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特許7601118参照装置、参照方法、プログラム、管理システム、及び管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】参照装置、参照方法、プログラム、管理システム、及び管理方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
G05B23/02 301U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022577926
(86)(22)【出願日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 JP2021003115
(87)【国際公開番号】W WO2022162846
(87)【国際公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】長谷 昇
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸佳
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊季
(72)【発明者】
【氏名】狩野 秀一
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-284854(JP,A)
【文献】特開2020-113280(JP,A)
【文献】特開2020-077309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/00-23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得部と、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力部と、を有し、
前記出力部は、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる1つ以上の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する参照装置。
【請求項2】
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、請求項1に記載の参照装置。
【請求項3】
コンピュータによって実行される参照方法であって、
前記コンピュータは、製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を有し、
前記出力ステップにおいて、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる1つ以上の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する参照方法。
【請求項4】
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、請求項3に記載の参照方法。
【請求項5】
コンピュータによって実行されるプログラムであって、
前記コンピュータは、製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を実行させ、
前記出力ステップにおいて、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる1つ以上の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する、プログラム。
【請求項6】
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
登録装置と参照装置を有する管理システムであって、
前記登録装置は、
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得部と、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納部と、を有し、
前記参照装置は、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得部と、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力部と、を有し、
前記出力部は、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる1つ以上の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する管理システム。
【請求項8】
登録装置と参照装置を有する管理システムによって実行される管理方法であって、
前記登録装置が、
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得ステップと、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納ステップと、を実行し、
前記参照装置が、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を実行し、
前記出力ステップにおいて、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる1つ以上の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は製品の製造に関連する情報の管理に関する。
【背景技術】
【0002】
製品の品質を保証するために、製品の製造プロセスに関する種々の情報が利用される。例えば、製品の製造過程で行われた各検査の記録や、製造プロセスを検証するために行われた監査の記録などが利用される。例えば特許文献1には、医薬品、飲料、又は食品の製造設備について設定変更を行う際に、設定変更の内容及びその理由を示す監査証跡を登録するための管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-220127号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の一つは、製品の製造プロセスに関する情報を管理するための新たな技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の登録装置は、登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得部と、前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納部と、を有する。
【0006】
本開示の参照装置は、製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得部と、1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
本開示の登録方法は、コンピュータによって実行される。当該登録方法は、登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得ステップと、前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納ステップと、を有する。
【0008】
本開示の参照方法は、コンピュータによって実行される。このコンピュータは、製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されている。
当該制御方法は、参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を有する。
【0009】
本開示の第1のコンピュータ可読媒体は、本開示の登録方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納している。
【0010】
本開示の第2のコンピュータ可読媒体は、本開示の参照方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納している。
【0011】
本開示の管理システムは、上記登録装置及び上記参照装置を有する。
【0012】
本開示の管理方法は、本開示の管理システムによって実行される管理方法である。
前記登録装置が、登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得ステップと、前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納ステップと、を実行する。
前記参照装置が、参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、製品の製造プロセスに関する情報を管理するための新たな技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1の管理システムの動作の概要を例示する図である。
図2】実施形態1の管理システムの機能構成を例示するブロック図である。
図3】登録装置を実現するコンピュータのハードウエア構成を例示するブロック図である。
図4】実施形態1の登録装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図5】登録装置を利用して登録する情報を指定する画面を例示する図である。
図6】登録情報をテーブル形式で例示する図である。
図7】実施形態1の参照装置によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。
図8】参照情報を例示する図である。
図9】管理システムのユースケースを例示する図である。
図10】参照装置から提供される画面を例示する第1の図である。
図11】参照装置から提供される画面を例示する第2の図である。
図12】参照装置から提供される画面を例示する第3の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。また、特に説明しない限り、所定値や閾値などといった予め定められている値は、その値を利用する装置からアクセス可能な記憶装置などに予め格納されている。また、特に説明しない限り、記憶部は、1つ又は複数の記憶装置で実現される。
【0016】
図1は、実施形態1の管理システム2000の動作の概要を例示する図である。ここで、図1は、管理システム2000の概要の理解を容易にするための図であり、管理システム2000の動作は、図1に示したものに限定されない。
【0017】
管理システム2000は、製品の製造プロセスに関する種々の情報(以下、製造プロセス情報)を扱う。製造プロセス情報についての詳細は後述する。管理システム2000は、登録装置2100及び参照装置2200を有する。登録装置2100は、例えば、製品の製造などに関与するエンティティ(製品のベンダなど)によって利用される。一方、参照装置2200は、例えば、製品を既に利用している、又は、製品の利用を検討しているエンティティ(顧客など)によって利用される。登録装置2100及び参照装置2200は、記憶部2300と通信可能に(例えば、ネットワークを介して)接続されている。記憶部2300は、1つ以上の記憶装置を用いて構成される記憶領域である。なお、登録装置2100が顧客などによって利用されたり、参照装置2200がベンダなどによって利用されたりしてもよい。例えば顧客が、製品の運用中に、登録装置2100を利用してその製品に関する情報を登録することが考えられる。また、ベンダなどが、内部での監査などのために、登録されている情報を参照することが考えられる。
【0018】
製造プロセス情報は、製品ごと、及び、製造プロセスに関連する項目ごとに生成・管理される。ここでいう項目とは、製造プロセス情報が製品の何に関する情報であるかを表す情報である。例えば、製品Aの製造プロセス情報の1つとして、製品Aの製造手順が記された製造手順書データがあるとする。この場合、例えば項目は「製造手順書」などとなる。
【0019】
登録装置2100は、製品及び項目に対応づけて、製造プロセス情報のダイジェスト値(ハッシュ値など)を登録する。そのために、登録装置2100は、1)登録対象の製品の識別情報、2)項目の識別情報、及び3)登録対象の製品についての製造プロセス情報であって上記項目に対応する情報、を取得する。以下、製品の識別情報を「製品識別情報」と表記し、項目の識別情報を「項目識別情報」と表記する。
【0020】
例えば前述したように、製品Aの製造プロセス情報の1つとして、製品Aの製造手順が記された製造手順書データがあるとする。この場合、登録装置2100は、1)製品Aの製品識別情報、2)製造手順書という項目を表す項目識別情報、及び3)製品Aの製造手順書データ(製造プロセス情報)を取得する。
【0021】
さらに登録装置2100は、取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、当該ダイジェスト値を、取得した製品識別情報及び項目識別情報と対応づけて、記憶部2300に格納する。例えば前述の例では、製品Aの製造手順書データのダイジェスト値が、製品Aの製品識別情報及び「製造手順書」という項目を表す項目識別情報と対応づけて、記憶部2300に格納される。以下、記憶部2300に格納される「製品識別情報、項目識別情報、製造プロセス情報のダイジェスト値」という対応付けを含む情報を、登録情報と呼ぶ。
【0022】
参照装置2200は、記憶部2300に格納されている情報の参照に利用される。そのために、参照装置2200は、参照対象の製品の製品識別情報を取得する。そして参照装置2200は、1つ以上の項目について、その項目及び参照対象の製品に対応する参照情報を出力する。或る製品及び或る項目に対応する参照情報は、その製品の製品識別情報及びその項目の項目識別情報に対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されているか否かを特定可能な情報である。
【0023】
<作用効果の一例>
利用する製品を選別したい顧客にとって、その製品の品質を把握することは重要である。例えば、一定の調達基準を予め定めておき、その調達基準を満たしている製品のみしか採用しない顧客も存在する。そこで、顧客に対し、製品の品質を把握可能な情報を提供できることが好ましい。
【0024】
この点、製造プロセス情報は、製品の製造プロセスに関連する事項について、その製品の品質を保証するための情報として利用することができる。例えば、製品の検査記録を表す製造プロセス情報を利用することにより、顧客は、その製品について、正しい検査が行われた品質の高いものであることを把握できる。
【0025】
一方で、検査記録や監査記録などを公開することが難しいこともある。そのため、仮に製造プロセス情報そのものを公開することができない場合でも、製品の製造プロセスに関連する事項について、その製品の品質を一定程度把握可能にすることが好ましい。
【0026】
本実施形態の管理システム2000によれば、登録装置2100により、製品の識別情報と項目の識別情報と対応づけて、製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納される。また、参照装置2200により、参照対象の製品に関し、1つ以上の項目について、その製品と項目に対応づけて製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されているか否かを特定可能な情報が提供される。
【0027】
ここで、製品と項目に対応づけて製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されていることが分かれば、その製品のその項目について、製造プロセス情報そのものを得られなくても、製造プロセス情報の存在については把握することができる。例えば、製品の検査記録の内容を閲覧できなくても、製品の検査記録の存在については把握することができる。これにより、顧客は、製品の品質を一定程度把握することができる。また、ベンダが製品プロセス情報を改変すると、改変後の製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されている製造プロセス情報のダイジェスト値と一致しなくなる。そのため、後から都合の良いように製造プロセス情報が改変されてしまうという不正を防止することができる。
【0028】
以下、本実施形態の管理システム2000について、より詳細に説明する。
【0029】
<機能構成の例>
図2は、実施形態1の管理システム2000の機能構成を例示するブロック図である。管理システム2000は、登録装置2100及び参照装置2200を有する。登録装置2100は、取得部2120及び格納部2140を有する。取得部2120は、登録対象の製品の製品識別情報と、製造プロセスに関連する項目の項目識別情報と、登録対象の製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち、上記項目に関連する製造プロセス情報を取得する。格納部2140は、取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出する。そして、格納部2140は、取得した製品識別情報及び項目識別情報に、算出したダイジェスト値を対応づけて、記憶部2300に格納する。
【0030】
参照装置2200は、取得部2120及び格納部2140を有する。取得部2120は、参照対象の製品の製品識別情報を取得する。格納部2140は、1つ以上の項目について、参照対象の製品とその項目についての参照情報を出力する。
【0031】
<ハードウエア構成の例>
登録装置2100と参照装置2200の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。以下、登録装置2100と参照装置2200の各機能構成部がハードウエアとソフトウエアとの組み合わせで実現される場合について、さらに説明する。
【0032】
図3は、登録装置2100を実現するコンピュータ1000のハードウエア構成を例示するブロック図である。コンピュータ1000は、任意のコンピュータである。例えばコンピュータ1000は、サーバマシンや PC(Personal Computer)やなどといった、据え置き型のコンピュータである。その他にも例えば、コンピュータ1000は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータである。コンピュータ1000は、登録装置2100を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。
【0033】
例えば、コンピュータ1000に対して所定のアプリケーションをインストールすることにより、コンピュータ1000で、登録装置2100の各機能が実現される。上記アプリケーションは、登録装置2100の機能構成部を実現するためのプログラムで構成される。なお、上記プログラムの取得方法は任意である。例えば、当該プログラムが格納されている記憶媒体(DVD ディスクや USB メモリなど)から、当該プログラムを取得することができる。その他にも例えば、当該プログラムが格納されている記憶装置を管理しているサーバ装置から、当該プログラムをダウンロードすることにより、当該プログラムを取得することができる。
【0034】
コンピュータ1000は、バス1020、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120を有する。バス1020は、プロセッサ1040、メモリ1060、ストレージデバイス1080、入出力インタフェース1100、及びネットワークインタフェース1120が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ1040などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0035】
プロセッサ1040は、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は FPGA(Field-Programmable Gate Array)などの種々のプロセッサである。メモリ1060は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。ストレージデバイス1080は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、メモリカード、又は ROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。
【0036】
入出力インタフェース1100は、コンピュータ1000と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース1100には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0037】
ネットワークインタフェース1120は、コンピュータ1000をネットワークに接続するためのインタフェースである。なお、このネットワークは、LAN(Local Area Network)であってもよいし、WAN(Wide Area Network)であってもよい。
【0038】
ストレージデバイス1080は、登録装置2100の各機能構成部の機能を実現するプログラム(前述したアプリケーションを実現するプログラム)を記憶している。プロセッサ1040は、このプログラムをメモリ1060に読み出して実行することで、登録装置2100の各機能構成部の機能を実現する。
【0039】
登録装置2100は、1つのコンピュータ1000で実現されてもよいし、複数のコンピュータ1000で実現されてもよい。後者の場合において、各コンピュータ1000の構成は同一である必要はなく、それぞれ異なるものとすることができる。
【0040】
参照装置2200は、登録装置2100と同様に、任意のコンピュータで実現することができる。例えば参照装置2200のハードウエア構成は、登録装置2100のハードウエア構成と同様に、図3で表される。ただし、参照装置2200を実現するコンピュータのストレージデバイスには、参照装置2200の各機能構成部の機能を実現するためのプログラムが格納される。また、参照装置2200を実現するプロセッサは、そのプログラムをストレージデバイスから読み出して実行することにより、参照装置2200の各機能構成部の機能を実現する。
【0041】
<製造プロセス情報について>
製造プロセス情報は、製品の製造プロセスに関連する種々の情報である。例えば製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書を表す手順書データである。手順書には、例えば、製造手順書、検査手順書、又は監査手順書などがありうる。この場合、例えば製造プロセスに対応する項目は、「手順書」などといった項目の名称、及び「製造手順」や「検査手順」などといった手順の種類の名称のペアで表される。また、手順書が製造工程ごとに作成される場合、項目には、工程の名称がさらに含まれてもよい。
【0042】
例えば、製造プロセス情報A1が、製品I1の製造工程P1についての製造手順書データであるとする。ここで、製品の製造手順は、製品のロットや個体にかかわらず同じであると言える。そこで、製造プロセス情報A1のダイジェスト値は、製品I1の製品識別情報、及び「手順書、製造手順、工程P1」という組み合わせを表す項目識別情報と対応づけられて、記憶部2300に格納される。
【0043】
その他にも例えば、製造プロセス情報は、製品の製造に関するガイドラインに定められている特定の項目について、製品の製造プロセスがその項目の内容に準拠していることを表す(宣言又は証明などをする)データである。この場合、製造プロセス情報に対応する項目は、例えば、「ガイドライン準拠」などといった項目の名称、対象とするガイドラインの名称、及び当該ガイドライン内の特定の項目の名称の組み合わせで表される。
【0044】
例えば、製造プロセス情報A2が、「製品I1の製造プロセスは、ガイドラインX1に示されている項目Y1に準拠している」ということを表す情報であるとする。この場合、製造プロセス情報A2のダイジェスト値は、製品I1の製品識別情報、及び「ガイドライン準拠、ガイドラインX1、項目Y1」という組み合わせを表す項目識別情報に対応づけて、記憶部2300に格納される。
【0045】
その他にも例えば、製品の製造プロセス情報は、実際に行われた製品の製造について、その製造過程で行われた種々の作業の記録を表すデータである。種々の記録には、例えば、製造記録、検査記録、又は監査記録などがある。
【0046】
製造プロセス情報が製造の記録を表すデータである場合、例えば製造プロセス情報は、製造工程ごとに、その工程における製造の記録を表す。この製造プロセス情報に対応する項目は、例えば、製造過程の記録であることを表す「製造記録」などといった項目名と、該当する製造工程の名称とのペアで表される。
【0047】
ここで、製品I1がロット単位で製造される場合、この製品の製造の記録は、ロットごとに行われうる。そこでこの場合、製品識別情報として、製品とロットのペアを特定可能な識別情報が利用される。例えば製品の識別に型式番号が利用され、ロットの識別にロット番号が利用されるとする。この場合、製品識別情報として、「型式番号、ロット番号」のペアが利用される。なお、ここでいう「番号」は数値列に限定されず、任意の文字(数字、アルファベット、又は記号など)の列とすることができる。
【0048】
例えば、製造プロセス情報A3が、製品I1のロットL1について、製造工程P1についての製造記録を表すとする。この場合、製造プロセス情報A3のダイジェスト値は、「製品I1の型式番号、ロットL1のロット番号」のペアを表す製品識別情報、及び「製造記録、工程P1」というペアを表す項目識別情報に対応づけて、記憶部2300に格納される。
【0049】
なお、製品の製造の記録は、個体ごとに行われてもよい。例えば、製造プロセス情報A4が、製品I1のロットL1に含まれる個体B1について、製造工程P1についての製造記録を表すとする。この場合、製造プロセス情報A4のダイジェスト値は、「製品I1の型式番号、ロットL1のロット番号、個体B1の個体番号」という組み合わせを表す製品識別情報、及び「製造記録、工程P1」というペアで表される項目識別情報に対応づけて、記憶部2300に格納される。ここで、個体番号は、個体の識別情報である。ただし、製品I1がロット単位で製造されない場合、ロット番号は用いられない。
【0050】
製造プロセス情報が検査の記録を表すデータであるとする。製品の製造過程では、製造工程ごとに、受入検査、工程検査、及び完成検査などといった複数種類の検査が行われうる。そこで例えば、検査記録を表す製造プロセス情報に対応づける項目識別情報には、「検査記録」という項目名、製造工程の名称、及び検査の名称という組み合わせが用いられる。
【0051】
例えば、製造プロセス情報A5が、製品I1のロットL1について、製造工程P1についての工程検査の記録を表すとする。この場合、製造プロセス情報A5のダイジェスト値は、「製品I1の型式番号、ロットL1のロット番号」というペアで表される製品識別情報、及び「検査記録、工程P1、工程検査」という組み合わせで表される項目識別情報に対応づけて、記憶部2300に格納される。なお、製造記録と同様に、検査記録が個体ごとに行われる場合には、記憶部2300に格納される情報に、個体番号がさらに追加される。
【0052】
製造プロセス情報が監査の記録を表すデータであるとする。監査には、例えば、製品が製造手順書に沿って製造されているか否かを検証する監査や、製品の製造がガイドラインの各項目に沿って行われているか否かを検証する監査などがありうる。この場合、製造プロセス情報に対応する項目は、例えば、監査記録であることを表す「監査記録」などといった項目名と、監査の種類の名称のペアなどで表される。また、監査が製品全体を単位として行われる場合には、製品識別情報に製品の型式番号が利用され、監査がロット単位で行われる場合には、「型式番号、ロット番号」のペアで表される製品識別情報が利用され、監査が個体単位で行われる場合には、「型式番号、ロット番号、個体番号」の組み合わせで表される製品識別情報が利用される。
【0053】
<登録装置2100の機能に関する詳細>
以下、まずは、登録装置2100によって実行される処理の流れを示すフローチャートを参照しながら、登録装置2100の機能について詳細に説明する。
【0054】
<<処理の流れ>>
図4は、実施形態1の登録装置2100によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。取得部2120は、登録対象の製品の製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報を取得する(S102)。格納部2140は、製造プロセス情報のダイジェスト値を算出する(S104)。格納部2140は、製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報のダイジェスト値を対応づけて、記憶部2300に格納する(S106)。
【0055】
<<情報の取得:S102>>
取得部2120は、登録対象の製品の製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報を取得する(S102)。これらの情報は、例えば、任意の方法で行われたユーザ入力の結果として取得される。例えば取得部2120は、これらの情報を指定するためのインタフェースをユーザに提供し、当該インタフェースに対する入力操作に応じて、これらの情報を取得する。
【0056】
図5は、登録装置2100を利用して登録する情報を指定する画面を例示する図である。図5の指定画面100は、登録する情報を指定するためのインタフェースとして、エリア102、エリア104、及びエリア106を有する。
【0057】
エリア102は、製品識別情報を指定するためのエリアである。エリア102は、型式番号を入力するためのサブエリア107、ロット番号を入力するためのサブエリア108、及び個体番号を入力するためのサブエリア110を有する。
【0058】
エリア104は、項目識別情報を指定するためのエリアである。ここで、前述した「製造記録、工程P1」や「検査記録、行程P1、工程検査」などのように、項目識別情報は、項目の種類によって深さが異なる階層構造で表されうる。そこで例えば、エリア104では、このような複数の階層で表される項目識別情報を指定できるようにすることが好適である。
【0059】
例えば図5において、エリア104は、サブエリア112、サブエリア114、及びサブエリア116を有する。サブエリア112は、項目識別情報の最上位の階層の値を指定するためのエリアである。サブエリア114は、項目識別情報の第2の階層の値を指定するためのエリアである。サブエリア116は、項目識別情報の第3の階層の値を指定するためのエリアである。例えば、「検査記録、工程検査、工程P1」という組み合わせで表される項目識別情報を指定画面100で指定するとする。この場合、サブエリア112に「検査記録」が入力され、サブエリア114に「工程検査」が入力され、サブエリア116に「工程P1」が入力される。
【0060】
ここで、指定可能な項目の種類やその階層構造については、予め定められていることが好適である。そこで例えば、登録装置2100からアクセス可能な記憶部(例えば記憶部2300)に、項目の階層構造を表す情報(以下、項目階層情報)を予め格納しておく。取得部2120は、項目階層情報を利用して、サブエリア112、114、及び116に対し、選択可能な項目を設定する。
【0061】
具体的には、取得部2120は、サブエリア112で選択可能な項目として、項目の階層構造において最上位の階層に位置する各項目を設定する。また、取得部2120は、サブエリア114で選択可能な項目として、項目の階層構造において、サブエリア112で選択された項目の直下に位置する各項目を設定する。さらに、取得部2120は、サブエリア116で選択可能な項目として、項目の階層構造において、サブエリア114で選択された項目の直下に位置する各項目を設定する。
【0062】
なお、指定可能な項目の種類やその階層構造は、製品ごとに異なりうる。この場合、登録装置2100からアクセス可能な記憶部に、項目階層情報を製品ごとに格納しておく。例えば、項目階層情報は、対応する製品の型式番号と対応づけて格納される。この場合、取得部2120は、サブエリア107で指定された型式番号に対応する項目階層情報を取得して、選択可能な項目の設定を行う。
【0063】
エリア106は、製造プロセス情報を指定するためのエリアである。例えばエリア106では、指定画面100が表示されているコンピュータからアクセス可能な記憶部に格納されているファイルを指定できるようにする。例えばここで指定されたファイルが、製造プロセス情報を表すデータとして扱われる。
【0064】
ユーザは、エリア102、104、及び106に対して入力を行った後、ボタン118を押す。その結果、エリア102で指定された製品識別情報、エリア104で指定された項目識別情報、及びエリア106で指定された製造プロセス情報が、登録装置2100に対して送信される。取得部2120は、このようにして送信された製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報を取得する。
【0065】
ここで、項目の階層構造は、管理システム2000の運用中に変更可能であってもよい。この変更は、例えば、項目階層情報の内容を変更することによって実現することができる。
【0066】
なお、製造プロセス情報を取得する方法は、ユーザ入力を介する方法に限定されない。例えば製造プロセス情報は、製造プロセス情報を管理している別のシステムから自動的に提供されてもよい。例えば、各ベンダが運用している任意のコンピュータ(以下、収集装置)が、自身の製品に関する製造プロセス情報を定期的に収集する。各ベンダの収集装置は、例えば、そのベンダの工場の生産管理システムから、まだ管理システム2000に提供していない「製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報」の組み合わせを1つ以上取得する。収集装置は、収集した「製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報」の各組み合わせを登録装置2100へ送信する。取得部2120は、このようにして提供された情報を取得する。このような流れにより、各ベンダの個々の生産管理システムで管理されている製造プロセス情報が、管理システム2000で共有されるようになる。
【0067】
<<ダイジェスト値の算出:S104>>
格納部2140は、取得部2120によって取得された製造プロセス情報のダイジェスト値を算出する。ここで、ダイジェスト値を算出するためのアルゴリズム(例えば、ハッシュ関数)には、任意のものを利用することができる。なお、格納部2140は、製造プロセス情報のみのダイジェスト値を算出する代わりに、製造プロセス情報に対して製品識別情報、項目識別情報、及び後述する付加情報などを付加して得られるデータのダイジェスト値を算出してもよい。
【0068】
なお、ここで算出されたダイジェスト値には、タイムスタンプが付与されてもよい。タイムスタンプには、任意のデバイスから得られる日時情報を利用することができる。なお、日時情報を得るためのデバイスは、登録装置2100の内部に設けられているもの(登録装置2100を実現するコンピュータ1000に設けられている時計など)であってもよいし、登録装置2100の外部に設けられているもの(GPS(Global Positioning System)衛星など)であってもよい。
【0069】
例えば格納部2140は、製造プロセス情報に対してタイムスタンプを付加したデータ(以下、タイムスタンプ付き製造プロセス情報)を生成し、当該タイムスタンプ付き製造プロセス情報のダイジェスト値を算出する。そして、このダイジェスト値を、記憶部2300に格納するダイジェスト値として用いる。すなわち、後述する説明における「算出した製造プロセス情報のダイジェスト値」として、タイムスタンプ付き製造プロセス情報のダイジェスト値を利用する。
【0070】
その他にも例えば、格納部2140は、製造プロセス情報のダイジェスト値に対してタイムスタンプを付加したデータ(以下、タイムスタンプ付きダイジェスト値)を生成し、当該タイムスタンプ付きダイジェスト値のダイジェスト値を算出してもよい。この場合、記憶部2300には、タイムスタンプ付きダイジェスト値と、タイムスタンプ付きダイジェスト値のダイジェスト値の双方が格納されるようにする。
【0071】
<<製造プロセス情報の登録:S106>>
格納部2140は、算出した製造プロセス情報のダイジェスト値を、取得部2120によって取得された製品識別情報及び項目識別情報に対応づけて、記憶部2300に格納する(S106)。前述したように、記憶部2300に格納される「製品識別情報、項目識別情報、製造プロセス情報のダイジェスト値」という対応付けを表す情報を、登録情報と呼ぶ。
【0072】
図6は、登録情報をテーブル形式で例示する図である。登録情報200は、製品識別情報210、項目識別情報220、及びダイジェスト値230という3つの列を有する。登録情報200の各レコードは、製品識別情報、項目識別情報、及び製造プロセス情報の対応付けを表す。
【0073】
製品識別情報210は、型式番号212、ロット番号214、及び個体番号216という3つの要素で構成される。ただし、取得部2120によって取得された製品識別情報に、ロット番号や個体番号が含まれない場合、ロット番号214や個体番号216にはデータが格納されなくてもよい。
【0074】
項目識別情報220は、第1項目222、第2項目224、及び第3項目226という3つの要素で構成される。第1項目222は、項目の階層構造における最上位の階層に位置する項目についての識別情報(項目の名称や、その名称と対応づけられている識別番号など)を表す。第2項目224は、項目の階層構造における第2の階層に位置する項目についての識別情報を表す。第3項目226は、項目の階層構造における第3の階層に位置する項目についての識別情報を表す。ただし、取得部2120によって取得された項目識別情報に、第2の階層や第3の階層の識別情報が含まれない場合、第2項目224や第3項目226にはデータが格納されなくてもよい。
【0075】
ここで、記憶部2300には、製造プロセス情報そのものがさらに格納されてもよい。この場合、登録情報に、製造プロセス情報がさらに含まれるようにする。ただし、製造プロセス情報の登録は必須としないことが好ましい。
【0076】
さらに、登録情報は、製品識別情報、項目識別情報、製造プロセス情報のダイジェスト値、及び製造プロセス情報そのものに加え、それ以外の情報(以下、付加情報)をさらに含んでもよい。なお、付加情報は、製造プロセス情報と共に取得部2120によって取得される。
【0077】
例えば付加情報は、製造プロセス情報に関連する日時情報を含む。日時情報は、予め製造プロセス情報に対応づけられている情報である。例えば日時情報は、製造プロセス情報の作成日時を表す。その他にも例えば、製造プロセス情報が何らかの作業(製造、検査、又は監査など)の記録を表す場合、日時情報は、その作業の日時を表していてもよい。なお、前述したタイムスタンプは、登録装置2100によって処理が行われた日時を表すという点で、付加情報に含まれる日時情報とは異なる。
【0078】
その他にも例えば、付加情報は、製造プロセス情報に関連する人物情報を含む。人物情報は、例えば、製造プロセス情報の作成者の情報(氏名や識別番号など)を示す。その他にも例えば、製造プロセス情報が何らかの作業の記録を表す場合、人物情報は、その作業の実施者の情報(氏名や識別番号など)を示してもよい。なお、氏名や識別番号などの情報に加え、又はこれに代えて、デジタル署名が用いられてもよい。
【0079】
その他にも例えば、付加情報は、作業に利用したリソース(例えば、部品、製造ライン、又は作業機器など)の情報や、作業の成果物などの情報を含んでもよい。
【0080】
<参照装置2200の機能に関する詳細>
次に、参照装置2200によって実行される処理の流れを示すフローチャートを参照しながら、参照装置2200の機能について詳細に説明する。
【0081】
<<処理の流れ>>
図7は、実施形態1の参照装置2200によって実行される処理の流れを例示するフローチャートである。取得部2220は、参照対象の製品の製品識別情報を取得する(S202)。出力部2240は、1つ以上の項目識別情報について、取得した製品識別情報とその項目識別情報に対応づけられている製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されているか否かを把握可能な参照情報を生成する(S204)。出力部2240は、生成した参照情報を出力する(S206)。
【0082】
<<情報の取得:S202>>
取得部2220は、参照対象の製品の製品識別情報を取得する(S202)。この取得は、例えば、任意の方法で行われたユーザ入力の結果として行われる。例えば取得部2220は、製品識別情報を指定するためのインタフェースをユーザに提供する。例えばこのインタフェースには、図5の指定画面100に含まれるエリア102と同様のものを利用することができる。取得部2220は、このようなインタフェースに対する入力操作に応じて、参照対象の製品の製品識別情報を取得する。
【0083】
取得部2220は、参照対象の項目の項目識別情報をさらに取得してもよい。この場合、例えば取得部2220は、項目識別情報を指定するためのインタフェースをユーザに提供する。例えばこのインタフェースには、図5の指定画面100に含まれるエリア104と同様のものを利用することができる。取得部2220は、このようなインタフェースに対する入力操作に応じて、参照対象の項目の項目識別情報を取得する。
【0084】
ここで、項目の階層構造における上位の層の項目を指定することにより、その項目の配下にある各項目を一括して参照対象として指定できるようにしてもよい。例えば図5に例示したように、項目の階層構造が3層で構成されているとする。この場合、例えば、最上位の層の項目を指定することで、指定した項目の配下にある第2層及び第3層の項目を全て指定することができる。例えば、最上位の層で「検査記録」を指定することで、検査の種類と工程の種類の全ての組み合わせが指定される。すなわち、参照対象の製品に関し、全ての検査記録についての参照情報を得ることができる。
【0085】
同様に、第層と第2層が指定された場合、指定された第2層の項目の配下にある第3層の項目が全て指定することができる。例えば、「第1層の項目=検査記録、第2層の項目=工程検査」と指定することで、全ての工程が指定される。すなわち、参照対象の製品に関し、工程検査の記録についての参照情報を、全ての工程について得ることができる。
【0086】
<<参照情報の生成:S204>>
出力部2240は、1つ以上の項目識別情報について、その項目識別情報と、参照対象の製品の製品識別情報とに対応づけられた製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されているか否かを特定可能な参照情報を生成する。
【0087】
例えば出力部2240は、全ての項目識別情報それぞれについて、その項目識別情報及び参照対象の製品の製品識別情報に対応づけて、製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されているか否かを判定する。こうすることで、全ての項目それぞれについて、その項目についての製造プロセス情報が存在しているか否かを把握することができる。
【0088】
具体的には、出力部2240は、記憶部2300にアクセスし、各項目について、「参照対象の製品の製品識別情報、その項目の項目識別情報」というペアを示す登録情報が記憶部2300に格納されているか否かを判定する。当該ペアを示す登録情報が記憶部2300に格納されている場合、当該ペアに対応する製造プロセス情報のダイジェスト値は、記憶部2300に格納されている。一方、当該ペアを示す登録情報が記憶部2300に格納されていない場合、当該ペアに対応する製造プロセス情報のダイジェスト値は、記憶部2300に格納されていない。出力部2240は、上記判定の結果を表す参照情報を生成する。
【0089】
ここで、指定可能な項目の種類は、製品ごとに異なりうる。そこで前述した項目階層情報を製品ごとに用意しておき、参照装置2200からアクセス可能な記憶部(例えば記憶部2300)に格納しておく。出力部2240は、参照対象の製品の製品識別情報を利用して、参照対象の製品に対応する項目階層情報を取得する。そして、出力部2240は、項目階層情報を利用して特定される全ての項目識別情報それぞれについて、参照情報を生成する。
【0090】
その他にも例えば、管理システム2000は、参照対象の製品に加え、参照対象の項目の指定を受け付けてもよい。このようにすることで、参照対象の製品に関し、特定の項目について、その項目についての製造プロセス情報が存在するか否かを把握することができる。なお、参照対象の項目を指定する方法については、前述した通りである。
【0091】
この場合、出力部2240は、「参照対象の製品の製品識別情報、参照対象の項目の項目識別情報」というペアを示す登録情報が記憶部2300に格納されているか否かを判定することで、当該ペアに対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されているか否かを判定する。そして、出力部2240は、その判定結果を表す参照情報を生成する。
【0092】
なお、前述したように、項目の階層構造における上位の層を指定することにより、その配下にある各項目を一括して指定できるようにしてもよい。この場合、出力部2240は、このようにして指定された複数の項目それぞれについて、「参照対象の製品の製品識別情報、その項目の項目識別情報」に対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されているか否かを判定する。
【0093】
図8は、参照情報を例示する図である。図8に示す参照情報300は、参照対象の製品の製品識別情報に対して、製造プロセス情報のダイジェスト値を項目ごとに示すテーブルが対応づけられた情報である。参照対象の製品の製品識別情報は、製品識別情報310に示されている。参照対象の各項目の項目識別情報は、項目識別情報320に示されている。また、項目ごとの製造プロセス情報のダイジェスト値は、ダイジェスト値330に示されている。
【0094】
ここで、対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されていない「製品識別情報、項目識別情報」のペアについては、対応するダイジェスト値330にデータが示されていない。このように構成される参照情報を利用すれば、ダイジェスト値330にデータが示されているか否かに基づいて、対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されているか否かを把握することができる。
【0095】
例えば図8では、「型式番号I1、ロット番号L1」のペアで表される製品識別情報、及び「検査記録、工程P1、受入検査」とう組み合わせで表される項目識別情報に対応するダイジェスト値330には、データが示されている。そのため、製品I1のロットL1については、工程P1における受入検査の記録を表す製造プロセス情報が存在することが分かる。工程検査についても同様である。
【0096】
一方、「検査記録、工程P1、完成検査」とう組み合わせで表される項目識別情報に対応するダイジェスト値330には、データが示されていない。そのため、製品I1のロットL1については、工程P1における完成検査の記録を表す製造プロセス情報が存在しないことが分かる。
【0097】
<<参照情報の出力:S206>>
出力部2240は、生成した参照情報を出力する(S206)。例えば参照情報は、参照装置2200のユーザが利用するコンピュータ(PC や携帯端末など)に対して任意の方法で送信される。例えば参照装置2200のユーザは、参照装置2200に対し、参照情報の送信を要求するリクエストを送信する。当該リクエストには、参照対象の製品の製品識別情報が含まれる。また、参照対象の項目も指定される場合、当該項目の項目識別情報も、上記リクエストに含まれる。参照装置2200は、上記リクエストに対するレスポンスとして、参照情報を送信する。
【0098】
出力部2240が参照情報を出力する方法は、他の装置へ送信する方法に限定されず、任意の方法とすることができる。例えば出力部2240は、参照装置2200からアクセス可能なディスプレイ装置に参照情報を表示させたり、参照装置2200からアクセス可能な記憶部に参照情報を格納してもよい。
【0099】
<管理システム2000が利用されるシチュエーションの具体例>
ここでは、管理システム2000のより具体的なユースケースについて例示する。図9は、管理システム2000のユースケースを例示する図である。この例において、管理システム2000は、協力関係にある複数のベンダ10の間で、製品の品質(安全性や信頼性など)を保証するための情報を共有するための情報共有基盤として利用される。これらのベンダ10によって製造された製品の利用を検討している、又は、既にその製品を利用している顧客20は、当該情報共有基盤を利用することで、製品の品質を確認することができる。
【0100】
例えば顧客20が、他の企業などへシステムの提供を行う企業であるとする。この場合、顧客20は、提供先の企業などから、システムに採用する製品(機器など)について、満たすべき調達基準を提示されることがある。この場合、顧客20は、システムに採用する製品を選択するにあたり、各製品が調達基準を満たしているか否かを判断する必要がある。そこで顧客20は、管理システム2000を利用して各製品の品質を確認することにより、各製品が調達基準を満たしているか否かを判断する。
【0101】
例えば製品の品質の確認は、各種の製造プロセス情報が存在すること(製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されていること)を確認することによって行うことができる。例えば、製品の製造における各工程について、検査記録を表す製造プロセス情報が存在していれば、製品が製造時に正しく検査されていることを把握することができる。
【0102】
そこでベンダ10は、管理システム2000に、自社の製品についての種々の製造プロセス情報のダイジェスト値の登録を行う。例えば登録装置2100は、ベンダ10で利用されているコンピュータからアクセス可能な Web サイトを提供するサーバとして機能する。当該 Web サイトは、製造プロセス情報のダイジェスト値を登録するためのインタフェースとしての役割を持つ。ベンダ10の作業者は、当該 Web サイトを利用することで、登録作業を行う。例えばこの Web サイトは、図5の指定画面100などのようなインタフェースを提供する。
【0103】
ここで、管理システム2000において、記憶部2300に格納されたデータの改ざんを防ぐ仕組みを設けることが好適である。そこで例えば、格納されたデータの改ざんが困難なように、記憶部2300を構成することが好ましい。その方法の一つとしては、例えば、ブロックチェーン技術を利用したストレージで記憶部2300を実現するという方法がある。言い換えれば、ブロックチェーン上にデータが格納されるように、記憶部2300を構成する。
【0104】
ブロックチェーンを構成するノードには、各ベンダ10によって保有・運用されているコンピュータを利用することが好適である。このようにすることで、記憶部2300に格納されるデータが、複数のベンダ10によって管理されていることとなり、データの改ざん耐性を高めることができる。
【0105】
顧客20は、参照装置2200を利用して、製品の品質に関する所望の情報を閲覧する。例えば参照装置2200は、顧客20が利用するコンピュータからアクセス可能な Web サイトを提供するサーバとして機能する。当該 Web サイトは、記憶部2300に格納されている情報を閲覧するためのインタフェースとしての役割を持つ。顧客20は、任意のコンピュータを利用してこの Web サイトにアクセスすることにより、所望の情報を閲覧する。顧客20が閲覧する情報は、例えば、前述した参照情報である。
【0106】
以下、参照情報を閲覧する方法の具体例として、参照装置2200によって提供される Web サイトの画面をいくつか例示する。図10は、参照装置2200から提供される画面を例示する第1の図である。図10の参照画面400では、任意の製品及び項目についての参照情報を得ることができる。言い換えれば、任意の製品及び項目の組み合わせについて、対応する製造プロセス情報の有無を確認することができる。
【0107】
参照画面400は、参照対象の製品を指定するためのエリア410、参照対象の項目を指定するためのエリア420、参照情報の取得を要求するための検索ボタン430、及び参照情報を表示するためのエリア440を有する。
【0108】
顧客20は、エリア410及びエリア420に対して入力を行うことで参照対象の製品及び項目を指定する。その後、顧客20は、検索ボタン430を押す。その結果、参照対象の製品の識別情報及び参照対象の項目の項目識別情報を含むリクエストが、参照装置2200に対して送信される。取得部2220は、このようにして送信された情報を取得する。出力部2240は、取得した情報を利用して参照情報を生成し、生成した参照情報をエリア440に表示させる。
【0109】
エリア440に表示された参照情報は、第1項目442、第2項目444、第3項目446、及び製造プロセス情報448という4つの要素で構成される。参照情報は、第1項目442、第2項目444、及び第3項目446の組み合わせで特定される項目ごとに、入手ボタン450又は「なし」という文字列を製造プロセス情報448に含む。
【0110】
対応する製造プロセス情報448に入手ボタン450が表示されている項目については、対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されている。顧客20は、入手ボタン450を押すことにより、製造プロセス情報のダイジェスト値をダウンロードすることができる。一方、対応する製造プロセス情報448に「なし」という文字列が表示されている項目については、対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が、記憶部2300に格納されていない。
【0111】
ここで、製造プロセス情報のダイジェスト値から製造プロセス情報そのものを得るためのアルゴリズムが、顧客20に公開されていてもよい。この場合、顧客20は、ダウンロードした製造プロセス情報のダイジェスト値から、製造プロセス情報を得ることができる。
【0112】
また、前述したタイムスタンプをダイジェスト値に含めておくことにより、製造プロセス情報の真正性(改ざんされていないこと)の確認ができるようにしてもよい。具体的には、顧客20は、ダウンロードしたダイジェスト値を元のデータに変換することで、タイムスタンプを得る。例えば顧客20がダウンロードしたデータが、タイムスタンプ付き製造プロセス情報のダイジェスト値であるとする。この場合、当該ダイジェスト値から、タイムスタンプ付き製造プロセス情報が得られる。顧客20は、このタイムスタンプが示す日時が妥当であるか否かを判断することで、製造プロセス情報の真正性を確認できる。
【0113】
例えば、ある工程についての製造プロセス情報に付加されているタイムスタンプは、その次の工程の作業日時よりも前の日時を示しているべきである。そのため、ある工程についての製造プロセス情報に付加されているタイムスタンプが、その次の工程の作業日時以降の日時を示していたら、当該製造プロセス情報は改ざんされている蓋然性が高い。顧客20は、例えばこのように、製造プロセス情報に付加されたタイムスタンプを、その製造プロセス情報に関連する工程の作業日時などと比較することで、製造プロセス情報の真正性を確認する。
【0114】
なお、入手ボタン450を押すことで入手可能な情報は、製造プロセス情報のダイジェスト値に限定されない。例えば、入手ボタン450を押すことにより、製造プロセス情報そのものがダウンロードできるようにしてもよい。この場合、登録装置2100は、製造プロセス情報も記憶部2300に格納するように構成されている。ただし、前述したように、製造プロセス情報そのものの登録は、必須としないことが好ましい。そのため、記憶部2300には、製造プロセス情報そのものを含む登録情報と、製造プロセス情報そのものは含まない登録情報とが混在しうる。
【0115】
なお、製造プロセス情報を得るためには、個別のベンダ10の許可が必要な構成にしてもよい。例えば、製造プロセス情報やそのダイジェスト値を記憶部2300から直接得られないようにし、各ベンダ10が自社のサーバ等で製造プロセス情報を保管するようにしてもよい。この場合、製造プロセス情報を得たい顧客20は、個別にベンダ10に対して、製造プロセス情報の提供を依頼する。例えば前述した入手ボタン450を押すことにより、ベンダ10に対して製造プロセス情報の提供を求めるリクエストフォームが開くようにしてもよい。このようにすることで、顧客20は、ベンダ10に対し、製造プロセス情報の公開を容易に要求することができる。その他にも例えば、記憶部2300から製造プロセス情報のダイジェスト値を得ることはできるものの、当該ダイジェスト値から製造プロセス情報そのものを得るためのアルゴリズムを非公開としてもよい。この場合も、顧客20は、ベンダ10に対して依頼を行うことで、製造プロセス情報を取得する。
【0116】
ここで、製造プロセス情報に基づいて、顧客20が要求する調達基準が満たされているか否かを管理システム2000で判定し、その判定結果が顧客20に提供されるようにしてもよい。例えば顧客20は、参照対象の製品の製品識別情報などと共に、調達基準を表す基準情報を参照装置2200へ提供する。参照装置2200は、記憶部2300から製造プロセス情報を取得し、製造プロセス情報の内容が、基準情報に示されている調達基準を満たしているか否かを判定する。そして、参照装置2200は、その判定の結果を表す情報を出力する。
【0117】
基準情報は、参照装置2200から参照可能な記憶装置に予め格納されていてもよい。この場合、顧客20は、参照装置2200に対し、参照対象の製品の製品識別情報などと共に、自身の識別情報を提供する。参照装置2200は、取得した顧客20の識別情報に対応する基準情報を取得し、その基準情報を用いて、製造プロセス情報が調達基準を満たしているか否かを判定する。
【0118】
なお、調達基準についての判定処理は、参照装置2200ではなく記憶部2300によって行われてもよい。例えば記憶部2300がブロックチェーンで実現されている場合、製造プロセス情報が調達基準を満たすか否かを判定する処理を、当該ブロックチェーン上で動作するプログラム(スマートコントラクト)として実現しておく。調達基準を満たすか否かの判定がブロックチェーン上で行われるようにすることで、判定結果の偽造を難しくすることができる。
【0119】
このように、調達基準が満たされているか否かの判定の結果が参照装置2200によって出力される場合においても、製造プロセス情報そのものの参照方法については、前述した種々の方法を採用できる。具体的には、1)記憶部2300から製造プロセス情報のダイジェスト値を取得し、そのダイジェスト値から元の製造プロセス情報を得る方法、2)記憶部2300から製造プロセス情報そのものを取得する方法、3)各ベンダ10によって保管されている製造プロセス情報を、ベンダ10の許可を得て取得する方法、などである。
【0120】
参照情報を閲覧するための画面は、把握したい情報の種類ごとに用意されてもよい。その一つの例として、製造プロセスの各作業が正常に完了したことを確認するための画面を例示する。図11は、参照装置2200から提供される画面を例示する第2の図である。図11の画面500は、検索条件を指定するエリア510、検索ボタン530、及び参照情報を表示するエリア520を有する。
【0121】
エリア510では、日付範囲の開始日と終了日、製品の型式番号、工程、作業種別、工程成果物番号、及び担当者をそれぞれ指定することができる。検索ボタン530が押されると、参照装置2200は、エリア510で指定された条件で登録情報の検索を行い、その結果を表す参照情報を生成する。エリア520に表示される参照情報は、日付521、工程522、工程成果物523、担当者524、作業種別525、ステータス526、及び記録527という要素で構成される。
【0122】
エリア520に表示されている参照情報において、項目は、工程522の値と作業種別525の値との組み合わせで特定される。また、エリア520に表示されている参照情報において、製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されているか否かは、記録527に示されているデータによって把握することができる。具体的には、対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されている項目については、記録527に入手ボタンが表示されている。一方、対応する製造プロセス情報のダイジェスト値が記憶部2300に格納されていない項目については、記録527に「なし」が表示されている。
【0123】
エリア520に表示された参照情報を閲覧することにより、顧客20は、検索条件にマッチする各作業について、その作業の概要を把握することができる。また、ステータス526を見ることにより、作業が正常に完了したかどうかを把握することができる。さらに、記録527を見ることにより、各作業の記録を表す製造プロセス情報が記憶部2300に格納されているか否かを把握することができる。
【0124】
把握したい情報の種類ごとに用意される画面の別の例として、製品の構成情報と作業履歴を確認するための画面を例示する。図12は、参照装置2200から提供される画面を例示する第3の図である。図12の画面600は、エリア610、620、及び630を有する。エリア610は、参照対象の製品を指定するためのエリアである。図12では、製品Xが指定されている。
【0125】
エリア620は、参照対象の製品の構成情報が表示されるエリアである。より具体的には、エリア620は、製品を製造する工程を時系列で表している。また、エリア620は、各工程について、利用された部品と製造された部品(成果物)を矢印で接続して示すことにより、製品の部品構成を表している。例えば図12の例では、工程 P1-1 において、部品aと部品bから部品eが製造されている。また、工程 P1-2 において、部品cと部品dから部品fが製造されている。そして、工程 P2 において、部品eと部品fから、製品Xが製造されている。これらの情報を見ることで、製品がどのような部品で構成されているのか、及び、各部品がどの製造工程で入手又は製造されているのかを容易に把握することができる。
【0126】
さらに、エリア620は、各部品又は製品について、マーク622を有する。ユーザは、マーク622を押すことにより、対応する部品又は製品を選択することができる。
【0127】
エリア630には、マーク622を押すことによって選択された部品又は製品についての作業履歴が表示される。例えば図12では、製品Xのマーク622が押されている。そのため、エリア630には、製品Xの作業履歴が表示されている。ここで、エリア630に表示される作業履歴は、参照情報としての役割を持つ。
【0128】
具体的には、エリア630に表示される作業履歴は、選択された部品又は製品について、当該製品を製造する工程(例えば図12では、工程 P2)で行われた製造作業及び検査の記録が表示される。ここで、製造プロセス情報のダイジェスト値の有無は、「記録」の部分に入手ボタンと「なし」という文字列のどちらが示されているかで把握することができる。
【0129】
画面600を利用することにより、顧客20は、参照対象の製品について、その製品の構成を製造工程の時系列と共に把握することできる。また、顧客20は、参照対象の製品自体又はその部品について行われた作業の履歴を把握することができる。そして、当該作業の履歴を見ることにより、各作業の記録を表す製造プロセス情報が記憶部2300に格納されているか否かを把握することができる。
【0130】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0131】
なお、上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに提供することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスク ROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに提供されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0132】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得部と、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納部と、を有する登録装置。
(付記2)
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、付記1に記載の登録装置。
(付記3)
製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得部と、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力部と、を有する参照装置。
(付記4)
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、付記3に記載の参照装置。
(付記5)
前記出力部は、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる複数の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する、付記3又は4に記載の参照装置。
(付記6)
前記取得部は、参照対象の項目の識別情報をさらに取得し、
前記出力部は、前記取得した参照対象の項目の識別情報について前記参照情報を出力する、付記3又は4に記載の参照装置。
(付記7)
コンピュータによって実行される登録方法であって、
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得ステップと、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納ステップと、を有する登録方法。
(付記8)
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、付記7に記載の登録方法。
(付記9)
コンピュータによって実行される参照方法であって、
前記コンピュータは、製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を有する参照方法。
(付記10)
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、付記9に記載の参照方法。
(付記11)
前記出力ステップにおいて、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる複数の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する、付記9又は10に記載の参照方法。
(付記12)
前記取得ステップにおいて、参照対象の項目の識別情報をさらに取得し、
前記出力ステップにおいて、前記取得した参照対象の項目の識別情報について前記参照情報を出力する、付記9又は10に記載の参照方法。
(付記13)
コンピュータに、
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得ステップと、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納ステップと、を実行させるプログラムを格納しているコンピュータ可読媒体。
(付記14)
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、付記13に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記15)
コンピュータによって実行されるプログラムを格納しているコンピュータ可読媒体であって、
前記コンピュータは、製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報とに対応づけて、その製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうちその項目に関連する前記製造プロセス情報のダイジェスト値が格納されている記憶部と通信可能に接続されており、
前記プログラムは、前記コンピュータに、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を実行させるコンピュータ可読媒体。
(付記16)
前記製造プロセス情報は、製品の製造に関わる作業の手順を定めた手順書のデータ、製品の製造プロセスがガイドラインに準拠していることを表すデータ、又は製品の製造過程で行われた作業の記録を表すデータである、付記15に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記17)
前記出力ステップにおいて、前記参照対象の製品の識別情報に対応付けられうる複数の各項目の識別情報を特定し、前記特定した各項目の識別情報それぞれについての前記参照情報を出力する、付記15又は16に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記18)
前記取得ステップにおいて、参照対象の項目の識別情報をさらに取得し、
前記出力ステップにおいて、前記取得した参照対象の項目の識別情報について前記参照情報を出力する、付記15又は16に記載のコンピュータ可読媒体。
(付記19)
登録装置と参照装置を有する管理システムであって、
前記登録装置は、
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得部と、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納部と、を有し、
前記参照装置は、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得部と、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力部と、を有する管理システム。
(付記20)
登録装置と参照装置を有する管理システムによって実行される管理方法であって、
前記登録装置が、
登録対象の製品の識別情報と、製造プロセスに関連する項目の識別情報と、前記製品の製造プロセスに関連する製造プロセス情報のうち前記項目に関連する前記製造プロセス情報と、を取得する取得ステップと、
前記取得した製造プロセス情報のダイジェスト値を算出し、前記算出したダイジェスト値を、前記取得した製品の識別情報及び項目の識別情報と対応づけて記憶部に格納する格納ステップと、を実行し、
前記参照装置が、
参照対象の製品の識別情報を取得する取得ステップと、
1つ以上の前記項目について、前記製造プロセス情報のダイジェスト値が、その項目の識別情報と前記参照対象の製品の識別情報とに対応づけて、前記記憶部に格納されているか否かを特定可能な参照情報を出力する出力ステップと、を実行する管理方法。
【符号の説明】
【0133】
10 ベンダ
20 顧客
100 指定画面
102 エリア
104 エリア
106 エリア
108 サブエリア
110 サブエリア
112 サブエリア
114 サブエリア
116 サブエリア
118 ボタン
200 登録情報
210 製品識別情報
212 型式番号
214 ロット番号
216 個体番号
220 項目識別情報
222 第1項目
224 第2項目
226 第3項目
230 ダイジェスト値
300 参照情報
310 製品識別情報
320 項目識別情報
330 ダイジェスト値
400 参照画面
410 エリア
420 エリア
430 検索ボタン
440 エリア
442 第1項目
444 第2項目
446 第3項目
448 製造プロセス情報
450 入手ボタン
500 画面
510 エリア
520 エリア
521 日付
522 工程
523 工程成果物
524 担当者
525 作業種別
526 ステータス
527 記録
530 検索ボタン
600 画面
610 エリア
620 エリア
622 マーク
630 エリア
640 エリア
1000 コンピュータ
1020 バス
1040 プロセッサ
1060 メモリ
1080 ストレージデバイス
1100 入出力インタフェース
1120 ネットワークインタフェース
2000 管理システム
2100 登録装置
2120 取得部
2140 格納部
2200 参照装置
2220 取得部
2240 出力部
2300 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12