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特許7601053移動体制御システム、移動体制御方法、及び移動体制御プログラム
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】移動体制御システム、移動体制御方法、及び移動体制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20241210BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241210BHJP
   B66B 1/14 20060101ALN20241210BHJP
【FI】
G05D1/43
G08G1/00 X
B66B1/14 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022088562
(22)【出願日】2022-05-31
(65)【公開番号】P2023176330
(43)【公開日】2023-12-13
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】池内 祥人
(72)【発明者】
【氏名】小田 志朗
(72)【発明者】
【氏名】松井 毅
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/066056(WO,A1)
【文献】特開2017-220121(JP,A)
【文献】特開平06-234469(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0154843(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/43
G05D 1/435
G08G 1/00
B66B 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扉を備えるエレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元の階数を示す情報と乗り込む扉の識別情報とを含む乗り込み元に関する情報と、行き先の階数を示す情報と降りる扉の識別情報とを含む行き先に関する情報とを取得する取得部と、
前記移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記判定部が、第1の扉から乗り込み、第2の扉から降りる第1の移動体と、前記第1及び第2の扉のうちいずれか一方のみから乗り降りする第2の移動体と、がすれ違うか否かを判定する場合、下記数式1で表されるxy座標上の第1のグラフと、下記数式2で表されるxy座標上の第2のグラフと、が交点を有するか否かを判定し、前記第1及び第2のグラフが交点を有する場合に、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定し、
前記判定部が前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、前記第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が、運行計画を変更する、
移動体制御システム。
【数1】
・・・数式1
【数2】
・・・数式2
ただし、
aは、前記第1の移動体の乗り込み元の階数であり、
bは、前記第1の移動体の行き先の階数であり、
cは、前記第2の移動体の乗り込み元の階数であり、
dは、前記第2の移動体の行き先の階数であり、
及びm は、それぞれ異なる実数であり、
前記第1の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはm であり、
前記第2の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはm であり、
mがm 及びm のうち、大きい方の値である場合、kは正の実数であり、
mがm 及びm のうち、小さい方の値である場合、kは負の実数であり、
kは、下記式3を満たし、
【数3】
・・・数式3
fは、前記エレベータ籠が移動可能な階の総数である。
【請求項2】
前記判定部が、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、すれ違いが発生すると判定された前記移動体のうち少なくとも一方が、前記エレベータ籠への乗り込みを待機する、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項3】
前記判定部が、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、すれ違いが発生すると判定された前記移動体のうち少なくとも一方が、エレベータ籠への乗り込みを取りやめる、
請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項4】
複数の扉を備えるエレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元の階数を示す情報と乗り込む扉の識別情報とを含む乗り込み元に関する情報と、行き先の階数を示す情報と降りる扉の識別情報とを含む行き先に関する情報とを取得し、
前記移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定し、
第1の扉から乗り込み、第2の扉から降りる第1の移動体と、前記第1及び第2の扉のうちいずれか一方のみから乗り降りする第2の移動体と、がすれ違うか否かを判定する場合、下記数式1で表されるxy座標上の第1のグラフと、下記数式2で表されるxy座標上の第2のグラフと、が交点を有するか否かを判定し、
前記第1及び第2のグラフが交点を有する場合に、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定し、
前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、前記第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が、運行計画を変更する、
移動体制御方法。
【数4】
・・・数式1
【数5】
・・・数式2
ただし、
aは、前記第1の移動体の乗り込み元の階数であり、
bは、前記第1の移動体の行き先の階数であり、
cは、前記第2の移動体の乗り込み元の階数であり、
dは、前記第2の移動体の行き先の階数であり、
及びm は、それぞれ異なる実数であり、
前記第1の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはm であり、
前記第2の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはm であり、
mがm 及びm のうち、大きい方の値である場合、kは正の実数であり、
mがm 及びm のうち、小さい方の値である場合、kは負の実数であり、
kは、下記式3を満たし、
【数6】
・・・数式3
fは、前記エレベータ籠が移動可能な階の総数である。
【請求項5】
複数の扉を備えるエレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元の階数を示す情報と乗り込む扉の識別情報とを含む乗り込み元に関する情報と、行き先の階数を示す情報と降りる扉の識別情報とを含む行き先に関する情報とを取得し、
前記移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定し、
第1の扉から乗り込み、第2の扉から降りる第1の移動体と、前記第1及び第2の扉のうちいずれか一方のみから乗り降りする第2の移動体と、がすれ違うか否かを判定する場合、下記数式1で表されるxy座標上の第1のグラフと、下記数式2で表されるxy座標上の第2のグラフと、が交点を有するか否かを判定し、
前記第1及び第2のグラフが交点を有する場合に、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定し、
前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、前記第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が、運行計画を変更する、処理をコンピュータに実行させる、
移動体制御プログラム。
【数7】
・・・数式1
【数8】
・・・数式2
ただし、
aは、前記第1の移動体の乗り込み元の階数であり、
bは、前記第1の移動体の行き先の階数であり、
cは、前記第2の移動体の乗り込み元の階数であり、
dは、前記第2の移動体の行き先の階数であり、
及びm は、それぞれ異なる実数であり、
前記第1の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはm であり、
前記第2の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはm であり、
mがm 及びm のうち、大きい方の値である場合、kは正の実数であり、
mがm 及びm のうち、小さい方の値である場合、kは負の実数であり、
kは、下記式3を満たし、
【数9】
・・・数式3
fは、前記エレベータ籠が移動可能な階の総数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体制御システム、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者及び自律移動体が利用するエレベータの制御装置が記載されている。特許文献1に記載のエレベータの制御装置は複数の自律移動体が、同時にエレベータ内に乗り込まないように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6350767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のエレベータの制御装置は、エレベータ内において移動体が同乗しても支障がないような場合においても、移動体が乗り込まないように制御する。
そのため、特許文献1に記載のエレベータ制御装置においては、十分に移動体の運行計画を円滑化できていないという課題があった。
【0005】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであり、自律移動体の運行を円滑化可能な移動体制御システム、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る移動体制御システムは、
エレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得する取得部と、
前記移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する判定部と、を備え、
前記判定部が前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、前記第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が、運行計画を変更する、
移動体制御システムである。
このような構成によると、自立移動体のすれ違いの発生を抑制できる。その結果として、自立移動体を円滑に運行できる。
【0007】
本開示に係る移動体制御システムは、
前記判定部が、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、すれ違いが発生すると判定された前記移動体のうち少なくとも一方が、前記エレベータ籠への乗り込みを待機してもよい。
【0008】
本開示に係る移動体制御システムは、
前記判定部が、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、すれ違いが発生すると判定された前記移動体のうち少なくとも一方が、エレベータ籠への乗り込みを取りやめてもよい。
【0009】
本開示に係る移動体制御システムは、
前記乗り込み元に関する情報が、乗り込み元の階数を示す情報を含み、
前記行き先に関する情報が、行き先の階数を示す情報を含んでもよい。
【0010】
本開示に係る移動体制御システムは、
前記エレベータ籠が複数の扉を備え、
前記乗り込み元に関する情報が、乗り込み元の階数を示す情報と、乗り込む扉の識別情報と、を含み、
前記行き先に関する情報が、行き先の階数を示す情報と、降りる扉の識別情報と、を含んでもよい。
【0011】
前記判定部が、第1の扉から乗り込み、第2の扉から降りる第1の移動体と、前記第1及び第2の扉のうちいずれか一方のみから乗り降りする第2の移動体と、がすれ違いするか否かを判定する場合、下記数式1で表されるxy座標上の第1のグラフと、下記数式2で表されるxy座標上の第2のグラフと、が交点を有するか否かを判定し、前記第1及び第2のグラフが交点を有する場合に、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定してもよい。
【数1】
・・・数式1
【数2】
・・・数式2
ただし、
aは、前記第1の移動体の乗り込み元の階数であり、
bは、前記第1の移動体の行き先の階数であり、
cは、前記第2の移動体の乗り込み元の階数であり、
dは、前記第2の移動体の行き先の階数であり、
及びmは、それぞれ異なる実数であり、
前記第1の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはmであり、
前記第2の扉から前記第2の移動体が乗り降りする場合、mはmであり、
mがm及びmのうち、大きい方の値である場合、kは正の実数であり、
mがm及びmのうち、小さい方の値である場合、kは負の実数であり、
kは、下記式3を満たし、
【数3】
・・・数式3
fは、前記エレベータ籠が移動可能な階の総数である。
【0012】
本開示の一態様に係る移動体制御方法は、
エレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得し、
前記移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定し、
前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、前記第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が、運行計画を変更する、
移動体制御方法である。
【0013】
本開示の一態様に係る移動体制御プログラムは、
エレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得し、
前記移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定し、
前記第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合、前記第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が、運行計画を変更する、処理をコンピュータに実行させる、
移動体制御プログラムである。
【発明の効果】
【0014】
本開示によって、自立移動体の運行を円滑化可能な移動体制御システム、移動体制御方法、及び移動体制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態に係る移動体制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る移動体の構成を示す模式図である。
図3】第1の実施形態に係る移動体の構成を示す模式図である。
図4】数式4で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
図5】第1の実施形態に係る移動体制御システムの動作を示すフローチャートである。
図6】第2の実施形態に係る移動体の構成を示す模式図である。
図7】数式6で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
図8】数式7で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
図9】数式1で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
図10】数式1及び数式2で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
図11】数式1及び数式2で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
<移動体制御システムの構成>
以下、図面を参照しながら、本開示に係る第1の実施形態について詳細に説明する。まず始めに、本実施形態に係る移動体制御システムの構成について詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係る移動体制御システムの構成を説明するためのブロック図である。
【0017】
本実施形態に係る移動体制御システム101は、移動体制御装置1と、移動体2aと、移動体2bと、を備える。
本実施形態にかかる移動体制御システム101においては、移動体制御装置1が、移動体2a及び移動体2bを制御する。より詳細には、エレベータ内において、移動体2a及び移動体2bのすれ違いが発生しないように、移動体制御装置1が、移動体2a及び移動体2bの運行計画を制御する。
【0018】
なお、以下、移動体2a及び移動体2bは、特に区別する必要がなければ単に移動体2と表記する。
また、本実施形態に係る移動体制御システムは、2つの移動体2を備えるが、本開示に係る移動体制御システム101が制御可能な移動体2の台数は2台に限定されない。例えば、本開示に係る移動体制御システム101は3台以上の移動体2を制御してもよい。
【0019】
以下、図2及び図3を参照しながら、移動体2について説明する。図2及び図3は、第1の実施形態に係る移動体の構成を説明するための模式図である。より詳細には、図2は、エレベータに搭乗している移動体2a及び移動体2bの模式側面図である。また、図3は、エレベータに搭乗している移動体2a及び移動体2bの模式平面図である。
【0020】
なお、当然のことながら、図2及びその他の図面に示した右手系xyz直行座標は、構成要素の位置関係を説明するための便宜的なものである。通常、z軸正向きが鉛直上向き、xy平面が水平面であり、図面間で共通である。
【0021】
本実施形態に係る移動体2は、1つの扉Dを有するエレベータ籠Eに搭乗する。図2及び図3に示すように、2台の移動体2がエレベータ籠Eに搭乗する場合、エレベータ籠Eの奥行方向、即ちy軸方向に並んで、2台の移動体2が搭乗する。
【0022】
2台の移動体2がエレベータ籠Eに搭乗する場合、先に搭乗した移動体2が、扉Dからみて奥側に搭乗し、後から搭乗した移動体2が、扉Dからみて手前側に搭乗する。図2及び図3においては、移動体2aが扉Dからみて奥側に搭乗し、移動体2b扉Dからみて手前側に搭乗している。
【0023】
図2及び図3において、移動体2aが移動体2bよりも先にエレベータ籠Eから降りる場合、移動体2aが、移動体2bを回避して扉Dに到達する必要がある。本開示においては、このような状況、即ち、移動体2が扉Dから降りる場合に、扉Dへと向かう経路上に他の移動体2が存在するような状況を、すれ違いが発生する状況と呼ぶ。
【0024】
前述した通り、すれ違いが発生する状況においては、移動体2aが移動体2bを回避する必要がある。そのため、エレベータ籠Eに十分な広さが無い場合、移動体2aはエレベータから降りられなくなる。また、エレベータ籠Eに十分な広さがある場合においても、エレベータ内で回避行動を行う場合、時間がかかり、円滑な運行が実行できなくなる。
そのため、本実施形態にかかる移動体制御システム101は、すれ違いが発生する状況を回避するように移動体2を制御する。
【0025】
移動体2は、移動体制御装置1に対して、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを送信する。そして、移動体2は、すれ違いが発生するか否かの判定結果を移動体制御装置1から受信する。
【0026】
ただし、本実施形態に係る乗り込み元に関する情報は、移動体2がエレベータ籠Eに乗り込む階の階数を示す情報である。また、本実施形態に係る行き先に関する情報は、移動体2がエレベータ籠Eから降りる階の階数を示す情報である。
【0027】
移動体2は、すれ違いが発生するという判定結果を受信した場合、すれ違いが発生すると判定された移動体2のうちの少なくとも一方が、運行計画を変更する。また、すれ違いが発生しないという判定結果を受信した場合、移動体2は運行計画を変更せずにエレベータ籠Eに搭乗する。
ただし、ここでいう運行計画とは、移動体2の移動経路を規定する計画である。
【0028】
本実施形態に係る運行計画は、エレベータ籠Eを利用するか否か、エレベータ籠Eをいずれの階で乗り降りするか、またはエレベータ籠Eへの乗り込みを待機するか否かに関する計画を含む。つまり本実施形態に係る運行計画は、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを含む。
【0029】
図1の説明に戻る。
本実施形態に係る移動体2aは、通信部21a及び制御部22aを備える。また、本実施形態に係る移動体2bは、通信部21b及び制御部22bを備える。
なお、以下、通信部21a及び通信部21bは、特に区別する必要がなければ単に通信部21と表記する。また、以下、制御部22a及び制御部22bは、特に区別する必要がなければ単に制御部22と表記する。
【0030】
通信部21は、移動体制御装置1と通信を行う。より詳細には、通信部21は、制御部22から乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得する。そして、通信部21は、制御部22から取得した情報を、移動体制御装置1に対して送信する。
【0031】
また、通信部21は、移動体制御装置1から、移動体2a及び移動体2bにすれ違いが発生するか否かについての判定結果を受信する。そして、通信部21は、受信した判定結果を制御部22に対して出力する。
【0032】
制御部22は、移動体2の動作を制御する。制御部22は、運行計画を記憶しており、運行計画に沿って移動体2を移動させる。
制御部22は、通信部21に対して、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを出力する。また、制御部22は、移動体2a及び移動体2bにすれ違いが発生するか否かについての判定結果を、通信部21から取得する。
【0033】
制御部22は、移動体2a及び移動体2bにすれ違いが発生するという判定結果を通信部21から取得した場合、運行計画を変更する。
例えば、制御部22は、エレベータ籠Eへの乗り込みを待機するように運行計画を変更してもよい。また、制御部22は、エレベータ籠Eへの乗り込みを取りやめるように運行計画を変更してもよい。
【0034】
なお、移動体2a及び移動体2bのうち、運行計画を変更するのはどちらか一方のみでもよいし、移動体2a及び移動体2bの両方が運行計画を変更してもよい。
移動体2a及び移動体2bのうちどちらか一方のみが運行計画を変更する場合、例えば、移動体2a及び移動体2bの間に優先順位をつけておき、優先順位の低い方の移動体2の運行計画を変更してもよい。
【0035】
また、制御部22は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、移動体2を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。即ち、制御部22は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて移動体2を制御する。
【0036】
移動体制御装置1は、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを移動体2から取得する。そして、取得した情報に基づいて、移動体2a及び移動体2bにすれ違いが発生するか否かを判定する。
【0037】
なお、本実施形態に係る移動体制御装置1は、移動体2のすれ違いが発生するか否かの判定を、エレベータ籠Eが折り返すごとに実行する。つまり、本実施形態に係る移動体制御装置1は、1回の上昇、あるいは下降毎に、移動体2のすれ違いが発生するか否かを判定する。
【0038】
移動体制御装置1は、例えば、移動体2と通信可能なサーバ装置として構成されてもよい。また、移動体制御装置1は、エレベータ籠Eの動きを制御するエレベータ制御装置であってもよい。
【0039】
取得部11は、エレベータ籠Eに乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得する。取得部11は、例えば、移動体2と通信する通信機として構成されてもよい。
取得部11は、取得した情報を判定部12に対して出力する。
【0040】
判定部12は、取得部11から移動体2の乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得する。そして、判定部12は、取得部11から取得した情報に基づいて、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する。
判定部12は、判定した結果を移動体2に対して送信する。取得部11が通信機として構成される場合、判定部12は、取得部11を介して、判定した結果を移動体2に対して送信してもよい。
【0041】
移動体制御装置1は、例えば図示しないCPUなどの演算部と、移動体制御装置1を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM、ROM等の記憶部と、を備えている。即ち、移動体制御装置1は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて、前述した動作を実行する。
【0042】
なお、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0043】
<判定方法>
次に、図面を参照しながら、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する方法について詳細に説明する。
【0044】
本実施形態に係る判定部12は、例えば、下記数式4で表されるxy座標上の第1のグラフと、下記数式5で表されるxy座標上の第2のグラフと、が、y>0の範囲で交点を有するか否かを判定する。そして、第1及び第2のグラフがy>0の範囲で交点を有する場合に、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定してもよい。
【0045】
【数4】
・・・数式4
【数5】
・・・数式5
【0046】
ただし、
aは、移動体2aの乗り込み元の階数であり、
bは、移動体2aの行き先の階数であり、
cは、移動体2bの乗り込み元の階数であり、
dは、移動体2bの行き先の階数であり、
kは、負の実数である。
【0047】
なお、前述したように本実施形態においては、エレベータ籠Eの一回の上昇、あるいは下降毎に、移動体2のすれ違いが発生するか否かを判定する。そのため、エレベータ籠Eが下降する場合、a>bかつc>dが成り立つ。他方、エレベータ籠Eが上昇する場合、a<bかつc<dが成り立つ。
【0048】
図4は、数式4で表されるxy座標上の第1のグラフを示す図である。数式4で表されるグラフは、図4に示すようにx軸上の点(a,0)及び(b,0)を通る、上に凸な二次関数のグラフとして表される。
なお、図4においては、エレベータ籠Eが上昇する場合が示されており、a<bであるが、エレベータ籠Eが下降する場合には、a>bである。
また、数式5で表されるグラフも同様に、x軸上の点(c,0)及び(d,0)を通る、上に凸な二次関数のグラフとして表される。
【0049】
ここで、移動体2a及び移動体2bのすれ違いが発生する条件は、エレベータ籠Eが上昇する場合には、a<c<b<dであり、エレベータ籠Eが下降する場合には、a>c>b>dである。これらの条件を満たす場合においては、いずれにおいても、第1及び第2のグラフがy>0の範囲で交点をもつ。
また、これらの大小関係以外の場合においては、第1及び第2のグラフは、y>0の範囲に交点をもたない。
そのため、これらのグラフが、y>0の範囲に交点を有するか否かを判定すると、判定部12は、移動体2a及び移動体2bのすれ違いが発生するか否かを判定できる。
【0050】
<移動体制御システムの動作>
続いて、移動体制御システム101の動作、即ち、第1の実施形態に係る移動体制御方法について詳細に説明する。図5は、第1の実施形態に係る移動体制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【0051】
まず始めに、取得部11が、第1及び第2の移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得する(ステップST101)。
より詳細には、取得部11が、移動体2から、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得する。そして、取得部11が、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを判定部12に対して出力する。
【0052】
次に、判定部12が、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する(ステップST102)。
より詳細には、判定部12が、数式4で表されるxy座標上の第1のグラフと、数式5で表されるxy座標上の第2のグラフと、が、y>0の範囲で交点を有するか否かを判定する。そして、第1のグラフと、第2のグラフと、が、y>0の範囲で交点を有する場合に、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定する。
【0053】
第1及び第2の移動体のすれ違いが発生すると判定した場合(ステップST102 YES)、第1及び第2の移動体のうち少なくとも一方が運行計画を変更し(ステップST103)、移動体制御システム101は、一連の動作を終了する。
また、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生しないと判定した場合(ステップST102 NO)、移動体制御システム101は一連の動作を終了する。つまり、第1及び第2の移動体のうち、いずれの運行計画も変更せずに、移動体制御システム101は一連の動作を終了する。
本実施形態に係る移動体制御システム101は、図5のフローチャートに示された一連の動作を、1回の上昇、あるいは下降毎に実行する。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る移動体制御システム101は、エレベータ籠に乗り込む第1及び第2の移動体の、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とに基づいて、エレベータ籠内で移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する。
そして、エレベータ籠内で移動体のすれ違いが発生すると判定した場合に、第1及び第2の移動体の内の少なくとも一方が、運行計画を変更する。
このような構成によると、移動体制御システム101は、エレベータ籠内における移動体のすれ違いの発生を抑制できる。その結果として、自律移動体の運行を円滑化できる。
【0055】
(第2の実施形態)
<移動体制御システムの構成>
以下、図面を参照しながら、本開示に係る第1の実施形態について詳細に説明する。まず始めに、本実施形態に係る移動体制御システムの構成について詳細に説明する。
【0056】
第2の実施形態に係る移動体制御システムは、第1の実施形態に係る移動体制御システムの応用例である。そのため、本実施形態に係る移動体制御システムは、図1に示すような移動体制御システム101と同様の構成を備える。
第2の実施形態に係る移動体制御システムは、移動体2が、複数の扉を有するエレベータ籠に搭乗する点で、第1の実施形態と異なる。
【0057】
図6は、第2の実施形態に係る移動体の構成を示す模式図である。より詳細には、図6は、エレベータ籠Eに搭乗している移動体2a及び移動体2bの模式平面図である。
本実施形態に係るエレベータ籠Eは、図6に示すように、扉D1及び扉D2を有する。移動体2a及び移動体2bは、扉D1及び扉D2のいずれを用いても乗り降り可能である。ただし、移動体2が扉D1又は扉D2へと向かう経路上に他の移動体2が存在する場合、第1の実施形態と同様にすれ違いが発生する。
【0058】
本実施形態においては、すれ違いの発生を判定するために、移動体2がいずれの扉から乗り降りするかを考慮する必要がある。
そのため、本実施形態においては、乗り込み元に関する情報が、乗り込み元の階数を示す情報と、乗り込む扉の識別情報とを含む。また、行き先に関する情報が、行き先の階数を示す情報と、降りる扉の識別情報とを含む。
【0059】
<判定方法>
次に、図面を参照しながら、本実施形態において、第1及び第2の移動体のすれ違いが発生するか否かを判定する方法について詳細に説明する。
【0060】
本実施形態においては、第1の実施形態と同様に、乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報と、に基づいて、xy座標上にグラフを作成し、当該グラフが交点を有するか否かを判定する。そして、当該グラフが交点を有する場合に、移動体2のすれ違いが発生すると判定する。
【0061】
本実施形態においては、移動体2が、扉D1から乗り込み、扉D1から降りる場合、下記数式6で表されるxy座標上のグラフを作成する。
【0062】
【数6】
・・・数式6
【0063】
ただし、
aは、移動体2の乗り込み元の階数であり、
bは、移動体2の行き先の階数であり、
は、負の実数であり、
は、実数である。
【0064】
図7は、数式6で表されるxy座標上のグラフを示す図である。数式6で表されるグラフは、図7に示すようにx軸上の点(a,m)及び(b,m)を通る、上に凸な二次関数のグラフとして表される。
【0065】
また、本実施形態においては、移動体2が、扉D2から乗り込み、扉D2から降りる場合、下記数式7で表されるxy座標上のグラフを作成する。
【0066】
【数7】
・・・数式7
【0067】
ただし、
aは、移動体2の乗り込み元の階数であり、
bは、移動体2の行き先の階数であり、
は、正の実数であり、
は、mよりも大きい実数である。
【0068】
図8は、数式7で表されるxy座標上のグラフを示す図である。数式7で表されるグラフは、図7に示すようにx軸上の点(a,m)及び(b,m)を通る、下に凸な二次関数のグラフとして表される。
【0069】
なお、本実施形態においては、m<mであるが、m>mであってもよい。ただし、m>mである場合、kは正の実数となり、kは負の実数となる。つまり、数式6及び7は、下記数式8のようにまとめて記載できる。
【0070】
【数8】
・・・数式2
【0071】
ただし、
cは、移動体2の乗り込み元の階数であり、
dは、移動体2の行き先の階数であり、
移動体2が扉D1から乗り降りする場合、mはmであり、
移動体2が扉D2から乗り降りする場合、mはmであり、
mがm及びmのうち、大きい方の値である場合、kは正の実数であり、
mがm及びmのうち、小さい方の値である場合、kは負の実数である。
【0072】
また、移動体2がエレベータ籠Eに乗り込む際に使用する扉Dと、移動体2がエレベータ籠Eから降りる際に使用する扉Dとが異なる場合、本実施形態においては、下記数式1で表されるxy座標上のグラフを作成する。
【0073】
【数9】
・・・数式1
【0074】
図9は、数式1で表されるxy座標上のグラフを示す図である。数式1で表されるグラフは、図7に示すようにx軸上の点(a,m)及び(b,m)を通る、一次直線のグラフとして表される。
なお、下記数式1は、移動体2が扉D1からエレベータ籠Eに乗り込み、扉D2からエレベータ籠Eを降りる場合を想定して記載されている。移動体2が扉D2からエレベータ籠Eに乗り込み、扉D1からエレベータ籠Eを降りる場合、m2とm1とを入れ替えて記載すると、対応した数式が得られる。
【0075】
本実施形態に係る判定部12は、移動体2a及び移動体2bそれぞれの乗り込み元に関する情報と、行き先に関する情報とを取得し、それぞれの移動体2についてグラフを作成する。そして、それぞれのグラフが交点を有するか否かを判定する。
【0076】
図10は、数式1及び数式2で表されるxy座標上のグラフを示す図である。
より詳細には、図10は、移動体2aが階層aの扉D1から乗り込み、階層bの扉D2から降りる場合のグラフと、移動体2bが階層cの扉D2から乗り込み、階層dの扉D2から降りる場合のグラフと、を重ねて表示した図である。ただし、簡単のために、m=0として記載している。
【0077】
ここで、移動体2aが階層aの扉D1から乗り込み、階層bの扉D2から降り、移動体2bが階層cの扉D2から乗り込み、階層dの扉D2から降りる場合を考える。移動体2aと移動体2bとの間にすれ違いが発生する条件は、エレベータ籠Eが上昇する場合にはc<b<dであり、エレベータ籠Eが下降する場合にはc>b>dである。
【0078】
c<b<dもしくはc>b>dが成立する場合、図10に示すように、2つのグラフが交点P1をもつ。そのため、判定部12は、2つのグラフが交点をもつ場合に、移動体2a及び移動体2bがすれ違うと判定する。
【0079】
ただし、2つのグラフが交点をもつ場合であっても、図11に示すように、c<b<dもしくはc>b>dが成立しない場合がある。このような場合は、実数kの範囲を制限することで排除できる。kは、下記式3を満たすようにするとよい。
【0080】
【数10】
・・・数式3
【0081】
ただし、fはエレベータ籠Eが移動可能な階の総数である。
なお、数式3の左辺は、移動体2bの経路に対応するグラフのx=c又はx=dの点における傾きを示す。また、数式3の右辺は、移動体2aの経路に対応するグラフのうち最も傾きが大きいグラフの傾きの値を示す。
【0082】
移動体2bの経路に対応するグラフのx=c又はx=dの点における傾きが、移動体2aの経路に対応するグラフのうち最も傾きが大きいグラフの傾きの値よりも小さい場合、図11に示すような交点は存在しない。
そのため、kが数式3を満たし、2つのグラフが交点を有する場合、移動体2aと、移動体2bとの間には、すれ違いが発生する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態に係る移動体制御システムは、複数の扉を有するエレベータ籠に搭乗する複数の移動体が、すれ違うか否かを判定する。
また、本実施形態に係る移動体制御システムにおいては、乗り込み元に関する情報が、乗り込み元の階数を示す情報と、乗り込む扉の識別情報とを含む。また、行き先に関する情報が、行き先の階数を示す情報と、降りる扉の識別情報とを含む。
さらに、これらの情報に基づいて移動体それぞれの経路に対応するグラフを作成し、当該グラフが交点を有する場合に、移動体がすれ違うと判定するようにしている。
このような構成によると、エレベータ籠が複数の扉を用いる場合であっても、移動体がすれ違うか否かを適切に判定できる。
【0084】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0085】
1 移動体制御装置
2、2a、2b 移動体
11 取得部
12 判定部
21、21a、21b 通信部
22、22a、22b 制御部
E エレベータ籠
D、D1、D2 扉
101 移動体制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11