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特許7601203情報処理装置、情報処理方法、および、制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0202 20230101AFI20241210BHJP
【FI】
G06Q30/0202
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023506618
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 JP2021011020
(87)【国際公開番号】W WO2022195793
(87)【国際公開日】2022-09-22
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小山田 昌史
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第6389310(JP,B1)
【文献】特開2002-358444(JP,A)
【文献】特開2021-033531(JP,A)
【文献】特開2019-028836(JP,A)
【文献】国際公開第2019/100679(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/174118(WO,A1)
【文献】特開2015-103111(JP,A)
【文献】国際公開第2021/049365(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段と、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段と、を備え
前記ターゲットデータは、データ項目およびデータサンプルの少なくとも何れかを含み、
前記拡張手段は、前記公開データに含まれる情報のうち、前記ターゲットデータに関連する情報を抽出し、抽出した情報を、前記ターゲットデータの新たなデータ項目およびデータサンプルの少なくとも何れかとして追加することにより当該ターゲットデータを拡張し、
前記推定手段は、前記拡張手段による拡張前後の前記ターゲットデータのデータ項目数およびサンプル数の少なくとも何れかの増加量から、前記価値向上度を推定する、情報処理装置。
【請求項2】
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段と、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段と、を備え、
前記ターゲットデータおよび前記公開データはテキストデータを含み、
前記拡張手段は、前記公開データに含まれるテキストデータから前記ターゲットデータに関連する情報を抽出し、抽出した情報を前記ターゲットデータに追加することにより当該ターゲットデータを拡張し、
前記推定手段は、拡張される前の前記ターゲットデータに含まれる複数のキーワードのうち因果関係を有するキーワードの組み合わせの数と、拡張された後の前記ターゲットデータに含まれる複数のキーワードのうち因果関係を有するキーワードの組み合わせの数と、の差から前記価値向上度を推定する、情報処理装置。
【請求項3】
前記公開データは、前記売り手のウェブサイトを構成するウェブページデータである、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ユーザにより指定されたURL(Uniform Resource Locator)に基づいて前記ウェブページデータを取得するデータ取得手段と、
取得された前記ウェブページデータを用いて拡張された後の前記ターゲットデータにより得られる前記第2分析結果の前記価値向上度を、前記ターゲットデータを保有する前記買い手ごとに出力する出力制御手段とをさらに備えている請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
ユーザにより指定された前記ターゲットデータを取得するデータ取得手段と、
取得された前記ターゲットデータが、前記ウェブページデータを用いて拡張されたことにより得られる前記第2分析結果の前記価値向上度を、前記ウェブページデータを保有する前記売り手ごとに出力する出力制御手段とをさらに備えている請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記拡張手段は、
前記ターゲットデータに含まれているキーワードと近接して出現する頻度が所定値を超える情報を、前記公開データから抽出する抽出手段と、
抽出された前記情報を、前記ターゲットデータのデータ項目として結合する結合手段とを含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記拡張手段は、
前記ターゲットデータに含まれているキーワードとの類似度が所定値を超える情報を、前記公開データから抽出する抽出手段と、
抽出された前記情報を、前記ターゲットデータのデータ項目として結合する結合手段とを含む、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記推定手段によって推定された前記価値向上度に応じて、前記売り手の前記公開データの販売価格を算定する価格算定手段をさらに備えている請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記価格算定手段は、
前記買い手が前記公開データを購入したときの購入金額と、該公開データに基づく前記価値向上度とを関連付けた購入実績情報を参照し、
前記購入金額が高いほど、前記販売価格を上方に修正する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
少なくとも1つのプロセッサが、
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張することと、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定することと、を含み、
前記ターゲットデータは、データ項目およびデータサンプルの少なくとも何れかを含み、
前記ターゲットデータの拡張において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記公開データに含まれる情報のうち、前記ターゲットデータに関連する情報を抽出し、抽出した情報を、前記ターゲットデータの新たなデータ項目およびデータサンプルの少なくとも何れかとして追加することにより当該ターゲットデータを拡張し、
前記価値向上度の推定において、前記少なくとも1つのプロセッサは、拡張前後の前記ターゲットデータのデータ項目数およびサンプル数の少なくとも何れかの増加量から、前記価値向上度を推定する、情報処理方法。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサが、
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張することと、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定することと、を含み、
前記ターゲットデータおよび前記公開データはテキストデータを含み、
前記ターゲットデータの拡張において、前記少なくとも1つのプロセッサは、前記公開データに含まれるテキストデータから前記ターゲットデータに関連する情報を抽出し、抽出した情報を前記ターゲットデータに追加することにより当該ターゲットデータを拡張し、
前記価値向上度の推定において、前記少なくとも1つのプロセッサは、拡張される前の前記ターゲットデータに含まれる複数のキーワードのうち因果関係を有するキーワードの組み合わせの数と、拡張された後の前記ターゲットデータに含まれる複数のキーワードのうち因果関係を有するキーワードの組み合わせの数と、の差から前記価値向上度を推定する、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段、および、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段、として機能させ
前記ターゲットデータは、データ項目およびデータサンプルの少なくとも何れかを含み、
前記拡張手段は、前記公開データに含まれる情報のうち、前記ターゲットデータに関連する情報を抽出し、抽出した情報を、前記ターゲットデータの新たなデータ項目およびデータサンプルの少なくとも何れかとして追加することにより当該ターゲットデータを拡張し、
前記推定手段は、前記拡張手段による拡張前後の前記ターゲットデータのデータ項目数およびサンプル数の少なくとも何れかの増加量から、前記価値向上度を推定する、制御プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段、および、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段、として機能させ、
前記ターゲットデータおよび前記公開データはテキストデータを含み、
前記拡張手段は、前記公開データに含まれるテキストデータから前記ターゲットデータに関連する情報を抽出し、抽出した情報を前記ターゲットデータに追加することにより当該ターゲットデータを拡張し、
前記推定手段は、拡張される前の前記ターゲットデータに含まれる複数のキーワードのうち因果関係を有するキーワードの組み合わせの数と、拡張された後の前記ターゲットデータに含まれる複数のキーワードのうち因果関係を有するキーワードの組み合わせの数と、の差から前記価値向上度を推定する、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの価値を評価する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ある企業が持つターゲットデータを、別の企業が持つ別データと組み合わせて分析すれば、特定の利用者(例えば、上述のターゲットデータの保持者)にとって非常に利用価値が高い分析結果が得られる可能性がある。以下では、ターゲットデータと組み合わされて、ターゲットデータの分析結果の価値を向上させることが可能な別データを「分析支援データ」と称する。
【0003】
しかし、通常、企業が自社データを他の企業に積極的に提供するとは考えられない。
【0004】
ここで、分析支援データとして活用できるデータが、既に公開されている、または、公開が予定されているような公開データであれば、自社データであっても他の企業に提供することは厭わないものと考えられる。
【0005】
しかし、様々な企業が、多様な形態で膨大な量の公開データを保有していると考えられる。そのため、公開データを分析支援データとして活用できるとしても、その適正な価値を決定することは容易ではない。
【0006】
例えば、特許文献1には、ウェブページに係るデータ群を分類して、ユーザへのおすすめ度を評価し、ユーザに対して推薦するデータ分析システムが記載されている。
【0007】
また、非特許文献1には、地理的情報製品(GIP;Geoinformation Product)の販売価格を決定する方法が記載されている。上述の方法によれば、販売価格は、地理的情報製品の元になるデータの収集、合成、メンテナンスなど、データ作製作業にかかるコストを考慮して決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開WO2016/103519号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】Frank, A.. “PRICE DETERMINATION FOR GEOGRAPHIC DATA.” (1999)
【文献】“因果分析技術について”、[online]、日本電気株式会社、[2021年3月5日検索]、インターネット(URL:https://jpn.nec.com/press/202010/images/0201-01-01.pdf)
【文献】Ding, Rui et al. “QuickInsights: Quick and Automatic Discovery of Insights from Multi-Dimensional Data.” Proceedings of the 2019 International Conference on Management of Data (2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行技術文献のいずれにも、公開データの価値を買い手にもたらされる利益の観点から評価することは記載されていない。売り手の公開データの価値を定量的に評価するためには、該公開データをターゲットデータの分析に活用することによりもたらされる買い手の利益を推定することが求められる。
【0011】
本発明の一態様は、売り手のデータを活用することによりもたらされる買い手の利益を推定することによりデータの価値を評価する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一側面に係る情報処理装置は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段と、拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段と、を備えている。
【0013】
本発明の一側面に係るデータ流通方法は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張して分析した場合に前記買い手が得る利益に基づいて、拡張された後の前記ターゲットデータを分析するサービスの販売価格を、少なくとも1つのプロセッサが決定すること、前記販売価格に相当する報酬を対価として、前記公開データを用いて拡張された前記ターゲットデータを分析した結果である分析結果データを前記買い手に供給すること、および、前記公開データを用いた対価として、前記販売価格の一部に相当する報酬を、前記売り手に支払うこと、とを含む。
【0014】
本発明の一側面に係る情報処理方法は、少なくとも1つのプロセッサが、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張することと、拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定することと、を含む。
【0015】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張処理、および、拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定処理を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、データの価値を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】本発明の例示的実施形態1に係る情報処理方法の処理の流れを示すフローチャートである。
図3】本発明の例示的実施形態2に係るデータ流通システムの概略構成を示す図である。
図4】本発明の例示的実施形態2に係るデータ流通方法の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図である。
図6】査定要求画面の一例を示す図である。
図7】査定結果画面の一例を示す図である。
図8】検索要求画面の一例を示す図である。
図9】検索結果画面の一例を示す図である。
図10】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理装置の拡張部について詳細な構成の一例を示す図である。
図11】拡張部において入出力される各種データのデータ構造の一例を示す図である。
図12】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理装置の推定部について詳細な構成の一例を示す図である。
図13】変形例における拡張前データのデータ構造の一例を示す図である。
図14】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理装置の分析部が出力する第1因果関係データ(第1分析結果)のデータ構造の一例を示す図である。
図15】変形例における拡張後データのデータ構造の一例を示す図である。
図16】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理装置の分析部が出力する第2因果関係データ(第2分析結果)のデータ構造の一例を示す図である。
図17】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理装置の記憶部に記憶されている、購入実績情報のデータ構造の一例を示す図である。
図18】本発明の例示的実施形態3に係る情報処理方法の処理の流れを示すシーケンス図である。
図19】本発明の各例示的実施形態における情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0019】
<情報処理装置の構成>
図1は、本例示的実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すとおり、情報処理装置1は、拡張部21および推定部22を備えている。拡張部21は、本例示的実施形態において拡張手段を実現する構成である。推定部22は、本例示的実施形態において推定手段を実現する構成である。
【0020】
拡張部21は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する。
【0021】
推定部22は、拡張される前のターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後のターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する。
【0022】
以下では、拡張される前のターゲットデータを拡張前データ、拡張された後のターゲットデータを拡張後データと称する。
【0023】
第2分析結果の価値向上度は、第1分析結果と比較して第2分析結果が、ターゲットデータを保有する買い手にとって、どれだけ利用価値が高い有意な情報となったのか、を示す指標である。第1分析結果は、公開データを用いずに現状買い手が保有している状態のままの拡張前データを分析した結果得られる分析結果である。第2分析結果は、公開データを用いて拡張した拡張後データを分析した結果得られる分析結果である。すなわち、価値向上度は、買い手にとっての利益、具体的には、売り手が保有する公開データの分析支援データとしての利用価値を示す。
【0024】
情報処理装置1は、コンピュータおよび制御プログラムによって実現されてもよい。上述の制御プログラムは、上述のコンピュータを上述の拡張部21および推定部22として機能させる制御プログラムである。
【0025】
<情報処理方法の処理フロー>
図2は、本例示的実施形態に係る情報処理方法の処理の流れを示すフローチャートである。情報処理方法は、情報処理装置1によって実行される。
【0026】
ステップS1(拡張処理)では、拡張部21は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する。
【0027】
ステップS2(推定処理)では、推定部22は、拡張前データを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張後データを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する。
【0028】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置1は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張部21と、拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定部22とを備えている構成が採用されている。
【0029】
また、本例示的実施形態に係る情報処理方法は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを少なくとも1つのプロセッサが拡張することと、拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を少なくとも1つのプロセッサが推定することと、を含む構成が採用されている。
【0030】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1および情報処理方法によれば、買い手のターゲットデータの分析に売り手の公開データを活用することによりもたらされる買い手の利益を、価値向上度として定量的に推定することが可能になる。結果として、売り手の公開データの価値を、買い手にもたらされる利益の観点から評価することができるという効果が得られる。
【0031】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0032】
<データ流通システムの概要>
図3は、本開示の情報処理装置1が適用されるデータ流通システム100の一例を示す図である。
【0033】
データ流通システム100は、売り手が保有する公開データを流通させるためのシステムである。データ流通システム100は、少なくとも本開示の情報処理装置1を含む。
【0034】
データ流通システム100を利用するエンティティとしては、公開データを購入する買い手、公開データを販売する売り手、および、買い手と売り手とを仲介するサービスプロバイダがある。
【0035】
サービスプロバイダは、一例として、分析サービスを買い手に提供するサービスプロバイダPであってもよい。サービスプロバイダPによって提供される上述の分析サービスは、具体的には、買い手が保有するターゲットデータD1を公開データD2と組み合わせて分析し、それにより得た買い手にとってより有益な分析結果データD3を買い手に供給するサービスである。
【0036】
また、サービスプロバイダPは、情報処理装置1を所有する。情報処理装置1は、売り手の公開データをデータ流通システム100において流通させるために、公開データの市場的価値を評価する、すなわち、公開データを査定する機能を有する。
【0037】
情報処理装置1は、上述の分析サービスの販売価格、すなわち、公開データD2の販売価格を、少なくとも1つのプロセッサを用いて決定する。情報処理装置1は、販売価格の決定を、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データD2を用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータD1を拡張して分析した場合に買い手が得る利益に基づいて行う。情報処理装置1は、例えば、例示的実施形態1に係る情報処理装置1であってもよいし、後述する各例示的実施形態に係る情報処理装置1であってもよい。
【0038】
買い手は、一例として、自社のターゲットデータD1を分析して得た分析結果を活用してより有利な経済活動を行いたいと所望している買い手企業Bであってもよい。買い手企業Bは、必要に応じて買い手端末2を所有していてもよい。
【0039】
売り手は、一例として、自社の公開データD2を分析支援データとして活用してもらうことにより、公開データD2の販売を収益につなげたいと所望している売り手企業Sであってもよい。売り手企業Sは、必要に応じて売り手端末3を所有していてもよい。
【0040】
サービスプロバイダPは、情報処理装置1によって決定された販売価格に相当する報酬を対価として、公開データD2を用いて拡張されたターゲットデータD1を分析した結果である分析結果データD3を買い手企業Bに供給する。決定された販売価格に相当する報酬は、図3に示すように、例えば、分析サービスの利用料金として、買い手企業BからサービスプロバイダPに支払われてもよい。
【0041】
そして、サービスプロバイダPは、公開データD2を分析支援データとして用いた対価として、上述の販売価格の一部に相当する報酬を、売り手に支払う。販売価格の一部に相当する報酬は、図3に示すように、例えば、公開データの使用料金として、サービスプロバイダPから売り手企業Sに支払われてもよい。
【0042】
上述のデータ流通システム100によれば、買い手企業Bにおいては、上述の販売価格を支払う代わりに、自社でターゲットデータD1の分析を行うよりも内容が充実した有益な分析結果データD3を得て、有利な経済活動を行えるというメリットが生まれる。販売価格は、公開データD2を活用した場合に買い手が得ると予測される利益に基づいて決定されているため、買い手企業Bにとって、合理的な販売価格であると考えられる。
【0043】
サービスプロバイダPは、合理的な販売価格を決定し、買い手企業Bと売り手企業Sとの仲介役として、買い手企業Bから受け取った分析サービスの利用料金と、売り手企業Sに支払った公開データの使用料金との差分を利益として得ることができる。
【0044】
売り手企業Sは、既存の、なおかつ、公開することが可能な内容で構成された公開データD2を、分析支援データとして買い手企業Bに活用してもらうことにより、新たなコストをかけたり、機密情報を他社に流出させたりすることなく、利益を得ることができる。
【0045】
以上のとおり、公開データを商品として流通させる市場を構築することが可能となる。
【0046】
<データ流通方法の処理フロー>
図4は、データ流通システム100において実行されるデータ流通方法の流れを示すフローチャートである。以下のデータ流通方法は、例えば、情報処理装置1として機能する少なくとも1つのプロセッサにより実行される。
【0047】
ステップS11(販売価格決定処理)では、情報処理装置1は、売り手が保有する公開データを用いて、買い手のターゲットデータを拡張して分析した場合に買い手が得る利益に基づいて、拡張後データを分析するサービスの販売価格を決定する。買い手が得る利益は、例示的実施形態1で説明された情報処理方法に基づいて、情報処理装置1によって決定される。
【0048】
ステップS12(供給処理)では、情報処理装置1は、決定された販売価格に相当する報酬を対価として、公開データを用いて拡張された拡張後データを分析した結果である分析結果データを買い手企業に供給する。
【0049】
ステップS13(支払処理)では、情報処理装置1は、上述の公開データを用いた対価として、販売価格の一部に相当する報酬を、売り手に支払う。
【0050】
以上のように、本例示的実施形態に係るデータ流通方法は、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張して分析した場合に前記買い手が得る利益に基づいて、拡張された後の前記ターゲットデータを分析するサービスの販売価格を、少なくとも1つのプロセッサが決定すること、前記販売価格に相当する報酬を対価として、前記公開データを用いて拡張された前記ターゲットデータを分析した結果である分析結果データを前記買い手に供給すること、および、前記公開データを用いた対価として、前記販売価格の一部に相当する報酬を、前記売り手に支払うこと、とを含む構成が採用されている。
【0051】
このため、本例示的実施形態に係るデータ流通方法によれば、例示的実施形態1に係る情報処理装置1の奏する効果に加えて、公開データを商品として流通させる市場を構築できるという効果が得られる。
【0052】
(データ流通方法の変形例)
上述のS12における分析結果データの授受は、情報処理装置1と買い手端末2との間で電子的に実行されてもよいし、サービスプロバイダと買い手企業との間でその他の手段を用いて物理的に実行されてもよい。
【0053】
サービスプロバイダが買い手企業から、販売価格に相当する上述の報酬を受け取る処理は、S12の前に実行されてもよいし、後に実行されてもよい。また、上述の報酬の授受は、買い手端末2と情報処理装置1との間で電子的に実行されてもよいし、買い手企業とサービスプロバイダとの間でその他の手段を用いて物理的に実行されてもよい。
【0054】
情報処理装置1が売り手企業の公開データを取得する処理は、S12より前の任意のタイミングで実行されているものとする。情報処理装置1は、公開データを、売り手端末3から直接取得しなくてもよい。情報処理装置1は、既に公開されている公開データを記憶している別の記憶装置から、該公開データを取得してもよい。
【0055】
S13の支払処理は、上述の公開データを取得する処理の前に実行されてもよいし、後に実行されてもよい。また、S13の支払処理は、情報処理装置1と売り手端末3との間で電子的に実行されてもよいし、サービスプロバイダと売り手企業との間でその他の手段を用いて物理的に実行されてもよい。
【0056】
公開データD2は、例えば、売り手企業Sのウェブサイトを構成するウェブページデータであってもよい。売り手企業Sは、ウェブページデータを、広報の手段として活用することに加えて、分析支援データとしての利用価値を持つウェブページデータを買い手企業Bに販売し利益を得ることができる。売り手企業Sは、ウェブページデータを販売することについて、すでに広く一般に公開が済んでいるデータであるから買い手企業Bに販売することについて特段のリスクを負わないと考えられる。さらに、売り手企業Sは、既存のウェブページデータをサービスプロバイダPに提供するだけでよく、ウェブページデータを販売用に加工するためのコストなど、別途のコストをかけずに利益を得られるというメリットがある。
【0057】
なお、サービスプロバイダPが分析結果データD3を得るために使用する分析ツールは、サービスプロバイダPが自社で所有しているものであってもよいし、他社が所有しているものであってもよい。また、サービスプロバイダPは、分析結果データD3を得るための分析処理を他社に外部委託してもよい。この場合、情報処理装置1は、分析結果データD3の価値向上度を分析処理業者ごとに推定して、最適な分析ツールまたは分析処理を提供する分析処理業者を委託先として選択してもよい。サービスプロバイダPは、分析処理業者から買い手企業Bに提供するための分析結果データD3を受け取る対価として、買い手企業Bから受け取った分析サービスの利用料金の一部を分析処理業者に支払ってもよい。
【0058】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、既述の各例示的実施形態にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0059】
本例示的実施形態では、一例として、情報処理装置1は、例示的実施形態2で説明されたデータ流通システム100に適用されている。すなわち、情報処理装置1は、サービスプロバイダPに帰属する。また、情報処理装置1は、買い手企業Bに帰属する買い手端末2および売り手企業Sに帰属する売り手端末3と、インターネットなどの通信ネットワークを介して通信可能に接続されているものとする。
【0060】
本例示的実施形態では、データ流通システム100は、データ流通システム100のユーザから、売り手の公開データの査定を開始する指示を受け付けて、査定結果を該ユーザに提示することができる。また、データ流通システム100は、買い手のターゲットデータの分析結果の価値を高めてくれる公開データを検索する指示をユーザから受け付けて、検索結果を該ユーザに提示することができる。
【0061】
データ流通システム100のユーザとしては、情報処理装置1を直接操作するサービスプロバイダPの操作者、買い手端末2を操作する買い手企業Bの操作者、および、売り手端末3を操作する売り手企業Sの操作者などが想定される。
【0062】
<ユーザインタフェースについて>
(情報処理装置の構成)
図5は、本例示的実施形態に係る情報処理装置1の構成を示すブロック図である。図5に示すとおり、情報処理装置1は、制御部10、記憶部11、操作部12、通信部13および表示部14を備えている。
【0063】
制御部10は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。図5を参照して後述する制御部10の各部は、上述の演算装置が、ROM(read only memory)などで実現された記憶装置(例えば、記憶11)に記憶されているプログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することで実現できる。
【0064】
記憶部11は、制御部10によって用いられる各種データを記憶するものである。本例示的実施形態では、記憶部11は、ターゲットデータのデータベース(以下、ターゲットデータDB111)を不揮発的に記憶している。また、記憶部11は、公開データのデータベース(以下、公開データDB112)を不揮発的に記憶していてもよい。また、記憶部11は、購入実績情報113を不揮発的に記憶していてもよい。記憶部11は、情報処理装置1がアクセス可能な外部の記憶装置として構成されていてもよい。
【0065】
操作部12は、情報処理装置1を操作するユーザの入力操作を受け付けるための入力装置である。操作部12は、受け付けた入力操作に対応する指示信号を制御部10に入力する。
【0066】
表示部14は、制御部10が処理した情報を、情報処理装置1のユーザに視認可能に提示する出力装置である。例えば、表示部14は、液晶表示装置(LCD;Liquid Crystal Display)または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどによって構成される。一例として、表示部14は、操作部12とともにタッチパネルを構成してもよい。
【0067】
上述の構成により、情報処理装置1を直接操作するサービスプロバイダPの操作者は、データ流通システム100のユーザとして、各種の操作を行い情報処理装置1から情報を得ることができる。なお、情報処理装置1を直接操作するサービスプロバイダPの操作者がおらず、情報処理装置1が、買い手端末2および売り手端末3などのクライアント装置に対するサーバ装置として動作する場合が想定される。このような場合には、操作部12および表示部14は、適宜省略されてもよい。また、この場合、買い手端末2または売り手端末3を操作する操作者を、データ流通システム100のユーザとして捉えることができる。
【0068】
通信部13は、買い手端末2および売り手端末3などの他の装置と、インターネットなどの通信ネットワークを介して通信するための通信装置である。
【0069】
制御部10は、一例として、例示的実施形態1で説明された拡張部21および推定部22に加えて、さらに、データ取得部23、出力制御部24、価格算定部25および分析部26のうちの1つ以上を備えていてもよい。
【0070】
データ取得部23は、本例示的実施形態においてデータ取得手段を実現する構成である。出力制御部24は、本例示的実施形態において出力制御手段を実現する構成である。価格算定部25は、本例示的実施形態において価格算定手段を実現する構成である。分析部26は、本例示的実施形態において分析手段を実現する構成である。分析部26は、分析手段として、例えば、非特許文献2などに記載されている統計的因果探索手段を実現する構成であってもよい。
【0071】
データ取得部23は、ユーザからの入力指示にしたがって、ユーザにより指定されたデータを取得する。例えば、データ取得部23は、ユーザにより指定された公開データ40を取得してもよい。公開データ40は、一例として、売り手企業Sのウェブサイトを構成するウェブページデータであってもよい。この場合、データ取得部23は、ユーザにより指定されたURL(Uniform Resource Locator)に基づいてウェブページデータを取得する。
【0072】
出力制御部24は、取得されたウェブページデータを用いて拡張された後のターゲットデータにより得られる第2分析結果の価値向上度を、ターゲットデータを保有する買い手ごとに出力する。
【0073】
本例示的実施形態では、複数の買い手企業Bごとの複数のターゲットデータが予めターゲットデータDB111に登録されていてもよい。推定部22は、登録されている買い手企業Bのターゲットデータごとに、上述のように取得されたウェブページデータに基づく第2分析結果の価値向上度を推定することができる。
【0074】
出力制御部24は、ウェブページデータの査定結果として、少なくとも買い手企業Bのターゲットデータごとの価値向上度がユーザに提示されるように出力動作を担う各部を制御する。例えば、出力制御部24は、ターゲットデータごとの価値向上度を表示部14に表示させて査定結果を情報処理装置1のユーザに提示してもよい。他の例では、出力制御部24は、通信部13を介して、査定結果を売り手端末3に送信し、査定結果を売り手端末3の表示部に表示させて売り手端末3のユーザに提示してもよい。
【0075】
他の例では、データ取得部23は、ユーザにより指定されたターゲットデータを取得してもよい。例えば、データ取得部23は、ユーザにより指定されたターゲットデータの格納場所に基づいて、該格納場所からターゲットデータを取得し、ターゲットデータDB111に登録してもよい。あるいは、データ取得部23は、買い手端末2から送信されたターゲットデータを受信して、ターゲットデータDB111に登録してもよい。また、データ取得部23は、ユーザにより指定されたターゲットデータをターゲットデータDB111から読み出してもよい。
【0076】
出力制御部24は、取得されたターゲットデータが、ウェブページデータを用いて拡張されたことにより得られる第2分析結果の前記価値向上度を、ウェブページデータを保有する売り手ごとに出力する。
【0077】
上述の他の例では、複数の売り手企業Sごとの複数のウェブページデータが予め公開データDB112に登録されていてもよい。例えば、データ取得部23は、クローラ技術などを使って、各売り手企業Sのウェブサイトを定期的に巡回し、該ウェブサイトを構成しているウェブページデータを取得し、公開データDB112に登録しておいてもよい。推定部22は、上述のように取得されたターゲットデータについて、登録されている売り手企業Sのウェブページデータごとに、該ウェブページデータを用いて拡張されたことにより得られる第2分析結果の価値向上度を推定することができる。
【0078】
出力制御部24は、ウェブページデータの検索結果として、少なくとも売り手企業Sのウェブページデータごとの価値向上度がユーザに提示されるように出力動作を担う各部を制御する。例えば、出力制御部24は、ウェブページデータごとの価値向上度を表示部14に表示させて検索結果を情報処理装置1のユーザに提示してもよい。他の例では、出力制御部24は、通信部13を介して、検索結果を買い手端末2に送信し、検索結果を買い手端末2の表示部に表示させて買い手端末2のユーザに提示してもよい。
【0079】
推定部22は、指定されたウェブページデータに基づいて、ターゲットデータDB111に登録されているすべてのターゲットデータごとに価値向上度を推定してもよい。あるいは、推定部22は、ターゲットデータDB111に登録されているターゲットデータのうち、所定の規則に基づいて抽出された一部のターゲットデータごとに価値向上度を推定してもよい。推定部22は、例えば、指定されたウェブページデータとの類似度が所定値以上のターゲットデータを抽出して価値向上度を推定してもよい。ウェブページデータと、ターゲットデータとの類似度は、互いのデータに含まれているキーワードのうち、一致するキーワードの多さに基づいて判断されてもよい。ウェブページデータおよびターゲットデータは、テキストデータに限らず、画像データおよび音声データなどのあらゆる形式のデータを含んでいてもよい。例えば、ウェブページデータに含まれている画像データに写る内容とターゲットデータに含まれているキーワードとが同じ事物を指していることに基づいて類似度が高いと判断されてもよい。
【0080】
推定部22は、指定されたターゲットデータに基づいて、公開データDB112に登録されているすべてのウェブページデータごとに価値向上度を推定してもよい。あるいは、推定部22は、公開データDB112に登録されているターゲットデータのうち、所定の規則に基づいて抽出された一部のウェブページデータごとに価値向上度を推定してもよい。推定部22は、例えば、指定されたターゲットデータとの類似度が所定値以上のウェブページデータを抽出して価値向上度を推定してもよい。
【0081】
(画面例)
図6は、ユーザに提示される査定要求画面50の一例を示す図である。出力制御部24は、査定要求画面50を生成し、生成した査定要求画面50をユーザに提示する。査定要求画面50は、ユーザが情報処理装置1に対して、公開データ40の査定を要求する操作を行うためのユーザインタフェース(UI)である。出力制御部24は、UIをサービスプロバイダPのユーザに提供するために、査定要求画面50を情報処理装置1の表示部14に表示させてもよい。出力制御部24は、UIを売り手企業Sのユーザに提供するために、通信部13を介して売り手端末3と通信し、査定要求画面50を売り手端末3の表示部に表示させてもよい。
【0082】
一例として、査定要求画面50は、査定対象のウェブページデータを有するウェブサイトのURLを入力する領域60を含んでいてもよい。例えば、売り手端末3の操作者は、領域60に販売価格が知りたい自社のウェブサイトのURLを入力し、査定の開始を指示するためのボタン61を押下する。この押下に応じて、売り手端末3は、領域60に入力されたURLを含む査定要求を情報処理装置1に送信する。
【0083】
このように、ユーザは、査定要求画面50を操作することにより、ウェブページデータの査定要求を情報処理装置1に対して行うことができる。
【0084】
図7は、ユーザに提示される査定結果画面51の一例を示す図である。出力制御部24は、査定結果画面51を生成し、生成した査定結果画面51をユーザに提示する。査定結果画面51は、ユーザに査定結果について情報を提供するためのUIである。出力制御部24は、査定結果画面51を情報処理装置1の表示部14に表示させてもよいし、売り手端末3の表示部に表示させてもよい。
【0085】
一例として、査定結果画面51には、推定部22によって推定された価値向上度46が買い手企業Bごとに並べて配置されていてもよい。価値向上度46に基づいて算定された販売価格も価値向上度46と併せて表示されてもよい。
【0086】
このように、ユーザは、査定結果画面51を介して、ウェブページデータの買い手の候補を知ることができる。さらに、ユーザは、買い手の候補とともに表示されている価値向上度46または販売価格に基づいて、ウェブページデータの市場価値を把握することができる。
【0087】
図8は、ユーザに提示される検索要求画面52の一例を示す図である。出力制御部24は、検索要求画面52を生成し、生成した検索要求画面52をユーザに提示する。検索要求画面52は、ユーザが情報処理装置1に対して、ターゲットデータと組み合わせて分析に活用できる公開データ40の検索を要求する操作を行うためのUIである。出力制御部24は、検索要求画面52を情報処理装置1の表示部14に表示させてもよいし、売り手端末3の表示部に表示させてもよい。
【0088】
一例として、検索要求画面52は、分析対象のターゲットデータを指定する情報を入力する領域62を含んでいてもよい。例えば、買い手端末2の操作者は、領域62に分析対象のターゲットデータをドラッグアンドドロップし、検索の開始を指示するためのボタン63を押下する。この押下に応じて、買い手端末2は、領域62にドロップされたターゲットデータを含む検索要求を情報処理装置1に送信する。ターゲットデータが事前に情報処理装置1に登録されている場合には、領域62は、ターゲットデータまたは検索の依頼主である買い手企業Bを識別する識別情報を入力する領域であってもよい。情報処理装置1は、検索要求に含まれている識別情報に基づいて、ターゲットデータDB111から、依頼主の買い手企業Bのターゲットデータを読み出すことができる。
【0089】
このように、ユーザは、検索要求画面52を操作することにより、ターゲットデータと組み合わせられる公開データ40の検索要求を情報処理装置1に対して行うことができる。
【0090】
図9は、ユーザに提示される検索結果画面53の一例を示す図である。出力制御部24は、検索結果画面53を生成し、生成した検索結果画面53をユーザに提示する。検索結果画面53は、ユーザに検索結果について情報を提供するためのUIである。出力制御部24は、検索結果画面53を情報処理装置1の表示部14に表示させてもよいし、買い手端末2の表示部に表示させてもよい。
【0091】
一例として、検索結果画面53には、推定部22によって推定された価値向上度46が売り手企業Sごとに並べて配置されていてもよい。図示していないが、価値向上度46に基づいて算定された販売価格も価値向上度46と併せて表示されてもよい。
【0092】
このように、ユーザは、検索結果画面53を介して、ターゲットデータに組み合わせる公開データ40の売り手の候補を知ることができる。さらに、ユーザは、売り手の候補とともに表示されている価値向上度46に基づいて、ターゲットデータに公開データ40を組み合わせたときに、買い手にとってどの程度のメリットがあるのかを、公開データ40ごとに定量的に把握することができる。
【0093】
(結果の表示方法の変形例)
出力制御部24は、図7に示す査定結果画面51および図9に示す検索結果画面53の少なくとも1つにおいて、以下の表示方法を実行してもよい。
【0094】
例えば、出力制御部24は、買い手企業Bまたは売り手企業Sの候補の一覧を表示するとき、マッチングした買い手企業Bのターゲットデータと売り手企業Sの公開データとの類似度が高い順に、上述の候補の一覧を表示させてもよい。類似度は、上述したとおり、互いのデータに含まれているテキスト、画像および音声などが同じ事物を指している頻度または割合などに基づいて決定されてもよい。
【0095】
あるいは、例えば、出力制御部24は、買い手企業Bまたは売り手企業Sの候補の一覧を表示するとき、候補ごとに推定された価値向上度が高い順に、上述の候補の一覧を表示させてもよい。
【0096】
あるいは、例えば、出力制御部24は、買い手企業Bまたは売り手企業Sの候補の一覧を表示するとき、候補ごとに算出された販売価格が高い順に、上述の候補の一覧を表示させてもよい。
【0097】
あるいは、例えば、出力制御部24は、買い手企業Bの候補の一覧を表示するとき、候補が過去に公開データを購入した価格が高い順に、または、公開データを購入した回数が多い順に、上述の候補の一覧を表示させてもよい。
【0098】
あるいは、例えば、出力制御部24は、売り手企業Sの候補の一覧を表示するとき、候補の公開データが過去に購入された価格が高い順に、または、公開データを販売した回数が多い順に、上述の候補の一覧を表示させてもよい。
【0099】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザにより指定されたURLに基づいて前記ウェブページデータを取得するデータ取得部23と、取得された前記ウェブページデータを用いて拡張された後の前記ターゲットデータにより得られる前記第2分析結果の前記価値向上度を、前記ターゲットデータを保有する前記買い手ごとに出力する出力制御部24とをさらに備えている構成が採用されている。
【0100】
また、本例示的実施形態に係る情報処理装置1は、ユーザにより指定された前記ターゲットデータを取得するデータ取得部23と、取得された前記ターゲットデータが、前記ウェブページデータを用いて拡張されたことにより得られる前記第2分析結果の前記価値向上度を、前記ウェブページデータを保有する前記売り手ごとに出力する出力制御部24とをさらに備えている構成が採用されている。
【0101】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、上述の各例示的実施形態に係る情報処理装置1の奏する効果に加えて、ユーザが情報処理装置1に対する指示入力を行う場合に、ユーザに対して優れた操作性を提供できるという効果が得られる。さらに、ユーザが情報処理装置1から情報を得る場合に、ユーザに対して優れた視認性を提供することができるという効果が得られる。
【0102】
<ターゲットデータの拡張について>
(拡張部21の構成)
図10は、情報処理装置1の制御部10が備える拡張部21の詳細な構成の一例を示す図である。本例示的実施形態に係る拡張部21は、一例として、公開データ40に含まれる情報のうち、ターゲットデータに関連する情報を、ターゲットデータに追加することにより、ターゲットデータを拡張する。以下では、公開データ40に含まれている情報の中でターゲットデータに関連する情報を関連情報と称する。例えば、拡張部21は、図示のとおり、抽出部211と結合部212とを有していてもよい。抽出部211は、本例示的実施形態において抽出手段を実現する構成である。結合部212は、本例示的実施形態において結合手段を実現する構成である。
【0103】
抽出部211は、拡張される前のターゲットデータである拡張前データ41と、公開データ40とを比較し、公開データ40に含まれる情報のうち拡張前データ41と関連がある関連情報42を抽出する。
【0104】
結合部212は、拡張前データ41に関連情報42を結合して、拡張後データ43を生成する。
【0105】
(データ構造)
図11は、拡張部21において入出力される各種データのデータ構造の一例を示す図である。データ取得部23は、売り手企業SのURLに基づいて、売り手企業Sのウェブサイトから図11に示す公開データ40を取得したものとする。一例として、公開データ40は、図示のように複数のテキストデータを含むウェブページデータである。公開データ40は、データ取得部23から拡張部21に入力される。
【0106】
一方、ターゲットデータDB111から読み出されたターゲットデータとして、図11に示す拡張前データ41が拡張部21に入力される。一例として、ターゲットデータは、買い手企業Bの売上記録情報である。この売上記録情報は、拡張前データ41の段階では、例えば、「商品名」、および、売上金額を示す「売上」の2つのデータ項目で構成されているものとする。
【0107】
拡張部21の抽出部211は、公開データ40において、拡張前データ41に含まれているキーワードと近接して出現する頻度が所定値を超える情報を、関連情報42として公開データ40から抽出してもよい。そして、結合部212は、抽出された関連情報42を、拡張前データ41に対して、新たなデータ項目として結合してもよい。
【0108】
具体例を挙げると、抽出部211は、拡張前データ41からキーワードを抽出する。抽出部211は、例えば、所定の辞書にしたがって、拡張前データ41から所定の形態素をキーワードとして抽出してもよい。拡張前データ41には、商品名のデータ項目に「田中太郎」および「ピヨヤン」などのようにアニメまたはゲームなどに登場するキャラクタ名が含まれている。抽出部211は、こうしたキャラクタ名をキーワードとして抽出してもよい。
【0109】
一方、公開データ40には、キーワード「田中太郎」と近接して頻出する「コミック」というテキスト情報が含まれている。抽出部211は、キーワード「田中太郎」と近接して頻出する「コミック」というテキスト情報を、拡張前データ41に関連する情報として抽出することができる。抽出部211は、他にも、拡張前データ41の中の複数のキーワードについて、近接して頻出するテキスト情報を公開データ40から抽出してもよい。
【0110】
さらに、抽出部211は、拡張前データ41のキーワードと、公開データ40に含まれているテキスト情報との組ごとに、公開データ40における近接出現頻度を算定してもよい。抽出部211は、拡張前データ41のキーワードに近接して頻出したテキスト情報を関連情報42として結合部212に出力してもよい。図示の例では、「田中太郎」に近接して「コミック」というテキスト情報が頻出し、「ピヨヤン」に近接して「スーツ」というテキスト情報が頻出したという結果が出た。例えば、各テキスト情報は、近接出現頻度が7以上であることに基づいて頻出したと判定されてもよい。この結果に基づいて、抽出部211は、テキスト情報「コミック」および「スーツ」を関連情報42として結合部212に出力してもよい。
【0111】
結合部212は、抽出部211から入力された関連情報42を、ターゲットデータの新たなデータ項目として拡張前データ41に結合する。具体的には、結合部212は、テキスト情報「コミック」および「スーツ」のそれぞれを、新しいデータ項目として拡張前データ41に対して追加する。この結果、拡張後のターゲットデータ、すなわち、拡張後データ43は、「商品名」および「売上」に加えて「コミック」および「スーツ」のデータ項目を有する。
【0112】
さらに、結合部212は、図示のとおり、キーワードを含む商品名と、新たにデータ項目として追加されたテキスト情報との組に対して、近接出現頻度に基づく頻出有無の判定フラグ情報を拡張後データ43において関連付けてもよい。「田中太郎」と「コミック」との組は、近接出現頻度が7以上であることに基づいて、結合部212は、この組に対して「頻出した」ことを意味する「1」の判定フラグ情報を関連付ける。「田中太郎」と「スーツ」との組は、近接出現頻度が7未満であることに基づいて、結合部212は、この組に対して「頻出していない」ことを意味する「0」の判定フラグ情報を関連付ける。
【0113】
(拡張部21の変形例)
拡張部21の抽出部211は、公開データ40において、拡張前データ41に含まれているキーワードとの類似度が所定値を超える情報を、関連情報42として公開データ40から抽出してもよい。そして、結合部212は、抽出された関連情報42を、拡張前データ41に対して、新たなデータ項目として結合してもよい。
【0114】
例えば、抽出部211は、「ヨナン 田中次郎」または「ヨナン 中田三郎」などのテキスト情報または画像情報が公開データ40に含まれていた場合、これらを、拡張前データ41の「ヨナン 田中太郎」と類似度が高い関連情報42として抽出してもよい。
【0115】
結合部212は、抽出部211によって抽出された関連情報42を、拡張前データ41と同じデータ項目の構成に成形してレコードとして追加してもよい。例えば、拡張前データ41が、「商品名」と「売上」の2つのデータ項目からなる売上記録情報であって、アニメ関連商品100種について100個のレコードを有するデータベースであるとする。これに対して、抽出部211が、公開データ40から、別のアニメ関連商品10種について売上の情報を関連情報42として抽出したとする。
【0116】
この場合、結合部212は、別のアニメ関連商品10種について、「商品名」と「売上」の2つのデータ項目からなる売上記録情報を成形し、拡張前データ41に追加してもよい。この結果、拡張後データ43は、アニメ関連商品110種について110個のレコードを有するデータベースへと拡張される。データベースにおけるレコード数、または、テーブルにおける行数など、ターゲットデータが擁するサンプル数が増えることは、有意な分析結果を出力することにつながる。
【0117】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、拡張部21は、前記公開データに含まれる情報のうち、前記ターゲットデータと関連する情報を、前記ターゲットデータに追加する構成が採用されている。
【0118】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、拡張前のターゲットデータと親和性の高い関連情報を追加して、ターゲットデータの内容を充実化させることができる。結果として、上述の各例示的実施形態に係る情報処理装置1の奏する効果に加えて、買い手にとって価値がより高い第2分析結果を得ることを可能にするという効果が得られる。第2分析結果の買い手にとっての価値が上がるということは、公開データの市場価値を高めることにもつながり、延いては、データ流通の市場を活性化させることにもつながる。
【0119】
さらに、本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、拡張部21は、前記ターゲットデータに含まれているキーワードと近接して出現する頻度が所定値を超える情報を、前記公開データから抽出する抽出部211と、抽出された前記情報を、前記ターゲットデータのデータ項目として結合する結合部212とを含む構成が採用されている。
【0120】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、拡張前のターゲットデータに含まれているキーワードと近接して頻出する関連情報を追加して、ターゲットデータの内容を充実化させることができる。結果として、第2分析結果の買い手にとっての価値をより一層高められるという効果が得られる。
【0121】
あるいは、本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、拡張部21は、前記ターゲットデータに含まれているキーワードとの類似度が所定値を超える情報を、前記公開データから抽出する抽出部211と、抽出された前記情報を、前記ターゲットデータのデータ項目として結合する結合部212とを含む構成が採用されている。
【0122】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、拡張前のターゲットデータに含まれているキーワードと類似する関連情報を追加して、ターゲットデータの内容を充実化させることができる。結果として、第2分析結果の買い手にとっての価値をより一層高められるという効果が得られる。
【0123】
<価値向上度の推定について>
(推定部22の構成)
図12は、情報処理装置1の制御部10が備える推定部22の詳細な構成の一例を示す図である。本例示的実施形態に係る推定部22は、一例として、以下の差分の少なくともいずれかに基づいて価値向上度46を推定する。以下の差分とは、すなわち、(1)拡張前データ41と拡張後データ43との差分、および、(2)拡張前データ41を分析した結果である第1分析結果と拡張後データ43を分析した結果である第2分析結果との差分である。具体的には、推定部22は、上述の差分が大きいほど価値向上度46が上がるように推定を行う。
【0124】
本例示的実施形態において、分析部26は、ターゲットデータを分析し、分析した結果である分析結果を出力するものである。分析部26は、拡張前データ41を分析し、その結果である第1分析結果44を出力してもよい。分析部26は、拡張後データ43を分析し、その結果である第2分析結果45を出力してもよい。
【0125】
例えば、分析部26は、ターゲットデータを分析して、所定の事象を示す予測結果を出力する予測器であってもよい。この場合、分析部26から出力される第1分析結果44は、拡張前データ41を分析して得られた第1予測結果であり、第2分析結果45は、拡張後データ43を分析して得られた第2予測結果である。
【0126】
推定部22は、第1予測結果を実際に起きた事象と比較して第1予実誤差を求めてもよい。また、推定部22は、第2予測結果を実際に起きた事象と比較して第2予実誤差を求めてもよい。そして、推定部22は、第1予実誤差と比較して、第2予実誤差が小さいほど、第2分析結果45の第1分析結果44に対する価値向上度が上がるように該価値向上度を推定する。すなわち、推定部22は、第2予測結果における予測の精度が高まるほど、価値向上度が上がるように推定を行う。
【0127】
また、例えば、分析部26は、ターゲットデータを分析して、所定の事象を判定し、判定結果を出力する分類器であってもよい。この場合、分析部26から出力される第1分析結果44は、拡張前データ41を分析して得られた第1判定結果であり、第2分析結果45は、拡張後データ43を分析して得られた第2判定結果である。
【0128】
推定部22は、第1判定結果を正解データと比較して第1正解率を求めてもよい。また、推定部22は、第2判定結果を正解データと比較して第2正解率を求めてもよい。そして、推定部22は、第1正解率と比較して、第2正解率が高いほど、第2分析結果45の第1分析結果44に対する価値向上度が上がるように該価値向上度を推定する。すなわち、推定部22は、第2判定結果における判定の精度が高まるほど、価値向上度が上がるように推定を行う。
【0129】
例えば、推定部22は、拡張前データ41と比較して、拡張後データ43におけるデータ項目数およびサンプル数の少なくともいずれかの増加量が多いほど、価値向上度を上げてもよい。上述のとおり、ターゲットデータのデータ項目数およびサンプル数の少なくともいずれかが増加するほど、有意な分析結果が得られやすい。
【0130】
あるいは、例えば、分析部26は、ターゲットデータを分析して、視覚的に認知可能な可視化情報を分析結果として出力するBI(business intelligence)ツールであってもよい。この場合、分析部26から出力される第1分析結果44は、拡張前データ41を分析して得られた第1可視化情報であり、第2分析結果45は、拡張後データ43を分析して得られた第2可視化情報である。
【0131】
推定部22は、第1可視化情報と第2可視化情報とを比較し、第2可視化情報の有意性が向上するほど価値向上度を上げてもよい。例えば、可視化情報において、一覧性、重要なポイントが一目で分かること、閲覧者の意思決定を支援する洞察に優れた結果の見せ方、などが優れていることが有意性が高いと判断され得る。
【0132】
推定部22は、可視化情報を入力値とし、該可視化情報の有意性を表す指標値を出力値とする有意性決定部221を含んでいてもよい。有意性決定部221は、本例示的実施形態において、有意性決定手段を実現する構成である。推定部22は、有意性決定部221が出力した指標値が高い有意性を示すほど、価値向上度を上げてもよい。有意性決定部221は、例えば、非特許文献3に記載されている技術を用いて実現されてもよい。
【0133】
(変形例;統計的因果探索)
あるいは、例えば、分析部26は、統計的因果探索技術を用いてターゲットデータを分析する統計的因果探索部であってもよい。統計的因果探索部としての分析部26は、本例示的実施形態において統計的因果探索手段を実現する構成である。分析部26は、ターゲットデータ、および、該ターゲットデータに含まれる目的変数を入力値とし、ターゲットデータに含まれる、複数のキーワードと各キーワード間の因果関係を示す情報とを少なくとも含む因果関係データを出力値として出力する。統計的因果探索部としての分析部26は、例えば、非特許文献2に記載されている技術を用いて実現されてもよい。
【0134】
分析部26は、拡張前データ41を入力値として、第1因果関係データを第1分析結果44を出力値として出力する。分析部26は、拡張後データ43を入力値として、第2因果関係データを第2分析結果45を出力値として出力する。この2つの分析のいずれにおいても、ターゲットデータ内の同一のキーワードが目的変数として指定される。
【0135】
推定部22は、第2分析結果45が、第1分析結果44と比較して、因果関係を有するキーワードの組み合わせを多く含むほど、価値向上度を上げてもよい。
【0136】
図13は、本変形例における拡張前データ41のデータ構造の一例を示す図である。一例として、ターゲットデータは、買い手企業Bの販売記録情報であって、拡張前データ41の段階では、例えば、「商品ID」、「商品名」、「価格」および「評価」の4つのデータ項目で構成されているものとする。例えば、拡張前データ41における上述の4つのデータ項目のうち、重要成功要因(KSF;Key Success Factor)が「評価」であると分かっている場合、「評価」が目的変数であるとして、拡張前データ41とともに分析部26に入力されてもよい。
【0137】
図14は、図13に示す拡張前データ41および目的変数「評価」を入力値として、分析部26が出力値として出力する第1因果関係データ(第1分析結果44)のデータ構造の一例を示す図である。因果関係データは、図示のとおり、拡張前データ41から抽出された複数のキーワードと、キーワード間の因果関係を示す情報とを含む。
【0138】
拡張前データ41から得られた第1分析結果44では、価格と評価との因果関係しか判明せず、第1分析結果44は、買い手企業Bにとって価値がある有意な情報であるとは言い難い。
【0139】
図15は、本変形例における拡張後データ43のデータ構造の一例を示す図である。拡張後データ43は、例えば、上述したように、拡張部21が公開データ40を用いて新しいデータ項目を拡張前データ41に追加することにより得られてもよい。図示の例では、「スマートウォッチ」、「フィットネス」、「G社製」、および、「マニア」のデータ項目が新たに追加されている。
【0140】
図16は、図15に示す拡張後データ43および目的変数「評価」を入力値として、分析部26が出力値として出力する第2因果関係データ(第2分析結果45)のデータ構造の一例を示す図である。因果関係を示す情報は、因果関係の強さ、因果関係の方向、および、その結びつきが肯定的なものか否定的なものか、などの情報を含んでいてもよい。
【0141】
拡張後データ43から得られた第2分析結果45では、第1分析結果44と比較して、評価と相関があると判断された価格以外のキーワードが複数抽出されている。このような第2分析結果45に基づいて、買い手企業Bは、高評価につながる商品の重要な要素、または、反対に評価を下げてしまう否定的な要素に着目できる可能性が高まる。第2分析結果45は、第1分析結果44と比較して、買い手企業Bにとって価値がある有意な情報であると言える。
【0142】
推定部22は、第1分析結果44と第2分析結果45とを比較して、因果関係を有するキーワードの組み合わせが増えるほど、第2分析結果45の価値向上度が上がるように推定を行う。
【0143】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、推定部22は、拡張される前の前記ターゲットデータと拡張された後の前記ターゲットデータとの差分、および、前記第1分析結果と前記第2分析結果との差分の少なくともいずれかに基づいて、前記差分が大きいほど前記価値向上度を上げる構成が採用されている。
【0144】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、上述の各例示的実施形態に係る情報処理装置1の奏する効果に加えて、売り手の公開データの価値を、買い手にもたらされる利益の観点から定量的に評価することができるという効果が得られる。
【0145】
さらに、本例示的実施形態においては、前記第1分析結果および前記第2分析結果は、それぞれ、拡張前後の前記ターゲットデータを用いて所定の事象を予測または判定した結果を示していてもよい。この場合、推定部22においては、前記第2分析結果の予測または判定の精度が向上するほど前記価値向上度を上げる構成が採用されている。
【0146】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、買い手にもたらされる利益として、予測精度または判定精度がどの程度向上するかという観点から、売り手の公開データの価値を定量的に評価することができるという効果が得られる。
【0147】
本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、推定部22は、拡張前と比較して、拡張後の前記ターゲットデータにおけるデータ項目数およびサンプル数の少なくともいずれかの増加量が多いほど、前記価値向上度を上げる構成が採用されている。
【0148】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、買い手にもたらされる利益として、ターゲットデータの情報量がどれだけ増加するかという観点から、売り手の公開データの価値を定量的に評価することができるという効果が得られる。
【0149】
さらに、本例示的実施形態においては、前記第1分析結果および前記第2分析結果は、それぞれ、拡張前後の前記ターゲットデータから変換された、視覚的に認知可能な可視化情報を含んでいてもよい。この場合、推定部22においては、前記第2分析結果に含まれる前記可視化情報の有意性が向上するほど前記価値向上度を上げる構成が採用されている。
【0150】
本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、推定部22は、前記可視化情報を入力値とし、該可視化情報の有意性を表す指標値を出力値とする有意性決定部221を含み、前記指標値が高い有意性を示すほど、前記価値向上度を上げる構成が採用されている。
【0151】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、買い手にもたらされる利益として、ターゲットデータから得られた分析結果がどれだけ買い手の関心をひく魅力的な情報を呈しているかという観点から、売り手の公開データの価値を定量的に評価することができるという効果が得られる。
【0152】
本例示的実施形態に係る情報処理装置1は、前記ターゲットデータおよび該ターゲットデータに含まれる目的変数を入力値とし、前記ターゲットデータに含まれる、複数のキーワードと各キーワード間の因果関係を示す情報とを出力値として出力する統計的因果探索技術を適用した分析部26をさらに備えていてもよい。このような情報処理装置1の推定部22においては、拡張された後の前記ターゲットデータを入力値として分析部26によって前記出力値として出力された前記第2分析結果が、拡張される前の前記ターゲットデータを入力値として分析部26によって前記出力値として出力された前記第1分析結果と比較して、因果関係を有するキーワードの組み合わせを多く含むほど、前記価値向上度を上げる構成が採用されている。
【0153】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、買い手にもたらされる利益として、ターゲットデータから得られた因果関係データが、目的変数と相関がある重要な要素をどれだけ多く含んでいるかという観点から、売り手の公開データの価値を定量的に評価することができるという効果が得られる。
【0154】
<販売価格の算定について>
情報処理装置1の制御部10は、さらに、推定部22によって推定された価値向上度に応じて、売り手の公開データ40の販売価格を算定する価格算定部25を備えていてもよい。価格算定部25は、本例示的実施形態において、価格算定手段を実現する構成である。
【0155】
価格算定部25は、例えば、推定された価値向上度に比例して販売価格が高額になるように販売価格を決定する。例えば、価格算定部25は、販売価格として、買い手企業Bが情報処理装置1に対して支払う分析サービス利用料金(図3)を算出してもよいし、売り手企業Sが情報処理装置1から受け取る公開データ使用料金を算出してもよい。あるいは、価格算定部25は、分析サービス利用料金と公開データ使用料金との両方を算出してもよい。この場合、出力制御部24は、買い手企業Bに販売価格を提示するときは、分析サービス利用料金を、売り手企業Sに販売価格を提示するときは、公開データ使用料金を採用してもよい。
【0156】
価格算定部25は、買い手企業Bが公開データ40を購入したときの購入金額と、該公開データ40に基づく価値向上度46とを関連付けた購入実績情報を参照してもよい。そして、価格算定部25は、購入金額が高いほど、販売価格を上方に修正してもよい。
【0157】
(購入実績情報113)
図17は、記憶部11に記憶されている購入実績情報113のデータ構造の一例を示す図である。購入実績情報113は、一例として、購入者ID、購入者名、購入金額、および、価値向上度の4つのデータ項目を有していてもよい。購入実績情報113は、必要に応じて、販売者ID、販売者名、URL、および、購入日の不図示の4つのデータ項目をさらに有していてもよい。
【0158】
購入者IDは、買い手企業Bを一意に識別する識別情報を示す。購入者名は、買い手企業Bの名称を示す。購入金額は、買い手企業Bが公開データ40を購入した購入金額を示す。価値向上度は、購入された公開データ40を用いることによりターゲットデータを分析した第2分析結果45の価値向上度を示す。
【0159】
販売者IDは、買い手企業Bが購入した公開データ40の保有者である売り手企業Sを一意に識別する識別情報を示す。販売者名は、売り手企業Sの名称を示す。URLは、購入された公開データ40(ウェブページデータ)を特定する情報を示す。購入日は、公開データ40が購入された日時を示す。
【0160】
価格算定部25は、価値向上度に基づいて算出した販売価格を、購入実績情報113に基づいて修正することができる。例えば、価格算定部25は、ある買い手企業Bの、価値向上度に対する購入金額が他の買い手よりも高額である場合には、該買い手企業Bに提示する販売価格を上方に修正してもよい。あるいは、価格算定部25は、ある売り手企業Sの公開データ40が購入されたときの価値向上度に対する購入金額が、他の売り手よりも低額である場合には、該売り手企業Sの公開データ40の販売価格を下方に修正してもよい。
【0161】
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理装置1は、推定部22によって推定された前記価値向上度に応じて、前記売り手の前記公開データの販売価格を算定する価格算定部25をさらに備えている構成が採用されている。
【0162】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、上述の各例示的実施形態に係る情報処理装置1の奏する効果に加えて、価値向上度に基づく合理的な価格設定が可能になるという効果が得られる。
【0163】
本例示的実施形態に係る情報処理装置1においては、価格算定部25は、前記買い手が前記公開データを購入したときの購入金額と、該公開データに基づく前記価値向上度とを関連付けた購入実績情報113を参照し、前記購入金額が高いほど、前記販売価格を上方に修正する構成が採用されている。
【0164】
このため、本例示的実施形態に係る情報処理装置1によれば、上述の各例示的実施形態に係る情報処理装置1の奏する効果に加えて、価値向上度と買い手の需要とに基づく合理的な価格設定が可能になるという効果が得られる。
【0165】
<処理フロー>
図18は、データ流通システム100において実行される本例示的実施形態の情報処理方法の一例を示すシーケンス図である。図18に示される情報処理方法は、一例として、例示的実施形態2のデータ流通方法によって売り手の公開データを流通させるために、公開データの市場的価値を評価する、すなわち、査定するための方法である。なお、本開示の情報処理方法は、図18に示す例に限らず、買い手のターゲットデータを分析対象とした分析結果の価値を高める公開データを検索するための方法にも適用できる。
【0166】
図示の例では、査定を開始する指示の入力、および、査定結果の表示を、売り手企業の売り手端末3に実行させるケースについて説明する。しかし、このような例に限らず、本開示の情報処理方法は、査定を開始する指示の入力、および、査定結果の表示を含めて、全てのステップをサービスプロバイダの情報処理装置1に実行させるケースに適用し得る。前者のケースでは、「ユーザ」は、売り手端末3を操作する売り手企業の操作者を指し、後者のケースでは、「ユーザ」は、情報処理装置1を操作するサービスプロバイダの操作者を指す。
【0167】
ステップS101では、売り手端末3は、自端末の表示部に図6に示す査定要求画面50を表示させる。例えば、情報処理装置1の出力制御部24は、売り手端末3から査定要求画面50を要求するメッセージを受け付けて、売り手端末3の表示部に査定要求画面50を表示させるように、査定要求画面50に関する情報を返信してもよい。
【0168】
ステップS102では、売り手端末3は、査定の開始を指示する入力操作をユーザから受け付ける。例えば、売り手端末3は、査定要求画面50の領域60に公開データのURLが入力された状態でボタン61が押下されたことに応じて、査定の開始指示を受け付けてもよい。売り手端末3は、査定の開始指示を受け付けると、S102のYESからS103に進む。
【0169】
ステップS103では、売り手端末3は、査定要求を情報処理装置1に送信する。売り手端末3は、領域60に入力されたURLを少なくとも含む査定要求を情報処理装置1に送信する。査定要求は、さらに、URLが指し示す公開データを保有する売り手企業Sを識別する売り手企業SのIDを含んでいてもよい。
【0170】
ステップS104では、情報処理装置1のデータ取得部23は、査定要求を売り手端末3から受信する。
【0171】
ステップS105では、データ取得部23は、受信した査定要求に含まれているURLが示すウェブサイトのウェブページデータを取得する。
【0172】
ステップS106では、データ取得部23は、記憶部11に事前に記憶されているターゲットデータDB111から、ターゲットデータを取得する。データ取得部23は、依頼元の売り手企業Sにマッチするように所定の条件に適合する買い手企業Bのターゲットデータだけを抽出してもよい。ここで、データ取得部23は、査定を依頼された公開データにマッチングさせるターゲットデータの候補を複数取得してもよい。データ取得部23は、ターゲットデータの候補を複数取得した場合には、その後、候補の中から価値向上度を推定する処理にかけるターゲットデータを1つ読み出す。S106~S111の処理群は、取得されたターゲットデータの数だけ繰り返される。
【0173】
ステップS107では、拡張部21は、ウェブページデータに含まれる情報の中から、ターゲットデータに関連する関連情報を抽出する。
【0174】
ステップS108では、拡張部21は、抽出した関連情報に基づいて、ターゲットデータを拡張する。
【0175】
ステップS109では、推定部22は、拡張後データを用いて分析を行った場合に得られる第2分析結果の価値向上度を推定する。
【0176】
ステップS110では、価格算定部25は、推定された価値向上度に基づいて、依頼元の売り手企業Sから上述のターゲットデータを保有する買い手企業Bに、上述のウェブページデータを販売する場合の販売価格を算定する。
【0177】
ステップS111では、データ取得部23は、S106で取得した複数のターゲットデータのうち、価値向上度の推定および販売価格の算定が済んでいないターゲットデータが残っているか否かを判定する。未査定のターゲットデータが残っている場合、処理は、S111のYESからS106の処理に戻され、以降の処理が繰り返される。S106で取得されたすべてのターゲットデータについて査定が完了した場合、処理は、S111のNOからS112に進められる。
【0178】
ステップS112では、出力制御部24は、査定結果を依頼元の売り手端末3に送信する。出力制御部24は、例えば、候補となる買い手企業Bと該買い手企業Bにもたらされる価値向上度とを含む査定結果を売り手端末3に送信する。出力制御部24は、さらに、価値向上度に基づいて算出された販売価格を査定結果に含めてもよい。
【0179】
ステップS113では、売り手端末3は、情報処理装置1から査定結果を受信する。
【0180】
ステップS114では、売り手端末3は、自端末の表示部に、受信した査定結果に含まれている価値向上度および販売価格を、買い手企業Bごとに表示させる。売り手端末3は、例えば、上述の査定結果が反映された図7に示す査定結果画面51を表示部に表示させてもよい。
【0181】
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置1の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0182】
後者の場合、情報処理装置1は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図19に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを情報処理装置1として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、情報処理装置1の各機能が実現される。
【0183】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0184】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0185】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0186】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0187】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0188】
(付記1)
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段と、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段と、を備えている情報処理装置。
【0189】
(付記2)
前記公開データは、前記売り手のウェブサイトを構成するウェブページデータである、付記1に記載の情報処理装置。
【0190】
(付記3)
ユーザにより指定されたURL(Uniform Resource Locator)に基づいて前記ウェブページデータを取得するデータ取得手段と、
取得された前記ウェブページデータを用いて拡張された後の前記ターゲットデータにより得られる前記第2分析結果の前記価値向上度を、前記ターゲットデータを保有する前記買い手ごとに出力する出力制御手段とをさらに備えている付記2に記載の情報処理装置。
【0191】
(付記4)
ユーザにより指定された前記ターゲットデータを取得するデータ取得手段と、
取得された前記ターゲットデータが、前記ウェブページデータを用いて拡張されたことにより得られる前記第2分析結果の前記価値向上度を、前記ウェブページデータを保有する前記売り手ごとに出力する出力制御手段とをさらに備えている付記2または3に記載の情報処理装置。
【0192】
(付記5)
前記拡張手段は、前記公開データに含まれる情報のうち、前記ターゲットデータと関連する情報を、前記ターゲットデータに追加する、付記1から4のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0193】
(付記6)
前記拡張手段は、
前記ターゲットデータに含まれているキーワードと近接して出現する頻度が所定値を超える情報を、前記公開データから抽出する抽出手段と、
抽出された前記情報を、前記ターゲットデータのデータ項目として結合する結合手段とを含む、付記5に記載の情報処理装置。
【0194】
(付記7)
前記拡張手段は、
前記ターゲットデータに含まれているキーワードとの類似度が所定値を超える情報を、前記公開データから抽出する抽出手段と、
抽出された前記情報を、前記ターゲットデータのデータ項目として結合する結合手段とを含む、付記5に記載の情報処理装置。
【0195】
(付記8)
前記推定手段は、
拡張される前の前記ターゲットデータと拡張された後の前記ターゲットデータとの差分、および、
前記第1分析結果と前記第2分析結果との差分
の少なくともいずれかに基づいて、前記差分が大きいほど前記価値向上度を上げる付記1から7のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0196】
(付記9)
前記第1分析結果および前記第2分析結果は、それぞれ、拡張前後の前記ターゲットデータを用いて所定の事象を予測または判定した結果を示し、
前記推定手段は、前記第2分析結果の予測または判定の精度が向上するほど前記価値向上度を上げる、付記8に記載の情報処理装置。
【0197】
(付記10)
前記推定手段は、拡張前と比較して、拡張後の前記ターゲットデータにおけるデータ項目数およびサンプル数の少なくともいずれかの増加量が多いほど、前記価値向上度を上げる、付記8に記載の情報処理装置。
【0198】
(付記11)
前記第1分析結果および前記第2分析結果は、それぞれ、拡張前後の前記ターゲットデータから変換された、視覚的に認知可能な可視化情報を含み、
前記推定手段は、前記第2分析結果に含まれる前記可視化情報の有意性が向上するほど前記価値向上度を上げる、付記8に記載の情報処理装置。
【0199】
(付記12)
前記推定手段は、
前記可視化情報を入力値とし、該可視化情報の有意性を表す指標値を出力値とする有意性決定手段を含み、
前記指標値が高い有意性を示すほど、前記価値向上度を上げる、付記11に記載の情報処理装置。
【0200】
(付記13)
前記ターゲットデータおよび該ターゲットデータに含まれる目的変数を入力値とし、前記ターゲットデータに含まれる、複数のキーワードと各キーワード間の因果関係を示す情報とを出力値として出力する統計的因果探索手段をさらに備え、
前記推定手段は、
拡張された後の前記ターゲットデータを入力値として前記統計的因果探索手段によって前記出力値として出力された前記第2分析結果が、拡張される前の前記ターゲットデータを入力値として前記統計的因果探索手段によって前記出力値として出力された前記第1分析結果と比較して、因果関係を有するキーワードの組み合わせを多く含むほど、前記価値向上度を上げる、付記8に記載の情報処理装置。
【0201】
(付記14)
前記推定手段によって推定された前記価値向上度に応じて、前記売り手の前記公開データの販売価格を算定する価格算定手段をさらに備えている付記1から13のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【0202】
(付記15)
前記価格算定手段は、
前記買い手が前記公開データを購入したときの購入金額と、該公開データに基づく前記価値向上度とを関連付けた購入実績情報を参照し、
前記購入金額が高いほど、前記販売価格を上方に修正する、付記14に記載の情報処理装置。
【0203】
(付記16)
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張して分析した場合に前記買い手が得る利益に基づいて、拡張された後の前記ターゲットデータを分析するサービスの販売価格を、少なくとも1つのプロセッサが決定すること、
前記販売価格に相当する報酬を対価として、前記公開データを用いて拡張された前記ターゲットデータを分析した結果である分析結果データを前記買い手に供給すること、および、
前記公開データを用いた対価として、前記販売価格の一部に相当する報酬を、前記売り手に支払うこと、とを含む、データ流通方法。
【0204】
(付記17)
前記公開データは、前記売り手のウェブサイトを構成するウェブページデータである、付記16に記載のデータ流通方法。
【0205】
(付記18)
少なくとも1つのプロセッサが、
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張することと、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定することと、を含む、情報処理方法。
【0206】
(付記19)
コンピュータを、
売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張手段、および、
拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定手段、として機能させる制御プログラム。
【0207】
前記出力制御手段は、買い手または売り手の候補を前記価値向上度とともに表示部に表示させるとき、買い手のターゲットデータと売り手の公開データとの類似度が高い順に表示されるように前記表示部を制御してもよい。
【0208】
前記出力制御手段は、買い手または売り手の候補を前記価値向上度とともに表示部に表示させるとき、該価値向上度が高い順に表示されるように前記表示部を制御してもよい。
【0209】
前記出力制御手段は、買い手または売り手の候補を前記価値向上度とともに表示部に表示させるとき、前記販売価格が高い順に表示されるように前記表示部を制御してもよい。
【0210】
前記出力制御手段は、買い手の候補を前記価値向上度とともに表示部に表示させるとき、前記候補が過去に公開データを購入した価格が高い順に、または、公開データを購入した回数が多い順に表示されるように前記表示部を制御してもよい。
【0211】
前記出力制御手段は、売り手の候補を前記価値向上度とともに表示部に表示させるとき、前記候補の公開データが過去に購入された価格が高い順に、または、公開データが購入された回数が多い順に表示されるように前記表示部を制御してもよい。
【0212】
〔付記事項3〕
上述した実施形態の一部又は全部は、更に、以下のように表現することもできる。
【0213】
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、売り手が保有する、公開済みまたは公開が予定されている公開データを用いて、買い手が保有する、分析の対象となるターゲットデータを拡張する拡張処理と、拡張される前の前記ターゲットデータを分析した結果である第1分析結果に対する、拡張された後の前記ターゲットデータを分析した結果である第2分析結果の価値向上度を推定する推定処理と、を実行する情報処理装置。
【0214】
なお、この情報処理装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記拡張処理と、前記推定処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0215】
1 情報処理装置
2 買い手端末
3 売り手端末
10 制御部
11 記憶部
12 操作部
13 通信部
14 表示部
21 拡張部(拡張手段)
22 推定部(推定手段)
23 データ取得部(データ取得手段)
24 出力制御部(出力制御手段)
25 価格算定部(価格算定手段)
26 分析部(統計的因果探索手段)
40 公開データ(ウェブページデータ)
41 拡張前データ
42 関連情報
43 拡張後データ
44 第1分析結果
45 第2分析結果
46 価値向上度
50 査定要求画面
51 査定結果画面
52 検索要求画面
53 検索結果画面
100 データ流通システム
111 ターゲットデータDB
112 公開データDB
113 購入実績情報
211 抽出部(抽出手段)
212 結合部(結合手段)
221 有意性決定部(有意性決定手段)

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