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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】車両進入補助装置および洗車機
(51)【国際特許分類】
   B60S 3/06 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B60S3/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022094617
(22)【出願日】2022-06-10
(65)【公開番号】P2023180930
(43)【公開日】2023-12-21
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石田 伸浩
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0081049(KR,A)
【文献】特開2003-118547(JP,A)
【文献】特開平11-105676(JP,A)
【文献】特開2018-80542(JP,A)
【文献】特開昭60-128047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗浄する洗車機本体の出口開口部外側に設けられる面材と、
前記面材を上下方向に移動させるための昇降機構と、
前記面材の前記洗車機本体内部側に取り付けられるミラーと、
前記昇降機構を制御する制御部と、を備える、車両進入補助装置。
【請求項2】
前記面材が前記出口開口部の少なくとも一部を覆い、前記ミラーが前記車両の進行方向前方に位置している状態を第1状態とすると、
前記制御部は、前記車両の洗浄前に前記車両が所定の停車位置に至るまで進行している間、前記第1状態が維持されるよう、前記昇降機構を制御する、請求項1に記載の車両進入補助装置。
【請求項3】
前記車両が前記停車位置に停車すると、前記制御部は、前記第1状態から、前記出口開口部が開放されている第2状態となるよう、前記昇降機構を制御し、前記面材を上方向に移動させる、請求項2に記載の車両進入補助装置。
【請求項4】
前記ミラーは、前記面材によって前記出口開口部が閉鎖されている状態において、前記洗車機本体の入口側から前記面材を見たときに、前記出口開口部の下半分の領域に位置している、請求項1に記載の車両進入補助装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記車両と、前記洗車機本体との距離に応じて、前記昇降機構を制御し、前記第1状態における前記面材の上下方向の位置を調整する、請求項2に記載の車両進入補助装置。
【請求項6】
前記面材はシャッタまたはカーテンであり、前記昇降機構は巻取式の昇降機構である、請求項1に記載の車両進入補助装置。
【請求項7】
前記昇降機構は、前記洗車機本体に取り付けられている、請求項1に記載の車両進入補助装置。
【請求項8】
前記昇降機構は、地面に設置され、前記車両の通過が可能な枠体に取り付けられている、請求項1に記載の車両進入補助装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の車両進入補助装置を備える、洗車機。
【請求項10】
前記車両の使用者が操作するリモートパネルを備えており、
前記制御部は、前記使用者が前記リモートパネルを介して入力する前記車両の車高情報に基づいて、前記車両の洗浄前に前記車両が所定の停車位置に至るまで進行している間における前記面材の上下方向の位置を制御する、請求項9に記載の洗車機。
【請求項11】
前記車両の使用者が操作するリモートパネルと、車高センサと、を備えており、
前記リモートパネルを介して洗車が受付けられると、前記車高センサによって前記車両の車高情報が取得され、
前記制御部は、前記車高情報に基づいて、前記車両の洗浄前に前記車両が所定の停車位置に至るまで進行している間における前記面材の上下方向の位置を制御する、請求項9に記載の洗車機。
【請求項12】
前記洗車機本体を制御する洗車制御部を備え、
前記洗車機本体は、前記車両の側面を洗浄する左右一対のサイドブラシを備えており、
前記洗車制御部は、前記サイドブラシに前記ミラーを洗浄させる、請求項9に記載の洗車機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両進入補助装置および当該車両進入補助装置を備える洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗車機本体が設置面上を走行することによって洗車を行う洗車機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-120307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような洗車機を用いて洗車を行う場合、ドライバーが洗車前に被洗浄車両を洗車機本体の前方の所定の停車位置に停車させる。この場合、停車位置における被洗浄車両は、洗車機の開口部の幅方向において中央に位置していることが好ましい。しかしながら、ドライバーにとって従来の洗車機では、被洗浄車両を洗車機本体の幅方向において中央に位置させることが容易ではなかった。
【0005】
本開示の一態様は、被洗浄車両を洗車機本体の幅方向において中央に位置させることを容易化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る車両進入補助装置は、車両に対する前後方向への相対移動により前記車両を洗浄する洗車機本体の出口開口部外側に設けられる面材と、前記面材を上下方向に移動させるための昇降機構と、前記面材の前記洗車機本体内部側に取り付けられるミラーと、前記昇降機構を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、被洗浄車両を洗車機本体の幅方向において中央に位置させることを容易化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の実施形態1に係る車両進入補助装置を備える洗車機を示す模式図である。
図2】本開示の実施形態1に係る車両進入補助装置を備える洗車機の機能ブロック図の一例である。
図3】本開示の実施形態1に係る洗車機の概略正面図である。
図4】本開示の実施形態1に係る車両進入補助装置による、車両進入補助動作について、制御部の制御例を示すフローチャートである。
図5図1に示す洗車機が備えるリモートパネルの一例を示す正面図である。
図6】本開示の実施形態2に係る洗車機の概略側面図である。
図7】本開示の実施形態2に係る車両進入補助装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
洗車機2が設置されている地面には、通常、ドライバーが洗車機本体4の空間に適切な位置で進入するための進入ガイドが設けられている。しかしながら、地面に設けられている進入ガイドだけでは、左右位置を把握しづらい。また、地面に設けられる進入ガイドは、車両の進入位置および車高などにより、ドライバーにとって見づらい状況が発生する可能性がある。
【0010】
本実施形態に係る車両進入補助装置は、車両が、洗車機の幅方向において略中央に位置した状態で洗車機に進入できるよう、ドライバーによる所定の停車位置までの車両の進行を補助する装置である。実施形態1では、車両進入補助装置7が洗車機本体4に取り付けられている例について説明する。
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る車両進入補助装置および当該車両進入補助装置を備える洗車機について詳細に説明する。
なお、本明細書において、X軸の正方向を前方向、X軸の負方向を後方向と称する。また、Y軸の正方向を上方向、Y軸の負方向を下方向と称する。また、Z軸の正方向を右方向、Z軸の負方向を左方向と称する。また、図1~7において、ある軸線に対して上下対称又は左右対称になっている構成については、対称となっている構成のうち一方の構成のみに符号を付し、他方の構成に符号を付すことを省略している場合がある。
【0012】
図1は、実施形態1に係る車両進入補助装置7および車両進入補助装置7を備える洗車機2を示す模式図である。より具体的には、図1は、本実施形態に係る車両進入補助装置7と、洗車機本体4とリモートパネル6との概略側面2Sと、洗車機本体4の概略正面4Fとを示している。図2は、車両進入補助装置7を備える洗車機2の機能ブロック図の一例である。
【0013】
<洗車機の概要>
本実施形態に係る洗車機2は、図1に示すように、被洗浄車両である車両Xの洗車を行う洗車機本体4を備える。洗車機2は、ドライバーが操作することによって選択した、洗車機本体4による車両Xの洗車条件を取得するリモートパネル6を備えていてもよい。図1の洗車機2の概略側面2Sにおいては、車両Xがリモートパネル6よりも、紙面に向かって奥側に位置することを示すために、車両Xの外形を点線にて示す。
【0014】
図1の洗車機本体4の概略正面4Fに示すように、洗車機本体4は、例えば、2つのフレーム8と、当該2つのフレーム8の上端同士を連結する天井部10とを備える。洗車機本体4は、図1の洗車機2の概略側面2Sに示す、車両Xの進入方向DAに沿って、車両Xが、フレーム8および天井部10によって囲まれた空間4Sを通過できる構造を有している。なお、本明細書において、進入方向DAは、洗車機本体4の正面から背面に向かう方向とする。また、本明細書において、洗車機本体4の正面の開口部を入口開口部、背面の開口部を出口開口部と称する場合がある。
【0015】
洗車機本体4は、例えば、フレーム8のそれぞれの下部に車輪12を有し、駆動部4A(図1には図示せず)によって当該車輪12を回転駆動することにより、地面Gに配されたレールRに沿って、車両Xに対し前後方向に相対移動する。レールRは、例えば、進入方向DAに沿って形成されている。洗車機本体4は、車両Xに対する相対移動を行いつつ、空間4S中の車両Xに対する洗浄を実施する。
【0016】
洗車機本体4には、清掃部4Bの1つとして、車両X上を摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。例えば、洗車機本体4が備える回転ブラシは、それぞれが回転モータ(不図示)によって回転するトップブラシ14、サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18を含む。トップブラシ14は、車両Xの上面に沿って移動し、車両Xの上面を洗浄する。サイドブラシ16、およびロッカーブラシ18は、車両Xの両側面を洗浄する。特に、ロッカーブラシ18は、車両Xの側面のうち、サイドブラシ16が洗浄可能な部分よりも下方の部分を含む、車両Xの側面下部を洗浄する。
【0017】
洗車機本体4の側部には、洗剤またはワックス等を含む各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部20が配される。タンク収納部20の上方には、市水を含む水、または各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部22が設けられる。分配配管部22には、清掃部4Bに含まれる、第1浄水ノズル24、第2浄水ノズル26、第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30、撥水コートノズル32、およびワックスノズル34がそれぞれ電磁弁(不図示)を介して導出される。
【0018】
第1浄水ノズル24、および第2浄水ノズル26は、洗車機本体4の手前側、および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対して市水を含む水を噴射する。第1洗剤ノズル28、第2洗剤ノズル30は、洗車機本体4の手前側および奥側にそれぞれ配され、車両Xに対してシャンプー等を含む洗浄液を噴射する。撥水コートノズル32およびワックスノズル34は洗車機本体4の後面に配される。撥水コートノズル32は車両Xに対して撥水コート剤の液剤を噴射する。ワックスノズル34は車両Xに対してワックスを噴射する。
【0019】
また、洗車機本体4には、気流を発生して車両Xを乾燥させるブロワ36が設けられる。ブロワ36にはトップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40が接続される。トップ送風ノズル38は、洗車機本体4の中央上部に設けられ、車両Xの天井面に向けて送風する。サイド送風ノズル40は、洗車機本体4の両側部に設けられ、車両Xの側面に向けて送風する。洗車機本体4は、トップ送風ノズル38、およびサイド送風ノズル40の送風によって、洗浄後の車両Xを乾燥させる。
【0020】
洗車機本体4の一方のフレーム8の前面には操作パネル42が配される。操作パネル42は洗車条件を設定する操作ボタン(不図示)を備え、車両Xから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付けまたは洗車条件の設定を行う。
【0021】
さらに、洗車機2は、洗車機本体4を制御する洗車制御部44を備える。洗車制御部44は、駆動部4Aを制御することにより、車輪12を回転駆動させ、洗車機本体4をレールRに沿って移動させる。また、洗車制御部44は、清掃部4Bの各部の動作を制御することにより、洗車機本体4による車両Xの洗浄を制御する。洗車制御部44は、図1に示すように、洗車機本体4に備えられていてもよく、あるいは、洗車機本体4の外部に位置していてもよい。洗車制御部44は、通信部44Aを介して、洗車機本体4または後述するリモートパネル6との間における情報の送受信を行い、洗車機本体4を制御してもよい。また、洗車制御部44は、通信部44Aを介して車両進入補助装置7と情報の送受信を行うことができる。洗車制御部44は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。
【0022】
リモートパネル6は、例えば、洗車機本体4の前方側に位置し、おおよそ洗車機本体4の移動方向に沿って配置される。また、リモートパネル6は、図1に示すように、その正面が、洗車機本体4により洗浄される前、換言すれば、洗車機本体4の内部に進入する前の車両Xと対向するように配置される。このため、図1においては、リモートパネル6の背面を図示している。
【0023】
図1に示すように、リモートパネル6は、筐体46と、地面Gに立設された、筐体46を支持する支柱48とを備える。リモートパネル6は、筐体46に設けられた、不図示のタッチパネルまたはボタン等の操作により、洗車機本体4による車両Xの洗車条件の少なくとも一部を取得してもよい。洗車制御部44は、リモートパネル6が取得した洗車条件の少なくとも一部に基づいて、洗車機本体4を制御し、車両Xを洗浄してもよい。
【0024】
なお、図1においては、図示の簡単のために、上述した、洗車機本体4が備える、車両Xの洗浄のための各装置に関する図示を省略している場合がある。また、図1に示す、洗車機本体4が備える各装置は、単なる例示であり、洗車機本体4は、上述した装置の他、従来公知の構成を含む、車両Xの洗浄のための装置、および当該洗浄を補助する装置を、フレーム8または天井部10に備えていてもよい。
【0025】
<車両進入補助装置>
車両進入補助装置7は、制御部71と、昇降機構72と、左右一対の案内レール73と、シャッタ74と、ミラー75とを備える。車両進入補助装置7は、制御部71、昇降機構72および収容時のシャッタ74を収容し得る筐体を備える。当該筐体は、例えば、洗車機本体4の天井部10の背面側に取り付けられる。
【0026】
案内レール73は、シャッタ74を案内し、昇降を補助するためのレールである。案内レール73は、洗車機本体4の2つのフレーム8それぞれに取り付けられている。より具体的には、案内レール73は、洗車機本体4の出口開口部(退出口)の左右両側に、上下方向を長手方向として設けられている。
【0027】
シャッタ74は、洗車機本体4の出口開口部外側に設けられ、昇降機構72によって昇降可能な面材の一例である。シャッタ74は、ミラー75を取り付ける支持部材としても機能する。シャッタ74は、例えばアルミ製シャッタであってよい。シャッタ74と同様のシャッタが、当該シャッタを昇降させる昇降機構と共に洗車機本体4の入口開口部側に設けられていてもよい。この場合、洗車機本体4の入口開口部側および出口開口部側に設けられた2つのシャッタを下げることにより、洗車機本体4内が外部(外気)から概ね遮蔽することができる。つまり、シャッタ74は、洗車場の外気が低温のときに、洗車機本体4内の洗車装置が凍結する可能性を低減する機能も有し得る。
【0028】
ミラー75は、シャッタ74の洗車機本体内部側に取り付けられている。ミラー75として、例えば、鏡面シートを用いることができる。鏡面シートを用いることにより、ミラー75が衝撃などにより破損する可能性が低減される。また、鏡面シートは、加工が容易であり、シャッタ74に容易に貼付けることができる。ミラー75は、シャッタ74のスリットに合わせて分割されていてもよい。
【0029】
ミラー75は、シャッタ74を下げた状態(出口開口部35が閉鎖されている状態)において、洗車機本体4の入口側からシャッタ74を見たときに、出口開口部35全ての領域に位置していてもよい。この場合、車両Xの車高情報に基づいて制御部71が昇降機構72によりシャッタ74を上下方向に移動させなくても、車両Xの大きさにかかわらず、ユーザが停車位置への車両進入時における左右の位置合わせを容易に行うことができる。
【0030】
ミラー75は、シャッタ74を下げた状態において、洗車機本体4の入口側からシャッタ74を見たときに、出口開口部の下半分の領域に位置していてもよい。ミラー75の面積は、シャッタ74を下げた状態において洗車機本体4の入口側から見えるシャッタ74の面積の40%~60%であってよい。また、ミラー75は、例えば横幅(左右幅)が1.8m以上2.2m以下であり、高さ(上下幅)が1m以上1.5m以下の範囲で構成されていてもよい。シャッタ74に取り付けられるミラー75の面積を限定することにより、ミラー75が汚れた場合の清掃の手間を軽減することができる。また、ミラー75の面積が限定されるため、車両進入補助装置7の製造にかかるコストを低減することができる。
【0031】
昇降機構72は、シャッタ74を巻取りまたは繰出すことによりシャッタ74を上下方向に移動させる、巻取式の昇降機構である。昇降機構72は、シャッタ74を巻取りまたは繰出すモータなどを備えている。昇降機構72を備えることにより、位置合わせ時以外のように、ミラー75が不要な場合には、シャッタ74を上方向に移動させることが可能であるため、洗車または車両Xの通過を邪魔しない。また、昇降機構72が巻取式であることにより、シャッタ74を筐体内にコンパクトに収容することができる。すなわち、コンパクトな車両進入補助装置7を実現することができる。
【0032】
制御部71は、車両進入補助装置7を制御する。制御部71は、例えば、CPU等のプロセッサで構成され、メモリに格納された制御プログラムがプロセッサ上で実行されることにより、各制御が実現される。制御部71は、例えば、昇降機構72を制御することにより、シャッタ74を昇降させ、上下方向の位置を調整する。換言すると、制御部71は、昇降機構72を制御することにより、シャッタ74の、上下方向への移動度を制御する。
【0033】
<各種センサ>
さらに本実施形態に係る車両進入補助装置7は、図1および図2に示すように、進入位置検出センサ81および車高センサ82を備える。進入位置検出センサ81および車高センサ82は、例えば、車両進入補助装置7の制御部71によって制御され得る。
【0034】
進入位置検出センサ81は、車両Xの進入位置を検出するセンサである。進入位置検出センサ81は、例えば、発光部と受光部を車幅方向に対向させて光軸を形成し、その光軸の透光/遮光によって車体の有無を検出する複数の光電センサであってよい。当該複数の光電センサは、図1に示すように、例えば、洗車機本体4の両側のフレーム8から前方向に突出するように設けられたブラケット80によって支持されており、車両Xの進入方向に配列されている。あるいは、進入位置検出センサ81は、例えば洗車場の地面Gにおいて、リモートパネル6と洗車機本体4との間に設けられる複数のセンサから構成されていてもよい。進入位置検出センサ81が洗車場の地面Gに設けられる場合、進入位置検出センサ81に防爆処理をする必要がある。
【0035】
制御部71は、複数のセンサから取得する情報に基づいて、車両Xが規定の停車位置Pに到達したと判定することができる。制御部71は、通信部71Aを介して、進入位置検出センサ81から、進入位置情報を受信することができる。進入位置情報は、車両Xの進入位置に関する情報であり、例えば洗車機本体4と車両Xとの距離を示してもよい。
【0036】
進入位置検出センサ81は、洗車機2の洗車制御部44と通信可能に構成されていてもよい。洗車制御部44は、複数のセンサのうちのあるセンサによって車両Xの存在が検出できない場合に、車両Xが規定の停車位置Pよりも進行方向DAの後方側に位置すると判断し、車両Xを前進させるようにユーザに対し案内を行ってもよい。または、洗車制御部44は、ある他のセンサによって車両Xの存在が検出された場合に、車両Xが規定の停車位置を進行方向DAの前方側に行き過ぎたと判断し、車両Xを後退させるようにユーザに対し案内を行ってもよい。
【0037】
車高センサ82は、車両Xの車高を検出するセンサである。車高センサ82は、例えば、リモートパネル6の前面側に取り付けられる、上下方向に整列した複数の光電センサを含むエリアセンサであってもよい。あるいは、リモートパネル6の手前に、所定の車高よりも高い車両Xの進入を防ぐための車高ゲートが設置されている場合、車高センサ82は、当該車高ゲートの上側から下向きに取り付けられる超音波センサであってもよい。この場合、超音波センサと車両Xの車体面との距離を測定することにより、車高を測定することができる。車高センサ82の位置はリモートパネル6の近傍に限定されず、例えば、リモートパネル6の前側における洗車場内の地面Gに独立して設けられていてもよい。車高センサ82は、車両Xの車高に関する情報である車高情報を取得する。制御部71は、リモートパネル6を介して洗車が受付けられたことを示す情報を洗車制御部44から受信すると、車高センサ82に車高情報を取得させてもよい。制御部71は、通信部71Aを介して車高センサ82が取得した車高情報を受信し得る。
【0038】
<車両進入補助装置の制御>
図3は、洗車機2の概略正面図である。図3の符号301に示す図は、車両進入補助装置7の第1状態を示す図である。図3の符号302に示す図は、車両進入補助装置7の第2状態を示す図である。図4は、車両進入補助装置7による、車両進入補助動作について、制御部71の制御例を示すフローチャートである。
【0039】
車両進入補助装置7の第1状態とは、シャッタ74によって洗車機本体4の出口開口部の一部または全部を閉鎖している状態(閉鎖状態)であり、ミラー75が車両Xの進行方向前方に位置している状態を意味する。第1状態において、シャッタ74は、洗車機本体4の出口開口部の少なくとも一部を覆っている。当該「閉鎖状態」において、シャッタ74は、洗車機本体4の出口開口部の少なくとも一部を覆っていればよく、出口開口部全面を覆っていなくてもよい。車両進入補助装置7の第2状態とは、シャッタ74が巻き上げられ、洗車機本体4の出口開口部が開放されている状態である。
【0040】
(ステップS1)
車両Xの前に洗車を行っていた車両の洗車が完了し、洗車機2から当該車両が退出したことを示す情報を洗車機2の洗車制御部44から受信すると、車両進入補助装置7の制御部71は、昇降機構72を制御し、シャッタ74を下げる(ステップS1)。ステップS1を実行することにより、車両進入補助装置7は、第1状態となる。第1状態におけるシャッタ74の上下方向の位置は、シャッタ74を地面G近傍まで下げた位置であってもよい。あるいは、シャッタ74を、地面Gから所定の高さまで下げた位置であってもよい。
【0041】
図3の符号301で示される図のように、第1状態において、ミラー75は、車両Xを映すことができる。ドライバーは、シャッタ74に取り付けられているミラー75を用いて、例えば、車両Xのサイドミラーと、洗車機本体4との間隔を確認することにより、左右位置を調整することができる。
【0042】
制御部71がステップS1を実行するトリガは、上記例に限定されない。例えば、制御部71は、車両Xのユーザによってリモートパネル6の操作が開始されたことを示す情報を洗車制御部44から受信すると、ステップS1を実行してもよい。
【0043】
制御部71は、ステップS1において、車高センサ82から取得する車両Xの車高情報に基づいて、第1状態におけるシャッタ74の上下方向の位置を調整してもよい。より具体的には、制御部71は、車高センサ82から取得する車両Xの車高情報に基づいて、第1状態の初期位置を決定してもよい。制御部71は、車両Xの洗浄前に車両Xが所定の停車位置に至るまで進行している間、当該第1状態の初期位置を維持してもよい。すなわち、制御部71は、車両Xの洗浄前に車両Xが所定の停車位置に至るまで進行している間におけるシャッタ74の上下方向の位置を制御し得る。これにより、ミラー75の位置を車両Xの車高に応じた適切な位置に調整することができる。
【0044】
また、制御部71は、ステップS1において、車両Xの洗浄前に車両Xが所定の停車位置に至るまで進行している間にシャッタ74の上下方向の位置を変化させてもよい。具体的には、制御部71は、進入位置検出センサ81から取得した進入位置情報が示す洗車機本体4と車両Xとの距離に応じて、昇降機構72を制御し、第1状態におけるシャッタ74の上下方向の位置を調整してもよい。例えば、制御部71は、洗車機本体4と車両Xとの距離が近くなるにつれ、昇降機構72を制御してシャッタ74を上方に移動させてもよい。
【0045】
車両Xが洗車機本体に近づくにつれ、ドライバーが視認しているミラーの領域は徐々に上方向へと移動する。車両Xが停車位置に近づくにつれ、シャッタ74を徐々に上方向に移動させることにより、車両Xが停車位置に停車した後、シャッタ74を巻き取るための所要時間を短くすることができる。また、シャッタ74において、ミラー75が取り付けられている位置が限定されている場合には、車両Xと洗車機本体4との距離に応じて、ミラー75をドライバーにとって適切な位置に調整することができる。
【0046】
(ステップ2)
制御部71は、シャッタ74を第1状態まで下げた後、車両Xが停車位置Pに到達したか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、制御部71は、進入位置検出センサ81から受信する進入位置情報に基づいて、車両Xが停車位置Pに到達したか否かを判定する。
【0047】
制御部71は、車両Xが停車位置Pに至るまで進行している間は、第1状態が維持されるよう、昇降機構72を制御する。車両Xが停車位置Pに移動するまで、ミラー75が車両X前方に位置している状態が維持されているため、ドライバーは、左右の位置合わせを容易に行うことができる。
【0048】
(ステップ3)
制御部71が、車両Xが停車位置に到達したと判定すると(S2:YES)、制御部71は、昇降機構72を制御することによりシャッタ74を上げる。これにより、車両進入補助装置7は第2状態となる(ステップS3)。
【0049】
図3の符号302に示す図のように、洗車機本体4によって洗車が開始される前に車両進入補助装置7を第2状態とし、開口部を開放することにより、洗車動作の妨げになる可能性を低減することができる。
【0050】
制御部71は、ステップS3が完了すると一連の制御を終了する。
【0051】
なお、制御部71は、上述したステップS1~ステップS3の車両進入補助動作が終了すると、洗車機2の洗車制御部44に車両進入補助動作が終了したことを示す情報を送信してもよい。洗車制御部44は、当該情報を受信すると、各部を制御して、洗車を行ってもよい。
【0052】
洗車機2は、車両進入補助装置7を備えることにより、車両Xを洗車機本体4の幅方向において中央に位置させることが容易な洗車機2を実現することができる。
【0053】
(変形例1:車高情報の取得に関する変形例)
上記実施形態では、車高センサ82が取得する車高情報に基づいて第1状態の初期位置を決定する例について説明した。変形例1では、車高情報を、車両の使用者がリモートパネル6を介して入力する例について説明する。なお、使用者は、ドライバーを含む。
【0054】
車両の使用者は、リモートパネル6を介して、車両Xの車高情報を入力してもよい。
【0055】
図5は、図1に示す洗車機2が備える操作盤面式のリモートパネル6の一例を示す正面図である。
【0056】
例えば、リモートパネル6は、図5に示すように、支柱48に筐体46が上下動自在に装着された構成であってもよい。リモートパネル6は、支柱48に昇降装置(不図示)を内蔵しており、上昇釦62a、又は下降釦62bを押下して、下降端H0と上昇端H1との間を昇降自在な構成とされている。なお、上昇釦62aと下降釦62bとを総称した釦を、昇降釦62と称する。
【0057】
昇降釦62を押下すると、単純昇降で動作する場合とインチング昇降で動作する場合とがある。単純昇降は昇降釦を押下すれば下降端と上昇端との間を昇降する。即ち、単純昇降の場合には、昇降釦62を押下すると手を離しても、上昇端又は下降端までリモートパネル6が移動する。昇降釦62から手を離してもリモートパネル6の移動が上昇端又は下降端に達するまで継続する一方、微妙なリモートパネル6の高さの調整ができない。
【0058】
一方、インチング昇降は昇降釦62を押下している間のみ下降端と上昇端との間を昇降する。即ち、インチング昇降の場合には、昇降釦62を押下している間のみリモートパネル6が上下に移動する。そうするとリモートパネル6の微妙な高さの調整ができる。
【0059】
制御部71は、昇降釦62の押下によって調整されるリモートパネル6の高さHに基づく情報を車高情報として取得してもよい。
【0060】
なお、使用者による車高情報の入力例は、上述した昇降釦62の押下に基づく入力に限定されない。例えば、車高に関する段階的な選択肢を使用者が選択する態様であってもよい。
【0061】
制御部71は、使用者がリモートパネル6を介して入力する車両Xの車高情報に基づいて、車両Xの洗浄前に車両Xが所定の停車位置に至るまで進行している間におけるシャッタ74の上下方向の位置を制御する。これにより、ミラー75の位置を車両Xの車高に応じて適切な位置に調整することができる。
【0062】
(変形例2:面材の変形例)
上記実施形態では、洗車機本体4の出口開口部外側に設けられる面材がシャッタ74である例について説明したが、面材はシャッタに限定されない。例えば、面材は、ビニール製のカーテンであってもよい。面材がビニール製のカーテンである場合についても上記実施形態1と同様、カーテンの洗車機本体4内部側にミラー75が取り付けられる。ミラー75は、例えば、鏡面テープを用いてもよい。
【0063】
(変形例3:サイドブラシによるミラー75の洗浄)
洗車機本体4は、サイドブラシ16を備えている。洗車機2の洗車制御部44は、サイドブラシ16を制御することにより、サイドブラシ16にミラー75を洗浄させてもよい。
【0064】
サイドブラシ16は、支持機構(不図示)を介して、サイドブラシ16の上端が洗車機本体4に支持されており、前後方向に揺動可能である。また、サイドブラシ16は、サイドブラシ16の回転軸(例えば上下方向に沿う軸)を所定の揺動角度に保持し得る保持機構(不図示)を備えていてもよい。当該保持機構により、サイドブラシ16は、ミラー75を洗浄可能な姿勢(揺動角度)に保持され、ミラー75を洗浄することができる。
【0065】
なお、洗車機2に保持機構が設けられていない場合には、サイドブラシ16の位置を出口開口部近傍に配置させてもよい。
【0066】
サイドブラシ16によってミラー75を洗浄することにより、ドライバーによる視認性を向上させることができる。
【0067】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0068】
図6は、本開示の実施形態2に係る洗車機2Aの概略側面図である。図7は、本開示の実施形態2に係る車両進入補助装置7Aの概略正面図である。
【0069】
図6および7に示すように、洗車機2Aにおいて、車両進入補助装置7Aは、実施形態1と異なり、昇降機構72が洗車機本体4に取り付けられていない。昇降機構72は、地面Gに設置され、車両Xの通過が可能な枠体76に取り付けられている。これにより、車両進入補助装置7のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0070】
枠体76は、上下方向に立設されている一対のフレーム部76Aと、一対のフレーム部76Aの上部とを連結する天井部76Bと、を備えている。一対のフレーム部76Aおよび天井部76Bにより形成される空間は、正面視において矩形状であるが、車両Xの通過が可能であればこれに限られない。
【0071】
洗車機2Aにおいては、昇降機構72が枠体76に取り付けられている。そのため、制御部71は、車両Xが停車位置Pに到達したと判定した場合であっても(実施形態1のステップS2:YES)、昇降機構72を制御してシャッタ74を第1状態から第2状態まで移動させなくてもよい。制御部71は、車両Xの洗車が終了後に昇降機構72を制御してシャッタ74を第1状態から第2状態まで移動させてもよい。これにより、洗車を終えた車両Xが枠体76を通過することができる。
【0072】
〔付記事項〕
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
2、2A 洗車機
4 洗車機本体
44 洗車制御部
44A 通信部
6 リモートパネル
7、7A 車両進入補助装置
71 制御部
71A 通信部
72 昇降機構
73 案内レール
74 シャッタ(面材)
75 ミラー
76 枠体
81 進入位置検出センサ
82 車高センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7