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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】ハンドリング装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B25J15/08 C
B25J15/08 P
B25J15/08 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023566187
(86)(22)【出願日】2022-11-14
(86)【国際出願番号】 JP2022042230
(87)【国際公開番号】W WO2023106041
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-03-18
(31)【優先権主張番号】P 2021199235
(32)【優先日】2021-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】角 明
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-240859(JP,A)
【文献】実開昭63-000796(JP,U)
【文献】特開2003-100844(JP,A)
【文献】特開2000-085973(JP,A)
【文献】特開2012-236265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0281202(US,A1)
【文献】特開2016-111121(JP,A)
【文献】特開2021-054572(JP,A)
【文献】特開2010-141145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/00 - 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状のフレームを把持する8つの把持部と、近接離隔可能な第一部材及び第二部材と、を備えるハンドリング装置であって、
8つの前記把持部のうち、一部の4つの把持部は、それらを結ぶ線が多角形を形成するように配置されており、
8つの前記把持部のうち、残りの4つの把持部は、それらを結ぶ線が多角形を形成するように配置され、前記一部の4つの把持部の内側に位置し、
前記一部の4つの把持部のうちの隣接する一方の2つの把持部は、前記第一部材によって連結され、前記一部の4つの把持部のうちの隣接する他方の2つの把持部は、前記第二部材によって連結され、
前記残りの4つの把持部のうちの隣接する一方の2つの把持部は、前記第一部材によって連結され、前記残りの4つの把持部のうちの隣接する他方の2つの把持部は、前記第二部材によって連結され、
前記第一部材と前記第二部材とが近接離隔することで、前記一部の4つの把持部のうちの隣接する一方の2つの把持部のそれぞれと前記一部の4つの把持部のうちの隣接する他方の2つの把持部のそれぞれとの間の距離、及び前記残りの4つの把持部のうちの隣接する一方の2つの把持部のそれぞれと前記残りの4つの把持部のうちの隣接する他方の2つの把持部のそれぞれとの間の距離を変化させて、前記一部の4つの把持部又は前記残りの4つの把持部が前記フレームに内接又は外接されることで、前記一部の4つの把持部又は前記残りの4つの把持部によって前記フレームが把持される、ハンドリング装置。
【請求項2】
前記残りの4つの把持部の下端部の位置は、前記一部の4つの把持部の下端部の位置よりも上方に位置する、請求項1に記載のハンドリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドリング装置に関し、特に、枠状のフレームを把持するためのハンドリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、バルク状の部品を整列可能な部品整列装置が開示されている。この部品整列装置は、部品トレイに押付プレートが着脱可能に構成されている。押付プレートは、部品トレイの上面視外形と略同じ上面視矩形状の外形で、上面視矩形状で上下に貫通した孔を有している。すなわち、押付プレートは、枠状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-54572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
枠状に形成された押付プレートなどのフレームは、装置から取り外す際や、装置に取り付ける際に、ハンドリング装置を用いて把持される。しかしながら、枠状のフレームを把持するのに特化したハンドリング装置はなく、枠状のフレームの把持のためのハンドリング装置が望まれている。また、異なる大きさの枠状のフレームに対応できることも望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、異なる大きさの枠状のフレームを容易に把持することができるハンドリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハンドリング装置は、枠状のフレームを把持する3つ以上の把持部を備えるハンドリング装置であって、3つ以上の前記把持部は、それらを結ぶ線が多角形を形成するように配置されており、前記把持部間の距離を変化させて、前記把持部が前記フレームに内接又は外接されることで、前記把持部によって前記フレームが把持される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異なる大きさの枠状のフレームを容易に把持することができるハンドリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す側面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す正面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るハンドリング装置の作動状態を示す平面図である。
図6】セラミック電子部品の概略斜視図である。
図7図6のA-A断面図である。
図8】セラミック積層体を基盤に配置した状態を示す斜視図である。
図9】セラミック積層体を基盤に配置した状態を示す縦断面図である。
図10図9の状態からセラミック積層体を90°回転させた状態を示す縦断面図である。
図11】セラミック積層体に第一導電性ペースト層を形成した状態を示す縦断面図である。
図12図11の状態からセラミック積層体を180°回転させた状態を示す縦断面図である。
図13】セラミック積層体に第二導電性ペースト層を形成した状態を示す縦断面図である。
図14】本発明の他の実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1から図4は、本発明の一実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す図であり、図1は斜視図、図2は平面図、図3は左側面図、図4は一部を断面にして示す正面図である。図5は、本実施形態のハンドリング装置の作動状態を示す平面図である。本実施形態のハンドリング装置1は、たとえば図示しない多関節ロボットに設けられる装置であって、枠状のフレーム2を有する部材3を把持する複数の把持部4と、近接離隔可能な第一部材5及び第二部材6とを備え、この第一部材5及び第二部材6は、支持体7に設けられる。支持体7は、ロボットのアームの先端部への取付部8と、取付部8が設けられる本体部9と、本体部9に設けられる一対の支持棒部10,10とを有する。
【0011】
取付部8は、上下方向を長手方向とする正面視略矩形板状である。取付部8は、板面を前後に向けた状態で、ロボットのアームの先端部にボルトなどで固定される。前述したように、ロボットは、多関節ロボットである。具体的には、ロボットは、複数のリンク材と、隣接するリンク材同士を互いに回転自在に接続する関節とを有するアームを備え、各関節に設けられたモータを駆動させることで、関節を回転させて、リンク材を回転させることができる。このような構成であるので、取付部8は、最も先端側に位置するリンク材の先端部に設けられる。
【0012】
本体部9は、上下に離隔して配置される第一板材11及び第二板材12と、第一板材11と第二板材12とを接続する第三板材13及び第四板材14とを有する。第一板材11は、前後方向を長手方向とする平面視略矩形板状で、板面を上下に向けて配置される。第二板材12は、平面視略矩形板状で、前後長さが第一板材11の前後長さよりも短い板材である。第二板材12は、板面を上下に向けて配置される。第三板材13及び第四板材14は、正面視略矩形板状で、板面を前後に向けて配置される。第三板材13は、第一板材11の後端部と第二板材12の後端部とを架け渡すように設けられる。この際、第一板材11の後端部と第三板材13の上端部とがボルトなどで固定されるとともに、第二板材12の後端部と第三板材13の下端部とがボルトなどで固定される。第四板材14は、第三板材13よりも前側において、第一板材11と第二板材12とを架け渡すように設けられる。この際、第二板材12の前端部と第四板材14の下端部とがボルトなどで固定されるとともに、第一板材11と第四板材14の上端部とがボルトなどで固定される。
【0013】
このようにして組み立てられる本体部9の後端部には、前述した取付部8が設けられる。取付部8は、前面の下端部が第三板材13の後面に重ね合わされた状態で、ボルトなどにより本体部9に固定される。本体部9が組み立てられた状態において、第一板材11は、第二板材12よりも前方に延出する延出部を有する。この延出部には、一対の支持棒部10,10それぞれを本体部9に保持するための保持部15,15が前後に離隔して設けられる。保持部15,15はそれぞれ、第一板材11の下面にボルトなどで固定される。
【0014】
一対の支持棒部10,10は、丸棒状である。一対の支持棒部10,10のうち、一方の支持棒部10は、前側に位置する保持部15に設けられる。一方の支持棒部10は、保持部15を左右方向に貫通した状態で、保持部15に固定される。一対の支持棒部10,10のうち、他方の支持棒部10は、後側に位置する保持部15に設けられる。他方の支持棒部10は、保持部15を左右方向に貫通した状態で、保持部15に固定される。このようにして、一対の支持棒部10,10は、軸方向が左右方向に沿った状態で、前後に離隔して本体部9に保持される。
【0015】
一対の支持棒部10,10それぞれの左部には、第一部材5と支持棒部10とを接続する接続部材16が設けられ、一対の支持棒部10,10それぞれの右部には、第二部材6と支持棒部10とを接続する接続部材17が設けられる。ここで、接続部材16,17は、同様の構成であるので、支持棒部10の右部に位置する接続部材17について説明する。接続部材17は、板状部18と、ブッシュ19とを有する。板状部18は、水平片20と垂直片21とを有する。水平片20は、平面視略矩形板状で、板面を上下に向けて配置される。垂直片21は、側面視略矩形板状で、板面を左右に向けて配置される。垂直片21は、水平片20の左端部に上方に延出して設けられる。水平片20と垂直片21とは、別体であってもよいし、一体であってもよい。ブッシュ19は、典型的には無給油ブッシュである。ブッシュ19は、板状部18の垂直片21に形成された貫通孔を貫通した状態で、垂直片21に設けられる。
【0016】
接続部材16は、支持棒部10の左側において、ブッシュ19に支持棒部10が貫通した状態で、支持棒部10に保持される。支持棒部10に接続部材16が保持された状態では、接続部材16の水平片20は、垂直片21から左方に延出している。接続部材17は、支持棒部10の右側において、ブッシュ19に支持棒部10が貫通した状態で、支持棒部10に保持される。支持棒部10に接続部材17が保持された状態では、接続部材17の水平片20は、垂直片21から右方に延出している。このような構成であるので、接続部材16,17は、支持棒部10に沿って左右方向にスライド可能である。これらの接続部材16,17によって、支持棒部10に第一部材5及び第二部材6が接続される。
【0017】
第一部材5は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形の板状で、板面を上下に向けて配置される。第一部材5の前端面は、右方に行くに従って後方に傾斜して形成されている。すなわち、第一部材5の前端部は、略直角三角形状である。第一部材5の前端部には、把持部4を取り付けるための取付孔22,23が上下に貫通して二つ形成される。二つの取付孔22,23は、第一部材5の略直角三角形状の前端部の鋭角部分に形成される。具体的には、二つの取付孔22,23のうち、一方の取付孔22は、第一部材5の前端部の先端部に形成される。二つの取付孔22,23のうち、他方の取付孔23は、第一部材5の前端部において、一方の取付孔22の右斜め後方に形成される。第一部材5の後端部には、把持部4を取り付けるための取付孔24,25が上下に貫通して二つ形成される。二つの取付孔24,25のうち、一方の取付孔24は、第一部材5の後側左隅に形成される。二つの取付孔24,25のうち、他方の取付孔25は、第一部材5の後端部において、一方の取付孔24の右斜め前方に形成される。
【0018】
第一部材5の前端部の一方の取付孔22、及び第一部材5の後端部の一方の取付孔24には、把持部4aが設けられる。把持部4aは、丸棒状で、軸方向が上下方向に沿うように配置される。把持部4aは、上端部が縮径されており、下端側から順に、大径部26及び小径部27が形成されている。小径部27の外周面には、ネジが切られている。このような構成の把持部4aは、その小径部27が取付孔22,24に下方から通された状態で、小径部27にナット28がねじ込まれることで、第一部材5に着脱可能に取り付けられる。
【0019】
第一部材5の前端部の他方の取付孔23、及び第一部材5の後端部の他方の取付孔25には、把持部4bが設けられる。把持部4bは、丸棒状で、軸方向が上下方向に沿うように配置される。把持部4bは、上端部が縮径されており、下端側から順に、大径部29及び小径部30が形成されている。大径部29の上下長さは、第一部材5の一方の取付孔22,24に取り付けられる把持部4aの大径部26の上下長さよりも短い。小径部30の外周面には、ネジが切られている。このような構成の把持部4bは、その小径部30が取付孔23,25に下方から通された状態で、小径部30にナット31がねじ込まれることで、第一部材5に着脱可能に取り付けられる。第一部材5に取り付けられた状態での把持部4bの下端部の位置は、第一部材5に取り付けられた状態での把持部4aの下端部の位置よりも上方に位置する。
【0020】
第一部材5は、接続部材16を介して、一対の支持棒部10,10の左側に接続される。第一部材5と接続部材16とは、取付孔22,23,24,25の軸方向が上下方向に沿うよう配置された第一部材5の上面と前後に離隔した接続部材16,16それぞれの水平片20,20の下面とが重ね合わされた状態で、ボルトなどにより接続される。前述したように、接続部材16は、支持棒部10に対して左右方向にスライド可能である。従って、第一部材5は、支持棒部10に沿って左右方向にスライド可能である。
【0021】
第二部材6は、前後方向を長手方向とする平面視略長方形の板状で、板面を上下に向けて配置される。第二部材6の前端面は、左方に行くに従って後方に傾斜して形成されている。すなわち、第二部材6の前端部は、略直角三角形状である。第二部材6の前端部には、把持部4を取り付けるための取付孔32,33が上下に貫通して二つ形成される。二つの取付孔32,33は、第二部材6の略直角三角形状の前端部の鋭角部分に形成される。具体的には、二つの取付孔32,33のうち、一方の取付孔32は、第二部材6の前端部の先端部に形成される。二つの取付孔32,33のうち、他方の取付孔33は、第二部材6の前端部において、一方の取付孔32の左斜め後方に形成される。第二部材6の後端部には、把持部4を取り付けるための取付孔34,35が上下に貫通して二つ形成される。二つの取付孔34,35のうち、一方の取付孔34は、第二部材6の後側右隅に形成される。二つの取付孔34,35のうち、他方の取付孔35は、第二部材6の後端部において、一方の取付孔34の左斜め前方に形成される。
【0022】
第二部材6の前端部の一方の取付孔32、及び第二部材6の後端部の一方の取付孔34には、把持部4cが設けられる。この把持部4cは、第一部材5の一方の取付孔22,24に設けられる把持部4aと同様の構成である。すなわち、把持部4cは、大径部26及び小径部27が形成されており、小径部27が取付孔32,34に下方から通された状態で、ネジが切られた小径部27にナット28がねじ込まれることで、第二部材6に着脱可能に取り付けられる。
【0023】
第二部材6の前端部の他方の取付孔33、及び第二部材6の後端部の他方の取付孔35には、把持部4dが設けられる。この把持部4dは、第一部材5の他方の取付孔23,25に設けられる把持部4bと同様の構成である。すなわち、把持部4dは、大径部29及び小径部30が形成されており、小径部30が取付孔33,35に下方から通された状態で、ネジが切られた小径部30にナット31がねじ込まれることで、第二部材6に着脱可能に取り付けられる。把持部4dの大径部29の上下長さは、第二部材6の一方の取付孔32,34に取り付けられる把持部4cの大径部26の上下長さよりも短い。従って、第二部材6に取り付けられた状態での把持部4dの下端部の位置は、第二部材6に取り付けられた状態での把持部4cの下端部の位置よりも上方に位置する。
【0024】
第二部材6は、接続部材17を介して、一対の支持棒部10,10の右側に接続される。第二部材6と接続部材17とは、取付孔32,33,34,35の軸方向が上下方向に沿うよう配置された第二部材6の上面と前後に離隔した接続部材17,17それぞれの水平片20,20の下面とが重ね合わされた状態で、ボルトなどにより接続される。前述したように、接続部材17は、支持棒部10に対して左右方向にスライド可能である。従って、第二部材6は、支持棒部10に沿って左右方向にスライド可能である。
【0025】
第一部材5及び第二部材6が一対の支持棒部10,10に保持された状態では、第一部材5の一方の取付孔22,24に設けられた把持部4a,4a、及び第二部材6の一方の取付孔32,34に設けられた把持部4c,4cからなる四つの把持部4a,4a,4c,4cは、それらを結ぶ線が平面視において四角形を形成するように配置されている。四つの把持部4a,4a,4c,4cのうち、隣接する一方の二つの把持部4a,4aは、前述したように第一部材5によって連結され、隣接する他方の二つの把持部4c,4cは、前述したように第二部材6によって連結される。
【0026】
従って、第一部材5と第二部材6とが支持棒部10に沿って左右方向にスライドすることで、第一部材5の前端部の把持部4aと第二部材6の前端部の把持部4cとの間の距離、及び第一部材5の後端部の把持部4aと第二部材6の後端部の把持部4cとの間の距離を大きくしたり小さくしたりすることができる。このようにして、第一部材5と第二部材6とが近接離隔することで、隣接する一方の二つの把持部4a,4aのそれぞれと隣接する他方の二つの把持部4c,4cのそれぞれとの間の距離を変化させることが可能である。
【0027】
第一部材5及び第二部材6が一対の支持棒部10,10に保持された状態では、第一部材5の他方の取付孔23,25に設けられた把持部4b,4b、及び第二部材6の他方の取付孔33,35に設けられた把持部4d,4dからなる四つの把持部4b,4b,4d,4dは、前述した四つの把持部4a,4a,4c,4cよりも内側に配置される。また、四つの把持部4b,4b,4d,4dは、それらを結ぶ線が平面視において四角形を形成するように配置されている。四つの把持部4b,4b,4d,4dのうち、隣接する一方の二つの把持部4b,4bは、前述したように第一部材5によって連結され、隣接する他方の二つの把持部4d,4dは、前述したように第二部材6によって連結される。
【0028】
従って、第一部材5と第二部材6とが支持棒部10に沿って左右方向にスライドすることで、第一部材5の前端部の把持部4bと第二部材6の前端部の把持部4dとの間の距離、及び第一部材5の後端部の把持部4bと第二部材6の後端部の把持部4dとの間の距離を大きくしたり小さくしたりすることができる。このようにして、第一部材5と第二部材6とが近接離隔することで、隣接する一方の二つの把持部4b,4bのそれぞれと隣接する他方の二つの把持部4d,4dのそれぞれとの間の距離を変化させることが可能である。
【0029】
第一部材5及び第二部材6を近接離隔させるために、本体部9には、第一部材5及び第二部材6をスライドさせる駆動部36が設けられる。駆動部36は、モータなどの図示しない駆動源を有している。駆動源には、第一接続材37を介して第一部材5が接続されるとともに、第二接続材38を介して第二部材6が接続される。このような構成であるので、駆動源を駆動させることで、第一接続材37及び第二接続材38を左右にスライドさせることができ、これにより、第一接続材37に接続された第一部材5、及び第二接続材38に接続された第二部材6を近接離隔させることができる。
【0030】
次に、本実施形態のハンドリング装置1の使用について説明する。本実施形態のハンドリング装置1は、前述したようにロボットに設けられた状態で、例えばセラミック電子部品39を製造する際に使用される。図6及び図7は、セラミック電子部品を示す図であり、図6は概略斜視図、図7図6のA-A断面図である。図8から図13は、セラミック電子部品の製造工程を時系列に示す図である。
【0031】
図6及び図7に示すように、セラミック電子部品39は、略直方体状のセラミック素体40を備える。セラミック素体40は、適宜のセラミック材料により形成される。セラミック素体40の内部には、隣接する第一内部電極41及び第二内部電極42の一部同士がセラミック層を介して対向するように、第一内部電極41及び第二内部電極42が配置される。セラミック素体40の一方の端面43には、第一内部電極41に接続される第一外部電極44が形成される。セラミック素体40の他方の端面45には、第二内部電極42に接続される第二外部電極46が形成される。なお、第一内部電極41、第二内部電極42、第一外部電極44及び第二外部電極46は、適宜の導電性材料により形成される。
【0032】
このようなセラミック電子部品39を製造する際には、まず、セラミック積層体47が形成される。セラミック積層体47を形成するには、セラミックグリーンシート上に、スクリーン印刷などにより、所定のパターンで内部電極形成用種導電性ペーストを印刷し、内部電極パターンを形成する。次に、内部電極パターンが形成されていないセラミックグリーンシートと、内部電極パターンが形成されているセラミックグリーンシートとを積層し、マザー積層体を形成する。そして、マザー積層体から複数のセラミック積層体47を切り出す。
【0033】
図8及び図9に示すように、切り出された複数のセラミック積層体47は、基盤48上に間隔をあけて載せ置かれる。基盤48の表面は、粘着力を有している。例えば、基盤48は、基板本体49と、基板本体49の表面に設けられる粘着性弾性体層50とを有している。従って、セラミック積層体47は、基盤48上に載せ置かれた際、粘着性弾性体層50に粘着している。
【0034】
次に、図示しないスライダーを用いて、基盤48上に載せ置かれたセラミック積層体47を90°回転させる。これにより、図10に示すように、セラミック積層体47は、一方の端面43が上方に向いた状態で、他方の端面45が基盤48の粘着性弾性体層50に粘着している。この状態において、セラミック積層体47の一方の端面43に導電性ペーストを塗布することで、図11に示すように、セラミック積層体47の一方の端面43に第一導電性ペースト層51が形成される。
【0035】
次に、前述したスライダーを用いて、第一導電性ペースト層51が形成されたセラミック積層体47を180°回転させる。これにより、図12に示すように、セラミック積層体47は、他方の端面45が上方に向いた状態で、第一導電性ペースト層51が基盤48の粘着性弾性体層50に粘着している。この状態において、セラミック積層体47の他方の端面45に導電性ペーストを塗布することで、図13に示すように、セラミック積層体47の他方の端面45に第二導電性ペースト層52が形成される。
【0036】
そして、セラミック積層体47、第一導電性ペースト層51及び第二導電性ペースト層52が焼成される。これにより、セラミック素体40、第一内部電極41、第二内部電極42、第一外部電極44及び第二外部電極46を備えるセラミック電子部品39が作製される。
【0037】
本実施形態のハンドリング装置1は、セラミック電子部品39を製造する際に使用される基盤48を把持する装置である。すなわち、基盤48が、前述した枠状のフレーム2を有する部材3である。具体的には、基盤48は、枠状のフレーム2と、前述した基板本体49及び粘着性弾性体層50からなる載置部53とを有する。フレーム2は、額縁状の水平部54と、額縁状の垂直部55とを有する。水平部54は、板状で、板面を上下に向けて配置される。垂直部55は、板状で、水平部54の外縁に立設される。なお、水平部54と垂直部55は、別体であってもよいし、一体であってもよい。このような構成のフレーム2の内側に形成される開口部を閉塞するように、基板本体49及び粘着性弾性体層50からなる載置部53が設けられる。従って、基盤48は、枠状のフレーム2を有し、表面に粘着力のある板材とされる。
【0038】
なお、本実施形態では、載置部53は、基板本体49と、粘着性弾性体層50とからなるが、粘着性弾性体層のみであってもよい。また、本実施形態では、フレーム2と基板本体49とは、別体であってもよいし、一体であってもよい。
【0039】
図4に示すように、ハンドリング装置1により基盤48を把持するには、駆動源により第一部材5と第二部材6とを左右にスライドさせて把持部4a,4c間の距離を変化させることで、把持部4a,4cをフレーム2の垂直部55の内面に内接させる。この際、把持部4aは、フレーム2の左側の垂直部55の内面を左方に押圧しつつ接触し、把持部4cは、フレーム2の右側の垂直部55の内面を右方に押圧しつつ接触する。このようにして把持部4a,4a,4c,4cがフレーム2に内接されることで、把持部4a,4a,4c,4cによってフレーム2が把持される。把持部4a,4a,4c,4cによってフレーム2が把持された状態で、ロボットのアームを駆動することで、基盤48を適宜の位置に移動させることができる。
【0040】
本実施形態のハンドリング装置1の場合、複数の把持部4は、それらを結ぶ線が平面視において多角形を形成するように配置される。このように配置された複数の把持部4,4間の距離を変化させて、把持部4が基盤48のフレーム2に内接されることで、把持部4によってフレーム2を把持することができる。従って、異なる大きさの枠状のフレームを有する部材を容易に把持することができる。
【0041】
また、本実施形態のハンドリング装置1の場合、四つの把持部4a,4a,4c,4cのうち、隣接する一方の二つの把持部4a,4aは、第一部材5によって連結され、隣接する他方の二つの把持部4c,4cは、第二部材6によって連結される。このような構成であるので、第一部材5と第二部材6とを近接離隔させることで、第一部材5に設けられた把持部4a,4aと第二部材6に設けられた把持部4c,4cとの間の距離を変化させることができる。従って、簡易な構成で、枠状のフレーム2を容易に把持することができる。なお、四つの把持部4b,4b,4d,4dの場合についても、同様の効果を奏する。
【0042】
また、本実施形態のハンドリング装置1の場合、外側に位置する四つの把持部4a,4a,4c,4cと、この四つの把持部4a,4a,4c,4cの内側に位置する四つの把持部4b,4b,4d,4dとを備える。従って、より多くのサイズのフレームに対応することができる。
【0043】
さらに、本実施形態のハンドリング装置1の場合、第一部材5及び第二部材6は、本体部9に対して着脱可能である。従って、フレームのサイズや把持部の取付個数に応じて、サイズや形状の異なる複数種の第一部材及び第二部材から選択された第一部材及び第二部材を用いることができる。
【0044】
図14は、本発明の他の実施形態に係るハンドリング装置の使用状態を示す正面図である。次に、本発明の他の実施形態のハンドリング装置1について説明する。本実施形態では、その特徴部分を説明するものとし、上記実施形態で説明した事項については、説明を省略する。
【0045】
本実施形態のハンドリング装置1は、把持部4の構成が前記実施形態と異なる。具体的には、把持部4は、大径部26よりも大径の係合部56を有する。係合部56の外周面には、周方向に沿って円環状の溝57が形成される。溝57は、係合部56の径方向外方に開口している。
【0046】
本実施形態のハンドリング装置1により把持される基盤58は、前記実施形態の基盤48とはフレームの構成が異なる。具体的には、基盤58は、板面を上下に向けて配置される板材からなる額縁状のフレーム59と、フレーム59の開口部を閉塞する前述した載置部53とを有する。
【0047】
図14に示すように、ハンドリング装置1により基盤58を把持するには、駆動源により第一部材5と第二部材6とを左右にスライドさせて把持部4,4間の距離を変化させることで、把持部4をフレーム59の外縁部に外接させる。この際、把持部4に形成された溝57に、フレーム59の外縁部が係合される。従って、把持部4の溝57にフレーム59が係合された状態で、把持部4がフレーム59に外接されることで、把持部4によってフレーム59が把持される。
【0048】
本実施形態のハンドリング装置1の場合、把持部4がフレーム59に外接される際、把持部4の溝57にフレーム59が係合される。従って、把持部4によってフレーム59をより確実に把持することができる。
【0049】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【0050】
例えば、図1に示す実施形態及び図14に示す実施形態では、四つの把持部4,4,4,4でフレーム2,59を把持する構成とされたが、これに限定されるものではなく、三つ以上の把持部でフレームを把持する構成であればよい。この場合、本体部9、第一部材5及び第二部材6などの構成は、適宜に変更される。
【0051】
また、図1に示す実施形態では、一方の四つの把持部4a,4a,4c,4cと他方の四つの把持部4b,4b,4d,4dとが棒状に形成されたが、例えば、一方の四つの把持部又は他方の四つの把持部が図14に示す実施形態の把持部4であってもよい。これにより、汎用性に優れたハンドリング装置1とすることができる。
【0052】
また、図1に示す実施形態では、四つの把持部4a,4a,4c,4cがフレーム2に内接されることで、把持部4a,4a,4c,4cによってフレーム2が把持されたが、四つの把持部がフレーム2に外接されることで、把持部によってフレーム2を把持してもよい。なお、四つの把持部4b,4b,4d,4dの場合も同様である。
【0053】
さらに、図14に示す実施形態では、四つの把持部4,4,4,4がフレーム59に外接されることで、把持部4,4,4,4によってフレーム59が把持されたが、四つの把持部がフレーム59に内接されることで、把持部によってフレーム59を把持してもよい。この場合、フレームは、溝に係合した状態で、四つの把持部が内接できる構成とされる。
【0054】
なお、本発明の要旨構成は、例えば以下に示すとおりであってもよい。
【0055】
<1>枠状のフレームを把持する3つ以上の把持部を備えるハンドリング装置であって、3つ以上の前記把持部は、それらを結ぶ線が多角形を形成するように配置されており、前記把持部間の距離を変化させて、前記把持部が前記フレームに内接又は外接されることで、前記把持部によって前記フレームが把持される、ハンドリング装置。
【0056】
<2>前記把持部には溝が形成されており、前記溝に前記フレームが係合されることで、前記把持部によって前記フレームが把持される、上記<1>に記載のハンドリング装置。
【0057】
<3>前記フレームに前記把持部が内接されることで、前記把持部によって前記フレームが把持される、上記<1>又は<2>に記載のハンドリング装置。
【0058】
<4>前記フレームに前記把持部が外接されることで、前記把持部によって前記フレームが把持される、上記<1>又は<2>に記載のハンドリング装置。
【0059】
<5>4つの前記把持部と、近接離隔可能な第一部材及び第二部材と、を備え、隣接する一方の2つの前記把持部は、前記第一部材によって連結され、隣接する他方の2つの前記把持部は、前記第二部材によって連結されており、前記第一部材と前記第二部材とが近接離隔することで、隣接する一方の2つの前記把持部のそれぞれと隣接する他方の2つの前記把持部のそれぞれとの間の距離を変化させることが可能である、上記<1>から<4>のいずれかに記載のハンドリング装置。
【符号の説明】
【0060】
1 ハンドリング装置
2 フレーム
4 把持部
5 第一部材
6 第二部材
57 溝
59 フレーム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14