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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】シールドフラットケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/08 20060101AFI20241210BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20241210BHJP
   H01B 7/02 20060101ALI20241210BHJP
   H01B 7/18 20060101ALI20241210BHJP
   H01B 7/295 20060101ALI20241210BHJP
【FI】
H01B7/08
H01B7/00 306
H01B7/02 C
H01B7/18 D
H01B7/295
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022532946
(86)(22)【出願日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 JP2020025976
(87)【国際公開番号】W WO2022003895
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小島 千明
(72)【発明者】
【氏名】森 裕紀
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/159489(WO,A1)
【文献】特開2010-165559(JP,A)
【文献】特開2010-165561(JP,A)
【文献】特開2009-238722(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/08
H01B 7/08
H01B 7/00
H01B 7/02
H01B 7/18
H01B 7/295
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、
前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤と、前記接着剤の外面を覆うシールド層と、を有する接着剤付きシールド層と、
前記接着剤付きシールド層の外面を覆う一対の難燃性の樹脂フィルムと、
を有し、
前記一対の樹脂フィルムは、互いに貼り合わされた第1貼り合わせ部及び第2貼り合わせ部を有し、
前記シールド層の外周面は、
前記第1貼り合わせ部が接する第1平面と、
前記第2貼り合わせ部が接する第2平面と、
を有し、
前記接着剤は、前記樹脂絶縁層と前記シールド層との間に設けられ、前記樹脂絶縁層の外面に接触するように配置され、前記樹脂絶縁層と前記シールド層とを接着し、
前記接着剤付きシールド層は、前記樹脂絶縁層の外面を連続して包囲し、前記接着剤同士が貼り合わされた第3貼り合わせ部を有するシールドフラットケーブル。
【請求項2】
前記第3貼り合わせ部の末端は、前記第1貼り合わせ部及び前記第2貼り合わせ部から離間している請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項3】
前記第3貼り合わせ部は、
前記複数の導体が並列する第2方向における前記樹脂絶縁層の一方の端部の側方から前記第1面に垂直な第1方向に延びる第1部分と、
前記第1部分につながり、前記第2方向で前記樹脂絶縁層の他方の端部に向かって延びる第2部分と、
を有する請求項1または請求項2に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項4】
前記第3貼り合わせ部の末端は、前記第1方向で前記樹脂絶縁層と重なる位置にある請求項3に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項5】
前記第3貼り合わせ部は、前記複数の導体が並列する第2方向における前記樹脂絶縁層の一方の端部の側方で巻き締められた巻き締め部を有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項6】
前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の上下面をそれぞれ覆う一対の前記シールド層であり、
前記第3貼り合わせ部において、一方の前記シールド層の前記接着剤と、他方の前記シールド層の前記接着剤とが貼り合わされている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項7】
第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、
前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤と、前記接着剤の外面を覆うシールド層と、を有する接着剤付きシールド層と、
前記接着剤付きシールド層の外面を覆う一対の難燃性の樹脂フィルムと、
を有し、
前記一対の樹脂フィルムは、互いに貼り合わされた第1貼り合わせ部及び第2貼り合わせ部を有し、
前記シールド層の外周面は、
前記第1貼り合わせ部が接する第1平面と、
前記第2貼り合わせ部が接する第2平面と、
を有し、
前記接着剤は、前記樹脂絶縁層と前記シールド層との間に設けられ、前記樹脂絶縁層と前記シールド層とを接着し、
前記接着剤付きシールド層は、
前記樹脂絶縁層の外面を連続して包囲し、
前記樹脂絶縁層の前記第1面に平行な一方の面を覆い、前記第1平面に達する第3部分と、
前記樹脂絶縁層の前記一方の面を前記第3部分の上から覆う第4部分と、
を有し、
前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の上下面をそれぞれ覆う一対の前記シールド層であり、
前記第3部分は、一方の前記シールド層に含まれ、
前記第4部分は、他方の前記シールド層に含まれるシールドフラットケーブル。
【請求項8】
前記複数の導体が並列する第2方向において、前記第1貼り合わせ部と前記第2貼り合わせ部との間に、前記シールド層が配置されている請求項1から請求項のいずれか1項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項9】
第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、
前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、
接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層と、
を有し、
前記接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層は、
前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤と、シールド層と、を有する接着剤付きシールド層と、
難燃性の樹脂フィルムと、
を有し、
前記シールド層は、第2面と、前記第2面とは反対側の第3面とを備え、
前記接着剤は、前記第2面の上に設けられ、
前記樹脂フィルムは、前記第3面の上に設けられ、
前記接着剤が前記樹脂フィルムよりも前記樹脂絶縁層側に配置され、
前記接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層は、
前記樹脂絶縁層の前記第1面に平行な一方の面の少なくとも一部を覆う第5部分と、
前記樹脂絶縁層の前記一方の面を前記第5部分の上から覆う第6部分と、
を有するシールドフラットケーブル。
【請求項10】
前記第5部分は、前記複数の導体が並列する第2方向における前記樹脂絶縁層の一方の端部に達する請求項に記載のシールドフラットケーブル。
【請求項11】
前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の上下面をそれぞれ覆う一対の前記シールド層であり、
前記第5部分は、一方の前記シールド層に含まれ、
前記第6部分は、他方の前記シールド層に含まれる請求項または請求項1に記載のシールドフラットケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シールドフラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数本の並列された導体を配し、その上下から樹脂絶縁フィルムを貼り合わせ、少なくとも一方のケーブル端に電気コネクタと接続される接続端末を備えたフラットケーブルを開示している。樹脂絶縁フィルム上には、シールド用の金属箔フィルムが、その金属面が外側になるように配され、該金属箔フィルムは、グランド接続するグランド接続部を除いて保護樹脂フィルムにより覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特開2011-198687号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示のシールドフラットケーブルは、第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤を有するシールド層と、前記シールド層の外面を覆う一対の難燃性の樹脂フィルムと、を有し、前記一対の樹脂フィルムは、互いに貼り合わされた第1貼り合わせ部及び第2貼り合わせ部を有し、前記シールド層の外周面は、前記第1貼り合わせ部が接する第1平面と、前記第2貼り合わせ部が接する第2平面と、を有し、前記シールド層は、前記接着剤同士が貼り合わされた第3貼り合わせ部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、第1実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図2図2は、第2実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図3図3は、第3実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図4図4は、第4実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図5図5は、第5実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図6図6は、第6実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図7図7は、第7実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図8図8は、第8実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
図9図9は、空洞が形成された第4実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[本開示が解決しようとする課題]
高周波信号の伝送に用いられるシールドフラットケーブルの難燃性の向上が求められている。
【0007】
[本開示の効果]
本開示によれば、シールドフラットケーブルの難燃性を向上できる。
【0008】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一または対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0010】
〔1〕 本開示の一態様に係るシールドフラットケーブルは、第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤を有するシールド層と、前記シールド層の外面を覆う一対の難燃性の樹脂フィルムと、を有し、前記一対の樹脂フィルムは、互いに貼り合わされた第1貼り合わせ部及び第2貼り合わせ部を有し、前記シールド層の外周面は、前記第1貼り合わせ部が接する第1平面と、前記第2貼り合わせ部が接する第2平面と、を有し、前記シールド層は、前記接着剤同士が貼り合わされた第3貼り合わせ部を有する。
【0011】
本開示の一態様に係るシールドフラットケーブルでは、炎が第1貼り合わせ部、第2貼り合わせ部に侵入するおそれがあるが、第1貼り合わせ部に第1平面が接し、第2貼り合わせ部に第2平面が接しているため、炎が侵入したとしても、シールド層の閉塞状態が維持される。従って、樹脂絶縁層はシールド層により保護され、優れた難燃性が得られる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記第3貼り合わせ部の末端は、前記第1貼り合わせ部及び前記第2貼り合わせ部から離間していてもよい。この場合、より優れた難燃性が得られる。
【0013】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記第3貼り合わせ部は、前記複数の導体が並列する第2方向における前記樹脂絶縁層の一方の端部の側方から前記第1面に垂直な第1方向に延びる第1部分と、前記第1部分につながり、前記第2方向で前記樹脂絶縁層の他方の端部に向かって延びる第2部分と、を有してもよい。この場合、より優れた難燃性が得られる。
【0014】
〔4〕 〔3〕において、前記第3貼り合わせ部の末端は、前記第1方向で前記樹脂絶縁層と重なる位置にあってもよい。この場合、より優れた難燃性が得られる。
【0015】
〔5〕 〔1〕~〔4〕において、前記第3貼り合わせ部は、前記複数の導体が並列する第2方向における前記樹脂絶縁層の一方の端部の側方で巻き締められた巻き締め部を有してもよい。この場合、より優れた難燃性が得られる。
【0016】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の上下面をそれぞれ覆う一対の前記シールド層であり、前記第3貼り合わせ部において、一方の前記シールド層の前記接着剤と、他方の前記シールド層の前記接着剤とが貼り合わされていてもよい。この場合、シールド層の加工が容易である。
【0017】
〔7〕 本開示の他の一態様に係るシールドフラットケーブルは、第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤を有するシールド層と、前記シールド層の外面を覆う一対の難燃性の樹脂フィルムと、を有し、前記一対の樹脂フィルムは、互いに貼り合わされた第1貼り合わせ部及び第2貼り合わせ部を有し、前記シールド層の外周面は、前記第1貼り合わせ部が接する第1平面と、前記第2貼り合わせ部が接する第2平面と、を有し、前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の前記第1面に平行な一方の面を覆い、前記第1平面に達する第3部分と、前記樹脂絶縁層の前記一方の面を前記第3部分の上から覆う第4部分と、を有する。
【0018】
本開示の他の一態様に係るシールドフラットケーブルによれば、優れた難燃性が得られる。また、シールド層の加工が容易である。
【0019】
〔8〕 〔7〕において、前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の上下面をそれぞれ覆う一対の前記シールド層であり、前記第3部分は、一方の前記シールド層に含まれ、前記第4部分は、他方の前記シールド層に含まれてもよい。この場合、シールド層の加工が容易である。
【0020】
〔9〕 〔1〕~〔8〕において、前記複数の導体が並列する第2方向において、前記第1貼り合わせ部と前記第2貼り合わせ部との間に、前記シールド層が配置されていてもよい。この場合、シールド層の外面を覆うように一対の樹脂フィルムを配置しやすい。
【0021】
〔10〕 本開示の他の一態様に係るシールドフラットケーブルは、第1面に互いに沿って並列された複数の導体と、前記第1面を挟み、前記導体を覆う樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の外面を覆う接着剤及び難燃性の樹脂フィルムを有するシールド層と、を有し、前記シールド層は、第2面と、前記第2面とは反対側の第3面とを備え、前記接着剤は、前記第2面の上に設けられ、前記樹脂フィルムは、前記第3面の上に設けられ、前記接着剤が前記樹脂フィルムよりも前記樹脂絶縁層側に配置され、前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の前記第1面に平行な一方の面の少なくとも一部を覆う第5部分と、前記樹脂絶縁層の前記一方の面を前記第5部分の上から覆う第6部分と、を有する。
【0022】
〔11〕 〔10〕において、前記第5部分は、前記複数の導体が並列する第方向における前記樹脂絶縁層の一方の端部に達してもよい。この場合、シールド層の加工が容易である。
【0023】
〔12〕 〔10〕又は〔11〕において、前記シールド層は、前記樹脂絶縁層の上下面をそれぞれ覆う一対の前記シールド層であり、前記第5部分は、一方の前記シールド層に含まれ、前記第6部分は、他方の前記シールド層に含まれてもよい。この場合、シールド層の加工が容易である。
【0024】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。各図には、説明の便宜のためXYZ直交座標系が設定されている。
【0025】
(第1実施形態)
第1実施形態について説明する。第1実施形態はシールドフラットケーブルに関する。図1は、第1実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。図1は、シールドフラットケーブルの長手方向に垂直な断面を示す。
【0026】
第1実施形態に係るシールドフラットケーブル100は、機器を電気的に接続するため、もしくは機器内配線のために用いられるケーブルである。図1に示すように、シールドフラットケーブル100は、XY平面に平行な第1面101に沿って配置された複数本(ここでは、4本)の導体110を有する。複数本の導体110は、平面状に配列されている。複数本の導体110は、例えば、X軸方向に延び、Y軸方向に並列されている。X軸方向がシールドフラットケーブル100の長手方向であり、Y軸方向がシールドフラットケーブル100の幅方向である。導体110は、例えば平角導体であり、銅箔、錫メッキ軟銅箔等の金属からなる。導体110は、YZ断面において、略扁平な矩形状に形成されている。第1実施形態に係るシールドフラットケーブル100に含まれる導体110の数は4本であるが、導体110の数は任意である。複数本の導体110が並列する方向、すなわちY軸方向は第2方向の一例である。
【0027】
シールドフラットケーブル100は、第1面101を挟み、複数本の導体110を覆う樹脂絶縁層130を有する。例えば、樹脂絶縁層130は、第1面101の-Z側の第1樹脂絶縁層131と、第1面101の+Z側の第2樹脂絶縁層132とを有する。樹脂絶縁層130は、シールドフラットケーブル100の耐圧や高周波特性を確保するための層であって、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、あるいはポリフェニレンサルファイド等の樹脂から形成されている。
【0028】
シールドフラットケーブル100は、樹脂絶縁層130の外面を覆う接着剤付きシールド層140を有する。接着剤付きシールド層140は、シールド層141と、アンカーコート層142とを含む。シールド層141は、シールドフラットケーブル100のノイズ対策や高周波特性確保のためのシールド機能を備えた層であって、例えば銅箔やアルミニウム箔の金属箔から形成される。アンカーコート層142は、樹脂絶縁層130とシールド層141との間に設けられ、樹脂絶縁層130とシールド層141とを接着する。アンカーコート層142の材料は限定されない。例えば、アンカーコート層142の材料として、主剤であるポリウレタンにイソシアネート系の硬化剤を混合したウレタン系のアンカーコート材料を用いることができる。アンカーコート層142は接着剤の一例である。
【0029】
接着剤付きシールド層140は、樹脂絶縁層130の外面(第1樹脂絶縁層131及び第2樹脂絶縁層132の導体110との接着面とは反対側の面)に、アンカーコート層142が接触するように配置されている。接着剤付きシールド層140は、樹脂絶縁層130の外面を連続して包囲しており、アンカーコート層142同士が貼り合わされた第3貼り合わせ部150を有する。
【0030】
第3貼り合わせ部150を構成する接着剤付きシールド層140の2つの端部は、樹脂絶縁層130の-Y側の端部の側方で貼り合わされ、第3貼り合わせ部150は樹脂絶縁層130の-Y側の縁に沿って屈曲している。第3貼り合わせ部150の末端153は、Z軸方向で樹脂絶縁層130と重なる位置にある。すなわち、第3貼り合わせ部150は、樹脂絶縁層130の-Y側の端部の側方からZ軸方向に延びる第1部分151と、第1部分151につながり、Y軸方向で樹脂絶縁層130の+Y側の端部に向かって延びる第2部分152とを有する。Z軸方向は第1方向の一例である。
【0031】
シールドフラットケーブル100は、接着剤付きシールド層140の外面を覆う一対の難燃性の樹脂フィルム160を有する。一対の樹脂フィルム160は、基材層161と、難燃絶縁層162と、アンカーコート層163とを含む。基材層161は、シールドフラットケーブル100の耐圧を確保するための層であって、例えばポリエチレンテレフタレートから構成されている。難燃絶縁層162は、シールドフラットケーブル100の難燃性や耐圧性、劣化耐性等を確保しつつ、樹脂絶縁層130あるいはシールド層141と基材層161とを接着させるための層であって、例えば、熱可塑性の樹脂材料から構成されている。この難燃絶縁層162としては、例えば、熱可塑性のポリエステル樹脂にリン系難燃剤や窒素系難燃剤が含有されたものを用いることができる。基材層161と難燃絶縁層162との間には、基材層161と難燃絶縁層162とを接着させるためのアンカーコート層163が設けられている。アンカーコート層163の材料は限定されない。例えば、アンカーコート層163の材料として、アンカーコート層142の材料と同一の材料を用いることが好ましい。アンカーコート層163が難燃性を有していてもよい。
【0032】
Y軸方向において、樹脂フィルム160の寸法は、樹脂絶縁層130の寸法及び接着剤付きシールド層140の寸法よりも大きい。Y軸方向において、樹脂フィルム160の両側の端部が樹脂絶縁層130及び接着剤付きシールド層140の両側の端部よりも外側に延出している。一対の樹脂フィルム160は、一方の樹脂フィルム160の-Y側の端部と、他方の樹脂フィルム160の-Y側の端部とが貼り合わされた第1貼り合わせ部11と、一方の樹脂フィルム160の+Y側の端部と、他方の樹脂フィルム160の+Y側の端部とが貼り合わされた第2貼り合わせ部12とを有する。つまり、一対の樹脂フィルム160は、互いに貼り合わされた第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12を有する。例えば、Y軸方向において、第1貼り合わせ部11と第2貼り合わせ部12との間に、シールド層141が配置されている。第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12において、一対の樹脂フィルム160の基材層161は、難燃絶縁層162及びアンカーコート層163を介して互いに貼り合わされている。そして、樹脂絶縁層130及び接着剤付きシールド層140の両側の端部の全面は、一対の樹脂フィルム160により覆われている。
【0033】
シールド層141の外周面は、第1貼り合わせ部11が接する第1平面21と、第2貼り合わせ部12が接する第2平面22とを有する。例えば、一対の樹脂フィルム160は第1平面21及び第2平面22の上で貼り合わされている。また、第3貼り合わせ部150の末端153は、第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12から離間している。
【0034】
シールドフラットケーブル100では、Z軸方向から近接してくる炎に対しては、難燃絶縁層162及びシールド層141が樹脂絶縁層130を保護する。また、幅方向(Y軸方向)の端部に近接してくる炎が第1貼り合わせ部11又は第2貼り合わせ部12に侵入するおそれがあるが、第1貼り合わせ部11に第1平面21が接し、第2貼り合わせ部12に第2平面22が接しているため、シールド層141の閉塞状態が維持される。従って、樹脂絶縁層130はシールド層141により保護され、速やかに消炎することができる。このため、優れた難燃性を得ることができ、VW-1試験等の燃焼試験においても優れた結果を得ることができる。
【0035】
第3貼り合わせ部150の末端153が第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12から離間しているため、より優れた難燃性が得られる。
【0036】
第3貼り合わせ部150が第1部分151及び第2部分152を有している。つまり、第3貼り合わせ部150は樹脂絶縁層130の外形に沿って屈曲している。更に、末端153がZ軸方向で樹脂絶縁層130と重なる位置にある。従って、第3貼り合わせ部150が開きにくく、より優れた難燃性が得られる。
【0037】
シールドフラットケーブル100の製造にあたっては、例えば、樹脂絶縁層130を包囲するように接着剤付きシールド層140を配置し、その2つの端部においてアンカーコート層142を貼り合わせて第3貼り合わせ部150を形成する。また、第1部分151及び第2部分152を含むように第3貼り合わせ部150を屈曲加工することは容易である。このため、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル100を容易に製造することができる。
【0038】
また、Y軸方向において、第1貼り合わせ部11と第2貼り合わせ部12との間に、シールド層141が配置されているため、シールド層141の外面を覆うように一対の樹脂フィルム160を配置しやすい。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。図2は、第2実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第2実施形態は、主に接着剤付きシールド層の構成の点で第1実施形態と相違する。
【0040】
図2に示すように、第2実施形態に係るシールドフラットケーブル200は、接着剤付きシールド層140に代えて、接着剤付きシールド層240を有する。接着剤付きシールド層240は、第1接着剤付きシールド層240Aと、第2接着剤付きシールド層240Bとを含む。第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bの各々は、接着剤付きシールド層140と同様に、シールド層141と、アンカーコート層142とを含む。Y軸方向において、第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bの各々の寸法は、樹脂絶縁層130の寸法よりも大きい。
【0041】
第1接着剤付きシールド層240Aは、第1樹脂絶縁層131の-Z側の外面を覆い、第2接着剤付きシールド層240Bは、第2樹脂絶縁層132の+Z側の外面を覆う。接着剤付きシールド層240は、第1接着剤付きシールド層240Aの-Y側の端部及び第2接着剤付きシールド層240Bの-Y側の端部のアンカーコート層142同士が貼り合わされた第3貼り合わせ部250Aを有する。接着剤付きシールド層240は、第1接着剤付きシールド層240Aの+Y側の端部及び第2接着剤付きシールド層240Bの+Y側の端部のアンカーコート層142同士が貼り合わされた第3貼り合わせ部250Bを有する。
【0042】
第3貼り合わせ部250Aは樹脂絶縁層130の-Y側の縁に沿って屈曲している。第3貼り合わせ部250Aの末端253Aは、Z軸方向で樹脂絶縁層130と重なる位置にある。すなわち、第3貼り合わせ部250Aは、樹脂絶縁層130の-Y側の端部の側方からZ軸方向に延びる第1部分251Aと、第1部分251Aにつながり、Y軸方向で樹脂絶縁層130の+Y側の端部に向かって延びる第2部分252Aとを有する。
【0043】
第3貼り合わせ部250Bは樹脂絶縁層130の+Y側の縁に沿って屈曲している。第3貼り合わせ部250Bの末端253Bは、Z軸方向で樹脂絶縁層130と重なる位置にある。すなわち、第3貼り合わせ部250Bは、樹脂絶縁層130の+Y側の端部の側方からZ軸方向に延びる第1部分251Bと、第1部分251Bにつながり、Y軸方向で樹脂絶縁層130の-Y側の端部に向かって延びる第2部分252Bとを有する。
【0044】
第1実施形態と同様に、シールド層141の外周面は、第1貼り合わせ部11が接する第1平面21と、第2貼り合わせ部12が接する第2平面22とを有する。例えば、一対の樹脂フィルム160は第1平面21及び第2平面22の上で貼り合わされている。また、第3貼り合わせ部250Aの末端253A及び第3貼り合わせ部250Bの末端253Bは、第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12から離間している。
【0045】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0046】
第2実施形態に係るシールドフラットケーブル200によっても優れた難燃性を得ることができる。
【0047】
シールドフラットケーブル200の製造にあたっては、例えば、Z軸方向で樹脂絶縁層130を間に挟むように第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bを配置し、これらの端部においてアンカーコート層142を貼り合わせて第3貼り合わせ部250A及び250Bを形成する。また、第1部分251A及び第2部分252Aを含むように第3貼り合わせ部250Aを屈曲加工することも、第1部分251B及び第2部分252Bを含むように第3貼り合わせ部250Bを屈曲加工することも容易である。このため、特に第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bの加工が容易であり、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル200を容易に製造することができる。
【0048】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。図3は、第3実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第3実施形態は、主に接着剤付きシールド層の構成の点で第1実施形態等と相違する。
【0049】
図3に示すように、第3実施形態に係るシールドフラットケーブル300は、第2実施形態と同様に、接着剤付きシールド層240を有し、接着剤付きシールド層240は、第3貼り合わせ部250A及び250Bを有する。
【0050】
第3貼り合わせ部250Aは、Y軸方向において、樹脂絶縁層130と第1貼り合わせ部11との間に設けられた巻き締め部354Aを含む。巻き締め部354Aは、Z軸方向に延びる第1部分251Aと、第1部分251Aにつながり、Y軸方向で樹脂絶縁層130の+Y側の端部に向かって延びる第2部分252Aとを有する。
【0051】
第3貼り合わせ部250Bは、Y軸方向において、樹脂絶縁層130と第2貼り合わせ部12との間に設けられた巻き締め部354Bを含む。巻き締め部354Bは、Z軸方向に延びる第1部分251Bと、第1部分251Bにつながり、Y軸方向で樹脂絶縁層130の-Y側の端部に向かって延びる第2部分252Bとを有する。
【0052】
第1実施形態と同様に、シールド層141の外周面は、第1貼り合わせ部11が接する第1平面21と、第2貼り合わせ部12が接する第2平面22とを有する。例えば、一対の樹脂フィルム160は第1平面21及び第2平面22の上で貼り合わされている。また、第3貼り合わせ部250Aの末端253Aは巻き締め部354Aの内側に設けられ、第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12から離間している。第3貼り合わせ部250Bの末端253Bは巻き締め部354Bの内側に設けられ、第1貼り合わせ部11及び第2貼り合わせ部12から離間している。
【0053】
他の構成は第2実施形態と同様である。
【0054】
第3実施形態に係るシールドフラットケーブル300によっても優れた難燃性を得ることができる。特に、第3貼り合わせ部250A及び250Bが開きにくく、より優れた難燃性が得られる。
【0055】
シールドフラットケーブル300の製造にあたっては、例えば、Z軸方向で樹脂絶縁層130を間に挟むように第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bを配置し、これらの端部においてアンカーコート層142を貼り合わせて第3貼り合わせ部250A及び250Bを形成する。また、巻き締め部354Aを含むように第3貼り合わせ部250Aを屈曲加工することも、巻き締め部354Bを含むように第3貼り合わせ部250Bを屈曲加工することも容易である。このため、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル300を容易に製造することができる。
【0056】
なお、第1実施形態のように、1枚の接着剤付きシールド層140を用いて第3貼り合わせ部150を形成し、第3貼り合わせ部150を巻き締めて巻き締め部を形成してもよい。
【0057】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。図4は、第4実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第4実施形態は、主に接着剤付きシールド層の構成の点で第1実施形態等と相違する。
【0058】
図4に示すように、第4実施形態に係るシールドフラットケーブル400では、第1実施形態と同様に、接着剤付きシールド層140は、樹脂絶縁層130の外面を連続して包囲する。第4実施形態では、接着剤付きシールド層140が第3部分443及び第4部分444を含む。第3部分443は、樹脂絶縁層130の第1面101に平行な一方の面130Aを覆い、第1平面21に達する。つまり、第3部分443は、Y軸方向における樹脂絶縁層130の第1貼り合わせ部11側の端部(-Y側の端部)に達する。第4部分444は、第1貼り合わせ部11側の端部(-Y側の端部)の近傍で、樹脂絶縁層130の面130Aを第3部分443の上から覆う。第4部分444のアンカーコート層142は、第3部分443のシールド層141と第4部分444のシールド層141との間に設けられ、第3部分443のシールド層141と第4部分444のシールド層141とを接着する。
【0059】
第1実施形態と同様に、シールド層141の外周面は、第1貼り合わせ部11が接する第1平面21と、第2貼り合わせ部12が接する第2平面22とを有する。例えば、一対の樹脂フィルム160は第1平面21及び第2平面22の上で貼り合わされている。
【0060】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0061】
第4実施形態に係るシールドフラットケーブル400によっても優れた難燃性を得ることができる。
【0062】
シールドフラットケーブル400の製造にあたっては、例えば、接着剤付きシールド層140を、一方の端部が樹脂絶縁層130の-Y側の端部に達し、樹脂絶縁層130の外周を一回りした上で他方の端部が接着剤付きシールド層140と重なるように配置する。このため、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル400を容易に製造することができる。
【0063】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。図5は、第5実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第5実施形態は、主に接着剤付きシールド層の構成の点で第1実施形態等と相違する。
【0064】
図5に示すように、第5実施形態に係るシールドフラットケーブル500は、接着剤付きシールド層140に代えて、接着剤付きシールド層240を有する。接着剤付きシールド層240は、第1接着剤付きシールド層240Aと、第2接着剤付きシールド層240Bとを含む。Y軸方向において、第1接着剤付きシールド層240Aの寸法は、樹脂絶縁層130の寸法よりも大きく、第2接着剤付きシールド層240Bの寸法は、樹脂絶縁層130の寸法と同程度である。
【0065】
第1接着剤付きシールド層240Aは、第1樹脂絶縁層131の-Z側の外面を覆い、第2接着剤付きシールド層240Bは、第2樹脂絶縁層132の+Z側の外面を覆う。第5実施形態では、第2接着剤付きシールド層240Bが第3部分543を含み、第1接着剤付きシールド層240Aが第4部分544A及び544Bを含む。第3部分543は、樹脂絶縁層130の第1面101に平行な一方の面130Aを覆い、第1平面21及び第2平面22の両方に達する。つまり、第3部分543は、Y軸方向における樹脂絶縁層130の第1貼り合わせ部11側の端部(-Y側の端部)及び第2貼り合わせ部12側の端部(+Y側の端部)の両方に達する。第4部分544Aは、第1貼り合わせ部11側の端部(-Y側の端部)の近傍で、樹脂絶縁層130の面130Aを第3部分543の上から覆う。第4部分544Bは、第2貼り合わせ部12側の端部(+Y側の端部)の近傍で、樹脂絶縁層130の面130Aを第3部分543の上から覆う。第4部分544A及び544Bのアンカーコート層142は、第3部分543のシールド層141と第4部分544A及び544Bのシールド層141との間に設けられ、第3部分543のシールド層141と第4部分544A及び544Bのシールド層141とを接着する。
【0066】
第4実施形態と同様に、シールド層141の外周面は、第1貼り合わせ部11が接する第1平面21と、第2貼り合わせ部12が接する第2平面22とを有する。例えば、一対の樹脂フィルム160は第1平面21及び第2平面22の上で貼り合わされている。
【0067】
他の構成は第4実施形態と同様である。
【0068】
第5実施形態に係るシールドフラットケーブル500によっても優れた難燃性を得ることができる。
【0069】
シールドフラットケーブル500の製造にあたっては、例えば、Z軸方向で樹脂絶縁層130を間に挟むように第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bを配置する。このとき、第2接着剤付きシールド層240Bは、一方の端部が第1平面21に達し、他方の端部が第2平面22に達するように配置する。つまり、第2接着剤付きシールド層240Bは、一方の端部が樹脂絶縁層130の-Y側の端部に達し、他方の端部が樹脂絶縁層130のY側の端部に達するように配置する。また、第1接着剤付きシールド層240Aは、その両方の端部が第2接着剤付きシールド層240Bと重なるように配置する。このため、特に第1接着剤付きシールド層240A及び第2接着剤付きシールド層240Bの加工が容易であり、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル500を容易に製造することができる。
【0070】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。図6は、第6実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第6実施形態は、主に接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層が用いられる点で第1実施形態等と相違する。
【0071】
図6に示すように、第6実施形態に係るシールドフラットケーブル600は、第1実施形態と同様に、複数本の導体110と樹脂絶縁層130とを有する。シールドフラットケーブル600は、樹脂絶縁層130の外面を覆う接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601を有する。接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601は、接着剤付きシールド層140と、樹脂フィルム160とを有する。接着剤付きシールド層140は、第1実施形態と同様に、シールド層141と、アンカーコート層142とを含み、樹脂フィルム160は、第1実施形態と同様に、基材層161と、難燃絶縁層162と、アンカーコート層163とを含む。シールド層141は、第2面102と、第2面102とは反対側の第3面103とを備え、アンカーコート層142は第2面102上に設けられ、樹脂フィルム160は第3面103上に設けられている。例えば、接着剤付きシールド層140と樹脂フィルム160とが一体化されている。アンカーコート層142が樹脂フィルム160よりも樹脂絶縁層130側に配置されている。
【0072】
接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601は、樹脂絶縁層130の外面を連続して包囲する。接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601が第5部分605及び第6部分606を含む。第5部分605は、樹脂絶縁層130の第1面101に平行な一方の面130Aの少なくとも一部を覆う。第5部分605は、Y軸方向における樹脂絶縁層130の両方の端部から離間していてよい。第6部分606は、樹脂絶縁層130の面130Aを第5部分605の上から覆う。第6部分606のアンカーコート層142は、第5部分605の基材層161と第6部分606のシールド層141との間に設けられ、第5部分605の基材層161と第6部分606のシールド層141とを接着する。
【0073】
シールドフラットケーブル600では、難燃絶縁層162及びシールド層141が樹脂絶縁層130を保護する。また、接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601が用いられ、樹脂フィルム160同士が貼り合わされていないため、炎は接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601の内部に侵入しにくい。このため、優れた難燃性を得ることができ、VW-1試験等の燃焼試験においても優れた結果を得ることができる。
【0074】
シールドフラットケーブル600の製造にあたっては、例えば、接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601を、樹脂絶縁層130の外周を一回りした上で、面130Aの上で2つの端部が重なるように配置する。このため、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル600を容易に製造することができる。
【0075】
(第7実施形態)
第7実施形態について説明する。図7は、第7実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第7実施形態は、主に第5部分及び第6部分の配置の点で第6実施形態等と相違する。
【0076】
図7に示すように、第7実施形態に係るシールドフラットケーブル700では、第6実施形態と同様に、接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601は、樹脂絶縁層130の外面を連続して包囲する。ただし、第5部分605は、Y軸方向における樹脂絶縁層130の一方の端部(-Y側の端部)に達する。第6部分606は、-Y側の端部の近傍で、樹脂絶縁層130の面130Aを第5部分605の上から覆う。第6実施形態と同様に、第6部分606のアンカーコート層142は、第5部分605の基材層161と第6部分606のシールド層141との間に設けられ、第5部分605の基材層161と第6部分606のシールド層141とを接着する。
【0077】
他の構成は第6実施形態と同様である。
【0078】
第7実施形態に係るシールドフラットケーブル700によっても優れた難燃性を得ることができる。
【0079】
シールドフラットケーブル700の製造にあたっては、例えば、接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601を、一方の端部が樹脂絶縁層130の-Y側の端部に達し、樹脂絶縁層130の外周を一回りした上で他方の端部が接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601と重なるように配置する。このため、特に接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601の加工が容易であり、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル700を容易に製造することができる。
【0080】
(第8実施形態)
第8実施形態について説明する。図8は、第8実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。第8実施形態は、主に接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層の構成の点で第6実施形態等と相違する。
【0081】
図8に示すように、第8実施形態に係るシールドフラットケーブル800は、接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層601に代えて、接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801を有する。接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801は、第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Aと、第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bとを含む。Y軸方向において、第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Aの寸法は、樹脂絶縁層130の寸法よりも大きく、第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bの寸法は、樹脂絶縁層130の寸法と同程度である。
【0082】
第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Aは、第1樹脂絶縁層131の-Z側の外面を覆い、第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bは、第2樹脂絶縁層132の+Z側の外面を覆う。第8実施形態では、第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bが第5部分805を含み、第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Aが第6部分806A及び806Bを含む。第5部分805は、樹脂絶縁層130の第1面101に平行な一方の面130Aを覆い、Y軸方向における樹脂絶縁層130の-Y側の端部及び+Y側の端部の両方に達する。第6部分806Aは、-Y側の端部の近傍で、樹脂絶縁層130の面130Aを第5部分805の上から覆う。第6部分806Bは、+Y側の端部の近傍で、樹脂絶縁層130の面130Aを第5部分805の上から覆う。第6部分806A及び806Bのアンカーコート層142は、第5部分805の基材層161と第6部分806A及び806Bのシールド層141との間に設けられ、第5部分805の基材層161と第6部分806A及び806Bのシールド層141とを接着する。
【0083】
他の構成は第6実施形態と同様である。
【0084】
第8実施形態に係るシールドフラットケーブル800によっても優れた難燃性を得ることができる。
【0085】
シールドフラットケーブル800の製造にあたっては、例えば、Z軸方向で樹脂絶縁層130を間に挟むように第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801A及び第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bを配置する。このとき、第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bは、一方の端部が樹脂絶縁層130の-Y側の端部に達し、他方の端部が樹脂絶縁層130のY側の端部に達するように配置する。また、第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Aは、その両方の端部が第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bと重なるように配置する。このため、特に第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801A及び第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層801Bの加工が容易であり、優れた難燃性を備えたシールドフラットケーブル800を容易に製造することができる。
【0086】
なお、シールド層141に潰れ等があっても、アンカーコート層142と樹脂絶縁層130との間に未接着による空洞等があっても、炎の樹脂絶縁層130への侵入を抑制することができる。例えば、図9に示すように、第4実施形態に係るシールドフラットケーブル400において、アンカーコート層142と樹脂絶縁層130との間に未接着による空洞149が存在していても、樹脂絶縁層130を炎から保護することができる。図9は、空洞が形成された第4実施形態に係るシールドフラットケーブルを示す断面図である。
【0087】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
11:第1貼り合わせ部
12:第2貼り合わせ
1:第1平面
22:第2平面
100:シールドフラットケーブル
101:第1面
102:第2面
103:第3面
110:導体
130:樹脂絶縁層
130A:面
131:第1樹脂絶縁層
132:第2樹脂絶縁層
140:接着剤付きシールド層
141:シールド層
142:アンカーコート層
149:空洞
150:第3貼り合わせ部
151:第1部分
152:第2部分
153:末端
160:樹脂フィルム
161:基材層
162:難燃絶縁層
163:アンカーコート層
200:シールドフラットケーブル
240:接着剤付きシールド層
240A:第1接着剤付きシールド層
240B:第2接着剤付きシールド層
250A、250B:第3貼り合わせ部
251A、251B:第1部分
252A、252B:第2部分
253A、253B:末端
300:シールドフラットケーブル
354A、354B:巻き締め部
400:シールドフラットケーブル
443:第3部分
444:第4部分
500:シールドフラットケーブル
543:第3部分
544A、544B:第4部分
600:シールドフラットケーブル
601:接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層
605:第5部分
606:第6部分
700:シールドフラットケーブル
800:シールドフラットケーブル
801:接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層
801A:第1接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層
801B:第2接着剤及び樹脂フィルム付きシールド層
805:第5部分
806A、806B:第6部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9