(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】教師データ生成装置
(51)【国際特許分類】
G16H 50/30 20180101AFI20241210BHJP
【FI】
G16H50/30
(21)【出願番号】P 2022550269
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 JP2020035294
(87)【国際公開番号】W WO2022059142
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100088959
【氏名又は名称】境 廣巳
(74)【代理人】
【識別番号】100097157
【氏名又は名称】桂木 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】大野 友嗣
(72)【発明者】
【氏名】細井 利憲
(72)【発明者】
【氏名】久保 雅洋
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/044619(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/073927(WO,A1)
【文献】特開2006-079328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データを予め学習したモデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定する判定部と、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、
を有する教師データ生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の教師データ生成装置であって、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうちの、対応する前記体動スコアが所定の条件を満たす一部の期間について、ラベル付けを行う
教師データ生成装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の教師データ生成装置であって、
前記判定部は、前記体動スコアが第1閾値以上である期間について対象者が不穏であると判定し、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうち前記判定部が不穏であると判定した期間についてラベル付けを行う、
教師データ生成装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の教師データ生成装置であって、
前記判定部は、前記体動スコアが第2閾値以下である期間について対象者が不穏でないと判定し、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうち前記判定部が不穏でないと判定した期間についてラベル付けを行う
教師データ生成装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の教師データ生成装置であって、
前記対象者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得部を有し、
前記判定部は、前記属性情報が取得した前記属性情報を用いて調整した所定の閾値と前記体動スコアとに基づいて、前記対象者が不穏であるかを判定する
教師データ生成装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の教師データ生成装置であって、
前記対象者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得部を有し、
前記判定部は、前記属性情報取得部が取得した前記属性情報に基づいて、前記バイタルデータを学習に用いるか否か判定する
教師データ生成装置。
【請求項7】
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データを予め学習したモデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う
教師データ生成方法。
【請求項8】
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データを予め学習したモデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う
処理を実現させるためのプログラム。
【請求項9】
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データを予め学習したモデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定する判定部と、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、算出対象となるバイタルデータに応じた情報の入力に応じて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する学習部と、
を有する学習装置。
【請求項10】
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データを予め学習したモデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行い、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、算出対象となるバイタルデータに応じた情報の入力に応じて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する
学習方法。
【請求項11】
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データを予め学習したモデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行い、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、算出対象となるバイタルデータに応じた情報の入力に応じて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する
処理を実現するためのプログラム。
【請求項12】
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データを予め学習した体動モデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、過去に計測したバイタルデータに対して不穏の有無をラベル付けすることで生成した教師データを用いて予め学習したバイタルモデルに対して前記取得部が取得した前記バイタルデータを入力することに応じて、前記バイタルデータに応じて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いた前記バイタルモデルの再学習を行うと判定する判定部と、
前記判定部の結果に応じて、前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定した結果に応じて前記バイタルデータに対してラベル付けを行うことで生成した教師データと、前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うことで生成した教師データと、のうちのいずれか一方を用いて、前記バイタルモデルの再学習を行う再学習部と、
を有する
不穏判定装置。
【請求項13】
請求項12に記載の不穏判定装置であって、
前記判定部は、前記体動スコアが予め定められた条件を満たし、前記バイタルスコアが予め定められた条件を満たさない場合に、再学習を行うと判定する
不穏判定装置。
【請求項14】
請求項12または請求項13に記載の不穏判定装置であって、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うことで教師データを生成するラベル付け部を有し、
前記再学習部は、前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定した結果に応じて前記バイタルデータに対してラベル付けを行うことで生成した教師データと、前記ラベル付け部が生成した教師データと、のうちのいずれか一方を用いた再学習を行うことで前記バイタルモデルの再学習を行う
不穏判定装置。
【請求項15】
請求項14に記載の不穏判定装置であって、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうちの一部について教師データを生成する
不穏判定装置。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の不穏判定装置であって、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうちの、対応する前記体動スコアが所定の条件を満たす一部の期間について、教師データを生成する
不穏判定装置。
【請求項17】
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データを予め学習した体動モデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、過去に計測したバイタルデータに対して不穏の有無をラベル付けすることで生成した教師データを用いて予め学習したバイタルモデルに対し
て取得した前記バイタルデータを入力することに応じて、前記バイタルデータに応じて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出し、
算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いた前記バイタルモデルの再学習を行うと判定し、
判定の結果に応じて、前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定した結果に応じて前記バイタルデータに対してラベル付けを行うことで生成した教師データと、
再学習判定の結果に基づくラベル付けを行うことで生成した教師データと、のうちのいずれか一方を用いて、前記バイタルモデルの再学習を行う
再学習方法。
【請求項18】
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データを予め学習した体動モデルに入力することに応じて、前記体動データに応じて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、過去に計測したバイタルデータに対して不穏の有無をラベル付けすることで生成した教師データを用いて予め学習したバイタルモデルに対し
て取得した前記バイタルデータを入力することに応じて、前記バイタルデータに応じて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出し、
算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いた前記バイタルモデルの再学習を行うと判定し、
判定の結果に応じて、前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定した結果に応じて前記バイタルデータに対してラベル付けを行うことで生成した教師データと、
再学習判定の結果に基づくラベル付けを行うことで生成した教師データと、のうちのいずれか一方を用いて、前記バイタルモデルの再学習を行う
処理を実現するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、教師データ生成装置、教師データ生成方法、学習装置、学習方法、不穏判定装置、再学習方法、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
患者が不穏状態になると、抜管、抜針、抜去や転倒、転落などのリスクが高まり、その結果として、患者にけがなどが生じるおそれがある。そこで、このようなリスク・おそれを低減させるため、不穏の予兆を判定する技術が知られている。
【0003】
不穏の予兆を判定する技術について記載された文献として、例えば、特許文献1が知られている。特許文献1には、判定部と推定部とを備える生体情報処理システムが記載されている。特許文献1によると、判定部は、患者の生体情報の特徴量に基づいて、患者の容体が平常状態と比較して変化しているか否かを示す識別情報を判定する。そして、推定部は、判定部が判定した識別情報と、事前に学習された対処予測用パラメータとに基づいて、患者に対する対処情報を推定する。また、特許文献1には心拍数などが生体情報の一例として開示されており、患者が不穏状態である可能性を示す不穏スコアが識別情報の一例として開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術の場合、事前に機械学習した結果として生成されるモデルを用いて不穏スコアを算出している。そのため、特許文献1に技術の場合において、新しい病院や新しい診療科に適応した不穏スコアの算出を行おうとする場合、機械学習を行うための教師データを生成して、新たな学習を行ったり既存モデルの再学習を行ったりすることが必要となる。ここで、教師データの生成は、例えば、映像データに基づいて人力でラベル付けを行うなど、非常に手間がかかっていた。
【0006】
そこで、本発明は、教師データの生成を効率的に行うことができる教師データ生成装置、教師データ生成方法、学習装置、学習方法、不穏判定装置、再学習方法、記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するため本開示の一形態である教師データ生成装置は、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定する判定部と、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、
を有する
という構成をとる。
【0008】
また、本開示の他の形態である教師データ生成方法は、
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う
という構成をとる。
【0009】
また、本開示の他の形態である記録媒体は、
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う
処理を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体である。
【0010】
また、本開示の他の形態である学習装置は、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定する判定部と、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する学習部と、
を有する
という構成をとる。
【0011】
また、本開示の他の形態である学習方法は、
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行い、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する
という構成をとる。
【0012】
また、本開示の他の形態である記録媒体は、
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行い、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する
処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体である。
【0013】
また、本開示の他の形態である不穏判定装置は、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、前記取得部が取得した前記バイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定する判定部と、
前記判定部の結果に応じて前記バイタルモデルの再学習を行う再学習部と、
を有する
という構成をとる。
【0014】
また、本開示の他の形態である再学習方法は、
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、取得した前記バイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出し、
算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定し、
判定の結果に応じて前記バイタルモデルの再学習を行う
という構成をとる。
【0015】
また、本開示の他の形態である記録媒体は、
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、取得した前記バイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出し、
算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定し、
判定の結果に応じて前記バイタルモデルの再学習を行う
処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体である。
【発明の効果】
【0016】
上述したような各構成によると、教師データの生成を効率的に行うことができる教師データ生成装置、教師データ生成方法、学習装置、学習方法、不穏判定装置、再学習方法、記録媒体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の第1の実施形態におけるモデル学習装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
【
図3】
図2で示すセンシングデータに含まれる体動データの一例を示す図である。
【
図4】
図2で示すセンシングデータに含まれるバイタルデータの一例を示す図である。
【
図5】
図2で示す体動スコア情報に含まれる体動スコアの一例を示す図である。
【
図7】本開示の第1の実施形態におけるモデル学習装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図8】
図6で示す不穏判定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】モデル学習装置の他の構成例を示すブロック図である。
【
図10】本開示の第2の実施形態における不穏判定システムの構成例を示す図である。
【
図11】
図9で示すセンサ装置の構成例を示すブロック図である。
【
図12】
図9で示すベッド端末の構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図9で示す不穏判定装置の構成例を示すブロック図である。
【
図14】記憶部に格納される情報の一例を示す図である。
【
図15】
図14で示すバイタルスコア情報に含まれるバイタルスコアの一例を示す図である。
【
図16】不穏状態判定部の処理例を説明するための図である。
【
図17】不穏状態判定部の処理例を説明するための図である。
【
図18】不穏判定装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図19】不穏判定装置の他の構成例を示すブロック図である。
【
図20】記憶部に格納される他の情報の一例を示す図である。
【
図21】本開示の第3の実施形態における教師データ生成装置のハードウェア構成図である。
【
図22】教師データ生成装置の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1の実施形態]
本開示の第1の実施形態について、
図1から
図9までを参照して説明する。
図1は、モデル学習装置100の構成例を示すブロック図である。
図2は、記憶部140に格納される情報の一例を示す図である。
図3は、センシングデータ142に含まれる体動データの一例を示す図である。
図4は、センシングデータ142に含まれるバイタルデータの一例を示す図である。
図5は、体動スコア情報143に含まれる体動スコアの一例を示す図である。
図6は、不穏判定部153の処理例を示す図である。
図7は、モデル学習装置100の動作例を示すフローチャートである。
図8は、不穏判定処理の一例を示すフローチャートである。
図9は、モデル学習装置100の他の構成例を示すブロック図である。
【0019】
本開示の第1の実施形態では、バイタルモデル144を学習するモデル学習装置100について説明する。後述するように、モデル学習装置100は、センシングデータ取得部151が取得した体動データに基づいて算出した体動スコアを用いて、不穏判定を行う。また、モデル学習装置100は、センシングデータ取得部151が取得したバイタルデータに対して不穏判定の結果に基づくラベル付けを行って、教師データを生成する。そして、モデル学習装置100は、生成した教師データを用いた学習を行うことで、バイタルモデル144を生成する。つまり、モデル学習装置100は、取得したバイタルデータと体動データに基づいて、バイタルモデル144を製造する。
【0020】
なお、本実施形態において説明するモデル学習装置100が生成するバイタルモデル144は、例えば、急性期病院、回復期病院、介護施設、自宅での見守り、などの場面において、患者などの対象者の不穏状態を判定する際に用いることが出来る。モデル学習装置100が生成するバイタルモデル144は、上記例示した以外の場面で不穏状態を判定する際に用いても構わない。
【0021】
本実施形態において、不穏とは、患者に落ち着きがなく興奮している状態のことである。不穏は、せん妄などにより生じることがある。また、不穏状態は、患者の不穏に関する状態を示す。不穏状態は、例えば、患者が不穏であるか否か、患者に不穏の予兆があるか否かを示す。なお、不穏状態は、患者の不穏の可能性に関するその他の指標を含んでもよい。患者が不穏の場合、ベッド転落、挿管の抜去、奇声、暴力などの問題行動を起こす可能性がある。そのため、不穏状態は的確に判定することが望ましい。
【0022】
モデル学習装置100は、体動データとバイタルデータとに基づいて生成した教師データによる学習を行うことでバイタルモデル144を生成する情報処理装置である。例えば、モデル学習装置100は、サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワークなどを用いた機械学習を行うことにより、バイタルモデル144を生成する。
図1は、モデル学習装置100の構成例を示している。
図1を参照すると、モデル学習装置100は、主な構成要素として、例えば、操作入力部110と、画面表示部120と、通信I/F部130と、記憶部140と、演算処理部150と、を有している。例えば、モデル学習装置100は、医者や看護師などの医療従事者が使用するパーソナルコンピュータやタブレットなどの情報処理装置、病院内などに設置されたサーバ、あるいはクラウドサーバなどである。モデル学習装置100は、パーソナルコンピュータやタブレットなどの情報処理装置とサーバなどとを組み合わせたものであっても構わない。
【0023】
操作入力部110は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなる。操作入力部110は、モデル学習装置100を操作するオペレータなどの操作を検出して演算処理部150に出力する。
【0024】
画面表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display、液晶ディスプレイ)などの画面表示装置からなる。画面表示部120は、演算処理部150からの指示に応じて、センシングデータ142、体動スコア情報143などの記憶部140に格納された各種情報を画面表示することが出来る。
【0025】
通信I/F部130は、データ通信回路からなる。通信I/F部130は、接続先の外部装置などとの間でデータ通信を行う。
【0026】
記憶部140は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。
図2は、記憶部140に格納される情報の一例を示している。
図2で示すように、記憶部140は、演算処理部150における各種処理に必要な処理情報やプログラム145を記憶する。プログラム145は、演算処理部150に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム145は、通信I/F部130などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部140に保存されている。記憶部140で記憶される主な情報としては、例えば、体動モデル141、センシングデータ142、体動スコア情報143、バイタルモデル144などがある。
【0027】
体動モデル141は、センシングデータ取得部151が取得した体動データに基づいて体動スコアを算出するモデルである。例えば、体動モデル141は、体動データに応じた情報を入力として、体動スコアを出力する。体動モデル141は、例えば、外部装置などにおいて、サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワークなどを用いた機械学習を行うことにより予め生成された、学習済みモデルである。例えば、機械学習は、過去に計測した体動データに対して不穏の有無をラベル付けしたデータを教師データとして用いることで行われている。体動モデル141は、通信I/F部130などを介して外部装置などから取得され、記憶部140に格納されている。
【0028】
なお、体動スコアは、患者などの対象者が不穏であるか否かを判定するための指標である。一般に、体動スコアは患者の動きそのものを表す指標であることから、体動スコアには環境依存がない。体動スコアは、例えば、0以上1以下の値である。体動スコアは、1に近いほど対象者が不穏である可能性が高いことを示しており、0に近いほど対象者が不穏でない可能性が高いことを示している。体動スコアは、不穏であることを示す1と不穏でないことを示す0との2値により表現される指標であっても構わない。体動スコアは、例えば、強い不穏が2、弱い不穏が1など、強弱の程度を表現する指標であっても構わない。
【0029】
また、体動モデル141に入力するデータは、体動データの時系列データそのものであっても構わないし、時系列データに対して平均化や微分処理などの特徴量化処理を行うことにより算出した各種特徴量であっても構わない。また、後述するように、体動データは、複数種類含まれることがある。体動モデル141は、1種類の体動データのみを入力するよう構成しても構わないし、複数種類の体動データを入力するよう構成しても構わない。また、体動モデル141には、1種類の体動データに対応する1種のモデルのみが含まれていても構わないし、各種類の体動データに応じた複数種類のモデルが含まれていても構わない。
【0030】
センシングデータ142には、センシングデータ取得部151が取得した時系列の体動データと、体動データに対応する時刻の時系列のバイタルデータと、が含まれている。
【0031】
ここで、センシングデータ142に含まれる体動データは、患者の身体の動きに関する物理量である。例えば、体動データは、患者の腕、体、足など所定部位の加速度、角速度、角度、発声量などのうちの少なくとも1つを含む。対体動データは、対象者に装着された加速度センサ、ジャイロセンサ(角速度センサ)、角度センサ、マイクロフォンなどのセンサを用いて取得することが出来る。例えば、
図3は、加速度の時系列データの一例を示している。
図3の場合、x軸が時刻を示しており、y軸が加速度の大きさを示している。
【0032】
なお、センシングデータ142には、加速度など1種類の体動データのみ含まれても構わないし、加速度と発声量など複数種類の体動データが含まれても構わない。
【0033】
また、センシングデータ142に含まれるバイタルデータは、患者の生命活動に伴って変化する物理量である。例えば、バイタルデータは、患者の心拍数、呼吸数、血圧値、体温、皮膚温度、血流量、血中酸素飽和度などのうちの少なくとも1つを含む。バイタルデータは、対象者に装着された心拍センサ、呼吸数センサ、血圧センサ、体温センサ、血中酸素飽和度センサなどのセンサを用いて取得することが出来る。例えば、
図4は、心拍数の時系列データの一例を示している。
図4の場合、x軸が時刻を示しており、y軸が心拍数を示している。
【0034】
なお、体動データの場合と同様に、センシングデータ142には心拍数など1種類のバイタルデータのみ含まれても構わないし、心拍数と血圧値など複数種類のバイタルデータが含まれても構わない。
【0035】
体動スコア情報143には、対象者が不穏であるか否かを判定するための指標である体動スコアが含まれている。後述するラベル付け部154は、体動スコアに基づくラベル付けを行う。例えば、体動スコア情報143には、各時刻における体動スコアが含まれている。
【0036】
図5は、
図3で示す体動データに基づいて体動スコア算出部152が算出した体動スコアの一例を示している。
図5の場合、x軸が時刻を示しており、y軸が体動スコアを示している。
図5で示すように、体動スコアは、例えば、0以上1以下の値で表現される。体動スコアは、1に近いほど対象者が不穏である可能性が高いことを示しており、0に近いほど対象者が不穏でない可能性が高いことを示している。
【0037】
バイタルモデル144(状態モデル)は、バイタルモデル学習部155により生成される学習済みモデルである。例えば、バイタルモデル144は、バイタルデータに応じた情報を入力として、状態スコアであるバイタルスコアを出力する。バイタルモデル学習部155がバイタルモデルを生成する処理の詳細については、後述する。
【0038】
演算処理部150は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有する。演算処理部150は、記憶部140からプログラム145を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム145とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部150で実現される主な処理部としては、例えば、センシングデータ取得部151、体動スコア算出部152、不穏判定部153、ラベル付け部154、バイタルモデル学習部155、出力部156などがある。
【0039】
センシングデータ取得部151は、通信I/F部130を介して、センサ装置などの外部装置から時系列の体動データと時系列のバイタルデータとを取得する。例えば、センシングデータ取得部151は、同一時刻に取得した体動データとバイタルデータとをセンサ装置から取得する。そして、センシングデータ取得部151は、取得した体動データやバイタルデータをセンシングデータ142として記憶部140に格納する。
【0040】
体動スコア算出部152は、体動モデル141を用いて体動スコアを算出する。
【0041】
例えば、体動スコア算出部152は、センシングデータ142を参照して、
図3で示すような時系列の体動データを取得する。また、体動スコア算出部152は、取得したデータを体動モデル141に入力して、
図5で示すような時系列の体動スコアを算出する。その後、体動スコア算出部152は、算出した体動スコアを示す情報を体動スコア情報143として記憶部140に格納する。
【0042】
不穏判定部153は、体動スコア情報143に含まれる体動スコアに基づいて、不穏判定を行う。不穏判定部153による不穏判定の結果は、ラベル付け部154がバイタルデータに対するラベル付けを行う際に用いられる。
【0043】
例えば、不穏判定部153は、第1閾値と、第1閾値よりも小さな値を有する第2閾値と、を有している。そして、不穏判定部153は、体動スコアと第1閾値と第2閾値とに基づく判定を行う。例えば、不穏判定部153は、体動スコアが第1閾値以上である期間について、対象者が不穏であると判定する。また、不穏判定部153は、体動スコアが第2閾値以下である期間について、対象者が不穏でないと判定する。このように、不穏判定部153は、体動スコアが第1閾値以上である場合に不穏であると判定するとともに、体動スコアが第2閾値以下である場合に不穏でないと判定する。
【0044】
例えば、
図6は、第1閾値が0.7であり、第2閾値が0.3である場合の、不穏判定部153の処理例を示している。
図6で示すように、不穏判定部153は、体動スコアが第1閾値である0.7以上である期間について、対象者が不穏であると判定する。また、不穏判定部153は、体動スコアが第2閾値である0.3以下である期間について、対象者が不穏でないと判定する。なお、体動スコアが第2閾値である0.3より大きく第1閾値である0.7より小さな期間について、不穏判定部153は、不穏であるか否かの判定を行わない。つまり、不穏判定部153は、不穏である、または、不穏でない、と判定するための条件を満たさないと判定する。
【0045】
ラベル付け部154は、センシングデータ142に含まれるバイタルデータに対して不穏判定部153による不穏判定の結果に基づくラベル付けを行うことで、機械学習用の教師データを生成する。センシングデータ142に複数種類のバイタルデータが含まれる場合、ラベル付け部154は、それぞれのバイタルデータに対してラベル付けを行って構わない。
【0046】
例えば、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、不穏判定部153が不穏であると判定した期間について、不穏ありのラベルを付与する。また、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、不穏判定部153が不穏でないと判定した期間について、不穏なしのラベルを付与する。一方、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、不穏判定部153が不穏の判定を行わなかった期間について、ラベルの付与を行わない。例えば、以上のように、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、対応する時刻の体動スコアが所定の条件を満たす一部の期間について、ラベル付けを行って教師データを生成する。
【0047】
バイタルモデル学習部155は、ラベル付け部154によるラベル付けの結果として生成される教師データを用いた機械学習を行うことにより、バイタルモデルを生成する。例えば、バイタルモデル学習部155は、サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワークなどを用いた機械学習を行う。そして、バイタルモデル学習部155は、生成したバイタルモデルをバイタルモデル144として記憶部140に格納する。
【0048】
上述したように、体動スコアが第1閾値以上である、体動スコアが第2閾値以下であるなど、時系列のバイタルデータのうち体動スコアが所定の条件を満たす期間のデータ(不穏ありラベルおよび不穏なしラベル)が、教師データとして採用される。そのため、バイタルモデル学習部155は、バイタルデータのうちの一部を使って学習を行う、ということも出来る。ここで、体動スコアが第1閾値以上である期間は対象者に明らかに不穏が生じている期間であり、体動スコアが第2閾値以下である期間は対象者に明らかに不穏が生じていない期間である。このように、明らかに不穏が生じている期間と明らかに不穏が生じていない期間とのみを教師データとした学習を行うことで、生成するバイタルモデルによる判定の精度を上げることが出来る。
【0049】
なお、バイタルデータが複数種類ある場合、バイタルデータの種類に応じた種類の教師データ(ラベル)があることになる。バイタルモデル学習部155は、複数種類の教師データに応じて、複数種類のデータを入力とする1つのバイタルモデルを生成することが出来る。バイタルモデル学習部155は、それぞれの種類ごとに機械学習を行って、それぞれの種類に応じたバイタルモデルを生成しても構わない。
【0050】
また、バイタルモデル学習部155が生成するバイタルモデル144は、上述したように、バイタルデータに応じた情報を入力として、バイタルスコアを出力する。ここで、バイタルスコアは、患者が不穏であるか否かを判定するための指標であり、不穏の予兆を判定することが出来る。バイタルスコアは、例えば、0以上1以下の値である。バイタルスコアは、1に近いほど患者が不穏の予兆があることを示しており、0に近いほど患者に不穏の予兆がないことを示している。バイタルスコアは、不穏の予兆があることを示す1と不穏の予兆がないことを示す0との2値により表現される指標であっても構わない。バイタルスコアは、例えば、強い不穏が2、弱い不穏が1など、強弱の程度を表現する指標であっても構わない。
【0051】
また、バイタルモデル学習部155は、心拍数などのバイタルデータの時系列データそのものを用いた学習を行っても構わないし、時系列データに対して平均化や微分処理などの特徴量化処理を行うことにより算出した各種特徴量を用いた学習を行っても構わない。
【0052】
出力部156は、バイタルモデル学習部155が生成したバイタルモデル144などを外部装置などに対して出力することが出来る。
【0053】
以上が、モデル学習装置100の構成例である。続いて、
図7、
図8を参照して、モデル学習装置100の動作例について説明する。
【0054】
図7は、モデル学習装置100の動作例を示している。
図7を参照すると、センシングデータ取得部151は、通信I/F部130を介して、センサ装置などの外部装置から体動データとバイタルデータとを取得する(ステップS101)。例えば、センシングデータ取得部151は、体動データとバイタルデータを両方取得するセンサ装置から同時刻の体動データとバイタルデータとを取得する。
【0055】
体動スコア算出部152は、体動モデル141を用いて体動スコアを算出する(ステップS102)。例えば、体動スコア算出部152は、時系列の体動データを体動モデル141に入力することで、時系列の体動スコアを算出する。
【0056】
不穏判定部153は、体動スコア情報143に含まれる体動スコアに基づいて、不穏判定を行う(ステップS103)。不穏判定処理の詳細については、後述する。
【0057】
ラベル付け部154は、センシングデータ142に含まれるバイタルデータに対して不穏判定部153による不穏判定の結果に基づくラベル付けを行うことで、機械学習用の教師データを生成する(ステップS104)。例えば、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、不穏判定部153が不穏であると判定した期間について、不穏ありのラベルを付与する。また、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、不穏判定部153が不穏でないと判定した期間について、不穏なしのラベルを付与する。一方、ラベル付け部154は、時系列のバイタルデータのうち、不穏判定部153が不穏の判定を行わなかった期間について、ラベルの付与を行わない。
【0058】
バイタルモデル学習部155は、ラベル付け部154によるラベル付けの結果として生成される教師データを用いた機械学習を行うことにより、バイタルモデルを生成する(ステップS105)。例えば、バイタルモデル学習部155は、サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワークなどを用いた機械学習を行う。
【0059】
以上が、モデル学習装置100の構成例である。なお、モデル学習装置100は、生成したバイタルモデル144を外部装置などに対して出力することが出来る。
【0060】
続いて、
図8を参照して
図7におけるステップS103の処理の詳細について説明する。
【0061】
図8は、不穏判定部153による処理のより詳細な一例を示している。
図8を参照すると、体動スコアが第1閾値以上である場合(ステップS201、Yes)、不穏判定部153は、対象者が不穏であると判定する(ステップS202)。
【0062】
一方、体動スコアが第1閾値未満である場合(ステップS202、No)、不穏判定部153は、体動スコアが第2閾値以下であるか否か確認する(ステップS203)。不穏判定部153は、体動スコアが第2閾値以下である場合(ステップS203、Yes)、対象者が不穏でないと判定する(ステップS204)。一方、体動スコアが第2閾値よりも大きな場合(ステップS203、No)、不穏判定部153は、不穏である、または、不穏でない、と判定する条件を満たさないと判定する。
【0063】
以上が、ステップS103の処理例である。なお、ステップS103の処理は、上記例示した以外の順序で行われても構わない。
【0064】
このように、モデル学習装置100は、体動スコア算出部152と、不穏判定部153と、ラベル付け部154と、バイタルモデル学習部155と、を有している。このような構成により、不穏判定部153は、体動スコア算出部152が算出した体動スコアに基づいて、不穏判定を行うことが出来る。また、ラベル付け部154は、バイタルデータに対して不穏判定部153による不穏判定の結果に基づくラベル付けを行うことで、機械学習用の教師データを生成することが出来る。これにより、教師データの効率的な生成を実現することが出来る。また、バイタルモデル学習部155は、ラベル付け部154が生成した教師データを用いた機械学習を行うことが出来る。これにより、例えば人力でラベル付けを行うなど手間のかかる処理を行わずに、教師データを生成してバイタルモデル144を生成することが出来る。つまり、上記構成によると、手間をかけることなく、新しい環境に適応したバイタルモデル144を生成することが出来る。その結果、手間をかけることなく、不穏を判定するシステムを実現することが可能となる。
【0065】
また、モデル学習装置100においては、時系列のバイタルデータのうち体動スコアが所定の条件を満たす期間のデータのみを教師データとして採用して学習する。このように、バイタルデータのうちの所定の条件を満たす一部のみを使った学習を行うことで、生成するバイタルモデルによる判定の精度を上げることが出来る。なお、所定の条件とは、例えば、上述したように、体動スコアが第1閾値以上である期間や第2閾値以下である期間など、体動スコアが所定の条件を満たす期間である。なお、所定の条件は、加速度などの体動データの絶対値が所定値以上である期間など、本実施形態において例示した以外であっても構わない。
【0066】
なお、モデル学習装置100のラベル付け部154が生成する教師データは、既に生成されているバイタルモデル144の再学習を行う際に活用されても構わない。つまり、モデル学習装置100は、ラベル付け部154が生成する教師データを用いてバイタルモデル144の再学習を行うよう構成しても構わない。
【0067】
ここで、モデル学習装置100は、以前に取得した教師データとラベル付け部154が生成した教師データとを両方用いて再学習を行うことが出来る。換言すると、モデル学習装置100は、過去にバイタルモデル144を生成する際に用いた教師データなどとラベル付け部154が生成した教師データとを用いた再学習を行うことが出来る。また、モデル学習装置100は、以前に取得した教師データを利用せず、ラベル付け部154が生成した教師データのみを用いた再学習を行っても構わない。例えば、以上のように、モデル学習装置100による再学習では、ラベル付け部154が生成した教師データのみが用いられても構わないし、ラベル付け部154が生成した教師データ以外のデータも用いられても構わない。なお、上記例示した方法のうちのいずれを用いるかは、例えば、ラベル付け部154が生成した教師データの数やバイタルモデル144の精度などに基づいて、決定することが出来る。例えば、ラベル付け部154が生成した教師データの数が予め定められた数以下である場合に、以前に取得した教師データも用いた再学習を行うよう構成することが出来る。また、例えば、ラベル付け部154が生成した教師データの数が予め定められた数よりも多い場合に、ラベル付け部154が生成した教師データのみを用いた再学習を行うよう構成することが出来る。なお、ラベル付け部154が生成した教師データのみを用いた再学習は、例えば、ラベル付け部154が生成した教師データの数が予め定められた数よりも多く、かつ、バイタルモデル144の精度が設定値よりも悪化した場合などに行っても構わない。モデル学習装置100は、例えば、上記複数の再学習をそれぞれ行って、精度が良好なバイタルモデル144を採用するように構成しても構わない。
【0068】
また、不穏判定部153は、1種類の閾値のみを用いて不穏判定を行っても構わない。つまり、モデル学習装置100は、時系列のバイタルデータのうち所定の条件に基づく選別を行わずに教師データを生成して、生成した教師データに基づく学習を行うよう構成しても構わない。
【0069】
また、モデル学習装置100の構成は、
図1を参照して説明した場合に限定されない。例えば、
図9は、モデル学習装置100の他の構成例を示している。
図9を参照すると、モデル学習装置100の演算処理部150は、例えば、属性情報取得部157を有することが出来る。
【0070】
属性情報取得部157は、対象者の属性情報を取得する。例えば、属性情報取得部157は、外部装置などから対象者のカルテ情報を取得して、年齢、性別、まひ状態、などの属性情報を取得する。
【0071】
属性情報取得部157が取得した属性情報は、例えば、第1閾値や第2閾値の調整を行う際、学習するか否か決める際などに活用することが出来る。例えば、不穏判定部153は、属性情報に基づいて、第1閾値や第2閾値を調整することが出来る。つまり、属性情報に基づいて、学習に用いる期間を変更することが出来る。また、属性情報に基づいて、バイタルデータを学習に用いるか否か決定しても構わない。例えば絶対安静が必要な状態や、両手に麻痺があり動かせない状態など、属性情報に基づいて明らかに特殊な症状であると判断される場合、バイタルモデル学習部155などは、特殊な症状を有する対象者を測定した結果であるバイタルデータを用いた学習を行わない、と判断することが出来る。属性情報取得部157が取得した属性情報は、体動スコア算出部152が体動スコアを算出するか否か判断する際に用いるなど、上記例示した以外の処理に活用されても構わない。
【0072】
なお、
図1や
図9では、1台の情報処理装置によりモデル学習装置100としての機能を実現する場合について例示した。しかしながら、モデル学習装置100としての機能は、例えば、ネットワークを介して接続された複数台の情報処理装置により実現されても構わない。例えば、モデル学習装置100は、センシングデータ取得部151と体動スコア算出部152とラベル用不穏判定部153とラベル付け部154とを有する教師データ生成装置と、教師データ生成装置が生成した教師データを用いた学習を行う学習装置と、から構成されてもよい。
【0073】
[第2の実施形態]
続いて、本開示の第2の実施形態について、
図10から
図20までを参照して説明する。
図10は、不穏判定システム200の構成例を示す図である。
図11は、センサ装置300の構成例を示すブロック図である。
図12は、ベッド端末400の構成例を示すブロック図である。
図13は、不穏判定装置500の構成例を示すブロック図である。
図14は、記憶部540に格納される情報の一例を示している。
図15は、バイタルスコア情報545に含まれるバイタルスコアの一例を示す図である。
図16は、不穏状態判定部553の処理例を説明するための図である。
図17は、不穏状態判定部の処理例を説明するための図である。
図18は、不穏判定装置500の動作例を示すフローチャートである。
図19は、不穏判定装置500の他の構成例を示すブロック図である。
図20は、記憶部540に格納される他の情報の一例を示している。
【0074】
本開示の第2の実施形態では、センサ装置300を用いて計測したデータに基づいて、センサ装置300を装着した対象者である患者の不穏状態を判定する不穏判定システム200について説明する。後述するように、本実施形態の場合、センサ装置300は、患者の所定部位の加速度などの体動データを計測する体動センサ310と、心拍数など患者の状態に応じた情報であるバイタルデータを計測するバイタルセンサ320と、を含んでいる。そして、不穏判定システム200は、体動センサ310が計測することで取得した体動データに基づいて算出される体動スコアと、バイタルセンサ320が計測することで取得したバイタルデータに基づいて算出されるバイタルスコアと、に基づいて、患者の不穏状態を判定する。体動スコアとバイタルスコアに基づく判定を行うことで、不穏判定システム200は、不穏の予兆を判定するとともに、不穏の予兆なく患者が不穏状態になった場合でも患者が不穏状態になっていることを見落とすことなく判定することが出来る。また、不穏判定システム200は、体動データに基づいて算出する体動スコアを用いて、バイタルモデル542再学習用の教師データを生成することが出来る。そして、不穏判定システム200は、生成した教師データを用いて、バイタルモデル542の再学習を行うことが出来る。
【0075】
なお、本実施形態において説明する不穏判定システム200は、例えば、急性期病院、回復期病院、介護施設、自宅での見守り、などの様々な場面で活用することが出来る。以下、本実施形態においては、不穏判定システム200を急性期病院や回復期病院などの病院で活用する場合について説明する。なお、不穏判定システム200は、上記例示した以外の不穏判定が必要な状況で活用されても構わない。
【0076】
図10は、不穏判定システム200の構成例を示している。
図10を参照すると、不穏判定システム200は、例えば、センサ装置300とベッド端末400と不穏判定装置500とを含んでいる。
図10で示すように、センサ装置300とベッド端末400とは、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信や有線などを用いて、互いに通信可能なよう接続されている。また、ベッド端末400と不穏判定装置500とは、Wi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信や有線などを用いて、互いに通信可能なよう接続されている。ベッド端末400と不穏判定装置500とは、無線基地局などの中継装置を介して接続されても構わない。
【0077】
なお、不穏判定システム200が有するセンサ装置300の数、ベッド端末400の数、不穏判定装置500の数は、
図10で例示する場合に限定されない。例えば、不穏判定システム200は、複数のセンサ装置300、ベッド端末400、不穏判定装置500を有することが出来る。
【0078】
センサ装置300は、対象者である患者の少なくとも1か所に装着されたセンサを含む装置である。センサ装置300は、患者の動きに関する物理量である体動データを計測するとともに、患者のバイタルに関する物理量であるバイタルデータを計測する。
図11は、センサ装置300の構成例を示している。
図11を参照すると、センサ装置300は、例えば、体動センサ310とバイタルセンサ320と送受信部330とを含んでいる。例えば、センサ装置300は、ハードウェアにより上記各処理部を実現することが出来る。センサ装置300は、記憶装置に格納されたプログラムをCPUなどの演算装置が実行することで、上記各処理部を実現しても構わない。
【0079】
体動センサ310は、患者の動きに関する物理量である体動データを計測することで、時系列の体動データを取得する。例えば、体動センサ310は、加速度センサ、ジャイロセンサ、角度センサ、マイクロフォンなどのうちの少なくとも1つであり、センサ装置300を装着した患者の腕、体、足など所定部位の加速度、角速度、角度、発声量などの体動データを計測する。
【0080】
本実施形態の場合、体動センサ310は、加速度センサを含んでおり、患者の所定部位の加速度を計測する。上述したように、体動センサ310は、上記例示した以外の体動データを計測しても構わない。
【0081】
バイタルセンサ320は、患者のバイタルに関する物理量であるバイタルデータを計測することで、時系列のバイタルデータを取得する。例えば、バイタルセンサ320は、心拍センサ、血圧センサ、呼吸数センサ、体温センサ、血中酸素飽和度センサなどのうちの少なくとも1つであり、センサ装置300を装着した患者の心拍数、血圧値、呼吸数、体温、皮膚温度、血流量、血中酸素飽和度などのバイタルデータを計測する。
【0082】
本実施形態の場合、バイタルセンサ320は、心拍センサを含んでおり、患者の心拍数を計測する。上述したように、バイタルセンサ320は、上記例示した以外のバイタルデータを計測しても構わない。
【0083】
送受信部330は、アンテナなどを有しており、ベッド端末400との間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部330は、体動センサ310が取得した体動データやバイタルセンサ320が取得したバイタルデータをベッド端末400に対して送信する。また、送受信部330は、センサ装置300に対して予め付与されている識別情報などの患者を識別するための患者識別情報を、上記体動データやバイタルデータに対応付けて送信することが出来る。
【0084】
以上が、センサ装置300の構成例である。なお、センサ装置300は、一つの装置から構成されても構わないし、複数の装置から構成されても構わない。例えば、センサ装置300は、体動センサ310とバイタルセンサ320の機能を有する1つの装置から構成することが出来る。また、センサ装置300は、体動センサ310としての機能を有する装置とバイタルセンサ320としての機能を有する装置となど複数の装置から構成されても構わない。体動センサ310は、例えば、加速度センサと角速度センサなど、複数の装置で構成されても構わない。また、バイタルセンサ320は、例えば、心拍センサと皮膚体温センサなど、複数の装置で構成されても構わない。なお、センサ装置200が複数の装置から構成される場合、複数の装置それぞれにデータの送受信を行う送受信部があってよい。
【0085】
ベッド端末400は、患者が滞在するベッド付近などの所定個所などに予め設置されている情報処理装置である。例えば、ベッド端末400は、スマートフォンなどであり、画面表示機能を有する。ベッド端末400は、スマートフォン以外であっても構わない。なお、ベッド端末300は、患者が滞在するべき所定箇所、または患者が滞在するべき範囲を定める基準となる所定箇所に設置されている端末であり、ベッド付近に設置されたものに限られない。
【0086】
図12は、ベッド端末400の構成例を示している。
図12を参照すると、ベッド端末400は、例えば、送受信部410と画面表示部420とを有している。例えば、ベッド端末400は、ハードウェアにより上記各処理部を実現することが出来る。ベッド端末400は、記憶装置に格納されたプログラムをCPUなどの演算装置が実行することで、上記各処理部を実現しても構わない。
【0087】
送受信部410は、アンテナなどを有しており、センサ装置300や不穏判定装置500との間でデータの送受信を行う。例えば、送受信部410は、センサ装置300が送信した体動データ、バイタルデータ、患者識別情報などを受信する。そして、送受信部410は、センサ装置300から受信した体動データ、バイタルデータ、患者識別情報などを不穏判定装置500へと送信する。また、送受信部410は、不穏判定装置500から不穏の判定結果を示す情報を受信することが出来る。
【0088】
画面表示部420は、送受信部410が受信した体動データ、バイタルデータ、患者識別情報や、不穏の判定結果を示す情報などを画面表示する。例えば、画面表示部420は、受信した不穏の判定結果を示す情報などに基づいて、ベッド端末400に対応する患者が不穏状態にある旨などを画面表示することが出来る。
【0089】
不穏判定装置500は、センサ装置300が計測した体動データやバイタルデータに基づく判定を行う情報処理装置である。また、不穏判定装置500は、バイタルデータと体動データに基づいて生成する教師データを用いてバイタルモデル542の再学習を行うことが出来る。例えば、不穏判定装置500は、ナースステーションなどの所定個所に設置されている。例えば、不穏判定装置500は、医者や看護師などの医療従事者が使用するパーソナルコンピュータやタブレットなどの情報処理装置、病院内などに設置されたサーバ、あるいはクラウドサーバなどである。不穏判定装置500は、パーソナルコンピュータやタブレットなどの情報処理装置とサーバなどとを組み合わせたものであっても構わない。
【0090】
図13は、不穏判定装置500の構成例を示している。
図13を参照すると、不穏判定装置500は、主な構成要素として、例えば、操作入力部510と、画面表示部520と、通信I/F部530と、記憶部540と、演算処理部550と、を有している。
【0091】
操作入力部510、画面表示部520、通信I/F部530の構成は、第1の実施形態で説明した操作入力部110、画面表示部120、通信I/F部130と同様であって構わない。そのため、説明を省略する。
【0092】
記憶部540は、ハードディスクやメモリなどの記憶装置である。
図14は、記憶部540に格納される情報の一例を示している。
図14で示すように、記憶部540は、演算処理部550における各種処理に必要な処理情報やプログラム547を記憶する。プログラム547は、演算処理部550に読み込まれて実行されることにより各種処理部を実現する。プログラム547は、通信I/F部530などのデータ入出力機能を介して外部装置や記録媒体から予め読み込まれ、記憶部540に保存されている。記憶部540で記憶される主な情報としては、例えば、体動モデル541、バイタルモデル542、センシングデータ543、体動スコア情報544、バイタルスコア情報545、結果情報546などがある。
【0093】
体動モデル541は、第1の実施形態で説明した体動モデル141と同様であって構わない。体動モデル541には、1種類のモデルが含まれても構わないし、体動データの種類に応じた複数種類のモデルが含まれても構わない。
【0094】
バイタルモデル542は、例えば、第1の実施形態で説明したモデル学習装置100が生成するバイタルモデル144である。バイタルモデル542は、第1の実施形態で説明したモデル学習装置100以外の外部装置において、過去に計測したバイタルデータに対して不穏の有無を人力などによりラベル付けしたデータを教師データとして用いる機械学習を行うことで生成されていても構わない。例えば、バイタルモデル542は、通信I/F部530などを介してモデル学習装置100などの外部装置から取得され、記憶部540に格納されている。なお、バイタルモデル542には、1種類のモデルが含まれても構わないし、バイタルデータの種類に応じた複数種類のモデルが含まれても構わない。
【0095】
センシングデータ543には、センサ装置300が計測したデータが含まれている。例えば、センシングデータ543では、患者識別情報と、体動データと、バイタルデータと、が対応づけられている。上述したように、本実施形態の場合、体動データには、加速度の時系列データが含まれている。また、バイタルデータには、心拍数の時系列データが含まれている。センシングデータ543に含まれる体動データやバイタルデータも第1の実施形態で説明したものと同様であって構わない。
【0096】
体動スコア情報544には、患者が不穏であるか否かを判定するための指標である体動スコアが含まれている。例えば、体動スコア情報544では、患者識別情報と、体動スコアと、が対応づけられている。体動スコア情報544に含まれる体動スコアも、第1の実施形態で説明したものと同様であって構わない。
【0097】
バイタルスコア情報545には、不穏の予兆を判定するための指標であるバイタルスコアが含まれている。例えば、バイタルスコア情報545では、患者識別情報と、バイタルスコアと、が対応づけられている。
【0098】
図15は、第1の実施形態の
図4で示したようなバイタルデータに基づいてスコア算出部552が算出したバイタルスコアの一例を示している。
図15の場合、x軸が時刻を示しており、y軸がバイタルスコアを示している。
図15で示すように、バイタルスコアは、例えば、0以上1以下の値で表現される。バイタルスコアは、1に近いほど患者が不穏の予兆があることを示しており、0に近いほど患者に不穏の予兆がないことを示している。
【0099】
結果情報546には、不穏状態判定部553が体動スコア情報544とバイタルスコア情報545とに基づいて判断した結果を示す情報が含まれている。例えば、結果情報546では、患者識別情報と、判定結果を示す情報と、が含まれている。
【0100】
演算処理部550は、MPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有する。演算処理部550は、記憶部540からプログラム547を読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム547とを協働させて各種処理部を実現する。演算処理部450で実現される主な処理部としては、例えば、センシングデータ取得部551、スコア算出部552、不穏状態判定部553、通知部554、ラベル用不穏判定部555、ラベル付け部556、再学習部557などがある。なお、上記処理部のうち、スコア算出部552、不穏状態判定部553、通知部554は、主に患者が不穏状態にあるか否か判定する処理を行う。また、上記処理部のうち、ラベル用不穏判定部555、ラベル付け部556、再学習部557は、主にバイタルモデル542を再学習する処理を行う。
【0101】
センシングデータ取得部551は、通信I/F部530を介して、ベッド端末400が送信した、体動データ、バイタルデータ、患者識別情報などを取得する。そして、センシングデータ取得部551は、取得した体動データやバイタルデータを、患者識別情報と対応付けて、センシングデータ543として記憶部540に格納する。
【0102】
スコア算出部552は、体動モデル541を用いて体動スコアを算出するとともに、バイタルモデル542を用いてバイタルスコアを算出する。
【0103】
例えば、スコア算出部552は、センシングデータ543を参照して、体動データを取得する。また、スコア算出部552は、取得したデータを体動モデル541に入力して、各時刻における体動スコアを算出する。その後、スコア算出部552は、算出した体動スコアを示す情報を体動スコア情報544として記憶部540に格納する。
【0104】
また、スコア算出部552は、センシングデータ543を参照して、バイタルデータを取得する。また、スコア算出部552は、取得したデータをバイタルモデル542に入力して、
図15で示すような各時刻におけるバイタルスコアを算出する。その後、スコア算出部552は、算出したバイタルスコアを示す情報をバイタルスコア情報545として記憶部540に格納する。
【0105】
なお、スコア算出部552は、時系列データそのものを体動モデル541やバイタルモデル542に入力しても構わないし、時系列データに対して平均化や微分処理などの特徴量化処理を行うことにより算出した各種特徴量を体動モデル541やバイタルモデル542に入力しても構わない。
【0106】
不穏状態判定部553は、体動スコア情報544に含まれる体動スコアとバイタルスコア情報545に含まれるバイタルスコアとに基づいて、患者の不穏状態を判定する。例えば、不穏状態判定部553は、患者の不穏状態として、患者が不穏であるか否か、または、患者に不穏の予兆があるか否かを判定する。そして、不穏状態判定部553は、判定の結果を結果情報546として記憶部540に格納する。例えば、不穏状態判定部553は、不穏状態の判定結果を示す情報を結果情報546として記憶部540に格納する。また、不穏状態判定部553は、体動スコアとバイタルスコアとに基づく不穏状態の判定結果に応じて、バイタルモデル542の再学習を行うか否か判定することが出来る。
【0107】
例えば、不穏状態判定部553は、体動スコアと比較するための体動閾値と、バイタルスコアと比較するためのバイタル閾値とを予め有している。そして、不穏状態判定部553は、体動スコアとバイタルスコアと体動閾値とバイタル閾値とに基づく判定を行う。例えば、不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値以上である場合、患者が不穏であると判定する。このように、体動スコアに基づく判定を行うことで、実際に患者が不穏になっている場合に患者が不穏になっている旨を判定することが出来る。また、例えば、不穏状態判定部553は、バイタルスコアがバイタル閾値以上である場合、患者が不穏であるまたは患者に不穏の予兆があると判定する。さらに、例えば、不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値未満でもバイタルスコアがバイタル閾値以上である場合、患者に不穏の予兆があると判定する。不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値以下かつバイタルスコアがバイタル閾値以下である場合、患者は正常状態であると判定してもよい。このように、不穏状態判定部553は、体動スコアとバイタルスコアとに基づいて、患者が不穏であるか否か、患者に不穏の予兆があるか否かを判定する。
【0108】
図16、
図17は、不穏状態判定部553の処理例を示している。例えば、
図16を参照すると、22:30から1:00少し前までの間、2:00少し前、4:30ころ、6:00ころ、体動スコアが体動閾値以上となっている。そのため、不穏状態判定部553は、上記期間について患者が不穏であると判定する。また、
図17を参照すると、2:30から1:00少し前までの間、2:00少し前にバイタルスコアがバイタル閾値以上となる。そのため、不穏状態判定部553は、上記期間について患者に不穏の予兆があると判定する。
【0109】
なお、体動閾値やバイタル閾値の値は、任意に設定して構わない。例えば、
図16、
図17の場合、体動閾値とバイタル閾値の値が同じ値になっている。しかしながら、体動閾値とバイタル閾値とは、異なる値であっても構わない。また、体動閾値及びバイタル閾値は、例えば、後述する患者の属性情報等に応じて適宜決定されてもよい。
【0110】
また、不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値以上またはバイタルスコアがバイタル閾値以上である場合は一律に、患者は不穏であると判定してもよい。このような構成によると、患者の異常を漏れなく医療従事者に知らせることが出来る。
【0111】
また、不穏状態判定部553は、体動スコアまたはバイタルスコアの何れか一方により患者の不穏状態を判定できない場合、もう一方のスコアのみを用いて患者の不穏状態を判定してもよい。ここで、体動スコアにより患者の不穏状態を判定できない場合には、センサ装置300が体動データを取得できなかった場合、通信の不具合等によりセンシングデータ取得部551が患者の体動データを取得できなかった場合、等が含まれる。また、バイタルスコアにより患者の不穏状態を判定できない場合には、センサ装置300がバイタルデータを取得できなかった場合、通信の不具合等によりセンシングデータ取得部551が患者のバイタルデータを取得できなかった場合、等が含まれる。
【0112】
また、体動スコアが体動閾値以上であり、かつ、バイタルスコアがバイタル閾値未満である場合、バイタルスコアによる不穏判定に見落としが生じているおそれがあると考えられる。そこで、不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値以上であり、かつ、バイタルスコアがバイタル閾値未満である場合、バイタルモデル542の再学習を行うと決定する。例えば、この決定に応じて、ラベル用不穏判定部555、ラベル付け部556、再学習部557による再学習処理が行われる。
【0113】
通知部554は、不穏状態判定部553により患者が不穏であると判定された場合などに、不穏状態判定部553による判定の結果を出力する。例えば、通知部554は、不穏状態判定部553が不穏であると判定した場合や不穏の予兆があると判定した場合、判定の結果を示す情報を患者の患者識別情報とともに、画面表示部520に画面表示することが出来る。また、通知部554は、判定の結果を示す情報と患者の患者識別情報とを、当該患者に関連するベッド端末400や当該患者を担当している看護師が携帯している携帯端末などの外部装置に対して送信することが出来る。なお、通知部554は、患者の入院する部屋入り口のランプを点灯させるなど、上記例示した以外の通知を行っても構わない。
【0114】
なお、通知部554は、不穏である、不穏の予兆がある、という判定の違いにより、表示内容や通知内容を変更してもよい。例えば、通知部554は、患者の入院する部屋入り口のランプを点灯させる場合に判定結果により異なるランプの色を点灯させる、などの方法を用いてもよい。
【0115】
ラベル用不穏判定部555は、不穏状態判定部553による再学習の決定に応じて、体動スコア情報544に含まれる体動スコアに基づいて、ラベル付けを行うための不穏判定を行う。ラベル用不穏判定部555の処理は、第1の実施形態で説明した不穏判定部153が行う処理と同様であって構わない。
【0116】
ラベル付け部556は、センシングデータ543に含まれるバイタルデータに対してラベル用不穏判定部555による判定の結果に基づくラベル付けを行うことで、機械学習用の教師データを生成する。ラベル付け部556の処理も第1の実施形態で説明したラベル付け部154の処理と同様で構わない。
【0117】
再学習部557は、ラベル付け部556によるラベル付けの結果として生成される教師データを用いた機械学習を行うことにより、バイタルモデル542を再学習する。例えば、再学習部557は、第1の実施形態で説明したバイタルモデル学習部155と同様に、サポートベクターマシン(SVM)やニューラルネットワークなどを用いた機械学習を行う。そして、再学習部557は、再学習したバイタルモデルをバイタルモデル542として記憶部540に格納する。なお、再学習部557による再学習は、第1の実施形態で例示した場合と同様に、ラベル付け部556が生成した教師データのみを用いて行われても構わないし、ラベル付け部556が生成した教師データ以外も用いて行われても構わない。再学習部557は、第1の実施形態で例示した場合と同様の処理を行うよう構成して構わない。
【0118】
以上が、不穏判定システム200の構成例である。続いて、
図18を参照して、不穏判定装置500の動作例について説明する。なお、
図18に示す不穏判定装置500の動作の順序は一例であり、これに限定されない。
【0119】
センシングデータ取得部551は、通信I/F部530を介して、ベッド端末400が送信した、体動データ、バイタルデータ、患者識別情報などを取得する(ステップS301)。
【0120】
スコア算出部552は、体動モデル541を用いて体動スコアを算出するとともに、バイタルモデル542を用いてバイタルスコアを算出する(ステップS302)。例えば、スコア算出部552は、体動データを体動モデル541に入力することで体動スコアを算出する。また、スコア算出部552は、バイタルデータをバイタルモデル542に入力することでバイタルスコアを算出する。
【0121】
不穏状態判定部553は、体動スコア情報544に含まれる体動スコアとバイタルスコア情報545に含まれるバイタルスコアとに基づいて、患者が不穏状態にあるか否かを判定する。例えば、不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値以上である場合(ステップS303、Yes)、患者が不穏であると判定する。また、不穏状態判定部553は、体動スコアが体動閾値以上であり、かつ、バイタルスコアがバイタル閾値未満となる場合(ステップS304、No)、再学習を行うと判定する。これにより、バイタルモデル542の再学習が行われる(ステップS305)。なお、再学習の処理は、第1の実施形態で説明したバイタルモデルを生成する処理と同様の方法により行うことが出来る。
【0122】
患者が不穏であると判定した場合、通知部554による通知が行われる(ステップS306)。例えば、通知部554は、患者が不穏である旨を画面表示部520に画面表示したり、患者が不穏である旨をベッド端末400や患者を担当している看護師が携帯している携帯端末などの外部装置に対して送信したりすることが出来る。
【0123】
また、体動スコアが体動閾値未満である場合でも(ステップS303、No)、バイタルスコアがバイタル閾値以上である場合(ステップS307、Yes)、不穏状態判定部553は、不穏の予兆があると判定する。そして、通知部554による通知が行われる(ステップS306)。一方、体動スコアが体動閾値未満であり(ステップS303、No)、バイタルスコアもバイタル閾値未満である場合(ステップS307、No)、不穏状態判定部553は、患者が不穏でないと判定する。この場合、通知部554による通知は行われない。
【0124】
以上が、不穏判定装置500の動作例である。
【0125】
このように、不穏判定装置500は、体動スコアとバイタルスコアを算出するスコア算出部552と、不穏状態判定部553と、を有している。このような構成により、不穏状態判定部553は、体動スコアに基づく判定を行うとともに、バイタルスコアに基づく判定を行うことが出来る。その結果、実際に患者が不穏になっている場合に、バイタルスコアが低い場合でも漏れなく患者が不穏になっている旨を判定することが出来る。これにより、不穏を見落とすことなく判定することが出来る。
【0126】
また、不穏判定装置500は、体動スコアが体動閾値以上であり、かつ、バイタルスコアがバイタル閾値未満である場合、バイタルモデル542の再学習を行うよう構成されている。体動スコアが体動閾値以上であり、かつ、バイタルスコアがバイタル閾値未満である場合、バイタルスコアによる不穏判定に見落としが生じているおそれがあると考えられる。そのため、上記条件を満たす場合に再学習を行うことで、必要に応じてバイタルモデル542の精度を向上させることが可能となる。
【0127】
なお、本実施形態では、不穏判定装置500が不穏状態判定部553とラベル用不穏判定部555とを有する場合について説明した。しかしながら、不穏判定装置500のラベル付け部556は、不穏状態判定部553による判定の結果を用いてラベル付けを行っても構わない。この場合、不穏判定装置500は、ラベル用不穏判定部555を有さなくても構わない。
【0128】
また、体動モデル441に複数のモデルが含まれる場合、複数の体動スコアを算出することがある。このように複数の体動スコアを算出する場合、不穏状態判定部453は、例えば、複数の体動スコアのうちどれか1つでも体動閾値以上となる場合に、患者が不穏状態であると判定することが出来る。不穏状態判定部453は、複数の体動スコアのうち過半数が体動閾値以上となるなど、上記例示した以外の方法で判定してもよい。
【0129】
また、バイタルモデル442に複数のモデルが含まれる場合、複数のバイタルスコアを算出することがある。このように複数のバイタルスコアを算出する場合、不穏状態判定部453は、例えば、複数種類のバイタルスコアのうちどれか1つでもバイタル閾値以上となる場合、患者に不穏の予兆があると判定することが出来る。不穏状態判定部453は、複数のバイタルスコアのうち、過半数以上がバイタル閾値以上である、すべてがバイタル閾値以上である、平均値がバイタル閾値以上であるなど、予め定められた基準を満たした場合に、不穏の予兆があると判定しても構わない。
【0130】
また、不穏判定装置500の構成は、
図19を参照して説明した場合に限定されない。例えば、
図19は、不穏判定装置500の他の構成例を示している。
図19を参照すると、不穏判定装置500の演算処理部550は、例えば、属性情報取得部558を有することが出来る。
【0131】
属性情報取得部558は、患者の属性情報を取得する。例えば、属性情報取得部558は、外部装置などから患者のカルテ情報を取得して、年齢、性別、まひ状態、などの属性情報を取得する。
【0132】
属性情報取得部558が取得した属性情報は、モデルやスコアの優先度を決める際などに活用することが出来る。つまり、属性情報は、体動モデル441やバイタルモデル442に複数のモデルが含まれる場合や、体動スコアやバイタルスコアが複数算出される場合などにおいて、どのモデル、どのスコアを優先して判定するかを示す指標である優先度を決める際に用いることが出来る。なお、第1の実施形態と同様に、属性情報は、学習処理(再学習処理)の際に活用されても構わない。
【0133】
例えば、体動モデル541に加速度モデルと発声量モデルが含まれており、バイタルモデル542に心拍数モデルが含まれるとする。また、属性情報取得部558が取得した属性情報に基づいて患者の手足にマヒがあると判断されるとする。この場合、患者の動きは少ないことが想定される。そこで、不穏状態判定部553は、加速度モデルの優先度を下げ、発声量モデルと心拍数モデルの優先度を上げることが出来る。また、属性情報取得部558が取得した属性情報に基づいてある程度自力で動ける患者であると判断される場合、不穏状態判定部553は、例えば、加速度モデルと発声量モデルと心拍数モデルの優先度をすべて同じにすることが出来る。なお、不穏状態判定部553は、その他の属性情報に基づいて優先度を調整して構わない。
【0134】
なお、上述した優先度とは、体動モデル541やバイタルモデル542に複数のモデルが含まれる場合や、体動スコアやバイタルスコアが複数算出される場合などにおいて、どのモデル、どのスコアを優先して判定するかを示す指標である。不穏状態判定部553は、優先度に基づいて、判定を行う際の基準の調整などを行うことが出来る。例えば、上述したように、属性情報に基づいて患者の手足にマヒがあると判断される場合、不穏状態判定部553は、加速度モデルの優先度を下げ、発声量モデルと心拍数モデルの優先度を上げることが出来る。この場合、不穏状態判定部553は、例えば、発声量モデルに基づくスコアと心拍数モデルに基づくスコアとのみを用いた判定を行う、加速度モデルに基づくスコアと比較する体動閾値を発声量モデルに基づくスコアと比較する体動閾値と異なる値に調整する、などの基準の調整を行うことが出来る。また、上述したように、ある程度自力で動ける患者であると判断される場合、不穏状態判定部553は、例えば、加速度モデルと発声量モデルと心拍数モデルの優先度をすべて同じにすることが出来る。この場合、不穏状態判定部553は、例えば、加速度モデルに基づくスコアと発声量モデルに基づくスコアと心拍数モデルに基づくスコアのすべてを用いた判定を行う、体動閾値やバイタル閾値をすべて同じ値にする、などの基準の調整を行うことが出来る。なお、不穏状態判定部553は、上記例示した以外の基準の調整を行っても構わない。
【0135】
また、
図20を参照すると、不穏判定装置500の記憶部540には、環境情報548を格納することが出来る。
【0136】
環境情報548は、季節や気温などの情報を示している。環境情報548は、例えば、通信I/F部530を介して外部装置から取得されていたり、操作入力部510を用いて予め入力されていたりする。
【0137】
環境情報548に含まれる情報も、属性情報取得部558が取得した属性情報と同様に、優先度を決める際などに活用することが出来る。例えば、上述した場合と同様に、体動モデル541に加速度モデルと発声量モデルが含まれており、バイタルモデル542に心拍数モデルが含まれるとする。この場合において、環境情報548に基づいて季節が冬である(または気温が低い)と判断される場合、患者の動きが鈍くなったり心疾患(心拍の異常)が起こりやすくなったりすることから、不穏状態判定部553は、発声量モデルと心拍モデルの優先度を上げたり、加速度モデルの優先度を下げたりすることが出来る。これにより、例えば、不穏状態判定部553は、加速度モデルに基づくスコアと比較する体動閾値を発声量モデルに基づくスコアと比較する体動閾値と異なる値に調整するなど、体動閾値やバイタル閾値の修正などを行うことが出来る。
【0138】
例えば、以上のように、不穏判定装置500は、環境情報548や属性情報取得部558を有しても構わない。
【0139】
なお、
図13や
図19では、1台の情報処理装置により不穏判定装置500としての機能を実現する場合について例示した。しかしながら、不穏判定装置500としての機能は、例えば、ネットワークを介して接続された複数台の情報処理装置により実現されても構わない。
【0140】
[第3の実施形態]
次に、
図21、
図22を参照して、本開示の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、教師データ生成装置600の構成の概要について説明する。
【0141】
図21は、教師データ生成装置600のハードウェア構成例を示している。
図21を参照すると、教師データ生成装置600は、一例として、以下のようなハードウェア構成を有している。
・CPU(Central Processing Unit)601(演算装置)
・ROM(Read Only Memory)602(記憶装置)
・RAM(Random Access Memory)603(記憶装置)
・RAM603にロードされるプログラム群604
・プログラム群604を格納する記憶装置605
・情報処理装置外部の記録媒体610の読み書きを行うドライブ装置606
・情報処理装置外部の通信ネットワーク611と接続する通信インタフェース607
・データの入出力を行う入出力インタフェース608
・各構成要素を接続するバス609
【0142】
また、教師データ生成装置600は、プログラム群604をCPU601が取得して当該CPU601が実行することで、
図22に示す取得部621、算出部622、判定部623、ラベル付け部624としての機能を実現することが出来る。なお、プログラム群604は、例えば、予め記憶装置605やROM602に格納されており、必要に応じてCPU601がRAM603などにロードして実行する。また、プログラム群604は、通信ネットワーク611を介してCPU601に供給されてもよいし、予め記録媒体610に格納されており、ドライブ装置606が該プログラムを読み出してCPU601に供給してもよい。
【0143】
なお、
図21は、教師データ生成装置600のハードウェア構成例を示している。教師データ生成装置600のハードウェア構成は上述した場合に限定されない。例えば、教師データ生成装置600は、ドライブ装置606を有さないなど、上述した構成の一部から構成されてもよい。
【0144】
取得部621は、対象者の身体の動作に応じた体動データと、対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得する。
【0145】
算出部622は、取得部621が取得した体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する。
【0146】
判定部623は、算出部622が算出した体動スコアに基づいて対象者が不穏であるかを判定する。
【0147】
ラベル付け部624は、バイタルデータに対して判定部623による判定の結果に基づくラベル付けを行う。
【0148】
このように、教師データ生成装置600は、取得部621と算出部622と判定部623とラベル付け部624とを有している。このような構成により、ラベル付け部624は、算出部622が算出した体動スコアに基づいて判定部623が判定した結果に基づくラベル付けを行うことが出来る。その結果、教師データの生成を効率的に行うことが出来る。
【0149】
なお、上述した教師データ生成装置600は、当該教師データ生成装置600などのコンピュータに所定のプログラムが組み込まれることで実現できる。具体的に、本発明の他の形態であるプログラムは、コンピュータに、対象者の身体の動作に応じた体動データと、対象者のバイタルデータと、を取得し、取得した体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、体動スコアに基づいて対象者が不穏であるかを判定し、バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う処理を実現させるためのプログラムである。
【0150】
また、上述した学習装置600により実行される教師データ生成方法は、
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う
という方法である。
【0151】
上述した構成を有する、プログラム(または記録媒体)、または、教師データ生成方法、の発明であっても、上記教師データ生成装置600と同様の作用・効果を有するために、上述した本発明の目的を達成することが出来る。
【0152】
また、教師データ生成装置600の変形例としては、例えば、バイタルモデルを学習する学習装置がある。例えば、学習装置は、対象者の身体の動作に応じた体動データと、対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、取得部が取得した体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、体動スコアに基づいて対象者が不穏であるかを判定する判定部と、バイタルデータに対して判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、ラベル付けされたバイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する学習部と、を有する。
【0153】
また、同様に変形例として、不穏判定装置がある。例えば、不穏判定装置は、対象者の身体の動作に応じた体動データと、対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得する取得部と、取得部が取得した体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、取得部が取得したバイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出する算出部と、算出部が算出した体動スコアとバイタルスコアとに基づいて、バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定する判定部と、判定部の結果に応じてバイタルモデルの再学習を行う再学習部と、を有する。
【0154】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における学習装置などの概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
【0155】
(付記1)
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定する判定部と、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、
を有する教師データ生成装置。
(付記2)
付記1に記載の教師データ生成装置であって、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうちの、対応する前記体動スコアが所定の条件を満たす一部の期間について、ラベル付けを行う
教師データ生成装置。
(付記3)
付記1または付記2に記載の教師データ生成装置であって、
前記判定部は、前記体動スコアが第1閾値以上である期間について対象者が不穏であると判定し、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうち前記判定部が不穏であると判定した期間についてラベル付けを行う、
教師データ生成装置。
(付記4)
付記1から付記3までのいずれか1項に記載の教師データ生成装置であって、
前記判定部は、前記体動スコアが第2閾値以下である期間について対象者が不穏でないと判定し、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうち前記判定部が不穏でないと判定した期間についてラベル付けを行う
教師データ生成装置。
(付記5)
付記1から付記4までのいずれか1項に記載の教師データ生成装置であって、
前記対象者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得部を有し、
前記判定部は、前記属性情報が取得した前記属性情報に基づいて、前記対象者が不穏であるかを判定する
教師データ生成装置。
(付記6)
付記1から付記5までのいずれか1項に記載の教師データ生成装置であって、
前記対象者の属性を示す属性情報を取得する属性情報取得部を有し、
前記学習部は、前記属性情報取得部が取得した前記属性情報に基づいて、前記状態情報を学習に用いるか否か決定する
教師データ生成装置。
(付記7)
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行う
教師データ生成方法。
(付記8)
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行う
処理を実現させるためのプログラムを記録した記録媒体。
(付記9)
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出する算出部と、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定する判定部と、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うラベル付け部と、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する学習部と、
を有する学習装置。
(付記10)
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行い、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する
学習方法。
(付記11)
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者のバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出し、
前記体動スコアに基づいて前記対象者が不穏であるかを判定し、
前記バイタルデータに対して判定の結果に基づくラベル付けを行い、
ラベル付けされた前記バイタルデータを教師データとして学習を行うことで、不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを出力するバイタルモデルを生成する
処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体。
(付記12)
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、前記取得部が取得した前記バイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出する算出部と、
前記算出部が算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定する判定部と、
前記判定部の結果に応じて前記バイタルモデルの再学習を行う再学習部と、
を有する
不穏判定装置。
(付記13)
付記12に記載の不穏判定装置であって、
前記判定部は、前記体動スコアが予め定められた条件を満たし、前記バイタルスコアが予め定められた条件を満たさない場合に、再学習を行うと判定する
不穏判定装置。
(付記14)
付記12または付記13に記載の不穏判定装置であって、
前記バイタルデータに対して前記判定部による判定の結果に基づくラベル付けを行うことで教師データを生成するラベル付け部を有し、
前記再学習部は、前記ラベル付け部が生成した教師データを用いた再学習を行うことで前記バイタルモデルの再学習を行う
不穏判定装置。
(付記15)
付記14に記載の不穏判定装置であって、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうちの一部について教師データを生成する
不穏判定装置。
(付記16)
付記14または付記15に記載の不穏判定装置であって、
前記ラベル付け部は、前記バイタルデータのうちの、対応する前記体動スコアが所定の条件を満たす一部の期間について、教師データを生成する
不穏判定装置。
(付記17)
コンピュータが、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、取得した前記バイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出し、
算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定し、
判定の結果に応じて前記バイタルモデルの再学習を行う
再学習方法。
(付記18)
コンピュータに、
対象者の身体の動作に応じた体動データと、前記対象者の身体の状態に応じたバイタルデータと、を取得し、
取得した前記体動データに基づいて不穏状態を判定する指標となる体動スコアを算出するとともに、取得した前記バイタルデータに基づいて不穏状態を判定する指標となるバイタルスコアを算出し、
算出した前記体動スコアと前記バイタルスコアとに基づいて、前記バイタルスコアを算出する際に用いるバイタルモデルの再学習を行うと判定し、
判定の結果に応じて前記バイタルモデルの再学習を行う
処理を実現するためのプログラムを記録した記録媒体。
【0156】
なお、上記各実施形態及び付記において記載したプログラムは、記憶装置に記憶されていたり、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されていたりする。例えば、記録媒体は、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、及び、半導体メモリ等の可搬性を有する媒体である。
【0157】
以上、上記各実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることが出来る。
【符号の説明】
【0158】
100 モデル学習装置
110 操作入力部
120 画面表示部
130 通信I/F部
140 記憶部
141 体動モデル
142 センシングデータ
143 体動スコア情報
144 バイタルモデル
145 プログラム
150 演算処理部
151 センシングデータ取得部
152 体動スコア算出部
153 不穏判定部
154 ラベル付け部
155 バイタルモデル学習部
156 出力部
157 属性情報取得部
200 不穏判定システム
300 センサ装置
310 体動センサ
320 バイタルセンサ
330 送受信部
400 ベッド端末
410 送受信部
420 画面表示部
500 不穏判定装置
510 操作入力部
520 画面表示部
530 通信I/F部
540 記憶部
541 体動モデル
542 バイタルモデル
543 センシングデータ
544 体動スコア情報
545 バイタルスコア情報
546 結果情報
547 プログラム
548 環境情報
550 演算処理部
551 センシングデータ取得部
552 スコア算出部
553 不穏状態判定部
554 通知部
555 ラベル用不穏判定部
556 ラベル付け部
557 再学習部
558 属性情報取得部
600 教師データ生成装置
601 CPU
602 ROM
603 RAM
604 プログラム群
605 記憶装置
606 ドライブ装置
607 通信インタフェース
608 入出力インタフェース
609 バス
610 記録媒体
611 通信ネットワーク
621 取得部
622 算出部
623 判定部
624 ラベル付け部