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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/16 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
A61B5/16 120
A61B5/16 110
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023508263
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012274
(87)【国際公開番号】W WO2022201364
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 聡延
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131015
【弁理士】
【氏名又は名称】三輪 浩誉
(72)【発明者】
【氏名】古川 あずさ
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208576(JP,A)
【文献】特開2020-185138(JP,A)
【文献】特開2021-012409(JP,A)
【文献】特開2019-030557(JP,A)
【文献】特開2020-067845(JP,A)
【文献】国際公開第2019/031257(WO,A1)
【文献】特開2018-11721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、
前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する出力制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、
前記対象者の慢性ストレスの度合いに基づき前記目標感情と前記実感情との組を分類し、分類ごとの前記乖離の傾向を学習する乖離傾向学習手段と、
前記乖離傾向学習手段による前記乖離の傾向の学習結果を出力する出力制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、
前記対象者の急性ストレスの度合いに基づき前記目標感情と前記実感情との組を分類し、分類ごとの前記乖離の傾向を学習する乖離傾向学習手段と、
前記乖離傾向学習手段による前記乖離の傾向の学習結果を出力する出力制御手段と、
を有する情報処理装置。
【請求項4】
前記乖離傾向特定手段は、前記目標感情と前記実感情とを、内面状態に関する座標系における座標値により表し、前記目標感情の前記座標値と、前記実感情の前記座標値とにより特定されるベクトルに基づき、前記乖離の傾向を特定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記感情取得手段は、前記目標感情と、前記実感情とを指定する外部入力を受け付けることで、前記目標感情と、前記実感情とを取得する、請求項1~のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータが、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得し、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定し、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得し、
前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する
制御方法。
【請求項7】
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得し、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定し、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得し、
前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、内面状態の推定に関する処理を行う情報処理装置、制御方法及び記憶媒体の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
対象者の内面状態を推定する装置又はシステムが知られている。例えば、特許文献1には、対象者が感じている感情を覚醒度及び快適度の両面から評価し、覚醒度データ及び快適度データ等に基づいて、空調の風量、温度、香りなどを調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-208576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
感情に正解はないため、どのように感情の管理及び調整を行っていくべきかについては人によって異なる。そして、自分の感情を適切に管理及び調整するためには、現状の感情の把握では不十分となる。
【0005】
本開示は、上述した課題を鑑み、感情の管理及び調整を好適に支援することが可能な情報処理装置、制御方法及び記憶媒体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理装置の一の態様は、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、
前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する出力制御手段と、
を有する、情報処理装置である。
情報処理装置の別の態様は、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、
前記対象者の慢性ストレスの度合いに基づき前記目標感情と前記実感情との組を分類し、分類ごとの前記乖離の傾向を学習する乖離傾向学習手段と、
前記乖離傾向学習手段による前記乖離の傾向の学習結果を出力する出力制御手段と、
を有する情報処理装置である。
情報処理装置のさらに別の態様は、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段と、
前記対象者の急性ストレスの度合いに基づき前記目標感情と前記実感情との組を分類し、分類ごとの前記乖離の傾向を学習する乖離傾向学習手段と、
前記乖離傾向学習手段による前記乖離の傾向の学習結果を出力する出力制御手段と、
を有する情報処理装置である。
【0007】
制御方法の一の態様は、
コンピュータが、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得し、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定し、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得し、
前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する
制御方法である。なお、「コンピュータ」は、あらゆる電子機器(電子機器に含まれるプロセッサであってもよい)を含み、かつ、複数の電子機器により構成されてもよい。
【0008】
プログラムの一の態様は、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得し、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定し、
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得し、
前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する処理をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、感情の管理及び調整に有用な情報を好適に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る内面状態推定システムの概略構成を示す。
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示す。
図3】情報処理装置の機能ブロックの一例である。
図4】(A)目標感情入力画面の第1表示例を示す。(B)目標感情入力画面の第2表示例を示す。
図5】(A)第1態様における感情管理情報のデータ構造の一例である。(B)第1態様における乖離傾向情報のデータ構造の一例である。
図6】(A)内面状態座標系における乖離ベクトルを示す図である。(B)第1態様における感情評価レポートの出力例である。
図7】第2態様における情報処理装置の機能ブロックの一例である。
図8】(A)第1イベント指定画面の表示例である。(B)第2イベント指定画面の表示例である。
図9】(A)第2態様における感情管理情報のデータ構造の一例である。(B)第2態様における乖離傾向情報のデータ構造の一例である。(C)第2態様における感情評価レポートの一例である。
図10】第3態様における情報処理装置の機能ブロックの一例である。
図11】(A)第3態様における感情管理情報のデータ構造の一例である。(B)第3態様における乖離傾向情報のデータ構造の一例である。(C)第3態様における感情評価レポートの一例である。
図12】第4態様における情報処理装置の機能ブロックの一例である。
図13】(A)第4態様における感情評価レポートの第1の例である。(B)第4態様における感情評価レポートの第2の例である。
図14】第1実施形態において情報処理装置が実行する処理フローチャートの一例である。
図15】対象者によるシステムの利用シナリオの一例を示す。
図16】第2実施形態における内面状態推定システムの概略構成を示す。
図17】第3実施形態における情報処理装置のブロック図である。
図18】第3実施形態において情報処理装置が実行するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置、制御方法及び記憶媒体の実施形態について説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(1)システム構成
図1は、第1実施形態に係る内面状態推定システム100の概略構成を示す。内面状態推定システム100は、対象者の実際の感情(「実感情」とも呼ぶ。)と目標となる感情(「目標感情」とも呼ぶ。)との乖離の傾向を特定し、特定した乖離の傾向に関する情報を出力する。ここで、「対象者」は、組織により内面状態の管理が行われるスポーツ選手又は従業員であってもよく、個人のユーザであってもよい。
【0013】
内面状態推定システム100は、主に、情報処理装置1と、入力装置2と、出力装置3と、記憶装置4と、センサ5とを備える。
【0014】
情報処理装置1は、通信網を介し、又は、無線若しくは有線による直接通信により、入力装置2、出力装置3、及びセンサ5とデータ通信を行う。そして、情報処理装置1は、入力装置2から供給される入力信号「S1」、センサ5から供給されるセンサ信号「S3」、及び記憶装置4に記憶された情報に基づいて、対象者の実感情と目標感情の特定及び実感情と目標感情との乖離傾向の特定等を行う。また、情報処理装置1は、特定した乖離傾向に関する出力信号「S2」を生成し、生成した出力信号S2を出力装置3に供給する。
【0015】
入力装置2は、各対象者に関する情報の手入力(外部入力)を受け付けるインターフェースである。なお、入力装置2を用いて情報の入力を行うユーザは、対象者本人であってもよく、対象者の活動を管理又は監督する者であってもよい。入力装置2は、例えば、タッチパネル、ボタン、キーボード、マウス、音声入力装置などの種々のユーザ入力用インターフェースであってもよい。入力装置2は、生成した入力信号S1を、情報処理装置1へ供給する。出力装置3は、情報処理装置1から供給される出力信号S2に基づき、所定の情報を表示又は音出力する。出力装置3は、例えば、ディスプレイ、プロジェクタ、スピーカ等である。
【0016】
センサ5は、対象者の生体データ(生体信号)等を測定し、測定した生体データ等を、センサ信号S3として情報処理装置1へ供給する。この場合、センサ信号S3は、対象者のストレス推定に用いられる任意の生体データ(例えば、心拍、脳波、発汗量、ホルモン分泌量、脳血流、血圧、体温、筋電、心電、呼吸数、脈波、加速度等)であってもよい。また、センサ5は、対象者から採取された血液を分析し、その分析結果をセンサ信号S3として出力する装置であってもよい。また、センサ5は、対象者が装着するウェアラブル端末であってもよく、対象者を撮影するカメラ又は対象者の発話の音声信号を生成するマイク等であってもよい。
【0017】
記憶装置4は、情報処理装置1が処理を実行するために必要な各種情報を記憶するメモリである。記憶装置4は、情報処理装置1に接続又は内蔵されたハードディスクなどの外部記憶装置であってもよく、フラッシュメモリなどの記憶媒体であってもよい。また、記憶装置4は、情報処理装置1とデータ通信を行うサーバ装置であってもよい。また、記憶装置4は、複数の装置から構成されてもよい。
【0018】
記憶装置4は、機能的には、感情管理情報記憶部41と、座標系情報記憶部42と、乖離傾向情報記憶部43と、を有している。
【0019】
感情管理情報記憶部41は、時系列により測定又は入力された対象者の目標感情と実感情の組を含む感情管理情報を記憶している。後述するように、情報処理装置1は、対象者の目標感情及び実感情の組を一定又は不定の間隔により取得し、取得した目標感情及び実感情の組を感情管理情報記憶部41に記憶する。感情管理情報のデータ構造の詳細については後述する。
【0020】
座標系情報記憶部42は、各感情を座標値により表すことが可能な内面状態に関する座標系(「内面状態座標系」とも呼ぶ。)に関する情報である座標系情報を記憶している。内面状態座標系は、感情を表す任意の座標系であってもよい。例えば、内面状態座標系は、Russellの感情環において採用される座標系(快-不快の感情価と覚醒とを軸とする座標系)であってもよく、KOKOROスケールにおいて採用される座標系(不安度-安心度、ワクワク度―イライラ度を軸とする座標系)であってもよい。そして、座標系情報記憶部42は、例えば、座標系情報として、各感情と内面状態座標系において該当する座標値との対応関係を示すテーブル情報等を記憶する。
【0021】
乖離傾向情報記憶部43は、情報処理装置1が目標感情と実感情の組ごとに特定される対象者の目標感情と実感情との乖離傾向を表す乖離傾向情報を記憶する。乖離傾向情報のデータ構造の詳細については後述する。
【0022】
なお、図1に示す内面状態推定システム100の構成は一例であり、当該構成に種々の変更が行われてもよい。例えば、入力装置2及び出力装置3は、一体となって構成されてもよい。この場合、入力装置2及び出力装置3は、情報処理装置1と一体又は別体となるタブレット型端末として構成されてもよい。また、入力装置2とセンサ5とは、一体となって構成されてもよい。また、情報処理装置1は、複数の装置から構成されてもよい。この場合、情報処理装置1を構成する複数の装置は、予め割り当てられた処理を実行するために必要な情報の授受を、これらの複数の装置間において行う。この場合、情報処理装置1は、情報処理システムとして機能する。
【0023】
(2)情報処理装置のハードウェア構成
図2は、情報処理装置1のハードウェア構成を示す。情報処理装置1は、ハードウェアとして、プロセッサ11と、メモリ12と、インターフェース13とを含む。プロセッサ11、メモリ12及びインターフェース13は、データバス90を介して接続されている。
【0024】
プロセッサ11は、メモリ12に記憶されているプログラムを実行することにより、情報処理装置1の全体の制御を行うコントローラ(演算装置)として機能する。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)などのプロセッサである。プロセッサ11は、複数のプロセッサから構成されてもよい。プロセッサ11は、コンピュータの一例である。
【0025】
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリなどの各種の揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより構成される。また、メモリ12には、情報処理装置1が実行する処理を実行するためのプログラムが記憶される。なお、メモリ12が記憶する情報の一部は、情報処理装置1と通信可能な1又は複数の外部記憶装置により記憶されてもよく、情報処理装置1に対して着脱自在な記憶媒体により記憶されてもよい。
【0026】
インターフェース13は、情報処理装置1と他の装置とを電気的に接続するためのインターフェースである。これらのインターフェースは、他の装置とデータの送受信を無線により行うためのネットワークアダプタなどのワイアレスインタフェースであってもよく、他の装置とケーブル等により接続するためのハードウェアインターフェースであってもよい。
【0027】
なお、情報処理装置1のハードウェア構成は、図2に示す構成に限定されない。例えば、情報処理装置1は、入力装置2又は出力装置3の少なくとも一方を含んでもよい。また、情報処理装置1は、スピーカなどの音出力装置と接続又は内蔵してもよい。
【0028】
(3)情報処理装置が実行する処理の詳細
次に、情報処理装置1が実行する処理の詳細について説明する。以下では、目標感情と実感情との乖離傾向の特定及び出力に関する具体的態様(第1態様~第4態様)について順に説明する。
【0029】
(3-1)第1態様
図3は、第1態様における情報処理装置1の機能ブロックの一例である。第1態様における情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、目標感情取得部14と、実感情取得部15と、乖離傾向算出部16と、出力制御部17とを有する。なお、図3では、データの授受が行われるブロック同士を実線により結んでいるが、データの授受が行われるブロックの組合せは図3に限定されない。後述する他の機能ブロックの図においても同様である。
【0030】
目標感情取得部14は、入力信号S1に基づき、対象者の目標感情を取得する。この場合、例えば、目標感情取得部14は、後述する目標感情入力画面を出力装置3に表示させ、目標感情入力画面において目標感情を指定する入力を受け付ける。
【0031】
実感情取得部15は、入力信号S1又はセンサ信号S3の少なくとも一方に基づき、実感情を取得する。例えば、実感情取得部15は、対象者を撮影するカメラからインターフェース13を介して供給される画像をセンサ信号S3として取得し、取得した画像から対象者の表情等を解析することで、対象者の感情を認識する。この場合、例えば、実感情取得部15は、画像が入力された場合に画像内の人物の表情を推論するモデルを用いて、上述の認識を行う。この場合、記憶装置4又はメモリ12には、深層学習等に基づき予め学習された上記モデルのパラメータが記憶されている。他の例では、実感情取得部15は、対象者の音声データに基づいて、対象者の実感情を推定してもよい。この場合、実感情取得部15は、例えば、音声入力装置が生成する音声データを入力信号S1として取得し、取得した音声データに基づき対象者の発話のトーン、又は発話した単語等を解析することで、対象者の感情の推定を行う。この場合、記憶装置4又はメモリ12には、音声データの解析に必要な情報が予め記憶されている。さらに別の例では、実感情取得部15は、後述する実感情入力画面を出力装置3に表示させ、実感情入力画面において実感情を指定する入力を受け付ける。
【0032】
目標感情取得部14及び実感情取得部15は、取得した目標感情及び実感情の組を、感情管理情報記憶部41に記憶する。感情管理情報記憶部41に記憶される目標感情及び実感情は、例えば、各感情に対して予め割り当てられたID(感情ID)により表されていてもよく、内面状態座標系の座標値により表されていてもよい。後者の場合、目標感情取得部14又は実感情取得部15は、例えば、目標感情及び実感情の内面状態座標系での座標値を算出する処理を、後述する乖離傾向算出部16の代わりに実行する。
【0033】
乖離傾向算出部16は、感情管理情報記憶部41に記憶された目標感情及び実感情の組に基づき、感情の乖離傾向を算出する。この場合、乖離傾向算出部16は、座標系情報記憶部42に記憶された座標系情報に基づき、目標感情及び実感情を内面状態座標系の座標値に変換し、目標感情の座標値を始点とし、実感情の座標値を終点とする内面状態座標系でのベクトル(「乖離ベクトル」とも呼ぶ。)を算出する。そして、乖離傾向算出部16は、算出した乖離ベクトルに関する情報を、乖離傾向情報として乖離傾向情報記憶部43に記憶する。
【0034】
出力制御部17は、所定のタイミングにおいて、乖離傾向情報記憶部43に記憶された乖離傾向情報に基づき、対象者の目標感情と実感情との乖離傾向に関する報告情報(「感情評価レポート」とも呼ぶ。)を出力する制御を行う。ここで、感情評価レポートは、1又は複数組の目標感情と実感情に対応する乖離傾向情報に基づき生成されるものであって、対象者の日々の感情に関するレポートであってもよく、対象者の中長期的な感情に関するレポートであってもよい。出力制御部17は、所定のタイミングにおいて出力信号S2を生成し、出力信号S2をインターフェース13を介して出力装置3に供給することで、感情評価レポートを出力装置3に表示、又は、音声出力させる。所定のタイミングは、例えば、予め定められた時刻となるタイミングであってもよく、所定時間長の時間間隔ごとのタイミングであってもよく、ユーザが要求した任意のタイミングであってもよい。
【0035】
なお、図3において説明した目標感情取得部14、実感情取得部15、乖離傾向算出部16、出力制御部17の各構成要素は、例えば、プロセッサ11がプログラムを実行することによって実現できる。また、必要なプログラムを任意の不揮発性記憶媒体に記録しておき、必要に応じてインストールすることで、各構成要素を実現するようにしてもよい。なお、これらの各構成要素の少なくとも一部は、プログラムによるソフトウェアで実現することに限ることなく、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのうちのいずれかの組合せ等により実現してもよい。また、これらの各構成要素の少なくとも一部は、例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はマイクロコントローラ等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。また、各構成要素の少なくとも一部は、ASSP(Application Specific Standard Produce)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又は量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)により構成されてもよい。このように、各構成要素は、種々のハードウェアにより実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。さらに、これらの各構成要素は、例えば、クラウドコンピューティング技術などを用いて、複数のコンピュータの協働によって実現されてもよい。以上のことは、後述する他の実施の形態においても同様である。
【0036】
次に、第1態様において入力信号S1に基づき目標感情を取得する具体例について説明する。
【0037】
図4(A)は、目標感情入力画面の第1表示例を示す。第1表示例に係る目標感情入力画面は、目標感情入力欄31と、入力完了ボタン32とを有している。出力制御部17は、目標感情取得部14の指示に基づき、図4(A)に示す目標感情入力画面を出力するための出力信号S2を生成し、生成した出力信号S2を出力装置3に供給する。ここでは、一例として、目標感情入力欄31は、プルダウンメニュー形式の入力欄となっている。そして、出力制御部17は、入力完了ボタン32が選択されたことを検知した場合、入力完了ボタン32が選択された時点において目標感情入力欄31に入力された目標感情を示す入力信号S1を取得し、当該目標感情を目標感情取得部14に供給する。
【0038】
図4(B)は、目標感情入力画面の第2表示例を示す。第2表示例に係る目標感情入力画面は、座標系表示領域33と、入力完了ボタン34とを有している。座標系表示領域33には、情報処理装置1が用いる内面状態座標系が表示されている。ここでは、内面状態座標系は、Russell感情環において採用される座標系となっており、代表的な感情の位置が内面状態座標系上において明記されている。出力制御部17は、座標系表示領域33上におけるマウスポインタ80による位置指定を受け付ける。そして、出力制御部17は、入力完了ボタン32が選択されたことを検知した場合、座標系表示領域33上においてマウスポインタ80により指定された位置を表す入力信号S1を取得し、入力信号S1を目標感情取得部14に供給する。この場合、目標感情取得部14は、入力信号S1が示す位置に対応する内面状態座標系上の座標値を、目標感情の内面状態座標系での座標値として取得する。
【0039】
以上のようにすることで、目標感情取得部14は、目標感情を好適に取得することができる。なお、実感情取得部15は、実感情についても目標感情と同様にユーザ入力に基づき取得してもよい。この場合、実感情取得部15は、実感情の入力欄又は内面状態座標系を表示する領域を設けた実感情入力画面を出力制御部17により出力装置3に出力させ、実感情に関する情報のユーザ入力を受け付ける。
【0040】
次に、第1態様における感情管理情報及び乖離傾向情報のデータ構造について説明する。
【0041】
図5(A)は、第1態様における感情管理情報のデータ構造の一例である。図5(A)に示すように、第1態様における感情管理情報は、「管理ID」、「目標感情」、「実感情」及び「対象日時」の各項目を含む。
【0042】
「管理ID」は、目標感情及び実感情の組ごとに割り当てられるIDであり、ここでは、一例として、目標感情及び実感情の組の生成順に従った通し番号となっている。「目標感情」は、目標感情取得部14が取得した目標感情であり、「実感情」は、実感情取得部15が取得した実感情である。なお、「目標感情」及び「実感情」には、感情を表す単語が登録される代わりに、感情を識別する感情ID等が登録されてもよい。「対象日時」は、対応する実感情を対象者が感じた日時(言い換えると、実感情が生じた日時)を示す。
【0043】
ここで、感情管理情報の更新について補足説明する。例えば、情報処理装置1は、実感情が測定された場合に、測定された実感情を示す「実感情」と、実感情が生じた日時を示す「対象日時」と、その日時に設定されていた目標感情を示す「目標感情」とを含むレコードを感情管理情報に追加する。なお、目標感情はその日の分を一日のはじめにまとめて設定されてもよく、実感情は、手入力の場合には、あるタイミングの実感情を時間が経ってからユーザが入力するものであってもよい。
【0044】
なお、感情管理情報は、上述した項目の他、種々の項目を有してもよい。例えば、情報処理装置1が複数の対象者の感情を扱う場合には、感情管理情報は、実感情及び目標感情に対応する対象者のIDをさらに含んでもよい。
【0045】
図5(B)は、第1態様における乖離傾向情報のデータ構造の一例である。図5(B)に示すように、乖離傾向情報は、「管理ID」、「乖離大きさ」、「乖離方向」、「対象日時」の各項目を有する。
【0046】
「管理ID」は、目標感情及び実感情の各組を識別するIDを示す。「乖離大きさ」は、対応する目標感情及び実感情の組に基づき算出された乖離ベクトルの大きさを示す。「乖離方向」は、乖離ベクトルの方向を示す。ここでは、乖離ベクトルの方向として、乖離ベクトルが最も近似する座標軸の方向を示している。なお、ここでは、内面状態座標系は、Russellの感情環において採用される、「快」-「不快」の感情価を横軸、「覚醒」-「沈静」を縦軸とする座標系であるものとする。「対象日時」は、対応する実感情を対象者が感じた日時を示す。
【0047】
なお、乖離傾向情報は、図5(B)に示す項目の他、種々の項目を有してもよい。例えば、情報処理装置1が複数の対象者を扱う場合には、乖離傾向情報は、対象者のIDをさらに含んでもよい。他の例では、乖離傾向情報は、「乖離大きさ」及び「乖離方向」に代えて、又はこれに加えて、乖離ベクトルの座標値(即ち目標感情の座標値を原点とした場合の実感情の相対的な座標値)を表す項目を含んでもよい。
【0048】
図6(A)は、図5(A)及び図5(B)の管理ID「1」に対応する乖離ベクトルを示す図である。ここでは、内面状態座標系は、Russellの感情環において採用される、「快」-「不快」の感情価を横軸、「覚醒」-「沈静」を縦軸とする座標系となっており、実感情及び目標感情の位置が明示されている。この場合、実感情は、目標感情と乖離しており、乖離ベクトルは、「不快」かつ「沈静」の方向を向いており、その中でも特に「不快」の要素が大きくなっている。
【0049】
図6(B)は、第1態様において出力制御部17が出力装置3に出力させる感情評価レポートの一例である。
【0050】
図6(B)に示す感情評価レポートにおいて、出力制御部17は、直近の所定期間(例えば一週間)において測定された管理ID「1」及び「2」を含む目標感情及び実感情の複数の組に対応する乖離傾向情報のレコードの内容を出力している。ここでは、出力制御部17は、乖離ベクトルの大きさが所定の閾値以上となる乖離傾向情報のレコードの内容を「目標との乖離が大きいケース」として出力し、乖離ベクトルの大きさが所定の閾値未満となる乖離傾向情報のレコードの内容を「目標との乖離が小さいケース」として出力している。このように、出力制御部17は、感情評価レポートの出力態様を、乖離ベクトルの大きさに基づいて決定している。
【0051】
例えば、出力制御部17は、管理IDが「1」及び「2」に対応する乖離傾向情報の各レコードについて、乖離ベクトルの大きさが夫々所定の閾値以上であると判定し、これらを「目標との乖離が大きいケース」であると認識する。そして、出力制御部17は、管理IDが「1」及び「2」に対応する乖離傾向情報の各レコードの内容(ここでは対象日時及び乖離方向)を「目標との乖離が大きいケース」として出力する。
【0052】
このように、第1態様に係る出力制御部17は、図6(C)に示されるような感情評価レポートを出力することで、対象者の目標感情と実感情との乖離を対象者又はその管理者に通知し、対象者の感情の把握及び管理調整を好適に支援することができる。これにより、対象者のEQ(Emotional Intelligence Quotient)面での成長を促し、仕事の生産性向上等につなげることができる。なお、出力制御部17は、図6(B)に示す感情評価レポートを出力装置3にそのまま表示させてもよく、感情評価レポートに相当する情報を出力装置3に音声出力させてもよい。さらに別の例では、出力制御部17は、図6(B)に示す感情評価レポートに相当するファイルを生成してもよい。
【0053】
(3-2)第2態様
第2態様では、情報処理装置1は、第1態様における処理に加えて、対象者のイベント情報をさらに取得し、イベント情報に基づき感情評価レポートの出力態様を決定する。
【0054】
図7は、第2態様における情報処理装置1の機能ブロックの一例である。第2態様における情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、目標感情取得部14と、実感情取得部15と、乖離傾向算出部16と、出力制御部17と、イベント情報取得部18とを有する。
【0055】
目標感情取得部14及び実感情取得部15は、対象者に関連するイベントの前後又は最中における対象者の目標感情及び実感情の取得を行う。この場合の目標感情は、イベントごとに個別設定されてもよく、イベントによらずに週ごと又は日ごとに設定されてもよい。目標感情と実感情は、イベント情報取得部18が検知したイベント情報と関連付けられて感情管理情報記憶部41に記憶される。乖離傾向算出部16は、目標感情と実感情の組ごとに乖離ベクトルを算出し、算出した乖離ベクトルに対応するレコードを乖離傾向情報記憶部43が記憶する乖離傾向情報に加える。出力制御部17は、イベント情報に基づき、感情評価レポートの出力態様を決定し、決定した出力態様により感情評価レポートを出力する。また、出力制御部17は、目標感情取得部14、実感情取得部15、及びイベント情報取得部18の指示に基づき、目標感情、実感情、イベントに関する各入力画面を出力装置3に出力させる制御を行う。
【0056】
イベント情報取得部18は、対象者のイベントに関するイベント情報を取得する。イベント情報は、例えば、イベントの内容及びイベントが行われる日時(時間帯)に関する情報を含む。この場合、例えば、イベント情報取得部18は、入力信号S1に基づき、目標感情取得部14及び実感情取得部15が取得した目標感情及び実感情の組に対応付けるイベントを表すイベント情報を取得する。この場合、イベント情報取得部18は、対象者のスケジュールを管理するシステム等から対象者のスケジュール情報を取得し、取得したスケジュール情報に基づき、目標感情及び実感情の組に対応付けるイベントを特定してもよい。この具体例については、図8(A)及び図8(B)を参照して説明する。
【0057】
図8(A)は、入力する目標感情と関連付けるイベントをユーザが指定する画面である第1イベント指定画面の表示例である。図8(A)に示す第1イベント指定画面は、個人スケジュール表示領域35と、入力完了ボタン36とを有している。この場合、出力制御部17は、対象者のスケジュール情報を記憶装置4又は他のスケジュール管理装置から取得し、当該スケジュール情報に基づき、対象者のスケジュールを個人スケジュール表示領域35に表示させる。図8(A)では、一例として、出力制御部17は、2020年1月25日の対象者のスケジュールを表示しており、登録されたイベントである「個人作業」、「会議」、「飲み会」を夫々イベントが発生する日時と対応付けて表示している。
【0058】
そして、第1イベント指定画面では、出力制御部17は、入力する目標感情と関連付けるイベント又は時間帯を指定する入力を個人スケジュール表示領域35において受け付ける。そして、出力制御部17は、入力完了ボタン36が選択されたことを検知した場合、個人スケジュール表示領域35において選択されたイベント又は選択された時間帯に対応するイベントを、次に入力される目標感情に関連付けるイベントとして検知する。その後、出力制御部17は、第1形態において説明した目標感情入力画面(図4(A)又は図4(B)参照)を表示し、目標感情を指定する入力をさらに受け付ける。
【0059】
図8(B)は、入力する実感情と関連付けるイベントをユーザが指定する画面である第2イベント指定画面の表示例である。図8(B)に示す第2イベント指定画面は、個人スケジュール表示領域37と、入力完了ボタン38とを有している。この場合、出力制御部17は、対象者のスケジュール情報を記憶装置4又は他のスケジュール管理装置から取得し、当該スケジュール情報に基づき、対象者のスケジュールを個人スケジュール表示領域37に表示させる。そして、第2イベント指定画面では、出力制御部17は、入力する実感情と関連付けるイベント又は時間帯を指定する入力を個人スケジュール表示領域37において受け付ける。そして、出力制御部17は、入力完了ボタン36が選択されたことを検知した場合、個人スケジュール表示領域37において選択されたイベント又は選択された時間帯に対応するイベントを、次に入力される実感情に関連付けるイベントとして検知する。その後、出力制御部17は、第1形態において説明した実感情入力画面を表示し、実感情を指定する入力をさらに受け付ける。
【0060】
図9(A)は、第2態様における感情管理情報のデータ構造の一例であり、図9(B)は、第2態様における感情管理情報のデータ構造の一例である。図9(A)に示す感情管理情報は、「管理ID」、「目標感情」、「実感情」、「イベント」、「イベント日時」の各項目を有する。また、図9(B)に示す乖離傾向情報は、「管理ID」、「乖離大きさ」、「乖離方向」、「イベント」、「イベント日時」の各項目を有する。ここで、感情管理情報及び乖離傾向情報における「イベント」には、対応する目標感情及び実感情と関連するイベントの内容が登録され、「イベント日時」には、対応する目標感情及び実感情と関連するイベントの日時(時間帯)が登録される。図8(A)及び図8(B)の例では、対象者の個人スケジュールに登録されたイベント(「個人作業」、「会議」、「飲み会」)から選択されたイベントの内容及び日時(時間帯)を示すイベント情報が感情管理情報及び乖離傾向情報における「イベント」及び「イベント日時」として登録される。
【0061】
なお、「イベント」の項目には、ユーザが指定したイベントに加えて又はこれに代えて、ユーザが指定したイベントを分類した分類情報(イベントの種類)が登録されていてもよい。
【0062】
図9(C)は、第2態様において出力制御部17が出力装置3に出力させる感情評価レポートの一例である
【0063】
図9(C)に示す感情評価レポートにおいて、出力制御部17は、乖離傾向情報記憶部43に記憶された乖離傾向情報を、イベントの種類ごとに集計し、イベントの種類ごとの感情の乖離傾向を出力している。図9(C)の例では、出力制御部17は、まず、「業績評価」、「作業B」、「研修」、「作業D」、「作業A」、「作業C」の夫々のイベントの種類について乖離ベクトルの平均ベクトルを算出する。そして、出力制御部17は、イベントの種類ごとの乖離ベクトルの平均ベクトルに基づき、「目標との乖離が大きいイベント」と「目標との乖離が小さいイベント」とに分けてイベントの種類ごとの感情の乖離傾向を出力している。そして、出力制御部17は、「目標との乖離が大きいイベント」に該当するイベントについては、乖離方向の情報を付して出力している。
【0064】
このように、第2態様では、出力制御部17は、イベントの種類ごとに乖離傾向情報を集計し、その集計結果をユーザに通知することで、イベントごとの感情の把握及び管理調整を好適に支援することができる。
【0065】
(3-3)第3態様
第3態様では、情報処理装置1は、第1態様又は第2態様における処理に加えて、対象者の急性ストレスの度合い(「急性ストレス値」とも呼ぶ。)をさらに取得し、取得した急性ストレス値に基づき、感情評価レポートの出力態様を決定する。
【0066】
図10は、第3態様における情報処理装置1の機能ブロックの一例である。第3態様における情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、目標感情取得部14と、実感情取得部15と、乖離傾向算出部16と、出力制御部17と、急性ストレス取得部19とを有する。
【0067】
第3態様では、情報処理装置1は、対象者の実感情を取得する処理に加えて、対象者の急性ストレスを取得する処理を行う。この場合、急性ストレス取得部19は、センサ信号S3に対し、任意の急性ストレス推定手法を適用することで、対象者の急性ストレス値を算出する。この場合、急性ストレス取得部19は、対象者が装着するウェアラブル端末等が計測した心拍、脳波、発汗量、ホルモン分泌量、脳血流、血圧、体温、筋電、呼吸数、脈波、加速度等の生体データを用いてもよく、対象者の顔を撮影した画像を用いてもよく、対象者の発話データを用いてもよい。そして、急性ストレス取得部19は、算出した急性ストレス値を、該当する実感情及び目標感情の組と関連付けて感情管理情報記憶部41に記憶する。
【0068】
図11(A)は、第3態様における感情管理情報のデータ構造の一例であり、図11(B)は、第3態様における感情管理情報のデータ構造の一例である。図11(A)及び図11(B)に示すように、感情管理情報及び乖離傾向情報には、「急性ストレス」の項目が設けられており、急性ストレス取得部19が取得した急性ストレス値(ここでは0~100)が登録されている。
【0069】
図11(C)は、第3態様において出力制御部17が出力装置3に出力させる感情評価レポートの一例である
【0070】
図11(C)に示す感情評価レポートにおいて、出力制御部17は、乖離傾向情報の各レコードから、急性ストレス値に基づき一部のレコードを選択し、選択した乖離傾向情報のレコードに基づく感情評価レポートを出力させている。具体的には、出力制御部17は、乖離傾向情報の各レコードのうち、急性ストレス値が所定の閾値(例えば50)以上となるレコードを選択し、選択したレコードの内容を、乖離の大きさに基づき「目標との乖離が大きいケース」と「目標との乖離が小さいケース」とのいずれかに分類して出力している。例えば、出力制御部17は、図11(B)の管理ID「1」のレコードについては、急性ストレスが上述の閾値未満となるため、感情評価レポート上に出力しない。一方、出力制御部17は、図11(B)の管理ID「2」のレコードについては、急性ストレスが上述の閾値以上となるため、「目標との乖離が大きいケース」に分類して出力する。
【0071】
この例によれば、出力制御部17は、急性ストレス値が高い乖離傾向情報のレコードほど優先して対象者等に提示することができる。
【0072】
なお、出力制御部17は、急性ストレス値に基づき、感情評価レポートに出力する乖離傾向情報のレコードを選択する代わりに、感情評価レポートに出力する乖離傾向情報のレコードの表示順を決定してもよい。この場合、出力制御部17は、急性ストレス値が高い乖離傾向情報のレコードほど感情評価レポートにおいて上位に表示する。
【0073】
さらに別の例では、出力制御部17は、急性ストレス値を、乖離傾向情報のレコードを統合する際の重みとして使用してもよい。この場合、例えば、乖離傾向情報記憶部43が記憶する乖離傾向情報には、第2態様における図9(B)に示したデータ構造と同様、「イベント」の項目が含まれており、出力制御部17は、第2態様に基づき、イベントの種類ごとに分類される乖離傾向情報のレコードを用い、イベントの種類ごとに乖離ベクトルの平均ベクトルを算出する。そして、出力制御部17は、イベントの種類ごとの上述の平均ベクトルを算出する場合に、急性ストレス値を乖離ベクトルの重みとみなし、乖離ベクトルの重み付け平均を行うことで、上述の平均ベクトルを算出する。この場合、出力制御部17は、急性ストレス値が高い状態での感情の乖離傾向をより重視した感情評価レポートを好適に出力することができる。
【0074】
(3-4)第4態様
第4態様では、情報処理装置1は、第2態様における処理に加えて、対象者の慢性ストレス値(慢性ストレスの度合い)をさらに取得し、慢性ストレス値に応じた感情の乖離傾向を学習する。
【0075】
図12は、第4態様における情報処理装置1の機能ブロックの一例である。第4態様における情報処理装置1のプロセッサ11は、機能的には、目標感情取得部14と、実感情取得部15と、乖離傾向算出部16と、出力制御部17と、イベント情報取得部18と、慢性ストレス取得部20と、乖離傾向学習部21と、を有する。
【0076】
慢性ストレス取得部20は、センサ信号S3に対し、任意の慢性ストレス推定手法を適用することで、対象者の慢性ストレス値を算出する。この場合、慢性ストレス取得部20は、対象者が装着するウェアラブル端末等が計測した脈拍又は発汗等の生体データを用いてもよく、対象者の顔を撮影した画像を用いてもよく、対象者の発話データを用いてもよい。また、慢性ストレス取得部20は、対象者から定期的に取得したセンサ信号S3を記憶装置4又はメモリ12等に記憶しておき、直近の所定期間内(例えば直近1か月以内)に取得されたセンサ信号S3に基づき慢性ストレス値を推定してもよい。
【0077】
そして、慢性ストレス取得部20は、算出した慢性ストレス値を、該当する実感情、目標感情、及びイベント情報の組と関連付けて感情管理情報記憶部41に記憶する。そして、感情管理情報記憶部41が記憶する感情管理情報及び乖離傾向情報記憶部43が記憶する乖離傾向情報には、「目標感情」、「実感情」、「イベント」の各項目に加えて、慢性ストレス値を記録した「慢性ストレス」の項目が含まれている。
【0078】
乖離傾向学習部21は、乖離傾向情報記憶部43が記憶する乖離傾向情報に含まれる乖離ベクトルの情報、イベント情報、慢性ストレス値に基づき、慢性ストレス値及びイベントに応じた感情の乖離傾向の学習を行う。具体的には、乖離傾向学習部21は、慢性ストレス値に応じて乖離傾向情報のレコードを分類し、分類したレコードごとにイベントの各種類に対する感情の乖離傾向を学習する。この場合、乖離傾向学習部21は、慢性ストレス値及びイベントの種類に基づき乖離傾向情報のレコードを分類し、乖離ベクトルの平均ベクトルを、分類したレコード群ごとに算出する。出力制御部17は、乖離傾向学習部21が分類ごとに算出した乖離ベクトルの平均ベクトルを学習結果として取得し、学習結果を表す感情評価レポートを出力する。
【0079】
図13(A)は、第4態様において出力制御部17が出力装置3に出力させる感情評価レポートの第1の例である。図13(B)は、第4態様において出力制御部17が出力装置3に出力させる感情評価レポートの第2の例である。
【0080】
第1の例では、出力制御部17は、乖離傾向学習部21が学習した慢性ストレス値及びイベントの種類ごとの感情の乖離傾向の学習結果を示すテーブルを感情評価レポートとして出力している。なお、第1の例では、慢性ストレス値を「慢性ストレス大」と「慢性ストレス小」の2段階に分け、かつ、イベントを「共同作業」と「個人作業」の2つのカテゴリ(種類)に分けている。この場合、乖離傾向学習部21は、慢性ストレス値のレベル及びイベントの種類の組み合わせ(ここでは4(=2×2)組)の各々に対して乖離ベクトルの平均ベクトルを算出する。そして、出力制御部17は、当該平均ベクトルの大きさ及び方向に基づき、各組に対する感情の乖離傾向の学習結果を、感情評価レポート上に出力する。
【0081】
第2の例では、出力制御部17は、慢性ストレス取得部20が算出した最新の慢性ストレスが予め定めた閾値以上となった場合に、図13(B)に示す感情評価レポートを出力する。この場合、出力制御部17は、乖離傾向学習部21に対して感情の乖離傾向の学習の指示を行い、乖離傾向学習部21は、乖離傾向情報記憶部43が記憶する乖離傾向情報のレコードのうち慢性ストレスが所定の閾値以上となるレコードに基づき、イベントの種類(ここでは、共同作業又は個人作業)ごとに乖離ベクトルの平均ベクトルを算出する。そして、出力制御部17は、イベントの種類ごとに算出した乖離ベクトルの平均ベクトルに基づき、イベントの種類ごとにコメントを出力する。この場合、出力制御部17は、対応する平均ベクトルが小さくなるように(即ち平均ベクトルと逆方向に)実感情を誘導するコメントを、イベントの種類ごとに出力する。
【0082】
第4態様によれば、出力制御部17は、慢性ストレス値に応じた感情の乖離傾向を好適に学習し、その学習結果を対象者等に好適に通知することができる。なお、情報処理装置1は、慢性ストレス値に代えて急性ストレス値を用いて第4態様の処理を実行してもよい。この場合、情報処理装置1は慢性ストレス取得部20に代えて、急性ストレス取得部19を有し、乖離傾向学習部21は、急性ストレス値に応じた感情の乖離傾向を学習する。この場合、情報処理装置1は、急性ストレスに応じた感情の乖離傾向の学習結果を対象者等に好適に通知することができる。
【0083】
(4)処理フロー
図14は、第1実施形態において情報処理装置1が実行する処理フローチャートの一例である。情報処理装置1は、図14のフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0084】
まず、情報処理装置1は、対象者の実感情及び目標感情を含む感情管理情報を生成する(ステップS11)。この場合、情報処理装置1は、図5(A)、図9(A)、又は図11(A)のいずれかに示されるように、「実感情」及び「目標感情」の他、イベントの内容及び日時を示す「イベント」及び「イベント日時」、対象者の慢性ストレス値又は急性ストレス値を示す「慢性ストレス」又は「急性ストレス」、及び実感情が生じた日時に関する「対象日時」の少なくともいずれかの項目を含む感情管理情報を生成してもよい。
【0085】
次に、情報処理装置1は、座標系情報記憶部42に記憶された座標系情報に基づき、実感情及び目標感情を、内面状態座標系の座標値により表現する(ステップS12)。そして、情報処理装置1は、内面状態座標系での実感情及び目標感情の各座標値に基づき、乖離ベクトルを算出する(ステップS13)。この場合、情報処理装置1は、目標感情の座標値を始点とし、実感情の座標値を終点とする内面状態座標系でのベクトルを乖離ベクトルとして算出する。そして、情報処理装置1は、算出した乖離ベクトルに基づき、乖離傾向情報記憶部43に記憶する乖離傾向情報のレコードを追加する。
【0086】
そして、情報処理装置1は、感情評価レポートの出力タイミングであるか否か判定する(ステップS14)。この場合、例えば、情報処理装置1は、感情評価レポートの出力を行う所定の条件が満たされた場合、又は、感情評価レポートを出力するユーザの要求を入力信号S1に基づき検知した場合等に、感情評価レポートの出力タイミングと判定する。
【0087】
そして、情報処理装置1は、感情評価レポートの出力タイミングである場合(ステップS14;Yes)、感情評価レポートを出力装置3に出力させる(ステップS15)。これにより、情報処理装置1は、対象者の目標感情と実感情との乖離を対象者又はその管理者に通知し、対象者の感情の把握及び管理調整を好適に支援することができる。一方、情報処理装置1は、感情評価レポートの出力タイミングではない場合(ステップS14;No)、ステップS11へ処理を戻す。
【0088】
図15は、対象者による本システムの利用シナリオの一例を示す。ここでは、一例として、第3態様又は第4態様に基づき、ストレス(急性ストレス又は慢性ストレス)の測定を行う場合を示している。
【0089】
図15に示す利用シナリオでは、朝に対象者が目標感情を入力装置2により入力し、日中では、ウェアラブル端末等により測定されたセンサ信号S3が情報処理装置1に供給されることで、ストレスの測定が行われる。その後、対象者は入力装置2により実感情を入力し、情報処理装置1は、その日に入力された目標感情と実感情とに基づき、その日の感情の乖離傾向を表す乖離傾向情報を生成し、当該乖離傾向情報に基づく感情評価レポートを日次レポートとして出力する。
【0090】
また、情報処理装置1は、一週間ごとに対象者の一週間分の乖離傾向情報に基づく感情評価レポートを週次レポートとして出力する。この場合、情報処理装置1は、対象となる一週間分の乖離傾向情報を乖離傾向情報記憶部43から抽出し、抽出した乖離傾向情報に基づき週次レポートを生成する。同様に、情報処理装置1は、30日(1か月)ごとに対象者の30日分の乖離傾向情報に基づく感情評価レポートを長期レポートとして出力する。なお、情報処理装置1は、対象者のストレスを評価し、ストレス値が所定の閾値以上となった場合に、ストレスアラートを出力し、対象者にストレスが高いことを通知してもよい。また、情報処理装置1は、乖離ベクトルが小さくなるように実感情を誘導するコメント等をフィードバックとして通知する感情評価レポート(図13(B)参照)を出力してもよい。
【0091】
このような利用シナリオにより、対象者は、感情の把握及び管理調整を容易に行うことができる。
【0092】
(5)変形例
目標感情取得部14及び実感情取得部15の機能を情報処理装置1以外の他装置が有してもよい。この場合、他装置は、ユーザの入力等に基づき、目標感情及び実感情の組を感情管理情報記憶部41に記憶する。そして、情報処理装置1の乖離傾向算出部16は、感情管理情報記憶部41を参照することで目標感情及び実感情の組を取得し、取得した目標感情及び実感情の組に対する乖離ベクトルの算出を行う。そして、出力制御部17は、乖離傾向算出部16が生成した乖離傾向情報に基づき感情評価レポートを出力する。この態様によっても、情報処理装置1は、対象者の目標感情と実感情との乖離を対象者又はその管理者に通知し、対象者の感情の把握及び管理調整を好適に支援することができる。
【0093】
<第2実施形態>
図16は、第2実施形態における内面状態推定システム100Aの概略構成を示す。第2実施形態に係る内面状態推定システム100Aは、サーバクライアントモデルのシステムであり、サーバ装置として機能する情報処理装置1Aが第1実施形態における情報処理装置1の処理を行う。以後では、第1実施形態と同一構成要素については、適宜同一符号を付し、その説明を省略する。
【0094】
図17に示すように、内面状態推定システム100Aは、主に、サーバとして機能する情報処理装置1Aと、第1実施形態と同様のデータを記憶する記憶装置4と、クライアントとして機能する端末装置8とを有する。情報処理装置1Aと端末装置8とは、ネットワーク7を介してデータ通信を行う。
【0095】
端末装置8は、入力機能、表示機能、及び通信機能を有する端末であり、図1に示される入力装置2及び出力装置3として機能する。端末装置8は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、PDA(Personal Digital Assistant)などであってもよい。端末装置8は、図示しないセンサが出力する生体信号又はユーザ入力に基づく入力信号などを、情報処理装置1Aに送信する。
【0096】
情報処理装置1Aは、例えば図1図3等に示す情報処理装置1と同一構成を有する。そして、情報処理装置1Aは、図1に示す情報処理装置1が入力装置2及びセンサ5から取得する情報などを、ネットワーク7を介して端末装置8から受信し、受信した情報に基づいて目標感情と実感情との乖離傾向を特定する。また、情報処理装置1Aは、端末装置8からの要求に基づき、感情評価レポートを出力する情報を、ネットワーク7を介して端末装置8へ送信する。これにより、情報処理装置1Aは、目標感情と実感情との乖離傾向を端末装置8のユーザに好適に提示することができる。
【0097】
<第3実施形態>
図17は、第3実施形態における情報処理装置1Xのブロック図である。情報処理装置1Xは、主に、感情取得手段14Xと、乖離傾向特定手段16Xと、出力制御手段17Xとを有する。なお、情報処理装置1Xは、複数の装置により構成されてもよい。
【0098】
感情取得手段14Xは、対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する。感情取得手段14Xは、第1実施形態(変形例を除く)における目標感情取得部14及び実感情取得部15、又は変形例における乖離傾向算出部16とすることができる。
【0099】
乖離傾向特定手段16Xは、目標感情と実感情との組に基づき、目標感情と実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する。乖離傾向特定手段16Xは、例えば、第1実施形態(変形例を含む、以下同じ)における乖離傾向算出部16とすることができる。
【0100】
出力制御手段17Xは、乖離傾向特定手段16Xが特定した乖離の傾向に関する情報を出力する。出力制御手段17Xは、例えば、第1実施形態における出力制御部17とすることができる。
【0101】
図18は、第3実施形態において情報処理装置1Xが実行するフローチャートの一例である。感情取得手段14Xは、対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する(ステップS21)。乖離傾向特定手段16Xは、目標感情と実感情との組に基づき、目標感情と実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する(ステップS22)。出力制御手段17Xは、乖離傾向特定手段16Xが特定した乖離の傾向に関する情報を出力する(ステップS23)。
【0102】
第3実施形態に係る情報処理装置1Xは、対象者の目標感情と実感情との乖離を対象者又はその管理者に通知し、対象者の感情の把握及び管理調整を好適に支援することができる。
【0103】
なお、上述した各実施形態において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータであるプロセッサ等に供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記憶媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記憶媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記憶媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0104】
その他、上記の各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが以下には限られない。
【0105】
[付記1]
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得する感情取得手段と、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定する乖離傾向特定手段と、
前記乖離の傾向に関する情報を出力する出力制御手段と、
を有する情報処理装置。
[付記2]
前記乖離傾向特定手段は、前記目標感情と前記実感情とを、内面状態に関する座標系における座標値により表し、前記目標感情の前記座標値と、前記実感情の前記座標値とにより特定されるベクトルに基づき、前記乖離の傾向を特定する、付記1に記載の情報処理装置。
[付記3]
前記出力制御手段は、前記ベクトルの大きさに基づき、前記乖離の傾向に関する情報の出力態様を決定する、付記2に記載の情報処理装置。
[付記4]
前記対象者に関連するイベント情報を取得するイベント情報取得手段をさらに有し、
前記出力制御手段は、前記イベント情報に基づき、前記乖離の傾向に関する情報の出力態様を決定する、付記1~3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記5]
前記出力制御手段は、前記イベント情報が示すイベントの種類ごとの前記乖離の傾向に関する情報を出力する、付記4に記載の情報処理装置。
[付記6]
前記目標感情と前記実感情との組の各々に対する前記対象者のストレスの度合いを取得するストレス取得手段をさらに有し、
前記出力制御手段は、前記ストレスの度合いに基づき、前記乖離の傾向に関する情報の出力態様を決定する、付記1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記7]
前記出力制御手段は、前記対象者の急性ストレスの度合いが高い前記目標感情と前記実感情との組ほど、当該組に基づく前記乖離の傾向を優先的に出力する、付記6に記載の情報処理装置。
[付記8]
前記対象者の慢性ストレスの度合いに基づき前記目標感情と前記実感情との組を分類し、分類ごとの前記乖離の傾向を学習する乖離傾向学習手段をさらに有し、
前記出力制御手段は、前記乖離傾向学習手段による前記乖離の傾向の学習結果を出力する、付記6に記載の情報処理装置。
[付記9]
前記対象者の急性ストレスの度合いに基づき前記目標感情と前記実感情との組を分類し、分類ごとの前記乖離の傾向を学習する乖離傾向学習手段をさらに有し、
前記出力制御手段は、前記乖離傾向学習手段による前記乖離の傾向の学習結果を出力する、付記6に記載の情報処理装置。
[付記10]
前記感情取得手段は、前記目標感情と、前記実感情とを指定する外部入力を受け付けることで、前記目標感情と、前記実感情とを取得する、付記1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[付記11]
コンピュータが、
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得し、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定し、
前記乖離の傾向に関する情報を出力する、
制御方法。
[付記12]
対象者の目標となる感情である目標感情と、前記対象者の実際の感情である実感情との組を取得し、
前記目標感情と前記実感情との組に基づき、前記目標感情と前記実感情との、内面状態に関する乖離の傾向を特定し、
前記乖離の傾向に関する情報を出力する処理をコンピュータに実行させるプログラムが格納された記憶媒体。
【0106】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。すなわち、本願発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、引用した上記の特許文献等の各開示は、本書に引用をもって繰り込むものとする。
【符号の説明】
【0107】
1、1A、1X 情報処理装置
2 入力装置
3 出力装置
4 記憶装置
5 センサ
8 端末装置
100、100A 内面状態推定システム
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