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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】アクセスポイント、端末、及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20241210BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241210BHJP
   H04W 72/04 20230101ALI20241210BHJP
   H04W 72/1268 20230101ALI20241210BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W84/12
H04W72/04
H04W72/1268
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023000674
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2021009975の分割
【原出願日】2017-01-05
(65)【公開番号】P2023026631
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2016048277
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ラナンテ レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】長尾 勇平
(72)【発明者】
【氏名】尾知 博
【審査官】三枝 保裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/179474(WO,A1)
【文献】Chittabrata Ghosh,Random Access with Trigger Frames using OFDMA,IEEE 802.11-15/0875r1,2015年07月13日
【文献】Woojin Ahn,Regarding buffer status of UL-STAs in UL-OFDMA,IEEE 802.11-15/0881r1,2015年07月14日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN(Local Area Network)において、通信を行うアクセスポイントであって、
アソシエーション前の端末を指定し、前記アソシエーション前の端末に共通する第1の識別子に対応付けられる第1のリソースユニットおよびアソシエーション後の端末に関連する第2の識別子に対応付けられる第2のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを送信する手段と、
前記第1のリソースユニットを用いて送信されたデータを受信する手段と
を備える、アクセスポイント。
【請求項2】
前記第1の識別子は、前記第2の識別子と異なる
請求項1に記載のアクセスポイント。
【請求項3】
前記第1の識別子は、前記アソシエーション前の端末にのみ関連する
請求項1または2に記載のアクセスポイント。
【請求項4】
前記通信は、アップリンク・マルチユーザ通信を含む
請求項1から3のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
【請求項5】
前記第1の識別子は、リソースユニットがランダムアクセス可能であることを示す第3の識別子とは異なる
請求項1から4のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
【請求項6】
前記第2の識別子は、前記第3の識別子と異なる
請求項5に記載のアクセスポイント。
【請求項7】
前記第2のリソースユニットを用いて送信されたデータを受信する手段
を備える請求項1から6のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
【請求項8】
前記第2の識別子は、前記アソシエーション後の端末を指定する
請求項1から7のいずれか1項に記載のアクセスポイント。
【請求項9】
無線LAN(Local Area Network)において、アクセスポイントと通信を行う端末であって、
前記アクセスポイントから、アソシエーション前の端末を指定し、前記アソシエーション前の端末に共通する第1の識別子に対応付けられる第1のリソースユニットおよびアソシエーション後の端末に関連する第2の識別子に対応付けられる第2のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを受信する手段と、
前記第1のリソースユニットを用いて前記アクセスポイントにデータを送信する手段と
を備える、端末。
【請求項10】
前記第1の識別子は、前記第2の識別子と異なる
請求項9に記載の端末。
【請求項11】
前記第1の識別子は、前記アソシエーション前の端末にのみ関連する
請求項9または10に記載の端末。
【請求項12】
前記アクセスポイントと通信を行う端末は、アップリンク・マルチユーザ通信を行うように構成されている前記アクセスポイントと通信する
請求項9から11のいずれか1項に記載の端末。
【請求項13】
前記アクセスポイントと通信を行う端末は、前記アソシエーション前の端末である
請求項9から12のいずれか1項に記載の端末。
【請求項14】
前記アクセスポイントと通信を行う端末は、前記アソシエーション前の端末に含まれる
請求項9から12のいずれか1項に記載の端末。
【請求項15】
前記第1の識別子は、リソースユニットがランダムアクセス可能であることを示す第3の識別子とは異なる
請求項9から14のいずれか1項に記載の端末。
【請求項16】
前記第2の識別子は、前記第3の識別子と異なる
請求項15に記載の端末。
【請求項17】
前記第2の識別子は、前記アソシエーション後の端末を指定する
請求項9から16のいずれか1項に記載の端末。
【請求項18】
無線LAN(Local Area Network)において、通信を行うアクセスポイントの方法であって、
アソシエーション前の端末を指定し、前記アソシエーション前の端末に共通する第1の識別子に対応付けられる第1のリソースユニットおよびアソシエーション後の端末に関連する第2の識別子に対応付けられる第2のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを送信し、
前記第1のリソースユニットを用いて送信されたデータを受信する
方法。
【請求項19】
無線LAN(Local Area Network)において、アクセスポイントと通信を行う端末の方法であって、
前記アクセスポイントから、アソシエーション前の端末を指定し、前記アソシエーション前の端末に共通する第1の識別子に対応付けられる第1のリソースユニットおよびアソシエーション後の端末に関連する第2の識別子に対応付けられる第2のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを受信し、
前記第1のリソースユニットを用いて前記アクセスポイントにデータを送信する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線LAN(Local Area Network)システム、無線LAN基地局、無線LAN端末、通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN標準規格 IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers) 802.11において、次世代通信方式802.11ax (HEW:High Efficiency WLAN(Wireless LAN))の検討が、タスクグループTGaxにおいて行われている。次世代通信方式802.11axにおいては、要素技術に関して、新しい変復調方式(1024QAM(Quadrature Amplitude Modulation))の採用、上りのMU-MIMO(Multi User Multi-Input Multi-Output)のサポート、OFDMA(Orthogonal frequency-division multiple access)の導入などが進められる見通しである。
【0003】
図1は、無線LANシステムの基本構成例を示す図である。この無線LANシステムは、アクセスポイント(Access Point)APと、複数の端末STA 1~STA nと、を備えている。以下、どの端末STA 1~STA nであるか特定しない場合は端末STAと称する。なお、図1においては、3台の端末STAを一例として示しているが、端末STAの数は2以上(すなわち、nは2以上)であればよい。アクセスポイントAP及び複数の端末STA 1~STA nにより、BSS(Basic Service Set)と呼ばれるネットワークを構成している。
【0004】
IEEE 802.11の一般的な通信モードであるCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)による通信(DCF:Distributed Coordination Function)では、同じBSS内では同時に1つの端末STAしか上りリンクにおいてアクセスポイントAPと通信することができなかった。IEEE 802.11ax(HEW)で導入する上りOFDMAや、上りMU-MIMOのアップリンク・マルチユーザ(UL MU:Uplink Multi-user)通信では、アクセスポイントAPが、複数の端末STA 1~STA nの集中制御を行い、通信リソースを複数の単位資源(リソースユニット(RU:Resource Unit))に分割し、複数の端末STA 1~STA nにリソースユニットを割り当てる。これにより、複数の端末STA 1~STA nが同時に通信を行うことが可能になる。
【0005】
アップリンク・マルチユーザ通信の手順について、図2を参照して説明する(非特許文献1参照)。
手順1:
端末STAは、アクセスポイントAPに対し、送信待ちの上りデータがあることを示すbuffer status(バッファステータス)を予め通知する。
【0006】
手順2:
アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、リソースユニットRUを割り当てるためのトリガフレーム(Trigger frame)を送信する(時刻t1)。ここでは、4個のリソースユニットRUを通知するものとする。アクセスポイントAPは、4個のリソースユニットRUをそれぞれ別々の端末STAに割り当てる。そのため、アクセスポイントAPは、4個のリソースユニットRUの情報と、それら4個のリソースユニットRUをそれぞれ割り当てる端末STAを指定する端末ID(Identifier)(例えば、AID(Association ID))と、をトリガフレームに含める。端末STAは、自身を指定する端末IDがトリガフレームに含まれていた場合、自身に割り当てられたリソースユニットRUを使用して、上りデータを含むUL MU PPDU(PLCP(Physical Layer Convergence Protocol) Protocol Data Unit)フレームを、アクセスポイントAPに送信する(時刻t2)。ここでは、4台の端末STA 1~STA 4が上りデータをアクセスポイントAPに送信している。
【0007】
手順3:
アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレーム(Acknowledgement frame)を送信する(時刻t3)。
【0008】
しかしながら、図2で説明したアップリンク・マルチユーザ通信では、端末STAが、必ずしも予めアクセスポイントAPにbuffer statusを通知することができないという問題があった。また、端末IDとしてAIDを使用する場合には、アソシエーション前の端末STAは、アップリンク・マルチユーザ通信をすることができないという問題があった(非特許文献2参照)。
【0009】
特に、アソシエーション前の端末STAがアップリンク・マルチユーザ通信をすることができないという問題は非常に大きな問題である。なぜなら、無線LAN通信の輻輳が大きい環境では、Association Request やProbe Requestなど、アソシエーション前の端末STAが送信するマネジメントフレームが占めるトラフィックの割合が大きいためである。
この問題を解決するために、アップリンク・マルチユーザ通信におけるランダムアクセス方式が検討されている(非特許文献3のclause 4.5を参照)。
【0010】
アップリンク・マルチユーザ通信におけるランダムアクセスの手順について、図3を参照して説明する。以下で説明するランダムアクセスの手順は、上りOFDMA及び上りMU-MIMOのアップリンク・マルチユーザ通信の双方に適用可能な手順である。
手順1:
送信待ちの上りデータがある端末STAは、自身のバックオフカウンタに初期値をセットする。初期値には、0からバックオフカウンタの最大カウント値までの範囲内の値がランダムに選択される。
【0011】
手順2:
アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、リソースユニットRUを割り当てるためのランダムアクセス用トリガフレーム(TF-R:Trigger Frame for Random access)を送信する(時刻t1)。ここでは、アクセスポイントAPは、5個のリソースユニットRU 1~RU 5を通知する。また、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 5を、特定の端末STAには割り当てず、ランダムアクセス可能とする。そのため、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 5の情報と、リソースユニットRU 1~RU 5のそれぞれがランダムアクセス可能であることを示す特殊な端末ID(図3の例では、AID 0)と、をランダムアクセス用トリガフレームに含める。バックオフカウンタのカウント値が0でない値を持つ端末STAは、特殊な端末IDが指定されたリソースユニットRU 1~RU 5の数である5個分、所定時間ごとにカウント値をデクリメントする。その結果、カウント値が0となった端末STAは、リソースユニットRUを1つ選択し、選択したリソースユニットRUを使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する(時刻t2)。ここでは、端末STA 2が、リソースユニットRU 1を使用して上りデータを送信し、端末STA 1が、リソースユニットRU 3を使用して上りデータを送信している。
【0012】
手順3:
アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレームを送信する(時刻t3)。もし、端末STA同士で、バックオフカウンタにランダムにセットした初期値が同じになる場合、時刻t2で上りデータの衝突(Collision)が発生する可能性がある。端末STAは、上りデータの衝突などの原因で正しく通信できなかった場合は、そのことをACKフレームによって判断することができる。そのため、正しく通信できなかった端末STAは、手順1に戻り、バックオフカウンタにランダムな初期値を再度セットして、上りデータの再送機会を待つ。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】IEEE 802.11-15/0365r0,“UL MU procedure”,2015-03-09
【文献】IEEE 802.11-15/0875r1,“Random Access with Trigger Frames using OFDMA”,2015-07-13
【文献】IEEE 802.11-15/0132r15,“Specification Framework for TGax”,2016-01-28
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図3で説明したアップリンク・マルチユーザ通信におけるランダムアクセスの手順においては、上りデータの衝突が発生する可能性があるため、通信効率が非常に低いという問題がある。
【0015】
そこで本開示の目的の1つは、アップリンク・マルチユーザ通信において、通信効率の向上を図ることができる無線LANシステム、無線LAN基地局、無線LAN端末、通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一態様において、無線LAN(Local Area Network)システムは、
無線LAN基地局と、
前記無線LAN基地局との間で、アップリンク・マルチユーザ通信を行う複数の無線LAN端末と、を備え、
前記無線LAN基地局は、
前記複数の無線LAN端末のうちアソシエーション前の無線LAN端末を指定する端末ID(Identifier)を含む、所定のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを、前記複数の無線LAN端末に送信し、
前記アソシエーション前の無線LAN端末は、
自身を指定する前記一時的な端末IDが前記トリガフレームに含まれている場合、前記所定のリソースユニットを選択して、前記無線LAN基地局に上りデータを送信する。
【0017】
一態様において、無線LAN(Local Area Network)基地局は、
複数の無線LAN端末との間で、アップリンク・マルチユーザ通信を行う無線LAN基地局であって、
通信部と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記複数の無線LAN端末のうちアソシエーション前の無線LAN端末を指定する端末ID(Identifier)を含む、所定のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを生成し、
前記通信部は、
前記トリガフレームを前記複数の無線LAN端末に送信する。
【0018】
一態様において、無線LAN(Local Area Network)端末は、
無線LAN基地局との間で、アップリンク・マルチユーザ通信を行う複数の無線LAN端末のうちの1つの無線LAN端末であって、
通信部と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
自身がアソシエーション前の無線LAN端末であり、かつ、前記無線LAN基地局から受信する、所定のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームに、自身を指定する端末ID(Identifier)が含まれているか否か判定し、
前記通信部は、
前記判定に基づき前記所定のリソースユニットを選択して、前記無線LAN基地局に上りデータを送信する。
【0019】
一態様において、通信方法は、
複数の無線LAN(Local Area Network)端末との間で、アップリンク・マルチユーザ通信を行う無線LAN基地局による通信方法であって、
前記複数の無線LAN端末のうちアソシエーション前の無線LAN端末を指定する端末ID(Identifier)を含む、所定のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームを、前記複数の無線LAN端末に送信する。
【0020】
他の態様において、通信方法は、
無線LAN(Local Area Network)基地局との間で、アップリンク・マルチユーザ通信を行う複数の無線LAN端末のうちの1つの無線LAN端末による通信方法であって、
自身がアソシエーション前の無線LAN端末であり、かつ、前記無線LAN基地局から受信する、所定のリソースユニットを割り当てるためのトリガフレームに、自身を指定する端末ID(Identifier)が含まれている場合、前記所定のリソースユニットを選択して、前記無線LAN基地局に上りデータを送信する。
【発明の効果】
【0021】
上述の態様によれば、アップリンク・マルチユーザ通信において、通信効率の向上を図ることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】無線LANシステムの基本構成例を示す図である。
図2】アップリンク・マルチユーザ通信の手順を説明する図である。
図3】アップリンク・マルチユーザ通信におけるランダムアクセスの手順を説明する図である。
図4】ある観点における(in some aspects)無線LANシステムの構成例を示す図である。
図5】ある観点における、アソシエーション前の端末を指定する一時的な端末IDの例1を説明する図である。
図6】ある観点における、アソシエーション前の端末を指定する一時的な端末IDの例2を説明する図である。
図7】ある観点における、2段階のアップリンク・マルチユーザ通信の例を説明する図である。
図8】ある観点におけるアクセスポイントの構成例を示すブロック図である。
図9】ある観点における端末の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。
図4は、ある観点における(in some aspects)無線LANシステムの構成例を示す図である。ある観点における無線LANシステムは、アクセスポイントAPと、複数の端末STA 1~STA nと、を備えている。アクセスポイントAPは無線LAN基地局の一例であり、端末STA 1~STA nは無線LAN端末の一例である。以下、どの端末STA 1~STA nであるか特定しない場合は端末STAと称する。なお、図4においては、6台の端末STAを一例として示しているが、端末STAの数は2以上(すなわち、nは2以上)であればよい。アクセスポイントAP及び端末STA 1~STA nにより、BSSを構成している。また、ある観点における無線LANシステムは、上りOFDMA及び上りMU-MIMOのアップリンク・マルチユーザ通信の双方に適用可能である。
【0024】
ここで、端末STA 1~STA 3は、アクセスポイントAPにアソシエーション済みの端末STAであり、端末STA 4,STA 5は、アクセスポイントAPへのアソシエーション前の端末STAであるとする。以下の表1のように、アソシエーション済みの端末STA 1~STA 3には、端末IDとしてAID 1~AID 3が設定されているが、アソシエーション前の端末STA 4,STA 5には、AIDが設定されていないものとする。
【表1】
【0025】
上述の通り、図3で説明したアップリンク・マルチユーザ通信におけるランダムアクセスの手順は、通信効率が非常に低い。また、アソシエーション前の端末STAは、ランダムアクセスにしか参加することができないため、アソシエーションされるまでの間は通信効率の低い状態が続くことになる。
【0026】
そこで、ある観点では、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDを導入することで、通信効率の向上を図ることとしている。以下、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDについて説明する。
【0027】
(1)一時的な端末ID
(1-1)一時的な端末IDの例1
図5は、ある観点における、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDの例1を説明する図である。
時刻t1において、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、リソースユニットRUを通知するトリガフレームを送信する。本例1では時刻t1において、アクセスポイントAPは、5個のリソースユニットRU 1~RU 5を通知する。また、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 3を、アソシエーション済みの端末STA 1~STA 3にそれぞれ割り当てるが、リソースユニットRU 4,RU 5を、特定の端末STAには割り当てず、ランダムアクセス可能と設定する。アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 5の情報と、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3と、リソースユニットRU 4,RU 5がランダムアクセス可能であることを示す特殊値であるAID 0と、を時刻t1のトリガフレームに含める。
【0028】
時刻t1のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3が含まれている。時刻t2において、AID 1~AID 3で指定された端末STA 1~STA 3は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 1~RU 3をそれぞれ使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。また、時刻t1のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 4,RU 5がランダムアクセス可能であることを示すAID 0が含まれている。そのため、本例1では時刻t2において、端末STA 5が、リソースユニットRU 4にアクセスして、リソースユニットRU 4のアクセス権を取得し、アクセスポイントAPに対し、リソースユニットRU 4を使用して、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信している。本例1では、リソースユニットRU 5については、上りデータの衝突が発生し、正しい通信ができていない。このように、時刻t2のUL MU PPDUフレームにおいては、2個のリソースユニットRU 4,RU 5がランダムアクセス可能であり、上りデータの衝突が発生する可能性がある。そのため、通信効率は低い。その後、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレームを送信する。
【0029】
時刻t3において、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、リソースユニットRUを通知するトリガフレームを送信する。本例1では時刻t3において、アクセスポイントAPは、時刻t1のトリガフレームと同様に、5個のリソースユニットRU 1~RU 5を通知する。アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 3を、アソシエーション済みの端末STA 1~STA 3にそれぞれ割り当て、リソースユニットRU 5を、特定の端末STAには割り当てず、ランダムアクセス可能と設定する。一方、アソシエーション前の端末STA 5に引き続き送信待ちの上りデータがある例として、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 4を、アソシエーション前の端末STA 5に割り当てることとする。端末STA 5は、アソシエーション前の端末STAであるため、AIDが設定されていない。
【0030】
そこで本例1においては、アクセスポイントAPは、アソシエーション前の端末STA 5を、図5にUAID 5として示すように、端末STA 5を特定できる一時的な端末IDで指定する。UAID 5は、アクセスポイントAPと端末STA 5とで独立に生成した値が一致するように設計されていればよい。例えば、アクセスポイントAP及び端末STA 5は、端末STA 5のMAC(Media Access Control)アドレスを所定のプロセスで加工し、トリガフレーム内でAIDを格納する情報要素(14ビット)に収まるようにUAID 5を生成してもよい。別の例として、アクセスポイントAP及び端末STA 5は、通常のAID値に1ビット以上を追加して一時的な端末IDであることを示す情報をUAID 5として生成してもよい。ただし、アクセスポイントAP及び端末STA 5は、通常のAID値と区別できるように、UAID 5を生成する必要がある。端末STA 5がアソシエーション済みになり、端末STA 5にAID値が設定された場合は、アクセスポイントAP及び端末STA 5は、UAID 5を削除し、UAID 5の管理を完了する。
【0031】
以上より、アクセスポイントAPは、時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 1~RU 5の情報と、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3と、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する一時的な端末IDであるUAID 5と、リソースユニットRU 5がランダムアクセス可能であることを示すAID 0と、を含めることになる。
【0032】
時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3が含まれている。時刻t4において、AID 1~AID 3で指定された端末STA 1~STA 3は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 1~RU 3をそれぞれ使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。また、時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する一時的な端末IDであるUAID 5が含まれている。ここで、端末STA 5も、自身を指定する一時的な端末IDとしてUAID 5を生成しており、生成したUAID 5とアクセスポイントAPから送信された端末IDとを比較する。本例1では、アクセスポイントAPから送信される端末IDがUAID 5であるため、端末STA 5は、自身を指定する端末IDがトリガフレームに含まれていると判定する。UAID 5で指定された端末STA 5は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 4を使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。また、時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 5がランダムアクセス可能であることを示すAID 0が含まれている。本例1では、端末STA 1~STA 3,STA 5以外の端末STA Xが、リソースユニットRU 5にアクセスして、リソースユニットRU 5のアクセス権を取得し、アクセスポイントAPに対し、リソースユニットRU 5を使用して、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信している。このように、時刻t4のUL MU PPDUフレームにおいては、アソシエーション前の端末STA 5にリソースユニットRU 4を割り当てることができる。そのため、リソースユニットRU 4では上りデータの衝突は発生しない。その結果、上りデータの衝突が発生する可能性があるのは、ランダムアクセス可能なリソースユニットRU 5のみとなるため、通信効率は向上する。その後、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレームを送信する。
【0033】
時刻t4でリソースユニットRU 5を使用して上りデータを送信した端末STA Xは、アソシエーション前の端末STAであっても、UAIDによって指定されうる。このことから、アクセスポイントAPは次回にリソースユニットRU 5を端末STA Xに割り当てることができる。その結果、次回は、リソースユニットRU 5でも上りデータの衝突は発生しないため、通信効率はさらに向上する。
【0034】
(1-2)一時的な端末IDの例2
図6は、ある観点における、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDの例2を説明する図である。
時刻t1のトリガフレームの送信及び時刻t2のUL MU PPDUフレームの送信については、図5と同様である。また、図5と同様に、時刻t2のUL MU PPDUフレームの送信後、アクセスポイントAPは、ACKフレームを送信しているものとする。
【0035】
時刻t3において、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、リソースユニットRUを通知するトリガフレームを送信する。ここでは、アクセスポイントAPは、時刻t1のトリガフレームと同様に、5個のリソースユニットRU 1~RU 5を通知する。アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 3を、アソシエーション済みの端末STA 1~STA 3にそれぞれ割り当て、リソースユニットRU 5を、特定の端末STAには割り当てず、ランダムアクセス可能と設定する。一方、アソシエーション前の端末STA 5に引き続き送信待ちの上りデータがある例として、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 4を、アソシエーション前の端末STA 5に割り当てることとする。端末STA 5は、アソシエーション前の端末STAであるため、AIDが設定されていない。
【0036】
そこで本例2においては、アクセスポイントAPは、アソシエーション前の端末STA 5を、図6にNULLとして示すように、特別に定義され、複数の端末STA 1~STA nに共通する共通値となる一時的な端末IDで指定する。一時的な端末ID(例えば、NULL)は、全てのビットが0となっているAID値であったり、あるいは1以上の別のビットであったりしてもよい。アクセスポイントAPは、時刻t3のトリガフレームにおいて、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する一時的な端末IDであるNULLを含める。ただし、NULLは、共通値であるため、端末STA 5は、NULLを含むトリガフレームを受信しても、それが直ちに端末STA 5を指定するものであるか否かを判断することはできない。しかし、端末STA 5は、時刻t3の直前にアクセスポイントAPから受信したACKフレームによって、時刻t2での上りデータの送信に成功したことが分かる。このことから、NULLが端末STA 5を指定していることを、端末STA 5は間接的に知ることができる。なお、一時的な端末IDとなる共通値は、NULLには限られない。ただし、アクセスポイントAPは、通常のAID値と区別できるように、共通値を生成する必要がある。
【0037】
以上より、アクセスポイントAPは、時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 1~RU 5の情報と、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3と、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する一時的な端末IDであるNULLと、リソースユニットRU 5がランダムアクセス可能であることを示すAID 0と、を含めることになる。
【0038】
時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3が含まれている。時刻t4において、AID 1~AID 3で指定された端末STA 1~STA 3は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 1~RU 3をそれぞれ使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。また、時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する一時的な端末IDであるNULLが含まれている。ただし、端末STA 5は、共通値であるNULLを含むトリガフレームを受信しても、それが直ちに端末STA 5を指定するものであるか否かを判断することはできない。しかし、端末STA 5は、時刻t3の直前に受信したACKフレームによって、時刻t2での上りデータの送信に成功したことが分かる。このことから、端末STA 5は、NULLが端末STA 5を指定していると判断することができる。そのため、NULLで指定された端末STA 5は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 4を使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。また、時刻t3のトリガフレームにおいては、リソースユニットRU 5がランダムアクセス可能であることを示すAID 0が含まれている。そのため、ここでは、端末STA 1~STA 3,STA 5以外の端末STA Xが、リソースユニットRU 5にアクセスして、リソースユニットRU 5のアクセス権を取得し、アクセスポイントAPに対し、リソースユニットRU 5を使用して、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信している。このように、時刻t4のUL MU PPDUフレームにおいては、アソシエーション前の端末STA 5にリソースユニットRU 4を割り当てることができる。そのため、リソースユニットRU 4では上りデータの衝突は発生しない。その結果、上りデータの衝突が発生する可能性があるのは、ランダムアクセス可能なリソースユニットRU 5のみとなるため、通信効率は向上する。その後、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレームを送信する。
【0039】
時刻t4でリソースユニットRU 5を使用して上りデータを送信した端末STA Xは、アソシエーション前の端末STAであっても、NULLによって指定されうる。また、端末STA Xは、アクセスポイントAPから受信するACKフレームによって、時刻t4でのリソースユニットRU 5を使用した上りデータの送信に成功したと判断することができる。このことから、アクセスポイントAPは次回にリソースユニットRU 5を端末STA Xに割り当てることができる。その結果、次回は、リソースユニットRU 5でも上りデータの衝突は発生しないため、通信効率はさらに向上する。
【0040】
上述のように、ある観点においては、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDを導入し、アクセスポイントAPは、リソースユニットRUをアソシエーション前の端末STAに割り当てる場合、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDを、リソースユニットRUを通知するトリガフレームに含める。
【0041】
このように、アクセスポイントAPは、アソシエーション前の端末STAを一時的な端末IDで指定して、リソースユニットRUを割り当てることができるため、アソシエーション前の端末STAは、ランダムアクセス以外の手順でも、アップリンク・マルチユーザ通信に参加することができ、アクセスポイントAPに上りデータを送信することができる。これにより、通信効率の向上を図ることができる。
【0042】
なお、図5及び図6においては、端末STAが時刻t2で上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信していたが、端末STAが送信する情報はこれには限定されない。時刻t2のUL MU PPDUフレームには、上りデータの代わりに、送信待ちの上りデータがあることを示すbuffer statusが含まれてもよいし、上りデータに追加してbuffer statusが含まれてもよい。なお、UL MU PPDUフレームに、上りデータ及びbuffer statusが含まれる場合、そのbuffer statusは、そのbuffer statusと共に送信した上りデータ以外にも、送信待ちの上りデータがあることを示している。
【0043】
さらに、ある観点では、2段階のアップリンク・マルチユーザ通信を導入することで、通信効率のさらなる向上を図ることとしている。以下、2段階のアップリンク・マルチユーザ通信について説明する。
【0044】
(2)2段階のアップリンク・マルチユーザ通信
図7は、ある観点における、アクセスポイントAPと複数の端末STA 1~STA nとの間の2段階のアップリンク・マルチユーザ通信の例を説明する図である。
ある観点では、アクセスポイントAPと複数の端末STA 1~STA nとの間のアップリンク・マルチユーザ通信を、第1段階と第2段階との2段階で行う。以下では、リソースユニットとして、5個のリソースユニットRU 1~RU 5があるものとして説明する。
【0045】
(2-1)第1段階
第1段階では、アップリンク・マルチユーザ通信におけるランダムアクセスが行われる。
アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 3を、アソシエーション済みの端末STA 1~STA 3にそれぞれ割り当てるが、リソースユニットRU 4,RU 5を、特定の端末STAには割り当てず、ランダムアクセス可能と設定する。時刻t1においては、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 5の情報と、リソースユニットRU 1~RU 3を割り当てる端末STA 1~STA 3を指定するAID 1~AID 3と、リソースユニットRU 4,RU 5がランダムアクセス可能であることを示すAID 0と、をトリガフレームに含め、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに送信する。
【0046】
ここでは、アソシエーション済みの端末STA 1,STA 2及びアソシエーション前の端末STA 5に、送信待ちの上りデータがあるものとする。
時刻t2において、アクセスポイントAPからのトリガフレームを受けて、AID 1,AID 2で指定された端末STA 1,STA 2は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 1,RU 2をそれぞれ使用して、アクセスポイントAPに対し、UL MU PPDUフレームを送信する。ここでは、端末STA 5が、AID 0で示されたリソースユニットRU 4にアクセスして、リソースユニットRU 4のアクセス権を取得している。そのため、端末STA 5は、アクセスポイントAPに対し、リソースユニットRU 4を使用して、上りデータではなく、buffer statusを含むUL MU PPDUフレームを送信する。このように、時刻t2のUL MU PPDUフレームにおいては、2個のリソースユニットRU 4,RU 5がランダムアクセス可能であり、上りデータの衝突が発生する可能性がある。そのため、通信効率は低い。しかし、buffer status自体のデータ量は小さいため、第1段階の通信に要する時間、すなわち通信効率が低い状態にある時間は短くてすむ。
【0047】
アクセスポイントAPは、アソシエーション前の端末STA 5がおり、buffer statusの送信により、送信待ちの上りデータがあることを認識している。そのため、アクセスポイントAPは、第2段階で送信するトリガフレームにおいて、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する一時的な端末IDを含めることになる。その後、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレームを送信する。端末STA 5は、アクセスポイントAPから受信したACKフレームによって、時刻t2でのアクセスポイントAPへのbuffer statusの通信成功の是非が分かる。
【0048】
(2-2)第2段階
第2段階では、アップリンク・マルチユーザ通信が行われる。
アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1,RU 2を、アソシエーション済みの端末STA 1,STA 2にそれぞれ割り当て、また、リソースユニットRU 4を、buffer statusを送信してきたアソシエーション前の端末STA 5に割り当てる。時刻t3において、アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 1~RU 5の情報と、リソースユニットRU 1,RU 2を割り当てる端末STA 1,STA 2を指定するAID 1,AID 2と、リソースユニットRU 4を割り当てる端末STA 5を指定する上述の一時的な端末ID(例えば、UAID 5やNULL)と、をトリガフレームに含め、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに送信する。アクセスポイントAPはリソースユニットRU 3,RU 5を、ランダムアクセス可能と設定してもよいし、特定の端末STAに割り当ててもよい。アクセスポイントAPは、リソースユニットRU 3,RU 5を、ランダムアクセス可能と設定する、または特定の端末STAに割り当てる、ことのいずれかを示す情報を、時刻t3のトリガフレームに含めるものとする。
【0049】
時刻t4において、アクセスポイントAPからのトリガフレームを受けて、AID 1,AID 2で指定された端末STA 1,STA 2は、自身に割り当てられたリソースユニットRU 1,RU 2をそれぞれ使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。端末STA 5は、一時的な端末IDで自身が指定されているため、リソースユニットRU 4が端末STA 5に割り当てられたと判断することができる。そのため、端末STA 5も、自身に割り当てられたリソースユニットRU 4を使用して、アクセスポイントAPに対し、上りデータを含むUL MU PPDUフレームを送信する。その後、アクセスポイントAPは、BSS内の複数の端末STA 1~STA nに対し、通信成功の是非を通知するACKフレームを送信する。このように、第2段階の通信では、アクセスポイントAPは、アソシエーション前の端末STA 5にリソースユニットRU 4を割り当てることができる。そのため、リソースユニットRU 4では上りデータの衝突は発生しない。その結果、通信効率は向上する。したがって、第1段階の通信よりも長い時間をかけて第2段階の通信を行うことにより、トータルの通信効率の向上を図ることができる。
【0050】
上述のように、ある観点においては、アップリンク・マルチユーザ通信を、第1段階と第2段階との2段階で行う。第1段階では、アクセスポイントAPは、リソースユニットRUがランダムアクセス可能であることを示す特殊値をトリガフレームに含めて送信し、アソシエーション前の端末STAは、そのリソースユニットRUを使用して、buffer statusを送信する。第2段階では、アクセスポイントAPは、第1段階でbuffer statusを送信してきたアソシエーション前の端末STAに、リソースユニットRUを割り当て、アソシエーション前の端末STAを指定する一時的な端末IDをトリガフレームに含めて送信する。
【0051】
そのため、第2段階の通信では、上りデータの衝突は発生しないため、通信効率の向上を図ることができる。したがって、第1段階の通信よりも長い時間をかけて第2段階の通信を行うことにより、トータルの通信効率の向上を図ることができる。
【0052】
図7においては、端末STAは時刻t2でbuffer statusを含むUL MU PPDUフレームを送信していたが、端末STAが送信する情報はこれには限定されない。UL MU PPDUフレームには、buffer statusに追加して上りデータが含まれてもよい。UL MU PPDUフレームに、上りデータ及びbuffer statusが含まれる場合、そのbuffer statusは、そのbuffer statusと共に送信した上りデータ以外にも、送信待ちの上りデータがあることを示している。
【0053】
ある観点におけるアクセスポイントAPの構成例について説明する。図8は、ある観点におけるアクセスポイントAPの構成例を示すブロック図である。
アクセスポイントAPは、通信部11及びプロセッサ12を備えている。CPU(Central Processing Unit)などであるプロセッサ12は、メモリに格納されているプログラムを実行することによって上述のアクセスポイントAPの処理を実現する。
【0054】
通信部11は、複数の端末STAと無線通信、詳細にはアップリンク・マルチユーザ通信を行うよう構成されている。
プロセッサ12は、通信部11と結合され、通信部11を制御して、上述のアクセスポイントAPの処理を行うよう構成されている。
例えば、プロセッサ12は、複数の端末STAのうちアソシエーション前の端末STAを指定する端末IDを含む、所定のリソースユニットRUを割り当てるためのトリガフレームを生成する。
通信部11は、プロセッサ12が生成したトリガフレームを複数の端末STAに送信する。
【0055】
ある観点における端末STAの構成例について説明する。図9は、ある観点における端末STAの構成例を示すブロック図である。
端末STAは、通信部21及びプロセッサ22を備えている。CPUなどであるプロセッサ22は、不図示のメモリに格納されているプログラムを実行することによって上述の端末STAの処理を実現する。
【0056】
通信部21は、アクセスポイントAPと無線通信、詳細にはアップリンク・マルチユーザ通信を行うよう構成されている。
プロセッサ22は、通信部21と結合され、通信部21を制御して、上述の端末STAの処理を行うよう構成されている。
例えば、プロセッサ22は、自身がアソシエーション前の端末STAであり、かつ、自身を指定する一時的な端末IDが、アクセスポイントAPから受信する、所定のリソースユニットRUを割り当てるためのトリガフレームに含まれているか否かを判定する。
通信部21は、プロセッサ22の判定に基づき、所定のリソースユニットRUを選択して、アクセスポイントAPに上りデータを送信する。
【0057】
上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を使用して格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、CD-R(CD-Recordable)、CD-R/W(CD-ReWritable)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバなどの有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0058】
以上、実施の形態を参照して本願発明における様々な観点を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の各観点における構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0059】
この出願は、2016年3月11日に出願された日本出願特願2016-048277を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0060】
AP アクセスポイント
STA,STA 1~STA n 端末
RU 1~RU 5 リソースユニット
11 通信部
12 プロセッサ
21 通信部
22 プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9