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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
E04H1/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022104455
(22)【出願日】2022-06-29
(65)【公開番号】P2024004699
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-04-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和3年7月3日に、積水ハウス株式会社シャーウッドいわき展示場にて展示により公開。
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 裕也
(72)【発明者】
【氏名】本田 匠
(72)【発明者】
【氏名】上野 卓也
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-075429(JP,A)
【文献】特開2020-139280(JP,A)
【文献】特開2021-036092(JP,A)
【文献】特開2022-032258(JP,A)
【文献】特開2000-192628(JP,A)
【文献】特開2013-057172(JP,A)
【文献】特開2014-062419(JP,A)
【文献】特開2019-148100(JP,A)
【文献】特開2022-070729(JP,A)
【文献】特開2013-064234(JP,A)
【文献】特開2003-227237(JP,A)
【文献】大和ハウス工業株式会社,Good idea!仕事も趣味も自分らしくマルチに使えるテレワークスペース,[online],2022年01月16日,[2024年10月25日検索],インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20220116100235/https://www.daiwahouse.co.jp/tryie/and/vol87/goodidea.html>
【文献】株式会社ハンモック,【ダイワハウス】「家で働く」をサポートする、これからの住まい,[online],2021年04月01日,[2024年10月23日検索],インターネット<URL:https://ietatelu.jp/daiwahouse-01>
【文献】建築知識2020年12月号,株式会社エクスナレッジ,2020年12月01日,p.54-p.55
【文献】株式会社 札促社,テレワークでも役に立つ!階段下のワークスペース実例集,[online],2020年05月05日,[2024年10月25日検索],インターネット<URL:https://www.replan.ne.jp/articles/18273/>
【文献】カツデン株式会社,階段下の有効活用!在宅勤務時の集中できるワークスペースの作り方【事例集】,[online],2021年03月25日,[2024年10月25日検索],インターネット<URL:https://kdat.jp/blog/lifehack/0023/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1階層に位置しており、リビング空間、キッチン空間、およびダイニング空間を有するLDKと、
上記第1階層に位置するワークスペースと、
上記第1階層の上階である第2階層と上記第1階層とを繋いでおり、上記LDKから進入可能な階段と、を備えており、
上記キッチン空間と上記ワークスペースとは出入口で繋がっており、
上記階段は、上記リビング空間と上記ワークスペースとの間に位置しており、上記第1階層と上記第2階層との間に位置するスキップフロアを有しており、
上記ワークスペースは、上記スキップフロアより上方の上部空間と、上記スキップフロアより下方の下部空間とを有しており、
上記下部空間は、上記リビング空間および上記ダイニング空間に対して、上記階段および内壁によって視界が遮られており、
上記上部空間は、上記スキップフロアを通じて上記リビング空間および上記ダイニング空間と空間が連続する住宅。
【請求項2】
上記階段は、上記リビング空間から進入可能である請求項1に記載の住宅。
【請求項3】
上記ワークスペースの床面は、上記LDKの床面よりも低い請求項1または2に記載の住宅。
【請求項4】
上記ワークスペースは、上記第2階層の空間とを仕切る天井を有する請求項1または2に記載の住宅。
【請求項5】
上記第2階層に位置するホールをさらに備えており、
上記ホールは、上記スキップフロアの上方に位置する吹き抜けを通じて上記第1階層の上記ワークスペースと空間が繋がる請求項1に記載の住宅。
【請求項6】
上記スキップフロアは、上記ワークスペースの上部空間との間に位置する造作棚を有する請求項1に記載の住宅。
【請求項7】
上記造作棚は、上記スキップフロアおよび上記ワークスペースの上部空間の双方に開口する棚空間を有する請求項6に記載の住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面の高さが異なる部屋を有する住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、在宅勤務の普及によりワークスペースを備える住宅が増えてきている。例えば、特許文献1に開示される建物は、ワークスペースとして、廊下およびウォークインクローゼットに繋がるライブラリーを備えている。ライブラリーは、上方が吹き抜け部になっており吹き抜け部と空間が繋がる居間が上階に位置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-96679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された建物では、ライブラリーが廊下を介して和室と向かい合っているので、和室に出入りする住人の視線がライブラリー内に向けられることがあり得る。また、吹き抜け部を通して上階の居間からライブラリーを見下ろすことが容易である。このため、住人がライブラリー内の書類や情報端末機器の画面が不意に見えることがあり得る。また、ライブラリーにて作業する住人の視界に、和室に出入りする住人や和室に居る住人の動きが目に入ったり、住人の動きに伴う音が聞こえたりして、ライブラリーで作業をする住人の集中を妨げるおそれがある。
【0005】
また、ライブラリーと繋がる廊下は、他の居室と繋がっているので、住人は居室とライブラリーとを行き来することが想定されており、居室やキッチンとライブラリーとを行き来するには階段を昇降する必要がある。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、住宅のLDKと空間が繋がりつつ、音や視界を極力遮ったワークスペースを備えた住宅を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 請求項1に係る住宅は、第1階層に位置するLDKと、上記第1階層に位置するワークスペースと、上記第1階層の上階である第2階層と上記第1階層とを繋いでおり、上記LDKから進入可能な階段と、を備えており、上記LDKと上記ワークスペースとは、上記階段を挟んで相対する位置にあり、上記ワークスペースの上部空間と上記階段とは空間が連続している。
【0008】
ワークスペースの上部空間とLDKから進入可能な第1階段とが空間で連続しているが、階段がLDKとワークスペースの間に位置することで音や視界を極力遮ることができるため、ワークスペースの住人は周りを気にせず作業に集中できる。これにより、他の部屋と空間が繋がりつつ、音や視界が極力遮られたワークスペースが実現できる。
【0009】
(2) 請求項2は、上記LDKのうちリビング空間と上記ワークスペースとが、上記階段を挟んで相対する位置にあり、上記階段は、上記リビング空間から進入可能であり、上記LDKのうちキッチン空間から上記ワークスペースに進入可能である請求項1に記載の住宅。
【0010】
キッチン空間に居る住人が短い動線でワークスペースに進入できるため、昼間自宅においてテレワークをしながら家事を行う場合に効率よく作業できる。また、リビング空間からワークスペースへの動線が長くなり、ワークスペースに向く視線が階段によって遮られるため、キッチン空間で家事をしながらワークスペースで作業をする者は、夜間仕事から帰宅した者がリビング空間に居るときであっても、集中して作業できる。
【0011】
(3) 請求項3は、上記ワークスペースの床面は、上記LDKの床面よりも低い請求項1または2に記載の住宅。
【0012】
ワークスペースとLDKの住人同士の目線がずれるため、ワークスペースの住人はLDKの住人を気にすることなく集中して作業ができる。
【0013】
(4) 請求項4は、上記ワークスペースは、上記第2階層の空間とを仕切る天井を有する請求項1から3のいずれかに記載の住宅。
【0014】
空間的、視覚的にワークスペースの上方が遮られるため、ワークスペースに居る住人は集中して作業を行うことができる。
【0015】
(5) 請求項5は、上記階段は、上記第1階層と上記第2階層との間に位置するスキップフロアを有しており、上記ワークスペースの上部空間と上記スキップフロアとは、空間が連続しており、上記ワークスペースの下部空間の一部は、上記スキップフロアの下方に位置する請求項1から4のいずれかに記載の住宅。
【0016】
ワークスペースに居る住人は、上部空間がスキップフロアと繋がる位置において、LDKやスキップフロアとの空間的繋がりを感じながら作業することができ、また、スキップフロアの下方に位置する下部空間の一部において、より音や視界が遮られた環境に移動することもできる。
【0017】
(6) 請求項6は、上記第2階層に位置するホールをさらに備えており、上記ホールは、上記スキップフロアの上方に位置する吹き抜けを通じて上記第1階層の上記ワークスペースと空間が繋がる請求項5に記載の住宅。
【0018】
第1階層のワークスペースに居る住人と第2階層のホールに居る住人とが互いに気配を感じることができる。
【0019】
(7) 請求項7は、上記スキップフロアは、上記ワークスペースの上部空間との間に位置する造作棚を有する請求項5または6に記載の住宅。
【0020】
造作棚の存在によってスキップフロアからワークスペースにいる住人の手元が見えにくくなるため、ワークスペースにおいて作業する住人の書類や情報端末機器の画面が他の住人の目に触れるのを抑制できる。
【0021】
(8) 請求項8は、上記造作棚は、上記スキップフロアおよび上記ワークスペースの上部空間の双方に開口する棚空間を有する請求項7に記載の住宅。
【0022】
造作棚のスキップフロアおよびワークスペースの双方に開口する部分を利用して双方の住人が収納スペースとして使用することができ、また、開口していない部分を適所に配置して住人同士の視線を遮ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、他の部屋と空間が繋がりつつ、音や視界を極力遮ったワークスペースが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本実施形態にかかる住宅10における1階11の平面間取り図である。
図2図2は、1階11のLDK17およびワークスペース19を拡大して示す平面間取り図である。
図3図3は、本実施形態にかかる住宅10における2階12の平面間取り図である。
図4図4は、図1に示すIV-IV断面を概略で示す断面図である。
図5図5は、キッチン空間41から視たワークスペース19を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0026】
以下では、住宅10の奥から玄関15へ向かう方向を前方とし、その逆向きを後方とし、前方と後方とを合せて前後方向1とする。また、リビング空間40から玄関ホール28へ向かう方向を左方とし、その逆向き右方とし、左方と右方とを合わせた方向を左右方向2とする。ワークスペース19の床面78から上部空間80の天井79に向かう方向を上方とし、その逆向きを下方とし、前後方向1及び左右方向2に直交する方向を上下方向3(図4参照)とする。
【0027】
住宅10は、一戸建ての建物であり、1階(第1階層の一例)11と、2階(第2階層の一例)12と、1階11および2階12の間に位置する中2階13とを有している。
【0028】
図1に示されるように、住宅10の1階11は、玄関15と、和室16と、LDK17と、第1階段(階段の一例)18と、ワークスペース19とを備えている。
【0029】
玄関15は、住宅10の左右方向2における左側において前後方向1における前側から後ろ寄りに亘って位置しており、左方の外壁22に面している。
【0030】
玄関15には、土足で移動可能な概ね前後方向1に延びる土間26が位置している。土間26は、前後方向1における後寄りの位置において第1廊下27と繋がっており、前後方向1における前寄りの位置において玄関ホール28と繋がっている。玄関ホール28は、LDK17と第1廊下27と繋がっている。土間26の前後方向1における前方には、住宅10の敷地と接する道路へと繋がるポーチ29が位置している。
【0031】
第1廊下27は、後方には和室16が位置しており、前方にはLDK17が位置している。第1廊下27の右方には収納30が位置している。第1廊下27の左右方向2における左側には、後方において帰宅した住人が手洗いする第1洗面台31が位置しており、前方において靴を収納するシューズクローク32が位置している。第1廊下27には、土間26から、或いは玄関ホール28から進入可能である。
【0032】
和室16は、玄関15の後方に位置しており、住宅10の左方の外壁22および後方の外壁24に面している。和室16は、引き戸35によってLDK17から隔絶される空間である。和室16には、テーブル36と、収納棚37とが配置されている。
【0033】
図1図2に示されるように、LDK17は、リビング空間40と、キッチン空間41と、ダイニング空間42と、を有している。LDK17は、玄関ホール28の左右方向2における右方に位置する。LDK17は、住宅10内において最も広い部屋である。LDK17は、床面43の高さが、玄関ホール28と同じであり(図4参照)、第1廊下27、和室16とも同じである。
【0034】
リビング空間40は、玄関ホール28の左右方向2における右方に位置している。リビング空間40には、テーブル45と、平面視L字状のイス46と、テレビ47と、収納棚48とが配置されている。リビング空間40は、前後方向1の前側において開口49を隔てて第1デッキ50と繋がっている。第1デッキ50は、ポーチ29の右方に位置している。第1デッキ50には、テーブル51と、2つのイス52とが配置されている。
【0035】
ダイニング空間42は、リビング空間40の後側において左右方向2の右方に位置している。ダイニング空間42の左右方向2における左方には、第1階段18が位置する。ダイニング空間42には、左右方向2に長いテーブル54と、テーブル54を囲む複数のイス55とが配置されている。ダイニング空間42は、前後方向1の前側において開口を隔ててテラス56と繋がっている。テラス56は、開口57を隔ててダイニング空間42の前方に位置している。テラス56には、テーブル58と、2つのイス59とが配置されている。
【0036】
キッチン空間41は、コンロ、シンクを有するシステムキッチン60が設置された空間である。キッチン空間41は、リビング空間40の前後方向1における前方に位置している。システムキッチン60は、キッチン空間41の前後方向1における前側に位置している。キッチン空間41は、パントリー61と、冷蔵庫62と、空調機器63と、を有している。パントリー61は、キッチン空間41の前後方向1における後側に位置している。冷蔵庫62は、システムキッチン60の右方に位置している。空調機器63は、冷蔵庫62の後方に位置している。空調機器63の下方には収納(図示省略)が位置している。キッチン空間41は、前後方向1の後側において開口64を隔てて第2デッキ65と繋がっている。第2デッキ65は、キッチン空間41の後方に位置する。
【0037】
第1階段18は、リビング空間40の前後方向1における後方に位置しており、リビング空間40から進入可能である。第1階段18は7段の階段である。第1階段18の左右方向2の寸法は、ワークスペース19の左右方向2の寸法の半分よりも長い。リビング空間40の後方に位置する第1階段18によって、リビング空間40とスキップフロア70とを行き来可能な前後方向1に沿う第1動線L1(図2参照)が形成されている。
【0038】
図3および図4に示されるように、住宅10の中2階13には、リビング空間40から第1階段18で繋がるスキップフロア70が設けられている。スキップフロア70は、床面69の高さが、概ねLDK17に居る人が座ったときの目線の高さと同じであり、具体的には、スキップフロア70の床面69は、LDK17の床面43より1400mm高い。スキップフロア70の上方は、1階11の天井および2階12の床が設けられていない吹き抜け71になっている。スキップフロア70は、2階12に繋がる第2階段72と繋がっている。第2階段72は、吹き抜け71の左右方向2における左側に位置しており、空間が連続している。第2階段72は前後方向1に沿って延びている。第2階段72は6段の階段である。第2階段72は、第1階段18の前後方向1の寸法よりも長く左右方向2の寸法よりも短い。
【0039】
図3図4および図5に示されるように、スキップフロア70には造作棚73が配置されている。造作棚73は、スキップフロア70とワークスペース19の上部に位置する上部空間80との間に位置する(図4参照)。より具体的には、造作棚73は、スキップフロア70の前後方向1における前側に位置する。造作棚73は、第2階段72の右方からスキップフロア70の右側に渡って左右方向2に沿って延びている。造作棚73の高さは、スキップフロア70の床面69から1500mm程度である。
【0040】
造作棚73は、上下方向3に4段、左右方向2に3列で構成される(図5参照)。造作棚73は、スキップフロア70および上部空間80のうちスキップフロア70側にのみ開口する第1棚空間74と、スキップフロア70および上部空間80のうち上部空間80側にのみ開口する第2棚空間75と、スキップフロア70側および上部空間80側の両方、すなわち前後方向1に開口する第3棚空間(棚空間の一例)76とを有している。第1棚空間74は、造作棚73をスキップフロア70から視たときの最上段の左右、上から2段目の中央、上から3段目の左右、および最下段の中央に位置している。第2棚空間75は、造作棚73の概ね下側に位置する。具体的には、第2棚空間75は、造作棚73をスキップフロア70から視たときの上から3段目の中央、および最下段の左右に位置している。第3棚空間76は、造作棚73の概ね上側に位置する。具体的には、第3棚空間76は、造作棚73をスキップフロア70から視たときの最上段の中央、および上から2段目の左右に位置している。
【0041】
図1および図2に示されるように、ワークスペース19は、住宅10の前後方向1における後側且つ左右方向2における中央に位置しており、後方の外壁24に面している。ワークスペース19は、キッチン空間41の左右方向2における左方に位置している。ワークスペース19は、玄関15、LDK17、およびスキップフロア70と空間が繋がっている(図1および図4参照)。ワークスペース19は、キッチン空間41に隣接しており、出入口82を隔ててワークスペース19と空間が繋がっている。また、ワークスペース19は、出入口82付近において段差77を有している(図2および図5参照)。段差77は2段である。具体的には、ワークスペース19は、床面78の高さがLDK17の床面43よりも低く、300mm程度低い(図4参照)。また、図2に示されるように、ワークスペース19は、キッチン空間41と左右方向2に延びる短い第2動線L2で繋がっており、キッチン空間41に居る住人が第2動線L2に沿ってワークスペース19に進入可能である。
【0042】
ワークスペース19は、第1階段18を挟んでリビング空間40に相対している。リビング空間40に居る住人は、リビング空間40からダイニング空間42およびキッチン空間41を通る第3動線L3に沿ってワークスペース19に進入可能である。図4および図5に示されるように、ワークスペース19は、2階12の空間とを仕切る天井79を有している。天井79は、後述する第2廊下102の下方に位置する。
【0043】
ワークスペース19は、上部空間80と、下部空間81とに区分される。上部空間80は、ワークスペース19の上側の空間である。上部空間80は、吹き抜け71と空間が連続している。上部空間80は、上方が天井79に面している。下部空間81は、上部空間80の下方に位置する下部第1空間83、およびスキップフロア70の下方の下部第2空間(下部空間81の一部の一例)84である。下部第1空間83においてワークスペース19の床面78から天井79までの高さは、3500mm程度である。下部第1空間83には、デスク86がワークスペース19の後側の内壁に固定されている。下部第2空間84においてワークスペース19の床面78からスキップフロア70の下方に位置する天井90までの高さは、1500mm程度である。下部第2空間84には、ワークスペース19の右側の内壁に収納棚92が設置されている。
【0044】
図5に示されるように、デスク86は、左右方向2の寸法が造作棚73と同じ程度である。デスク86は、住人がワークスペース19の床面78に座ったときの胸付近の高さであり、ワークスペース19の後側の内壁に位置する窓89よりも下方に位置する。具体的には、デスク86は、ワークスペース19の床面78から500mm程度の高さである。デスク86には情報端末機器85などが配置されている。デスク86の周辺には、デスク86に対向してイス87が配置されている。ワークスペース19の前側における左右方向2の左側には、収納空間88が位置している。
【0045】
図3に示されるように、2階12の各部屋は、住宅10の後側に位置している。2階12には、住宅10の後方において左右方向2における中央から右方に延び、前方に屈曲して前後方向1の後ろ寄りの位置まで延びる第1ベランダ100と、住宅10の前方において左右方向2に延び、右端において前方に屈曲して前後方向1の中央位置まで延びる第2ベランダ101とを備えている。2階12は、第2廊下102と、子供部屋103と、セカンドリビング(ホールの一例)104と、第3廊下105と、寝室106と、洗面脱衣室107と、浴室108とを備えている。
【0046】
第2廊下102は、第2階段72と繋がっており、2階12の後側の左右方向2における中央において左右方向2に延び、右端において前方に屈曲し前後方向1の中央まで延びている。第2廊下102は、左右方向2に延びる右端において、引き戸110を隔てて子供部屋103につながっている。第2廊下102の床面109は、スキップフロア70の床面69より2100mm高い。第2廊下102は、前後方向1における前側においてセカンドリビング104に繋がっている。第2廊下102の左右方向2における左側は、第3廊下105に繋がっている。第2廊下102は、吹き抜け71の前後方向1における後側と空間が繋がっている。
【0047】
子供部屋103は、右方の外壁23および後方の外壁24に面している。子供部屋103は、吹き抜け71およびセカンドリビング104と内壁111によって空間が隔絶されている。子供部屋103には、デスク112と、イス113と、ベッド114とが配置されている。
【0048】
セカンドリビング104は、子供部屋103の前方に位置している。セカンドリビング104は、前側が左右方向2における左方に延びている。セカンドリビング104は左方が洗面脱衣室107に繋がっている。セカンドリビング104は、吹き抜け71の前後方向1における前側と空間が繋がっている。より具体的には、セカンドリビング104は、吹き抜け71を通じて1階11と空間が繋がっており(図3および図4参照)、造作棚73によってワークスペース19への視界が遮られる。セカンドリビング104には、テーブル116と、左右方向2に長いイス117とが配置されている。セカンドリビング104は、前後方向1の前側において開口118を隔てて第2ベランダ101と繋がっている。セカンドリビング104のイス117は、開口118に対向して配置されている。
【0049】
第3廊下105は、前後方向1における後側の左右方向2における左寄りに位置しており、後方の外壁24に面している。第3廊下105は、第2廊下102の左方から前後方向1における中央まで延びている。第3廊下105は、左方が開き戸127を隔てて寝室106と繋がっており、下方が洗面脱衣室107と繋がっている。第3廊下には、右方に収納スペース123が位置している。
【0050】
寝室106は、後方の外壁24と左方の外壁22に面している。寝室106は、吹き抜け71から内壁126および開き戸127によって隔絶された空間である。寝室106には、2つのベッド128が配置されている。
【0051】
洗面脱衣室107は、第2洗面台130が設置された空間であり、収納棚131が配置されている。洗面脱衣室107は、内壁132を挟んで吹き抜け71の左方に位置している。洗面脱衣室107は、前後方向1の前側において開口133を隔てて第2ベランダ101と繋がっている。
【0052】
浴室108は、浴槽135が設置された空間である。浴室108は、寝室106の前方に位置している。浴室108は、洗面脱衣室107と開き戸136を隔てて繋がっている。
【0053】
[実施形態の作用効果]
ワークスペース19の上部空間80とLDK17から進入可能な第1階段18は空間として連続しているが、第1階段18がLDK17とワークスペース19との間に位置することで、ワークスペース19への音や視界を極力遮ることができる。このため、ワークスペース19に居る住人は周りを気にせず作業に集中できる。これにより、他の部屋と空間が繋がりつつ、音や視界が極力遮られたワークスペース19が実現できる。
【0054】
本実施形態では、キッチン空間41に居る住人が短い第2動線L2でワークスペース19に進入できるため、昼間自宅においてテレワークをしながら家事を行う場合に効率よく作業できる。また、リビング空間40からワークスペース19への移動の第3動線L3が第1階段18によって長くなり、リビング空間40からワークスペース19に向く視線は第1階段18によって遮られるため、キッチン空間41で家事をしながらワークスペース19で作業をする者は、夜間仕事から帰宅した者がリビング空間40に居るときであっても、集中して作業できる。
【0055】
本実施形態では、ワークスペース19に居る住人とLDK17に居る住人の目線がずれる。このため、ワークスペース19の住人はLDK17の住人を気にすることなく集中して作業ができる。
【0056】
本実施形態では、ワークスペース19に居る住人は、天井79によって空間的、視覚的にワークスペース19の上方が遮られるため、集中して作業を行うことができる。
【0057】
本実施形態では、ワークスペース19に居る住人は、上部空間80がスキップフロア70と繋がる下部第1空間83に居ながらLDK17やスキップフロア70との空間的繋がりを感じながら作業することができ、また、下部第2空間84において、より音や視界が遮られる環境に移動することもできる。
【0058】
本実施形態では、1階11のワークスペース19に居る住人と2階12のセカンドリビング104に居る住人とが吹き抜け71を通じて互いに気配を感じることができる。
【0059】
本実施形態では、造作棚73がスキップフロア70とワークスペース19の上部空間80との間に配置されることによってワークスペース19にいる住人の手元がスキップフロア70から見えにくくなる。このため、ワークスペース19において作業する住人の書類や情報端末機器85の画面が他の住人の目に触れるのを抑制できる。
【0060】
本実施形態では、造作棚73のスキップフロア70およびワークスペース19の双方に開口する第3棚空間76を、スキップフロア70およびワークスペース19の双方の住人が収納スペースとして使用することができる。また、開口していない部分を適所に配置してワークスペース19に居る住人への視線を遮ることができる。
【0061】
[変形例]
上述の実施形態においては、住宅10が2階建ての建物である場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。住宅10の階層数は特に限定されない。
【0062】
上述の実施形態においては、第1廊下27の左右方向2における左側には、前方において靴等を収納するシューズクローク32が位置している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。シューズクローク32は、靴等以外の上着や傘なども収納する収納スペースであってもよい。
【0063】
[請求項1]
第1階層に位置するLDKと、
上記第1階層に位置するワークスペースと、
上記第1階層の上階である第2階層と上記第1階層とを繋いでおり、上記LDKから進入可能な階段と、を備えており、
上記LDKと上記ワークスペースとは、上記階段を挟んで相対する位置にあり、
上記ワークスペースの上部空間と上記階段とは空間が連続している住宅。
【0064】
[請求項2]
上記LDKのうちリビング空間と上記ワークスペースとが、上記階段を挟んで相対する位置にあり、
上記階段は、上記リビング空間から進入可能であり、
上記LDKのうちキッチン空間から上記ワークスペースに進入可能である請求項1に記載の住宅。
【0065】
[請求項3]
上記ワークスペースの床面は、上記LDKの床面よりも低い請求項1または2に記載の住宅。
【0066】
[請求項4]
上記ワークスペースは、上記第2階層の空間とを仕切る天井を有する請求項1または2に記載の住宅。
【0067】
[請求項5]
上記階段は、上記第1階層と上記第2階層との間に位置するスキップフロアを有しており、
上記ワークスペースの上部空間と上記スキップフロアとは、空間が連続しており、
上記ワークスペースの下部空間の一部は、上記スキップフロアの下方に位置する請求項1または2に記載の住宅。
【0068】
[請求項6]
第2階層に位置するホールをさらに備えており、
上記ホールは、上記スキップフロアの上方に位置する吹き抜けを通じて上記第1階層の上記ワークスペースと空間が繋がる請求項5に記載の住宅。
【0069】
[請求項7]
上記スキップフロアは、上記ワークスペースの上部空間との間に位置する造作棚を有する請求項5に記載の住宅。
【0070】
[請求項8]
上記造作棚は、上記スキップフロアおよび上記ワークスペースの上部空間の双方に開口する棚空間を有する請求項7に記載の住宅。
【符号の説明】
【0071】
10・・・住宅
11・・・1階(第1階層)
12・・・2階(第2階層)
17・・・LDK
18・・・第1階段(階段)
19・・・ワークスペース
40・・・リビング空間
41・・・キッチン空間
43・・・LDKの床面
70・・・スキップフロア
71・・・吹き抜け
73・・・造作棚
76・・・第3棚空間(棚空間)
78・・・ワークスペースの床面
79・・・天井
80・・・上部空間
84・・・下部第2空間(下部空間の一部)
104・・・セカンドリビング(ホール)
図1
図2
図3
図4
図5