースの絶縁性が要求される。
【0003】
こうしたケースの絶縁性を確保するために、例えば特許文献1には、触媒よりも排気の流れ方向における上流側にラビリンス構造を有する触媒装置が開示されている。
この触媒装置は、排気方向の上流側におけるケースの端部に接続されている接続管と、排気方向の上流側における接続管の端部に接続されておりケースの径よりも径が小さい導入管とを備えている。また、排気方向の上流側におけるケースの端部は、排気方向の上流側における発熱体の端よりも排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部となっている。また、接続管とケースとの接続部分は、接続管がケースの外周面に接合されている接合部と、その接合部よりも排気方向の上流側において接続管がケースの端部を覆うように重なって接続管とケースとが径方向に離れている管構造とを有している。そして、接続管及びケースの端部及び導入管の端部にてラビリンス構造が形成されている。
【0004】
こうした触媒装置では、ケースの端部が絶縁部になっていることによりケースの絶縁性が確保されている。ここで、排気に含まれる粒子状物質がそうした絶縁部に堆積すると、ケースの端部と接続管とを結ぶ導通経路が粒子状物質によって形成されることによりケースの絶縁性が低下してしまう。そこで、この触媒装置は上記ラビリンス構造を有することにより、粒子状物質がケース端部の絶縁部に堆積することを抑えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているような触媒装置でも、粒子状物質がケース端部の絶縁部に堆積するおそれがある。そのため、粒子状物質の堆積をより抑制することにより、ケース端部の絶縁部における絶縁性を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための触媒装置は、排気を浄化する触媒と、通電によって発熱して前記触媒を加熱する発熱体と、前記触媒および前記発熱体を収容する管であるケースと、を有し、車両に搭載された内燃機関の排気通路に配置される。この触媒装置は、前記排気通路を排気が流れる方向を排気方向として、前記排気方向の上流側における前記ケースの端部に接続されている管である接続管と、前記排気方向の上流側における前記接続管の端部に接続されており、前記ケースの径よりも径が小さい管である導入管と、を備えている。前記排気方向の上流側における前記ケースの端部は、前記排気方向の上流側における前記発熱体の端よりも前記排気方向の上流側に突出しており、且つ電気を絶縁する絶縁部である。前記接続管と前記ケースとの接続部分は、前記接続管が前記ケースの外周面に接合されている接合部と、該接合部よりも前記排気方向の上流側において前記接続管が前記ケースの端部を覆うように重なって前記接続管と前記ケースとが径方向に離れている管構造とを有している。そして、触媒装置は、前記接続管の温度が前記ケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有している。
【0008】
接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなると、ケースの端部に付着した粒子状物質(以下、PMという)が熱泳動によって接続管の内周面へと移動するため、上記絶縁部におけるPMの堆積が抑制される。絶縁部におけるPMの堆積が抑制されると、同絶縁部の絶縁性が向上する。
【0009】
そこで、同構成では、上記温度差促進構造を有するようにしている。そのため、温度差促進構造を有してない場合と比較して、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態が促されるようになる。従って、ケースの端部における絶縁部の絶縁性が向上するようになる。
【0010】
前記温度差促進構造として、前記接続管の外周面を覆うとともに前記接続管の外周面に対向する部位の一部に開口部が形成された遮熱板を有してもよい。
同構成によれば、走行風が上記開口部を通過して接続管に当たるようになるため、接続管の温度が低下する。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0011】
前記温度差促進構造として、前記触媒装置とは異なる構造体と前記接続管の外周面とを繋ぐステーを有してもよい。
同構成によれば、接続管の外周面にステーが接続されているため、同接続管の熱容量が増大する。接続管の熱容量が増大すると、当該接続管の温度は上昇しにくくなる。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0012】
前記温度差促進構造として、前記接続管の外周面を覆う遮熱板と、前記遮熱板を前記接続管の外周面に固定するステーとを有してもよい。
同構成によれば、接続管の熱が上記ステーを介して遮熱板に移動するため、接続管の温度が低下する。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0013】
前記温度差促進構造として、前記接続管の外周面に設けられたフィンを有してもよい。
同構成によれば、接続管の熱が上記フィンを介して外気に移動するため、接続管の温度が低下する。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0014】
前記温度差促進構造として、鋳物で形成された前記接続管を有してもよい。
同構成によれば、接続管が鋳物で形成されているため、接続管を板状の板金で形成する場合と比較して、接続管の熱容量が増大する。接続管の熱容量が増大すると、当該接続管の温度は上昇しにくくなる。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0015】
また、鋳物で形成された接続管を有する場合には、前記接続管は冷却水が流れるウォータジャケットを有してもよい。
同構成によれば、接続管が冷却水で冷やされるため、接続管の温度が低下する。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0016】
前記温度差促進構造として、前記ケースの内部に前記導入管の端部が配置されており、前記ケースと前記導入管とが径方向に離れており、前記ケースの端部が前記導入管の端部を覆うように重なっており、前記導入管は、当該導入管の端部の径が前記排気方向の下流側ほど大きくなっている拡径部を有してもよい。
【0017】
同構成によれば、導入管からケースに向かって流れる排気の一部が上記拡径部に沿って流れるようになる。拡径部に沿って流れる排気は、ケースの端部に向けて流れるため、当該ケースの端部の温度が上昇する。従って、接続管の温度がケースの端部の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】触媒装置の一実施形態を備える内燃機関を示す模式図である。
【
図2】同実施形態にかかる触媒装置の断面図である。
【
図5】
図4に示す矢印A方向から見た触媒装置の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
以下、触媒装置の第1実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
<内燃機関について>
図1は、触媒装置10と、触媒装置10を搭載する車両の内燃機関90とを示す。
【0020】
内燃機関90の一例は、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンである。内燃機関90は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンでもよい。
内燃機関90は、燃焼室から排出された排気が流れる排気通路91を備えている。
図1には、燃焼室から排出された排気が排気通路91を通過して排気口から外部に排出される排気の流れの方向としての排気方向を矢印で表示している。
【0021】
触媒装置10は、排気通路91に配置されている。触媒装置10は、通電によって発熱する発熱体を備える電気加熱式の触媒装置である。
排気通路91の外周面及び触媒装置10の外周面は、ステンレス等の金属材料にて形成された薄板の遮熱板100で覆われている。
【0022】
<触媒装置の構造>
図2には、触媒装置10の中心軸に沿った直線として軸線C1を表示している。軸線C1は、排気通路91の中心軸に沿った直線と一致している。触媒装置10の形状は、軸線C1に対して線対称である。また、
図2にも
図1と同様に排気方向を示す矢印を表示している。
【0023】
図2に示すように、触媒装置10は、排気を浄化するための触媒が担持されている触媒担体31を備えている。触媒装置10は、触媒担体31を収容する管であるケース20を備えている。触媒装置10は、ケース20における収容部21に触媒担体31を固定するマット32を備えている。触媒装置10は、触媒担体31に通電するための電極81を一対備えている。
図2には、一対の電極81のうちの一方を図示している。触媒装置10は、排気通路91を流れる排気をケース20内に導入する管である導入管40を備えている。触媒装置10は、導入管40とケース20とを連結する接続管50を備えている。以下では、触媒装置10に関して、排気方向の上流側の構成について説明する。排気方向の下流側の構成については、上流側の構成と対称であってもよいし、触媒担体31を収容するケース20による一重管構造でもよい。
【0024】
触媒担体31の外形は、軸線C1を中心軸とした円柱形状である。軸線C1に直交する平面における触媒担体31の断面の輪郭は、円形である。触媒担体31の外形としては、断面の輪郭が楕円形である円柱形状でもよいし、断面の輪郭が多角形である角柱形状でもよい。
【0025】
触媒担体31は、多孔質体である。一例として、触媒担体31は、排気方向に延びる複数の通路が区画されているハニカム構造を備えた構造体である。触媒担体31に担持されている触媒の一例は、三元触媒である。触媒としては、酸化触媒、または選択還元触媒等を採用することもできる。
【0026】
図2に示すように、触媒担体31には、電極81が接続されている。一対の電極81間に電圧をかけることによって触媒担体31に電流が流れる。触媒担体31に電流が流れると、触媒担体31の電気抵抗によって触媒担体31が発熱する。すなわち、触媒担体31は、通電に際して電気抵抗に応じて発熱する物質であり、通電によって発熱する発熱体に相当する。触媒担体31の一例は、炭化ケイ素を材料とするセラミックスである。なお、発熱体は、触媒担体31とは異なる部材によって構成されていてもよい。たとえば、電極81が接続された発熱体が、触媒担体31に対して排気方向の上流側における部分に配置されている構成が考えられる。
【0027】
マット32は、触媒担体31における円柱の側面に相当する面を覆っている。マット32は、電気伝導率が小さい絶縁体である。マット32の一例は、アルミナを主成分とする無機繊維である。マット32は、触媒担体31とケース20との間に挟まれている。マット32を触媒担体31に巻き付けた状態の触媒担体31およびマット32の外径は、ケース20における収容部21の内径よりも大きい。マット32が収容部21に収容される際には、マット32が圧縮される。圧縮されたマット32の反発によってケース20における収容部21内に触媒担体31が固定されている。マット32によって触媒担体31が覆われていることで、触媒担体31に通電したときにケース20には電気が流れないようにされている。なお、マット32は、触媒担体31とケース20とを絶縁していればよい。すなわち、必ずしも触媒担体31における側面の全体がマット32によって覆われていなくてよい。
【0028】
ケース20は、ステンレス等の金属材料で形成されている管である。軸線C1は、ケース20の中心軸に沿った直線に一致している。
図2に示すように、ケース20は、収容部21と、収容部21に対して排気方向の上流側に位置する端部22と、を備えている。ケース20に収容されている触媒担体31において排気方向における上流側の端面のことを触媒上流端31Aという。ケース20のうち、触媒上流端31Aを境にした上流側の部分を端部22として下流側の部分を収容部21とする。軸線C1から収容部21の内周面までの距離を収容部21の内径とする。収容部21の内径は、軸線C1が伸びている方向における収容部21の一端から他端に亘って一定である。ケース20の端部22は、触媒上流端31Aよりも排気方向の上流側に突出している。ケース20の端部22は、絶縁体によって表面が覆われている。端部22の全面を被覆している絶縁体によって端部22に絶縁層が形成されている。このようにケース20の端部22は絶縁部になっている。
【0029】
ケース20の収容部21には、電極81が挿入される電極挿入孔26が開口している。電極挿入孔26を介して、触媒担体31に接続されている電極81がケース20の外に突出している。電極挿入孔26は、電極保持部82によって閉塞されている。電極保持部82は、電極挿入孔26に挿入されている電極81を固定している。電極保持部82は、電気伝導率が小さい絶縁体である。電極保持部82が電極81を支えていることで、ケース20に電気が流れないようにされている。
【0030】
ケース20の端部22は、ケース20のうち排気方向の上流側の端に位置する縮径部24と、縮径部24と収容部21との間に位置して縮径部24と収容部21とを繋ぐ等径部23とを備えている。軸線C1から等径部23の内周面までの距離を等径部23の内径とする。等径部23の内径は、軸線C1が伸びている方向における等径部23の一端から他端に亘って一定である。等径部23の内径は、収容部21の内径と等しい。
【0031】
図2に示すように、ケース20の端部22のうち縮径部24では、排気方向の上流側ほど軸線C1までの距離が短くなるように、管が徐々に細くなっている。すなわち、縮径部24の内径は、排気方向の上流側ほど小さい。ケース20では、排気方向の上流側における開口、すなわち縮径部24のうち排気方向の上流側における先端に位置するケース開口25において、内径が最も小さくなっている。
【0032】
図2に示す触媒装置10の中心軸に沿った断面において、縮径部24における内周面は、排気方向の上流側であるほど軸線C1までの距離が短くなるように、軸線C1に対して傾斜している。縮径部24における外周面も同様に、排気方向の上流側であるほど軸線C1までの距離が短くなるように、軸線C1に対して傾斜している。なお、縮径部24は、
図2に示すような断面において、排気方向の上流側であるほど軸線C1までの距離が短くなるように湾曲していてもよい。
【0033】
図2に示すように、導入管40は、ケース20よりも細い管である。軸線C1は、導入管40の中心軸に沿った直線に一致している。導入管40は、ステンレス等の金属材料で形成されている。導入管40は、ケース開口25からケース20に挿入されている。より詳しくは、導入管40における排気方向の下流側の端部である導入端部41がケース20の端部22に挿し込まれている。導入管40の中心軸は、ケース20の中心軸と重なっている。
【0034】
導入管40の導入端部41は、拡径部42を備えている。拡径部42は、排気方向の下流側ほど軸線C1までの距離が長くなるように、管が徐々に太くなっている。すなわち、拡径部42の内径は、排気方向の下流側ほど大きい。導入管40では、排気方向の下流側における開口、すなわち拡径部42のうち排気方向の下流側における先端に位置する導入口43において、内径が最も大きくなっている。
【0035】
図2に示す触媒装置10の中心軸に沿った断面において、拡径部42における内周面は、排気方向の下流側であるほど軸線C1までの距離が長くなるように、軸線C1に対して傾斜している。拡径部42における外周面も同様に、排気方向の下流側であるほど軸線C1までの距離が長くなるように、軸線C1に対して傾斜している。なお、拡径部42は、
図2に示すような断面において、排気方向の下流側であるほど軸線C1までの距離が長くなるように湾曲していてもよい。
【0036】
導入管40の外周面40Aと、ケース20の端部22における内周面22Bとは、触媒装置10の径方向において離れている。導入管40とケース20との間には、排気が通過できる空間がある。なお、
図2には、触媒装置10の径方向を示す矢印を表示している。以下では、軸線C1との間の距離が長くなる方向のことを外方向といい、軸線C1との間の距離が短くなる方向のことを内方向ということもある。
【0037】
図2に示すように、触媒装置10では、導入管40の拡径部42に対して外方向にケース20の縮径部24が位置するように、拡径部42と縮径部24とが重なっている。導入管40における拡径部42のうち軸線C1が伸びている方向において導入口43とは反対側の基端は、ケース20のケース開口25よりも排気方向の下流側に配置されている。拡径部42のうち外径が最も大きい箇所での外径は、縮径部24のうち内径が最も小さい箇所での内径よりも小さい。
【0038】
触媒装置10では、
図2に示す触媒装置10の中心軸に沿った断面において、拡径部42の外周面と縮径部24の内周面とが平行である。径方向において拡径部42と縮径部24とが離れているのであれば、拡径部42の外周面は、必ずしも縮径部24の内周面と平行でなくてもよい。すなわち、拡径部42の外周面が軸線C1に対して傾斜している角度は変更が可能である。縮径部24の内周面が軸線C1に対して傾斜している角度も変更が可能である。
【0039】
図2に示すように、接続管50は、ケース20の端部22および導入管40の導入端部41を覆うように取り付けられている。軸線C1は、接続管50の中心軸に沿った直線に一致している。接続管50のうち排気方向の上流側における端に位置する上流端51が導入管40の外周面40Aに接合されている。触媒装置10において接続管50の上流端51と導入管40とが接合されている部分を第1接合部12という。接続管50のうち排気方向の下流側における端に位置する下流端55がケース20の端部22における外周面22Aに接合されている。触媒装置10において接続管50の下流端55とケース20とが接合されている部分を第2接合部14という。接続管50が導入管40およびケース20に接合されていることで、導入管40とケース20との間の空間に封がされている。
【0040】
接続管50は、ステンレス等の金属材料で形成されている。接続管50は、導入管40に接合される上流端51を含む部材とケース20に接合される下流端55を含む部材とに分割されていてもよい。この場合には、二つの分割体を接合することで、接続管50によって導入管40とケース20とを接続することができる。また、接続管50は、ケース20の端部22および導入管40の導入端部41に対して周方向に巻き付けられ、一方の端と他方の端とが重なる部分で両端を互いに接合することで導入管40とケース20とを接続するものでもよい。
【0041】
接続管50は、上流端51を基点にして排気方向の下流側ほど軸線C1までの距離が長くなっている傾斜部52を備えている。傾斜部52の内周面は、径方向において導入管40の外周面とは離れている。傾斜部52の内周面は、導入管40の外周面よりも外方向にずれた位置にある。傾斜部52と導入管40との間には、排気が流れることのできる空間がある。傾斜部52は、ケース開口25と同一平面上においては、ケース20よりも外方向にずれた位置にある。
【0042】
接続管50は、下流端55を基点にして排気方向の上流側ほど軸線C1までの距離が長くなっている終端部54を備えている。終端部54の内周面は、径方向においてケース20の外周面とは離れている。終端部54の内周面は、ケース20の外周面よりも外方向にずれた位置にある。終端部54とケース20との間には、排気が流れることのできる空間がある。
【0043】
接続管50は、傾斜部52と終端部54との間に位置して傾斜部52と終端部54とを繋ぐ中間部53を備えている。中間部53の内径は、軸線C1が伸びている方向における中間部53の一端から他端に亘って一定である。中間部53の内周面は、径方向においてケース20の外周面とは離れている。中間部53の内周面は、ケース20の外周面よりも外方向にずれた位置にある。中間部53とケース20との間には、排気が流れることのできる空間がある。
【0044】
接続管50における傾斜部52と中間部53との境界は、ケース開口25よりも排気方向の下流側に配置されていてもよい。これに限らず、傾斜部52と中間部53との境界は、ケース開口25と同一平面上に配置されていてもよいし、ケース開口25よりも排気方向の上流側に配置されていてもよい。
【0045】
接続管50における中間部53と終端部54との境界は、導入口43よりも排気方向の下流側に配置されていてもよい。これに限らず、中間部53と終端部54との境界は、導入口43と同一平面上に配置されていてもよいし、導入口43よりも排気方向の上流側に配置されていてもよい。
【0046】
図2に示す触媒装置10の中心軸に沿った断面において、傾斜部52の内周面は、排気方向の下流側であるほど軸線C1までの距離が長くなるように、軸線C1に対して傾斜している。終端部54の内周面は、排気方向の上流側であるほど軸線C1までの距離が長くなるように、軸線C1に対して傾斜している。中間部53の内周面は、軸線C1と平行である。
【0047】
触媒装置10では、接続管50のうち上流端51に近い部分が導入管40を覆うように重なっていることによって、管が二重になった二重管構造D1が形成されている。
図2に示すように、二重管構造D1は、第1接合部12からケース開口25までの範囲に形成されている。第1接合部12および二重管構造D1によって、導入管40と接続管50との接続部分である第1接続部11が構成されている。
【0048】
触媒装置10では、接続管50のうち下流端55に近い部分がケース20を覆うように重なっていることによって、管が二重になった二重管構造D2が形成されている。
図2に示すように、二重管構造D2は、第2接合部14から導入口43までの範囲に形成されている。第2接合部14および二重管構造D2によって、ケース20と接続管50との接続部分である第2接続部13が構成されている。
【0049】
さらに触媒装置10では、接続管50が導入端部41およびケース20の端部22を覆うように重なっていることによって、管が三重になった三重管構造T1が形成されている。三重管構造T1は、第1接続部11と第2接続部13との間に位置している。
【0050】
三重管構造T1では、導入管40よりも外方向に、ケース20と接続管50とが順に重なっている。三重管構造T1のうち導入管40とケース20とによって挟まれている空間は、排気方向の下流側ではケース20の内部に通じている。三重管構造T1のうち導入管40とケース20とによって挟まれている空間は、排気方向の上流側では、二重管構造D1における接続管50と導入管40とによって挟まれている空間に通じている。三重管構造T1のうちケース20と接続管50とによって挟まれている空間は、排気方向の上流側では、二重管構造D1における接続管50と導入管40とによって挟まれている空間に通じている。三重管構造T1のうちケース20と接続管50とによって挟まれている空間は、排気方向の下流側では、二重管構造D2における接続管50と導入管40とによって挟まれている空間に通じている。
【0051】
触媒装置10は、触媒担体31よりも排気方向の上流側の部分に、二重管構造D1、二重管構造D2および三重管構造T1を備えている。二重管構造D1、二重管構造D2および三重管構造T1によってラビリンス構造が形成されている。
【0052】
<温度差促進構造について>
触媒装置10は、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促す温度差促進構造を有している。この温度差促進構造として、触媒装置10は、構造体である内燃機関90と接続管50の外周面50Aとを繋ぐステー120と、接続管50の外周面50Aを覆う上記遮熱板100と、上述した導入管40の上記拡径部42を有している。
【0053】
ステー120は、ステンレス等の金属材料で形成されている。このステー120の一端は、接続管50の傾斜部52の外周面に固定されている。また、ステー120の他端は、内燃機関90の外壁に固定されている。なお、ステー120の一端は、接続管50の中間部53や終端部54に固定してもよい。
【0054】
遮熱板100は、接続管50の外周面50Aを覆うとともに、接続管50の外周面50Aに対向する部位の一部に開口部110が形成されている。この開口部110は、接続管50の外周面50Aに対向する部位から、遮熱板100において排気方向の上流側の端部にまで伸びる切り欠きになっている。
【0055】
<作用>
本実施形態の作用について説明する。
図2を用いて、導入管40からケース20に流入する排気の流れについて説明する。
【0056】
触媒装置10では、導入管40からケース20に向かって流れる排気の一部は、導入管40の拡径部42に沿って流れる。拡径部42に沿って流れる排気は、ケース20の端部22の内周面22Bに向かって流れるため、ケース20の端部22の温度は上昇する。
【0057】
また、導入管40からケース20に流入する排気の一部は、触媒担体31の触媒上流端31Aに衝突して流れの方向を変える。触媒上流端31Aに衝突した排気が外方向に流れると、ケース20の端部22における内周面22Bに沿って、排気方向の上流側に向かって排気が逆流する。
【0058】
触媒装置10では、触媒上流端31Aに対して上流側にケース20の縮径部24が配置されている。このため、触媒上流端31Aに衝突して逆流した排気は、縮径部24に当たることがある。また、触媒上流端31Aに対して上流側には、導入管40の拡径部42も配置されている。このため、触媒上流端31Aに衝突して逆流した排気は、拡径部42に当たることもある。排気が縮径部24または拡径部42に衝突することで、排気の逆流が抑制される。
【0059】
また、車両が走行すると、走行風が遮熱板100の開口部110を介して接続管50に当たるようになるため、接続管50の温度が低下する。
また、接続管50の外周面50Aにステー120が接続されている。そのため、ステー120が接続されていない場合と比較して接続管50の熱容量が増大する。
【0060】
<効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1)触媒装置10によれば、触媒上流端31Aに衝突した排気の流れの方向が反転を繰り返さない限りは第2接続部13の二重管構造D2におけるケース20と接続管50との間の部分に排気が到達しない。すなわち、第2接続部13におけるケース20と接続管50との間の部分には、排気が到達しにくい。このため、ケース20と接続管50との間の部分にはPMが溜まりにくい。これによって、ケース20の端部22のうち外周面22AにPMが堆積することを抑制できる。
【0061】
端部22に形成されている絶縁層がPMによって覆われることを抑制できるため、電気が流れる経路が端部22に形成されることを抑制できる。これによって、発熱体である触媒担体31とケース20との短絡を抑制できる。
【0062】
(2)接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなると、ケース20の端部22の外周面22Aに付着したPMが熱泳動によって接続管50の内周面50Bへと移動するため、絶縁部である端部22におけるPMの堆積が抑制される。絶縁部におけるPMの堆積が抑制されると、同絶縁部の絶縁性が向上する。
【0063】
そこで、触媒装置10は、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促す上記温度差促進構造を有するようにしている。そのため、温度差促進構造を有してない場合と比較して、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態が促されるようになる。従って、ケース20の端部22における絶縁部の絶縁性が向上するようになる。
【0064】
(3)上記温度差促進構造として、触媒装置10は、接続管50の外周面50Aを覆うとともに接続管50の外周面50Aに対向する部位の一部に開口部110が形成された遮熱板100を有している。そのため、走行風が開口部110を通過して接続管50に当たるようになるため、接続管50の温度が低下する。従って、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0065】
(4)上記温度差促進構造として、触媒装置10は、当該触媒装置10とは異なる構造体である内燃機関90と接続管50の外周面50Aとを繋ぐステー120を有している。このようにして接続管50の外周面50Aにステー120が接続されているため、接続管50の熱容量が増大する。接続管50の熱容量が増大すると、当該接続管50の温度は上昇しにくくなる。従って、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0066】
(5)上記温度差促進構造として、ケース20の内部に導入管40の導入端部41が配置されている。また、ケース20と導入管40とが径方向に離れている。また、ケース20の端部22が導入管40の導入端部41を覆うように重なっている。そして、導入管40は、導入端部41の径が排気方向の下流側ほど大きくなっている拡径部42を有している。これにより拡径部42に沿って流れる排気は、ケース20の端部22の内周面22Bに向かって流れるため、ケース20の端部22の温度が上昇する。従って、これによっても接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0067】
(6)触媒担体31とケース20との間で電気を絶縁するための絶縁部では、軸線C1の伸びている方向における絶縁部の長さが長いほど、PMの堆積による導通経路が形成されにくくなる。ところが、絶縁部はケース20の一部であるため、絶縁部を長くすると、触媒装置10の全長も大きくなるという問題がある。
【0068】
この点、触媒装置10では、上記温度差促進構造を有することにより、ケース20の端部22における絶縁部の絶縁性が向上するようになる。このため、触媒装置10の全長を大きくすることなく絶縁部の絶縁性を向上させることができる。
【0069】
(第2実施形態)
次に、触媒装置の第2実施形態について、
図3を参照して説明する。
本実施形態の触媒装置10は、第1実施形態とは異なる温度差促進構造を有している。以下、本実施形態の触媒装置10が有する温度差促進構造について説明する。
【0070】
図3に示すように、本実施形態の触媒装置10も、上記遮熱板100を有している。そして、この遮熱板100を接続管50の外周面50Aに固定するステー130を備えている。
【0071】
ステー130は、ステンレス等の金属材料で形成されている。このステー130の一端は、接続管50の中間部53の外周面に固定されている。また、ステー120の他端は、遮熱板100に固定されている。なお、ステー130の一端は、接続管50の傾斜部52や終端部54に固定してもよい。ステー130は、接続管50の外周面50Aの周方向において複数設けられている。
【0072】
本実施形態の温度差促進構造の作用及び効果を説明する。
本実施形態によれば、接続管50の熱がステー130を介して遮熱板100に移動するため、接続管50の温度が低下する。従って、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0073】
(第3実施形態)
次に、触媒装置の第3実施形態について、
図4及び
図5を参照して説明する。
本実施形態の触媒装置10は、第1実施形態とは異なる温度差促進構造を有している。以下、本実施形態の触媒装置10が有する温度差促進構造について説明する。
【0074】
図4に示すように、本実施形態の触媒装置10は、接続管50の外周面50Aにフィン140を備えている。
フィン140は板状であって、ステンレス等の金属材料で形成されている。フィン140は、接続管50の傾斜部52から終端部54まで設けられている。
【0075】
図5に示すように、フィン140は、接続管50の外周面50Aの周方向において等間隔にて複数設けられている。なお、フィン140の数は任意である。
本実施形態の温度差促進構造の作用及び効果を説明する。
【0076】
本実施形態によれば、接続管50の熱が上記フィン140を介して外気に移動するため、接続管50の温度が低下する。従って、接続管50の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0077】
(第4実施形態)
次に、触媒装置の第4実施形態について、
図6を参照して説明する。
本実施形態の触媒装置10は、第1実施形態とは異なる温度差促進構造を有している。以下、本実施形態の触媒装置10が有する温度差促進構造について説明する。
【0078】
図6に示すように、本実施形態の触媒装置10の接続管150は、鋳鉄やアルミニウム合金等の金属材料からなる鋳物で形成されており、この点が上記接続管50と異なっている。接続管150は、上記上流端51、上記傾斜部52、上記中間部53、上記終端部54、及び上記下流端55と同様な上流端151、傾斜部152、中間部153、終端部154、及び下流端155を有している。そして、接続管150の内部にあって周方向には、内燃機関90の冷却水Wが流れるウォータジャケット156が形成されている。ウォータジャケット156は、接続管150の傾斜部152から終端部154にかけて形成されている。
【0079】
本実施形態の温度差促進構造の作用及び効果を説明する。
本実施形態では接続管150が鋳物で形成されているため、接続管を板状の板金で形成する場合と比較して、接続管150の体積は大きくなる。そのため、接続管150の熱容量が増大する。接続管の熱容量が増大すると、当該接続管の温度は上昇しにくくなる。一方でケース20の端部22は排気に曝されるため、温度が上昇しやすい。このようにケース20の端部22は温度が上昇しやすいものの、接続管150の温度は上昇しにくくなる。従って、接続管150の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態を促すことができる。
【0080】
また、接続管150にはウォータジャケット156が形成されているため、接続管150は冷却水Wで冷やされて温度が低下する。従って、接続管150の温度がケース20の端部22の温度に対して相対的に低くなる状態をさらに促すことができる。
【0081】
<変更例>
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0082】
・第1実施形態で説明した開口部110を切欠きではなく、接続管50の外周面50Aに対向する部位のみに開口する孔として形成してもよい。
・第1実施形態で説明したステー120を内燃機関90以外の構造体、例えば車両の変速機などに固定してもよい。
【0083】
・第1実施形態において、接続管50の外周面50Aに固定されるステー120を省略してもよい。この場合でも、上記(4)以外の効果を得ることができる。
・第1実施形態で説明した開口部110を、遮熱板100の周方向において複数設けてもよい。この場合には、開口部110を通過して接続管50に当たる走行風の量が増えるため、接続管50の温度がさらに低下する。従って、上記(3)の効果を更に高めることができる。
【0084】
・第1実施形態では、拡径部42を備える導入管40を例示した。導入管は、拡径部を備えているものに限らない。たとえば、軸線C1が伸びている方向において直径が一定の管を導入管として採用してもよい。この場合でも、上記(5)以外の効果を得ることができる。
【0085】
・第2実施形態で説明したステー130を、接続管50の外周面50Aの周方向において1つ備えるようにしてもよい。なお、この場合には、例えば接続管50の外周面50Aにおいて最も温度が高くなる部位にステー130を固定することにより、接続管50の温度を効率よく低下させることができる。
【0086】
・第3実施形態で説明したフィン140を、接続管50の傾斜部52から終端部54までの間の一部の外周面に設けてもよい。
・第3実施形態で説明したフィン140を、接続管50の外周面50Aにおいて最も温度が高くなる部位に集中して配設するようにしてもよい。この場合には、接続管50の温度を効率よく低下させることができる。
【0087】
・第4実施形態で説明したウォータジャケット156を、接続管150の傾斜部152から終端部54までの間の一部の部位に設けてもよい。なお、この場合には、例えば接続管150の外周面において最も温度が高くなる部位にウォータジャケット156を形成することにより、接続管150の温度を効率よく低下させることができる。
【0088】
・内燃機関90の冷却水以外の冷却水を第4実施形態で説明したウォータジャケット156に流すようにしてもよい。
・第4実施形態において、ウォータジャケット156を省略してもよい。この場合でも、接続管150を鋳物で形成することによる上記作用及び効果を得ることができる。
【0089】
・第1実施形態から第4実施形態で説明した各温度差促進構造を適宜組み合わせて実施してもよい。
・遮熱板100は、触媒装置10のみを覆うものでもよい。
【0090】
・第1実施形態では、縮径部24を備えるケース20を例示した。ケース20は、縮径部を備えているものに限らない。たとえば、ケース20の端部の内径は、触媒装置の中心軸に沿った軸線が伸びている方向における一端から他端に亘って一定でもよい。
【0091】
・第1実施形態では、等径部23を備えるケース20を例示した。ケース20は、等径部を備えているものに限らない。すなわち、ケース20の端部22として等径部を省略してもよく、排気方向の上流側ほど触媒装置の中心軸までの距離が短くなるように管が徐々に細くなっていてもよい。
【0092】
・第1実施形態では、ケース20の端部22における先端が三重管構造T1の部分に位置している。導入管とケースと接続管とによって三重管構造が形成されているのであれば、ケースの先端が三重管構造の部分に位置していることは必須の構成ではない。ケースの端部は、その先端がケース内に折り曲げられていてもよい。
【0093】
・第1実施形態では、導入管40の導入口43が第2接合部14よりも上流側に位置するように、ケース20の内部に導入管40が配置されている。これに限らず、導入口43が第2接合部14よりも下流側に位置していてもよい。軸線C1に直交する平面上に導入口43および第2接合部14が位置していてもよい。これらの構成では、第1接合部12からケース開口25までの範囲に二重管構造が形成される。さらに、ケース開口25から第2接合部14までの範囲に三重管構造が形成される。こうした構成であっても、上記実施形態と同様に、第2接続部13におけるケース20と接続管50との間の部分に排気が到達しにくいという効果を奏することができる。
【0094】
・第1実施形態では、金属を材料としたケース20を例示したが、ケース20は絶縁体によって成形されていてもよい。ケース自体が絶縁体である場合には、ケース20の端部22を絶縁層によって被覆しなくてもよい。
【0095】
・第1実施形態では、傾斜部52と終端部54とを中間部53によって繋いでいる接続管50を例示した。接続管としては、中間部53が省略されて傾斜部52と終端部54とが繋がっていてもよい。
【0096】
第1実施形態で説明した触媒装置10は三重管構造を有していたが、そうした三重管構造を備えることは必須では無い。この変更例の一例を
図7に示す。
図7に示すように、この変更例では、例えば導入管40の拡径部42が省略されている。なお、この拡径部42の省略は必須では無い。そして、導入管40の下流側の開口端である導入管開口44は、ケース20のケース開口25よりも排気方向の上流側に配置されている。こうした触媒装置10では、上述した二重管構造D1,D2は有する一方で、上記三重管構造T1は省略されている。この三重管構造を有していない触媒装置10でも、上記温度差促進構造を有することにより、上述した作用及び効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0097】
10…触媒装置
11…第1接続部
12…第1接合部
13…第2接続部
14…第2接合部
20…ケース
21…収容部
22…端部
22A…外周面
22B…内周面
24…縮径部
31…触媒担体
31A…触媒上流端
40…導入管
42…拡径部
50…接続管
52…傾斜部
90…内燃機関
91…排気通路
100…遮熱板
110…開口部
120…ステー
D1,D2…二重管構造
T1…三重管構造