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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-09
(45)【発行日】2024-12-17
(54)【発明の名称】巻上機の支持装置及び巻上機ユニット
(51)【国際特許分類】
   B66B 11/04 20060101AFI20241210BHJP
【FI】
B66B11/04 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2024517686
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 JP2022019031
(87)【国際公開番号】W WO2023209849
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2024-03-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】上野 達央
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/056585(WO,A1)
【文献】特開2015-157668(JP,A)
【文献】特開平08-277077(JP,A)
【文献】特開2003-182953(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0205266(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
防振部が設けられた機械台に固定され、前記防振部を介して設置される巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、
一方側が前記巻上機に、他方側が前記第1の部材に取り付けられる第2の部材と
を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して可動に取り付けられ、
前記第1の部材は、レールであって、
前記第2の部材は、前記一方側が前記巻上機に固定されて取り付けられ、前記他方側が、前記第2の部材が前記第1の部材に沿って移動可能となるように、前記第1の部材に取り付けられる巻上機の支持装置。
【請求項2】
防振部が設けられた機械台に固定され、前記防振部を介して設置される巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、
一方側が前記巻上機に、他方側が前記第1の部材に取り付けられる第2の部材と
を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して可動に取り付けられ、
前記第2の部材の前記一方側は、前記巻上機に回転可能に取り付けられ、
前記第2の部材の前記他方側は、前記第1の部材に回転可能に取り付けられる巻上機の支持装置。
【請求項3】
前記第2の部材は、前記巻上機が水平方向に移動したとき、前記第2の部材の前記一方側から前記他方側へ向かう方向が水平方向と平行になるように、前記一方側が前記巻上機に、前記他方側が前記第1の部材に取り付けられる
請求項1又は2に記載の巻上機の支持装置。
【請求項4】
前記第1の部材は、前記第1の部材の一部が、前記巻上機の前記機械台と対向する対向面に形成された凹部に収納されるように、前記機械台に固定され、
前記第2の部材は、前記第2の部材が前記凹部に収納されるように、前記一方側が前記巻上機に、前記他方側が前記第1の部材に取り付けられる
請求項1又は2に記載の巻上機の支持装置。
【請求項5】
前記第2の部材は、水平方向から前記第1の部材を挟むように複数設けられる
請求項4に記載の巻上機の支持装置。
【請求項6】
機械台に設けられた防振部を介して設置される巻上機と、
前記巻上機を支持する支持装置と
を備え、
前記支持装置は、
前記機械台に固定され、前記巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、
一方側が前記巻上機に取り付けられ、他方側が前記第1の部材に取り付けられる第2の部材と
を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して可動に取り付けられ、
前記第1の部材は、レールであって、
前記第2の部材は、前記一方側が前記巻上機に固定されて取り付けられ、前記他方側が、前記第2の部材が前記第1の部材に沿って移動可能となるように、前記第1の部材に取り付けられる巻上機ユニット。
【請求項7】
機械台に設けられた防振部を介して設置される巻上機と、
前記巻上機を支持する支持装置と
を備え、
前記支持装置は、
前記機械台に固定され、前記巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、
一方側が前記巻上機に取り付けられ、他方側が前記第1の部材に取り付けられる第2の部材と
を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材に対して可動に取り付けられ、
前記第2の部材の前記一方側は、前記巻上機に回転可能に取り付けられ、
前記第2の部材の前記他方側は、前記第1の部材に回転可能に取り付けられる巻上機ユニット。
【請求項8】
前記支持装置は、複数設けられる
請求項6又は7に記載の巻上機ユニット。
【請求項9】
前記複数の支持装置は、前記巻上機を水平方向から挟むように設けられる
請求項8に記載の巻上機ユニット。
【請求項10】
前記巻上機と前記第2の部材とは一体に成形される
請求項6又は7に記載のいずれか一項に記載の巻上機ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、巻上機の支持装置及び巻上機ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、巻上機の水平方向の振動を抑制する巻上機の支持装置として、巻上機台から乗りかご側に延伸された上面板が提案されている。この上面板の端部は、鉛直下向きに折り曲げられた形状を有している。鉛直下向きの部分が機械台に取り付けられた水平防振ゴムにかご側及び釣合おもり側から挟まれている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-214161号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
巻上機台を支持する垂直防振ゴムは、巻上機から発生する鉛直方向の振動が機械台に伝達することを抑制するものである。上記した従来の巻上機の支持装置は、上面板の端部である鉛直下向きの部分が機械台に取り付けられた水平防振ゴムに挟まれて固定されるため、垂直防振ゴムの鉛直方向への伸縮が制限され、巻上機から発生する鉛直方向の振動が機械台に伝達することが抑制できない場合がある。
【0005】
本開示は上記した問題点を解決するためになされたものであり、巻上機から発生する鉛直方向の振動が機械台へ伝達することを抑制し、巻上機の水平方向の振動を抑制する巻上機の支持装置及び巻上機ユニットを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる巻上機の支持装置は、防振部が設けられた機械台に固定され、防振部に支持される巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、一方側が巻上機に、他方側が第1の部材に取り付けられる第2の部材とを備え、第2の部材は、第1の部材に対して可動に取り付けられ、第1の部材は、レールであって、第2の部材は、一方側が巻上機に固定されて取り付けられ、他方側が、第2の部材が第1の部材に沿って移動可能となるように、第1の部材に取り付けられる
本開示にかかる巻上機の支持装置は、防振部が設けられた機械台に固定され、防振部に支持される巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、一方側が巻上機に、他方側が第1の部材に取り付けられる第2の部材とを備え、第2の部材は、第1の部材に対して可動に取り付けられ、第2の部材の一方側は、巻上機に回転可能に取り付けられ、第2の部材の他方側は、第1の部材に回転可能に取り付けられる。
【0007】
本開示にかかる巻上機ユニットは、機械台に固定された防振部を介して設置される巻上機と、巻上機を支持する支持装置とを備え、支持装置は、機械台に固定され、巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、一方側が巻上機に、他方側が第1の部材に取り付けられる第2の部材とを備え、第2の部材は、第1の部材に対して可動に取り付けられ、第1の部材は、レールであって、第2の部材は、一方側が巻上機に固定されて取り付けられ、他方が、第2の部材が第1の部材に沿って移動可能となるように、第1の部材に取り付けられる。
本開示にかかる巻上機ユニットは、機械台に設けられた防振部を介して設置される巻上機と、巻上機を支持する支持装置とを備え、支持装置は、機械台に固定され、巻上機側の鉛直方向に延伸する第1の部材と、一方側が巻上機に取り付けられ、他方側が第1の部材に取り付けられる第2の部材とを備え、第2の部材は、第1の部材に対して可動に取り付けられ、第2の部材の一方側は、巻上機に回転可能に取り付けられ、第2の部材の他方側は、第1の部材に回転可能に取り付けられる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、巻上機から発生する鉛直方向の振動が機械台へ伝達することを抑制し、巻上機の水平方向の振動を抑制する巻上機の支持装置及び巻上機ユニットを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1における巻上機ユニットの正面図である。
図2】実施の形態1における巻上機ユニットのA-A´断面図である。
図3】実施の形態1における支持装置のB-B´断面図である。
図4】実施の形態1における変形例を示す巻上機ユニットの正面図である。
図5】実施の形態2における巻上機ユニットの正面図である。
図6】実施の形態2における巻上機ユニットを拡大した正面図である。
図7】実施の形態2における巻上機ユニットの変形例を示す正面図である。
図8】実施の形態3における巻上機ユニットの正面図である。
図9】実施の形態3における巻上機ユニットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施の形態1.
実施の形態1における巻上機の支持装置、巻上機及び支持装置を備える巻上機ユニット、並びに機械台、防振ゴム、懸架体、及び巻上機ユニットを備える巻上装置について、図1、2を用いて説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当する構成を表している。以下の説明において、鉛直方向とは、巻上機11が機械台3から離れる方向と平行な方向である。また、水平方向とは、鉛直方向と直交する方向である。水平方向のうち、機械台取付柱1から機械台取付柱2へ向かう方向と平行な方向を横方向と呼ぶ。また、水平方向のうち、横方向と直交する方向を奥行方向と呼ぶ。
【0011】
巻上装置は、機械台3、防振ゴム4、懸架体5及び巻上機ユニット10を備えている。機械台3は、機械台取付柱1、2に固定され、取り付けられている。機械台取付柱1は、例えばかご(図示せず)の昇降を案内するガイドレールである。機械台取付柱2は、例えば釣合おもり(図示せず)の昇降を案内するガイドレールである。機械台3には、防振部である複数の防振ゴム4が設けられている。防振ゴム4は、後述する巻上機11を支持し、巻上機11から発生する鉛直方向の振動が機械台3に伝達することを抑制する。機械台3への振動の伝達が抑制されることで、機械台取付柱1、2が振動しにくくなる。懸架体5は、後述する巻上機11の綱車11bに巻き掛けられる。懸架体5の一端にはかご(図示せず)が接続され、懸架体5の他端には釣合おもり(図示せず)が接続されている。
【0012】
巻上機ユニット10は、巻上機11及び複数の支持装置12から構成される。巻上機11は、防振ゴム4に支持されている。巻上機11は、駆動部11a及び綱車11bから構成される。駆動部11aはモータ及びブレーキを備え、綱車11bの回転及び制動するものである。綱車11bには、懸架体5が巻き掛けられる。
【0013】
支持装置12は、2つ設けられている。2つの支持装置12は、巻上機11を横方向から挟むように設けられている。支持装置12は、第1の部材であるレール12a及び第2の部材であるブロック12bから構成される。レール12aは、その一端が機械台3に固定されており、機械台3から巻上機11側の鉛直方向に延伸している。また、レール12aは、巻上機11と機械台取付柱1との間及び巻上機11と機械台取付柱2との間に設けられている。
【0014】
ブロック12bは、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となるように、かつ、水平方向において機械台3と巻上機11とが逆方向に移動することを抑制するように、巻上機11及びレール12aに取り付けられる。具体的には、ブロック12bの一方側であって、鉛直方向と平行な面である一方面13は、巻上機11の駆動部11aの鉛直方向と平行な面である側面14に固定されて取り付けられている。ブロック12bの他方側であって、横方向において一方面13と反対側に形成された取付部15は、ブロック12bがレール12aに沿って移動可能となるよう、レール12aに取り付けられている。そのため、ブロック12bがレール12aに対して可動となる。
【0015】
図3に示すように、取付部15は、一方面13と平行な面である他方面15b、及び他方面15bの両側に設けられ、レール12aに引っ掛けるためのフック部15aを有する。ブロック12bは、一方面13から取付部15のうち他方面15bへ向かう方向と横方向とが平行になるように取り付けられている。
【0016】
巻上機11に固定されるブロック12bの鉛直方向への移動が制限されると、巻上機11の鉛直方向への移動が制限され、さらに、防振ゴム4の鉛直方向への伸縮が制限されることがある。そのため、レール12aの長さは、防振ゴム4の伸縮を制限することなく、ブロック12bを移動させることができる長さであると好ましい。
【0017】
次に、このように構成された巻上装置100における振動発生時の支持装置12の作用について説明する。
【0018】
まず、支持装置12が巻上機ユニット10に備えられない場合について説明する。巻上機11は、駆動部11aのモータが駆動することで、鉛直方向及び水平方向に振動する。巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収するため、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0019】
巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、この振動が機械台3に伝達し、巻上機11及び機械台3が水平方向に共振することがある。このとき、巻上機11の振動と機械台3の振動とが同位相で同期する第1モードとなる場合と、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期する第2モードとなる場合とがある。第1モードのとき、第2モードのときと比較して、水平方向における巻上機11及び機械台3の共振周波数が低い。一方で、第2モードのとき、第1モードのときと比較して、水平方向における巻上機11及び機械台3の共振周波数が高い。
【0020】
巻上機11及び機械台3の振動が他に伝達したとき、その周波数が高いと騒音又は機器の故障等の原因となる場合がある。例えば、巻上機11及び機械台3の周波数の高い振動が空気に伝達した場合、高音が発生する。この高音が騒音として、かご内にいる乗客に不快感を与えることがある。また、例えば、巻上機11及び機械台3の周波数の高い振動が巻上機11内の機器に伝達した場合、その振動により巻上機11内の機器が故障することがある。このような騒音又は故障等の発生を抑制するためには、巻上機11と機械台3とが第2モードで振動することを抑制する必要がある。しかし、巻上機ユニット10に支持装置12が設けられていないため、巻上機11と機械台3とが第2モードで振動することは抑制されない。
【0021】
次に、支持装置12が巻上機ユニット10に備えられている場合について説明する。巻上機11は、駆動部11aのモータが駆動することで、鉛直方向及び水平方向に振動する。巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11に固定されたブロック12bがレール12aに沿って移動し、巻上機11の鉛直方向の振動とともにブロック12bが鉛直方向に振動する。このように巻上機11の振動に合わせてブロック12bが振動するため、防振ゴム4の鉛直方向の伸縮が制限されない。言い換えると、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。そのため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0022】
巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、支持装置12が巻上機ユニット10に備えられない場合と同様に、巻上機11と機械台3とが第1モードで振動することも、第2モードで振動することもある。しかし、巻上機ユニット10に支持装置12が備えられたことにより、巻上機11と機械台3とが支持装置12を介して接続されたため、水平方向において巻上機11と機械台3とは順方向に移動しやすい。したがって、巻上機11と機械台3とは第1モードで振動しやすい。また、巻上機11と機械台3とが支持装置12を介して接続されたため、水平方向において巻上機11と機械台3とが逆方向に移動することが抑制されている。したがって、巻上機11と機械台3とは第2モードで振動しにくい。このように、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制されるため、巻上機11及び機械台3の水平方向の振動が抑制される。よって、騒音又は機器の故障等の発生が抑制される。なお、ここでいう振動が抑制されるとは、振動の周波数が高くなりにくいことを指す。
【0023】
また、巻上機11から水平方向のうち横方向の振動が発生したとき、言い換えると、巻上機11が横方向に移動したとき、ブロック12bの一方面13から取付部15の他方面15bへ向かう方向は横方向と平行となる。そのため、ブロック12bが巻上機11から横方向の力を受けたとしても、ブロック12bを回転させる力のモーメントがかからない。また、ブロック12bが回転したとしても、フック部15aがレール12aに引っ掛かっていることにより、ブロック12bがさらに回転することがない。よって、巻上機11は、ブロック12bから鉛直方向の力を受けにくいため、巻上機11の鉛直方向の振動が増幅しにくく、巻上機11を支持する防振ゴム4に過剰な負荷がかかることが抑制される。
【0024】
このように巻上機11側の鉛直方向に延伸するレール12aと、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となるように、かつ、水平方向において機械台3と巻上機11とが逆方向に移動することを抑制するように、一方面13が巻上機11の側面14に、取付部15がレール12aに取り付けられるブロック12bを備えた支持装置12にあっては、巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11の振動に合わせてブロック12bが振動するため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。そのため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0025】
また、巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、この振動が機械台3に伝達して巻上機11及び機械台3が水平方向に共振したとしても、巻上機11と機械台3とが支持装置12を介して接続されているため、水平方向において巻上機11と機械台3とは逆方向に移動しにくい。そのため、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期しにくくなる。したがって、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制されるため、巻上機11の水平方向の振動を抑制することができる。
【0026】
さらに、実施の形態1における支持装置12にあっては、ブロック12bがレール12aに対して可動に取り付けられている。具体的には、ブロック12bがレール12aに沿って移動可能となるよう、レール12aに取り付けられている。そのため、巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11の振動に合わせてブロック12bが振動し、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。よって、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0027】
さらに、実施の形態1における支持装置12にあっては、ブロック12bは、巻上機11が水平方向のうち横方向に移動したとき、一方面13から取付部15の他方面15bへ向かう方向が横方向と平行になるように、一方面13が巻上機11の側面14に、取付部15がレール12aに取り付けられている。そのため、ブロック12bが巻上機11から横方向の力を受けたとしても、ブロック12bを回転させる力のモーメントがかからない。また、ブロック12bが回転したとしても、フック部15aがレール12aに引っ掛かっていることにより、ブロック12bがさらに回転することがない。よって、巻上機11は、ブロック12bから鉛直方向の力を受けにくいため、巻上機11の鉛直方向の振動が増幅しにくく、巻上機11を支持する防振ゴム4に過剰な負荷がかかることが抑制される。
【0028】
さらに、実施の形態1における巻上機ユニット10にあっては、支持装置12が2つ設けられている。そのため、巻上機11を支持することによる各支持装置12の負荷を軽減することができる。したがって、支持装置12が破損しにくくなる。
【0029】
さらに、実施の形態1における巻上機ユニット10にあっては、2つの支持装置12が巻上機11を横方向から挟むように設けられている。そのため、巻上機11が横方向の一方に移動したときは、一方に設けられている支持装置12が巻上機11を支持し、機械台3と巻上機11とが逆方向に移動することを抑制する。また、巻上機11が水平方向の他方に移動したときは、他方に設けられている支持装置12が巻上機11を支持し、機械台3と巻上機11とが逆方向に移動することを抑制する。したがって、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期しにくくなる。よって、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制され、巻上機11の水平方向の振動を抑制することができる。
【0030】
なお、支持装置12が2つ設けられる例について説明したが、支持装置12が1つ設けられていてもよい。このような場合であっても、支持装置12を巻上機11の横方向に取り付けることで、巻上機11と機械台3とが支持装置12を介して接続されるため、水平方向において巻上機11と機械台3とは逆方向に移動しにくい。そのため、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期しにくくなる。したがって、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制され、巻上機11の水平方向の振動を抑制することができる。
【0031】
なお、支持装置12は、3つ以上設けられていてもよい。
【0032】
なお、図4に示すように、ブロック12bと巻上機11とは一体に成形されてもよい。この場合、ブロック12bは、巻上機11の側面14に形成される。
【0033】
なお、防振部は、巻上機11を支持し、巻上機11から発生する鉛直方向の振動が機械台3に伝達することを抑制するものであれば、防振ゴム4に限られない。例えば、スプリングを防振部として用いてもよい。
【0034】
なお、巻上機11は、駆動部11a、綱車11b、及び駆動部11aを支持する巻上機台から構成されてもよい。
【0035】
なお、2つの支持装置12が巻上機11を横方向から挟むように設けられる例について説明したが、2つの支持装置12が巻上機11を水平方向のうち奥行方向から挟むように設けられてもよい。
【0036】
上述のように構成された巻上機11の支持装置12及び巻上機ユニット10にあっても、巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11の振動に合わせてブロック12bが振動するため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。そのため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0037】
また、巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、この振動が機械台3に伝達して巻上機11及び機械台3が水平方向に共振したとしても、巻上機11と機械台3とが支持装置12を介して接続されているため、水平方向において巻上機11と機械台3とは逆方向に移動しにくい。そのため、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期しにくくなる。したがって、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制されるため、巻上機11の水平方向の振動を抑制することができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1では、2つの支持装置12が巻上機11を横方向から挟むように設けられる例について説明したが、実施の形態2では、支持装置12のレール12aの一部及びブロック12bが、巻上機11の機械台3と対向する対向面に形成された凹部に収納されるように支持装置12が設けられる例について説明する。
【0039】
図5に示すように、巻上機11の駆動部11aは、機械台3と対向する対向面16に凹部17が形成されている。凹部17は、奥行方向において綱車側からその反対側まで連続して形成されている。
【0040】
図6に示すように、支持装置12は、1つのレール12a及び2つのブロック12bから構成される。レール12aは、巻上機11側の鉛直方向に延伸しており、その一端が機械台3に固定されている。レール12aの一部である他端側は、凹部17に収納されている。なお、巻上機11が鉛直方向に振動したときに巻上機11がレール12aの他端と接触しないために、巻上機11が鉛直方向に振動していないとき、レール12aの他端は凹部17に接触していないほうが好ましい。
【0041】
ブロック12bは、水平方向のうち横方向からレール12aを挟むように2つ設けられている。このとき、一方のブロック12bの取付部15と他方のブロック12bの取付部15とは、向かい合っている。また、2つのブロック12bは、凹部17に収納されている。ブロック12bの一方面13は、巻上機11の凹部17の鉛直方向と平行な面である内面17aに固定されて取り付けられている。ブロック12bの取付部15は、ブロック12bがレール12aに沿って移動可能となるよう、レール12aに取り付けられている。また、ブロック12bは、一方面13から取付部15の他方面15bへ向かう方向と横方向とが平行になるように、一方面13が巻上機11の側面14に、取付部15がレール12aに取り付けられている。
【0042】
このように構成された実施の形態2に示された支持装置12にあっても、巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11の振動に合わせてブロック12bが振動するため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。そのため、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0043】
また、巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、この振動が機械台3に伝達して巻上機11及び機械台3が水平方向に共振したとしても、巻上機11と機械台3とが支持装置12を介して接続されているため、水平方向において巻上機11と機械台3とは順方向に移動しやすく、逆方向に移動しにくい。そのため、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期しにくくなる。したがって、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制され、巻上機11の水平方向の振動を抑制することができる。
【0044】
さらに、実施の形態2における支持装置12にあっては、レール12aの他端側及びブロック12bが、巻上機11の対向面16に形成された凹部17に収納されている。そのため、支持装置12を設置するための新たなスペースを設けることなく、支持装置12を設置することができる。
【0045】
さらに、実施の形態2における支持装置12にあっては、水平方向のうち横方向からレール12aを挟むように2つ設けられている。そのため、一方のブロック12bが巻上機11から横方向の力を受け、レール12aに力を与えたとしても、レール12aは他方のブロック12bに支えられるため、レール12aが歪むことが抑制される。
【0046】
なお、巻上機11の対向面16に凹部17が1つ形成される例について説明したが、図7に示すように、対向面16に凹部17を複数形成してもよい。この場合、各凹部17にそれぞれ支持装置12を設けてもよい。
【0047】
なお、巻上機11の対向面16の凹部17は、支持装置12のレール12a及びブロック12bを収納することができれば、水平方向において綱車11b側からその反対側まで連続していなくてもよい。
【0048】
なお、複数の支持装置12を設け、対向面16の1つの凹部17に、複数の支持装置12のレール12aの他端側及びブロック12bを収納してもよい。
【0049】
なお、対向面16の凹部17は、横方向に形成してもよい。この場合、支持装置12の2つのブロック12bは、奥行方向からレール12aを挟むように設けられる。
【0050】
実施の形態3.
実施の形態1では、支持装置12がレール12a及びブロック12bから構成される例について説明したが、実施の形態3では、支持装置20が取付金具及びロッドから構成される例について説明する。
【0051】
図8、9に示すように、支持装置20は、4つ設けられている。4つの支持装置20は、水平方向、つまり横方向及び奥行方向から巻上機11を挟むように設けられている。
【0052】
支持装置20は、第1の部材である取付金具20a及び第2の部材であるロッド20bから構成される。取付金具20aは、L字型の形状をしており、機械台3から巻上機11側の鉛直方向に延伸している。取付金具20aは、その一端が機械台3に固定されている。
【0053】
ロッド20bは、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となるように、かつ、水平方向において機械台3と巻上機11とが逆方向に移動することを抑制するように、巻上機11及び取付金具20aに取り付けられる。具体的には、ロッド20bの一方側である一端は、巻上機11に回転可能に取り付けられている。ロッド20bの他方側である他端は、取付金具20aに回転可能に取り付けられている。そのため、ブロック12bがレール12aに対して可動となる。また、ロッド20bは、一端から他端へ向かう方向が横方向と平行になるように、一端が巻上機11に、他端が取付金具20aに取り付けられている。
【0054】
巻上機11の鉛直方向への移動が制限されると、防振ゴム4の鉛直方向への伸縮が制限されることがある。そのため、巻上機11の鉛直方向への振動の振幅を考慮し、巻上機11の鉛直方向への移動を制限しないようにロッド20bの長さを決定する。例えば、巻上機11の鉛直方向への振動の振幅が2mm(ミリメートル)であるとき、ロッド20bの長さを500mmとする。なお、ロッド20bの長さは、巻上機11の鉛直方向への振動の振幅に対して十分に長いため、巻上機11が鉛直方向に振動し、ロッド20bが回転したとしても、ロッド20bの一端から他端へ向かう方向は水平方向と近似することができる。
【0055】
次に、このように構成された巻上装置100における振動発生時の支持装置20の作用について説明する。
【0056】
巻上機11は、駆動部11aのモータが駆動することで、鉛直方向及び水平方向に振動する。巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11の振動に伴ってロッド20bが回転するため、巻上機11が鉛直方向に移動することができる。したがって、防振ゴム4の鉛直方向の伸縮が制限されない。言い換えると、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。よって、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0057】
巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、巻上機11と機械台3とが第1モードで振動することも、第2モードで振動することもある。しかし、巻上機11と機械台3とが支持装置20を介して接続されているため、水平方向において巻上機11と機械台3とは順方向に移動しやすい。したがって、巻上機11と機械台3とは第1モードで振動しやすい。また、巻上機11と機械台3とが支持装置20を介して接続されているため、水平方向において巻上機11と機械台3とが逆方向に移動することが抑制されている。したがって、巻上機11と機械台3とは第2モードで振動しにくい。このように、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制されるため、巻上機11及び機械台3の水平方向の振動が抑制される。
【0058】
また、巻上機11から水平方向のうち横方向の振動が発生したとき、言い換えると巻上機11が横方向に移動したとき、ロッド20bの一端から他端へ向かう方向は横方向と平行となる。そのため、ロッド20bが巻上機11から横方向の力を受けたとしても、ロッド20bを回転させる力のモーメントがかからない。したがって、巻上機11は、ロッド20bから鉛直方向の力を受けないため、巻上機11の鉛直方向の振動が増幅することがなく、巻上機11を支持する防振ゴム4に過剰な負荷がかかることがない。
【0059】
このように構成された実施の形態3に示された支持装置20にあっても、巻上機11から鉛直方向の振動が発生したとき、巻上機11の振動に伴ってロッド20bが回転するため、巻上機11が鉛直方向に移動することができる。したがって、防振ゴム4の鉛直方向の伸縮が制限されない。言い換えると、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮自在となる。よって、防振ゴム4が鉛直方向に伸縮して巻上機11の鉛直方向の振動を吸収することができ、その振動が機械台3へ伝達することを抑制することができる。
【0060】
また、巻上機11から水平方向の振動が発生したとき、この振動が機械台3に伝達して巻上機11及び機械台3が水平方向に共振したとしても、巻上機11と機械台3とが支持装置20を介して接続されているため、水平方向において巻上機11と機械台3とは逆方向に移動しにくい。そのため、巻上機11の振動と機械台3の振動とが逆位相で同期しにくくなる。したがって、共振周波数が高い第2モードで振動することが抑制され、巻上機11の水平方向の振動を抑制することができる。
【0061】
なお、支持装置20が4つ設けられる例について説明したが、1つ又は2つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 機械台取付柱、2 機械台取付柱、3 機械台、4 防振ゴム、5 懸架体、10 巻上機ユニット、11 巻上機、12 支持装置、12a レール、12b ブロック、13 一方面、14 側面、15 取付部、15a フック部、15b 他方面、16 対向面、17 凹部、17a 内面、20 支持装置、20a 取付金具、20b ロッド、100 巻上装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9