IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水ハウス株式会社の特許一覧

特許7601189建築物、制御システム、および、制御プログラム
<>
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図1
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図2
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図3
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図4
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図5
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図6
  • 特許-建築物、制御システム、および、制御プログラム 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】建築物、制御システム、および、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20241210BHJP
   F24F 11/33 20180101ALI20241210BHJP
   F24F 11/523 20180101ALI20241210BHJP
【FI】
H04Q9/00 301D
F24F11/33
F24F11/523
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023195851
(22)【出願日】2023-11-17
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 窓
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/235098(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/049645(WO,A1)
【文献】特開2018-067053(JP,A)
【文献】特開2020-091720(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F24F 11/33
F24F 11/523
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御するように構成される制御システムを有する建築物であって、
前記制御システムは、
前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサと、
前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサと、
前記人が現在居る部屋から前記第1部屋に至る経路上の温度を検出するように構成される経路温度センサと、
前記第1部屋とは異なる複数の第2部屋における前記人を検出するように構成される人感センサと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成されるリスク判定部と、
前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御するように構成される機器制御部と、
前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成されるリスク報知部と、
前記人感センサの検出結果に基づいて前記複数の前記第2部屋のいずれに前記人が居るかを判定するように構成される所在判定部と、
前記複数の前記第2部屋のうちの2つ以上の部屋に前記人が居ると判定される場合には、ユーザが前記2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示することによって、前記第2部屋についての選択を取得するように構成される所在選択部と、を有し、
前記リスク判定部は、
前記所在選択部が取得した情報に基づいて、選択された前記第2部屋から前記第1部屋に至る経路を特定し、かつ、前記経路温度センサによって検出される前記経路上の温度に基づいて前記経路上における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成され、
前記リスク報知部は、前記経路上における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成され、
前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である、
建築物。
【請求項2】
前記特定建築要素は、建具であり、
前記状態検出センサは、前記建具の開閉状態を検出するように構成される建具センサであり、
前記機器は、空調機器であり、
前記機器制御部は、
前記リスク判定部が前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクが高いと判定し、かつ、前記建具センサによって前記建具が閉状態であると検出される場合、前記空調機器の運転状態を稼働状態とし、
前記リスク判定部が前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクが高いと判定し、かつ、前記建具センサによって前記建具が開状態であると検出される場合、前記空調機器の運転状態を停止状態とするように構成される、
請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
前記制御システムは、前記人の心拍数を検出するように構成される心拍センサを、さらに備え、
前記リスク判定部は、前記第1部屋の温度に加えて前記心拍数に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成される、
請求項1または2に記載の建築物。
【請求項4】
建築物の第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御するように構成される制御システムであって、
前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサと、
前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサと、
前記人が現在居る部屋から前記第1部屋に至る経路上の温度を検出するように構成される経路温度センサと、
前記第1部屋とは異なる複数の第2部屋における前記人を検出するように構成される人感センサと、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における人の前記疾患リスクを判定するように構成されるリスク判定部と、
前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御するように構成される機器制御部と、
前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成されるリスク報知部と、
前記人感センサの検出結果に基づいて前記複数の前記第2部屋のいずれに前記人が居るかを判定するように構成される所在判定部と、
前記複数の前記第2部屋のうちの2つ以上の部屋に前記人が居ると判定される場合には、ユーザが前記2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示することによって、前記第2部屋についての選択を取得するように構成される所在選択部と、を有し、
前記リスク判定部は、
前記所在選択部が取得した情報に基づいて、選択された前記第2部屋から前記第1部屋に至る経路を特定し、かつ、前記経路温度センサによって検出される前記経路上の温度に基づいて前記経路上における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成され、
前記リスク報知部は、前記経路上における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成され、
前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である、
制御システム。
【請求項5】
建築物の第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御する制御プログラムであって、
コンピュータに、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定させる第1ステップと、
前記コンピュータに、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサの検出結果から、前記特定建築要素の状態を判定させる第2ステップと、
前記コンピュータに、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御させる第3ステップと、
前記コンピュータに、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知させる第4ステップと、
前記コンピュータに、前記第1部屋とは異なる複数の第2部屋における前記人を検出するように構成される人感センサの検出結果に基づいて前記複数の前記第2部屋のいずれに前記人が居るかを判定させる第5ステップと、
前記コンピュータに、前記複数の前記第2部屋のうちの2つ以上の部屋に前記人が居ると判定される場合には、ユーザが前記2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示することによって、前記第2部屋についての選択を取得させる第6ステップと、
前記コンピュータに、前記第6ステップで取得した情報に基づいて、選択された前記第2部屋から前記第1部屋に至る経路を特定させる第7ステップと、
前記コンピュータに、前記人が現在居る部屋から前記第1部屋に至る経路上の温度を検出するように構成される経路温度センサによって検出される前記経路上の温度に基づいて前記経路上における前記人の前記疾患リスクを判定させる第8ステップと、
前記コンピュータに、前記経路上における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知させる第9ステップと、を含み、
前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である、
制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建築物、制御システム、および、制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
部屋の温度が原因で発生する疾患リスクを回避するためのシステムが提案されている。例えば、部屋の温度が低い場合に、その部屋に配置されるエアコン等の機器を自動的に制御するようなシステムがある。一例として、特許文献1には、使用者が浴室に向かう際の動線上の各部屋の温度を制御する温度制御システムが開示されている。特許文献1では、各部屋の温度に応じて、各部屋に配置される温度調整部が制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2020/235100号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部屋の温度を調整するように機器を制御することによって、部屋の温度が原因で発生する疾患リスクを抑制できる。しかし、部屋の状態によっては部屋の温度調整を効率的に行えない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する建築物は、第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御するように構成される制御システムを有する建築物であって、前記制御システムは、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサと、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成されるリスク判定部と、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御するように構成される機器制御部と、を有し、前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。
【0006】
この構成によれば、第1部屋における疾患リスクと特定建築要素の状態とに基づいて機器を制御できる。第1部屋において、第1部屋の換気、断熱、採光、または、遮光の状態に基づいて機器が制御されるため、より効率的に機器を制御できる。
【0007】
(2)上記(1)に記載の建築物において、前記特定建築要素は、建具であり、前記状態検出センサは、前記建具の開閉状態を検出するように構成される建具センサであり、前記機器は、空調機器であり、前記機器制御部は、前記リスク判定部が前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクが高いと判定し、かつ、前記建具センサによって前記建具が閉状態であると検出される場合、前記空調機器の運転状態を稼働状態とし、前記リスク判定部が前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクが高いと判定し、かつ、前記建具センサによって前記建具が開状態であると検出される場合、前記空調機器の運転状態を停止状態とするように構成される。
【0008】
この構成によれば、建具が開いている状態において空調機器が稼働することが抑制されるため、第1部屋における空調機器の消費電力の増加を抑制できる。
【0009】
(3)上記(1)または(2)に記載の建築物において、前記制御システムは、前記人が現在居る部屋から前記第1部屋に至る経路上の温度を検出するように構成される経路温度センサを、さらに備え、前記制御装置は、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成されるリスク報知部を有し、前記リスク判定部は、前記経路温度センサによって検出される前記経路上の温度に基づいて前記経路上における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成され、前記リスク報知部は、前記経路上における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成される。
【0010】
この構成によれば、ユーザが第1部屋への経路上における疾患リスクを把握できる。
【0011】
(4)上記(3)に記載の建築物において、前記制御システムは、前記第1部屋とは異なる複数の第2部屋における前記人を検出するように構成される人感センサを、さらに備え、前記制御装置は、前記人感センサの検出結果に基づいて前記複数の前記第2部屋のいずれに前記人が居るかを判定するように構成される所在判定部と、前記複数の前記第2部屋のうちの2つ以上の部屋に前記人が居ると判定される場合には、ユーザが前記2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示することによって、前記第2部屋についての選択を取得するように構成される所在選択部と、を有し、前記リスク判定部は、前記所在選択部が取得した情報に基づいて、選択された前記第2部屋から前記第1部屋に至る経路を特定する。
【0012】
この構成によれば、リスク判定部が、第2部屋から第1部屋までの経路を好適に判定できる。
【0013】
(5)上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の建築物において、前記制御システムは、前記人の心拍数を検出するように構成される心拍センサを、さらに備え、前記リスク判定部は、前記第1部屋の温度に加えて前記心拍数に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成される。
【0014】
この構成によれば、第1部屋の温度に加えて、心拍数に基づいて疾患リスクを判定できるため、リスク判定部が、より精確に疾患リスクを判定できる。
【0015】
(6)上記課題を解決する制御システムは、建築物の第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御するように構成される制御システムであって、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサと、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における人の前記疾患リスクを判定するように構成されるリスク判定部と、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御するように構成される機器制御部と、を有し、前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。
【0016】
この構成によれば、第1部屋における疾患リスクと特定建築要素の状態とに基づいて機器を制御できる。第1部屋において、第1部屋の換気、断熱、採光、または、遮光の状態に基づいて機器が制御されるため、制御システムは、より効率的に機器を制御できる。
【0017】
(7)上記課題を解決する制御プログラムは、建築物の第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定させる第1ステップと、コンピュータに、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサの検出結果から、前記特定建築要素の状態を判定させる第2ステップと、コンピュータに、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御させる第3ステップと、を含み、前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。
【0018】
この構成によれば、機器が、第1部屋における疾患リスクと特定建築要素の状態とに基づいて制御される。第1部屋の換気、断熱、採光、または、遮光の状態に基づいて機器が制御されるため、より効率的に機器を制御できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示の建築物、制御システム、および、制御プログラムは、機器を効率的に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態の建築物の間取り図である。
図2】実施形態に係る制御システムのブロック図である。
図3】部屋情報の一例を示す図である。
図4】機器情報の一例を示す図である。
図5】人情報の一例を示す図である。
図6】ユーザ端末に表示される間取り図の例である。
図7】機器制御部によって実行される制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<実施形態>
図1から図7を参照して、実施形態に係る建築物10および制御システム20を説明する。
【0022】
<建築物>
図1に示されるように、本実施形態の建築物10は、戸建ての住宅である。図1は、1階建ての戸建ての住宅を例示するが、戸建ての住宅は2階以上の階数を有していてもよい。建築物10は、集合住宅、宿泊施設、医療施設、および、老人施設等の居住施設であってもよい。
【0023】
建築物10は、複数の部屋を有する。例えば、建築物10は、部屋として、脱衣所12a、個室12b、リビング12c、キッチン12d、および、浴室11aを備える。建築物10は、廊下13を備える。
【0024】
本実施形態における制御システム20では、目的に応じて、いずれか1つの部屋が第1部屋11に設定される。建築物10には、第1部屋11に設定可能な1または複数の部屋が設けられる。第1部屋11に設定可能な部屋には、後述の機器14、後述の特定建築要素15、および、後述の温度センサ21が設けられる。すなわち、機器14、特定建築要素15、および、温度センサ21が設けられる部屋のみが、第1部屋11に設定可能である。
【0025】
建築物10には、第2部屋12に設定可能な1または複数の部屋が設けられる。本実施形態の建築物10には、複数の部屋が設けられる。第2部屋12は、第1部屋11とは異なる部屋である。制御システム20上において、第2部屋12を選択するために用意される部屋は、第1部屋11と異なるように設定される。
【0026】
本実施形態では、ヒートショックの抑制のため、浴室11aが第1部屋11に設定される。本実施形態の複数の第2部屋12は、脱衣所12a、個室12b、リビング12c、および、キッチン12dを含んでいる。廊下13は、第1部屋11と、複数の第2部屋12のそれぞれとを繋いでいる。
【0027】
建築物10は、機器14を有する。機器14は、インターネット等の通信ネットワークを介して、制御システム20と通信可能である。機器14は、建築物10の第1部屋11に配置されている電気機器である。第1部屋11に配置される機器14とは別の機器14が、複数の第2部屋12のいずれか、および、廊下13に配置されてもよい。
【0028】
機器14は、その機器14が配置される部屋の環境を変化させる電気機器である。機器14の例は、空調機器、暖房装置、および、換気扇である。暖房装置の例は、ファンヒータ、および、ストーブである。換気扇は、外気を第1部屋11に取り込むことによって、第1部屋11を換気する。本実施形態の機器14は、空調機器14aである。空調機器14aは、第1部屋11の温度を変化させる。空調機器14aは、冷房機能および暖房機能の少なくとも1つを有する。本実施形態では、空調機器14aが、第2部屋12の脱衣所12aと廊下13にも配置される。
【0029】
第1部屋11に設定可能な部屋には、特定建築要素15が設けられる。特定建築要素15は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。特定建築要素15の例は、建具、シャッター、および、カーテンである。特定建築要素15は、開いた状態において、換気および採光の少なくとも1つを行う。特定建築要素15は、閉じた状態において、断熱および遮光の少なくとも1つを行う。本実施形態の特定建築要素15は、建具15aである。建具15aは、例えば、室外と繋がる窓である。建具15aは、室内と繋がる扉であってもよい。建具15aは、開いた状態において、浴室11aの換気を行う。建具15aは、閉じた状態において、外気からの断熱、および、採光を行う。建具15aは、閉じた状態において遮光を行うスモークガラスによって構成されてもよい。
【0030】
<制御システム>
図1および図2に示されるように、建築物10は、制御システム20を有する。制御システム20は、HEMS(Home Energy Management System)を構成する。HEMSには、機器14が接続される。制御システム20は、建築物10における人の疾患リスクを判定するように構成される。疾患リスクの例としては、温度差のある部屋間を移動した場合に発生するヒートショックリスク、温度差のある部屋間を移動した場合に発生する高血圧、温度が高い部屋に長時間所在することによって発生する熱中症リスクなどがある。制御システム20は、疾患リスクをユーザに報知するように構成される。疾患リスクを報知されるユーザは、疾患リスクの本人であってもよく、本人の家族、知り合い、本人が通院する主治医等の他人であってもよい。制御システム20は、第1部屋11における人の疾患リスクが低減するように、第1部屋11に配置される機器14を制御するように構成される。
【0031】
制御システム20は、温度センサ21と、状態検出センサ22と、制御装置30と、を備える。制御システム20は、経路温度センサ23を、さらに備えてもよい。制御システム20は、人感センサ24を、さらに備えてもよい。制御システム20は、心拍センサ25を、さらに備えてもよい。温度センサ21、状態検出センサ22、経路温度センサ23、および、人感センサ24は、有線または無線によって制御装置30と通信可能に接続される。温度センサ21、状態検出センサ22、経路温度センサ23、および、人感センサ24は、無線LAN、インターネット等の通信ネットワークを介して制御装置30と接続されてもよい。制御システム20は、ユーザ端末40を、さらに備えてもよい。ユーザ端末40は、インターネット等の通信ネットワークを介して制御装置30と接続される。
【0032】
<センサ>
温度センサ21は、第1部屋11の温度を検出するように構成される。制御システム20は、複数の温度センサ21を備えてもよい。温度センサ21のうちの1つが、第1部屋11に配置される。温度センサ21は、複数の第2部屋12のそれぞれに配置されてもよい。複数の温度センサ21のうちの1つは、廊下13にも配置されてもよい。温度センサ21は、検出した温度に関する信号を制御装置30に出力する。
【0033】
状態検出センサ22は、第1部屋11に設けられる特定建築要素15の状態を検出するように構成される。状態検出センサ22は、例えば、特定建築要素15が建具15aである場合、特定建築要素15の開閉状態を検出するように構成される。経路温度センサ23は、特定建築要素15の状態を検出すると、特定建築要素15の状態に関する信号を制御装置30に送信する。本実施形態の状態検出センサ22は、建具センサ22aである。建具センサ22aは、建具15aの開閉状態を検出するように構成される。建具センサ22aは、建具15aの開閉状態に関する信号を制御装置30に出力する。
【0034】
<経路温度センサ>
経路温度センサ23は、人が現在居る部屋から第1部屋11に至る経路R上の温度を検出するように構成される。本実施形態の経路温度センサ23は、複数の第2部屋12のそれぞれに配置される温度センサ21、および、廊下13に配置される温度センサ21であってもよい。経路温度センサ23は、温度センサ21とは別に設けられてもよい。経路温度センサ23は、経路R上の温度を検出すると、経路R上の温度に関する信号を制御装置30に出力する。
【0035】
<人感センサ>
人感センサ24は、複数の第2部屋12における人を検出するように構成される。人感センサ24は、例えば、焦電センサである。焦電センサは、第2部屋12における人の動きを検知することによって、第2部屋12において人を検出する。制御システム20は、複数の人感センサ24を備えてもよい。複数の人感センサ24は、複数の第2部屋12だけでなく、廊下13に配置されてもよい。人感センサ24は、第2部屋12の天井または壁面に取り付けられてもよい。人感センサ24は、第2部屋12において人を検出すると、第2部屋12において人が検出されたことを示す信号を制御装置30に送信する。
【0036】
<心拍センサ>
心拍センサ25は、人の心拍数を検出するように構成される。心拍センサ25は、人の心拍数を遠隔で取得するように構成される。心拍センサ25は、例えば、ドップラーセンサーである。心拍センサ25は、第1部屋11、複数の第2部屋12、および、廊下13のそれぞれに配置される。心拍センサ25は、部屋の天井または壁面に取り付けられてもよい。心拍センサ25は、例えば、人が身に着けることのできるウェアラブル端末であってもよい。心拍センサ25は、人の心拍数を検出すると、人の心拍数を示す信号を制御装置30に送信する。
【0037】
<制御装置>
制御装置30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、ディスプレイ、通信回路、及び入力デバイスを含むコンピュータである。制御装置30は、例えば、自宅サーバとして構成される。制御装置30は、例えば、第2部屋12のうちのいずれかの部屋に配置される。本実施形態では、制御装置30は建築物10に配置されるが、制御装置30は、クラウドサーバのような外部サーバによって構成されてもよい。制御装置30は、機器14のうちの1つに搭載されてもよい。制御装置30は、インターネット等の通信ネットワークを介して、建築物10外の端末装置とデータ通信可能に構成されてもよい。制御装置30は、コンピュータプログラムを実行することによって、機器14を制御する。
【0038】
制御装置30は、リスク判定部31と、機器制御部32と、を有する。制御装置30は、リスク報知部33を有する。制御装置30は、所在判定部34と、所在選択部35と、を有してもよい。リスク判定部31、機器制御部32、リスク報知部33、所在判定部34、および、所在選択部35は、プログラムによって動作する1つまたは複数のCPU、または、1つまたは複数のMPU(Micro Processing Unit)を含む。リスク判定部31、機器制御部32、リスク報知部33、所在判定部34、および、所在選択部35は、CPUまたはMPUを含む回路、特定用途向け集積回路(ASIC)を含む回路、或いは、これらの回路の組み合わせ回路として構成されてもよい。リスク判定部31、機器制御部32、リスク報知部33、所在判定部34、および、所在選択部35は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等のメモリを含んでもよい。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムを格納する。
【0039】
制御装置30は、部屋情報記憶部36と、機器情報記憶部37と、人情報記憶部38と、を有する。部屋情報記憶部36、機器情報記憶部37、および、人情報記憶部38は、RAM及びROM等の半導体メモリ、ハードディスク、磁気テープ、または、光ディスクによって構成される。
【0040】
<所在判定部>
所在判定部34は、人感センサ24の検出結果に基づいて複数の第2部屋12のいずれに人が居るかを判定するように構成される。例えば、所在判定部34は、人感センサ24が複数の第2部屋12のうちの1つの部屋において人を検出すると、第2部屋12に人が居ると判定する。
【0041】
<所在選択部>
所在選択部35は、所在判定部34によって複数の第2部屋12のうちの2つ以上の部屋に人が居ると判定される場合には、ユーザが2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示するように構成される。さらに、所在選択部35は、ユーザが2つ以上の部屋から1つを選択可能なように部屋の選択を提示することによって、第2部屋12についての選択を取得するように構成される。具体的には、所在判定部34が、複数の第2部屋12のうちの2つ以上の部屋に人が居ると判定した場合、所在選択部35は、人が居ると所在判定部34が判定した2つ以上の部屋を、ユーザ端末40を介してユーザに提示する。ユーザが2つ以上の部屋から1つの部屋を選択すると、所在選択部35は、ユーザが選択した部屋を、現在人が居る部屋と特定する。
【0042】
<リスク判定部>
リスク判定部31は、建築物10において、温度に基づいて人の疾患リスクを判定するように構成される。
【0043】
[第1部屋へ人が移動するときの疾患リスク判定]
リスク判定部31は、温度センサ21によって検出される第1部屋11の温度に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定するように構成される。具体的には、リスク判定部31は、人が第1部屋11以外の部屋に居る場合に、その部屋から第1部屋11に移動したときにおける、部屋間の温度差による人の疾患リスクを判定する。
【0044】
リスク判定部31は、ヒートショックに関する疾患リスクを判定する場合において、第1部屋11の温度が条件(A1)または(A2)に当てはまると、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する。なお、第1閾値および第2閾値は、季節、気温、人の年齢等に応じて設定可能である。
(A1)第1部屋11の温度が第1閾値以下である。
(A2)第1部屋11の温度が現在人の居る部屋の温度よりも第2閾値以上低い。
【0045】
一例として、リスク判定部31は、ヒートショックに関する疾患リスクを判定する場合において、第1部屋11の温度が条件(B1)または(B2)に当てはまると、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する。
(B1)第1部屋11の温度が15℃以下である。
(B2)第1部屋11の温度が現在人の居る場所の温度よりも10℃以上低い。
【0046】
リスク判定部31は、高温に起因する高血圧に関する疾患リスクを判定する場合において、第1部屋11の温度が条件(C1)または(C2)に当てはまると、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する。高温に起因する高血圧は、現在の部屋よりも冷えた部屋に移動した際に起こる疾患の一例である。なお、第3閾値および第4閾値は、季節、気温、人の年齢等に応じて設定可能である。
(C1)第1部屋11の温度が第3閾値以下である。
(C2)第1部屋11の温度が現在人の居る部屋の温度よりも第4閾値以上低い。
【0047】
一例として、リスク判定部31は、高温に起因する高血圧に関する疾患リスクを判定する場合において、第1部屋11の温度が条件(D1)または(D2)に当てはまると、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する。
(D1)第1部屋11の温度が25℃以下である。
(D2)第1部屋11の温度が現在人の居る場所の温度よりも10℃低い。
【0048】
[人が移動しているときの疾患リスク判定]
リスク判定部31は、現在人が居る第2部屋12から第1部屋11までの経路Rを判定する。リスク判定部31は、現在人が居る第2部屋12を、所在判定部34の判定に基づいて特定する。所在判定部34が、複数の第2部屋12のうちの2つ以上の部屋に人が居ると判定する場合、リスク判定部31は、所在選択部35が取得した情報に基づいて、選択された第2部屋12から第1部屋11に至る経路Rを特定する。図1の例では、個室12bから、廊下13および脱衣所12aを通った後に、第1部屋11に至る経路Rが例示される。所定の第2部屋12から第1部屋11までの経路Rは、予め制御装置30に記憶されてもよい。リスク判定部31は現在人が居る第2部屋12から、第1部屋11までの最短経路を経路Rとして導き出すように構成されてもよい。
【0049】
リスク判定部31は、経路温度センサ23によって検出される経路R上の温度に基づいて経路R上における人の疾患リスクを判定するように構成される。リスク判定部31は、第1部屋11における人の疾患リスクの判定と同じ条件によって、経路R上における人の疾患リスクを判定する。
【0050】
[人が第1部屋に居るときの疾患リスク判定]
リスク判定部31は、人が第1部屋11に居る場合において、第1部屋11における人の疾患リスクを判定する。具体的には、リスク判定部31は、人が居る第1部屋11の温度による人の疾患リスクを判定する。
【0051】
リスク判定部31は、熱中症に関する疾患リスクを判定する場合において、第1部屋11の温度が第5閾値以上である場合に、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する。なお、第5閾値は、季節、気温、人の年齢等に応じて設定可能である。
【0052】
一例として、リスク判定部31は、熱中症に関する疾患リスクを判定する場合において、第1部屋11の温度が28℃以上である場合に、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する。
【0053】
リスク判定部31は、心拍数に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定するように構成されてもよい。リスク判定部31は、心拍数が第6閾値以上である場合に疾患リスクが高いと判定する。なお、第6閾値は、季節、気温、人の年齢等に応じて設定可能である。
【0054】
リスク判定部31は、第1部屋11の温度に加えて心拍数に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定するように構成される。リスク判定部31は、例えば、人の心拍数に応じて、各条件の第1から第5閾値を変更してもよい。例えば、リスク判定部31は人の心拍数が大きい程、人の疾患リスクが判定され易くなるように、第1から第5閾値を変更する。リスク判定部31は人の心拍数から不整脈の傾向がある場合に、人の疾患リスクが判定され易くなるように、第1から第5閾値を変更してもよい。
【0055】
<リスク報知部>
リスク報知部33は、ユーザ端末40と通信するように構成される。リスク報知部33は、ユーザ端末40に建築物10の間取り図、経路R、建築物10の各部屋の疾患リスク等に関する情報を送信する。リスク報知部33は、第1部屋11における人の疾患リスクをユーザに報知するように構成される。第1部屋11における人の疾患リスクは、第1部屋11へ人が移動するときの疾患リスク、人が移動しているときの疾患リスク、および、人が第1部屋11に居るときの疾患リスクを含む。
【0056】
リスク報知部33は、ユーザ端末40に入力されたユーザからの要求に応じて、第1部屋11における人の疾患リスクをユーザに報知する。例えば、第1部屋11へ人が移動する場合、ユーザ端末40に入力されたユーザからの要求に応じて、リスク報知部33は、経路R上における人の疾患リスクをユーザに報知するように構成される。リスク報知部33は、ユーザ端末40を介して人の疾患リスクをユーザに報知する。リスク報知部33は、第1部屋11における人の疾患リスクが高い場合に、疾患リスクが高いことをユーザに報知するように構成されてもよい。
【0057】
<部屋情報記憶部>
部屋情報記憶部36は、第1部屋11、複数の第2部屋12、および、廊下13のそれぞれに関する部屋情報を記憶するように構成される。図3は、部屋情報記憶部36に記憶される部屋情報の一例を示す。部屋情報は、第1部屋11、複数の第2部屋12、および、廊下13のそれぞれの識別番号ごとに、部屋種別と環境状態と建築要素と建築要素状態とを含む。部屋種別は、各部屋の用途である。環境状態は、各部屋の環境を示す状態である。図3の例では、環境情報として各部屋の温度が記憶される。建築要素は、各部屋に配置される特定建築要素15の種類を示す。建築要素状態は、各部屋に配置される特定建築要素15の状態を示す。
【0058】
<機器情報記憶部>
機器情報記憶部37は、建築物10に配置される機器14に関する機器情報を記憶するように構成される。図4は、機器情報記憶部37に記憶される機器情報の一例を示す。機器情報は、機器14の識別番号ごとに、機器種別と部屋識別番号と運転状態と所定の条件とを含む。機器種別は、機器14の種類である。部屋識別番号は、機器14が配置される部屋の識別番号である。運転状態は、機器制御部32によって切り替えられる機器14の現在の運転状態である。所定の条件は、機器14ごとに設定される。所定の条件は、機器14の運転状態を切り替える場合に、運転状態の切り替えを実行するか否かを判定するための特定建築要素15の所定の状態である。図4の例では空調機器14aの運転状態を停止状態から稼働状態に切り替える場合の所定の条件を示す。
【0059】
<人情報記憶部>
人情報記憶部38は、建築物10に居住する人に関する人情報を記憶するように構成される。図5は、人情報記憶部38に記憶される人情報の一例を示す。人情報には、人の識別番号ごとに、名前と人属性と現在状態と部屋識別情報とが含まれる。人属性は、人の属性を示す。図5の例では、人属性として年齢が記憶される。現在状態は、人の状態を示す。図5の例では、現在状態として心拍数が記憶される。部屋識別情報は、現在人が居る部屋の識別番号である。図5の例では、建築物10に所在していない人を不在と表示している。
【0060】
<機器制御部>
機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクに基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを低減するように機器14を制御するように構成される。機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する場合、機器14の運転状態を稼働状態と停止状態との間において切り替えるように構成される。稼働状態は、機器14が稼働する状態である。停止状態は、機器14が稼働を停止する状態である。
【0061】
本実施形態の機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定する場合、空調機器14aの運転状態を稼働状態とするように構成される。機器制御部32は、空調機器14aの運転状態を稼働状態とすることによって、第1部屋11における人の疾患リスクを低減するように機器14を制御する。
【0062】
機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクと、特定建築要素15の状態とに基づいて、機器14を制御するように構成される。機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定し、かつ、特定建築要素15の状態が所定の状態であると検出される場合、機器14の運転状態の切り替えを実行する。
【0063】
本実施形態の特定建築要素15の所定の状態は、建具15aの閉状態を含む。機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定し、かつ、建具センサ22aによって建具15aが閉状態であると検出される場合、空調機器14aの運転状態を稼働状態とするように構成される。機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定し、かつ、建具センサ22aによって建具15aが開状態であると検出される場合、空調機器14aの運転状態を停止状態とするように構成される。
【0064】
<ユーザ端末>
図2に示されるように、ユーザ端末40は、例えば、ユーザによって使用される携帯端末である。ユーザ端末40は、ユーザがユーザ端末40を介して制御システム20を制御できるように構成される。ユーザ端末40は、表示部41を有する。表示部41は、例えば、ディスプレイである。ユーザ端末40には、制御システム20と連携するためのアプリケーションが記憶される。アプリケーションが実行されることによって、表示部41に、ユーザが制御システム20を制御するためのインターフェイスが表示される。表示部41には、部屋情報、機器情報、および、人情報の少なくとも1つが表示されるように構成される。
【0065】
図1図2、および、図6に示されるように、表示部41には、例えば、建築物10の間取り図が表示される。複数の第2部屋12のうちの2つ以上の部屋に人が居ると判定した場合、ユーザは、例えば1つの部屋をタップすることによって、表示部41に表示される建築物10の間取りから、部屋の1つを選択できる。リスク報知部33は、リスク判定部31が判定した経路Rを、表示部41に表示される建築物10の間取り上に表示させる。表示部41には、例えば、人情報に登録されている人のうち、第1部屋11に移動する人をユーザが選択可能に構成されてもよい。表示部41に表示される情報は、複数のユーザに共有されてもよい。例えば、第1部屋11に移動する人の人情報は、ユーザとしての家族に共有される。これによって、家族は、高齢者の行動によって生じ得る疾患リスクを把握できる。
【0066】
リスク報知部33は、リスク判定部31が判定した各部屋の疾患リスクを、表示部41に表示される建築物10の間取り上に表示させる。例えば、図7の例では、経路R上において疾患リスクが高い場所が、濃い色によって表示されている。疾患リスクの表示は、アイコンによって表示されてもよく、数値によって表示されてもよい。
【0067】
図7は、機器制御部32による機器14の制御に関する処理の第1処理を示す。図7に示される処理は所定時間ごとに実行される。第1処理は、例えば、第1部屋11が設定されることによって実行される。第1部屋11の設定は、所定の部屋への人の移動など、人が第1部屋11に移動することを示す設定である。第1部屋11の設定の例は、第1部屋11が浴室11aである場合に、ユーザによる、浴室11aの給湯器へのお湯はり運転の開始の設定である。
【0068】
ステップS11において、機器制御部32は、第1部屋11が設定されたか否かを判定する。第1部屋11の設定は、例えば、ユーザ端末40を介して行われる。機器制御部32は、第1部屋11が設定された場合、ステップS12に移行する。機器制御部32は、第1部屋11が設定されていない場合、処理を終了する。
【0069】
ステップS12において、機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクが高いか否かを判定する。機器制御部32は、例えば、ステップS12においてリスク判定部31に第1部屋11の疾患リスクを判定させる。機器制御部32は、例えば、リスク判定部31が判定した疾患リスクに関する数値が閾値以上である場合に、疾患リスクが高いと判定する。機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクが高い場合、ステップS13に移行する。機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクが高くない場合、処理を終了する。
【0070】
ステップS13において、機器制御部32は、機器14の運転状態が停止状態か否かを判定する。機器制御部32は、例えば、機器情報記憶部37の機器情報に基づいて、機器14の運転状態を判定する。機器制御部32は、機器14の運転状態が停止状態である場合、ステップS14に移行する。機器制御部32は、機器14の運転状態が停止状態ではない場合、処理を終了する。
【0071】
ステップS14において、機器制御部32は、第1部屋11の特定建築要素15が所定の状態か否かを判定する。機器制御部32は、例えば、建具、カーテン等の特定建築要素15が閉状態である場合に、特定建築要素15が所定状態であると判定する。機器制御部32は、第1部屋11の特定建築要素15が所定状態である場合、ステップS15に移行する。機器制御部32は、第1部屋11の特定建築要素15が所定状態ではない場合、処理を終了する。ステップS15において、機器制御部32は、機器14の運転状態を稼働状態に切り替えた後に、処理を終了する。
【0072】
次に、機器制御部32による機器14の制御に関する処理の第2処理を説明する。第2処理の場合、上記図7に示される第1処理から、ステップS11が省略される。第2処理は、所定時間ごとに実行される。第2処理における第1部屋11は、例えば、第1部屋11に設定されうる部屋のうちの少なくとも1つを含む。第2処理における第1部屋11は、複数の部屋を含んでもよい。第2処理では、第1部屋11における人の疾患リスクが高いと、自動的に機器14の運転状態が稼働状態に切り替えられる。
【0073】
第2処理によれば、第1部屋11における人の疾患リスクが高いときに、自動的に、第1部屋11の環境が調整される。本処理例では、浴室11a以外の部屋が、第1部屋11として設定されてもよい。
【0074】
<実施形態の作用>
本実施形態の第1の作用を説明する。
本実施形態の制御システム20は、例えば、第1部屋11における人のヒートショックに関する疾患リスクが低減するように機器14を制御する。浴室11aには、給湯設備が設けられる。給湯設備は、ユーザがユーザ端末40のアプリを操作することによって遠隔でお湯はり運転を開始できるように構成される。図7の処理のステップS11における第1部屋11の設定は、例えば、ユーザによるお湯はり運転の開始の操作に対応する。
【0075】
ユーザが、給湯設備がお湯はり運転を開始するようにユーザ端末40のアプリを操作すると、リスク判定部31は、人感センサ24の検出情報から、現在人が居る部屋を判定する。リスク判定部31は、現在人の居る部屋から第1部屋11までの経路Rを判定する。リスク判定部31は、第1部屋11および経路Rにおける人の疾患リスクを判定する。リスク報知部33は、リスク判定部31が判定した第1部屋11および経路Rにおける人の疾患リスクを、ユーザ端末40によってユーザに報知する。
【0076】
機器制御部32は、リスク判定部31が浴室11aにおける人のヒートショックに関する疾患リスクが高いと判定する場合、空調機器14aの運転状態を稼働状態に切り替える。空調機器14aが浴室11aの温度を温めるように稼働することによって、浴室11aにおける人のヒートショックに関する疾患リスクを低減できる。リスク報知部33は、浴室11aの温度が上昇することによって、浴室11aにおける人のヒートショックに関する疾患リスクが低減すると、疾患リスクが低減したことをユーザに報知する。人が浴室11aを使用するときには、浴室11aにおける人のヒートショックに関する疾患リスクが低減している。
【0077】
本実施形態の第2の作用を説明する。
浴室11aに建具15aがある場合、機器制御部32は、リスク判定部31が浴室11aにおける人のヒートショックに関する疾患リスクが高いと判定しても、第1部屋11の建具15aが開いている場合には、空調機器14aの運転状態を停止状態に維持する。これによって、稼働効果がない場合に空調機器14aを稼働させないため、省エネを図ることができる。リスク報知部33は、浴室11aの建具15aが開いていることをユーザに報知する。このように、制御システム20では、建具15aが開いている場合は空調機器14aの運転状態が稼働状態とならないように構成される。建具15aが開いている状態において空調機器14aが稼働しないため、消費電力の増加を抑制できる。
【0078】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果を説明する。
(1)建築物10は、制御システム20を有する。制御システム20は、温度センサ21と、状態検出センサ22と、制御装置30と、を備える。制御装置30は、リスク判定部31と、機器制御部32と、を有する。リスク判定部31は、温度センサ21によって検出される第1部屋11の温度に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定するように構成される。機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクと、特定建築要素15の状態とに基づいて、機器14を制御するように構成される。特定建築要素15は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。
【0079】
この構成によれば、第1部屋11における疾患リスクと特定建築要素15の状態とに基づいて機器14を制御できる。第1部屋11において、第1部屋11の換気、断熱、採光、または、遮光の状態に基づいて機器14が制御されるため、より効率的に機器14を制御できる。
【0080】
(2)機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定し、かつ、建具センサ22aによって建具15aが閉状態であると検出される場合、空調機器14aの運転状態を稼働状態とするように構成される。機器制御部32は、リスク判定部31が第1部屋11における人の疾患リスクが高いと判定し、かつ、建具センサ22aによって建具15aが開状態であると検出される場合、空調機器14aの運転状態を停止状態とするように構成される。
【0081】
この構成によれば、建具15aが開いている状態において空調機器14aが稼働することが抑制されるため、第1部屋11における空調機器14aの消費電力の増加を抑制できる。
【0082】
(3)制御システム20は、経路温度センサ23を、さらに備える。リスク判定部31は、経路温度センサ23によって検出される温度に基づいて経路R上における人の疾患リスクを判定するように構成される。制御装置30は、リスク報知部33を有する。リスク報知部33は、経路R上における人の疾患リスクをユーザに報知するように構成される。
【0083】
この構成によれば、ユーザが第1部屋11への経路R上における疾患リスクを把握できる。
【0084】
(4)制御システム20は、人感センサ24を、さらに備える。制御装置30は、所在判定部34と、所在選択部35とを、さらに有する。所在選択部35は、所在判定部34によって複数の第2部屋12のうちの2つ以上の部屋に人が居ると判定される場合には、ユーザが2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示する。リスク判定部31は、所在選択部35が取得した情報に基づいて、選択された第2部屋12から第1部屋11に至る経路Rを特定する。
【0085】
この構成によれば、人感センサ24の検出結果から第2部屋12を好適に判定できるため、リスク判定部31が、第2部屋12から第1部屋11までの経路Rを好適に判定できる。
【0086】
(5)制御システム20は、人の心拍数を検出するように構成される心拍センサ25を、さらに備える。リスク判定部31は、第1部屋11の温度に加えて心拍数に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定するように構成される。
【0087】
この構成によれば、第1部屋11の温度に加えて、心拍数に基づいて疾患リスクを判定できるため、リスク判定部31が、より精確に疾患リスクを判定できる。
【0088】
(6)制御システム20は、温度センサ21と、状態検出センサ22と、制御装置30と、を備える。制御装置30は、リスク判定部31と、機器制御部32と、を有する。リスク判定部31は、温度センサ21によって検出される第1部屋11の温度に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定するように構成される。機器制御部32は、第1部屋11における人の疾患リスクと、特定建築要素15の状態とに基づいて、機器14を制御するように構成される。特定建築要素15は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。
【0089】
この構成によれば、第1部屋11における疾患リスクと特定建築要素15の状態とに基づいて機器14を制御できる。第1部屋11において、第1部屋11の換気、断熱、採光、または、遮光の状態に基づいて機器14が制御されるため、制御システム20は、より効率的に機器14を制御できる。
【0090】
<変形例>
上記実施形態は、建築物10および制御システム20が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。建築物10および制御システム20は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0091】
<第1の変形例>
第1部屋11は、浴室11aではなく、現在人が居る部屋から移動すると人の疾患リスクが高い部屋に設定されてもよい。リスク報知部33は、現在人が居る部屋から移動すると人の疾患リスクが高い部屋を第1部屋11としてユーザに対して報知してもよい。本変形例では、図7の処理のステップS11における第1部屋11の設定は、例えば、リスク報知部33による疾患リスクが高い部屋の設定に対応する。機器制御部32は、本変形例の第1部屋11における人の疾患リスクが低減するように、第1部屋11の空調機器14aの運転状態を稼働状態に切り替えるように構成される。
【0092】
第1部屋11に建具15aがある場合、機器制御部32は、第1部屋11の建具15aの状態が閉状態であると検出されると、ユーザ端末40に入力されるユーザの操作に基づいて、空調機器14aの運転状態を稼働状態に切り替える。リスク報知部33は、第1部屋11における人のヒートショックに関する疾患リスクが低減すると、疾患リスクが低減したことをユーザに報知する。
【0093】
機器制御部32は、第1部屋11の建具15aの状態が開状態であると検出されると、ユーザ端末40に入力されるユーザの操作に関わらず、空調機器14aの運転状態を停止状態に維持する。リスク報知部33は、第1部屋11の建具15aの状態が開状態であることをユーザに報知する。この構成によれば、建具15aが開いている状態において空調機器14aが稼働しないため、消費電力の増加を抑制できる。
【0094】
<第2の変形例>
リスク判定部31は、人の心拍数に基づいて熱中症に関する疾患リスクを判定するように構成されてもよい。リスク判定部31は、心拍センサ25が検出する人の心拍数に基づいて、熱中症に関する疾患リスクを判定する。リスク報知部33は、リスク判定部31が熱中症に関する疾患リスクが高いと判定すると、熱中症に関する疾患リスクが高いことをユーザに報知する。心拍センサ25は、1分間における人の心拍数を検出する。
【0095】
リスク判定部31は、例えば、人の心拍数が条件(E1)または(E2)に当てはまる場合に、熱中症に関する疾患リスクが高いと判定する。
(E1)1分間の心拍数(X)が、式(A)を満たす。
式(A):185-0.65×Y<X
(E2)式(B)を満たす心拍数(X)が、5分間継続する。
式(B):180-Y<X
なお、式(A)および式(B)において、Xは心拍数であり、Yは人の年齢である。
【0096】
<その他の変形例>
・機器14は、暖房装置、または、換気扇であってもよい。本変形例の換気扇は、外気を第1部屋11に取り込むことによって、第1部屋11の温度を変化させる。
【0097】
・特定建築要素15は、浴室11aの遮光を行うカーテンであってもよい。カーテンが開いた状態では、日差しが差し込むため、第1部屋11の温度が上昇する傾向がある。本変形例の機器制御部32は、浴室11aにおける人の熱中症に関する疾患リスクを低減するために、浴室11aの温度を冷やすように空調機器14aを動作させる。機器制御部32は、リスク判定部31が浴室11aにおける人の熱中症に関する疾患リスクが高いと判定しても、カーテンが開いている場合には、空調機器14aの運転状態を停止状態に維持する。これによって、空調機器14aの稼働効果がない場合に、省エネを図ることができる。なお、制御システム20上の設定変更によって、疾患リスクが高い場合、カーテンの状態に関係なく空調機器14aの運転状態に切り替えるように空調機器14aを制御してもよい。
【0098】
・人感センサ24は、二酸化炭素センサであってもよい。第1部屋11に人が居る場合、人が居ない場合に比べて、二酸化炭素濃度が高くなる。本変形例のリスク判定部31は、二酸化炭素センサが検出した二酸化炭素濃度が所定の閾値以上である場所に人が居ると判定する。
【0099】
・人感センサ24は、例えば、カメラを含んでもよい。リスク判定部31は、カメラが撮影した映像から、人が建築物10のどこに居るかを判定可能に構成されてもよい。リスク判定部31は、建築物10を複数の人が使用する場合に、カメラが撮影した映像から、複数の人のそれぞれが建築物10のうちのどこに居るかを判定してもよい。
【0100】
・第1部屋11に、特定建築要素15の状態を制御する開閉装置が設けられてもよい。例えば、開閉装置は、建具15aの開閉状態を切り替えるように構成される。開閉装置は、機器制御部32によって制御されてもよい。機器制御部32は、リスク判定部31が浴室11aにおける人のヒートショックに関する疾患リスクが高いと判定した場合に、第1部屋11の建具15aの状態が開状態であると検出されると、開閉装置によって建具15aの状態を閉状態に切り替えてもよい。
【0101】
・制御システム20から経路温度センサ23が省略されてもよい。本変形例では、リスク判定部31は、経路R上における人の疾患リスクを判定しなくてもよい。
【0102】
・制御システム20から人感センサ24が省略されてもよい。本変形例では、ユーザ端末40にユーザの場所が直接入力されてもよい。リスク判定部31は、ユーザ端末40に入力されたユーザの場所から第1部屋11までの経路Rを判定してもよい。
【0103】
・制御システム20から心拍センサ25が省略されてもよい。
【0104】
・制御システム20による制御が、制御プログラムによって実行されてもよい。制御プログラムは、建築物10の第1部屋11に配置される機器14を制御するプログラムである。制御プログラムは、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、を含む。制御プログラムは、第1ステップにおいて、コンピュータに、温度センサ21によって検出される第1部屋11の温度に基づいて、第1部屋11における人の疾患リスクを判定させる。制御プログラムは、第2ステップにおいて、コンピュータに、状態検出センサ22の検出結果から、特定建築要素15の状態を判定させる。制御プログラムは、第1ステップにおいて、コンピュータに、第1部屋11における人の疾患リスクと、特定建築要素15の状態とに基づいて、機器14を制御させる。制御プログラムには、実施形態または変形例の機器14の制御に対応するステップが、適宜追加されてもよい。この構成によれば、機器14が、第1部屋11における疾患リスクと特定建築要素15の状態とに基づいて制御される。第1部屋11の換気、断熱、採光、または、遮光の状態に基づいて機器14が制御されるため、より効率的に機器14を制御できる。
【0105】
本明細書には以下の技術が開示される。
[付記1]
第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御するように構成される制御システムを有する建築物であって、前記制御システムは、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサと、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成されるリスク判定部と、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御するように構成される機器制御部と、を有し、前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である、建築物。
【0106】
[付記2]
前記特定建築要素は、建具であり、前記状態検出センサは、前記建具の開閉状態を検出するように構成される建具センサであり、前記機器は、空調機器であり、前記機器制御部は、前記リスク判定部が前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクが高いと判定し、かつ、前記建具センサによって前記建具が閉状態であると検出される場合、前記空調機器の運転状態を稼働状態とし、前記リスク判定部が前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクが高いと判定し、かつ、前記建具センサによって前記建具が開状態であると検出される場合、前記空調機器の運転状態を停止状態とするように構成される、付記1に記載の建築物。
【0107】
[付記3]
前記制御システムは、前記人が現在居る部屋から前記第1部屋に至る経路上の温度を検出するように構成される経路温度センサを、さらに備え、前記制御装置は、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成されるリスク報知部を有し、前記リスク判定部は、前記経路温度センサによって検出される前記経路上の温度に基づいて前記経路上における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成され、前記リスク報知部は、前記経路上における前記人の前記疾患リスクをユーザに報知するように構成される、付記1に記載の建築物。
【0108】
[付記4]
前記制御システムは、前記第1部屋とは異なる複数の第2部屋における前記人を検出するように構成される人感センサを、さらに備え、前記制御装置は、前記人感センサの検出結果に基づいて前記複数の前記第2部屋のいずれに前記人が居るかを判定するように構成される所在判定部と、前記複数の前記第2部屋のうちの2つ以上の部屋に前記人が居ると判定される場合には、ユーザが前記2つ以上の部屋から1つを選択可能なようにユーザに提示することによって、前記第2部屋についての選択を取得するように構成される所在選択部と、を有し、前記リスク判定部は、前記所在選択部が取得した情報に基づいて、選択された前記第2部屋から前記第1部屋に至る経路を特定する、付記3に記載の建築物。
【0109】
[付記5]
前記制御システムは、前記人の心拍数を検出するように構成される心拍センサを、さらに備え、前記リスク判定部は、前記第1部屋の温度に加えて前記心拍数に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定するように構成される、付記1から4のいずれか1つに記載の建築物。
【0110】
[付記6]
建築物の第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御するように構成される制御システムであって、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサと、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサと、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における人の前記疾患リスクを判定するように構成されるリスク判定部と、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御するように構成される機器制御部と、を有し、前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である、制御システム。
【0111】
[付記7]
建築物の第1部屋における人の疾患リスクが低減するように、前記第1部屋に配置される機器を制御する制御プログラムであって、コンピュータに、前記第1部屋の温度を検出するように構成される温度センサによって検出される前記第1部屋の温度に基づいて、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクを判定させる第1ステップと、コンピュータに、前記第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される状態検出センサの検出結果から、前記特定建築要素の状態を判定させる第2ステップと、コンピュータに、前記第1部屋における前記人の前記疾患リスクと、前記特定建築要素の状態と、に基づいて、前記機器を制御させる第3ステップと、を含み、前記特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である、制御プログラム。
【符号の説明】
【0112】
10…建築物、11…第1部屋、12…第2部屋、14…機器、14a…空調機器、15…特定建築要素、15a…建具、20…制御システム、21…温度センサ、22…状態検出センサ、22a…建具センサ、23…経路温度センサ、24…人感センサ、25…心拍センサ、30…制御装置、31…リスク判定部、32…機器制御部、33…リスク報知部、34…所在判定部、35…所在選択部、R…経路。
【要約】
【課題】機器を効率的に制御できる建築物、制御システム、および、制御プログラムを提供する。
【解決手段】建築物は、制御システム20を有する。制御システム20は、温度センサ21と、状態検出センサ22と、制御装置30と、を備える。状態検出センサ22は、第1部屋に設けられる特定建築要素の状態を検出するように構成される。制御装置30は、リスク判定部31と、機器制御部32と、を有する。リスク判定部31は、温度センサ21によって検出される第1部屋の温度に基づいて、第1部屋における人の疾患リスクを判定するように構成される。機器制御部32は、第1部屋における人の疾患リスクと、特定建築要素の状態と、に基づいて、機器14を制御するように構成される。特定建築要素は、換気、断熱、採光、および、遮光の少なくとも1つのための建築要素である。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7