(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
F25B1/00 101Z
F25B1/00 331E
(21)【出願番号】P 2023169983
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2024-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】廣崎 佑
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-96621(JP,A)
【文献】特開2015-152262(JP,A)
【文献】特開2009-30840(JP,A)
【文献】特開2007-155266(JP,A)
【文献】国際公開第2016/079829(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0213066(US,A1)
【文献】特開平8-75290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間を流れる前記非共沸混合冷媒と前記蒸発器と前記圧縮機との間を流れる前記非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間の経路において、前記中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
前記バイパス回路に設けられるバイパス弁と、
前記凝縮器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、
前記蒸発器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、
前記圧縮機と、前記減圧手段と、前記バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記凝縮器出口温度センサが検出した凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否かを判定し、或いは、前記蒸発器出口温度センサが検出した蒸発器出口温度が蒸発温度所定値以下であるか否かを判定する判定部と、
前記圧縮機の起動時には前記バイパス弁を全開となるように制御し、前記判定部において前記凝縮器出口温度が前記凝縮温度所定値以上と判定された場合、或いは、前記判定部において前記蒸発器出口温度が前記蒸発温度所定値以下と判定された場合には、前記バイパス弁を全閉となるように制御する駆動制御部と、
を備えていることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間を流れる前記非共沸混合冷媒と前記蒸発器と前記圧縮機との間を流れる前記非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間の経路において、前記中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
前記バイパス回路に設けられるバイパス弁と、
前記凝縮器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、
前記蒸発器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、
前記圧縮機と、前記減圧手段と、前記バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記凝縮器出口温度センサが検出した凝縮器出口温度と前記蒸発器出口温度センサが検出した蒸発器出口温度との温度差が、予め設定されている温度差所定値以上であるか否かを判定する判定部と、
前記圧縮機の起動時には前記バイパス弁を全開となるように制御し、前記判定部において前記温度差が前記温度差所定値以上と判定された場合には、前記バイパス弁を全閉となるように制御する駆動制御部と、
を備えていることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項3】
室内空気と熱交換する室内熱交換器が前記凝縮器として機能する場合に、
前記判定部が、前記凝縮器出口温度が予め設定される閾値以上であると判定した場合に、前記駆動制御部は、前記バイパス弁を全閉となるように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記室内熱交換器は、前記室内熱交換器に空気を流通させる室内ファンを備え、
前記制御装置は、前記駆動制御部によって前記バイパス弁が全閉とされるまでの間、前記室内ファンの回転数の増加を禁止する制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項5】
圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間を流れる前記非共沸混合冷媒と前記蒸発器と前記圧縮機との間を流れる前記非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間の経路において、前記中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
前記バイパス回路に設けられるバイパス弁と、
前記凝縮器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、
前記蒸発器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、
前記圧縮機と、前記減圧手段と、前記バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、
前記圧縮機の起動時に前記バイパス弁を全開となるように制御するステップと、
前記凝縮器出口温度センサから凝縮器出口温度を取得し、或いは、前記蒸発器出口温度センサから蒸発器出口温度を取得するステップと、
前記凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否かを判定し、或いは、前記蒸発器出口温度が蒸発温度所定値以下であるか否かを判定するステップと、
比較の結果、前記凝縮器出口温度が前記凝縮温度所定値以上である場合、或いは、前記蒸発器出口温度と前記蒸発温度所定値以下である場合に、前記バイパス弁を全閉となるように制御するステップと、
を備えていることを特徴とする冷凍サイクル装置の制御方法。
【請求項6】
圧縮機と、凝縮器と、減圧手段と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間を流れる前記非共沸混合冷媒と前記蒸発器と前記圧縮機との間を流れる前記非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、
前記凝縮器と前記減圧手段との間の経路において、前記中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、
前記バイパス回路に設けられるバイパス弁と、
前記凝縮器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、
前記蒸発器の下流側を流れる前記非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、
前記圧縮機と、前記減圧手段と、前記バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、
前記圧縮機の起動時に前記バイパス弁を全開となるように制御するステップと、
前記凝縮器出口温度センサから凝縮器出口温度を、前記蒸発器出口温度センサから蒸発器出口温度を取得するステップと、
前記凝縮器出口温度と前記蒸発器出口温度との温度差を算出するステップと、
前記温度差が温度差所定値以上であるか否かを判定するステップと、
前記温度差が前記温度差所定値以上である場合に、前記バイパス弁を全閉となるように制御するステップと、
を備えていることを特徴とする冷凍サイクル装置の制御方法。
【請求項7】
室内空気と熱交換する室内熱交換器が前記凝縮器として機能する場合に、
前記凝縮器出口温度と凝縮温度所定値とを比較し、或いは、前記蒸発器出口温度と蒸発温度所定値とを比較するステップ、または、前記温度差と前記温度差所定値とを比較するステップの後に、凝縮器出口温度が予め設定されている閾値以上であるか否かを判定するステップが設けられ、
比較の結果、前記凝縮器出口温度が前記凝縮温度所定値以上である場合、或いは、前記蒸発器出口温度と前記蒸発温度所定値以下であり、または、前記温度差が前記温度差所定値以上であり、かつ、前記凝縮器出口温度が前記閾値以上である場合に、前記バイパス弁が全閉となるように制御されることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の冷凍サイクル装置の制御方法。
【請求項8】
前記室内熱交換器は、前記室内熱交換器に空気を流通させる室内ファンを備え、
駆動制御部によって前記バイパス弁が全閉とされるまでの間、前記室内ファンの回転数の増加を禁止するステップを備えていることを特徴とする請求項7に記載の冷凍サイクル装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍サイクル装置において単一冷媒が使用される場合、冷媒が二相状態であってかつ圧力が一定であれば、凝縮器や蒸発器において冷媒の温度は一定である。これに対して、例えば冷媒として非共沸混合冷媒を使用する場合、単一の冷媒とは異なり、等圧力の蒸発/凝縮過程において二相領域でも冷媒の蒸発/凝縮温度が変化し、いわゆる温度勾配(飽和液の温度と飽和蒸気の温度との差)が生じる。そのため、例えば凝縮器の下流側の冷媒の温度が上流側より低くなることがある。
【0003】
非共沸混合冷媒の温度勾配が大きいと、凝縮器又は蒸発器の出口側の冷媒流路において熱交換を行う空気と冷媒との温度差が単一冷媒を使用した場合と比較して小さくなる。その結果、空気調和機における熱交換量が減ることになるので、凝縮過程においては過冷却度、蒸発過程の場合は吸入過熱度が小さくなり、過冷却度や吸入過熱度を確保しにくくなる。このことは空気調和機における運転効率の低下を招くことになりかねない。
【0004】
そのため、以下の特許文献1に開示されている発明では、中間熱交換器が設けられている。この中間熱交換器では、凝縮器出口側冷媒(凝縮器を通過した後の冷媒)と蒸発器出口側冷媒(蒸発器を通過した後の冷媒)との熱交換が行われる。このような熱交換を行うことによって、よりエンタルピー差を確保することができるため、過冷却度、吸入過熱度を確保することができ、COP低下を防止することができる、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、冷凍サイクル装置の圧縮機が起動する時は、冷媒回路内の圧力が均等の状態にあるため、圧縮機の吐出側と吸入側とで圧力差がない。この状態から圧縮機が起動することで圧力差が生じ、冷媒は次第に要求された凝縮温度や蒸発温度に到達する。
【0007】
一方で、非共沸混合冷媒を用いた冷凍サイクル装置においては、上述した中間熱交換器を設ける必要があるが、中間熱交換器においては圧力差によってより積極的に高圧側の非共沸混合冷媒と低圧側の非共沸混合冷媒とが熱交換することになる。そのため、非共沸混合冷媒が凝縮しやすい、或いは、蒸発しやすい、という状況が作り出され、冷媒回路内における非共沸混合冷媒の高圧圧力は上昇しにくく、低圧圧力は下降しにくくなる。
【0008】
また、特に上述した特許文献1における冷媒回路においては、その回路構成上、冷凍サイクル装置が運転状態にある間、常に高圧側の非共沸混合冷媒と低圧側の非共沸混合冷媒とが熱交換する仕組みになっている。このため、冷凍サイクル装置の運転中、冷媒回路内の非共沸混合冷媒の圧力差を確保しにくくなる。従って、冷凍サイクル装置に対して要求された凝縮温度や蒸発温度に到達しにくくなることから、要求能力に合った運転ができないため快適性が低下する。
【0009】
本発明は、非共沸混合冷媒を用い中間熱交換器が設けられた場合であっても、特に圧縮機の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保して要求能力に合った運転を行うことでユーザに対する快適性の低下を抑制することができる冷凍サイクル装置及び冷凍サイクル装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機と、凝縮器と、減圧機構と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、凝縮器と減圧機構との間を流れる非共沸混合冷媒と蒸発器と圧縮機との間を流れる非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、凝縮器と減圧機構との間の経路において、中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、バイパス回路に設けられるバイパス弁と、凝縮器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、蒸発器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、圧縮機と、減圧機構と、バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、凝縮器出口温度センサが検出した凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否かを判定し、或いは、蒸発器出口温度センサが検出した蒸発器出口温度が蒸発温度所定値以上であるか否かを判定する判定部と、圧縮機の起動時にはバイパス弁を全開となるように制御し、判定部において凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上と判定された場合、或いは、判定部において蒸発器出口温度が蒸発温度所定値以上と判定された場合には、バイパス弁を全閉となるように制御する駆動制御部と、を備える。
【0011】
本発明の一態様に係る冷凍サイクル装置は、圧縮機と、凝縮器と、減圧機構と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、凝縮器と減圧機構との間を流れる非共沸混合冷媒と蒸発器と圧縮機との間を流れる非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、凝縮器と減圧機構との間の経路において、中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、バイパス回路に設けられるバイパス弁と、凝縮器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、蒸発器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、圧縮機と、減圧機構と、バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、凝縮器出口温度センサが検出した凝縮器出口温度と蒸発器出口温度センサが検出した蒸発器出口温度との温度差が、予め設定されている温度差所定値以上であるか否かを判定する判定部と、圧縮機の起動時にはバイパス弁を全開となるように制御し、判定部において温度差が温度差所定値以上と判定された場合には、バイパス弁を全閉となるように制御する駆動制御部と、を備える。
【0012】
また、本発明の一態様に係る冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と、凝縮器と、減圧機構と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、凝縮器と減圧機構との間を流れる非共沸混合冷媒と蒸発器と圧縮機との間を流れる非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、凝縮器と減圧機構との間の経路において、中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、バイパス回路に設けられるバイパス弁と、凝縮器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、蒸発器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、圧縮機と、減圧機構と、バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、圧縮機の起動時にバイパス弁を全開となるように制御するステップと、凝縮器出口温度センサから凝縮器出口温度を取得し、或いは、蒸発器出口温度センサから蒸発器出口温度を取得するステップと、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否かを判定し、或いは、蒸発器出口温度が蒸発温度所定値以上であるか否かを判定するステップと、比較の結果、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上である場合、或いは、蒸発器出口温度と蒸発温度所定値以上である場合に、バイパス弁を全閉となるように制御するステップと、を備えている。
【0013】
本発明の一態様に係る冷凍サイクル装置の制御方法は、圧縮機と、凝縮器と、減圧機構と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路と、凝縮器と減圧機構との間を流れる非共沸混合冷媒と蒸発器と圧縮機との間を流れる非共沸混合冷媒とが熱交換する中間熱交換器と、凝縮器と減圧機構との間の経路において、中間熱交換器をバイパスするバイパス回路と、バイパス回路に設けられるバイパス弁と、凝縮器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサと、蒸発器の下流側を流れる非共沸混合冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサと、圧縮機と、減圧機構と、バイパス弁と、を制御する制御装置と、を備え、圧縮機の起動時にバイパス弁を全開となるように制御するステップと、凝縮器出口温度センサから凝縮器出口温度を、蒸発器出口温度センサから蒸発器出口温度を取得するステップと、凝縮器出口温度と蒸発器出口温度との温度差を算出するステップと、温度差が温度差所定値以上であるか否かを判定するステップと、温度差が温度差所定値以上である場合に、バイパス弁を全閉となるように制御するステップと、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、非共沸混合冷媒を用い中間熱交換器が設けられた場合であっても、特に圧縮機の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保して要求能力に合った運転を行うことでユーザに対する快適性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置における制御装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の制御の基本的な流れを示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の制御の流れの別の態様を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の制御の流れにおいて、特に凝縮器として機能する室内熱交換器が備える室内ファンの制御との関係について説明するフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の制御の流れにおいて、凝縮器出口温度と蒸発器出口温度との温度差を用いる場合の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの構造を、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの冷媒回路図である。
図1に示されている本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sは、圧縮機1と、室外熱交換器2と、減圧機構3と、室内熱交換器4とが冷媒配管で順次接続され、冷媒として非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路Cを有する。
【0017】
このように、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sの冷媒回路Cを循環する冷媒は、非共沸混合冷媒である。非共沸混合冷媒は等圧力の凝縮過程や蒸発過程において二相状態であっても温度が変化する性質(温度勾配)を備えている。当該非共沸混合冷媒としては、例えば、R454C(R32冷媒とR1234yf冷媒との混合冷媒)を挙げることができる。なお、以下においては、当該非共沸混合冷媒を、適宜「冷媒」とも表す。
【0018】
圧縮機1は、冷媒回路Cを循環した冷媒を吸入し、圧縮して冷媒回路Cへと吐出する。室外熱交換器2は、室外に設置される室外機の内部に配置される。室外熱交換器2は、その内部を流れる冷媒と外気との間で熱交換を行う。
【0019】
例えば、後述する暖房運転の場合には、室外熱交換器2では、冷媒と室外機に流入する空気(外気)との間で熱交換が行われて外気の熱が冷媒に吸熱される。従って、暖房運転の場合には、室外熱交換器2は蒸発器として機能する。
【0020】
室外機の内部には、室外ファン21が設けられている。室外ファン21は、室外機の内部に外気を取り込むとともに、冷媒との間で熱交換が行われた空気を外部に排出する。
【0021】
冷媒回路Cにおいて、室外熱交換器2と後述する室内熱交換器4との間であって、後述する中間熱交換器6の下流側には、減圧手段3が設けられている。減圧手段3は、例えば、膨張弁であり、室外熱交換器2、或いは、室内熱交換器4を通過した高圧の冷媒を減圧する。
【0022】
本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sにおいては、減圧手段3として2つの減圧機構(第1の減圧機構31と第2の減圧機構32)とが冷媒回路Cに設けられている。これは冷房運転、或いは、暖房運転のいずれの場合であっても中間熱交換器6に高圧の冷媒を流入させるためである。
【0023】
すなわち、冷房運転が行われる場合、室外熱交換器2が凝縮器となることから、
図1に示す冷凍サイクル装置Sの場合、減圧手段3は中間熱交換器6の下流であって室内熱交換器4との間に配置される。つまり、冷房運転時は第1の減圧機構31が減圧手段3として機能する。なお、このとき第2の減圧機構32は全開となるように開度が制御される。
【0024】
一方暖房運転が行われる場合、室内熱交換器4が凝縮器となることから、
図1に示す冷凍サイクル装置Sの場合、減圧手段3は中間熱交換器6の下流であって室外熱交換器2との間に配置される。つまり、暖房運転時は第2の減圧機構32が減圧手段3として機能する。なお、このとき第1の減圧機構31は全開となるように開度が制御される。
【0025】
なお、以下においては、これら第1の減圧機構31と第2の減圧機構32とについて特段区別する必要がない場合には、上述したように単に「減圧手段3」と表す。
【0026】
室内熱交換器4は、室内空間に設置される室内機の内部に配置される。室内熱交換器4は、例えば暖房運転の場合には、冷媒と室内機に流入する室内空気との間で熱交換を行い室内空間に冷媒から吸熱して暖められた空気を供給する。従って、暖房運転の場合、室内熱交換器4は、凝縮器として機能する。
【0027】
また、室内機の内部には、室内ファン41が設けられている。室内ファン41は、室内機の内部に空気を取り込むとともに、冷媒との間で熱交換が行われた空気を室内に供給する。
【0028】
また、圧縮機1と室内熱交換器4、或いは、圧縮機1と室外熱交換器2との間には、四方弁5が設けられている。四方弁5は、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器2側に流すか、室内熱交換器4側に流すかを切り替える。
【0029】
本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sにおいては、
図1に示すように、室外熱交換器2と室内熱交換器4との間に中間熱交換器6が設けられている。中間熱交換器6は、室外熱交換器2と室内熱交換器4との間を流れる冷媒が通過する高圧側流路と、四方弁5と圧縮機1との間を流れる冷媒が通過する低圧側流路とを備える。すなわち中間熱交換器6では、凝縮器と減圧機構との間を流れる非共沸混合冷媒と蒸発器と圧縮機との間を流れる非共沸混合冷媒との間で熱交換が行われる。
【0030】
上述したように、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sで用いられる冷媒は、非共沸混合冷媒であり、等圧力の蒸発/凝縮過程における二相領域で温度勾配が認められる。温度勾配という性質を持つ冷媒は、蒸発過程、凝縮過程において徐々に冷媒と空気との温度差が小さくなるためエンタルピー差を確保し難く、冷凍サイクル装置Sの性能及び信頼性の観点で要求される過冷却度や吸入過熱度を確保し難い。そこで、エンタルピー差を確保し、過冷却度、吸入過熱度を確保するために、凝縮器を通過した後の冷媒と蒸発器を通過した後の冷媒との間で熱交換を行う中間熱交換器6を設けている。
【0031】
さらに、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sでは、凝縮器と減圧手段3との間の経路において、中間熱交換器6をバイパスするバイパス回路Bが設けられている。すなわち、バイパス回路Bは、室外熱交換器2が凝縮器としての役割を果たす場合には、室外熱交換器2と減圧手段3として機能する第1の減圧機構31との間、一方、室内熱交換器4が凝縮器としての役割を果たす場合には、室内熱交換器4と減圧手段3として機能する第2の減圧機構32との間に設けられている。
【0032】
また、当該バイパス回路Bには、バイパス弁B1が設けられている。バイパス弁B1は、後述する制御装置9の制御によって、全開、或いは、全閉となるように駆動される。従って、バイパス弁B1が全開の場合、凝縮器から流出した冷媒の大部分はバイパス回路Bに流入し、バイパス弁B1が全閉とされると、冷媒は中間熱交換器6に流入する。
【0033】
そのためバイパス弁B1としては、
図1のようなバイパス回路Bに設けられた開閉弁のほか、例えば、三方弁といった、凝縮器から流出した冷媒をバイパス回路B、或いは、中間熱交換器6へと、流路を切り換えることが可能な弁であれば、どのような種類の弁であっても良い。
【0034】
バイパス回路Bは、凝縮器(室外熱交換器2、或いは、室内熱交換器4)から流出した冷媒が中間熱交換器6に多く流入することで要求能力に合った運転ができなくなることを抑制するために設けられている。従って、バイパス回路Bに設けられているバイパス弁B1が開(全開)の場合には、凝縮器から流出した冷媒は、多くがバイパス回路Bを通過して蒸発器へと流れ、中間熱交換器6に流入する冷媒の量を少なくすることができる。
【0035】
一方、バイパス弁B1を閉(全閉)とすると、凝縮器を流出した冷媒はバイパス回路Bには流入しないため、中間熱交換器6を介して蒸発器へと流入する。
【0036】
さらに、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sの冷媒回路Cには、複数の温度センサが設けられている。1つは凝縮器から流出した冷媒の温度を検出する凝縮器出口温度センサ7である。
【0037】
但し、冷房運転の場合には、室外熱交換器2が凝縮器として機能することから、室外熱交換器2と中間熱交換器6との間に第1の凝縮器出口温度センサ71が設けられている。一方、暖房運転の場合には、室内熱交換器4が凝縮器として機能することから、室内熱交換器4と中間熱交換器6との間に第2の凝縮器出口温度センサ72が設けられている。
【0038】
このように、第1の凝縮器出口温度センサ71、第2の凝縮器出口温度センサ72は、凝縮器の下流側に設けられている。なお、第1の凝縮器出口温度センサ71、第2の凝縮器出口温度センサ72との区別が不要な場合には、適宜、「凝縮器出口温度センサ7」と表す。
【0039】
また、蒸発器の下流側には、蒸発器から流出した冷媒の温度を検出する蒸発器出口温度センサ8が設けられている。
図1の冷媒回路Cに示されているように、蒸発器出口温度センサ8は、四方弁5と中間熱交換器6との間に設けられている。冷媒回路Cの構成上、蒸発器が室外熱交換器2、或いは、室内熱交換器4のいずれの場合であっても蒸発器を流出した冷媒は、四方弁5を介して中間熱交換器6に流入することから、凝縮器出口温度センサ7とは異なり、蒸発器出口温度センサ8は上述した位置の1カ所のみ設けられている。
【0040】
制御装置9は、冷凍サイクル装置Sに備えられ、減圧手段3、及び、バイパス弁B1を制御する。また、制御装置9は、圧縮機1、室外ファン21、室内ファン41の回転数も制御する。制御装置9が冷凍サイクル装置Sの各部を後述する制御内容に基づいて制御することによって、特に圧縮機の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保して要求能力に合った運転を行うことでユーザに対する快適性の低下を抑制することができる。
【0041】
特に、例えば、制御装置9がバイパス弁B1の開度を制御することで、冷媒回路Cを流れる冷媒を中間熱交換器6に流入させたり、或いは、大部分をバイパス回路Bに流入させることができる。なお、以下、本発明の実施の形態においては、制御装置9に関して、圧縮機1の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保して要求能力に合った運転を行う際に必要な機能のみを説明する。
【0042】
図2は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sにおける制御装置9の内部構成を示すブロック図である。制御装置9は、温度検出部91と、記憶部92と、判定部93と、駆動制御部94と、を備えている。
【0043】
なお、制御装置9は、
図2においては図示されていない、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)及び入出力インターフェイスがバスを介して接続される構成を備えていても良い。また、当該入出力インターフェイスには、上述した各部が接続されているとともに、例えば、表示部や通信制御部、或いは、入力部といった各部が接続されていても良い。
【0044】
温度検出部91は、上述した、第1の凝縮器出口温度センサ71、第2の凝縮器出口温度センサ72、蒸発器出口温度センサ8において検出された冷媒温度の情報を取得する。
【0045】
記憶部92には、バイパス弁B1の開閉の制御を行うために用いられる温度検出部91において取得された冷媒温度と比較するために予め定められた各種値が、格納されている。また、例えば、温度検出部91において取得された冷媒温度に関する情報が記憶されても良い。さらには、後述する判定部93が判定を行う際に用いる判定プログラム等も格納されている。
【0046】
判定部93は、上述した凝縮器出口温度センサ7、或いは、蒸発器出口温度センサ8において検出された凝縮器出口温度、或いは、蒸発器出口温度を用いて、冷媒をバイパス回路Bに流すか、或いは、中間熱交換器6に流すかの判定を行う。判定のタイミングについては、例えば、予め定められた時間間隔に基づいて設定されていても良く、予め定められた時間間隔については、例えば、記憶部92に記憶されている。
【0047】
具体的には、判定部93は、凝縮器出口温度センサ7が検出した凝縮器出口温度と予め設定されている凝縮温度所定値との比較を行い、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否かの判定を行う。
【0048】
或いは、判定部93は、蒸発器出口温度センサ8が検出した蒸発器出口温度と予め設定されている蒸発温度所定値との比較を行い、蒸発器出口温度が蒸発温度所定値以下であるか否かの判定を行う。
【0049】
或いは、判定部93は、凝縮器出口温度センサ7が検出した凝縮器出口温度と蒸発器出口温度センサ8が検出した蒸発器出口温度との温度差を算出し、算出された温度差が予め設定されている温度差所定値以上であるか否かを判定する。
【0050】
このように判定部93は、冷媒をバイパス回路Bに流すか、或いは、中間熱交換器6に流すかの判定を行うに当たって、上述した複数の条件のうち、いずれか一つ、又は、複数の条件を用いて判定を実行する。これら複数の条件のうち、いずれの条件を用いるかについては、事前に設定されており、上述した予め設定されているタイミングごとに判定処理が実行される。
【0051】
駆動制御部94は、例えば、判定部93の判定結果に基づいて、減圧手段3の開度、或いは、バイパス弁B1の開閉の制御を行う。また、その他、圧縮機1の回転数や室外ファン21や室内ファン41の回転数も制御する。
【0052】
このように駆動制御部94は各部の駆動制御を行うが、ここでバイパス弁B1の開度の制御について、圧縮機1の起動時には、バイパス弁B1の開度が全開となるように、駆動制御部94はバイパス弁B1の開度を制御する。
【0053】
これは、上述したように、冷凍サイクル装置Sの圧縮機1が起動する時は、冷媒回路C内の圧力が等しく圧縮機の吐出側と吸入側とで圧力差がない。そのため、できるだけ早く要求能力に合った凝縮温度、或いは、蒸発温度に到達した状態で運転を行ってユーザに対する快適性の低下を抑制するためには、可能な限り早く冷媒の圧力差を確保する必要がある。
【0054】
しかしこれまで説明してきた通り、本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sでは中間熱交換器6が設けられており、この中間熱交換器6において高圧側の非共沸混合冷媒と低圧側の非共沸混合冷媒とを熱交換する仕組みになっている。
【0055】
従って、特に圧縮機1の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保しなければならない時に冷媒が中間熱交換器6に流入してしまうと、中間熱交換器6において熱交換が行われて冷媒回路C内の非共沸混合冷媒の圧力差が確保しにくくなる。
【0056】
そこで本発明の実施の形態における冷凍サイクル装置Sでは、圧縮機1の起動時においては、制御装置9(駆動制御部94)がバイパス弁B1の開度を全開となるように制御することで、多くの冷媒が中間熱交換器6に流入しないようにしている。
【0057】
つまり、配管長の差や中間熱交換器6内部の圧力損失により、バイパス弁B1が全開とされると、圧縮機1の起動時において圧縮機1から吐出され凝縮器から流出した冷媒は、その多くがバイパス回路Bに流入することになり、冷媒の一部が中間熱交換器6に流入する。このように、バイパス弁B1が全開とされていても全く中間熱交換器6に冷媒が流入しない、ということではないが、バイパス弁B1が全開とされれば、多くの冷媒がバイパス回路Bに流れ、中間熱交換器6に流入する冷媒を少なくすることができる。つまり、中間熱交換器6に冷媒が流入することを回避することができる。
【0058】
このように判定部93は、凝縮器出口温度と凝縮温度所定値との比較、蒸発器出口温度と蒸発温度所定値との比較、或いは、凝縮器出口温度と蒸発器出口温度との温度差と温度差所定値との比較のいずれかの比較を行って冷媒をバイパス回路Bに流すか、或いは、中間熱交換器6に流すかの判定を行う。
【0059】
従って、冷媒を中間熱交換器6に流入させても、中間熱交換器6において十分に熱交換が可能な程、高圧側の冷媒と低圧側の冷媒との間に圧力差が確保されていることが、バイパス回路Bに冷媒を流す状態から中間熱交換器6に冷媒を流す状態に切り替える条件であると考えることができる。
【0060】
この観点からすれば、「凝縮温度所定値」、「蒸発温度所定値」、或いは、「温度差所定値」については、いずれの値も高圧側の冷媒と低圧側の冷媒との間に圧力差が充分であり、中間熱交換器6が有効に機能することが可能な温度、ということができる。これらの所定値は、上記の観点で予め実験等により定められ、記憶部92に記憶される。
【0061】
なお、圧縮機1の起動時における吐出側と吸入側の圧力差がない(小さい)状態から、吐出側と吸入側の圧力差が中間熱交換器6を機能させても要求能力が得られる十分な値となるタイミングと、中間熱交換器が有効に機能し始めるタイミングとの間には、若干の時間差が生ずる。そのため前者のタイミングで、例えば、凝縮温度所定値等を設定し、中間熱交換器6に冷媒を流入させても、実際には中間熱交換器6において有効な熱交換が実行される可能性は低い。そのため、凝縮温度所定値等については、上述したように中間熱交換器6が有効に機能する温度をもって設定される。
【0062】
但し、特に冷凍サイクル装置Sが暖房運転を行う際には、判定部93は、次の条件も加味して判定を行う。すなわち、判定部93は上述した比較処理を実行するとともに、さらに、凝縮器出口温度が予め設定される閾値以上であるか否かの比較処理を実行する。
【0063】
このように暖房運転が行われる際に、判定部93が、上述したような冷媒をバイパス回路Bに流すか、中間熱交換器6に流すかの判定を行うに当たって、さらに条件を付加するのは以下の理由からである。
【0064】
冷媒がバイパス回路Bを流れる状態から中間熱交換器6を流れる状態に切り替わると、中間熱交換器6において凝縮器(室内熱交換器4)を流出した冷媒と蒸発器(室外熱交換器2)を流出した冷媒とが熱交換される。そのため、中間熱交換器6が機能すると、当該中間熱交換器6も凝縮器としての役割を果たすことになるため、一時的にではあるが凝縮温度が低下する。
【0065】
凝縮温度が低下すると、室内熱交換器4から室内に供給される空気の温度が低下してしまう。特に暖房運転の場合には、要求能力に合った運転ができずユーザに冷風感を与えてしまうことになるため、快適性が低下する。そこでこのような快適性の低下を防止するために、凝縮器出口温度が十分に上昇したか否か、すなわち、凝縮器出口温度が閾値以上となったか否かを判定部93において判定することとした。
【0066】
判定部93が、凝縮器出口温度が閾値以上となったと判定した場合、凝縮器出口温度が十分に上昇した状態になっている。そのため、バイパス弁B1を全閉として冷媒がバイパス回路Bを流れる状態から中間熱交換器6を流れる状態に切替え、中間熱交換器6で熱交換が行われてもユーザに冷風感を与えることが回避でき、快適性の低下を防止することができる。
【0067】
なお、例えば、冷凍サイクル装置Sを構成する室内熱交換器4や中間熱交換器6等の各機器の性能等によって凝縮器出口温度がどの温度になるとユーザに対する快適性が低下するかが異なる。そこで、当該閾値については実験等によって得られる数値である。また、ここでの閾値が示す温度は、少なくとも凝縮温度所定値よりも高い温度となるように設定される。
【0068】
また、判定部93が凝縮器出口温度を当該閾値と比較する処理を実行するのは、上述したように冷凍サイクル装置Sが暖房運転を行う場合である。冷凍サイクル装置Sが冷房運転を行う場合にも上述したような作用は生ずるが、冷房運転の場合、そもそも室内熱交換器4から室内に供給される空気は冷風であり、暖房運転が行われる場合よりもユーザに対する快適性が低下する影響は小さい。
【0069】
また、冷凍サイクル装置Sにおいて暖房運転が行われる際、上述した判定部93による凝縮器出口温度が閾値以上となったか否かの判定において、凝縮器出口温度が閾値より低い温度であると判定された場合には、駆動制御部94は、室内ファン41の回転数の増加を禁止する制御を行う。
【0070】
これはこのような場合に室内ファン41の回転数を増加させると、室内熱交換器4における冷媒と室内空気との間の熱交換量が増えて、凝縮温度が低下することになり、快適性の低下を招く原因になりかねないからである。
【0071】
そこで、暖房運転の際に判定部93によって凝縮器出口温度が閾値以上であると判定され、駆動制御部94によってバイパス弁B1の開度が全閉となるように制御されて、冷媒がバイパス回路Bを流れる状態から中間熱交換器6を流れる状態になるまでの間、室内ファン41の回転数が増加しないように制御される。
【0072】
駆動制御部94は、判定部93による冷媒をバイパス回路Bから中間熱交換器6に流入可能とする判定がされるまでの間、現在の室内ファン41の回転数、或いは、記憶部92に記憶されている所定の回転数に従って室内ファン41の駆動を制御する。なお、ここでの室内ファン41の所定の回転数については、実験等によって把握される値であり、事前に記憶部92に記憶されている。
【0073】
ここで冷凍サイクル装置Sが暖房運転を行う際の冷媒回路Cにおける冷媒の流れは以下の通りである。暖房運転が行われる際の冷媒の流れる向きについては、
図1において実線の矢印で示されている。
【0074】
圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁5を介して室内熱交換器4に流入する。室内熱交換器4では、室内空気を吸入して冷媒である非共沸混合冷媒との熱交換を行うことで、暖められた空気を室内に供給する。高温高圧のガス冷媒は、室内熱交換器4を通過する際の熱交換により放熱して高圧の液冷媒となる。
【0075】
室内熱交換器4から流出した高圧の液冷媒は全開となっている第1の減圧機構31を通過した後、圧縮機1の起動時においては、バイパス回路Bのバイパス弁B1が全開とされているので、多くの冷媒が中間熱交換器6に流入せずバイパス回路Bに流入する。
【0076】
バイパス回路Bに流入する冷媒は、高圧の液冷媒であり、バイパス回路Bから流出して第2の減圧機構32に流入する。高圧の液冷媒は第2の減圧機構32を通過する際に減圧され低圧の二相冷媒となる。そして第2の減圧機構32から流出した低圧の二相冷媒は室外熱交換器2に流入する。このとき、第2の減圧機構32は例えば目標吐出温度制御により開度が制御される。なお、目標吐出温度制御とは圧縮機1の吐出温度が目標吐出温度となるように冷媒の流量を調整するために減圧手段の開度を制御する制御である。
【0077】
室外熱交換器2では外気との間で熱交換が行われることで低圧の二相冷媒が吸熱して低圧のガス冷媒となり、四方弁5を通過して中間熱交換器6に流入する。但しここでは室内熱交換器4から流出した冷媒は、基本的に中間熱交換器6に流入しておらず中間熱交換器6において熱交換がされることはない。そして中間熱交換器6から流出した冷媒は、圧縮機1へ吸入される。
【0078】
一方、判定部93によって、例えば、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上になり、さらに、凝縮器出口温度が閾値以上となったと判定された場合、すなわち、安定時には、バイパス回路Bのバイパス弁B1は、駆動制御部94によって全開から全閉とされる。その結果、室内熱交換器4から流出した冷媒は、バイパス回路Bには流入せず中間熱交換器6に流入する。
【0079】
中間熱交換器6においては、室内熱交換器4から流入した凝縮後の高圧の液若しくは二相冷媒と室外熱交換器2から流出した低圧のガス若しくは二相冷媒とが熱交換を行う。そして中間熱交換器6から流出した高圧の液若しくは二相冷媒は、第2の減圧機構32を介して二相冷媒になってさらに室外熱交換器2に流入する。一方、室外熱交換器2から中間熱交換器6に流入したガス若しくは二相冷媒は、中間熱交換器6において熱交換を行って過熱されたガス冷媒になった後、圧縮機1へと吸入される。
【0080】
一方、冷凍サイクル装置Sが冷房運転を行う際の冷媒回路Cにおける冷媒の流れは以下の通りである。冷房運転が行われる際の冷媒の流れる向きについては、
図1において破線の矢印で示されている。
【0081】
冷房運転が行われる際には、圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四方弁5を介して室外熱交換器2に流入する。室外熱交換器2に流入した冷媒は外気との間で熱交換を行い、放熱して高圧の液冷媒となる。
【0082】
ここで室外熱交換器2から流出した高圧の液冷媒は全開となっている第2の減圧機構32を通過した後、圧縮機1の起動時においては、バイパス回路Bのバイパス弁B1が全開とされているので、多くの冷媒は中間熱交換器6に流入せずバイパス回路Bを通って第1の減圧機構31に流入する。第1の減圧機構31に流入した冷媒は、減圧されて低圧の二相冷媒となる。
【0083】
そして室内熱交換器4に流入し、室内熱交換器4を通過する際に室内空気との間で熱交換を行い、低圧の二相冷媒が吸熱してガス冷媒となる。そして冷やされた空気が室内に供給される。室内熱交換器4を流出したガス冷媒は、四方弁5、中間熱交換器6を介して圧縮機1へ吸入される。
【0084】
一方、判定部93によって、室外熱交換器2から流出した冷媒の凝縮器出口温度が、例えば、凝縮温度所定値以上になったと判定された場合、すなわち、安定時には、バイパス回路Bのバイパス弁B1は、駆動制御部94によって全開から全閉とされる。その結果、室外熱交換器2から流出した冷媒は、バイパス回路Bには流入せず中間熱交換器6に流入する。
【0085】
中間熱交換器6では、室外熱交換器2から流出した高圧の液若しくは二相冷媒と、室内熱交換器4から流出した低圧のガス若しくは二相冷媒との熱交換が行われる。そして中間熱交換器6から流出した高圧の液若しくは二相冷媒は、第1の減圧機構31で減圧されて二相冷媒になった後、室内熱交換器4に流入する。また、室内熱交換器4において熱交換された後のガス若しくは二相冷媒は、室内熱交換器4から中間熱交換器6に流入して、上述した熱交換を行って過熱されたガス冷媒になった後、圧縮機1へと吸入される。
【0086】
[動作]
次に、圧縮機1が起動してから凝縮器から流出した冷媒が中間熱交換器6に流入するまでの流れについて、以下、フローチャートを用いて説明する。
【0087】
まず、基本的な流れとして、判定部93において判定の対象とする温度が、凝縮器出口温度、或いは、蒸発器出口温度のいずれかである場合について説明する。但し、凝縮器出口温度、或いは、蒸発器出口温度のいずれであっても制御装置9における判定等の処理の流れは同じであることから、ここでは判定の対象が凝縮器出口温度である場合を例に挙げる。また、ここでの冷凍サイクル装置Sにおける運転は、冷房運転、或いは、暖房運転のいずれであっても良い。
【0088】
図3は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの制御の基本的な流れを示すフローチャートである。まずユーザにより、冷凍サイクル装置Sに冷房運転、或いは、暖房運転の指示が出されることによって、冷凍サイクル装置Sの圧縮機1が起動される(ST1)。
【0089】
上述したように、圧縮機1の起動時においては、圧縮機1の吐出側、及び、吸入側のいずれにおいても等しい圧力となっている。そのため、非共沸混合冷媒の圧力差を確保しなければならない時に冷媒が中間熱交換器6に流入してしまうと、中間熱交換器6において熱交換が行われて冷媒回路C内の非共沸混合冷媒の圧力差が確保しにくくなることから、ユーザからの要求能力に合った運転を行うことができず快適性の低下を招きかねない。
【0090】
そこで制御装置9の駆動制御部94は、バイパス弁B1の開度を全開とする制御を行う(ST2)。この状態で圧縮機1から凝縮器に対して冷媒が吐出される。そして凝縮器から流出した冷媒は、その多くが中間熱交換器6に流入することなくバイパス回路Bを通って蒸発器に流入する。このようにバイパス回路Bを通った冷媒が冷媒回路Cを循環することによって、圧縮機1の吐出側と吸入側とで圧力差が確保しやすくなることになる。
【0091】
冷媒が冷媒回路Cを循環している間、制御装置9では、凝縮器の冷媒出口側に設けられている凝縮器出口温度センサ7で検出される凝縮器出口温度に関する情報を温度検出部91で取得する(ST3)。温度検出部91で取得された凝縮器出口温度に関する情報は、判定部93に送信される。
【0092】
判定部93では、取得した凝縮器出口温度と記憶部92に予め記憶されている凝縮温度所定値とを比較する(ST4)。そして比較の結果、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値よりも小さな値である場合には(ST5のNO)、ステップST3に戻って、引き続き凝縮器出口温度と凝縮温度所定値との比較を実行する。
【0093】
これは、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上となっておらず、まだ冷媒の圧力差が確保されていないため、中間熱交換器6に冷媒を流入させて熱交換を行うことはできないからである。そのため、駆動制御部94によるバイパス弁B1の開度の制御は、これまで通り全開のまま維持される。
【0094】
一方、判定部93において、取得した凝縮器出口温度と凝縮温度所定値との比較を行った結果、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であると判定された場合には(ST5のYES)、判定部93は、駆動制御部94に対してバイパス弁B1の開度を全開から全閉とするよう指示する。
【0095】
駆動制御部94では、判定部93からの指示に基づいて、バイパス弁B1が全閉となるように制御する(ST6)。この制御によって、凝縮器から流出した冷媒は、バイパス回路Bを通って直接蒸発器に流入するのではなく、凝縮器から中間熱交換器6に対して流入することになる。
【0096】
そして、中間熱交換器6においては、凝縮器から流出した冷媒と蒸発器から流出した冷媒との間で熱交換が行われる。この状態では凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であって、冷媒の圧力差が確保されているので、中間熱交換器6において熱交換が行われてもユーザからの要求能力に合った運転を行うことができ、快適性が低下することも回避できる。
【0097】
次に、冷凍サイクル装置Sにおいて、特に暖房運転が行われる際の圧縮機1が起動してから凝縮器から流出した冷媒が中間熱交換器6に流入するまでの流れについて説明する。
図4は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の制御の流れの別の態様を示すフローチャートである。
【0098】
基本の流れは、
図3を用いて説明した通りであるが、暖房運転の場合は、特に凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上となっただけではなく、さらに、凝縮器出口温度が閾値以上となったか否かについても判定部93において判定される(ST11)。
【0099】
これは上述したように、凝縮器出口温度が予め設定されている閾値以上の温度となっていない状態で中間熱交換器6において熱交換が行われると、室内熱交換器4から室内への吹き出し温度が低下する可能性があるからである。もし吹き出し温度が低下してしまうと、ユーザに対する快適性の低下を招く。
【0100】
そのため、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であって、さらに、閾値以上となった場合にのみ中間熱交換器6に冷媒を流入させて熱交換を行わせることとしたものである。そのため、もし凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であった場合でも(ST5のYES)、凝縮器出口温度が閾値以上となっていない場合には(ST11のNO)、ステップST3に戻って、改めて判定部93による凝縮器出口温度と凝縮温度所定値との比較等の処理が実行される。
【0101】
次に、上述した圧縮機1が起動してから凝縮器から流出した冷媒が中間熱交換器6に流入するまでの流れに、室内ファン41の制御の流れを組み合わせた制御の流れについて説明する。なお、この場合も冷凍サイクル装置Sが暖房運転を行う場合である。
図5は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの制御の流れにおいて、特に凝縮器として機能する室内熱交換器4が備える室内ファン41の制御との関係について説明するフローチャートである。
【0102】
まずユーザにより、冷凍サイクル装置Sに暖房運転の指示が出されることによって、冷凍サイクル装置Sの圧縮機1が起動される(ST1)。そしてこの圧縮機1の起動と合わせて室内熱交換器4の室内ファン41も起動する(ST21)。
【0103】
ここでの室内ファン41の回転数については、まだ圧縮機1も起動したばかりであるので、予め設定された、低い回転数である。また、当該室内ファン41の回転数については、駆動制御部94において、その回転数の増加が禁止とされる(ST22)。
【0104】
圧縮機1の起動時においては、上述したようにまだ中間熱交換器6に冷媒を流入させることができないため、制御装置9の駆動制御部94は、バイパス弁B1の開度を全開とする制御を行う(ST2)。
【0105】
また、制御装置9では、凝縮器出口温度センサ7で検出された凝縮器出口温度に関する情報を基に、凝縮器出口温度と凝縮温度所定値との比較を行い、さらに、凝縮器出口温度が閾値以上となったか否かの判定も行う(ST3~ST5)。
【0106】
判定部93によって凝縮器出口温度が凝縮温度所定値より低い温度の場合(ST5のNO)、或いは、凝縮器出口温度が閾値より低い温度であると判定された場合(ST11のNO)には、ステップST3に戻る。
【0107】
一方、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であり、閾値以上であると判定された場合には(ST5のYES、ST11のYES)、判定部93は、駆動制御部94がバイパス弁B1を全閉とする制御を行う(ST6)。
【0108】
この制御によって、凝縮器から流出した冷媒は、凝縮器から中間熱交換器6に対して流入し、熱交換が行われる。上述したようにこの状態であれば、冷媒の圧力差が確保されているので、ユーザからの要求能力に合った運転を行うことができ、快適性が低下することも回避できる。
【0109】
そこで、これまで室内ファン41の回転数の増加となる制御が禁止されていた状態が解除される(ST23)。そして判定部93において室内ファン41の回転数の制御の必要性について判定される(ST24)。室内ファン41の回転数の制御の必要性については、ユーザの指示等種々の制御に基づく回転数変更の要求がある場合、判定部93は室内ファン41の回転数の制御が必要であると判定する。
【0110】
そして、判定部93によって室内ファン41の回転数の制御が必要であると判定された場合には、(ST24のYES)、要求に応じた回転数となるように駆動制御部94に室内ファン41の回転数の変更の指示を出す。駆動制御部94では、要求に合わせた回転数となるように室内ファン41の回転数を制御する(ST25)。
【0111】
一方、判定部93が室内ファン41の回転数に関する要求を確認した結果、特にこれまでの回転数を変更する必要はないと判定した場合には(ST24のNO)、駆動制御部94に対して、これまでの回転数を維持するよう指示を出す。駆動制御部94では、当該指示に基づいて、室内ファン41の回転数を維持する制御を行う(ST26)。
【0112】
以上、判定部93が冷媒をバイパス回路Bに流すか、或いは、中間熱交換器6に流すかの判定を行う基準として、凝縮器出口温度センサ7が取得した凝縮器出口温度、或いは、蒸発器出口温度センサ8が取得した蒸発器出口温度を用いる場合について説明した。
【0113】
但し、判定の基準としては、これら凝縮器出口温度、或いは、蒸発器出口温度のいずれかを用いる場合の他、両者の温度差を用いることもできる。
図6は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置Sの制御の流れにおいて、凝縮器出口温度と蒸発器出口温度との温度差を用いる場合の流れを示すフローチャートである。
【0114】
まずユーザにより、冷凍サイクル装置Sに冷房運転、或いは、暖房運転の指示が出されることによって、冷凍サイクル装置Sの圧縮機1が起動される(ST1)。そして、制御装置9の駆動制御部94が、バイパス弁B1の開度を全開とする制御を行う(ST2)。
【0115】
制御装置9の温度検出部91では、凝縮器出口温度センサ7、及び、蒸発器出口温度センサ8において検出された、凝縮器出口温度、及び、蒸発器出口温度に関する情報を取得する(ST31)。取得されたこれらの凝縮器出口温度の値、及び、蒸発器出口温度の値を用いて、判定部93では、両者の温度差を算出する(ST32)。
【0116】
その上で、判定部93は、記憶部92に予め設定されている両者の温度差所定値を取得して、凝縮器出口温度の値と蒸発器出口温度の値との温度差と、当該温度差所定値との比較を行う(ST33)。
【0117】
比較の結果、両者の温度差が温度差所定値より小さな値である場合には(ST34のNO)、ステップST31に戻り、改めて取得された凝縮器出口温度、及び、蒸発器出口温度の温度差を算出し、温度差所定値との比較を行う。
【0118】
一方で、判定部93が、両者の温度差が温度差所定値以上であると判定した場合には(ST34のYES)、判定部93は駆動制御部94に対してバイパス弁B1を全閉とするように制御するよう指示する。この指示に基づいて駆動制御部94はバイパス弁B1を全閉とする(ST6)。
【0119】
以上説明したように、凝縮器と蒸発器との間に設けられる中間熱交換器へ冷媒が流れることを回避するためのバイパス回路及びバイパス弁を設けることによって、非共沸混合冷媒を用い中間熱交換器が設けられた場合であっても、特に圧縮機の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保して要求能力に合った運転を行うことでユーザに対する快適性の低下を抑制することができる冷凍サイクル装置S及び冷凍サイクル装置Sの制御方法を提供することができる。
【0120】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、本発明の一例を示したものである。実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化でき、また、上記実施の形態には種々の変更又は改良を加えることが可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。
【0121】
例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよく、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明に含まれ得る。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0122】
これまでの説明では、凝縮器から流出した冷媒をバイパス回路Bに流すか、或いは、中間熱交換器6に流すかの判定に当たっては、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否か、といった、温度を基準としていた。但し、この判定の基準としてこのような温度ではなく、例えば、圧力センサを用いた高圧側の冷媒の圧力と低圧側の冷媒の圧力との差を用いることも可能である。
【0123】
また、凝縮温度所定値、蒸発温度所定値、温度差所定値、及び、閾値、については、固定値であっても、冷凍サイクル装置Sの運転条件に基づいて、判定の都度、設定した上で、判定を行うこととしても良い。
【符号の説明】
【0124】
1・・・圧縮機、2・・・室外熱交換器、21・・・室外ファン、3・・・減圧手段、4・・・室内熱交換器、41・・・室内ファン、5・・・四方弁、6・・・中間熱交換器、7・・・凝縮器出口温度センサ、71・・・第1の凝縮器出口温度センサ、72・・・第2の凝縮器出口温度センサ、8・・・蒸発器出口温度センサ、9・・・制御装置、91・・・温度検出部、92・・・記憶部、93・・・判定部、94・・・駆動制御部、B・・・バイパス回路、B1・・・バイパス弁、C・・・冷媒回路、S・・・冷凍サイクル装置
【要約】
【課題】非共沸混合冷媒を用い中間熱交換器が設けられた場合であっても、特に圧縮機の起動時における非共沸混合冷媒の圧力差を確保して要求能力に合った運転を行うことでユーザに対する快適性の低下を抑制する。
【解決手段】圧縮機1と、凝縮器と、減圧手段3と、蒸発器が冷媒配管で順次接続され、非共沸混合冷媒が循環する冷媒回路Cと、中間熱交換器6と、中間熱交換器6をバイパスするバイパス回路Bと、バイパス回路Bに設けられるバイパス弁B1と、凝縮器出口温度センサ7と、蒸発器出口温度センサ8と、制御装置9と、を備え、制御装置9は、凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上であるか否かを判定する判定部93と、圧縮機1の起動時にはバイパス弁B1を全開となるように制御し、判定部93において凝縮器出口温度が凝縮温度所定値以上と判定された場合には、バイパス弁B1を全閉となるように制御する駆動制御部94と、を備える。
【選択図】
図1