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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】配送用棚システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/14 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65G1/14 K
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022080201
(22)【出願日】2022-05-16
(65)【公開番号】P2023168855
(43)【公開日】2023-11-29
【審査請求日】2024-01-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】太田 順也
(72)【発明者】
【氏名】岩本 国大
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】古村 博隆
(72)【発明者】
【氏名】森光 孝敏
(72)【発明者】
【氏名】高木 裕太郎
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-060102(JP,A)
【文献】特開平10-077109(JP,A)
【文献】実開昭50-030489(JP,U)
【文献】特開2022-060104(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104444018(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00- 1/133
B65G 1/14- 1/20
A47G 29/00-29/30
A47B 67/04
A47B 88/00-88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外と屋内とに跨がって設けられた棚と、
前記棚にスライド可能に支持されつつ収容される通函と、を備え、
配送された前記通函を屋外から前記棚に押し入れ可能であると共に、前記棚に収容された前記通函を屋内から引き出し可能である配送用棚システムであって、
前記通函には、前記棚に収容された際の屋内側端部に第1の凹部が設けられると共に、屋外側端部に第2の凹部が設けられており、
前記棚の屋内側端部には、前記第1及び第2の凹部に挿入するように付勢された凸部を有するロック機構が設けられており、
前記通函が前記棚に収容されている間、前記凸部と前記第1の凹部とが嵌合して前記通函が前記棚にロックされ、
ロック解除によって前記凸部を前記第1の凹部から退避させ、前記通函を前記棚から屋内に引き出した際、前記ロック機構をロック解除状態からロック状態に切り換えることによって、前記凸部と前記第2の凹部とが嵌合し、引き出された前記通函が停止する、
配送用棚システム。
【請求項2】
第2の凹部は、開口部が屋内側に向かって広がるように傾斜しており、
引き出した前記通函を屋内から前記棚に押し戻す際、ロック解除せずに前記第2の凹部が前記凸部を通過する、
請求項1に記載の配送用棚システム。
【請求項3】
前記棚における前記通函の収容位置から屋内側への前記通函の移動を検知するセンサをさらに備え、
ロック解除後、前記センサが前記通函の移動を検知した場合、前記ロック解除状態から前記ロック状態に切り換える、
請求項1又は2に記載の配送用棚システム。
【請求項4】
前記ロック機構は、励磁状態において前記凸部を退避させてロック解除を行うソレノイドロックである、
請求項1又は2に記載の配送用棚システム。
【請求項5】
前記凸部の先端部にローラが設けられている、
請求項1又は2に記載の配送用棚システム。
【請求項6】
前記棚は、筐体と当該筐体の内部において奥行き方向に延設される一対の支持体とを有し、
前記通函は、幅方向外側に突出し、前記一対の支持体上を摺動する突出部を有し、
前記突出部の上面及び下面の一方に前記第1及び第2の凹部が設けられており、前記上面及び下面の一方は前記ロック機構の前記凸部と摺動する、
請求項1又は2に記載の配送用棚システム。
【請求項7】
前記突出部の摺動方向両端部では、前記上面及び下面の一方が水平面から前記上面及び下面の他方に近付くように傾斜し、前記突出部の厚さが当該摺動方向両端部に向かって薄くなっている、
請求項6に記載の配送用棚システム。
【請求項8】
屋外と屋内とに跨がって設けられた棚と、
前記棚にスライド可能に支持されつつ収容される通函と、を備え、
配送された前記通函を屋外から前記棚に押し入れ可能であると共に、前記棚に収容された前記通函を屋内から引き出し可能である配送用棚システムの制御方法であって、
前記通函には、前記棚に収容された際の屋内側端部に第1の凹部が設けられると共に、前記棚に収容された際の屋外側端部に第2の凹部が設けられており、
前記棚の屋内側端部には、前記第1及び第2の凹部に挿入するように付勢された凸部を有するロック機構が設けられており、
前記通函が前記棚に収容されている間、前記凸部と前記第1の凹部とを嵌合させることによって、前記通函を前記棚にロックし、
ロック解除によって前記凸部を前記第1の凹部から退避させ、前記通函を前記棚から屋内に引き出した際、前記ロック機構をロック解除状態からロック状態に切り換え、前記凸部と前記第2の凹部とを嵌合させることによって、引き出された前記通函を停止させる、
配送用棚システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送用棚システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、出し入れ方向の両端部に一対の磁石体が設けられたコンテナと、コンテナの磁性体と吸着する電磁石が設けられた棚が開示されている。特許文献1では、加速度計によって地震等の揺れを検知した際、電磁石を作動させ、コンテナを吸着保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-077109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、屋外と屋内とに跨がって設けられた棚に、配送された通函を屋外から押し入れ可能であると共に、その棚に収容された通函を屋内から引き出し可能である配送用棚システムを検討している。
【0005】
このような配送用棚システムに特許文献1を適用した場合、特許文献1では、揺れを検知した際にのみ電磁石を作動させるため、通函を棚に収容している間、通函をロックできない。また、特許文献1に開示された構成では、通函を棚から引き出した際、勢い余って通函が棚から脱落する虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、通函を棚に収容している間に通函を棚にロックできると共に、通函を棚から引き出した際に棚からの通函の脱落を抑制可能な配送用棚システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る配送用棚システムは、
屋外と屋内とに跨がって設けられた棚と、
前記棚にスライド可能に支持されつつ収容される通函と、を備え、
配送された前記通函を屋外から前記棚に押し入れ可能であると共に、前記棚に収容された前記通函を屋内から引き出し可能である配送用棚システムであって、
前記通函には、前記棚に収容された際の屋内側端部に第1の凹部が設けられると共に、屋外側端部に第2の凹部が設けられており、
前記棚の屋内側端部には、前記第1及び第2の凹部に挿入するように付勢された凸部を有するロック機構が設けられており、
前記通函が前記棚に収容されている間、前記凸部と前記第1の凹部とが嵌合して前記通函が前記棚にロックされ、
ロック解除によって前記凸部を前記第1の凹部から退避させ、前記通函を前記棚から屋内に引き出した際、前記凸部と前記第2の凹部とが嵌合し、引き出された前記通函が停止するものである。
【0008】
また、本発明の一態様に係る配送用棚システムの制御方法は、
屋外と屋内とに跨がって設けられた棚と、
前記棚にスライド可能に支持されつつ収容される通函と、を備え、
配送された前記通函を屋外から前記棚に押し入れ可能であると共に、前記棚に収容された前記通函を屋内から引き出し可能である配送用棚システムの制御方法であって、
前記通函には、前記棚に収容された際の屋内側端部に第1の凹部が設けられると共に、前記棚に収容された際の屋外側端部に第2の凹部が設けられており、
前記棚の屋内側端部には、前記第1及び第2の凹部に挿入するように付勢された凸部を有するロック機構が設けられており、
前記通函が前記棚に収容されている間、前記凸部と前記第1の凹部とを嵌合させることによって、前記通函を前記棚にロックし、
ロック解除によって前記凸部を前記第1の凹部から退避させ、前記通函を前記棚から屋内に引き出した際、前記凸部と前記第2の凹部とを嵌合させることによって、引き出された前記通函を停止させるものである。
【0009】
本発明の一態様では、通函には、棚に収容された際の屋内側端部に第1の凹部が設けられると共に、前記棚に収容された際の屋外側端部に第2の凹部が設けられており、前記棚の屋内側端部には、前記第1及び第2の凹部に挿入するように付勢された凸部を有するロック機構が設けられている。そして、前記通函が前記棚に収容されている間、前記凸部と前記第1の凹部とを嵌合させることによって、前記通函を前記棚にロックし、ロック解除によって前記凸部を前記第1の凹部から退避させ、前記通函を前記棚から屋内に引き出した際、前記凸部と前記第2の凹部とを嵌合させることによって、引き出された前記通函を停止させる。そのため、通函を棚に収容している間に通函を棚にロックできると共に、通函を棚から引き出した際に棚からの通函の脱落を抑制できる。
【0010】
第2の凹部は、開口部が屋内側に向かって広がるように傾斜しており、引き出した前記通函を屋内から前記棚に押し戻す際、ロック解除せずに前記第2の凹部が前記凸部を通過してもよい。このような構成によって、引き出した通函を屋内から棚に押し戻す際、ロック解除せずに前記第2の凹部が凸部を通過できる。
【0011】
前記棚における前記通函の収容位置から屋内側への前記通函の移動を検知するセンサをさらに備え、ロック解除後、前記センサが前記通函の移動を検知した場合、ロック解除状態からロック状態に切り換えてもよい。このような構成によって、ロック解除によって凸部を第1の凹部から退避させ、通函を棚から屋内に引き出した際、自動的にロック解除状態からロック状態に切り換えられる。そのため。通函を棚から引き出した際、自動的に凸部と第2の凹部とを嵌合させ、棚からの通函の脱落を抑制できる。
【0012】
前記ロック機構は、励磁状態において前記凸部を退避させてロック解除を行うソレノイドロックでもよい。ロック状態では非励磁状態であるため、ロック機構による消費電力を低減できる。
【0013】
前記凸部の先端部にローラが設けられていてもよい。ローラによって、通函とロック機構との摩擦係数を小さくできると共に、摩耗粉の発生を抑制できる。
【0014】
前記棚は、筐体と当該筐体の内部において奥行き方向に延設される一対の支持体とを有し、前記通函は、幅方向外側に突出し、前記一対の支持体上を摺動する突出部を有し、前記突出部の上面及び下面の一方に前記第1及び第2の凹部が設けられており、前記上面及び下面の一方は前記ロック機構の前記凸部と摺動してもよい。
【0015】
前記突出部の摺動方向両端部では、前記上面及び下面の一方が水平面から前記上面及び下面の他方に近付くように傾斜し、前記突出部の厚さが当該摺動方向両端部に向かって薄くなっていてもよい。このような構成によって、突出部の摺動方向両端部がロック機構に引っ掛かり難くなると共に、ロック機構の付勢力を徐々に高められる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、通函を棚に収容している間に通函を棚にロックできると共に、通函を棚から引き出した際に棚からの通函の脱落を抑制可能な配送用棚システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施形態に係る配送用棚システムのブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る配送用棚システムに用いる棚50の構成の一例を示す模式正面図である。
図3図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋外から通函61を搬入する様子を示す模式側面図である。
図4図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋外から通函61を搬入する様子を示す模式側面図である。
図5図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋外から通函61を搬入する様子を示す模式側面図である。
図6】レール53とロック機構L11との位置関係を示す平面図である。
図7図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を引き出す様子を示す模式側面図である。
図8図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を引き出す様子を示す模式側面図である。
図9図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を引き出す様子を示す模式側面図である。
図10図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を取り出す様子を示す模式側面図である。
図11図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を取り出す様子を示す模式側面図である。
図12図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋内から通函61を押し入れる様子を示す模式側面図である。
図13図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋内から通函61を押し入れる様子を示す模式側面図である。
図14図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋内から通函61を押し入れる様子を示す模式側面図である。
図15図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋内から通函61を押し入れる様子を示す模式側面図である。
図16図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋内から通函61を押し入れる様子を示す模式側面図である。
図17図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋外に通函61を取り出す様子を示す模式側面図である。
図18図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋外に通函61を取り出す様子を示す模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0019】
(第1の実施形態)
<配送用棚システムの構成>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る配送用棚システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る配送用棚システムのブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る配送用棚システムは、棚50及び制御部100を備えている。当該配送用棚システムは、コンピュータである制御部100を用いて、棚50に収容される通函の出し入れを制御するシステムである。
【0020】
ここで、図2は、第1の実施形態に係る配送用棚システムに用いる棚50の構成の一例を示す模式正面図である。
図2に示すように、棚50は、筐体51、及び筐体51の内部において、奥行き方向(x軸方向)に延設されると共に、高さ方向(z軸方向)に等間隔に並設された複数対のレール53を備えている。
【0021】
すなわち、棚50は、予め規定された複数サイズの通函61~63を、各レール53によってスライド可能に支持しつつ、収容する。より詳細には、図2に示すように、隣接して対向する一対のレール53上を、通函61~63から幅方向外側に突出した突出部61a~63aが摺動することによって、棚50に対して通函61~63を出し入れできる。
【0022】
なお、図2及びその他の図に示した右手系xyz直交座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。また、図2は正面図であるが、理解を容易にするため、レール53及び通函61~63をドット表示している。
【0023】
詳細には後述するように、棚50は、屋外と屋内とに跨がって設けられている。そのため、物品を収容した通函61~63を屋外から棚50に搬入できると共に、棚50に収容された通函61~63を屋内に引き出し、通函61~63から物品を取り出せる。
通函は、何ら限定されないが、例えばプラスチック製、段ボール製、木製、金属製等であり、繰り返し利用される。
【0024】
また、図2に示す棚50は、最小サイズの通函61を収容可能な収容場所を12箇所備えている。そのため、各収容場所に対応した12個のセンサS11~S14、S21~S24、S31~S34及びロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34を備えている。
【0025】
なお、図2に示すように、未使用の収容場所があってもよいが、全ての収容場所が使用されていてもよい。また、当然のことながら、棚50における収納場所の数等は、一例であって適宜決定される。
【0026】
センサS11は、ロック機構L11の制御に用いられる。同様に、センサS12は、ロック機構L12の制御に用いられる。その他のセンサについても同様である。すなわち、センサS11~S14、S21~S24、S31~S34と、ロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34とが、一対一対応している。
【0027】
図1に示すように、制御部100は、棚50に設けられたセンサS11~S14、S21~S24、S31~S34及びロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34と通信可能に無線接続又は有線接続されている。
なお、図1では、棚50の内部に制御部100が設けられているが、棚50の外部に制御部100が設けられていてもよい。
【0028】
制御部100は、棚50を操作するオペレータからのロック解除指示又はセンサS11からの信号に基づいて、ロック機構L11を制御する。同様に、制御部100は、オペレータからのロック解除指示やセンサS12からの信号に基づいて、ロック機構L12を制御する。その他のロック機構についても同様である。ここで、オペレータは、例えば、物品が収容された通函を配送し、当該通函を棚50に搬入する人やロボット(配送人)、あるいは棚50に収容された通函から物品を取り出して受け取る人やロボット(受取人)である。
制御部100によるロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34の制御の詳細については後述する。
【0029】
図1に示すように、制御部100は、ハードウェアとして、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、及びI/O(Input/Output)104を備えている。すなわち、制御部100は、コンピュータとしての機能を有しており、上記各種プログラム等に基づいて各種処理を行う。
【0030】
CPU101は、例えば、制御処理及び演算処理等を行う演算部である。
ROM102は、例えば、CPU101によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶する記憶部である。
RAM103は、処理データ等を一時的に記憶する記憶部である。
I/O104は、入出力装置であり、外部からデータ及び信号を入力し、外部にデータ及び信号を出力する。
【0031】
<棚50の構成>
次に、図2に加え、図3図5を参照して、棚50の構成の詳細について説明する。
図3図5は、図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋外から通函61を搬入する様子を示す模式側面図である。
なお、図3図5は側面図であるが、理解を容易にするため、棚50のレール53及び通函61の突出部61aについては断面図によって示している。
【0032】
図3図5に示すように、棚50は、家屋の屋外と屋内とに跨がって設けられた宅配ロッカーである。そのため、例えば配送人(配送ロボットを含む)が配送された通函61~63を屋外から棚50に搬入できると共に、受取人(室内ロボットを含む)が棚50から通函61~63を屋内に引き出し、通函61~63から物品を取り出せる。
なお、本明細書においては、家屋は、集合住宅やオフィスビル等を含む。また、屋外は、配送人(配送ロボットを含む)がアクセス可能であれば、建物の内部も含み、例えば集合住宅における廊下等の共用部を含む。
【0033】
図2に示すように、棚50は、筐体51、仕切板52、レール53、センサS11~S14、S21~S24、S31~S34、及びロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34を備えている。
【0034】
図2に示すように、筐体51は、棚50の外枠を構成する。図2に示した例では、筐体51は、z軸正方向側に設けられた天板、z軸負方向側に設けられた底板、y軸正方向側及びy軸負方向側に設けられた側面板が一体に形成された枠体構造を有している。すなわち、筐体51の前面及び背面は、通函61~63を出し入れ可能なように開放されている。ここで、便宜的に筐体51の前面を屋外側(x軸正方向側)とし、筐体51の背面を屋内側(x軸負方向側)とする。
【0035】
図5に示すように、筐体51の背面には、屋内と棚50の内部とを仕切る内扉IDが設けられている。他方、筐体51の前面には、屋外と棚50の内部とを仕切る外扉ODが設けられている。ここで、家屋の居住者のプライバシーを保護するため、内扉ID及び外扉ODが同時に開かないようにするインターロック機構を設けてもよい。
なお、図2においては、内扉ID及び外扉ODは省略されている。
【0036】
図2に示すように、仕切板52は、筐体51を構成する側面板に平行に(すなわちxz平面に平行に)、かつ、開放された筐体51の前面から背面に至るように、設けられている。
ここで、筐体51の側面板と隣接する仕切板52との間隔、並びに仕切板52同士の間隔が等しくなるように仕切板52が設けられている。
【0037】
図2の例では、2枚の仕切板52が設けられ、通函61~63の収容場所が3列設けられている。そのため、図5に示す内扉ID及び外扉ODのそれぞれは、例えば各列に対応したy軸方向にスライド可能な3枚の扉から構成される。このような構成によって、棚50において通函61~63を出し入れする収容場所を含む1列のみを開放し、他の列については閉じたままにすることができる。
なお、仕切板52の枚数は何ら限定されない。また、仕切板52が設けられず、通函61~63の収容場所が1列でもよい。
【0038】
図2に示すように、複数対のレール(支持体)53は、筐体51の内面及び仕切板52において、奥行き方向(x軸方向)に延設されると共に、高さ方向(z軸方向)に等間隔に並設されている。ここで、レール53は、筐体51の内面及び仕切板52から略垂直に立ち上がるように設けられている。図2の例では、1列ごとに4対のレール53が設けられており、最小サイズの通函61を1列ごとに4つ収納できる。
【0039】
なお、当然のことながら、レール53の本数は何ら限定されない。また、レール53は、通函61~63を支持できればよいため、奥行き方向(x軸方向)に不連続に延設されていてもよい。あるいは、レール53に代えて、短尺の支持体が、奥行き方向(x軸方向)に整列するように配置されていてもよい。
【0040】
図2に示すように、隣接して対向する一対のレール53上を、通函61~63から幅方向外側に突出した突出部61a~63aが摺動することによって、通函61~63を出し入れできる。
このように、棚50は、予め規定された複数サイズの通函61~63の全てを、各対のレール53に沿ってスライド可能に支持しつつ収容できる。
【0041】
図2に示すように、各対のレール53の下側には、ロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34が設けられている。ロック機構L11~L14、L21~l24、L31~L34によって、棚50に収容された通函61~63及びその蓋(不図示)を筐体51にロックし、通函61~63及びその内部に収容された物品の盗難を防止できる。
なお、レール53及びロック機構L11の詳細については後述する。
【0042】
本実施形態では、予め規定された複数サイズの通函61~63は、いずれもy軸方向の幅及びx軸方向の奥行きが共通である。他方、通函61~63は、z軸方向の高さが異なる。最小サイズの通函61の高さは、z軸方向において隣接するレール53同士の間隔に合わせて設計されている。当然のことながら、最小サイズの通函61の高さは、当該レール53同士の間隔よりも小さい。中間サイズの通函62の高さは、通函61の高さの約2倍になるように設計されている。また、最大サイズの通函63の高さは、通函61の高さの約3倍になるように設計されている。
【0043】
すなわち、予め規定された複数サイズの通函61~63の高さは、z軸方向において隣接するレール53同士の間隔の約整数倍になるように設計されている。
なお、図2に示した例では、通函のサイズが、3種類であるが、2種類あるいは4種類以上でもよい。図2の例では、通函61~63の他に、例えば通函61の高さの約4倍の高さを有する通函を別途設けてもよい。
【0044】
さらに、図2に示す棚50では、上下方向に隣接する2対のレール53ごとに、物体(すなわち通函61~63)を検知する12個のセンサS11~S14、S21~S24、S31~S34が設けられている。
センサS11~S14、S21~S24、S31~S34は、例えば反射型もしくは透過型の光センサや近接センサ等の非接触式センサである。あるいは、センサS11~S14、S21~S24、S31~S34は、リミットスイッチ等の接触式センサでもよい。
【0045】
ここで、図5に示すように、センサS11は、棚50に収容されている通函61の屋内側端部と内扉IDとの間に位置するように設けられている。そのため、図5に示す通函61が棚50に収容されている状態では、センサS11は通函61を検知していない。そして、詳細には後述する図8に示すように、通函61が屋内側に移動すると、センサS11は通函61を検知する。
その他のセンサS12~S14、S21~S24、S31~S34についても、その他の通函62、63についても同様である。
【0046】
<レール53及びロック機構L11の詳細>
ここで、図3図5に加え、図6を参照して、レール53及びロック機構L11の詳細について説明する。図6は、レール53とロック機構L11との位置関係を示す平面図である。
なお、他のロック機構L12~L14、L21~l24、L31~L34についても、他の通函62、63についても同様である。
【0047】
図3図5に示すように、x軸方向に延設されたレール53上を通函61の突出部61aがスライドし、通函61が棚50に搬入され、収容される。
図3図5に示すロック機構L11は、例えばソレノイドロックであって、本体部54a、ピン54b及びローラ54cを備えている。図3図5に示すように、ロック機構L11は、レール53の屋内側端部の下側に設けられている。
【0048】
ここで、図3図5及び図6に示すように、レール53には、ロック機構L11のピン54b及びローラ54cが貫通するための切り欠き部53aが設けられている。切り欠き部53aに代えて、貫通孔を設けてもよい。
ロック機構L11のピン54bは、レール53を貫通し、レール53上を摺動する通函61の突出部61aに接触するように、例えばばね等の弾性体によって付勢されている。
【0049】
ここで、突出部61aと摺動するピン54bの先端部には、ローラ54cが設けられている。ローラ54cは、例えばプラスチック製である。ローラ54cによって、通函61の突出部61aとロック機構L11との摩擦係数を小さくできると共に、摩耗粉の発生を抑制できる。
【0050】
図3図5に示すように、通函61の突出部61aの下面には、棚50に収容された際の屋内側端部に凹部(第1の凹部)61bが設けられると共に、屋外側端部に凹部(第2の凹部)61cが設けられている。また、突出部61aの屋内側端部及び室外側端部(摺動方向両端部)では、下面が水平面から上面に近付くように傾斜し、突出部61aの厚さが当該摺動方向両端部に向かって薄くなっている。すなわち、突出部61aの摺動方向両端部には、テーパ部が設けられている。
【0051】
なお、ロック機構L11は、レール53の上側に設けられていてもよい。その場合、通函61の突出部61aの上面に、凹部61b及び凹部61cが設けられる。また、突出部61aの摺動方向両端部では、上面が水平面から下面に近付くように傾斜し、突出部61aの厚さが当該摺動方向両端部に向かって薄くなる。
【0052】
そのため、図4に示すように、通函61を棚50に搬入する際、通函61の突出部61aの屋内側端部とロック機構L11のローラ54cとが当接すると、突出部61aの屋内側端部の傾斜に沿って、ロック機構L11のばねが物理的に徐々に圧縮される。このような構成によって、突出部61aの屋内側端部がロック機構L11に引っ掛かり難くなると共に、ロック機構L11の付勢力を徐々に高められる。そして、ロック機構L11のばねが圧縮された状態で、突出部61aの下面とローラ54cとが摺動しながら、通函61が屋内側に移動する。
【0053】
そして、図5に示すように、突出部61aの凹部61bがロック機構L11の位置まで移動すると、圧縮されていたロック機構L11のばねが開放され、ピン54bの先端部すなわちローラ54cが凹部61bに嵌まり込む。そのため、通函61が筐体51に固定されると共に、通函61の蓋(不図示)がロックされる。ロック機構L11によって、通函61及びその内部に収納された消耗物品の盗難を防止できる。
【0054】
ここで、通函61は、棚50に収容されている間はロックされている。そのため、ロック機構L11として、ばねが開放される非励磁状態(非通電状態)がロック状態であるソレノイドロックを用いることによって、消費電力を低減できる。
【0055】
他方、詳細には後述するように、制御部100は、例えばオペレータからのロック解除指示に基づいて、ロック機構L11をばねが圧縮される励磁状態(通電状態)に切り換え、ロックを解除する。ロック解除により、図5において、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)が通函61の凹部61bから退避する(後述する図7参照)。ロック解除により、通函61を棚50から屋内に引き出せる。
【0056】
図5において、通函61を棚50から屋内に引き出すと、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61cとが嵌合し、引き出された通函61が停止する(後述する図9参照)。すなわち、通函61を棚50から引き出した際に、棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0057】
以上に説明したように、本実施形態に係る配送用棚システムでは、通函61の突出部61aに、通函61が棚50に収容された際の屋内側端部に凹部61bが設けられている。そして、棚50の屋内側端部には、凹部61bに挿入するように付勢された凸部(ピン54b及びローラ54c)を有するロック機構L11が設けられている。そのため、通函61を棚50に収容している間、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61bとが嵌合して通函61を棚50にロックできる。
【0058】
また、本実施形態に係る配送用棚システムでは、通函61の突出部61aに、通函61が棚50に収容された際の屋外側端部に凹部61cが設けられている。そのため、ロック機構L11によるロックを解除し、通函61を棚50から屋内に引き出した際、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61cとが嵌合し、引き出された通函61が停止する。すなわち、通函61を棚50から引き出した際に、棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0059】
このように、本実施形態に係る配送用棚システムでは、通函61を棚50に収容している間に通函61を棚50にロックできると共に、通函61を棚50から引き出した際に棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0060】
なお、ロック機構L11は、ソレノイドロックに限定されず、通函61の動作を規制すると共に、通函61の蓋(不図示)をロックできるものであればよい。例えば、ピン54bが機械的に動作してもよい。あるいは、ピン54bを用いない回転式のロック機構でもよい。
さらに、通函61の動作のロックと通函61の蓋のロックとを別々に行ってもよい。
【0061】
<配送用棚システムの動作>
次に、本実施形態に係る配送用棚システムの動作について説明する。
最初に、図3図5を参照して、例えば配送人が屋外から通函61を棚50に搬入する動作について説明する。
【0062】
まず、図3に示すように、外扉ODが開き、通函61の突出部61aがレール53上を屋内側に向かってスライドするように通函61が押し込まれる。
ここで、ロック機構L11はばねが開放された非励磁状態であり、センサS11は通函61を検知していない非検知状態である。
【0063】
次に、図4に示すように、通函61の突出部61aの屋内側端部とロック機構L11のローラ54cとが当接すると、突出部61aの屋内側端部の傾斜に沿って、非励磁状態のロック機構L11のばねが物理的に徐々に圧縮される。ロック機構L11のばねが圧縮された状態で、突出部61aの下面とローラ54cとが摺動しながら、通函61が屋内側に移動する。
ここで、ロック機構L11は非励磁状態のままであり、センサS11は非検知状態のままである。
【0064】
そして、図5に示すように、突出部61aの屋内側端部に設けられた凹部61bがロック機構L11の位置まで移動すると、圧縮されていたロック機構L11のばねが開放され、ピン54bの先端部すなわちローラ54cが凹部61bに嵌まり込む。そのため、通函61が筐体51に固定される。そして、外扉ODが閉じる。
【0065】
このように、通函61の突出部61aには、通函61が棚50に収容された際の屋内側端部に凹部61bが設けられている。そして、棚50の屋内側端部には、凹部61bに挿入するように付勢された凸部(ピン54b及びローラ54c)を有するロック機構L11が設けられている。そのため、図5に示すように、通函61を棚50に収容している間、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61bとが嵌合して通函61を棚50にロックできる。
この間、ロック機構L11は非励磁状態のままであり、センサS11は非検知状態のままである。
【0066】
次に、図7図9を参照して、例えば受取人が通函61を棚50から引き出す動作について説明する。図7図9は、図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を引き出す様子を示す模式側面図である。
【0067】
まず、図7に示すように、内扉IDが開くと共に、制御部100は、例えば受取人からのロック解除指示に基づいて、ロック機構L11を非励磁状態から励磁状態に切り換える。そのため、ロック機構L11のばねが圧縮され、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)が通函61の凹部61bから退避し、ロックが解除する。
ここで、センサS11は非検知状態のままである。
【0068】
次に、図8に示すように、例えば受取人が通函61を引き出すと、通函61の突出部61aがレール53上を屋内側に向かってスライドし、センサS11が通函61を検知する。そのため、センサS11が、非検知状態から検知状態に切り換わる。このセンサS11からの信号に基づいて、制御部100は、ロック機構L11を励磁状態から非励磁状態に切り換える。すなわち、ロック機構L11が励磁状態に切り換わった後、センサS11が通函61を検知した場合、ロック機構L11が非励磁状態に復帰する。
ここで、ロック機構L11のばねは通函61の突出部61aによって物理的に圧縮された状態で、突出部61aの下面とローラ54cとが摺動しながら、通函61が屋内側に移動する。
【0069】
そして、図9に示すように、突出部61aの屋外側端部に設けられた凹部61cがロック機構L11の位置まで移動すると、圧縮されていたロック機構L11のばねが開放され、ピン54bの先端部すなわちローラ54cが凹部61cに嵌まり込む。そのため、通函61が筐体51に固定され、停止する。すなわち、通函61を棚50から引き出した際に、棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
ここで、ロック機構L11は非励磁状態のままであり、センサS11は検知状態のままである。
【0070】
このように、通函61の突出部61aには、通函61が棚50に収容された際の屋外側端部に凹部61cが設けられている。そのため、図7図9に示すように、ロック機構L11によるロックを解除し、通函61を棚50から屋内に引き出した際、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61cとが嵌合し、引き出された通函61が停止する。すなわち、通函61を棚50から引き出した際に、棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0071】
また、棚50における通函61の収容位置から屋内側への通函61の移動を検知するセンサS11を備えている。そのため、ロック機構L11によるロックを解除した後、センサS11が通函61の移動を検知した場合、制御部100は、ロック機構L11をロック解除状態からロック状態に切り換える。このような構成によって、ロック解除によって凸部(ピン54b及びローラ54c)を凹部61bから退避させ、通函61を棚50から屋内に引き出した際、自動的にロック解除状態からロック状態に切り換えられる。そのため、通函61を棚50から引き出した際、自動的に凸部(ピン54b及びローラ54c)と凹部61cとを嵌合させ、棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0072】
次に、図10図11を参照して、例えば受取人が通函61を棚50から取り出す動作について説明する。図10図11は、図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋内に通函61を取り出す様子を示す模式側面図である。
【0073】
まず、図10に示すように、制御部100は、例えば受取人からのロック解除指示に基づいて、ロック機構L11を非励磁状態から励磁状態に切り換える。そのため、ロック機構L11のばねが圧縮され、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)が通函61の凹部61cから退避し、ロックが解除する。
ここで、センサS11は検知状態のままである。
【0074】
そして、図11に示すように、例えば受取人が通函61を棚50から取り出すと、センサS11が通函61を検知しなくなる。そのため、センサS11が、検知状態から非検知状態に切り換わる。このセンサS11からの信号に基づいて、制御部100は、ロック機構L11を励磁状態から非励磁状態に切り換える。すなわち、ロック機構L11が励磁状態に切り換わった後、センサS11が通函61を検知しなくなった場合も、ロック機構L11が非励磁状態に復帰する。
【0075】
なお、制御部100は、ロック機構L11を励磁状態に切り換えた後、センサS11からの信号によらず、所定の時間経過後、ロック機構L11を非励磁状態に復帰させてもよい。
また、ロック機構L11を非励磁状態から励磁状態に切り換えずに、受取人が通函61を持ち上げて取り出してもよい。
【0076】
次に、図12図16を参照して、例えば受取人が通函61を屋内から棚50に押し入れる動作について説明する。図12図16は、図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所に、屋内から通函61を押し入れる様子を示す模式側面図である。
【0077】
まず、図12に示すように、内扉IDが開くと共に、通函61の突出部61aがレール53上を屋外側に向かってスライドするように通函61が押し込まれる。その際、センサS11が通函61を検知し、センサS11が、非検知状態から検知状態に切り換わる。
【0078】
次に、図12及び図13に示すように、通函61の突出部61aの屋外側端部とロック機構L11のローラ54cとが当接すると、突出部61aの屋外側端部の傾斜に沿って、非励磁状態のロック機構L11のばねが物理的に徐々に圧縮される。そして、ロック機構L11のばねが圧縮された状態で、突出部61aの下面とローラ54cとが摺動しながら、通函61が屋外側に移動する。
ここで、ロック機構L11は非励磁状態のままであり、センサS11は検知状態のままである。
【0079】
次に、図14に示すように、突出部61aの屋外側端部に設けられた凹部61cがロック機構L11の位置まで移動すると、圧縮されていたロック機構L11のばねが開放され、ピン54bの先端部すなわちローラ54cが凹部61cに嵌まり込む。
ここで、ロック機構L11は非励磁状態のままであり、センサS11は検知状態のままである。
【0080】
図14に示すように、突出部61aの屋外側端部に設けられた凹部61cの開口部は、屋内側に向かって広がるように傾斜している。そのため、通函61を屋外側に押し戻す際、ロック機構L11によるロックを解除せずに、突出部61aの凹部61cがロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)を通過できる。その際、突出部61aの凹部61cの傾斜に沿って、非励磁状態のロック機構L11のばねが物理的に徐々に圧縮される。
【0081】
なお、凹部61cの開口部が、凹部61bと同様に傾斜していない場合、例えば受取人からのロック解除指示に基づいて、制御部100は、ロック機構L11を非励磁状態から励磁状態に切り換え、ロックを解除すればよい。
【0082】
次に、図15に示すように、ロック機構L11のばねが圧縮された状態で、突出部61aの下面とローラ54cとが摺動しながら、通函61が屋外側に移動する。
ここで、ロック機構L11は非励磁状態のままであり、センサS11は検知状態のままである。
【0083】
そして、図16に示すように、突出部61aの屋内側端部に設けられた凹部61bがロック機構L11の位置まで移動すると、圧縮されていたロック機構L11のばねが開放され、ピン54bの先端部すなわちローラ54cが凹部61bに嵌まり込む。そのため、通函61が筐体51に固定される。そして、内扉IDが閉じる。
ここで、センサS11は通函61を検知しなくなり、検知状態から非検知状態に切り換わるが、ロック機構L11は非励磁状態のままである。
【0084】
最後に、図17図18を参照して、例えば配送人が通函61を棚50から取り出す動作について説明する。図17図18は、図2においてセンサS11及びロック機構L11が設けられた収容場所から屋外に通函61を取り出す様子を示す模式側面図である。
【0085】
まず、図17に示すように、制御部100は、例えば配送人からのロック解除指示に基づいて、ロック機構L11を非励磁状態から励磁状態に切り換える。そのため、ロック機構L11のばねが圧縮され、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)が通函61の凹部61bから退避し、ロックが解除する。
ここで、センサS11は非検知状態のままである。
【0086】
そして、図18に示すように、通函61の突出部61aがレール53上を屋内側に向かってスライドし、通函61が引き出される。センサS11は非検出状態のままであるため、例えば、制御部100は、ロック機構L11を励磁状態に切り換えた後、所定の時間経過後、ロック機構L11を非励磁状態に復帰させる。
もちろん、配送人からのロック解除指示に基づいて、ロック機構L11を励磁状態から非励磁状態に切り換えてもよい。
【0087】
以上に説明したように、本実施形態に係る配送用棚システムでは、通函61の突出部61aには、通函61が棚50に収容された際の屋内側端部に凹部61bが設けられている。そして、棚50の屋内側端部には、凹部61bに挿入するように付勢された凸部(ピン54b及びローラ54c)を有するロック機構L11が設けられている。そのため、図5に示すように、通函61を棚50に収容している間、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61bとが嵌合して通函61を棚50にロックできる。
【0088】
また、本実施形態に係る配送用棚システムでは、通函61の突出部61aには、通函61が棚50に収容された際の屋外側端部に凹部61cが設けられている。そのため、図7図9に示すように、ロック機構L11によるロックを解除し、通函61を棚50から屋内に引き出した際、ロック機構L11の凸部(ピン54b及びローラ54c)と通函61の凹部61cとが嵌合し、引き出された通函61が停止する。すなわち、通函61を棚50から引き出した際に、棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0089】
このように、本実施形態に係る配送用棚システムでは、通函61を棚50に収容している間に通函61を棚50にロックできると共に、通函61を棚50から引き出した際に棚50からの通函61の脱落を抑制できる。
【0090】
上述の例において、各種プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。各種プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。各種プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0091】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0092】
50 棚
51 筐体
52 仕切板
53 レール
53a 切り欠き部
54a 本体部
54b ピン
54c ローラ
61~63 通函
61a~63a 突出部
61b、61c 凹部
100 制御部
ID 内扉
L11~L14、L21~l24、L31~L34 ロック機構
OD 外扉
S11~S14、S21~S24、S31~S34 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18