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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ロール体
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/28 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B65H75/28
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2022539629
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 JP2021028487
(87)【国際公開番号】W WO2022025289
(87)【国際公開日】2022-02-03
【審査請求日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】P 2020131040
(32)【優先日】2020-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅允
(72)【発明者】
【氏名】小川 善正
(72)【発明者】
【氏名】大原 勇二
(72)【発明者】
【氏名】中澤 遼
(72)【発明者】
【氏名】大石 恵
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長町 隆介
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201634(JP,A)
【文献】特開2004-083072(JP,A)
【文献】特開2017-036116(JP,A)
【文献】特開2015-160678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00-75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記1周目の前記シートの長手方向の巻き始め端部における先端面に接する第1隙間と、
前記第1隙間に充填され、かつ前記巻芯の幅方向に延びる第1充填部と、
前記幅方向における前記第1充填部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第1露出抑制部材とを備え
前記第1露出抑制部材が、前記幅方向において前記第1充填部の前記端部より外側に位置し、かつ前記シートにより覆われている、ロール体。
【請求項2】
前記シートが有効領域と前記幅方向における前記有効領域の外側に位置する非有効領域とを有し、前記第1露出抑制部材が、前記シートの前記非有効領域に位置している、請求項1に記載のロール体。
【請求項3】
前記第1露出抑制部材が、前記巻芯の周方向に沿って延びている、請求項1または2に記載のロール体。
【請求項4】
前記巻芯の周方向における前記第1露出抑制部材の長さが、前記周方向における前記第1充填部の最大長さより大きい、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項5】
巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記1周目の前記シートの長手方向の巻き始め端部における先端面に接する第1隙間と、
前記第1隙間に充填され、かつ前記巻芯の幅方向に延びる第1充填部と、
前記幅方向における前記第1充填部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第1露出抑制部材とを備え、
前記第1充填部の前記端部が前記シートの外側にはみ出しており、前記第1露出抑制部材がシート状であり、かつ前記第1充填部のはみ出した前記端部を覆っている、ロール体。
【請求項6】
前記第1充填部が、着色材料または発光材料を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項7】
前記第1充填部が、硬化性高分子組成物の硬化物を含む、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項8】
前記第1露出抑制部材が、樹脂からなり、またはテープである、請求項1ないし5のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項9】
巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に設けられ、前記巻芯の幅方向に延びる第1端面および前記第1端面と反対側の第2端面を有し、かつ前記巻芯に対し前記シートの一部を固定する固定部材と、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記固定部材の前記第1端面に接する第2隙間と、
前記第2隙間に充填され、かつ前記巻芯の幅方向に延びる第2充填部と、
前記幅方向における前記第2充填部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第2露出抑制部材とを備え
前記第2露出抑制部材が、前記幅方向において前記第2充填部の前記端部より外側に位置し、かつ前記シートにより覆われている、ロール体。
【請求項10】
前記シートが有効領域と前記幅方向における前記有効領域の外側に位置する非有効領域とを有し、前記第2露出抑制部材が、前記シートの前記非有効領域に位置している、請求項に記載のロール体。
【請求項11】
前記第2露出抑制部材が、前記巻芯の周方向に沿って延びている、請求項9または10に記載のロール体。
【請求項12】
前記巻芯の周方向における前記第2露出抑制部材の長さが、前記周方向における前記第2充填部の最大長さより大きい、請求項9ないし11のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項13】
巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に設けられ、前記巻芯の幅方向に延びる第1端面および前記第1端面と反対側の第2端面を有し、かつ前記巻芯に対し前記シートの一部を固定する固定部材と、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記固定部材の前記第1端面に接する第2隙間と、
前記第2隙間に充填され、かつ前記巻芯の幅方向に延びる第2充填部と、
前記幅方向における前記第2充填部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第2露出抑制部材とを備え、
前記第2充填部の前記端部が前記シートの外側にはみ出しており、前記第2露出抑制部材がシート状であり、かつ前記第2充填部のはみ出した前記端部を覆っている、ロール体。
【請求項14】
前記第2充填部が、着色材料または発光材料を含む、請求項9ないし13のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項15】
前記第2充填部が、硬化性高分子組成物の硬化物を含む、請求項9ないし13のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項16】
巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、
前記巻芯と1周目の前記シートの間に設けられ、前記巻芯の幅方向に延びる第1端面および前記第1端面と反対側に位置し、かつ前記第1端面より前記1周目の前記シートの長手方向の巻き始め端部側に位置する第2端面を有し、かつ前記巻芯に対し前記シートの一部を固定する固定部材と、
前記巻芯と前記1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記固定部材の前記第1端面に接する第2隙間と、
1周目以降の前記シート間における少なくとも前記第2隙間に対応する領域に設けられ、かつ前記巻芯の幅方向に延びる介在部と、
前記幅方向における前記介在部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第2露出抑制部材と
を備える、ロール体。
【請求項17】
前記第2露出抑制部材が、前記幅方向において前記介在部の前記端部より外側に位置し、かつ前記第2露出抑制部材の少なくとも一部が前記シートにより覆われている、請求項1に記載のロール体。
【請求項18】
前記第2露出抑制部材が、前記巻芯の周方向に沿って延びている、請求項16または17に記載のロール体。
【請求項19】
前記巻芯の周方向における前記第2露出抑制部材の長さが、前記周方向における前記介在部の最大長さより大きい、請求項16ないし18のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項20】
前記介在部が、着色材料または発光材料を含む、請求項16ないし19のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項21】
前記介在部が、硬化性高分子組成物の硬化物を含む、請求項16ないし19のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項22】
前記シートが、樹脂フィルム、紙、またはガラスフィルムである、請求項1ないし21のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項23】
前記シートが、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはシクロオレフィンポリマー系樹脂を含む、請求項1ないし21のいずれか一項に記載のロール体。
【請求項24】
前記シートの厚みが、15μm以上300μm以下である、請求項1ないし23のいずれか一項に記載のロール体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、先行する日本国出願である特願2020-131040(出願日:2020年7月31日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ロール体に関する。
【背景技術】
【0003】
フィルム等のシートは、製造効率の観点から、ある程度の量をまとめて製造し、巻芯に巻回されて、ロール体として保存されることが多い。このようなロール体においては、シートの巻き始め端部に起因して段差が生じてしまう。具体的には、1周目のシートが2周目に移る際に段差が生じてしまい、2周目以降にもその段差が現れてしまう。なお、シートの種類によっては、この段差が生じると、シートが変形してしまい、元に戻らないものもある。
【0004】
現在、ウレタン樹脂のようなクッション性が高いクッションテープを巻芯の外周面に貼り付け、または埋め込んで、クッションテープにシートを埋め込むことにより、上記段差を緩和する技術(例えば、特許文献1参照)や、外周面にゴムを有する巻芯を用いて、ゴムにシートを埋め込むことにより、段差を緩和する技術、またはシートの巻き始め端部の先端に沿って巻芯の外周面に弾力を有する緩衝材を設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-75521号公報
【文献】特開2013-199355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記技術のいずれであっても、有効に段差を緩和できないのが、現状である。
【0007】
また、シートを巻芯に巻回する際には、まず、巻芯の外周面に両面テープ等の固定部材を貼り付けて、シートの一部(例えば、巻き始め端部)を固定するが、この固定部材に起因して段差が生じてしまうこともある。
【0008】
現在、有効にこれらの段差を緩和するために1周目のシートが2周目に移る際に形成される隙間や固定部材と1周目のシートによって形成される隙間に充填剤を充填することが検討されているが、これらの隙間に充填剤を充填すると、シートの巻取り時の圧力によって充填剤がはみ出てしまうおそれがある。このはみ出した部分が露出していると、このはみ出した部分がロール体等に付着してしまうことがあり、汚染の原因となる。
【0009】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものである。すなわち、シートの巻き始め端部に起因する段差を有効に緩和でき、かつ汚染を抑制できるロール体を提供することを目的とする。また、固定部材に起因する段差を有効に緩和でき、かつ汚染を抑制できるロール体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、以下の発明を含む。
[1]巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、前記巻芯と1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記1周目の前記シートの長手方向の巻き始め端部における先端面に接する第1隙間と、前記第1隙間に充填され、かつ前記巻芯の幅方向に延びる第1充填部と、前記幅方向における前記第1充填部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第1露出抑制部材とを備える、ロール体。
【0011】
[2]前記第1露出抑制部材が、前記幅方向において前記第1充填部の前記端部より外側に位置し、かつ前記シートにより覆われている、上記[1]に記載のロール体。
【0012】
[3]前記シートが有効領域と前記幅方向における前記有効領域の外側に位置する非有効領域とを有し、前記第1露出抑制部材が、前記シートの前記非有効領域に位置している、上記[1]または[2]に記載のロール体。
【0013】
[4]前記第1露出抑制部材が、前記巻芯の周方向に沿って延びている、上記[2]または[3]に記載のロール体。
【0014】
[5]前記巻芯の周方向における前記第1露出抑制部材の長さが、前記周方向における前記第1充填部の最大長さより大きい、上記[2]ないし[4]のいずれか一項に記載のロール体。
【0015】
[6]前記第1充填部の前記端部が前記シートの外側にはみ出しており、前記第1露出抑制部材がシート状であり、かつ前記第1充填部のはみ出した前記端部を覆っている、上記[1]に記載のロール体。
【0016】
[7]前記第1充填部が、着色材料または発光材料を含む、上記[1]ないし[6]のいずれか一項に記載のロール体。
【0017】
[8]前記第1充填部が、硬化性高分子組成物の硬化物を含む、上記[1]ないし[6]のいずれか一項に記載のロール体。
【0018】
[9]前記第1露出抑制部材が、樹脂からなり、またはテープである、上記[1]ないし[8]のいずれか一項に記載のロール体。
【0019】
[10]巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、前記巻芯と1周目の前記シートの間に設けられ、前記巻芯の幅方向に延びる第1端面および前記第1端面と反対側の第2端面を有し、かつ前記巻芯に対し前記シートの一部を固定する固定部材と、前記巻芯と1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記固定部材の前記第1端面に接する第2隙間と、前記第2隙間に充填され、かつ前記巻芯の幅方向に延びる第2充填部と、前記幅方向における前記第2充填部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第2露出抑制部材とを備える、ロール体。
【0020】
[11]前記第2露出抑制部材が、前記幅方向において前記第2充填部の前記端部より外側に位置し、かつ前記シートにより覆われている、上記[10]に記載のロール体。
【0021】
[12]前記シートが有効領域と前記幅方向における前記有効領域の外側に位置する非有効領域とを有し、前記第2露出抑制部材が、前記シートの前記非有効領域に位置している、上記[11]に記載のロール体。
【0022】
[13]前記第2露出抑制部材が、前記巻芯の周方向に沿って延びている、上記[11]または[12]に記載のロール体。
【0023】
[14]前記巻芯の周方向における前記第2露出抑制部材の長さが、前記周方向における前記第2充填部の最大長さより大きい、上記[11]ないし[13]のいずれか一項に記載のロール体。
【0024】
[15]前記第2充填部の前記端部が前記シートの外側にはみ出しており、前記第2露出抑制部材がシート状であり、かつ前記第2充填部のはみ出した前記端部を覆っている、上記[10]に記載のロール体。
【0025】
[16]前記第2充填部が、着色材料または発光材料を含む、上記[10]ないし[15]のいずれか一項に記載のロール体。
【0026】
[17]前記第2充填部が、硬化性高分子組成物の硬化物を含む、上記[10]ないし[16]のいずれか一項に記載のロール体。
【0027】
[18]巻芯と、前記巻芯の外周面に巻回された長尺状のシートとを備えるロール体であって、前記巻芯と1周目の前記シートの間に設けられ、前記巻芯の幅方向に延びる第1端面および前記第1端面と反対側に位置し、かつ前記第1端面より前記1周目の前記シートの長手方向の巻き始め端部側に位置する第2端面を有し、かつ前記巻芯に対し前記シートの一部を固定する固定部材と、前記巻芯と前記1周目の前記シートの間に位置し、かつ前記固定部材の前記第1端面に接する第2隙間と、1周目以降の前記シート間における少なくとも前記第2隙間に対応する領域に設けられ、かつ前記巻芯の幅方向に延びる介在部と、前記幅方向における前記介在部の端部が前記シートの外側において露出することを抑制する第2露出抑制部材とを備える、ロール体。
【0028】
[19]前記第2露出抑制部材が、前記幅方向において前記介在部の前記端部より外側に位置し、かつ前記第2露出抑制部材の少なくとも一部が前記シートにより覆われている、上記[18]に記載のロール体。
【0029】
[20]前記第2露出抑制部材が、前記巻芯の周方向に沿って延びている、上記[18]または[19]に記載のロール体。
【0030】
[21]前記巻芯の周方向における前記第2露出抑制部材の長さが、前記周方向における前記介在部の最大長さより大きい、上記[18]ないし[20]のいずれか一項に記載のロール体。
【0031】
[22]前記介在部が、着色材料または発光材料を含む、上記[18]ないし[21]のいずれか一項に記載のロール体。
【0032】
[23]前記介在部が、硬化性高分子組成物の硬化物を含む、上記[18]ないし[21]のいずれか一項に記載のロール体。
【0033】
[24]前記シートが、樹脂フィルム、紙、またはガラスフィルムである、上記[1]ないし[23]のいずれか一項に記載のロール体。
【0034】
[25]前記シートが、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、またはシクロオレフィンポリマー系樹脂を含む、上記[1]ないし[23]のいずれか一項に記載のロール体。
【0035】
[26]前記シートの厚みが、15μm以上300μm以下である、上記[1]ないし[25]のいずれか一項に記載のロール体。
【発明の効果】
【0036】
本発明の一の態様によれば、シートの巻き始め端部に起因する段差を有効に緩和でき、かつ汚染を抑制できるロール体を提供できる。また、本発明の他の態様によれば、固定部材に起因する段差を有効に緩和でき、かつ汚染を抑制できるロール体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施形態に係るロール体の斜視図である。
図2図2は、図1のロール体の平面図である。
図3図3は、図2のロール体におけるI-I線の断面の一部を拡大した図である。
図4図4は、図1のロール体の各構成要素の寸法を説明するための図である。
図5図5は、図1のロール体の第1充填部周辺における2つの領域を示す図である。
図6図6は、図2のロール体におけるII-II線の断面の一部を拡大した図である。
図7図7は、図1のロール体の一部を拡大した平面図である。
図8図8は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図9図9は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図10図10は、面内位相差を測定する位置を特定するためのサンプルの平面図である。
図11図11は、レーザー変位計による測定位置を特定するためのロール体の平面図である。
図12図12は、レーザー変位計の測定に基づいて作成される位置に対する変位量のイメージグラフである。
図13図13は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図14図14は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図15図15は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図16図16は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図17図17は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図18図18は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図19図19は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図20図20は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図21図21は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図22図22は、第1実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図23図23は、第1実施形態に係る他のロール体の平面図である。
図24図24は、図23のロール体におけるIII-III線の断面図である。
図25図25は、図23のロール体におけるIV-IV線の断面図である。
図26図26は、第1実施形態に係る他のロール体の平面図である。
図27図27は、図26のロール体におけるV-V線の断面の一部を拡大した図である。
図28図28は、図27に示される第2介在部の最大厚みおよび長さを測定するときの図である。
図29図29は、図26のロール体におけるVI-VI線の断面の一部を拡大した図である。
図30図30(A)および図30(B)は、第1実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。
図31図31(A)および図31(B)は、第1実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。
図32図32(A)および図32(B)は、第1実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。
図33図33は、第1実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。
図34図34は、第2実施形態に係るロール体の斜視図である。
図35図35は、図34のロール体の平面図である。
図36図36は、図35のロール体におけるVII-VII線の断面の一部を拡大した図である。
図37図37は、図35のロール体におけるVIII-VIII線の断面の一部を拡大した図である。
図38図38は、図34のロール体の一部を拡大した平面図である。
図39図39は、第2実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。
図40図40は、第2実施形態に係る他のロール体の平面図である。
図41図41は、図40のロール体におけるIX-IX線の断面の一部を拡大した図である。
図42図42は、図40のロール体におけるX-X線の断面の一部を拡大した図である。
図43図43は、図40のロール体におけるXI-XI線の断面の一部を拡大した図である。
図44図44(A)および図44(B)は、第2実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。
図45図45(A)および図45(B)は、第2実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るロール体について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係るロール体の斜視図であり、図2は、図1のロール体の平面図であり、図3は、図2のロール体におけるI-I線の断面の一部を拡大した図であり、図4は、図1のロール体の各構成要素の寸法を説明するための図であり、図5は、図1のロール体における第1充填部周辺の2つの領域を示す図であり、図6は、図2のロール体におけるII-II線の断面の一部を拡大した図であり、図7は、図1のロール体の一部を拡大した平面図である。図8および図9は、本実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図であり、図10は、面内位相差を測定する位置を特定するためのサンプルの平面図である。図11は、レーザー変位計による測定位置を特定するためのロール体の平面図であり、図12は、レーザー変位計の測定に基づいて作成される位置に対する変位量のイメージグラフである。図13図22は、本実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。図23は、本実施形態に係る他のロール体の平面図であり、図24は、図23のロール体におけるIII-III線の断面図であり、図25は、図23のロール体におけるIV-IV線の断面図である。図26は、本実施形態に係る他のロール体の平面図であり、図27は、図26のロール体におけるV-V線の断面の一部を拡大した図であり、図28は、図27に示される第2介在部の最大厚みおよび長さを測定するときの図であり、図29は、図36のロール体におけるVI-VI線の断面の一部を拡大した図である。
【0039】
<<<ロール体>>>
図1および図2に示されるロール体10は、巻芯11と、巻芯11の外周面11Aに巻回された長尺状のシート12とを備えている。ロール体10は、図3に示されるように、巻芯11とシート12の間に位置する第1隙間13に充填された第1充填部14と、巻芯11とシート12の間に位置する第2隙間15に充填された第2充填部16と、シート12の一部を巻芯11に固定するための固定部材17とを備えており、また図2および図6に示されるように巻芯11の幅方向DR1における第1充填部14の端部14Aがシート12の外側に露出することを抑制する一対の第1露出抑制部材18と、巻芯11の幅方向DR1における第2充填部16の端部16Aがシート12の外側に露出することを抑制する一対の第2露出抑制部材19とをさらに備えている。
【0040】
シート12は、巻芯11に複数周以上、例えば2周以上巻回されている。ロール体10は、第1露出抑制部材18および第2露出抑制部材19の少なくともいずれかを備えていればよく、両方備えていなくともよい。また、ロール体10は、一対の第1露出抑制部材18を備えているが、第1露出抑制部材18を備える場合には、少なくとも片側の第1露出抑制部材18を備えていればよい。ロール体10は、一対の第2露出抑制部材19を備えているが、第2露出抑制部材19を備える場合には、少なくとも片側の第2露出抑制部材19を備えていればよい。
【0041】
また、ロール体10は、図3に示されるように、第1充填部14に連設され、かつ1周目のシート12と2周目のシート12の間に介在した第1介在部20をさらに備えている。ロール体10は、図3に示されるように第1介在部20を備えているが、図8に示されるロール体30のように第1介在部を備えていなくともよい。
【0042】
<<巻芯>>
巻芯11の形状は、特に限定されないが、シート12を容易に巻回できる観点から、円柱状または円筒状であることが好ましい。図1に示される巻芯11は、円筒状となっている。巻芯が円筒状である場合には、巻芯11の幅方向DR1の孔11Bに巻取装置のチャック部材が挿入されることにより、ロール体10を保持できる。チャック部材は巻芯11の孔11Bに挿入されることによって、巻取装置に対しロール体10を回転可能に固定および保持するための部材である。巻芯が円柱状の場合には、巻芯は巻芯を貫通する軸部材を備えており、軸部材を巻取装置に装着することにより、巻取装置にロール体を保持できる。
【0043】
巻芯11の幅W1(図2参照)は、特に限定されないが、例えば、0.1m以上50m以下であってもよい。巻芯11の幅W1の下限は、0.2m以上、0.3m以上、0.7m以上、1.0m以上、1.5m以上、または2m以上であってもよく、上限は、30m以下、20m以下、10m以下、7m以下、5m以下、3.5m以下、3m以下、または2.5m以下であってもよい。巻芯の幅は、巻芯の幅を10箇所測定し、測定された10箇所の幅中、最大値と最小値を除いた8箇所の幅の算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0044】
巻芯11の外径は、特に限定されないが、例えば、30mm以上8000mm以下であってもよい。巻芯11の外径の下限は、90mm以上または100mm以上であってもよく、また上限は、5000mm以下、3500mm以下、2000mm以下、1000mm以下、700mm以下、500mm以下、350mm以下、または300mm以下であってもよい。巻芯の外径は、巻芯の外径を10箇所測定し、測定された10箇所の外径中、最大値と最小値を除いた8箇所の外径の算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0045】
巻芯11が円筒状である場合には、巻芯11の内径は、特に限定されないが、20mm以上7500mm以下であってもよい。巻芯11の内径の下限は、50mm以上、80mm以上、120mm以上、150mm以上であってもよく、また上限は、4500mm以下、3000mm以下、1500mm以下、900mm以下、600mm以下、400mm以下、250mm以下、または200mm以下であってもよい。巻芯の内径は、巻芯の内径を10箇所測定し、測定された10箇所の内径中、最大値と最小値を除いた8箇所の内径の算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0046】
シートの巻き始め端部に起因する段差を緩和するために、シートの巻き始め端部の位置が巻芯の中心に近くなるように巻芯の外周面におけるシートが接する部分に段差を形成することもあるが、巻芯11の外周面11Aにおけるシート12が接する部分には、このような段差は形成されていない。外周面11Aの上記部分に段差を有しない巻芯11を用いることにより、様々な厚みのシート12にも対応することができる。本明細書における「巻芯の外周面におけるシートが接する部分に段差が形成されていない」とは、巻芯の中央部、および中央部から巻芯の幅方向に100mm以上離れた部分の各周において、それぞれ高さの差が3μm以上となる部分がないことを意味するものとする。なお、巻芯11の外周面11Aにおけるシート12が接する部分に、上記高さの差が3μm未満となる段差は形成されていてもよい。このような段差が形成されている場合、使用上の問題がなく、また巻芯11からシート12が剥がしやすくなる。
【0047】
巻芯11を構成する材料は、特に限定されない。巻芯11を構成する材料としては、例えば、紙、プラスチック、または金属等が挙げられる。紙には、樹脂を含浸させた紙も含まれる。プラスチックとしては、繊維強化プラスチック(FRP/Fiber Reinforced Plastics)、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、フェノール樹脂、ナイロン等が挙げられる。これらの中でも、例えば光学用のコーティング加工する場合は、重量、加工性および強度の観点から、繊維強化プラスチック(FRP)が好ましい。繊維強化プラスチックとしては例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂からなる主体に、ガラス、エポキシ、ポリエステル、カーボン、アラミド等の繊維をハイブリッドさせたものが挙げられる。金属としては、例えば、鉄、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等が挙げられる。
【0048】
<<シート>>
シート12は、長尺状のものである。具体的には、シート12は、幅に対して厚みが充分薄く、また長さが充分長いものである。
【0049】
シート12の幅W2(図2参照)は、特に限定されないが、例えば、0.1m以上50m以下であってもよい。本明細書における「シートの幅」とは、シートの短手方向(巻芯の幅方向)の長さを意味する。シート12の幅W2の下限は、0.2m以上、0.3m以上、0.5m以上、1.0m以上、または2.0m以上であってもよく、上限は、30m以下、20m以下、10m以下、7m以下、5m以下、3.5m以下、または3m以下であってもよい。シートの幅は、シートの幅を10箇所測定し、測定された10箇所の幅中、最大値と最小値を除いた8箇所の幅の算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0050】
シート12の幅W2は、巻芯11の幅W1よりも小さくなっていることが好ましい。これにより、巻芯11によりシート12を確実に保持することができる。例えば、シート12の幅W2は、巻芯11の幅W1よりも1mm以上50mm以下程度小さくなっていると、製品面付の場合において、未使用部が少なくなり効率良く採取できるので、好ましい。この差の下限は、1mm以上、20mm以上、または50mm以上であってもよく、また上限は、70mm以下、40mm以下、または25mm以下であってもよい。
【0051】
シート12の長さは、例えば、20m以上10000m以下であってもよい。本明細書における「シートの長さ」とは、シートの長手方向DR2(図3参照)の長さを意味する。シート12の長さの下限は、30m以上、40m以上、または50m以上であってもよく、上限は、9000m以下または8000m以下であってもよい。
【0052】
シート12の厚みは、特に限定されないが、例えば、3μm以上600μm以下であってもよい。シート12の厚みの下限は、10μm以上、15μm以上、20μm以上、または30μm以上であってもよく、上限は、500μm以下、400μm以下、300μm以下、200μm以下、110μm以下、または80μm以下であってもよい。用途により、薄膜が好まれる場合にはこの限りではなく、3μm以上50μm未満、更には40μm以下が好ましい。シートの厚みは、シートの厚みを10箇所測定し、測定された10箇所の厚み中、最大値と最小値を除いた8箇所の厚みの算術平均値を求めることによって求めることができる。なお、上記段差はシートの厚みが厚い場合は生じにくいが、薄くなるほど顕著になる。本発明は、シートの厚みが薄い(80μm以下、50μm未満、更には40μm以下)場合に特に有効である。
【0053】
シート12が、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂(特に、ポリエチレンテレフタレート)、またはシクロオレフィンポリマー系樹脂を含む場合には、シート12の厚みは、15μm以上300μm以下であることが好ましい。シート12がこれらの樹脂のいずれかを含む場合、上記段差はシートの厚みが薄くなるほど顕著になるが、シートの厚みを極めて薄くすると、上記段差が逆に小さくなる傾向がある。例えば、後工程に50℃以上の加熱工程がある場合には、薄いシートであると、上記段差による変形が解消できる場合もある。しかし、シートの厚さがある程度の厚さ(例えば、15μm以上)であると、加熱工程を行っても上記変形が解消されないおそれがある。このため、シート12の厚みが15μm以上である場合に、特に有効である。また、シート12がこれらの樹脂のいずれかを含む場合、シートの厚みが厚すぎると、塗布材料が多量必要となる。このため、コスト低減の観点から、シート12の厚みは300μm以下であることが好ましい。また、これらの樹脂のいずれかを含む場合には、厚み300μmを超えると段差は生じにくいこともある。シート12がこれらの樹脂のいずれかを含む場合、シート12の厚みの下限は、20μm以上、35μm以上、または50μm以上であることがより好ましく、シート12の厚みの上限は、250μm以下、200μm以下、150μm以下、または100μm以下であることがより好ましい。これらの樹脂のいずれかを含む場合には、薄すぎず、厚すぎない厚みにおいて特に有効である。
【0054】
シート12が、後述するガラスフィルムの場合、ガラスフィルムの厚みは、5μm以上100μm以下であることが好ましい。ガラスフィルムの厚みが5μm以上であれば、ガラスとしての物理特性を維持することができ、また、100μm以下であれば、ロール状に巻き取りやすい。ガラスフィルムの厚みの下限は、クラックが生じにくく、また微小クラックが生じたとしても割れにくい観点から、10μm以上、15μm以上、または20μm以上であってもよい。また、ガラスフィルムの厚みの上限は、長尺化や薄膜化の観点から、40μm以下、30μm以下、または25μm以下であってもよい。
【0055】
シート12が、後述する紙の場合、紙の厚みは、50μm以上110μm以下であることが好ましい。紙の厚みが50μm以上であれば、長期において強度が担保でき、また110μm以下であれば、ロール状に巻き取りやすい。紙の厚みの下限は、工程上の取り扱い易さの観点から、50μm以上、60μm以上、または70μm以上であってもよい。また、紙の厚みの上限は、ロールの長尺化の観点から、100μm以下、90μm以下、または80μm以下であってもよい。
【0056】
また、固定部材17が設けられている場合、固定部材17上にシート12が配置されるので、シート12と固定部材17の合計の厚みがシートの巻き始め端部に起因する段差に影響を与える。したがって、例えば、固定部材17の厚みが3μm以上10μm以下である場合を想定すると、シート12の厚みは薄い方が好ましいため、その上限は、130μm以下、更には90μm以下であることが好ましい。また、固定部材が粘着テープの場合は、固定部材の厚みがシートの厚みの15%を超えると、上記段差への影響が更に生じやすい。そのため、シート12の厚みは薄すぎない方が良く、シート12の厚みの下限は、例えば20μm以上または35μm以上であることが好ましい。
【0057】
シートとしては、例えば、フィルム、金属箔、紙(例えば、壁紙)等が挙げられる。フィルムは、例えば、樹脂フィルムやガラスフィルムであってもよい。本明細書における「ガラスフィルム」とは、ロール状に巻き取ることが可能な可撓性を有するガラス基材を意味する。光透過性が要求される用途(例えば、光学フィルム用途)に樹脂フィルムやガラスフィルムを用いる場合には、樹脂フィルムやガラスフィルムは光透過性を有することが好ましい。このような樹脂フィルムを構成する樹脂としては、光透過性を有すれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シクロオレフィンポリマー系樹脂)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、アセチルセルロース系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース系樹脂)、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、またはこれらの樹脂を2種以上混合した混合物等が挙げられる。これらの中でも、比較的柔軟性の高い樹脂フィルム、例えばアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アセチルセルロース系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、またはポリアミド系樹脂を含む樹脂フィルムは、シートの巻き始め端部に起因する段差や固定部材に起因する段差によって変形しやすいため、本発明の技術は有効である。更に、近年、大型ディスプレイには、歪みが少なく、かつ水分透過性が低い低透湿樹脂が好まれて用いられている。大型ディスプレイの場合、シート幅全体が製品になる場合が多いため、一部でも段差による変形が残っていると、全体を廃棄しなければならない。例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、シクロオレフィンポリマー系樹脂は大型ディスプレイに好ましく用いられるが、本発明の技術によれば、段差による変形を良好に防止でき、かつ量産性を向上させることができるため、本発明の技術はこれらの樹脂からなるシートに対して特に有効である。また、最終製品において薄さが求められる場合、例えば、厚みが50μm未満のフィルムを用いる場合には、いかなる素材のフィルムにおいても本発明の技術は好適である。
【0058】
シート12の面内位相差(リタデーション:Re)は、特に限定されない。例えば、シート12の面内位相差Reは、1nm以上20000nm以下であってもよい。シート12が、光学フィルム用途である場合であって、特にアクリル系樹脂やシクロオレフィンポリマー系樹脂を含む場合には、シート12の面内位相差Reは、10nm以下であることが好ましい。シート12の面内位相差Reが10nm以下であるということは、光学的歪みが小さいということであり、シート12の製造時の残留応力がほぼないと言える。つまり、シート12の面内位相差Reが10nm以下であることは、シート12内のポリマーが均一であるため、シート12を長尺ロールにした場合、シート12内部のポリマー状態に起因した新たな段差が生じにくくなるので、好ましい。シート12の面内位相差Reの上限は、ディスプレイ用途において、偏光子と組み合わせて用いる際に課題となる色むらやブラックアウトが生じにくいという観点から、8nm以下、または4nm以下であることがより好ましい。また、アクリル系樹脂の場合、光学用途であれば、従来のアクリル系樹脂フィルムのように曲げた場合に、白くなるという現象が発生せず、またヘイズ値(全ヘイズ値)は1%以下または0.5%以下と小さい方が好ましい。
【0059】
また、シート12が、光学フィルム用途であり、ポリエステル系樹脂を含む場合にも、上記と同様にシート12内のポリマーが均一である方が内部のポリマー状態に起因した新たな段差が生じにくく好ましい。シート12がポリエステル系樹脂を含む場合には、物理的強度を得るために延伸が欠かせないため、ポリマー状態をなるべく均一にするためには、縦横にほぼ同倍率で逐次または同時2軸延伸によって製造するとよい。その結果、従来よりも面内位相差が小さいポリエステル系樹脂を含むシートが得られる。この面内位相差が小さいとは、シートの厚みが10μm~90μmで、面内位相差が1500nm以下であることを意味し、好ましくは1200nm以下、より好ましくは1000nm以下、さらに好ましくは800nm以下である。なお、二軸延伸ポリエステルのプラスチックフィルムとしての弾性率や引き裂き強度など物理特性を良好にするためには、面内位相差は小さすぎない方が良く、200nm以上、更には400nm以上が好ましい。
【0060】
また、更に物理特性を良好にするためには、面内方向の複屈折とともに膜厚方向の複屈折とのバランスも考慮した方がよい。その指標としてはNz係数がある。Nz係数はフィルム内部の結晶性や配向性が影響するものなので、シート全体の特性に関わっている。Nz係数は、例えばポリエチレンテレフタレートである場合は、通常2~4であるが、特に長尺ロールにした場合、シート内のポリマー状態に起因した新たな段差が生じにくいという点において、好ましくは5以上、更に好ましくは8以上、最も好ましくは10以上である。Nz係数の上限は80程度であり、好ましくは70以下、最も好ましくは50以下である。
【0061】
面内位相差(Re)は、シートの面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率nx、前記面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率ny、およびシートの厚みt(nm)により、下記数式(1)によって表わされるものである。下記数式(1)より、面内位相差が小さいことは、配向性の程度が低いため折り曲げ耐性を良好にし得る傾向があることが分かる。面内位相差(Re)は、例えば、大塚電子社製の商品名「RETS-100」により測定できる。
面内位相差(Re)=(nx-ny)×t …(1)
【0062】
Nz係数は、シートの厚み方向の屈折率nz、上記nxおよび上記nyにより、下記数式(2)によって表わされるものである。
Nz係数=(nx-nz)/(nx-ny) …(2)
【0063】
RETS-100を用いて上記Reを測定する場合には、以下の手順に従って測定することができる。まず、RETS-100の光源を安定させるため、光源を点灯させてから60分以上放置する。その後、回転検光子法を選択するとともに、θモード(角度方向位相差測定モード)選択する。このθモードを選択することにより、ステージは傾斜回転ステージとなる。
【0064】
次いで、RETS-100に以下の測定条件を入力する。
(測定条件)
・リタデーション測定範囲:回転検光子法
・測定スポット径:φ5mm
・傾斜角度範囲:-40°~40°
・測定波長範囲:400nm~800nm
・サンプルの平均屈折率(例えば、PETの場合には、N=1.617とし、またアクリル樹脂フィルムの場合には、1.5とする。)
・厚み:SEMや光学顕微鏡で別途測定した厚み
【0065】
次いで、この装置にサンプルを設置せずに、バックグラウンドデータを得る。装置は閉鎖系とし、光源を点灯させる毎にこれを実施する。
【0066】
その後、この装置内のステージ上にサンプルを設置する。サンプルの形状は、どのような形状であってもよく、例えば、長方形状であってもよい。サンプルの大きさは、50mm×50mmであってもよい。ただし、サンプルは、シートのそれぞれ端からシートの内側に35mm以上離れた部分(例えば、シートの中央部)から切り出すものとする。サンプルが複数存在する場合には、全て同じ向きで設置する必要がある。例えば、サンプルを全て同じ向きで設置するために予め印を全サンプルに付けておくことが好ましい。
【0067】
サンプルを設置した後、温度23±5℃および相対湿度50±20%の環境下で、XY平面上でステージを360°回転させて、進相軸および遅相軸を測定する。測定終了後、遅相軸を選択する。その後、遅相軸を中心にステージが設定した角度範囲に傾きながら測定が行われ、10°刻みで、設定傾斜角度範囲および設定波長範囲のデータ(Re)が得られる。面内位相差Reは、入射角0°および波長589nmの光で測定したときの値とする。面内位相差Reは、位置が異なる5点で測定する。具体的には、まず、図10に示されるようにサンプルSAの中心A1を通る2本の直交する仮想線IL1、IL2を引く。この仮想線IL1、IL2を引くと、サンプルが4つの区画に分かれる。そして、各区画において中心A1から等距離にある1点、合計4点A2~A4を設定し、中心A1および点A2~A4の合計5点で測定する。そして、5点の測定値中、最大値と最小値を除いた3点の算術平均値を面内位相差Reとする。
【0068】
シート12は、単層構造であってもよいが、2層以上積層された積層構造のものであってもよい。具体的には、シート12は、基材単体や機能層単体であってもよいが、例えば、基材上に1以上の機能層が形成された積層体(例えば、光学積層体)であってもよい。基材の中には、易接着のために基材の片面や両面に下地層が形成されたものもある。本明細書における「基材」とは、下地層を備えていないもののみならず、基材の片面や両面に下地層を備えているものも含む概念である。すなわち、本明細書においては、基材に下地層が形成されている場合、基材と下地層の積層体を基材とする。ただし、この場合の下地層は、基材に接している下地層であり、基材に接していない下地層までは含まない。下地層の膜厚は、通常、0.01μm以上1.0μm以下である。また、本明細書における「機能層」とは、積層体において、何らかの機能を発揮することを意図された層である。具体的には、機能層としては、例えば、基材に接していない下地層、ハードコート層、衝撃吸収層、防眩層、帯電防止層、導電層、放熱層、紫外線吸収層、特殊波長吸収層、特殊波長透過層、色再現性向上層、液晶層、位相差調整層、視野角調整層、反射層、着色層、反射防止層(高屈折率層、低屈折率層)、防汚層、撥水層、撥油層など、またはこれらの組み合わせ等が挙げられる。本明細書における「機能層」は、単層構造であってもよいが、積層構造であってもよい。ただし、本明細書においては「機能層」は、シート12の使用時にも存在する層であり、使用時には剥離される剥離ライナーは含まれないものとする。シートに剥離ライナーが存在すると、欠点が生じやすくなるとともに、上記段差とは異なる新たな段差が生じやすくなる。仮に剥離ライナーがシート12に設けられている場合には、剥離ライナーを剥いだ状態で巻芯11に巻回する。
【0069】
シート12の用途としては、特に限定されないが、例えば、光学用途(光学フィルム用途、偏光板用途、表示装置用途)、建具用途、自動車内装加飾用途、電池部材用途、食品包材用途、農業用途、美容用途、意匠用途、医療用途等が挙げられる。これらの中でも、光学用途のフィルムは、シートの巻き始め端部に起因する段差や固定部材に起因する段差があると、外観のみならず、光透過性に影響を与えてしまうおそれがあるので、本発明の技術は光学用途に特に有効である。
【0070】
シート12は、巻き始め端部12A(図3参照)と巻き終わり端部12B(図1参照)を備えている。ロール体10においては、巻き始め端部12Aは、巻き終わり端部12Bより巻芯11側に位置している。ロール体10においては、図3に示されるように、巻き始め端部12Aにおける長手方向DR2に位置する先端面12A1は、固定部材17の後述する第2端面17Bと巻芯11の径方向DR3(巻芯11の外周面11Aの法線方向)においてほぼ揃っている。本明細書における「ほぼ揃っている」とは、巻き始め端部12Aの長手方向DR2における先端面12A1と第2端面17Bの距離が、固定部材17の幅W3(図4参照)の±20%以内であることを意味する。なお、上記「+」は先端面12A1が第2端面17Bよりも突き出ていることを意味し、上記「-」は先端面12A1が第2端面17Bよりも引っ込んでいる(すなわち、第2端面17Bが先端面12A1よりも突き出ている)ことを意味する。
【0071】
<<固定部材>>
固定部材17は、巻芯11の外周面11Aに対してシート12の一部を固定するためのものである。固定部材17は、巻芯11の幅方向DR1に延びている。これにより、シート12の一部を巻芯11の幅方向DR1に沿って巻芯11の外周面11Aに固定することができる。
【0072】
固定部材17は、第1端面17Aと、第1端面17Aの反対側の第2端面17Bとを有している。第1端面17Aおよび第2端面17Bは、いずれも巻芯11の幅方向DR1に延びている。第2端面17Bは、第1端面17Aより巻き始め端部12A側に位置している。
【0073】
図3においては、固定部材17は、巻芯11の外周面11Aおよびシート12の巻き始め端部12Aに密着しており、巻芯11の外周面11Aに対してシート12の巻き始め端部12Aを固定している。なお、シート12の1周目であれば、巻き始め端部12Aではない部分でシート12を固定してもよい。図3において、固定部材17の表面は、全て巻き始め端部12Aに密着しているが、図9に示されるロール体40のように、巻き始め端部12Aが固定部材17に対し巻取り時に問題とならない程度に固定、例えば巻取り時に巻き始め端部12Aが固定部材17から剥がれない程度に固定されていれば、巻き始め端部12Aと固定部材17の間に第1充填部14や第1露出抑制部材18が入り込んでいてもよい。
【0074】
固定部材17としては、特に限定されないが、接着部材や両面テープ等の粘着部材等が挙げられる。固定部材17は、弾性(クッション性)を有していてもよい。粘着部材は、両面に粘着性を有するものである。
【0075】
固定部材17の幅W3(図4参照)は、5mm以上100mm以下であることが好ましい。固定部材17の幅W3が5mm以上であれば、確実に巻芯11の外周面11Aにシート12の一部を固定することができ、また100mm以下であれば、シート12に皺を発生させずにシート12を巻回することができる。本明細書における「固定部材の幅」とは、第1端面から第2端面までの距離を意味するものとする。固定部材17の幅W3の下限は、10mm以上、20mm以上、または30mm以上であることが好ましく、上限は、50mm以下または40mm以下であることが好ましい。
【0076】
固定部材17の厚みは、3μm以上600μm以下であることが好ましい。固定部材17の厚みが3μm以上であれば、確実に巻芯11の外周面11Aの一部を固定することができ、また600μm以下であれば、シート12の変形をより抑制できる。固定部材17の厚みの下限は、5μm以上、10μm以上、または20μm以上であることが好ましく、上限は、200μm以下、100μm以下、または50μm以下であることが好ましい。固定部材の厚みは、固定部材の厚みを10箇所測定し、その10箇所の厚みの算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0077】
<第1隙間>
第1隙間13は、巻き始め端部12Aにおける長手方向DR2に位置する先端面12A1に接する隙間である。具体的には、図3に示される第1隙間13は、巻芯11の外周面11Aと、1周目のシート12の裏面12Cと、巻き始め端部12Aの先端面12A1と、固定部材17の第2端面17Bとによって囲まれる隙間である。固定部材17が設けられていない場合には、第1隙間は、巻芯の外周面と、1周目のシートの裏面と、巻き始め端部の先端面とによって囲まれる隙間である。
【0078】
第1隙間13は、先端面12A1に接する隙間であるとともに、巻芯11と1周目のシート12の間に位置し、かつ第2端面17Bに接する隙間でもあるので、後述する第3隙間でもある。
【0079】
<第2隙間>
第2隙間15は、固定部材17の第1端面17Aに接する隙間である。具体的には、図3に示される第2隙間15は、巻芯11の外周面11Aと、1周目のシート12の裏面12Cと、固定部材17の第1端面17Aとによって囲まれる隙間である。
【0080】
<第1充填部>
第1充填部14は、第1隙間13に充填されている。すなわち、第1充填部14は、巻芯11の外周面11Aと、1周目のシート12の裏面12Cと、巻き始め端部12Aの先端面12A1と、固定部材17の第2端面17Bとに接している。なお、固定部材17が設けられていない場合には、第1充填部は、巻芯の外周面と、1周目のシートの裏面と、巻き始め端部の先端面とに接している。本明細書における「充填」とは、充填部を構成する材料で隙間が概ね埋められている状態を意味する。ただし、充填部の内部には空隙を有していてもよい。
【0081】
シート12は、製品として使用される有効領域R1(図2参照)と、巻芯の幅方向DR1における有効領域R1の両側に位置し、製品としては使用されない非有効領域R2(図2参照)とを有しており、第1充填部14は、少なくとも有効領域R1に存在している。有効領域R1は製品として使用される領域であるので、第1充填部14は、巻芯11の幅方向DR1において有効領域R1全体に存在していることが好ましい。なお、非有効領域R2はそもそも製品として使用されない領域であり、上記段差を緩和する必要もないので、第1充填部14が非有効領域R2に存在していなくても問題はない。非有効領域R2は、シートの用途やシートの幅によっても異なるが、通常、シートの幅方向の両端から内側にそれぞれ10mm~30mm以内となる領域である。
【0082】
第1充填部14における巻芯11から1周目のシート12が離間する離間位置P1側の先端部14Bのエッジ厚みT1(図4参照)は、この厚みが厚いとこの厚みに起因して新たな段差が形成されるおそれがあるので、薄い方が好ましい。具体的には、例えば、エッジ厚みT1は、50μm以下であることが好ましい。エッジ厚みT1は、巻き始め端部12Aから巻き始め端部12Aの段差に起因する変形が視認されなくなった地点までの距離である変形緩和長さを短くできる点から、30μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下、更には2μm以下であることがより好ましい。巻き始め端部に起因する段差が緩和されるほど、この段差に起因するシートの変形が緩和されるので、変形緩和長さが短くなる。本明細書における「変形緩和長さ」には、巻き始め端部に起因する段差によるシート変形が緩和されるまでの長さで用いられる意味の他に、固定部材に起因する段差によるシート変形が視認されなくなるまでの長さの意味で用いられることもある。変形緩和長さを固定部材に起因する段差によるシート変形が視認されなくなるまでの長さの意味で用いられる場合には、変形緩和長さは、巻き始め端部12Aから固定部材17の段差に起因する変形が視認されなくなった地点までの距離である。変形緩和長さは、短い方が好ましく、具体的には、100m以下、75m以下、60m以下、50m以下、35m以下、20m以下、または15m以下であることが好ましい。なお、変形緩和長さが75m以下であれば、シート変形が視認されない部分がより多くなるので、良好である。変形緩和長さは上記したように段差によるシート変形が視認されなくなるまでの長さであるが、段差が存在するか否かは、以下のようにして判断するものとする。まず、800Lux以上2000Lux以下の室内環境下において、長尺状のシートに白色LED灯や白色蛍光体等の白色光源管(例えば、40W形直管型LED(消費電力18W、全光束3100Lm、色温度5000K))を映り込ませ、シートに映り込んだ白色光源管の輪郭のラインが、シートの他の部分と比較して歪む部分がある場合を段差が存在すると判断し、段差が存在した周辺において映り込ませた白色光源管の輪郭のラインがシートの他の部分と同じと判断できる部分を段差が存在しないと判断する。白色光源管は、白色光源管の長手方向がシートの長手方向に沿うように配置する。シートの幅と長さによって、白色光源管の長さも変更可能である。具体的には、白色光源管の長さは、シートにおける段差が存在する部分と段差が存在しない部分とに渡った長さとすることが好ましい。これにより、段差が存在する部分が分かりやすくなる。また、観察環境が上記のような明るさであれば、白色光源管自身は点灯していても、点灯していなくても良い。観察の際には、白色光源管がシートに映り込んでその輪郭のラインが見える状態であることが重要である。このため、観察条件としては、白色光源管の輪郭のラインが明確に見える方を適宜選択する。例えば、シートの表面よりもシートの裏面の方が白色光源管の輪郭のラインが見えやすい場合には、シートの裏面に白色光源管を映し込ませて、段差が存在するか確認してもよい。具体的には、例えば基材の表面側に防眩層など、白色光源管が映り込みにくい機能層が積層されている積層体の場合は、防眩層側から観察すると、段差が存在するか確認しにくい場合がある。このため、この場合には、防眩層が積層されていない基材の裏面側に白色光源管を映し込ませて、段差が存在するか確認するとよい。なお、この判断は、基材の上に1以上の機能層が積層された積層体や、それを偏光子に貼り付けた積層体など、様々な用途のロール体でも用いることができる。例えば、機能層として防眩層が基材上に積層されている場合、段差が存在する部分は圧で防眩機能を発揮する凹凸形状が潰れて影など着色して見えることで判断も可能である。また、様々な機能層が積層され、ロール体の視認側面またはその反対面に白色光源管が映り込みにくい場合には、上記のように形状変化で影などによって他の部分とは異なる着色が見えることで判断可能である。
【0083】
また、シート12が3μm以上50μm未満の厚みを有する薄膜フィルムの場合は、厚みが厚い場合よりも巻き始め端部12Aに起因する段差の影響を受けやすいので、このような薄膜フィルムを用いる場合には、エッジ厚みT1は、10μm以下であることが好ましく、また上記変形緩和長さを最短にする点から、7μm以下、5μm以下、更には1μm以下がより好ましい。エッジ厚みT1の下限は、0.1μm以上、0.3μm以上、または0.5μm以上であってもよい。
【0084】
上記変形緩和長さを最短にする観点からは、エッジ厚みT1は上述した厚みが好ましいが、巻芯の表面は、表面仕上げが施されており、凹凸が存在していることがある。第1充填部の先端部においてはこの凹凸に沿って第1充填部を構成する材料が埋め込まれるので、エッジ厚みT1が存在する部分と、存在しない部分が生じてしまい、むらになるおそれがある。しかしながら、エッジ厚みT1が薄ければ、このようなむらが発生したとしても、実害がない。このため、凹凸が存在して、むらとなってしまう場合には、エッジ厚みT1は薄い方が好ましく、具体的には、例えば、エッジ厚みT1は15μm以下、10μm以下、5μm以下、または1μm以下であることが好ましい。この場合のエッジ厚みT1の下限は、0.1μm以上、0.3μm以上、または0.5μm以上であってもよい。
【0085】
一方で、エッジ厚みT1が存在することによる効果も存在する。例えば、巻芯はロール体の使用後に再利用されることが多い。このため、巻芯には、第1充填部など巻芯に接している充填部を巻芯から剥がして、または洗浄や拭き取りによって除去することにより巻芯を再利用するリワーク性が求められている。このため、例えば第1充填部14は、後述するように巻芯11に対して接着されていないことが好ましい。また、第1充填部14が巻芯11およびシート12にそれぞれ接している部分においては、シート12が第1充填部14から綺麗に剥がせることが好ましい。仮に、シート12を第1充填部14から剥がす際に、第1充填部14が凝集破壊してしまうと、巻芯11から第1充填部14を全て綺麗に剥がすことが困難となる場合がある。これに対し、エッジ厚みT1が存在すると、シート12を剥離するきっかけになるため、リワーク性の観点からは、エッジ厚みT1をあえて存在させることが好ましい。例えば、リワーク性の観点からは、エッジ厚みT1は5μm以上とすることが好ましい。このエッジ厚みT1は巻芯やシートの材質によって好ましい厚さが変わり、エッジ厚みT1を1.5μm以上、更には5μm以上としてもよい。エッジ厚みの上限は、厚みに起因して新たな段差が形成されるおそれがあるので、30μm以下が好ましい。
【0086】
エッジ厚みT1の測定は、走査型光干渉式表面形状測定機を用いて測定することが可能である。このような表面形状測定機としては、例えば、Zygo社製の「New View」シリーズ等が挙げられる。
【0087】
具体的には、走査型光干渉式表面形状測定機(製品名「New View7300」、Zygo社製)を用いて、以下のようにしてエッジ厚みT1を求めることができる。まず、シートを全て繰り出すと、第1充填部14がシート12側に付着し、巻芯から剥がれることがある。第1充填部14が繰り出されたシート12側に付着している場合には、シートから、第1充填部14の先端部14Bを含む大きさ0.5mm角以上の1以上のサンプルを得る。なお、サンプルは0.5mm角以上の大きさであれば、正方形に限らず長方形(例えば、2mm×5mm)であってもよい。サンプルは、第1充填部14を含み、かつ汚れや指紋等が付着していない任意の箇所から切り出すものとする。そして、以下の測定条件で、第1充填部14のエッジ厚みT1を測定する。エッジ厚みT1は、エッジ厚みを10箇所測定し、測定された10箇所の厚み中、最大値と最小値を除いた8箇所の厚みの算術平均値を求めることによって求めることができる。
(測定条件)
・対物レンズ:10倍
・Zoom:1倍
・測定領域:2.17mm×2.17mm
・scan Length:5μm
・min mod:0.015
【0088】
第1充填部14における先端面12A1に接する位置での厚みT2(図4参照)は、固定部材17が存在する場合には、固定部材17とシート12の厚みの合計よりも厚く、また固定部材17が存在しない場合には、シート12の厚みよりも厚いことが好ましい。厚みT2をこのような厚みにすることにより、巻き始め端部12Aに起因する段差をより効果的に緩和することができる。ただし、厚みT2が厚すぎると、巻き始め端部12Aに起因する段差を緩和することができるが、シート12の巻取りに悪影響が出ることがある。このため、例えば、シート12の厚みが50μm以上200μm以下の場合には、厚みT2は52μm以上220μm以下であることが好ましく、更には52μm以上150μm以下であることが好ましく、またシート12の厚みが3μm以上50μm未満である場合には、厚みT2は50.5μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0089】
第1充填部14における先端面12A1に接する位置での厚みT2は、以下のようにして測定することができる。厚みT2は、第1介在部20が存在する場合と、第1介在部20が存在しない場合で、測定方法が異なってもよい。第1介在部20が存在しない場合には、レーザー変位計や実体顕微鏡を用いて測定することができ、第1介在部20が存在する場合には、実体顕微鏡を用いて測定することができる。レーザー変位計や実体顕微鏡による厚みT2の測定は、温度23±5℃および相対湿度50±20%の環境下で行うものとする。
【0090】
レーザー変位計による厚みT2の測定は、以下のようにして行うことができる。以下の測定方法は、レーザー光の反射を利用するので、シート12が透明であり、かつ第1充填部が透明ではない場合(例えば、着色されている場合)に特に有効である。まず、ロール体10を回転させるための治具と、レーザー変位計(例えば、製品名「LK-G30」、株式会社キーエンス製)とを用意し、それぞれ所定の位置に配置する。治具は、巻芯11の幅方向DR1の孔11Bに挿入され、ロール体10を回転可能に保持するよう構成されている。なお、レーザー変位計として、LK-G30を挙げているが、LK-G30でなくとも、後継機種などの同等のレーザー変位計を用いてもよい。
【0091】
レーザー変位計は、レーザー光源と、受光素子とを備えており、レーザー光源から照射し、第1充填部14の表面で反射したレーザー光を受光素子で受け取り、受光素子での受光位置によって変位を測定できる装置である。
【0092】
レーザー変位計は、ロール体10の上方に位置し、レーザー光がロール体10の表面に向けて照射されるように3台配置されている。レーザー変位計の配置箇所は、以下の通りとする。まず、図11に示されるようにシート12の幅を3等分する第1位置B1および第2位置B2を定める。第1位置B1は、シート12の幅方向(巻芯11の幅方向DR1)の第1端12G1側に位置し、第2位置B2は、第1端12G1とは反対側の第2端12G2側に位置する。そして、1台目のレーザー変位計は第1位置B1と第1端12G1の中点C1にレーザー光が照射されるように配置され、2台目のレーザー変位計は第1位置B1と第2位置B2の中点C2にレーザー光が照射されるように配置され、3台目のレーザー変位計は第2位置B2と第2端12G2の中点C3にレーザー光が照射されるように配置される。
【0093】
そして、ロール体10を治具に取り付け、ロール体10から第1充填部14が露出するまでシート12を繰り出す。その後、第1充填部14が露出した状態で、巻芯11を回転速度30mm/sで回転させながらレーザー変位計によってサンプリング周期200μsで連続的に変位量を測定して、横軸を位置(mm)とし、縦軸を変位量(mm)とするグラフ(図12参照)を得る。この測定は、第1充填部14の先端部14Bから先端面12A1に接する位置に向けて行い、この測定においては、基準高さ(変位量0mmライン)を巻芯11の高さとし、基準高さと第1充填部14の変位量の差を第1充填部14の厚みとする。また、このグラフは、横軸の1目盛りを5mmとし、縦軸の1目盛りを0.02mmとする。
【0094】
このグラフにおいて、第1充填部14が存在する箇所においては、先端部14Bから変位量が上昇するが、第1充填部14における先端面12A1に接する位置以降は、変位量が急激に低下する。このため、グラフで変位量が急激に低下し始める位置変位曲線上の位置E1を見付け出す。そして、変位量0mmラインと位置E1の変位量の差を求めることによって、第1充填部14における先端面12A1に接する位置の厚みT2を求める。
【0095】
実体顕微鏡による厚みT2の測定は、以下のようにして行うことができる。まず、巻き始め端部12A、第1充填部14、および2周目のシート12を含む部分が潰れないようにこの部分を採取し、固定する。そして、固定されたこの部分の断面を研磨し、第1充填部14の厚みT2を実体顕微鏡(例えば、製品名「デジタルマイクロスコープVHX-7000」、株式会社キーエンス製)で測定する。なお、実体顕微鏡として、デジタルマイクロスコープVHX-7000を挙げているが、VHX-7000でなくとも、後継機種などの同等の実体顕微鏡を用いてもよい。
【0096】
第1充填部14は、着色材料や発光材料を含むことが好ましい。第1充填部14が着色材料や発光材料を含むことにより、ロール体10から第1充填部14がはみ出したときに目視により確認しやすい。また、第1充填部14の厚みや長さ等を確認しやすくなる。
【0097】
第1充填部14が着色されている場合、第1充填部14の色としては、特に限定されないが、第1充填部14の存在を確実に把握でき、また第1充填部14の成分が巻取装置に付着しても目立ち難い観点から、白色や灰色等が好ましい。
【0098】
第1充填部14が着色されている場合、第1充填部14は着色材料を含む。第1充填部14が塗布材料の硬化物である場合には、着色材料は、硬化を阻害しないものであることが好ましい。着色材料は、顔料および染料のいずれであってもよく、また有機系着色材料および無機系着色材料のいずれであってもよい。具体的な着色材料の例としては、酸化チタン、カーボンブラック、またはこれらの混合物等が挙げられる。
【0099】
第1充填部14が着色されている場合、第1充填部14中の着色材料の含有量は、0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましい。着色材料の含有量が、0.1質量%以上であれば、目視で第1充填部14を確認することができ、また50質量%以下であれば、着色材料が無機材料または有機材料であっても、第1充填部14のリワーク性を良好に維持できる。
【0100】
第1充填部14が発光材料を含む場合、発光材料としては、特に限定されないが、蛍光材料や蓄光材料が挙げられる。第1充填部14が蛍光材料や蓄光材料を含む場合には、第1充填部14に紫外線や可視光等の光を照射することによって、第1充填部14中の蛍光材料や蓄光材料を発光させることができる。
【0101】
第1充填部14の表面14C(図5参照)の形状は、上に凸状であることが好ましい。表面14Cの形状が上に凸状であれば、下に凹状よりもシート12を持ち上げることができるので、上記段差を緩和することができる。表面14Cの形状が、上に凸状であるか否かは、厚みT2と同様に位置変位曲線のグラフから判断することができる。具体的には、まず、上記グラフにおいて、第1充填部14が存在する箇所では巻芯11の高さよりも位置が高くなるので、変位量が上昇する。変位量が上昇し始める箇所における変位量0mmラインと位置変位曲線の交点である位置E2(図12参照)を把握する。そして、位置E1と位置E2を通る仮想線IL3(図12参照)を引く。位置E1と位置E2の間に存在する位置変位曲線のピーク数のうち仮想線IL3よりも上側に位置するピーク数の割合が50%以上であれば、第1充填部14の表面14Cの形状は上に凸状であると判断でき、また位置E1と位置E2の間に存在する位置変位曲線のピーク数のうち仮想線IL3よりも下側に位置するピーク数の割合が50%以上であれば、第1充填部14の形状は下に凹状であると判断できる。なお、仮想線IL3と位置変位曲線が重なる場合は、下に凹状であると判断する。第1充填部14の形状を判断するグラフは、横軸の1目盛りを5mmとし、縦軸の1目盛りを0.02mmとする。
【0102】
第1充填部14の表面14Cの形状が上に凸状である場合、縦軸方向における仮想線IL3から位置変位曲線までの平均距離D1は、0.003mm以上であることが好ましい。平均距離D1が0.003mm以上であれば、シート12を有効に持ち上げることができるので、より上記段差を緩和することができる。この平均距離D1の下限は、0.01mm以上であることがより好ましい。平均距離D1の上限は、過剰に凸状であると新たな段差の原因になる可能性があるから0.1mm以下、更には0.07mm以下であることが好ましい。上記平均距離D1とは、仮想線IL3を基準点とし、この仮想線IL3よりも上に凸状となっているピークを7点読みとり、最大値と最小値を除いた5点の値を平均したものである。なお、読み取るピークは山部で、大きな部分を選択する。
【0103】
位置変位曲線のグラフの横軸に対する仮想線IL3の傾きは、0.0020以上0.0130以下であることが好ましく、0.0030以上0.0070以下であることがより好ましく、0.0050以上0.0060以下であることがさらに好ましい。この傾きが、0.0050以上であれば、凹むことなく塗布材料を充填することができ、また、0.0060以下であれば、大きく凸となることがなく塗布材料を充填することができる。この傾きの下限は、0.0020以上、0.0030以上、または0.040以上であることが好ましく、上限は、0.0130以下、0.0120以下、または0.0100以下であることが好ましい。
【0104】
第1充填部14の厚みは、上記離間位置P1付近から先端面12A1に向けて、徐々に大きくなっていることが好ましい。第1充填部14の厚みが、このように変化することによって、シート12における巻芯11の径方向DR3(外周面11Aの法線方向)の急激な高さ変化を抑制できるので、巻き始め端部12Aに起因する段差を緩和することができる。
【0105】
第1充填部の厚みが急激に変化すると、この厚みの変化部分に起因して変形が残存してしまい、巻き始め端部に起因する段差が十分に緩和されないおそれがある。このため、シートの厚みに対して十分な第1充填部の長さを確保することが好ましい。ただし、第1充填部の長さを長くすることで、巻取りなどの他の影響が出る場合には、敢えて第1充填部の長さを最適状態よりも短くすることで、最適な第1充填部の長さを有する状態よりも上記変形緩和長さは長くなるが、第1充填部を設けないよりは上記変形緩和長さを短くすることができる。したがって、図4のように第1介在部20が存在する場合には、第1充填部14における先端面12A1に接する位置での厚みT2に対する第1充填部14におけるシート12の長手方向DR2に沿った長さL1(図4参照)および第1介在部20におけるシート12の長手方向DR2に沿った長さL2(図4参照)の合計の比((長さL1+長さL2)/厚みT2)が90以上であることが好ましい。また、図8のように第1介在部20が存在しない場合には、第1充填部14における先端面12A1に接する位置での厚みT2に対する第1充填部14における先端面12A1に接する位置での厚みT2に対する第1充填部14におけるシート12の長手方向DR2に沿った長さL1(図8参照)の比(長さL1/厚みT2)が、90以上であることが好ましい。これらの比の下限は、上記変形緩和長さを短くする点から、100以上、110以上、120以上、または140以上であることが好ましい。また、これらの比の上限は、特に限定されないが、例えば、1200、1000以下、800以下、500以下、または300以下であってもよい。
【0106】
長さL1は、シート12の長手方向DR2に沿った第1充填部14における先端面12A1に接する位置から離間位置P1側の端までの長さである。長さL2は、シート12の長手方向DR2に沿った先端面12A1の直上の位置から1周目のシート12と2周目のシート12が接触する位置側の端までの長さである。長さL1および長さL2は、厚みT2と同様に位置変位曲線のグラフから求めることができる。具体的には、まず、後述する方法によって第1介在部の存在確認を行う。第1介在部が存在する場合には、位置変位曲線のグラフから上記位置E1および位置E2を見付け出す。次いで、上記位置E2を通り、変位量0mmラインに垂直な仮想線IL4(図12参照)を引く。そして、仮想線IL4と変位量0mmラインの交点を位置E3とすると、位置E2と位置E3との距離を求めることにより長さL1と長さL2の合計の長さを求めることができる。また、第1介在部が存在しない場合には、上記の方法によって、位置E2と位置E3との距離を求めることにより長さL1を求めることができる。
【0107】
長さL1は、上記段差を緩和する観点からは、長いほど良く、例えば、シート12の厚みが50μm以上200μm以下である場合、長さL1は、110μm以上であることが好ましく、より上記変形緩和長さを短くするためには、1mm以上、更には10mm以上であることが好ましい。ただし、長さL1が長すぎると、加工上、上に凸状の第1充填部が形成されにくくなり、また第1充填部に波状の厚みむらが発生するおそれがあるので、長さL1の上限は、上に凸状の第1充填部14を得やすく、また波状の厚みむらを抑制する観点から、100mm以下であることが好ましい。
【0108】
上記(長さL1+長さL2)/厚みT2や長さL1/厚みT2は、第1充填部14の形状を大まかに表すことができるが、より適正に第1充填部14における上に凸状等の形状を表すには、さらにシート12の長手方向DR2および巻芯11の径方向DR3を含む平面での第1充填部14の面積を用いることが好ましい。具体的には、図4のように第1介在部20が存在する場合には、第1充填部14における先端面12A1に接する位置での厚みT2に対する、シート12の長手方向DR2および巻芯11の径方向DR3を含む平面における巻芯11の外周面11Aと第1充填部14の表面14Cで挟まれる領域R11の面積S1(図5参照)および巻芯11の外周面11Aと第1介在部20の表面20Aで挟まれる領域R12の面積S2(図5参照)の合計の比((面積S1+面積S2)/厚みT2)が、3.0以上であることが好ましい。図5における領域R11の面積S1は、第1充填部14の断面積を表している。また、図5における領域R12の面積S2は、第1介在部20の断面積、および領域R12内のシート12の断面積、および領域R2内の固定部材17の断面積の合計を表している。なお、図5においては、第1充填部14上および第1介在部20上のシート12を剥がして、第1充填部14および第1介在部20を露出させた状態を示している。第1介在部20が存在しない場合には、第1充填部14の厚みT2に対する、シート12の長手方向DR2および巻芯11の径方向DR3を含む平面における巻芯11の外周面11Aと第1充填部14の表面14Cで挟まれる領域R11の面積S1の比(面積S1/厚みT2)が、3.0以上であることが好ましい。これらの比が3.0以上であれば、厚みT2に対して面積S1と面積S2の合計または面積S1が大きいので、第1充填部14でシート12を有効に持ち上げることができ、これにより上記段差をより緩和することができる。これらの比の下限は、上記段差をさらに緩和する観点から、4.0以上、5.0以上、6.0以上、7.0以上、または8.0以上であることが好ましい。また、これらの比の上限は、特に限定されないが、例えば、50.0以下、または17.0以下であってもよい。
【0109】
面積S1と面積S2の合計や面積S1は、位置E2から位置E3までの領域において各測定点での厚みと測定点間毎の幅との積を求め、それを合計することによって求めることができる。なお、測定点間の幅は、サンプリング周期、巻芯の回転速度、および巻芯の外径から求めることができる。具体的には、測定点間の幅は、以下の数式(3)によって求めることができる。数式(3)において、d(μm)は測定点間の幅であり、ΔT(s)はサンプリング周期であり、r(rpm)は巻芯の回転速度であり、φ(mm)は巻芯の外径であり、πは円周率である。
d=ΔT×(r/60)×φ×π×1000 …(3)
【0110】
上記したように巻芯はロール体の使用後に再利用されることが多いため、リワーク性が求められている。このため、第1充填部14は、巻芯11に対して接着されていないことが好ましい。リワーク性が良好であれば、巻芯はロール体の使用後に再利用できる状態となる。本明細書における「巻芯が再利用できる状態」とは、目視で巻芯の外周面を全て観察し、段差の原因となる付着物がない状態を意味する。除去の方法は、第1充填部に用いる塗布材料によって異なる。表示装置用途のハードコート層のように架橋密度が高く、硬い場合には、エッジ厚みT1の厚みは薄い方が除去しやすい場合がある。一方で、架橋密度があまり高くなくゴム弾性を有する場合は、エッジ厚みT1は厚い方が除去しやすい場合がある。いずれの場合も、段差の原因となる付着物が目視観察によって残存していなければよい。また、本明細書における「接着」とは、粘着を含む概念である。第1充填部14は、巻芯11に対して接着されていないことにより、容易に第1充填部14を剥がすことができるので、良好なリワーク性を有する。第1充填部14は、巻芯11の洗浄や拭き取りによって、または第1充填部14の端部に巻芯11を傷つけないように刃状のものできっかけを作り、指などでゆっくりと巻芯11から剥がせることがより好ましい。また、第1充填部14は、接着成分を実質的に含んでいないことがより好ましい。
【0111】
第1充填部14は、塗布材料を流動または変形させることによって形成することが可能である。塗布材料が流動性を示す場合には、シートの巻回前またはシートの巻回時において流動性を示せば、必ずしも常時流動性を示さなくともよい。
【0112】
塗布材料は、塗布可能な材料であり、例えば、塗布時または巻回時に流動性を有する。流動性を有する塗布材料としては、液体のみならず、液体から固体に変化する材料、加熱等によって流動性を有する固体、または硬化性材料が挙げられる。塗布材料が硬化性材料の場合には、第1充填部14は硬化性材料の硬化物から形成されている。
【0113】
25℃、剪断速度が1/s時の塗布材料の剪断粘度は、500Pa・s以下であることが好ましい。例えば、巻芯に塗布された塗布材料をへら等を用いながら、塗布材料を展延させて、シートの巻回前に塗布材料の形状を整えることも考えられるが、このような工程によって塗布材料を展延した場合、多大な手間を要する。これに対し、塗布材料の剪断粘度が500Pa・s以下であれば、シートの巻取り時の圧力で塗布材料を所望の形状に展延させることができるので、塗布材料を展延させる特段の工程を省略することができる。上記剪断粘度は、200Pa・s以下であることがより好ましい。上記剪断粘度は、塗布材料を容易に展延させる観点からは、300Pa・s以下、100Pa・s以下、または50Pa・s以下であることが好ましい。
【0114】
一方で、上記剪断粘度は、上記変形緩和長さを短くする観点からは、10Pa・s以上75Pa・s以下が好ましく、20Pa・s以上50Pa・s以下であることがより好ましい。この剪断粘度が10Pa・s以上であれば、流動性が高くなり過ぎないため、シート12の変形を緩和でき、また75Pa・s以下であれば、第1充填部の先端部による変形を抑制できる。
【0115】
さらに、上記剪断粘度は、塗布材料のはみ出しをより抑制する観点からは、15Pa・s以上、更には20Pa・s以上であれば、塗布時に巻芯11とシート12の間からの塗布材料のはみ出しを低減できるので、好ましい。更には、剪断粘度は、60Pa・s以上であることが好ましい。この剪断粘度が60Pa・s以上であれば、塗布材料の流動性が低く、塗布材料が巻芯とシートの間から塗布時に、および/または巻き取り時の圧力によってもはみ出すことを低減できる。
【0116】
塗布材料の上記剪断粘度は、動的粘弾性測定装置(例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製)を用いて測定することができる。具体的には、直径25mmのパラレルプレートを用いて、温度25℃、相対湿度30%~70%の環境下において剪断速度1[1/s]時の塗布材料の剪断粘度を10回測定し、測定された10の剪断粘度中、最大値と最小値を除いた8つの剪断粘度の算術平均値を求めることによって剪断粘度を求める。
【0117】
塗布材料としては、例えば、硬化性高分子組成物、熱可塑性樹脂、油、でんぷん、粘着剤、密着剤、またはゾル等が挙げられる。
【0118】
塗布材料は、溶媒等の揮発成分を含まないことが好ましい。塗布材料が揮発成分を含まないことにより、第1充填部14におけるひび割れ等の形状変化が小さく、またシート痕が生じにくい。
【0119】
塗布材料は、ロール体10の状態では流動性が低い材料であることが好ましい。本明細書における「ロール体の状態では流動性が低い」とは、ロール体の輸送時や製造時にロール体から塗布材料のはみ出しが生じないことを意味する。第1隙間13に第1充填部14を形成する際には、塗布材料は塗布可能であることが必要であるが、ロール体10の状態で、塗布材料の流動性が高いと、輸送時や製造時等の際に第1充填部がはみ出し、汚れが生じるおそれがある。これに対し、塗布材料が、第1充填部14の形成時に塗布可能であり、かつロール体10の状態では流動性が低い材料であれば、第1隙間13に第1充填部14を形成できるとともに、第1充填部14のはみ出しや汚れを抑制することができる。このような第1充填部の形成時には塗布可能であるが、ロール体10の状態では流動性が低い材料としては、硬化性高分子組成物が挙げられる。
【0120】
塗布材料が硬化性高分子組成物である場合、塗布材料として、例えば、電離放射線硬化性高分子組成物(電離放射線硬化性樹脂組成物や電離放射線硬化性ゴム組成物)、熱硬化性高分子組成物(熱硬化性樹脂組成物や熱硬化性ゴム組成物)、室温硬化性高分子組成物(摂氏20°~30°程度の室温で硬化する高分子組成物)(室温硬化性樹脂組成物や室温硬化性ゴム組成物)等を用いることができる。
【0121】
室温硬化性高分子組成物には、例えば、主剤および硬化剤からなる2液硬化性高分子組成物や空気中の水分で硬化する1液硬化性高分子組成物がある。第1充填部におけるシート中央に存在する部分はシートが巻回された状態で、ほぼ密封状態にあるので、この部分には空気が接触しにくく、十分に硬化しないおそれがある。これに対し、2液硬化性高分子組成物は、主剤と硬化剤を混合すれば、反応が開始するので、時間管理のみで硬化が可能である。また、2液硬化性高分子組成物は、1液硬化性高分子組成物に比べて保存安定性に優れる点で好ましい。
【0122】
電離放射線硬化性高分子組成物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和基を有する化合物を含む組成物が挙げられる。電離放射線硬化性高分子組成物を硬化させる際に照射する電離放射線としては、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、およびγ線が挙げられる。
【0123】
熱硬化性高分子組成物および室温硬化性高分子組成物としては、例えば、ウレタン樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、シリコーン組成物等が挙げられる。これらの中でも、シリコーン組成物を好ましく用いることができる。シリコーン組成物としては、シリコーンゲル組成物やシリコーンゴム組成物が挙げられ、いずれも上記段差および変形を緩和しやすく、好適である。
【0124】
本明細書におけるシリコーンゲル組成物を硬化して形成される「シリコーンゲル硬化物(シリコーンゲル)」とは、オルガノポリシロキサンを主成分とする架橋密度の非常に低い硬化物であって、JIS K2220:2013(1/4コーン)による針入度が10~150のものを意味する。これは、JIS K6249:2003によるゴム硬度測定では測定値(ゴム硬度値)が0となり、有効なゴム硬度値を示さない程低硬度(すなわち、軟らか)であるものに相当し、この点において、いわゆるシリコーンゴム組成物およびシリコーンゴム硬化物(ゴム状弾性体)とは別異のものである。
【0125】
シリコーンゴム組成物には、1液硬化性のシリコーンゴム組成物と2液硬化性のシリコーンゴム組成物がある。1液硬化性シリコーンゴム組成物には、室温で硬化する縮合反応硬化性ゴム組成物と、加熱によって硬化する付加反応性ゴム組成物がある。また、2液硬化性シリコーンゴム組成物には、室温で硬化する縮合反応硬化性ゴム組成物および付加反応性ゴム組成物と、加熱によって硬化する付加反応性ゴム組成物がある。また、シリコーンゴム組成物に他の樹脂を変性させることで、電離放射線硬化性ゴム組成物とすることも可能である。本発明においてはいずれの硬化方法のものでも可能であるが、これらの中でも均一に硬化できるとともに保存安定性が優れる点から、2液硬化性シリコーンゴム組成物が好ましい。
【0126】
シリコーンゴム組成物としては、例えば、RTV(Room Temperature Vulcanizing)シリコーンゴム組成物が挙げられる。RTVシリコーンゴム組成物は、電離放射線硬化性高分子組成物より収縮率が小さく、寸法安定性が良好であり、また、硬化前には流動性に優れているため巻芯11とシート12やシート12間の隙間に侵入しやすく、また硬化後には流動性が低い。さらに、このRTVシリコーンゴム組成物は、深部硬化性を有するため、塗布時の厚みに関係なく一様に硬化反応が進行しやすい。また、この組成物は、離型性にも優れているため、硬化物を剥離して、再びロール体として利用できる状態にしやすい。
【0127】
上記RTVシリコーンゴム組成物には、硬化反応機構により、縮合反応硬化性RTVシリコーンゴム組成物や付加反応硬化性RTVシリコーンゴム組成物等がある。本発明においては、どちらでも好ましく用いることができる。縮合反応硬化性RTVシリコーンゴム組成物は、硬化阻害がない点で好ましく、付加反応硬化性RTVシリコーンゴム組成物は、硬化収縮率が更に小さい点で好ましい。本発明においては、硬化収縮が大きい材料ほど上記段差の緩和に必要な塗布材料の厚みが大きくなる傾向があるため、特に薄いシート(例えば、シート12の厚みが3μm~45μm)においては、付加反応硬化性RTVシリコーンゴム組成物が好ましく用いられる。
【0128】
上記RTVシリコーンゴム組成物は、特別な加工装置を必要としないこと等から液状シリコーンゴムLSR(Liquid Silicone Rubber)が好ましい。
【0129】
なお、上記した各種組成物に、所望の機能を発揮させるために機能性成分を含ませてもよい。例えば、シリコーンゴム組成物は、一般的に電気絶縁体であるため、巻芯11、シート12、またはその他物質との接触により帯電してしまう場合がある。その場合、シリコーンゴム組成物に導電性充填剤を含ませてもよい。このようにすることで、塵などの異物混入を防ぐことができるので、上記段差の原因となることを抑制できる。
【0130】
シリコーンゴム組成物に混入する導電性充填剤としては、カーボンブラック(アセチレンブラックやケッチェンブラック)、銀粉末、金メッキされたシリカやグラファイト、導電性亜鉛華等が挙げられる。また近年、イオン導電性シリコーンゴムも開発されており、このイオン導電性シリコーンゴムも使用することができる。
【0131】
上記シリコーンゲル組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分を配合することができる。この任意成分としては、例えば、反応抑制剤、無機質充填剤、ケイ素原子結合水素原子及びケイ素原子結合アルケニル基を含有しないオルガノポリシロキサン、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料等が挙げられる。
【0132】
反応抑制剤は、上記組成物の反応を抑制するための成分であって、具体的には、例えば、アセチレン系、アミン系、カルボン酸エステル系、亜リン酸エステル系等の反応抑制剤が挙げられる。
【0133】
無機質充填剤としては、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、カーボンブラック、ケイ藻土、ガラス繊維等の無機質充填剤;これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物で表面疎水化処理した充填剤等が挙げられる。また、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
【0134】
塗布材料が流動し過ぎない一方で、1周目のシート12が巻芯11の外周面11Aから離れる位置(離間位置)P1付近まで塗布材料を流動させるためには、塗布材料の塗布時の粘度を適宜調整することが望ましい。
【0135】
塗布材料は線状に塗布されるが、塗布材料の単位幅当たりの塗布量は、第1充填部14における上記範囲の厚みT1~T3がそれぞれ得られるような量であることが好ましい。具体的には、例えば、塗布材料の単位幅当たりの塗布量の下限は、0.2cm/m以上であることが好ましい。塗布材料の上記塗布量が少なすぎると、例えば、シリンジで塗布する場合に空気を噛んでしまい、シリンジから塗布材料を吐出しにくくなる場合やシートを走行させて塗布する場合に塗布切れを生じる場合があるが、上記塗布量が0.2cm/m以上であれば、このようなことを抑制できる。また、塗布材料の単位幅当たりの塗布量の上限は、3.5cm/m以下であることが好ましい。塗布材料の上記塗布量が多すぎると、自重で塗布材料が垂れてしまう場合や新たな段差を生じる場合があるが、上記塗布量が3.5cm/m以下であれば、このようなことを抑制できる。上記塗布量の下限は、0.3cm/m以上であることがより好ましく、また上記塗布量の上限は、2.0cm/m以下、または1.5cm/m以下であることがより好ましい。
【0136】
<第2充填部>
第2充填部16は、第2隙間15に充填されている。すなわち、図3に示される第2充填部16は、巻芯11の外周面11Aと、シート12の裏面12Cと、固定部材17の第1端面17Aとに接している。なお、第2充填部16と第1端面17Aとの間には微小な隙間が存在してもよい。
【0137】
第2充填部16は、塗布材料、または塗布材料が硬化性高分子組成物である場合にはその硬化物から構成されている。この塗布材料は、第1充填部14で説明した塗布材料と同様であるので、説明を省略するものとする。塗布材料は、第1充填部14で説明した塗布材料と同じものであってもよいが、異なるものであってもよい。
【0138】
第2充填部16の厚みは、第1端面17Aから1周目のシート12が巻芯11の外周面11Aに到達する到達位置P2付近に向けて、徐々に小さくなっていることが好ましい。第2充填部16の厚みが、このように変化することによって、シート12における急激な高さ方向の変化を抑制できるので、固定部材17に起因する段差を緩和することができる。
【0139】
<第1介在部>
第1充填部はシートよりも柔らかい傾向があるので、第1充填部における巻き始め端部の先端面に接触する位置での高さが巻き始め端部の上面と同じ高さであると、シートを巻回したときに、巻き始め端部の先端面と上面の角で段差が生じるおそれがある。これに対し、第1介在部20を形成した場合には、第1介在部20が第1充填部14とシート12の硬さの差を吸収することができるので、巻き始め端部12Aの先端面12A1と上面12A2の角の段差を小さくすることができる。また、第1介在部20が存在することにより、巻き始め端部12Aに起因する段差の部分に応力が集中することを抑制でき、3周目以降のシート12の変形が緩やかにすることができるので、この段差を緩和することができる。
【0140】
第1介在部20は、第1充填部14と同様に、着色材料や発光材料を含んでいることが好ましい。第1介在部20が着色材料や発光材料を含むことにより、ロール体10から第1介在部20がはみ出したときに目視により認識しやすい。また、第1介在部20の存在を確認しやすくなる。第1介在部20に含ませる着色材料や発光材料は、第1充填部14の欄で説明した着色材料や発光材料と同様であるので、説明を省略するものとする。
【0141】
シート12が透明であり、かつ第1介在部20が着色されている場合には、第1介在部20が存在するか否かは、目視によって容易に確認することができる。具体的には、まず、表面が2周目のシート12となるまでロール体10からシート12を繰り出す。そして、2周目のシート12が表面となったロール体10において、巻き始め端部12A付近を目視観察し、巻き始め端部12A上に着色されている部分が存在するか観察する。巻き始め端部12A上に着色されている部分が存在する場合には、第1介在部20が存在すると判断でき、また着色されている部分が存在しない場合には、第1介在部20が存在しないと判断できる。
【0142】
シート12が透明であり、かつ第1介在部20が発光材料を含む場合にも、第1介在部20が存在するか否かは、上記と同様にして、目視によって容易に確認することができる。発光材料が紫外線や可視光等の光の照射によって発光する材料である場合には、光を照射して、第1介在部20が存在するか否か確認する。
【0143】
シート12の厚みが50μm以上200μm以下の場合、第1介在部20の厚みT3(図4参照)は2μm以上110μm以下であることが好ましい。第1介在部20の厚みT3がこの範囲であれば、シート12の巻取りへの悪影響を避けつつ上記変形緩和長さを短くすることができる。なお、第1介在部20の厚みT3が110μmを超える場合も、上記変形緩和長さを短くすることができるが、シート12の巻取りに悪影響が出ることがある。
【0144】
シート12の厚みが3μm以上50μm未満、更には40μm以下の場合、シート12の厚みが厚い場合よりも巻き始め端部12Aに起因する段差によってシート12が変形しやすい。このため、第1介在部20の厚みT3は、0.5μm以上50μm以下であることが好ましい。第1介在部20の厚みT3がこの範囲であれば、シート12の巻取りの悪影響を避けつつ上記変形緩和長さを短くすることができる。
【0145】
第1介在部20の厚みT3は、第1介在部20の最大厚みとする。第1介在部20の厚みT3は、以下のようにして測定するものとする。まず、巻き始め端部12A、第1介在部20、および2周目のシート12を含む部分が潰れないようにこの部分を採取し、固定する。そして、固定されたこの部分の断面を研磨し、第1介在部20の厚みT3を実体顕微鏡(例えば、製品名「デジタルマイクロスコープVHX-7000」、株式会社キーエンス製)で測定する。
【0146】
第1介在部20は、塗布材料、または塗布材料が硬化性高分子組成物である場合にはその硬化物から構成されている。この塗布材料は、第1充填部14で説明した塗布材料と同様であるので、説明を省略するものとする。塗布材料は、第1充填部14で説明した塗布材料と同じものであってもよいが、異なるものであってもよい。
【0147】
<第1露出抑制部材>
第1露出抑制部材18は、巻芯11の幅方向DR1における第1充填部14の端部14Aがシート12の外側に露出することを抑制するための部材である。本実施形態の第1露出抑制部材18は、第1充填部14の端部14Aがシート12の外側にはみ出すのを抑制するための部材である。すなわち、第1露出抑制部材18は、第1充填部14の端部14Aがシート12の外側にはみ出すのを堰き止める堰き止め部材として機能するものである。
【0148】
第1露出抑制部材18は、シート12の外側に第1充填部14の端部14Aがはみ出すことを抑制するために、図2に示されるように幅方向DR1において第1充填部14の端部14Aよりも外側に位置し、かつシート12により覆われている。第1露出抑制部材18は、巻芯11の外周面11Aに配置されている。
【0149】
第1露出抑制部材18は、図2に示されるように、幅方向DR1における第1充填部14の両側にそれぞれ存在している。これにより、第1充填部14の端部14Aがそれぞれシート12の外側にはみ出すことを抑制できる。
【0150】
第1露出抑制部材が有効領域に存在していると、巻芯の幅方向においてシートの有効領域に第1充填部が存在しない部分が生じてしまい、有効に段差を緩和することができない部分が存在するおそれがある。このため、第1露出抑制部材18は、図2に示されるように、有効領域R1内には存在せずに、非有効領域R2に位置していることが好ましい。
【0151】
シート12の巻回時の圧力で第1充填部14が第1露出抑制部材18に接触すると、第1充填部14は第1露出抑制部材18を伝って移動する傾向がある。このため、第1露出抑制部材における巻芯の周方向の長さが短いと、第1充填部が第1露出抑制部材を回り込んではみ出てしまうおそれがある。このため、第1露出抑制部材18は、巻芯11の周方向DR4(図7参照)に沿って延びていることが好ましい。
【0152】
ロール体10の平面視において(図2参照)、第1露出抑制部材における巻き始め端部側の端面と巻き始め端部および固定部材との間に隙間が存在すると、第1露出抑制部材によって第1充填部の端部のはみ出しを概ね抑制できるものの、この隙間から第1の充填部の端部がシートの外側に若干はみ出すおそれがある。これに対し、図2および図6のように第1露出抑制部材18の一部が巻き始め端部12A上に重なっていると、上記隙間が形成されにくいので、第1充填部14の端部14Aがシート12の外側にはみ出すことをより抑制できるとともに、第1介在部20の端部がシート12の外側にはみ出すことを抑制できる。なお、第1露出抑制部材18における巻き始め端部12A側の端面が巻き始め端部12Aの先端面12A1および固定部材17の第2端面17Bに接触するように第1露出抑制部材18を配置してもよいが、経時変化等によっても上記隙間が形成されにくい観点および第1介在部20の端部のはみ出しを抑制する観点から、第1露出抑制部材18の一部が巻き始め端部12A上に重なるように第1露出抑制部材18を配置することが好ましい。
【0153】
巻芯11の周方向DR4の第1露出抑制部材18の長さL3(図7参照)は周方向DR4における第1充填部14の最大長さより大きいことが好ましい。これにより、第1充填部14が第1露出抑制部材18を回り込んでシート12の外側にはみ出ることを抑制できる。第1露出抑制部材18の長さL3は、10mm以上であることが好ましい。第1露出抑制部材18の長さL3が10mm以上であれば、第1充填部14における第1露出抑制部材18の回り込みをより抑制できる。第1露出抑制部材18の長さL3の下限は、第1充填部14における第1露出抑制部材18の回り込みをさらに抑制する観点から、30mm以上、50mm以上、60mm以上、または90mm以上であることがより好ましい。第1露出抑制部材18の長さL3の上限は、第1露出抑制部材18同士の重なりを抑制する観点から、巻芯11の外周長未満であることが好ましく、例えば、巻芯11の外周長(mm)から10mm引いた長さ以下であってもよい。第1露出抑制部材18の長さL3が巻芯11の外周長(mm)から10mm引いた長さ以下であれば、第1露出抑制部材18同士の重なりを確実に抑制できるので、第1露出抑制部材18同士の重なりにより生じる段差を抑制できる。巻芯の周方向における第1露出抑制部材の長さは、巻芯の周方向における第1露出抑制部材の長さを10箇所測定し、測定された10箇所の長さ中、最大値と最小値を除いた8箇所の長さの算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0154】
巻芯11の幅方向DR1における第1露出抑制部材18の幅W4(図7参照)は、1mm以上となっていることが好ましい。第1露出抑制部材18の幅W4が1mm以上であれば、後述するように第1充填部14が第1露出抑制部材18を乗り越えた場合であっても、第1充填部14が第1露出抑制部材18上で止まり、はみ出すことを抑制できる。第1露出抑制部材18の幅W4の下限は、第1充填部14のはみ出しをさらに抑制する観点から、5mm以上、10mm以上、または30mm以上であることがより好ましい。第1露出抑制部材18の幅W4の上限は、第1露出抑制部材18による段差痕軽減の観点から、50mm以下、20m以下、5mm以下となっていてもよい。巻芯の幅方向における第1露出抑制部材の幅は、第1露出抑制部材の幅を10箇所測定し、測定された10箇所の幅中、最大値と最小値を除いた8箇所の幅の算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0155】
第1露出抑制部材の厚みが薄い場合、第1充填部が第1露出抑制部材を乗り越えてしまい、はみ出すおそれがある。このため、先端面12A1に接する位置での第1露出抑制部材18の厚みT4(図6参照)は、先端面12A1に接する位置での第1充填部14の厚みT2(図4参照)以上であることが好ましい。これにより、第1充填部14が第1露出抑制部材18を乗り越えてはみ出ることを抑制できる。
【0156】
先端面12A1に接する位置での第1露出抑制部材18の厚みT4は、50μm以上5000μm以下であることが好ましい。第1露出抑制部材18の厚みT4が50μm以上であれば、第1充填部14における第1露出抑制部材18の乗り越えをより抑制できる。また、第1露出抑制部材18の厚みT4が5000μm以下であれば、第1露出抑制部材18に起因する新たな段差が発生することを抑制できる。第1露出抑制部材18の厚みT4の下限は、第1充填部14における第1露出抑制部材18の乗り越えをさらに抑制できる観点から、100μm以上、300μm以上、または500μm以上であることがより好ましい。第1露出抑制部材18の厚みT4の上限は、第1露出抑制部材18に起因する新たな段差が発生することをより抑制する観点から、3000μm以下、2000μm以下、または1000μm以下であることがより好ましい。
【0157】
25℃における第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率は、25℃における第1充填部14の貯蔵弾性率以下であることが好ましい。第1露出抑制部材の貯蔵弾性率が高いと、巻き始め端部近傍において第1露出抑制部材と巻芯との間に隙間が生じてしまい、この隙間から第1充填部が流れ出てしまうおそれがあるが、第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率が、第1充填部14の貯蔵弾性率以下であれば、第1充填部14が流れ出ることを抑制できる。
【0158】
25℃における第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率は、0.001MPa以上5MPa以下であることが好ましい。第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率が0.001MPa以上であれば、第1露出抑制部材18が流れ出てしまうことをより抑制でき、また25℃における第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率が5MPa以下であれば、巻き始め端部12A近傍において第1露出抑制部材18と巻芯11との間に隙間が生じることを抑制できる。第1露出抑制部材18の上記貯蔵弾性率の下限は、0.001MPa以上、0.005MPa以上、または0.01MPa以上であることが好ましい。第1露出抑制部材18の上記貯蔵弾性率の上限は、3MPa以下、1MPa以下、または0.5MPa以下であることが好ましい。
【0159】
25℃における第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定装置(例えば、株式会社アントンパール・ジャパン製)を用いて測定することができる。具体的には、まず、第1露出抑制部材から直径10mmのサンプルを切り出す。なお、第1露出抑制部材から直径10mmのサンプルを切り出せない場合には、第1露出抑制部材を構成する材料と同様の材料を用いて、直径10mmの大きさのサンプルを作製する。そして、このサンプルを直径8mmのパラレルプレートに固定して、温度25℃、相対湿度30%~70%の環境下において、動的粘弾性測定装置を用いて、振動周波数1[rad/s]の時の貯蔵弾性率を測定する。第1充填部14の貯蔵弾性率も、第1露出抑制部材18の貯蔵弾性率と同様にして測定することができる。
【0160】
25℃における第1露出抑制部材18の密度は、25℃における第1充填部14の密度以上であることが好ましい。第1露出抑制部材の密度が低いと、第1充填部が第1露出抑制部材から染み出してしまうおそれがあるが、第1露出抑制部材18の密度が、第1充填部14の密度以下であれば、このような第1充填部14の染み出しを抑制できる。
【0161】
25℃における第1露出抑制部材18の密度は、0.01g/cm以上であることが好ましい。25℃における第1露出抑制部材18の密度が0.01g/cm以上であれば、第1充填部14が第1露出抑制部材18から染み出してしまうことを抑制できる。25℃における第1露出抑制部材18の密度の下限は、0.03g/cm以上、0.05g/cm以上、または0.1g/cm以上であることがより好ましい。25℃における第1露出抑制部材18の密度の上限は、第1露出抑制部材18がシート12の変形のきっかけとなることを抑制する観点から、0.5g/cm以下、0.4g/cm以下、または0.3g/cm以下であってもよい。
【0162】
23℃における第1露出抑制部材18の密度は、以下のようにして測定することができる。まず、第1露出抑制部材から1cm×1cmの大きさのサンプルを切り出す。なお、第1露出抑制部材から上記大きさのサンプルを切り出せない場合には、第1露出抑制部材を構成する材料と同様の材料を用いて、1cm×1cmの大きさのサンプルを得る。そして、温度23℃、相対湿度30%~70%の環境下において、このサンプルの質量と厚みを測定し、質量(g)/厚み(cm)から密度を求める。23℃における第1充填部14の密度も、第1露出抑制部材18の密度と同様にして測定することができる。
【0163】
図2に示される第1露出抑制部材18は第1充填部14の両側にそれぞれ1本ずつ設けられているが、それぞれ2本以上設けられていてもよい。第1露出抑制部材18をそれぞれ2本以上設けることにより第1充填部14が第1露出抑制部材18を乗り超えることをより抑制できる。
【0164】
第1露出抑制部材18の構成材料は、シートに悪影響を与えないような材料であれば特に限定されず、例えば、樹脂、金属、ゴム、ゲル、テープ(クッションテープを含む)、粘土、または紙が挙げられる。これらの材料であれば、取り扱いが容易および/または設置が容易となる。これらの中でも、取り扱いおよび設置が容易なことから、樹脂やテープが好ましい。また、第1露出抑制部材18の構成材料として、ゴム、ゲルを用いた場合には、第1露出抑制部材18自体が変形可能であるので、第1露出抑制部材18に起因する新たな段差が発生することを抑制することができる。
【0165】
樹脂は、熱可塑性樹脂または硬化性樹脂組成物の硬化物であってもよい。樹脂が硬化性樹脂組成物の硬化物である場合、硬化性樹脂組成物の硬化前には自由に形状が変化させることができるので、第1露出抑制部材18に起因する新たな段差が発生することを抑制することができる。
【0166】
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ABS樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、露出抑制効果が高い観点から、ポリウレタンが好ましい。ポリウレタンは、例えば、ゲルおよび発泡体のいずれの形態であってもよい。
【0167】
硬化性樹脂組成物としては、例えば、紫外線や電子線で硬化する電離放射線硬化性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、摂氏20°~30°程度の室温で硬化する室温硬化性樹脂組成物、触媒で硬化する触媒硬化性樹脂組成物、嫌気硬化性樹脂組成物等が挙げられる。電離放射線硬化性樹脂組成物は、塗布後に紫外線や電子線を照射する必要があるため、硬化が容易な観点から、熱硬化性樹脂組成物、触媒硬化性樹脂組成物、嫌気硬化性樹脂組成物等が好ましい。
【0168】
テープは、両面に粘着剤を有するテープ、片面のみに粘着剤を有するテープ、粘着剤を有しないテープのいずれであってもよい。テープが両面に粘着剤を有する場合または片面のみに粘着剤を有する場合には、粘着剤は全面のみならず、部分的に設けられていてもよい。シート12の汚染を抑制するという観点からは、粘着剤を有さないテープが好ましいが、この場合には、巻芯と1周目のシートの間に粘着剤を有さないテープを挟むことになるので、工程上若干難しくなる。このため、粘着剤を部分的に設けることが好ましい。
【0169】
シートは、例えば、光学用途で用いられるので、紙は、紙粉が生じにくいもの、例えばクリーン紙が好ましい。
【0170】
<第2露出抑制部材>
第2露出抑制部材19は、巻芯11の幅方向DR1における第2充填部16の端部16Aがシート12の外側に露出することを抑制するための部材である。本実施形態の第2露出抑制部材19は、第2充填部16の端部16Aがシート12の外側にはみ出すのを抑制するための部材である。すなわち、第2露出抑制部材19は、第2充填部16の端部16Aがはみ出すのを堰き止める堰き止め部材として機能するものである。
【0171】
第2露出抑制部材19は、シート12の外側に第2充填部16の端部16Aがはみ出すことを抑制するために、図2に示されるように幅方向DR1において第2充填部16の端部16Aよりも外側に位置し、かつシート12により覆われている。
【0172】
図2に示される第2露出抑制部材19は、幅方向DR1における第2充填部16の両側にそれぞれ存在している。これにより、第2充填部16の端部16Aがそれぞれシート12の外側にはみ出すことを抑制できる。
【0173】
第2露出抑制部材19は、第1露出抑制部材18の欄に記載した理由と同様の理由から、有効領域R1内には存在せずに、非有効領域R2に位置していることが好ましい。第2露出抑制部材19は、第1露出抑制部材18の欄に記載した理由と同様の理由から、巻芯11の周方向DR4に沿って延びていることが好ましい。
【0174】
ロール体10の平面視において(図2参照)、第2露出抑制部材における固定部材側の端面と固定部材の第1端面との間に隙間が存在すると、第2露出抑制部材によって第2充填部の端部のはみ出しを概ね抑制できるものの、この隙間から第2充填部の端部がシートの外側に若干はみ出す場合がある。これに対し、図2および図6のように第2露出抑制部材19の一部が固定部材17上に重なっていると、上記隙間が形成されにくいので、第2充填部16の端部16Aがシート12の外側にはみ出すことをより抑制できる。なお、第2露出抑制部材19における固定部材17側の端面が固定部材17の第1端面17Aに接触するように第2露出抑制部材19を配置してもよいが、経時変化等によっても上記隙間が形成されにくい観点から、第2露出抑制部材19の一部が固定部材17上に重なるように第2露出抑制部材19を配置することが好ましい。
【0175】
巻芯11の周方向DR4における第2露出抑制部材19の長さL4(図7参照)は、周方向DR4における第2充填部16の最大長さより大きいことが好ましい。これにより、第2充填部16が第2露出抑制部材19を回り込んではみ出てしまうことを抑制できる。また、第2隙間15は第1隙間13よりも小さいために、第2充填部16は第1充填部14よりもはみ出しにくい。このため、第2露出抑制部材19の長さL4は、第1露出抑制部材18の長さL3よりも短くなっていてもよい。
【0176】
第2露出抑制部材19の長さL4は、1mm以上であることが好ましい。第2露出抑制部材19の長さL4が1mm以上であれば、第2充填部16における第2露出抑制部材19の回り込みをより抑制できる。第2露出抑制部材19の長さL4の下限は、第2充填部16における第2露出抑制部材19の回り込みをさらに抑制する観点から、5mm以上、10mm以上、または50mm以上であることがより好ましい。第2露出抑制部材19の長さL4の上限は、第2露出抑制部材19同士の重なりを抑制する観点から、巻芯11の外周長未満であることが好ましく、例えば、巻芯11の外周長(mm)から10mm引いた長さ以下であってもよい。第2露出抑制部材19の長さL4が巻芯11の外周長(mm)から10mm引いた長さ以下であれば、第2露出抑制部材19同士の重なりを確実に抑制できるので、第2露出抑制部材19同士の重なりにより生じる段差を抑制できる。巻芯の周方向における第2露出抑制部材の長さは、巻芯の周方向における第2露出抑制部材の長さを10箇所測定し、測定された10箇所の長さ中、最大値と最小値を除いた8箇所の長さの算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0177】
巻芯11の幅方向DR1における第2露出抑制部材19の幅W5(図7参照)は、第1露出抑制部材18の欄に記載した理由と同様の理由から、1mm以上となっていることが好ましい。第2露出抑制部材19の幅W5の下限は、第2充填部16のはみ出しをさらに抑制する観点から、5mm以上、10mm以上、または20mm以上であることがより好ましい。第2露出抑制部材19の幅W5が大きい場合には、第2露出抑制部材19が、有効領域R1内に入り込んでしまい、第2露出抑制部材19自体の影響で段差が生じてしまうおそれがあるが、第2露出抑制部材19の幅W5が大きくても、第2露出抑制部材19が有効領域R1内に入り込まないようにシート12の外側に第2露出抑制部材19を露出させれば、第2露出抑制部材19に起因する段差を抑制できる。またシート12の外側に第2露出抑制部材19を露出させることにより第2充填部16のはみ出しをより抑制できる。このため、第2露出抑制部材19の幅W5の上限は、35mm以下、30mm以下、または25mm以下であってもよい。第1露出抑制部材の幅は、第2露出抑制部材の幅を10箇所測定し、測定された10箇所の幅中、最大値と最小値を除いた8箇所の幅の算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0178】
第2露出抑制部材19の厚みは、第1露出抑制部材18の欄に記載した理由と同様の理由から、第2充填部16の厚み以上であることが好ましい。第2露出抑制部材19の厚みは、5μm以上5000μm以下であることが好ましい。第2露出抑制部材19の厚みが5μm以上であれば、第2充填部16における第2露出抑制部材19の乗り越えをより抑制できる。また、第2露出抑制部材19の厚みが5000μm以下であれば、第2露出抑制部材19に起因する新たな段差が発生することを抑制できる。第2露出抑制部材19の厚みの下限は、第2充填部16における第2露出抑制部材19の乗り越えをさらに抑制できる観点から、10μm以上、50μm以上、または100μm以上であることがより好ましい。第2露出抑制部材19の厚みの上限は、第2露出抑制部材19に起因する新たな段差が発生することをより抑制する観点から、3000μm以下、2000μm以下、または1000μm以下であることがより好ましい。第2露出抑制部材の厚みは、第2露出抑制部材の厚みを10箇所測定し、測定された10箇所の厚み中、最大値と最小値を除いた8箇所の長さの算術平均値を求めることによって求めることができる。
【0179】
25℃における第2露出抑制部材19の貯蔵弾性率は、第1露出抑制部材18の欄に記載した理由と同様の理由から、25℃における第2充填部16の貯蔵弾性率以下であることが好ましい。
【0180】
25℃における第2露出抑制部材19の貯蔵弾性率は、0.001MPa以上5MPa以下であることがより好ましい。第2露出抑制部材19の貯蔵弾性率が0.001MPa以上であれば、第2露出抑制部材19が流れ出てしまうことを抑制でき、また第2露出抑制部材19の貯蔵弾性率が5MPa以下であれば、巻き始め端部12A近傍において第2露出抑制部材19と巻芯11との間に隙間が生じることを抑制できる。25℃における第2露出抑制部材19の貯蔵弾性率の下限は、0.003MPa以上、0.005MPa以上、または0.01MPa以上であることがより好ましい。25℃における第2露出抑制部材19の貯蔵弾性率の上限は、3MPa以下、1MPa以下、または0.5MPa以下であることがより好ましい。25℃における第2露出抑制部材および第2充填部の貯蔵弾性率は、第1露出抑制部材の貯蔵弾性率と同様の方法によって測定することができる。
【0181】
25℃における第2露出抑制部材19の密度は、第1露出抑制部材18の欄に記載した理由と同様の理由から、25℃における第2充填部16の密度以上であることが好ましい。
【0182】
25℃における第2露出抑制部材19の密度は、0.01g/cm以上であることが好ましい。第2露出抑制部材19の密度が0.01g/cm以上であれば、第2充填部16が第2露出抑制部材19から染み出してしまうことを抑制できる。また、第2露出抑制部材19の密度が0.01g/cm以上であれば、巻取り圧による第2露出抑制部材19の変形を抑制できるので、第2充填部16のはみ出しを抑制できる。23℃における第2露出抑制部材19の密度の下限は、0.03g/cm以上、0.05g/cm以上、または0.1g/cm以上であることがより好ましい。25℃における第2露出抑制部材19の密度の上限は、第2露出抑制部材19が変形のきっかけとなることを抑制する観点から、0.5g/cm以下、0.4g/cm以下、または0.3g/cm以下であってもよい。25℃における第2露出抑制部材および第2充填部の密度は、第1露出抑制部材の密度と同様の方法によって測定することができる。
【0183】
第2露出抑制部材19の構成材料としては、シートに悪影響を与えないような材料であれば特に限定されず、例えば、第1露出抑制部材18と同様の材料が挙げられる。
【0184】
<<他のロール体>>
ロール体10は、シート12の巻き始め端部12Aの先端面12A1と固定部材17の第2端面17Bが巻芯11の径方向DR3においてほぼ揃っているが、図13に示されるロール体50のように、シート12の巻き始め端部12Aの先端面12A1は、固定部材17の第2端面17Bよりも突き出ていてもよい。この場合、第2隙間15に第2充填部16が充填されているとともに、巻芯11の外周面11Aと1周目のシート12の裏面12Cの間に位置し、第2端面17B側の第3隙間51に第3充填部52が充填されているとともに、巻芯11の幅方向DR1における第3充填部52の外側に第3露出抑制部材53(図14参照)が設けられていてもよい。
【0185】
<第3隙間>
第3隙間51は、固定部材17の第2端面17Bに接する隙間である。具体的には、図13に示される第3隙間51は、巻芯11の外周面11Aと、1周目のシート12の裏面12Cと、固定部材17の第2端面17Bとによって囲まれる隙間である。
【0186】
<第3充填部>
第3充填部52は、第3隙間51に充填されている以外は、第2充填部16と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0187】
<第3露出抑制部材>
第3露出抑制部材53は、巻芯11の幅方向DR1における第3充填部52の外側に設けられていること以外は、第2露出抑制部材19と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0188】
ロール体10は、第2隙間15に第2充填部16が充填されているが、シート12の巻き始め端部12Aに起因する段差を緩和する観点からは、第1隙間13に第1充填部14が充填されていればよいので、図15に示されるロール体60のように第2隙間15に第2充填部16が充填されていなくともよい。ロール体60は、第2隙間15が空洞になっている。この場合、ロール体60の第2隙間15が空洞になっているので、第2充填部がはみ出すことはない。このため、図16に示されるように第2露出抑制部材19も設ける必要がない。
【0189】
ロール体10は、第1隙間13に第1充填部14が充填されているが、固定部材17に起因する段差を緩和する観点からは、第2隙間15に第2充填部16が充填されていればよいので、図17に示されるロール体70のように第1隙間13に第1充填部14が充填されていなくともよい。ロール体70は、第1隙間13が空洞になっている。この場合、ロール体60の第1隙間13が空洞になっているので、第1充填部がはみ出すことはない。このため、図18に示されるように第1露出抑制部材18も設ける必要がない。
【0190】
ロール体10は、1つの固定部材17を備えているが、図19に示されるように2以上の固定部材を備えていてもよい。図19に示されるロール体80においては、固定部材17の他、固定部材17の第1端面17A側に固定部材81を備えている。図19に示されるロール体80においては、シート12の巻き始め端部12Aの先端面12A1が、固定部材17の第2端面17Bよりも突き出ているので、固定部材17に起因する段差を抑制するために、第2隙間15に第2充填部16が充填されており、また第3隙間51に第3充填部52が充填されていることが好ましい。この場合には、巻芯11の幅方向DR1における第3充填部52の外側に第3露出抑制部材53(図20参照)が設けられていることが好ましい。
【0191】
また、同様に、図19に示されるロール体80においては、固定部材81に起因する段差を抑制するために、固定部材81の後述する第1端面81A側の第2隙間82には、第2充填部83が充填されており、また固定部材81の後述する第2端面81B側の第3隙間84には、第3充填部85が充填されていることが好ましい。この場合には、巻芯11の幅方向DR1における第2充填部83の外側に第2露出抑制部材86(図20参照)が設けられており、また第3充填部85の外側に第3露出抑制部材87(図20参照)が設けられていることが好ましい。
【0192】
<固定部材>
固定部材81は、第1端面81Aと、第1端面81と反対側の第2端面81Bとを有している。第1端面81Aおよび第2端面81Bは、いずれも巻芯11の幅方向DR1に延びている。第2端面81Bは、第1端面81Aより巻き始め端部12A側に位置している。固定部材81は、固定部材17と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0193】
<第2隙間>
第2隙間82は、固定部材81の第1端面81Aに接する隙間である。具体的には、図19に示される第2隙間82は、巻芯11の外周面11Aと、1周目のシート12の裏面12Cと、固定部材81の第1端面81Aとによって囲まれる隙間である。
【0194】
<第3隙間>
第3隙間84は、固定部材81の第2端面81Bに接する隙間である。具体的には、図19に示される第3隙間84は、巻芯11の外周面11Aと、1周目のシート12の裏面12Cと、固定部材81の第2端面81Bとによって囲まれる隙間である。
【0195】
<第2充填部および第3充填部>
第2充填部83は、第2隙間82に充填されている以外は、第2充填部16と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。第3充填部85は、第3隙間84に充填されている以外は、第2充填部16と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0196】
<第2露出抑制部材および第3露出抑制部材>
第2露出抑制部材86は、巻芯11の幅方向DR1における第2充填部83の外側に設けられている以外は、第2露出抑制部材19と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。第3露出抑制部材87は、巻芯11の幅方向DR1における第3充填部85の外側に設けられている以外は、第2露出抑制部材19と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0197】
ロール体10は、固定部材17を備えているが、図21および図22に示されるロール体90のように固定部材17を備えていなくともよい。
【0198】
図13図15図19図21においては、長さL1、長さL2、厚みT2、厚みT3、面積S1、面積S2を示していないが、ロール体50、60、80、90においては、長さL1~長さL4、厚みT2~厚みT4、(長さL1+L2)/厚みT2、(面積S1+S2)/厚みT2は、ロール体10の場合と同様である。
【0199】
ロール体50、60、80、90は、全て第1介在部20を備えているが、図8に示されるロール体30と同様に、第1介在部を備えていなくともよい。
【0200】
図15においては、固定部材17の表面は、全て巻き始め端部12Aに密着しているが、図9に示されるロール体40と同様に、巻き始め端部12Aと固定部材17の間に第1充填部14や第1露出抑制部材18が入り込んでいてもよい。
【0201】
ロール体10、50、60、80、90においては、第1露出抑制部材18は、巻芯11の外周面11Aに配置されているが、図23図24に示されるように第1露出抑制部材101は、シート12側に配置されていてもよい。図23図24に示されるロール体100においては、第1露出抑制部材101は、幅方向DR1において第1充填部14の端部14Aよりも外側に位置し、かつシート12により覆われているが、巻芯11の外周面11Aではなく、シート12の裏面12Cに配置されている。具体的には、シート12の裏面12Cには、シート12の幅方向(巻芯11の幅方向DR1)に位置する両端部に長手方向DR2に沿って延びるサイドテープが貼り付けられており、このサイドテープの一部が第1露出抑制部材101となっている。シート12の両端部は、非有効領域R2内に存在するので、このようなサイドテープを貼り付けたとしても製品には何ら問題がない。サイドテープとしては、特に限定されないが、例えば、光学フィルム用サイドテープが挙げられる。
【0202】
図23図25に示されるロール体100においては、第2露出抑制部材102は、幅方向DR1において第2充填部16の端部16Aよりも外側に位置し、かつシート12により覆われているが、巻芯11の外周面11Aではなく、シート12の裏面12Cに配置されている。第2露出抑制部材102も、サイドテープの一部となっている。
【0203】
第1露出抑制部材101および第2露出抑制部材102は、サイドテープの代わりにコーティングによって形成されていてもよい。第1露出抑制部材101、第2露出抑制部材102をコーティングによって形成する場合、第1露出抑制部材18、第2露出抑制部材19を構成する材料と同様の材料から構成されていてもよい。
【0204】
ロール体10は、第2隙間15に第2充填部16が充填されているが、図27に示されるロール体110のように、第2隙間15には第2充填部16が充填されておらず、第2隙間15が空洞になっており、1周目以降のシート12間における少なくとも第2隙間15に対応する領域12Dに第2介在部111が設けられていてもよい。この場合には、巻芯11の幅方向DR1における第2介在部111の端部111Aの外側に露出抑制部材112(図26参照)が設けられていることが好ましい。
【0205】
<第2介在部>
第2介在部111は、1周目以降のシート12間に設けられている。したがって、第2介在部111上には、必ずシート12が存在する。第2介在部111は、巻芯11の幅方向DR1に延びている。
【0206】
第2介在部111の最大厚みT5(図28参照)は、0.01mm以上であることが好ましい。第2介在部111の最大厚みT5が0.01mm以上であれば、固定部材17に起因する段差を有効に緩和することができる。最大厚みT5は、上記段差をより有効に緩和する観点から、0.02mm以上、0.03mm以上、または0.04mm以上であることがより好ましい。一方で、最大厚みT5が厚すぎると、固定部材に起因する段差を緩和することができるが、シート12の巻取りに悪影響が出ることがある。このため、最大厚みT5の上限は、0.2mm以下または0.1mm以下であることが好ましい。第2介在部111の最大厚みT5は、レーザー変位計や実体顕微鏡を用いて、厚みT2と同様の方法によって測定することができる。
【0207】
第2介在部111の厚みをシート12の長手方向DR2に沿って測定したとき、第2介在部111の最大厚みT5に対する、長手方向DR2において第2介在部111における先端111Bから第2介在部111の最大厚みT5となる位置までの長さL5(図28参照)の比(長さL5/最大厚みT5)が、12以上であることが好ましい。この比が12以上であれば、第2介在部111の先端111B近傍に変形が残存することを抑制でき、また第2介在部の厚みが厚すぎると、巻取り時にロール体が真円から外れること等によって巻取り性が劣ることもあるが、この比が12以上であれば、第2介在部111が厚すぎることもないので、巻取り性が劣ることを抑制できる。また、第2介在部の厚みが厚すぎると、この第2介在部に起因した新たな変形が生じるおそれもあるが、この比が12以上であれば、このような新たな変形が生じることを抑制できる。この比の下限は、上記変形緩和長さを短くする点から、25以上、50以上、75以上、100以上、125以上、150以上、175以上、または200以上であることが好ましい。上記固定部材に起因する段差を有効に緩和する観点からは、第2介在部111の最大厚みT5は厚い方がよいので、この比の上限は、例えば、2000以下、1000以下、500以下、または375以下であることが好ましい。
【0208】
長さL5は、上記段差を緩和する観点からは、長いほど良く、例えば、シート12の厚みが50μm以上200μm以下である場合、長さL5は、5.0mm以上であることが好ましく、より上記変形緩和長さを短くするためには、7.0mm以上、更には9.0mm以上であることがより好ましい。ただし、長さL5が長すぎると、加工上、第2介在部111の先端111Bから最大厚みT5となる位置までの領域R3(図28参照)において、表面が凸状の第2介在部が形成されにくくなり、また第2介在部に波状の厚みむらが発生するおそれがあるので、長さL5の上限は、領域R3における第2介在部111の表面111Cが凸状となりやすく、また波状の厚みむらを抑制する観点から、20mm以下であることが好ましい。
【0209】
長さL5は、最大厚みT5と同様に位置変位曲線のグラフから求めることができる。具体的には、まず、第2介在部111の先端111Bが存在すると、変位量が上昇するので、位置変位曲線のグラフから変位量が上昇し始める箇所における変位量0mmラインと位置変位曲線の交点である第1位置を見付ける。次いで、上記変位量が最も高くなる位置を通り、変位量0mmラインに垂直な仮想線を引く。そして、この仮想線と変位量0mmラインの交点を第2位置として、第1位置と第2位置との距離を求めることにより長さL5を求めることができる。
【0210】
上記長さL5/最大厚みT5は、第2介在部111の形状を大まかに表すことができるが、より適正に表面111Cが凸状の形状を表すには、さらに第2介在部111の断面積を用いることが好ましい。具体的には、第2介在部111の最大厚みT5に対するシート12の長手方向DR2および巻芯11の径方向DR3を含む平面(図28で表される平面)における先端111Bから最大厚みT5となる位置まで第2介在部111の断面積S3(図28参照)の比(断面積S3/最大厚みT5)が、2.5以上であることが好ましい。この比が2.5以上であれば、最大厚みT5に対して第2介在部111の断面積S3が大きいので、第2介在部111でシート12を有効に持ち上げることができ、これにより上記段差をより緩和することができる。断面積S3/最大厚みT5の下限は、上記段差をさらに緩和する観点から、3.0以上、3.5以上、4.0以上、5.0以上、5.5以上、6.0以上、6.5以上、または7.0以上であることが好ましい。また、断面積S3/最大厚みT5の上限は、特に限定されないが、例えば、20.0以下、17.5以下、15.0以下、または12.5以下、10.0以下であってもよい。断面積S3は、第2介在部111の領域R3の断面積(図28においては、第2介在部111のうち実線で囲まれる領域の断面積)であり、位置変位曲線のグラフの第1位置から第2位置までの領域における各測定点での厚みと測定点間毎の幅との積を求め、それを合計することによって求めることができる。
【0211】
第2介在部111の構成材料は、第2充填部16の構成材料と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0212】
<露出抑制部材>
露出抑制部材112は、第1充填部14の端部14Aの露出を抑制する第1露出抑制部材と、第2介在部111の端部111Aの露出を抑制する第2露出抑制部材が一体化されたものである。図29に示される露出抑制部材112における第1露出抑制部材に相当する第1部分112Aは、第1露出抑制部材18と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。図29に示される露出抑制部材112における第2露出抑制部材に相当する第2部分112Bは、第2介在部111が設けられているシート12間における少なくとも第2隙間15に対応する領域12D(図29参照)であって、巻芯11の幅方向DR1における第2介在部111の端部111Aの外側に設けられていること以外は、第2露出抑制部材19と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。なお、露出抑制部材112は、第1充填部14の端部14Aの露出を抑制する第1露出抑制部材と、第2介在部111の端部111Aの露出を抑制する第2露出抑制部材に分かれていてもよい。
【0213】
<<ロール体の製造方法>>
ロール体10は、例えば、以下の方法によって製造することができる。図30図33は、本実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。まず、図30(A)に示されるように巻芯11の幅方向DR1に沿って巻芯11の外周面11Aに固定部材17を配置する。
【0214】
固定部材17を配置した後、図30(B)に示されるようにシート12の非有効領域R2に対応する巻芯11の外周面11Aの位置に巻芯11の周方向DR4に沿って第2露出抑制部材19をそれぞれ配置する。第2露出抑制部材19は、第2露出抑制部材19の一部が固定部材17上に重なるように配置される。なお、第2露出抑制部材19は、固定部材17の第1端面17Aに接触するように配置されてもよい。また、第2露出抑制部材19は、ディスペンサーやシリンジ等の塗布装置を用いて塗布により配置してもよいが、シートやテープを貼り付けることによって配置してもよい。
【0215】
第2露出抑制部材19を配置した後、ディスペンサーやシリンジ等の塗布装置を用いて、図31(A)に示されるように第2露出抑制部材19間に巻芯11の幅方向DR1に沿って巻芯11の外周面11Aに塗布材料201を塗布する。塗布材料201は、固定部材17の第1端面17Aに接触するように塗布される。なお、塗布材料201は固定部材17の第1端面17Aに近接するように塗布されてもよい。
【0216】
塗布材料201を塗布した後、図31(B)に示されるように、シート12が塗布材料201を覆うように巻き始め端部12Aを配置する。具体的には、固定部材17にシート12の巻き始め端部12Aを貼り付けて、固定部材17を介して巻き始め端部12Aを巻芯11の外周面11Aに固定する。
【0217】
シート12の巻き始め端部12Aを固定部材17に固定した後、図32(A)に示されるようにシート12の非有効領域R2に対応する巻芯11の外周面11Aの位置に巻芯11の周方向DR4に沿って第1露出抑制部材18をそれぞれ配置する。第1露出抑制部材18は、第1隙間13が形成される位置のみならず、巻き始め端部12A上の位置まで配置される。第1露出抑制部材18は、ディスペンサーやシリンジ等の塗布装置を用いて塗布により配置してもよいが、シートやテープを貼り付けることによって配置してもよい。
【0218】
第1露出抑制部材18を形成または配置した後、ディスペンサーやシリンジ等の塗布装置を用いて、図32(B)に示されるように第1露出抑制部材18間であってシート12の有効領域R1に対応する巻芯11の外周面11Aの位置に巻芯11の幅方向DR1に沿って塗布材料202を塗布する。塗布材料202は、固定部材17の第2端面17Bに接触するように塗布される。なお、塗布材料202は固定部材17の第2端面17Bに近接するように塗布されてもよい。
【0219】
その後、図33に示されるように、巻芯11の外周面11Aに沿ってシート12を巻回する。シート12を巻回すると、塗布材料201、202が流動して広がるので、第1隙間13に塗布材料202が充填されるとともに第2隙間15に塗布材料201が充填されて、第1隙間13に充填された第1充填部14および第2隙間15に充填された第2充填部16が形成される。これにより、ロール体10が得られる。なお、塗布材料202等を第1隙間13等に確実に広げて、充填するため、シート12が1000mを超える場合には、シート12を1000m以上巻き、またシート12が1000mに満たない場合には、シート12の全長を巻くことが好ましい。
【0220】
また、塗布材料201、202が、硬化性高分子組成物である場合には、少なくとも2周目のシート12の巻回後に、硬化性高分子組成物を硬化させる。硬化性高分子組成物が、1液硬化性高分子組成物(水分硬化性高分子組成物)である場合には、この組成物は空気中の湿度と反応して室温で放置することで硬化するので、加熱装置や電離放射線照射装置等の特別な装置を用いずに硬化させることができる。また、硬化性高分子組成物が2液硬化性高分子組成物である場合には、主剤と硬化剤を混合することによって硬化させることができる。
【0221】
上記製造方法においては、いずれも、塗布材料201、202をシート12の巻回によって流動させているが、シート12の巻回前に予め塗布材料201、202を流動させてもよい。ただし、シート12の巻回前に塗布材料201、202等を流動させると、工程が増えるので、塗布材料201、202をシート12の巻回によって流動させる方が好ましい。
【0222】
上記においては、塗布材料201の塗布後に、塗布材料202の塗布を行っているが、例えば、2つの塗布装置を用いて、塗布材料201、202を同時に塗布してもよい。
【0223】
上記においては、塗布材料201は第1端面17Aに接触するように塗布され、また塗布材料202を第2端面17Bに接触するように塗布されているが、塗布材料の濡れ性が高く、また塗布材料の粘度が低い場合には、第1端面や第2端面に接触するように塗布されると、塗布材料が巻き始め端部と固定部材の間に含侵し、また巻き始め端部とシートの裏面の間にまで濡れ広がる可能性がある。塗布材料の制御によって好ましい状態にもできるが、余分な含侵や濡れ広がりがあると、制御できない位置で硬化してしまい、その結果、新たな段差を生じる場合もある。また、塗布材料の粘度が高い場合(例えば、テープ状のもの)や塗布材料の濡れ性が低い場合には、塗布材料や塗布材料を配置すると、配置した近辺にしか濡れ広がらない状態で硬化する可能性が高いので、後工程の巻き回しによって十分に濡れ広げられなかった場合には、巻き始め端部付近が厚い状態で硬化する材料が多くなり、却って段差が大きくなってしまうおそれもある。このため、塗布材料201は固定部材17の第1端面17Aに近接するように塗布されることが好ましく、また塗布材料202は固定部材17の第2端面17Bに近接するように塗布されることが好ましい。本明細書における「近接」とは、巻き始め端部や固定部材に対し明らかに離間した位置を意味する。例えば、塗布材料が低粘度の材料であっても、巻き始め端部や固定部材からの離間距離は0.3mm以上であることが良い。この離間距離は、0.5mm以上であることが好ましく、最も安定させる観点から1mm以上であることが好ましい。なお、この離間距離が大きすぎると、段差を緩和する効果が得られにくくなるので、図3等の第1充填部14が完成できる範囲で距離を調整することが好ましい。例えば、この離間距離の上限は、10mm以下、7mm以下、更には5mm以下であることが好ましい。なお、塗布材料の粘度が低い場合には、塗布量を多くするとよい。離間距離は、10箇所測定し、測定された10箇所の離間距離中、最大値と最小値を除いた8箇所の離間距離の算術平均値を求めることによって求める。
【0224】
塗布材料の粘度が高粘度の場合、塗布材料は広がりにくいので、上記離間距離は近い方が好ましく、塗布材料の粘度が低粘度の場合、上記離間距離が小さすぎると、塗布材料が固定部材上に多量に存在するおそれがあり、また上記離間距離が大きすぎると、別の方向に広がるために目的の隙間に充分に充填できないおそれがあるため、上記離間距離は小さすぎず、かつ大きすぎないことが好ましい。
【0225】
上記においては、巻芯11の外周面11Aに固定部材17を配置した後に、固定部材17の第1端面17Aに接触するように塗布材料201を塗布した後に、固定部材17の第2端面17Bに接触するように塗布材料202を塗布しているが、下記製造方法(1)~(3)のような順序で塗布材料201、202の塗布および固定部材17の配置をしてもよい。これらの中でも、下記製造方法(2)が好ましい。
【0226】
製造方法(1)は、巻芯11の外周面11Aに固定部材17を配置した後、固定部材17の第1端面17A側に、上記離間距離となるように塗布材料201を塗布し、その後、固定部材17の第2端面17B側に、上記離間距離となるように塗布材料202を塗布する方法である。
【0227】
製造方法(2)は、巻芯11の外周面11Aに塗布材料201を塗布した後に、塗布材料201からの距離が上記離間距離となるように固定部材17を配置し、その後、固定部材17からの距離が上記離間距離となるように固定部材17における塗布材料201とは反対側に塗布材料202を塗布する方法、または巻芯11の外周面11Aに塗布材料202を塗布した後に、塗布材料202からの距離が上記離間距離となるように固定部材17を配置し、その後、固定部材17からの距離が上記離間距離となるように固定部材17における塗布材料202とは反対側に塗布材料201を塗布する方法である。このような順序で塗布材料201、202の塗布および固定部材17の配置を行うことにより、安定して離間距離を有して配置でき、固定部材17上に余分な塗布材料201、202等が塗布されることを抑制できるので、固定部材17上に新たな段差が生じることを抑制することができる。
【0228】
製造方法(3)は、巻芯11の外周面11Aに、所定の間隔で、塗布材料201、202を塗布し、その後、塗布材料201、202間に固定部材17を配置する方法である。
【0229】
図26に示されるロール体110を作製する場合には、まず、シート12を固定部材17に固定した後、シート12の非有効領域R2に対応する巻芯11の外周面11Aの位置からシート12の非有効領域R2にかけて巻芯11の周方向DR4に沿って露出抑制部材を配置する。露出抑制部材112は、露出抑制部材112の一部が固定部材17上に重なるように配置される。また、露出抑制部材112は、ディスペンサーやシリンジ等の塗布装置を用いて塗布により配置してもよいが、シートやテープを貼り付けることによって配置してもよい。そして、露出抑制部材112間であって、巻芯11の幅方向DR1に沿ってシート12の有効領域R1のうち少なくとも第2隙間15に対応する領域に塗布材料201を塗布し、また露出抑制部材112間に固定部材17の第2端面17Bに接触するように塗布材料202を塗布する。その後、シート12を巻回して、第1充填部14および第2介在部111を形成する。
【0230】
本実施形態によれば、第1隙間13に第1充填部14が充填されているので、第1充填部14上の1周目のシート12の部分を離間位置P1から先端面12A1に向けてなだらかに持ち上げることができる。これにより、シート12の巻き始め端部12Aに起因する段差を緩和できる。
【0231】
本実施形態によれば、第2隙間15に第2充填部16が充填されているので、第2充填部16上の1周目のシート12の部分を第1端面17Aから到達位置P2に向けて、なだらかに下げることができる。これにより、固定部材17に起因する段差を有効に緩和できる。
【0232】
ロール体30においては、第3隙間31に第3充填部32が充填されているので、第3充填部32上の1周目のシート12の部分をなだらかに持ち上げることができる。これにより、固定部材17に起因する段差をより有効に緩和できる。
【0233】
シートが変形等してしまうと、シートにおいて製品として使用できない部分が存在するので、有効長さを確保するために、シートの有効長さを補償している。すなわち、シートが変形によって製品とならない部分が長くなると、シートロスが増大する。これに対し、本実施形態によれば、シート12の巻き始め端部12Aに起因する段差や固定部材17、81に起因する段差を緩和できるので、シート12の変形を抑制することができる。これにより、シートロスを低減できる。
【0234】
本実施形態によれば、巻芯11の幅方向DR1における第1充填部14の外側に第1露出抑制部材18、101が配置されているので、シート12の外側に第1充填部14がはみ出すことを抑制でき、シート12の外側に第1充填部14の端部14Aが露出することを抑制できる。これにより、シート12が汚染されることを抑制できる。
【0235】
本実施形態によれば、巻芯11の幅方向DR1における第2充填部16の外側に第2露出抑制部材19、102が配置されているので、シート12の外側に第2充填部16がはみ出すことを抑制でき、シート12の外側に第2充填部16の端部16Aが露出することを抑制できる。これにより、シート12が汚染されることを抑制できる。
【0236】
本実施形態によれば、ロール体110においては、巻芯11の幅方向DR1における第1充填部14の外側および第2介在部111の外側に露出抑制部材112が配置されているので、シート12の外側に第1充填部14および第2介在部111がはみ出すことを抑制でき、シート12の外側に第1充填部14の端部14Aおよび第2介在部111の端部111Aが露出することを抑制できる。これにより、シート12が汚染されることを抑制できる。
【0237】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係るロール体について、図面を参照しながら説明する。図34は、本実施形態に係るロール体の斜視図であり、図35は、図34のロール体の平面図であり、図36は、図35のロール体におけるVII-VII線の断面の一部を拡大した図であり、図37は、図35のロール体におけるVIII-VIII線の断面の一部を拡大した図であり、図38は、図34のロール体の一部を拡大した平面図であり、図39は、本実施形態に係る他のロール体の一部を拡大した図である。図40は、本実施形態に係る他のロール体の平面図であり、図41は、図40のロール体におけるIX-IX線の断面の一部を拡大した図であり、図42は、図40のロール体におけるX-X線の断面の一部を拡大した図であり、図43は、図40のロール体におけるXI-XI線の断面の一部を拡大した図である。
【0238】
<<<ロール体>>>
図34および図35に示されるロール体120は、巻芯11と、巻芯11の外周面11Aに巻回された長尺状のシート12とを備えている。ロール体120は、図36に示されるように、巻芯11とシート12の間に位置する第1隙間13に充填された第1充填部14と、巻芯11とシート12の間に位置する第2隙間15に充填された第2充填部16と、シート12の一部を巻芯11に固定するための固定部材17とを備え、また図35および図38に示されるように巻芯11の幅方向DR1における第1充填部14の端部14Aがシート12の外側に露出することを抑制する一対の第1露出抑制部材121と、巻芯11の幅方向DR1における第2充填部16の端部16Aがシート12の外側に露出することを抑制する一対の第2露出抑制部材122とをさらに備えている。
【0239】
シート12は、巻芯11に複数周以上、例えば2周以上巻回されている。ロール体120は、第1露出抑制部材121および第2露出抑制部材122の少なくともいずれかを備えていればよく、両方備えていなくともよい。また、ロール体120は、一対の第1露出抑制部材121を備えているが、第1露出抑制部材121を備える場合には、少なくとも片側の第1露出抑制部材121を備えていればよい。ロール体120は、一対の第2露出抑制部材122を備えているが、第2露出抑制部材122を備える場合には、少なくとも片側の第2露出抑制部材122を備えていればよい。
【0240】
また、ロール体120は、第1充填部14に連設され、かつ1周目のシート12と2周目のシート12の間に介在した第1介在部20をさらに備えている。ロール体120は、第1介在部20を備えているが、第1介在部を備えていなくともよい。
【0241】
<第1露出抑制部材>
第1露出抑制部材121は、第1実施形態と同様に、第1充填部14の端部14Aがシートの外側に露出することを抑制するための部材であるが、図37および図38に示される第1露出抑制部材121は、第1充填部14におけるシート12からはみ出した端部14Aの露出を抑制する部材である。すなわち、第1露出抑制部材121は、図37に示されるように第1充填部14のはみ出した端部14Aを覆う被覆部材として機能するものである。第1露出抑制部材121は、端部14Aを覆う観点からシート状になっている。
【0242】
第1露出抑制部材121は、第1露出抑制部材121全体がシート12から露出していてもよいが、一部がシート12によって覆われていてもよい。第1露出抑制部材121の一部がシート12によって覆われていることにより、第1露出抑制部材121が固定されるので、第1露出抑制部材121の位置ずれを抑制できる。
【0243】
第1露出抑制部材121のシート12から露出している露出部121Aの大きさは、第1充填部14のはみ出している端部14Aの大きさよりも大きくなっていることが好ましい。これにより、露出部121Aによって端部14A全体を覆うことができるので、シート12を汚染することをより抑制できる。
【0244】
第1露出抑制部材121のシート12で覆われている非露出部121Bは、第1充填部14による段差緩和を阻害しないために非有効領域R2に位置していることが好ましい。
【0245】
第1露出抑制部材121は、第1露出抑制部材18の欄で記載した理由と同様の理由から、図35に示されるように第1露出抑制部材121の一部が固定部材17上に重なるように配置されることが好ましい。
【0246】
巻芯11の周方向DR4における露出部121Aの長さL6(図38参照)は、巻芯11の周方向DR4におけるはみ出した端部14Aの長さにも依るが、例えば、10mm以上であることが好ましい。露出部121Aの長さL6が10mm以上であれば、巻芯11の周方向DR4における端部14Aの長さ全体を覆うことができる。露出部121Aの長さL6の下限は、20mm以上、50mm以上、または100mm以上であることがより好ましい。露出部121Aの長さL6の上限は、例えば、巻芯11の外周長(mm)から10mm引いた長さの1/2の長さ以下であってもよい。
【0247】
巻芯11の幅方向DR1における露出部121Aの幅W6(図38参照)は、巻芯11の幅方向DR1におけるはみ出した端部14Aの長さにも依るが、例えば、5mm以上であることが好ましい。露出部121Aの幅W6が5mm以上であれば、巻芯11の幅方向DR1におけるはみ出した端部14Aの長さ全体を覆うことができる。露出部121Aの幅W6は、10mm以上、30mm以上、または50mm以上であることがより好ましい。露出部121Aの幅W6の上限は、コンタミネーションの懸念を抑制する観点から、40mm以下、30mm以下、または20mm以下であってもよい。
【0248】
第1露出抑制部材121の厚みは、1μm以上2000μm以下であることが好ましい。第1露出抑制部材121の厚みが1μm以上であれば、第1露出抑制部材121の破断や折れ等の変形を抑制でき、端部14Aを安定して覆うことができる。また、第1露出抑制部材121の厚みが2000μm以下であれば、図38に示されるように非露出部121Bを設けた場合であっても、第1露出抑制部材121に起因する新たな段差が発生することを抑制できる。第1露出抑制部材121の厚みの下限は、第1露出抑制部材121が破断や変形することなく、より安定して端部14Aを覆うことができる観点から、3μm以上、5μm以上、または10μm以上であることがより好ましい。第1露出抑制部材121の厚みの上限は、第1露出抑制部材121に起因する新たな段差が発生することをより抑制する観点から、1000μm以下、500μm以下、または200μm以下であることがより好ましい。
【0249】
第1露出抑制部材121の構成材料は、シート状となり、かつシートの汚染しないような材料であれば特に限定されないが、例えば、樹脂、金属、ゴム、ゲル、テープ(クッションテープを含む)、粘土、または紙が挙げられる。これらの材料であれば、取り扱いが容易および/または設置が容易となる。これらの中でも、取り扱いおよび設置が容易なことから、テープが好ましい。また、第1露出抑制部材121の構成材料として、ゴム、ゲルを用いた場合には、第1露出抑制部材121自体が変形可能であるので、第1露出抑制部材121に起因する新たな段差が発生することを抑制することができる。
【0250】
<第2露出抑制部材>
第2露出抑制部材122は、第1実施形態と同様に、第2充填部16の端部16Aがシートの外側に露出することを抑制するための部材であるが、図37および図38に示される第2露出抑制部材122は、第2充填部16におけるシート12からはみ出した端部16Aの露出を抑制する部材である。すなわち、第2露出抑制部材122は、図37に示されるように第2充填部16のはみ出した端部16Aを覆う被覆部材として機能するものである。
【0251】
第2露出抑制部材122は、第1露出抑制部材121の欄に記載した理由と同様の理由から、第2露出抑制部材122全体がシート12から露出していてもよいが、一部がシート12によって覆われていてもよい。
【0252】
第2露出抑制部材122のシート12から露出している露出部122Aの大きさは、第2充填部16のはみ出している端部16Aの大きさよりも大きくなっていることが好ましい。これにより、露出部122Aによって端部16A全体を覆うことができるので、シート12を汚染することをより抑制できる。
【0253】
第2露出抑制部材122のシート12で覆われている非露出部122Bは、第2充填部16による段差緩和を阻害しないために非有効領域R2に位置していることが好ましい。
【0254】
第2露出抑制部材122は、端部16A全体を覆う観点からシート状になっていることが好ましい。
【0255】
第2露出抑制部材122は、第2露出抑制部材19の欄で記載した理由と同様の理由から、図35に示されるように第2露出抑制部材122の一部が固定部材17上に重なるように配置されることが好ましい。図35に示される第1露出抑制部材121と第2露出抑制部材122は別体となっているが、図39に示される露出抑制部材123のように、第1露出抑制部材と第2露出抑制部材は一体化されていてもよい。この場合、露出抑制部材123は、第1露出抑制部材の機能のみならず第2露出抑制部材の機能を有している。
【0256】
巻芯11の周方向DR4における露出部122Aの長さL7(図38参照)は、巻芯11の周方向DR4におけるはみ出した端部16Aの幅にも依るが、例えば、10mm以上であることが好ましい。露出部122Aの長さL7が10mm以上であれば、巻芯11の周方向DR4における端部16Aの長さ全体を覆うことができる。露出部122Aの長さL7の下限は、20mm以上、50mm以上、または100mm以上であることがより好ましい。露出部122Aの長さL7の上限は、例えば、巻芯11の外周長(mm)から10mm引いた長さの1/2の長さ以下であってもよい。
【0257】
巻芯11の幅方向DR1における露出部122Aの幅W7(図38参照)は、巻芯11の幅方向DR1におけるはみ出した端部16Aの長さにも依るが、例えば、5mm以上であることが好ましい。露出部122Aの幅W7が5mm以上であれば、巻芯11の幅方向DR1におけるはみ出した端部16Aの長さ全体を覆うことができる。露出部122Aの幅W7は、10mm以上、30mm以上、または50mm以上であることがより好ましい。露出部122Aの幅W7の上限は、コンタミネーションの懸念を抑制する観点から、40m以下、30mm以下、または20mm以下であってもよい。
【0258】
第2露出抑制部材122の厚みは、第1露出抑制部材121の厚みと同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0259】
第2露出抑制部材122の構成材料は、第1露出抑制部材121の構成材料と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0260】
<<他のロール体>>
ロール体120は、第2隙間15に第2充填部16が充填されているが、図41に示されるロール体130のように、第2隙間15には第2充填部16が充填されておらず、第2隙間15が空洞になっており、1周目以降のシート12間における少なくとも第2隙間15に対応する領域12Dに第2介在部131が設けられていてもよい。この場合には、巻芯11の幅方向DR1における第2介在部131の端部131Aの外側に露出抑制部材132(図40参照)が設けられていることが好ましい。
【0261】
<<第2介在部>>
第2介在部131は、第2介在部111と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。
【0262】
<露出抑制部材>
図40に示される露出抑制部材132は、第1充填部14の端部14Aの露出を抑制する第1露出抑制部材と、第2介在部131の端部131Aの露出を抑制する第2露出抑制部材が一体化されたものである。図42に示される露出抑制部材132における第1露出抑制部材に相当する第1部分132Aは、第1露出抑制部材121と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。図42に示される露出抑制部材132における第2露出抑制部材に相当する第2部分132Bは、第2介在部131が設けられているシート12間における少なくとも第2隙間15に対応する領域12D(図42参照)であって、巻芯11の幅方向DR1における第2介在部131の端部131Aの外側に設けられていること以外は、第2露出抑制部材122と同様であるので、ここでは説明を省略するものとする。なお、図43に示されるように、第1充填部14の端部14Aの側面や第2介在部131の端部131Aの側面は、露出抑制部材132で覆われていることが好ましい。
【0263】
<<ロール体の製造方法>>
ロール体120は、例えば、以下の方法によって製造することができる。図44および図45は、本実施形態に係るロール体の製造工程を模式的に示した図である。まず、図44(A)に示されるように巻芯11の幅方向DR1に沿って巻芯11の外周面11Aに固定部材17を配置する。
【0264】
固定部材17を配置した後、ディスペンサー等を用いて、図44(B)に示されるように巻芯11の幅方向DR1に沿って巻芯11の外周面11Aに塗布材料201、202を塗布する。塗布材料201、202は、いずれもシート12の有効領域R1と対応する巻芯11の外周面11Aの位置に塗布される。また、塗布材料201は、固定部材17の第1端面17Aに接触するように塗布され、塗布材料202は、固定部材17の第2端面17Bに接触するように塗布される。なお、塗布材料201は固定部材17の第1端面17Aに近接するように塗布されてもよく、また塗布材料202は固定部材17の第2端面17Bに近接するように塗布されてもよい。
【0265】
塗布材料201、202を塗布した後、図45(A)に示されるように、シート12が塗布材料201を覆うように巻き始め端部12Aを配置する。具体的には、固定部材17にシート12の巻き始め端部12Aを貼り付けて、固定部材17を介して巻き始め端部12Aを巻芯11の外周面11Aに固定する。
【0266】
シート12の巻き始め端部12Aを固定部材17に固定した後、図45(B)に示されるように、第1露出抑制部材121の一部および第2露出抑制部材122の一部を挟みながら巻芯11の外周面11Aに沿ってシート12を巻回する。具体的には、巻芯11の幅方向DR1における塗布材料202の外側に第1露出抑制部材121が位置するように、また巻芯11の幅方向DR1における塗布材料201の外側に第2露出抑制部材122が位置するように、巻芯11と1周目のシート12の間に第1露出抑制部材121の一部を挟み込み、1周目のシート12と2周目のシート12の間に第2露出抑制部材122の一部を挟み込む。このように第1露出抑制部材121および第2露出抑制部材122の一部を挟み込むことにより、第1露出抑制部材121および第2露出抑制部材122を連続的に挟み込むことができる。なお、巻芯11と1周目のシート12の間に第1露出抑制部材121の一部および第2露出抑制部材122の一部を挟み込んでもよい。
【0267】
シート12を巻回すると、塗布材料201、202が流動して広がるので、第1隙間13に塗布材料202が充填されるとともに第2隙間15に塗布材料201が充填され、第1隙間13に充填された第1充填部14および第2隙間15に充填された第2充填部16が形成される。これにより、ロール体120が得られる。なお、塗布材料202等を第1隙間13等に確実に広げて、充填するため、シート12が1000mを超える場合には、シート12を1000m以上巻き、またシート12が1000mに満たない場合には、シート12の全長を巻くことが好ましい。
【0268】
また、塗布材料201、202が、硬化性高分子組成物である場合には、少なくとも2周目のシート12の巻回後に、硬化性高分子組成物を硬化させる。硬化性高分子組成物が、1液硬化性高分子組成物(水分硬化性高分子組成物)である場合には、この組成物は空気中の湿度と反応して室温で放置することで硬化するので、加熱装置や電離放射線照射装置等の特別な装置を用いずに硬化させることができる。また、硬化性高分子組成物が2液硬化性高分子組成物である場合には、主剤と硬化剤を混合することによって硬化させることができる。
【0269】
図41に示されるロール体130を作製する場合には、まず、シート12を固定部材17に固定した後、巻芯11の幅方向DR1に沿ってシート12の有効領域R1のうち少なくとも第2隙間15に対応する領域に塗布材料201を塗布し、また固定部材17の第2端面17Bに接触するように塗布材料202を塗布する。そして、巻芯11の幅方向DR1における塗布材料201、202の外側に露出抑制部材132が位置するように、巻芯11と1周目のシート12の間に露出抑制部材132の第1部分132Aを挟み込み、1周目のシート12と2周目のシート12の間に露出抑制部材132の第2部分132Bの一部を挟み込む。
【0270】
本実施形態によれば、第1隙間13に第1充填部14が充填されているので、第1実施形態と同様の理由から、シート12の巻き始め端部12Aに起因する段差を緩和できる。
【0271】
本実施形態によれば、第2隙間15に第2充填部16が充填されているので、第1実施形態と同様の理由から、固定部材17に起因する段差を有効に緩和できる。
【0272】
本実施形態によれば、シート12の巻き始め端部12Aに起因する段差や固定部材17に起因する段差を緩和できるので、シート12の変形を抑制することができる。これにより、シートロスを低減できる。
【0273】
本実施形態によれば、第1充填部14の端部14Aはシート12の外側にはみ出しているが、このはみ出した端部14Aは第1露出抑制部材121によって覆われているので、シート12の外側に端部14Aが露出することを抑制できる。これにより、シート12が汚染されることを抑制できる。
【0274】
本実施形態によれば、第2充填部16の端部16Aはシート12の外側にはみ出しているが、このはみ出した端部14Aは第2露出抑制部材122によって覆われているので、シート12の外側に端部16Aが露出することを抑制できる。これにより、シート12が汚染されることを抑制できる。
【0275】
本実施形態によれば、ロール体130においては、第1充填部14の端部14Aはシート12の外側にはみ出しているが、このはみ出した端部14Aは露出抑制部材132によって覆われているので、シート12の外側に端部14Aが露出することを抑制できる。また、巻芯11の幅方向DR1における第2介在部131の外側に露出抑制部材132が配置されているので、シート12の外側に第2介在部131がはみ出すことを抑制でき、シート12の外側に第2介在部131の端部131Aが露出することを抑制できる。これにより、シート12が汚染されることを抑制できる。
【実施例
【0276】
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの記載に限定されない。
【0277】
<実施例1>
まず、内径153mm、外径167mmおよび幅1600mmの繊維強化プラスチック製の円筒状の巻芯の外周面に、固定部材としての長さ1380mm、幅20mmおよび厚み10μmの長方形状の両面テープを巻芯の幅方向に沿って貼り付けた。
【0278】
両面テープを貼り付けた後、巻芯を巻取装置のチャック部材で保持して、巻取装置に固定した。その後、アクリル樹脂フィルムの非有効領域に対応する巻芯の外周面の領域に、巻芯の周方向に沿って、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)からなる直線状の第2露出抑制部材を形成した。第2露出抑制部材は、アクリル樹脂フィルムの幅方向の側縁から15mm離れるように形成されていた。また、第2露出抑制部材においては、巻芯の周方向における長さL4は10mmであり、巻芯の幅方向における幅W5は10mmであった。第2露出抑制部材の長手方向の一端は、両面テープ上にあり、他端は、アクリル樹脂フィルムの巻回方向において両面テープよりも突き出ていた。この第2露出抑制部材の色は白色であった。なお、長さL4および幅W5は、図7に示される部分を意味する。
【0279】
第2露出抑制部材を形成した後、第2露出抑制部材間に位置し、かつ後述するシートとしてのアクリル樹脂フィルムの有効領域となる領域と対応する巻芯の外周面の位置に、両面テープにおける巻芯の幅方向に沿って延びる第1端面に接触するように、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を25℃の環境下で塗布した。このシリコーン樹脂組成物の色は白色であった。また、このシリコーン樹脂組成物の塗布時の剪断粘度は、40Pa・sであり、このシリコーン樹脂組成物は、巻芯の幅方向に沿い、かつ単位幅当たりの塗布量が1cm/mとなるように直線状に塗布された。
【0280】
そして、シートとしての長さ3000m、幅1340mmおよび厚み80μmのアクリル樹脂フィルム(面内位相差Re:5nm、下地層無し)の長手方向の巻き始め端部を巻芯の幅方向に沿って両面テープに貼り付けて、アクリル樹脂フィルムを巻芯の外周面に固定した。アクリル樹脂フィルムは、幅1270mmの有効領域と、アクリル樹脂フィルムの幅方向における有効領域の両側に位置する幅35mmの一対の非有効領域とを有するものであった。
【0281】
アクリル樹脂フィルムを巻芯の外周面に固定した後、アクリル樹脂フィルムの非有効領域に対応する巻芯の外周面の領域から1周目のアクリル樹脂フィルムの非有効領域にかけて、巻芯の周方向に沿って、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)からなる直線状の第1露出抑制部材を形成した。第1露出抑制部材は、アクリル樹脂フィルムの幅方向の側縁から15mm離れた位置に形成されていた。また、第1露出抑制部材においては、巻芯の周方向における長さL3は10mmであり、巻芯の幅方向における幅W4は10mmであり、アクリル樹脂フィルムの先端面に接する位置での厚みは500μmであった。第1露出抑制部材の長手方向の一端は、アクリル樹脂フィルムの巻回方向とは逆方向においてアクリル樹脂フィルムの巻き始め端部の先端面よりも突き出ており、他端は巻き始め端部上にあった。この第1露出抑制部材の色は白色であった。なお、長さL3および幅W4は、図7に示される部分を意味する。
【0282】
第1露出抑制部材を形成した後、第1露出抑制部材間に位置し、かつアクリル樹脂フィルムの有効領域と対応する巻芯の外周面の位置に、巻き始め端部の先端面および両面テープにおける第1端面とは反対側の第2端面に接触するように、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を25℃の環境下で塗布した。このシリコーン樹脂組成物の色は白色であった。また、このシリコーン樹脂組成物の塗布時の剪断粘度は、40Pa・sであり、このシリコーン樹脂組成物は、巻芯の幅方向に沿い、かつ単位幅当たりの塗布量が1cm/mとなるように直線状に塗布された。
【0283】
その後、アクリル樹脂フィルム全てを巻取装置によって巻芯に巻回して、巻芯と1周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつアクリル樹脂フィルムの巻き始め端部の先端面に接する第1隙間にシリコーン樹脂組成物を充填するとともに、巻芯と1周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつ両面テープの第1端面に接する第2隙間にシリコーン樹脂組成物を充填した。これにより、ロール体を得た。ロール体においては、シリコーン樹脂組成物は硬化して、第1隙間に充填された長さ20mm、幅1300mmおよび最大厚み300μmの第1充填部と、第2隙間に充填された長さ20mm、幅1300mmおよび最大厚み300μmの第2充填部が形成されていた。
【0284】
シリコーン樹脂組成物の剪断粘度は、株式会社アントンパール・ジャパン製の動的粘弾性測定装置を用いて測定された。具体的には、シリコーン樹脂組成物の剪断粘度は、直径25mmのパラレルプレートを用いて、25℃において剪断速度1[1/s]の時の剪断粘度を測定することによって求められた。シリコーン樹脂組成物の剪断粘度は、シリコーン樹脂組成物の剪断粘度を10回測定し、測定された10の粘度中、最大値と最小値を除いた8つの剪断粘度の算術平均値を求めることによって求めた。以下の他の実施例で用いた塗布材料の剪断粘度も実施例1と同様にして測定された。
【0285】
アクリル樹脂フィルムの面内位相差Reは、位相差フィルム・光学材料検査装置(製品名「RETS-100」、大塚電子株式会社製)を用いて測定された。具体的には、まず、RETS-100の光源を安定させるため、光源を点灯させてから60分以上放置した。その後、回転検光子法を選択するとともに、θモード(角度方向位相差測定モード)選択する。このθモードを選択することにより、ステージは傾斜回転ステージとなった。
【0286】
次いで、RETS-100に以下の測定条件を入力した。
(測定条件)
・リタデーション測定範囲:回転検光子法
・測定スポット径:φ5mm
・傾斜角度範囲:-40°~40°
・測定波長範囲:400nm~800nm
・サンプルの平均屈折率:1.5
・厚み:80μm
【0287】
次いで、この装置にサンプルを設置せずに、バックグラウンドデータを得た。装置は閉鎖系とし、光源を点灯させる毎にこれを実施した。
【0288】
その後、この装置内のステージ上にサンプルを設置した。サンプルの大きさは50mm×50mmとした。ただし、サンプルは、シートのそれぞれ端からシートの内側に35mm以上離れた部分から切り出したものであった。
【0289】
サンプルを設置した後、温度23℃および相対湿度50%の環境下で、XY平面上でステージを360°回転させて、進相軸および遅相軸を測定した。測定終了後、遅相軸を選択した。その後、遅相軸を中心にステージが設定した角度範囲に傾きながら測定が行われ、10°刻みで、設定傾斜角度範囲および設定波長範囲のデータ(Re)が得られた。面内位相差Reは、位置が異なる5点で測定した。具体的には、図10に示されるようにサンプルの中心A1および点A2~A4の合計5点で測定した。そして、5点の測定値中、最大値と最小値を除いた3点の算術平均値を面内位相差Reとした。
【0290】
<実施例2>
実施例2においては、2液硬化性シリコーン樹脂組成物からなる第1露出抑制部材の代わりに、クッションテープ(製品名「ウレタンフォームテープ 4032」、スリーエム ジャパン株式会社製)からなる第1露出抑制部材を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。第1露出抑制部材は、巻芯の周方向における長さL3が45mmであり、巻芯の幅方向における幅W4が40mmであり、アクリル樹脂フィルムの先端面に接する位置での厚みが800μmのものであった。
【0291】
<実施例3>
実施例2においては、2液硬化性シリコーン樹脂組成物からなる第1露出抑制部材の代わりに、ウレタン樹脂組成物(製品名「ソルボセイン」、三進興産株式会社製)からなる第1露出抑制部材を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。第1露出抑制部材は、巻芯の周方向における長さL3が100mmであり、巻芯の幅方向における幅W4が10mmであり、アクリル樹脂フィルムの先端面に接する位置での厚みが1000μmのものであった。
【0292】
<実施例4>
実施例4においては、2液硬化性シリコーン樹脂組成物の代わりに、1液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ハピオシールプロHG」、株式会社カンペハピオ製)を用いて第1充填部および第2充填部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。この1液硬化性シリコーン樹脂組成物は灰色であり、またこの1液硬化性シリコーン樹脂組成物の塗布時の剪断粘度は、180Pa・sであった。
【0293】
<実施例5>
実施例5においては、単位幅当たりの塗布量が0.3cm/mとなるように2液硬化性シリコーン樹脂組成物を塗布して第1充填部および第2充填部を形成したこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。
【0294】
<実施例6>
実施例6においては、アクリル樹脂フィルムの代わりに、長さ3400mm、幅1495mmおよび厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(面内位相差Re:2250nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。PETフィルムは、両面に下地層を有するものであった。
【0295】
<実施例7>
実施例7においては、アクリル樹脂フィルムの代わりに、長さ3400mm、幅1495mmおよび厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(製品名「コスモシャインSRF(登録商標)」、東洋紡株式会社、面内位相差Re:8400nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。PETフィルムは、両面に下地層を有するものであった。
【0296】
<実施例8>
実施例8においては、アクリル樹脂フィルムの代わりに、長さ3000m、幅1250mmおよび厚み47μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(面内位相差Re:99.7nm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。COPフィルムは、下地層を有しないものであった。
【0297】
<実施例9>
まず、内径153mm、外径167mmおよび幅1600mmの繊維強化プラスチック製の円筒状の巻芯の外周面に、固定部材としての長さ1380mm、幅20mmおよび厚み10μmの長方形状の両面テープを巻芯の幅方向に沿って貼り付けた。
【0298】
両面テープを貼り付けた後、巻芯を巻取装置のチャック部材で保持して、巻取装置に固定した。その後、両面テープにおける巻芯の幅方向に沿って延びる第1端面に接触するように、塗布材料として、1液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ハピオシールプロHG」、株式会社カンペハピオ製)を25℃の環境下で塗布した。このシリコーン樹脂組成物の色は灰色であった。また、このシリコーン樹脂組成物の塗布時の剪断粘度は、180Pa・sであり、シリコーン樹脂組成物は、巻芯の幅方向に沿い、かつ単位幅当たりの塗布量が1cm/mとなるように直線状に塗布された。
【0299】
そして、シートとしての長さ3000m、幅1340mmおよび厚み80μmのアクリル樹脂フィルム(面内位相差Re:5nm)の長手方向の巻き始め端部を巻芯の幅方向に沿って両面テープに貼り付けて、アクリル樹脂フィルムを巻芯の外周面に固定した。
【0300】
アクリル樹脂フィルムを巻芯の外周面に固定した後、アクリル樹脂フィルムの有効領域と対応する巻芯の領域に、巻き始め端部の先端面および両面テープにおける第1端面とは反対側の第2端面に接触するように、塗布材料として、1液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ハピオシールプロHG」、株式会社カンペハピオ製)を25℃の環境下で塗布した。このシリコーン樹脂組成物の色は灰色であった。また、このシリコーン樹脂組成物の塗布時の剪断粘度は、180Pa・sであり、シリコーン樹脂組成物は、巻芯の幅方向に沿い、かつ単位幅当たりの塗布量が1cm/mとなるように直線状に塗布された。
【0301】
その後、アクリル樹脂フィルム全てを巻取装置によって巻芯に巻回して、巻芯と1周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつアクリル樹脂フィルムの巻き始め端部の先端面に接する第1隙間にシリコーン樹脂組成物を充填するとともに、巻芯と1周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつ両面テープの第1端面に接する第2隙間にシリコーン樹脂組成物を充填した。
【0302】
また、アクリル樹脂フィルムの巻回の際、巻芯とアクリル樹脂フィルムの非有効領域との間であって、かつアクリル樹脂フィルムの幅方向における第1隙間に充填されたシリコーン樹脂組成物の外側に、片面粘着テープ(製品名「ココフセン Lサイズ」、株式会社カンミ製)である第1露出抑制部材を部分的に挟み、1周目と2周目のアクリル樹脂フィルムの非有効領域間であって、アクリル樹脂フィルムの幅方向における少なくとも第2隙間に対応する領域に、片面粘着テープ(製品名「ココフセン Lサイズ」、株式会社カンミ製)である第2露出抑制部材を部分的に挟んだ。これにより、ロール体を得た。
【0303】
ロール体においては、シリコーン樹脂組成物は硬化して、第1隙間に充填された長さ20mm、幅1340mmおよび最大厚み300μmの第1充填部と、第2隙間に充填された長さ20mm、幅1340mmおよび最大厚み300μmの第2充填部が形成されていた。第1露出抑制部材は、巻芯の周方向における長さL6が30mmであり、巻芯の幅方向における幅W6が42mmであり、厚みが25μmのものであった。第2露出抑制部材は、巻芯の周方向における長さL7が30mmであり、巻芯の幅方向における幅W7が42mmであり、厚みが25μmのものであった。なお、長さL6、L7および幅W6、W7は、図38に示される部分を意味する。
【0304】
<実施例10>
実施例10においては、片面粘着テープの代わりに、第1露出抑制部材および第2露出抑制部材として両面粘着テープ(製品名「両面接着テープ VR-5000」、日東電工株式会社製)を用いたこと以外は、実施例9と同様にして、ロール体を得た。
【0305】
<実施例11>
まず、内径153mm、外径167mmおよび幅1600mmの繊維強化プラスチック製の円筒状の巻芯の外周面に、固定部材としての長さ1380mm、幅20mmおよび厚み10μmの長方形状の両面テープを巻芯の幅方向に沿って貼り付けた。
【0306】
両面テープを貼り付けた後、巻芯を巻取装置のチャック部材で保持して、巻取装置に固定した。その後、シートとしての長さ3000m、幅1340mmおよび厚み80μmのアクリル樹脂フィルム(面内位相差Re:5nm)の長手方向の巻き始め端部を巻芯の幅方向に沿って両面テープに貼り付けて、アクリル樹脂フィルムを巻芯の外周面に固定した。アクリル樹脂フィルムは、幅1270mmの有効領域と、アクリル樹脂フィルムの幅方向における有効領域の両側に位置する幅35mmの一対の非有効領域とを有するものであった。
【0307】
アクリル樹脂フィルムを巻芯の外周面に固定した後、アクリル樹脂フィルムの非有効領域に対応する巻芯の外周面の領域から1周目のアクリル樹脂フィルムの非有効領域にかけて、巻芯の周方向に沿って、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)からなる直線状の露出抑制部材を形成した。露出抑制部材は、第1露出抑制部材と第2露出抑制部材が一体化されたものであり、第1露出抑制部材に相当する第1部分と第2露出抑制部材に相当する第2部分を有していた。露出抑制部材は、アクリル樹脂フィルムの幅方向の側縁から15mm離れた位置に形成されていた。また、露出抑制部材においては、巻芯の周方向における長さは150mmであり、巻芯の幅方向における幅は10mmであり、アクリル樹脂フィルムの巻き始め端部の先端面に接する位置での厚みは500μmであった。この露出抑制部材の色は白色であった。
【0308】
その後、アクリル樹脂フィルムの有効領域と対応する巻芯の領域に、巻き始め端部の先端面および両面テープにおける第1端面とは反対側の第2端面に接触するように、塗布材料として、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を25℃の環境下で塗布した。また、アクリル樹脂フィルムの有効領域であって、巻芯と1周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつ両面テープの第1端面に接する第2隙間に対応する領域に、塗布材料として、2液硬化性シリコーン樹脂組成物(製品名「ELASTOSIL(登録商標)M4503」、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を25℃の環境下で塗布した。これらのシリコーン樹脂組成物の色は白色であった。また、これらのシリコーン樹脂組成物の塗布時の剪断粘度は、40Pa・sであり、これらのシリコーン樹脂組成物は、巻芯の幅方向に沿い、かつ単位幅当たりの塗布量が1cm/mとなるように直線状に塗布された。
【0309】
その後、アクリル樹脂フィルム全てを巻取装置によって巻芯に巻回して、巻芯と1周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつアクリル樹脂フィルムの巻き始め端部の先端面に接する第1隙間にシリコーン樹脂組成物を充填するとともに、1周目と2周目のアクリル樹脂フィルム間に位置し、かつ第2隙間に対応する領域にシリコーン樹脂組成物を充填した。
【0310】
ロール体においては、シリコーン樹脂組成物は硬化して、第1隙間に充填された長さ20mm、幅1340mmおよび最大厚み300μmの第1充填部と、1周目と2周目のアクリル樹脂フィルムの間に位置し、かつ第2隙間に対応する領域に介在した長さ20mm、幅1340mmおよび最大厚み200μmの第2介在部とが形成されていた。
【0311】
<比較例1>
比較例1においては、第1充填部および第2充填部を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、ロール体を得た。
【0312】
<比較例2>
比較例2においては、第1露出抑制部材および第2露出抑制部材を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてロール体を得た。
【0313】
<変形緩和長さ測定>
実施例および比較例に係るロール体において、フィルムの巻き始め端部に起因する段差および両面テープに起因する段差が緩和される長さをそれぞれ測定した。具体的には、巻き始め端部から巻き終わり端部に向けて段差が小さくなっていくため、まず段差が視認される地点までフィルムの繰り出し長さ(m)を測りながら繰り出した。そして、段差が視認される地点でフィルムを切り取った。フィルムの切り取った部分にポリビニルアルコールフィルムを貼り合せた状態で、800Lux以上2000Lux以下の室内環境下において、フィルムに白色LED灯を映り込ませた状態で反射光により目視観察を行った。そして、段差が視認されなくなった地点から巻き始め端部までの距離を測定し、これを変形緩和長さとした。ここで、フィルムに映り込んだ白色LED灯の輪郭のラインが、フィルムの他の部分と比較して歪む部分がある場合を段差が存在すると判断し、段差が存在した周辺において映り込ませた白色LED灯の輪郭のラインがフィルムの他の部分と同じと判断できる部分を段差が存在しないと判断した。白色LED灯は、白色LED灯の長手方向がフィルムの長手方向に沿うように配置した。白色LED灯の長さは、フィルムにおける段差が存在する部分と段差が存在しない部分とに渡った長さとした。観察の際には、白色LED灯のラインが明確に見える方を適宜選択して、白色LED灯がフィルムに映り込んでその輪郭のラインが見える状態とした。また、目視観察は、フィルムの表面の法線方向を基準(0°)として、あらゆる角度(-180°~180°)から行われた。
【0314】
<外観評価>
実施例および比較例に係るロール体において、フィルムの外側に第1充填部および第2充填部や第2介在部の一部が露出しているか否か観察した。観察者は、15人とし、全ての観察者が、第1充填部および第2充填部や第2介在部の一部が露出していないとした場合に第1充填部および第2充填部や第2介在部が露出していないと判断した。評価基準は以下の通りとした。
A:第1充填部および第2充填部の一部または第1充填部および第2介在部の一部が露出していなかった。
B:第1充填部および第2充填部の一部または第1充填部および第2介在部の一部が露出していた。
【0315】
<第1介在部の存在確認>
実施例1、4、5に係るロール体において、巻き始め端部上に第1介在部が存在するか否か確認した。具体的には、まず、表面が2周目のアクリル樹脂フィルムとなるまでロール体からアクリル樹脂フィルムを繰り出した。そして、2周目のアクリル樹脂フィルムが表面となったロール体において、巻き始め端部付近を目視観察し、巻き始め端部上に着色されている部分が存在するか観察した。そして、巻き始め端部上に着色されている部分が存在する場合には、第1介在部が存在し、着色されている部分が存在しない場合には、第1介在部が存在しないとした。観察者は、15人とし、全ての観察者が巻き始め端部上に着色されている部分が存在するとした場合に第1介在部が存在すると判断した。
【0316】
<L1、L1+L2、T1、T2、S1、S1+S2測定>
実施例1、4、5に係るロール体において、第1介在部の存在が確認されなかった場合には、長さL1、厚みT1、T2、面積S1を測定するとともに、長さL1/厚みT2、面積S1/厚みT2を求めた。また、第1介在部の存在が確認された場合には、長さL1+長さL2、厚みT1、T2、面積S1+面積S2を測定するとともに、(長さL1+長さL2)/厚みT2、(面積S1+面積S2)/厚みT2を求めた。なお、長さL1、L2、厚みT1、T2、面積S1、S2は、図4および図5に示される部分を意味する。
【0317】
具体的には、まず、ロール体を回転させるための治具と、レーザー変位計(製品名「LK-G30」、株式会社キーエンス製)とを用意し、それぞれ所定の位置に配置した。治具は、巻芯の幅方向の孔に挿入され、ロール体を回転可能に保持した。
【0318】
レーザー変位計は、ロール体の上方に位置し、レーザー光がロール体の表面に向けて照射されるように3台配置された。レーザー変位計の配置箇所は、以下の通りとした。まず、アクリル樹脂フィルムの幅を3等分する第1位置および第2位置を定めた。第1位置は、アクリル樹脂フィルムの短手方向の第1端側に位置し、第2位置は、第1位置とは反対側の第2端側に位置するものであった。そして、1台目のレーザー変位計は第1位置と第1端の中点にレーザー光が照射されるように配置され、2台目のレーザー変位計は第1位置と第2位置の中点にレーザー光が照射されるように配置され、3台目のレーザー変位計は第2位置と第2端の中点にレーザー光が照射されるように配置された。
【0319】
そして、ロール体を治具に取り付け、ロール体から第1充填部が露出するまでアクリル樹脂フィルムを繰り出した。その後、第1充填部が露出した状態で、温度23℃および相対湿度50%の環境下で、巻芯を回転速度30mm/sで回転させながらレーザー変位計によってサンプリング周期200μsで連続的に変位量を測定して、横軸を位置(mm)とし、縦軸を変位量(mm)とするグラフを得た。この測定は、第1充填部の先端部から先端面に接する位置に向けて行い、この測定においては、基準高さ(変位量0mmライン)を巻芯の高さとし、巻芯と第1充填部の高さの差を第1充填部の厚みとした。得られたグラフは、実質的にシートの長手方向および巻芯の径方向を含む平面を表すものである。また、このグラフは、横軸の1目盛りを5mmとし、縦軸の1目盛りを0.02mmとした。
【0320】
このグラフにおいて、変位量が急激に低下し始める位置変位曲線上の位置を位置E1とした。そして、第1介在部の存在が確認されなかった場合には、変位量0mmラインと位置E1の変位量の差を求めることによって、第1充填部における先端面に接する位置の厚みT2を求めた。
【0321】
第1介在部の存在が確認された場合には、厚みT2は、以下の方法によって測定された。まず、巻き始め端部12A、第1充填部14、および2周目のシート12を含む部分が潰れないようにこの部分を含む大きさ2cm×2cmのサンプルを採取し、固定した。そして、固定されたサンプルの断面を研磨し、温度23℃および相対湿度50%の環境下で、第1充填部の厚みT2を実体顕微鏡(製品名「デジタルマイクロスコープVHX-7000」、株式会社キーエンス製)で測定した。実体顕微鏡による厚みT2の測定は、デジタルマイクロスコープの照明として同軸落射照明を選択し、倍率500倍で、暗視野および反射光で行われた。
【0322】
また、第1介在部の存在が確認されなかった場合には、長さL1は、厚みT2と同様に位置変位曲線のグラフから求めた。具体的には、まず、グラフから上記位置E1および変位量が上昇し始める箇所における変位量0mmラインと位置変位曲線の交点を位置E2とした。次いで、上記位置E1を通り、変位量0mmラインに垂直な仮想線IL4を引いた。そして、仮想線IL4と変位量0mmラインの交点を位置E3として、位置E2と位置E3との距離を求めることにより長さL1を求めた。面積S1は、上記位置E2から位置E3までの領域において各測定点での厚みと測定点間毎の幅との積を求め、それを合計することによって算出された。なお、測定点間の幅を上記数式(3)に基づいて、サンプリング周期、巻芯の回転速度、および巻芯の外径から求めたところ、6.24μmであった。第1介在部の存在が確認された場合には、第1介在部の存在が確認されなかった場合の長さL1と同様にして、長さL1+長さL2を求めた。
【0323】
そして、第1介在部の存在が確認されなかった場合には、求めた長さL1、厚みT2、面積S1を用いて、長さL1/厚みT2、面積S1/厚みT2を求めた。また、第1介在部の存在が確認された場合には、求めた長さL1と長さL2の合計、厚みT2、面積S1と面積S2の合計を用いて、(長さL1+長さL2)/厚みT2、(面積S1+面積S2)/厚みT2を求めた。
【0324】
エッジ厚みT1は、走査型光干渉式表面形状測定機(製品名「New View7300」、Zygo社製)を用いて測定した。具体的には、まず、アクリル樹脂フィルムを全て繰り出すと、第1充填部がアクリル樹脂フィルム側に付着し、巻芯から剥がれたものがあった。そして、アクリル樹脂フィルムから第1充填部を含む大きさ2mm×5mmの1以上のサンプルを切り出した。サンプルは、第1充填部の先端部を含み、かつ汚れや指紋等が付着していない任意の箇所から切り出した。そして、以下の測定条件で、第1充填部のエッジ厚みT1を測定した。エッジ厚みT1は、エッジ厚みを10箇所測定し、測定された10箇所の厚み中、最大値と最小値を除いた8箇所の厚みの算術平均値を求めることによって求めた。
(測定条件)
・対物レンズ:10倍
・Zoom:1倍
・測定領域:2.17mm×2.17mm
・scan Length:5μm
・min mod:0.015
・温度:23℃
・相対湿度:50%
【0325】
以下、結果を表1および表2に示す。
【表1】
【0326】
【表2】
【0327】
比較例1に係るロール体は、巻き始め端部における変形緩和長さおよび両面テープにおける変形緩和長さがとともに長かった。これは、第1隙間が空洞であったので、アクリル樹脂フィルムの巻き始め端部に起因する段差が大きく、また第2隙間が空洞であったので、両面テープに起因する段差が大きかったためであると考えられる。これに対し、実施例1~11に係るロール体は、巻き始め端部における変形緩和長さおよび両面テープにおける変形緩和長さとともに比較例1に係るロール体よりも短かった。これは、実施例1~10に係るロール体においては、第1隙間に第1充填部が充填されていたので、アクリル樹脂フィルムの巻き始め端部に起因する段差が小さく、また第2隙間に第2充填部が充填され、または第2隙間に対応する領域に第2介在部が介在していたので、両面テープに起因する段差が小さかったためであると考えられる。
【0328】
比較例2に係るロール体は、第1充填部の端部が露出していた。これは、アクリル樹脂フィルムの巻回時にシリコーン樹脂組成物に圧力が加わったために、アクリル樹脂フィルムの外側にはみ出したものと考えられる。これに対し、実施例1~8に係るロール体は、第1充填部のはみ出し自体を抑制する第1露出抑制部および第2充填部のはみ出し自体を抑制する第2露出抑制部材を備えていたので、第1充填部の端部および第2充填部の端部がアクリル樹脂フィルム等のフィルムからはみ出さず、これにより露出しなかった。また、実施例9、10に係るロール体は、第1充填部のはみ出した端部を覆う第1露出抑制部および第2充填部のはみ出した端部の覆う第2露出抑制部材を備えていたので、第1充填部の端部および第2充填部の端部は露出していなかった。実施例11に係るロール体は、第1充填部のはみ出した端部を覆う第1部分および第2充填部のはみ出し自体を抑制する第2部分を備えていたので、第1充填部の端部および第2充填部の端部は露出していなかった。
【0329】
実施例6に係るロール体における巻き始め端部の変形緩和長さは、実施例7に係るロール体における巻き始め端部の変形緩和長さよりも短かった。これは、実施例6に係るロール体で用いられたPETフィルムの面内位相差が、実施例7に係るロール体で用いられたPETフィルムの面内位相差よりも小さかったためであると考えられる。
【0330】
実施例1、4に係るロール体の第1充填部は、長さL1/厚みT2または(長さL1+長さL2)/厚みT2が90以上であり、および/または面積S1/厚みT2または(面積S1+面積S2)/厚みT2が3.0以上であったので、長さL1/厚みT2が90未満の実施例5に係るロール体よりも、巻き始め端部における変形緩和長さが短かった。
【符号の説明】
【0331】
10、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130…ロール体
11…巻芯
11A…外周面
12…シート
12A…巻き始め端部
12A1…先端面
13…第1隙間
14…第1充填部
15…第2隙間
16…第2充填部
17、81…固定部材
18、101、121…第1露出抑制部材
19、102、122…第2露出抑制部材
111…第2介在部
112、132…露出抑制部材

図1
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